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社会福祉公社技術部さくら板支所

1 :CC名無したん:2007/12/23(日) 03:50:10 ID:aZ2l6T2O0
さくらちゃんに何となく似ているリコが大活躍したり
知世ちゃんに何となく似ているアンジェが大変な事になる
GUNSLINGER GIRL のスレです


2 :CC名無したん:2007/12/23(日) 03:51:20 ID:aZ2l6T2O0
>ガンスリンガー・ガール達に(;´Д`)ハァハァするスレです。
>(;´Д`)ハァハァと言いながら実質のSSスレ

だったらいいな


3 :CC名無したん:2007/12/23(日) 03:52:34 ID:aZ2l6T2O0
「誤解のないよう言っておきますが
そこいらの変質者と一緒にしないでほしいという事です
人間を切り刻んで愉しむ類の…」


4 :CC名無したん:2007/12/23(日) 03:53:34 ID:aZ2l6T2O0
つまりょぅι゙ょの体をいじり回したり体液を採取しているのは確かだが
楽しんでいるわけではないというわけですな


5 :CC名無したん:2007/12/23(日) 04:19:33 ID:aZ2l6T2O0
前スレはありませんが
今は亡きこんなスレをリスペクトしてるみたいです

「ガンスリンガー・ガール」ハァハァスレ @+1(漫画キャラクター板)
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1099215397/

「ガンスリンガー・ガール」ハァハァスレ @+2(漫画キャラクター板)
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1145293079/

「ガンスリンガー・ガール」ハァハァスレ @+3(漫画キャラクター板)
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1170134431/


6 :CC名無したん:2007/12/23(日) 04:21:10 ID:aZ2l6T2O0
こんなのもリスペクトしてるみたいです

ガンスリンガーガールスレ(エロパロ&文章創作板)
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1063912806

ガンスリンガーガール 2人目の義体(エロパロ&文章創作板)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1099669994

ガンスリンガーガール 3人目の義体(エロパロ&文章創作板)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1115286133

ガンスリンガーガール 4人目の義体(エロパロ&文章創作板)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1178375722/

ガンスリンガーガール 5人目の義体(エロパロ&文章創作板)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1191260180/


7 :CC名無したん:2007/12/23(日) 04:23:06 ID:aZ2l6T2O0
これも張っておくか

GUNSLINGER GIRL.‐暫定保管庫
http://tokyo.cool.ne.jp/gunslinger-girl/


8 :CC名無したん:2007/12/23(日) 04:25:12 ID:aZ2l6T2O0
監督の浅香守生つながりであるとも言える

9 :CC名無したん:2007/12/23(日) 04:45:57 ID:aZ2l6T2O0


10 :CC名無したん:2007/12/23(日) 07:17:11 ID:up5R+5fu0
どうしたものか。

11 :CC名無したん:2007/12/23(日) 09:54:19 ID:1EiNLcs20
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12 :CC名無したん:2007/12/23(日) 12:03:04 ID:Lj8sx4bA0
                iilllllllllii
             iillllllli   illllllli
           llllllll!!ii        !lllllllli
         llllil           lllllllliii
         ilill              llllllliiii
        illil                lllliii
        llli                il
       lli                | |
        i l        _           | |
         li     ,ヘ.;'´ ,、`ヽヘ       | | |
        |l.     i i ,ルノ从)〉 i    /,;, ⌒ヽ
       | il    | |ヘ(!゚ ヮ゚ノl |;:.・∵(゚ |;::;/:.`)>>11
        :::.     | |(^(lY|ゞ,| |,,,__l |:;;i|  )
         ::::   ノ〔;lこUr'─l;;O;;l─' ̄l|].| |>
           ::    ´(_ノーヽ,_)'   (_`(___)


13 :CC名無したん:2007/12/23(日) 12:59:05 ID:Lj8sx4bA0
●関連スレ

相田裕「GUNSLINGER GIRL」#62 (まんが板)
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/comic/1197472711/
GUNSLINGER GIRL ガンスリンガー・ガール 49挺目(アニメ2板)
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1197713991/
GUNSLINGER GIRL XI(キャラネタ板)
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1168377689/
【義体】ガンスリンガーガールPart.6【少女】(家庭用ゲーム板)
http://game13.2ch.net/test/read.cgi/famicom/1188276793/
【第2期】GUNSLINGER GIRL inサバゲ板【決定】(サバイバルゲーム)
http://hobby10.2ch.net/test/read.cgi/gun/1188830784/
【作戦2課】GUNSLINGER GIRL【義体棟101号室】 (キャラサロン板)
http://sakura02.bbspink.com/test/read.cgi/erochara/1142944647/
【薬物】GUNSLINGER GIRLスレ 7挺目【人体改造】(半角二次元板)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1146930153/


        _                              ∧_ ∧
     .;'´   `ヽ,  荒す人は許せませんっ!          (゚∀゚.l!|)
     !,, ノ从从ノ       パァァァァンッ              (    ) ビ゙シッ
   ,‐、_'リ| ゚ -f二0_____,,,.,:;:'""';:;,.,                | ,・:;:.,|:.,'
  ⊂( (/_(_iつ;,=0,―A' ̄ ̄   '' ' '':'''                (__.(__):.,



14 :CC名無したん:2007/12/23(日) 13:06:16 ID:Lj8sx4bA0
[誤]
GUNSLINGER GIRL XI(キャラネタ板)
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1168377689/

[正]
GUNSLINGER GIRL XI(キャラネタ板)
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1168377689/


15 :CC名無したん:2007/12/25(火) 02:05:58 ID:SJFhqr3R0
とりあえず、知世の葬式から始めようか。

16 :CC名無したん:2007/12/25(火) 14:40:18 ID:tx6PLrJZ0
とりあえず>>1



規制が終わるまでは保守するか

17 :CC名無したん:2007/12/25(火) 20:06:07 ID:OxpenClB0
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18 :ほしゅ:2007/12/28(金) 11:32:17 ID:YnKzZAnb0
さらば国境! 欧州9か国で検問所を廃止
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071222-00000002-rps-soci

>イタリアでも隣国スロヴェニアとの間で国境検問が廃止された。
>たとえば北に向かって陸路をドライブした場合、理論的には次のパスポートチェックはロシア国境までないことになる。

>ただし、往来プロセスの改善を喜んでいるのは、国境付近の住民だけである。
>大多数のイタリア一般市民は、旧社会主義圏から来る人々の不法滞在や密輸の増加を懸念しているのが実情だ。


…アルバニアから武器密輸やり放題ですね。

19 :お待たせ〜☆ミ:2007/12/28(金) 21:33:52 ID:VcZlgJbL0
こっち見るな
                              (巛ミ彡ミ彡ミ彡ミ彡ミ彡)ミ彡ミ彡)ミ彡)
                             ,,从.ノ巛ミ    彡ミ彡)ミ彡ミ彡ミ彡)ミ彡)''"
 ,ヘ.;´,、 `ヽヘ,                    人ノ゙ ⌒ヽ         彡ミ彡)ミ彡)ミ彡)'
 i〈〈ノ(ハヽ,| l_             ,,..、;;:〜''"゙゙       )  从    ミ彡ミ彡)ミ彡,,)       
 | |l、゚ヮ゚ ノ_,fニ.     ,,..、;;:〜-:''"゙⌒゙          彡 ,,     ⌒ヽ     ミ彡"
  | i(tつ='`,pm==<|::::::゙:゙               '"゙           .。.。.ミ彡)彡''" >>17
 iリ<ノj;|:jノ7  '    ``゙⌒`゙"''〜-、:;;,_              )   彡,,ノ彡〜''"
   (_ノ `-'               ゙⌒`゙"''〜-、,,     ,,彡⌒''〜''"人 ヽノ          
                              "⌒''〜"      し(__)


20 :CC名無したん:2007/12/29(土) 00:26:55 ID:wjC2gqHE0
>>18
子羊の密輸もやり放題ですね。
小麦色のとか、小麦色のとか、小麦色のとか…

21 :CC名無したん:2007/12/29(土) 02:54:04 ID:lCZ+KlnW0
>>3
「本来なら死んでるほどの重傷で 親も見捨てた少女たちを
肉体改造して甦生させ 命を助けてやったとか
世話してやってるとか吹き込んで恩に着せて 殺人マシーンに仕立て上げ
国益とか国際政治とか 生臭いもののために従事させる…
おためごかしもいいところだ
もし俺が この組織を自由にできるなら どうするかって? 
そうだな… ひどい組織だが
せいぜい女の子のメンタルケアとか… それくらいしかできないだろう
こんな組織でも、無くなったら 他の所にしわ寄せが行くだろうからな」

22 :CC名無したん:2007/12/29(土) 20:47:39 ID:w+oA4dgI0
ドットーレ…ごめんなさい。イタリア語よめません。


23 :CC名無したん:2007/12/30(日) 00:32:06 ID:pXTp2qjt0
新スレを発見しますた
【薬物】GUNSLINGER GIRLスレ 8挺目【人体改造】(半角二次元板)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1198782563/l50


24 :CC名無したん:2007/12/30(日) 01:13:26 ID:Dun3A3kC0
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    /   (●)  (●)  \   < トリエラたんとフラテッロになりたいお
    |     (__人__)    .| ________
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25 :CC名無したん:2007/12/30(日) 23:40:48 ID:jQWrGo940

        , -=-‐〜--へ__,, 、
       ノ        ヽ  ゝ
       ノ    二、___ゝ,/_/ヘ |
      |    ヲ          ||
      |    ┤  __、| |_||    _____________
      ノ ノ彳  ―― 〈‐‐〈ゝ  /
       ノイ6|ゝ υ /  |ヽ|" < う、うちの娘は>>24にはやらん!
       く .^|  υ     - |   \
         i_,| \l  [ ̄] .|      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ,,, -/\  \  ̄ __,| 
     ―'|  \  \  ̄ ̄|\_   
       |   \  \.  / 〉 \ ̄ 
        |__,\  / ̄〕/ 、/


26 :CC名無したん:2007/12/31(月) 01:05:27 ID:tZ+7pfbj0
公社の十日物語、続ききぼんぬ
できたら最初から

27 :ほしゅ:2007/12/31(月) 21:14:32 ID:/Vvbt6xM0
キプロスとマルタがユーロ導入、15か国にユーロ圏拡大

 地中海の島国キプロスとマルタの両国で、1日から欧州単一通貨ユーロが導入される。

 これにより、ユーロ圏は15か国、総人口約3億2000万人の範囲に拡大する。
ユーロを導入するには、単年度の財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以下に抑えるなどの条件が課せられている。
両国は2004年に欧州連合(EU)加盟国となり、ユーロ圏参加へ準備を進めていた。
欧州委員会によると、キプロスのポンドとマルタのリラは、1月以降も両国中央銀行でユーロと交換できる。
(ブリュッセル支局)

[読売新聞社:2007年12月31日 20時26分]


ギリシャとかトルコ出身の少女は出ないのかねえ…。。。。

28 :CC名無したん:2008/01/01(火) 00:20:01 ID:HAPq2iz00
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    /   (●)  (●)  \   < アウグーリ・ボナーノ
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     .\     ` ⌒´   ,/ .| |          |
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29 : 【豚】 【971円】 :2008/01/01(火) 10:00:03 ID:u/ZquUnM0
あけオメコとよろ

30 :CC名無したん:2008/01/02(水) 20:35:05 ID:/E3T5h+u0
ギリシャとトルコで何かあったような気がして検索してみた。
キプロスで揉めてますね。
ギリシャ寄りの南キプロスとトルコの支援を受けた北キプロスに
分断されているのでした。
ちなみにユーロが使えるようになるのは南キプロス。
スカーフをして爆弾を体に巻き付けたおにゃのこを想像した事は忘れよう。

31 :CC名無したん:2008/01/03(木) 14:25:57 ID:TRTpn4o70
ロシア人は既に作戦部2課に配属されてるから
次は東欧の少女から義体化候補をげtは無理か?


あとレス・キリアン公安1課長なんか担当官に良さそうなんだが。。。。


32 :CC名無したん:2008/01/03(木) 23:47:24 ID:kV7p6g6u0
あの後ビアンカとロッサーナの護衛はどうしたんだろうね
最低二人は付いていないといけないはずだけど
多分レスキリアン課長と一課の誰か一人がいたんだろうけど
おっさん二人だとあからさまに護衛という感じがする
こういう時フラテッロなら家族を装う事ができるので
きっと出番のない別のフラテッロに引き継いだんだと妄想してみる

33 :CC名無したん:2008/01/04(金) 00:47:16 ID:NmObtzR20
●関連スレ 追加

GUNSLINGER GIRL2期  殺した人数1人目
http://ex21.2ch.net/test/read.cgi/anime/1199206733/l50
GUNSLINGER GIRLはメスガキに銃を持たせる危険アニメ
http://ex21.2ch.net/test/read.cgi/anime/1199280008/l50

一応下がアンチスレなのだが同じような流れになってる


34 :CC名無したん:2008/01/04(金) 21:38:04 ID:jTGWOgxc0
ネタもないので、落ちてしまったスレのSSで「無断転載倉庫」に載っていないのを
発掘したいと思います。

「ガンスリンガー・ガール」ハァハァスレ @+3
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1170134431/17

>From: [17] 名無しかわいいよ名無し <sage>
>Date: 2007/02/01(木) 20:21:01 ID:z3YH/JV9
>
>キッチンドリンカー

これを再掲載したいと思いますが「ヤメレ」という方がおりましたら
申し出てください。

一週間ぐらい待ちます。


35 :CC名無したん:2008/01/05(土) 00:14:50 ID:kBsb/qg40
二期の監督の真野玲もカードキャプターさくらのスタッフだね。
ちなみに演出。


36 :CC名無したん:2008/01/05(土) 00:51:32 ID:QNClig1g0
>>32
キリアン1課長はあの後どうなったんだろ?

シロ(政府)から抹殺されそうになってそのまま放置ってことはないだろうから
公安部内で情報を洩らした奴をリストアップして始末するぐらいはやるだろう。
もしくは報復人事で左遷されて違う部署に配置替えか?
ジャンとラバロ大尉の前例もあることだし、再登場しても変じゃないな。


>>34
内容は覚えてないけど新規に加筆するの?

37 :34:2008/01/05(土) 21:03:23 ID:StPsBFH/0
>>36
>内容は覚えてないけど新規に加筆するの?
変更は一切しないでコピーして貼るだけです。

もしかして書いたのは自分かもしれないけど
そのことは関係ないです。
「無断転載倉庫」に掲載されていない複数のSSを
作者に無断でコピーして貼るという行為をしようとしています。
そのことに異論のある人もいるかもしれないと思って聞いてみました。


38 :CC名無したん:2008/01/06(日) 02:26:47 ID:VjMuA42P0
>>37
そのままのコピー→賛成
加筆修正→本人なら賛成

ちなみに
http://tokyo.cool.ne.jp/gunslinger-girl/
ここに登録されていない作品がたくさんあるんだよ。

5人目の義体も落ちちゃったし、どこで書けばいいか悩む俺
ちなみに、リコの長い夜は、俺の作品

39 :CC名無したん:2008/01/06(日) 02:35:46 ID:0a6puue/0
>>37
2chスレで投稿された名無しの作品なら別にいいだろ。
(コテハン使いのは避けたほうが無難かもしれんがもしかしたら
書いた本人が「もう辞めたから転載しないでくれ」とか
「気になるところを修正するから待って」と言うかもしれん。)

本来「無断転載倉庫」に収められていて然るべきだが
更新途絶えてて久しいから”発掘”して保全するなら
むしろ支援活動になるからいいだろう。

ただし、他サイトからの転載は執筆者の許可を貰ってからでないと駄目だろうな。

40 :CC名無したん:2008/01/06(日) 10:47:17 ID:0a6puue/0
527 :名無しんぼ@お腹いっぱい:2008/01/06(日) 01:21:56 ID:B9L8mCem0
アンジェ「マルコーさん天国のお話してあげる。」「あのよ〜」

相田裕「GUNSLINGER GIRL」#62から転載。

41 :CC名無したん:2008/01/06(日) 18:30:43 ID:2bMkJr1a0
ちょっとメモ
Q. anime2鯖からanime3鯖に変わったのはいつ?

A. 2007/12/04(火)

■ サーバリフレッシュ工事 連絡・作業スレッド4
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/operate/1193498210/256

256 FOX ★ 2007/12/04(火) 16:20:36 ID:???0
life8 -> life9 (science6/academy6/society6と併設)
anime2 -> anime3 (game14/tmp7と併設)

で行くかな、

ch2anim3
ch2life9


42 :37=34:2008/01/06(日) 22:18:56 ID:0lcpppS50
>>38
>>39
コテハンの人の作品にも良いのがあるので
転載する前にお伺いをして、しばらく間を置いてから
特に意見が無ければ転載したいと思います。

> 「気になるところを修正するから待って」
こういうのは大歓迎です。ワクテカして待ちます。

コピー元は2chとbbspinkだけにします。


43 :てんさい:2008/01/08(火) 21:38:28 ID:brSXMOJ50
370 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2008/01/08(火) 19:37:53 ID:QGPHoW+/
「ええと、マーベラスエンターテイメントさんでしたっけ?アートランドもすばらしい2期を作りましたね。メディアミックスを積極的に打ち出すとは」
「ええまさしく貴方たち視聴者の助けを必要としています。」
「この作品は原作者の助けを借り1年中原作レイプを受けていました。」
「この作品は打ち切りを望んでいます。」


44 :てんさい:2008/01/08(火) 21:39:34 ID:brSXMOJ50
501 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2008/01/08(火) 20:20:22 ID:QGPHoW+/
「作画が変なアニメって普通ですか?」 す〜ごい権力で人を降ろすことができるんです〜♪

45 :てんさい:2008/01/08(火) 21:42:21 ID:brSXMOJ50
524 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2008/01/08(火) 20:28:04 ID:QGPHoW+/
紳士「ガンスリンガーガールをたのむ」
ウェイター「かしこまりました」 つhttp://dat.2chan.net/18/src/1199731942614d043.jpg
紳士「君これはガソフ、ソガーガーノレだよ」

GUNSLINGER GIRL -IL TEATRINO- part3
http://ex21.2ch.net/test/read.cgi/anime/1199778551/
本スレなのにアンチスレになってしまったとこから無断転載。

46 :CC名無したん:2008/01/12(土) 23:35:57 ID:9QffaSJo0
90 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2008/01/12(土) 17:54:23 ID:2CmLiM/M
二期最終話。


一期の作画でシーンが始まる。


クラエス 「以上をもちまして、私が暇を持て余して自主制作した映画『ガンスリンガーガール』の上映会を終了します。」
トリエラ 「なんで私がピノッキオとかいうやつにやられるわけ?」
クラエス 「フィクションですから」
ヘンリエッタ 「私の性格設定が変態になってました!」
クラエス 「若干、誇張してあります。」
ジョゼ 「たまに作画崩壊してたな・・・」
ヒルシャー 「止め絵を揺らすだけなのは手抜きじゃないのか」
ジャン 「キャラの絵がおかしくなかったか?目が大きかったり・・・色使いもめちゃくちゃだし」
マルコー 「銃もプラスチックのおもちゃみたいだったな・・・」
クラエス 「全部気のせいです。眼科行ってください・・・他に質問、感想は?」
リコ 「クソつまんなかったです。」


〜 Fin 〜

47 :CC名無したん:2008/01/12(土) 23:39:15 ID:9QffaSJo0
390!

402 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2008/01/12(土) 18:25:00 ID:B5P0L/LQ
視聴者 「アートランドスタッフよ。やはり1期の雰囲気を徹底すべきだ。原作者には首輪をつける必要がある」
スタッフ「それには反対だ、視聴者さん。原作者への対応は我々の寿命を縮める」
相田 「使えなくなったら新しいスタッフを用意すればいい。視聴者は1期に愛着を持ち過ぎだ」
マーベラス 「視聴者の皆の衆、まぁ待て。だいぶ問題はあるが、アートランドはうちの子会社だ。
        使い潰すのは惜しい。とにかく2期の放映枠は押さえたのだ。今回の件は大目に見よう」
アートランド 「はい」
マーベラス 「アートランドよ。この脚本の扱いは原作者に一任している。
         2期が最低の予算とスタッフで使えるというのなら試してみろ。
         ただし、大きなミスは許されない。今回のことはきつく叱っておくんだな」


48 :発掘34:2008/01/14(月) 19:48:48 ID:aF+DoCwm0
「ガンスリンガー・ガール」ハァハァスレ @+3
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1170134431/17
で発掘。さくら板に書き込むには長すぎるようなので分割しました。

(1/2)
From: [17] 名無しかわいいよ名無し <sage>
Date: 2007/02/01(木) 20:21:01 ID:z3YH/JV9

キッチンドリンカー

 その夜はなかなか眠くなりませんでした。
 電気を消してすぐリコの寝息が聞こえてきて、それからもうずいぶんたっています。
 こんなに遅い時間ならもう誰も起きていないはず。そう思って、
前から気になっていた、ある物を見るためキッチンに行ってみる事にしました。
 リコを起こさないように静かにベッドを降りて、部屋から廊下に出ます。
 月あかりが廊下に窓の形を白く浮き上がらせています。
 キッチンに入って、そこの戸棚の昼間見たのと同じ場所にお目当ての物はありました。
 その丸みをおびたガラスのボトルには、こはく色の液体が入っていて、ラベルを
調べると私が思ったとおりです。
「少しだけならいいかな」
 普通のコップでは大き過ぎるので、ちょうど良い大きさのを探すと、ワイングラスと
同じ棚に5センチぐらいの高さの小さなグラスがあったので、それにしました。
 窓際のテーブルにボトルとグラスを置いて、ボトルの口を開けると良い香りがします。
 グラスに半分ぐらい注いでからキャップを元に戻して、少しだけ口に含んで味わうと
ふわりと香りが広がります。
 カーテンの間から月の光がもれていたので、カーテンを開けてみました。
 ちょっとだけ欠けた月が高く登っていて、薄い白く見える雲が少しあります。
 そしてテーブルの上では、月の光がボトルのガラスの曲面やカットの入ったグラスに
反射してキラキラと輝いています 。
 腕を重ねて、その上にほほをのせて横からきれいなこはく色の液体が入ったグラスを
ながめます。


49 :発掘34:2008/01/14(月) 19:49:53 ID:aF+DoCwm0
(2/2)
「ジョゼさん」
 私の担当官のジョゼさんは遠くへ出張であさってにならないと帰って来ません。
 今日は会えなかったし、明日も会えないのです。
 声に出して名前を呼ぶと、さびしい気持がふくらむようです。
 そしてもう一口。
 近頃は訓練にジョゼさんが立ち会わない時もあって、今日もトリエラが私達の
指導役でした。それでもジョゼさんが公社にいれば演習場から公社に着くころには
迎えに来てくれて、義体棟の入口までお話ししながら歩きます。
 少しの時間ですが、それでも声を聞いたり、あの時々見せる少しだけ微笑んだ
顔が丸一日見られないのは、とても物足りない感じがします。
 ジョゼさんはみんなに笑わない人だと思われているみたいですが、こんな時のような
笑顔を見たことがないのでしょうか。
 もしかして私といる時だけなのかな、なんてとても希望的なことを思ったりも
しますが、もしそうなら、それはそれでどうなのかなという気もします。
 でも、他の女の人にジョゼさんが微笑むのを想像するのはあまりいい気がしません。
 そうでなくてもジョゼさんは素敵だから、ジョゼさんのことを好きになる女の人は
きっといるはずです。
 そしてジョゼさんから見れば、私のような子どもより大人の女の人の方が良いに
決まってます。まして私は普通の女の子でさえないのです。
 少し月の光がかげりました。月に雲がかかって、雲が白く輝いて見えます。
 この一口で最後かな。
 でも、あさってになればジョゼさんに会えます。おみやげも期待していいよね。
 この次ジョゼさんとお出かけするのはいつかな。
 グラスが空になりました。
 メープルシロップのボトルは元の棚に戻して、グラスも洗って元の所に置きました。
 おやすみなさい。


50 :CC名無したん:2008/01/14(月) 20:00:53 ID:aF+DoCwm0
さくら板の設定では2048バイト以上のレスは書き込めないみたい。
長いのは分割しないといけないけど
分割する場所しだいでは作者さんのご機嫌を損ねてしまうかも。


51 :CC名無したん:2008/01/14(月) 23:19:17 ID:KVluVFH30
up Thank you.
副作用の味覚異常を思い出しました。
お砂糖 5杯 でしたっけ。

52 :CC名無したん:2008/01/14(月) 23:34:05 ID:gZGNMu0U0
こっちにもできてるんだが、こちらの板との差別化を図るべきではなかろうか?
▼ ガンスリンガー・ガールでエロパロ ▼
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199878167/l50

こちら社会福祉公社技術部さくら板支所では、過去の作品を発掘転載していく
向こうは、新規にSSを書くということでOK?




53 :CC名無したん:2008/01/15(火) 00:03:36 ID:hyF7M0sN0
>>52
それでも良いと思います。
ただ漫画キャラクター板(cchara)やエロパロ&文章創作板(eroparo)は
レスの間隔が開くとdat落ちしやすいので、のんびりしたCCさくら板に目を付けたという
いきさつもあります。
あとはbbspinkの方は大人向けで、全年齢向けで本スレに投下するとウザがられる長編は
こちらということになるのかな。

>>51
スティックシュガーには一袋あたり3g入りと4g入りと6g入りの三種類あるみたいです。
6g入りでない事を祈ってます。


54 :CC名無したん:2008/01/15(火) 00:28:27 ID:HTauc9+u0
>>53
ああそうだった。こっちは、全年齢対象板なんだ。すると転載作品は、
キッチンドリンカーのようなノーエロもしくはライトエロまでになるのかな。
やはり、エロはむこうになるのか…落ちないように常時保守しないといけないなあ。

55 :CC名無したん:2008/01/15(火) 13:16:23 ID:4IbpDs5L0
633 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2008/01/15(火) 03:55:51 ID:cnCekGHx
リコ「ヘンニナッタ、二期アニってスースーして何か変な感じだね」

645 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2008/01/15(火) 03:58:13 ID:XqrGjL7b
>>633
ヘンニナッタ「それは、リコがヤシガニとかうおっまぶしとかキャベツとかに慣れていないからだよ」

56 :CC名無したん:2008/01/17(木) 21:02:44 ID:vF30GbNrO
>>54
ここは最凶さくら板
切断物でも超余裕

57 :CC名無したん:2008/01/18(金) 00:09:08 ID:bYQMALuE0
同意。
でも、せっかく立てたんだからどこまでやれるのか見てみたいし…

それからサバゲ板のガンスリスレでペド発言してた人もこっちに来てくれないかな。
タイミング外して誘導できなかったよ。


58 :CC名無したん:2008/01/18(金) 21:09:57 ID:fSbtW6zx0
エリザヴェータなら良かったのに。ペドラはイラネ。

59 :CC名無したん:2008/01/19(土) 00:22:52 ID:kOQSu4rd0
「ガンスリンガー・ガール」ハァハァスレ @+3
このスレは短命で、立てられてから6日目に18番目のレスがついたのを最後に
dat落ちしました。
そしてこの作品で全部になります。

「ガンスリンガー・ガール」ハァハァスレ @+3
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1170134431/5-13

>From: [5] 参〇九 <sage>
>Date: 2007/01/30(火) 14:30:38 ID:eqBgPdas
>
>再建の直後に落ちの悲劇防止のために過去作品の加筆・改訂版を上げます。
>---------------------------------------------------------------------
>□□□GunslingerGirl 〜ガンスリンガーガール〜 哀の小劇場 ■■■
>      −−「ソルティ・ミルクチョコレート」−−

これは改定前のが「無断転載倉庫」にあるので転載はしなくて良いかと思います。
文章を書く人は改定前と後を比べると
「何でこんな風に変えたんだろうか」
などと色々考える事があって勉強になるかもしれませんが、
キャッシュには残っていませんでした。


60 :CC名無したん:2008/01/19(土) 23:35:51 ID:fls5t0T70
295 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2008/01/18(金) 22:42:16 ID:SX7EqayO
「相田、2期はどうだ」
「ごめんなさい視聴者さん・・・上手にできませんでした」
「上手?アートランド相手じゃどうにもならんだろ」
「(         )アニメ制作素人にしちゃ上出来だ」
  ↑ここなんてほめればいいんだっけ・・・・ええと、ああそうか・・・・ 何も無いやごめんね。


61 :CC名無したん:2008/01/20(日) 01:40:30 ID:43iuQ9UF0
494 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2008/01/19(土) 23:19:24 ID:feSPIiTN
>>489
「もしかしたら、そのおかげで君の明日の共通一次試験でいい結果が出せる
かもしれない」
「そうしたら『GUNSLINGER GIRL -IL TEATRINO- 』の存在にも意義があった
と言える日がくるかもしれない」
「だからと言って関係者(マーベ、アート、アイダ)がこの作品にした事を
正当化できるのか?」


「いや、無理」
「それだけは無い。無理」


62 :CC名無したん:2008/01/20(日) 19:50:47 ID:WickbU3d0
突然ですが、ハァハァすれがなくなっているので、
こちらへ投下いたします。

63 :トリエラの憂鬱:2008/01/20(日) 19:51:47 ID:WickbU3d0
トリエラの憂鬱

 普段は静かで日々淡々と過ぎていく社会福祉公社の暮らしだ。作戦任務がなければ、
ヒルシャー先生をはじめとする担当官達による外国語の講義と訓練を重ねる日々。
 しかしそんな日常にちょっとした波紋が生じた。

 例によって、トリエラとクラエスの部屋でお茶会が開かれている。そこで、クラエ
スからの重大発言があったのだ。
「・・・ジャンさんによると、近々、新入生が入ってくるみたい。それが、なんと男
の子らしいのよ」
「え、えー?」(エッタ・リコ)
「えーっと、私たち義体は基本的に女の子じゃなかったの?」
「普通は、義体パーツとの相性の問題で、女の子じゃないといけないみたいなんだけ
ど、相性よりも素質が買われて義体化されたらしいのよ。そのうち、ジャンさんから
みんなに紹介されるらしいわ」
「ふーん、素質って?」
「よくわからないけど、生身の時は、凄腕だったらしいのよ」
「この寮に入ってくるの?」
「そうらしいの。まあ気になることがあるのなら直接本人に尋ねてみるのね」

 翌日、トリエラの部屋にジョゼから電話があった。
「噂で聞いてるかもしれないが、今日から新入生が入る。君たちに、寮の案内を頼む」
部屋で待っていると、ノックがあり、ヒルシャーとオリガが新入生を連れてやってき
た。
「トリエラ、クラエスいるかい? 新入生を紹介するよ、さあ、君入って」
その顔を一目見るなり、トリエラは真っ青になった。ヒルシャーとオリガの背後から
現れたのは、トリエラと死闘を尽くしたあの『ピノキオ』だったのだ。
(ど、どうして、あいつが。私たちの仲間に?)
トリエラはうつむいてしまった。自然と握りしめた両手がブルブル震える。


64 :トリエラの憂鬱:2008/01/20(日) 19:55:47 ID:WickbU3d0
「彼の名前は、ピーノだ。仲良くしてやってくれ。担当官はオリガになる」
「ピーノです。よろしく」
挨拶も出来ず絶句しているトリエラに、
「あらあら、男の子なんでビックリしてるの?」
と、オリガが声を掛けるが、トリエラは固まったままだ。
「トリエラは、調子が悪そうだな、クラエス君が寮を案内してやってくれ」
ヒルシャーがクラエスにオリガとピーノを案内させる。そしてヒルシャーは部屋に残
るとトリエラが落ち着くのを待って声を掛けた。
「君を驚かすつもりはなかったんだが、こういうことになってね。君が彼、ピノキオ
を倒したあと、技術部が直ちに義体化したようだ。」
「ど、どうして彼が私たちと一緒に? 仲良くなんて出来ません?」
「我々と彼とがこれまで色々ゆくたてがあったことは承知している。しかし、彼には
もう過去の記憶はない。」
「いくらあいつに記憶がなくたって、私はあいつと戦ったのですよ。私は全霊を込め
て、あなたとの・・・ヒルシャーさんとの絆を守るために。」
「わかってるよ、トリエラ」
ヒルシャーは、優しくトリエラの肩に手を掛けようとしたが、
「触らないでください!」
と、手を跳ね除けられてしまった。
「ト、トリエラ・・・」
「済みませんが、しばらく一人にしてくれませんか? ヒルシャー」
「う、そ、そうだな、それじゃ私はこれで」

 ヒルシャーが部屋を辞したあと、トリエラはテーブルに突っ伏し、整理のつかない
自分のわけの分からない感情に埋もれてしまった。


65 :トリエラの憂鬱:2008/01/20(日) 20:04:09 ID:WickbU3d0
  私は努力したんだ。あいつに傷つけられたプライドを取り戻すために。
  そして、あいつに勝った。勝たなくてはならなかったんだ。
  血の滲むような思いをして対決してきたのに。
  だから、いくら義体仲間になったからといって、
  はいそうですかといってあいつとうまくやれるわけないよ。

 クラエスが部屋に戻ってきたが、トリエラの様子を見ると無言でベッドへ上がった。
トリエラは、気になったので、「新入生の彼はどう?」と聞いてみた。
クラエスは、
「別に普通よ、静かな人らしいね。ま、私は滅多に作戦行動しないから、関わりはほ
とんど無いと思うけど」
「クラエスは知ってるんでしょ。あいつ、ピーノは私を殴り倒した相手だって」
「さっきのあなたの態度をみてたらね。でも、そのことを彼は覚えていないよ。さっ
き案内しているときも、貴方の具合が悪そうだってゆうので心配してたわよ」
「心配って、あいつなんかに」
「まあ、これから一緒に仕事するかもしれないんでしょ。彼自身の知らない過去の事
で恨んだってしょうがないし、ことさら嫌うことはないんじゃない?」
「・・・解った。今日はここまでにしとく。一晩寝たらすっきりするかもしれないし」

 しかし、トリエラは寝付けず、一晩中悶々として過ごした。



66 :トリエラの憂鬱:2008/01/20(日) 20:35:13 ID:WickbU3d0

 翌日改めてピーノと対面したトリエラは、自己紹介の際に手を差し出され、思わず
握手に応じたものの、ピーノの手を握って真っ赤になってしまった。
「あれー、トリエラどうしたの?」
「男の子だからって緊張してるのかな?」
通りがかりのプリシッラに冷やかされてますます赤面するトリエラ。
「そんなことありません。もう、からかうのは止めてください」
「その割には、握った手を離してないね。いつまでも握っていたいの?」
「う・・・。」
あわてて、ピーノの手を振り払うトリエラ。ピーノは冷静に、
「子供をからかわないでください。初対面では恥ずかしいって人もいるんですから」
と、プリシッラに反論している。そして、
「トリエラさん、そんなに緊張しないで、これから仲良くなりましょう」
と、微笑みかけてきた。
 トリエラは思わず、「はい」などと答えている。
(なんて顔するのよ。いくら戦ったことを覚えてないといっても・・・)

 そして、トリエラの苦難の日々が続くのであった。

   <了>

67 :CC名無したん:2008/01/20(日) 21:27:12 ID:9V9ojvlg0
ナイス!GJ
いつかは誰かが書くと思っていたが,
SS化おめでとうございます。
今後のピーノとオリガとの話も書けそうだし,
ピーノとトリエラとの関係もおもしろそうです。
アニメ2期も始まったことだし,また,おもしろい
SSが増えていくといいな。

68 :CC名無したん:2008/01/24(木) 01:05:49 ID:fH7f4Jxh0
かわええ
誰がというか、色々と。


69 :ほしゅ:2008/01/24(木) 08:40:16 ID:Jypi+4bH0
354 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2008/01/24(木) 00:23:09 ID:mxYuWF2U
相田「私が介入を主張したばっかりに・・・」
マーベラス「決断したのは担当スタッフだ」
相田「視聴者にはぼろくそ叩かれるし・・・・」
マーベラス「こっちは1期DVDが馬鹿売れだ、これであいこだ」
相田「それに、連載も遅れて・・・すみません」
マーベラス「今回はアートランドが悪かったんだ仕方ないさ」
相田「わたしは原作者です!それがこんな駄作になるなんて!
探さないでください私をしばらくほっておいてください。イタリア楽しかったなぁ・・・・また行きたいなぁ3期の経費で」


70 :ほしゅ:2008/01/24(木) 08:43:45 ID:Jypi+4bH0
210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/01/23(水) 22:47:20 ID:1qWPfmVo
マッドハウス&マーベラス「今度は相田抜きでやろうぜ。」



ちょっと期待w
…で?
ピーノ義体化すんのはネタとしていいけど
フランコとかクリスティアーノの扱いは?

71 :さらに保守:2008/01/26(土) 00:51:04 ID:JwKzcK/j0
「ガンスリンガー・ガール」ハァハァスレ @+2
このスレは 2006/12/02(土)に 325番目のレスがついたのを最後に
dat落ちしたみたいです。
このなかで「無断転載倉庫」にまだ載っていないのはこの作品だけのようです。

「ガンスリンガー・ガール」ハァハァスレ @+2(漫画キャラクター板)
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1145293079/304-306

> From: [304] お泊りの夜 <:sage>
> Date: 2006/11/07(火) 21:45:47 ID:22gyZf3Q

これを再掲載したいと思いますが「ヤメレ」という方がおりましたら
申し出てください。

一週間ぐらい待ちます。


72 :参〇九 ◆NqC6EL9aoU :2008/01/27(日) 00:19:20 ID:Q3P0xQYy0
>>59
その建てた人、そして加筆・改訂版を書いた人です(^-^;;;
・・・たった一年前だったのか!

73 :CC名無したん:2008/01/28(月) 00:13:57 ID:mX3eXfo50
おひさしぶりです
たった一年前というか一年も経ったかと言うべきか
アニメ二期が始まってからは特にそれ以前の事が昔のように思えます


74 :ほしゅ:2008/01/28(月) 01:07:25 ID:FNZ7Ro2H0
594 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2008/01/28(月) 00:40:32 ID:kUqxgSxW
昼下がりのフラテッロ

ジョゼ「今日の動きは良かったぞ、ヘンリエッタ
     そうだ、公社に戻る前に何か食べて行こうか。何が食べたい?」
ヘンリエッタ「パンナコッタ」
ジョゼ「ちょっと近くに見当たらないなぁ、パスタでどうだい?」
ヘンリエッタ「いやなこった」
ジョゼ「なんてこった、僕のヘンリエッタが不良に・・・」
ヘンリエッタ「なんでやねん、おまえに言われとうないわ」

フラテッロの任務は続く

75 :CC名無したん:2008/01/28(月) 21:42:25 ID:jZm6BSAv0
やっぱり、鳥昼コンビ

76 :CC名無したん:2008/01/28(月) 21:43:42 ID:jZm6BSAv0
作戦で出張(お泊りの夜)

トリエラとヒルシャーは、フィレンツェでのテロリスト殲滅作戦で出張した。
アジトの襲撃は、簡単に終わった。

最近は、他のフラテッロも参加する大規模な作戦行動が多く、
担当官組と義体組とに分かれて宿泊することが常であったのだが、
今日は、単独行動だったので、トリエラ・ヒルシャー組は久々に同室にお泊りである。

ホテルの部屋に落ち着いた二人。
夜も更けてきた。

低い声で、トリエラが声をかけてきた。

「あ、あの、ヒルシャーさん。」
「ん、どうした。」

「なんだか、眠れないんです。少し手を握っていてもらえませんか?」
「ああ、いいぞ」

私は、トリエラのベッドの横に椅子を据え、
腰掛けて、トリエラが毛布から差し出した手を握った。

「おやすみなさい・・・」
「ああ、おやすみ・・・・・・」

トリエラは、少し恥ずかしそうに微笑んで、目を閉じた。
私もそれに微笑み返して、トリエラを見つめる。



77 :CC名無したん:2008/01/28(月) 21:48:51 ID:jZm6BSAv0
・・・
ピノッキオとの死闘に勝利したトリエラを私は感極まって抱きしめた。
あれから、トリエラの私に対する態度が少し変わったように思う。
私に対していつも、妙に取り澄ました態度を見せていた彼女は、あれから
時折私に甘えて、普通の子供のようなスキンシップを求めてくるようになった。

私はそれに対して、けっしていやな感情は持たなかった。
自然に家族のような気安さで接しようとしてくるトリエラに対して
むしろ、心を通わせることができてほっとしているのだ。

(しかし、それでも、プリシッラに言わせると私は『鈍感男』なのだそうだ)

そんなことを考えながら私はトリエラの手を握ってじっとしていた。
ふと横を見ると、
トリエラは、もうスースーと寝息を立てている。

(眠れないといってた割には寝つきがいいんだな。さてと、)

トリエラの右手から私は手を抜こうとした。

「んっ?」

トリエラは寝ているはずなのに、手を握り返して離すまいとする。


78 :CC名無したん:2008/01/28(月) 21:49:47 ID:jZm6BSAv0
(しようがないな。)

少し苦笑して、もうしばらく、そのままでいることにする。

(小鳥は、眠って筋肉が弛緩すると、人間とは逆に、物をつかむように指が締まるとかいうけど。)

などと取り留めの無いことを考えながら、トリエラに目をやる。

トリエラの寝顔は、可愛い。
以前、私に良く見せていた、ぶすっとした表情は微塵も見られない。

義体たちは、寝ている間に夢を見て、涙を流すという。
以前、足を交換する手術のとき、トリエラは、
「お母さんの夢をみたんです」
と言っていた。
けっして悲しい夢ではなく、嬉しい夢だったのだろうが、
現実に母親が居ない彼女の境遇を考えると、身につまされるものがある。

義体である彼女の将来を考えると、憂鬱になるのだが、
せめて今だけでも彼女の家族、父として、兄として
幸せを与えてやりたいと願う。

 先日、サンドロの手で化粧を施され変装させられた彼女は
ドキッとするほど美しかった。大人の女性だった。
(身勝手な)『大人』に反発していた彼女だったが、
彼女が成長したときには、あれほど美しく魅惑的になるのだろう。


79 :CC名無したん:2008/01/28(月) 21:50:49 ID:jZm6BSAv0

「ううーん」
と、トリエラが寝返りをうった。
一瞬、繋いでいた手が引っ張られたが、
トリエラの手は緩まり、握られていた手が離される。

「うぅーん。ヒルシャーのばかぁ・・・」

やれやれ、どんな夢を観ているのやら。
そろそろ、私も寝るとしよう。
報告書は、公社に帰ってからだな。

「おやすみ、トリエラ」


<了>


80 :発掘71:2008/01/29(火) 21:20:11 ID:qSQ2Yzng0
>>76
乙であります
これをもって本作戦は中止とする


81 :CC名無したん:2008/01/30(水) 15:43:15 ID:fHQbQxHPO
草陰茂

82 :CC名無したん:2008/01/31(木) 23:55:33 ID:LFJk3/Pp0
ガンスリ関連のスレッドがいつのまにか増えていたので
anichara2 と anime から拾ってみた。
話題になっているのは良い事だと思っていいんだよね。

アニメキャラ(個別)板

◆ガンスリンガー・ガールのヘンリエッタちゃん◆
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1199876548/

【ガンスリ】アウローラご飯まだぁ?
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1200407893/

アニメ板

GUNSLINGER GIRL -IL TEATRINO- part18 (使用中)
http://ex21.2ch.net/test/read.cgi/anime/1201614878/

今期最低ビチ糞はシゴフミ・ガンスリ・絶望で決まり
http://ex21.2ch.net/test/read.cgi/anime/1200492676/

GUNSLINGER GIRL -IL TEATRINO- part18 (終了)
http://ex21.2ch.net/test/read.cgi/anime/1201614733/

GUNSLINGER GIRLはメスガキに銃を持たせる危険アニメ
http://ex21.2ch.net/test/read.cgi/anime/1199280008/

ガンスリは少女がナイフに欲情する倒錯アニメ
http://ex21.2ch.net/test/read.cgi/anime/1201669279/

ガンスリ2期VSネウロVSキミキス
http://ex21.2ch.net/test/read.cgi/anime/1199749757/


83 :CC名無したん:2008/02/01(金) 00:16:55 ID:vCi4NtSE0
>>76
パジャマなのかネグリジェなのかパンツ一枚なのか悩むぅ〜
(;´Д`)ハァハァ


84 :ほしゅ:2008/02/01(金) 00:47:43 ID:9GZX6PQz0
13 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2008/01/29(火) 23:44:47 ID:W090ZqvO
いいかい?ヘンリエッタ
相田裕なんて人物は実在しないんだ。
これは暗号で「木 目 田 ネ 谷」と書いてある。
カタカナに直すと「キ メ タ ネ タ ニ」
これを苗字と名前でひっくり返すと「ネ タ ニ キ メ タ」

もう解ったね? これは最初からネタアニメとして作ることが決まっていた作品だったのさ。


85 :ほしゅ:2008/02/01(金) 00:48:34 ID:9GZX6PQz0
26 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2008/01/31(木) 00:48:17 ID:Klm/jrkQ
「相田裕ファミリーネームがコミックのスライドドンッをクロスオーバーした多彩なアビリティーを発揮して
シナリオをフィニッシュライティングした。 シリーズを通じてすべて原作パースン音譜の
相田裕ファミリーネームがライティングしたシナリオは、 原作パースンだからこそできる、
構成フォースのハイさ、ディテイルのスモールさ、 描写のファインさが盛り込まれている。
キャラクターたちのマインドの機微や、 ストーリーの展開・伏線が原作ノットレスザンにデプスを増した
群像ドラマの構成となっており、 これまでのファンはもちろん、プレゼントタイムまでガンスリを知らなかった
ヒューマンにも見ごたえのあるサブジェクトになっている!」


86 :CC名無したん:2008/02/01(金) 00:56:39 ID:uhWkKOc90
>>83
そんな所で、ハァハァしないでください。

「うぅーん。ヒルシャーのばかぁ・・・」

87 :CC名無したん:2008/02/01(金) 01:10:33 ID:2xZ4tTe30
あの褐色の肌には、タンクトップと紐パンが似合うと思うんだ。

88 :CC名無したん:2008/02/01(金) 23:07:10 ID:kEMAVmXXO
中出しは俺に任せろ!

89 :CC名無したん:2008/02/02(土) 00:08:52 ID:ljiZTXcC0
>>88
ボクのとりえらは下ネタ禁止!

90 :マリオン:2008/02/03(日) 16:25:51 ID:DTJlH25P0
制作会社やら声優やら総取っ替えやらを1話見るまで
知らなかったから驚きもひとしおだったよ。大王本誌には
その辺の経緯載ってたんですかね。

>>89
そんなこと言ったって精液が映える肌だし…。

91 :CC名無したん:2008/02/04(月) 23:15:10 ID:BIX/jZo60
総取っ替えについてはマーベラスの人にとっての
「言えない規則になってる」事項に相当するんだろうなぁ。


92 :CC名無したん:2008/02/05(火) 00:41:49 ID:RImEH60C0
■ 1/31移転 (sakura03→yomi)

半角二次元板
[旧]
【薬物】GUNSLINGER GIRLスレ 8挺目【人体改造】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1198782563/l50
[新]
【薬物】GUNSLINGER GIRLスレ 8挺目【人体改造】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1198782563/l50

エロパロ板
[旧]
▼ ガンスリンガー・ガールでエロパロ ▼
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199878167/l50
[新]
▼ ガンスリンガー・ガールでエロパロ ▼
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199878167/l50

その昔ガンスリスレがあったという801板も同時に移転

その他の板については
新設板・板移動情報・8@運用情報
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/operate/1196842428/117-118


93 :CC名無したん:2008/02/05(火) 00:43:19 ID:RImEH60C0
■ 2/1移転 (sakura02→babiru)

キャラサロン板
[旧]
【作戦2課】GUNSLINGER GIRL【義体棟101号室】
http://sakura02.bbspink.com/test/read.cgi/erochara/1142944647/l50
[新]
【作戦2課】GUNSLINGER GIRL【義体棟101号室】
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/erochara/1142944647/l50

その他の板については
新設板・板移動情報・8@運用情報
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/operate/1196842428/123


94 :マリオン:2008/02/05(火) 22:35:42 ID:kX8zJbVL0
>>91
「別に私は二期が普通のアニメでも良かったんだよ?」
「DVDが大して売れなくても…」
「1期の売り上げとあわせれば十分なんだし」

95 :CC名無したん:2008/02/08(金) 00:26:27 ID:xvO6q+9d0
[誤]マーベラス乙
[正]パトリツィア乙


96 :CC名無したん:2008/02/12(火) 01:56:32 ID:jfpLr4Wm0
>>95
うんうん、あの、「志摩子さんボイス」が良かったよ。パトリツィア乙!

97 :CC名無したん:2008/02/14(木) 22:42:22 ID:0ZVLb/CC0
マルコー許さん!


98 :CC名無したん:2008/02/19(火) 03:18:44 ID:tDXNOdxx0
ガンスリンガーガール 5人目の義体 (エロパロ&文章創作板)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1191260180/
スレッドの歴史

■ 立てられる
> From: [1] 名無しさん@ピンキー <sage>
> Date: 2007/10/02(火) 02:36:20 ID:CLSZzAaK

■ 前スレより続く
> From: [6] 公社の十日物語 <sage>
> Date: 2007/10/03(水) 00:22:09 ID:Aos8dJNI

■ 次スレに続く
> From: [19] 公社の十日物語 <sage>
> Date: 2007/11/10(土) 23:38:19 ID:E2M6ArSf

■ dat落ち
> From: [22] 名無しさん@ピンキー <sage>
> Date: 2007/11/21(水) 00:03:47 ID:wGVAi+5B


99 :CC名無したん:2008/02/23(土) 00:16:58 ID:GNnk8Qov0
保守も兼ねて

http://www.fanfiction.net/anime/Gunslinger_Girl/

英語読めるヤツ、誰か面白そうなの訳してくれ。

100 :CC名無したん:2008/02/24(日) 14:17:52 ID:vuKSeeVc0
>>99
 残念ながらお役に立てないけど、海外にもこんなことやってる人々が
いるとは知らなんだ。コスプレぐらいならともかく……いや待てよ、
本当はコスプレの方が変? う〜ん…… (^_^;)

101 :マリオン:2008/02/24(日) 23:51:09 ID:wTqwcbjS0
以前どこかで海外のガンスリとエルフェンリートを扱った濃い面白い
サイトみたんだけど、URLが見つからない…。

ガンスリ、訳本も出てないのにすごい人気だね

102 :CC名無したん:2008/02/27(水) 22:22:27 ID:RnthJ8G50
>>99
fanfiction って、こっちの二次創作にあたるのか
それぞれの作品のインデックスのページと理解した
結構ボリュームがあるな
言語選択のプルダウンメニューの項目が
"English/Spanish/Portuguese/Italian"
なのが何気なくすごい

>>101
アニメが吹替え付きで向こうで売られているもよう
アニメ2のスレによると英語版とかドイツ語版とかあるらしい


103 :CC名無したん:2008/02/27(水) 23:48:03 ID:evKeIryC0
ドイツのamazonでの検索
http://www.amazon.de/s/ref=nb_ss_w/302-9651933-6476069?__mk_de_DE=%C5M%C5Z%D5%D1&url=search-alias%3Daps&field-keywords=GUNSLINGER+GIRL&Go.x=8&Go.y=16
フランスのamazonでの検索
http://www.amazon.fr/s/ref=nb_ss_w/403-6844896-4779651?__mk_fr_FR=%C5M%C5Z%D5%D1&url=search-alias%3Daps&field-keywords=GUNSLINGER+GIRL&Go.x=7&Go.y=10
イギリスamazonでの検索
http://www.amazon.co.uk/s/ref=nb_ss_w_h_/026-7766068-9690861?url=search-alias%3Daps&field-keywords=Gunslinger+Girl&Go.x=19&Go.y=10

これを見るかぎりは漫画(8巻まで)もアニメも訳されてる。

104 :マリオン:2008/02/28(木) 22:48:37 ID:aDaBirvC0
>>102-103
やば、無知でした。向こうの人にはたまらんでしょうな

105 :CC名無したん:2008/03/01(土) 14:00:53 ID:UshV2lj60
日本てある意味世界を制服、もとい征服してるのね

106 :CC名無したん:2008/03/03(月) 23:23:53 ID:dIOWJDBA0
コミックスの帯に累計250万部なんて書いてあるのが信じられなかったのだが
海外で売れた分も数にいれてるのか。もしかして、そっちの方が多い?

107 :【くちづけ】:2008/03/07(金) 00:07:38 ID:lCyuyL/k0
鳥昼SS投下しま〜す。
ちょっと季節がずれたかな? 自分の周りはまだシーズン中なんだけど。



【くちづけ】


 世の中の物語から『恋愛感情』とそれに準じる要因を全て取り除くなら、八割の物語は成立しなくなるだろう。

ましてやここは恋多き国イタリアだ。一般教養として私たちが観賞させられている『名作』映画も、だからそんなお涙頂戴の恋愛話が多い。ヘンリエッタなどはハンカチで拭ってもぬぐいきれない程にボロボロと涙をあふれさせて観入っているが、私にとっては退屈な時間だ。
「素敵なおはなしだったね、トリエラ」
「うん、そうだね」
 感極まったように話しかけてくるヘンリエッタに、私は曖昧な微笑みを返す。
 彼女はなぜこんなに泣けるのだろう? 私はぼんやりと考える。自分と、恋愛話の主人公の姿を重ね合わせて感情移入しているのだろうか。私にはとてもそんな観賞の仕方はできない。
ただ、女性がうっとりと瞳を閉じて恋人からのくちづけを待つその姿は、とてもきれいだと感じたけれど。
 『幸せ』と題された一枚の絵画のようなその情景は何か手の届かない存在のようで、きれいだと目を奪われながら、ちくりと胸が痛んだ。----でも、そんな感覚も気のせいかもしれない。なんだか今日は埒もない思考の断片ばかりが浮かんできて、考えるのが億劫だ。
 ヘンリエッタの熱にでもあてられたかな。軽くため息をついて、私は映写室を後にした。




108 :【くちづけ】:2008/03/07(金) 00:11:36 ID:lCyuyL/k0
「ヒルシャーさんは、キスしたことありますか?」
 唐突な少女の問いに、エスプレッソを口にしかけていたドイツ人は盛大にむせこんだ。
「……大丈夫ですか?」
「……だ、大丈夫だ」
 他に誰もいない小さな会議室の机には、エスプレッソとカプチーノの紙コップ。この日の午後のカリキュラムであるドイツ語の小論文を終え、ちょっとした休憩を取っていた所だ。派手にむせたせいかそれ以外の理由でか、ヒルシャーの顔は赤い。
「何もそんなに驚かなくても……。まさか、経験ないんですか?」
「いや…質問の意図がよく分からないが……、いくら僕でも、その程度の経験はあるよ」
「そうでしょうね」
 いかに野暮で無粋な朴念人だと言っても、それなりにいい年をした成人男性なのだ。過去には恋人がいたこともあるだろうし、今だって、トリエラが知らないだけで、公社の外には恋人との生活があるのかもしれない。----あまり現実味のない仮定ではあるが。
「でも、私はないんですよ」
「……そう、だろうな」
 トリエラには公社に来てからの記憶しかない。公社に来てからは担当官であるヒルシャーの監督下に置かれているのだから、ここで経験があると言われたらその方が余程問題だ。


109 :【くちづけ】:2008/03/07(金) 00:15:27 ID:lCyuyL/k0
「キスって、どんなものなんですか?」
 好奇心や憧れを伴った積極的な問いというよりは、物憂げな口調で少女は自分の教官役である男に問いかける。
「どんな……と言われても……。同じ行為でも対象となる相手によって、意味合いは異なるだろうし……」
 予測もしていなかった質問にヒルシャーは返答に窮する。
「対象、ですか」
「ああ。家族や友人と交わすのと恋人との行為では、おのずから意味合いが違ってくるだろう」
「ああ、成程」
「ただ…そうだな。対象が家族や友人にせよ恋人にせよ、愛情を確認する儀式か、誓約のようなものであって欲しい、とは思うよ」
 ことに、この少女がもしもこの先そういった経験をするのならば、それは誠実さに裏付けされたものであってほしいとヒルシャーは切に願う。
生真面目なドイツ人であるヒルシャーは、典型的なイタリア男の『可愛い女の子は口説くのが礼儀』というような感覚は、むしろ不誠実だと感じる。
そんな軽々しい気持ちで大事なこの子に近付かないでほしいのだ。それはまるで年頃の娘をもった父親の心境のようだが、ヒルシャーの思いはもっと複雑で深刻だ。
最小限の条件付けしか施されていないこの少女に、そうしたきっかけで忌まわしい過去の記憶が甦るのではないか----。それを男は一番怖れている。
 可能性はゼロではない。プロダクトマネージャーに言わせれば、トリエラは『不完全な洗脳』を受けた義体だ。
義体という、まだこの世に生み出されたばかりの彼女たちの反応には、前例もデータも存在しない。必然、彼はトリエラに対して慎重にならざるを得ないのだ。


110 :【くちづけ】:2008/03/07(金) 00:17:07 ID:lCyuyL/k0
「やっぱり、実地で試すのが一番なんでしょうか?」
何か不穏な方向に話が向かっているのを感じ、男は少女の言葉を制した。
「君はまだ子供だ。そんなことをあれこれと考える必要はないよ」
「子供、ですか」
少女は皮肉っぽい笑みを浮かべる。
「そうですね。どうせ成長しない体なんですから、大人になる必要なんてないんですよね。……あなたの言う通り、いつまでも子供のままの方が幸せなのかもしれません」
子供らしく両側に高く結い上げた金の髪の先を弄びながら、14歳の少女が気だるげに大人びた『女』の表情を見せる。
「トリエラ……」
「いいんです、忘れてください。----別にもう、あなたにも、他の誰かにも、キスを教えてほしいなんて言いませんから。子供は子供らしく、明日のおやつの心配でもしていますよ」
少女はゆるゆると片手を振る。男は無言でエスプレッソを飲み干し、くしゃりと紙コップを握り潰すと椅子から立ち上がった。
そのまま紙屑を捨てに行くのだろうと何の気もなく相手の行動を目で追ったトリエラは、何故かそのまま自分に近付いてきた男を不思議そうに見やる。男は迷いを含みながらも真剣な表情で少女の傍らに立ち、ためらいがちに身をかがめた。

111 :【くちづけ】:2008/03/07(金) 00:23:38 ID:lCyuyL/k0
≫110 すみません、間の一文が抜けました(汗)


 必然、彼はトリエラに対して慎重にならざるを得ないのだ。
そんな男の心中も知らぬげに、少女は不満そうな表情をする。
「なんだか分かったような分からないような、ですね」
「----抽象的過ぎるかな」
「やっぱり、実地で試すのが一番なんでしょうか?」
何か不穏な方向に話が向かっているのを感じ、男は少女の言葉を制した。
「君はまだ子供だ。そんなことをあれこれと考える必要はないよ」
「子供、ですか」
少女は皮肉っぽい笑みを浮かべる。
「そうですね。どうせ成長しない体なんですから、大人になる必要なんてないんですよね。……あなたの言う通り、いつまでも子供のままの方が幸せなのかもしれません」


112 :【くちづけ】:2008/03/07(金) 00:25:56 ID:lCyuyL/k0
 微かにコーヒーと煙草の香りがして 。
 男の唇が少女の額にふれる。
 ああ、人間の唇は存外やわらかなものなのだな、と妙に冷静にその感覚を分析している自分がおかしくて、トリエラは薄く片目を閉じた。心拍数が跳ね上がると言うほどではない。ただ、普段よりは少し大きく自分の鼓動の音を意識する。
「……僕が教えられるのは、これ位だがね」
 ややぎこちなく体を離した担当官はそう言うと、見慣れたあの困ったような顔で少女の反応をうかがう。
「こんなもの、ですかね」
がっかりしたというのではないのだが、どこかぼんやりと自分を見上げた少女に男は苦笑する。
「家族の、キスだからな」
「家族、ですか?」
「僕たちはフラテッロ(兄弟)だろう?」
ヒルシャーのいつもの下手な冗談に、少女は小さく笑った。
「唇って、冷たいんですね。もっと熱いものかと思っていました」
「冷たい?」
少女の言葉に問い返した男は、ふと何かに思い当たってもう一度その手を少女の額に伸ばす。


113 :【くちづけ】:2008/03/07(金) 00:26:59 ID:lCyuyL/k0
「……熱があるんじゃないのか、トリエラ」
「そうですか?」
今度はネクタイをきちっと締めたワイシャツの襟元から、細い首筋に手のひらを当てる。
「ああ、やっぱりそうだ。結構熱いぞ。辛くなかったのか?」
「そういえば、今朝から体がだるかったような……」
頭もぼーっとしていますしね、と少女は呟いた。常であればとっくにその手を振り払っているであろうトリエラが、ヒルシャーにされるまま、ひんやりと心地よい冷たさを持った男の手におとなしく体を預けている。
「医務室へ行こう。季節柄、インフルエンザも流行っているようだし、早めに対処しておかないと」
「大丈夫ですよ」
「駄目だ。君の身体は頑丈だが、ある意味とても繊細なんだぞ。何かあったらどうするんだ」
いささか強引に促され、少女はやれやれと立ち上がる。
----フラテッロ(兄さん)と言うより、パードレ(父さん)だよなあ。
飲みかけのカプチーノを空にして、少女は扉を開けて待っている心配性なドイツ人の後を追いかけた。


≪Das Ende≫
BGM//ワルツ第10番 ロ短調//ショパン

114 :【くちづけ】:2008/03/07(金) 00:50:19 ID:lCyuyL/k0
実はこの話、こっちに投下した【熱】というSSにリンクしてます〜。
ぜんぜんエロくないけど。

▼ ガンスリンガー・ガールでエロパロ ▼
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199878167/l50

……只今インフルエンザと花粉症のミックスでヨレヨレ。
シーズン真っ盛りです。
でもこれは図らずも2月14日に仕上がった話。
せっかくのバレンタインデーキスなのに、この後トリエラはえらい目に合わされる(泣)
あんた最低だよヒルシャー(笑)
こんなフラグクラッシャーとツンデレちゃんが出来上がるのはいつの日か……。


115 :CC名無したん:2008/03/07(金) 01:19:23 ID:ENHPiJkK0
白濁の精液が、無理してだしたのですが、
こうなんというか、精神的に疲れまして
少ししか出ませんでした。
そんな事いちいち報告するなよ>俺



116 :CC名無したん:2008/03/07(金) 01:25:21 ID:ENHPiJkK0
知的障害者山本英行の声が段々弱弱しい声だ。
季節の変わり目は、精神科も混雑。
早く入院せよ。

117 :CC名無したん:2008/03/07(金) 01:28:53 ID:ENHPiJkK0
高岡とか明倫とか、まあいいが、なぜか印度パワ-も凄い・


118 :CC名無したん:2008/03/07(金) 03:02:59 ID:K7utEWhW0
>>107-113
GJ! いや、イタリアなんでブラヴォー!か。
面白かったよ。心配性のヒルシャーと冷めたトリエラの組み合わせが良い。
本編の二人があれなんでとても癒されるよ。

>>115-117
同人板のスクリプトがこちらにも来たのか???


119 :CC名無したん:2008/03/07(金) 03:14:26 ID:K7utEWhW0
>>114
「熱」の方も読ませてもらったよ。
あとpink板の直リンは、一応ここ全年齢板なんで
これからは避けてな。
実際そうは見えないけどなw

120 :【アヴェ・ヴェルム・コルプス】:2008/03/07(金) 15:16:00 ID:ass9o4NP0
>>118-119
グラッツィエ!(笑) ありがとうございますw
楽しんでいただけて幸いです♪
直リン禁止ですね? 了解です。スミマセン(汗)
【熱】くらいならこっちに投下で良かったのかな。
投下した後に見つけたから仕方ないんだけど(苦笑)

年末に5巻まで読んだところですっかり鳥昼組にハマり、
誰も読まないのにせこせこ書き始め、
原作を知らん友人に送りつけておりました。
ここなら迷惑かけないですむかな?


【アヴェ・ヴェルム・コルプス】


 うまくいけば公社でクリスマスを祝うことができるよ。

 そうトリエラに言った自分の言葉は、当初予定していた任務の達成によってではなく、彼女の負傷によって現実になろうとしていた。
 とはいえ彼のパートナーである少女は、体の8割が炭素フレームと人工筋肉で形作られている義体。銃弾を腕で受け止めたその傷はすでに『修理』が施され、今日も日常の射撃訓練をこなしている。
  いつものように直接指導をしようとしないヒルシャーは、一通りの日課を終えたと報告する少女にシャワーを浴びるよう促した。はい、と答えて少女は素直に担当官の言葉に従う。
 少し前までは自分と彼女の間には常にある種の緊張感が存在していたのだが、ナポリから戻って以来やや少女の態度が軟化したようにも思える。……自分の気のせいかもしれないが。



121 :【アヴェ・ヴェルム・コルプス】:2008/03/07(金) 15:20:00 ID:ass9o4NP0
 シャワーの水音の合間にふと何かを耳にして、男はタイを緩めかけた手を止めた。シャワールームの向こうから、澄んだ歌声が響く。ヒルシャーは穏やかに目を細めた。
 アヴェ・ヴェルム・コルプス----天使の歌声か。
 彼はトリエラによくクラシック音楽----これは多分に彼自身の趣味が反映されているのだが----を聴かせている。
無論単なる趣味の押し付けと言うのではなく、ひとつには最小限に抑えた条件付けを補い、精神的安定をはかる音楽療法の意味がある。
 まあこれは公社に対する表向きの理由で、本来彼が意図しているのは彼女の教養を高めることであり、何よりも音楽を通じて喜びや楽しみを得ることができれば----という切なる願いでもあった。
 幸いトリエラ自身も音楽を好む質のようであり、機嫌の良い時には今のように歌を口ずさむことも多い。けれどヒルシャーがその歌声をじっくり耳にする機会は存外少ないのだ。
 綺麗な歌声だなと褒めれば、たちまち表情を硬化させて歌い止めてしまう。
君の歌がもっと聴きたい、と乞えば、それは命令ですかと返される。
そうじゃない。どうしてそんな受け取り方をするんだ、とこちらが不快さを表せば、ではさっさと条件付けを強化してくださいと挑むように言い放つ。
 褒めればすねる。望めばはねつけられる。叱れば開き直る。----彼のフラテッロは実に扱いが難しい。


122 :【アヴェ・ヴェルム・コルプス】:2008/03/07(金) 15:20:51 ID:ass9o4NP0
 だがそんな彼女の言動の根底には大人への根強い不信感があることを、ヒルシャーはよく承知していた。
数少ない条件付けの恩恵として、彼女自身に不信の原因たる過去の記憶がないとしても、ヒルシャーの脳裏には大人たちの歪んだ欲望に理不尽に傷付けられた少女の姿が、今も深く刻まれている。
 だから。
 少し離れた場所で黙って少女を見つめている、この距離感を縮めることができない。それが過去から連なる感情である以上、愛おしさと哀しさを彼女に告げることはできない。
 ヒルシャーは瞳を閉じ、扉を隔てた彼の天使の歌声にそっと耳をそばだてた。男の唇もまたつぶやくように詞をつむぎ出す。

 神の膝元に最も近いはずのこの街で、彼女の置かれた境遇は幸福からほど遠いけれど。
 それでもこんな穏やかな時間が一瞬でも多く訪れんことを----。
 
 祈りの鐘が響くローマの夜空に、微かなふたつの歌声が静かに響いていた。


≪Das Ende≫


  BGM//パヴァーヌ//G.フォーレ


123 :【アヴェ・ヴェルム・コルプス】:2008/03/07(金) 15:22:59 ID:ass9o4NP0

これは気がついたらクリスマス・イヴだったので、前フリを書き足しました。
「お風呂で鼻歌を歌う娘と、聞き惚れる親バカな父」。
音楽療法なんて設定を捏造したため、音楽ネタが増えました。
だってヒルシャーさんボンボンっぽいし、車でラジオは聞いていないようだし。
トリエラに『歓喜の歌』を教えたのがヒルシャーさんだったら良いなあ、とか。
BGM設定ウザったかったらスミマセン(汗)

インフルエンザ休暇も終わりなのでまた仕事してきます。
まだ寝ていたいよ〜〜。

124 :CC名無したん:2008/03/07(金) 23:45:22 ID:eFEj+G480
GJ
トリエラよりヒルシャーの方がかわいく感じるのはなぜなんだぜ


125 :CC名無したん:2008/03/08(土) 11:31:23 ID:2p9uB7jV0
>>123
なんてもん書きやがるんだ。
帰宅途中の電車で、携帯で読んで思いっきりニヤニヤしちまったじゃねぇか!
GJ!面白かった。仕事がんばれよ。

あと書くときはあげなくて良いよ。
あまりにも下がってたとき以外を除いて
いつもはメール欄にsageって入れてくれな。


126 :CC名無したん:2008/03/08(土) 22:00:16 ID:X/fFArBs0
エルザで何か書いてみたいと思うんだけど、作者の同人誌とか見てないと分からないエルザの設定とかってある?
一応そう言うのも踏まえておきたいと思うんで親切な人、教えてください。

127 :CC名無したん:2008/03/08(土) 23:11:14 ID:zkcOS0+60
>>126
作者本人の同人誌でエルザの設定はないよ。
でも、テレビ版のエルザの第9話「彼岸花」は、作者本人による設定のはずだから、
原作に忠実にするなら、それを参考にするとイイかも。
作者以外の同人誌が欲しいなら、提供しようか?

128 :CC名無したん:2008/03/08(土) 23:59:49 ID:X/fFArBs0
>作者本人の同人誌でエルザの設定はない

これが分かっただけで十分です。ありがとう。

129 :127:2008/03/09(日) 00:33:11 ID:s2XbYLfG0
>>128
作者の「たたかうものたち」エルザの設定みたいなモノが
あったので、参考にどうぞ!
エルザのお尻に萌え!
http://www7.axfc.net/uploader/90/so/Img_8738.jpg.html
http://www7.axfc.net/uploader/90/so/Img_8737.jpg.html
http://www7.axfc.net/uploader/90/so/Img_8736.jpg.html

130 :CC名無したん:2008/03/09(日) 07:05:37 ID:B0E1O/Ut0
ありがとう。3枚目の笑顔がかわいいなぁ(涙
(ちょっと複雑な表情なのは、もしかしてラウーロを撃とうとしてるシーンなんだろうか。
だとすると切ない…)

131 :【ハーモニー】:2008/03/10(月) 23:39:29 ID:0eGQhm010
>>124
ありがとうございますvv
ヒルシャーさんには『愛すべき不器用な父親』であってほしいなあと思ったり。

>>125
仕事頑張ってきました(笑)ありがとうございます♪
またニヤニヤしていただけるようなものが書けるといいなvv
精進します。

若葉へのご指導ありがとうございます、教官殿(汗)
スミマセン。色々無知でご迷惑をおかけしますが、皆様よろしくお願いします。
ちなみに下がりすぎの目安ってどれくらいなんでしょうか?

>>126 
エルザのSS楽しみにしております〜w

えーと、今日も今日とて鳥昼SSです。
前回の >>120−122 【アヴェ・ヴェルム・コルプス】 のトリエラサイド。
短めの話はこれくらいで、あとは 【くちづけ】 >>107−113 と同じ位か、
それより長めの話がまだいくつかあるんですが……
長いの、投下してもいいのかなあ??


132 :【ハーモニー】:2008/03/10(月) 23:41:34 ID:0eGQhm010
【ハーモニー】


 訓練を終えたトリエラは、担当官に促されてシャワールームへ向かった。
 熱い水流が勢い良く褐色の肌を洗う。少女は目を細めて全身にそれを受け止めた。心地よさに我知らず歌がこぼれだす。

----アヴェ・ヴェルム・コルプス

 天上の音楽、天使の歌声とも賞されるそのしらべは、クリスマスも近いこの季節にはふさわしい気がすると、12月に入って以来彼女の担当官が時折車の中で流している曲だ。
 彼は音楽を好むようで、しばしば移動の車中ではクラシック音楽が流れる。いつも曲について何がしかの蘊蓄が傾けられるのが生真面目な彼らしい。音楽を聴いていれば特に会話を交わす必要もなく、間を持たせるには良い手段だと思う。
 とはいえ彼女自身も音楽観賞が嫌いな訳ではない。心引かれた歌声には、後から歌詞を調べて口ずさむこともある。この曲もその一つだ。

 ふと。耳馴れた声が扉の向こうから聞こえた。

 ヒルシャーだ。

 自分が口ずさむ歌を一緒に歌っている。
 少女は小さな驚きを覚えた。つぶやくように響く男の声が低くやさしく耳をかすめる。
 それに耳をそばだてながらシャワーの水流を弱め、今までより少し小さく声をひそめて少女は歌い続けた。自分が歌いやめてしまえば、彼もまた歌い続けることはないだろうから。……それは少し惜しい気がしたのだ。

 あたたかな湯から立ち上る蒸気が金糸のこぼれおちる褐色の背肌に白くやわらかな羽を描き、祈りの詞が扉のこちら側とあちら側で共に紡ぎ出され、穏やかに重なりあい響きあう。

 聖なる夜を前にした静かな夜空に、少女はささやかなハーモニーを楽しんだ。


≪Das Ende≫
BGM//アヴェ・ヴェルム・コルプス//W.A.モ−ツァルト

133 :CC名無したん:2008/03/11(火) 00:13:06 ID:v81pacah0
>>131
長めなのもOKだよ。
自分としては楽しみにしてる。


134 :CC名無したん:2008/03/11(火) 00:41:18 ID:v81pacah0
>>131
ここの板、このスレしか見てないんでわからないけど
この板(CCサクラ板)のほかのスレを見たところ一年近く書かなくても大丈夫みたいだ。
だからほぼsageで大丈夫なんじゃないかな。

あと、自分ももしかしたらなんか書けたら書くかも。

135 :CC名無したん:2008/03/13(木) 23:23:12 ID:Qu8TJ2vX0
期待してます
ん〜 一年ぐらいなら待つかな

136 :【ドルチェ】:2008/03/14(金) 00:24:49 ID:nBfpvtDf0
>>133
ありがとうございます!!
ではちょっと長めのSS投下させていただきます♪
実はこれがSS一作目でした(笑)
原作を知らない友人に送ったものなので、設定の説明等ウザかったらスミマセン。
BGMの『こんぺいとうの踊り』はウチのトリエラのテーマ曲です(笑)
 
>>134
一年も放置プレイですか(笑)ホントにのんびりしてるんですね。
了解です。ありがとうございました!

SS投下楽しみ!! 期待しております〜〜w


137 :【ドルチェ】:2008/03/14(金) 00:25:44 ID:nBfpvtDf0
【ドルチェ】


 イタリア北部の街、ピサ。
 賑わいを見せる観光地を歩く、男と少女の二人連れがあった。
 男は真面目で物静かな印象のドイツ人。片や連れの少女は褐色の肌に金の髪。
親子と言うほどの年の差はなく、兄妹と言うには面立ちに共通点がない。課外授業で古都を歩く教師と生徒と言ったところだろうか。
 男は斜めに傾いた古の石造りの塔を指差す。
「あそこに見える建物が分かるかい、トリエラ」
「ピサの斜塔ですね」
 さして興味もなさそうな表情で、だが少女は即答する。年の頃は14、5だろうか。少女らしく側頭で高く結わえた金の二つ髪を揺らし、反面、少年のようにワイシャツにネクタイを締め、ぱりっと折り目のついたズボンとスーツを身に着けている。
「そう。あそこで行われたと言われている、有名な物理学の実験があるね」
「ガリレオ・ガリレイの万有引力の法則の実験ですか。理論上は重さの違う錘を塔の上から一緒に落とすと、同時に着地するはずだと。
けれどそれは真空中でのみ成立する実験であり、ガリレイ自身がその実験を語った記録がないことから、弟子による創作だと考えられる----でしたね」
 トリエラと呼ばれた少女は男の質問にすらすらと答える。
「Gut.(その通り)。だが近年発行された本でも、未だにそのエピソードがまことしやかに語られているものもある。一度広まった誤解を解くのがいかに難しいかということだな」
 訓示めいた言葉を口にしながら、何故かそのまま歴史的建造物に向かって歩くことなく、大通り脇の小道へ曲がる。
 幾度か角を折れて細い道を歩く内に、二人はいつの間にか人気のない裏路地へと進んでいた。廃屋めいたアパルトマンの非常階段の下、くすんだ風景の中でやけに鮮やかな青い服の男が、ぼんやりと煙草をふかしている。
「トリエラ」
 男は低い声で少女を呼んだ。
「ターゲットだ」
「Ja.(はい)」
「私が奴に話し掛ける。その隙に、片付けろ」
「Ich verstehe.(わかりました)」




138 :【ドルチェ】:2008/03/14(金) 00:26:57 ID:nBfpvtDf0
「すみません。道に迷ってしまったのですが、ピサの斜塔へはどう行けば良いでしょうか」
 実直そのものといった声にドイツ訛りの強いイタリア語で尋ねられ、男は胡乱気に顔を上げた。見れば目の前に地図を手にした子供連れのドイツ人が所在なげに立っている。
「斜塔だって? また随分と見当違いの方向だな。観光客がこんな裏路地に入って来るもんじゃないぜ。物盗りにズドンとやられて死体になっても、明日の朝まで誰も気付いちゃくれねぇ……」
 銃の形に模した右手を振り回しながら無用心な外国人にべらべらと説教を始めた男は、ふと、呆けたように動きを止めた。
 青いシャツの左胸に、ぽつりと赤いしみが広がる。
 少女の手には鈍く光る本物の銃。
「そうね、その通りだわ」
 褐色の死天使は硬質の声音で死体となったテロリストに同意した。
「Grazie mille. Lei e` molto gentile./ご親切にどうもありがとう」
 うずくまった死体に礼の言葉が告げられる。
 声の主は地図を折りたたむと少女を促し、迷いのない足取りで大通りに向かって歩き出した。
 賑やかな人ごみに紛れたところで彼は電話を取り出し、コ−ルする。
「Pront?/もしもし?  ジャンさん、ヒルシャーです。終わりました」
『ご苦労。そのまま観光客としてホテルへ泊まり、明朝、公社へ戻れ』
「Si, ho capito./了解です」 
 訛りのないきれいなイタリア語で短い会話を終える。電話をスーツの内側に収めたドイツ人を、少女が見上げた。
「ヒルシャーさん?」
「では、このまま斜塔へ向かおう。----お疲れ様、トリエラ」
 
 



139 :【ドルチェ】:2008/03/14(金) 00:27:42 ID:nBfpvtDf0
----社会福祉公社という組織がある。
 表向きは首相府主催の身障者支援事業であるが、その実体は国中から集めた障害者に試験的に機械の体を与え、『条件付け』と呼ばれる洗脳を施すことで、政府のための汚れた仕事を請け負う、特殊な諜報機関であった。
 体の改造も薬による洗脳も、なるべく若い方が順応率が高い。
 概して大人ではなく子供、男よりも女の方が、生物としての柔軟性・適応力に富んでいる。しかし銃器類を扱わせるには幼児では体型的に無理があるため、適応者は必然的にローティーンの少女ということになる。
 機械の体を与えられた少女たちは『義体』と呼ばれ、それぞれに『担当官』と呼ばれる公社の人間がついてその任にあたる。彼らは常に行動を共にし、『フラテッロ』----兄妹と呼ばれた。




140 :【ドルチェ】:2008/03/14(金) 00:31:03 ID:nBfpvtDf0
 多少空腹を覚えるが食事にはまだ早く、ではお茶でも飲もうということになり手近な喫茶店に入る。
「トルタ(ケーキ)のセットでも頼もうか」
 そう言った後に思い返したようにヒルシャーは問い直す。
「パルフェの方が良かったかな」
 時折、思い出したように子供のご機嫌を取ろうとする。そんな彼の不器用な気遣いが、トリエラには腹立たしい。
 彼と自分の距離感ははっきりしない。公社の人間として彼女に非情な命令を下す一方で、仕事のパートナーとして対等に扱い、かと思えば、子供をあやすように贈り物を与えたりもする。
 ほとんどの義体は『条件付け』による担当官への忠実化から、自分の担当官に対して盲目的な愛情で付き従う。どのように過酷な扱いを受けてもそれを疑問に思うこともない。
だがトリエラには、ヒルシャーの意向で最低限の『条件付け』しか施されていない。それがどのような信条からなるものかは知らないが、勝手なものだとトリエラは思う。
 どの道、義体である自分の存在理由は、公社の命令を果たすことでしか成立しない。
命令に忠実な道具なら道具でいい。一途でかわいいお人形が必要ならそれでもかまわない。
自分の意思で考える余地など残さずに『条件付け』してくれれば、自分の立場などと言うものに悩むことなく、楽に過ごせるだろうに。中途半端なこの関係はもう3年になる。


141 :【ドルチェ】:2008/03/14(金) 00:31:55 ID:nBfpvtDf0
「……。トルタでけっこうです」
 硬い声音で答え、ドルチェ(デザート)のメニューから無難なチーズケーキを選んで、ではこれをと指し示す。
「飲み物は?」
「カプチーノを」
 トリエラは本来紅茶好きだが、彼と食事をする時にはコーヒーを頼むのが常だ。ただしそれは、他の多くの義体が担当官に抱く、「あなた好みの女の子になりたい」などという少女趣味めいた感情からなるものではない。
 コーヒーの香りは強い。目の前でコーヒー----しかもそれがここイタリアの常でエスプレッソだなのだから目も当てられない----など飲まれては、せっかくの紅茶の香りが楽しめないのだ。
そんな極めて現実的な理由から、ヒルシャーと向かい合うテーブルにはいつもコーヒーカップがふたつ並ぶことになるのである。


142 :【ドルチェ】:2008/03/14(金) 00:32:38 ID:nBfpvtDf0
 ヒルシャーが片手を挙げウェイトレスを呼び止めた。
「ご注文はお決まりですか」
「ああ、トルタを二つ」
 一瞬、トリエラの思考が止まる。今、彼は何と言った? 自分の聞き違いでなければ「ふたつ」と言った気がするのだが。
 ドルチェはこれで、とメニューを示すヒルシャーはいつもと変わらぬ面持ちだ。
「……何かな?」
 いぶかしげな彼女の視線に気づいてヒルシャーが問い掛ける。
「あなたがトルタを食べるとは意外でした」
 トリエラの言葉に彼は珍しく照れくさそうな笑みを浮かべた。
「ああ、まあ、元来それほど甘味類を好む方ではないが。今日はなんとなく食べてみたいような気分になったんだ」
 少し疲れているのかもしれないな。そういう時には体が糖分を要求するものだから。いささか言い訳めいて続ける彼は、気恥ずかしいのか普段よりやや口数が多い。
「それに、まあ何だ、この店にはサバランがあったからね」
「サバラン?」
 聞きなれない名前に問い返すと、ああ、とうなずき、
「ババと似たようなものかな。リキュールをたっぷり利かせたトルタなんだ。今日はこの後運転をするわけでもないしな」
「飲酒運転になるほど酒精の強いお菓子なんですか」
 からかいを含んだ口調で問われると、呼気検査をしたことはないが、と真面目な顔で思案する。
「ウィスキー・ボンボンで飲酒検挙された事例はあるから、やはり運転するべきではないと思うよ」
 どこまでも生真面目に答えるこの無粋で不器用なドイツ人を、トリエラは妙に微笑ましいと感じた。----だがその好意的な感情は『条件付け』からなるものなのか、自分自身の感情なのか。トリエラはいつも、その境界の判断がつかない感情の中でさ迷っている。
 十以上年上の男をかわいらしいと思うのもおかしな事だろう。ましてや、つい先程までご機嫌取りをされる事を腹立たしく思っていたのに。
 けれど目の前に運ばれてきたシンプルなケーキに瞳を和ませている男の姿を見れば、普段目にしているしかつめらしい顔との差異に、彼を知る者なら誰だってユーモラスに感じるのではないだろうか。


143 :【ドルチェ】:2008/03/14(金) 00:34:45 ID:nBfpvtDf0
 自分を見つめている少女の視線をどう取ったのか、男はまだ手を付けていないケーキを差出す。
「食べてみるか?」
「……ありがとうございます」
 そう言う意味ではないのだけれど。苦笑しながらケーキを受け取る。普段ならばそこで素っ気無く断るところだが、彼が注文したのがどんなものなのか、正直興味があった。
 小洒落たケーキ皿の上には、白い陶器のカップにふんわりとしたケーキ地のドームが盛り上がっている。つやだしのための蜜はあめ色に輝いているが、他にこれと言って飾り気のないそのケーキに、トリエラはフォークを刺した。
「中にクリームとリキュールがあるから、それと一緒に食べるんだぞ」
 ケーキの食べ方まで一々指導されるのが何やらおかしい。男の言葉どおりに深々とフォークを刺してくりぬいたケーキを口にする。
「あ」
 不思議な味が広がった。
「どうかな」
 やわらかな表情で男が問う。
「……おいしいです」
 トリエラは素直にそう答えた。シンプルな外見に反して、ケーキ地と生クリームの甘さと、リキュールの辛さが複雑に絡み合った、奥深い味わいだ。
「そうか。気に入ったのなら全部食べてしまっていいぞ」
「いえ、一口で結構です」
「……そうか」
 少女の肯定的な反応にヒルシャーは口元をほころばせる。だが続く言葉はいつものごとくすげないもので、男は一瞬虚を突かれたように眉を上げると、また少し寂しげに笑った。

144 :【ドルチェ】:2008/03/14(金) 00:37:09 ID:MQRMglnW0

 そんな男の地味な百面相に、トリエラはこらえきれずに吹き出した。眉間に寄せられた眉が今度は困惑の形を示している。
「トリエラ?」
「ヒルシャーさん、ご自分が食べたかったんでしょう? 私に気を使わないで食べたらいいじゃないですか」
 どうせあなたが一人でトルタを食べにくるはずがないんですから。一回り半も年下の少女にそう決めつけられて、ヒルシャーは苦笑した。
「そうだな。その通りだ。では、お言葉に甘えて残りはありがたくいただこう」
 一口減ったサバランを手元に引き寄せて、今度は明らかな笑顔で男は言う。
「君と一緒で良かったよ」 
 こんなことで役に立っても、自分に課せられた本来の役割には何の意味も成さない事なのだけれども。
「お役に立てて光栄です」
 今日のところはドルチェの味に免じてそういうことにしておこう。
 済ました顔でそう答え、少女はおもむろに自分のケーキに手を付けた。
  

   ≪Das Ende≫             
BGM//くるみ割り人形より”こんぺいとうの踊り”/チャイコフスキー


145 :CC名無したん:2008/03/14(金) 02:39:06 ID:h9io5hWp0
>>144
GJ!
ほんとに何気ないやり取りなんだがいい味出してる。
鳥昼らしいっていうか。
二人の関係は義体と担当官以上であるけれども、
ジョゼとエッタみたいなフラテッロというわけでもなく、
サンドロとペトラみたいな恋人でもなく、ホント微妙な関係だよね。
そういう関係がうまく書けてるよ。

146 :CC名無したん:2008/03/14(金) 03:28:12 ID:uqgqCIGb0
>>144
GJ! 鳥昼っぽさがよく出てる。

147 :CC名無したん:2008/03/14(金) 03:29:01 ID:uqgqCIGb0
ごめん、あげちゃた……

148 :【トリエラの日記?】 :2008/03/17(月) 23:33:20 ID:Ldw+Olzl0
>>145  >>146
ありがとうございますw
鳥昼のあの微妙な関係が好きで好きでたまりませんw
今日は無性にサバランが食べたくなって、帰りにケーキ屋に寄りました(笑)

明日も4時起きで仕事なので、カキコは余裕のある日に…と
思ったのですが、なんとなく期間限定ネタな気がするので
小ネタを投下しますw
しかしどこがローマなんだ……(苦笑)


【トリエラの日記?】


〇月×日

今日ロ〇ソンに寄ったらすごく大きなプリンがあった。
以前、期間限定で出ていた400グラムのプoチンプリンだ。
良く見ると『運試しプoチン』と書いてある。
容器の底に通常一本だけ付いているプoチン棒が、
これには四本付いていて、その内三本はダミーなのだそうだ。
運が良い人ほど一本目、二本目でプリンが容器から出てくる
と言うわけだろうか? 
ヒルシャーさんだったら、一人で運試しをすれば4本目まで開けられず、
パーティーゲームでやれば一本目で開けてひんしゅくをかうんだろうな。
あの人はそーゆー人だ。


149 :CC名無したん:2008/03/20(木) 02:37:47 ID:C01Xhbx80
おいらのようにトリエラの胸より大きい、などとは考えないんだろうね
> あの人はそーゆー人だ。

150 :CC名無したん:2008/03/26(水) 23:10:58 ID:XE2ToZvz0
荒らし対策にはじかれて往生してました(泣)


151 :CC名無したん:2008/03/26(水) 23:12:08 ID:XE2ToZvz0
>>149
とろ〜りクリ○ム on Cafeゼリーを見て
イロイロおいしいと思いましたが(笑)


152 :CC名無したん:2008/03/26(水) 23:13:36 ID:XE2ToZvz0
原作がとんでもないことのなりつつあるらしいのを
本スレとファンサイトの斜め読みで再確認しただけで
マジヘコミしそうになったので(弱)、
心の泉の1〜5巻(6〜8巻は立ち読み・・・)を元手に
妄想と捏造の鳥昼SSをちまちま書くことに自己決定。
ダメダメです。いいんだ、もう(泣笑)


153 :【シンフォニー】:2008/03/26(水) 23:15:19 ID:XE2ToZvz0
【シンフォニー】


持ち主の性格を示すようにきちんと整頓されたデスクの上に、二枚のチケットが置かれている。何の気なしにそれに目を止めたオリガは眉間にしわを寄せて溜め息をつくデスクの主に声をかけた。
「コンサート…第九ですか? この時期に珍しいですね」
「君は興味があるかい? それなら、良ければ一枚もらってくれないか」
「いいんですか、ヒルシャーさん? 誰かと一緒に出かける予定だったんじゃ……」
「いいんだ、断られてしまったから。無駄にしてしまうのも勿体ないしな」
 気落ちしているのに無理に笑って見せるヒルシャーのその表情に、ロシアの元諜報員は苦笑した。
「……トリエラにふられましたか」
 流星雨観測の夜、彼のフラテッロがベートーヴェンの交響曲第九番----『歓喜の歌』を歌っていたことは、彼と共に少女たちを引率したアルフォンソから聞いている。
----義体にしておくのが勿体ない、あれはさぞかしいい女になるだろうに。笑いながら言った同僚の言葉を、少し複雑な思いで聞いていたのをオリガは思い出す。
 成長しない機械の体と、大人へと移り行く思春期の心。その折り合いをつけるのは、義体たちに施された洗脳----『条件付け』だ。
いまだ幼いその手を血に染める罪悪感、生まれてから今まで歩んできたはずの道のりを知らない不安感----。
任務遂行の邪魔になるそれらの感情は、彼女たちから排除されている。「気にするな」という幾重もの刷り込みによって、少女たちは悩むことすら忘れさせられて生きているのだ。

154 :【シンフォニー】:2008/03/26(水) 23:16:39 ID:XE2ToZvz0
 だが、目の前の男は薬物投与によるこの洗脳に否定的だ。彼が担当する義体の少女トリエラには最小限の条件付けしか行われておらず、ために反抗的とも思える態度をとる少女とのコミュニケーションに、彼は始終苦労している。
条件付けを補う一つの手段としてヒルシャーが音楽療法に取り組んでいる、と言う噂はオリガも耳にしているが、このチケットもその一環だったということだろうか。
「僕が大人気なかったんだ。『それが命令なら』と彼女に言われて、つい腹立たしくてね」
 無理強いするつもりはない。興味がないなら構わないと、突き放してしまったのだと言う。どうにも不器用なこのドイツ人は、そうして後からどっぷりと後悔をしている訳なのだ。
「もう少し、搦め手で攻めるべきだったかも知れませんね」
 いささか呆れ気味にオリガは言った。何も彼女が歌っていた曲そのものがメインになっているコンサートに誘わなくても良いだろうに。トリエラの性格から言えば、そんな反応が返ってくることは容易に想像できる。
「そうだな。僕の配慮が足りなかった、ということなんだろう」
 男は寂しげに笑うと、チケットを一枚取り上げオリガに差し出した。
「迷惑でなければ受け取ってくれないか。僕のような無粋者の隣席ではつまらないかもしれないが」
 勿論こちらの勝手で押しつけるのだからチケット代はいらない、と男は言い添える。こういう気遣いはできるのにねえ。乙女心の機微に疎いドイツ男を気の毒に思いながらも、好意はありがたく頂戴することにする。

155 :【シンフォニー】:2008/03/26(水) 23:17:51 ID:XE2ToZvz0
「それじゃあ、お言葉に甘えて」
「当日は劇場まで送るよ。仕事が終わったら迎えに行こう」
「いえ、そこまでしてもらわなくても……」
 言いかけてオリガは思い直した。
「私が駐車場に行きますよ。ただでチケットをもらった挙句エスコートまでしていただいては、プリシッラあたりに何を噂されるか分かったもんじゃありませんから」
 冗談めかして言うオリガの言葉にヒルシャーは赤面する。
「すまない。本当に、どうも僕は女性に対する配慮が足りないようだ」
「礼儀正しさは人一倍、ですけどね」
 男性的な造作に似合いの晴れやかな笑顔を見せて、ロシア人は男からチケットを受け取った。


156 :【シンフォニー】:2008/03/26(水) 23:21:11 ID:0c3t/sBI0
 政府機関でありながら”定時上がり”などとは無縁の社会福祉公社だが、一応目安の就業時間は設定されていて、幸運な課員はそろそろ帰宅の途に着き始めている。
担当官の事務仕事を手伝っていたトリエラも、珍しく定刻で仕事を切り上げた真面目なドイツ人と別れ、自分の部屋のある義体棟へと向かっていた。
「トリエラ」
 普段あまり関わりのない大柄な女性課員に声をかけられ、少女はいぶかしげに振り返る。
「オリガさん? 何でしょうか」
「あなた、今夜は暇?」
「……特に予定はありませんが」
「じゃあ、ちょっと私の代理を頼めないかしらね」
「代理?」
 不信気に眉を寄せて見返す少女に、オリガは封筒を手渡す。
「クラシックのコンサート。せっかく誘ってもらったのにどうにも仕事が終わらなくてね。無駄にするのは勿体ないから、あなた代わりに行って来てちょうだい」
「なぜ、私に?」
 差し出されるまま封筒を受け取ってしまったトリエラは困惑する。
「アルフォンソに聞いたのよ。あなたは音楽が好きそうだから」
「ああ、あれは……」
「駐車場でもう待ってるはずだから、急いで行ってあげて」
 少女の肩を軽くたたき、オリガはオフィスへときびすを返す。
「待ってください、私たちは担当官に無断で外出する訳には……」
「ヒルシャーさんなら大丈夫よ。楽しんできて」
 片手を上げて笑ったロシア人はそのまま快活な靴音を立てて歩き去ってしまった。後に残されたトリエラは突然の出来事にやや呆然としている。


157 :【シンフォニー】:2008/03/26(水) 23:23:18 ID:0c3t/sBI0
何事につけ先手を取られることにあまり慣れていない優等生は、それでも気を取り直して事態の収拾に努めようと忙しく思考をめぐらせた。
 日頃ヒルシャーのサポートを勤めているアルフォンソならば、まあ知らない顔ではない。ヒルシャーが許可したのはその辺もあってのことだろう。彼がクラシック音楽のコンサートに、それもオリガを誘って行くとは意外な気もするが。
 服装は…このままでも良いだろう。野暮で無粋な担当官に用意されたいつものスーツにネクタイ姿が、こんな時には役に立つ。欲を言えばスラックスでなくスカートで行きたかったけれど。
でも一応、せっかくの音楽会なのだから髪くらいおろして行く方が良いだろうか。……いや、側頭で結上げた髪にはくせがついているからそれを整えていたのは時間がかかる。結局のところ、このまま出かけた方が良さそうだ。
 考えをまとめながらトリエラは足早に駐車場へと向かう。
正直、思いがけず本物のオーケストラの演奏を聴けるとあって心は浮き立っていた。
以前ヒルシャーに音楽会に誘われた時は、無防備に歌う姿を見られていた気恥ずかしさが先に立って、つい反抗的な物言いをしてしまった。彼も気分を害したらしく、その後は話題に上ることもなかったのだが。
担当官の怒ったような、それでいて悲しんでいるようにも見えた表情を思い出すと少し胸が痛んだ。彼が自分のためを思ってした気遣いだというのは分かっている。ただ、トリエラはなかなかそれを素直に受け止めることができない。
 自分は、たとえ最小限とはいえ公社の洗脳を受けた義体だ。彼に対するある種の愛情めいた感情が本当に自分のものなのか、それとも公社に強要されたものなのか----それを見分ける術はない。
いつも心の片隅に刺さっているその小さな棘は、彼に対する自分の感情に素直になることをためらわせる。
頭をひとつ振ってトリエラはそのとめどもないいつもの思考を追い出した。とにかく急がないと。人を待たせているのだから。




158 :【シンフォニー】:2008/03/26(水) 23:24:44 ID:0c3t/sBI0
 やや息をはずませて駐車場へとたどり着いたトリエラは、しかしそこに思いがけない人物の姿を目にして立ち尽くした。相手もこちらに気が付いて、驚いたように声をかけてくる。
「トリエラ? どうしてここに。寮に帰ったんじゃなかったのか」
「……ヒルシャーさん」
 やられた。
 トリエラは苦笑した。元諜報員の策略に見事にしてやられた。考えてみれば彼女は『誰が』待っているのかは一言も言っていない。前後の会話からトリエラが勝手にアルフォンソが待っているものと思い込んだだけである。
 参ったなあ。額に手をやりながら、トリエラはヒルシャーの問いに答えた。
「私は代理です。オリガさんの」
「代理? …ああ」
 こちらもロシア人の策にまんまとのせられたことに気付き、少女と同じように苦笑した。
「そういうことか」
「そういうことですね」
 少し頬を赤らめて答える少女に、男は軽く咳払いをしてたずねる。
「それで…その、どうなんだろうな。音楽会には付き合ってもらえるのかな」
「代理で、よろしければ」
 さすがの朴念仁も今度は対応を間違えることはなかった。
「勿論、問題ないよ。では行こう」

 そうして彼の愛車はいつもと同じ人物を乗せ、いつもとは違う目的でローマの街へと走り出した。

≪Das Ende≫   


159 :CC名無したん:2008/03/27(木) 00:27:51 ID:1Cm+vTtZ0
ピノッキオ死ぬな〜

160 :CC名無したん:2008/03/27(木) 04:05:46 ID:vFMKXFco0
>>152
待ってたよ!
オリガ、GJ!

原作の鳥昼二人は結構ピンチというか逼迫している状況
なので、やきもきしながら読んでるよ。
この二人が幸せに生きていけるといいなと思うんだけど、
ガンスリってテーマが悲劇の中の小さな幸せだからね・・・。 

161 :【異邦人】 :2008/04/04(金) 01:15:26 ID:vkSVokpX0
>>160
待ってていただけたんですか?
うわ、マジですんごい嬉しい(笑)
いつもレスをありがとうございますww

オリガさんとトリエラは相性が良いような気がします。
でもあれがバレエのチケットだったら譲らなかったでしょう(笑)
書き上げたのは大晦日。帰省の新幹線でメールに打ち込み、
根性で仕上げた思い出が。
今回のSSは【シンフォニー】の後日談です♪
しかし我ながら冬で時期はずれの第九って、いつだ?
旧正月の大晦日に第九を歌おうみたいな企画かね(苦笑)


162 :【異邦人】 :2008/04/04(金) 01:20:12 ID:vkSVokpX0
>原作の鳥昼二人は結構ピンチというか逼迫している状況

原作はやはしそんな事になってるんですね(泣)
こわくて本スレすら目を通すことができません(激弱)

実はアンジェリカが逝ってしまった(涙)というのを
スレを見て、へこんだ自分を復活させるために書いた
鳥昼のビター・スウィート・エンドなラストシーンが
あるんですが……。どうしよう(汗)

今まさに原作が逼迫してるとゆー事なんで、
投下しようかどうか迷ってます。読んだらへこみますかね?
トリエラ亡き後のヒルシャーさんの晩年の話って(汗)

いや、自分的にはビターだけどハッピーエンドなんすよ?
この先トリエラに何かあっても(大泣)確かに二人は
幸せだったし、想いは継いでいかれるんだ、みたいな。
ええ、そんな話を。
よろしかったらご意見お聞かせくださいませw

その後は結構明るい話やらシリアスな話やらが
まだ4本くらいストックしてあったりなかったり(笑)
『小さな幸せ』な話をちょこちょこと
手直ししながら投下できればと思っておりますので、
おつきあいいただけたら幸いです♪


163 :【異邦人】 :2008/04/04(金) 01:21:42 ID:vkSVokpX0
【異邦人】



 冬の午後。ひんやりとした外気をものともせず、公社の中庭に設置されたベンチで紫煙をくゆらすロシア人の姿があった。
この時期にこんな風通しの良い場所で煙草を吸う物好きは他にはおらず、誰にも邪魔されることのないこの一服は彼女のささやかな憩いの時間である。
「オリガさん」
 名前を呼ばれて振り返れば、金の髪をふたつに結んだスーツ姿の少女が立っている。
「ああ、トリエラ」
「昨日は……」
「うん?」
「その……ありがとうございました」
 いつもははきはきと用件を口にする優等生が、今日は何やら歯切れの悪い口調で言いにくそうに礼の言葉を述べる。大柄な女性課員は、そんな少女の様子を面白がっているような微笑で応えた。
「楽しんできた?」
「ええ、まあ……」
 トリエラは褐色の肌をわずかに紅潮させ視線を反らす。だがすぐに俯きかけた顔を上げて女に問うた。
「あの、オリガさん」
「何?」
「どうしてあんなことを?」

164 :【異邦人】:2008/04/04(金) 01:23:25 ID:vkSVokpX0
 昨夜、トリエラは担当官のヒルシャーと音楽会に出かけていたのだが、それは目の前のロシア人の『代理』としてであった。
「迷惑だった?」
「そういう訳ではありませんが」
 仕事が終わらないので代わりに行ってくれとチケットを手渡され、待ち合わせの場所に行ってみれば自分の担当官がいた。一度は彼の誘いを断っていたトリエラは、いささかばつの悪い思いをしたのだ。少女にしてみれば「してやられた」という観が否めない。
「始めからそのつもりで、ヒルシャーさんからチケットを受け取ったんですか」
 わずかに咎めるような声音で訊ねる少女に、女は笑う。
「そんなことないわよ。音楽を聞くのは好きだし、ただで行けるならラッキーだと思ったわ。でもあの落ち込んでいる姿を見たら、なんだか放っておけなくてね」
「放っておけない、ですか」
「そう。彼と私は同類だしね」
「同類?」
「彼はドイツ人で、私はロシア人。ここイタリアではどちらも『外国人』でしょ」
 それぞれに祖国から遠い異郷の地で暮らす者同士、親近感がわくということなのか。分からないでもない様な気はするが、いまいち釈然としない顔をする少女に、今度は女が問い掛ける。
「あなたは彼が嫌い?」
「……私は義体で、彼は私の担当官ですよ」
 義体の役目は担当官の身を守ることだ。担当官に忠実であることは、義体の条件付けの中で最も基本的な事柄である。
条件付けされた義体ならば、愛情に似たその感情は必ず備わっているものなのだから、聞くまでもないことでしょう。トリエラは言外にそう答える。


165 :【異邦人】:2008/04/04(金) 01:25:07 ID:vkSVokpX0
 そんなひねくれた言い回しをする少女に、オリガは少し表情を曇らせる。過度な洗脳に反対するヒルシャーの主張は、頭の良いこの少女には不幸なのかもしれない。それでも。
「でも彼は、あなたをとても大切にしているわよ」
 公社の人間は皆訳ありだ。ある者は復讐のために、ある者は道半ばで閉ざされた夢を、生き甲斐を再び得るために。それぞれの理由を抱えて公社の門をくぐり、そこでパートナーとなる少女たちと出会った。
 けれどヒルシャーは。
 彼だけはパートナーのために、トリエラゆえにこの組織を選んだのだ。
 オリガは知っていた。犯罪に巻き込まれ瀕死の重傷を負ったこの少女を救うために、彼は陽の当たる場所から裏の世界に足を踏み入れたのだと。
 正義感の強い警察官だったと聞く。
欧州刑事警察機構の児童人身売買対策課に出向し、ドイツに戻れば高い地位が約束されていた。だが、正式な捜査活動外で人身売買組織の摘発を行い、結果、同僚が殉職した。…そこで少女と出会ったのだ。
 たとえこの一人だけでも。子供の命を救いたいと共に願った同僚に託された、この少女のために。
 政府組織とはいえこんな非合法な活動を行う部署に所属することは、生真面目で理想家の彼にとってそうたやすく割り切れるものではなかっただろう 。
もう何年も公社で過ごしているはずなのに、いまだに眉をひそめながら会議の席上にいる姿をしばしば目にする。それでも、彼は少女のためにここにいるのだ。
 けれど公社の人間は、義体にその過去に関わる事柄を話すことを禁じられている。
それ故、彼は彼女に自分の心の内を伝えることすらままならない。それを煮え切らない態度だと、他でもないトリエラに誤解されているのなら、あまりにあの男が気の毒だ。


166 :【異邦人】:2008/04/04(金) 01:26:43 ID:vkSVokpX0
 ヒルシャーを公社にスカウトするにあたって、彼の身上調査をしたのはオリガだった。
故国から離れた異邦人同士だというだけではない。彼が自ら語るはずのない事情を知っていればこそ、情の深さを面に表すことすらできないあの不器用なドイツ人を、放っておくことができなかった。
  自分もまた、彼女に過去を話すことはできない立場だ。だから伝えられる言葉はわずかなものでしかない。
「彼は、いい人よ」
「……それは、分かっています」
 そう答えたトリエラに、オリガは言葉を重ねる。
「彼はあなたのことをいつも考えているわ。……最初から、ずっとね」
「そう、でしょうか」
「そうよ。ただ----」
 女はちょっと片目をつむって見せる。
「あんまりにも女心に疎すぎるのが、問題だけどね」
 年頃の女の子へのプレゼントが、いっつもくまのぬいぐるみじゃあねぇ。肩をすくめるオリガにトリエラは苦笑した。
ヒルシャーが任務達成時や行事ごとにトリエラに贈るプレゼントが、いつも決まってテディベアであることは、2課では誰もが知っている。
トリエラのチェストの上は並べ切れないほどのくまが飾られており、七人の小人の名をつけられていたが、更にその数は増える一方だ。


167 :【異邦人】:2008/04/04(金) 01:28:04 ID:vkSVokpX0
「少しはジョゼさんを見習えばいいんだわ」
 ヒルシャーと同じく条件付けに反対するジョゼの義体への接し方は、まるで年の離れた妹そのものだ。服にカメラに香水に、とバリエーションに富んだ彼の贈り物は、いつも彼の『妹』を喜ばせている。
 だが。
「私は、あれでいいんです。今度は62人そろえますから」
 トリエラはオリガが初めて見る笑顔で、かろやかにそう言ってのけた。
「今度はローマ皇帝? その内、テディベア博物館ができるわね」
「そうなったら入館料でもとりましょうか」
 お茶代くらいにはなるかもしれませんねと、少女はまるで彼女の担当官のように下手な冗談を口にする。

----なあんだ。

 少女はいつの間にか、オリガの見知った、警戒心と緊張感を礼儀正しさで鎧った優等生ではなくなっていた。オリガの知らない内に何があったのか、その口調には得意げな響きすら感じられる。

 ----心配する必要なんて、なかったのね。

「それじゃあ、私は訓練に戻ります」
「そう。頑張ってね」
 もう一度、ありがとうございましたと礼を言って少女は建物に向かって駆け出した。
「……いらないお節介だったみたいね」
 チケット、譲るんじゃなかったかしらねえ。惜しいことしたわ。
 金のふたつ髪がゆれる後姿に紫煙を吹きかけ、オリガはやれやれというように笑った。 



≪Das Ende≫ 
BGM//ユモレスク//ドヴォルザーク


168 :CC名無したん:2008/04/04(金) 01:30:37 ID:vkSVokpX0
やべ、あげちゃった!
すみません(汗)

169 :CC名無したん:2008/04/05(土) 01:36:22 ID:+p8V5Nk20
>>163-167
イイヨイイヨ‐

170 :CC名無したん:2008/04/05(土) 13:36:47 ID:a+XIc6Ti0
>>161-162
GJ!面白かったっす。

>鳥昼のビター・スウィート・エンドなラストシーン

見たい。是非投下してほしい!

ふと気になった一文。
>ヒルシャーと同じく条件付けに反対するジョゼの義体への接し方は、まるで年の離れた妹そのものだ。
>服にカメラに香水に、とバリエーションに富んだ彼の贈り物は、いつも彼の『妹』を喜ばせている。

確かに表面上でエッタも喜んでるのは確か。
でもジョゼさんはエッタを見てなくて別の方向を見てるんだよね。
エッタもそれに気づいてるからジョゼさんにもっと振り向いてほしいと思ってるんだろうな。
……ととりとめもなく思ってしまった。

まぁ、鳥昼はお互いの方向を向いてるんだけど微妙にずれている気がしなくもがなだが。



171 :【午後の遺言状】:2008/04/10(木) 23:48:59 ID:jTMsLepO0
>>169 >>170
ありがとうございます!
それではうちのラストシーンを投下させていただきます。
BGMはラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』で。
原作、先の展開が怖くて9巻以降を読んでおりませんもので(をい)、
矛盾点等ございましたらご容赦ください(汗)


172 :【午後の遺言状】:2008/04/10(木) 23:50:37 ID:jTMsLepO0
>>170
>でもジョゼさんはエッタを見てなくて別の方向を見てるんだよね。
>エッタもそれに気づいてるからジョゼさんにもっと振り向いてほしいと思ってるんだろうな。

確かにそれはありますよね…。
ジャンさんにもジョゼさんの行動はエンリカへの贖罪だと見なされてるようですし。
代償行為だけ、って訳では勿論ないんだと思いたいんですが。
表面上はうまくいってそうだけど、自分の行動を欺瞞だ、偽善だと自嘲するジョゼさんと、
しょっちゅうモメてるんだけど、迷うことはあっても後悔はしていないと言い切るヒルシャー。
同じように自分からのプレゼントを彼女たちが喜んでくれたとしても、
ジョゼさんはどこか後ろめたさがありそうですが、ヒルシャーさんは本気で嬉しがりそうな気がします(笑)

エッタ・ジョゼ組はまともに書くと暗くなりそうで(汗)割と軽めに扱うようにしてしまっていたり。
だもんでうちのエッタはおませなおちびちゃんか砂糖女扱い。ごめん、エッタ(汗)


>鳥昼はお互いの方向を向いてるんだけど微妙にずれている気がしなくもがなだが。

鳥昼組はお互い真っ向勝負なんだけど(だから本気で喧嘩するんだよな…)
義体の役目に対する価値観のズレが大きいような気がします。
この真面目で不器用な二人には幸せになって欲しいんですけどね。

なんだか長々と語ってしまいましてすみません(汗)
でもこのテーマでなんかひとつふたつ書けそう(笑)
いいんだ、もう。うちは鳥昼の素直じゃないささやかな幸せを追求するから!(泣笑)


173 :【午後の遺言状】:2008/04/10(木) 23:52:15 ID:jTMsLepO0
【午後の遺言状】


 アンジェリカが死んだ。

 彼女は最初の義体だった。
最も初期に身体の改造と洗脳を受けたアンジェは、最も早く副作用症状を示した義体でもあった。
多量の薬物投与による記憶障害や依存症に苦しんでいた彼女は、だが最期に失われた幸せな記憶を取り戻し----そして静かに天に召された。

 あれが多分私たち義体の『寿命』を迎えた姿なんだろう。
 だから。
 だから、私は彼に伝えなければ。
私は彼に言わなければならないことがある。
 私がまだ、思い出とこの想いを覚えている内に。
 私が、私である内に。






174 :【午後の遺言状】:2008/04/10(木) 23:55:19 ID:jTMsLepO0
 ----外の空気を吸いたいんです。いいですか?
 仕事帰りの車中でそうトリエラが言うので、ヒルシャーはすぐに車を止めた。我慢強い彼女がそんなことを言い出すのは珍しい。
「大丈夫か? すぐそこに公園がある。少し休んで行こう」
「はい」
 アンジェリカの死からこの数日間、硬い表情をしたトリエラのことが、ヒルシャーは常に気にかかっていた。
 ただ友人を亡くしたというだけではないのだ。義体という、同じく特殊な機械の体を持った仲間の最期に、賢いこの少女は自分の行く末を見ただろう。
勝気に見えて、その実繊細で心優しい彼のフラテッロが深く傷ついていはしないか、それがヒルシャーは心配だった。
 おだやかな午後の晴れ間、小さな公園にはぽつりぽつりとまばらな人影があるだけだ。
「------風が、気持ちいいですね」
「気分でも悪かったのか?」
「いいえ。そうじゃないんです。----ただ、公社から離れた場所で、あなたに話たいことがあったんです」
 気遣わしげな視線の男に少女はゆっくりとかぶりをふった。
----たった数年間分しかない記憶の中で、この視線はいつも自分を見守ってきてくれていた。トリエラはひとつ、呼吸をする。
「ヒルシャーさん」
 男の顔をまっすぐに見つめ。
「私が死んでも、担当官を続けてください」
 少女は凛然と微笑んだ。
「ト……!」
 清々しさすら感じさせる声音に、男は絶句する。
「担当官を続けてください」
 繰り返す言葉はいっそ潔く。
「私はあなたより先に逝きます。あなたが条件付けに反対し続けてくれたから、私は比較的薬物投与量が少ないですけど、それでも、もってあと1、2年でしょう。だから私が死んだ後、私の『妹』たちを育ててやってください。
……わたしの、遺言です」
「トリエラ……」
 男はうめくように少女の名を呼んだ。
男が先延ばしにしてきた結論を、少女はひとり己の運命と向き合い答えを出した。
決然とその覚悟を示した少女にかけるべき言葉が見つからず、ヒルシャーはただ、自分が名付けたその名を呼ぶことしかできなかった。


175 :CC名無したん:2008/04/10(木) 23:58:05 ID:jTMsLepO0
「あなたが担当官を辞めても辞めなくても、どうせこれからも義体化手術をされる子供たちはいるんです」
 トリエラは容赦なく現実を突き付ける。
「あなたは不器用だから、妹たちも私のようにいらない悩みや苦労をするかもしれませんけど」
 そこまで言って、少女はふっと視線を和らげる。
「……でもあなたはとても誠実な人だから。きっと、あなたに担当官になってもらった子供たちは、最初から最後まで、愛情をもって見守ってもらえるでしょう?」
「僕が」
 ヒルシャーはかさついた声で言葉を絞り出す。自分にできるだろうか。トリエラを喪った後、他の子供を大切に育てることなど。この少女を喪うことに耐えられるかどうか、それすらも自信がないのに。
「僕がそうできると、君はどうしてそう思うんだ」
「だって」
 そこまで昂然と顔を上げまっすぐに男を見据えていた視線が、不意に落ち着きなくさ迷った。わずかな躊躇いの後、やや上目遣いで少女の青い瞳が男の顔を見つめやる。
「----だって、ヒルシャーさんはわたしに、そうしてきてくれたじゃないですか」
 褐色の頬をそうと分かるほどに紅潮させ、少女は答えた。
 ----それは初めての告白で。
 瞬間、男はひどく救われた心地がした。

 ああ、それでは。
 自分のしてきたことは、無駄ではなかったのだろうか。

 

176 :【午後の遺言状】:2008/04/10(木) 23:59:15 ID:jTMsLepO0
ずっと、自分は少女との距離を近付けることができずにいた。
 例え自分が彼女を対等な人間として扱おうとも、義体は政府の汚れ仕事を行わせるための『作られた存在』だ。そしてその役目は彼女が望んで負ったものではなく、自分が少女に負わせたものなのだ。
 まだ幼さの残る身体に刻まれた惨い傷とつらい過去を消し去るために選んだ、『義体化』というこの選択肢が正しかったのかどうか、少女が戦闘で負傷する度にヒルシャーは悩み続けてきた。
 それでも、大切なこの少女が自分を許してくれると言うのならば。
「トリエラ……」
 差しのべた両の腕で、ヒルシャーは少女を抱き寄せた。
「ヒ、ヒルシャーさん?!」
 狼狽したようにもがくトリエラを、もう一度しっかりと抱き締める。自分の胸までしかない小柄な身体が例えようもなくいとおしかった。
「約束する」
 胸元に抱きすくめた金の髪にヒルシャーは誓約の言葉を告げる。
「僕の力の及ぶ限り、僕は君の遺言を守り続けよう」
 それは、少女に希望を託して逝った女性の遺志を継ぐことにもなるのだから。


177 :【午後の遺言状】:2008/04/11(金) 00:02:20 ID:S2MCbGyE0
 ----ややあって、もがくのをやめたトリエラは、男のスーツの胸に顔を埋もれさせたまま呟いた。
「……私の妹たちも、たまにはこうして抱き締めてやってくださいね」
「ああ」
 男は静かに頷く。
「でもっ」
 耳まで真っ赤になった少女は勢い良く顔を跳ね上げ、自分を抱き締める男をきっ、と睨み付ける。
「こんな人目のあるところでするのは、セクハラですからね!」
「す、すまない」
 あわてて少女の体を離したヒルシャーに、少女はびしりと指を突きつける。
「それから! 贈り物は本人の希望を聞いてください」
「……すまない」
「謝らないでください。私はいいんですよ。テディ・ベアの収集は私の唯一の『趣味』なんですから」
 赤い顔のまま少女は怒ったように言う。
「『何でもいい』って言われたら、二択にするんですよ。そうすれば選びやすいですから。選択肢すら思いつかないようなら、ジョゼさんあたりに相談してみるんですね」
「分かった」
 照れ隠しにきつい口調で続ける少女の『注意事項』を、男は神妙な面持ちで聞く。
「あと、女の子の服装にも気を配ってやってください」
「努力しよう」
「私は、いいんですよ? スーツ姿にタイが気に入っているから。これはプリシッラさんに相談すれば良いですからね」
「ああ、そうする」

178 :【午後の遺言状】:2008/04/11(金) 00:03:32 ID:S2MCbGyE0

 それと、と少し言いよどみ、少女は静かにもう一度口を開く。
「………大切にしてるって、言葉でも伝えてやってください。女の子は言葉に出してもらわないと不安になるものなんです」
「トリエラ----」
 私は、もう良いですけど。すねたようにそう言い添える少女を男は困ったように見つめ、だが真摯な愛情と誠実さを込めて、こう言った。 

「 Io t’amere`, Cara mia ninetta.」

----愛しているよ、いとしい私の娘。

 トリエラの青い瞳が大きく見開かれ、次いで、ふいっとそっぽを向く。
「トリエラ?」
「……目に、ごみが入りました」
 きゅっと眉根を寄せ、口をへの字に曲げて。少女は言った。
「……風が強くなったな」
 ぽろぽろ、ぽろぽろと、綺麗な水滴が少女の褐色の肌を転がり落ちる。男は優しい微笑を浮かべ、少女の頭に大きくあたたかな手を置いた。






179 :【午後の遺言状】:2008/04/11(金) 00:12:14 ID:JakbJnHH0
「Papa` Hilsch,/ヒルシャー父さん、あんたの娘がそろそろ目を覚ますぞ」
 病棟の廊下で医師にそう声をかけられ、暗褐色の髪に白いものが混じり始めた男は穏やかに応える。
「ありがとうドットーレ・ドナート」
「これで三人目か。あんたもよく続くな」
 古株の医師はシガーに火をつけながら相手の顔を見やる。
「物好きな男だ。先に逝かれることが分かっている子供にそんなに情をかけて。仕事の『道具』を取り替えるんなら分かるが、まともに『娘』を育てようと言うんだからな。身がもたないだろうに」
「これが自分の性分ですから」
 生真面目なドイツ人はいつもの困ったような微笑みを浮かべる。
「それに、約束したんです。僕の大切な娘と」
 そう言うと男はリボンをかけた可愛らしいくまのぬいぐるみを抱え直し、彼の新しいパートナーが待つ部屋の扉をノックした。



ヴィクトル・ハルトマン=ヒルシャーは、社会福祉公社を退官するまでに五人の義体を育て、そして見送った。
 彼の意向で条件付けを最小限に抑えられた少女たちは、時に反発しながらも、愛情深い担当官に見守られ、豊かな感情と意思をもって皆短くも精一杯その生を生ききった。
彼とその義体の関係は、2期生以降の緩やかな条件付けの設定にあたって、貴重なデータとして活用されていくこととなる。
 この不器用な『父親』の贈り物は、年を重ねる毎にそれなりに洗練されていったが、それぞれの出会いの際に初めて手渡されたプレゼントは、いつも決まってくまのぬいぐるみであったという。

 やがて彼がその人生に幕を降ろした時、その棺には彼が終生大切にしていた古ぼけた五つのぬいぐるみが共に納められ、簡素な墓碑にはこう刻まれた。

 我、最愛の娘らと共に眠る----と。


≪Das Ende≫


180 :マリオン:2008/04/12(土) 03:02:18 ID:IRe1K/XZ0
>>173-179
鳥昼だけでなく、取り巻く背景も浮かび上がって来て
すごく良いです。堪能させてもらいました。

ところで、絶対可憐チルドレンってガンスリに似てないですかね。
根本を明るくしたような。葵ちゃんを見てるとクラエスを思い出すからかしら

181 :CC名無したん:2008/04/12(土) 09:20:19 ID:8rEJ2FHlO
>>179
あれ、目から塩水が…
ヒルシャーいい男だ

182 :CC名無したん:2008/04/12(土) 21:55:39 ID:zUEOqP9d0
>>172

>鳥昼組とジョゼッタ組の違い
鳥昼組は本気でけんかできる仲なんだよね。

けんかする、反抗するってことはある程度自分を受け止めてくれるから
出来るものだと思う。
鳥昼はそれが出来る信頼関係がある。

エッタ組はそんなことは出来ないし、担当官であるジョゼに反抗するなんて
思いつかない。
信頼関係はあるけどそこまで仲がよいわけでもない。
エッタは大人ではないから「それでもいい」とは思わないわけで
でも冷たくされてるわけではないから、エルザみたいにはならない。

実はエッタでなんか書こうかと思っていたけどなかなかうまく書けんわ。
関係ないこと書いちゃってすまん。


183 :CC名無したん:2008/04/12(土) 22:09:38 ID:zUEOqP9d0
>>173-179

面白かったよ。
またも電車内で読んだので
SSが読めるうれしさと内容の切なさで
最初にやにや、その後微妙な顔つきで読んでしまった。

切ないけど希望のあるラストで読んでるこちらも救われた気がした。

それとふと二期アニメの最後を思い出したよ。
原作者が脚本を書いてるにもかかわらず
原作とかなり違うので内容は書かないが、
あれはあれでいいラストだったと思う。

184 :CC名無したん:2008/04/18(金) 11:59:43 ID:dy/X7WTa0
>>183
確かにラストは良かった。アニメ二期はピノッキオに救われた気がするね。

185 :CC名無したん:2008/04/18(金) 22:53:22 ID:Agg5PClm0
関連スレ追加

GunslingerGirl ガンスリンガー・ガールSS書きの控え室 2
ttp://so.la/test/read.cgi/gunslingergirl/1095225218/l50

雑談inガンスリ板
ttp://so.la/test/read.cgi/gunslingergirl/1066456383/l50

ガンスリ板@萌えBBS
ttp://so.la/gunslingergirl/


186 :CC名無したん:2008/04/18(金) 23:25:45 ID:ikhlBFAtO


187 :転載:2008/04/23(水) 21:13:07 ID:iHB/m1Ri0
これより、このスレッドからの転載を始めます

社会福祉公社技術部さくら板支所 第2分室(仮)
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/sakura/1208485671/

188 :転載:2008/04/23(水) 21:14:56 ID:iHB/m1Ri0
From: [1] CC名無したん <sage>
Date: 2008/04/18(金) 11:27:51 ID:PogSZt0X0

さくらちゃんに何となく似ているリコが大活躍したり
知世ちゃんに何となく似ているアンジェが大変な事になる
GUNSLINGER GIRL のスレです

前スレ
社会福祉公社技術部さくら板支所
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/sakura/1198349410/

↑こちらがパダーニャの強襲を受けて深刻な被害が生じた模様(?)。
通信が途絶しているのでひとまずここで仮営業…

189 :転載:2008/04/23(水) 21:16:41 ID:iHB/m1Ri0
From: [2] CC名無したん <sage>
Date: 2008/04/18(金) 11:28:44 ID:PogSZt0X0

>ガンスリンガー・ガール達に(;´Д`)ハァハァするスレです。
>(;´Д`)ハァハァと言いながら実質のSSスレ
だったらいいな

……ということで。
義体の寿命がきたんでしょうか。
前スレが“壊れてます”ってことなんで、
仮にこんなのを立ててみました。
初心者が無茶しよる。
とりあえず、ええと……
ええと……
こんな時なんて言えばいいんだったかな
ああ そうだ
ごめんね(汗)

190 :転載:2008/04/23(水) 21:19:13 ID:iHB/m1Ri0
From: [3] CC名無したん <sage>
Date: 2008/04/18(金) 11:29:43 ID:PogSZt0X0

今は亡きこんなスレをリスペクトしてるみたいです

「ガンスリンガー・ガール」ハァハァスレ @+1(漫画キャラクター板)
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1099215397/
「ガンスリンガー・ガール」ハァハァスレ @+2(漫画キャラクター板)
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1145293079/
「ガンスリンガー・ガール」ハァハァスレ @+3(漫画キャラクター板)
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1170134431/

あとは…pink板は直リン禁止だったっけ。
 
関連スレ 
張ろうと思ったら、なんかあちこち壊れてて追えませんでした。
すみません。何かあったのかなあ?

191 :転載:2008/04/23(水) 21:25:00 ID:iHB/m1Ri0
From: [4] 【午後の遺言状】 <sage> Date: 2008/04/18(金) 11:33:37 ID:PogSZt0X0
(前スレより継続)
レスをくださいましてありがとうございました!
実はかなりどきどきしながら投下したので(小心者)
あたたかいお言葉をいただけてほんとに嬉しいです。

>>180
感想をいただけると思っていなかったので、嬉しい不意打ちでした(笑)
ありがとうございます。
>絶対可憐チルドレンってガンスリに似てないですかね。
実家で弟に借りて納得しました(笑)
皆本くんのヒルシャーとジョゼさんを足して2を掛けたような振り回されっぷりとか。
見た目は葵ちゃん、中身的には紫穂ちゃんがクラエスを彷彿とさせる気がします。

>>181
うわ、なんかすごい嬉しい。
ヘタレ扱いの多い彼ですが(ある意味その通りだと思うが…)
後追いなんかしてトリエラの想いを無にするような人ではないと信じております(泣)

>>183
>切ないけど希望のあるラストで読んでるこちらも救われた気がした。
良かった…。ありがとうございます。
“こんな世界でも捨てたものじゃないと信じたい”ので、
ささやかなれども幸せであれかしと願ってやみません。

>二期アニメの最後を思い出したよ。
>あれはあれでいいラストだったと思う。
実は先週末、実家で撮ってもらっておいた二期をまとめて見てきました(笑)
原作との差違は色々イロイロありましたが
あのラストにたどり着くのなら、あの流れはありかなとも思いました。
先入観なしにアニメだけ見れば、あれはあれでいいラストだな、と。


192 :CC名無したん:2008/04/23(水) 21:27:16 ID:W+EDsP7A0
2期のラストって、おてて繋いでジョゼ山とデートだよな

193 :転載:2008/04/23(水) 21:27:28 ID:iHB/m1Ri0
From: [5] 【午後の遺言状】 <sage>
Date: 2008/04/18(金) 11:38:10 ID:PogSZt0X0

>>182
>鳥昼組は本気でけんかできる仲なんだよね。
>鳥昼はそれが出来る信頼関係がある。
そうですよね。けんかもコミュニケーション(一方通行でなく
相互の意志のキャッチボールという意味で)手段の一つなんだと思います。
トリエラは年齢的にも反抗期なんでしょうけど(苦笑)
大好きなお父さんだからこそ完璧で(自分を理解してくれる事も含め)あって欲しくて
でも必ずしも完璧ではない(分かってくれない)ことが分かってきて苛立ってくるお年頃。
物にもつられなくなってくるし(笑)
しかしやっぱり親子止まりなのかな〜。
いや、この微妙な関係がいいんだけど。
できあがってくれたらそれでも良いと思ってんだが。
その気配ねーな、うちの鳥昼(笑)

>ジョゼッタ組は信頼関係はあるけどそこまで仲がよいわけでもない。
>エッタ組はそんなことは出来ないし
『トリエラは賢いから男の下心には敏感だぞ』とジョゼさんは言うけれど、
本気で自分の相手をしてくれているかどうかには、幼い子供の方が敏感。
生存本能から自分を保護してくれる相手を見分ける、と聞いたことがありますが。
エッタは仲間には『しあわせなおちびちゃん』と呼ばれ、
周囲にも可愛がられていると認識されているけど、
本能的に何かがない(もしくは何かがある)と感じ取って『物足りないな』と思う。
でもかまってもらっているのは確かだし、嫌われたくないし(嫌われない自信はないし)
ジョゼさんを信じたいから、自分が悪いのかなとも思ってしまう----。切ないですね(泣)

>実はエッタでなんか書こうかと
ぜひww お待ちしてますww

194 :転載:2008/04/23(水) 21:30:31 ID:iHB/m1Ri0
From: [6] 【スウィート キッチン】 <sage>
Date: 2008/04/18(金) 11:40:10 ID:PogSZt0X0

えーと、なんかまた長々と語ってしまってスミマセン。
今回は珍しく鳥昼ではなくて、女の子sの話です。
クラエス先生のお料理教室。
BGMはヴィヴァルディのマンドリン協奏曲で。
スコーンのレシピはこれで作れるはず。----多分。
もっとも自分で作る時はローファットレシピでバターは150グラムだけど。
それも室温バターをへらでざくざく混ぜてるし。
てか、最近は計量すらしないので作る度に味が違う。
ガスオーブンがなくても、750wのトースターで8分で焼けます。
500wなら11分くらいかなあ。半生なら2,3分延長で。
一人で食べるなら3分の1の材料で充分かと。
存外簡単なので、お試しあれ(笑)

195 :転載:2008/04/23(水) 21:32:57 ID:iHB/m1Ri0
From: [7] 【スウィート キッチン】 <sage>
Date: 2008/04/18(金) 11:46:05 ID:y0z8/nUj0

【スウィート キッチン】


「トリエラ、見て。ジョゼさんにこんなのを買っていただいたの」
 部屋を訪ねてきたヘンリエッタが嬉しそうにトリエラに見せた真新しい箱には、台所用品の姿がプリントされている。
「何なに? ハンディミキサー? ああ、生クリームを泡立てるやつか」
「メレンゲだって作れるのよ」
 うきうきとした口調で年下の少女がそう言うのを微笑ましい思いで見ながら、トリエラはたずねる。
「それで、お菓子作りでも始めるの?」
「うん。そうしようと思うんだけど、私、まだお菓子は作ったことがなくて……ねえ、クラエス、教えてくれない?」
 ヘンリエッタは二段ベッドの上段で、我関せずと読書中の眼鏡の少女に声をかけた。面倒そうに本から顔を上げた理知的な黒髪の少女は、けだるげな口調でそれに答える。
「……何を作りたいの?」
「ええと……あまり失敗しなさそうな、簡単なお菓子を……」
「----ホットケーキでも焼きなさいな」
「だって、それじゃいかにも簡単そうじゃない」
「……つまり、簡単だけど手が込んでいるように見えるお菓子がいいという訳ね」
 ホットケーキだって、美味しそうに焼くのは色々難しいのだけどね。そう呟きながらクラエスはベッドから起き上がる。
「----じゃあスコーンでも焼く? あれは大雑把に作るほど美味しくできるから」
「スコーンって、よくアフタヌーンティーに付いてくる、あのお菓子? そんなのが作れるの?」
「存外簡単なものよ」
 二人の会話を受けて、学級委員長が提案する。
「それなら、せっかくだからリコも誘って作るか。アンジェリカのお見舞いに持っていってあげようよ」
「あ、それもいいね」
すっかり乗り気のヘンリエッタの様子に軽いため息をつきながら、年長組の少女は本を閉じた。

196 :転載:2008/04/23(水) 21:35:45 ID:iHB/m1Ri0
From: [8] 【スウィート キッチン】 <sage>
Date: 2008/04/18(金) 11:47:26 ID:y0z8/nUj0

少女たちの寮である義体棟には調理場も設置されていて、一通りの調理器具は揃えられている。材料は厨房に行って必要な分量を分けてもらい、まずはクラエスの指示で作業台の上に必要な物品を並べた。
手のひらにひとたらしされた中性洗剤で良く手を洗えば、これで準備万端。白いエプロンを着けた四人の少女のお料理教室が始まった。

「さあ、始めましょう」
「はーい。クラエス先生、よろしくお願いしま〜す」
「まずは粉ね。普通は小麦粉に砂糖やベーキングパウダーを適宜合わせて使うのだけど」
 クラエスはちらりとヘンリエッタを見やる。
「今回は簡単に、市販のホットケーキミックスを使います。これが600グラムね」
「え? でもそれじゃあ甘くないじゃない」
 不思議そうな声を上げたヘンリエッタをクラエスの眼鏡越しの視線がじろりと睨む。
「担当官にも持って行くんでしょう? 男性は甘い物は苦手だと言う人も多いから」
「でも、ジョゼさんは甘い物も平気よ」
「あなたは良くても、リコはね。ジャンさんが甘い物好きとは思えないし。生クリームを甘くすればバランスはとれるはずよ」
 そうクラエスは説明したが、本音を言えばこれは激甘党のヘンリエッタの被害を最小限に食い止めるための策なのである。生クリームだけなら塗る量を加減すればすむ話だが、スコーン本体を歯茎が痙攣するほどの甘さにされてはたまらない。
「じゃあ、冷凍したバター250グラムを出して、ナイフで削り落とすわね。これと粉を、指でひねり潰すようにして馴染ませて、細かいフレーク状にするの。力のいる作業だけど、私たちなら大丈夫よ」
急いでいるときならフードカッターを使うのもひとつの手ね と、クラエス先生の補足説明が入る。
もっとも義体たちの華奢だが力強い指は、あっという間に硬いバターと粉を砂状に馴染ませてしまったので、急いでいる時でも余計な電力を必要とはしないようであったが。

197 :転載:2008/04/23(水) 21:38:36 ID:iHB/m1Ri0
From: [9] 【スウィート キッチン】 <sage>
Date: 2008/04/18(金) 11:48:17 ID:y0z8/nUj0

「はい、ではここに卵二個とヨーグルトを合わせて2カップ、それに干し葡萄を一掴み。これをざっくりと混ぜ合わせて。なるべくアバウトでいいのよ。上手ね、リコ。----トリエラ、練らなくていいから」
「でもなんだかバラバラしてるわよ」
「あとでちゃんとまとまるから大丈夫よ。----それで、延べ板に打ち粉をふって、生地をあけて、大体まとめて、と。
……ここから急ぐわよ。いい? 生地は真上から手首に体重をのせて押し潰す! そしてクッションをふたつに折りたたむようにして、また潰す。これを繰り返して」
「は〜い」
 元気良く返事をした年少組のリコとヘンリエッタ。彼女らにとっては少し高い作業台で、ぴょんぴょんと跳び跳ねながら一生懸命生地をまとめる姿が可愛らしい。
ほどなくして柔らかなひとつの固まりになった生地をクラエスは両手でぺたぺたと拡げ始めた。
「クラエス、のし棒は使わないの?」
「いらないのよ。言ったでしょ? 大雑把に作った方が美味しいって。スコーン型で型抜きもしなくていいわ。余った生地を練り合わせても、あまり上手く膨らまないから。かえって最初から四角に切り分けてしまった方がいいのよ」
「ふうん、なるほどね」
 ちょっと手持ち無沙汰になっていたトリエラは、感心したようにクラエスの説明を聞いている。
「リコ、ナイフを取ってちょうだい。----コンバットナイフじゃなくて、果物ナイフ。渡す時は人に刃先を向けない」
護身用にしては物騒極まりない大ぶりのナイフを差し出そうとするリコを制し、代わりに受け取った果物ナイフと濡れた布巾を、クラエスはヘンリエッタに手渡す。
「はい。ナイフは布巾で拭いて濡らしながら切ると、生地がくっつかないわ。4センチ角くらいで切り分けてちょうだい」
「はい」

198 :転載:2008/04/23(水) 21:39:57 ID:iHB/m1Ri0
From: [10] CC名無したん <sage>
Date: 2008/04/18(金) 11:49:22 ID:dy/X7WTa0

>>1
アニメ一期のリコはさくらたんに似てるけど二期のリコはもう似ても似つかぬキャラだよね

199 :転載:2008/04/23(水) 21:41:55 ID:iHB/m1Ri0
From: [11] 【スウィート キッチン】 <sage>
Date: 2008/04/18(金) 11:49:23 ID:y0z8/nUj0

 ヘンリエッタか真剣な表情で厚さ二センチほどのスコーンの生地を切り分ける間に、クラエスは手を洗いオーブンの余熱の準備に入った。
やることがなさそうだと見て、トリエラとリコもシンクで手を洗おうと石鹸を取り----戻って来たクラエスにその手をはたかれる。
「痛っ。何よクラエス」
「料理中に石鹸は使わない! 匂いがつくでしょ。石鹸臭いスコーンを食べたいの? トリエラ!」
「う。それは嫌だわ」
「分かった? 手は中性洗剤で洗ってちょうだい」
「は〜い」
いつもは皆のまとめ役であるトリエラも、事が調理では勝手が分からない。ひたすらクラエスの指示に従うのみである。
「できましたっ」
慎重に慎重に、生地を切り分けていたヘンリエッタが達成感に満ちた表情で報告する。そんなに真剣になるほどの作業じゃないんだけど、と呆れながらもクラエスは次の指示を出す。
「じゃ、オーブンから天板を取り出して。中の温度は200度になっているから、ちゃんと鍋つかみを使ってね。それで、スコーンの生地を少し間隔をあけて並べるの」
「はいっ」
自分でこねて切り分けた生地を天板に並べれば、何となく全部自分で作ったような気分になって、ヘンリエッタは上機嫌でハミングをしている。

----あれは一人で作ったときには確実に失敗するだろうなぁ。ヘンリエッタ、忘れっぽいし。

 そう思いながら、その時には失敗作を食べさせられるのは同室の自分ではないだろうかとリコは一瞬不安になった。
「ヘンリエッタ」
 オーブンのふたを閉めた少女が振り返る。
「何? リコ」
「もう一回くらいは、みんなで一緒に作ろうね」
「?  うん、そうね」
「絶対だよ」
「??  うん」
リコの不安を察したトリエラが苦笑する。
「ま、みんなで料理するのもなかなか楽しいじゃないか。今度の休みには、アンジェリカも戻って来られるかも知れないしさ。また作ろうよ」
「そうね。アンジェも早く元気になるといいね」
「なれるさ。だから、元気が出るように美味しいスコーンを届けてやらなくちゃ」
「そうだね」

200 :転載:2008/04/23(水) 21:45:18 ID:iHB/m1Ri0
From: [12] 【スウィート キッチン】 <sage>
Date: 2008/04/18(金) 11:50:29 ID:y0z8/nUj0

今は体調を崩して入院中の仲間を思って、少女たちはまた一段とやる気が出たようだ。七分袖のブラウスの袖をまくり直して、ヘンリエッタがクラエスにたずねる。
「クラエス、次は何をしたらいいの?」
「そうね……焼き上げるまでに8分から10分位かかるから、その間にお待ちかねのホイップクリームでも作りましょうか」
「はいっ」
ヘンリエッタが張り切って新しい調理器具を取り出し、電源をつないだ。その間にもクラエス先生の厳しい指導は続いている。
 リコは冷凍庫から氷を取り出しひんやりした冷気の感覚を楽しんでいて、早く閉めなさい!と語気荒く急かされ、トリエラは金属製のボウルに生クリームをひとパック空けると、そのまま空き箱を捨てようとして怒られる。
----後で紅茶を淹れてすすぎ、ミルクティーにするのだそうだ。
普段冷めた態度と理知的で皮肉っぽい言動が目立つクラエスだが、料理には譲れない何かがあるらしい。
「限りある食材は余さず利用。出されたごはんは残さず食べる。これがキャンプ料理の鉄則よ」
「キャンプ料理??」
「何でキャンプ??」
「クラエス、あなた野外設営の訓練なんか受けてた?」
「え? ……さあ。でも何か昔、そんなことを教わった気がするの」
「ふうん?」

201 :転載:2008/04/23(水) 21:47:27 ID:iHB/m1Ri0
From: [13] 【スウィート キッチン】 <sage>
Date: 2008/04/18(金) 11:51:17 ID:y0z8/nUj0

「さ、それよりその氷をこちらの大きなボウルにあけて。上に生クリームのボウルを乗せて。……はい、ヘンリエッタ。好きなように砂糖を入れてちょうだい」
「え」
「う」
「は〜い!」
クラエス先生のお許しが出たので、ヘンリエッタはにこにこしながら砂糖壷に手を伸ばした。計量スプーンの、もちろん大さじを片手に、である。
 ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ……。がばがばと豪快に生クリームの中に投下されていく砂糖に恐怖を覚えて、トリエラはルームメイトにこっそり話しかける。
「ちょっとクラエス」
「何?」
「あれ、どうするの。ヘンリエッタの好みに合わせたら、誰も食べられないじゃない、生クリーム」
「ジャムで食べればいいのよ」
「……ああ、そう」
どうやら生クリームは最初から甘味大王への生け贄だったらしい。実はほんのり甘いホイップクリームを楽しみにしていたトリエラだったが、今回は諦めるしかなさそうだ。
心なしか青ざめたリコにボウルを押さえてもらい、ヘンリエッタはそれはそれは嬉しそうに 新品のハンドミキサーを始動させる。
 じょりじょりじょりじょり…….
ボウルの底に堆積した砂糖が不吉な音を立てるのを、トリエラは暗たんとした思いで見つめるのだった。


その日の午後、アンジェリカの病室には小さなバスケットに入った焼き菓子が届けられた。上手に膨らんで焼き上がったほのかに甘いスコーンには、真っ赤な苺ジャムと甘くないクロイテッドクリームが添えられていたそうである。


《Das Ende》

202 :転載:2008/04/23(水) 21:49:57 ID:iHB/m1Ri0
From: [14] CC名無したん <sage>
Date: 2008/04/18(金) 11:53:03 ID:y0z8/nUj0

>>10
二期はピコだから(苦笑)

203 :転載:2008/04/23(水) 21:51:50 ID:iHB/m1Ri0
From: [15] CC名無したん <sage>
Date: 2008/04/18(金) 11:57:31 ID:dy/X7WTa0

間に割り込んじゃった。ごめんね。

>>14
ピコなのかw アンジェとかは逆に可愛くなった気がするのにもったいないわ

204 :転載:2008/04/23(水) 22:00:41 ID:iHB/m1Ri0
From: [16] CC名無したん <sage>
Date: 2008/04/18(金) 22:51:43 ID:Agg5PClm0

もし2chのスレに書き込めなかったり、何か不具合のある時は、
こんな所もある事を思い出していただけたらと…

GunslingerGirl ガンスリンガー・ガールSS書きの控え室 2
ttp://so.la/test/read.cgi/gunslingergirl/1095225218/l50

雑談inガンスリ板
ttp://so.la/test/read.cgi/gunslingergirl/1066456383/l50

ガンスリ板@萌えBBS
ttp://so.la/gunslingergirl/
どうみても過疎ですが、ひとりごとを言っている人を時々見掛けるので
無人ではないようです

205 :転載:2008/04/23(水) 22:03:26 ID:iHB/m1Ri0
From: [17] CC名無したん <sage>
Date: 2008/04/19(土) 13:04:30 ID:GFFQ1NBJ0

>>5>>6
美味しいSSありがとう。
面白かった。
昔姉がスコーンにはまっててよく作っていたよ。

>しかしやっぱり親子止まりなのかな〜。
>できあがってくれたらそれでも良いと思ってんだが。

親子止りのままか出来上がるかで、いずれくる
二人の別れも違った物になりそうだね。

そういや転載倉庫でヒルシャー亡き後のトリエラという
逆バージョンの話があったけどね。
ttp://tokyo.cool.ne.jp/gunslinger-girl/contents/2004-03-24_Aitaitokini_Anataha.html

206 :転載:2008/04/23(水) 22:05:40 ID:iHB/m1Ri0
From: [18] CC名無したん <sage>
Date: 2008/04/19(土) 13:04:55 ID:GFFQ1NBJ0

>>13
>クロイテッドクリーム
クロテッドクリームね。一応気になったんでね。

ちょっと小ネタを。

トリエラ「そういえばクロテッドクリームはどうするの」
クラエス「この生クリームで……」
トリエラ「まさか作る気?」
クラエス「……買ってあるわよ」

リコ(クラエス、さっき舌打ちしてなかったかな)
トリエラ(作る気満々だったんだ……)

でも探してみたところ生クリームをひたすら泡立てれば
案外簡単に作れそうなクロテッドクリーム……。

207 :転載:2008/04/23(水) 22:06:54 ID:iHB/m1Ri0
From: [19] CC名無したん <sage>
Date: 2008/04/19(土) 23:45:57 ID:1UPT9LAV0

こちらのスレが使用可能になりましたので移動をお願いします

社会福祉公社技術部さくら板支所
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/sakura/1198349410/

(変な匂いが気になりますか?)

208 :転載:2008/04/23(水) 22:09:32 ID:iHB/m1Ri0
転載を終了します

>>192
ノシ

209 :CC名無したん:2008/04/24(木) 01:40:34 ID:msWbIdx60
>>208
転載、乙です。

210 :CC名無したん:2008/04/30(水) 23:34:06 ID:+PKAS73Z0
ガンスリンガーガール 4人目の義体(エロパロ&文章創作板)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1178375722/
スレッドの歴史

■ 立てられる
> From: [1] 前スレの780 <sage>
> Date: 2007/05/05(土) 23:35:22 ID:q0PBSmvV

■ 前スレより続く
> From: [18] メイド イン 公社 <sage>
> Date: 2007/05/13(日) 21:54:55 ID:OwaOIq/z

■ 終了
> From: [32] メイド イン 公社 <sage>
> Date: 2007/05/20(日) 12:19:40 ID:PmMhqJAP

■ このあたりから エロくない情報戦が行われる
> From: [52] ドラーギ作戦部1課長 <sage>
> Date: 2007/06/18(月) 01:45:02 ID:gjAu3Rfj

■ 開始
> From: [69] 公社の十日物語 <sage>
> Date: 2007/08/17(金) 11:52:47 ID:bokQi/pD

■ 次スレに続く
> From: [95] 公社の十日物語 <sage>
> Date: 2007/09/17(月) 10:34:44 ID:zBoUFjkR

■ dat落ち
> From: [98] 名無しさん@ピンキー <>
> Date: 2007/09/20(木) 04:48:23 ID:0YotBhF9

211 :CC名無したん:2008/05/01(木) 22:00:05 ID:DIH0zrBr0
>>210
そのつづき
▼ ガンスリンガー・ガールでエロパロ ▼
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199878167/l50

また過疎り始めている…

212 :CC名無したん:2008/05/03(土) 04:33:50 ID:VSo/eYdw0
まったり雑談でもしつつ待てばいいと思うよ
なんかシモネタの発生頻度がエロパロスレより本スレの方が多いのはなんでだろうね

213 :CC名無したん:2008/05/04(日) 02:03:17 ID:84I3QqbY0
それにしてもこのスレなんでさくら板にあんのかね?
監督つながりなんだろうけど、ここわかりづらくないか?

どういう経緯でここになったんだ?
作品のSS書くようなスレは普通キャラ板にあるもんじゃね?

214 :CC名無したん:2008/05/05(月) 01:14:27 ID:XOOsjV7B0
>>187->>207
すみません、そのスレを立てた人間です。
転載ありがとうございましたwwお疲れさまです!
お手数をおかけして申し訳ない(汗)
バタバタしていた内に気が付きゃ半月以上経過。
スレの立て逃げになってしまってすみません。
第2分室よりようやく原隊に復帰いたしました。

とか言いながらまた数日寮を空けるわ。
もうちょっとだけ後をお願い(泣)


215 :CC名無したん:2008/05/05(月) 01:20:12 ID:XOOsjV7B0
>>213
>53
>ただ漫画キャラクター板(cchara)やエロパロ&文章創作板(eroparo)は
>レスの間隔が開くとdat落ちしやすいので、のんびりしたCCさくら板に目を付けたという
>いきさつもあります。

てなことだったと思いましたが・・・

216 :CC名無したん:2008/05/05(月) 01:21:20 ID:XOOsjV7B0
>>192
>2期
「三十男の苦悩はどこへ行ったんだ〜〜っっ」
と嘆いてました。……父が。
還暦まであと一歩!

217 :CC名無したん:2008/05/06(火) 15:25:51 ID:wHHlCYp10
父ってw
家族で見てるのか。
うらやましい。

218 :CC名無したん:2008/05/06(火) 22:45:54 ID:SPsR0AWA0
漫画も家族で回し読みですw
財力のある人にハマってもらえると
知らない内に続きが増えているので助かります。
ガンスリは弟にハメられて自分が増やしましたが(笑)


219 :CC名無したん:2008/05/06(火) 22:46:54 ID:SPsR0AWA0
予定外に時間がとれたので一時帰宅。
>>204
ありがとうございます。チェックしてみますw


220 :CC名無したん:2008/05/06(火) 22:48:05 ID:SPsR0AWA0
>>205
ありがとうございますw
高い作業台の前で、子供がつま先立ちになったり
ぴょんぴょん跳ねたり踏み台持ってきたりする姿は
ほほえましいよね♪とゆー話でしたw

>二人の別れも違った物になりそうだね。
ですね。でも、う〜〜ん。
コミックで出てから1年位たたないと書けなさそうです。
【午後の遺言状】書いたから、もう良いかなって気もしてますが。

>ヒルシャー亡き後のトリエラ
ありましたね。何の気なしに読み始めて
一瞬凍り付いた記憶が(笑)


221 :CC名無したん:2008/05/06(火) 22:49:09 ID:SPsR0AWA0
>>206
>クロテッドクリーム
あ、ホントだ。
ありがとうございますw
そして小ネタ!
舌打ちするクラエス可愛い〜w

>生クリームをひたすら泡立てれば
>案外簡単に作れそうなクロテッドクリーム……。
そーなんですか? あれはお店でしか食べたことないなぁ。
今度調べて作ってみますw


222 :【甘い罠】:2008/05/06(火) 23:18:23 ID:vg8lnLio0
今回は鳥昼で【スウィート・キッチン】の続きとゆーか……
こっちの方が先に書いた話だったりするのですが。
実はずいぶん前>>90からこんなネタを思いついていたり。
>>89さん ゴメンナサイ。
BGMはL.アンダーソンのプリンク・プレンク・プランクあたりで。
最初に書いたのがあまりウチのヒルシャーらしくなかったので
ちょこっと書き直したら、そこそこの長さに。微エロです。
己が品位を下げまくった気も。身内に読まれたくないなあ(笑)
笑って読み流してやっていただければ幸いです。


223 :【甘い罠】:2008/05/06(火) 23:20:06 ID:vg8lnLio0
 【甘い罠】


ヘンリエッタがハンディミキサーを買ってもらったと言うので、今日はクラエス先生の料理教室が開催されることとなった。本日のメニューは大雑把に作る程美味しいと言われるスコーンと、付け合わせのホイップクリームに苺ジャムである。
 スコーンをオーブンで焼き上げる間に、早速ヘンリエッタが真新しい電動泡立て器の威力を試し始める。そんな少女たちの楽しげな笑い声が響く調理場を一人の男が覗き込み、声をかけた。
「トリエラはいるかな?」
「あ、ヒルシャーさん」
「! ヘンリエッタ!」
 不用意に手元の調理器具を持ち上げたヘンリエッタの行動に、とっさにトリエラは自分の担当官の前に立ちふさがった。
 高速で回転する泡立て器に撥ね飛ばされた生クリームが少女の顔面を直撃する。
「トリエラ?! ごめんなさい!」
「……う〜冷たい…。ヘンリエッタ、駄目じゃないか気を付けなくちゃ」
「ごめん……」
「いいよ、今度から気を付けて。----ヒルシャーさん、汚れませんでしたか?」
「ああ、僕は大丈夫だ。君は……」
 振り返った少女の無事を確認しかけて、何故かヒルシャーは絶句した。不信気に眉を寄せる少女の褐色の肌に、重く白い液体がゆっくり流れ落ちてゆく。
「ヒルシャーさん?」
「----急な出張になったので、明日の僕の講義は休講になる。各自ジャンさんの指示に従うように。以上だ」
「あ、はい。分かりました」
 どこか泳いだような視線で用件を伝えると、それじゃあ、と妙にぎくしゃくとした動きで男は調理場を出ていった。見送ったリコが不思議そうに言う。
「ヒルシャーさん、どうしたんだろう。熱でもあるのかな? 顔赤かったね」
「さあ。何だろうね」
 手の甲で拭った生クリームをぺろりと舐めて、そのすさまじい甘さにトリエラはまた顔をしかめた。


224 :【甘い罠】:2008/05/06(火) 23:21:36 ID:vg8lnLio0
  急な出張のために必要な情報を確認し2課のオフィスに戻ったジョゼは、何やら遠巻きに奥の様子をうかがう課員たちの姿に眉を上げた。
「どうかしたのか? アマデオ」
「いや、それがその……」
問われた課員はオフィスの一角にちらりと視線をやる。同じ方向を見やったジョゼは、う、と一瞬ひるんだ後状況を理解した。
 きちんと整頓された机の前に、ページを開かないままの書類を睨んでいるドイツ人の姿がある。デスクに肘をついた片手を額にやり眉間に深い立て皺を刻んだ彼は、『苦悩』と題された彫像のように微動だにしない。
 普段でもさほど陽気な質ではない彼だが今日の暗さは尋常ではない。隣席のアルフォンソはあまりの居心地の悪さにすでに逃げ出した後だ。
 できうることならば自分も逃げたいところだが、明日の出張の同行者とあっては打ち合わせをしないわけにもいかない。知らない内に押し付けられていたババ札に内心ため息を付きながら、ジョゼは努めて明るくドイツ人に声を掛けた。
「やあ、ヒルシャー」
「……ああ、ジョゼさん」
「どうしたんだ? 終末の予言書でも開いたような顔をして。周りが怯えてるぞ」
「いや…何でもありません」
「何でもないって顔じゃないぞ」
「いえ…本当に何でもないんです。極めて個人的なことで……。ただ…自分で自分が許せないだけなんですよ……」
 そう言ってヒルシャーは重苦しいため息をついた。深く深く自己嫌悪の底なし沼に沈んでいる生真面目なドイツ人の様子に、この落ち込み様は十中八九彼のフラテッロに関することに違いあるまいと踏んでジョゼは話に水を向ける。
「なんだ、またトリエラともめたのかい?」
 瞬間、これ以上落ち込むこともなさそうだと思えた男の表情が、更に一段階暗くなる。しまった。これは地雷を踏んだか。男性課員からいささかの侮蔑と嫉妬をもって”優男”と揶揄される、ジョゼのやわらかな印象の造作が微妙に引きつった。



225 :【甘い罠】:2008/05/06(火) 23:22:39 ID:vg8lnLio0
「彼女は……気付いていないと思います。僕の側の問題なんです……。あんな事に動揺してしまうなんて……」
 おいおい、頼むからこんな所で懺悔を始めないでくれ。
男の言うあんな事がどんな事なのか、酒の席ならつつき回して肴にするのもいいだろうが、課員全員が書類の防護盾やPCモニターのバリケードの隙間から注視しているこの状況で聞きたくはない。
 傍観者の立場でならばいつものことだろうと笑っていられるが、相談相手として他人の兄妹喧嘩の渦中に巻き込まるのは御免こうむる。どうにか戯れ言にまぎれさせてこの話題を終了させようと、殊の外明るい口調でジョゼはヒルシャーの言葉に応じた。
「気付かれていないなら幸いだな。何が原因だか知らないけれど、そのまま隠し通せばいいじゃないか。だがそんな顔をしていると、君が問題を抱えていることがばれてしまうぞ。彼女は賢いから、男の下心には敏感だ」
 以前にも言った軽口を笑って言の端にのせたジョゼは、次の瞬間、己の軽率さを激しく後悔した。
『苦悩』から『絶望』へとレベルアップした生ける彫像が今度は組み合わせた両手の間に顔を埋め、地獄の底をさまよう亡者もかくやと思われる陰々滅々としたため息をつく。
「…………」
「…………」
 作戦に失敗したジョゼに周囲の視線が痛い。
「……とりあえず、仕事の話をしようか」
「……そうですね」
 主が逃走した隣席に腰掛け書類のファイルを開いた不運な優男に、いや、むしろ責任取ってそいつを外に連れ出せよと全員が声に出さずに突っ込んだ。




226 :小川和子:2008/05/06(火) 23:23:43 ID:/8nI/hM20
臭作 白鳥 高木ぶー 犬夜又 インベーダー 三国史 タッチウイン
ベスト 軍事研究 週刊文春 なかよし りぼん 学研 トーマス 
新スーパーマン 自警 防衛白書 中共研究 音楽の友 小林よしのり
帝国農業学部 的士 ジャッキーチェン チャンギ国際空港 BTS
さぁ糞ルーペンども天国にTAKE OFF

227 :【甘い罠】:2008/05/06(火) 23:23:49 ID:vg8lnLio0
 周囲から冷たい視線の集中砲火を浴びながら陰鬱なドイツ人との打ち合わせを終え、ようやくオフィスから撤退したジョゼはもはや満身創痍である。同僚から移されたように疲れたため息を付くジョゼに、遠慮深げに名を呼ぶ少し幼い声がした。
「あの、ジョゼさん」
 視線を下げれば殺伐とした風景に咲く一輪の可憐な花----そんな風情で彼の『妹』が廊下の端に立っている。
「やあ、ヘンリエッタ。いい匂いだね」
「はい!クラエスに教わって、皆でスコーンを焼いたんです。あの、昨日ジョゼさんにいただいたハンディミキサーで、ホイップクリームも作りました」  
 担当官の一言に、ぱあっと表情を明るくして少女は小さなバスケットを差し出した。
「そうか、それじゃあ天気も良いことだし、表の芝生で一緒にお茶でも飲もうか」
「はいっ」
 ジョゼが本日ふたつめの深く大きな墓穴を掘ったことに気付くのは、それから5分後のこととなる。


 翌日。一晩中自己嫌悪の泥沼から抜け出せず背景に暗雲を背負ったままの陰気なドイツ人と、一晩経っても消えない破壊的な甘味のあまり苦虫を噛みつぶしたような顔になっている優男は、無言のまま連れだって公社本部を出発した。
 そしてこの災厄の女神に気に入られてしまった不幸な二人組は、本部でいかなる深刻な事態が起こったのかと、来訪先のフィレンツェ支部の人間をも不安と混乱に陥れたということである。


《だす えんで》


228 :CC名無したん:2008/05/07(水) 03:14:52 ID:ZCG+xw5W0
>>222
面白かったよ。いろいろな意味で笑えた。

特にエッタの生クリームつきスコーンを食べたジョゼさんは
どうだったのか想像して笑っちゃったよ。
きっとエッタの期待に応えるために引きつりながら全部食べたんだろうな。
で、そのあとしばらく胃薬が手放せなかったりしてね。
ヒルシャーはヒルシャーで一晩眠れなくて目の下にクマを作ったまま
出張に行ったんだろうねぇ。

そのおかげで作戦二課って義体じゃないと耐えきれない激務の部署だと思われたりするかも。

229 :CC名無したん:2008/05/10(土) 14:05:32 ID:K65RLkJ20
保守がてら落としてみる。
トリエラ分は222氏が補給してくれてるから
こちらはジャンリコ分補給で。むしろジャン分多めだが。

230 :夢と涙1:2008/05/10(土) 14:07:47 ID:K65RLkJ20
ローマの街に夕陽が差す頃、ジャンはリコを連れての目標監視の任務に就いていた。
今のところは往来の車から五共和国派のテロリストを監視する地味な仕事だ。
監視する目標は今は屋内に入っていて外からは何をしているのかわからない。
だが、仕掛けた盗聴器から中の様子をフェッロたち作戦二課の課員がうかがっている。
監視しているフラテッロたちにはそこから逐一情報が入るようになっており、
目標がどう動くかで突入になるか、それとも監視を続けてアジトを突き止めるか
ジャンは決断しなくてはならない。

夜に入り、人通りも少なくなってきた。
目標は未だ動かない。
助手席に座るリコはあくびをした。
普段なら彼女はきっとベッドに入っている時間だろう。
義体だから耐眠性があるなどということはなく、眠るということについて
普通の同年代と変わらない。
それどころか普通の子ども以上に義体の子どもたちに眠りは必要だ。
任務に堪えうるため常に精神と肉体を最適な状態にしなくてはならないからだ。

眠さに負けて船をこぎ始めたリコへジャンは声をかけた。
「リコ、今のうちに寝ておけ」
「はい」
リコは座っているシートを少し後ろに倒して目をつぶると、すぐに寝息をたて始めた。


231 :夢と涙2:2008/05/10(土) 14:09:08 ID:K65RLkJ20
ジャンの携帯電話が胸ポケットで踊った。
「ジャンさん」
「フェッロか。目標はどうだ?」
「未だ動きませんね。長期戦になるかもしれません」
「そうか。では今のうちにこちらは休息をとる」
「わかりました。動きがあり次第連絡します」
ジャンは一口、ダッシュボードに置いてある瓶からミネラルウォーターを飲むと
目をつぶった。
任務の緊張からか、なかなか眠りにつけなかったが、隣で寝るリコの規則正しい寝息を
聞いているうちにやがて睡魔の波に飲み込まれた。

「兄さん、兄さん」
ビーチパラソルの下でうとうとしていたジャンを揺り起こしたのはジョゼだった。
「どうしたんだ、いったい?」
ジョゼはエンリカと浜辺で遊んでいたはずだった。
だが、ジョゼの傍らにいつもいるはずのエンリカは今はいなかった。
「エンリカが……いないんだ」
「いないって?おまえとさっき遊んでいたじゃないか?」
ジャンは寝椅子から体を起こした。
眠さでぼんやりと霞がかかったような頭がジョゼの言葉で急にはっきりしてきた。


232 :夢と涙3:2008/05/10(土) 14:10:07 ID:K65RLkJ20
「ジェラートを買いに行った間にどこかに行ってしまったみたいなんだ」
ジョゼは腕にジェラートの入った袋をぶら下げていた。
「行ったってどこへ?エンリカはここへ来るのは初めてのはずだろう?」
「わからないよ。ここに戻ってきていない?」
「いや、戻ってきてない。ここへ来るまで見つからなかったのか?」
ジャンの問いにジョゼは首を振ってうなだれた。

ジャンはジョゼのうかつさに怒鳴りたくなったが、そんなことをしても解決するものではない。
それに一番心配しているのはさっきまでエンリカの面倒を見ていた当のジョゼだろう。
自分はというと、小さい妹の面倒を弟に任せきりで寝ていたのだから元々怒鳴る資格などありはしない。
ジャンはうなだれるジョゼに出来るだけ冷静に声をかけた。
「探そう。エンリカの足ならそう遠くへは行けないはずだ」
二人は海岸を探した。
いそうなところを探してみたが、エンリカの姿は見あたらなかった。
「どこへ行ったんだろう?もしかして海に流されてしまったとか……」
ジョゼが不安そうに海を見る。
「流されたのならこれだけ海水浴客がいるんだから気づいてもおかしくないだろう?」
タオルミナの海岸は避暑に来た海水浴客があふれていた。
「人に聞いてみよう。もしかしてエンリカを見た人がいるかもしれない」

人に聞いてみたらあっけなくエンリカの行方はつかめた。
エンリカは海岸を出て行ったらしい。
人に聞き聞きエンリカの足取りを二人は追った。
エンリカが向かった先は別荘だった。

233 :夢と涙4:2008/05/10(土) 14:11:23 ID:K65RLkJ20
ジャンがドアを開けるとぬいぐるみを抱えたエンリカがこちらに向かって歩いてくるところだった。
「エンリカ!」
「兄さまたち、どうしたの?」
エンリカは首をかしげた。
「ダメじゃないか、一人で行ってしまうなんて」
ジャンが叱るがエンリカは意に介さない。
「だって……この子にも海を見せてあげようと思ったんだもの」
エンリカはぬいぐるみを二人に見せた。
仕事が忙しくて留守がちな両親が寂しくないようにとくれた、彼女のお気に入りのぬいぐるみの一つだ。
ジャンがなぜ怒っているのか今ひとつエンリカは判らないようだった。
けれども怒るジャンとほっとしてへたり込んだジョゼの様子に、兄たちに心配をかけたのがだんだん判ってきたのか泣きそうな顔になった。
「……ごめんなさい」
「……もう僕たちに何も言わないでどこかへ行くのはダメだよ」
ジョゼがエンリカの頭をなでた。
「うん」
ジョゼはべそをかき始めたエンリカをあやすようにジェラートを差し出した。
「ほら、ジェラートを買ってきたから三人で食べよう」
ジェラートは完全に溶けていた。
「兄さま、このジェラート溶けちゃってるね」
「走り回ってたからな」
ジャンは苦笑した。
こんな暑い中走り回っていればジェラートなんて溶けるのも当たり前だ。
溶けたジェラートを見てジョゼが言った。
「また買ってこようか?」
「いいよ、食べる。兄さまがせっかく買ってきてくれたんだもの」
エンリカは涙を手で拭いて微笑み、溶けたジェラートをジョゼからもらうと居間へ歩き出した。


234 :夢と涙5:2008/05/10(土) 14:12:41 ID:K65RLkJ20
ジャンは寒さで目が覚めた。
辺りはまだ暗かった。
隣のリコの寝息が聞こえる。
腕時計を見るとジャンが眠ったのは3時間ほどだ。
夏に近いとはいえ、空調をつけないでいると車の中はまだ寒い。
顔が冷たかった。
風が当たってるのかと触ってみると頬が濡れている。
涙の跡のようだった。
ジャンはなぜだか眠りながら泣いていたらしい。
覚えている限りでは、懐かしいとは思っても悲しいとは思えない夢なのに不思議だった。

ジャンが涙を拭いてリコを見ると彼女も眠りながら泣いていた。
義体は眠りながら泣く。
なぜ泣いたのか聞いても彼女たちはわからないという。
彼女たちも夢で何かを見て泣くのかもしれない。
見るのは条件付けを施してなお、消えずに残る昔の記憶の欠片か、死に向かう希望のない未来か。

涙を拭いてやろうかと思ったが、ジャンはやめた。
ジャンは上着を脱いでリコへ掛け、身体の横に窮屈そうに置いてあるアマーティの印があるヴァイオリンケースを足の方にどけてやった。
ジャンがヴァイオリンケースを動かしたとき、リコは身じろぎして少し目を開けたが、ジャンの顔を見ると再び目を閉じた。


235 :夢と涙6:2008/05/10(土) 14:13:46 ID:K65RLkJ20
ジャンは携帯をとり、盗聴している課員へかけた。
「ジャンさん」
フェッロではなくアマデオが出た。
監視する課員もジャンたちの休息中に交代が行われたようだ。
「目標が今電話をかけてるようです。たぶんこれからどこかへ動くと思われますが……どうします?」
「目標が動いたらこちらも追跡を開始しよう。ヒルシャーとジョゼにもそう伝えておけ」
「了解しました」

一時間ほどすると建物の車庫が開き、目標のテロリストが車で出てきた。
テロリストの車は建物の陰を曲がって消えた。
ジャンは車のエンジンをかけながらリコに声をかけた。
「リコ、起きろ。仕事だ」
リコは眠そうに目を開いた。
「……はい、ジャンさん。お仕事ですね」
リコは、掛けられた上着をジャンへ返し、シートを起こすと足元のヴァイオリンケースを膝の上に置いた。
そして濡れた顔を袖でぬぐうと、ジャンへ微笑んだ。

ジャンはゆっくりと車を出した。
空は黒から日の出前の紫色へ変わりつつあった。


236 :CC名無したん:2008/05/13(火) 01:18:29 ID:sTQhmjF+0
>>229
GJ! 
感情を抑えた渋い雰囲気がたまらないっす。
ジャンさん、長兄の風格がw
そーだよな、これが自分の惚れたガンスリの雰囲気なんだよな。
書けないけどさ。
あこがれるな〜〜。


237 :【甘い罠】:2008/05/13(火) 01:21:38 ID:sTQhmjF+0
余剰気味のトリエラ分補給です(笑)

>>228

ありがとうございますw
楽しんでいただけたようでよかったです♪
せっかくなので小ネタを一つ。

>エッタの生クリームつきスコーンを食べたジョゼさん
「ジョゼさん、お味はいかがですか?」
「……涙が出るほどおいしいよ」


 数日後、ジョゼとビアンキの会話。

「ヘンリエッタは前より元気そうだ。お前が頑張っているおかげだろう」
「ああ……でも…それも最近疲れてきたよ…。
二人でする食事なんて、甘い物ばかりで胸焼けがしてくる……。
このままだと虫歯になるのが先か、糖尿病になるのが先か……」
「おいおい、自爆はよせよ」
「まあいい、やるだけやってやるさ……」


「……ジョゼはもっと自然な食事に飢えているようでした」
「まったくあきれた弟だ」


238 :【甘い罠】:2008/05/13(火) 01:23:54 ID:sTQhmjF+0
>ヒルシャーはヒルシャーで一晩眠れなくて目の下にクマを作ったまま
>出張に行ったんだろうねぇ。
鬱陶しいことこの上ないですねw
マルコーさんあたりに「鬱陶しい野郎だなぁ。さっさと出張に行っちまえよ」
なんて言われながら、犬のようにしっしっとか追い出だされてたりして。


書き直す前はこんな小ネタ話でした。
あんまりウチのヒルシャーらしくないんですが、
そのままお蔵入りにするのがちょっとしゃくだったので
おまけで投下してみたり。

 (前半省略)
「ヒルシャーさん?」
「……急な出張になったので、明日の僕の講義は休講になる。各自ジャンさんの指示に従うように。以上だ」
「あ、はい。分かりました」
 どこか泳いだような視線で用件を伝えると、それじゃあ、と妙にギクシャクした動きで男は調理場を出ていった。ひょこっとドアの外に顔を出してそれを見送ったリコが、不思議そうに声を上げる。
「あれ、ヒルシャーさん、どうしたんだろう。お腹でも痛いのかな? 前屈みで歩いてるよ」
「…………さあ。何だろうね」
 なにかイヤな想像に思い当たってトリエラはどんよりと視線を据わらせた。
「どうしたんだろう。お見舞いに、ヒルシャーさんにもスコーン持っていってあげる? トリエラ」
「……腹が痛いんなら放っておけばいいわよ」
 心配そうにそう提案するヘンリエッタの言葉に、トリエラはぶっきらぼうに答える。そんな同室者の反応にクラエスは同意の一言。
「そうね。出張中のおかずは提供したみたいだから、他はいいんじゃないの?」
「クラエス!」

……その頃、角を曲がった廊下の隅では、不覚にも立ち上がってしまったために立ち上がれなくなったヒルシャーの姿があった。

239 :CC名無したん:2008/05/14(水) 00:04:19 ID:1IluiO+Z0
>このままだと虫歯になるのが先か、糖尿病になるのが先か……
この台詞に大笑いww
エッタの期待に応えるべく体重を増やさないよう走る
ジョゼさんが見られるんだな、きっと。

>出張中のおかず
ナイス、クラエス!

>>236
たまに車で寝てるリコは眠そうなリコに「寝ろ」と
言って寝させてるんじゃないかと思ったのがきっかけで書き始めた。
縁石を歩くリコの手を引っ張って下ろしたりと、ジャンは実は何げにリコというか
年下の面倒見が良いのではと思ってたら、こんな物がw。


240 :CC名無したん:2008/05/15(木) 00:09:44 ID:iFvMwMt10
>>239
>ジャンは実は何げにリコというか年下の面倒見が良いのでは
ああ、そんな感じありますねw
触発されてちょっとジャンリコ組のSSも書いてみたいような
気になってみたりw
でもきっと自分が書くとぬるい話になるんだろうな〜。


241 :【真夜中の呟き】:2008/05/15(木) 00:10:38 ID:iFvMwMt10
んで。そんなに渋い話の後にこんなんってどうよ?とか思いつつ。
珍しく乙女ちっく??なトリエラの話です。
BGMはドヴュッシーの”ゴリウォーグのケークウォーク”で。
『酔っぱらった担当官』とゆーただそれだけの話なのに、
なんだかえらく長くなってしまったので二回に分けて投下します。


242 :【真夜中の呟き】:2008/05/15(木) 00:12:12 ID:iFvMwMt10
【真夜中の呟き】


 大抵の人間は寝静まっているはずの時間帯に、何故か賑やかな男たちの声がしてトリエラはベッドから起き上がった。
表沙汰にしたくない事件の目撃者だの証言者だのを連れ込んだにしては、聞こえる声に緊張感がない。
 不審に思ってそのまま窓辺から外を見下ろせば、2、3人の男がもつれ合うようにしてよろよろと歩いているのが見える。
「何、あれ」
「……何?」
 トリエラの呟きに2段ベッドの上段から同室者が不機嫌そうに頭をもたげる。
「ん、下に人が。ジョルジョさんとアマデオさん…かな? もう一人は誰だろ」

『ほら〜、公社に着きましたぜ〜〜』
『も〜、自分で歩いてくださいよ〜』
『ん〜……?』
『カンベンしてくださいよヒルシャーさ〜ん』

「----え? ヒルシャーさん?」
 思いがけず自分の担当官の名前を耳にして、もう一度目を凝らす。少女ら義体の視力は身体の改造に伴って相当に高くなっているのだが、いかんせん見えるのが後頭部では顔の判別がつかない。
それでも髪の色やら着衣やらを見るに、両脇を課員に支えられ半分引きずられるようにして歩いているのは、どうやら自分の担当官らしい。
「何やってるんだろ、あれ。----酔っ払ってる…のかな?」
「……放っておきなさいよ」
「見ちゃった以上、そんな訳にもいかないじゃない。一応、自分の担当官なんだから」 
 投げやりな同室者の言葉に、クロゼットから上着を取り出しながらトリエラはそう答えた。義体たちの中で唯一担当官のいない同室者は、眠いのか呆れているのか判然としない視線でその様子を見遣っている。
「クラエス、あなたは別に付き合うことないから、先に寝ていてちょうだい。適当に様子だけ見てくる。----鍵だけ開けておいて」
 言いながら部屋を飛び出していった少女に、もう聞こえないだろうが面倒そうに上段ベッドの住人は声をかけた。
「……ご苦労様」





243 :【真夜中の呟き】:2008/05/15(木) 00:16:06 ID:iFvMwMt10
 パジャマの上から引っ掛けた上着に袖を通しながら、結わないままの金の髪をなびかせて階段を駆け下りると、果たして目指す人影はちょうど義体棟の入り口付近に差し掛かったところである。
「アマデオさんっ----う!?」
 とりあえず目に入った課員の名前を呼びながら表へ出れば、まだ2、3メートルは離れているにもかかわらず強烈な酒臭さに見舞われて、トリエラは思わずひるむ。
「おお〜? 誰かと思えば麗しのプリンシペッサ(お姫様)」
「ああん? その声はトリエラかぁ? 髪下ろしてっと誰だか分かんねーなぁ」
「あの……アマデオさん、ジョルジョさん、そこにいるのは…私の担当官ですか?」
 あきらかな酔っ払い二人組みに挟まれた三人目は、もはや完全に酔いつぶれたのか反応がない。
「あ〜そうそう。参ったぜ〜、ゴチになろうと思って誘ったら、真っ先につぶれちまいやがんの」
 随分と都合のいいことを被害者然と語るジョルジョに、トリエラは白い眼差しを送る。
「……私たち、昨夜徹夜で監視任務にあたって朝方に銃撃戦でテロリストを取り押さえ、担当官はその後定時まで事後処理と書類整理に追われていたんですが」
 しかし勿論、そんなことで反省の色を見せる酔っ払いどもではない。
「ああ〜、どうりでねー。ヒルシャーさん、いっつもセーブして呑む人だから油断してたんだよな〜」
「ンだよ〜、分かってりゃー今回は中締めでいっぺん精算してもらっといたのによぉ」
 つまりこの酒飲み達に要領の悪いドイツ人がタカリ倒されたのは、一度や二度ではないということか。トリエラは軽い頭痛を覚えながらも、できる限り冷静に状況の把握に努める。


244 :【真夜中の呟き】:2008/05/15(木) 00:17:03 ID:iFvMwMt10
「……それで、どうしてわざわざ公社に戻っていらしたんですか? ヒルシャーさんもお二方も、官舎住まいではなかったと思いますが」
「だって俺ら、ヒルシャーさん家知らねぇし」
「大抵、ヒルシャーさんが全員送ってくれるからな〜」
 いやー、メルセデスのワゴンはやっぱ乗り心地いいわとか何とかのたまう二人組みに、悪気はない。
公社の人間でなければ一発殴ってやるのに。義体中最も条件付けの軽いトリエラは不穏な考えを抱きつつ、とりあえず担当官の安全確認を優先する。
「で、うちの担当官をどこへ連れて行かれるつもりですか」
「あ〜、とりあえず仮眠室に放り込んでおこうと思ってさ」
「放り込む?」
 わずかに険のある声で少女が問い返す。酔っ払いの発言に一々目くじらを立てても仕方がないと分かってはいるが、やはり自分の担当官が他人にぞんざいに扱われるのは気分が悪い。
「いや、だからよ、酒場に置いてくるよりいいだろ?」
「仮眠室ならベッドもソファーもあるしさ」
 危険を察知した二人組みは慌ててフォローに入る。フラテッロを持たないヒラ課員とは言え、この二人、最も初期から2課に所属し義体の何たるかはよく知っている。我が身の危険に鈍感な様では、当然この世界で長生きはできない。
「まあいいですけど……。それで、お二人はどうなさるんです? タクシーでも拾いますか」
「うんにゃ。自前の車が駐車場にあるし、それで帰るわ」
「! その状態で運転したら捕まりますよ」
「別に、ここに戻ってくるまで捕まらなかったけどな」
「まあ、さすがにこのままは帰らないって。ついでに仮眠室で一眠りしていくさ」
「……仮眠室は満員だと思いますが」


245 :【真夜中の呟き】:2008/05/15(木) 00:21:55 ID:iFvMwMt10
 ただでさえ今朝の捕り物の後で帰り損なっている課員がいるはずなのだ。下手をすると自分の担当官は明日の朝まで床に転がされかねない。
暖かい初夏の夜だ。風邪をひく心配はないだろうがさすがにそのまま見過ごす気にはなれず、トリエラは引取りを申し出た。
「義体棟には空き部屋がありますから、ヒルシャーさんは私がそちらにお連れします。仮眠室へはお二人でどうぞ」
「そっかぁ? いやぁ、助かるわ」
「やっぱり王子様のお世話はお姫様に任せるに限るね〜」
 実のところ酔いつぶれたドイツ人を持て余していた二人は、これ幸いと抱えていたヒルシャーをトリエラに押し付ける。
とは言えトリエラの身長は男たちの胸の辺りまでしかない。高低差に伴う重心移動でどさりと肩にのしかかってきた担当官の身体に、思わずバランスを崩し少女は1、2歩よろめいた。
「じゃあ、小麦色のプリンシペッサ、朝には王子様に目覚めのキスを忘れずにな〜」
 チャオ! と軽く手を振り千鳥足で去ってゆくイタリア男たちに、こんな酒臭い王子様なんていりませんよ毒づいて、トリエラは身柄を預かったドイツ人の肩に手を回した。


246 :【真夜中の呟き】:2008/05/15(木) 00:24:54 ID:zd3vav330
「ヒルシャーさん、歩いてください」
「ん……?」
 当然のこと酔っ払いの反応ははなはだ悪い。
正直なところを言えば、いっそ肩に担ぎ上げて運んで行った方がトリエラにとっては楽なのだ。しかし、もしもそんな光景を作戦一課の連中に見られでもすれば、後々まで物笑いの種にされるのは必至である。
他の義体のように身も世もなく担当官に惚れ込んでいるわけではないが、それなりに愛情をもっている人間が嘲笑されるようなことになれば面白くはない。否、はっきりと不愉快だ。
「歩かないと、引きずりますよ!」
「ん…? ああ……」
「階段を昇りますからね。蹴つまづかないでください」
「ああ……うん…」
 言われている事が分かっているのやら分かっていないのやら、とりあえず歩行らしき足の動きが確認できたのでそのまま義体棟の階段を昇り始める。
強化された義体の筋力にとって男の体重など大した負荷にはならないが、体格差によるバランスの悪さはいかんともしがたい。
 義体棟に入れば人目もないのだし、いっそのことお姫様抱っこでもして目指す3階まで運搬してやろうかとも思ったが、廊下の隅にちらりと光った監視カメラの赤いランプを視界の端に認め、やむなくその衝動は心の奥底へ封じ込めることにする。

----ああもう、本当に面倒くさいったら。

 生もので壊れ物で酒臭い厄介な大荷物を、それでも根性で天地無用扱いのまま目的地まで担ぎ上げる。ふう、と大きく溜息をついて、トリエラは主のいない部屋の扉を開けた。


247 :【真夜中の呟き】:2008/05/15(木) 00:26:02 ID:zd3vav330
 普段あまり換気をする機会のない部屋はクラエスの描いた油彩画の保管場所にもなっていて、埃と絵の具の臭いが入り混じってお世辞にも快適な環境とは言い難い。しかもここにアルコール臭まで充満するのかと思うとげんなりする。
 とりあえずドアは開け放しておこう。まだ半分開いた扉をそのままにして、少女は肩を貸していた男をベッドに下ろそうと声をかけた。
「ヒルシャーさん、着きましたよ。シーツも毛布もありませんけど、マットレスがあるだけ床よりマシでしょう----うわ!」
 脱力した人間の重さを甘く見ていた少女の小柄な身体は、体格差に加え体重差をもろにかぶって担当官ごとベッドに倒れこんだ。ぶわっと埃が舞い上がりトリエラは咳込む。
「〜〜ッ。ヒルシャーさん、大丈夫ですか?」
 肩を組んでいたため、トリエラの細い左腕は男の体の下敷きとなっていた。更にあがきの悪いことに、男の右腕に抱えられる形で少女の半身はヒルシャーの上に重なってしまっている。
どこか怪我でもさせたのではあるまいかと少女は慌て、比較的動きやすい動作として顔を起こした。
「………トリエラ……?」
 ぼんやりと薄目をあけてヒルシャーが自分を見やった。思いがけず担当官の顔を間近で見てしまい、トリエラは妙にどぎまぎしてしまう。
「は、離してください。セクハラですよ!」
「トリエラ……」
 いつもならば一発で効き目があるであろうそのセリフも、アルコール漬けの脳には届かなかったらしい。夢だとでも思っているのか、むしろますますしっかりと抱きしめられてしまいトリエラは焦る。
「ヒルシャーさん、人に見られたら誤解されますよっ。ロリコン呼ばわりされてもいいんですか!?」
 冗談ではない。自分はヘンリエッタのように自分の担当官に恋などしていないのだから。
 けれど実を言えばスキンシップに弱いトリエラは、男の体温にかなり動揺していた。押しのけようにも、義体は条件付けの関係で公社の人間に、ましてや自分の担当官に全力で抗うことなどできない。


248 :【真夜中の呟き】:2008/05/15(木) 00:27:32 ID:zd3vav330
 子供をいとおしむようにおろしたままの金の髪にほお擦りされるに至って、半ばパニックに陥った少女は彼の母国語で拒絶の言葉を口にする。
「Ho¨r auf ! Lass mich in Ruhe!/いい加減にして! 私に構わないでください!」
 身勝手な大人なんて嫌い。あなただって、私をこんな機械の身体にした公社の人間のくせに。
そんな風にいとおしそうに抱きしめたりしないでよ。いまさら、普通の女の子扱いなんかしないでよ。
 ……だが、もがく少女の耳元でいつもの困ったような声がつぶやいた一言。
 
「Warum einverstanden Sie nicht ? Triela...」

----なぜ分かってくれない? トリエラ……。

 きゅうっ、と心臓を掴まれたように息が詰まる。
「………何を、分かってほしいんですか?」
 ややあって、トリエラはそっとささやいた。
 ヒルシャーの返事はない。その一言だけで、後は眠ってしまったのか静かな呼吸音が響くだけだ。反応がないのは承知で、少女はもう一度問い掛ける。
「言ってくださらなければ分かりませんよ、ヒルシャーさん。私は超能力者でも魔法使いでもないんですから」
 全身の8割が人工物でできた自分が、普通の人間のはずがない。それでも。
「言ってくださらなければ分からない程度には…私は、普通の女の子なんですから……」
 自分をつかまえたままの男の胸元へ顔をうずめ、少女はその鼓動の音に耳を澄ます。
 酔っ払いのたわごとなんか、本気で相手をするつもりなんてない。
 でも。
 普段ならば決して思わない、そんな気持ちにさせてくれたから。今日は、朝まで位はこのまま一緒にいてやってもいいだろう。
 華やかさはないが仕立ての良いスーツに、少しだけ甘えるように頬をこすりつけ、淡い微笑みを浮かべた少女はゆっくりと瞳を閉じた。


249 :CC名無したん:2008/05/16(金) 00:09:37 ID:OXadM9ES0
続きはあるのか?期待しちゃって良い?

250 :CC名無したん:2008/05/16(金) 13:25:58 ID:lDycAjsb0
続きありますw ただいま手直し中。
週明けくらいには投下できるかとw
でも期待は……どうだろう。
所詮うちの担当官はフラグクラッシャー。
”トリエラをお姫様だっこするヒルシャー”ではなく
”トリエラにお姫様だっこされるヒルシャー”
(あまりに情けなかったんでやめておきましたが…)
でも良かったんじゃないかと思えるくらい期待を裏切りそうな気も。

最初は酔った勢いで恥ずかしい恋の歌でも歌わせたろかと
思っていたんですが。ええ、肩を貸したトリエラの耳元でw
ドイツリートの楽譜が間に合わなかったので、こんな話に。
書き上げた後でちょうど良い歌曲が見つかったので、
それはそれで別の話に使いましたw 意訳し直さなきゃな、あれ。

本文中のトリエラのドイツ語は、トラベルドイツ語会話
『酒場で酔っ払いにからまれた時』。いや、なんかぴったりだったもんでw
でもトラベル独・伊会話集に口説き文句は載っていないので、
アリアだのリートだのから、対訳を見て必死に単語を拾い出してみたり。
大嘘書いてたらスミマセン。


251 :CC名無したん:2008/05/19(月) 21:32:41 ID:8bDBfiuk0
お待たせしました、【真夜中の呟き】後半投下します。
所詮ウチの鳥昼はこんなものw


252 :【真夜中の呟き】:2008/05/19(月) 21:34:06 ID:8bDBfiuk0
 朝の日差しのまぶしさに目を開ければ、視界に入ってきたのは見知らぬ天井だった。
 ここはどこだろう。自分の置かれた状況が一瞬理解できずにヒルシャーは2、3度目をしばたたく。
 確か昨夜は帰りがけにジョルジョとアマデオの二人組みに捕まって市街のバールへ連れ込まれたのだ。
徹夜明けの朦朧とした頭のまま常よりも早いピッチでグラスを空けていったのは覚えているのだが、どうやら不覚にも酔いつぶれてどこぞへ運び込まれたらしい。
 酒量を超えて轟沈したというよりは、単に睡魔の誘惑に勝てずに意識を手放した観の強いドイツ人は、当然二日酔いの頭痛などはなく、十分な睡眠を取ったことでむしろすっきりと爽快な気分で伸びを----しようとした。……したのだが。
 自分の身体の上になにやら温かな重みがある。
 しかもどうやら自分の腕はその温かなものを抱えているらしい。
 何かとんでもない予感にスーッと血の気が引くのを感じながら、男はおそるおそる自分の手元を確認する。
さらさらと手触りの良い金色の髪。すやすやと規則正しい呼吸に上下する華奢な体。
----そして、さらに想像を超えた恐ろしい現実が。
 すべすべした褐色の肌に見慣れた綺麗な顔立ち。
「----ッ!! トリエラ?!」
 はじかれたように飛び起きた男の上から小柄な身体がずり落ちる。
なぜ、どうして、何が起こったのか。反射的にその身体を支えはしたが、記憶の空白を埋める作業を試みる暇もなく男は混乱と恐慌の二重奏に陥った。
「ん……? ----ああ、ヒルシャーさん。おはようございます」
パニックの原因はパジャマに上着をはおった姿でもそもそと起き上がり、普段あまり目にする機会のないおろし髪で幼い子供のように目元をこすっている。
トリエラのそんな無防備な可愛らしい姿を目にするのは、実のところかなり貴重な機会なのだが、無論今のヒルシャーにそれを堪能する余裕はない。


253 :【真夜中の呟き】:2008/05/19(月) 21:36:15 ID:8bDBfiuk0
「ト、トリエラ、ここは、僕は、一体」
動揺のあまり文章にならず単語を並べるだけの稚拙な疑問文に、優等生はきちんと意を汲み取り適切な回答を返す。
「ここは義体棟の空き部屋です。昨夜私がお連れしました。公社まではジョルジョさんとアマデオさんとご一緒に戻ってらっしゃいましたけど。ご記憶にありませんか?」
「----いや」
 ない。全くない。
「君は、それで、その、何故----」
「あなたに肩を貸して上がってきたらそのまま離してもらえず、振りほどいて怪我でもさせるわけにはいきませんので、そのまま朝までご一緒しました。それが何か?」
きびきびと答える少女の顔は心なしか赤く、自分はまた彼女を怒らせるようなことをしたのだろうかと冷たい汗が男の額に浮かぶ。
「僕は…よもや君に…何か……」
「は?」
 一瞬きょとんとした表情を見せた少女は次の瞬間思い切り顔をしかめた。
「何を考えているんですか?」
「いや、その」
問い返されて狼狽する担当官にトリエラは冷たい視線を向ける。
「それともなんですか、ヒルシャーさんは酔うと私に何かしかねない性癖をお持ちなんでしょうか」
「Nein ! まさか! とんでもない!」
 見た目14歳の少女におまえはロリコンかと言われて男は必死に否定する。
「冗談ですよ。大体扉は開けっ放しなんですし、何かがあればすぐに人が来るでしょう。廊下には監視カメラだってあるんですから」
「それは…まあ…そうだろうな」
しごくもっともな少女の言葉にようやく通常の思考に立ち戻った男は、どうもみっともないところを見られてしまったなと苦笑するしかない。
冷静さを取り戻せば、我ながらあそこまで取り乱すことはないだろうとは思うのだが。


254 :【真夜中の呟き】:2008/05/19(月) 21:41:54 ID:8bDBfiuk0
「すまない、迷惑をかけたな」
「別に、謝っていただく必要はありませんよ。担当官の身の安全を確保するのは、義体の役目ですから」
「いや、しばらく酒は控えよう」
 恐縮した様子の担当官に、対する少女の言葉は厳しい。
「そんなことをおっしゃって、呑みに誘われれば断りはしないんでしょう。それで素面で最後まで付き合って、他の方々の飲食代を肩代わりさせられていれば世話ないですね」
「だが彼らも悪気があるわけではないだろうし、後からちゃんと払ってもらえることもあるし」
「払ってもらえない時の方が多いんでしょう」
「それはそれでいいんだ。僕も彼らと呑みに行くのを楽しんでいるんだから」
「お人好しですね」
 まったく、と溜息をついて少女はベッドから立ち上がる。
「ま、たまにはよろしいんじゃないですか、羽目を外すのも。毎回これでは困りますけど」
 羽目を外したわけではないのだがとは思ったが、せっかく少し少女の機嫌が直ったようなのだ。ここであれこれ言い訳するのは得策でないと見て男は沈黙を保つ。
「それでは私はこれで失礼します。朝食の前にシャワーも浴びたいですし」
「……すまん。この部屋も後で換気しないとならないだろうな」
「ああ、今窓を開けておけばシャワーから上がる頃には丁度いいでしょうね」
 素足に革靴を履き、少女はガラス越しの日差しに向かって歩み寄った。窓を大きく開放すれば少女に招き入れられた初夏の風が金の髪を舞い上がらせる。
「----暖かな季節でよかったですね」
「そうだな。君は風邪をひかなかったか?」
「大丈夫です。ヒルシャーさんは」
「僕も大丈夫だ。君のお陰だろうな。目が覚めた時も温かかったよ」
 その言葉で昨夜の男の行動を思い出し、トリエラは気恥ずかしさのあまりぎっと男をにらみ付けた。
「『子供』は体温が高いそうですからね!」
 またも余計な一言で少女の機嫌を損ねるヒルシャーである。


255 :【真夜中の呟き】:2008/05/19(月) 21:43:11 ID:8bDBfiuk0
「とにかく、つまらない噂を立てられる前に、ヒルシャーさんもオフィスでシャワーを浴びてさっさとお帰りになったらいかがですか? せっかくの休日なんでしょう」
「……そうしよう。僕の車は酒場に近くに置いたままだろうか」
「さあ? でも昨夜お二人が『公社へ戻るまでは捕まらなかった』と言ってましたから、誰かの車で帰ってきたのは確かでしょうけれど」
「----それなら僕の車だ」
「飲酒運転するおつもりだったんですか? らしくないですね」
「いや、酒場まで彼らを送っただけで、もちろんタクシーで帰るつもりだったんだ。……どこかぶつけていないだろうな」
 イタリアの公的機関に属し、ほとんど訛りのないイタリア語を話す彼だが、ドイツ人としてのアイデンティティなのかメルセデス社製の愛車をとても大切にしている。そんな男の様子に少女は小さく笑う。
「あなたが車を大事にしているのはお二人も知ってますよ。心配なら早く見に行ってください」
「そうするよ。ああ、明日は10時から第2会議室で古典文学の講義だ。君も今日はゆっくり休みなさい」
「はい、そうします。それじゃあ」
 コツコツと革靴の音を響かせて扉の方へ向かった少女はふと振り返り、ほんの少し上目遣いに男を見やった。
「ヒルシャーさん。……私に、何か言い忘れていること…ありませんか?」
「……休日の朝の邪魔をしてすまなかった」
「----もういいです。失礼します!」
 バタン!と勢い良く扉を外に叩き付けて、足音も荒く階段を下りて行く少女の後姿を、朴念仁の担当官はただただ困惑して見送った。
 




256 :【真夜中の呟き】:2008/05/19(月) 21:44:16 ID:8bDBfiuk0
 義体たちの寮である義体棟の食堂では、ビュッフェ形式の朝食が湯気を立てている。
同室者のクラエスと共に席に着いたトリエラに、年少組の少女が声をかけた。
「おはよう、トリエラ」
「ああ、おはよう、ヘンリエッタ」
「シャワー浴びたの?」
「うん、まあね」
 アルコール臭を消すために念入りに洗ったトリエラの髪は乾かしきる余裕がなくて、トレードマークのツインテールではなく、後ろへ流したままになっている。
斜め前に座ったヘンリエッタは、昨日から疑問に思っていたことを、いつものように賢く優しい『皆のお姉さん』に聞いてみた。
「ねえ、トリエラ」
「何?」
「セクハラって何?」
「? セクシャル・ハラスメント、性的嫌がらせの略だよ」
「せーてきいやがらせって?」
「あ〜、うーんと、男の人に身体を触られたり、無理やりキスされたりとか、そういうこと」
 隣席のクラエスが、男性から女性にとは限らないけれど、と冷静に付け加える。
「ええっ? 私だったらジョゼさんにキスしてもらえたら、すっごく嬉しくてすっごく幸せだよ!」
 自分の担当官であるジョゼに完全に恋しているヘンリエッタは、大きく目を見開いて驚きの声を上げた。
「そうじゃなくて、知らない男や好きでもない相手にそんな事をされたら、嫌だろ?」
「それは嫌! 絶対に嫌!」
「だから、そういうこと」
 どこでそんな言葉を覚えてきたんだか。おませなおちびさんの質問にトリエラは苦笑する。


257 :CC名無したん:2008/05/19(月) 21:45:32 ID:8bDBfiuk0
「そうなんだ……。でも、それじゃあ、トリエラはヒルシャーさんにキスされるのが嫌なの?」
 ぶはっ!とトリエラがむせる。
「……どうしてそこでヒルシャーさんの名前が出てくるのよ」
「だってトリエラ、昨夜言ってたじゃない。『ヒルシャーさん放してください、セクハラですよ』って」
「!」
 ヘンリエッタは聴覚を特に強化された義体だ。昨夜の騒ぎを全部聞かれていたのかと、トリエラは愕然とする。
「『人に見られたら誤解されますよ』って、どうしたの?」
「いや…だからそれはさ……」
 どう答えていいのか分からず片手で顔を覆ったトリエラに、たたみかけるようにヘンリエッタの質問攻めが続く。
「あ、それから『ろりこん』って何?」
「ヘンリエッタ〜〜〜」
 頭を抱えたトリエラに代わって、眼鏡のふちに軽く指先を当てながらクラエスが答える。
「……ロリータ・コンプレックスの略ね。性愛と同義で使用されることも多いけど、元は中年男性が思春期の少女ロリータに翻弄される恋愛小説が語源よ。
大人になり始めた少女に性的魅力を感じること。『援助交際』と表現する国もあるそうだけど」
「----ッだから! それが誤解だって言うの!!」
 
 ----そしてトリエラの休日は、弁明と口止めに費やされることになるのであった。


≪Das Eede≫


258 :【真夜中の呟き】:2008/05/19(月) 21:49:52 ID:8bDBfiuk0
>>257
ごめんなさい、一語抜けた〜〜っ

 頭を抱えたトリエラに代わって、眼鏡のふちに軽く指先を当てながらクラエスが答える。
「……ロリータ・コンプレックスの略ね。小児性愛と同義で使用されることも多いけど、元は中年男性が思春期の少女ロリータに翻弄される恋愛小説が語源よ。
大人になり始めた少女に性的魅力を感じること。『援助交際』と表現する国もあるそうだけど」
「----ッだから! それが誤解だって言うの!!」
 
 ----そしてトリエラの休日は、弁明と口止めに費やされることになるのであった。


≪Das Eede≫


259 :CC名無したん:2008/05/20(火) 01:37:18 ID:t5YcCi/i0
ちょ、筒ぬけww

トリエラの奮闘むなしく、休日あけ辺りヒルシャーにプリシッラちゃんたちが詰め寄るんだろうなぁ。
「義体棟に泊まったってほんと!?」って。

だってアマデオたちには口止めしてないよね?

260 :CC名無したん:2008/05/24(土) 00:26:52 ID:JjEu/Ze00
保守もかねて保管庫の「がんすりんがぁじょーく」、自分もやってみた。

義体が始めに条件付けされることは何か?
担当官の機嫌の取り方。

「アンジェは人にあったらなんて言うの?」
「そうね。よく会うのはアマデオさんだから「こんにちは、アマデオさん」かしら」
「で、アマデオさんはなんて言うの?」
「『俺はジョルジョだ』」



261 :【ポテトの国の王子様】:2008/05/25(日) 10:37:35 ID:xLzG0hq80
>>260
GJ! 爆笑ww

>>259
>筒ぬけww
ヘンリイアーは地獄耳ですからww

>トリエラの奮闘むなしく、休日あけ辺りヒルシャーにプリシッラちゃんたちが詰め寄るんだろうなぁ。
>「義体棟に泊まったってほんと!?」って。
>だってアマデオたちには口止めしてないよね?
してないですね〜。スルドイご指摘をありがとうございますw

おかげさまでこんなSSが書けました。
レスを拝見して、勢いで4時間くらいで書き上げしまいましたよww
今週仕事が滅茶苦茶ハードで死にかけてたので、すごく励みになりました。
ありがとうございます! これでまた来週働けるよ……。

感謝を込めてネタをご提供下さった259氏に捧げますw
BGMはマリーの『金婚式』あたりで。

ホントは【真夜中の呟き】の後にもう一つ、
超絶恥ずかしい後日談があったりするのですが、
それはまた今度投下することに。
楽しんでいただければ幸いですw


262 :【ポテトの国の王子様】:2008/05/25(日) 10:39:36 ID:xLzG0hq80
【ポテトの国の王子様】


 とんとん、と軽く数回机に書類の束が落とされ、バラバラに重ねられていた紙がまとめられる。整頓された机の端にその書類を置き、ペーパーウェイトを乗せるとヒルシャーは立ち上がった。
 ともすれば射撃場にいるよりも教壇に立っている方が似合っている生真面目なドイツ人は、義体の少女達に古典文学と歴史の講義を終えた後オフィスに戻り、午後の仕事の段取りをしていた。
10分程度の作業だが、それで午後の仕事のはかどり具合が格段に違う。
 少女達に講義を行う前に休日中の情報は一通り確認してあったのだが、ふたコマ2時間の講義の間にやるべき仕事がまた増えていた。要領の良い課員が他人に押し付けた雑務が、回り回って要領の悪い彼の所へ到着したらしい。
午後一番で必要な文書だけ急いで打ち上げてメールで送り、その後で段取り作業を終えたので、昼食の時間に大分ずれ込んでいる。オフィスに残る課員に食事に出ると律儀に声をかけ、男はスーツの上着を羽織って部屋を出た。
 



263 :【ポテトの国の王子様】:2008/05/25(日) 10:40:39 ID:xLzG0hq80
 職員用食堂で遅い昼食を摂り始めた男に、同じく仕事がずれ込んだらしい課員が食事を載せたトレイを片手に近付く。
「こんちはヒルシャーさんっ。ご一緒して良いすか〜?」
 明るく軽く元気良く。情報分析を担当する若い女性課員はとびきりの笑顔で男に話しかけた。
「ああ、プリシッラ。どうぞ」
 ナイフとフォークを皿に置きヒルシャーは丁寧に前の席を示す。
「へへ、どもです」
 男の目の前に座ったプリシッラは、トレイを置くとぐいっと身を乗り出し、悪童めいた表情で
彼に話しかけた。
「ねえ、ヒルシャーさん」
「? 何だい?」
「一昨日の晩、義体棟に泊まったってホントですか?」
「!」
 食事を再開しようとフォークに手を伸ばしたヒルシャーの動きが止まる。
「----どうしてそれを」
「アマデオから聞きましたよ〜」
「……まいったな」
 眉間に立て皺を寄せる男に、対するプリシッラはチェシャ猫の笑いだ。
「珍しいじゃないですか、ヒルシャーさんが酔いつぶれるなんて」
「酔ったと言うより、眠気に耐えきれなかったんだ。徹夜明けだったからね」
「しかもトリエラに連れて行ってもらったんですって?」
「そうらしいね。情けないことに記憶にないんだが」
「朝帰りなんて、ヒルシャーさんも隅に置けませんね〜」 
 苦笑する男をからかう愛の堕天使の言葉に、ふっとヒルシャーは真剣な顔になる。


264 :【ポテトの国の王子様】:2008/05/25(日) 10:41:30 ID:xLzG0hq80
「プリシッラ」
「へ?」
「僕のことは何を言われてもかまわないが、トリエラが誤解を受けるような発言はやめてくれ」
「はい??」
「彼女は義体の役目として、担当官の身の安全を確保しただけだ」
「や、やだなあ。冗談ですってば、ヒルシャーさん」
 まともに受け取らないで下さいよぉと両手を開いてみせるプリシッラに、男の表情は真面目そのものだ。
「冗談でも、その手の話題はえてして尾ひれが付いて噂になりやすいものだろう。彼女の名誉に関わる問題だ。軽率な発言はしないでくれ」
「わ、わかりましたぁ」
 予想を遙かに上回るドイツ人の堅物ぶりに、さすがの愛の堕天使もたじたじとなる。
「後で僕も会いに行くけれど、君もアマデオとジョルジョに会ったらよく言っておいてくれ」
「は〜いっ」
 不機嫌そうに黙々と食事を再開したヒルシャーの様子に、プリシッラはやや遠慮がちに言う。
「ヒルシャーさんは、ホントにトリエラのことを大事にしてるんですね〜……」
「当然だろう。あの子は僕の大切なフラテッロなんだから」
 いやあ、フラテッロ(兄妹)ってよりニネッタ(娘)でしょ。口に出さずに呟きつつプリシッラは少し冷たくなったペンネをぱくついた。





265 :【ポテトの国の王子様】:2008/05/25(日) 10:42:47 ID:xLzG0hq80
「”彼女の名誉”ときたか〜」
 飲料の自販機の横でたむろする3人の男女。昼食時の一件を話したプリシッラに、アマデオは呆れ半分感心半分だ。
「堅ぇ堅ぇとは思ってたが、そこまでガッチガチだとは思わなかったぜ」
 ジョルジョはといえばこちらはもう完全に呆れている。
「トリエラは愛されてるよね〜」
 うんうんとうなずくプリシッラは感心の度合いの方が強い。
「騎士道精神ってヤツか? ドイツ人てなぁ分っかんねぇなあ。女の価値なんざ口説かれてナンボだろうによ」
「ジョルジョ、あんたそれセクハラ」
「まあ、騎士道精神ってのは、自分の物にもならない女に一生を捧げて尽くす『究極のやせ我慢』らしいからな」
 愛の伝道師は腕組みしてもっともらしいことを言う。
「でもトリエラにしてみればどうなんだろうね〜。エッタだったらともかく、あの子は箱入り娘みたいに扱われても喜ばない気がするんだよね」
「深窓のご令嬢じゃなくて、戦うお姫様だからな。王子様に守られてもあんまり嬉しくはないだろうなあ」
「いっそ無理矢理押し倒されちまえばスッキリすんじゃねぇの?」
「……あんたヒルシャーさんに殺されたいの? 馬鹿ジョルジョ」
 愛の堕天使の言葉に愛の伝道師が応じ馬鹿が茶々を入れる。端から見れば掛け合い漫才だ。馬鹿に一発ツッコんでおいて、愛の堕天使はため息をつく。
「なかなか、パスタ王子とピッツァ姫みたいに大団円にはならないもんよね」
「まぁ、な。お堅いポテトの国の王子様じゃあ、あれが精一杯の愛情表現なんだろうよ」
「そうね〜」 
 その内また、揚げイモでもつまみに不器用でお堅い王子様と呑みに行くかな。少しは年頃の女の子の扱い方を教えてやらなくちゃね。空になった紙コップをくわえながら、愛の堕天使はそんなことを考えるのだった。


≪Das Ende≫


266 :CC名無したん:2008/05/26(月) 03:45:28 ID:O/JqrbC50
>>261
こちらこそガンスリSSに飢えてる状態なので>>261氏のSSはすごい楽しみにしてる。

ポテトの王子様のヒルシャー、いーよ。
ペンネよりもマカロニよりも、どのパスタよりもポテトは堅いんだ。

お礼ではないけどこちらもまた書いてみた。
>>230よりも多少ましになった程度なんだけどね。

でも好きなキャラ出せて自分は幸せだww

267 :CC名無したん:2008/05/26(月) 03:46:22 ID:O/JqrbC50
『野菜型の宇宙人が攻めてくる』

「チャオ、クラエス。何読んでるの?」
公社の庭のベンチに座って本を読んでいたクラエスは、本から顔を上げて一瞬あっけに取られた。
声からぺトラかと思ったら、そこにいるのは長い金髪のサングラスをかけた、ペトラとも似ても似つかないまったく別の女性だったからだ。
(ペトラじゃない……。誰?)
自分の頭の中のアルバムをすばやくめくって確認していく。
彼女の顔は少なくとも一期生のなかにも二課員のなかにもいなかった。
二期生の子かしら?と思ったが、そこまで親しい挨拶を
かわせる相手はペトラ以外いなかったはずだ。
(新しい研究員?二課以外の公社の職員?でも若すぎるような……)
誰にしてもこの挨拶はずいぶんと砕けた言い方だ。
もしかしたら自分の記憶障害が進んで親しい人を思い出せないのだろうか?
それほど自覚はなかったはずだけど、やっぱり薬の蓄積は自分にも
徐々に進んでいたのかもしれない。

結局わからなくてクラエスはこう言うしかなかった。
「あの……どなたでしたっけ?」

クラエスの言葉に彼女はひどくショックを受けた顔をした。
やっぱり自分の記憶障害かとクラエスは思ったのだが、
何かに気がついたように金髪の女性はいきなり手を打ちあわせると、
サングラスを外し、自分の髪を引っ張った。
金髪が取れその下から火のような赤い髪が見えた。

「……ペトラ?」


268 :CC名無したん:2008/05/26(月) 03:48:26 ID:O/JqrbC50
「ごめん。だますつもりはなかったんだけど、仕事から帰ったばかりで
メイク取るのを忘れてて」
「別に気にしてないから」
謝るペトラにクラエスは穏やかに言った。
「ホントさっきは私のこと、忘れちゃったのかと思った」
「私も記憶障害で誰か親しい人を忘れたのかと思った」
一瞬の間の後、クラエスの言葉をペトラが打ち消した。
「そんなことない!あれは私が悪かったんだし、クラエスは忘れたわけじゃないよ」
ペトラの白い頬に少し血が上って赤くなった。

(そうか……)
直接の面識はなくても彼女もアンジェリカの様子は知ってるらしかった。
公社はそんなに大きくないし、担当官はしゃべらなくても、
どこからかそういう情報は耳に入ってくる。
現にクラエスも検査中の義体技師が話しているのを聞いた。
よくは聞こえなかったが、穏やかな最後だったらしいと聞いて
クラエスは安心した。
しかしトリエラはそのことでナーバスになってるみたいだった。
条件づけが緩いといろいろ考えて大変なのかもしれない。

「……ありがとう」
落ち着いたクラエスの様子にペトラのホッとしたような緩んだ空気が伝わってきた。


269 :CC名無したん:2008/05/26(月) 03:49:33 ID:O/JqrbC50
「……えっと……なに読んでるの?」
ペトラがクラエスの本をのぞきこんだ。
「『野菜の種類と栽培』? ……あぁ、そうか。クラエスは菜園で
野菜栽培してるから」
「それもあるけど、野菜型の宇宙人がいつ攻めてきてもいいようにかしら」
「???」
ペトラのなにがなんだかわからないような顔を見てるとクラエスはふとおかしくなり、
笑いたくなった。

ピリリとペトラのズボンから音がした。
ペトラはポケットから携帯を取り出し、話し始めた。
「ごめん、サンドロが呼んでる。じゃ、いくね」
携帯をポケットにしまうとペトラは走っていった。




270 :CC名無したん:2008/05/26(月) 03:52:12 ID:O/JqrbC50
ペトラがいなくなったと思ったらすぐにトリエラがきた。
トリエラもどこかへ行くのかいつものスーツ姿だ。
しかし手にはなぜかクマのぬいぐるみを抱えていた。
「さっきの、ペトラ?」
「ええ」
「彼女、忙しそうだね」
「そうね」
「何、話してたの?」
「いろいろと話したわ」
「いろいろね。珍しくうれしそうだったけど?」
珍しくというのが少し気になったので、クラエスはトリエラにちょっと意地悪を言ってみた。

「そうかしら?いつもは私はうれしそうに見えない?」
「……そういうわけじゃなくてさ、なんて言うかこう、楽しそう、っていうか……
そう、生き生きしてたよ」
「生き生き?」
「さっきのクラエス、そういう感じだった」
「そう」
クラエスは菜園を見た。
一ヶ月前にビーチェと植えたハーブはすくすくと育っていた。


271 :CC名無したん:2008/05/26(月) 03:52:52 ID:O/JqrbC50
「……彼女、糸杉のようにまっすぐね」
「そうかな?」
「そうよ」
しばらく首を傾げながらトリエラは考えると言った。
「……そうだね、そうかもしれない」

「……行かなくていいの?」
「そうだ、私も行かなきゃ。じゃ、カリギュラのことよろしく」
「え、また?」
「彼、クラエスのこと気に入ったみたいだよ」
トリエラは抱いていたぬいぐるみをクラエスに押しつけると門へ走っていった。


272 :CC名無したん:2008/05/26(月) 03:57:20 ID:O/JqrbC50
ローマの街中で偵察任務の暇なときにペトラはサンドロにクラエスと交わした会話を話してみた。
言われたことは予想通りのことだった。
「馬鹿だな、冗談を言われたんだろ」
「そう?でもまじめな顔してたけど」
「大体クラエスは宇宙人が攻めてくるなんて信じてるようには見えないぞ」
「だよねぇ」
「気になるなら俺が聞いてこようか?」
「いい」
「なんで?」
「だってサンドロはきっとこう言うもの。
『うちのお馬鹿なペトラが言ったんだ。クラエスが野菜型の宇宙人が攻めてくるって妄想してる。どうなんだ?』って」
「その通りだ。よくわかったな」
「……そんなことを言うと、また『様』つけますよ、サンドロ様」
「『様』はやめろって」
ふっと二人の間に風が吹いた。
どこかで鉢植えでも栽培してるのか、風にハーブのにおいがのってる気がした。


273 :CC名無したん:2008/05/29(木) 00:01:58 ID:wnETlXo70
久しぶりに見に来たらスレがえらい伸びてて驚いた
もう四分の一まで来たんだね
そして、みんなGJ!

274 :CC名無したん:2008/06/03(火) 00:37:43 ID:QFieN3h70
>>266
ありがとうございますww 
自分なんぞのへっぽこSSでよろしいんでしょうか。
まだ2本くらいSSはストックがありますが、
そろそろ手直しだけじゃなくてあたらしいのも
書き出そうと……思ってはいるものの、
ファンタジーと違って現代物(?)は
調べないと書けないことが多くてツライっす。
いや、そんなに真面目に調べちゃいないけど。

ポテト王子、気に入っていただけたようで何よりですw
しかし芋王子と小麦姫の物語は大団円まで
まだまだ先が長そうだ……

>>267->>272
GJ! お手伝いビーチェに萌えww
カリギュラを抱えて歩くトリエラでご飯3杯はいけるよw
やわらかい雰囲気のSSで楽しかったですw


275 :CC名無したん:2008/06/03(火) 00:38:32 ID:QFieN3h70
>>273
ありがとうございますw
そーか、もう4分の1過ぎたんだ。
2週にいっぺんくらいはカキコできるといいなぁと
目論んでいるんだけど。


276 :【恋歌】:2008/06/03(火) 00:40:04 ID:QFieN3h70
えーと、今回は今まで書いた鳥昼SSの中で一番恥ずかしい話かも。
【真夜中の呟き】と【ポテトの国の王子様】の間の話です。
SSの中で使っているのとは別の曲ですが、
BGMはシューベルトの『野ばら』で。

原語の歌詞は200年も前のだから平気だろうけど、
訳詞をそのまま使うのはヤバイ気がして
必死で訳し直そうと足掻いてみたりみなかったり。
ウムラウト付きの母音とエスツェットは
文字が入ってないので横付けやb等で代用しました。
ドイツ語のできる方、突っ込まないでやってください〜〜。


277 :【恋歌】:2008/06/03(火) 00:42:38 ID:8vZIcGrh0
【恋歌】


 良く晴れた初夏の朝、9時40分。ぱりっとしたスーツにネクタイ姿の少女が、寮である義体棟から姿を現す。
 革靴の音を響かせてオフィスのある本部棟までの道のりを歩き始めた少女に、ラフな姿のイタリア男が声をかけた。
「Ciao ! よ、 トリエラ。一昨日はお疲れさん」
 一昨日の夜に自分の担当官を酔わせて連れ帰ってきた張本人の姿に、少女は一瞬眉を上げ、礼儀正しく応じる。
「おはようございます、アマデオさん」
「昨日は王子様に目覚めのキスはしてやった?」
「必要ありませんでした」
「じゃあ王子様が目覚めのキスをしてくれた?」
「それも必要ありませんでした」
「そいつは残念」
 ひょいと肩をすくめ、アマデオは言う。
「ヒルシャーさん、一昨日は連れて行ってもらって正解だったよ。仮眠室がいっぱいでさ。俺ら結局、朝まで車で寝てたんだぜ」
 大げさに嘆くイタリア男の言葉に、そうか車中泊という手もあったのかとトリエラは納得する。
次に自分の担当官が酔って帰ってきた時には是非ともそうしてもらおう。眠りこけた酔っ払いを寮の3階まで担ぎ上げ、せっかくの休日の朝までそのまま付き合わされた少女はそんな薄情なことを考える。


278 :【恋歌】:2008/06/03(火) 00:43:43 ID:8vZIcGrh0
「ところで、トリエラは確かドイツ語分かるよな」
「ええ、まあ」
 この優秀な少女がイタリア語の他にフランス語とドイツ語を習得しているのは、2課では有名だ。だが続く質問に少女は戸惑いを見せる。 
「ヒルシャーさんが歌ってるあの歌、なんて歌詞だか分かる?」
「は? 歌ですか?」
「そう。一昨日も歌ってただろ?」
「いえ……私は聞いていませんけれど」
「ふうん、そうか」
 まあ完全につぶれてたしな、とひとりごちて、アマデオはまたくるりとトリエラの方をに向き直る。
「なあ、今度ヒルシャーさんに聞いといてくれないか。こんな曲なんだけどさ」
 フフン、フンフンとハミングして聞かせるアマデオに、何で自分がと思わないでもなかったが、トリエラは律儀に覚えた曲を繰り返した。
「----ですね?」
「そうそう。さすがトリエラ、覚えが早い」
 Sei stata brava !  お見事!と両手を広げて男はにっこり笑う。女の子に対しての人当たりの柔らかさには定評のあるアマデオだ。イタリア男の如才ない反応にトリエラは冷静に答える。


279 :【恋歌】:2008/06/03(火) 00:45:10 ID:8vZIcGrh0
「おだてて下さらなくても結構ですよ。でも、どうして歌詞を私に聞いてこいと? ヒルシャーさんに直接お聞きになればいいじゃないですか」
「俺、ドイツ語分かんないし。それにさ、俺が思うに、あれは恋の歌なんだよ。酔っ払う度になんか嬉しそうな顔して唄ってるんだから」
「恋の歌ですか?  ヒルシャーさんが?」
 生真面目が服を着て歩いているようなあのドイツ人とはおよそ縁遠いと思われることを言われて、トリエラは面くらった。イタリア男はちちち、と人差し指を振ってみせる。
「愛の伝道師アマデオさんの目に狂いはない。けど、そうするとヒルシャーさんが教えてくれるとは思えないだろ?」
「私が聞いたからといって教えてもらえるとも限らないでしょうに。第一、何だってそんなに歌詞を知りたいんですか?」
「単なる好奇心」
「……」
 あっさりと返された答えに何やらどっと疲れを感じて少女は沈黙する。アマデオはひょいと体を折ってそんなトリエラの顔をのぞき込んだ。
「トリエラは知りたくないか? あの堅物のヒルシャーさんが、どんな恋の歌を歌ってるのかさ」
「そそのかしても駄目ですよ。一応、機会があれば聞いてみますけど、あまり期待なさらないでください」
「ああ。よろしくな」
 おどけた敬礼を見せて立ち去ったイタリア男に、何なんだろうなあとトリエラは軽くため息をついた。


280 :【恋歌】:2008/06/03(火) 00:46:46 ID:8vZIcGrh0
身振り手振りが付かなければ会話が成立しないと言われるイタリア人の中にあって、生真面目で堅物のあのドイツ人は無表情な男だと思われがちだが、存外そうでもないことをトリエラは知っている。
はしばみ色の瞳を和ませてうかべる穏やかな笑み、わずかに目を見開き眉を上げて示す驚き、意外と細く繊細そうな眉根を寄せて現す困惑。努めて感情を抑えていると思われる節はあるが、見慣れてしまえばむしろ感情がすぐに面に現れる方だろうと思う。
 ただヒルシャーは、自分といる時にはアルコールを口にしても決して乱れる量までは呑まない。酔った姿を見たのは一昨日が初めてだ。ましてや酔いにまかせて上機嫌に歌を歌う姿など想像がつかない。
 その彼が酒の勢いでどんな恋の歌を歌うのか、興味がないと言えば嘘になる。もっとも、だからと言って積極的にそれを問いただそうなどという気分にはならなかったが。
 まあ、命令でも義務でもないのだし。とその件は思考の外に追いやって、少女はいつものように担当官の待つ2課のオフィスへと向かった。




281 :【恋歌】:2008/06/03(火) 00:47:54 ID:8vZIcGrh0
「おはよう、トリエラ」
「おはようございます、ヒルシャーさん」
「一昨日は迷惑をかけてすまなかったな」
「いえ。自分の役目を果たしたまでですから」
 謝罪の言葉を口にするドイツ人に、対する少女の言葉はにべもない。
少女の前で見せてしまった己の醜態やら、その事によって休日の彼女の手を煩わせた事について、何か言いたいのだが何を言えば良いのか思い付かず、男はそうか、とだけ答える。
「今日は10時から古典文学、11時から中世ヨーロッパ史の講義だ。レジュメはここにプリントしてあるから、講義の前に皆に配ってやってくれ。何事もなければ、午後は寮に戻っていい」
「はい」
 事務的な会話を交わし、2課のオフィスを出て講義を行う会議室へと向かう。
 中庭に面した回廊を歩きながら男はまた口を開いた。
「トリエラ、いつも車内で流している音楽なんだが」
「はい」
「その、何か聴いてみたい曲はあるか? 曲名が分からなければメロディでもいい。僕の対応できる範囲で、できるだけ希望に即したものを用意するが」
 一昨日のお詫びにというつもりなのだろう。間が良いのか悪いのか、男はそんなことを言い出す。
いつもの不器用なご機嫌取りを腹立たしく思わないではなかったが、謀ったかのようなそのタイミングに、それでは、と少女は先ほど覚えたばかりの旋律をハミングする。
「----こんな曲なんですが、ご存知ですか?」
「ああ、"An Chloe"----『クローエへ』だ。モーツァルトの曲だよ。僕も好きなドイツ歌曲だ」
 少女の問いに男は足を止め笑顔で答える。


282 :【恋歌】:2008/06/03(火) 00:49:13 ID:8vZIcGrh0
 ほら、また。こんな小娘の言葉で一喜一憂して。理由のはっきりしない苛立たしさを礼儀正しさで押し込めて、トリエラはイタリア男の好奇心からなる質問を口に出してみる。
「どんな歌詞なんですか」
 少女が興味を示したのが嬉しいのか、生真面目なドイツ人は「こんな歌だよ」と母国語の詩を語り始めた。 

「Wenn die Lieb aus dienen blauen,
 青く澄んだ邪気のない君の瞳から
 Hellen,offnen Augen sieht,
 愛情が姿をのぞかせるなら、
 Und vor Lust hineinzuschauen
 君の瞳に見入らんとする僕の胸は
 Mirs im Herzen klopft und glu¨ht ; 
 喜びのあまり 高鳴り 灼熱する

 Und ich halte dich und ku¨sse
 君に触れ そのバラ色の頬に
 Diene Rosenwangen warm,
 あたたかく口づけし、
 Liebes Ma¨dchen, und ich schliebe
 愛しい乙女よ そうして僕はふるえながら
 Zitternd dich in meinen Arm !
 君を僕の胸に抱きしめる!」




283 :【恋歌】:2008/06/03(火) 00:51:02 ID:8vZIcGrh0
 楽しげな微笑みを浮かべて歌詞の前半を語り終えた男は、しかし少女が段々と黙り込んでいく気配に気付いて、いぶかしげにその名を呼んだ。
「トリエラ?」
「………そんな恥ずかしい歌を毎回歌ってるんですか?」
 きれいに通った鼻筋にしわを寄せて褐色の頬にわずかに朱をのぼらせた少女が、あざやかな青い瞳で少しやぶにらみに男を見やった。にらまれた相手は戸惑ったように聞き返す。
「え?」
「この曲はアマデオさんが教えてくださったんです。ヒルシャーさんが、酔うといつもこの歌を歌うんだと言って」
「……え?」
 愕然とした表情で男は不機嫌そうな少女の顔を見返した。
「皆さんはドイツ語があまり堪能ではないそうなので、歌詞の内容までは分からないそうですけど。でも、きっと恋の歌だろうから、歌詞を聞いてこいと言われました」
「トリエラ、それは----!」
「言いませんよ、そんな恥ずかしい歌詞だなんて」
 でも、その内アマデオさんがご自分で聞きに来るかもしれませんよ。唇をとがらせた少女はちょっと意地の悪い口調でそんなことを言う。


284 :【恋歌】:2008/06/03(火) 00:53:18 ID:jfiiyG9x0
 ----やはり少し酒は控えた方がいいのかもしれない。ヒルシャーは冷や汗を浮かべる。
 だがその一方で、以前のように慇懃に拒絶を示されるのではなく、そんな子供じみた表情を少女が見せてくれるようになったことを、男はほのかに嬉しく感じているのであった。


 Ma¨dchen, Ma¨dchen, und ich dru¨cke
 乙女よ、乙女よ、そうしてこの僕の胸に
 Dich an meinen Busen fest,
 君をしっかりと抱擁したならば
 Der im letzten Augenblicke
 もはや命つきるその最後の瞬間まで 
 sterbend nur dich von sich la¨bt ;
 君を放すことはできない

 Den berauschten Blick umschattet
 心酔わせるその眼差しに 暗い雲が陰をさせば
 Eine du¨stre Wolke mir,
 それだけでもう 僕は力を奪われ果ててしまう
 Und ich sitze dann ermattet,
 だがそれでも僕は この上なく幸せに
 Aber selig neben dir.   
 君のそばに身を置いているのだ


≪Das Ende≫


285 :CC名無したん:2008/06/03(火) 02:51:30 ID:RcdmFJPT0
面白かったよ。
歌詞を指摘されて焦るヒルシャーがいいね。

>子供じみた表情
これをトリエラに言ったら絶対すねるんだろうなあ。
でもそういうことをぽろっとヒルシャーが言っちゃって
すねるトリエラが見てみたいような……。

>ドイツ特殊文字の表示法
wikipedeiaで「ドイツ語アルファベット」で調べると
エスツェットはss、ウムラウトはeを後ろにつけるなんて方法があるみたいだね。

>ウムラウトの3文字は、印刷、タイプ等の都合でウムラウトを打つことができない場合には、eを後に付けて代用する。
>すなわち、Ae、Oe、Ue、ae、oe、ueのようである。
>印刷タイプ等の都合でエスツェットを打つことができない場合には、ssとする。

テストスレでウムラウトを入力したけど?になってしまって入力できなかったので
2chじゃ出来ないみたいだね。


286 :CC名無したん:2008/06/03(火) 03:06:44 ID:RcdmFJPT0
>>274
>現代物は調べ物が多い
ファンタジーと違って突飛なことは出来ないからねぇ。
でも職場にあった情報誌に「シチリアのデザート」が紹介されてあって、
「これ使えそう」と思ってまじまじと見ちゃったよ。
現代ものはこういうところからネタを採取できるから侮れないw

ペトラは好き嫌いの分かれるキャラだし9巻以降出てないから
書くのがまた微妙で……。自分は好きなキャラだけど一期生よりも扱いが難しい。

>やわらかい雰囲気のSSで楽しかったですw
楽しんで頂けてこちらもうれしいよ。

287 :CC名無したん:2008/06/10(火) 00:36:41 ID:ObmuxtsB0
>>285
ありがとうございますw
無自覚の告白は指摘されると恥ずかしいでしょうね〜〜。

>すねるトリエラ
見てみたいですねw
ただいま脳内シミュレーション中。

>ドイツ特殊文字の表示法
おお! ありがとうございます。
なるほど、勉強になるなあ。


288 :CC名無したん:2008/06/10(火) 00:38:11 ID:ObmuxtsB0
>>286
>「これ使えそう」
ありますねw 自分も今回のSSは
職場の環境美化活動で葡萄の手入れをしながら
思いついた話だったりします。

>好きなキャラだけど扱いが難しい
ん〜。でも、やはりSSは自分が書きたい
&読みたい話を書くのが基本でしょうw
(自分なんか今回ピーノですよ……)
これからも286氏のSSを楽しみにお待ちしておりますww


289 :【葡萄畑の神様】:2008/06/10(火) 00:39:10 ID:ObmuxtsB0
そんなわけで。
今更な気もしますが、ピーノとフランカのSSを
投下させていただきます。
テロリズムを擁護する気は更々ないのですが、
ちょっと綺麗な話に美化してしまったかなと反省。
BGMはL.アンダーソンの『忘れられた夢』あたりかなあ。
農作業をするピーノが書きたかっただけなんです……。


290 :【葡萄畑の神様】:2008/06/10(火) 00:40:16 ID:ObmuxtsB0
【葡萄畑の神様】


 澄み切った初夏の空をさわやかな風が吹き抜ける。青々とした葡萄畑の若葉がそれを受けてひるがえり、木々の間で作業をする農夫の麦わら帽子を跳ね上げさせた。
「へえ…案外風があるんだ」
 顔を上げ誰に言うともなくのんびりと呟いた、青年と呼ぶにはまだ少し年若い少年を、壮年の農夫が軽く叱咤する。
「おおい、ピーノ。ちゃんと説明を聞いてくれよ」
「ああ。ごめん、ドメニコ」
「今日の作業は葡萄の摘花だ。ほれ、枝ごとにみっつよっつ房がついとるだろう」
 ごわごわした樹皮に包まれた太い蔓から延びる、今年生えてきたばかりの若い枝を農夫は手に取った。
つややかな明るい緑色の枝には枝と同じ色の小さな花房が下がっている。まだ花開いていないそれは、枝の先端に育ち始めている小指の先程の物もあわせれば4つあった。
「こいつを一枝ごとに一房残して、他は切り落として行くんだ」
「どうしてだい?」
 手にした剪定用のはさみを物珍しげに打ち合わせながら少年はたずねる。少年が人を殺めるため意外の目的で刃物を手にするのは、あるいは初めてなのかもしれない。農夫は彼にとって当たり前すぎるその質問に、ちょっと驚いた顔になる。



291 :【葡萄畑の神様】:2008/06/10(火) 00:41:25 ID:ObmuxtsB0
「実りを良くするために決まっとるだろう」
「切り落とせば残った実が大きくなるのか?」
「そうさ。ちょいと考えてみな。枝に回る肥料を、三つに分けるのと、一つにまとめてつぎ込むのとなら、どっちが大きく育つ?」
「……ああそうか」
 少し考えた後納得したようにうなずいた少年の様子に、農夫が笑う。
「カテリーナお嬢様はおまえさんのことを『一流の殺し屋だ』なんて冗談をおっしゃっていたが、葡萄のことは何にも知らないんだなあ」
「彼女が言ってたのは別に冗談じゃないけど」
 農夫の純朴な笑顔につられて少年も微笑み返す。どことなく茫洋とした印象すら受けるこの少年が驚異的な腕のナイフ使いであることなど、農夫でなくともにわかには信じかねるだろう。
「でも、葡萄のことを何も知らないのも本当のことだな。切り落とすのはどれでも良いのかい?」
 手元にある房を適当に摘んだ少年に農夫は慌てた。
「おいおい、バカ言っちゃいかん。ちゃんと大きく育ちそうなのを選んで残すんだよ」
「そんなのも分かるものなのか?」
「大体はな。大抵は、一番大きく育っている根本の房を残すんだ。ただ、たまに花付きの悪い房や、枝の間に挟まって大きく育てなさそうな房もあるからな。そんな時には2番目の房を残すのさ」
「ふうん」


292 :【葡萄畑の神様】:2008/06/10(火) 00:45:36 ID:ObmuxtsB0
 まあ、本当のところどう育っていくのかは、神様の思し召し次第さなあ。人の良さそうな農夫の言葉に、少年は種と同じ程度の大きさしかないつぼみがみっしりとついた花房を、しげしげと見つめる。
「僕にも分かるかな」
「とりあえずは一番大きな房を残すと思っていればいい。迷ったらわしに聞きな」
「ああ、分かった」
 少年は気負うでもなく葡萄の枝を手に取り、摘花を始める。
さして迷いもなく、だが何も考えずに機械的に作業しているのでもなく、やわらかな蔓にちゃきり、ちゃきりとはさみを入れていく少年の姿はどことなく楽しげだ。
しばらくその様子を見ていた農夫は安心したように隣の葡萄の木に手を伸ばした。
 初夏の日差しの下、時折少年が確認を求める以外は農夫の鼻歌と二つのはさみの音だけが響く。
 太陽が中天に懸かる頃には、地面は切り落とされたつぼみの房でうっすらと緑の紗がかかったようになっていた。
そろそろ昼飯にしようと農夫が声をかけるまで少年は黙々と作業を続けていて、おまえさんは真面目だなあと、感心したように農夫は言う。
「そんなことを言われたのは初めてだ」
 少年は首を傾げる。
「ずっと同じ作業で飽きなかったか?」
「いや、全然。それに同じ作業じゃなかったよ。枝一つひとつで皆花付きが違うしね。結構おもしろかった」
「ほお。そいつが分かるとは、おまえさん案外農夫に向いてるかもしれないな」
 農夫は嬉しそうに笑い、小さなトラックに乗るように少年を促した。




293 :【葡萄畑の神様】:2008/06/10(火) 00:48:54 ID:P9oHNOQd0
 農夫の妻が腕をふるった素朴であたたかい昼食を平らげ、のんびりと煙草をふかす少年に葡萄園の女主人が声をかけた。
「おかえりなさい、ピーノ。初めての農作業はどうだった?」
「ああ、フランカ。結構おもしろかったよ」
「そう? それは良かったわ」
 農夫達が呼ぶ本名ではなく通り名で彼女に応えた少年に、女はやわらかな表情を浮かべる。
「若い働き手がいると、作業がはかどってドメニコも喜ぶわね」
 それで、今日は何をしてきたの? とたずねる女主人に、少年は午前中の作業内容を話す。


294 :【葡萄畑の神様】:2008/06/10(火) 00:50:40 ID:P9oHNOQd0
「----葡萄がどう育つかは神様の思し召し次第なんだってさ。でもドメニコは同じようにしか見えない葡萄の房が、どちらが大きく育つか大体分かるんだって言ってた。ドメニコには神様の考えていることが分かるらしい」
 少年の言い回しがおかしくて、若く美しい葡萄園の主は華やかな笑い声を上げた。
「案外あなたにも分かるようになるかもしれないわよ、ピーノ。ドメニコがあなたのことをすじが良いって誉めていたもの」
「さあ、どうだろう。煙草を呑む人間にはワインの味は分からないって、あんたは言ってたじゃないか、フランカ」
「じゃあ、これを機に禁煙してみない?」
「遠慮するよ」
 吸い終わった煙草を灰皿に押し付けて、少年は立ち上がる。
「部屋で一休みしてくる。午後はまたさっきの続きだってさ」
「そう。行ってらっしゃい」


295 :【葡萄畑の神様】:2008/06/10(火) 00:51:38 ID:P9oHNOQd0
 片手を上げ出て行った少年と入れ違いに、陰のある物静かな男がダイニングに現れた。
「フランカ、こんな所にいたのか」
「あら、フランコ」
「ピーノはどうした」
「気になる?」
 ふふ、といたずらっぽく女が問う。
「いや…」
「ドメニコを手伝って葡萄の手入れをしているわ」
「葡萄の手入れを?」
「ええ」
 女は棚からグラスをふたつ取り出し、テーブルに置かれたままのシンプルなラベルの瓶に手を伸ばすと、農夫達が丹誠込めて作り上げた葡萄酒を注ぐ。
「いい子ね、あの子。しばらく世話になるなら何か手伝えることはないかって、自分から言い出したのよ」
「そうか」
「育ててくれた恩人に『役立たずだ』って叱られて、自分も何かの役に立つんだって事を確認したかったのかもしれないけれど……」
 電話で少年が叱責された折にその場に居合わせていた男は、肩を落としひどく落ち込んだ少年の姿を思い出す。


296 :【葡萄畑の神様】:2008/06/10(火) 00:52:27 ID:P9oHNOQd0
「案外、農園の仕事が性に合っているらしいし----」
 女は深紅の液体で満たされたグラスを男に差し出した。
「殺し屋なんかやめて…このまま、葡萄畑の神様の御心が分かる農夫になった方が、幸せなのかしら」
「……その方が平穏な暮らしを送れるのは確かだな」
 受け取ったグラスに視線を落としながら男が言う。
「おまえだって、活動家なんてやめて、このまま葡萄園の女主人として収まってしまえば幸せなのかもしれんぞ。フランカ」
「フランコ! 本気で言ってるの!?」
 思いがけない言葉に、反政府活動を続ける女闘士は師である男を鋭い口調で詰問する。怒気を揺らめかせた瞳に臆することもなく、男は静かに言葉を続けた。
「だがそれでも、おまえは戦う事を止めはしないだろう。----人の幸せはそれぞれだ」
「そうね……」


297 :【葡萄畑の神様】:2008/06/10(火) 00:53:38 ID:P9oHNOQd0
 無実の罪で投獄された人間が獄中で不審な死を遂げる。そんな理不尽な世の中を変えるためには、自分一人安穏とした生活に逃げ込むことなどできない。偽りの平穏になど自分の幸せは望めない。
 父親の非業の死がなければ、自分のようなテロリストと関わることは一生なかったであろう女の、良家の子女らしい気品ある美しい顔を男は見つめる。
「ただ…しばらくは、こんな平穏な日々を過ごすのも悪くない。誰にでも休息は必要だ」
「そう…ね」
 少し苦さの混じった微笑みを返し、女は窓の外に広がる葡萄畑に視線を投げた。遠く遠く広がる緑の海に、神の恩寵を受けた恵みの果実が色を添えるまで。それくらいまでは、身体を、心を、休めても良いだろう。
 気丈な女闘士の表情を和らげゆるく息をつくと、葡萄畑の女主人はグラスを取り上げ、光をはじく深紅の美酒を味わった。


<<Das Ende>>


298 :CC名無したん:2008/06/11(水) 01:58:56 ID:2bA7VgwP0
GJ!

ガンスリのコピーに「少女に与えられたのは大きな銃と小さな幸せ」ってあるけど
それを彷彿とさせるようなSSだね。
と言ってもピーノは少女じゃないけどw

ピーノは義体じゃないから、その「小さな幸せ」を
追求して生きるということも出来たんだろうけど
でもそれをしない。
もちろんフランカもそうできるのかもしれないけどしない。

結局彼らが選んだのは義体と同じく「銃」のほうなんだよね。
その先がたとえ死が待ち受けていようと。
自身の意志なんだからそれなりの覚悟はあるとは思う。

でも、もし……ロッサーナが名うての諜報員を止めて、
「小さな自分だけの幸せ」を見つけたように
彼らも見つけられてたらとも思うよ。

299 :CC名無したん:2008/06/17(火) 23:56:39 ID:MQ01/dTZ0
>>298
ありがとうございますw
色々微妙な話かなとも思ったのですが、レスをいただけて安心しましたw

>その先がたとえ死が待ち受けていようと。
>自身の意志なんだからそれなりの覚悟はあるとは思う。
そうですね。でも義体は自身の意志で「銃」を選んだ訳ではなく、
死に向かう覚悟も、本当に自分の中から発生したものなのか、
他者からの強制----条件付けによるものなのか判断が付かないんだなあ
とかつらつら考えたらせつなくなってしまいました……。


300 :【左耳のささやき】:2008/06/17(火) 23:57:46 ID:MQ01/dTZ0
えーと。今回の鳥昼SSは4月の始めに書いていたもの。
初めて原作のシーンをなぞってみました。
たった2ページ分のシーンでこんなに苦労するとは!
憧れの3話だのピーノ戦だのなんて書ける日が来るのかよ……

BGMはJ.S.バッハの『無伴奏チェロ組曲 第1番 プレリュード』。
捏造設定ありですがお許し下さい〜〜。
フランス語圏のアフリカ系移民とかならありなのかなあとか、
半端なうろ覚えからひねくり出してみたり。
それなりに調べてから書き直して投下しようかとも思ったんですが、
も〜全然余裕がないし、あれこれ時期を逸してしまいそうなので、
あきらめて恥をさらすことにしました。
しんみりと楽しんでいただければ幸いです。


301 :【左耳のささやき】:2008/06/17(火) 23:59:12 ID:MQ01/dTZ0
【左耳のささやき】


 人間の左右の脳から延びる神経は交差しているから、右耳から入った音は左脳に、左耳から入った音は右脳に入る。
 右脳は情緒的感覚を、左脳は論理的思考を司るものだから、音楽を鑑賞する時には左の耳に意識を持っていって聴きなさい。----そんなことを言われたのはいつだったろうか。


 私は彼の左側を歩く。
 彼は右利きだから、右側の空間をあけておいた方が、とっさの場合に行動がとりやすい。
私も、彼が自分の右側にいた方が、いざという時に盾になりやすい。
最悪でも、自分の腕で彼の心臓をカバーすることくらいはできるだろう。
私の定位置は彼の左側。それが公社の外で危険と隣り合わせの任務に就く時の必然だ。
 だから私はいつも、彼の言葉を右耳で聞く。
 暗殺要員である私に穏便な対応を求めたり、彼の身を守るための存在である私の身を案じたり、人工の体を与えられた私を普通の子供のように扱ったり。
そのくせ、担当官として義体である私と距離を置こうとしたりする、そんな論理的矛盾を抱えた一貫性のない彼の言葉を。






302 :【左耳のささやき】:2008/06/18(水) 00:00:20 ID:aJTW5GS70
 正面に黒板を備えた講義用の部屋に、ぽつんと座る人物が二人。
手元のレポート用紙に文章をつづる金の髪の少女と、同じ列の机の、二つほど離れた左側の座席に座り物思いにふける男。
室内には少女がペンを走らせる音だけが響く。
 机の上に置いた腕時計に時折視線をやりながら、トリエラはためらいのない筆跡でレポート用紙にドイツ語を記してゆく。それは少女が義体化手術を受けて間もない頃からずっと続いているカリキュラムだ。
 人工の体を生身の体と同じように扱うためには、ある程度の訓練が必要とされる。
 指先の動きを多用する楽器演奏や書き取りが有効だと技師たちに言われ、筆記訓練を選ぶあたりはいかにも無粋なドイツ人らしいと同僚は笑うが、本来ヒルシャーは音楽を好む人間である。
それなのにあえて少女のカリキュラムに筆記訓練を選択したのは、それならば彼自身が少女に教えることができるからだ。
 最初はイタリア語を、彼女がドイツ語を覚えたいと言い出してからはドイツ語を。
 少女は元からイタリア語の他に日常会話程度のフランス語を話すことができた。筆記についても、同じラテン語系であるフランス語はドイツ語よりも遙かに修得は早かったが、ヒルシャーはフランス語についてはあまり積極的には取り組んでいない。
 イタリアの政府組織に所属する以上、イタリア語の読み書きを習熟する事は必須事項だ。だがフランス語は、忘れさせた彼女の過去の記憶に繋がる。
……少女がナポリ・マフィアによる人身売買組織に拉致される以前、幸せに暮らしていた祖母との会話は、フランス語で交わされていたはずなのだから。


303 :【左耳のささやき】:2008/06/18(水) 00:02:43 ID:aJTW5GS70
 彼女の幸せな過去を、彼は知らない。
彼が公社の調査記録から知っているのは、彼女の家族がもうこの世にいないということ。
彼がその目で見て覚えているのは、彼女が犯罪に巻き込まれ死に瀕していたこと。
----それだけなのだ。
 だからこそ、彼女のために、自分ができることがあるならば何かしてやりたかった。
 だがそうは言ってもヒルシャーは、子供は好きなのだが実際に接した経験があまりない。自分が幼かった頃周りの大人がどう自分に接していたか、遠い記憶を探るのがせいぜいだ。
それにした所でそもそもが男女の違いがあるのだし、ましてや思春期を迎えた難しい年頃の少女に、的確な対応が取れようはずもない。
 義体と担当官という特殊な関係に置かれた中、感情のままに振る舞うには生真面目すぎて、役目に徹するには情が深すぎて。
この不器用なドイツ人は3年たった今でも、少女にどう接するべきなのか迷い続けている。



304 :【左耳のささやき】:2008/06/18(水) 00:19:14 ID:4+DkNBWC0
 ペンを走らせる音が止まり、代わってコツコツと軽く机をたたく音がする。それは少女が書き終えた自分の文章を確認する時の癖だ。
男がそちらに視線をやれば、少女は空いた手で両側に結わえた長い髪の先をもてあそんでいる。
「長い髪は邪魔か?」
 金の髪がくるくると褐色の指先に巻き付けられてゆく様を見つめていた男が、問いかける。唐突な問いに少女はぴくっと顔を上げ、左側にいる男の方に顔を向けた。
「なんですか?」
「それだけ長いと暑いだろ」
「平気です」
 少女は前髪をかき上げ、レポートに視線を戻しながら答える。
「昔からこうですし……気になりません」
「そうか」
 思いつくまま口に出してはみたものの、年頃の少女の身だしなみについてそれ以上会話を続けることもできず、男は口をつぐむ。
「? 独作文、終わりましたけど……」
「うん」
 自分が一から教えたドイツ語を、この優秀な少女は完璧に修得し、公文書のイタリア語訳までこなすようになった。
今ではもう、自分が彼女の文章を手直しする必要もない。
 誇らしさと、一抹の寂しさと。そんな感情を覚えながら、男は手渡された少女の文章を評価する。
「良くできてるよ」
 彼の誉め言葉はいつもそっけない。だから大抵、少女もそっけなく受け止める。
よくやった、すばらしいと誉め上げれば、少女は返って不機嫌になる。公社に強制的に課せられた役割を果たしただけで過剰な賞賛を受けるのは、白々しくて腹が立つということなのだろう。


305 :【左耳のささやき】:2008/06/18(水) 00:20:52 ID:4+DkNBWC0
 けれど今日はなぜか、彼の評価を確認するように少女は自分の左側を見やる。
「そうですか?」
「ああ」
「そうですか」
 机に軽く突っ伏して自分を見上げる視線に少し戸惑いながらも、少女を気遣って男は言った。
「ひと休みしよう。コーヒーでも持ってくるから、ここにいなさい」
「私が行きます」
「いや、いいよ。僕が行く」
 スーツの上着を手に立ち上がりかけ、ふと午後の予定を思い出して男は少女を振り返る。
「……ああ、この後検査があるからエスプレッソは避けた方がいいかもしれないな。温かいココアで良いか?」
 自分が幼い頃、父親の飲むコーヒーの香りは大人の象徴であり、母親が淹れるココアの甘さは愛情の証だった。問われた少女は微苦笑を浮かべて答える。
「おまかせします」
「そうか」
 未だに彼女の好みは砂糖なしの紅茶であることを知らないドイツ人は、軽く汗ばむような陽気の中できちんと上着を身につけ、少女のために甘いココアを用意しにゆくのであった。
  
 




306 :【左耳のささやき】:2008/06/18(水) 00:22:43 ID:4+DkNBWC0
 私は彼の左側を歩く。
 だから、彼の定位置は私の右側。
 私はいつも彼の言葉を右耳で聞き、左脳で考える。
 彼は自分にどんな立場を演じて欲しいのか、彼が私に向ける感情は何なのかと。
そして論理的矛盾を抱えた一貫性のない彼の言葉に迷い、答えの出ないその疑問に悩む。
 けれど時折、左の耳が右の脳にささやく。
 矛盾していたっていいじゃないか。彼が私に向ける感情に、いつも嘘はないのだから。
その感情にどんな名が付くのであれ、彼が私を想って言っているのは確かなのだから、と。



《Das Ende》


307 :CC名無したん:2008/06/19(木) 01:43:00 ID:erf5T5jV0
GJ!
二人の距離感がいいね。

ラスト2行は
「トリエラは僕を絶対裏切らない 僕も君を裏切らない」
って言葉からだよね。

設定の創作はこれくらいなら許されるんじゃないかな。

オリジナルキャラクター大活躍だったら
あまり褒められるものではないだろうけどね。


ところでコミックスになってないネタをつかってのSSっていいかな?
もちろんネタバレは最小限に抑えるけど。

308 :CC名無したん:2008/06/20(金) 00:35:48 ID:q28Yza2K0
>>307
ありがとうございますww
自分でも気に入っているSSなので嬉しいですw
第22話からこんなネタを思いついてから
このSSのために1〜5巻まで位置関係を調べ直した自分。
第3話の仕事帰りはトリエラが右側だったので、一人悦に入っていたりw
……次のページでは左に移動してたけどな。

>ラスト2行
>「トリエラは僕を絶対裏切らない 僕も君を裏切らない」
勿論それは外せませんともww
まあそれ以外にも、怒ったり、心配したり、喜んだり、距離を置こうとしたり、
そういう彼の全ての言動が、みなトリエラに対する情がある故のものだと
……時々は、実感できているんじゃないかなあと。
 なんでしょーね、お師匠さんのお説教が右側から言われるとムカついて、
左側から言われた時はありがたいなあと感じるとゆー実体験から
思いついた話だったりするんですがw

>ところでコミックスになってないネタをつかってのSSっていいかな?
>もちろんネタバレは最小限に抑えるけど。
気遣いがあればオッケーなんでないかと思いますが。
自分的には楽しみ半分怖さ半分です(笑)


309 :CC名無したん:2008/06/20(金) 00:39:55 ID:q28Yza2K0
実は先日意を決して9巻を購入したのですが
……へこんだ〜〜〜。
これ読んだ後だったら、絶対【午後の遺言状】は書けなかったよ。
いっそのこと原作の鳥昼ラストシーンが決まってくれた方が
開き直って『彼らが幸せだった時間』を好きなよーに書けるんじゃないかと
いささか破れかぶれな気分に。
でも9巻の回想シーンではくまの話をするトリエラは右側に居たw


310 :CC名無したん:2008/06/20(金) 00:40:50 ID:q28Yza2K0
ドイツ歌曲でこんなのを見つけまして、J.S.バッハの曲なんですが
自分の中では、まるっと義体の歌になってますw
この一途さが切ないよう。
いつかこれを使ったSSが書けると良いなあ。
トリエラもこんな満たされた最期を迎えられるといいんですが。
アンジェがああだと、トリエラは対照的に描かれそうで怖いです。
ああ今週末が怖い……。
せめて幸せに逝かせてやってください〜〜!!


”Bist du bei mir ” 
あなたがそばにいたら

Birt du bei mir,
あなたがわたしのそばに居てくれたなら
Geh ich mit Freuden
わたしは喜んで
Zum Sterben und zu meiner Ruh!
死とわたしの憩いへと赴きましょう!

Ach, wie vergnuegt waer so mein Ende,
ああ、わたしの終末はなんと満ち足りていることだろう
Es drueckten deine lieben Haende
もしあなたのやさしい両手が
Mir die getreuen Augen zu!
わたしの忠実な両眼を閉ざしてくれるのなら!



311 :CC名無したん:2008/06/20(金) 00:42:51 ID:q28Yza2K0
すいません、あげちゃった

312 :CC名無したん:2008/06/22(日) 01:59:39 ID:QgOsMr0R0
>>308-310
確かに、9巻で必死にトリエラを死なせまいとするヒルシャーを見ると
トリエラが死んだあとのヒルシャーは書きづらいかも。

自分はそれを知ってても結構楽しめたけど。

>アンジェがああだと、トリエラは対照的に描かれそうで怖いです。
そうなりそうでマジで怖い。
ホントにこれからの展開が自分にとって怖いよ。

>ああ今週末が怖い……。

電撃大王、リニューアルで発売日が変わって6月27日発売だよ。
間違えて、先月号買っちゃダメだぞ。

これからネタバレありのSS、OKが出たのでうpするよ。
それなりに長いので保守もかねて二つか三つに分けるよ。

313 :CC名無したん:2008/06/22(日) 02:01:26 ID:QgOsMr0R0
『天使のほほえみ、疫病神の苦悩』

元は修道院だった建物に入る社会福祉公社の昼下がりは、まるでどこからか修道士が出てきそうな感があった。
その庭にあるベンチで修道士ではないスーツ姿の二人の男が座っていた。

「ヒルシャー、おまえのお姫様はまだ目覚めないのか?」
マルコーに問われたヒルシャーは顔を上げた。
彼のパートナーとなるべき少女----すでに義体と呼ぶ方が正しいのかもしれない--はまだ目覚めてなかった。
「……ビアンキ医師によれば、まだ少しかかるらしい」
「そうか」
無言。
マルコーは寡黙ではないし、むしろイタリア人らしくおしゃべりは好きだ。
その彼がしゃべれないほど、隣に座るヒルシャーからはなんとも話しづらい雰囲気があった。

マルコーは横目で寡黙生真面目な男を見やる。
ドイツ人らしい几帳面さで黒のスーツをきっちりと着こなしている男は、顔に陰鬱な苦悩の影を貼りつかせ、
その姿と相まって、まさに疫病神のような風体だった。



314 :CC名無したん:2008/06/22(日) 02:03:04 ID:QgOsMr0R0
マルコーは努めて明るく言った。
「俺のところのアンジェリカは、目が覚めたときはベッドで俺の話を聞くくらいだった。
でも三ヶ月たった今はかなり動くようになったし、そのうち射撃訓練もカリキュラムに入れようかと考えるくらいになった。
お前のところの義体も目がさめたらすぐに元気に跳ねまわって、銃をバンバン撃つようになるさ」
『パスタの王子さま』とタイトルが書かれたノートを脇にはさんで、
銃を撃つまねをするマルコーに、ヒルシャーは更に顔の黒い影が深くなった。
義体の目が覚めないことを気に病んでいるのかと最初は思っていたマルコーだが、
どうも違うようだった。
「目が覚めたら……君の義体と同じように彼女も射撃訓練をするようになるんだろうか?」

ドイツ人てぇのはみんなこうなのか?勘弁してくれよ、と心の中でマルコーはつぶやいた。
少女を戦わせるということは普通に考えたら、罪悪感を持っても不思議はない。
ましてやこの男とフラテッロとなる義体は、男自ら持ち込んだともっぱらの噂だった。
もしかしたらヒルシャーと義体の少女には何か繋がりがあるのかもしれない、ともささやかれていた。

315 :CC名無したん:2008/06/22(日) 02:05:13 ID:QgOsMr0R0
だからといってその罪悪感を持って義体と接することはいい結果にはならないはずだ。
こんなんじゃこの男の義体は、イタリアの気候にあるまじき、コイツのような
生真面目で陰気な義体になってしまうだろうとマルコーは他人事ながら案じた。

「おいおい、割り切らないとこの仕事はやっていけないぞ?」
「……そうだな」
ヒルシャーは一つ息を深く吐き出しベンチから立ち上がると、ふらりと病棟の方へ歩いていこうとした。
「そういやおまえ、名前つけてやったか」
ヒルシャーはいきなりの問いに足を止め、マルコーに意外そうな顔を向けた。
「名前?……いや、まだだ」
「じゃあ、考えて置けよ。俺のアンジェリカみたいな良い名前をさ」
「……あぁ、わかった」
ヒルシャーは先ほどよりも幾分しっかりした足取りで義体のいる病棟の方へ再び歩き出した。


316 :CC名無したん:2008/06/22(日) 02:07:45 ID:QgOsMr0R0
ヒルシャーが自分の義体に「トリエラ」と名前をつけてから二年が過ぎた。
再びマルコーとヒルシャーは公社の庭のベンチで座っている。

まるでロダンの考える人のように前かがみでベンチに座り、たばこをふかすマルコーは
疫病神につかれてるかのように顔に憂鬱な苦悩の表情を貼りつけていた。
「アンジェリカの様子はどうだ?」
ヒルシャーは尋ねてみるが、マルコーは黙ったままで、しばらくして
「良くない」
と一言だけ絞り出した。
マルコーは、『パスタの王子さま』を考え出した、以前のイタリア人らしい
おしゃべりと陽気さがすっかり影を潜めていた。

「義体技師のやつら、アンジェリカの記憶障害は悪くなることはあっても、良くなることはないと言いやがる。
あいつらが条件づけで忘れさせてるくせに」
他の課員からマルコーのアンジェリカに対する扱い方を聞くにつれて、最初は憤りを感じていたヒルシャーだが
そんな憤りなど吹き飛ばすほどに、実際に見たアンジェリカの様子はヒルシャーにとってもショックなものだったのだ。
マルコーの言うことはヒルシャーには痛いくらいわかる。
だが、マルコーにどう答えたらいいのかヒルシャーにはわからなかった。
やっと出た言葉は、皆に言い尽くされた、マルコーにとってはなんの忠告にもならない言葉だった。
「それでも……アンジェリカに少しは優しくしてやったらどうだ? 
君がつらいのはわかるが、アンジェリカだってあんな接し方をされては……」
「じゃあ、ヒルシャー。お前のトリエラがアンジェみたいになっても、
元気だったころと同じようにあつかってやれるのか?」

317 :CC名無したん:2008/06/22(日) 02:09:22 ID:QgOsMr0R0
トリエラもアンジェリカみたいにやがては記憶障害が出て、何もかも忘れていくのだろうか?
もしそうなったらマルコーがアンジェリカにするみたいな扱いを、自分もトリエラにしないとは言い切れるのか?

答えられずにいるヒルシャーを前に、マルコーはつぶやいた。
「まったく、こんなふうになるなんてアンジェリカはなんの疫病神に魅入られちまったんだろうな?
……いや、アンジェリーナを亡霊にしちまった俺自体があの子にとって疫病神なのかもしれないな」





318 :CC名無したん:2008/06/22(日) 02:17:09 ID:QgOsMr0R0
とりあえずここまで。
続きは近いうちに保守もかねてうpします。

でもうpしてみて思ったけど、あんまり長くないなw

319 :CC名無したん:2008/06/25(水) 00:13:04 ID:36RhjDl40
>>313-318
おお、マルコーさんの話だw
疫病神ふたりの対比がいいですね
続きに期待ww


320 :CC名無したん:2008/06/25(水) 00:14:31 ID:36RhjDl40
>>312
>9巻見ると 書きづらいかも。
>自分はそれを知ってても結構楽しめたけど。
ありがとうございますw
読むのは自分も平気なんですが、
書く方はきついものがあります〜〜

>発売日が変わって6月27日発売だよ
そーか、だから見つからなかったのか。イナカだから遅いのかと思ったw



321 :CC名無したん:2008/06/25(水) 00:16:29 ID:36RhjDl40
>ホントにこれからの展開が怖いよ。
怖いですね〜。
担当官をかばって死にそうな義体はいっぱいいるけど、
義体をかばって死にそうな担当官はヒルシャーくらいだろう
とか不吉な話題が取り沙汰される我が家の茶の間。
そんなんなったらトリエラの方が後追いしそうだよ……
でもヒルシャーがトリエラの反応速度を上回る行動をとるなんて無理っぽいww


322 :CC名無したん:2008/06/27(金) 01:29:32 ID:+xxxdaEc0
珍しく出来上がってる鳥昼の
なんだか湿っぽいSSを
エロパロ板に投下してきました。
よろしかったらご覧下さいw

pinkは直リン禁止と言うことなんで
とりあえずリンク張らないけど、いいかな?

323 :CC名無したん:2008/06/27(金) 23:36:01 ID:I1bJj8TL0
怖々しながら本誌を買った。
この先何があっても、どうやら幸せに逝けそうだ。
もう心配せず好きなよーにささやかな日常話を書こっとw


324 :CC名無したん:2008/06/28(土) 03:27:44 ID:b0KvW6jE0
正直四コマだけかと思ってたので
本誌に載っててちと驚いたよ。

なんつーか少し幸せですごく切なくなったな。
願わくばこの二人は幸せであれと思ったよ。

325 :CC名無したん:2008/06/28(土) 04:37:01 ID:b0KvW6jE0
>>322
読んできたよ。
基本自分はエロ苦手なのだが、読めた。
エロくて面白かったよ。

それにしても原作がこうなるとは……。
>>313載せづらくなっちゃったな。
でも載せるけどな。


326 :CC名無したん:2008/06/29(日) 01:42:05 ID:u0Bc0jJB0
『天使のほほえみ、疫病神の苦悩』その2

仕事の準備をしようと自分の部屋に行こうとしたトリエラは、
廊下でアンジェリカとぶつかりそうになった。
どこへ行くのか、彼女は大きな荷物を持っていた。
「アンジェ、出かけるの?」
「うん。また検査入院だって。トリエラもどこか行くの?」
アンジェリカは細い肩からずり落ちそうな荷物を廊下に置いた。
「私もまた仕事だよ。帰ってきたばかりなのにね。今度はトリノに行くんだ」
「いいなぁ。帰ってきたら、お話聞かせてね?」
「お土産といっしょにこのトリエラさまの活躍話、とっくりと聞かせてあげよう」
芝居がかったトリエラの物言いに、アンジェリカは小さく笑った。
その二人の間を図書室から本を持って帰ってきたクラエスが通りぬけた。
「二人とも、マルコーさんとヒルシャーさんが下で待ってるわよ?
あと、アンジェリカ、ベンチでたばこを吸うときは、携帯の灰皿を持つようにマルコーさんに言ってくれる?」
二人が窓から眺めるとマルコーの前には無数の煙草の吸い殻と灰がこぼれ落ちていた。
通りすぎて自室に消えるクラエスに、トリエラはマルコーをじっと見つめて動かないアンジェリカに代わって返事をした。
「わかった。言っておくよ。……さてと部屋へ戻って、行く準備をしないと」
「準備って? トリエラ、どこか行くの?」
「……トリノだよ、アンジェ」
アンジェリカのこの状態も、トリエラにとってはもう慣れたものだ。


327 :CC名無したん:2008/06/29(日) 01:43:26 ID:u0Bc0jJB0
アンジェリカは玄関へ去ったが、トリエラは彼女が荷物を置き忘れていたのに気がついた。
トリエラは慌てて彼女を追いかけた。
ベンチのマルコーの前にアンジェリカがいた。
「アンジェリカ、荷物はどうした?」
問いかけるマルコーに荷物がないことに今気がついたアンジェリカは、
ハッとした表情になった。
「荷物……。あっ」
アンジェリカは自分の周りを見回すが、もちろん彼女の周りにはなにもなかった。
「アンジェ、忘れ物だよ?」
「……ありがとう、トリエラ」
トリエラが持ってきた荷物を、アンジェリカは安堵の表情で受け取った。
マルコーを見てトリエラはクラエスの言ったことを思い出した
ちょうど良い、覚えていない彼女の代わりに今言ってしまおう。
「マルコーさん。クラエスが煙草を吸うときは灰皿を持ってきて欲しいと言ってましたよ?」
「……今度は持つようにする」
トリエラの注意にマルコーは落ちた煙草を拾うと、アンジェリカに声をかけた。
「ほら行くぞ、アンジェリカ」
「はい」
担当官と出かけるのがうれしいのか、さっきの出来事はなかったかのようにアンジェリカはマルコーに微笑みかけた。
彼女の笑顔は名前のとおり天使のようだ、とトリエラは思った。
だが、マルコーは彼女の笑顔から顔を背けるように前にへ向くと足早に歩き出した。


328 :CC名無したん:2008/06/29(日) 01:45:09 ID:u0Bc0jJB0
ヒルシャーは門へ歩くアンジェリカたちからトリエラのほうへ向いた。
「トリエラ、もう準備ができたのか」
「まだです。アンジェリカを忘れ物を持ってきただけですから。
それにクラエスに担当官の行動に気をつけるように言われてきました」
「煙草か。彼女はマナーにはうるさそうだからな」
ヒルシャーはマルコーが片付けきれなかった煙草の灰を見て苦笑した。

ヒルシャーとトリエラは門のほうを見た。
門の傍に駐車したマルコーの車にアンジェリカが乗り込もうとしていた。
彼女のふらつく身体は大きな荷物だけのためではないようだった。
「検査入院と言ってましたけど、アンジェリカは大丈夫でしょうか?」
「どうだろうな」

もし、私がアンジェリカのようになったら、あなたもマルコーさんにみたいになってしまうんですか、ヒルシャーさん?
トリエラは無性に聞きたかったが、言えなかった。
そして答えを知るのが恐かった。

「トリノから帰ったらアンジェのお見舞いに行きます」
「そうか」
ヒルシャーの目はなにかを思いつめたように、去っていくマルコーの車を見つめていた。


329 :CC名無したん:2008/06/29(日) 01:46:15 ID:u0Bc0jJB0
「あの!……ヒルシャーさん、あのときの言葉は……まだ生きてますよね?」
「言葉?」
去った車から傍らのトリエラに視線を移し、ヒルシャーは言われたことを反芻した。
あのときとはいつのことだろう。
思いつかないヒルシャーに業を煮やしたトリエラが、顔を赤らめながら
小声で言う。
「……裏切らないという言葉です」
その言葉か。
合点がいったヒルシャーはトリエラに微笑んだ。
「できる限り君の期待に添えるように努力しよう」
たとえ君が、僕のことを忘れても。
ヒルシャーは心の中でそうつけたした。
「私もできるだけあなたの期待に答えます」
トリエラは赤らめた顔を一瞬だけヒルシャーに向けると、うつむいた。

「……そろそろ出かけようか」
「……はい。急いで準備をしてきます」
金の髪を揺らしながら、トリエラは義体棟に戻って行った。
彼女の頬はまだ少し赤かった。

その後ろ姿を見ながらヒルシャーは思う。
できる限り彼女が、無事に生きていけるよう守っていこう。
たとえそれがどんなに困難な道でも。

330 :CC名無したん:2008/07/02(水) 09:03:47 ID:65d07jA20
>>326
GJ!
こういう穏やかでせつない鳥昼は良いなあ。

>トリエラは無性に聞きたかったが、言えなかった。
>そして答えを知るのが恐かった。
>「あのときの言葉は……まだ生きてますよね?」
せつな〜〜〜。
「トリエラは僕を絶対に裏切らない。僕も君を裏切らない」
自分はこの台詞で鳥昼にどっぷりハマったんすよww
3話の時点であの不器用な父親と反抗期の娘?が
かなり好みではあったんですが、やはりあの台詞は秀逸です。

>「できる限り君の期待に添えるように努力しよう」
確証が得られない事に関しては安易な約束をしない。できない。
この生真面目さ、不器用さがヒルシャーさんらしくていいですねw

331 :CC名無したん:2008/07/02(水) 09:07:23 ID:65d07jA20
>>325
ありゃ、そーだったんですね。
スミマセン。ありがとうございましたw
自分では必要性のないエロは書かない質なので
あの主題を消化するためにはああいう表現かなあと。
で、間接話法のオンパレードw いや、好きなんだけど。


『 接吻 』という詩はノーエロネタの裏付けを取ってる時に拾ったもの。
結局裏付けは取れなかったんだけど、瞼のキスはその内こっちで書く予定。
只今3つ位のネタを同時並行で書いてます。どれが先に仕上がるかな。
>それにしても原作がこうなるとは……。
ホントにああくるとは思いませんでした。すれ違いが埋まったのは万々歳なんですが
最近のは演出のけれん味が多すぎて、初期の淡々としたイメージが……う〜〜ん。
好みはそれぞれあると思いますけどね。
しかしこうなると、ささやかな日常話を書いても、ただのバカップルのいちゃいちゃ話
みたいになってやだなあ(笑)書くけどな。

>載せづらくなっちゃった
書けなくなったネタもいくつかありますよね……
【左耳のささやき】も今月号の後だったらお蔵入りだったかも。
現在進行形の作品のパロディって、こーゆーのがあるから書きにくいよなあ。

332 :CC名無したん:2008/07/03(木) 03:06:22 ID:lkhrpLvI0
>>331
>埋まるすれ違い
どうだろうなぁ、トリエラがキスした時のヒルシャーは眠ってたからねぇ。
だからペトラとサンドロみたいな恋愛的な両思いにはならないのではと踏んでるけど。

この手の少女マンガ的展開は自分は大好きだから喜んだと同時に切なくなったよ。
今回の最後の1Pは個人的名シーンである「くそったれのアレッサンドロ!
このわからず屋!」のシーンと同じくらい好きだ。
でも一緒に読んでる姉は「あの親子みたいな関係が良いのに恋愛になってしまうのは……」と
ちょっと不満そうだった。


333 :CC名無したん:2008/07/04(金) 23:07:53 ID:RPbmFCzd0
>>332
>埋まるすれ違い
>どうだろう
あー、確かに双方向の解決じゃないですよね。

>恋愛的な両思いにはならないのではと
自分もそう思います。
堅物ヒルシャーさんは今更変わり様がなさそーなので、
トリエラの方が彼のピントのずれた?愛情をそれで良しと受け止められれば、
状況的にはすれ違わなくなるのかなあ、とか。


334 :CC名無したん:2008/07/04(金) 23:09:04 ID:RPbmFCzd0
>この手の少女マンガ的展開
いや、自分も嫌いじゃないんですよ? むしろ好きなんですが。
初期の雰囲気にこだわらなければ幸せに読めるのは
分かってるんですけどねえ。1〜5巻と一期アニメをおかずに
SSをでっち上げてた期間が濃かったからなあ。……うぬう。

>「あの親子みたいな関係が良いのに恋愛になってしまうのは……」
姉君のご不満も分からなくはないよーな(笑)
自分の書くSSでも基本は親子ップルだと思っているので、
これからもここに投下するのはきっと微妙な距離感のままでしょうw


335 :CC名無したん:2008/07/04(金) 23:10:39 ID:RPbmFCzd0
>>285
>>子供じみた表情
>これをトリエラに言ったら絶対すねるんだろうなあ。
>でもそういうことをぽろっとヒルシャーが言っちゃって
>すねるトリエラが見てみたいような……。

以前>>285氏にリクエストをいただきました『すねるトリエラ』ですw
ご期待に応えられたかどうかは定かでないんですが、
こんな感じでいかがでしょうか?
タイトルと某バンドは何の関係もございませんw
BGMはチャイコフスキーの『くるみ割り人形』から”あしぶえの踊り”。
イタトマでイタリアンチリドッグを食べながら思い付いた話。
でもイタトマのチリドッグは小さい。おやつにも足りなかった。
結局パスタも一皿追加。散財してしまった……。


336 :【レッドホットチリペッパー】 :2008/07/04(金) 23:13:47 ID:RPbmFCzd0
【レッドホットチリペッパー】

 
 恋と食事が人生において重要な地位を占めるイタリア。しかし昼時にそのバールに現れたのは謹厳実直を旨とするドイツ人と、そのパートナーである真面目な優等生の二人連れであった。
 娯楽よりも栄養摂取に主目的をおいた二人は小さなテーブルに向かい合わせに座り、手書きのメニューを開く。
「ヒルシャーさんは、ドイツ人なのに3食普通にイタリア料理を食べるんですよね」
 自分の方を向けて広げられたメニューに視線を落としながら、不意に思い出したように少女が言う。
「別に、ドイツ人だからと言ってジャガイモとソーセージしか食べないわけではないよ」
「それはそうでしょうけど」
 男が生真面目な顔をして、溶けたチーズがこぼれないようにと少し上向きでピッツァを食べる姿などは、何か意外なものを見たような気分にさせられる。
やはりこの男には、つぶしたジャガイモをナイフでフォークの上に丁寧に盛りつける姿の方が似合っている気がするのだ。無論、偏見だろうが。
「ドイツにいた頃にはパスタなんてそれ程美味しいものだとは思わなかったんだが、やはり本場の味は小さな店でも違うものだな」
「そんなに違いますか?」
「ああ。何というか、もっとこう、柔らかくて水っぽい太めの麺だった」
「……単に茹ですぎなんじゃないですか」
「そうかも知れない」
 妙に重々しくうなずくヒルシャー。彼にとってその記憶は余程のカルチャーショックだったのだろう。だがそう言いながら、メニューをたどる彼の指はパスタの欄を素通りして、パニーニの欄で止まる。


337 :【レッドホットチリペッパー】 :2008/07/04(金) 23:15:36 ID:RPbmFCzd0
「ちょっと変わったメニューがあるな」
「ソーセージとチリソースのパニー二……これですか?」
「ああ。食べてみるか」
「そうですね」
好き嫌いなどないトリエラは、特にこだわりももたずに男の言葉に従う。
同じものを二つ頼めば、ほどなくして温かなクラスト生地にクレソンとソーセージを挟み、溢れんばかりにチリソースをかけたイタリア流ホットサンドイッチがテーブルに運ばれてきた。
「結構大きいな」
 エスプレッソのカップを手にしながら、男は一つの皿に盛られた二つのパニーニを見やる。
「そうですね。ああ、でも食べやすいように二つに切ってありますよ」
 少女は男の言葉に応えながら、斜めに切り分けられたパニーニの一つを紙ナプキンでくるんで取り上げた。
お先にいただきますと律儀に断って、少女は大きく口を開けた。ソーセージの皮がはじける、ぱりっという心地よい音が響く。
だが続いて口の中に広がった辛さに、少女はうっと硬直した。
トマトに玉葱に、ズッキーニ、パプリカなどを刻み込んだチリソースが、舌の上でピリピリと跳ね回る。なかなか噛みきれない熱々のソーセージとが相まって、少女は口の中の食物の摂取に四苦八苦する。
 どうにかしてソーセージのを噛みきろうとしっかりと生地を押さえれば、具材のたっぷりと入った赤いソースが切り口から溢れ出してきて、トリエラは焦る一方だ。
 目の前の男が慌てて追加の紙ナプキンを差し出した。パニー二をくわえたままそれを受け取り、急いで指ごと包み込む。紙の端を指にからげてパニーネを持ち直すと、ようやく本体から離れたソーセージを咀嚼しながら、少女は左手で口元を覆った。


338 :【レッドホットチリペッパー】 :2008/07/04(金) 23:17:01 ID:RPbmFCzd0
「大丈夫か、トリエラ」
「----熱いですよ、これ」
 口の中のものを飲み込んで少女は不機嫌そうに答えた。心配そうに尋ねられるのがいささかきまり悪い。
「火傷していないだろうな」
 気遣わしげにソースのついた指を見る男に少女は苦笑する。
「私の体はそんなに柔じゃありません」
「つまらない怪我をするんじゃないぞ」
チリソースごときで火傷するようじゃあ、公社の技術も大したことないですねと軽口を叩いてやろうかとも思った少女だったが、男の様子にそれはやめておく。
少女に与えられた人工の身体は生身に比べて随分丈夫だが、一旦傷付けてしまえば手術による”修理”を行わなければ治癒しない。麻酔のために使われる薬物が彼女の生身の部分に負担をかけることを危惧する担当官の表情は、真面目を通り越して真剣だ。
 彼の身を守って負う傷ならば役目の内だが、こんなことで怪我をするのは確かにつまらない。なんとなく気まずくて、はいと答えながら少女は残るパニー二を口に押し込み、指に付いたチリソースをごしごしと拭き取った。


339 :【レッドホットチリペッパー】 :2008/07/04(金) 23:17:57 ID:RPbmFCzd0
 そんな少女の様子を見つめていた男は、ふと何かに気付いてもう一枚紙ナプキンを取った。
「トリエラ」
「?」
「ついてるぞ」
 男はテーブル越しに手を伸ばし、少女の褐色の頬についた赤いソースを拭う。
「あ、すみません」
 肌を軽くこするこそばゆい感覚に、口をもぐもぐさせながら少女はくすぐったそうに薄く片目を閉じた。
「……何ですか?」
 何やらうって変わってなごんだ表情で微笑んでいる男に、少女はたずねる。
「いや。子供らしい表情だな、と」
 思わずこぼれた男の言葉に、みるみる内に少女の顔が赤くなる。
「子供じみた真似をするなとおっしゃりたいんでしょう!」
「トリエラ、そう言うつもりでは……」
「あなたの手を煩わせてすみませんでしたっ」
 ぴしりと言い捨てた少女は、それっきりもう男と視線を合わせようとしない。
 これはしばらく、ろくに口をきいてくれないだろうな。
 すっかりすねてしまった少女の様子に、迂闊な担当官は空を仰いで嘆息するのだった。


<<Das Ende>>


340 :【レッドホットチリペッパー】 :2008/07/04(金) 23:27:31 ID:RPbmFCzd0
「大丈夫か、トリエラ」
「----熱いですよ、これ」
 口の中のものを飲み込んで少女は不機嫌そうに答えた。心配そうに尋ねられるのがいささかきまり悪い。
「火傷していないだろうな」
 気遣わしげにソースのついた指を見る男に少女は苦笑する。
「私の体はそんなに柔じゃありません」
「つまらない怪我をするんじゃないぞ」
チリソースごときで火傷するようじゃあ、公社の技術も大したことないですねと軽口を叩いてやろうかとも思った少女だったが、男の様子にそれはやめておく。
少女に与えられた人工の身体は生身に比べて随分丈夫だが、一旦傷付けてしまえば手術による”修理”を行わなければ治癒しない。麻酔のために使われる薬物が彼女の生身の部分に負担をかけることを危惧する担当官の表情は、真面目を通り越して真剣だ。
 彼の身を守って負う傷ならば役目の内だが、こんなことで怪我をするのは確かにつまらない。なんとなく気まずくて、はいと答えながら少女は残るパニー二を口に押し込み、指に付いたチリソースをごしごしと拭き

341 :【レッドホットチリペッパー】 :2008/07/04(金) 23:29:50 ID:qYwDlGP20
「大丈夫か、トリエラ」
「----熱いですよ、これ」
 口の中のものを飲み込んで少女は不機嫌そうに答えた。心配そうに尋ねられるのがいささかきまり悪い。
「火傷していないだろうな」
 気遣わしげにソースのついた指を見る男に少女は苦笑する。
「私の体はそんなに柔じゃありません」
「つまらない怪我をするんじゃないぞ」
チリソースごときで火傷するようじゃあ、公社の技術も大したことないですねと軽口を叩いてやろうかとも思った少女だったが、男の様子にそれはやめておく。
少女に与えられた人工の身体は生身に比べて随分丈夫だが、一旦傷付けてしまえば手術による”修理”を行わなければ治癒しない。麻酔のために使われる薬物が彼女の生身の部分に負担をかけることを危惧する担当官の表情は、真面目を通り越して真剣だ。
 彼の身を守って負う傷ならば役目の内だが、こんなことで怪我をするのは確かにつまらない。なんとなく気まずくて、はいと答えながら少女は残るパニー二を口に押し込み、指に付いたチリソースをごしごしと拭き取った。


342 :【レッドホットチリペッパー】 :2008/07/04(金) 23:31:20 ID:qYwDlGP20
取った。
 そんな少女の様子を見つめていた男は、ふと何かに気付いてもう一枚紙ナプキンを取った。
「トリエラ」
「?」
「ついてるぞ」
 男はテーブル越しに手を伸ばし、少女の褐色の頬についた赤いソースを拭う。
「あ、すみません」
 肌を軽くこするこそばゆい感覚に、口をもぐもぐさせながら少女はくすぐったそうに薄く片目を閉じた。
「……何ですか?」
 何やらうって変わってなごんだ表情で微笑んでいる男に、少女はたずねる。
「いや。子供らしい表情だな、と」
 思わずこぼれた男の言葉に、みるみる内に少女の顔が赤くなる。
「子供じみた真似をするなとおっしゃりたいんでしょう!」
「トリエラ、そう言うつもりでは……」
「あなたの手を煩わせてすみませんでしたっ」
 ぴしりと言い捨てた少女は、それっきりもう男と視線を合わせようとしない。
 これはしばらく、ろくに口をきいてくれないだろうな。
 すっかりすねてしまった少女の様子に、迂闊な担当官は空を仰いで嘆息するのだった。


343 :CC名無したん:2008/07/04(金) 23:33:44 ID:qYwDlGP20
しまった〜〜
ダブっちゃったよ。
すみません

344 :CC名無したん:2008/07/04(金) 23:56:35 ID:SbHt2dcG0
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1390388

クソワロタwww

345 :CC名無したん:2008/07/06(日) 00:20:59 ID:OBJk3p/i0
>>336
すねるトリエラがかわいいな。でもすねたまんまなのかw
トリエラの子どもらしい表情に和んでいるヒルシャーも良い味出してるね。
つかヒルシャーもかわいいw

ところで>>336氏は専ブラ使ってるのかい?
それともIEとかの普通のブラウザなんだろうか?
ギコナビとか専ブラを使うとレスを送信してもたまに送信されてなかったりするから
ちょっとどきどきなんだよな。回線のせいだと思うけど。
あと他スレに誤爆とかね。

何を言いたいかっていうと、まぁ気にするなと言うことだ。



346 :CC名無したん:2008/07/21(月) 22:38:55 ID:kkHQHEtN0
>>345
ありがとうございますw
うちの親子ップルは、ともすれば娘より父の方がかわいいと
友人に言われていますw

ドイツから帰ってきた方によると、ドイツのパスタはすごいらしいです。
どうすごいのかって、いわく

「『ソフトめん』をカルボナーラで出されてみぃ!!」

・・・・・・それは勘弁して。

>専ブラ使ってるの?それともIEとかの普通のブラウザ?
以前かちゅ〜しゃを使ってみたんですが、なんだか相性が悪かったらしく、結局今はIEです。
てかPC本体がもう7年前の代物なので、いい加減あちこちへたってますわ〜〜。
>まぁ気にするな
ありがとうございます〜〜w

ちょっとネタバレありなんだけど、勢いで書いてしまった
今月号からひねり出したSSを控え室に投下してきました。
来月号で新展開があるとこのままお蔵入り決定だし。

GunslingerGirl ガンスリンガー・ガールSS書きの控え室 2
ttp://so.la/test/read.cgi/gunslingergirl/1095225218/l50

ヒルシャー視点なので、そんなにネタバレはしてないと思うけど……。
薬の話とか書いちゃってるし、ここに投下はしないほうがいいのかな??
でもあっちに置いてあるのは推敲段階扱いになるんだよね。

347 :【アンネリダタンツェーリン】:2008/07/21(月) 23:35:14 ID:jUQXhO6H0
>>229氏の『夢と涙』に触発されて、珍しくもジャンリコに挑戦。
でもこんな短いのしか書けませんでした。スミマセン。

348 :【アンネリダタンツェーリン】:2008/07/21(月) 23:39:14 ID:jUQXhO6H0
【アンネリダタンツェーリン】


  日は黄金の薔薇
  赤いちいさな蠕虫が
  水とひかりをからだにまとひ
  ひとりでをどりをやっている
   (ええ  8 γ e 6 α
   エイト ガムマア イー スイックス アルフア
    ことにもアラベスクの飾り文字)

宮沢賢治 『蠕虫舞手 アンネリダタンツエーリン』



しゃがみ込んで水たまりに見入っている少女に男が問う。
「リコ、何をしている」
「あ、ジャンさん。赤い虫がいるんです」
「虫?」
見れば水たまりの中、赤いユスリカの幼虫が身をくねらせて泳いでいる。
「そんなものがおもしろいか」
「はい。踊っているように見えます」
「ふん」
男は胸元にやりかけた手をまた少し短くなった煙草に戻す。サングラスに隠されてその表情は分からない。


349 :【アンネリダタンツェーリン】:2008/07/21(月) 23:41:25 ID:jUQXhO6H0
リコは産まれてから11の歳まで外の世界を知らずに過ごした。生まれつき全身に麻痺症状を持ち、病室の白い壁と天井しか知らなかった彼女にとっては、見るものの全てが新しく聞くことの全てが珍しい。
仕事で外に連れ出す度に好奇心に満ちた眼差しで周囲を観察する少女の姿は、男にとって見慣れた光景だ。
 ジャンがそれ以上何も言わないので、リコは少し迷った後また水たまりに視線を戻した。温んだ水の中で様々な異国の文字を形作る踊り手は、数日もすれば成虫となって空へ飛び立つのだろう。
青い空にはひとすじの紫煙がたなびいている。わずかな風が少女の頬にかかった短な髪を揺らした。小鳥の声と木々のかすかなざわめきの中に、男の指先の煙草が燃える小さな音が混じる。
しばらくしてジャンはスーツの内側から携帯用の灰皿を取り出し、すっかり短くなった煙草を押し付けた。
「リコ」
「はい」
名を呼ばれた少女が振り返る。
「時間だ。行くぞ」
「はい、ジャンさん」
 しゃがみ込んでいた少女は傍らの楽器ケースを手に取り、立ち上がった。
小さな踊り手の舞台には煙草の香りがしばし残り、かすかな風に吹き散らされてやがて消えた。

<< Fin. >>
はい、ジャンさん」


350 :CC名無したん:2008/07/23(水) 02:41:05 ID:ORsxt/kE0
>>347
GJ!
無邪気なリコと皮肉屋で冷静なジャンの組み合わせはやっぱりいい。

控え室の方も読んだよ。なんつーか救いがあるけど切ない。
でも良い読後感を感じたよ。

351 :CC名無したん:2008/07/27(日) 19:44:05 ID:/b7+Jql10
>>344
ニコ動、MAD系も削除対象ってホントですか?
あれが楽しみなのに


352 :CC名無したん:2008/07/27(日) 19:48:32 ID:f1SbpfUd0
>>350
いつもレスをありがとうございますww
毎回レスをいただける幸せだなあw 感謝ですww
ちょっとありがたみをかみしめている今日この頃。

>控え室の方も読んだよ
ありがとうございますw
なんだか最近、死に向かうことを前向きに
受け止められるようになりたいなあ、とか考えるようになったのは
身の回りに年寄りが多いからなんでしょうか(笑)

心配した割に鳥昼組はあれで決着?が着いたようなので、
あの話はあの形でいいのかなと思っています。
まあでも、ここに投下するのはコミックが出てからにしよう。

原作はいよいよクライマックスに向けて動き出したんでしょうか。
全ての役目が終わった後で、公社の記憶を消して
普通の生活に戻るなんて大団円が待ってたりするのかな?
まさかな〜〜。いくらなんでも、そんなご都合主義はないよなあ。


353 :【縁日】:2008/07/27(日) 19:49:52 ID:f1SbpfUd0
【レッドホットチリペッパー】>>336-339を送った友人から
男の前でソーセージかよww とゆー横縞なツッコミが入ったので、
ちょっとこんな小ネタを投下。達磨市に行ったらしい。
BGMはプライアーの『口笛吹きと犬』で。
会話文だけのSSでスミマセン。地文が思い付かんかったんだわ……。



354 :【縁日】:2008/07/27(日) 19:51:02 ID:f1SbpfUd0
【縁日】


「トリエラ、今日はそこの広場で、日本の『縁日』というフェスタを再現した催しものがあるそうだ。行ってみるか?」
「は? (ヒルシャーさんってば、いきなり何だろ? もしかして昨日なんだかこそこそ調べ物してた、あれかな)……担当官が行かれるなら、お付き合いしますよ」


《屋台》

「色々と食べ物の屋台が出ているな。トリエラ、何が食べたい?」
「そうですね……じゃあ、あのフランクフルトを」
「! ト、トリエラ。あれは女の子が衆人環視の前で食べるようなものじゃない。やめておきなさい」
「? そうなんですか?(皆食べてるけどなあ) それじゃあチョコバナナにします」
「!! いやっ、それもやめておいた方が……」
「?? いかにも女子供向けの食べ物じゃないですか」
「い、いや。やはりレディとして、人前であれはやめておくべきだと思うぞ」
「それなら車内に持ち込んで、あなたと二人で食べれば良いんですね?」
「!!! ちょ、いや、それはそれでイロイロとその……っっ」
「もう! 一体、どれだったら良いんですか」
「ええと、そうだな……。お好み焼きとか焼きそばとか……ああ、じゃがバターなんか美味しそうじゃないか?」
「じゃあ、それでいいです。(女の子にそーゆーヘビィな物を薦めるかあ? まあ私の体は太らないからいいけど……。ホント、野暮なんだから)」


355 :【縁日】:2008/07/27(日) 19:52:04 ID:f1SbpfUd0
《縁起物 1》

「ヒルシャーさん、何ですかあれ」
「ああ、あれがこのフェスタの目的だそうだよ。(←事前に調査済み)
あの人形はダルマというんだそうだ。何度転げても自力で起き上がることから、目標を達成するまでくじけないという意志の表れとするらしい」
「片目だけしか描いていないんですね」
「ああ。目標が達成できた時に自分で描き入れるんだそうだ。ひとつ買って行くか?」
「いえ。あーゆー怖い顔の人形は、クラエスの花壇の置物だけで充分です」
「……そうだな」


356 :【縁日】:2008/07/27(日) 19:53:06 ID:f1SbpfUd0
《縁起物 2》

「ヒルシャーさん、あれは何ですか?」
「ああ、あれは幸運のお守りだそうだよ。庭の掃除で使うくまでだ。小さなくまでに宝物を模した飾りを着けて、幸運を掻き寄せるんだそうだ」
「へえ。日本人って、面白いことを考えるんですね。----そう言えば、ドイツにはどんなお守りがあるんですか?」
「そうだな、一番人気があるのは『煙突掃除人』かな」
「煙突掃除人?」
「煙突をきれいに掃除することで、家を暖め、食物を配り、火災をなくしてくれる。
それに煙突を通して天と地を繋げることから、悪魔を追い払う『幸福の使者』として古くから崇められているんだ。
煙突は台所に縁が深いことから、花嫁になる人には最高のプレゼントになるんだよ」
「へえ……」
「後は…富と繁栄の象徴としてブタも幸せのシンボルだな。
それから、力を表し魔除けとされる馬蹄とか。これはコップに形が似ているから、持っていると幸運が満たされると言われている。
----ああ、煙突掃除人のペーパーウェイトなら僕もひとつ持っているから、君にあげようか?」
「え? ----いえ、いいです」
「……そうか。(←寂しげ)」
「………。(この人のことだから、きっと他意はないんだろうなあ。幸運のお守りってだけで。花嫁云々って話は絶対意識から抜けてるんだよね。まったく……)」


357 :【縁日】:2008/07/27(日) 19:54:19 ID:f1SbpfUd0
《射的》

「トリエラ、射的があるぞ。あれなんかは君は得意だろう」
「こんな所に来てまで射撃訓練ですか? まあ、私もあなたもくじ引きで良いものが当てられるとはとても思えませんから、自力で景品を取りに行く方が良さそうなのは確かですけどね」
「気が進まないのなら無理にとは……」
「やりますよ。一人3発ですね」

『はいはい、一回3ユーロだよ』

((キュッキュッ(←弾を詰めている) パスッ!))

『はい残念〜〜』

「惜しいな」
「……照準の狂いがありますね。右に2度、上に3度位でしょうか。(パシッ! パタリ)」
「おお、箱の中心をとらえたな」

『お嬢ちゃん、倒れても落ちなきゃダメだよ』

「ん〜、弾の威力がないから……(パスッ パシッ) 駄目ですね。もう少し近場の的でないと。----はい、次はヒルシャーさんの番ですよ」
「え? 僕もか?」
「お手本を見せて下さい」
「初めの頃ならともかく、今は君の方が上手いと思うがね……。
すまない、もう一回やらせてくれ」

『はいはい、3ユーロね』


358 :【縁日】:2008/07/27(日) 19:56:03 ID:f1SbpfUd0
「右に2度、上に3度だったな」
「ええ。弾の威力からいって一番上の段はちょっと面倒ですね。3発以内で落とすなら、2段目の的を狙った方がいいと思います」
(キュッキュッ パスッ パシッ!)
「----さすが、君の分析は的確だな」
「おだててくださらなくても結構ですよ。落とせそうですか?」
「ああ。今右後方にずれたから、今度は左下部に当てて……(パシンッ!) これで箱の上部に当てれば----(バシッ! ポトン!) よし、落ちたぞ」

『おお、おめでとう! はい! 二等賞はこの”大きなくまのぬいぐるみ”だよ!!』

「………」
「………」



「結局、いつもと同じ物になってしまったな」
「まあ、いいんじゃないですか。目指すはテディベア博物館ですよ」

その夜、トリエラのベッドには、新しいくまが添い寝していたそうである。


《Das Ende》


359 :CC名無したん:2008/07/30(水) 20:13:43 ID:NOCo0iQQ0
他のくまたちと違って由緒正しくないこんなくまだったとさ

   ∩___∩
   | ノ      ヽ
  /  ●   ● | クマ──!!
  |    ( _●_)  ミ
 彡、   |∪|  、`\
/ __  ヽノ /´>  )
(___)   / (_/
 |       /
 |  /\ \
 | /    )  )
 ∪    (  \
       \_)


360 :CC名無したん:2008/07/31(木) 01:51:08 ID:IGXgeqDF0
>>352
こちらこそ、こんなつまらない感想しか書けなくてすまん。
書き手にとって一番きついのは辛辣な批評のレスじゃなくて
無反応、無関心なんだよね。
書き手になってみて始めて判ったよ。

>死を前向きにとらえる
年寄りの死っていうのは必ずしも悲しい訳じゃないんだよね。
(こう書くと語弊があるように思われるけど)
病み衰えての予測された死というのはある程度周りも、
死に向かう人間も覚悟が出来るし、「思い出作り」とか出来るわけだし
悪いわけではない。

逆にいきなりの事故とか自殺だというのは周りにとってショックがでかいんだよね。
マジでラバロさん亡き後のクラエスみたいに一時的になってしまう人もいるし。

そういう意味で前者の亡くなり方をしたアンジェは自分的に理想な死だよなぁと思ってるよ。


361 :CC名無したん:2008/07/31(木) 02:29:28 ID:IGXgeqDF0
>>354
言うに事欠いてじゃがバターかよ、この野暮天ドイツ人が!

>>355
>目的
この縁日だるま市っすか?
それとも年末?
ふと思いついたネタ

『ヴェルキンはダルマにあらず』

トリ「どうしたの、クラエス?雑巾なんか持って」
クラ「誰かがヴェルキンゲトリクスにいたずらしたのよ」
トリ「いたずら?」
クラ「目が絵の具で黒く塗ってあって……」
トリ「!」
クラ「何か知ってるの?」
トリ「ダルマのことリコとヘンリエッタに話したんだけど……」
クラ「……じゃあ二人を捜しましょう。はい、トリエラ」
トリ「この雑巾って……私も?」
クラ「二人を見つけ次第、よろしくね」
トリ「とほほ……」

>>356
トリ「結局いただいてしまったんですけど、良いんですか、ホントに」
ヒル「あぁ、いいとも」
トリ(……この煙突掃除人のペーパーウェイト、どこかで見たことがあるような)
ヒル「どうしたんだい?」
トリ「いえ、なんでもないです」(まさかクラエスのヴェルキンゲトリクスに似てて夜中に歩き出しそう、
   なんて言えないよなぁ)



362 :CC名無したん:2008/07/31(木) 21:21:18 ID:/zdJQA3D0
縁日シリーズワロタw

363 :CC名無したん:2008/07/31(木) 22:06:11 ID:IEIjHXu+0
GJ! 無反応でスマソ
てかROMだけって何人かいるんじゃね? とりあえずハイ(・ω・)ノ


364 :CC名無したん:2008/08/01(金) 01:14:09 ID:F123BjVR0
なんだか今回えらい反応がww 
>>359 >>360 >>362 >>363
ありがとうございます! 皆様のレスがSS投下の原動力でございますw
それにしても、ここって結構人数居たんですね〜〜

365 :CC名無したん:2008/08/01(金) 01:15:22 ID:F123BjVR0
>>359 
くまがww 夢に見そうww

366 :CC名無したん:2008/08/01(金) 01:16:28 ID:F123BjVR0
>>360
本当にいつもありがとうございますw
いや〜。書くだけは細々と続けるだろうけど、
反応ないと投下して良いものかどうか迷いますもん。
うざったがられてるかな〜と(笑)

>年寄りの死っていうのは必ずしも悲しい訳じゃないんだよね。
ですね。ある意味、立派な舞台(人生)の”幕引き”な訳で。
介護の期間が長引くと疲弊しちゃうんですが、一週間くらい看病して
苦しまずにぽっくりなんてのが、残された側にも後悔が少ないですね。
リアルに実感こもっちゃって何なんですけどw
アンジェは『家族に看取られ、畳の上で大往生』だと自分も思います。


367 :CC名無したん:2008/08/01(金) 01:17:45 ID:F123BjVR0
>>361
>言うに事欠いてじゃがバター
狙い通りのツッコミがw うれしいっすね〜ww

>この縁日だるま市っすか?
ですw

>『ヴェルキンはダルマにあらず』
爆笑ww リコとエッタの反応が子供らしくて良いなあ。
クラエス、怒ってる怒ってるw

>夜中に歩き出しそう
あああw 脳内を>>359氏のくま&ヴェルキン&煙突掃除人が踊ってるww
取り囲まれてマイムマイムを延々と〜〜。トリエラ、うなされそうだw

368 :【縁日/ジョゼッタ組】:2008/08/01(金) 01:19:44 ID:F123BjVR0
反応が嬉しかったので縁日シリーズをもう一つw

【縁日/ジョゼッタ組】

エッタ「ジョゼさん、昨日トリエラはヒルシャーさんと『縁日』に行ったんだそうです」
ジョゼ「ヘンリエッタも『縁日』に行きたい?」
エッタ「い、いえ、わたしはジョゼさんと一緒なら別にどこでも……」
ジョゼ「じゃあ、今から行こうか」
エッタ「はいっ!」


369 :【縁日/ジョゼッタ組】:2008/08/01(金) 01:21:14 ID:F123BjVR0
<<屋台>>

ジョゼ「食べ物の屋台が多いね。ヘンリエッタ、何が食べたい?」
エッタ「ええと……チョコバナナと綿飴と……」
ジョゼ「定番だね」
エッタ「……べっこう飴とあんず飴とリンゴ飴と、それからカルメ焼きが食べたいです♪」
ジョゼ「----ええと、それはヘンリエッタが一人で食べきれるのかな?」
エッタ「ジョゼさんも召し上がりますか?」
ジョゼ「いや!僕はいいよ。君が食べる分だけ買いなさい」
エッタ「はい♪」

ジョゼ「……(で、全部買うのか……)」
エッタ「ジョゼさんは何を召し上がるんですか?」
ジョゼ「(見てるだけで口の中が甘くなってきたな……)そうだね。
    とりあえず、タコ焼きかな。ソースをたっぷり塗って……」


370 :【縁日/ジョゼッタ組】:2008/08/01(金) 01:22:33 ID:F123BjVR0
<<かき氷>>

エッタ「ジョゼさん、かき氷は”シロップかけ放題”ですって」
ジョゼ「へえ、大盤振る舞いだね。買ったら僕にも一口おくれよ」
エッタ「はいっ」

 じょぼじょぼじょぼじょぼ……

エッタ「どうぞ、ジョゼさんっ」
ジョゼ「あ、ありがとう、ヘンリエッタ。(かき氷って……飲み物なのか??)」


371 :【縁日/ジョゼッタ組】:2008/08/01(金) 01:23:50 ID:F123BjVR0
<<おみやげ>>

ジョゼ「あれ? 天津甘栗は今食べないのかい?」
エッタ「これはおみやげです」
ジョゼ「ああ、リコと食べるんだね。(優しい子だなあ)」
エッタ「はい! 寮でハチミツをかけて食べるんです♪」
ジョゼ「……そうなんだ。(←引きつった笑顔)」


そしてヘンリエッタは甘い物、ジョゼはしょっぱい食べ物を制覇して帰ったそうな。


<<だす えんで>>



372 :CC名無したん:2008/08/03(日) 16:30:06 ID:EbuIhEq40
>>368->>371
きっとジョゼさんは甘いモノをパクつくエッタを
しょっぱい顔で見てるんだろうなぁ。



373 :CC名無したん:2008/08/05(火) 23:09:41 ID:YQ5C7E210
>>372
そりゃあもうw
なんで自分が書くと、こうしょっぱい男になるんだろうなあ
ジョゼさんってば。

374 :【縁日/ジャンリコ組】:2008/08/05(火) 23:11:10 ID:YQ5C7E210
野暮天ヒルシャー、しょっぱいジョゼに続いて
ツンデレジャンさんと【縁日】です。
なにげに負けず嫌いなんでしょうか、ウチの兄さんは。

375 :【縁日/ジャンリコ組】:2008/08/05(火) 23:12:23 ID:YQ5C7E210
【縁日/ジャンリコ組】


リコ 「ジャンさん、昨日トリエラは『縁日』の”射的”で、二等賞の”くまのぬいぐるみ”を
    取ってきたそうです」
ジャン「……ふん」
リコ 「(あれ? 取ったのはヒルシャーさんだったっけ? 
      ----別にいいかな。ジャンさん、興味なさそうだもの)」

ジャン「リコ」
リコ 「はい」
ジャン「近道にこの広場を抜けて行く。うろうろせずに着いて来い」
リコ 「はい、ジャンさん。
(あれ、ここってもしかして、トリエラが言ってた『縁日』の広場かな?)」


376 :【縁日/ジャンリコ組】:2008/08/05(火) 23:13:19 ID:YQ5C7E210
<<屋台>>

リコ 「色々な食べ物の屋台がありますね」
ジャン「うろうろするなと言ったはずだ」
リコ 「すみません、ジャンさん」
ジャン「屋台の食物の派手な色彩は合成着色料によるものだ。
    義体は、保存料・着色料などが排除された公社の食事を食べていれば
    それで十分だ」
リコ 「はい、わかりました。
    (ええと、”保存料”とか”着色料”って、体に悪いんだったよね。
    そっか。公社の食事って、安全なんだ)」


377 :【縁日/ジャンリコ組】:2008/08/05(火) 23:14:43 ID:YQ5C7E210
<<射的>>

ジャン「リコ、課外訓練だ。この射的用の銃で一段目の的を撃ち落としてみろ」
リコ 「はい、ジャンさん。(キュッキュッ(←弾を詰めている) パスッ!)
    ……外れました」
ジャン「この手の銃は照準に狂いがあるのが当然だ。二射目から修正しろ。
    弾の威力も弱い。的のどこに当てれば良いのか考えて狙え」
リコ 「はい。(キュッキュッ パスッ パシッ!)
    ……まだ落ちません」
ジャン「もう一発ある。二段目の的を狙おうなどと姑息な事を考えるな」
リコ 「はい。(パスッ バシッ! ポトン!) 
    ----落としました」

『おお!!(カランカランカラ〜〜ン♪)おめでとう! 一等賞はPSPだよ!!』

リコ 「----ジャンさん、なんだかもらってしまいました。これは何ですか?」
ジャン「携帯用ゲーム機だが、義体には無用な物だ。こちらへ寄こせ。没収する」
リコ 「はい……」
ジャン「義体の眼球は高性能だが、視力を酷使すれば劣化する。
    交換は可能だが、調整してきた優秀な機能を無駄に消耗させるな」
リコ 「はい、ジャンさん。(優秀な機能……何だろう、なんだか嬉しい♪)」
ジャン「訓練は終了だ。車に戻れ」
リコ 「はい」

その夜のお茶会には、いつにも増して幸せそうなリコの姿があったとさ。


<< Das Ende >>


378 :CC名無したん:2008/08/07(木) 22:08:00 ID:N+vxhxSN0
62-66です。(なぜか、 76-79 にも転載されている)
半年ぶりに来てみれば、偉く盛況ではないですか。しかも、トリ&ひるコンビ満載。
これから、じっくり読ませていただきます。

379 :CC名無したん:2008/08/09(土) 00:14:48 ID:u8JyBeG10
おお、書き手さんだw
お帰りなさいませw お待ちしておりましたww

380 :CC名無したん:2008/08/09(土) 00:16:19 ID:u8JyBeG10
ちょうど>>76-79 『お泊まりの夜』に触発されて書いていた
”トリエラの寝顔に見とれる?ヒルシャー”の話を
そろそろ投下しようかなと考えていたところでした。
カミサマのお導きですなw
てか、ネタをかぶらせちゃってスミマセン。
……そろそろほとぼりが冷めた頃かと思ってたんだけどな(笑)

思いがけず>>378氏の書き込みがあったので、
投下する前にもう一度チェックしてきます〜〜

381 :CC名無したん:2008/08/09(土) 22:13:25 ID:WVWdmojs0
pink板まだアクセス規制かかってんのな〜。
書き手さんがへこんでるから応援レス入れようと思うのに
書き込めない〜〜。
さくら板でも規制中はジリジリしながら待ってるんだけど。
やっぱり専ブラ入れなきゃダメですかのう。


382 :【ザントマン】:2008/08/09(土) 22:15:30 ID:WVWdmojs0
毎度おなじみ鳥昼SSです。瞼の上のキス。
>>76-79『作戦で出張(お泊りの夜)』を拝読してから、
書いてみたいなあと思っていた話。
遅ればせながら、心温まるSSをごちそうさまでしたw
ほのぼの親子している鈍感男がかわいいww

ネタをかぶらせちゃったお詫びと
復帰お祝いを兼ねて>>378氏に捧げます。
『うちの子の寝顔は可愛いなあw
良い夢を見るんだぞw ちゅww』
てな親バカ父さんの話だったはずなんだけど……あれ?
BGMはブラームスの『眠りの精』かな。

383 :【ザントマン】:2008/08/09(土) 22:16:47 ID:WVWdmojs0
【ザントマン】


「ヴィクトル、ヴィクトル。もうベッドへお入りなさい」
 就寝を促す母親の言葉に少年は不満そうに口答えする。
「でも母さん、まだ遊びたいよ」
「だめよ、もう夜も遅いわ。夜更かしするとザントマンが来るわよ」
「はい、母さん」
 渋々ベッドに入った少年に、母親はあたたかなほほえみと共に瞼にキスをおとした。
「おやすみなさい、わたしの坊や。よい夢が見られますように----」



 寝台の上で片手で顔を覆いながらヒルシャーはため息をついた。いい年をした男が母親の夢を見て目が覚めるというのは、誰が見ていなくてもいささか恥ずかしい。
 辺りはまだ暗い。枕が変わると眠れないと言うほど神経質ではないのだが、珍しく夜中に目が覚めてしまったようである。
 隣のベッドを見ると、彼の居るベッドよりも一回り小さいエキストラベッドに眠る、小柄な身体がある。パートナーである少女の眠りを妨げずにすみ男はほっとした。ようやく緊張を解いて眠ることができるのだから、できるだけゆっくり休ませてやりたい。


384 :【ザントマン】:2008/08/09(土) 22:18:12 ID:WVWdmojs0
 滞在を予定したホテルに爆破テロの予告があり、突然の宿替えを余儀なくされた時には、もしやこちらの正体がテロリストに知られたのかと相当に警戒した。
だが彼らの聞き込みと支局の裏付け調査により、それは同ホテルに関わりのある政府高官に対する恐喝行為であったことがほぼ判明したのだ。
 またその偽りのテロ予告により、彼らフラテッロが暗殺対象としていたテロリストらは当局の介入をおそれて隠れ家を引き払い、散り散りに潜伏してしまった。
隠れ家を強襲するならフラテッロ一組で十分だが、状況が変われば作戦内容も変わる。今は次の指示を待って待機中だが、おそらく一度ローマに引き揚げることになるだろう。



385 :【ザントマン】:2008/08/09(土) 22:19:32 ID:WVWdmojs0
 急な宿替えだったため、テロ予告があったホテル側から代替えの宿泊先にと用意されたのは、シングルルームにエキストラベッドを追加した形のこの部屋であった。
 エキストラベッドは備え付けのベッドに比べて多少寝心地が落ちる。当然のこと自分がそちらに寝るつもりだったヒルシャーは、身体の大きさから考えてもそれは合理的でないとトリエラに申し出を拒否された。
 作戦行動に入れば、自分よりも少女の方が危険率の高い行動を強いられるのだ。せめてその前にはできるかぎり快適な眠りを提供してやりたいと思うのだが、
少女は少女で、担当官の身の安全を確保するのが第一義であるべき義体の在り方として、それはおかしいと一歩も譲らない。 
 かたくなな少女の態度にどう対応して良いのか分からず、彼女の拒絶にあえば、大抵の場合自分は引き下がらずを得ない。
同僚には情けない兄貴だと呆れられるが、これが自分たちフラテッロの在り方なのだから仕方があるまい。勿論、この状況を改善したいとは常に願っているのだが。



386 :【ザントマン】:2008/08/09(土) 22:20:55 ID:WVWdmojs0
 男は少女の寝顔を見つめながら、先ほど見た夢をふと思い出す。ザントマンが来るよ、か。あれは元々、故郷ドイツの民間伝承だったな。
 目に見えない眠りの精霊であるザントマン。英語読みならサンドマンだが、一説には砂袋を担いだ小さな老人の姿をしているとも言われる。
ザントマンが目の中に魔法の砂を投げ入れると、それがどこであっても人は眠気に耐えきれずに目を閉じてしまうのだと幼い頃に聞かされていた。
 確か、アンデルセン童話の中にもザントマンを題材にした物語があったはずだ。
 眠りの精霊はこの世でもっとも多くの物語を知っている。精霊は魔法の砂で幼子を眠りに誘い、夢の中で様々な話を聞かせる。
 眠りの精霊には兄弟がいる。兄は死神だ。死神は二つの物語しか語らない。この世でもっとも優しく美しい話と、この世でもっともおぞましく恐ろしい話だ。
死神は青白い馬に死者を乗せて運ぶその時に、良き行いをして生きてきた者には美しい話を、悪しき行いをして生きてきた者には恐ろしい話を語って聞かせる。----そんな話だったか。
 本意ではないとはいえ職務として人を殺める自分などは、さながら恐ろしい話を聞かされる死者達の側だろうが、洗脳によって強制的に銃を握らされている義体の少女達は、美しい話を聞かせてもらえる側であって欲しい。
……この不幸な子供達に罪はないのだから。責められるべきは、子供達に闘いを強いている自分たちなのだから。



387 :【ザントマン】:2008/08/09(土) 23:18:22 ID:JhpWlvf+0
 身体の8割を人工物に置き換えられた義体は驚異的な戦闘力を有している。だが男の隣で眠る少女の寝顔はむしろあどけない。穏やかに眠る彼女は今はどんな夢を見ているのだろうか。
 義体の少女達は夢の内容をほとんど覚えていない。時に涙を流しながら眠る少女達は、封じられた記憶の断片を夢に見ているのかも知れないと義体技師達は言う。
少女の見る夢を知ることはできないが、できうるならば幸せなやさしい夢を見ていて欲しいとヒルシャーは思う。

 そう言えば、この子にはアンデルセン童話を読ませたことはあっただろうか? 義体棟の共用の書棚には、一般教養として児童文学の全集が収められているから、そこには多分あるのだろうが。
 いや。ヘンリエッタやリコ、アンジェリカらの年少の少女になら童話も良いが、自分のフラテッロは子供とはいえさすがにおとぎ話を読む様な年ではなかろうと、若草物語だとか小公女といったような本を与えたはずだ。
この話ならもう読みましたと言われて持ち帰ったそれらは、一度も開かれることのないままヒルシャーの書斎に並んでいる。
 それに並ならぬ知性を持ったこの少女はすぐに児童文学を卒業し、読書好きなルームメイトと共に一般書や専門書を読みふけるようになった。それからは、本に関しては少女の希望があった時にのみ買い与えるようにしている。



388 :【ザントマン】:2008/08/09(土) 23:19:17 ID:JhpWlvf+0
 ただ一方で、自分はあの童話集をこの少女に読ませたくなかったのかも知れない、とも思う。
 たとえば姿形が違うからと仲間から爪弾きにされたみにくいあひるの子。たとえばクリスマスの夜に雪に凍えたマッチ売りの少女。そして想いを伝えることもかなわぬまま海の泡と消えた人魚姫----。
美しくも哀しく、どこか社会の冷たさを描いたそれらの物語は、波乱の人生を送ったアンデルセンの嘆きとも思える。
 あるいは暗く寂しい北の海にぽつんとたたずむ人魚姫の像の姿を、またそのブロンズ像の頭部を持ち去るような心ない人間がいることを、自分は少女に話したくなかったのかも知れない。
 そんな自分の想いを知れば、くだらない感傷だとこの子は嗤うだろうか。



389 :【ザントマン】:2008/08/09(土) 23:20:28 ID:JhpWlvf+0
 社会の暗部に属していながら、ヒルシャーは人の心の善なるものを信じている。----信じたいと願っている。

------大人達は大勢の子供を救えなかったけど……。でもこの子だけでも救うことができたなら、世の中まだまだ捨てたものじゃないって信じられる気がするの------

 それはかつて、自らの命と引き替えにこの少女を救った女性の言葉だ。
 少女に希望を託して逝った彼女の遺志は、男の意志でもある。
知らずにとはいえ少女に銃を持たせてしまった責は自分が負おう。
けれどもこの子には、たとえささやかでも喜びや幸せを見つけて生きていって欲しい。
 少女の穏やかな寝顔を、ほんの時折見せてくれるかすかな笑顔を目にする度に、ヒルシャーもまた、人の善意を信じることができる----。守りたい大切な存在に彼はそっと手を伸ばした。
 一瞬わずかに顔をしかめた少女は、頬にふれたぬくもりを確かめるように男の手に小さく身をすり寄せると、また安心したように力を抜いて静かに寝息を立てる。
 男は小さく微笑むと、夢の中で母親がしたように、少女の瞼にやわらかなキスを落とした。


<< Das Ende >>


390 :CC名無したん:2008/08/11(月) 00:55:47 ID:4Sp1uIbg0
最後は結構凛々しいヒルシャーですね。
そう言えば、ホフマンの『砂男』って、バレエ「コッペリア」の元になっていますが、
原作で出てくるのは、眠りの精というか、夢魔みたいな感じで、結構ホラーですよね。
なんか、機械仕掛けの人形「オランピア」にそれと知らずに惚れてしまった若い男が、
最後発狂してしまうかわいそうな物語だったような。
キスと言えば、「禁無題転載倉庫」さんに、収録していただいている、『お休みの○○』なんてのも昔書きました。
書きながら、自分で転げまわったものですが。最近筆が鈍っているので、新しいの書けませんので、以下へ再録。

391 :お休みの○○:2008/08/11(月) 00:56:40 ID:4Sp1uIbg0
作戦で私たち、トリエラ・ヒルシャー組が派遣された。
夕刻にヴェネツィアへ到着。作戦行動は明日となる。
レストランで夕食を済ませた後、現場の下見、そしてホテルへ戻った。
宿舎では、何時もの事だが兄妹としてチェックインし同室だ。

着替えようとし、服を脱ぎかけた私は、
シャツのボタンをはずそうとして手を止めた。
「あの、ヒルシャーさん。着替えますからちょっと部屋を出ててください」
「ああ、分った」
少し前までは、ヒルシャーが居ても気にすること無かったのに、
乙女として異性を気にしてしまう。特に彼のことを・・・。

着替え終わった私はドアを細くあけ、彼を招き入れる。
「ヒルシャーさん、もういいですよ」
少しヒルシャーは戸惑ったような表情で中に入ってきた。
「着替えを気にするとは、トリエラも大人の女性になってきたということかい?」
ヒルシャーは無理に作った笑顔で冗談めかしたように私に話し掛けた。
「べっ、別に・・・。でも、レディに何てこと言うんですか!
 子供扱いしないで下さい。」
「悪かったな」
驚いたことに彼は、
「そしたら僕も着替えるから、トリエラは後ろを向いていてくれ」
と、まじめな顔で言う。
私は言われたとおり、窓のほうを向いた。
衣擦れの音がしてヒルシャーは着替え始めた。
夜の街明かりが美しい。ぼんやりと眺めていた。
ふと、気が付くと、背中がこそばゆい感じ。彼が着替えているんだ。
ふと彼のたくましい胸を想像してしまい、私は顔が火照ってるのを感じた。
これまで、そんなこと考えたことも無かったのに。



392 :お休みの○○:2008/08/11(月) 00:57:51 ID:4Sp1uIbg0
「トリエラ、もういいぞ」
ヒルシャーの声が聞こえた。
振り返ると、彼は私のすぐ後ろにいたのでびっくりした。
「えっ、ヒルシャーさん?・・・」
ヒルシャーは、
「夜景がきれいだな」
といって、私の横に並ぶと窓から外を眺める。
そして、
「じゃあ、寝よう。さあ、ベッドに入りなさい。明日は早いからな、お休み」
と彼はいった。二人各々ベッドへ向かう。

各々ベッドに入り、照明を落とす。
私は、勇気を出して言ってみた。
「あの、ヒルシャーさん。
眠るまで少し手を握っていてください」
「えっ?? いいけど・・・。
 子ども扱いしないんじゃなかったかい?」
と、彼は少しからかい口調だ。
「それならいいです!」
と、私は手を引っ込めた。
「おいおい、怒ったのかい。謝るよ」
「別に謝らなくてもいいですけど、乙女心を少しは理解してください」
「オトメごころ??」
「もういいです。おやすみなさい。・・・ふぅー。」
私はしかめっ面のまま、目を閉じた。


393 :お休みの○○:2008/08/11(月) 00:58:53 ID:4Sp1uIbg0

・・・と、彼は、私の額に軽くキスしてきた。
「ち、ちょっと。ヒルシャーさん!」
「お休みのキスだ。さあ、お休み」
「・・・はい」
私はなんだか嬉しいのか恥ずかしいのか分らなくなって、
毛布を頭まで被った。
こんなこと初めてだ。眠れなくなったらどうしよう。

   <了>


394 :CC名無したん:2008/08/12(火) 22:04:42 ID:Aox9ZuMr0
>>382>>390

GJ!
面白かった。
こういう鳥昼は良いね。
>>382は昼側、>>390は鳥側から見た二人の関係の違いが面白い。

395 :CC名無したん:2008/08/14(木) 00:19:16 ID:82zOcwxh0
>>390>>394
ありがとうございますw よそ様のSSを拝見すると視点が違ってておもしろいなあw

>>391-393『お休みの○○』
うわあああww かわいいww 
思春期の乙女心が初々しくていいですねw

>ふと、気が付くと、背中がこそばゆい感じ。彼が着替えているんだ。
>私はなんだか嬉しいのか恥ずかしいのか分らなくなって、
>毛布を頭まで被った。
>こんなこと初めてだ。眠れなくなったらどうしよう。
うひゃあああああww 読んでる方も転げ回ってしまいそうですww

>「僕も着替えるから、トリエラは後ろを向いていてくれ」
このどこかずれてる真面目さがヒルシャーらしくて微笑ましいw

でこちゅーはほんわかしたシチュエーションでいいなあ。
確かに自分で書くとなると恥ずかしそう!
……あ、でも書いてたな。>>107-113【くちづけ】で。
あああ。何でこんなほのぼのしたシチュエーションなのに
ウチのトリエラはこんなかわいげのない反応を〜〜。
……思春期のかわいげを研究し直そうかな。

396 :CC名無したん:2008/08/14(木) 00:20:58 ID:82zOcwxh0
>>390
>>ホフマンの『砂男』
あっちの方が元々の伝承のイメージには近いんでしょうかね。
昔は”眠らない子供を脅した”って言いますから、ホントは
「ほらほら!早う寝んと、砂男が来て目ン玉に砂ァすり込むぞ!」
とか、肝っ玉かあさんのノリなんでしょうけど。
ヒルシャーさんのムッターは過保護ママっぽかったので、アンデルセンの方でw

>>コッペリア
あ、あれはホフマン物語の方が元なんですか。それは知らなんだ。
さわりしか知らなくて、ドタバタ喜劇って認識だったんで、
なんとなくギリシア神話の、自分で作った象牙細工の人形に恋した職人の
話の方が元かと思ってました。
そういや『観用少女(プランツ・ドール)』って漫画に「オランピア」を題材にした
ちょっと怖い話がありました。
こちらの方が『コッペリア』より『砂男』のイメージに近いのかもね。


397 :CC名無したん:2008/08/14(木) 23:10:53 ID:B72BoL2e0
お盆休みのない我が職場。
スタッフが辞めちゃったり休み取ったり怪我したりで人手がどーしよーもなく薄い。
やむを得ずへろへろの我が身を鞭打って応援出勤。
かくなる上はサプリメントとビタミン剤と鎮痛剤とドリンク剤でフルドーピング。

が。『痛み』つーのは身体が休養を求めて出しているサインなわけで。
火災報知器がうるさいからって、回線ぶっちぎれば火事が収まるわけではなく。
痛ければかばうはずの所までびしばし使っちゃうから、
痛み止めが切れるとむしろ症状は8割り増し。
マルコーさん、おくすりください……

でも仕事中に食料も口にできないから、空腹のまま痛み止めを飲めば
今度は副作用でめまいと動悸と胃痛で吐き気が〜〜。
そんなフラフラじゃただの足手まといだっつーの。

社会人なら誰しも経験するシチュエーションですが、
ことほどかように、薬の多用は生身に負担が大きいもの。
皆様もお気をつけ下さいませ〜〜。

398 :CC名無したん:2008/08/16(土) 22:28:41 ID:fnyh7Hd10
今日も今日とてドーピング出勤。
依存症は嫌なので、鎮痛剤を半分に。

……そしたら、仕事は一応できるんだけど
いらいらするわ、上司に反抗心はわき起こってくるわ
口調はどんどん事務的で冷たくなってくるわ。
なるほどこれがトリエラ状態かと妙に納得。

愚痴っちゃってゴメンナサイ。
でも明日は久々に休みだっ! 寝るぞ〜〜!!

399 :【トリエラの日記/パルフェ】 :2008/08/16(土) 22:29:55 ID:fnyh7Hd10
そんなわけで、夏っぽい?女の子sのSSを投下。
これを書いた時には4リットル全てがアイスだったんだが、
最近行った友人によると、3分の1が生クリームに化けていたとか。
乳製品値上がりしてるからねえ。
BGMはLアンダーソンの「シンコペイテッド・クロック」で。


400 :【トリエラの日記/パルフェ】 :2008/08/16(土) 22:31:00 ID:fnyh7Hd10
【トリエラの日記/パルフェ】


   〇月△日

今日はアンジェリカの退院祝いにと、プリシッラさんがパルフェをおごってくれた。

ただのパルフェではない。内容量4000ミリリットルの巨大パルフェ----
通称・バケツパルフェだ。

直径30センチ、高さ25センチくらいだろうか? 大きなバケツ型のガラスの器に、
フルッタ(フルーツ)のソースとバニラのジェラートがぎっしりと詰まり、
上には通常一人前として出される三角形のトルタ(ケーキ)が5、6コ。
そして色とりどりの果物が、所せましと並べられている。

「ジェラートが溶けちゃう前に、頑張って食べちゃうよ〜!」

長さが30センチはある専用のスプーンを手にして
プリシッラさんがそう言ったのを合図に、6人で一斉に食べ始める。


401 :【トリエラの日記/パルフェ】 :2008/08/16(土) 22:32:08 ID:fnyh7Hd10
まず最初はトルタを一種類ずつ6等分に分けた。
それぞれの手元の小皿に取り分けた一口大のトルタを並べると、
なんだかすごくわくわくしてくる。
ジェラートが溶けてしまうといけないから、トルタを食べてはジェラートを一口。
甘くて冷たくて、とてもおいしい。
今度はフルッタを食べてまたジェラート。
みんな、はしゃぎながら大きなパルフェを堪能する。

----でも、楽しく食べられたのは最初の10分位だけ。

上のトルタやフルッタを食べてしまえば、後に残るのは4リットルのジェラートだ。
5分もたてば、もうちょっと持て余し気味になる。
プリシッラさんとヘンリエッタはまだまだ全然ベースは変わらない。タフだなあ。
それでも、せっかくのお祝いなのだからと残り四人も頑張って
スプーンをパルフェの器に伸ばす。

が、減らない。
どれだけ食べても減らない。
まだ底のコーンフレークにも届かない。


402 :【トリエラの日記/パルフェ】 :2008/08/16(土) 22:32:53 ID:fnyh7Hd10
食べ始めてから20分が経過。
そろそろお腹が冷えてきたので、プリシッラさんにお願いして
紅茶を追加注文させてもらう。温かいものを口にすれば、
少しはまた挑戦する気が起こるだろう。

25分後。
おなかは温まったが、紅茶の水分でおなかがいっぱいに。作戦ミスか。

30分後。
溶けたバニラアイスにひたひたになって、コーンフレークがふやけてきている。
ひたすら甘い。
もはや元気なのは砂糖女・ヘンリエッタだけ。


403 :【トリエラの日記/パルフェ】 :2008/08/16(土) 22:34:02 ID:fnyh7Hd10
40分後。
ようやくコーンフレークを全滅させる。
はあ、これでやっと完食だ。

……と思ったら。

紅茶を飲み終わったヘンリエッタがおもむろに立ち上がり、
ガラスのバケツに両手をかける。

何をするつもりなのかと見上げた私たちの前で、彼女はやおら重い器を持ち上げ
その中身----溶けたジェラートと甘いソースの混合物----を
空のティーカップに移し入れた。

唖然として五人が見つめる中、ガラスの器をテーブルに戻して
椅子に腰掛け直したヘンリエッタは、ティーカップの取っ手を華奢な指先でつまみ、
とてもとても幸せそうな顔をして----

それを一気にくーっと飲み干した。


そしてひきつった私たちの前で、さも満足げに一言。


「ごちそうさまでした!」


……しばらくパルフェは見たくない。



≪Das Ende≫


404 :CC名無したん:2008/08/19(火) 02:27:13 ID:1h7pw+RU0
>>399乙!

砂糖女度合いに拍車が掛かってんな、エッタ。
甘甘な小説だわ。

405 :CC名無したん:2008/08/27(水) 00:07:17 ID:mkDlKY6+0
一週間書き込まなかったら
過去ログ倉庫行きになってたんでびっくりしたっす

406 :CC名無したん:2008/08/27(水) 00:08:46 ID:uGDBiGJS0
>>404
ありがとうございます〜〜。

>砂糖女度合いに拍車が掛かってんな
恐ろしいことに、実話。
すげー可愛い若奥様なのに、リアル砂糖女。
大変胃大な、もとい、偉大な先輩です。



407 :【付き添い】:2008/08/27(水) 00:10:18 ID:mkDlKY6+0
甘甘な女の子sの話に続いて
苦苦な担当官sのおはなしですw
ヒルシャー父さん、親バカ道をまっしぐら。
マルコーさんは初めて書いたんだが、すさんでるな〜〜。
ジャンさん、ジョゼにこんなに甘かったんだ……。
BGMはファリャの『火祭りの踊り』とか。


408 :【付き添い】:2008/08/27(水) 00:11:50 ID:mkDlKY6+0
【付き添い】



「ジョゼさん、今度エッタを貸して下さいよっ。アンジェの退院祝いに皆でパルフェを食べに連れていってやりたいんです」
 アンジェリカの退院が決まったと聞きつけて、ジョゼの所へやってきたプリシッラがそう言った。明るく元気な女性課員の勢いに気圧されつつ、ジョゼはたずねる。
「みんなって、誰と誰をだい?」
「もちろん、アンジェとエッタと、リコ、トリエラ、クラエスの仲良し5人組ですよ」
「退院祝いは良いけれど、ヘンリエッタを一人で君に預けるわけにはいかないよ。他の子もそうだけど、例え2課の課員だと言っても、一応、担当官である僕らも同行しないと……」
「分かってますって。だからまず、ジョゼさんの所にお願いに来たんじゃないですか」
 えへへと笑いながらプリシッラは言う。
ジョゼは自分の担当する義体に甘い。ヘンリエッタが喜びそうな企画ならば、まず反対することなく参加する。
だから始めに一番攻略しやすいジョゼの了承を取り付け、イベントを『決定事項』として伝えれば、主賓のアンジェリカを担当するマルコー、学級委員長トリエラの担当官ヒルシャーも、渋々ながらでも日程を合わせてくれるだろう。
----どうやらそういう目論見らしい。


409 :【付き添い】:2008/08/27(水) 00:12:55 ID:mkDlKY6+0
 さすが情報分析担当の課員だとジョゼは苦笑する。
「分かったよ、協力する。でも3人はそれで良いとして、リコとクラエスはどうやって連れ出す気だい? 兄さんがそう簡単に了承するとは思えないけど」
「そう、それが一番の難関なんですよねえ」
 うんうんとプリシッラは頷く。
 ジョゼの兄、ジャンは仕事に厳しい冷静冷徹な担当官だ。ジャンが自分の義体であるリコを道具と見なし、そのように扱っていることは2課では周知の事実である。
そしてまた、義体の中で唯一担当官がいないクラエスも、担当官のリーダーであるジャンの監督下に置かれている。
『仲間の退院祝いにパルフェを食べに行きたい』。そんな浮ついた理由で外出の同行を願っても、冷たい視線で一瞥されて終わりだろう。
「ですからね」
 ずいっと身を乗り出して、愛の堕天使はちょっと悪童めいた笑いを浮かべた。
「そこんところも、ジョゼさんにちょっとご協力願えればな〜と思うんですけど」




410 :【付き添い】:2008/08/27(水) 00:15:01 ID:mkDlKY6+0
 その日、ジャン・リコのフラテッロはちょっとした情報収集でローマ市内に外出していた。
 いつものごとく暴力的かつ速やかな尋問で情報収集を終え、公社への帰途についたジャンの携帯電話が鳴る。不信げに番号を確認すれば、弟のジョゼからの着信だ。
『Pront ? / もしもし、兄さん?』
「ジョゼ。何だ?」
『仕事は終わった?』
「ああ」
『僕も今、外なんだ。これから1時間くらい、コーヒーでも飲みながらちょっと話ができないかな。リコはヘンリエッタと一緒にお茶でも飲んでいればいいから。どうせ、後はもう公社に帰るだけだろう?』
「ふむ」
 ジャンは時計を確認する。今日の事務仕事の残り具合からいえば、1時間程度なら時間を割いても問題はないだろう。これが他の人間からならばふざけるなと低く静かに一蹴するところだが、他ならぬ実の弟の申し出だ。
「いいだろう。どこにいる?」
 ジョゼが指定してきた店は多種多様なドルチェ(デザート類)で人気の店だ。
あいつめ、また自分の義体を甘やかしているなと思いつつ、了承し、目的地を変更する何気に弟に甘いジャンだった。


411 :【付き添い】:2008/08/27(水) 00:32:47 ID:qggiUvzq0
 バイオリンケースを片手に持ったショートカットの少女を伴い店に入って来た強面の男を見つけ、ジョゼは声をかける。
「兄さん、こっちだよ」
「ジョゼ」
 弟の姿を認め、一瞬、私的な雰囲気に和らぎかけたジャンの表情が、周囲に予定外の人物の----しかも複数の----姿を目にして固まった。
「やあ、リコ。君はヘンリエッタ”たち”と一緒に、隣の丸テーブルで甘い物でも食べておいで」
「こんにちは、ジョゼさん。ありがとうございます。でも、ええと----」
「兄さんは僕とこちらでコーヒーを飲んでいるから。ね、兄さん」
 にっこりと兄に微笑んで、通路を挟んだむこう側の大きな丸テーブルに、さっさと兄の義体を拉致するジョゼ。こちら側に三つ並んだ二人席の一つには、ジャンが良く見知った顔が二人座っている。
「……ヒルシャー、マルコー。何故おまえ達がここにいる」
「義体同士の親睦を深めるためと言いますか……。普段から良くコミュニケーションが取れていれば、合同作戦の際も、より緊密な連携がはかれると思いますし」
「付き合いです」
 見るからに不機嫌なジャンに、生真面目に説明をするヒルシャーと投げやりに答えるマルコー。
「僕らの席はこっちだよ。兄さんはエスプレッソで良いかい?」
 少女達の席から戻ってきたジョゼが兄に席を示す。
強面のスーツ男が喫茶店の通路に仁王立ちしたままというのはいかにも目立つ。言いたいことは山程あれど、諜報機関の人間として目立つことはできるだけ避けたい。スパイの掟に従って、ジャンは無言で席に着いた。
 兄と向かい合って座った優男は、ウェイトレスに如才ない笑顔でコーヒーを注文する。隠しきれない不機嫌なオーラを漂わせながら、ジャンは弟に尋ねた。


412 :【付き添い】:2008/08/27(水) 00:34:21 ID:qggiUvzq0
「----それで。これはどういうことだ、ジョゼ」
「以前から噂に聞いていたここの名物パルフェを、ヘンリエッタに食べさせてやりたくてね。でもさすがに一人で食べきれるような代物ではないらしいから、他の子も誘ったんだ」
 丁度アンジェリカも退院したことだしね、と主目的を微妙にそらしてジョゼは説明する。
「担当官でもない人間がいるが」
「プリシッラは非番なんだ」
 正確に言うと、同僚を拝み倒して有給をもぎ取ったのだ。
「ほら、女の子達が甘い物を食べに来るのに、いい年をした男がぞろぞろと同じテーブルに付き添っているのも目立つだろう? だから店内での引率を頼んだんだよ」
「作戦活動でもないのに外で義体が一カ所に集まれば、何の集団かと周囲の憶測を呼ぶ危険が増す」
「それは大丈夫だよ。リコとヘンリエッタはバイオリンケース、アンジェリカはヴィオラケース、トリエラはクラシックギターのケースを持っているじゃないか。
クラエスはピアノ譜を持っているしね。どこかの音楽学校の生徒同士にしか見えないよ」
 勿論、ケースの中身は優雅な芸術とはほど遠い物騒な銃火器類な訳なのだが。
「ああ成程、確かに変則ですが室内楽ができますね」
 感想を述べたドイツ人をジャンがじろりと睨む。
「……トリエラにはチェロのケースを持たせた方が、よりそれらしかったかもしれませんが」
 不器用なフォローとも下手な冗談ともつかないヒルシャーの発言を無視して、ジャンは弟に問う。
「クラエスが何故ここにいる。あれは俺の監督下にある義体だ」
「僕が課長に許可を取って連れ出したんだ」
「……相変わらず課長はジョゼに甘い」
 自分のことはすっぱりと棚に上げておいて低くうなるジャン。しかしこれは、ジョゼが相手だからこの程度の反応で済んでいるのである。
 相手が企画者のプリシッラ辺りならば、即座に店外へ連行されてドスの利いた声で尋問と訓告----気の弱い者なら失神しかねない恫喝----が下され、
次の格闘訓練で特別指導----いわゆる鉄拳制裁----を賜ること必至だ。
勿論、これが他の担当官でもあまり反応は変わらない。
 あくまでも企画立案はジョゼの個人的理由からなぬものである。そう装うのが、このイベントの実行に際して一番安全かつ穏便で平和的な対策方法であろうという、プリシッラの分析は正しい。


413 :【付き添い】:2008/08/27(水) 00:35:42 ID:qggiUvzq0
 不満はあれどもひとまずは運ばれてきたコーヒーを口にし、ジャンは弟のたわいもない世間話に耳を傾ける。
 その様子にようやく緊張を解いて新聞を広げるヒルシャーと、適当に雑誌をめくり始めるマルコー。通路の反対側では笑いさざめく少女達の声がする。
「ああしておしゃべりをしていると、まるきり普通の女の子だな」
 自分と二人でいる時にはまずお目にかかれない娘の----もとい、『妹』の笑顔を、新聞紙の陰からそうっと観察しつつ、不器用なドイツ人が呟いた。
「まあな」
 無邪気な天使の微笑みに背中を向けて座ったまま、マルコーはおざなりに答える。
「たまには、こんな風に外で甘い物を食べさせるのも、いいのかもしれないな」
「そうかもな」
「君はどこか良い店を知っているかい?」
「さあな」
「……少しは真面目に相談に乗ってくれないか」
「相談? 雑談だろ、こんなのは」
「マルコー、僕はだな----」
 張り合いのない生返事ばかりする同席者に、新聞を除け、やや不快そうな声を上げたヒルシャーの動きが止まる。
「----何だ、あれは」
「ああ?」
 振り返ったマルコーの視線の先には、ウェイトレスが重そうに運ぶ巨大なパルフェ。
「!?」
 バケツのごとく巨大なガラスの器に、これでもかとばかりにジェラートとフルーツソースが詰め込まれ、更にその上には通常一人前として供される三角形のトルタ(ケーキ)が5、6個乗せられている。
 絶句する男達の前を素通りしたジェラート入りのガラスバケツは、そのまま彼らの『妹』達の席へと運ばれた。きゃあっと可愛らしい歓声が上がる。


414 :【付き添い】:2008/08/27(水) 00:36:56 ID:qggiUvzq0
「……ジョゼ」
 低い声で弟の名を呼ぶジャン。せっかく収まっていた不機嫌のオーラが、おどろおどろしく立ちのぼる。
「……あれが名物“バケツパルフェ”なんだけど……本当に大きいな……」
 やや呆然として答えるジョゼ。噂には聞いていたものの、実物は彼の予想を遙かに上回っていたらしい。
「……何だ、ありゃ」
 ぼそりと嫌そうに呟くマルコー。甘い物は嫌いではないが、物には限度というものがあるだろう。
「……あれは全部食べきれるのか?」
 心配そうに言うヒルシャー。いかに女子供は甘味類が好きだとは言え、あの量は体に良くないのではないだろうか。
 四者四様の反応だったが、パルフェに対する認識は共通していた。すなわち、

----いくらなんでも、あれはデカ過ぎだろう!!

 である。
 あれを嬉しそうに食べる女共の気が知れない。慄然とする男達の前で、みるみる内に上のトルタと飾りの果物類が姿を消してゆく。
 30センチはあろうかという長く細いスプーンで、ざくざくとジェラートを掘り進んでいく5人の少女達と若い女性1名。
女の甘味に対する食欲のすさまじさを今更ながらに再確認し、男達は居心地の悪い思いをしながらそれを遠巻きに眺めるしかない。



415 :【付き添い】:2008/08/27(水) 00:38:15 ID:qggiUvzq0
 だがさすがに15分もするとペースが少し落ちてきた。ジェラートの量はバケツにあと半分と言ったところだが、一度に口に運ばれる量が減ってきている。しかしヘンリエッタとプリシッラはまだ余裕がありそうだ。
 20分後。学級委員長がウェイトレスに人数分の紅茶を頼んでいる。いい加減口が甘くなってきたのか、それとも腹が冷えてきたのか。
「ああ、あれは良い考えかも知れませんね。味覚も変わるし、おなかも暖まるでしょう」
 直接口には出さないが、さすがは私のトリエラと親バカ丸出しのヒルシャーに、ジョゼが疑問を差し挟む。
「いや……。確かに一時的には効果が高いと思うけど、まだジェラートが3分の1は残っているだろう? おなかが暖まるほど紅茶を飲んでしまったら、水分で満腹になってしまわないか」
 不吉なジョゼの言葉をよそに、白いティーカップとティーポットの援軍が到着して、少女達の食欲が盛り返す。
「----どうせ女共のことだ。なんだかんだ言っても、その内全部たいらげちまうさ」
 ちらりとだけ後方を見やって、マルコーはまた雑誌に目を戻した。
「それはそうなんだろうけど……」
 一方の少女達は、おしゃべりを続けながら紅茶と交互にパルフェを食べ続けている。バケツの底に敷き詰められたコーンフレークがようやく姿を現し、歯触りの違いも手伝って、またしてもざくざくとパルフェはその量を減らされてゆく。



416 :【付き添い】:2008/08/27(水) 00:40:28 ID:qggiUvzq0
 だが2杯目の紅茶が空になった頃から、また戦況が変化し始めた。
 ジョゼの予言通り、どうやら少女達の小さな胃が許容量の限界を迎えたようだ。
その上、4リットルのジェラートはほとんど姿を消したものの、意外な伏兵コーンフレークが溶けたジェラートでふやけて体積を増している。
 さすがの少女達もしゃべる口調が段々と間遠くなり、言葉数が減ってきていた。長いスプーンの先で何となくパルフェの残りをつつき回しているが、なかなかそれを口に運ぼうとしない。
ただ一人、ヘンリエッタが笑顔のまま、激甘の液体を吸って膨らんだコーンフレークだった物を嬉しそうに頬張っている。
「……無理して食べることはないと、声をかけてくるべきでしょうか」
「いやあ……うん……」
 何とも言いようのない表情をして口を濁すジョゼに変わって、心配性なドイツ人に投げやりなイタリア人が言う。
「やめとけ。目立たないように、強面の兄貴達がわざわざ席を外した意味が無くなる」
「それはそうだが……。あの子らの胃腸は生身なわけだし----」
「全身が生身でも、『鋼鉄の肝臓』を持ってる人間は山ほどいるだろ」
「そういう問題じゃないだろう、マルコー」
「ほっとけって。それともヒルシャー、おまえあいつらの代わりに、残りの“溶けたパルフェ”を食ってくるか?」
「う……」
 思わず言葉に詰まるヒルシャー。ジャンは腕組みをして座席に寄りかかったまま、終始無言だ。



417 :【付き添い】:2008/08/27(水) 00:42:43 ID:qggiUvzq0
 気まずい沈黙が男達の間を漂う中、しかし長く苦しい闘いにも終幕が訪れたようだ。
 コーンフレークを全滅せしめた少女達が、そろって細く長いスプーンを皿に置いた。巨大パルフェがテーブルに運ばれて40分。ようやく完食である。
 やれやれ、これでやっと自分たちも公社に帰れる。不機嫌きわまりないリーダーと共に過ごす気詰まりなコーヒータイムを終え、男達が立ち上がろうとしたその時。
 紅茶を飲み終わったヘンリエッタがおもむろに立ち上がり、ガラスのバケツに両手をかける。
 何をするつもりなのかと見やった男達の視線の先で、彼女はやおら重い器を持ち上げその中身----溶けたジェラートと甘いソースの混合物----を空のティーカップに移し入れた。
 唖然として担当官らが見つめる中、ガラスの器をテーブルに戻して椅子に腰掛け直したヘンリエッタは、ティーカップの取っ手を華奢な指先でつまみ、とてもとても幸せそうな顔をして----。
 それを一気にくーっと飲み干した。
 そしてひきつった男達の前で、さも満足げに一言。
「ごちそうさまでした!」

 その後、にこにこと満足そうな笑顔の少女が一人と、げんなりと消耗した顔の一団が喫茶店を出て行ったが、店員が特に彼らの顔を記憶するという事はなかった。
 多種多様なドルチェをそろえているこの店では、子供をダシに甘味を食べに来るビジネスマンも珍しくはない。
それに何より、巨大パルフェに挑んだ客がそんな表情で店を後にするのは、店員にとって日常茶飯事なのである。
 それよりも、彼らと入れ替わりに入ってきた常連客の方が問題だ。
まったく、あの女子学生達ときたら、一番安いドルチェとおかわり自由のコーヒーだけで、かしましくしゃべりながら毎日何時間もねばることねばること……。

 小憎らしいほどに晴れ渡った青空の元、ローマは今日も平和だった。


《 Das Ende 》


418 :CC名無したん:2008/08/27(水) 14:45:34 ID:4jh4prHW0
Z
面白かった。
だが、読むだけで舌が麻痺したんで、本日のお八つは茶だけだ、謝罪と賠償を(ry

>>406

     __
  .r'´::::;、::::`ヽ,
  i:;:::/,) ヽ\::i
  l:i::iで) で)i:l  でへへ、若奥様って呼ぶのはまだ早いです〜
  ';l::l、""ヮ ツil


419 :CC名無したん:2008/09/01(月) 23:37:09 ID:Aaldw2kb0
アニキャラ個別のトリエラスレとアウローラスレ落ちた……
書き込もうと思ったら落ちてた。

だからここで保守もかねて言わせてくれ。
KOKIAの「私の太陽」を聞いたら、何か凄くトリエラソングだった。
というか非常にあの話を思い出させる。

420 :CC名無したん:2008/09/06(土) 00:16:54 ID:yK+OEsgF0
>>418
ありがとうございますw
ヴァーチャルおやつの賠償はただ今制作中。
小龍包とソーセージ、どっちがいい?

若奥様って言うか幼妻……



421 :CC名無したん:2008/09/06(土) 00:23:41 ID:yK+OEsgF0
>>419
>KOKIAの「私の太陽」
おおw聞いてみよう。
イメージソングかあ。探してみたいんだけど、
ガンスリにはまってからクラシックがマイブームになっちゃって
Jポップ聴いてないんだよなあ〜〜

422 :CC名無したん:2008/09/06(土) 00:30:57 ID:yK+OEsgF0
エロパロスレに保守をかねて【縁日】の
ちょっと下世話なバージョンを投下してきた。
15禁くらいだけど、全年齢板に投下するのは気が引けたので。
またしても己の品位を下げまくった気がするが・・・まあ今更だわな。

423 :CC名無したん:2008/09/08(月) 17:55:59 ID:FZgLRijd0
age

424 :CC名無したん:2008/09/08(月) 17:59:53 ID:FZgLRijd0
sage

425 :CC名無したん:2008/09/09(火) 00:32:41 ID:Y2kfO9df0
>>422
見てきたよ。
昼者はやっぱり良い味だしてんな。
鳥の心昼知らずだわ、やっぱり。

426 :CC名無したん:2008/09/15(月) 06:27:17 ID:BdbdoWfxO
>>417
超笑えた

427 :CC名無したん:2008/09/16(火) 22:06:51 ID:SW9TdiW9O
KOKIAのイメージソング、素敵だね〜。

428 :CC名無したん:2008/09/21(日) 23:44:03 ID:vSJU6Lt4O
>>425 >>426
ありがとうございますw
真面目な人はいぢりがいがありますw
もひとつ鳥の心知らずな15禁ネタがあるので、その内あっちに投下する予定。
来週はいつもの親子ップル話がこっちに投下できるんではないかと思います。

429 :CC名無したん:2008/09/21(日) 23:45:24 ID:vSJU6Lt4O
>>419
KOKIAの「私の太陽」 聞いてみました。いいっすね〜。
二期最終話の夜明けのシーンからかけてみたいw

430 :CC名無したん:2008/09/22(月) 23:44:02 ID:kuSfZ/K/0
トリエラとアウローラとフランカのスレもあったんだね。
落ちちゃったらしいけど。誰か知ってたら一応貼っといてくだされ。
んでリコも落ちたと・・・

【GUNSLINGER GIRL】リコ(Rico) 【ごめんね】
ttp://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1209841151/l50x


生き残ってるのはここだけみたいだ

【GUNSLINGER GIRL】アンジェリカたん
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1202045001/l50x

431 :【モデル】:2008/09/23(火) 23:35:15 ID:l6ExrO5Y0

予定していたSSじゃないけど、
急に思い付いて書き上げてしまったので投下します。
ヒルシャー父さんのお買い物。
BGMはJSバッハの『無伴奏チェロ組曲 第3番 ブーレ』で。

9巻以降やたらとスカート姿が増えたトリエラに
ヒルシャーさんてばどういう心境の変化でスカートを買い出したんだw
と突っ込んだ自分に、弟は冷静な一言。「編集部推奨の萌え路線だろ」
……そんなミもフタもない。
なもんで、ミとフタを付けてみました。
自分で書くSSでは出来上がってくれても構わないつもりでいたのに、
原作がああなった途端に親子ップル話ばかり書き出すひねくれ者。


これで小ネタを合わせるとガンスリSSは30本目の投下。
(このスレで25本目、エロパロ板に4本、控え室に1本……)
いい加減にしておけ自分と思うけど、まだ止まりそうにありません。
こんな妄想話に広い心でお付き合い下さってる方、ありがとうございますw

432 :【モデル】:2008/09/23(火) 23:38:12 ID:l6ExrO5Y0
【モデル】


 忙しく不規則な勤務の中、久しぶりの非番にヒルシャーはローマの街を歩いていた。
 いつも訪れるクラシックを専門に扱う店で新譜のCDをいくつかゆっくり試聴したが、今回は好みの演奏には巡り会えなかった。
書店で雑誌でも購入し、後はちょっとした食材を探したら自宅でのんびり過ごすことにしよう。
そんなことを考えながら、男はいつもより少し緩やかな歩調でにぎやかな通りに向かう。
 雑踏の中、視界の端を横切った人影に男ははっと立ち止まった。
 褐色の肌と金の二つ髪の少女。
 まさか。担当官である自分の同行なしにあの子がこんな所にいるはずがない。
 だが。もしや公社の人間が自分に無断でトリエラを連れ出しているのではないだろうか。
 否定と疑惑がまばたきの間に脳裏を駆けめぐり、半瞬、ヒルシャーは走り出した。
几帳面なドイツ人らしくもなく横断用の歩道のない車路をいきなり横切り始め、行き交う車が勢いよくクラクションを鳴らす。
 警笛と共に罵声を浴びせる車に生真面目に片手を上げて謝意を示しつつも、男の視線は先ほど少女を見かけた方向を向いたままだ。最短距離で通りを渡りきって、ガラス越しに見つけたその姿に駆け寄り----。不意にその足が止まる。
 小さなブティックのショーウィンドウに立つ、可愛らしい少女。
 肩で息をしながらたっぷり5秒間その姿を見つめ、男は笑い出した。
「……マネキン、か」

433 :【モデル】:2008/09/23(火) 23:39:34 ID:l6ExrO5Y0
 子供服のブティックの前で独り笑う長身のドイツ人の姿を、道行く人が不思議そうに振り返る。周囲の視線に気付き、男は慌てて笑いを収めた。
 まったく、我ながら何をやっているのやら。意味もなくダブルのコートの裾を両手でぱんと払って男は体を起こす。
 気を取り直してウィンドウをもう一度眺めれば、すらりとしたミドルティーンの少女を模した人形がこちらに笑顔を振りまいている。
「----トリエラの方が美人だな」
 誰が聞いているわけでもないのに、男は照れ隠しにそんな事を呟いた。
 屈託のない笑顔を浮かべる人形が身に付けているのは、褐色の肌に似合うシックなミニスカートと、胸元に編み込みで模様の入ったタートルネックのセーター。
腰から裾にやわらかく広がった黒のコートに、そろいのブーツ。いたずらっぽく斜めにかぶった鳥打ち帽からは金の二つ髪が元気良く飛び出している。
 いかにも子供らしい明るい色使いではないのだが、普段自分が用意する堅い服装と違ってそれは格段に少女らしさを感じさせるものだった。

434 :【モデル】:2008/09/23(火) 23:40:55 ID:l6ExrO5Y0
 男は去年のクリスマス前にトリエラと交わした会話を思い出す。
『せっかくナポリまで来たんだ、買い物でもしていこうか。考えてみればおまえにはパリッとした服しか与えていないから、例えば可愛い服とか靴を……』
『わたしは…タイを締める時の気が引き締まった感じが好きだし、革靴が石畳をコツコツ叩く音も気に入っています』
 あの時彼女はそう答えていたが、それでもやはり年頃の少女だ。たまにはこんな風に女の子らしい格好をしてみたいのではないか。
 ヒルシャーは自分が野暮な人間であることはよく自覚している。もちろん女の子の服の見立てなどには全く自信がない。
だから自分で用意する時には、男物と同じ様なデザインのスーツや、学生が制服として着るような誰が着ても無難に着こなせるような物しか、選べないのだ。
 だがこうして彼女によく似た特徴を持つマネキンが着ている物ならば、あの子にもよく似合うのではないだろうか。そして、もしかしたら。
 もしもこんな服を着せてやったなら、あの子もこんなふうに、自分に笑顔を見せてくれたりするだろうか。
 そろそろまた冬物も必要だろうし、これならそれ程目立つ色でもないしな。
 そう自分に言い訳をしながら、男はブティックの扉を押した。

 その日からこの店には時折生真面目なドイツ人が買い物に来るようになった。季節の変わり目頃になると現れるその男は、いつも決まってウィンドウにある風変わりなマネキンを指差し、あの人形が着ている物を包んで欲しいと頼むのだった。


<< Das Ende >>

435 :CC名無したん:2008/09/24(水) 02:38:03 ID:Uel3kUJB0
GJ!
DVDの5巻の特典「イタリア散歩」でトスカを見に行きたいってトリエラが言ったら
喜んでオペラ座のチケットとドレスを用意してくれたヒルシャーを思い出した。
トリエラ曰くそういうヒルシャーを「甘い」って言っていたが、
父親っぽいヒルシャーが自分は大好きだったりするから
こういう親バカなヒルシャーはうれしい。

436 :CC名無したん:2008/09/25(木) 00:47:20 ID:BBFZHpwZ0
トリ&ヒルが多いな
このフラッテッロは執筆意欲をそそられるのか

437 :CC名無したん:2008/09/26(金) 00:47:11 ID:HtCnLFJ5O
>>435
ありがとうございますw
不器用なお父さんは書いてて楽しいですw
>DVDの5巻
そんなおいしい特典がついてるのかww

438 :CC名無したん:2008/09/26(金) 07:11:52 ID:HtCnLFJ5O
>>436
そそられますねw ツンもデレも書けるし。
自分はトリヒル組が一番書きやすいっす。
他の義体だとデレな反応しか思い付かんので

439 :CC名無したん:2008/09/27(土) 14:09:35 ID:48HDm5Uv0
このスレの存在を知らずに、漫画板のガンスリスレにSS投下してしまつた俺。     若かった…orz

440 :CC名無したん:2008/09/27(土) 22:32:03 ID:dxE2MxQZO
>>439
ここ分かりにくいもんね。
ぜひこっちに再投下してくだされw

441 :CC名無したん:2008/09/27(土) 22:33:31 ID:dxE2MxQZO
>>439
ここ分かりにくいもんね。
ぜひこっちに再投下してくだされw

442 :CC名無したん:2008/09/28(日) 08:41:30 ID:y5tJgVQQO
すまん、ダブった

443 :CC名無したん:2008/10/02(木) 00:08:42 ID:pRyaBy9M0
> 434
ヒルさんらしい、逸話ですね。
ところでそのマネキンは、やっぱり 金髪ツインテールでしょうか?

444 :CC名無したん:2008/10/02(木) 13:20:45 ID:awy/l7l7O
>>443
ありがとうございますw
もちろん褐色金髪ツインテールですw
夏用の小麦肌マネキンにそのまま秋冬物を着せてたんでしょーか。

445 :【視線】:2008/10/02(木) 22:12:07 ID:awy/l7l7O
【視線】


 早くに両親を亡くし親戚中を転々としていた子供が、事故に遭った。
 腰の骨を砕かれ両足を失いながらもようやく一命を取り留めた少女の枕元で、親戚は目覚めたばかりの彼女を罵倒した。

 まったく、なんて厄介者だ。轢き逃げじゃ賠償金も取れやしない。
 治療費や入院費を一体誰が払うんだ。
 退院したって手間と金がかかるばっかりじゃないか。
 役立たずの疫病神。
 なんで後腐れ無く死んじまわなかったんだろう。

 家庭争議の現場に居合わせるべきではないと席を外しながらも様子を伺っていた看護士が、静かになったその病室を訪れた時には、
そこには唇をかみしめて天井をにらんだまま声もなく涙を溢れさせる子供が、一人残されているきりだった。
 重い障害を負った少女を病院に置き去りにしたまま治療費を踏み倒し、その子の親戚は二度と病院を訪れなかった。連絡を取ろうにも電話は通じず、たずねていけば常に留守だった。
 引取先のない重症患者にほとほと手を焼いていた病院に、ある日政府の福祉職員が訪れて提案した。
今度新しく設立された障害者の自立支援プログラムが、彼女のようなケースならば適用されますよ、と。
 滞っていた支払いは公

446 :【視線】:2008/10/02(木) 22:15:08 ID:awy/l7l7O
 前の職場をつまらない派閥争いの巻き添えで解雇された俺は、新しい対テロ組織の求人に応募した。
 だが蓋を開けてみりゃ、戦闘用のサイボーグ手術を受けた『義体』と呼ばれる”子供”を教育して連れ歩けときたもんだ。なんだってそんな色物みたいな部署が設立されたのかは知らないが、それが仕事だと言われりゃしょうがない。
 『義体』の子供達は皆、犯罪の被害者だったり保護者に見捨てられたりした”不幸な子供達”で、そう言う意味じゃ表看板の『社会福祉公社』ってのもまるきりの嘘じゃない。放って置かれりゃただのたれ死んじまうだけの子供だった訳だからな。
テロリストだのマフィアだの”反社会的な”連中を片っ端からぶっ殺して回るってのも、考え方によっちゃひとつの”社会福祉”なのかもしれん。
----もちろん、お天道様の下で胸を張って言えるような話じゃないが。
 俺の相棒として引き合わされたのは、轢き逃げに遭い親戚に見捨てられた女の子だった。
『ベアトリ−チェ』と名付けた俺の義体は、まあ連れて歩くのが嫌になるような不細工な子供というわけじゃないし、むしろ顔は可愛い部類だ。例えガキでも野郎とつるんで歩き回るよりゃ潤いがある。
 ただ、こいつの『目

447 :【視線】:2008/10/02(木) 22:18:45 ID:awy/l7l7O
「ありゃあどうにかならんのかね」
 愚痴った俺に義体開発担当の医師が言った。
「では『条件付け』を強化しますか」
「ああ?」
「義体により強力な暗示をかけ重ねて、担当官への信頼感や忠誠心、愛情を強化することは可能です。ただし条件付けには大量の投薬が必要とされますから、義体の脳には負担がかかりますが」
 機械でできた身体はいくらでも換えがきくが、脳味噌だけはそうは行かない。脳に負担がかかるって事はそれだけこいつの寿命を縮めることになる。
 けど、な。
 どっちにしたって、身体の八割も人工物に置き換えるなんて無茶な手術をしているこいつが、それ程長生きできるはずがない。
 だとすればおまえ、俺と上手くやっていけた方がいいだろう? 
 ----どうせ短い残りの一生、ずっと俺と付き合うんだ。
「……分かった。やってくれ」
「分かりました」
「ああ、別に目ェウルウルさせながら”尊敬の眼差し”ってな顔でこっちを見るような、面倒臭ぇもんに仕上げなくてもいいんだぜ。今だって俺の言うことはちゃんと聞くんだ。
----要はあの”不信の眼差し”だけ、どうにかしてくれりゃいいんだから」





448 :【視線】:2008/10/02(木) 22:21:50 ID:awy/l7l7O
 広場の一角に停まった移動式スタンドに、楽器ケースを下げた少女が近付く。
 栗色の髪を襟足のあたりで真っ直ぐに切りそろえた少女の背丈は、車を改造したスタンドのカウンターにようやく目線が届く程度だ。とことこと歩いてきた頭の先に、スタンドの主人が声を掛ける。
「よう、おじょうちゃん。何にするね」
 少女は楽器ケースを足下に置き、カウンターに手を掛けて背伸びしながら片手で小銭を差し出した。
「ランプレドットのパニーニをひとつください」
「はいよ」
 何か考え事をしているような表情で、少女はくんくんと香ばしいパニーニの匂いをかいでいる。そんな少女の様子に思わず笑み崩れ、よく煮込んだ牛の臓物を挟んだホットサンドイッチを手渡しながらスタンドの主人が言う。
「お嬢ちゃん、かわいいねえ。カントゥッチョをおまけで入れといたからね」
「ありがとうございます」
 礼儀正しく挨拶をしてパニーニを受け取ると少女はそれを大事そうに片手で抱える。石畳に置いた楽器ケースをひょいと拾い上げ、少女は元来た方向へてくてくと歩き出した。

「ベルナルドさん、買ってきました。カントゥッチョはおまけだそうです」
「おう、ご苦労さんビーチェ。カントゥッ

449 :【視線】:2008/10/02(木) 22:24:28 ID:awy/l7l7O
「義体のガキとじゃれ合って楽しいか?」
「あそこまで入れ込む気なんかねェよ、ラウーロ。犬っころが芸をすりゃ頭のひとつもなでてやるだろ? あんなもんだって」
 大げさに肩をすくめて答える男に、それなら分かると同僚は頷いた。
「おまえまであの辛気臭い優男だのクソ真面目なドイツ人と一緒だったら、どうしようかと思ったぜ」
「おいおいおい、よしてくれ。俺はあんなにお優しかねえよ。----ま、かと言ってジャンさんみてぇに完璧な猟犬を仕付けようなんて思っちゃいねえしな。犬っころは”お手”と”お回り”に”取ってこい”ができりゃ、充分だろ」
 違いないとラウーロが笑う。
「じゃあベルナルド、マフィア連中の掃除が済んだら、手はず通りおまえの”犬”の良く利く鼻でヘロインを嗅ぎ出してくれ。今回は資金源を押さえとかないと意味がないからな」
「おう」
 じゃあ30分後になと片手を上げて歩き出した同僚の後に付き従って、長いお下げ髪の少女も歩き出す。その思い詰めたような視線には、自分の担当官以外の姿は映っていないようだった。 
 条件付けを強化された義体は大抵そんな風に自分の担当官に惚れ込んで、恋する乙女の視線で主人の後を追いかける。けれどま

450 :【視線】:2008/10/03(金) 00:10:34 ID:vk2Jr8WwO
 条件付けを強化された義体は大抵そんな風に自分の担当官に惚れ込んで、恋する乙女の視線で主人の後を追いかける。けれどまあ、俺はあそこまで慕ってもらわなくてもいいなと、同僚とその義体の姿を見ながらベルナルドは思った。

----どうせ俺は、尊敬や愛情に値するような男じゃないし、それに。

 男は自分の傍らであらぬ方を見つめている少女を見やった。少女は自分の命令を受ける時のみ自分と視線を合わせる。そしてその瞳には勿論、初めの頃の不信感は微塵もない。

----尊敬や愛情も、自分がそうさせた”信頼”の視線を受け止める覚悟もない、卑怯者なんだから。
 
 少女から視線を外し人の行き交う広場の方を眺めると、ベルナルドは彼女が買ってきたパニーニにかぶりつく。
 温かく、香ばしい匂いを振りまくそのパニーニはなぜか苦みを伴って、男の胃の腑へ落ちていった。


<< Das Ende >>

451 :【視線】:2008/10/03(金) 14:06:33 ID:vk2Jr8WwO
>>445->>450
すみません!
アクセス規制中なので携帯から投下したら、なんだかひどいことに。
無駄にスレを使用して申し訳ない!
…もう一度投下し直します。

たまには鳥昼組以外を書こうと思い、どこをどう間違ったのか
超マイナーフラテッロの捏造しまくりシリアスSSに到達。
どこにも需要がないんじゃないかと思いつつ、
ベルナルド・ベアトリーチェ組
……です。
ないない。需要なんてないよママン。

452 :【視線】:2008/10/03(金) 14:08:35 ID:vk2Jr8WwO
【視線】


 早くに両親を亡くし親戚中を転々としていた子供が、事故に遭った。
 腰の骨を砕かれ両足を失いながらもようやく一命を取り留めた少女の枕元で、親戚は目覚めたばかりの彼女を罵倒した。

 まったく、なんて厄介者だ。轢き逃げじゃ賠償金も取れやしない。
 治療費や入院費を一体誰が払うんだ。
 退院したって手間と金がかかるばっかりじゃないか。
 役立たずの疫病神。
 なんで後腐れ無く死んじまわなかったんだろう。

 家庭争議の現場に居合わせるべきではないと席を外しながらも様子を伺っていた看護士が、静かになったその病室を訪れた時には、
そこには唇をかみしめて天井をにらんだまま声もなく涙を溢れさせる子供が、一人残されているきりだった。
 重い障害を負った少女を病院に置き去りにしたまま治療費を踏み倒し、その子の親戚は二度と病院を訪れなかった。連絡を取ろうにも電話は通じず、たずねていけば常に留守だった。
 引取先のない重症患者にほとほと手を焼いていた病院に、ある日政府の福祉職員が訪れて提案した。
今度新しく設立された障害者の自立支援プログラムが、彼女のようなケースならば適用されますよ、と。


453 :【視線】:2008/10/03(金) 14:09:57 ID:vk2Jr8WwO
 滞っていた支払いは公金で補填され、少女は専用の自立訓練施設に入所することになると説明され、病院は一、二もなく少女の身柄を引き渡した。

 ……こうしてその少女は社会福祉公社に引き取られ、以後『ベアトリーチェ』----ビーチェと呼ばれることになった。




454 :【視線】:2008/10/03(金) 14:11:43 ID:vk2Jr8WwO
 前の職場をつまらない派閥争いの巻き添えで解雇された俺は、新しい対テロ組織の求人に応募した。
 だが蓋を開けてみりゃ、戦闘用のサイボーグ手術を受けた『義体』と呼ばれる”子供”を教育して連れ歩けときたもんだ。なんだってそんな色物みたいな部署が設立されたのかは知らないが、それが仕事だと言われりゃしょうがない。
 『義体』の子供達は皆、犯罪の被害者だったり保護者に見捨てられたりした”不幸な子供達”で、そう言う意味じゃ表看板の『社会福祉公社』ってのもまるきりの嘘じゃない。放って置かれりゃただのたれ死んじまうだけの子供だった訳だからな。
テロリストだのマフィアだの”反社会的な”連中を片っ端からぶっ殺して回るってのも、考え方によっちゃひとつの”社会福祉”なのかもしれん。----もちろん、お天道様の下で胸を張って言えるような話じゃないが。


455 :【視線】:2008/10/03(金) 14:13:50 ID:vk2Jr8WwO
 俺の相棒として引き合わされたのは、轢き逃げに遭い親戚に見捨てられた女の子だった。
『ベアトリ−チェ』と名付けた俺の義体は、まあ連れて歩くのが嫌になるような不細工な子供というわけじゃないし、むしろ顔は可愛い部類だ。例えガキでも野郎とつるんで歩き回るよりゃ潤いがある。
 ただ、こいつの『目』は。
 公社が『条件付け』と呼んでる洗脳のおかげで、こいつは主人である俺の言うことには絶対に逆らわない。
 けど俺の顔を見返すその目は、俺を信じていない。
 嫌々言うことを聞いてるってな反抗的な目じゃない。だが俺の命令を聞くのは自分の『義務』で、用済みになって捨てられたとしてもそれはそれで仕方がない----そんな冷めきった目だ。
『条件付け』の過程で大抵過去の記憶は消去される。ボケた年寄りは“あったこと“を忘れても、その時の“感情“は覚えてるって聞くが、こいつには何か人間不信に陥るような強烈な体験があったんだろうか。
 ----しかしだとしても、そりゃあ俺には関係のねえ事だろ?
 絶対的な信頼なんてぇうざったいモンが欲しい訳じゃないが、ああも不信感いっぱいの目で真正面から見返されるんじゃ正直気が滅入る。


456 :【視線】:2008/10/03(金) 14:15:15 ID:vk2Jr8WwO
「ありゃあどうにかならんのかね」
 愚痴った俺に義体開発担当の医師が言った。
「では『条件付け』を強化しますか」
「ああ?」
「義体により強力な暗示をかけ重ねて、担当官への信頼感や忠誠心、愛情を強化することは可能です。ただし条件付けには大量の投薬が必要とされますから、義体の脳には負担がかかりますが」
 機械でできた身体はいくらでも換えがきくが、脳味噌だけはそうは行かない。脳に負担がかかるって事はそれだけこいつの寿命を縮めることになる。
 けど、な。
 どっちにしたって、身体の八割も人工物に置き換えるなんて無茶な手術をしているこいつが、それ程長生きできるはずがない。
 だとすればおまえ、俺と上手くやっていけた方がいいだろう? 
 ----どうせ短い残りの一生、ずっと俺と付き合うんだ。
「……分かった。やってくれ」
「分かりました」
「ああ、別に目ェウルウルさせながら”尊敬の眼差し”ってな顔でこっちを見るような、面倒臭ぇもんに仕上げなくてもいいんだぜ。今だって俺の言うことはちゃんと聞くんだ。
----要はあの”不信の眼差し”だけ、どうにかしてくれりゃいいんだから」





457 :【視線】:2008/10/03(金) 14:16:40 ID:vk2Jr8WwO
 広場の一角に停まった移動式スタンドに、楽器ケースを下げた少女が近付く。
 栗色の髪を襟足のあたりで真っ直ぐに切りそろえた少女の背丈は、車を改造したスタンドのカウンターにようやく目線が届く程度だ。とことこと歩いてきた頭の先に、スタンドの主人が声を掛ける。
「よう、おじょうちゃん。何にするね」
 少女は楽器ケースを足下に置き、カウンターに手を掛けて背伸びしながら片手で小銭を差し出した。
「ランプレドットのパニーニをひとつください」
「はいよ」
 何か考え事をしているような表情で、少女はくんくんと香ばしいパニーニの匂いをかいでいる。そんな少女の様子に思わず笑み崩れ、よく煮込んだ牛の臓物を挟んだホットサンドイッチを手渡しながらスタンドの主人が言う。
「お嬢ちゃん、かわいいねえ。カントゥッチョをおまけで入れといたからね」
「ありがとうございます」
 礼儀正しく挨拶をしてパニーニを受け取ると少女はそれを大事そうに片手で抱える。石畳に置いた楽器ケースをひょいと拾い上げ、少女は元来た方向へてくてくと歩き出した。


458 :【視線】:2008/10/03(金) 14:18:29 ID:vk2Jr8WwO
「ベルナルドさん、買ってきました。カントゥッチョはおまけだそうです」
「おう、ご苦労さんビーチェ。カントゥッチョはおまえにやるから、寮で食いな」
「はい。ありがとうございます」
 受け取ったパニーニの包みから紙ナプキンにくるまれた固焼きのビスケットを取り出して少女に与える男に、傍らの同僚が嫌そうに顔をしかめる。
「おい、ベルナルド。おまえもジョゼやヒルシャーと同じ主義かよ」
「ああん?」


459 :【視線】:2008/10/03(金) 22:59:11 ID:qlS4AcFZ0
「義体のガキとじゃれ合って楽しいか?」
「あそこまでまともに入れ込む気なんかねェよ、ラウーロ。犬っころが芸をすりゃ頭のひとつもなでてやるだろ? あんなもんだって」
 大げさに肩をすくめて答える男に、それなら分かると同僚は頷いた。
「おまえまであの辛気臭い優男だのクソ真面目なドイツ人と一緒だったら、どうしようかと思ったぜ」
「よしてくれ。俺はあんなにお優しかねえ。----ま、かと言ってジャンさんみてぇに完璧な猟犬を仕付けようなんて思っちゃいねえしな。犬っころは”お手”と”お回り”に”取ってこい”ができりゃ、充分だろ」
 違いないとラウーロが笑う。
「じゃあベルナルド、マフィア連中の掃除が済んだら、手はず通りおまえの”犬”の良く利く鼻でヘロインを嗅ぎ出してくれ。今回は資金源を押さえとかないと意味がないからな」
「おう」
 じゃあ30分後になと片手を上げて歩き出した同僚の後に付き従って、長いお下げ髪の少女も歩き出す。その思い詰めたような視線には、自分の担当官以外の姿は映っていないようだった。 


460 :【視線】:2008/10/03(金) 23:01:03 ID:qlS4AcFZ0
 条件付けを強化された義体は大抵そんな風に自分の担当官に惚れ込んで、恋する乙女の視線で主人の後を追いかける。けれどまあ、俺はあそこまで慕ってもらわなくてもいいなと、同僚とその義体の後姿を見ながらベルナルドは思った。

----どうせ俺は、尊敬や愛情に値するような男じゃないし、それに。

 男は自分の傍らであらぬ方を見つめている少女を見やった。少女は自分の命令を受ける時のみ自分と視線を合わせる。そしてその瞳には勿論、初めの頃の不信感は微塵もない。

----尊敬や愛情も、自分がそうさせた”信頼”の視線を受け止める覚悟もない、卑怯者なんだから。
 
 少女から視線を外し人々の行き交う広場の方を眺めると、ベルナルドは彼女が買ってきたパニーニにかぶりつく。
 温かく、香ばしい匂いを振りまくそのパニーニはなぜか苦みを伴って、男の胃の腑へ落ちていった。


<< Das Ende >>


461 :CC名無したん:2008/10/05(日) 12:34:20 ID:rna2swR20
>> 459
ビーチェと担当官のお話なのでしょうが、エルザの思いつめたような眼差しが『痛い』です。
ペット感覚でもよいから、せめてこういうの触れ合いが有れば、エルザたんは死ななくてもよかったのかも。

462 :CC名無したん:2008/10/05(日) 14:49:04 ID:bQQ9dsto0
>>451
乙。面白かった。アニメには出てきたけど
あまり本編に出てこないキャラクターだったから新鮮だった。

しかしビーチェって一番薬使ってないように見えるけど。
ベルナルドも結構アバウトそうに見えるから、とりあえず
仕事出来りゃいいやってことで、もしかして二期生ほどでもないけれど
薬は少ないように……と思ってたけどリコ並みにやることなすことに迷いがないから
リコくらいには使ってるのかなぁ?
実のとこベルナルドのスタンスが判らないからそこらへん謎だったりするな。

463 :CC名無したん:2008/10/05(日) 23:15:08 ID:QbyFfqP40
>>461 >>462
レスをありがとうございます〜。
今回スルー覚悟の投下だったんで、安心しました。

>>461
>エルザの思いつめたような眼差しが『痛い』です。
ベルナルド・ベアトリーチェ組の話なんですが、やはりエルザは存在感ありますね。
最後の最後に”持ってかれちゃった”感があります。
エルザは色々と象徴的なんで、シリアス書く時は鍵になりますな。
でもやっぱりかわいそうだよ、この子・・・(ToT)

464 :CC名無したん:2008/10/05(日) 23:16:32 ID:QbyFfqP40
>>462
>しかしビーチェって一番薬使ってないように見えるけど。
あんまり大量投与はされてなさそうなんですけどねえ。
トリエラとエッタは”特に薬物投与が少ない”、みたいなイメージがあるので、
じゃあ、”普通に薬を使われてる子”ってどないなん?と思ったのがきっかけでした。

>ベルナルドも結構アバウトそうに見えるから
>実のとこベルナルドのスタンスが判らないからそこらへん謎だったりするな。
ラウーロほど”良くわきまえた”担当官じゃなさそうだけど、
ジョゼやヒルシャーのように条件付けに反対もしていないし、
一番平均的というか一般的というか、『普通の』フラテッロなのかな〜と。

フェルミの「他の男達のように薬で尊敬を得たのか」の台詞に、
ジョゼが「僕は大量の投薬で忠誠心をあおりはしないし・・・」と答えているから
それじゃあ、あれでもそれなりに薬は使ってんのかな?とか・・・。
べらべらしゃべりまくる担当官の隣で、なんだか無関心にてくてく歩く姿が印象的だったので、
あーゆー関係で何で忠誠心を煽る必要があるのかね?と思って
そしたらこんなシチュエーションに。

>リコくらいには使ってるのかなぁ?
そーですね。するってーと、リコくらいの条件付けがデフォなら、
追加投薬は必要なかったかも? ・・・うわ、自爆ww

465 :CC名無したん:2008/10/05(日) 23:18:16 ID:QbyFfqP40
痛い話を投下してしまったので、口直しに甘々鳥昼SSを・・・
と思ったけど、一応出来上がっちゃってる設定の話なんで
エロパロ板の方に投下してきましたw すねるトリエラ。
全然大したことしてないけどねw
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199878167/l50

466 :CC名無したん:2008/10/05(日) 23:19:33 ID:QbyFfqP40
弟からメールが来た。
『カラビニエリのベルとなるもんを入手。イタリア軍警察放出品。
憲兵隊じゃないからアレだけどネタとして進呈しませう。』
実家に帰るのが楽しみだ。 

467 :CC名無したん:2008/10/09(木) 23:38:45 ID:fHFzXxo30
例の本誌8月号、いまいち釈然としなかったトリエラの台詞があって、
ようやく自分なりにそれを補完したSSが完成〜〜。
でもネタバレ満載だから10巻が出てから投下した方がいいかな?

468 :【ハロウィン】:2008/10/09(木) 23:40:01 ID:fHFzXxo30
代わりに性懲りもなく脇役キャラでSS。季節モノなので早めに投下。
愛の堕天使&伝道師ペア。この人達も割と書きやすいですw

469 :【ハロウィン】:2008/10/09(木) 23:41:08 ID:fHFzXxo30
【ハロウィン】


 ローマの下町にある小さな酒場。
 そこかしこにカボチャやコウモリ、お化けのオブジェが飾り付けられた賑やかな店内で、オレンジ色のとんがり帽子をかぶった若い女性がカウンター席に座り、隣の男にクダをまいていた。
「ジャンさんの石頭〜。ハロウィンくらいお祭り騒ぎしたっていーじゃない〜〜。ね〜、アマデオだってそう思うでしょお〜?」
「おいプリシッラ、そろそろ飲み過ぎじゃねえのか?」
 男の言葉には耳も貸さず、オレンジと黒で綺麗に半々に塗り分けた爪がびしびしとグラスに突きを入れている。
「アンジェには天使のカッコさせて、マルコーさんと歩かせてやるんだったのに〜〜」
「お約束な仮装だなー」
「エッタはお姫様にしてやって、ジョゼさんに『お姫様だっこ』してもらう思ってたんだよ〜〜」
「まあ喜ぶだろうなエッタは」
「リコにはミツバチ坊やとか用意してさ〜〜」
「ジャンさんに殴られるぞ。大体何なんだよそのショタくさいチョイスは」
「クラエスには魔女の黒マントを着せて、医者連中の所へ『Trick or Treat ?』って〜〜」
「……似合いすぎて怖いぜそれ」
「トリエラにはビニールレザーの悪魔っ娘姿でヒルシャーさんを悩殺させるつもりだったのに〜〜」
「いや、そりゃ無理だろ」
 なんでよおっ、胸パッドだって用意しといたのよ〜〜っ! と余計なお世話というか、実は存外失礼極まりないことを吼え立てる”愛の堕天使”プリシッラである。


470 :【ハロウィン】:2008/10/09(木) 23:42:34 ID:fHFzXxo30
「大体なあ、”あの”ジャンさんが許可してくれると思う方が間違いだって。寮でハロウィンのお茶会はしてやったんだろ? いいじゃないか、それで」
「だって、そんなの! かぼちゃのトルタ(ケーキ)でお茶しただけなんだよっ?」
「カボチャのランタンだって作ったじゃねえか」
 でかくて重い飼料用カボチャの買い出しと荷物運び、更にはお化けランタンの作成まで手伝ってやった付き合いの良い”愛の伝道師”アマデオが、堕天使をなだめる。
「いーや! 仮装パーティーじゃなきゃハロウィンのパーティーじゃな〜いっ!」
「……要するにおまえ、可愛い女の子達を着せ替えして遊びたかっただけなんだろう」
「う〜〜。フリフリのレースぅ〜〜ヒラヒラのリボン〜〜。ぜぇったい似合うろにぃ〜〜」
 ぶーぶー言いながら酒瓶に手を伸ばすプリシッラ。
ちょっぴりろれつが回らなくなってきたその様子に、アマデオは瓶を奪い取った。
「だから飲み過ぎだって。ピッチ早いよおまえ」
「ん〜ん?」
 不服そうな声を上げたプリシッラは手元に残されたグラスと手近な食器類を見回す。
空瓶ならば何本か転がっているが、手に届く範囲に中身の入った酒瓶はない。
唇をとがらせしばし空のグラスをにらんでいた堕天使は、つまみのサルッチャ(ソーセージ)をつついていたフォークを持ち上げるとくるりとアマデオの方に向き直り、さておもむろに問いかけた。

「 “ Drink or Delete ? ” 」

 飲ませなきゃ消すわよ?
 悪魔の三又槍よろしく眼前に突き付けられたフォークと、にっこり口端をつり上げた堕天使の微笑み。
 すっかり目が据わっている愛の堕天使サマに、伝道師ごときが太刀打ちできるはずもなく。
「………どーぞ」
 抱えた酒瓶を生け贄に捧げつつ、この後待っているであろう酔っ払いの介抱を予想して、密かにため息をつくアマデオであった。


<< Das Ende >>

471 :CC名無したん:2008/10/12(日) 14:19:44 ID:XGZyYREw0
>> 465
すねるトリエラかわゆかったです。鈍感大魔王のひるしゃーにやっぱり最後デレっとしてるのも良し。


472 :CC名無したん:2008/10/12(日) 22:59:01 ID:7wwFWLSa0
なんだか最近ガンスリ分が不足しているのかガンダム00の
ソレスタル・ビーイングが五共和国派に思えてたまらないんだ……。

>>465>>468
読んだよ。面白かった。
>>465
なんだかんだ言ってヒルシャーはトリエラに愛されてるな。
それが出てとても良かった。
>>468
ハロウィンのホントの悪魔はジャンさんか。
自分も仮装をする義体たちが見たかった。

473 :CC名無したん:2008/10/17(金) 22:49:46 ID:mY9fVqnF0
>>471 >>472
ありがとうございますw 
いつもツンな話ばかりな気がするので、
ホントはデレデレなんだよw な話を書こうと狙ってみましたw
楽しんでいただけたようでよかったですww


474 :【魔法】:2008/10/17(金) 22:50:59 ID:mY9fVqnF0
>>472
>仮装をする義体たちが見たかった
とゆーことでリクエストにお応えしようと思ったら、
なんか違うモノが降りてきてしまったようです。
またしてもマイナー?フラテッロSSで
 ”エルザ・ラウーロ組” です。

……ええと……ええと……ごめんね。またしても痛い話かも〜〜。
これがエッタあたりだったら、一途な乙女心の可愛い話でも済むんだろうけど〜〜。
それでもエルザの話にしては【視線】ほど痛くないような…気が…しなくもないような。
元々のイタリアのハロウィンがどんななのか調べたかったんだけど、
ちょっと間に合いませんでした。うろ覚えとイメージで捏造w ……スマン。
資産家の老人は五共和国派に資金提供でもしてたんでしょう。
お年寄りは大切にねw

475 :【魔法】:2008/10/17(金) 22:51:52 ID:mY9fVqnF0
【魔法】


 10月末。
 秋の訪れを肌で感じるこの季節に、イタリアでありながら外国語が飛び交う日が一日だけある。
 10月31日、ハロウィン。サマータイムの終わりを告げるこの日は、翌日が万聖祭でイタリア全土が祝日となることも手伝って、祖霊をもてなす行事というよりはさながら魔物達が集うワルプルギスの夜の様相を呈していた。


 ミラノ郊外にあるその屋敷の主人は顔をしかめ、しわだらけの顔に更に深いしわを寄せる。
 老人は近年、この日が大嫌いだった。
 懐かしい死者が家族の元を訪れるはずのこの日に、アメリカかぶれの若者達が珍妙な格好で町中を練り歩き、厚かましく菓子をねだる。
 大体あの言いぐさが気に入らない。
“ Trick or Treat ? ”----お菓子をくれなければ悪戯するぞ、だと? まるで強盗ではないか。

476 :【魔法】:2008/10/17(金) 22:52:54 ID:mY9fVqnF0
 老人は別にささやかな菓子代を惜しんでいるわけではない。
それなりの資産を持った彼はナタレ(クリスマス)の慈善事業には毎年欠かさず多くの寄付を贈っている。だが古くからの伝統を軽んじる軽率な乱痴気騒ぎは、大変に勘に障るのだ。
 そんな彼の嗜好を近隣の住民は良く知っているから、この日に彼の屋敷を訪れる子供はまずいない。
ただし時折何も知らぬ新参者が迷い込むことがあって、そんな時には恐ろしく不機嫌な顔をした老人に半時間ほど説教をされた不運な子供が、泣きべそをかきながら帰ってゆく姿が目撃されることになるのだった。
 しかも今夜は30分も前から電気が全て消えている。
 どこぞの馬鹿者共の悪ふざけで電線がショートしたせいなのだと、停電からギリギリ5分以内に到着したセキュリティー会社の警備員がそう言っていた。
干渉を好まないこの顧客の性格は分かっているから、停電が復旧するまで10分ごとにお屋敷の周囲を巡回します、と伝えると警備員はそそくさと帰って行った。
 明日の万聖祭のために用意した蝋燭に火を灯すと、独りで住むには広すぎる邸内を不機嫌が倍加した表情で見回り、火元の確認をする。電気の明かりがなければ老人にできることはそんな事くらいしかない。


477 :【魔法】:2008/10/17(金) 22:53:48 ID:mY9fVqnF0
 一通り邸内をうろついて後はもはや寝台に入るしか選択肢の無くなった老人は、ふと玄関先から物音を聞いた。
 コツコツコツ、と木を叩く音がノッカーの音であることに気付くには、しばらくかかった。停電のため呼び鈴の音は鳴らない。扉に施された装飾でしかなかったノッカーが、初めてその役目を果たしているのであろう。
 何事かと思い手燭をサイドボードに置いた老人は、どなたかな、と問いかけながら重たげな玄関の扉を開く。
 そこには小さな魔女がいた。
 黒い三角帽子に黒いケープ。可愛らしいギンガムチェックのナプキンを掛けた籐製のバスケットを片手に下げ、きっちりと編んだ長いお下げ髪が揺れている。
「Trick or Treat ? 」
 決まり文句を口にした少女に老人は目をむいた。こんな時に他人の家を訪れるとは何事か。何が菓子をくれだ。常識をわきまえろ。
 そうまくし立てようとした老人の口が、最初の言葉を発しようとした形のまま固まる。
 バスケットから取り出された、子供の手には不似合いな銃。

----強盗か、セキュリティは一体何を、停電が、そうだ現金はどこに----。

 めまぐるしく駆けめぐった老人の思考は、消音器で遮られた乾いた銃声によって永久に中断された。



478 :【魔法】:2008/10/17(金) 22:55:41 ID:mY9fVqnF0
「ラウーロさん、終わりました」
 お下げ髪の魔女はオペラ座の怪人にそう報告した。
「おう」
 仮面に阻まれてくぐもった声が答える。
「菓子はもらえたか?」
 珍しく冗談を口にした担当官に少女の瞳が揺らぐ。
「いいえ。でも命はもらってきました」
 少女の答えに仮面の奥で男は笑ったようだった。だがすぐにきびすを返し車へ向かう。
「引き上げるぞ」
「----はい」

 男の後ろ姿を追いかけながら少女は思った。
 もしも私が本当に魔女ならば、もっとラウーロさんのお役に立てるだろうか。
 姿を消す魔法、壁を通り抜ける魔法、空を飛ぶ魔法。どれもお仕事の役に立つだろう。
 もしも私が魔女ならば、もてる魔法を全てラウーロさんのために使おう。
 魔力も命も、全てラウーロさんのために捧げよう。
 けれど……だから。
 ひとつだけ自分のために使いたい魔法がある。

 ----それはあなたを振り向かせる、魅了の魔法。

 ただ、ただひとつだけ。
 私の望みは、ただ一つだけ。


<< Das Ende >>

479 :CC名無したん:2008/10/20(月) 00:07:02 ID:FSvpTp6F0
ああ、エルザたん! 魔法がかなうといいね。
>「いいえ。でも命はもらってきました」
この台詞、痺れました。(のとまみさんにこの台詞、演技して聞かせて欲しいです)

480 :CC名無したん:2008/10/21(火) 22:03:02 ID:xMSnycTZ0
>>474
ありがとうありがとう。見たかったんだこういうの。
エルザ良いなぁ。

エルザはエッタやトリエラみたいに一回だけのキャラだから
書くのは難しかったかもしれないけど、その分面白かったし、
良く書けてたよ。

481 :CC名無したん:2008/10/21(火) 22:05:01 ID:xMSnycTZ0
すんません。↑の文意味がわからなくなってる。
「エッタやトリエラと違って一回だけのキャラだから」だね。

482 :【魔法】:2008/10/22(水) 00:32:10 ID:/t0qFmFI0
>>479 >>480
嬉しいお言葉ありがとうございますw
あの台詞は他の誰でもなくエルザに言わせたくてww
エルザ良いですよねw 好きなんです、この子。 
喜んでいただけて良かったです〜〜ww

483 :【 Trick or Treat ? 】:2008/10/22(水) 00:33:44 ID:/t0qFmFI0
仮装大会にリトライ!
ハロウィンでこんなにネタが出るとは思わなかったw
九月が規制でほとんど出入りできなかった反動か、
今月はやたらと筆が進んだ気がします。
来週10刊が出たら、トリエラのSSを投下するつもりw

484 :【 Trick or Treat ? 】:2008/10/22(水) 00:34:36 ID:/t0qFmFI0
【 Trick or Treat ? 】


《お姫様エッタ&ジョゼ》

エッタ「Trick or Treat ? 」
ジョゼ「やあ、ヘンリエッタ。可愛いお姫様だね。はい、キャンディボックスだよ」
エッタ「ありがとうございます!ジョゼさんて何でも用意してるんですね」
ジョゼ「そうとも。さあ、気を付けて帰りなさい」
エッタ「はい!(残念。お菓子がなかったら、”いたずらです”って言って
    キスさせてもうおうと思ったのにな…)」


485 :【 Trick or Treat ? 】:2008/10/22(水) 00:35:29 ID:/t0qFmFI0
《みつばちリコ&ジャン(?)》

  リコ 「あ、ジャンさん。Tri ……」
プリシッラ「リコ、待って! その格好で行っちゃ駄目!
      ジャンさんに無許可でやってるんだから!!」


486 :【 Trick or Treat ? 】:2008/10/22(水) 00:37:07 ID:/t0qFmFI0
《悪魔っ娘トリエラ&ヒルシャー》

 トリエラ「Trick or Treat ? 」
ヒルシャー「ト、トリエラ! その格好は一体」
 トリエラ「ハロウィンの仮装です。あんまり見ないで下さい、恥ずかしいんですから」
ヒルシャー「あ、ああ。しかし困ったな。今、手元にお菓子がないんだ」
 トリエラ「そうでしょうね」
ヒルシャー「すまない。分かっていれば用意しておいたんだが。
       君がこういう行事に参加するとは思っていなかったから…」
 トリエラ「(ムカ)子供じみた真似をするなと言いたいんですね」
ヒルシャー「いや、そういうつもりでは」
 トリエラ「分かりました。いつものスーツ姿に着替えてきます!」
ヒルシャー「え? あ、ちょ、待ちなさいっ。トリエラ、トリエラ……?!」


487 :【 Trick or Treat ? 】:2008/10/22(水) 00:38:40 ID:/t0qFmFI0
《魔女クラエス&義体技師s》

 クラエス「Trick or Treat ? 」
義体技師1「ああ、クラエスか。どうしたんだその格好は」
 クラエス「ハロウィンですよ」
義体技師2「ほお、クラエスも案外子供っぽいんだな」
義体技師3「お菓子をあげなかったらどんなイタズラをされるんだい、魔女様?」
 クラエス「そうですね。計測されたデータは私にはいじりようがありませんから、
      主観的データの捏造でも。いわゆる虚偽報告ですか」
 技師全員「…何か探してくるから、ここで待ってなさい!」


488 :【 Trick or Treat ? 】:2008/10/22(水) 00:40:19 ID:/t0qFmFI0
《天使アンジェ&マルコー》

アンジェ「Trick or Treat ? 」
マルコー「何だアンジェリカ、その格好は? …ああ、今日はハロウィンか」
アンジェ「プリシッラさんが着せてくれたんです。----似合いますか?」
マルコー「……ああ、似合うな」
アンジェ「マルコーさん……!」
マルコー「ほら、菓子だ。持っていけ」
アンジェ「はい、ありがとうございます!」

プリシッラ「どうだった?アンジェ」
 アンジェ「マルコーさんからお菓子をもらってきました」
プリシッラ「え? マルコーさん、お菓子なんか持ってたの?
      一緒にお買い物に行けるかと思ったのになあ!」
 アンジェ「いいんです。マルコーさん、似合うなって言ってくれましたから……!」
プリシッラ「不憫だなあ、もう。…それで、どんなお菓子をもらったの?」
 アンジェ「えっと…ペッパーチーズと、サラミと、ツナキューブです」
プリシッラ「酒のツマミかよ!!」


 こうしてハロウィンの夜は更けていくのでありました。



<< だす えんで >>

489 :CC名無したん:2008/10/26(日) 05:40:33 ID:7V2WI+Pc0
グッジョブ!
さすがクラエス、一筋縄ではいかんね。
少し腹黒いヘンリエッタがいいね。
リコはジャンさんに見つかったら怒られるんだろうなぁ。
マルコーは優しいけど、微妙に誤解してるのか
菓子がないから酒のつまみなのか。
そしてやっぱりヒルシャーはフラグクラッシャーだw


490 :【 Trick or Treat ? 】:2008/10/27(月) 23:45:52 ID:iyGuMMul0
10巻でましたな。噂には聞いていましたがあの表紙……
ナチュラルに少女コミックスの間に混ざってて、
すぐには見つけられませんでした〜〜。

>>489
ありがとうございますw
そりゃあもう、クラエスですからw
エッタは何気に天然腹黒ちゃんです。
リコは鉄拳制裁から逃れられたんでしょーか。
ジャンさんに見つからないことを祈るのみです。
マルコーさん優しいかなあ?
昔を思い出して「似合うな」と言っては見たものの、
アンジェがウルウルしているのを見て
手近にあった菓子っぽいモノを渡して追い返した。
……以外とマルコーさんもツンデレなのか。
ヒルシャー父さんは相変わらず。どうしようもないですなw

491 :【誓約】:2008/10/27(月) 23:47:52 ID:iyGuMMul0
10巻が出たのでSS投下します。
第56話『鳥籠に還る』からトリエラサイドで。
この期に及んでまだ親子ップル風味を残そうと
足掻いてみたりみなかったり。来週は
以前控え室に投下したヒルシャーサイドを投下予定。
どちらも救いはある…と思うんだけど、
明るい話にはならない…ですね。ゴメン。

492 :【誓約】:2008/10/27(月) 23:48:37 ID:iyGuMMul0
【誓約】



『生き方を縛られるのは義体だけじゃない。みんな何かに追われて生きるんだ。
……僕は過去に縛られたんだよ』

 あなたはそう、言っていた。




493 :【誓約】:2008/10/27(月) 23:53:26 ID:iyGuMMul0
----ここで俺と共に働け、ヴィクトル・ハルトマン。
選択の余地はないぞ。おまえが死ねばあの子がどうなるか……。

 裏切りのリスクが少ない使える手駒を得るために。
 公社は私を人質に、この人の人生を奪った。

----ヴィクトル……お願い…あの子の命を守って……。

 死にかけていた私を、命と引き換えに救ってくれた女性。
 その人の遺言を守るために、あなたはすべてを捨てた。

 ヒルシャーさん。

 どうしてあなたが、あなたばかりが、私なんかのためにそんな目に遭うんですか。
 正義感の強いあなたがこんな汚れ仕事に手を染めて。
 私なんかをかばうために危険な仕事を一人で行って。
 こんな怪我を負ってまで、どうして。

「私が存在する限り……あなたは過去に呪縛され続ける……」

 私が生きているからあなたは自由になれない。
 誰よりも大切なあなたが、私のために不幸になる。

「そんなの…嫌です……!」

 そんなのは嫌だ。
 大切なあなたを不幸にすることしかできない存在なら。
 私なんて…死ねばいいんだ。


494 :【誓約】:2008/10/27(月) 23:54:54 ID:iyGuMMul0
「すまない……」

 絞り出すようなあなたの言葉。
 どうして。
 なぜ謝るんですか。
 こんな私にあなたが謝る必要なんかないのに。
 眠りに落ちたあなたの寝息は、銃創のためかまだ少し苦しげで。

 ----涙と共に嗚咽がもれる。
 泣くな。
 私に泣く資格なんかない。

 立ち上がり、涙を拭ってコートを手にした。
 もう一度だけ振り返り、あなたの姿をこの目に焼き付ける。
 閉ざされたはしばみ色の瞳。
 優しく哀しいあなたのその瞳を私が目にすることは、二度とない。
 
「----さようなら、ヒルシャーさん」

 もう二度と、あなたには会わない。
 もう二度と、あなたには会えない。
 私さえいなければ、あなたは自由になれる。

「もう、私のせいで危ない目に遭わないで下さいね……」

 呟いて、私は彼に背を向けた。
 眠ったままのあなたを置いて、部屋を出る。
 あなたの姿を焼き付けたその瞳を閉じて。
 扉を閉めた。 


495 :【誓約】:2008/10/27(月) 23:56:17 ID:iyGuMMul0
 もう二度と、会わない。

 私さえいなければ、あなたは過去を断ち切れる。
 だから。
 私なんて死んでしまえばいい。
 どこか誰にも知られない場所で。あなたがくれた銃で、この瞳を撃ち抜いて。
 そうすれば死ねる。
 作り物の身体でも、エルザのように瞳を撃ち抜かれれば----。
 

 不意に。
 
 頭の奥に記憶がよぎった。


『エルザはどんな子だった?』
『担当官に完璧に惚れてたわ。ここの子はだいたいそうよ』
『君もそうなのか?』
『馬鹿言わないで』

 そう、私は担当官に恋なんかしていない。

『条件付け----?』
『条件付けと愛情は似てるの。私にもどこまでが自分の感情か分からない』

 あなたに恋なんてしていない。
 この感情は恋じゃない。
 でも。

 ----愛してる。


496 :【誓約】:2008/10/28(火) 00:02:05 ID:Czn4laIx0
「…………だ……」

 後ろ手に閉めたドアノブを握ったままの手がふるえた。


 ----嫌、だ。


 嫌だ、嫌だ、嫌だ。
 あなたと別れるなんて、いやだ!

 こみ上げた衝動に身体ごと振り向き。
 扉を、開けた。
 身をひるがえし部屋の奥へと駆け戻る。
 ----大切な、その人の元へ。


497 :【誓約】:2008/10/28(火) 00:03:29 ID:9mQw14dm0
 幼い子供のようにぼろぼろと大粒の涙をこぼしながら、
 私はソファにかけたまま眠る彼の首筋に両腕ですがりついた。 

 愛してる。

 この感情が“生徒”としての『敬愛』なのか、“娘”としての『親愛』なのか、
 それとも“女”としての『情愛』なのか、それは分からない。
 けれど。
 けれど、どこまでが自分の感情なのか分からなかった1年前のあの日よりも、
 自分は確かにこの人を愛している。

 それはこの1年間、あなたが私に注いでくれた『慈愛』があったから。

 教師のように、父親のように。
 どうしようもなく不器用で、どこまでも真摯なあなたの優しさが、
 私のこの感情を育ててくれた。……だから。


498 :【誓約】:2008/10/28(火) 00:04:35 ID:Czn4laIx0
 私は眠ったままの彼の頬を両手でそっとはさんだ。
 聖杯を捧げ持つようにしてその顔を見つめ。
 ----そして静かに唇を重ねた。


 この人と一緒に、必死に生きてそして死のう。


 残された時間
 それがどれだけ短くはかないものであったとしても、
 私はこの人の望み通り精一杯生きよう。
 すべてを捨てて私を守ろうとしてくれたあなたに、すべてをかけて私は応えよう。

 ----それが私と言う存在が生きる意味なんだ。


 生涯ただ一度のくちづけを捧げ、私は彼を抱きしめた。
 誓いのキスはほのかに辛く、かすかな涙の味がした。 



<< Das Ende >>

499 :CC名無したん:2008/10/31(金) 19:47:39 ID:Mv5Q6SziO
グッジョブ!いい感じだった。
昼と鳥は師弟であり親子であり恋人でもある。
本当に二人だけの絆で結ばれているんだなと思ったよ。
基本的に義体って条件付けで強制的に担当との関係を最初に作って……
という形から始まるけど二人の関係もヒルシャー
はともかくトリエラもそうだったかもしれない。
でも今はもうそんなの越えちゃってるよね、と読みながら考えていたよ。
すまん、アク禁巻き込まれて携帯で書いたから何書いてるかわからなくなってきた。

500 :CC名無したん:2008/11/02(日) 23:00:25 ID:lHGS7MKK0
折り返し地点に到達!
次スレに向けてまたがんばりませうw

501 :【誓約】:2008/11/02(日) 23:02:10 ID:lHGS7MKK0
なんかすごい長文レスになっちゃったよ……
マジレスが面倒臭い方、どうぞスルーなさって下さい。
鳥昼についてだらだらと私見を語ってるだけなので。

>>499
ありがとうございますw
トリエラの「私なんか死ねばいいんだ」発言がどうにも納得できなくて
何でこういう発想になるのかとごちゃごちゃ考えた末、この形に落ち着きました。

いや嬢ちゃん、あんたが死んだらこの人もっとひどい目に遭うから!
担当義体に逃げられた挙げ句自害されちゃった日にゃ、どんだけ管理責任を問われることか。
大体嬢ちゃんが死んだ所で今更この人足抜けなんかできないって。
公社は秘密を知る者に容赦はしないって言ってるじゃん。
てかその前に世をはかなんで後追いするよこの人。ラシェル死に損だし。
そこら辺のことを考え付かなかったのかトリエラよ。……いやまあ、色々動揺してたんだろうけど。
----本誌を読んだ時はそんな突っ込みがぐるぐる回ってましたね〜。

トリエラの『どうしてそこまでこだわるのか理解できません』の台詞に対して、
『それがラシェル・ベローの願いだからだ』というヒルシャーの返答も、
かなり”をいをい”って感じだったんですが、こっちはまだ消化不良のまんまです。

ヒルシャーにとってトリエラは、ラシェルの忘れ形見みたいなものなんでしょうかね。
トリエラ自身に対する思い入れよりも、ラシェルに対する責任感の方が重いのかなあ
とか感じてしまってちょっと鬱。その前にロベルタが出てきたから余計にな〜。
その内こっちもどうにか脳内補完したいです。
次に投下するSSで一応のフォローはしてあるんですが、
51話から55話を読んでいなかった時点で書いた話なんでねー。


502 :【誓約】:2008/11/02(日) 23:03:37 ID:lHGS7MKK0
>基本的に義体って条件付けで強制的に担当との関係を最初に作って……
義体は最初から条件付けで“担当官に対して忠実であること”をすり込まれている訳だけど、
“忠実である”というのはどういう感情なのかなあ、と改めて考えてしまいました。
“自分の身を危険にさらしても”“担当官を危険から守る”
なぜならば “担当官は大切な存在だから”。
『条件付けは愛情と似てる』と言うのは、この”なぜならば”=動機付けの部分なのかね。

>ヒルシャーはともかくトリエラもそうだったかもしれない。
ですね。トリエラは条件付けが緩い分、最初の内は
感情的に『大切な人』だから“担当官を守る”と思う部分よりも
理性的に『自分の役目』だから“担当官を守る”方向性だった気がします。

>でも今はもうそんなの越えちゃってるよね
>本当に二人だけの絆で結ばれているんだなと
ヒルシャーは条件付けを強化してこなかったから、トリエラの変化は公社による“強制”ではなく、
トリエラ自身の“成長”だと考えて良いと思うんですよ〜。
で、その“成長”はヒルシャーとトリエラが“二人で積み重ねてきた関係”がもたらしたもの。
二人で作り上げた絆だと言えるんじゃないかと夢見てたりしますw
でもまだ親子ップルに未練があるんだけどねw

……うわ、ホントにすごい長文になっちゃったよ。
こんなん語ってる間にSS書けっての。
お付き合い下さった方スミマセン。&ありがとうございましたw

503 :【 Birt du bei mir 】:2008/11/02(日) 23:05:23 ID:lHGS7MKK0
さて。以前控え室に投下したSSを、ちょっとだけ手を加えて再投下です。
第56話とその翌朝をヒルシャーサイドで。
BGMはフェラーリの『マドンナの宝石』。

504 :【 Birt du bei mir 】:2008/11/02(日) 23:06:33 ID:lHGS7MKK0
【 Birt du bei mir 】 



『生き方を縛られるのは義体だけじゃない。みんな何かに追われて生きるんだ。
……僕は過去に縛られたんだよ』

 この子にそう告げてしまったのは、
 あるいは自分の甘えだったのかも知れない。



505 :【 Birt du bei mir 】:2008/11/02(日) 23:08:56 ID:lHGS7MKK0
 目の前で少女が泣いている。
 自分の大切な少女が。
 トリエラ。


----私が存在している限り、あなたは過去に呪縛され続ける……


 違う。それは、僕が自分で選んできた生き方だ。
 君のせいじゃない。


----そんなのは嫌です……!


 君のせいじゃない。
 そう伝えたいのに、言葉が出ない。
 耐え難い眠気に襲われ、意識が保てない。

 青い瞳から涙が溢れている。
 何故こうなってしまうのだろう。

 僕は君に生きていて欲しいのに。
 僕は君を守ってやりたいのに。
 僕は、君に。

 笑っていて欲しいのに。


506 :【 Birt du bei mir 】:2008/11/02(日) 23:09:48 ID:lHGS7MKK0
----すまない……。


 何の免罪符にもならない、ひどい言葉。
 そんなものしか口にすることができず。

 抗いきれない睡魔にのみこまれ、男は暗い眠りに落ちていった。



507 :【 Birt du bei mir 】:2008/11/02(日) 23:12:06 ID:6C6RoNMu0
 男が目覚めたのはベッドの上だった。
 跳ね起きた男は銃創の痛みにうめく。だがそんなものには構ってはいられない。少女の姿を求めてまだ薄暗い部屋の中、男は必死に目を凝らす。
 ふと。自分の傍らに誰かの気配を感じた。
 振り向いたそこには、椅子に腰掛けたままベッドに伏せている小さな体。
「トリエラ----……!」
 出て行かずにいてくれた。
 彼は胸が締め付けられるような思いと共に安堵する。
 自分に都合の良い夢などではなく、本当にそこに少女が存在していることを確かめたくて、男はそっと眠っている少女の顔をのぞき込んだ。ほつれた金の髪がかかった褐色の頬には、幾筋もの涙の跡が残されている。
 男の瞳が曇る。何故だろう。自分の記憶の中で、この子はいつも怒っているか泣いているばかりだ。懸命に記憶を探らなければ、この子の笑顔を思い出すことができない。
 自分の全てをなげうってでも守ってやりたい大切な少女なのに、自分はこの子を幸せにしてやることができない。深い自責の念を抱きながら、男は少女の髪にふれた。
「ん……」
 少女が小さく身じろいだ。
「トリエラ……」
 迷うように呼んだ名に応えて、少女がゆっくりと身を起こす。
 目覚めた青い瞳が自分の方に向けられ。

 ふうわりと。
 花がほころぶように、少女は微笑んだ。


508 :【 Birt du bei mir 】:2008/11/02(日) 23:13:26 ID:6C6RoNMu0
「----おはようございます、ヒルシャーさん」
「トリエラ------」
 男の瞳が驚きに見開かれる。この子は、こんな風に笑う子だったろうか。自分はまだ夢でも見ているのか。
「どうしたんですか、ヒルシャーさん」
 少し心配そうな表情で少女が問いかける。
「いや……」
 何と言えばいいのか分からないまま、半ば機械的に男は状況を確認するための質問を口にする。
「……君がソファーから運んでくれたのか」
「はい」
「君が昨日、抗生物質だと言っていた薬は……」
「睡眠薬です」
 少女は悪びれずに答える。
「あなたが使うなと言ったので破片を摘出する際の麻酔は使用しませんでしたが、昨日のあなたには明らかに休養が必要でしたから。抗生剤は直接傷に塗布してあります」 
 麻酔を使わずに手術を行った方が回復が早いという研究事例はありますけど、無茶をするものですね。いつものようにきびきびと少女は言うが、その声音にはどことなくやわらかさも感じられる。そうかと男は短く答え、しばし沈黙が降りる。

509 :【 Birt du bei mir 】:2008/11/02(日) 23:14:16 ID:6C6RoNMu0
 再度口を開いた男はぽつりと呟く。
「目が覚めた時、風景が違っていたから…本当に焦った……」
「私がまた、出ていったとでも思ったんですか?」
「……ああ」
「行きませんよ」
 少女ははっきりとした口調で言った。 
「私はもう、出ていったりしません」
 そう宣言する少女の瞳には、昨夜までの消え入りそうな不安感は微塵もなく。
 これはどういうことなのだろう。まっすぐに自分を見つめている少女の青い瞳。強い意志の光がそこにはあった。
「----私はもう、どこにも行きません。あなたと共に居ます。あなたと共に戦って、あなたと共に生きていきます」
 だから、と少女は言を続けた。
「だからあなたも、私を置いて行かないで下さい」
「……っ、トリエラ------」
「公社の命令だからではありません。義体の役目だからでもありません。私とあなたが生き抜くために、私もあなたと共に戦わせて下さい」
 運命にただ流されるのではなく明確な自分の意志を持って、銃を取ることを選ぶのだと少女は告げる。
「……そしていつか、私が最後を迎えた時には、あなたが私の瞳を閉じて下さい。最後まで精一杯良く生きたと、私を誉めて下さい。----それはあなたにしかできないことです」
「まだ……」
 少女の強い瞳に気圧されながら、躊躇いがちに男は口を開く。
「まだ義体が短命だと決まったわけじゃない」
「分かっています」
 少女は男の言葉を肯定する。それが気休めにしか過ぎない、はかない望みだと承知していても。
「だからあなたも、うんと長生きして下さい。真っ白な髪のおじいさんになってからでも良いんです。……ちゃんと私を、看取って下さい」
 担当官に見守られて静かに天に召されたアンジェリカのように。そう、少女は自身の望みを口にする。

510 :【 Birt du bei mir 】:2008/11/03(月) 00:31:56 ID:kfS3+t9q0
「……僕の方が、君よりずっと年上なんだがね。順番から言ったら、君が僕を看取ってくれるべきなんじゃないのか」
「だめですよ」
 無理に笑って下手な冗談を口にするヒルシャーに、少女はかぶりを振り、凛として男の顔を見つめ返す。
「あなたは私が、死なせませんから」
 自分はこの子の死を見届けなくてはならない。それは分かっている。
 分かってはいるが----。
 男は傷ついた表情で呟いた。
「君は…随分と残酷な我が侭を言う……」
 男の言葉に少女はふっとやさしい表情を見せた。
「私は我が侭ですよ。------でもそれは、あなたがそうしてくれたんです。あなたが私を条件付けで縛ろうとしないできてくれたから、悩んでも苦しんでも、私は自分で自分の生き方を選ぶことができるんです」
「君はそれで……」
 幸せなのか。そうたずねることが、男にはできなかった。幸せであるはずがない。暗殺要員として銃を手にする日々など。
 けれども少女は男の苦悩を吹き飛ばすように、きっぱりと誇らしげに答えた。
「それが、私の幸せなんです」
 少年のように晴れやかに破顔する少女。男は眩しいものを見るように目を細めた。

 ああ。
 この子は、覚悟を決めたのか。


511 :【 Birt du bei mir 】:2008/11/03(月) 00:33:05 ID:kfS3+t9q0
 決して幸せとは言えないその境遇の中で、流されるのではなく、抗うのでもなく、運命を受け入れ精一杯生きるのだと。Birt du bei mir ----。そういうことなのか。
 それならば。
 それならば、自分もまた、全身全霊をもって少女の覚悟に応えるべきだろう。
 例え自分が望んでいたような幸せではなくとも、その時が来るまで、この少女と共に生き、この少女を見守ってゆこう。----それが、新たに課せられた自分の使命なのだ。
 男は無言で、静かに少女を抱き締めた。
 少女も黙って、そっと男に身をあずけた。

 窓の外からカーテン越しに薄明かりが射し込む。長い夜が、やがて明けようとしていた。


    Birt du bei mir,
      あなたがわたしのそばに居てくれたなら
    Geh ich mit Freuden
     わたしは喜んで
    Zum Sterben und zu meiner Ruh!
     死とわたしの憩いへと赴きましょう

    Ach, wie vergnuegt waer so mein Ende,
     ああ、わたしの終末はなんと満ち足りていることだろう
    Es drueckten deine lieben Haende
     もしあなたのやさしい両手が
    Mir die getreuen Augen zu!
     わたしの忠実な両眼を閉ざしてくれるのなら----。


<< Das Ende >>

512 :CC名無したん:2008/11/03(月) 20:33:18 ID:sx8FdbHd0
>> 504- 511
素敵です。トリエラとヒルシャーの思いがやっと一つになったんだね。
ところで、本日、休出帰りに本屋で10巻購入。
トリエラの決意が! ああ、電車の中で貰い泣きしそうでしたよ。
トリエラの味覚異常に愕然。それにしても、トリエラといいエッタといい、死亡フラグ立てスギ!
責任者出てこい!!


513 :【 Birt du bei mir 】:2008/11/09(日) 12:27:17 ID:Ag2LbOhI0
>>512 休出乙です
ありがとうございますw
ようやくすれ違いの日々に終止符が打てました。長かったよ・・・

>トリエラの味覚異常に愕然。
あれは一瞬凍り付きました。あああトリエラまでぇぇっ
その内クラエスのケーキも激甘になっていくのかなあ〜

>それにしても、トリエラといいエッタといい、死亡フラグ立てスギ!
いやもう、原作の鬱展開に胃が痛いです。
ジョゼッタ組の軽い話を書こうと思っていたのに、上手くまとまりません。
もうちょっとあがいてみて、どうにもならなかったらそのまま投下します。

514 :【 Birt du bei mir 】:2008/11/09(日) 12:28:32 ID:Ag2LbOhI0
相田裕「GUNSLINGER GIRL」#67から転載。
293 :名無しんぼ@お腹いっぱい:2008/09/06(土) 22:49:26 ID:PMYER94l0
>>289
ヒルシャー 「見せてみろ、あ〜血が出てるじゃないか! 血が〜 血が〜」
トリエラ  「生理です・・・・」
ヒルシャー (その場をごまかすように真面目な顔で)「ちょっとした傷でも大変なんだ・・」

515 :CC名無したん:2008/11/09(日) 12:29:47 ID:Ag2LbOhI0
もしかして>>439氏の作品かなと思いつつ
相田裕「GUNSLINGER GIRL」#67から転載。
300 :名無しんぼ@お腹いっぱい:2008/09/07(日) 02:33:07 ID:TDmTdGou0
投下


トリエラの体を心配するヒルシャー。

一方、まさぐられながら息を殺し、羞恥に耐えながらも担当官の温もりを
独占しているこの状況は、彼女を悦ばせた。

『演技をしなければ…』

悟られるのを懼れたトリエラは、ヒルシャーの手を払いのけ、言った。

「もういいでしょ、ヒルシャーさん。いつまで触ってるんですか!通報されますよ」
「!」

ここに至ってヒルシャーは自身の行動に面食らった。

「あ…!」

516 :CC名無したん:2008/11/09(日) 12:31:06 ID:Ag2LbOhI0
301 :名無しんぼ@お腹いっぱい:2008/09/07(日) 02:34:01 ID:TDmTdGou0
ヒルシャーは、大きな瞳を薄く開いてこちらを睨んでいる視線をかわすように、弁護の二の句を告いだ。

「い、いや僕は君が撃たれてはいないかと…」

……弁護?なぜ僕が今この状況で彼女に言い訳じみたことを言わなければならないんだ?
担当官が義体を心配するのは当然じゃないか!それを何を思い違ったのかトリエラは…。
途中で霧散した言葉の継ぎ穂を、今度はいきおい怒気の籠った声で、

「トリエラッ!僕はそんな男ではないぞ。女の子を相手に…。僕は大人の男だ。わかっているだろう?
それに、君に死なれては困るっ!」

ヒルシャーの、言いくるめるような諭すような言葉は、しかしあさっての方角を見るトリエラにかわされた。

「フェッロさんたちが着たようです」

トリエラの視線の先に公社のバンが走ってくるのが見えた。
思えば軽率な行動だった。
いくら義体だといっても、年頃の女の子だ。スカートを捲くられて嫌悪を感じないわけはない。

『ミシェル。僕はまだ父親になれそうにないよ』

トリエラのうしろ姿を見やりながらヒルシャーは、心に感慨めいた、あるいは郷愁めいたものが
去来するに任せた。

517 :CC名無したん:2008/11/09(日) 12:35:32 ID:Ag2LbOhI0
相田裕「GUNSLINGER GIRL」#67から転載。
302 :名無しんぼ@お腹いっぱい:2008/09/07(日) 02:35:49 ID:TDmTdGou0
フェッロに、事後処理の依頼と簡単な状況説明をしているヒルシャーに先立ちトリエラは、
二人が乗ってきたベンツの助手席に納まった。
太ももには先ほどのぬくもりが残っている。今夜は甘い夢が見られそう。

……夢?夢なんてこれまでおぼえていた事など一度も無かったハズだ。
どうしてだろう。彼女は今、無性に夜が待ちどおしかった。早く夢の世界に行きたかった。

『君に死なれては困るっ!』

少女が妄想の裡に眠りに就くのは幸せだ。
二段ベッドの上にいるルームメイトの存在が今夜ばかりはジャマに思うかもしれない。
ニヤけている寝顔を見られる事に、言いようのない恥ずかしさを感じる少女の心が、
残酷と知らず、エゴと知らずにそれでも他者を追い出そうとするのは恋する乙女心の所為だろうか。

足元に視線を落とし、見るともなしにブーツの先を眺めていたトリエラは、不意に開けられた
運転席のドアに覚醒した。

「アルフォンソが驚いてたぞ。いつもながらすごいなって。……どうした?ぽーっとして」
「いえ、なんでも」

彼は先ほど自分がいった言葉をすでに忘れたようだった。
もう一度聞きたい……トリエラは心に芽生えた幼い欲望を抽斗に仕舞った。鍵をかけて。

「なんでもありません」



ファンの皆様、しつれーしました。


518 :CC名無したん:2008/11/09(日) 12:51:49 ID:66FBVHHb0
>>501
>トリエラの『どうしてそこまでこだわるのか理解できません』の台詞に対して、
>『それがラシェル・ベローの願いだからだ』というヒルシャーの返答

自分の心の内を気づいていない、と言うかわからないんじゃないか、ヒルシャーは。
もちろんラシェルの願いってのもそうだろうけど、たとえトリエラに対して
なにかの感情を抱いていたとしても、トリエラに面と向かって
「君が大切だ」とか「君が好きだからだ」なんて言えるような人間ではないし。
ヒルシャーは自分の感情には疎そうで、好きだという感情があること自体気づかなくて
「ラシェルの願い」だと本気で思ってそうだし。

>でもまだ親子ップルに未練があるんだけどねw
トリエラを見てヒルシャーが言う「大過なく〜」の台詞は父親っぽくて
いいなと思った。

519 :CC名無したん:2008/11/09(日) 13:08:18 ID:66FBVHHb0
>【 Birt du bei mir 】
グッジョブ!
控え室の時も読んでて思ったけど
トリエラのいさぎよい決意がいいね。
やっぱりトリヒルのコンビはいいな。
このSSの場合はカップルと言うべきかもしれないけど
やっぱり自分も親子ップルに未練があるなぁ。

520 :CC名無したん:2008/11/13(木) 00:09:51 ID:dbsSV3Wz0
>>515-517
>『演技をしなければ…』
このトリエラの心理が何とも言えずツボでしたw
うろたえて弁解→気を取り直して説教のヒルシャー父さんがかわいいなあ。

トリエラの太股をまさぐるヒルシャーさんに「あんたそれ通報されるよ!!」
とツッコんだのは自分だけではなかったようですw

521 :【 Birt du bei mir 】:2008/11/13(木) 00:11:56 ID:dbsSV3Wz0
>>518
>自分の心の内を気づいていない、と言うかわからないんじゃないか、ヒルシャーは。
なるほど!そうか〜。さすが鈍感大魔王w
ありがとうございます、かなり救われた気分です。

>「大過なく〜」の台詞は父親っぽくて
あれはいいですね。2話の「うちの子に変な仕事はさせたくないな」と
サレス大佐との「顔を殴ったから怒ってるのか?」「もちろん。…大切な子なんで」
に次いでお父さんぽくて好きな台詞です。

>>519
>トリエラのいさぎよい決意がいいね。
ありがとうございますw やはり戦うお姫様には潔くあって欲しいw

>このSSの場合はカップルと言うべきかもしれないけど
ゴメン、あれ、あんなんでも親子ップルのつもりなんだw
自分は親子姉弟間でハグが日常的な家で育ってるもんで(お前んちは日本人じゃねえとよく言われる・・・)
ハグとでこちゅーはナチュラルに家族の愛情表現なんだが、言われてみれば確かにカップルっぽいよね。
どっちでも可ですのでお好みでお読み下さいませw

522 :【風邪薬】:2008/11/13(木) 00:14:18 ID:dbsSV3Wz0
前回投下を迷っていたジョゼッタ組のSSです。結局そのまんま投下することに。
ここんとこ気鬱な日々を過ごしてたせいか、話も出だしがちょっと暗いですが、
まあでも所詮は自分が書くジョゼッタ組なんで、やっぱりいつもの展開のようですw

523 :【風邪薬】:2008/11/13(木) 00:19:41 ID:sfGEcbKS0
【風邪薬】


 秋が深まり冬の訪れを告げるイタリアの11月。急激に冷え込むこの季節に油断をしていたのはまったくもって自分のミスだ。37.7℃。さすがに微熱とは言えなくなってきた体温とぞくぞく震えのくる寒気に、ジョゼは早退を願い出た。
 申し出を受けたジャンはじろりと弟をねめつけ、たるんでるぞと厳しい言葉で応じた後、早く休めと風邪薬を手渡した。相変わらず不器用で----優しい人だとジョゼは思う。
 仕事に対する厳しい姿勢から冷血漢、人非人と陰口をたたかれる兄だが、本当は人一倍責任感が強く家族思いな人間なのだとジョゼは知っている。
 その大切な家族と、新たに家族として迎えるはずだった女性を一瞬にして奪われた。
 五共和国派----パダーニャのテロリストに対して、兄は一切容赦をしない。復讐という目的のために手段を選ばず、またその非情な手段に対しての批判や侮蔑を昂然と受け止めひるまない。------強い、人だ。
 自分にあの強さはない。手段を手段として割り切れず、さりとてそれを放棄することもできない。その手段が有効だと知っているからだ。
 少女を暗殺者として伴う----敵の警戒心を解き油断を誘うその方法は、今までも数々の作戦の成功をもたらしてきた。
 人工の肢体により超人的な身体能力を有し、洗脳により躊躇いもなく主の敵を殺傷する。必要とあらば我が身を盾にして主人の身を守る少女達、『義体』。それが自分たち兄弟が復讐を果たすために選んだ『手段』だ。

524 :【風邪薬】:2008/11/13(木) 00:20:45 ID:sfGEcbKS0
 一家殺害事件の被害者だった少女。身も心もぼろぼろだった彼女を救いたい一心で、自分はその少女をパートナーに選んだ。
傷ついた身体を人工の四肢で取り戻し、傷ついた心は洗脳によって封印される。少なくとも、国立病院で出会ったあの時のまま生き長らえるよりも、幸せになれるだろう。----そう思った。
 だが、彼女を自分の『目的』のために『手段』として利用していることに変わりはない。
 贈り物を与え、食事に連れ出し、語らい。
 彼女を普通の少女として扱おうとすればするほど、現実に彼女が負う役目との差違に矛盾を感じ、偽善的な己の行為に疲れを覚える。
 溜息をひとつつき、頭を振る。熱のためかいつにも増して暗く沈んでゆく自分の思考を振り払い、ジョゼは公社本部の敷地内にある官舎へと向かった。
 いつもより早い時間に戻った自室は閉め切ったカーテンのため薄暗い。ジャケットを椅子に放り投げ、靴を脱ぎ捨てるとベッドに沈む。
兄が渡してくれた風邪薬は空腹時には服用できないタイプだ。何かを口に入れなければならないのだが、とりあえずは一眠りしたい。
 ジョゼが目を閉じた5分後には、規則正しい呼吸音が部屋を満たし始めた。


525 :【風邪薬】:2008/11/13(木) 00:21:52 ID:sfGEcbKS0
 どのくらい時間がたっただろうか。部屋の扉を叩く音にジョゼは目覚めた。一眠りして少し楽になった体を起こし、遠慮がちなノックの音に答える。
「誰だ?」
「あの…ジョゼさん」
 聞き慣れた少女の声。
「----ヘンリエッタ」
 今日はもう聞くはずのなかった自分の義体の声に、ジョゼは愕然とする。
「あの、お加減はいかがですか?ジョゼさんが早退なさったと聞いて、私……」
「……ああ、大丈夫だよ。心配することはない」
 扉を開けずに声だけで答える。今日は彼女の顔を見たくはない。
 常に尊敬に値する大人として振る舞わなければならない、そんな相手と顔を合わせるのは、今は正直苦痛だった。
「あの…風邪に良く効く飲み物をクラエスに教えてもらったんです。それで----」
「----帰りなさい」
 思いの外強い語調で言葉が口をついて出た。
 はっと息を飲む気配がし、震えるような少女の声がする。
「----ご迷惑をおかけするつもりじゃないんです…ただ…ジョゼさんのことが心配で……」
 扉の向こうで少女がどんな表情をしているか、手に取るように分かる。きっと両手を握りしめ、今にも泣き出しそうな瞳で開かないドアを見つめているだろう。
 迷惑だ、帰ってくれ。咽まで出かかった言葉を飲み込んで、できる限りの優しい口調で言い直す。
「……怒っているわけじゃないよ。ただ、君に風邪がうつってはいけないからね。今日はもう、寮に帰りなさい」
「はい……」
 しょんぼりとした様子の返答に安堵したのも束の間、でも、と少女の声が続けた。

526 :【風邪薬】:2008/11/13(木) 00:22:51 ID:sfGEcbKS0
「でも、ジョゼさん。どうかこれだけ受け取って下さい。体が温まるそうなんです。お渡ししたらすぐに帰りますから----」
 勘弁してくれ。
 やんわりとした拒絶の言葉は少女には通じず、怒りにも似た感情がこみ上げる。体調が悪いこんな時にまで、どうしてこの少女に付き合ってやらねばならないのか。
 息が詰まるような少女の献身。……だがそれは自分が彼女に植え付けたものだ。
 自分を守り、自分のために戦わせる。そのために少女に施した洗脳----『条件付け』。主に対する徹底した忠実化。それは視野狭窄的な愛情にも似た感情を呼び起こす。
 深々と溜息を吐き、ジョゼは立ち上がった。扉を開ければ、はたして想像した通りの表情で彼の『妹』がこちらを見上げている。
「ジョゼさん、あの、これを……」
 少女は手にしたステンレス製の保温ボトルをおずおずと差し出した。
「ありがとう。それでこれは、何が入っているのかな」
「ホットパンチです」
 義務感で浮かべたジョゼの笑顔が、ひくりと引きつった。

527 :【風邪薬】:2008/11/13(木) 00:23:55 ID:sfGEcbKS0
「赤ワインにハチミツとレモンを入れてお湯で割ったもので、風邪に良く効くそうなんです」
「……ああ、それは体が温まりそうだね」
 何故だろう。何かとんでもなく悪い予感がする。
「あの、ボトルを洗っていただくのは申し訳ないですから、どうぞ今召し上がって下さい。飲み頃の温度に調節してあります。ちゃんと味見もしてきましたから……」
 味見。
 ティーカップに砂糖を5杯も入れるこの子の味見。
 ----それは果てしなく恐ろしい想像をかき立てる。
「い、いや、大丈夫。ボトルを洗うくらい大した手間じゃないから、部屋でゆっくりいただくよ」
「いいえ! 私、ジョゼさんにご迷惑をおかけしたくないんです。ジョゼさんが召し上がられたら、ボトルを持ってすぐに帰りますから----!」

 ----神よ。
 この子の味覚異常は条件付けで使用される多量の薬物投与による副作用。ならばそれは確かに自分の責任なのかも知れません。
 しかし神よ。
 何ゆえ私に、私にばかり、”このような”試練をお与えになるのでしょうか?!

 あいにくとこの優男を深く寵愛しているのは、神は神でも不幸の女神のようだった。
 追いつめられたジョゼの悲痛な問いに答えはなく、目の前には涙にうるんだ瞳で水筒を差し出すヘンリエッタ。もはやジョゼにはボトルを受け取る以外に道は残されていない。
「…………ありがとう」
 顔で笑って心で泣いて。
 覚悟を決めて飲み干したそれは、やはり予想を裏切らないものだった。限りなく原液に近いレモン風味のワイン入りハチミツを飲み下し、優男がげほげほとむせる。
 介抱しようとする少女を制してボトルを渡し、寮へ送り返したジョゼは心に誓った。
----何がなんでも明日は仕事に復帰しよう。意地でも今夜一晩で風邪を治してやる。

 こうして兄と『妹』と神の愛により、ジョゼの体調は翌日には回復したそうである。
 

<<だすえんで>>

528 :壱拾参−3 ◆NqC6EL9aoU :2008/11/13(木) 01:10:40 ID:mBUIMvYz0
*********************************************************************
       □□□3つの連載シリーズ 萌死小劇場 ■■■
              −−「熊巴」−−
*********************************************************************

「とーちゃん!これがいい!『じゅらるみん』だ!」
「お父さん!私はこれがい〜なっ!」
「ヒルシャーさん、今年は"彼"を下さい」

日本の郊外のとある専門ショップ。
あるデディ・ベアの脚を小岩井よつば が掴み、的場知世は手を持ち、
トリエラは、その額に人差し指を当てた。

「・・・ここは最年長らしいので」「いや日本での思いでの品という
事のようですからそちらに・・・」「ウチのは気が変わりやすいですから」

ヒルシャー、的場信吉さん、小岩井さんのネイティブでない英語の会議が
その後ろで始まっているのだった。

---------------------------------------------------------------------

・・・というわけで今月の「よつばと!」の話から、"熊繋がり"という事で
「よつばと!」「Papa told me」「Gunsringer-Girl」を無理矢理に
くっつけてみました。
リハビリも兼ねての超ショートSSでした。

529 :CC名無したん:2008/11/13(木) 23:02:58 ID:YJDm2hAr0
>>528
かわいいw お父さんsのネイティブでない英語の会議がいいですね

530 :【枯葉】:2008/11/19(水) 00:26:30 ID:+aLzxikkO
アクセス規制に巻き込まれ中なので、携帯から投下。短いのに分割でゴメン。
最近暗い話ばかり書いていたので、ほのぼの小話を。
ヒルシャー父さん娘とお散歩w

531 :【枯葉】:2008/11/19(水) 00:28:28 ID:+aLzxikkO
【枯葉】


街路樹から紅葉がはらはらと舞い落ちる中、革靴の音を響かせながら長身のドイツ人が少女を伴って歩いていた。
年間に1000万人ものドイツ人観光客が訪れるこのイタリアでは男の姿はさほど奇異なものではない。
 ただ褐色の肌に金の髪の少女との取り合わせは父娘や兄妹には見えず、もし関係を問われたならば、やはり教師と生徒と答えるのが一番しっくりくるように思われた。
古い石畳を行くその靴音には、時折枯葉を踏むしゃりっという音が混じる。
----と、不意に男の左を歩く少女の姿が半歩外側にずれた。

532 :【枯葉】:2008/11/19(水) 00:30:35 ID:+aLzxikkO
 どうしたのかと男がそちらに視線を向けるのと同時に、少女の足元から聞こえる音が変わった。
しゃり、しゃり、しゃり…規則的な歩調に合わせて乾燥した木の葉が崩れる音が連続する。
思わずほころびかけた口元を、男はあわてて引き締め直す。
 彼らの進む道の先には、風に吹き寄せられた枯葉が縁石沿いに薄茶色の絨毯を織り成している。
それは先程まで少女が歩いていた位置よりも、半歩左側から帯になっていた。
少女が意図的に半歩ずれたのか、それとも無意識にそうしたのかは分からなかったが、どちらにしても、その珍しくも年齢相応な----いやむしろ年齢よりも幼い位の彼女の行動は、男に言いしれぬ暖かな気分をもたらした。
それでもおそらく、自分が感じたこの気持ちを口に出したり態度に表したりすれば、少女はたちまち拗ねてしまうだろう。
 だから彼は街並みに視線を戻すと少女が踏みしめる乾いた音に耳を澄まし、枯葉の香りを増した空気を吸い込んで、秋の散策を満喫するのだった。


<< Das Ende >>

533 :CC名無したん:2008/11/20(木) 00:06:37 ID:4Az0+cU5O
初雪が降った〜〜っ タイヤまだ替えてねえよ!
枯葉とか霜柱とか新雪を見ると踏んで歩きたくなりますw

>>523-527 ちよっくら補足。
ジョゼさん別にエッタを嫌ってる訳ではなく、
普段可愛いなあと思ってる子供でも、自分が具合悪い時は
相手するのうざったいってだけの話でございます〜。
ごめんよエッタ。俺も風邪ひいててやさぐれてたんだ(; ̄Д ̄)

534 :CC名無したん:2008/11/20(木) 00:34:48 ID:+XGTm8tg0
>>533
ジョゼさんはエッタの愛情がうっとうしくなるみたいだよな
嫌いじゃないんだろうけど。
まぁこどもの愛情は得てして一方通行だからね。

>>531
GJ!
やっぱりトリエラのパパのヒルシャーイイ!

535 :CC名無したん:2008/11/20(木) 01:56:45 ID:67mcxWQy0
今日、というか昨日、このスレの存在を知り、訪れてきました。
本編からインスパイアされたSSや、本編を補完するSS、力作ばかりで素晴らしいですね。
私もトリヒル組のファンなので、トリヒル・ストーリーが多くて大満足です。


トリエラが覚悟を決めた10巻ですが、今後、この二人はどうなっていくのでしょうかねぇ。
アンジェの最期のパターン(担当官が義体の最期を看取る)を繰り返すか?・・・

でも、同じパターンを繰り返すようにも思えないので、トリヒル組では
「任務戦闘中に、トリエラをかばってヒルシャーが死亡する」とか・・・・・・
(そうなったらトリエラは精神崩壊→自殺、とでもなりそうですが)
なんか、鬱展開になりそうな悪寒。

536 :CC名無したん:2008/11/20(木) 10:08:29 ID:bK89wOk/0
>>535
ttp://tokyo.cool.ne.jp/gunslinger-girl/contents/2004-03-24_Aitaitokini_Anataha.html

537 :CC名無したん:2008/11/20(木) 11:13:49 ID:67mcxWQy0
>>536
thx

でもなんだかんだ言っても、>>536のリンク先のような展開よりも、悲劇的な話のほうが好きだったりするw

538 :【喪失】:2008/11/20(木) 22:42:51 ID:67mcxWQy0
>>535の線で、始めてストーリーを書いてみました。
といっても、皆さんのように文才もないので、ストーリーというよりはプロットといったところですがw

539 :【喪失】:2008/11/20(木) 22:43:36 ID:67mcxWQy0
パダーニャのアジト急襲。トリエラ・ヒルシャー組は2階制圧の担当。

――――

2階を進みながら制圧を続けるトリエラ・ヒルシャー組。

不意にトリエラの死角になっていた物陰から現れ、SMGを発射しようとするパダーニャの男。
「危ないっ!」咄嗟にトリエラを自分の体で突き飛ばすヒルシャー。
〈バラララッ!〉
よろけながらも振り返りざまにウィンチェスターを男目掛けて発射するトリエラ。
男は至近距離からのショットガンに倒れる。

「ヒルシャーさん!」トリエラは駆け寄り膝を付いてヒルシャーを抱え起こすが、
ヒルシャーは明らかに致命傷を負っていた。
トリエラの頬を力ない手で撫でたヒルシャーは
「すまな・・い・・・(・・君を独りにさせることになってしまって)」と呻き、力尽きた。

540 :【喪失】:2008/11/20(木) 22:44:19 ID:67mcxWQy0
――――

トリエラ・ヒルシャー組に合流したジョゼが見たものは・・・、
魂が抜けたようになりながら、血まみれのヒルシャーを膝に抱きかかえ床にへたりこんでいるトリエラだった。
「トリエラ!」ジョゼが呼び掛けるも、虚ろな目をしたトリエラからの反応はない。
ヒルシャーの首筋に手を当て脈を見るジョゼ。

「ジョゼだ。2階は制圧したが、ヒルシャーが撃たれた。いや、だめだ・・・」
無線連絡を終えたジョゼがトリエラを振り返ると、
そこには虚ろな目をしたまま自分の顎の奥にSIGの銃口を頭に向けて押し当てたトリエラの姿が。
「!?、トリエラっ!」
〈バンッ!〉
渇いた銃声と共に、ヒルシャーに抱き合うように倒れ込むトリエラ。

「何てことだ・・・」そう短く吐き捨てると共に、
ジョゼの頭には(もしも自分が死んだら、ヘンリエッタも同じようにするのだろうか・・・)という思いがよぎった。


<< Das Ende >>

541 :CC名無したん:2008/11/20(木) 22:48:43 ID:67mcxWQy0
55話でマリオが「ヒルシャーにはトリエラしかいない」と言ったのと同様に、(今の)トリエラにもヒルシャーしかいない、と思うんですよね。
その、かけがえのない人を失った喪失感から、ということで。

542 :【枯葉】:2008/11/23(日) 08:19:33 ID:SF88E8Yn0
>>534 >>535
ありがとうございますw
エッタ、嫌われてるわけじゃないと思うんですけどねえ。
クラエスの台詞じゃないけど、恋する乙女の献身は時に重たいですな。
そしてやっぱりパパヒルシャーは書いてて楽しいw

>>539-540 初投下乙ですw
ああああああトリエラあああああああっっっ!!!!
マジでそんな展開になりそうで怖いです。シクシク・・・

ストーリー展開上悲劇的結末もあり得るだろうなと戦々恐々。
ぬるい自分はヒルシャーさんには公社の墓守を希望w
(そんなラストシーンを以前>>173-179【午後の遺言状】で書きました)
しかしこの人、生き延びても嫁はもらえん気がする・・・。
悲劇は嫌いじゃないんですが、鳥昼組は今まで色々捏造話を書いて来ちゃったので、
思い入れが強すぎて自分じゃ書けませんw 良かった、違う視点の方も来て下さってw

とか言いながらヘタレな自分に>>539-540はインパクト強過ぎでしたw
触発されて、勝手に>>539氏のプロットを拝借し、ちょいとオブラートでくるんだ
ぬるいSSを書いてしまったのですが、投下してもよろしいですか?
いや、書いてる内にちょっと>>539氏の方向性とずれて悲劇っぽく
なくちゃったから、許可をいただいてからの方がいいかなあ、と。

543 :CC名無したん:2008/11/23(日) 12:55:42 ID:VNVaB5r+0
>>539氏じゃないけど見たいな。
投下して欲しい。

544 :CC名無したん:2008/11/23(日) 14:07:37 ID:AUlSQkt80
>>542

>>539です。拙文を読んでいただきありがとうございました。
自分はトリヒル組が一番のお気に入りなのですが、悲劇話も好きなのでw

エッタはどういう結末になるのかは分かりませんが、クラエスはおそらく静かな結末でしょうね。


ぜひぜひSSをアップください。読ませていただきたいです m(_ _)m

545 :【悪夢】:2008/11/23(日) 22:48:05 ID:KkxulhWo0
外気温3度の中、非常識な晩秋の花火大会に行って来ました。
>>354のように止める人間がいないので、フランクとチョコバナナを
公衆の面前で思う存分頬張ってきましたともさw

>>544
クラエスは見届け役として終盤まで静かに佇んでくれそうですね。
これから一巻ごとに一期生が減っていく気がしてせつないです。

>>543 >>544
ありがとうございますw
それでは>>539氏の許可がいただけたので、投下します。
クラシックヲタのどうでもいいこだわりのBGMは
ヘンデルの組曲第9番変ロ長調より『メヌエット ト短調』。
ちなみに>>492-498【誓約】はラフマニノフの『ヴォカリーゼ』。
>>531-532【枯葉】はマイヤーズの『カヴァティーナ』。
……誰も知らないって、そんなマイナーな曲……。

546 :【悪夢】:2008/11/23(日) 22:49:12 ID:KkxulhWo0
【悪夢】



 それは一瞬だった。

 私の死角に彼の大きな背中が重なった刹那。
 響いた銃声。
 着弾に小刻みに震えた身体。
 反射的に銃声の方向に応射する。硬い床に倒れ込む音が二つ。
 ひとつはおそらく敵の。そしてもうひとつは。

「ヒルシャーさん?!」

 仰向けに倒れた彼の胸には

「嘘、でしょう」

 真っ赤な

「どうして……!」

 血が。


547 :【悪夢】:2008/11/23(日) 22:50:09 ID:KkxulhWo0
「ヒルシャーさんっ!!」

 抱え起こした彼の身体から、急速に体温が失われていく。

 冷たい。
 冷たい。寒い。怖い。
 やめて、やめて。
 こんなのは嘘だと言って。

 必死で傷口を圧迫する私の手から、命の源がどんどん溢れ出す。
 怖い……怖い。
 最悪の予感が頭をよぎる。
 嘘だ。こんなのは嘘だ。


548 :【悪夢】:2008/11/23(日) 22:51:11 ID:KkxulhWo0
「ト…リ……」

 切れぎれのあなたの声が私を呼んだ。
 私の頬にふれたあなたの大きな手は力無く。

「すまな…い……君…を……」

 やめて。それ以上何も言わないで。


「……独り…に……」



 やさしいはしばみ色の瞳から、光が消えた。



 糸が切れたようにあなたの手がぽとりと落ちて。


「---------------ッッ!!!」


 私は声にならない悲鳴を上げた。
 
 


549 :【悪夢】:2008/11/23(日) 22:52:06 ID:KkxulhWo0
 ベッドの上で少女はがばりと跳ね起きた。
 荒い呼吸に華奢な肩が上下する。冷たい夜気に少女の息がかすかに白くけぶった。
「夢……?」
 呟いたトリエラは自分の言葉に唇をゆがめた。
 いつものように、夢を見たという感覚はあっても夢の内容は何一つ覚えていない。それなのに、何だろう。わずかに残された生身の臓器が根こそぎごっそりと引き抜かれたような、この感覚は。
 少女の細い身体がぶるりとふるえる。ひどい恐怖感と焦燥感。そして----喪失感。
 胸が痛い。早鐘のように打つ鼓動が静まらない。
 二段ベッドの上段で同室者が寝返りをうつ気配がした。少女は頼りなげな視線で周囲を見回す。
 ここは寮の自室で、自分と同室者のクラエスの他には誰もいるはずがない。そう分かり切っているはずなのに、無意識に自分の担当官の姿を探している事に気付き、また胸がずきりと痛む。
 何故だろう。理由も分からないまま、少女は今、無性に彼に会いたいと感じていた。会って、彼がそこにいることを確認したいと思った。
 声だけでもいいから聞きたい。けれど自分は彼の電話の番号すら知らない。
 朝になれば、彼がいつものように始業時間のきっかり30分前にオフィスに現れることは知っている。それは疑うべくもない日常の風景だ。それなのに。
 言いようのない不安感に少女は毛布をぎゅっと握りしめた。
 何故だろう。すごく怖い。まるで世界の終わりを告げられたみたいに。


550 :【悪夢】:2008/11/23(日) 22:53:16 ID:KkxulhWo0
 ぽつりと毛布にしみが広がった。訳も分からず涙が溢れてくる。彼に、会いたい。けれどもそれは夜が明けるまでかなわない。
 トリエラは寝間着の袖で涙を拭うと、くるりと体の向きを変えた。
 視線の先には枕元に置かれたくまのぬいぐるみがある。ドック(先生)と名付けたそれは、去年のナタレ(クリスマス)に彼から贈られた物だった。
 これを彼にねだったあの日、自分は初めて、彼が自分に対して不器用な父性愛めいたものを向けてくれているのだと気付いた。
 彼が行事ごとに自分に贈ってきたくまのぬいぐるみの数は、もう両の指に余る。他のぬいぐるみはチェストや机に並べ時には仲間に貸すこともあったが、このくまだけは常にベッドの一番奥に置いてあって、誰にもさわらせたことはない。
 意図してそうしてきたわけではなかった。だが、少女の中でこのぬいぐるみは特別な存在だったのだろう。そっと手を伸ばし、やわらかなそれにふれる。……これを抱きしめていれば、朝までどうにか耐えられそうな気がした。
 こんなのは私らしくない。そう思いながらも少女は固くぬいぐるみを抱きしめた。
 おびえた子供のように毛布の中で丸まって、小さな温もりを抱きすくめる。
「……ドック」
 ここにいない男の名前の代わりに、彼から与えられたぬいぐるみの名を呼んで、少女は暗闇の中でぎゅっと目を閉じた。



551 :【悪夢】:2008/11/23(日) 23:13:00 ID:2rEuboWo0
 早朝の駐車場に一台のドイツ車が停まる。うっすらと白い息を吐きながら運転席から降りた男は、駐車場の片隅にたたずむ人影を目にして軽く驚きの表情を浮かべた。
「トリエラ。どうしたんだ、こんな所で」
「----おはようございます、ヒルシャーさん」
 後ろ手を組んだまま微笑んだ彼のパートナーが今日はどこか弱々しく見えて、男は問う。
「どうした。何かあったのか?」
「何もないです。ただ昨日少し眠れなかったので、目覚ましの散歩がてらあなたのお出迎えを、と思って」
「眠れなかった? 体調が悪いのか」
「いいえ」
 頭を振った少女は、よく見れば後ろ手に彼が与えたぬいぐるみを持っていた。
 彼女らしからぬその姿が、まるで夜中に枕を抱えて両親の部屋を訪れた幼子のように見えて、男は思わず問いかけた。
「悪い夢でも見たのか」
 すぐさま自分の言葉に後悔する。
 洗脳のために行われた強力な催眠による副作用なのか、この子達が夢の内容を覚えていることはほとんどない。そんなことは良く知っているのに。だが。
「----分かりません。でも…多分、そうなんです」

552 :【悪夢】:2008/11/23(日) 23:14:02 ID:2rEuboWo0
「トリエラ?」
 少女はきゅっと唇をかみしめた。
「夢の内容なんて覚えていません。でも…とても怖かったんです」
 青い瞳が自分を見上げる。
「おかしいでしょう? 理由も分からないのに。小さな子供みたいにぬいぐるみを抱えて手放せないなんて」
 すみません。子供っぽいことをするなと、あなたに言われているのに。手にしたぬいぐるみを男に見せながら少女は無理に作った笑顔で言う。
 唇が、少しふるえているように見えた。
「トリエラ----」
 何かしてやらなければならないと思った。
 今、何かこの子に対応してやらなければ。
 けれど男には何をどうしてやればいいのか分からない。
 悪夢を見たと泣いて寝室に来た幼子ならば、ベッドに入れて一緒に眠ってやればいいのだろう。だがここは寝室ではないし、彼女は幼子でもない。
「おかしい、ですよね。こんなに怖かったのに、理由が分からないなんて。理由を、思い出すこともできないなんて」
「……トリエラ」
 ぬいぐるみのくまを持つ手は、関節が白く浮き上がるほど強くそれを握りしめている。
 痛々しいようなその姿に、他にどうしてやりようも無くて、男は少女の冷たい褐色の頬に手をふれた。
 一瞬びくっと強張った少女が、もう一度男の顔をすがるような視線で見つめ。

 ----くしゃり、と。トリエラは泣き笑いの表情を浮かべた。


553 :【悪夢】:2008/11/23(日) 23:18:05 ID:2rEuboWo0
「------っ、だいじょうぶ、です」
 自分自身に言い聞かせるように、少女は小さく呟いた。
「……大丈夫です」
 はしばみ色の瞳が心配げに彼女を見つめていた。
「きっと…こんなの、どうってことはないんです」
 遠慮がちに触れた大きな手からじんわりとその温もりがしみてくる。
「----ただの、夢なんですから」
 まだ少し眉根を寄せたまま、けれどどこかほっとした表情で少女はそう呟いた。
「……そうか」
 ふれた手をどう収めて良いのかと迷いながら、男はぎこちなく少女の頬から手を離し、軽く二、三度その頭をなでた。
 ふれたときと同じようにそっと離れていった男の手を少女は目で追う。
 生きて、動いているその手の存在が、今日は何故か彼女に大きな安心感を与えた。
 両手で握りしめように持っていたぬいぐるみを、横抱きにして小脇に抱え直す。  
「----寝不足で、少し神経質になっていたみたいです。すみません、お引き留めして」
「いや、気にしなくていい。だが、それなら散歩なんかしていないで寮に戻って休みなさい。寝不足のままでは午後の訓練にひびくぞ」
「はい、ありがとうございます」
 不器用ないたわりの言葉に礼を言うと、少女はまた男の名を呼んだ。

554 :【悪夢】:2008/11/23(日) 23:19:13 ID:2rEuboWo0
「あの、ヒルシャーさん」
「何だ?」
「……本部棟の手前まで、一緒に歩いて行ってもいいですか」
「? どうせそこまでは同じ方向だろう。かまわないよ」
 わざわざ断りを入れる必要もないことを確認する少女に、男は戸惑ったように答えた。
「ありがとうございます」
 いつものように男の傍らに立ち、いつものように連れ立って歩き始める。
 何故か今日は、そんな日常の光景を確認したいと少女は感じていた。
 石畳をコツコツ叩く二人分の革靴の音が、彼らが毎日を過ごす公社の建物に向かって響き出す。
 本部棟の手前まで行けば、少女は寮に戻り、男はオフィスへと向かう。けれど午後にはまた、射撃訓練場で合流する事ができる。任務も訓練も、彼らは常に共に行動するのだから。

 朝の太陽のまぶしさに少女は目を細めた。冷えた身体は、少しずつ暖まり始めたようだった。



<< Das Ende >>

555 :CC名無したん:2008/11/24(月) 19:23:28 ID:2tNFgAuG0
>>546-554、投下乙です。
私の拙文からこのようなストーリーを展開していただき、GJです、ありがとうございます。
悲劇は悲劇でいいけど、このような話もホッとしますねw

9巻の終わりの時点では、ヒルシャーがトリエラを連れて公社から逃亡する、という展開もありか?、と思っていました。
でもよく考えると、義体のメンテ(定期交換や負傷部分の"治療")、依存症を抑えるための投薬などが受けられずNGですねw

10巻での「必死に生きよう」というトリエラの決意=作者の「トリエラを生きさせる」という意図からすると、
作者的には、たとえヒルシャーが殉職という展開にしたとしても、トリエラが後追い自殺するということにはならなそうですね。
(いやでも、トリエラの決意は「この人と一緒に必死に生きよう」で、「この人と一緒に」が前提だから、
 "この人"=ヒルシャーが死んだとしたら、トリエラの死もありうるのか???)

556 :【悪夢】:2008/11/28(金) 00:55:23 ID:mTsW5uHH0
原作がどんどん怖い展開になってる〜〜。
もうコミック出るまで読むのやめとこうか……でも気になる。
トリエラが死んじゃったらしばらくSS書けなくなりそうだよ……。
書きたいネタがまだいくつもあるのに〜〜。
でも書き手さんが増えてきたから、自分がくじけても
誰かが救いのSSを書いてくれるだろうと期待w

>>555
寛大なお言葉ありがとうございますw

『ヒルシャーが死んでしまう夢を見て・・・』というパターンは
以前から考えてはいたのですが、

夜中にトリエラがパジャマのままヒルシャーの部屋へ駆けだして、
(←4巻でヒルシャーの自宅は官舎ではないらしいことが判明)
どうしたのかと驚くヒルシャーに”あなたが死ぬ夢を見た”と訴え、
(←9巻で義体は夢の内容を覚えていない事が判明)
こんな衝動的な行動をとらないではいられないほどに強い感情が
自分自身の感情かどうか分からないなんて酷い、とトリエラが泣く
(←10巻でトリエラが自分の感情を自覚……)

----とゆー話で成立せずに挫折しまくったのが、
今回このような形でようやくSSにできて嬉しい限りです。

>ヒルシャーが死んだとしたら、トリエラの死もありうるのか?
10巻で一応、誰かに託された命だと言う自覚を持った訳だから
後追いはしないと思うんですけどねえ。
ロミジュリあたりに引っかけてそこら辺を語らせようかと思ったら、
出来上がってる設定でなきゃ会話が成立しませんでしたw

557 :CC名無したん:2008/11/28(金) 00:56:47 ID:mTsW5uHH0
↑のSSとは全然関係ない話なんですが
イタリアでは年越しに赤い下着を着けると縁起がいいんだそうなw
プリシッラちゃんあたりが義体全員に配ってくれそうだww
なんか色々ネタになりそう。
あと、ナポリでは年明けと同時にいらなくなった物を
窓の外に放り出す(!)んだって。…危ねえなオイ…

558 :CC名無したん:2008/11/28(金) 13:14:52 ID:7Jv9ixUc0
>>556
トリエラは、大切にしていたウィンチェスターに手を加えたりとか微妙な描写はあるけど、
託された命、必死に生きよう、ってのがあるから、今回の作戦では大丈夫ではないでしょうかね?
それよりも、58話から突如連続して登場しているビーチェが何か今回のエピソードのメインキャラっぽそうなので、
ビーチェのほうが危なそう、かな?

559 :【新たな日々】:2008/11/29(土) 20:37:32 ID:fzlm76jd0
前に本スレ(って言うのかな?)にカキコしたことがある、こんな物語の終結もありか?、というのを、
またもトリヒル組を焦点に書いてみました。
例によってSSといえるほどのものでもありませんが、投下したいと思います。

560 :【新たな日々】:2008/11/29(土) 20:38:50 ID:fzlm76jd0
長く続いた五共和国派との戦いは終わった。

五共和国派が瓦解し、超法規機関としての社会福祉公社も役目を終えることが決定された。
ただし公社自体は、従来、表向きの顔であった障害者福祉事業、
民生用の義肢・人工器官の開発推進のため、純然たる福祉団体として存続されることになった。

作戦部員、公安部員は、関連する省庁へそれぞれ転属となった。
ジャン、ジョゼは再び軍警察へ、マルコーは内務省情報局を新たな職場とした。

生き残った義体たちは技術部に籍を置くことになった。
彼女たちを民生用技術開発のためのテストベッドとするためである。
これまでの戦いの日々の記憶を消されて・・・。


−−−−−−−−

作戦部員、公安部員たちが公社を去るなか、
一人、ヒルシャーだけはドイツにも戻ることなく、公社に留まっていた。
新たに管理部門の事務職員として。

もちろん、その理由は・・・・・・。

561 :【新たな日々】:2008/11/29(土) 20:40:25 ID:fzlm76jd0
−−−−−−−−

公社が新たに生まれ変わって何日かあと、ヒルシャーは中庭でその少女を見かけ声を掛けた。
見慣れた、そして決して忘れることのないその姿に。

「やあ、おはよう」

少女は怪訝そうな表情を浮かべながら答えた。
「ええっと・・・?」

ヒルシャーは、少し物寂しそうな顔色を浮かべつつ少女に話しかけた。
「・・・ああ、すまない、僕はヒルシャー、ビクトル・ヒルシャーだ。君は、」

「トリエラです」
少女はヒルシャーの言葉を引き取るように言った。

「ヒルシャーさんですか、おはようございます。今日はいい天気になりそうですね」

「そうだな、気持ちの良い一日になりそうだ」


中庭にたたずむ二人の周りを、穏やかな日差し、そよ風が取り巻いていた。


<< Das Ende >>

562 :CC名無したん:2008/11/29(土) 23:33:10 ID:fzlm76jd0
まあ、このような穏やかなエピローグがあっても良いのでは、ということで。


でも実際の物語ではどうなるんでしょ?(↑のようにはならない気がする・・・)

例えば、

 ・公社解散とともに、義体の"廃棄処分"命令
  ↓
 ・一部の担当官が命令を不服とし、義体を引き連れて徹底抗戦(もちろんヒルシャーはこのクチ)
  ↓
 ・他省庁の特殊部隊が投入され交戦、のち、鎮圧へ

とか。(まんま、"紅い眼鏡(ケルベロス・サーガ)"ですがw)

563 :CC名無したん:2008/11/30(日) 10:53:19 ID:DzOmWRP+O
>>539>>560はいつもの職人さんとは違うのか
タイトルの付け方と締めの言葉が一緒だからまぎらわしいなw
コテハンじゃないから、いいっちゃいいんだろうけど
悲劇は原作の展開だけで腹いっぱいだから
>>546 >>560みたいなSSはほっとするな

564 :CC名無したん:2008/11/30(日) 16:47:37 ID:thYMj51V0
>>539>>560です。
あの形式がココのテンプレかと思っていたので、同様にしてしまいました。失礼しました。
でも、>>546氏ほかがよろしければ、そのままにさせていただこうかと思うのですけれども。どんなもんでしょうか?

565 :CC名無したん:2008/11/30(日) 23:54:41 ID:qAuvwfmH0
>>564
>>546です。どうぞそのままお使い下さいませw
>>563氏が気になられるようでしたら、自分の方がタイトルの括弧を変えましょうか?
でも墨付き括弧、気に入ってるんだよねw あと鳥昼組に独語の締めはゆずれないっw

>>560->>561
うわあああああんトリエラああああああっっ
てかヒルシャあああああああっっっ
仕事で認知症のじーちゃんばーちゃんと関わってた自分としては
リアルに場景が浮かんできてマジ泣きそうですw
むしろヒルシャーさんが不憫〜〜〜。

566 :CC名無したん:2008/11/30(日) 23:56:10 ID:qAuvwfmH0
すいません、最近動揺のあまり、ついつい本誌ネタを振ってしまっているんですが、
住人の方にコミック派の方はおいででしょうか? 
本スレが在るんだし、ここではあんまりネタバレ話はせんほうがいいのかな?
萌えBBSの控え室にも、全然書き込みできなくなっちゃってるんで、
ネタバレありのSSは投下しようかどうしようか迷ってるんだけど……。

567 :CC名無したん:2008/12/01(月) 00:16:28 ID:aoLz3VlM0
>>565
>>564です。許可ありがとうございます。
>でも墨付き括弧、気に入ってるんだよねw
いえいえ、私のほうが何か別のに変えますので、お気になさらずにw

>住人の方にコミック派の方はおいででしょうか? 
私の場合、今年の初めにガンスリを知って、コミック1〜9巻を一気買い(ただし、BOOKOFF ^ ^;)。
10巻を購入したあと、間が空いてないと知って、とりあえず大王の先月号、今月号を買ってみました。
う〜ん、来月号以降も買うことにしそうかな・・・?
(買って休載だったら、orzですが・・・)
大王を買うのをやめたとしても、私としてはネタバレありはオッケーですよw

568 :CC名無したん:2008/12/01(月) 00:35:25 ID:aoLz3VlM0
>むしろヒルシャーさんが不憫〜〜〜。
そうと分かっていても、たとえ不器用であれども、ただただトリエラを見守っていくのがヒルシャーさんだと思いますw

569 :CC名無したん:2008/12/01(月) 22:57:58 ID:+lr7ybhv0
>>567
>ネタバレありはオッケー
ありがとうございますw でもとりあえず
ネタバレSSはノートに書き散らしたら気が済んだので
エロパロ板に小話を投下してきました。鳥昼でピロートーク。
相変わらず大したコトはしてないんだけど、一応ここ全年齢板だしw
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199878167/l50

570 :【モデル・後日談】:2008/12/04(木) 22:59:01 ID:NqMO/vo80
>>432-434【モデル】(娘に女の子らしい服を買って帰る不器用パパの話)
を送った身内からこんなネタメールが。

『たぶんトリエラはあきれ半分嬉しさ半分くらいで受け取るんでしょうねぇ、
ため息混じりの笑顔で(笑)。
あるいは紙袋を渡されてキョトンとしたあと、中身を見て一言。
「なんですかこれは?」(ちょっと冷ややかな目で)。

さてヒルシャーさんはどんな風に説明するんでしょうか?
(やっぱりしどろもどろになるんだろうなあ)』

とーぜんおとーさんはしどろもどろですw

昼「いや、そろそろまた冬物も必要だろうから……」
鳥「冬物もならズボンの方が良いのでは?」
昼「うん、まあ、それはそうなんだが……。その、君も女の子なんだから、
  たまにはスカートも必要ではないかと……。
  ----いや、別に他意はなくてだなっ」
鳥「“他意”って何なんですか、“他意”って」
昼「い、いや! だから他意はないんだと言っているだろう。
  気に入らないのなら着なくても構わないから、とりあえず持っていきなさい」
鳥「はあ……。
  (----まあせっかくだし、次の外出の時にでも着てやるか)」

571 :【シュトレン】:2008/12/05(金) 13:45:18 ID:ulgRSqHS0
友人から季節ネタ提供のメールが届いた。
『近くのパン屋さんでシュトレン(stollen)っていうドイツのクリスマス菓子が
売っててトリヒルネタに使えないかとw 下はお店でもらった説明の文。
私の脳裏には実家からシュトレンを送られて悩むヒルパパの姿がw

”シュトレンはドイツの代表的なクリスマス菓子。
ドイツでは12月に入るとクリスマスの準備が始まり、
シュトレンを毎日ひと切れずつ切っていただき、イウ゛を心待にするのだそうです。
独特の形は乳飲み子のキリストを毛布にくるんだ姿とも言われています。

シュトレンはバターをたっぷり入れたイースト生地に、ラム酒に漬けたレーズン、
オレンジピール、レモンピール、アーモンドを入れ、しっかりと焼き上げている為、
作りたてよりもある程度日を置いた方が味がなじんで美味しくなると言われています。
少しずつ薄く切って移りゆく味をおたのしみください。”』

そんな訳でかなり無理矢理な捏造設定で書いてみました。
おばあちゃんからの贈り物。やっぱりこーゆー話は書いてて楽しいw
BGMはLアンダーソンの『そりすべり』あたりかな。

572 :【シュトレン】:2008/12/05(金) 13:46:31 ID:ulgRSqHS0
【シュトレン】


 その日のヒルシャーは几帳面なドイツ人らしく、定時に帰宅の途についた。
どれほど忙しくても自分のなすべき仕事は規定時間内に終える彼は、帰る間際に他人の雑事を押し付けられずにさえ済めば、周囲に比べて随分と早く帰宅することができる。
 自宅に戻った途端に鳴った呼び出し音に、男はコートを着たまま携帯電話を取り出した。
「Pront ? / もしもし?」
「Hallo,hier spricht mich. Ist Viktor da? / もしもし。私よ、ヴィクトル」
 通話器の向こう側から聞こえてきたドイツ語に、男は安堵と警戒がないまぜになった表情を浮かべた。
「Ahc Mutter... / ああ、母さん…」
 使用言語を母国語に切り替えて男は電話に応える。
「久しぶりだね。どうしたの?」
「どうしたのじゃないでしょう、ヴィクトル。あなた、今年のクリスマスこそは帰って来るんでしょうね」
 確認と言うよりは脅しに近い口調で男の母親は言う。
「いや。帰らないよ」
 やはりその話かと思いながらも男はきっぱりと答えた。
「まあ、何を言っているの。クリスマスは家族と一緒に過ごすものでしょう。去年だってその前だって、当直だとか言って帰ってこなかったのに。まだ一ヶ月もあるんだから、今年こそは誰かに代わってもらいなさい」

573 :【シュトレン】:2008/12/05(金) 13:47:31 ID:ulgRSqHS0
 そんなに毎年貧乏くじばかり引いて。本当にあなたは人が良いんだからと続ける母親の言葉を男は遮る。
「クリスマスは予定があるんだ」
「予定? 何年も会っていない家族とクリスマスを過ごすよりも、大切な予定なの?」
 勿論だ。大切な『妹』----むしろ『娘』だろうという見解が大勢を占めるのだが----と共にクリスマスを祝う、それ以上に大切な予定など今の彼には存在しない。
 諸事情から事実をそのまま伝えるわけにはいかないので、無難な表現で男は自分の予定を伝える。
「身寄りのない子供と、家族の代わりにクリスマスを一緒に過ごすんだ」
「……まあ」
 詰問口調だった母親の声が変わる。彼女は基本的に善良な人なのだ。
「それも仕事の関係なの?」
「ああ」
「そう、それは良い事ね。それなら仕方がないわ。----良い仕事に就いたわね、ヴィクトル」
 穏やかな母の言葉に複雑な思いで、男はうんと頷いた。
「----だから今年もクリスマスには帰れない」
「分かったわ。……それで、どんな子供達なの? 大勢いるのかしら」
「いや、それ程人数はいないんだ。施設で暮らす、十代前半の可愛い女の子達だよ」
「そうなの。----ああそれじゃあ、その子達にプレゼントを送るわね」
「え?」

574 :【シュトレン】:2008/12/05(金) 13:48:38 ID:ulgRSqHS0
 良いことを思い付いたというように言う母親の言葉に、男は慌てる。
「いや、いいよ母さん。そんなことはしなくても」
「何を言ってるの、せっかくのクリスマスなのに」
「いや。あまり高価な贈り物とかはまずいんだ。公的機関だし、特定の施設だけに手厚い対応をするのは、秩序を乱すことになるだろう」
 ”秩序が在らねばならない”を国民性とするドイツ人に、この説得は有効だった。母親は受話器の向こうで重々しく頷いた。
「……そうね、それはもっともだわ。----じゃあシュトレンと待降節カレンダーにしましょう。10個もあればきっと足りるわよね」
「え? いや送ると言ったって、僕の自宅の住所は知らないはずだろう。……まさか調べたの?」
「いいえ。連絡さえ取れるようにしてあれば、それ以上干渉はしないと約束したもの。
でも『社会福祉公社』宛に送れば、部署なん分からなくても届くでしょう? イタリアのお役所に勤めているドイツ人なんて、それ程多くもないでしょうから」
「待ってくれ母さん、そう簡単な話では----」
「明日中には届くようにするわ。子供達によろしくね」
 うきうきと軽やかな声でそう告げた電話は、彼が次の言葉を口にする前にぷつんと切れた。
 再度連絡しようにも、母がすでに電話の側にいないことは容易に想像がつく。取り残されたヒルシャーは電話を手にしたまま頭を抱えるしかなかった。



575 :【シュトレン】:2008/12/05(金) 13:50:12 ID:ulgRSqHS0
 翌日。出勤と同時に、事の次第を報告すべくヒルシャーは多忙なリーダーを探し回った。昨夜の内にメールで一応報告はしてあるのだが、おそらくは雑務と見なされ、確認されるのは今日の最後だろう。
 しかし普段は課室に威圧感を与えながら席で仕事をしているリーダー・ジャンが、こんな時に限ってつかまらない。
ようやく彼との面会を果たしたのは、呼び出しをくらった課長の部屋で、小包の置かれた机を前にしての事だった。
「ヴィクトル・ヒルシャー」
不機嫌極まりない声でジャンは目の前のドイツ人のフルネームを呼ぶ。
「つい先刻、ヴィクトル・ハルトマン宛の小包が届けられた。公社にはハルトマンなる人物は存在しないはずだが、これかどういうことかお前は説明できるか?」
遅かったか。内心深々とため息をつきながら、かつてヴィクトル・ハルトマンを名乗っていた男はリーダーの質問に答えた。
「申し訳ありません。母です」
 男の言葉にリーダーは軽く眉を上げ、課長は苦笑した。
「----『例の』母君か」
過去を捨て、公社の用意した偽りの身分ヴィクトル・ヒルシャーとして生活する彼は、本来ならば家族に連絡などできる立場ではない。
だが彼の母親は大変に愛情深い女性であった。
息子がしでかした職務上の不始末----書類を偽造し重要証人である少女を国外へ拉致したそれは、不始末どころかもはや犯罪なのだが----については、
犯罪被害者を救いたいという人道上の義心に基づいて行ったものであると理解してくれている。
しかしその一方で、もし息子が半年も連絡を怠れば、心配のあまりドイツ中の探偵社に行方捜しを依頼しかねない、行動力と財力を持ち合わせた女性なのである。
 何事にも全力投球、ともすればやりすぎのこのドイツ人気質を、男が再三に渡って説明したこと。そして実際に連絡を禁じられてきっかり半年目のその日に、20社の探偵社から見積もりを取り寄せて依頼の検討を始めた、彼女の行動力が確認された事。
----これらの事情により、ヒルシャーは母親との連絡を許可されているのであった。

576 :【シュトレン】:2008/12/05(金) 13:51:56 ID:ulgRSqHS0
無論会話の内容は逐一報告することが義務付けられており、それは昨夜の内にジャンに送ったメールですませてある。それをヒルシャーが指摘する前に、ジャンは一層不機嫌になった声で質問を再開した。
「ならばこの中身も見当がつくはずだな。何が入っている」
「おそらくシュトレンと待降節カレンダーが10個…いえ、11個づつ入っているかと」
「シュトレン?」
「ドイツのクリスマス菓子です。果物や木の実を入れて焼き締めた菓子パンで、12月に入ると薄切りにしてクリスマスまで毎日少しずつ食べていきます。待降節カレンダーは、クリスマス4週間前の待降節から毎日小さな扉を開いていくものです」
扉の中にはクリスマスにちなんだ絵や小さな菓子が入っているんです、と生真面目なドイツ人が説明する。
「----ふん。ではこれは義体とお前の分というわけか」
「……そうです」
 問われた男は居心地が悪そうに頷く。三十男が母親から菓子を送られてくると言うのは、やはりどうにも体裁が悪い。
 ゴホンと咳払いをして男は上司に確認を取る。
「中身がシュトレンとカレンダーならば、義体達に配ってやってもよろしいでしょうか」
 無言でにらむジャンに替わり、課長が鷹揚に片手を振った。
「まあその程度ならばかまわんだろう。だが今後はこんな事がないようにきちっと対応しておくんだな」
「はい、ありがとうございます」
 上司に感謝の意を示すと机に置かれた荷物を抱え上げ、リーダーに何か追い打ちをかけられる前に男はそそくさと退室した。


577 :【シュトレン】:2008/12/05(金) 13:53:12 ID:ulgRSqHS0
 その日、いつものように自室でルームメイトと共にお茶を飲んでいたトリエラは、突然担当官の訪問を受けた。
 封を切り送り状が剥がされた小包を抱えてきた彼は、ひとしきり故郷におけるクリスマスの風習を説明すると、義体全員に配ってやってくれとその荷物を置いていった。
 学級委員長的立場にある彼女は、担当官が立ち去ると、さっそく仲間に菓子パンとカレンダーを配りに出かけた。
嬉しそうに礼を言う者、無関心に受け取る者、興味津々でカレンダーの扉を二,三個いっぺんに開く者と、反応は様々だったがひとまずは無事全員に手渡すことができ、少女は自室に戻る。

「さて、と」
 カレンダーを枕元に置くとすっかり冷めてしまった紅茶を淹れ直し、トリエラは自分の分として手元に残して置いた菓子パンの封を開けた。
 外側に粉砂糖をふるった手作りらしいそのパンを、担当官に言われた通りに薄く切り、ひょいと口に入れてみる。
「----あ」
 おいしい。
 こうばしい香りが口の中に広がり、少女は思わず微笑んだ。

 ----紅茶とケーキには幸せの魔法がかかっている。
 不器用なサンタクロースが運んできた少し気の早いプレゼントにも、どうやらその魔法はかかっていたようだった。


<< Das Ende >>  

578 :『感情』:2008/12/06(土) 00:10:12 ID:thpnZ7W80
>>572-577
色々なクリスマス菓子があるようですね。
でも、このころにはもうトリエラの味覚はきっと・・・(T_T)ウウッ...


さて、現在のエピソード、ヴェネツィア編のSSを書いてみたので、投下します。
ホント短くて、m(_ _)mですが。

579 :『感情』:2008/12/06(土) 00:11:44 ID:thpnZ7W80


あれっ?、ここはどこだろう、私は何をしていたんだっけ?・・・・・・


ああ、そうか、展望台の制圧作戦中に私は撃たれたんだった・・・
でも何人かの敵は倒したはず。

痛い・・・、この状態では、もう私は長くはないな。それは分かる。


あの後、どうなったのだろう? 作戦は成功したのだろうか?

・・・自分の死を前にして、こんなことをボンヤリ考えるなんて、フフ、可笑しい



580 :『感情』:2008/12/06(土) 00:13:05 ID:thpnZ7W80


ベルナルドさんが心配そうに私をのぞき込んでるな

赤毛の子、何て名前だったかな、思い出せないや、私の名前を呼びながら泣いてる
・・・私のために泣いてくれている、のかな

こんな私でも、泣いてくれる人がいるんだ。・・・なんか嬉しいな


・・・"可笑しい"、"嬉しい"
これが"感情"なのかな。私でも、最期に感情を分かることができたのかな


もっと前から分かっていれば、クラエスのお手伝いなんかも楽しくできたのかもしれない、な・・・──────



<<FIN>>

581 :【シュトレン】:2008/12/06(土) 21:43:46 ID:BFlsx3iJ0
>>578 レスありがとうございますw
>このころにはトリエラの味覚は・・・
ムッターのシュトレンが激甘だったので、ナタレの時に一時的に味覚がマヒしてたんだ!
と、友人は主張しておりますw
……てか10個で全員に配れるって事は、これは去年か一昨年の話か???
をおwまたやっちまった風味がww

ちなみにこっち↓は同じお店でもらったパネトーネ(panettone)の説明だそうです。
『卵黄がたっぷり入ったパン生地にレーズン、オレンジピール、レモンピールを練り込んだ
イタリアのクリスマスの発酵菓子です。
背の高い円筒形のものは1920年に考案されて広まった様です。
ふっくらと縦に伸びた生地は筒形に入れて焼くことで生まれます』

>>579-580 投下乙ですw
確かにペトラだったら大泣きしてくれそうですね。
感情統制が緩い子は色々傷ついてしまいそうだけど、
ペトラにはサンドロがいるからきっと乗り越えられるよねw

582 :【シュトレン】:2008/12/06(土) 23:10:38 ID:C8MZAqm+O
>>567
>>565です 遅ればせながら、お気遣いありがとうございます。
お言葉に甘えて墨付き括弧とDas Endeのまま投下させていただきましたw

583 :CC名無したん:2008/12/06(土) 23:56:14 ID:thpnZ7W80
>>581
>>582
レス、ありがとうございます。

とりあえずタイトルのカッコは変えてみました。
それと、トリヒル組の話ではないので、締めも変えました。(トリヒル組のSSを投下するときには、また"Das Ende"を使用させていただきますw)

>確かにペトラだったら大泣きしてくれそうですね。
1期生で最も条件付けの軽いトリエラでさえ、アンジェの時に"あまり悲しくない"ってふうだったので、
ここは2期生のペトラにしてみました。

ビーチェは連載のここ2話で"感情が分からない"ってことを強調しているようなので、
これが伏線となって、実際にこんな展開もありかな?、って気もしてますw

584 :CC名無したん:2008/12/07(日) 19:41:32 ID:dehHoQ+MO
>>570 >>571 >>579 投下乙

>>582 >>583
>>563だけど読み専が勝手言ってすまんかった
けどこうなってると分かりやすくてありがたい
更新止まってるけど、保管庫にいった時に名無しさんだと
シリーズになってても分からないんだよな
職人さんが増えてくれて嬉しいぜ。投下期待してる

585 :【シュトレン】:2008/12/12(金) 23:14:47 ID:43m6eIof0
>>583
>トリヒル組のSSを投下するときには、また"Das Ende"を使用させていただきますw
どうぞどうぞw お使いくださいませw 
自分は独語を正式に習ってないんで、大嘘かましてる可能性も大ですが(をい)
鳥昼話で独語使うのって楽しいw 
イタ語は使ってみたいけど、文法自体も見当つかないのでなかなか使えませんw
男にはブラーヴォ!だけど、女にはブラーヴァ!って言えとかさ〜〜。
大体、なんで”柿”が一個だと『カキ』なのに、2個になると『カコ』になるんだ!?
語形変化アバウトすぎだろww

>ビーチェは実際にこんな展開もありかな?
できればみんなそれなりに幸せな最後を迎えさせてやって欲しいですね〜〜

>>584
ありがとうございますw
転載倉庫には素敵な作品が盛り沢山ですよねw
”休日”シリーズとか”テストde公社”とか、
>>528氏の小劇場シリーズ好きなんですw
『煙草の煙』とか『会いたいときに貴方は・・・』とかw
でも一番は『ソルティ・ミルクチョコレート』。泣きそうでした。
ああいう作品が書けるように自分も人生に深みを加えていきたいものです。

>>390氏のトリヒル組のシリーズもかわいくて好きなんだよなあw
文章の感じから多分>>390氏だろうなあと思う好きな作品があるんですが、
違ってたら失礼なので書かないでおこう。

586 :【リボン】:2008/12/12(金) 23:16:03 ID:43m6eIof0
鳥昼季節モノ第2弾。でも去年のクリスマスですw
ナポリからの帰り、飛行機を降りて公社に向かう道すがら…
といったところでしょうか。SSの中で状況説明しようとしたら
どんどん話がズレていってしまったので、一番シンプルな形にしました。
BGMはポンキエルリの”ジョコンダ”から『時の踊り』で。
娘との話題を懸命に探す不器用パパw

587 :【リボン】:2008/12/12(金) 23:17:15 ID:43m6eIof0
【リボン】


「髪留めのリボンが片方ほどけてるぞ」
「え? ----ああ、本当だ。ありがとうございます」
 担当官の指摘を受けて立ち止まり、二つ髪の一方に手をやったトリエラは礼を言うと、次いで軽く鼻にしわを寄せた。
「どうした?」
「いえ、今日は予備のリボンを持ってきていないんです」
「そうか。それならどこか雑貨屋に寄って新しい物を買おう」
「大丈夫です。もう片方のリボンもほどいてしまえばいいだけですから」
「……そうか」
 少女が残ったリボンを解けば金の髪の根本は細い黒のゴム紐でくくられている。
成程、女の子の髪の毛とはこんな風に結ばれているものなのかと観察しながら、男が問いかける。
「そう言えば、そのリボンはいつも誰が用意してくれているんだ?」
 考えてみれば自分は服や靴を用意してやった事はあっても、アクセサリーの類を買ってやったことはない。
誰か女性課員が選んでいるのだろうが、それならば後でどんな物が良いのか聞いておこう。そう思った彼に少女は意外な返答をする。
「別に、誰からも。あなたが下さった物ですよ」
「え?」

588 :【リボン】:2008/12/12(金) 23:18:22 ID:43m6eIof0
「いつもあなたからいただくプレゼントに掛かっている、包装用のリボンです。結び目のしわにアイロンを当てた後できっちり巻き取って、必要な時に必要な長さだけ切って使っています」
 ヘンリエッタのように包装紙にまではアイロンがけしませんけど、と少女は珍しく軽口めいた言い方をする。
「そうだったのか。----しかし物を大事にするのは良いが、必要な物があればちゃんと言うんだぞ。そのための経費も認められているんだからな」
「あ、はい」
「………」
「………」
 しばし沈黙が降りる。
 ヒルシャーにしてみれば、だから遠慮なくおねだりをしなさいというつもりで言ったのだが、元々トリエラにはあまり物欲がない。
 少女の反応がないとそれ以上会話を続けることもできず、やや気まずそうに、では行こうかと男は歩き出した。

589 :【リボン】:2008/12/12(金) 23:20:03 ID:43m6eIof0
 無言で歩を進めながらも、男は先ほど途切れた会話の接ぎ穂を懸命に探していた。視界の隅に入った金の髪が自分の胸の辺りの高さで揺れている。
「リボンの----」
「はい?」
「ああ、いや。その、リボンの端は、切ったままではほつれてきたりしないのか?」
「いいえ。この程度の細さなら大丈夫です。布の織り目に対して斜めに切ってありますから」
「…ああ、そういうことか」
「これがもっと幅広のリボンだったら、ピンキングばさみで切っておかないとまずいかも知れませんけれど……」
「え? ピッキングばさみ?」
 怪訝そうな顔をした男の言葉に、少女はいきなり吹き出した。
「”ピンキング”はさみですよ。布を角張った波状に裁断するための、裁縫用鋏のことです。鍵開け道具が何の役に立つんですか」
「あ----」
 男の聞き間違えが余程おかしかったのか、トリエラはくつくつと笑い続けている。
「……僕は家政学の講義はしない方が無難だな」
「そうですね」
 口元にむずむずと残る笑いをこらえながら、彼女は担当官の下手な冗談に頷いた。
 少女に着せた自分の上着のポケットからは、赤いリボンの端がのぞいている。
 思い返せばいつもプレゼントの包装は店員に任せきりだし、どの色が良いかと問われても、女の子ならばリボンは赤だろうとしか考えていなかった。
 今まで気にしたこともなかったが、今年からは心がけて様々な色のリボンを選ぶことにしよう。
華やかなクリスマスの飾りで彩られたローマの街を歩きながら、不器用なドイツ人はそんなことを考えるのだった。 


<< Das Ende >>

590 :CC名無したん:2008/12/13(土) 02:17:43 ID:Xi4M5EL+0
ナイスです。ほのぼのお父さんのヒルシャーさんは大好きです。

>家政学の講義
笑わせていただきました。

591 :CC名無したん:2008/12/13(土) 16:13:39 ID:PwgNz1uT0
>>586
あなたの書くトリヒルというかヒルシャーが
可愛いな。
トリエラにかかるとほんとダメ親父みたいで可愛い。

592 :『口づけ』:2008/12/14(日) 02:38:35 ID:Mp1h4Skh0
>>586氏とは逆に1年後のクリスマスです。
以下、投下しますw

593 :『口づけ』:2008/12/14(日) 02:40:16 ID:Mp1h4Skh0

任務完了後、宿泊先のホテルの部屋

−−−−−−−−


「去年、"来年もここに来てるかも"って言ったの、覚えてるかい?」

「ええ、覚えてますよ。東洋のほうには"二度あることは三度ある"っていう諺があるそうですよ」
苦笑いしながら、私が答える。
「しかも、ホテルの部屋まで偶然去年と同じだなんて、何かありますかね?」

「本当だな」
彼も笑う。

去年と同様、私の服装も"いつものスーツ姿"ではない格好だ。
以前はこんなことは殆ど無かったのだが、
この1年ほど前から、どこでどう見繕ってきているのか分からないが、
季節の変わり目あたりに、彼は私のために女の子らしい服装を選んで買ってきてくれる。
大概はシックなものであるのだが(笑)。


594 :『口づけ』:2008/12/14(日) 02:41:03 ID:Mp1h4Skh0


去年の"あの日"を境に、私たちの関係は大きく変わった。

私は彼への自分の感情を自覚し率直になり、彼に対して不自然な態度を取ってしまうこともなくなった。
彼も、私をどう扱っていいのか分からないような様子が、ゼロとは言わないが大きく減ったようだ。
"担当官と義体"という関係を抜きに、互いに無くてはならない存在となっている。


彼が今年も、ワインとパネットーネを取り出した。
私が一口食べるのをやや心配そうな顔をしつつ、彼が訊く。
「どうだ?」

彼には、甘みを感じにくくなっていることやその他の体の不調は伝えている。
彼を心配させてしまうのも嫌なのだが、それ以上に、彼に隠し事をしているのが嫌なのだ。
彼は技術部にも話をして、一生懸命、私のために対処してくれている。

「う〜ん、ちょっと甘みが少なく感じますかね」

「そうか・・・」
彼は少し表情を曇らせる。

「でも大丈夫ですよ。さあ、ヒルシャーさんも食べて、飲んでください」

「そうだな、明日は非番だから、のんびりローマへ戻るだけだしな」


595 :『口づけ』:2008/12/14(日) 02:42:35 ID:Mp1h4Skh0
−−−−−−−−


しばらく二人で飲んだ後、
ワインの酔いもあってか、あるいは思い出深いこの部屋にいることもあってか、
私は彼に、今まで訊かなかった−いや訊けなかったといったほうがいいかもしれない−ことを口にした。

「ヒルシャーさんは、私のことをどういう風に思っていますか?」

「?、前にも言ったことがあるけど、君は僕を裏切らないし僕も君を裏切らない。信頼しているよ」

「いえっ、そういうことではなくて、その・・・」
酔いが手伝ったのか、思わず言葉が口を突いて出る。
「私も勿論ヒルシャーさんを信頼しています。でも訊きたかったのは、その・・・。
 私はヒルシャーさんのことが好きです、大好きです。条件付けではなく自分の気持ちとして。
 ・・・愛しています。妹とか娘とかとしてではなく・・・一人の女として・・・」

言ってしまった後、顔に血が上るのを感じた。


596 :『口づけ』:2008/12/14(日) 02:43:51 ID:Mp1h4Skh0


去年、睡眠剤で眠っている彼に私が"一方的に"キスしてしまって以来、
キスをしたことなどは一度もなかったし、自分のこの気持ちを彼に伝えたこともなかった。
(どうしよう、言ってしまった・・・・・・)


不意に彼が私の隣に席を移した。
顔が火照りながらもびっくりして彼の方に向けた私の頭に軽く手をかけ、そして・・・
彼は私の額にキスをしてくれた。

「こういうのって、やっぱり・・・、!?」


苦笑いしながら言いかけた私の口が塞がれた。

彼の男らしい唇に。

「すまなかった、トリエラ」
そして私は彼に力強く抱きしめられた・・・。


<< Das Ende >>

597 :CC名無したん:2008/12/14(日) 02:50:07 ID:Mp1h4Skh0
【モデル】の内容を取り入れさせていただきました m(_ _)m
(トリエラがスーツ姿では、こういう内容の情景は無粋になってしまいますのでw)

これまでの原作を客観的に追っていけば、ヒル→トリは「父性愛的なもの」&「ラシェルへの責任感」のように思えるのですが、
トリの恋路が実ったらいいな、ということでw

あっ、でも、私の中でも「キス」より先はないですww

598 :CC名無したん:2008/12/14(日) 16:17:04 ID:L3AbfRya0
>>592
これまたGJ!なトリヒルだなぁ。
思いを伝えるトリエラと思いを伝えたあとのヒルシャーの行動がいいね。

599 :『口づけ<ヒルシャー視点>』:2008/12/18(木) 22:56:59 ID:SgMOqdNC0
>>593ではトリエラの一人称視点でしたが、ヒルシャー視点のものも書いたので、
以下、投下します。

600 :『口づけ<ヒルシャー視点>』:2008/12/18(木) 22:57:46 ID:SgMOqdNC0

任務完了後、宿泊先のホテルの部屋

−−−−−−−−


「去年、"来年もここに来てるかも"って言ったの、覚えてるかい?」

「ええ、覚えてますよ。東洋のほうには"二度あることは三度ある"っていう諺があるそうですよ」
苦笑いしながら、博学な彼女は答える。
「しかも、ホテルの部屋まで偶然去年と同じだなんて、何かありますかね?」

「本当だな」

彼女は、今年も私が選んだ女の子らしい服装をしている。
"選んだ"と言っても、あの店の彼女に似たマネキンが着ている服を買っているだけなのだが(苦笑)。


601 :『口づけ<ヒルシャー視点>』:2008/12/18(木) 22:58:23 ID:SgMOqdNC0


去年の"あの日"、そう、私がこれまで隠していた私と彼女の過去を彼女が知ってしまった日以来、
私に対する彼女の態度は明確に変わった。

彼女は自分の感情を私に素直に表してくれるようになった。
そして、それに伴い私も、彼女の扱いについて戸惑ってしまうことが大きく減った。


私は、今年もワインとパネットーネを取り出した。
彼女が一口食べるのを、心配しながらつい訊いてしまう。
「どうだ?」

彼女からは、甘みを感じにくくなっていることやその他の体の不調は伝えられている。
私も技術部に話をして、出来るだけのことはしているつもりだ。

「う〜ん、ちょっと甘みが少なく感じますかね」
私の心配を和らげようとしたのか、彼女はちょっとおどけたように答える。

「そうか・・・」
だが私は表情を曇らせてしまっているのだろう。

「でも大丈夫ですよ。さあ、ヒルシャーさんも食べて、飲んでください」

彼女の心遣いを無駄にはしたくなく、私も努めて明るく答えた。
「そうだな、明日は非番だから、のんびりローマへ戻るだけだしな」


602 :『口づけ<ヒルシャー視点>』:2008/12/18(木) 22:59:07 ID:SgMOqdNC0
−−−−−−−−


しばらくたわいもない話をしながら二人で飲んだ後、彼女はふと私に訊いてきた。

「ヒルシャーさんは、私のことをどういう風に思っていますか?」

(!?)私は少しドキリとしながらも、それを表情に出さないよう答える。
「前にも言ったことがあるけど、君は僕を裏切らないし僕も君を裏切らない。信頼しているよ」

「いえっ、そういうことではなくて、その・・・」
私の答えに対して、いつもの彼女らしくなく口ごもりながらも更に言葉を続ける。
「私も勿論ヒルシャーさんを信頼しています。でも訊きたかったのは、その・・・。
 私はヒルシャーさんのことが好きです、大好きです。条件付けではなく自分の気持ちとして。
 ・・・愛しています。妹とか娘とかとしてではなく・・・一人の女として・・・」

・・・彼女が、酔いの所為ではなく顔を真っ赤にしているのが分かる。


603 :『口づけ<ヒルシャー視点>』:2008/12/18(木) 23:00:05 ID:SgMOqdNC0


数秒ほど思案した後、私は彼女の隣に席を移した。
そして、私のほうを振り向いた彼女の額に優しくキスをした。

これが担当官として、あるいは"分別ある大人"として出来うる範囲の態度なのだろう。
だが、彼女の私への想い、そして私の彼女への想いに対して、これでいいのか?
瞬間的に自問自答する。

「こういうのって、やっぱり・・・、!?」
苦笑いしながら言いかけた彼女の唇に私は自分の唇をそっと重ねた。

「すまなかった、トリエラ」
(今まで君の気持ちに気づいてやれなくて・・・)

そして私は彼女を力強く抱きしめた・・・。


<< Das Ende >>

604 :CC名無したん:2008/12/21(日) 01:39:53 ID:JgOXA0WrO
なんかPCからだとアクセス規制を食らっているようなのですが・・・

>>598
遅ればせながら、レスありがとうございました。
>ヒルシャーの行動がいいね
そのヒルシャーの心情を書いてみたのが、↑の>>600ですが、いかがでしたでしょうか?

605 :【リボン】:2008/12/21(日) 13:31:12 ID:lXcOIbco0
>>593-596
>>600-603
GJ! 自分の不調を伝えられるトリエラの信頼感、
ヒルシャーの瞬間的な自問自答、いいですねw
この二人には来年もぜひとも、こんな幸せなクリスマスを
迎えて欲しいものです〜〜。

>>597
拙作の設定を取り入れていただき、ありがとうございますw
こういうのって、なんだかすごぐ嬉しいものですね。
なにかとわやくちゃな日々の中で、このスレの存在は心の泉ですw

>>590 >>591
嬉しいお言葉ありがとうございますw 最近はトリヒル話と言うよりも
”ヒルシャー父さんの子育て奮戦記”になっている気が。 
可愛い不器用パパのおかげで、親子ップル話が楽しくてなりませんw

606 :【親称】:2008/12/21(日) 13:33:01 ID:lXcOIbco0
そんなわけで今回も不器用パパのお話です。
以前から気になっていた呼び方について、色々ひねってみました。
ちょっと下世話…かな? 『娘の成長に動揺する父親』。
こちらは去年のクリスマス。BGMはモーツァルトの『パパゲーノ』でw

607 :【親称】:2008/12/21(日) 13:34:50 ID:lXcOIbco0
【親称】


「こんにちは、ドットーレ(ドクター)・ビアンキ」
 公社の中庭で声を掛けられ、臨床心理を専門とする医師は振り返った。
「やあヒルシャー。その包みはナタレ(クリスマス)のプレゼント?」
「ええ」
 視線の先には、綺麗な包装紙にくるまれた包みを抱えた長身のドイツ人が立っている。人当たりの良い微笑みを返しながらも、医師は男に対してちょっとした忠告めいた言葉を口にした。
「またいつものくまのぬいぐるみか? ぼくが口を出す筋合いじゃないかもしれんが、たまには何か目先の変わった物も探してみたらどうだ?」
 この男が行事ごとに自分の担当する義体の少女に与える贈り物は、いつも決まってくまのぬいぐるみだ。
 ビアンキは以前、彼に何故そればかり選ぶのかと聞いたことがあった。
至極真面目な顔で男が返した返答は「子供ならばぬいぐるみが好きだろうし、ぬいぐるみと言えばくまでしょう」というものだった。
この不器用で融通の利かないドイツ人と、最小限の洗脳しか施されていない優秀な少女が上手くやっていくのは、なかなかに至難の業だろう。そんな感想を抱いたのを覚えている。
 しかし返ってきた男の言葉に医師はおや、と思った。
「----いえ、これはトリエラのリクエストなんです」
 控えめながらもこの上なく嬉しそうな微笑みを浮かべて男は答えた。
「何でも、今まで送ったくまには七人の小人の名前を付けていたそうで、このぬいぐるみでちょうど7人目になるんです」
「ほう、それは初耳だな」
 ドイツ人の説明に軽い驚きを感じながらも、医師はその日の午前中、”修理”した腕の検査を終えた彼のパートナーが、鼻歌混じりで機嫌良さそうに病棟から帰っていった姿を思い出していた。

608 :【親称】:2008/12/21(日) 13:36:06 ID:lXcOIbco0
「最近、トリエラは少し変わったな」
「変わった……と言いますと?」
「なんだ、自分のフラテッロなのに実感はないのか?」
「いえ。その…多少、態度が和らいだ様な気もしているのですが……」
 言葉を濁すのは自信のなさの現れだろう。無理もない。周囲から見ても、彼とその義体の関係はとても良好なものには思えなかったのだから。
「なかなか、一回り半も年下の女の子というのは難しいです。何が気にさわるのか、急にすねたり意固地になったりすることもしばしばで……」
 初めて”おねだり”されたプレゼントの包みを抱える男の指先が、こころもとなさそうにすべすべとした青いシルクサテンのリボンを撫でている。
「……ふむ。まあトリエラは条件付けが緩い上に、年齢的にも反抗期だからなあ。近くにいる人間の方が色々と難しいかも知れないが」
「反抗期…ですか」
「それにあの子はPMSの傾向があるからな。周期も不安定だから無理もないんだが……」
「--------は?」
 顎をつまんで思案する医師を男が見返した。男の反応に医師はちょっと眉をひそめる。
「なんだヒルシャー、PMSを知らないのか? 不勉強だぞ」
「あ、いえ。PMSは分かります。月経前症候群の略で、女性の月経前後に起きる苛立ちや頭痛、腹痛などの諸症状を………え? いやでも----------え?」
「----おいヒルシャー。まさかおまえ、トリエラに生理があることを知らなかったんじゃあるまいな」
「い、いえ、その……!」
 冷や汗を浮かべ返答に窮するヒルシャー。無論、初めから知っていたならばともかく、この朴念仁がそんなことを考慮したことなどあるはずがない。
「……担当官失格だぞ、それは」
「いや!ですがドットーレ・ビアンキ、あの子はまだ子供ですよ!?」
 精神科医の冷たい視線に反駁する男の声は、狼狽のあまり裏返っている。
「きょうび、13、4才にもなれば大抵の子はすでに初潮を迎えてる。認識不足だぞ」
「は、はあ……」

609 :【親称】:2008/12/21(日) 13:37:11 ID:lXcOIbco0
 ----ひとしきり説教をされ恐縮しながら医師と別れた男は、プレゼントの包みを小脇に抱えたまま寒空の下で途方に暮れたように呟いた。
「………子供だとばかり思っていたのにな……」
 ヒルシャーにとって、トリエラは”本来大人に保護されて然るべき『子供』である”と言う認識であった。
だからこそ同僚との会話の中で「うちの子に変な仕事はさせたくない」という発言が出てくるわけであるし、行事ごとの贈り物も”子供ならば好きだろう”と思われるぬいぐるみであったのだ。
 しかしビアンキが言っていたような状態であるならば、これからはきちんと大人として扱ってやらなければならないだろう。
 しかつめらしい表情をした生真面目なドイツ人がついた溜息が、冬の空に白くけぶった。




 それ以来、男が自分のパートナーに呼びかける言葉は、『おまえ』から『君』へと変化した。
 呼ばれた少女は最初の内こそ物問いたげな視線を返していたが、あくまでも真面目な担当官の様子に結局は肩をすくめてそのまま受け入れた。

 ただし贈り物については彼女が一度希望した言葉を尊重し、男はそれからも毎回変わらずくまのぬいぐるみを用意するのであった。


<< Das Ende >>

610 :CC名無したん:2008/12/21(日) 23:36:38 ID:ORp1V0zs0
>>604
朴念仁のドイツ人のヒルシャーらしさが出ていていいね。
ヒルシャーはトリエラに対して
「君は僕を裏切らないし僕も君を裏切らない」というのがあるし、
ラシェルのこともあるから
なかなか恋愛には踏み切れないかも。
……と読みながら思ったよ。

>>606
最初は「おまえ」といっていたヒルシャーが
どうして「君」と呼ぶようになったのか、その原因がこれかw
戸惑うパパらしさが出ていて良かった。
面白かった。GJ!

611 :CC名無したん:2008/12/22(月) 00:27:01 ID:YOuE4vn+O
>>605
レスありがとうございます。
拙作のでも利用できるものがあれば、どうぞご自由にご使用くださいw

ヒルのトリに対する呼び方が、元々は「おまえ」だったんですねぇ、気づかなかった。


ところで私の中では、現在のトリ実年齢="二十歳前後"説というのがあります。
現在のトリの外見=14、5歳=5年前の義体化前の外見(と想定。義体化後、外見が成長し
ていたらヒルがその時点で疑惑を抱いていたでしょう)
というところから、14、5歳+5年→二十歳前後、というわけです。

どう思われますか?

612 :CC名無したん:2008/12/22(月) 00:44:12 ID:YOuE4vn+O
>>610
>なかなか恋愛には踏み切れないかも。

客観的に原作を読めば、ヒル→トリは>>597に書いたようだと思います。
ただ、トリの恋路が実ればいいな、ということでしてww(私はコッチ派w)

613 :『言葉』:2008/12/28(日) 00:30:15 ID:mapQygqL0
鐘楼突入前のトリヒルの会話の、トリの心情補完バナシですw

614 :『言葉』:2008/12/28(日) 00:32:36 ID:mapQygqL0

「足手まといです」

そう言い切ってしまった。
彼が「僕も同行したいのは山々なんだが・・・」と言ったのに対してだ。


同じ台詞を吐くにしても、
クリスマス前の私であれば、反発心も含みながらこう思ってしまったのかもしれない。

"生身のあなたには無理だと分かっていることをどうして言うんですか?
 そう言うことで、自分の罪悪感を減らしたいんですか?"と。


しかし今は違う。

彼が私のことを本当に心配してくれていることは、痛いほど分かる。
もしも一緒にいてくれたら、私もどんなに心強いか・・・。

だからこそ、あなたには絶対に危険な目に遭ってほしくない。

自分自身に言い聞かせるためにも、キツい言葉になってしまった。
ごめんなさい。


だから
「ここで待っていてください」、「ちゃんと・・・戻りますよ」


<< Das Ende >>

615 :CC名無したん:2009/01/02(金) 16:16:21 ID:g+FQknhv0
あけおめ
あまりレスをつけたりはしないのですが定期的に見に来てしまいます

616 :『抱擁』:2009/01/06(火) 23:25:17 ID:pn+kgS690
三が日もとうに過ぎてしまいましたが、あけましておめでとうございます。

以下、年末に投下した『言葉』の、別視点も含めた続きの短いのです。

617 :『抱擁』:2009/01/06(火) 23:26:33 ID:pn+kgS690

「足手まといです」

鐘楼への突入決行前、そうキッパリと言われてしまった。
私が「僕も同行したいのは山々なんだが・・・」と言ったのに対してだ。

彼女を心配する気持ちを、こんな平板な言葉でしか言い表せない自分を情けなく思う。
ほかにもっと別の言い方があったのではないか・・・。
しかし、後の祭りだ。

「・・・・・・無茶するなよ?」
後はこれくらいを言うのが精一杯だった。


すると彼女が振り向き私に近付いて、私の胸に手を当てながら背伸びをして頬を寄せてきた。

「ちゃんと・・・戻りますよ」


その時は、咄嗟にどうしてよいか分からず、ただ立ち尽くすだけだった・・・。




618 :『抱擁』:2009/01/06(火) 23:28:30 ID:pn+kgS690
−−−−−−−−

鐘楼の制圧は、何とか完了した。
しかし犠牲も大きかった。
それに・・・。


私は彼の元へ急いだ。
「ヒルシャーさん、任務は完了しましたが、こちらの犠牲も・・・。
 それに、肝心のジャコモが・・・」

「元々鐘楼にはいなかったようだ。奴が出した声明も無線で経由していただけらしい」
彼も情報を既に得ているようだった。


そして・・・、
突入前の時とは逆に、彼のほうが頭を少しかがませて頬を寄せてきた。

「とにかく僕にとってはトリエラが無事だったことで十分だ。よくやった・・・」

片腕を私の背中にそっと回し、もう片方の手で優しく髪を撫でてくれた・・・。


<< Das Ende >>

619 :CC名無したん:2009/01/06(火) 23:37:26 ID:pn+kgS690
今月号の突入前のシーン、トリがヒルの頬にキスしているように受け取れるのですが(おそらく誰が見ても?ww)、
相田センセイの描写が"あまりにアッサリしている"ことや、関係者がバタバタ行き来してる場所でキスするか?、
という気もするので、SSではとりあえずキスという表現はしないでおきました。
コミック派の方、ネタバレありですみません m(_ _)m

620 :【親称】:2009/01/07(水) 16:21:57 ID:Hd04hiO70
遅ればせながら、新年あけましておめでとうございますw

>>610 >>611 >>615
へっぽこSSにいつも目を通していただき、ありがとうございますww 

>>611
>ヒルのトリに対する呼び方
『考えてみればおまえにはパリッとした服しか与えていないから、
例えば可愛い服とか靴を……』の台詞がいかにも
不器用なお父さんぽくて、自分としては大変印象的でしたw
考えてみるとその前に『君ならもっと穏便にできるだろう!?』
と言っているんですが……まあ任務外では、ということでw

>現在のトリ実年齢
自分は外見年齢14才、実年齢17,8才のつもりで書いています。
ジョルジョが「あれから2,3人増えたが、相変わらず俺達は子守じゃねえか」
と言っていたので、アンジェ、リコ&エッタ、トリエラ&クラエスの順で
義体化されたのかなと勝手に考えていたのですが、
トリエラはアンジェと一緒に手術台の上にいる描写があるから、
かなり初期のメンバーということになるんでしょうね。
投薬が効率化された2期生の寿命が5年から7年という事は、
アンジェの寿命はそれよりも短かったと思われるのですが、
最近の展開から察するに、トリエラの記憶がある期間は4年くらいはありそう。
催眠治療と義体化手術ににかけた1年間は、寿命の内に計算されるんだろうか?

621 :CC名無したん:2009/01/07(水) 16:23:33 ID:Hd04hiO70
>>614
>自分自身に言い聞かせるためにも、キツい言葉になってしまった。
>ごめんなさい。
このトリエラの心情いいですねw

>>617-618
ヒルシャーさんの不器用さがうかがえてGJですw
ホントに無事で帰ってきて欲しいよ。

>>619
>突入前
キス?シーンといい小ウサギといい、嬉しいような怖いような。
あまりのフラグの立ちっぷりに後は神に祈るしかありません。
この際無事じゃなくても目をつぶるから(無事に越したことはないんだが)、
頼むからせめてヒルシャーの元までは帰ってきてくれトリエラよ。
ああもう先の展開が怖い。

622 :【新年】    :2009/01/07(水) 16:27:16 ID:Hd04hiO70
昨年、ドイツ人の国民性について書いた本をゲット。ネタ満載です。
自分が思っていたよりもドイツ人ってゴツイ。つくづくヒルシャーさんはヘタレ(泣)
『無粋』で『不器用』だけど、『無骨』と言うには線が細いんだよなあ。
自分の持っていたイメージはドイツ人気質と言うより日本人気質かも。

最近の展開のSSは619氏が書いて下さるので、
開き直って自分は『去年』や『一昨年』を中心に
サザエさんワールドで親子ップル話を書こうと思いますw
そんなわけで一昨年の年越し&新年ネタ。
去年はいい年だったのか…まあ色々あったけど悪い年ではなかったよねw
BGMはJSバッハの『 チェンバロ協奏曲第3番 第3楽章』で。

623 :【新年】    :2009/01/07(水) 16:28:04 ID:Hd04hiO70
【新年】    


 おまじないだとか験かつぎだとか、そんなものは信じていないのだけど。
 新年早々、担当官の顔をまじまじと見つめながら少女はそれを思い出していた。

 事の始まりは去年のクリスマスだった。
「Buon Natale!メリークリスマス! トリエラ、プレゼントはもらえた?」
 にこにこと満面の笑みを浮かべて寮を訪れた若い女性課員が、
ぬいぐるみのリボンを整えていた学級委員長に声を掛ける。
振り向きざま反射的にチェスト上に放り投げかけたぬいぐるみを
すんでの所で机の上に置き直し、心なしか赤面した少女が女性に応えた。
「Buon Natale、プリシッラさん。----まあ、毎年恒例ですから」
「そっかー、くまも大分増えたよねー」
 にこにこにこ。
全開の笑顔に優等生は多少警戒気味に訪問の目的をたずねる。
「あの…何かご用でしょうか?」
「うんっ。トリエラ、ちょっと両手を出して」
「はい? こうですか?」
 言われるままに差しだした手にポン、と綺麗な包みが乗せられた。

624 :【新年】    :2009/01/07(水) 16:28:57 ID:Hd04hiO70
「じゃ〜ん! 愛の堕天使さんからナタレのプレゼントで〜すっ」
 明るく軽いノリで楽しげにそう告げられて、少女は戸惑いながら礼を言う。
「……ありがとうございます」
「これを着けて年越しすると、来年はとっても良い年になるからねっ。
大丈夫! みんな着けてるんだから、全然恥ずかしくなんかないんだよ」
 恥ずかしい? どういう意味なのだろう。
 両手に少し余る包みは軽い。着ける、と言うことは衣類やアクセサリーの類と
推測されるが、お揃いのスカーフかなにかだろうか? 
 愛の堕天使の怪しい説明をいぶかしく思いながら、どうかあまり
すさまじい色彩の物ではありませんようにとトリエラは心密かに念じる。
「クラエスの分も持ってきたんだけど、彼女はいる?」
「いいえ。多分書庫の方だと思います」
「そっかあ。でもあたしも仕事に戻んなくちゃならないしなあ」
 ホントは全員手渡しであげたかったんだけど、と呟いたプリシッラは、
もう一方の手に持った同じ大きさの包みを少女に差しだした。
「それじゃトリエラ、これクラエスに渡してあげてくれる?」
「あ、はい」
「じゃ、良いクリスマスを!」
 チャオ!と陽気な投げキスを置いて愛の堕天使は立ち去っていった。

625 :【新年】    :2009/01/07(水) 16:29:58 ID:Hd04hiO70
 なんだかなあと受け取った包みを眺めていると、入れ替わりに
分厚い専門書を抱えたルームメイトが書庫から戻ってくる。
「……ただいま」
「ああ、お帰りクラエス。これ、プリシッラさんからナタレのプレゼントだってさ」
 トリエラが振って見せた包みをちらりと一瞥すると、眼鏡の少女は
そのまま自分の居場所である二段ベッドの上段に上がってゆく。
「……後で見るからその辺に置いておいて」
「そう? じゃ、私がもらった分を開けてみるわね」
 クラエスの反応はいつものことだが、一応、贈り物の中身は早めに確認して
おいた方がいいだろう。----確認するのが少々怖い気もするが。
 やや怖々と包装紙をはがせば、外装の箱には中身が見えるように
大きく窓が切ってある。そしてそこには目にも鮮やかな真紅の----。
 下着が入っていた。
しかもご丁寧に上下揃いである。
勿論、上は愛の堕天使のいらない気遣いで寄せて上げるタイプの物だ。
あくまでもサイズは下から2番目だが。
 同室者が絶句する気配に本から顔を上げたクラエスは、眼下の光景を目にして
一言感想を述べる。
「……派手ね」
「------何なのよこれは!?」
 思わず叫んだトリエラの元に、ぱたぱたと可愛らしい二組の足音が駆け込んできた。
「トリエラ、トリエラ〜!今ね、プリシッラさんがプレゼントをくれて……」
「ヘンリエッタ、リコ、あなた達も下着をもらったの?!」

626 :【新年】    :2009/01/07(水) 16:30:58 ID:Hd04hiO70
 どうやら堕天使の愛の贈り物は、年齢に関係なく義体全員に配られたらしい。
年少組二人が手にした箱とその中身に、学級委員長はげ、と嫌そうな顔になる。
ちなみにおちびさん達のサイズはトリエラの更に下である。
「すごいよねっ、大人の下着だよ! いつもの白い綿のぱんつじゃなくて、
レースのスキャンティだよ!?」
 瞳をきらきらさせたヘンリエッタに興奮気味に同意を求められて、トリエラは
引きつった笑顔を浮かべた。
「あー、うん。そうだね」
「年越しは絶対、皆でこれを着ようねっ」
「……着る気なの?」
「だって、来年がとっても良い年になるんでしょう?」
「ああ、何かプリシッラさんがそんなことを言っていたような……」
「----イタリアの風習らしいわよ。験担ぎというやつね。私は興味ないから遠慮するけど」
 あっさりと一抜けするクラエス。
なろう事なら自分もそちら側へ回りたい。しかし。
「ねえトリエラぁ、みんなで着ようよ〜。ひとりで着るのは、やっぱりちょっと
恥ずかしいんだもの〜〜」
「あー、えーと……」
「こういうのってよく分からないけれど、みんなが着るなら私も着てみたいな」
 必殺の潤んだ上目遣いで『お姉ちゃんお願いっ』攻撃を仕掛けてくるヘンリエッタ。
その上だめ押しに微笑むリコの『無邪気な好奇心』攻撃。
 年少組二人の強力なおねだり攻勢に、面倒見が良く付き合いの良い
“みんなのお姉さん”は、あきらめて両手を上げた。まあ、どうせ誰かに
見られるわけではないのだし。
「……分かったよ。年越しパーティーはこれを着よう」



627 :【新年】    :2009/01/07(水) 16:35:36 ID:5sFke0/S0
 イタリアにおける年末の行事と言えば、クリスマスに年越しパーティーである。
 もっともこの二つの行事の過ごし方というのは大きな差違があった。
キリストの生誕を祝うクリスマスは静謐な祈りと共に家族と穏やかに過ごす。
方や年越しパーティーは仲間同士にぎやかに大勢で寄り集まり、大いに
羽目を外して騒ぐのである。
 その夜、義体棟の食堂スペースでは少女達によるささやかな年越し
パーティーが行われていた。
 料理を趣味とするクラエスのお手製ケーキ、さりげない心配りで
ヘンリエッタの担当官から差し入れられた菓子類、朴念仁の担当官に
トリエラが請求して手に入れたシャンパンなどが並べられ、いつもより
遅い時間のお茶会が豪華に催される。
 投げナイフに替わってマジックテープのついたダーツ、鍛えられた
動体視力でお菓子を賭けたコイントス。流星雨観測の夜のように
『歓喜の歌』を合唱し、はしゃいで過ごせばはや真夜中。
 壁に掛けられた時計の秒針に集中し、息を詰めてカウントダウン。
「3、2、1… Buon Capodanno!! 新年おめでとう〜!」
 パーン!と景気良くクラッカーが鳴らされ、紙吹雪が舞い散った。
新しい年を迎え、少女達は再びグラスを掲げて祝いの言葉を交わし合う。
窓の外では新年と同時に市内の至る所で打ち上げられた花火が、
明るく華やかに夜空を彩っている。

628 :【新年】    :2009/01/07(水) 16:36:26 ID:5sFke0/S0
 楽しげな笑顔に満たされた部屋は、しかし一人の訪問者の登場に一変した。
「----トリエラはいるか」
 担当官らのリーダー、冷静冷徹な強面男ジャンの突然の訪問に、その場の
空気がはっと緊張を帯びた。
一人彼のフラテッロたるリコだけが、のほほんと無邪気に新年の挨拶をする。
「あ、ジャンさん。新年おめでとうございます」
「おめでとうございます!」
 最敬礼でもしそうな語調で、他の少女達もリコに続いて祝いの言葉を述べる。
男は応えずにじろりと彼女らを一瞥すると、再度口を開いた。
「トリエラ、第一会議室からおまえの担当官を呼んでこい」
「はい? ヒルシャーさんをですか?」
「そうだ。早くしろ」
 確か自分の担当官はすでに今日の----もう昨日か----勤務は終えているはずだが、
そんな所で何をやっているのだろうか。
そもそも何故自分が直接呼びに行かなければならないのか。
「内線が故障したのですか?」
「今の時間、内線など鳴らしたところで誰が気付くものか。
会議室に残っている様な連中で多少なりとも使えそうなのは、
おまえの担当官くらいしかおらんのだ。さっさと課室へ連れて来い」
「? はい」
 何だか意味が分からないが、とりあえずこれ以上質問しても
ジャンを不機嫌にさせるだけであろう。そう思い、トリエラは席を離れた。
「じゃ、ちょっと行って来るよ。皆続けてて」
 仲間達にそう言って食堂を出る。

629 :【新年】    :2009/01/07(水) 16:37:19 ID:5sFke0/S0
 ジャンは用件を伝えるとすぐに引き上げ、トリエラが廊下に出た時には
もう角を曲がる後ろ姿がちらりと見えただけだった。相変わらず忙しい人だ
と思いながら、少女は本部棟へと急ぐ。
 しかし内線を鳴らしても気付かないとはどういうことなのか。
疑問に思いつつも早足で第一会議室のあるフロアへ入ったところで、
少女は状況を理解した。
 うるさいのだ。
 そう薄い壁ではないはずなのに、閉ざされた扉の向こうから大勢の人間が
騒ぐ声が聞こえる。喧噪と表現するのが一番しっくりするその雑多な物音に
嫌な予感を覚えたが、引き返すわけにもいかずトリエラはドアノブに手を掛けた。
 失礼しますとかけた言葉は、扉を開けた瞬間に中からの音にかき消された。
 広い室内に所狭しと並べられた机には持ち寄りらしい料理の数々。
グラス代わりのマグカップを片手に、ベロンベロンに酔っぱらった
陽気なイタリア人達が奇声を上げて騒いでいる。
どうやら2課の人間だけではなく、医局や公安部、
更には普段何かと角をつき合わせている作戦1課の人間までいるようだ。
 年越しパーティーは無礼講だとは聞いていたが、それにしてもすさまじい。
この中から自分の担当官を捜せるだろうかと左右を見渡せば、
存外簡単にその姿は見つかった。
 イタリア人男性の平均身長は175p、ドイツ人は183p。
頭ひとつ分違うとまでは言わないが、長身の男性を順繰りに確認していけば
壁際に見慣れた顔がある。
 女性課員二人----オリガとプリシッラだ----に挟まれた目当ての人物は、
両側から頬にキスをされ困ったように笑っていた。

630 :【新年】    :2009/01/07(水) 16:38:15 ID:5sFke0/S0
----何よ、あれ。

 やにさがっちゃってみっともないったら。
 年の初めから担当官のだらしない姿を目撃することになったトリエラは、
むかむかとわき上がる腹立たしい気分を、職務遂行の義務感でかろうじて押さえ込んだ。
 手当たり次第に抱き合って挨拶のキスをする酔っぱらい達をかわし、奥へと進む。
「----ヒルシャーさん」
「トリエラ? どうしたんだ、こんな所で」
「ジャンさんがお呼びです。オフィスへ戻るようにと」
「……僕は昨日も今日も日勤なんだが」
「そうですか。でもそれなら、どうしてこんな時間にこんな所にいるんですか」
「勤務の都合や遠隔地で実家に帰れないような、年越しの晩に予定がない人間に
声が掛けられたんだよ。独り者同士、持ち寄りでパーティーをしませんかとね」
「はあ」
 なるほどこれでは人手が必要になったとしても、酔っ払いばかりで物の役には立つまい。
少女は遅れ馳せながらジャンの台詞の意味を理解する。
 無論、緊急事態に対応するために自宅待機の人員は確保されているはずだが、
ジャンの様子ではそちらに招集をかけるほど逼迫した状況ではない。
しかしとりあえず手近に使える人間がいるのなら、多少酒が入っていても
駆り出してこようと思う程度には忙しいのだろう。猫の手も借りたいと言うわけだ。
 彼女の担当官は公私の区別をはっきりとつけるドイツ人らしく、
職場の人間と飲む席では深酒をしない。面白みのないヤツだと
煙たがられることもしばしばだが、この状況下では、それなりに正気を保っている
ほとんど唯一の貴重な存在という事になる。
だからこそこうして貧乏くじを引かされる羽目に陥るわけだが。

631 :【新年】    :2009/01/07(水) 16:39:01 ID:5sFke0/S0
「----ともあれ、そういうことですのでオフィスへお願いします」
「……分かった」
 ふう、と溜息をつくと、ヒルシャーは自分のマグカップと小さな皿、フォークを手にした。
「プリシッラ、すまないが僕はちょっと中座する。大皿は後で取りに来るよ」
「はいは〜い」
 調子の良い返事をするプリシッラはすでにかなり出来上がっていて、
ヒルシャーの言葉も正しく理解されてているのかはなはだあやしい。
そんな相手にでも律儀に断りを入れていくあたりは、真面目と言うべきか
融通が利かないと言うべきなのか。
「大皿って、何ですか?」
 パーティー会場を後にしつつ少女が男に問いかけた。
「ああ、持ち寄りの料理をのせてきた皿のことだ。他に、準備や片付けに手間を
掛けないために、各自でマグと取り皿とフォークは持参するように言われてね」
「料理って……ヒルシャーさんも、ですか?」
 手にした食器を見せながら答える担当官に、トリエラは半信半疑でたずねる。
「調理はしていないよ。ヴルスト(ソーセージ)とワインを3本持ち込んだだけだ」
「ああ成程」
「我ながら芸がないとは思うがね」
 それならば納得できると頷いた少女に担当官は苦笑いだ。

632 :【新年】    :2009/01/07(水) 16:39:52 ID:5sFke0/S0
 そのまま連れ立って歩く二人はオフィスと寮の分岐点に着いた所で足を止める。
ヒルシャーがパートナーを振り返った。
「----ああそうだ。そう言えば、新年の挨拶をするのを忘れていたな」
 何を今更と思う少女に、向き直った担当官はふい、と身をかがめた。
 右の頬と左の頬に一度ずつ。
 生真面目な挨拶のキスを受けて、トリエラは固まった。
まるで親子か兄弟のように。自分達はこんな親しげな挨拶を交わす関係だっただろうか?
「Buon Capodanno. 新年おめでとう。今年もよろしく、トリエラ」
 微笑む担当官の顔をまじまじと見つめながら、少女は愛の堕天使の言葉を
思い出していた。来年はとっても良い年になるからね、と。
----これは、そういうことなんだろうか。
 おまじないだとか験かつぎだとか、そんなものは信じていないのだけど。
「……Buon Capodanno. こちらこそ、よろしくお願いします。ヒルシャーさん」
 照れくさいような恥ずかしいような。むずむずとくすぐったい感覚に、
頬を赤らめ唇をとがらせた少女は何だか不機嫌そうな声でそう答えた。


<< Das Ende >>

633 :CC名無したん:2009/01/07(水) 23:37:30 ID:6GB32R7d0
>>623-632
トリエラの反発心や嫉妬心、照れくささや暖かさなど色々な気持ちが混ざり合ってて、イイですね。

それから冒頭のほうのクラエスの淡泊さっぷり、GJですw


>最近の展開のSSは619氏が書いて下さるので

私の場合、どちらかと言えば本編ストーリーから直に繋がりそうな内容しか思い浮かびませんので・・・(^ ^;)
623氏の発想力には毎回感心させられています m(_ _)m

634 :CC名無したん:2009/01/07(水) 23:47:34 ID:6GB32R7d0
>>621
>頼むからせめてヒルシャーの元までは帰ってきてくれトリエラよ
10巻でトリエラは"必死に生きる"=作者がそう宣言させてしまったわけですし、
現在のエピソードはジャコモ編の第一章に過ぎず(最終的にはジャコモ本人が現場に現れて対決するのでしょう)、
その後は公社解体編(?)へとまだまだ続くのでしょうから、トリエラは大丈夫なのではないでしょうか?

635 :CC名無したん:2009/01/08(木) 21:44:10 ID:xgOxLxtQ0
あけおめ。レスは書かないが楽しみにしてる
自分はネタバレおKだが、気になるなら投下前に
ネタバレあり・嫌いな人はスルーよろしくって書いときゃいいんじゃね?

636 :CC名無したん:2009/01/10(土) 20:13:20 ID:IkIgUzjK0
464 KB になりました。500 KB を越えると書けなくなるよ。
おめでとう

637 :CC名無したん:2009/01/10(土) 21:37:56 ID:IkIgUzjK0
それと、エロパロスレが落ちたもよう。

638 :CC名無したん:2009/01/11(日) 18:01:19 ID:b9O8cH3+0
了解です。次スレの名称は
「社会福祉公社技術部さくら板支所 第2分室」
「社会福祉公社技術部さくら板支所 ハァハァスレ @+4」
どちらがよろしいでしょう?

639 :CC名無したん:2009/01/11(日) 20:51:48 ID:q5ocMOcM0
>>638
「社会福祉公社技術部さくら板支所 第2分室」

640 :CC名無したん:2009/01/11(日) 22:44:52 ID:wZ/jHRDt0
>>638
自分も第2分室の方で。

641 :CC名無したん:2009/01/13(火) 00:03:31 ID:fwWKqiuO0
立てました。こちらへどうぞ

社会福祉公社技術部さくら板支所 第2分室
http://changi.2ch.net/sakura/index.html#1

ついでにエロパロ板も
▼ ガンスリンガー・ガールでエロパロ 2 ▼
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1231769446/l50

642 :CC名無したん:2009/01/13(火) 00:08:31 ID:fwWKqiuO0
>>633 >>635
ありがとうございますw
今年も妄想話ばかりですが、よろしければお付き合い下さいませw

>>634
成程w おかげさまで何とか希望が持てそうです。ありがとうございますw

643 :CC名無したん:2009/01/13(火) 00:14:27 ID:E/JZlfom0
ゴメン、間違えた! こっちです

社会福祉公社技術部さくら板支所 第2分室
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/sakura/1231771865/l50


644 :CC名無したん:2009/01/13(火) 00:25:13 ID:4wFWqIgH0
>>641
>>643
乙です!

645 :CC名無したん:2009/01/13(火) 18:46:39 ID:Rw+Si71N0
おつおつ

646 :CC名無したん:2009/01/31(土) 00:09:35 ID:Fn6tJ0SC0
【】です。
秋頃からこっち、せっかくレスをいただいているのに
なんだかネガティブな反応が多くて申し訳ない!
せめて文体だけでも明るくと思い、裏目に出た事もしばしば。
今年はバタバタしててもとっちらかった気分が
だだ漏れにならないように自重、自重。
レスを下さる方々、SSに目を通して下さる方々に感謝ですw

647 :CC名無したん:2009/01/31(土) 00:11:25 ID:Fn6tJ0SC0
第2分室でSSの投下を始めちゃったけど、
考えたらまだ33KBくらい書き込めるんだよね。
もったいないのでちょっと使わせて下さい。
第二分室でうっかり推敲前の文章の方を投下してしまった
【理由】の推敲後版です。

648 :【理由】:2009/01/31(土) 00:12:53 ID:Fn6tJ0SC0
【理由】


「3、2、1… Buon Capodanno!! 新年おめでとう〜!」
 パーン!とクラッカーが鳴らされ、紙吹雪が舞い散った。窓の外には花火が上がっている。
 私たちは義体棟の食堂で年越しのパーティーをしていた。パーティーと言っても、夕方からゲームをしたり歌を歌ったりして、遅い時間のお茶会をしていたのだけど。
 私は11才の時までは、こんな風に新年を迎えた事なんて無かった。
 年末年始は病院でも休暇を取る看護師さんが多くて、人手が足りない。だから家に帰れる患者はクリスマスからずっと一時退院をしていて、病棟も何だかがらんとしていた。
 病院に残っている患者で動ける人は、ロビーに集まって新年を迎えていたけれど、私は生まれつき麻痺障害があって自分では動けなかったから、いつも、窓の外に上がる花火で新年があけたのを知るだけだった。
 義体という自由に動く身体を与えられてからは、同じ新しい年を迎えるのでも、自分の手でグラスを持ち、自分の足で仲間一人一人の元へ近付いて乾杯しながら祝うことができる。----なんてすばらしいことだろう。


649 :【理由】:2009/01/31(土) 00:14:38 ID:Fn6tJ0SC0
 新年を迎えて一通りそれぞれと乾杯をし、皆でそうやってはしゃいでいたら、入り口から低い声がした。
「----トリエラはいるか」
 ジャンさんだ。私は彼のフラテッロだから、勿論、一番に新年のご挨拶をする。他の皆も続いてご挨拶をしたけど、ジャンさんはそれには応えず、トリエラに会議室からヒルシャーさんを呼んでくるように言った。
 会議室では仕事が終わった大人の人たちが、年越しパーティーをしているはずだ。この間、課長さんがジャンさんにそう伝えていた。ジャンさん本人は行かないのだけれど、いつも誰がどこで何をしているか把握しておかなければならない立場だから、なのだそうだ。
 皆がパーティーをしている時に、ジャンさんは当直でお仕事だ。だから用件だけ伝えると、すぐにまたオフィスへ帰ってしまう。いつも忙しそうだな。
「はあ…緊張したね」
 ヘンリエッタが大きく息をついた。
「そうかな。どうして?」
「う、うーん…。ほら、ジャンさんって、いつもちょっと恐い顔をしているじゃない?」
 私が聞くと、ヘンリエッタは私に遠慮しているのかちょっと口ごもってからそう言った。私は何となく思い出したとを言ってみる。
「ジャンさんはハンサムだよ」
 お仕事で街へ出た時に女の人がジャンさんのことを聞いてきたもの。あのハンサムさんはあなたのお兄さん?って。ヘンリエッタが慌てて言う。
「あ、うん。それは私もそう思うよ。やっぱりジョゼさんのお兄さんだし。ただ、その、”強面のハンサム”でしょ」
「そうなのかな」
 そういうのって私にはよく分からないけれど、ヘンリエッタがジャンさんのことを苦手らしいってことは分かる。
「ジャンさんはいつも厳しいけど、本当は優しい人だよ」
 だって、さっきもカウントダウンと新年の乾杯が終わるまで、廊下で待っていてくれたもの。

650 :【理由】:2009/01/31(土) 00:16:17 ID:Fn6tJ0SC0
「う…ん。きっと、リコはジャンさんのフラテッロだから、私たちの知らないジャンさんを知ってるんだよね」
 ヘンリエッタが何だか納得したように頷いているから、私もそれ以上言わないけれど。
 でもね。
 きっと、トリエラを呼びに来たのだって、会議室に内線が繋がらないからだけじゃないんだよ。
 どうしてなのか、公社の大人の人たちでもジャンさんといると緊張してしまう人は多いから、大騒ぎしたい人たちがいるところに、ジャンさんは行かないの。
ジャンさんがいると、皆、ふざけちゃいけないんじゃないかって思うみたいだから。
多分、カウントダウンの時もわざとオフィスを出てきたんだと思うんだ。
 ----けど、それってジャンさんはさびしくないのかな。
 ジャンさんが何も言わないのだから、私が言う必要はない事なんだろうけど。
 それと…もう一つ。義体棟の内線でトリエラを呼び出さずに、わざわざここまで歩いて呼びに来たのは、もしかして私たちの様子を見に来てくれたんじゃないのかな。
----もしそうだったとしたら、忙しいのに気に掛けてくれていたなんて、幸せだな。
「リコ、なんだか嬉しそうだね」
「うん」
 きっと今年も、良い年になるだろう。そう思いながら、私はもう一度ヘンリエッタと乾杯をした。


<< Das Ende >>

651 :CC名無したん:2009/03/16(月) 20:03:11 ID:DlbSzq9P0
ほしゅ

652 :CC名無したん:2009/04/05(日) 22:04:51 ID:LETxYJZw0
保管庫に収まるまで、とりあえずのインデックス代わりに。タイトル//登場キャラ//作者名
<スレッド内作品一覧>

>>40     無題(天国のお話)//アンジェ//
>>43     無題(すばらしい2期)////
>>44     無題(普通ですか?)//エッタ//
>>45     無題(ガンスリンガーガールをたのむ)////
>>46     無題(二期最終話)//一期生All Chara//
>>47     無題(スタッフよ)////
>>48-49  キッチンドリンカー//エッタ//
>>55     無題(スースーして変な感じ)//リコ、エッタ//
>>60     無題(2期はどうだ)////
>>61     無題(もしかしたら))///
>>63-66  トリエラの憂鬱//トリエラ、ヒルシャー、ピーノ、オリガ、クラエス、エッタ、リコ//
>>69     無題(私が介入を主張したばっかりに)////
>>70     無題(今度は)////
>>74     昼下がりのフラテッロ//ジョゼ、エッタ//
>>76-79  作戦で出張(お泊まりの夜)//トリエラ、ヒルシャー//
>>84     無題(実在しないんだ)////
>>85     無題(相田裕ファミリーネームが)////
>>94     無題(別に私は)////マリオン


653 :CC名無したん:2009/04/05(日) 22:19:25 ID:gZ1w152b0
>>107-113 【くちづけ】//トリエラ、ヒルシャー、エッタ//【】
>>120-122 【アヴェ・ヴェルム・コルプス】//ヒルシャー、トリエラ//【】
>>132    【ハーモニー】//トリエラ、ヒルシャー//【アヴェ・ヴェルム・コルプス】トリエラサイド
>>137-144 【ドルチェ】//トリエラ、ヒルシャー//【】
>>148    【トリエラの日記・プリン】//トリエラ、ヒルシャー//【】
>>153-158 【シンフォニー】//ヒルシャー、オリガ、トリエラ//【】
>>162-167 【異邦人】//トリエラ、オリガ//【シンフォニー】後日談
>>172-179 【午後の遺言状】//トリエラ、ヒルシャー、アンジェ//【】
>>194-201 【スウィート・キッチン】//エッタ、トリエラ、クラエス、リコ、アンジェ//【】
>>206    無題(クロテッドクリーム)//トリエラ、クラエス、リコ//
>>223-227 【甘い罠】//トリエラ、ヒルシャージョゼ、エッタ//【スウィート・キッチン】後日談

654 :CC名無したん:2009/04/05(日) 22:22:40 ID:gZ1w152b0
>>230-235 夢と涙//ジャン、リコ、ジョゼ、エンリカ//
>>237    無題(エッタの生クリーム)//エッタ、ジョゼ、ビアンキ、ジャン//【甘い罠】後日談
>>238   【甘い罠】別バージョン//トリエラ、ヒルシャー、リコ、エッタ、クラエス//【】
>>242-248 >>252-258
     【真夜中の呟き】//トリエラ、ヒルシャー、クラエス、アマデオ、ジョルジョ//【】
>>260   がんすりんがーじょーく//アンジェ//
>>262-265 【ポテトの国の王子様】//ヒルシャー、プリシッラ、アマデオ、ジョルジョ//【真夜中の呟き】後日談
>>267-272 『野菜型の宇宙人が攻めてくる』//クラエス、ペトラ、トリエラ、サンドロ//
>>277-284 【恋歌】//トリエラ、ヒルシャー、アマデオ//【真夜中の呟き】後日談2
>>290-297 【葡萄畑の神様】//ピーノ、フランカ、フランコ//【】
>>301-306 【左耳のささやき】//ヒルシャー、トリエラ//【】

655 :CC名無したん:2009/04/05(日) 22:24:16 ID:gZ1w152b0
>>313-317 >>326-329
        『天使のほほえみ、疫病神の苦悩』//マルコー、ヒルシャー、アンジェ、トリエラ//
>>336-339 【レッドホットチリペッパー】//トリエラ、ヒルシャー//【】
>>348-349 【アンネリダタンツェーリン】//ジャン、リコ//【】
>>354-358 【縁日】//トリエラ、ヒルシャー//【】【縁日】シリーズ1
>>361    『ヴェルキンはダルマにあらず』//トリエラ、クラエス、ヒルシャー//
>>368-371 【縁日・ジョゼッタ組】//ジョゼ、エッタ//【縁日】シリーズ2
>>375-377 【縁日・ジャンリコ組】//ジャン、リコ//【縁日】シリーズ3
>>383-389 【ザントマン】//ヒルシャー、トリエラ//【】
>>391-393 お休みの○○//トリエラ、ヒルシャー//
>>400-403 【トリエラの日記・パルフェ】//トリエラ、エッタ、アンジェ、プリシッラ//【】
>>408-417 【付き添い】//一期All Chara//【トリエラの日記・パルフェ】担当官sサイド

656 :CC名無したん:2009/04/05(日) 22:25:20 ID:gZ1w152b0
>>432-434 【モデル】//ヒルシャー//【】
>>452-460 【視線】//ビーチェ、ベルナルド、ラウーロ、エルザ//【】
>>469-470 【ハロウィン】//プリシッラ、アマデオ//【】ハロウィンシリーズ1
>>475-478 【魔法】//エルザ、ラウーロ//【】ハロウィンシリーズ2
>>484-488 【 Trick or Treat ? 】//一期All Chara// 【】ハロウィンシリーズ3
>>492-498 【誓約】//トリエラ、ヒルシャー//【】
>>504-511 【Birt du bei mir】//ヒルシャー、トリエラ//【誓約】ヒルシャーサイド
>>514    無題(見せてみろ)//トリエラ、ヒルシャー//
>>515-517 無題(甘い夢)//トリエラ、ヒルシャー//
>>523-527 【風邪薬】//ジョゼ、ジャン、エッタ//【】

657 :CC名無したん:2009/04/05(日) 22:26:44 ID:gZ1w152b0
>>528 □□□3つの連載シリーズ 萌死小劇場 ■■■ −−「熊巴」−−
             //トリエラ、ヒルシャー// 壱拾参
>>531-532 【枯葉】//ヒルシャー、トリエラ//【】
>>539-540 【喪失】//トリエラ、ヒルシャー// 『』
>>546-547 【悪夢】//トリエラ、ヒルシャー//【】
>>560-561 【新たな日々】 //トリエラ、ヒルシャー//『』
>>570   【モデル・後日談】//トリエラ、ヒルシャー//【モデル】後日談
>>572-577 【シュトレン】//ヒルシャー、トリエラ//【】ナタレシリーズ1
>>579-580 『感情』//ビーチェ、ベルナルド、ペトラ//『』
>>587-589 【リボン】//ヒルシャー、トリエラ//【】ナタレシリーズ2

658 :CC名無したん:2009/04/05(日) 22:27:46 ID:gZ1w152b0
>>593-596 『口づけ』 //トリエラ、ヒルシャー//『』
>>600-603 『口づけ<ヒルシャー視点>』 //ヒルシャー、トリエラ//『』
>>607-609 【親称】//ヒルシャー、トリエラ//【】ナタレシリーズ3
>>614 『言葉』//トリエラ、ヒルシャー//『』
>>617-618 『抱擁』//トリエラ、ヒルシャー//『』 『言葉』別視点
>>623-632 【新年】//トリエラ、ヒルシャー、プリシッラ、クラエス、エッタ、リコ、ジャン//【】
>>648-650 【理由】//リコ、ジャン、エッタ//【新年】リコサイド

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