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リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ 第11話

1 :名無し募集中。。。:2008/07/07(月) 21:11:51.19 0
<一体、何処に行くって言うんだ
   _, ,_
川*’ー’)<<胸の高鳴る方へ

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テンプレ>>2-17ぐらいまで

244 :名無し募集中。。。:2008/07/10(木) 22:01:17.79 0
次は朝日病院前というバスのアナウンスに、絵里は弾かれるように停車ボタンを押す。
ゆっくりと減速して、バスは朝日病院前と書かれたバス停の前に停まった。
この病院に来るのは今日で4回目。
バスを降りた絵里は、小さくため息をついた。

今では半年に一度の定期検診くらいでしか、病院に行く用事がない絵里。
病院を見ると反射的にため息をついてしまうのは、心臓病に悩まされていた日々を思い出すから。
そして何より―――今はここに仲間が入院しているという事実が、絵里の心を曇らせる。
今日で入院してから4日目、今日こそジュンジュンとリンリンは意識を取り戻すだろうか。

あの、血にまみれたジュンジュンとリンリンを発見した日。
れいなの共鳴増幅能力によって増幅されたさゆみの治癒能力によって、2人の傷は塞がったものの。
意識を取り戻す気配がない2人を、皆で慌てて病院へと運び込んだ。

絵里にはよく分からないまま2人は入院することになったものの、2人には身寄りがいない。
里沙の提案により、比較的時間の自由になる人間を中心に付き添いすることになった。
普段はさゆみと行動することの多い絵里だが、お互い時間をずらして付き添いにあたっている。
今朝はさゆみが午前中に講義があると言っていたので、絵里がこうしてバスに乗ってやってきたのだ。

午後になればさゆみが来るだろうし、愛佳や小春も時間を見つけては顔を出してくれている。
夕方以降は里沙が来て見てくれるし今のところ夜間以外は常にリゾナンターの誰かがいて、
2人がいつ意識を取り戻しても大丈夫な態勢を取っていた。

いつまでもここにいたって始まらないと、絵里はけして軽快とは言い難い足取りで病院の正面玄関へと向かう。
その後ろ姿はどんよりとした雰囲気に包まれていた。
後少しで正面玄関というところで、絵里の背中にバシンという音と共に衝撃が走る。

245 :名無し募集中。。。:2008/07/10(木) 22:02:08.65 0

「いぃったーい!」

「そんなどんよりとした空気背負って歩くんじゃないの、亀。
見てるこっちまで鬱になるでしょうがー」

「ガキさん…あれ、今日仕事は?
っていうか、もうちょっと加減してくださいよー。
心臓止まったらどうするんですか」

「有休無理矢理ぶん取ってきたのよ。
ごめん、ちょっと力強すぎたかもね」


振り返った目の前にいた里沙を見て。
絵里はつい大げさに痛がったことを後悔する。
ごめんと謝る里沙は、いつものような雰囲気は微塵も感じられない。
萎れかかった花のような、今にも崩れ落ちそうに見える里沙の表情。

自分だってひどく落ち込んでいるのに、絵里を元気づけようとわざとああやって振る舞ってくれた里沙。
その気遣いに気付かずに、ついキツい返しをしてしまったことを絵里は悔やんだ。
絵里の心が伝わったのか、里沙は苦笑しながら絵里の頭に手を伸ばして柔らかな髪の毛を撫でる。
優しい手つきに、少し泣きたくなった。

246 :名無し募集中。。。:2008/07/10(木) 22:03:04.67 0
「さて、ここでダラダラしてるのもあれだし。
亀、とりあえずジュンジュンとリンリンのところに行こう。
2人を起こせるかもしれないから」

「本当ですか!
さっすがガキさん、頼りになるなぁ」

「褒めても何も出ないよ、第一100%起こせるかは分かんないから」


そう言いながら正面玄関へと歩き出す里沙の背中を、慌てて絵里も追いかける。
見慣れている背中が目の前にあるというだけで、先程までの暗い気持ちが軽くなってきた。
自分の単純さに苦笑いしながら、絵里は前を行く里沙の手に自らの手を伸ばして軽く握る。
握った手から伝わってくる温かさが心地よかった。



* * *


ジュンジュンとリンリンのいる病室へと着いた。
外傷はないものの意識が戻らないと言うことで、2人は大部屋ではなく2人用の病室に収容されている。
検診を終えた医師と看護師に、里沙と絵里は頭を下げて。

医師達が部屋を出て行くと、途端に病室は静かになる。
里沙は絵里の方を向いて、結界を張るようにと告げた。
その言葉に、絵里は目を閉じて精神を集中する。

―――淡いオレンジ色の光が一瞬病室に溢れ、病室は外界から遮断された。

247 :名無し募集中。。。:2008/07/10(木) 22:04:12.95 0

「亀も成長したよね、前は結界張れって言っても
絵里できませーんって言ってたのに」

「いつまでも弱くて役に立たないままの絵里じゃないですよ。
この力で皆を守るって決めた時から、絵里なりに頑張ってますから」

「そっか…そうだよね。
亀は立派に成長したよ、本当」


そう言って笑う里沙の顔に、絵里は違和感を覚えずにはいられなかった。
絵里の知っている里沙は、こんな風に見ているこっちが胸を締め付けられるような顔で笑ったりしない。
その笑顔を見るのが辛くて、絵里は里沙に何か声をかけようとしたが。

里沙はスッと表情を消して、じゃ、亀しばらくの間頼んだよと言ってジュンジュンの手に触れる。
ゆらゆらと黄緑色のオーラが立ち上り、程なく里沙はジュンジュンの手に触れたまま床に座り込んだ。


「椅子あるんだから、椅子に座ってから能力使えばいいのに」


絵里は意識のなくなった里沙を抱えて、椅子に座らせようとする。
結界を張っている以上、誰かがこの様子を見ることはないのが救いだった。
もしも、こんなところを医師や看護師に見られたら大変なことになるのは間違いない。

248 :名無し募集中。。。:2008/07/10(木) 22:05:31.65 0
抱えた里沙の体の軽さに、絵里は思わず声をあげそうになった。
元々痩せている部類に入る里沙だが、明らかに軽いのだ。
ましてや、里沙は今意識を失っている状態。
いくら軽いと言っても、意識を失った人を普通の女性が抱えて座らせるのは一苦労するものだ。
それなのに、軽々とまでいかなくとも普通に抱えることが出来る。

里沙を椅子に座らせながら、絵里は唇を噛みしめた。
覗き込んだ里沙の顔は意識がない状態なのを差し引いても、お世辞にも顔色がいいとは言い難い。
おそらく、ここ数日余り睡眠や食事を取っていないんじゃないかと絵里は思った。
この顔色を見られないために、里沙は誰かと鉢合わせしないタイミングで付き添いにきていたのだろう。

皆に心配をかけないように、表面上は努めて普通の状態に見せていたのだろうが。
その里沙の気遣いが、ただただ悔しかった。
辛いのなら、言ってくれればいいのに。
成長したよと言ってくれたけど、辛いのに頼らないのなら成長したよなんて言ってくれない方がよかった。

―――キリキリと、胸が痛む。


時間にしたら数十秒程度のことが、今の絵里には随分長い時間のように感じられる。
やきもきしながら、里沙が起きあがるのを待つ絵里。
落ち着かなくって病室内を歩き回っていたら、絵里の耳に衣擦れの音が届く。


「まずは、ジュンジュン成功っと。
次はリンリンだね」

「…ここ、どコ?
あれ、新垣サンに、亀井サン…」

「ジュンジュン!
よかった、目覚めたんだね」

249 :名無し募集中。。。:2008/07/10(木) 22:07:20.18 0
ベッドの上に身を起こしたジュンジュンは、自分が何故ここにいるのか把握出来ていない。
ジュンジュンのベッドへと絵里が駆け寄るのを視界の端に留めながら、
里沙は今度はリンリンを起こすべくリンリンのベッドに近づく。
小さく微笑みながら、今度はちゃんと椅子を持って。

里沙がリンリンの意識下に潜り込んでいるうちに、絵里はかいつまんで状況を説明する。
大怪我を負った2人を回復させたものの、意識が戻らなかったので病院に運び込んだこと。
意識が戻らない2人を、皆で代わる代わる付き添いしていたこと。

話を聞いたジュンジュンは、絵里にありがとウございマスと頭を下げる。
意識がいつ戻ってもいいように付き添っていただけだから、と絵里は微笑んだ。
穏やかな空気が流れる中、絵里とジュンジュンはリンリンのベッドの方に視線を向ける。

程なく、リンリンも目覚めて。
リンリンにもジュンジュンと同様に説明をした絵里は、里沙の方に視線を向ける。

―――先程意識を失っていた時よりも、顔色が悪くなっている気がした。

思わず声をかけようとした絵里を、里沙は視線1つで制する。


(心配しないで、先生呼んで色々手続きしたら帰って寝るから)


そんな里沙の心の声が聞こえて、絵里は仕方なく口を閉ざす。
心配するなという意思がありありと浮かんだ瞳で見られては、何も言えなかった。
誰にも聞こえないように心の中でガキさんのバカと呟きながら、絵里はリンリンにも
ジュンジュンと同じように説明をする。
説明を終えたのを見計らって、里沙が絵里に声をかけた。

250 :名無し募集中。。。:2008/07/10(木) 22:08:20.45 0
「亀、もう結界解いていいよ。
後は先生呼んで退院の手続きかな。
すぐに退院させてもらえないかもしれないけど」

「そうですね、意識戻ったからすぐにってわけにはいかないですもんね。
じゃ、結界解きまーす」


努めて明るく振る舞いながら、絵里は結界を解く。
解かれたと同時に、里沙は先生呼んでくるねと言って病室を出て行った。
きびきびとした動きに、絵里は少しだけ安堵する。


(そうだ、皆に連絡入れないとね。2人が意識取り戻したって)


絵里はジュンジュンとリンリンの方に向き直る。
2人に笑いかけながら、絵里は皆に連絡してくるねと言って携帯を片手に病室を出る。

里沙のことは気がかりだが、思いの他普通に病室を出て行った姿を見て多分大丈夫だろうと絵里は判断した。
里沙が先生を呼んで帰ってきたら、すぐに家に帰らせればきちんと眠ってくれるに違いない。
里沙の睡眠不足の原因は、たった今里沙自身の手によって完全に取り除かれたのだから。

ともあれ、2人が意識を取り戻したことに一安心する絵里。
病院の外に出るために、階段を下りようとする絵里の視界に飛び込んできたのは。


「ちょ、ガキさん!?ねぇ、ガキさんってば、ねぇ!!
…誰か、誰か来てください!!!」


―――階段の踊り場で倒れている里沙の姿だった。

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