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リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第12話

1 :名無し募集中。。。:2008/07/19(土) 16:42:15.91 0
<一体、何処に行くって言うんだ
   _, ,_
川*’ー’)<<胸の高鳴る方へ

前スレ
リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第11話
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1215432711/

まとめサイト
 PC:http://resonant.pockydiary.net/index.html
携帯:http://resonant.pockydiary.net/index.cgi

掲示板 (感想スレ、作品題名申請スレ、あとがきスレ他)
http://jbbs.livedoor.jp/music/22534/

テンプレ>>2-16ぐらいまで

616 :名無し募集中。。。:2008/07/26(土) 22:00:40.67 0
それでは更新します
注意事項は下記の通り

・短い
・色々何かもう…ないやい!
・ダークネス出てきます
・ちょっとグロい表現ありますので苦手な方はスルーで

以上になりますそれではしばしお楽しみ下さい

617 :名無し募集中。。。:2008/07/26(土) 22:01:23.87 0
夜の闇に蠢くソレは、禍々しいオーラを放ちながらビルの屋上から屋上へと跳躍していく。
見た目は人そのものだが、その身体能力は明らかに人とは言えない。
月の光がソレの姿を浮かび上がらせる。
土気色を通り越して灰色がかった肌、充血しすぎて真っ赤に輝く濡れた瞳。

ソレは逃げていた。
赤黒い血を滴らせながら、追ってくる者を必死に巻こうと。
生存本能が告げていた。
アイツらを相手にしては勝てないと。

この力を与えられた時の、世界全てを手に入れたかのような高揚感は消え失せ。
己よりも強い者が居る、ただそれだけのことに体は震えた。
何故だ、この力は無敵ではなかったのか。
追っ手から必死に逃げるソレの疑問に答えられる者は、遙か上空から逃げまどうソレを俯瞰している。


「んー、一般人に無理矢理闇の力を注入したらどうなるか。
実験結果は、可、程度だね」


苦笑いしながら、彼女はソレを見つめ続ける。
羽など持たぬのに、まるで地面に立つように空に浮かぶ彼女。
濃藍色の闇に、白い白衣が鮮やかに輝く。

巨大超能力者組織ダークネス。
ダークネスが世界に誇る超能力研究機関「Awesome God」を統括する最上位研究者。
それが彼女の肩書きであった。

「素晴らしき主」と名付けられた研究機関、それを統括する最上位の位置にいる彼女。
すなわち、彼女こそが「素晴らしき主」でありまさに「神」と崇められる存在であった。

618 :名無し募集中。。。:2008/07/26(土) 22:02:04.03 0
様々な超能力を先天的に植え付けた人造人間を創り出し、それを忠実なダークネスの兵へと育て上げる。
ダークネスを弱体化させるにはまず、この研究機関及び神と崇められる彼女を葬り去らねばならない。
彼女以外で神と言われる程の知識と力を持ち合わせた研究者はダークネスにはおらず、
彼女を葬り去ることさえ出来れば、一時的かもしれないがダークネスは力を失う。

だが、それこそは「神」へ逆らう愚かな所業。
彼女の命を狙う能力者は絶えないが、必ずその能力者は生き延びること叶わずに潰える。
普通の能力者では想像すら出来ぬ、圧倒的な能力を有する能力者達に守護され。
そして、彼女自身も圧倒的な能力を有する存在である。

神と崇められ、その知識と力を持ってダークネスの兵達を統括する能力者最強の一角である彼女。
彼女はその座に胡座をかくことなく、常に己の研究をもっと高い次元へと引き上げるべく研究し続ける。

一から生命を生み出さずとも、一般人に後天的に能力を植え付けて兵として使役出来ないか。
研究の最中にふと思いついたことを実験してみたが、この程度ではダークネスの兵として使うことは厳しい。
そう結論付けた彼女の視界に飛び込んでくる、赤い光と藍の光。


「久住小春とジュンジュンかぁ、可哀想だけどアレはもう終わりだね。
せいぜい、精一杯足掻いて傷の1つでも彼女達に負わせてくれるなら、
少しはこの遊びも意味のあるものになりそうだけど」


上空に佇む彼女の遙か下では、今まさに戦いが始まろうとしていた。
必死に逃げまどうソレに、ついに追いついた2つの影こそが。
久住小春、そして、ジュンジュン。
ダークネスという「絶対神」に戦いを挑む、愚かな超能力者組織「リゾナンター」の能力者達であった。

赤い光をたなびかせている方が久住小春、藍の光を放つ方がジュンジュン。
2人はようやく追いついたソレを抹殺すべく、結界を展開する。
―――けしてもう、ソレを逃がしはしない。

619 :名無し募集中。。。:2008/07/26(土) 22:02:41.26 0
「ちょこまか逃げるのやめてくれる?
こっちはさっきまで睡眠時間1時間でグラビアの撮影してたんだから」


そう言いながら、赤い光をその身に纏わせる彼女―――久住小春はソレを冷ややかな瞳で見つめる。
整った顔立ち、すらりと伸びる手足は日本人離れと形容してもよさそうだ。
高い位置で1つに結わえられた黒髪、冷ややかな眼差し。
お世辞にも性格がよさそうとは言えないくらい、その身から放たれる雰囲気は冷たく鋭い。


「久住、そレはお前ガ勝手にやってイる仕事だ。
疲れてイライラするノは分かるが、それを奴に言ウのはただの筋違いダ」


感情を殆ど声にのせることなく、藍の光をその身から放つ彼女―――ジュンジュンは小春の言葉にツッコミを入れる。
どこか愛嬌のある顔立ちと肉付きのよい体つきから想像出来るのは、小春と違い彼女は既に成人であろうということ。
艶やかな長い黒髪を背中の方に流し、悠然とした態度でソレを見る彼女。
落ち着き払ったその姿は、イライラしている小春を更に苛つかせるには充分すぎるくらいだった。

鋭い目線を仲間であるジュンジュンに向けてくる小春、そしてその視線を意にも介さないジュンジュン。
敵を前にしてるというのに仲間割れ寸前かと思わせるくらいの険悪な雰囲気が、2人を包む。
その2人のやり取りに、ソレは己がコケにされているのだと嫌でも気付かされた。
葬り去ろうと思えばすぐにでも葬り去れる程度の存在だから、無視されるのだと。

屈辱だった。
この素晴らしい力を持った自分を見ても、彼女達の態度は何も変わらない。
彼女達が倒すべき対象は自分なのに、まるでその場に自分がいないかのように振る舞われて。
ソレの体をどす黒い想いが駆け抜けていく。

620 :名無し募集中。。。:2008/07/26(土) 22:03:23.62 0
「ガアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」


咆吼と共に、ソレは彼女達目がけて尋常でない速度で突進する。
後半歩踏み込めば射程圏内に入る、そうしたら幾らヤツらでも避けれない。
ソレの思惑が形になろうとした瞬間、視界に捕らえていたはずの彼女達の姿は消えている。

何処だと視線を右に左に散らすソレ。
その瞬間、ソレの両腕に走る二つの激しい痛み。
右腕から吹き出す赤黒い血、左腕から立ち上る肉の焦げた匂い。


「アアアアアアアアアアア!!!」


この腕でヤツらを切り裂くはずだったのに。
その血しぶきを浴びて、勝利の味に酔いしれるはずだったのに。
彼女達を切り裂くはずだった、鎌状に変化した腕は。
一方は切り裂かれ、また一方は炭化した。

腕を失い、痛みに混乱するソレを冷めた瞳で見る小春の腕に、まるで生き物のように絡みつくのは赤い電流。
小春の対角からソレの様子を窺うジュンジュンの手には、強く光る藍のエネルギー。

どちらも攻撃系能力で、小春の能力はエレクトロキネシス、すなわち電流を自在に使役する能力であり。
ジュンジュンの能力はサイコキネシス、運動エネルギーそのものを能力に変換して扱い、
目に見える波状や弾状にして攻撃や防御の手段とする能力。

2人の能力者レベルは、ソレが思っているよりも高い次元にあった。
だが、腕を奪われたことに対する痛みと怒りが、ソレの中の闇を増幅する。

―――使えなくなった腕を突き破るように、ソレから新たな腕が生えた。

621 :名無し募集中。。。:2008/07/26(土) 22:04:02.10 0
「うわ、キモい」

「あマり見ていテ気持ちのいいモのじゃなイな、早く片付ケるゾ、久住」

「うるさい、あたしに命令するな!」


赤い電流をその両腕に巻き付けて、小春はソレの息の根を一気に止めてしまおうと距離を詰める。
後少しで、ソレの体に伸ばした両腕が届こうとした時。
突如小春の足下に生える、鈍色に輝く鎌状の腕。
慌てて後ろに飛んで避けようとする小春の左臑に生まれる、赤く大きな筋。


「久住!」


一瞬でソレの上を飛び越え、小春の背後に着地してその華奢な体を抱き留めるジュンジュン。
その傷の深さに、これでは小春はまともに動けないと判断したジュンジュンは、小春に声をかける。


「久住、ジュンジュンのことが気に食わなくてもいい。
アレを倒す、その為に久住の力を貸してくれ」

「うるさいなぁ、ジュンジュンのそういうとこ本当ムカつくんだけど。
…しょうがないから、貸してあげるよ」


憎まれ口を叩く小春に苦笑しながら、ジュンジュンはそっと小春の肩に手を置き集中を始めた。
2人を切り裂こうと蠢き鞭のようにしなりながら伸びてくる鎌状の腕を牽制するように、
小春はその両腕から電流を球状にして撃ち続ける。

622 :名無し募集中。。。:2008/07/26(土) 22:04:45.87 0
藍の光と赤の光がリィリィと音を立て、絡み合いながら1つの大きなエネルギーを生み出していく。
敵を倒したい、その想いが互いに違う音色を奏でながら響きあい、強い力となって渦巻き。

その力の大きさに、ソレの中に再び恐怖が生まれた瞬間。
鮮やかに光り輝くエネルギーが光線状となって、ジュンジュンの手から放たれる。
避けることの出来ぬ速度で放たれた光線に。

―――ソレの体は一瞬にして霧散した。


ソレが消え去ったことを確認した小春は、慌ててジュンジュンから離れようとして、地面に蹲る。
怪我してることを忘れて動いてしまうくらい、自分には触れられたくないのかとジュンジュンは表情を歪めた。
気に食わなくても構わないとは言ったものの、こういう態度を取られるとさすがに堪える。

だが、小春は怪我をして歩けそうもない。
ソレを追って、彼女達の居城兼憩いの場である「喫茶リゾナント」から大分遠くまで来てしまった。
このまま小春の怪我を放置していたら大きな傷が残ってしまう。
小春のもう一つの顔は、アイドル歌手。
露出の高い服装で歌うこともある彼女の今後を考えれば、一刻も早くリゾナントへ戻り治療を受ける必要があった。

可愛くない奴。
だが、小春は間違いなく仲間なのだ。
ジュンジュンはフッと息を吐くと、己のもう一つの能力を解き放つ。
一瞬にして、ジュンジュンの姿は人1人を乗せて走れそうな巨大な狼へと変貌した。


「え、ジュンジュンってパンダにしかなれないんじゃなかったの?」

『久住、私の能力ハ獣化…戦イの時にハ戦いに適しタ獣にナり、
そウでなイ時にハ違う姿ヲ取ることモあル。
とっトと乗レ、早クその傷を治サないトお前の仕事に差し障ルだろウ?』

623 :名無し募集中。。。:2008/07/26(土) 22:05:32.60 0
小春の問いかけに心の声で答えて、ジュンジュンは小春の側に寄って座り込む。
小春は一瞬躊躇った後、ジュンジュンの背中にまたがってその首元にしがみついた。
それを確認して、ジュンジュンは一気に走り出す。

人1人乗せているとは思えない速度で、ジュンジュンは夜の街を駆け抜けていく。
先程までの苦い気持ちは、触れた箇所から伝わってくる温もりに溶けて消えた。
微かだけれど、ありがとうと呟く小春の心の声に。

可愛くない奴だけど、可愛いのかもしれないと矛盾したことを思いながら。
今度小春にバナナを段ボール1箱くらいは奢ってもらおう、ジュンジュンはそう決意した。



一連の戦いを見ていた彼女は、とても興味深いものを見れたと言わんばかりに目を輝かせている。
どこからともなく取り出した、手のひらサイズのメモ帳に尋常じゃない速度でペンを走らせ。
今の戦いで得られた結果、考察を手早くまとめていく。


「狼にもなれるんだね、ジュンジュンは。
ライカンスロープみたいで格好いいなぁ、あ、そうだ。
獣化能力を持たせた、万能型の兵士を作るってのも面白いかも」


いいことを思いついたと言わんばかりに満足げな表情を見せて、彼女は白衣のポケットにメモ帳を落とし込む。
早くこの結果をまとめて、次の研究に活かさねば。
その輝く瞳に浮かぶのは、狂気なのか。
闇色の光が一瞬だけ強く光り、それが収まった時にはもう彼女の姿はどこにも見あたらない。


―――濃藍色の闇に浮かぶ禍々しく輝く紅い月だけが、全てを知っていた。

624 :名無し募集中。。。:2008/07/26(土) 22:06:09.65 0
>>617-623
更新は以上になります
単発って難しいですね

625 :名無し募集中。。。:2008/07/26(土) 22:09:12.43 0
ないやいさんお疲れ様です!
感想は後ほど書かせてください

リゾナンター連の投票スレはこちらです
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/vote/1217075386/l50

にぎやかし大歓迎です!

626 :名無し募集中。。。:2008/07/26(土) 22:09:54.40 0
>>624
乙でした!
・・・でもグロものは苦手なので読めないorz

>>614
了解しました!
花火ラシ用に取ってたコードをそっちに回しますw

>>615
にぎやかしで桶かと

627 :サボリンちゃんヽ( ゚∀。)ノ:2008/07/26(土) 22:16:18.90 0
ないやいさん乙でした
サボリンはここのまとめの人として人生初めて投票してきましたよ
ちゃんと出来てるのか甚だ不安ですが

628 :名無し募集中。。。:2008/07/26(土) 22:47:15.52 0
>>624
ジュンジュンと小春・・・
意外といいコンビですね

629 :613:2008/07/26(土) 23:18:06.89 0
>>614
選対さんかな?呼びかけありがとうございました
結局負けちゃいましたけど最後にラシできて楽しかったです

さて自分も小説執筆に戻ります…

630 :615:2008/07/26(土) 23:52:59.53 0
>>614
にぎやかしはしたよ

>>629
負けたのは残念だったね
ほとんどのラシに参加したので楽しかった…けど疲れた

631 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 00:08:26.41 0
トナメ選対です
残念ながら狼は破れ準優勝という結果に終わりましたが、ご協力本当に有難うございました
あの時、リゾナンターの青い光は確かに灯っていました

http://changi.2ch.net/test/read.cgi/vote/1217073453/185-186
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/vote/1217075386/87-88
それにしても魔の22時代に設定したのにラシが繋がってるんですが(しかも2箇所)
皆さんの共鳴力には驚かされます
突発ラシにも関わらずお付き合いいただいた方に感謝です

本当に有難うございました!!
そして以後何事もなかったかのように通常営業ドゾー

>>624
小春の素直じゃない物言いがかっこよくて可愛くて惚れます
そんな小春を包み込むかのようなジュンジュンの大人な部分が垣間見れて・・・
組み合わせの妙を見せて頂いた気がします
そしてそれを構成する文章力、流石です

632 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 00:41:21.60 0
ないやいさんの話はハズレ無しだぜホゼナント

633 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 00:42:42.86 0
じゃあ自分のはもしかしてハズレと思われているかもしれないって不安なホゼナント重ね

634 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 01:03:54.66 0
ホゼナント

635 :名無し募集中。。。 :2008/07/27(日) 01:23:20.14 0
http://www.vipper.org/vip882856.png

636 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 01:30:21.20 0
>>526-535を書いた者です。
みなさん温かなレスをありがとうございます。
以後、エロは自重します。本当に、すみませんでした。

またもや保全代わりに、もう一つお話を上げさせて頂きます。

>>526-535 ←この話のサイドストーリーです。

上に書き込ませていただいたお話は、リーダーとガキさんしか出てこないのですが、
他のメンバーはその間、何をやっていたのかと言うお話です。

それでは、上げさせて頂きます。

 *   *   *   *

 一方、その頃、東京では……

637 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 01:32:08.51 0
東京―AM0;46   喫茶リゾナントからほど近いオフィス街。

高層ビルの連なりに深く刻み込まれた、迷路のような路地裏通り。
餌を求めて、這い出てきたノラ猫が一匹、不意に足を止め、首をもたげた。
しかし、はるか上方のただならぬ気配に驚いたらしく、素早く身をひるがえしねぐらに戻ってしまう。
ひしめく高層ビル群。その中でも、ひときわ高くそびえ立つビルの屋上から、尋常ならざるエネルギーが発露されていた。

地上200メートル。強風に煽られながらも円陣を作り、天を睨みつける七名の能力者たち。

田中、道重、亀井、久住、光井、ジュンジュン、リンリン。
この七名が作る円陣の中央から、高密度の意識エネルギーが夜空の暗雲を突き刺し、天に向かって放たれていた。

それぞれが意識エネルギーを放出し、田中がそれを増幅する。
増幅したエネルギーを久住という媒体を通して、
はるか異国の海域で新垣里沙を探すため、瞬間移動を繰り返す高橋愛のもとへと送り続ける。

瞬間移動とは、あらゆる能力の中でも最も、身体に負担を強いる能力である。
イメージの出来ない場所への、長距離に及ぶ瞬間移動は、自殺行為と言って過言ではない。
高橋は日本を出てから丸2日間、休む事無く瞬間移動を繰り返し、今は太平洋を越え、バミューダ海域をさまよっている。

638 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 01:33:30.58 0
今は、メンバー達が昼夜を徹し、途絶える事無く送り続ける意識エネルギーが、高橋愛の命綱となっているのである。

しかし、意識エネルギーを放出すると言う事は、自らの命を削る事と等しい。
“命がけ”はメンバーも高橋も一緒であった。
丸2日、飲まず食わずで転送し続けたメンバー達は、すでに限界を迎えていた。

最初に円陣から離脱したのは、亀井絵里だった。病に冒された心臓が悲鳴を上げていた。
鼻血が止まらず、血圧が急激に低下し昏倒した。
道重さゆみが、側に駆け寄って治癒を施そうとするが、ままならず、亀井に覆いかぶさるようにして動かなくなる。

それから直ぐ、光井が倒れ、リンリンがそれに続き、
リンリンを支えようとしたジュンジュン、田中れいなまでもが巻き込まれて膝を突いた。

これ以上続けるのは危険だと判断した久住が、一旦エネルギー転送を止めその場に座り込んだ。

強風、吹きすさぶ高層ビルの屋上。 七名はただ夜空を見上げ、物も言わずに倒れこんでいた。

639 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 01:34:53.48 0
暫しの沈黙の後、田中れいながポツリと言った。

「小春……今、愛ちゃんが居る場所を念写してくれんね?」

小春からの返答は無かったが、ビルをライトアップしていた照明が見えなくなり始めたので、
田中はもう、念写が始まっている事に気付く。

仰向けに倒れて、夜空を見上げていた田中の視界がジワジワと変化し、やがて闇夜の海へと映像を変える。

俯瞰から映し出されたその映像。月も無く、底なしの闇を広げる海。
島影など何処にも見えず、ただ果てしない水平線が続くばかり。
おそらく、その最中(さなか)に漂えば、方角など瞬時に見失うであろう。

俯瞰の画が、徐々に一つの対象に近づくと、漆黒の海に漂う人影を捉える。
蒼白の顔、濡れた髪、白い息を漏らした、高橋愛が荒波に揉まれていた。
常人なら、ものの数分で気が触れてしまいそうな夜の大海に浮かび、
次に飛べる(瞬間移動)その時まで、ひたすら漂い、力が戻るのを待つ。

久住によって夜空に念写されたその光景を、みんな黙って見ていた。

640 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 01:36:06.49 0
すると、仰向けに寝ていた田中れいなが、ごろりと身を返し、腹這いになった。
ゴソゴソとスカジャンの擦れる音を聞き、皆が田中の方を見る。

【これより先はこのBGMと共にお読み下さい】
http://jp.youtube.com/watch?v=EgMWD9RpbxA

田中は拳をコンクリートに突きたて、わななく手で身体を支え立ち上がった。

「れいな!」
「田中さん!」
田中の身を案じた、道重と光井から声が上がった。

「あげん……あげん、なんも無か暗闇で、愛ちゃん寂しいちゃろね」
田中は震える足を自分で何度も叩き、気合を入れながら夜空を見上げる。

「れいな!これ以上は危険よ」道重が制する。

田中は、なけ無しの意識エネルギーを天に向かって放ち始める。
「れいなも、同じやった。暗いトンネルの底を這いつくばって生きよったんよ。」

「……………………」

「愛ちゃんは、出来そこないの不良のあたしに、光と居場所をくれた。」

田中は、天を睨みつけ叫ぶ。
「今度は、れいなが愛ちゃんの光になる。こんエネルギー、途切れさす訳にはいかないちゃ!不良娘の意地にかけても」

  ざわめくは、七つの心。

田中の声が、涙で詰まる。「…………見てみい。あげん弱りよう愛ちゃん……見たこと無かよ」

641 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 01:37:21.92 0
コンクリートの上でもがき、のたうつ音がする。

振り向けば、奮い立つ心に任せて、立ち上がる光井愛佳がいた。

「愛佳……」道重は込み上げる思いで呟いた。

「高橋さーん!聞こえますか?うちの力、届いてますか?」
力いっぱいに、叫ぶ光井。その叫びは、自分自身を奮い立たせるため。

「覚えてますかー?初めて駅で会った日のことを!
 うちはホームの端っこで自分の命を揺らしていた……
 そんなうちに、高橋さんは生きろって、明日を変えろって言うてくれはりましたよね!」

―――『!!!!』―――――光井の体が不意に弾けて、ビクンッとぶれた。
              瞬刻のひらめきを得て、目を閉じたまま微笑む。――未来視(ビジョン)が視えたのだ。

「この声が!この声が、もし聞こえてるなら……高橋さん、次に飛ぶ時は、今向いている方角とは逆に飛んで下さい!
 間もなく、夜が明けます。朝日の方角に飛んで下さい!新垣さんに出会えるはず!」


642 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 01:38:36.14 0
「視えたんだね!ミッツィー!」小春が喜んで立ち上がる。

「グゥオウォォォー!!」共鳴する魂がざわめき、一瞬の獣化を見せたジュンジュンが咆哮と共に立ち上がる。

「アイヤ――!!」リンリンも後に続き、道重もそれに続いた。

亀井がフラフラと立ち上がろうとしているのに、道重が気付いて声を上げる。「絵里!……」
が、亀井は黙って首を振り、血溜まりに足を取られながらも立ち上がった。

みんなの、心配そうに見つめる視線に気付いて、亀井が天を指差して言った。

「ダークネスのボケナス共!もうすぐ、勇気の塊みたいな人がそっちに行くからね!ガキさんに指一本、触れんじゃないよ!」

その言葉を受けてニカッと笑った田中が、大きく息を吸い、天を睨みつけると、亀井を真似て言った。

「よう聞きぃ!ダークネスのボンクラ共!今から、お前らの秘密基地ば、最強の能力者が乗り込むけん、覚悟決めて待っとき!」

「ワァ――――――――――ッ!!!」「アァ――――――――――――ッ!!!」

東京の夜空に、娘たちの咆哮が響き渡った。

この共鳴、鳴り止ます訳にはいかない。絶対に。

643 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 01:41:08.55 0
これで終わりです
失礼致しました

>>637-642





644 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 01:45:42.11 0
そうですよね!
愛ちゃんだけの力じゃなかったんですよねやっぱり
れいなの叫びからみっつぃーのビジョン・・・そしてカメの台詞までのくだりには鳥肌が立ちました

645 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 01:47:56.72 0
再び>>526-535を書いた者です
リゾナントさせてもらった方々にお礼を言うのを忘れてしまいました。

[Niigaki](06)231 『里沙、孤島に囚われ(前編)』の作者様にはもちろんの事

[Michishige](06)258 『メメントモリは姉との約束』の作者様

[Takahashi](06)038 名無し募集中。。。 の作者様

あと無意識にリゾナントさせてもらった方々、ありがとうございました。

646 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 01:51:20.42 0
あかん・・涙で字がぼやけてきたよ(T_T)

647 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 02:06:49.65 0
>>645
こちらこそありがとうございました
「電気ウナギ女」の最期はどちらがより悲劇的ですかねw

ガキさんを取り戻すために単身乗り込んだ高橋愛・・・でも一人じゃなかったんですね
光を与えてくれた愛のため今度は全員で愛の光に・・・胸にきました

648 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 02:47:50.26 0
おやすみの保全

649 :名無し募集中。。。 :2008/07/27(日) 04:18:19.24 0
朝だよ保全

650 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 04:18:21.14 0
>>645
暑いからかな、目に汗が
エロ含みの前作は、色んな要素がつまっていて楽しませてくれたけど、
テーマを絞った今作は、光の矢のように私の心を貫いたよ、本当に

651 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 04:32:46.13 0
トーナメントでパンダがよく出てくるけどあれって狼だったんだな
ジュンジュンがいっぱ貼られててビックリしたw

652 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 05:48:57.85 0
ホゼナント

653 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 07:44:52.72 0
今日も暑いぞ、ホゼナント

654 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 08:49:41.51 0
雷がなって真っ暗です
誰か小春を怒らせましたか?

655 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 09:25:11.71 0
第9章、投下します
元々8〜9章は一続きだったのでじれるのも無理はないかも
そして今回短い

1.>>242-244
2.>>250-253
3.>>317-320
4.>>372-375
5.>>492-495
6.>>509-513
7.>>552-555
8.>>600-603


 ―――被監視対象者、逃走の模様―――


離れていても、絆はそこに。

656 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 09:25:50.89 0
9.

「…ガキさん、泣かないで」

あさ美は、里沙の頬を伝うしずくを拭った。
そして里沙を腕の中に抱き込み、頭を撫でる。

「…確かに、私はダークネスに魂を売り飛ばしてしまった…、でも」

小さく息を吸い込み、目を閉じた。

「私がダークネスにいることで、みんなを助けることもできるはずだから」
「…助ける…?」

あさ美が小さく笑ったのが、里沙の身体に伝わる。

「今日みたいに、ね?
 愛ちゃんを救うこともできるし、ガキさんをあっちに戻すことだってできる」

あさ美は里沙を抱きしめたまま、器用に白衣のポケットから小さな箱を取り出した。
それは先ほど愛に使ったものとまったく同じ機械箱。

「…二個くらい作っておけば十分足りるかなと思ってたんだけどね。
 まさか一日で両方とも使っちゃうなんて、全然想像してなかったんだけど」

身体を離すと里沙の手にそれを持たせて、両手で包む。

「『非常脱出用』としてダークネスに指示されて作ったんだけど。
 まだ設計図もデータもあるし、作ろうと思えば作れるし」
「…ありがとう、こんこん…」
「さ、早くしないと。
 構成員たちに見つかる前に、それ使って、逃げて」

657 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 09:26:29.43 0
あさ美は笑っているのに、その笑顔を見ると里沙の涙は止まらなかった。
今ここにはいない麻琴も含めて、四人でもう一度一緒に過ごしたかった。
その心にまだ光が宿っているのであれば、なおさらだった。

「…ガキさん、愛ちゃんとの約束、ちゃんと果たすんだよ?」

あさ美は笑いながら、里沙の胸元に着けられたダークネスのバッジを外して投げ捨てた。
そして自分の右手の小指を、里沙の目の前に差し出した。

「私も、約束するから。
 必ず、ガキさんと愛ちゃん…、そしてリゾナンターの力になれるよう、協力する」

里沙はゆっくりと自分の手を伸ばし、その小指に絡める。

「…またね」

里沙は空いた左手で顔を覆う。
あさ美は、そんな里沙の代わりに機械箱のスイッチを押す。
里沙の身体が徐々に光に包まれ、光の粒となって溶け出し始めた。

「必ず…!」

全てが消えゆく直前、里沙はあさ美の顔を見て叫んだ。

「次会えるときは…、きっときっと、笑顔で…!」

あさ美の小指と結ばれた里沙の小指を最後に、里沙は光の中へと消えていった。
それを見届けると、あさ美はその場にぺたりと座り込んだ。

658 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 09:27:34.16 0
「…幹部失格だなぁ…、マルシェちゃんも…」

ひとり呟くと、白衣の袖を目に押し当てた。

あさ美が愛を闇から解放した理由は、献体としての価値という理由も間違いではなかった。
科学者として、愛の持つ能力が魅力的であることには違いなかった。
それでも、里沙が必死で訴えかける姿に、忘れていた想いが呼び起こされた。
愛を助けたいと。愛にもう一度、会いたいと。そして、光を取り戻したいと。

監視下に置かれている里沙の逃走の手助けなど、幹部である自分が許されるはずもない。
けれど、まだ自分の中にこんな想いが残っていることに気づかせてくれた里沙。
彼女なら、彼女たちなら、きっと何かを変えてくれるはず。
あさ美はそう信じることにした。だから、後悔はしていない。


「…さて、どうやって言い訳しようかなぁ…」

瞬間移動装置の喪失。あさ美は、嘘をついていた。
この装置を再生させることは、実はもうできなかった。

愛がまだi914という名でダークネスの献体だったときに採取されたサンプル。
そのサンプルを精製し改良を加えて、瞬間移動を可能にする光の粒を作り出した。
それが、あの機械箱。
だが、膨大にあったはずのサンプルをもってしても、作れた箱はたった二つだけだった。
サンプルを再生することも同じだけのモノを作り出すことも、完全に不可能だった。


あさ美は苦笑いを浮かべながら、里沙の部屋を後にした。
目の前を通った構成員に、さも今気づいたかのように告げる。

「被監視対象者、逃走の模様―――」


659 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 09:28:18.39 0
>>656-658
次回、最終章です
今晩0時にでも上げたいと思います

660 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 10:24:38.49 0
>>659
おつかれいな
夜ですかwktk

661 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 10:58:28.38 0
>>643
読んでいて勇気が湧いてきました
亀の台詞で震えました
BGMがいいね
>>659
今晩0時
wktk

662 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 12:00:01.42 0
喫茶ホゼナント

663 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 13:05:49.31 O
暑い…喫茶リゾナントで涼みたい…

664 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 13:41:56.59 0
>>637-642
今読みました
裏では全員で戦っていたんですね・・・
前作も改めて読み直すとまた違う気持ちがこみ上げてきます
小春が他のリゾナンターより強めに設定されているところが自分の小春像と重なりました
保全代わりと仰られてますが個人的には大好きな作品かもです

>>656-658
長く焦らされてきました・・・
最終章期待して待ってます楽しみです

665 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 14:51:26.87 O
携帯からホゼナント

666 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 14:51:27.58 O
ホゼナント

667 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 15:02:19.46 0
>>637-642
ザ戦隊物って感じですかね
なんだろうこの涙は
悲しくないのに涙が出ました
このスレの共鳴も鳴り止ませてはいけませんね
二、三日中に一本投下出来たらと思ってます

>>656-658
クライマックス来る――――――

668 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 15:44:04.36 0
[Ai-Rena](08)505 『覆る偶然と繋がりゆく必然』
この話の続きです。長いので前半9レスを投下させて頂きます。


*  *  *  * 

 警察です お前 おかーさんなんか嫌い れいな 即死で 行って来る もう
 怖い目 亡くなりました れいな 初めまして 一人でいなさい ガードレールに
 田中さんの家ですか どうして外に出る 要らない れいな 軽い女 高橋愛です
 さゆ 絵里はね いつかきっと もうお前は要らない ずっとすっと…仲間


      …何かあったら        …近付くな…


「っ……っはっ…は…。ゆ、夢…」

時々見る、その夢。今までの様々な記憶のピースが再生されて、れいなに襲い掛かる
良い思い出も、悪い思い出も組み込まれた自分という名の大きなパズル

そして、最後に再生される映像は、見に覚えのない物体
黒い、丸いものがくるくると回る…
やがて回転は早まり、れいなに2つの言葉が投げかけられる

「何かあったら…」「…近付くな」

何か意味がある言葉なのか、まったくわからない。
幼い頃から、この順序は変わらず、聞こえてくる言葉も変わらない


669 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 15:45:10.16 0

水を求めにきたキッチンを照らす、宵の月。
夜が黒ではないと自分に教えたのは、自分のパズルに組み込まれた、あの同居人。
彼女によれば、夜は気高い、青らしい。
れいなと同じやでなんて、そんな言葉、言わないで欲しい。本当に照れる。

夢の形が変わったとすれば、最近は良いピースばかりが増えているという事。
無理矢理に見せられたそれではなく、自ら脳内で再生する。

仲間の顔…お客さんの顔…
何度も繰り返すうち、震えもおさまってきた
以前のように、やみくもに振るった拳で打ち消すこともなくなった。

でも、二つだけ…最近のものなのに、黒いピースが混じる
一つ目は、あの科学者の言葉…
「れいなの力があれば、異能力を消せるかもしれない」

震えの止まった両の手で、頭を抱える。
ペットボトルから零れた水が、月の光に照らされる。

自分には特別な力がない。それは、リゾナントに来て以来のコンプレックスだった。
必死に鍛えても、共鳴増幅があるなどと言われても、真の意味で、皆の役に立っているのか、不安でならなかった。
最初は羨ましさからくる感情だった。
でも、すこしずつ彼女たちと接するうちにわかった。苦しみが、孤独が。
自分の過去が、皆と比べて幸せだったとか、そんなことは思わない。


670 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 15:45:51.89 0

彼女たちが、自分を孤独から救ってくれたから。
彼女たちを危険とみなす、世の全てが許せなかった。

外のせいにしていた。周りが変わらないから、彼女たちが苦しむと。
でもその環境は変わった。自分の番になった。
自分が何かを捧げれば、彼女たちの苦しみが取り去られるのかもしれない…

愛ちゃんは、それを必死で止めた。
でもどうだろう…この世界に苦しむ全ての能力者を解放できるなら、
ただ、大切、仲間という理由で自分を縛る愛ちゃんが間違っているのかもしれない
恐ろしい考えだと思う。でも、自分が犠牲になれば…愛ちゃんも…みんなも…


首にかけた、ロケットを取り出す。

もう一つの黒いピース…それは、復讐
最近の出動。どうしても、そのことを意識してしまう。
ダークネスが、親の敵。そう思うと、身体は強張った。
それは、自分が今までの攻撃の手さえ、戸惑いを帯びたものに変えた。
自分がどこか、復讐の為に攻撃をしているのではないか、という不安。
そして心のどこかに本当にある、まだ見ぬ復讐心。

この攻撃で何かが変わってしまうのではないか。

その気持ちが、動きを鈍らせた。
もう、どうすれば良いのだろう。この感情を抱えたまま。


671 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 15:46:31.35 0

ふと、ポケットの震えに気付く。メールだ。誰、こんな夜更けに?


「絵里やん…」
ありえない話ではない。普段よく、この時間彼女の病院にお邪魔する。
今日はその日ではなかった。そしてこんな風にメールが届いたこともなかった。
少しおかしいな、と思ったその気持ちも文面を見た瞬間にすべて消えうせた。



 話したいことがあるの。
 れいなの、家族のことで…

 病院の屋上で、待ってます。




672 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 15:48:24.98 0
「れーな!!」
少し悪い手を使ってたどり着いたその場所。
絵里の背中に広がる、濁った星空。

彼女は何かを握り締めながら自分の下に走り寄った
聞かなければならない。一体何の話があるのか。

「ジュンジュンから、いつ聞いたの!?」
それにも拘らず、先に質問を投げたのは、絵里だった。

「ジュンジュン…って何のこと?れーなは、絵里に呼ばれ…て」
うそ。あたし、れーなに呼ばれて来たんだけど?
悪い冗談かと思った。でも違う。絵里が差し出す液晶画面に浮かぶ、れいなからのメール。

 ジュンジュンから聞いた。あの写真のことで聞きたいことがある。
 ごめんやけど、屋上まで出てきてくれん?

要約すると、こう。つらつらと長い…悔しいけど、まるでれなのメール。
誰がこんなことを?一体…なぜ?

「れーなじゃないなら、一体だれがこんなことー?」
「わからん。けど、絵里ここはヤバイ。早く出…」
言い切る前に、地面が黒く染まる。ヤバイ。もっと早く気付くべきだった。
絵里がこんな風に呼びつけるわけなんかないのに…

「な、なにこれ、ね、眠い…」
いつも比較的とろんとした絵里の目が、完全に眠気を帯びる。
膝から崩れ落ち、地面に倒れかけるのをすんでのところで抱きとめる。
黒き光は、屋上をすっぽりと覆った。
おそらく空から見れば、大きな立方体になっているのだろう。もっとも、見える目があれば、の話だ。


673 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 15:49:35.51 0

―声が、しない―

この黒い壁には共鳴の断絶の効果でもあるのか。外からの援軍は期待してはいけないようだ。
絵里を見る。決して危ない状態などではない。
むしろただ単に睡眠を欲しているように見えた


「やっほーれーな」


背後から声がして、慌てて振り返ると給水塔に腰掛ける、DR.マルシェ。
今一番逢いたくなくて、一番逢いたいその科学者だった。

「これは、何?」
自分でも敵意に迷いが含まれ、歪な波となっていることを感じていた。
それを受け取ったDR.マルシェはもっとそれを感じたことだろう。
楽しげに、口角を上げる

「新商品。グラヴィティーカーテン」
英和辞書って便利だよね、なんてクスクス笑う。
いけん、相手のペースに乗っちゃ。
左の手に握られた、スイッチをその親指が撫でる。

これは、勝負だ。次にその指が離れた時を見計らって、払う。
そう、発動が早いか、れなの攻撃が早いか。


674 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 15:50:12.32 0

「絵里まで使ってれーな呼び出すなんて、どーいうつもり?」
「やー、絵里には逢えてなかったしね。福音は平等に告げられるべきだよ」
「ふくいん?」
「ああ、それはね…」

彼女のその癖。説明する時は、手をパタパタする。
今しかない、そう思った。最後の言葉は移動中に聞いた。
罠かもしれない。でも何もせず、手を拱くわけにはいかない。

しかし、れいなの狙いのそのスイッチも、DR.マルシェ自身も立ち消える。
そんな、まさか、ホログラム?
勢いあまったれいなは給水塔にしたたかに体をぶつけた。

 誰が、まだ、使ってないっていったの?
 
直接脳内に届く、声

 楽しかったよ。今日はここまで。
 もし逢いたいなら、今度はれいなから、来て。

黒い天井がゆっくりと、下がり始める。それと共に、暗くなるボックス内。
天井で、押しつぶすための、装置? 

「っ…ぐあっ」

天井がれいな自身に到達するよりも先に、体が圧力に悲鳴を上げた

  グラヴィティってね、重力って意味なの


675 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 15:51:02.18 0

満遍なくかけられる重力に体が、立っていられない。

「ああっ…」

そうだ、絵里。絵里にはマズイ。
なんとか降りようとしても体はいう事を聞かず、どさりと地面に落ちる結果となった
それでも良い。なんとかして絵里に、絵里に近付かんと…

迫る天井に、増す圧力。這い蹲って絵里を目指すれいなに再び声が聞こえる

 れいなが行って、何ができるの?

血の気が引いていく思いがした。
そう、れいな自身がいくら足掻いても、絵里のところについても、
れいなには何も出来ない。れいなには何の力もない。
改めてつきつけられる、その事実。

心底憎む。よりにもよって、最も圧力に弱い絵里を選んだ彼女を。
どれだけ頑張っても、何もできない、れいな自身を。

努力では、埋められない何かが必要な、今この状況。
認めるくらいなら死んだほうがマシ。そのプライドも絵里の前では簡単に霞む。

…ただ、自分が、自分がおとなしくついて行けば良い。


676 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 15:51:32.20 0


「…れいな、行くけん。もう、…やめて」



ごめん絵里、ごめん、みんな。
持たない自分が、持つみんなを苦しめた。


人の価値なんて自分が決めるものやと思ってた。


真っ暗闇の中で、溶けていく感情。
認めてしまえばとても楽になった気がした


 
れいなは、役立たず って。





677 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 15:53:04.86 0
以上、前半>>668-676です
後半はまたいつか…


678 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 16:51:09.47 O
うおおおぉぉ…
気になる_| ̄|○

679 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 17:53:56.46 O
乙です
帰ったら読みます

680 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 18:10:17.87 0
重力操作(グラヴィティ・コントロール)の能力は思いついていたのですがなるほどこういう使い方が・・・

相変わらずの描写力で描かれるある種美しい風景と哀しいれいなの心にため息の連続でした
絵里を利用するマルシェの残酷で・・・見事な戦略に胸が痛みました
同時にこの場面を活かすための過去作品の効果を改めて感じました
また後半に会える・・・後半に会えるその日を心待ちに致しております

681 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 19:01:11.68 0
>>677
後半!待ってますよ

682 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 19:54:00.83 0
ホゼナン

683 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 20:51:10.36 O
ほぜ

684 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 20:51:15.03 0
トーッ!!

685 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 21:01:25.44 0
5秒差wすごいシンクロ

686 :サボリンちゃんヽ( ゚∀。)ノ:2008/07/27(日) 21:03:29.51 0
こうなったらこのスレサボり倒そうかなって密かに思ってる
そして地獄絵図の第13話(サボリン限定

687 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 21:39:14.28 0
アムちんはチキンレースする気か
でもそこに建国しても・・・

688 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 21:39:59.32 0
スマン、盛大に誤爆した
粛清されてくる

689 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 21:44:21.39 0
http://toromoni.mine.nu/haroga/files/data/hellogirls13084.jpg

検体番号>>688
・・・使えませんねえこれは
捨てておいてください

690 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 22:18:39.34 0
rizo

691 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 22:53:21.58 0
よし今日は書くぞ!と独り言ホゼナント

692 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 23:03:58.34 0
本当に?
待ってたよ!その言葉!

693 :名無し募集中。。。:2008/07/27(日) 23:44:20.16 0
もうすぐ0時

694 :名無し募集中。。。:2008/07/28(月) 00:00:15.58 O
最終章、投下します

1.>>242-244
2.>>250-253
3.>>317-320
4.>>372-375
5.>>492-495
6.>>509-513
7.>>552-555
8.>>600-603
9.>>656-658


 ―――違うやろぉ、ガキさん。


ラストに待ち受けるものは、その目でお確かめください

695 :名無し募集中。。。:2008/07/28(月) 00:00:58.10 0
10.

意識の層の深い深い部分で、柔らかな光を感じていた。
それはひどく懐かしいような、胸の中でまばゆく輝くような―――

視界に広がる、白。
雲の上にいるような、不思議な浮揚感。
海の上で浮き輪に捕まって浮いているように身体が揺れていた。

 ここは、どこ?
 あーし、なにしてる?

愛は記憶の糸を手繰ろうとする。
しかし、つかむことのできる糸の端が見つからない。
両手は、ことごとく空を切っていた。

 なんやの、あーし、どうしたん?

身体がふわふわと浮いたような感覚なのに、手足は鉛が付いたように重い。
糸をつかもうと振り回していた手が、だんだんその動きを鈍らせていく。
一面の白だった視界が徐々に濁りだし、いつの間にか灰色に染まっていた。
愛の手足もすっかり動かなくなり、身体の自由が奪われていく。

 なんや…、あーしは、地獄に落ちてくんか…?
 あかんよ、まだ…、まだやらなきゃいかんことがある……!

愛がそう念じたとき、一本の光の糸が愛に向かって伸びてきた。

 ―――光…?

愛は渾身の力で両手を伸ばし、その糸をしっかりとつかみ取った―――

696 :名無し募集中。。。:2008/07/28(月) 00:01:56.21 0
―――ガバッ!

愛は、文字通り飛び起きた。
慌ててあたりを見渡せば、そこは見慣れた景色。

「こ、ここは…」

見慣れた場所。
それなのに、懐かしいと感じる。

愛のよく知る街。愛する街。
大事な仲間の待つ、喫茶「リゾナント」の近くにある路地裏。

「あーし、今まで何して……?」

記憶をたどる。
ここ数日……いや数週間……数ヶ月間?
頭の中がぼやけたようにはっきりとせず、上手く思い出すことができない。

晴れた空を見上げると、太陽の位置はそこまで高くない。
朝の10時頃、だろうか。

辺りに人通りはない。
元々この路地裏に人が通ることなんて滅多にないから、
愛がここで何日倒れていても気づかれないこともあるかもしれない。
だとしても、いつから自分はここにいたのか…

「…ほや、あーし、みんなのとこ飛び出して…」

がむしゃらに能力を使った、ことまではかろうじて思い出せた。

697 :名無し募集中。。。:2008/07/28(月) 00:03:01.51 0
「…うぅっ……」

だが、その先のことは思い出せば思い出そうとするほど頭が痛む。

「なんやの…思い出せん……」

いつからハッキリした記憶がないのか。
その間、いったい何をしていたのか。そもそも、どこにいたのか―――

「…完全に記憶喪失や…」

愛は顔をしかめ、思わずこめかみを押さえた。

 ちりん。

耳元で鈴の音が鳴り、愛は握りしめていた自分の手を静かに開く。

「…これって…」

それは、白地に黄色の刺繍の入ったお守り。
里沙があの時、愛の両手に包ませたそれだった。

「…なんで、これをあーしが持ってる…?
 こっちのお守りはガキさんが持って…、…あれ?」

愛は自分の腰の辺りを探った。
そこは本来、愛がお守りを着けていた場所。

「…ない、てことは…」

 ガキさん、あーしと、どっかで…?

698 :名無し募集中。。。:2008/07/28(月) 00:04:08.75 0
改めて自分の着ている服を見ると、何十戦もの戦いを経たかのように、
あらゆるところが破れ、ボロボロになっていた。
腕や足にもいつ付いたのかわからないような切り傷が多い。

「…何やっとったんや、最近のあーしは…」

愛は思わず、持っていたお守りを胸に抱いた。


―――その時。


『…愛ちゃん、約束するよ』


確かに里沙の声が愛の耳に届き、ハッとして辺りを見回した。

「…ガキさん…?」

だが、相変わらず人の気配はない。

「…このお守りが…、もしや…」

愛はふと頭に浮かんだ考えを実行すべく、お守りを両手に持つと精神を集中させた。

物質相手の精神感応。
モノに宿る思念を読み取る、愛だからこそできる高等能力。

全身で脈を打つかのように鼓動がうるさく響く。
少しずつ流れ込んでくる、お守りに秘められた想いのビジョン。

699 :名無し募集中。。。:2008/07/28(月) 00:05:16.65 0
「…見えた…」

 全てを覆う闇。
 ぼろぼろの愛。
 襲いかかる男。
 ローブ姿の里沙。

「…ガキさん、あーしに…」

愛の身体を抱いて涙を流す里沙のビジョンがハッキリと見え、
胸が締め付けられるように苦しく、切なさを感じた。

愛も、わかっていた。
里沙がそう考えていたとおり、ちょっとした弾みで里沙の正体がわかってしまったことがあった。
だからといって、一緒に過ごしている里沙を遠ざける気持ちなんて全くなかった。
愛を助け、支え、やさしく微笑んでくれているのは、間違いなくこの里沙だったのだから。

心のどこかでその時が来ることを覚悟していたはずなのに、
愛は突然訪れた別れを受け入れきれずにいた。
そして、他の誰もが里沙の存在を覚えていないということも。

「…自分勝手に、自分自身を捨てたんや…」

お守りに込められた想いが一気に愛の中に流れ込んでくる。
苦しんでいたのは自分だけじゃない。
里沙だって、長い間自分の身分を隠してどれだけつらかっただろうか。
それを考えれば…、自分のしたことなんてとても小さなことで。

里沙が、愛の腰に提げられていたお守りを見つけ、自分のそれと取り替えた場面が見えた。
その時に里沙が交わした約束を感じ取って、愛は改めて手の中のお守りを見る。

700 :名無し募集中。。。:2008/07/28(月) 00:06:17.98 0
「…ガキさん…」

愛のイニシャルが刺繍されたお守り。
ずっと里沙と交換した方を持っていたから、これを見るのは久々だった。
ほんの少しだけ生地が汚れてはいたが、かなり丁寧に扱われていたのだろう。

「キレイに持っててくれたんやなぁ。
 それにひきかえ…、あーしはここに着けとったんやから…」

愛は自分の腰辺りを見る。
衣服がぼろぼろに破れ、一部は肌も露出しているくらい。
お守りが同じように汚れて破れていてもおかしくはなかった。

愛は無意識のうちに、手にしたお守りに唇を寄せていた。
それは、特に何の意味も想いもなかったのだけれど。

―――その瞬間。

お守りが真っ白な光を放ったように見えて、愛は慌てて顔を離した。
だが、手の中のそれは特に変わった様子も見られない。

「なんやったんやろ、気のせい…、あれ?」

愛の脳裏で、愛と里沙が光になって消える瞬間のビジョンが再生された。
里沙が耳元で囁いた言葉。それが風に乗って、今はっきりと愛に届けられた。


―――次に会う時は、今までよりももっともっと…

     愛ちゃんのそばに、いてもいいかな―――?


701 :名無し募集中。。。:2008/07/28(月) 00:07:25.81 0
ザッ。

愛の背後で、足音がした。
振り返らなくてもわかる。
きっと情けなく眉尻を下げて、自分のことを申し訳なさそうに見ているのだと。

愛は右手の中にお守りを隠すと、わざと大きな動きを付けて振り返った。
果たしてそこには、うつむいたままの里沙がいたから、愛は思わず笑いそうになった。

「…愛ちゃん」

聞こえるか聞こえないかくらいの声をようやく絞り出して、名前を呼ぶ。

「…ゴメン」

愛は、微笑んだ。
謝らなければいけないのはきっと自分もで、やっぱり里沙もで、でも今は、そうじゃない。

愛は右手を開いてお守りを差し出し、空いた左手も同じように前に出す。

「違うやろぉ、ガキさん。
 挨拶の言葉、間違っとるで?」

里沙は一瞬呆気にとられたように動きを止め、それからすぐ、愛の意図を理解した。
また少しうつむいた顔が、どんどん涙でぐしゃぐしゃになっていくのがわかる。
それでも精一杯の笑顔を作りながら、里沙は歩き出した。

里沙の右手に乗せられた、緑色の刺繍のお守りを。
愛の右手に乗せられた、黄色の刺繍のお守りを。

二人は同時に手に取り、言葉を交わした。

702 :名無し募集中。。。:2008/07/28(月) 00:08:25.73 0



「おはよう、愛ちゃん」

「おはよう、ガキさん」



青い空の下、蒼き正義は約束と共に。

二人は笑って、お互いの身体を強く抱きしめ合った。






    ――― 『BLUE PROMISES』 Fin.




703 :名無し募集中。。。:2008/07/28(月) 00:09:24.35 0
>>695-702
以上、『BLUE PROMISES』でした
あとがき等々いろんなことはしたらばでお話ししたいと思います
数レス×数回という新しい取り組みやってみたくてこういう形になりました
単発減ったねぇという話題の中でちょっと恐縮でしたがやりきって満足です
どうもありがとうございました

704 :名無し募集中。。。:2008/07/28(月) 00:10:34.41 0
全俺が泣いた

705 :名無し募集中。。。:2008/07/28(月) 00:11:30.06 0
全俺も泣いた

706 :名無し募集中。。。:2008/07/28(月) 00:13:29.47 0
おいおい
もしも俺が映画監督だったら映画化してるとこだわ
ひたすら拍手ですわ

707 :名無し募集中。。。:2008/07/28(月) 00:18:12.75 0
感動しました
涙です。









>青い空の下、蒼き正義は約束と共に。



708 :名無し募集中。。。:2008/07/28(月) 00:32:23.18 0
>>703
完結乙でした
蒼き正義が闇の脅威を打ち払った過程が精緻に
描かれていて感動しました
今後もやりたい形で投下してください

709 :名無し携帯屋。。。:2008/07/28(月) 01:17:36.41 O
>>703の感動作の後に保全がわりに駄作品を投下します


あまりにも下手くそなのでスレ汚しになったらスイマセン…

取り敢えずミティのキャラが何だかおかしいです


710 :名無し携帯屋。。。:2008/07/28(月) 01:21:45.03 O


月明りが照らす夜道
高橋愛は一人空を見上げていた


愛は夜空が綺麗な時こういった事がたまにある


今日も喫茶リゾナントの閉店後の後片付けが終わり集まっていたリゾナンターのメンバーに一言告げて外に出て来た


10分程度で帰って来るし毎度の事な為、メンバーも付いて行ったりはしない



しかし休む事なくダークネスと戦い、喫茶リゾナントで働いて愛の疲労は極限まで達していた



711 :名無し携帯屋。。。:2008/07/28(月) 01:22:58.60 O

「………」


ふと空を見上げ愛は想う

自分のさだめられた運命
i914という人間兵器
これからの未来
この綺麗な夜空を
いつまで自分は見ていられるのだろうか


考えれば考える程
答えなど出るはずない



未来が視える愛佳ですら
見えないのに


「…戻るかの」


空を見上げるのをやめ身体を反転させた



712 :名無し携帯屋。。。:2008/07/28(月) 01:25:39.96 O
そしてハッとする

「やっと気付いたか」

「……美貴ちゃん」

疲れているせいか
ミティが後ろにいるのに全く気付く事が出来なかった

「……ッ」

いつから後ろにいたのか
ミティの目的が何か…
戦闘の構えを取りながら必死に考えた


「別にそんな警戒しなくても良いじゃん」

「敵に警戒せんでどうするんよ」

「まぁその割にはミティじゃなくて美貴ちゃんって呼んでるけどね」

「あ…」

「ったく…相変わらず抜けてるんだから愛ちゃんは」


小さく笑うミティ
その心に秘めている
ものは一体なんなのだ
愛は少し焦った


713 :名無し携帯屋。。。:2008/07/28(月) 01:27:03.36 O

「安心しな。今日は戦うつもりないから」

「……」

「ホントだって」


たしかにミティからは何の殺気も感じとれない

しかしそれだとある一つの疑問が生まれる


「…じゃあ何しにきたんよ?」


当然だろう
敵である彼女が
一体どうして?


「ちょっとね」

「?」


一息ついて…
ミティは愛があまり聞きたくない単語を口にした



714 :名無し携帯屋。。。:2008/07/28(月) 01:27:56.55 O

「i914の事」

「ッ…」

「リゾナンターのメンバーは知らないんでしょ?」

「……」

「やっぱり」


答えは聞かなくても愛の表情から理解出来る


「別に言おうが言いまいが美貴には関係ないけどね。でもそんだけ一人で悩む位ならみんなに言えば楽になるのに」


他人事といえば
他人事に聞こえるだろう


「美貴ちゃん…」


だが愛にはその言葉にひどく優しさを感じた


しかし



715 :名無し携帯屋。。。:2008/07/28(月) 01:30:28.60 O

――トン!


「ッ…カッ」

ミティの手が愛へとのび
手刀が首にキレイに入り愛はその場に倒れ意識を失った


普段ならこんな攻撃で愛は意識を手放さないのだが疲労とミティに対する油断が重なったのだろう


「…そうやって敵である美貴にスキを見るのが…愛ちゃんの甘い所」


ミティは淋しそうに微笑み愛を抱え、後ろを振り返る


「…やっと来たか」


振り向いた先から帰りの遅い愛を心配して探しに来たれいなとさゆみがいた



716 :名無し携帯屋。。。:2008/07/28(月) 01:34:18.84 O

「愛ちゃん!」

「愛ちゃッ…ミティ!愛ちゃんを返せ!」

「ほら」

「へ?」


呆気なく愛を差し出されマヌケな声をあげるれいな

そしてそんなミティに警戒しながら静かに愛を受け取り一応治癒能力を与えるさゆみ


「キツそうだったから寝かせてあげた」

「寝かせてあげたって…」

「れいな、重さん」

「な、なん…?」


れいなはミティが藤本美貴と呼ばれていた時の雰囲気と似ている事に戸惑いを覚えた

そして恐る恐る
ミティの言葉を待った


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