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落ち着いてLRS小説を投下するスレ8

1 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/10(火) 23:41:34 ID:???
このスレはLRS(レイ×シンジ)小説を投稿するスレです。
他のキャラとの恋愛を絡めた話を書きたいのなら、相応しいスレに投下しましょう。

前スレ
落ち着いてLRS小説を投下するスレ7
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/eva/1246759416/

過去ログ

落ち着いてLRS小説を投下するスレ
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1083495097/
落ち着いてLRS小説を投下するスレ2
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1110013621/
落ち着いてLRS小説を投下するスレ3
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1146477583/
落ち着いてLRS小説を投下するスレ4
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1155597854
落ち着いてLRS小説を投下するスレ5
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/eva/1164097545/
落ち着いてLRS小説を投下するスレ6
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/eva/1192894823/

関連スレ

【恋愛投下】世界の中心で愛を叫んだけもの 第三章
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/eva/1167408006/

2 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/10(火) 23:43:09 ID:???
前スレ500KB近いので立てました

3 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/11(水) 21:09:08 ID:???
乙乙乙

4 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/13(金) 01:02:28 ID:???
前スレ724から

13.

公園まで来ると、レイは腕の中の仔犬を放して自由にさせた。仔犬は嬉しそうに尻尾を振りながら、全速力で走り出した。
時刻は夜の八時を少し回ったあたりで、公園には誰もいない。ここに来るまで人影ひとつ見なかった。
相次ぐ使徒の襲撃で第3新東京市の人口が減っている上に、街の修繕が間に合わず、道路などもアスファルトがめくれあがったままの部分がある。
街灯は点灯しているのと壊れているのが半々で、放置されている瓦礫も目についた。
いくら犯罪が皆無に等しいとはいえ、このような荒廃した夜の街を歩く者はほとんどいないのが現状だった。
もっとも、人に見られたくないレイにはうってつけだったが。
「好きに遊んでおいで」
犬は少し離れた場所からレイの顔を何かを期待するかのように見つめている。
しょうがないわね、とレイは呟いて仔犬の方へ歩き出した。それを見て、ワン、と犬が鳴いた。

「ほら、星が見える?」公園から帰る途中、レイは空に向かって指差した。「綺麗でしょう」
犬は不思議そうにレイを見上げるだけだった。
「犬に言ったって仕方ないか」レイは鼻をならして、自嘲気味に少し笑った。最近どうも犬に話しかけることが多くなったような気がする。我ながら滑稽だった。
ふとレイは疑問を感じて小首を傾げた。仔犬もそれに倣って同じ動作をする。
――私はおかしなことを言った。何だろう?
少し考えて、疑問は解決した。
そうか。
星が綺麗だなんて感じたのは、初めてのことだった。

5 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/13(金) 01:04:27 ID:???

 □

使徒の攻撃によって、第3新東京市の特殊装甲は18番まで一気に貫通された。
「今度の使徒はど真ん中ストレートって感じだわね。地上からここまで一気にやられたわ」
ミサトの声と共にモニターがパッと変わって、破壊された第3新東京市の街並みが映った。
レイは眉をひそめた。使徒の攻撃の威力ではなく、見覚えのある光景のような気がしたのである。気付いたのはふた呼吸ほど後だ。
「さあ、おいでなすったわよ。三体で包囲、一斉射撃から――」
「ちょっと待って!」レイは声を上げた。
「何、レイ? 説明の途中よ」
「使徒が侵入してきた経路を映して」
「何のために?」
「いいから!」レイの声は苛立ちのあまり上ずっていた。
ミサトはここで言い争うよりレイの要求に応えたほうが早く済むと判断したらしい。一瞬ののち、地図が出た。赤い丸で囲まれた場所から使徒が侵入してきたのだろう。
やはりそうだ。そこは、レイの思った通り、マンションがある――いや、あった場所だった。
「どうしたの、レイ?」
「私のマンションがなくなった」
しかし、レイは肩をすくめただけだった。特別に愛着があった家ではない。また別のところに住めばいいだけの話だった。
次の瞬間、あることに気がついて、まるで頭を殴られたような衝撃を感じた。
いや、違う。家が無くなっただけの話ではない。
「あ……」
犬。シンジを置きっぱなしにしていた。
そうか、と、レイは頭の片隅でぼんやりと思う。最近、出撃の前に感じていた違和感の正体はこれだったのか。犬を家に置いたままでいいのかと無意識のうちに考えていたのだ。
しかし、無意識に留まり、意識にのぼることはなかった。
構うものか、とレイは思った。ただの犬だ。犬コロが死のうがどうなろうが……。
構うものか構うものか構うものか。
差し出した指先に鼻をすりつけるシンジの光景が浮かんだ。
くーん。情けない顔で鳴くシンジ。
ボールを投げると、飽きずに何度も持ってくるシンジ。
こんなのが、面白いの? 
「ああ……」

6 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/13(金) 01:06:11 ID:???
おいしい? そう。
私はあなたに首輪をつけない。どこに行くのも自由。去りたくなったらどこにでも行きなさい。
でも。
でも、できることなら――。
大人しくしなさい。綺麗にならないと一緒に寝てあげない。
名前? 名前なんてつけてどうするの? 犬は犬。
どこにいってたの? 家出? すぐに逃げ出すのね。あなたも碇君と同じ。
名前、そうね。似てるから――シンジ。シンジでいいわ。碇君も犬みたいなものだからちょうどいい。
「あああ……」
そう。
あなたもひとりなのね。
わたしもひとり。
――また、ひとりになった。
「ああああああああああああああああ!」
レイは、細い身体を折れんばかりに仰け反らせ、絶叫した。
それから前のめりになると、使徒に向かって突進した。
「レイ!? 止まりなさい!」というミサトの叫び声に、シンジの「綾波!?」、アスカの「ちょっと、何やってんのよ!」という驚きの声が重なった。
レイは止まらなかった。
歯を剥き出して疾走した。
頭の中が真っ白になっていた。
世界が真っ白になっていた。
使徒の身体から伸びてきた腕を上に飛んでかわし、宙に浮いている間にプログナイフを抜くと、使徒のコアに思い切り突き立てた。
が、ATフィールドに弾かれ、反動で後方に吹っ飛ばされる。
瞬時に体勢を立て直し、再び走りはじめた。
誰かが何かを叫んでいた。自分かも知れないし、他人かも知れなかった。
どうでもいいことだ、とレイは思った。
私じゃなかったら、犬のことをきちんと考えて、死なせずに済んだのだろうか?
例えば碇君は絶対に本部に移していただろう。赤毛猿だってきっとそうしてる。気にしないのは私だけだ。
ひょっとして、私はどこかおかしいのだろうか?
そんなことは、今まで気にしたことがなかった。
私は特別だと思ってた。ふつうの人間はATフィールドを生身で使えたりはしないし、シンクロ率を自由に操作できたりしない。

7 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/13(金) 01:09:07 ID:???
おかしいのと特別なのはどう違う?
左腕に灼熱感。
付け根から先が無くなったような、異様に冷たい感覚。
零号機の左腕が切り飛ばされたのだ。
構うものか。
私はおかしいから、痛みなんて感じない。
――お前さ、碇の気持ちも考えてみろよ。
誰だっけ、言ったのは? 
そう、メガネだ。前にそんなことを言われた。
私には、誰の気持ちも分からない。
私はセカンドのことを猿と言って馬鹿にしてるけど、あの女だって人の気持ちは分かる。
だから碇君と仲良くやっていけるのだ。碇君もおかしくないのだから。
他人が分からないのは私だけだ。
分かろうとしないのは私だけだ。
おかしいのは私だけ。
オカシイノ ハ ワタシダケ。
痛い。
痛い。
おかしい。
何でこんなに痛いのだろう。
痛いのは左腕じゃない。
もっと、別のところ。
別のところが痛い。
だめだ。今は無視しないと。
違うことを考えよう。
普通の人は、こういうときに何て言うんだろう。
自分のせいでひどい目に遭った人に、かける言葉。
人じゃない。犬だ。
でも、同じことだ。
だって一人だから。私も一人だから。
私はシンジだ。シンジは私。

8 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/13(金) 01:11:47 ID:???
そうだ。思い出した。
ごめんなさい、だ。
ごめんなさい、シンジ。
やっぱり私はおかしい。
ごめんなさいなんて、ふつうは考えなくても出てくる言葉だ。
おかしな飼い主で、ごめん。
今、仇をとるから。
絶対に、とるから。
あれ。
強い、こいつ。
肉弾戦で、私が遅れをとるなんて。
急に視界が狭くなる。
なぜ?
あ、目もやられたんだ。右目をやられた。
痛いもんか。私はおかしいから痛みなんて感じない。
ATフィールド全開。
ありったけの力を、解放する。リツコには後でうるさく言われるだろうけど、知ったことか。
碇君、私の叫び声を聞いて、喜んでる?
喜んでるわけないか。
私は喜んでた。
私はおかしいから。
止めなさい?
誰、そんなことを言ってるのは。
リツコか。
今さら何を言ってるの?
そもそも私は  
……。
今、私、何を言ったの?
いいか。
今はそれどころじゃない。
今は、こいつだ。

9 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/13(金) 01:12:36 ID:???
全力でやっているのにこいつのATフィールドが突破できない。
おかしい。私の力はこんなものじゃないはずなのに。
そんなに強いのだろうか?
いや、そんなことはいい。
こいつは殺す。
こいつだけは殺してやる。
おまえだけは、
絶対に。
絶対に、

「零号機、活動停止!」
マヤの全身からどっと汗が吹き出てきた。
神経接続カットがギリギリで間に合ったのだ。
画面には首を吹っ飛ばされた零号機の姿が映っていた。
ほとんど同時に、初号機が使徒に向かって突っ込んでいった。

 □

「ちょっと待ちなさいよ、ファースト!」
アスカに声をかけられても、レイは駆け出す一歩手前の速さの歩みを止めなかった。声をかけられ、危うく走り出しそうになったのを必死で抑える。
「待てってば!」
走ってきたアスカに肩を掴まれ、レイはようやく立ち止まった。歯を食いしばって振り返る。
頭が爆発しそうだった。体が震えている。
どういう感情によるものか、レイには分からない。
私を責めるつもりなのだろうとレイは思った。当然だった。この事態はレイが引き起こしたと言ってもいいのだから。
しかしアスカの口から出た言葉は全く予想だにしないものだった。
「あんた、犬飼ってるんだって?」
「……え?」
何が言いたいのだ、この猿は? この状況で犬が何の関係がある?

10 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/13(金) 01:15:07 ID:???
「シンジのやつ、保安部に頼んであんたの犬を本部に移しておいたってさ。時間がなくてあんたには言えなかったみたいだけど」
レイの全身が硬直した。
そのとき、背後から犬の鳴き声が聞こえてきた。
「シンジ!?」
「シンジ……? それって、まさか……犬の名前?」
アスカがびっくりした顔で訊いた。
「ち……違うわ。し……そう、しんじられない、って言おうとしたのよ」
レイは床を見ながら弁解した。レイの視線を受けたい仔犬がそこに割り込んでくる。
アスカは疑いの目でレイを見ていたが、「ふーん。まぁ、いいけど。シンジが帰ってきたら礼の一つも言いなさいよ」と言ってくるりと後ろを向いて、去っていった。
レイは何も答えなかった。アスカがいなくなった後も、黙ったままそこに立ち尽くしていた。

 □

レイはキャットウォークの上に膝を抱えて座り、拘束具が外れ、剥き出しになった初号機を見下ろしていた。
作業員が修復作業を行うのがアリ――とは言わないが、猫か仔犬のように小さく見える。
本部にいるほとんどの時間、レイはこうして黙ったまま初号機を見ている。
シンジが初号機に取り込まれて一週間が経っていた。

マンションが破壊され、新しい住居の代わりにネルフ本部に住みこむことにした。
リツコはあまりいい顔はしなかった。使徒との戦いという観点から言うと、本部に近ければ近いほど都合がいい。すぐに出撃できる態勢がとれるからだ。
しかし、パイロットの精神衛生にとってはよくない。いつまで続くか分からない、いつ襲ってくるか分からない状況ならなおさらのことだった。
渋るリツコをいつものように説得して、仔犬と一緒に適当な空き部屋に引っ越した。引越しといっても、荷物などほとんど無かったが。
学校は行っていなかった。疎開で転出する生徒が多すぎて、もはや授業の態をなさなくなったからだ。トウジやケンスケも、シンジのことを心配そうにしながら転校していった。
学校がないため、必然的にレイはネルフ本部で一日を過ごすことが多くなった。
もっともやることはと言えば、初号機をこうやって見ているだけだった。
リツコは人が変わったように大人しくなったレイを気にかけてつつも、シンジのサルベージ計画にエネルギーを注がざるを得なかった。

11 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/13(金) 01:22:45 ID:???

 □

二週間が経った。
今日もレイは初号機を見つめている。

 □

三週間が過ぎてもシンジは戻ってこない。
さすがに本部の空気も重い。職員の中には諦めの声を上げるものもちらほら出はじめた。
「なぁ、知ってるか。過去にも同じようなことがあったんだとよ。これに取り込まれちまって」
作業員の一人が傍らで作業をしている同僚に話しかけた。同僚は油まみれの手袋の、かろうじて油がついてない部分で額の汗を拭った。
「結果はどうだったんだ?」
「失敗さ」
同僚はうなり声を上げる。
「そいつは心配だな。偉い人の機嫌も悪いわけだ……。おっと」
レイが通りがかったのに気がついて、慌てて口を噤む。レイは関心が無い様子で、目も遣らずにそのまま歩いていく。
レイは口をきかなくなった。もともと無口で余計な事を言うタイプではなかったが、今では必要最小限の言葉すら発することも稀になった。頷くか、首を横に振るかに二通りの仕草しか示さない。
当初は作業員もレイの姿が気になるようであったが、別段邪魔になるわけでもなく、今では風景の一部になっていた。
「まったく、あんな可愛い子を待たせて何やってんのかねぇ」
作業員は初号機を見上げて呟いた。
「さっさと帰ってこいよ」

 □

三十一日目。
レイの眼下には、初号機のコアからまるで産まれるように出てきたシンジが、生まれたままの姿で横たわっていた。
ミサトがシンジに抱きつくのを見て、レイは立ち上がった。

12 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/13(金) 01:24:03 ID:???

 □

レイが病室に入ったときも、シンジはまだ眠っていた。いったん目を覚ましたというから、また眠ったのだろう。
身体については心配することはないという話だった。精神についてはこれからの様子を見るしかない。何しろLCLに溶けて再び実体化するなど、初めてのケースなのだ。
レイはベッドの脇に立ち、シンジが目を覚ますまで待っていた。壁掛け時計のかすかで規則的な音と、二人の呼吸音だけが世界を支配していた。
このまま永遠に時が過ぎるのかと思ったとき、シンジの目が開いた。
シンジはレイに顔を向けて「綾波……」と呟いた。まだ夢を見ているような表情だった。
「ずいぶん長い間、中にいたのね」と、レイは言った。
「……うん」
シンジは目を瞬かせた。だんだん現実感が出てきたらしい。目の焦点が合ってくる。
「そんなに居心地が良かったの」
「そういう、訳じゃない……かな。自信が無いけど。みんなに会いたかったんだ」
「そう」
二人は黙り込んだ。沈黙を破ったのはレイだった。
「犬の、ことだけど」
「え? ……ああ、ごめん。言う機会がなくて。電話しておいたんだ。使徒が攻めてきたら犬を本部に移しておいてくださいって。ひょっとしたら余計なことしちゃったかも知れないと思ったけど……」
「……」
レイの脳裏にアスカの言葉が甦った。しかし、何を言えばいいのか分からない。舌が張り付いたように動かなかった。
レイはシンジの顔から病室のリノリウムの床に視線を移した。もちろん、そこには何も書かれていない。答えは自分で出さねばならなかった。
「……良かったね、綾波」

13 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/13(金) 01:26:08 ID:???
シンジがとても優しい声で言った。おそらくそれは、レイが今まで聞いた中でも、一番優しい声だったろう。
レイは下を向いたまま、こくんとうなずいた。
また、長い沈黙が続いた。
シンジも何も言わずにレイに付き合っている。まだシンジの役目は終わっていなかった。シンジはそれをよく分かっていた。
レイの身体が少し震えた。
「い……今までのこと、色々と……ご……ごめ……ごめんなさい」
シンジは驚きのあまり、上半身を起こしてしまった。前のときと違って、今度はパジャマを着ていたから、上半身を見せても慌てる必要はなかった。
「いや、別に謝る必要なんかないよ、全然」
レイにはシンジの言葉は聞こえていないようだった。
「そっ、それから……」と言うと、顔を上げて、シンジの目をじっと見つめた。顔が紅潮していた。
最近長い時間喋る機会がなかったため、レイの喉は掠れていた。
「……とう」
レイはか細い声を絞り出した。
「ありがとう、碇君」

 □

「ええーーーーっっっ!?」
食事中にもかかわらず、アスカは思い切り仰け反って絶句した。自分の十四年の人生でかつてこれほど驚いた事があっただろうか。アスカはそう思ってしまったほど驚愕した。
「そんなに驚くことないじゃない、アスカ……」
シンジはアスカのあまりの驚きぶりに若干引く。退院して久しぶりのミサト家である。ひょっとして二人が……と思ったが、やはりというか、食事はシンジが用意することになった。
もっともそれは二人の優しさなのかも知れなかった。ミサトが作った料理など食べた日には、また病院に戻らなくてはならないからだ。
「だってファーストが、よ? あの冷血人間のファースト・チルドレン、綾波レイが!」
アスカは手を思い切り広げて、目を裂けんばかりに大きく見開いた。
「私たちを食事に誘うなんて! これに驚かずに何に驚くって言うのよ!」
「まぁ、そりゃ僕もびっくりしたけど……。いいじゃない、悪いことじゃないし」
「そうよ、アスカ。シンジ君の退院祝いよ。一ヶ月ぶりに娑婆に戻ってきたんだし、美味しいものをご馳走してくれるって」と、ミサトが笑顔を浮かべて言う。
――娑婆って……。その言い方はどうだろう。

14 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/13(金) 01:30:44 ID:???
シンジは苦笑しつつミサトに新しいビールを手渡した。アスカがおかわり!と皿を差し出す。
「今回のこともそうだけど、レイ、最近変わってきたわね」
「そうですね。すごくいいことだと思います」
病院での出来事をシンジは思い出して、思わず微笑んでいた。綾波から感謝の言葉を聞くとは思ってもみなかったのだ。
「シンジ、ファーストにあの犬を連れて来いって言ってよ。毒見させるから」
シンジはシチューのおかわりをアスカの皿によそいながら、アスカも変わって欲しいものだ、と、思った。

「高そうなお店ね……」
三人は約束の時間に約束の場所に来ていた。目の前にはレイのお気に入りのステーキ専門店がある。
「お金はあいつが出すんでしょ? いいじゃない、別に。高くたって」
「そういうわけにはいかないわよ、アスカ」ミサトが苦笑した。「私の分は私が払うわ。大人が子供に奢られるわけにはいかないもの」
しかしこのあと、コース料理が最低一万五千円からと知って、顔を引きつらせつつレイの支払いを受けることになるミサトだった。

「ちょっと、これ本当にあんたが払うの?」と、アスカがメニューを見て目を丸くして言った。
「ええ、そうよ」
「何でそんなにお金持ってるのよ? そんなにお小遣い貰ってるわけ?」
「カードだから」
「カード!? 中学生で!? ……ちょっとミサト、何でファーストばっかり! 私も同じコトしてるんだから不公平じゃないの!」
「そう言われてもねぇ……。司令の判断だから私には何とも……」
ミサトは困り顔で答える。私だって欲しいわよ……と内心思うが、これは口に出せない。
「あ、料理がきたよ」
シンジがのんびりと口をはさむ。
「シンジ、あんたは何にも思わないの?」
「うーん。綾波は一人暮らしだし、何かと入り用なんじゃないかな……」
「ったく、人が好いわね、あんたも」


15 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/13(金) 01:33:11 ID:???
二人の会話を何となく聞きながら、レイは切った肉を口に入れた。
その途端、「うっ」と呻き、入れたばかりの肉を吐き出しそうになる。それでも我慢して二口、三口噛むが、そこで我慢できなくなり、
三人に気付かれないようにテーブルナプキンに吐き出した。
「どうしたの? 綾波」
シンジがレイの様子を窺う。
「碇君、これ食べてみて」
レイは一切れ取って、シンジの皿に移した。
「え……うん」
不思議そうな顔をしつつもシンジは口に運び、食べた。レイはその様子をじっと見つめている。
「どう?」
「うん、おいしいよ」
「……そう。碇君のも一切れくれる?」
「いいよ」
レイはシンジがくれたのを食べる。口にした瞬間に嘔吐しそうになった。
やはり、駄目だ。それでも何とか必死に飲み込んだ。
「どうしたの? 顔色悪いけど」
「味覚が変わったみたい。おいしくない」
あれほど好きだった肉が、まずく感じられて仕方ない。いや、まずいなんてものではなかった。味以前に、身体全体が拒否してるような感触だった。
仕方がないので、パンと野菜サラダを注文した。こちらは普通の味――というより、美味しかった。
レイは、何あんた、菜食主義者にでもなったの、というアスカの言葉を無視して考え込んだ。
――風邪を引いたせい?
レイは首を傾げた。そんなことがあるのか、今度リツコに訊いてみようと思った。

これが、レイが肉類を口にした、最後の日になった。

(続く)

16 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/13(金) 01:39:51 ID:???
乙!

17 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/13(金) 01:54:30 ID:???
乙乙!!

18 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/13(金) 05:17:34 ID:???
乙です。もっとみたいけどもう少しで終わりなのか

19 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/13(金) 09:21:40 ID:???
乙乙乙

20 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/13(金) 12:05:15 ID:???
初めての時はあんなに拒否したのに…。
いつの間にかこんなに会いたくなってる…。

これは何?この気持ちは何?

私は待ち続ければいいの?
こんな私でも待っていていいの?

早くあなたを見せて。
お願い、次のあなたを見せて…。







黒レイの続きを早く見せて!!!
◆IE6Fz3VBJU 超乙!

21 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/13(金) 14:06:09 ID:???
◆IE6Fz3VBJU氏 乙です!
いやー 上手いっすなぁ
いつの間にか引き込まれるようになった…
>>20
気持ちわかる
最初レイが黒すぎたものねw

22 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/13(金) 16:17:36 ID:???
GJGJGJGJGJ

23 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/14(土) 02:32:10 ID:???
そうだよな 性格悪いよな 一人目は

24 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/14(土) 02:39:12 ID:???
改めて乙です!

ありがとうって言葉が、こんなに難しくてこんなに身体が震えてこんなにポカポカするなんて…

25 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/14(土) 15:31:05 ID:???
次はアスカの回か

26 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/15(日) 03:28:39 ID:???
前スレは放置でいいのか?

27 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/15(日) 09:54:53 ID:???
埋まるまで最近の名作を懐かしむとかすれ

28 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/15(日) 22:34:35 ID:???
グレイ超乙!!!!!!
切なさ爆発だな
続きが気になる
でも終わらないでほしい…

29 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/17(火) 00:28:39 ID:???
いいっすなー。

30 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/18(水) 00:49:15 ID:Bp/Ahb37
マイナーなギャルゲーSS祭り!変更事項!

1. SS祭り規定
自分の個人サイトに未発表の初恋ばれんたいん スペシャル、エーベルージュ、センチメンタルグラフティ2、canvas 百合奈・瑠璃子シナリオ
のSSを掲載して下さい。(それぞれの作品 一話完結型の短編 10本)

EX)
初恋ばれんたいん スペシャル 一話完結型の短編 10本
エーベルージュ 一話完結型の短編 10本
センチメンタルグラフティ2 一話完結型の短編 10本
canvas 百合奈・瑠璃子 一話完結型の短編 10本

BL、GL、ダーク、18禁、バトル、クロスオーバー、オリキャラ禁止
一話完結型の短編 1本 プレーンテキストで15KB以下禁止
大文字、太字、台本形式禁止

2. 日程
SS祭り期間 2009/11/07〜2011/11/07
SS祭り結果・賞金発表 2011/12/07

3. 賞金
私が個人的に最高と思う最優秀TOP3SSサイト管理人に賞金を授与します。

1位 10万円
2位 5万円
3位 3万円

31 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/19(木) 02:07:58 ID:???
黒レイ可愛くなってきたじゃないの

32 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/23(月) 06:06:04 ID:???
しまった…前スレが収納されてしまった…
まとめサイトないんだったよな?

33 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/23(月) 20:09:04 ID:???
15日の分までは7スレ目持っているよ。
それでいいならあげるよ。
ただ、jane doeからどうやって保存して、あぷするのか教えてくれるなら、になるけど。

34 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/23(月) 23:07:16 ID:???
前スレログ
ttp://mimizun.com/log/2ch/eva/changi.2ch.net/eva/kako/1246/12467/1246759416.html

http://www.geocities.jp/mirrorhenkan/
↑このサイトにURL入れて検索すれば結構出てくるよ



35 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/24(火) 12:00:48 ID:???
>>33
>>34
超トンクス!!!!また見れた
本当にありがとう

36 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/24(火) 22:12:23 ID:???
次の黒レイは何日発売ですか?

37 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/27(金) 01:09:40 ID:???
>>15

14.

「そんな辛気臭い顔すんなや、碇」
トウジがシンジの肩をばしんと叩いた。シンジは痛みにちょっと顔をしかめたが、すぐに寂しそうな表情に取って代わられた。
転校――とは第2新東京市のことだ。シンジのクラスメートたちの大部分は首都である第2新東京市の中学校へ転校していく。トウジやケンスケ、ヒカリも例外ではなかった。
人影もまばらな、駅のホーム。
シンジとアスカ、レイはトウジたちの見送りに来ていた。レイは来るつもりはなかったのだが、せっかくだからと言うシンジに引っ張られるように連れて来られた。後ろで劇でも見ているように様子を見ている。
同じ日に第2新東京市へ向かうのは、たまたまなのか親同士で話し合いでもしたのか。シンジはわざわざ訊いたりはしなかった。
「使徒をぶっ倒したらお前らも転校してくるんやろ?」
でも、いつになるか分からないし――シンジは思わず言いかけて、思いとどまった。ただでさえ湿っぽい空気が余計に重くなる。かたわらでは、アスカが涙ぐむヒカリを慰めていた。
「何か、お前たちばっかり戦わせて悪いな」と、ケンスケが真面目な顔で言った。
「んなこといいよって、お前エヴァに乗ってみたいだけちゃうんか?」
トウジが陽気にけらけらと笑った。
「何だよ、人がせっかくカッコイイこと言ったのにさ」
ケンスケの苦笑にシンジもつられて笑う。
「ま、俺ならいつでも参号機のテストパイロットにしてくれて構わないことは確かだけど」
「参号機?」シンジは不思議そうな顔をした。
「そう。アメリカで建造中だったヤツさ。今度松代の第2実験場で起動実験やるって噂、知らないのか?」
「知らないなぁ」
「ったく、あんたそんなことも知らないの?」アスカが呆れたように口を出してくる。「アメリカに押し付けられたのよ。第2支部ごと四号機が吹っ飛んだからビビったの」
「え……そうだったんだ」
「そうだったんだ、じゃないわよ。ちなみにファーストが乗ることに決まったから、ミサトに頼み込んだって無駄よ。四人目がなかなか見つからないんだってさ」
「綾波が? ……危険じゃないの?」シンジが後ろを振り返った。心配そうな表情だった。
突然自分が話題に出てきたのでレイは少し驚き、反応するのが遅れた。「……別に、大丈夫だから」

38 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/27(金) 01:10:45 ID:???
「もしかして、父さんに命令されたの? それだったら……」
「違う。私から頼んだの。零号機の修復にはまだ時間がかかるし、使徒が襲ってきたときに私だけ見てるなんて嫌だから」
そう言われるとこれ以上は何も言えなかった。
「そろそろ時間だな」ケンスケが腕時計を見た。
ヒカリがアスカの手を握る。「気をつけてね、アスカ」
「大丈夫よ、心配しなくたって。私は無敵なんだから」アスカは親指を立てた。
「ほな! 別れの言葉はいわんで。どうせすぐにそのツラ見る羽目になるんやからな」
「じゃあな、碇。また会おうぜ。そっちの美人コンビも」
「またね、アスカ、碇君、綾波さん。身体に気をつけて」
ドアが閉まり、電車が動き出した。窓の向こうで手を振る三人に、シンジとアスカは手を振り返す。
視界から電車の姿が消えるまで見送っていた。

帰り道、しばらくの間誰も口をきかなかった。
「行っちゃったね……」シンジがぽつりと呟く。誰かに向けた言葉ではなかった。「こんなにいい天気の日にお別れなんて、何か虚しいな」
「雪でも降ってれば気分がでたってわけ?」
「別に、そういうわけじゃないけどさ……」
「じゃあゴチャゴチャ言うんじゃないの。ジャージの言うとおり、使徒を残らず倒せばそれで解決なんだからさ」
「そう……だね」
シンジのその言葉を最後に、またしばらくの間、沈黙がその場を支配した。
「アイスでも食べよっか」アスカが空を見ながら言った。目のさめるような空の青と巨大な入道雲の白が鮮やかなコントラストを描いていた。

「あれ? 綾波、当たってるよ」シンジがレイのアイスの棒を見て言った。
「当たり?」レイは首を傾げた。当たりつきのアイスがあるということを、レイは知らなかった。
「当たりが出ると、もう一本もらえるんだ」
「そうなの」レイは曖昧に頷いた。
「何かおかしいわよねー。こういうのって普段の行いと関係ないのかしら。っていうか、むしろ逆相関?」
アスカは頭の後ろで手を組み、空中にある見えない何かを蹴るようにして歩いている。
「何かいいこと、あるかも知れないね」シンジが微笑んだ。
レイは別段嬉しくも何ともなかったが、シンジが喜んでいるならいいことなのだろうと思った。

39 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/27(金) 01:12:14 ID:???
「そういやさ、あんたいつまで本部に住むつもりなの?」アスカがくるりと振り返って訊いてくる。
「引越しは面倒だから、多分ずっといると思う」
「あんなところに住んでてイヤになんない? 殺風景だし、だいたい地下なんて不便じゃない」
「別に。学校もなくなったから」
「あっそ。あーイヤぁねー日本人て。職場と住居が同じなんて信じらんないんだけど」
レイはふとビデオのことを思い出した。部屋にシンジを呼び込んでケンスケに撮影させたビデオのことだ。思い出したのは久しぶりにケンスケの顔を見たせいだろう。
マンションがなくなっていいことが一つあるとすれば、ビデオカメラが跡形もなくなったことだった。
よくもあんなことができたものだと思う。あのころの自分はどうかしてたのだ。
ひょっとして、あの時のことをシンジも思い出したりするのだろうか? 
レイは首まで赤くなった。まともにシンジの顔を見られない。
「どうしたの、綾波? 何か赤くなってない?」
「……なんでもない」
レイは蚊の鳴くような小さな声で言った。

 □

作業員用のエレベーターの中で、レイはプラグスーツへの着替えを済ませた。備え付けの無線からはリツコの声が流れている。
「レイ。今からでも遅くはないのよ。別に無理にテストする必要はないんだから」
レイは眉を顰めた。レイの搭乗に強硬に反対したのはリツコだとは漏れ聞いていたが、実際にこうして聞いてみても、やはりリツコらしくない行動だった。
「なぜ、そんなことを言うの?」
数瞬、沈黙が流れる。
「心配しているからよ」
「心配? あなたが、私を?」
レイの声に含まれる皮肉を感じとったのか、リツコは彼女にしては珍しくムキになったような口調で、「もちろん。あなたのような優秀なパイロットに
何かあったら大変な損失ですもの。エヴァはパイロットなしでは動かないのよ」
「パイロットなしでの実験も進んでいるようだけど?」

40 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/27(金) 01:13:09 ID:???
またしても沈黙。
「あれは……私はあんまり賛成してないのよ、レイ。司令の意向だから強くは反対できないのは確かだけど……」
「とにかく、私は別に無理なんてしてない。零号機も修復までにまだ時間がかかるし、今参号機に乗っておくのは悪いことではないわ。
使徒が襲ってきてるのに私だけ見てるなんて冗談じゃないし。それより四人目が見つからなかったら、この機体、私がもらうから」
「それはいいけど、ひょっとして、この間迷惑をかけたから、なんて思ってるとしたら……」
レイは黙って無線を切った。

目を閉じ、足元からせり上がってくるLCLの生温い感触を味わう。久しぶりの実機だった。やはりテスト用とは違うような気がする。
「チェック完了。異常なし」
オペレーターの声を聞いてゆっくり目を開けると、目の前に思いがけない人物が立っていた。
目の覚めるような青い髪に赤い目をした中学生くらいの女の子。つまり、綾波レイが冷たい笑みを浮かべてレイの目の前に立っていた。
もちろん人ひとりが立つスペースなどないし、何より馬鹿げている。答えは一つしかなかった。
レイは呟いた。「……幻覚?」
これは――おそらく使徒だ。今度は物理的な攻撃ではなく精神が目標か。
レイは慌てず、瞬時にATフィールドを展開した。臍を中心に、自分を包む円を思いえがく。
今ごろ下では大騒ぎだろうが、そんなことに構ってる場合ではない。
ふん、とレイは鼻を鳴らした。普通の人間ならともかく、私には通用しない。
――どう? 勝手が違って残念だったわね。
笑みを浮かべたレイの頬が、ふいに引き攣った。加減しているつもりはないのに、ATフィールドが弱い。
前回の使徒戦の敗北が脳裏に蘇った。あの時の戦いぶりに、納得できるものがある。
――そうか。相手が強かっただけではない。私も弱くなっていたのだ。
なぜ弱くなったかを考える時間はなかった。

41 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/27(金) 01:14:51 ID:???
――大丈夫。
目の前に立つ幻覚バージョンの綾波レイの唇がパクパクと魚のように動いている。意志の疎通をはかろうとして、それができないように見えた。
言葉を知らないか、あるいはATフィールドを突破できないかだ。後者だろうとレイは考える。希望的観測かも知れないが、そもそも言葉を知らなかったら口をああいう風に動かす必要はない。
しかしレイのほうもここからどうすればいいのか分からない。外部へ連絡を取って――いや、取れるのだろうか? 何もせず、じっとリツコたちの救出を待てばいいのだろうか?
迷うレイが顔を上げると、まるで最初からそこにずっといたかのような自然な風で、綾波レイの隣に見知った人物が出現していた。
――碇君!?
幻覚と分かっていてもレイは動揺した。
「ようやく開けてくれたわね」綾波レイは唇の両端を吊り上げた。
しまった――。臍を噛むレイの脳裏をかすめたのは、恐怖や後悔よりも、この女はなんて嫌な笑い方するのだろう――ということだった。

「ひどいな、綾波は。僕を締め出そうなんて」
レイは強張った表情を崩さない。これはシンジの言葉ではない、使徒が見せる幻覚なのだ、と自分に言い聞かせる。
「やっぱり僕のことが嫌いなんだね」シンジは悲しげな顔で言う。「前に、はっきりそう言ったよね、綾波は。僕のことが大嫌いだって。あれは悲しかったな……」
――違う。あれは……。
思わずそう言いかけて、唇をぎゅっと噤む。答えてはいけない。
「でもね、いいんだ」シンジは悲しげな表情を嬉しそうなそれに変えた。「僕も綾波のことが嫌いだって分かったんだ」
――え!?
息を呑んでシンジの顔を見つめた。シンジの言葉ではないと思っていても、衝撃は大きかった。
「綾波……。何でそんな顔するのかな」シンジは苦笑した。「これ、本当の僕じゃないと思ってるでしょう?」
シンジが息がかかるほどの距離まで接近してきて、レイの顔を両手で挟み込んだ。レイは目をつむるが、シンジの姿は消えない。目で見ているのではないのだった。
「綾波が今まで僕にしたことや言ったことを考えてごらんよ。いちいち挙げなくてもいいよね、君がしたことなんだから。僕が綾波のことを嫌いにならないはずがないよ」
レイの顔から血の気が引いていく。
――碇君に、嫌われる?

42 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/27(金) 01:16:04 ID:???
正直なところ、今までその可能性を考えたことがなかった。自分が誰かに嫌われるなどどうでもいいことだったからだ。
――碇君がそんなことを言うはずがない。
何度も自分に言い聞かせる。惑わされるな、本物ではない。幻覚だ。
「本当にそうかな?」
ハッと顔を上げた。言葉にはしていないはずだ。
――思考を読まれてる?
「まぁ、君がどう思っても僕には関係ないけどね。だって僕にはアスカがいるから。じゃ、綾波。さよなら」
シンジは手を振ってすうっと消えていった。代わりにゆらゆらと陽炎のようにゆれながら、綾波レイが胸が悪くなるような笑みを浮かべて現れた。
レイは待って――と言いかけて唇を噛みしめた。
「嫌われてしまったわね」同情するような口ぶり。「仮にあなたを嫌いになってないとしても、あなたよりセカンドパイロットを選んだのは事実よ」
――事実? 何を言ってるの?
「馬鹿ね。若い男と女がひとつ屋根の下に暮らして、何もないと思ってるの?」
すぐに反論した。
――あの二人はいつも喧嘩ばかりしてる。
綾波は哀れみのまなざしでレイを見つめた。たっぷり沈黙を溜めて、
「……あなたは本当に人間の機微が分からないのね。喧嘩するほど仲がいいっていう言葉、知らない? 本当に仲が悪いなら、お互いに無視するはず。
そういえば鈴原君も二人のことを夫婦喧嘩とか言って、からかってたわね」
今度は反論できなかった。自分にある種の感情が読み取れないことは、薄々とではあるが分かりつつあった。
「それにね」綾波がことさら嫌な笑い方をする。人を傷つけることが楽しくて仕方がないという笑い。
レイは認めざるを得ない。これは、自分の笑いなのだと。
「それにね」綾波はくすくす笑いながらもう一度繰り返した。「あの二人、キスしたことがあるのよ」
それが何? レイはそう言おうとした。私には関係のないことだ、と。
しかし、実際口に出てきた言葉は、「嘘!」というものだった。
――そんなこと、するはずがない。
「嘘じゃないわよ。見せてあげましょうか?」

43 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/27(金) 01:18:03 ID:???
綾波が消えて、見覚えのある場所がぽっかりと浮かび上がってきた。ミサトの家だ。
そこで、シンジとアスカがお互いに向き合い、見つめあっている。アスカが近づいてシンジの鼻をつまみ、唇を重ねた。二人の姿は登場したときと同じように溶けるように消えていった。
――これは、幻覚。
呆然とレイは呟く。これは嘘だから。こんなことしてるわけないんだから。
「残念だけど、違うわ」再び綾波が現れ、レイに向かって冷酷に告げた。
レイは耳を手で塞いだ。無駄だと分かっていてもそうせざるを得なかった。何も聞きたくないし、見たくなかった。ふるふると、唇が震えている。
「これは幻覚なんかじゃないの。碇君があなたなんかよりセカンドを選ぶのは当然のことなのよ。ああ見えて意外と他人を気遣える子だから、セカンドは。
それに対してあなたときたら……。他人の気持ちがまるで分からないお人形さんだもの」
――消えろ。
「いえ、人形は他人を傷つけたりしないから違うか。あなたは化け物よ。あなたみたいな化け物よりセカンドみたいな立派な人間のほうが碇君にふさわしいわ」
――消えろ!
「消えないわよ。だって私はあなただもの」
――違う! あなたは私じゃない。私はあなたみたいな……。
レイは続きを口にしようとして、絶句した。
「何? まさか、あなたみたいな平気で人の気持ちを踏みにじるような人間じゃない……と言おうとしたんじゃないでしょうね?」
綾波はまるで最高のジョークを聞いたようにくすくすと笑い出した。
「そう。分かったでしょう? 私はあなた。あなたは私」
――……。
否定したかったが、できなかった。そうだ、と思った。この嫌な嫌な女は私だ。私の言っていることは正しい。碇君はセカンドとキスをしたし、私のことも嫌いなのだ。
そのことを考えると、頭が割れるように痛くなった。苦しくなった。
「安心して。助けてあげるわ。なんたって、私はあなたなんですもの」
――……どうすればいいの?
どうすればいいんだろう、とレイは思った。本当に、どうすればいいんだろう。
「苦しいでしょう?」
レイは黙って頷いた。
「楽になりたいでしょう?」
また頷く。
「簡単な話よ。昔のあなたに戻ればいいの」

44 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/27(金) 01:20:37 ID:???
――昔の……私?
「そうよ。碇君に会う前のあなたはそんな苦しい思いをしたことがない。だったらその時のあなたに戻ればいいのよ」
――で、でも……。
思考が鈍り、何が自分の考えで何がそうでないのか、だんだんはっきりしなくなる。本当にそれでいいのだろうか。
「放って置いたらもっと苦しくなるわよ」
――もっと?
「それでいいの? 昔のあなたみたいに、何も感じなくなれば楽になるのに」
――なりたい。なりたいわ。昔の私に戻りたい。どうすれば昔の私に戻れるの?
「憎めばいいの」
――憎む? 誰を?
「碇君を」
――どうして? 別に碇君は憎くなんてないわ。
「嘘。あなたを裏切ったのに?」
――裏切った?
「そう。裏切ったのよ。あんな風に笑っておいて、今は惣流さんと一緒に登校したり、キスをしたり。あなたのことを馬鹿にしてるのよ」
――馬鹿にしてる……。
「そのうちキスなんかより、もっと気持ちのいいことをするのよ。そうなったらもうお仕舞い。そうなるのももう時間の問題」
レイは喘いだ。頭の中が灼熱している。苦しいなんてものではなかった。胸が潰れそうだ。
「憎いわよね」
――……。
「憎いわよね?」
――……ええ、憎いわ。
いったん口に出すと、その感情は風船のように膨らんでいった。そう。私は憎悪する。あの二人を。碇シンジを。

 「許さないわよね?」と、綾波レイは問うた。
 「ええ、許さないわ」と、レイは答えた。

「それでは行きましょう」綾波レイは、獲物を目の前にした肉食動物のような笑みを浮かべた。
――ええ。いきましょう。
レイは頷いて、笑った。こんな簡単なことに悩んでいた自分が馬鹿みたいだった。
――いかりくんを、ころしに。
二人の笑みは、まるで鏡で映したようにそっくりだった。

45 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/27(金) 01:22:12 ID:???
途中までは何の問題もなかった。フェイズ1からフェイズ2への移行もスムーズで、ハーモニクスも正常位置にあった。
絶対境界線にさしかかったときにそれは起こった。
オペレーターが自分が目にしていることを信じられないように、「エントリープラグ内にATフィールド発生……!?」
「何ですって? ……使徒?」ミサトが顔色を変えて身を乗り出した。
「いえ、違うわ……何をやってるの、レイ?」
「レイが? どういうこと、リツコ?」
詰め寄るミサトの声をオペレーターの切迫した声がかき消した。「体内に高エネルギー反応!」
「レイ!?」リツコが叫ぶと同時に、爆風が襲い掛かってきた。ガラスが割れ、中のネルフ職員たちを薙ぎ倒す。
 
 □

アスカは歯噛みして「それ」を見た。
使徒と戦うのは望むところだったが、今回ばかりは勝手が違う。
「まったくもう、何やってんのよ」
血に染まったような夕日を背景に、黒い機体がまるで不幸そのもののようにゆっくりと近づいてくる。
「あのバカ!」
急にスピードを上げた「それ」――参号機を本気で迎え撃つのか、目の前まで接近してきてもアスカには決心がつかなかった。

なんだ。よわい。
レイはがっかりしていた。あっという間の出来事だった。戦闘に入ってから呼吸をいくらもしていないうちに倒してしまったのだ。
はごたえがなさすぎる。
もっとていこうしてくれないと、おもしろくない。
まぁいい。おまえはあとでころしてやるからそこでねていろ。
いかりくんはどこ?
わたしはいかりくんをころしたい。
このてで、ひきさきたい。
わたしは、いかりくんがにくいのだから。
ゆるせないのだから。

46 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/27(金) 01:23:21 ID:???

「アスカ!?」
悲鳴とともに、モニターからアスカの姿が消えた。シンジは呆然とする。まるで悪夢を見ているようだった。三人で仲良くアイスを食べたのはこの間のことではないか。
激しく後悔する。あの時レイを止めておけばよかったのだ。いつもそうだ。何かをやって後悔するよりも、やらなくて後悔する。綾波に何かあったら……。
落ち込むシンジを現実に引き戻したのは、いつものように揺らぎがない、鋼のようなゲンドウの声だった。
「よく聞け、シンジ。レイが参号機の中に取り込まれている。まずエントリープラグを本体から切り離せ」
「わかった」
シンジは唾を飲み込んで、僕にできるだろうか――と思った。
今まで感じたことのない恐怖がシンジの心臓を鷲掴みにしていた。今までのような、戦うことへの、あるいは自分が傷つくことへの恐怖ではなかった。
しかし、やらなければレイがどうなるか分からないのだ。選択の余地はなかった。

――駄目だ。
シンジの瞳は目の前の参号機の機体の色に――絶望の色に染まりつつあった。
もともとパイロットとしての技量はレイの方が優れている上に、今のレイにはシンジを攻撃することに何のためらいもない。本気で殺すつもりで攻撃してくる。
一方のシンジにはレイに攻撃を加えることはできない。参号機を無傷で押さえ込むことしか考えていないのだ。
それでは勝負にならず、結果、シンジの防戦一方になった。それでも何とかしのげているのは、曲がりなりにも今まで積んだ経験のおかげだった。
――このままでは……。
シンジはレイの攻撃を受け止めながら、唇を噛む。ジリ貧だ。
戦闘はすでに十分以上続いていた。シンジにとっては三十分にも一時間にも感じられる時間だった。
参号機の内部電源が切れることに一縷の望みを託していたのだが、S2機関を取り込んだ初号機と同じように、参号機のほうも活動限界はないようだった。
やるしかない。シンジは覚悟を決めた。
参号機は四つん這いになり、今にも飛びかかりそうに上体を揺らしている。まるで獣のようだった。
シンジは怖気づいたようにじりじりと後ずさった。それを見た参号機は好機と考えたか、突然跳躍して襲い掛かった――と同時にシンジは前に踏み込んだ。
下がったのはシンジの誘いだった。

47 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/27(金) 01:24:35 ID:???
両手を組み合わせ、参号機の肩に――とてもではないが、頭は狙えなかった――思い切り打ち付ける。これまで全く攻撃してこなかったシンジに油断していたのか、参号機はモロに食らって地面に叩きつけられた。
――綾波、ごめん!
心の中で謝ると、シンジは参号機の背中に馬乗りになった。左手で頭を地面に押さえつけ、右手はプログナイフを取ろうと肩口に伸び――途中で止まった。
――え?
シンジは驚きと苦痛に目を見開いていた。
ゴムのように伸びた参号機の両手が初号機の喉を掴んで、後ろ向きのまま締め上げはじめたのだ。普通では考えられない動きだった。
シンジは自分が罠にかけられたことを知った。やろうと思えば、最初から出来たのだろう。多分、遊んでいたのだ。
参号機は足を蹴り上げると同時に、喉を掴んだままの両手を前に回転させた。
脳天から地面に叩きつけられ、シンジは衝撃に呻く。衝撃から立ち直ったときには攻守は所を変えていた。今度は参号機が初号機に馬乗りになり、再び喉を締め上げはじめた。
苦痛にうなり声を上げるシンジの耳に、ゲンドウの声が聞こえてきた。
「もういい、シンジ。よくやった。もはやそれはレイ……参号機ではない。使徒だ」
「ち……違うよ、父さん……」
「違わない。それを倒せ、シンジ」
「で……できないよ、そんなこと……!」

「いかん、シンクロ率を60%にカットだ!」
ゲンドウは指示を飛ばす冬月を手で制した。
「しかし碇。このままではパイロットが死ぬぞ」
冬月を無視してゲンドウはシンジに話しかける。
「シンジ、なぜ戦わない?」
「だって、綾波が乗ってるんだよ、父さん!」
「それはもうレイではないと言っただろう。使徒だ。お前が死ぬぞ」
「綾波を殺すくらいなら……僕が死んだほうがいい」
ゲンドウはシンジとの会話を打ち切り、マヤに告げた。
「回路をダミープラグに切り替えろ」

48 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/27(金) 01:27:30 ID:???

ばかなやつだ。レイは笑った。やっぱりひっかかった。わなにかけたのはわたしのほうだ。
両手に力を込める。
このまま、にぎりつぶしてやる。
もうすぐだ。
レイは歯を剥き出して笑う。目の前のレイも同じ笑みを洩らす。
「早く殺すのよ」
うるさい。いわれなくてもわかってる。
もうすぐ、わたしはもとのわたしにもどれる。
もとのわたしに――。
いやなわらいをわらうだけで、なにもない、からっぽなわたしに。
――え?
レイは首を傾げた。
あれ? なにかが、おかしい。なんだろう?
改めて初号機を見る。もう少し力を込めれば首を折ることができそうだった。
「何をしているの? 早く!」綾波レイが苛々したように催促する。
それを無視して、初号機をじっと見つめるレイの頭の中に、シンジとの思い出が奔流のように流れ込んできた。
最初の出会い。搭乗を拒否するシンジがエヴァに乗ったのは、傷ついたフリをしたレイを見たからだ。
無事だったレイを見て涙を流すシンジの姿。
レイの家に料理を作りにきたシンジ。シンジがそんなことをした理由も、レイに料理を勧めた理由も、その時は意図が分からなかったが、
今思えば簡単なことだ。レイの健康を心配したのだ。弁当を持ってきたのもそのためだった。
仔犬を助けてくれたシンジ。
シンジは言った。分かってた。綾波は、本当は優しい子なんだってこと。

49 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/27(金) 01:28:16 ID:???
ちがう。やさしいのは――
やさしいのは、わたしではなく、いかりくんではないか。
いかりくんは、いつもわたしにやさしかった。
いかりくんだけが、いつもわたしにやさしかった。
そのいかりくんを、ころす? 
そんなことが、やれるわけがなかった。
やってはいけないことだった。
レイは舌の一部を奥歯で挟み、思い切り噛み合わせた。ぶつりという肉厚のものを断ち切る鈍い音とともに、鋭く強烈な痛みがレイを襲った。
「がはっ」
口のあたりのLCLが血の色と混じって毒々しい赤に染まっていく。鉄の味がした。
痛みにより、ほんの少しだがレイの意識は覚醒した。その少しを足がかりにする。
レイの全身が震えた。肌がみるみるうちに紅潮していく。
今のレイの姿を見れば、レイの中で、何か激烈な戦いが行われているのが分かっただろう。
「何をしてるの?」綾波が眉を顰めてレイを見る。「馬鹿ね、あなたは。もう止まらないわよ」
「憎くないの?」
「殺したくないの?」
レイは何も考えず、ただ、手を喉から引き剥がすことだけに集中した。

「し、しかし……」ダミーシステムを起動しろというゲンドウの命令に、マヤは青ざめた顔で答えた。「ダミーシステムはまだ問題も多く、赤木博士の許可もなく……」
「今のパイロットよりは役に立つ。やれ」
マヤに拒否することはできない。はい、と力なく頷いて操作に取り掛かる。
「いいのか、碇?」
「初号機が優先だ」
冬月はゲンドウの声に抑えようもない苦さを感じ取り、それ以上言うのを止めた。
あと数分――いや、数十秒もあれば、あるいは二人には違った運命が待っていたかも知れない。
しかし、必要な時に、必要な何かがほんの少しだけ足りないのが悲劇というものであり、それはこの場合も例外ではなかった。

50 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/27(金) 01:32:08 ID:???

シンジは手の力が緩むのを感じ、目を開けた。
「あ……綾波……?」
目の前の参号機には凶暴な雰囲気がなくなりつつあるように思えた。やっぱり正気に戻ってくれたんだね――そう言おうとした時だった。
プラグ内の明かりが消えて、同時に喉への圧迫感も消失する。エヴァとの神経接続が解除されたのだ。
明かりがついたが、普段よりも暗い。普段どおり、外も見えた。見えないほうがシンジにはよかっただろう。
初号機の両手がじりじりと上がっていき、参号機の喉を掴んだ。
シンジの全身に鳥肌が立った。呼吸もままならないほどの不吉な予感に圧倒された。
「な……何?」自分は何もやっていない。勝手に動いている。「……何だよこれ! 止めてよ、父さん! 止めろ!」
初号機が吼え、蹂躙がはじまった。

レイは全身を切り裂かれるような痛みに耐えていた。普通ならとっくの昔に気絶しているところだ。それができないのは多分使徒に侵食されてるからだろう。
しかし、不幸だとも不運だとも思わなかった。むしろ意識が戻ってよかったと思っている。
操られたような状態のまま死ぬほうが嫌だった。
苦痛に呻き、反り返りながら、参号機の体液に染まった初号機から夕焼け空に目を移した。
参号機に乗り込む時にはまだ優勢だった青は、今は茜色に追い立てられ、雲の上の方にほんの少し残るだけになっていた。
レイは空を見ながら考える。

おいしいりょうりをたべて、しあわせなきぶんになること。
おいしくないりょうりをたべて、はらがたつこと。
まんてんのほしをみて、おもわずてをのばしてみること。
あめあがりのじめんのにおいをかぐこと。
あそこにさいているはなのなまえは、なんだろうとおもうこと。
こいぬのあたまをなでること。
いかりくんのほかのおんなのこにむけたえがおをみて、むねがいたくなること。
いかりくんのわたしにむけたえがおをみて、むねがあたたかくなること。
だれかにこころをうごかされること。
だれかのこころをうごかすこと。
それが――。
それが、いきるということ。
いきているということ。

51 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/27(金) 01:33:22 ID:???
わたしは、いままでいきていなかった。
しんでいた。
しにんのようなわらいをうかべて、しんでいるようにいきていた。
わたしは、いま、それがわかる。
いかりくんにあえたから、それがわかる。
いかりくんにあっていなかったら、わたしはいまもしんだようにいきていただろう。
ほんとうは、もっとまえにわかっていればよかった。
けれど、それはしょうがない。
わからないまましぬより、ずっといい。
よかった。
いかりくんにあえて、よかった。
いかりくんはわたしがしんだらきっとかなしむだろう。
いかりくんはやさしいからきっとかなしんでくれる。
いかりくんはやさしいからそのかなしみはながく、ながくつづくだろう。
でも、いかりくんのまわりには、にごうきパイロットもいるし、カツラギさんもいるしともだちもいる。
だからときがたてばわたしのことをわすれて、もとのいかりくんにもどるだろう。かんぜんにはもどらないかもしれないけれど、それでも、いつかはいえるだろう。
でもわたしはひとり、わたしにはだれもいないからいかりくんがしんだら、いかりくんをころしてしまったらきっとわたしはいまいじょうにおかしなわたしになる。
もとのわたしにもどってしまうから、もとのからっぽでなにもないわたしにはもどりたくない。
わたしはこれいじょうおかしくなりたくないからわたしはここでしんでいい。
これでよかった、なぜならわたしはいかりくんにありがとうがいえたのだから。ごめんなさいもいえたのだから。
ありがとうがいえたということはわたしはにんげんだということ。
ありがとうはかんしゃのことば。
はじめてのことば。
ありがとういかりくん。
いかりくんが、ずっとえがおでいられますように。
いかりくんのえがおは、わたしのとちがって、ほんとうのえがおなのだから。
さようなら。
さようならいかりくん。
さようなら。
さようなら……

52 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/11/27(金) 01:36:15 ID:???

レイは意識を閉じようとした。これからの短い時間に意味はなかった。
そのときだった。
胸の奥の何かが灯った。
かすかではあるが、あたたかい、ともしびのような何か。
その部分がまだだと告げていた。
まだ言うことがあると叫んでいた。
そうだ。
レイは目を開けた。
まだ。
まだ、わたしには。
わたしには、まだ、いかりくんに、いうことがある。
なんだろう。
レイは考えた。
必死に考えた。
こんなに考えたことはないというほど考えた。
しかし、胸のあたりに何かつかえているようで、どうしても思いつかなかった。手の届くところにあるはずなのに、何かが邪魔している。
レイは唸った。もどかしさで頭がどうにかなってしまいそうだ。
大事な言葉のはずだった。
言葉では完全には伝わらないが、しかし、同時に、言葉でなければ伝わらないもの。
これを言えさえすれば、何も思い残すことなく死んでいけるのに。
レイは、顔をくしゃくしゃに歪めた。おそらく、レイ以外の人間だったら泣いていただろう。だが、今まで泣いたことが一度もないレイは、今度も泣かなかった。あるいは、泣けなかった。
歯を食い縛って集中しているレイの耳に、みしり、という音が届いた。
エントリープラグが音を立てて軋んだのだ。ほんの僅かではあるが、亀裂が走り、それは徐々に大きくなっていく。LCLがその隙間から迸り出た。白い何かが見えた。
「待って! まだ……」
レイは身を起こし、叫ぼうとした。
その叫び声は、初号機がエントリープラグを噛み破った音でかき消された。
レイは、自らの両足がすりつぶされていくさなかでも、まだ、シンジに言うべき言葉を考えていた。

(続く)

53 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/27(金) 01:38:15 ID:???
乙っ!!

54 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/27(金) 01:39:26 ID:???
………えっ……いや、てか…その…えっ……

55 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/27(金) 02:26:37 ID:???
キター!これからどうなんのか気になるぜ!脚がなくなってしまうようだが、ここから二人の関係がどうなるのか・・・
神事はすっげー自分を責めそう。

56 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/27(金) 03:00:37 ID:???
乙。残り1話か…悲しい

57 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/27(金) 03:31:12 ID:???
来てた!乙です!

58 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/27(金) 13:12:56 ID:???
頼む、殺さないでくれ!

59 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/27(金) 13:27:28 ID:???
ちょ、とんでもない所で続くですか…
お、乙です……
殺さないでくれると嬉しい…

60 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/27(金) 14:29:01 ID:???
乙です!!!!
すみません、ひらがなモノローグにより目から汁が止まらないのだが

61 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/28(土) 10:10:28 ID:???
当たりですか…

62 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/28(土) 19:01:34 ID:???
新劇演出をさりげなく入れてるのがいいね

63 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/28(土) 20:36:46 ID:???
乙です!レイの言葉が届くといいな…
シンジとレイの結末はもちろんだがリツコの真意も気になる
レイを気遣う優しい発言もあるけど、犬を隠したりしてレイの変化を観察してることもあるし

64 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/29(日) 00:40:15 ID:???
レイが感情を覚えていくことはレイが消える予兆だ、ということと同義ってのをどっかで見たな。
まさにそう思います。

65 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/29(日) 09:02:14 ID:???
乙です
死亡エンドじゃ無いよね…

66 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/11/29(日) 10:14:21 ID:???
やだやだやだ
幸せになっておくれ

67 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/02(水) 12:15:36 ID:???
黒エンドは正月明け?
続黒はないの?

68 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/12/05(土) 00:55:18 ID:???
今年中に完結させる予定です・・・が最終話が長すぎなので分割して1話増やすことになると思います

続黒ってのは続編ってことですよね? 違うのかな?
残念ながら予定はないです・・・きれいに終わりますので(自分的には)

69 :67:2009/12/05(土) 06:01:10 ID:???
丁寧に返事してくれてありがとう
そっか、続はないのか
最終2話、楽しみにしてますよ
がんばってください!

70 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/05(土) 12:22:08 ID:???
>>68
楽しみに待ってる
頑張れ

71 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/05(土) 12:57:54 ID:???
>>68
年内中に完結か
怖くて楽しみで死ぬほど寂しいな
超応援してる!がんばってくれ!

72 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/05(土) 13:22:51 ID:???
黒レイ見終わったら俺はどうしたらいいんだ・・・・

73 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/05(土) 13:28:16 ID:???
君が新しい物語を作るんだよ

74 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/07(月) 18:39:16 ID:???
俺もがんばって書いてみよう

75 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/07(月) 20:28:06 ID:???
頑張れ!

76 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/08(火) 09:58:21 ID:???
>>74
超頑張れ

77 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/09(水) 13:26:05 ID:???
>>74
超応援してる

俺も頑張ってみようかな・・・

78 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/09(水) 16:15:28 ID:???
>>74>>77
期待してるぜ!

79 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/10(木) 08:53:34 ID:???
>>77もガンバレ!

80 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/12/15(火) 00:08:09 ID:???
>>52

15.

夢を見ていた。
それはシンジとアスカが楽しげに喋っている横で、黙って俯いて座っているものだったり、逆に自分とシンジが公園のベンチに座って
ぽつりぽつりとお互いに呟くように語り合っているものだったりした。昔のことや最近のこと、楽しかったことや悲しかったこと――さまざまな夢を見た。
例の、赤木ナオコに首を絞められている夢も見た。
シンジとアスカが手をつないで、どこかに去っていく夢が一番悲しいものだった。レイも追いかけようとするのだが、全く前に進まず、下を見ると脚がなくなっていて、焦ってもがいているうちに二人はどんどん遠ざかっていく……。
あまりにおかしな状況のため、今は夢を見ているに違いないと思うときもあれば、次の夢を見て、ああ、前のは夢だったんだなと分かるときもあった。
だから、目をあけたとき、そこが現実なのかまだ夢の中なのか、レイには判断がつかなかった。
天井を見つめながら静かに呼吸を繰り返しているうちに、これは夢ではなく現実だろうという推測がゆっくりと確信に変わっていった。
注射針が腕にささっていたり、管が体中についている夢など見ないだろう。
横を見ると、いかにも大げさな機械がいくつも配置されていた。
うっすらとではあるが、明かりがついてる。
いや――やはりこれも夢なのだろうか? 確信は手のひらに落ちた雪のように急速に溶けていく。
レイは反射的に起き上がろうとして、自分にそれもままならない程度の力しかないことを思い知らされ、愕然とした。
起き上がるのはひとまず諦め、こうなった原因を探る。
――いったい、どうなって……。
現実での最後の記憶をたぐろうとするが、その瞬間、針で貫かれるような激しい頭痛に見舞われた。
「つっ……」
目をつむり、呻く。
身動きもできず、ものを考えることもできないとならば、できることは一つしかなかった。
レイはまどろみの沼の中に引きずり込まれていった。

81 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/12/15(火) 00:13:54 ID:???

 □

リツコは不機嫌そうな顔で一向に鳴らない電話を睨みつけていた。右手にはタバコ、机の上にはコーヒーカップ。
やはりあのとき、徹底的に反対するべきだったのだ……。
何度目かの激しい後悔がリツコを苛んだ。レイが死んでも代わりはいる――いくらでもつくれる。その意味では別に死んでもよかった。
だが、彼女にとってはあのレイでなくては意味が無い。新しいレイではなく、今のレイでなくてはならないのだ。
さんざんレイを庇ってきたのが無駄になってしまう。
リツコは自分を落ち着かせるようにコーヒーカップに手を伸ばし、口をつけた。
口に含んでも、すっかりぬるくなっていることにしばらく気がつかなかった。

レイが即死状態でなかったのは奇跡に近いと医師は告げた。肌の浅黒い五十代の男で、これから行われるレイの手術の責任者だった。
医師の目にはプロに特有の、知識と経験に裏打ちされた諦めが色濃く表れている。
両脚が大腿のあたりまで完全に潰れ、腹部に破片が突き刺さって腎臓の片方が駄目になっていた。
右腕の上腕骨と右の鎖骨、および五番から七番までの肋骨が骨折していて、他にも無数の切り傷や打撲があり、大量の出血によるショック死まであと一歩というところまできていた。
実際、ショック死しなかったのが不思議なくらいだった、と医師は不思議そうな顔で言った。
それから咳払いすると、最善は尽くすがあまり希望は持てないだろうということを、婉曲に述べた。
「それでは困るわ」と、リツコは無表情を崩さずに言った。
ミサトと違い軽症で済んだリツコは、手当てもそこそこに駆けつけたのだった。痛みはあるはずだがそれはおくびにも出さない。
いつも通りの平静な態度――と彼女を深くは知らない人は思うだろうが、ミサトだったら実は苛立っていることに気がついただろう。
「彼女は、たぶん大丈夫。普通の人間より……そう、頑丈だから。まだ」
まだ? 医師はリツコの言葉に戸惑うが、取りあえずはうなずいて見せた。
「ドナーももうじき来ます」
ずいぶん手際がいいんですね、と医師は言おうとしてやめた。パイロットの重要性を考えれば、普段からドナーを「準備」しているのは当然かも知れない。それがなにを意味するのかは深く考えたくなかったが。

82 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/12/15(火) 00:15:11 ID:???
「脚も元通りにしてもらいます」
リツコの言葉に医師は数瞬、沈黙した。ドナーとは腎臓のことだと思っていたのだが、脚も含まれているらしい。素人にどうやって説明しようかと考え考え、
「……それは難しいですね。移植に関しては免疫拒絶の問題があります。確かに近年、免疫抑制剤の進歩により、臓器に関してはHLA――これは白血球の血液型みたいなものです――の
厳格なマッチングは必ずしも必要ではありません。しかし手足は特に拒絶反応が大きいのです」
「他人の脚を移植するのではありません。彼女自身の脚です」
「彼女自身の脚……? 何を言ってるのですか?」医師は不可解な台詞に眉をしかめる。頭でも打ったのだろうか?
「スペアのパーツがいくらでもあると言ってるの」
医師の口がぽかんと開いた。スペア? 不可解どころか理解不能の言葉だった。
「し、しかし、たとえ拒絶がおきないと仮定しても、神経や血管を縫合しなければなりません。接着剤でくっつけるわけじゃないんですから。とてもじゃありませんが、医師の数が足りませんし、残念ながらその技量もありません」
「神経の縫合なんてしなくて結構。くっつけるだけでいいわ」
今度は医師は絶句した。
「そ、そんなことができるわけがない。患者をわざわざ殺すようなものです」
「あら、希望は持てないといったのはそちらじゃないかしら? どうせ死ぬのならちゃんと四肢がついた状態で死なせてあげたいのよ。念のために言っておきますが、あなたには拒否権はありません。
これは命令です。ご存知のように我々は通常の組織ではないのですから、あなたが罪に問われることはありません。ご安心を」
「何を言われても、できないものは……」
医師の言葉はリツコの手に魔法のように出現したものに遮られた。病院に一番似つかわしくないもの――黒光りする拳銃の銃口が医師を睨んでいる。
「あまり手間をかけさせないで下さいな」
医師には「……分かりました」と答えるほかは無かった。


83 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/12/15(火) 00:16:45 ID:???

手術は成功したとの連絡はすでに入っている。そのときの医師の呆然とした声を思い出してリツコは含み笑いを洩らした。
「信じられない……。縫合したらみるみるうちに接合したんですよ。まるで強力なボンドでプラモデルを作ったみたいに。看護婦は失神しかけましたよ。いったい彼女は何なんですか……?」
「あなたは知らなくていいことです」
「それより……彼女はまだ生きてました。いや、彼女というのは、移植のために用意された、患者と瓜二つの"彼女"のことです。あれは患者の双子の姉妹では……?」
「いえ、違います。あれは人間ではありません。まだ、ね。そう……クローンと言えば分かりやすいでしょう。ですから先生は殺人の罪に問われることはありませんわ」
「クローン……」
「お話したように、意識はなかったはずです。言わば人形と同じ。それと、このことは内密に。外部に洩らしたら漏洩罪に問われますから」
「……話しても誰も信じませんよ。私からも一言……。あなたたちは一体何をしようとしてるんです?」
「もう一度言います。あなたは知らなくていいことです」
喋る心配はないだろう。レイの素体を切り刻むのはさすがに抵抗があったようだが……。
回想は電話の呼び出し音によって中断された。リツコには、取る前から待ち望んでいたものだと分かっていた。
やはり、レイが目覚めたという連絡だった。

84 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/12/15(火) 00:21:42 ID:???

 □

レイは驚異的な回復力を示した。集中治療室から一週間ほどで一般病棟に移り、そのときにはもう立って歩けるようになっていた。
骨折も身体についた無数の傷も、ほとんど治癒している。
担当の看護婦は風邪で入院したときと同じ女性だったが、あのときとは違い、滅多に話しかけてこないし、話しかけるときも表情は硬く強張り、
目にはある種の薄気味悪い生き物を見るような感じがあった。もっとも、当のレイは全く気にかけなかったが。
レイが再び意識を回復して、はじめて会った病院関係者以外の人間はリツコだった。
「心配したわよ、レイ」
「いったい何があったの? 私、記憶が途中で途絶えてる」
「そうなの」リツコは軽くうなずくと、経緯を語った。
「それで……碇君は無事なの?」
リツコはレイの瞳に隠しようも無い恐怖の色が浮かんでいるのを認め、満足そうに微笑んだ。すぐにその笑みを引っ込めると、
「怪我は一切無いわ。そういう意味では無事ね」
レイの全身から力が抜けるのが手に取るように分かる。
「……そういう意味では?」
「ええ。シンジ君は、……精神的なショックが大きくて……。今レイに会うのは彼のメンタルに良くないの。寂しいかも知れないけど、分かってちょうだい」
普段のレイならば、あるいはリツコの口調に隠された嘘を感じ取れたかも知れない。しかし、今の弱り果てたレイには無理な相談だった。
レイはそっとため息をついた。怪我がないというだけで十分だった。
「赤木博士、そろそろお時間です」
看護婦が顔を覗かせた。面会謝絶のところを無理を押しているのだ。長居はできない。
「では、またね、レイ。今は身体を治すことだけ考えるのよ」
リツコが去っていったあと、レイは天井をじっと見つめていた。


85 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/12/15(火) 00:25:40 ID:???

 □

一週間ほど経ち、新たな面会者が訪れた。そこに予想しなかった顔を見て、レイは少し驚いた。
「あなたは……」
レイは記憶を探る。不精髭を生やした一見軽薄そうな男。
「加持リョウジ、だ。忘れられちゃったか。女の子には覚えていてもらう自信はあるんだけどね」加持は口とは裏腹に、傷ついた様子もなく名乗った。
「何しに来たの」レイはそっけなく言う。その目には加持に対する興味のかけらもない。
「何しに来たのって、こりゃひどいな」加持は苦笑した。「もちろんお見舞いさ。病人に会いに来るのに他の理由があるかい?」
レイは黙ったまま返答しない。
「葛城もアスカも心配してたぞ。ずっと面会謝絶だったからな。葛城も今日あたり来るんじゃないか?」
「そう」またしてもそっけなく答える。
「つれないね。それとも葛城や俺だから、かな? シンジ君と会いたくないかい?」
レイの頬がかすかに動いた。おかしな言い方だった。わざわざ会いたくないかと訊くということは、普通では会えない状況にあることを意味するのではないか?
そう言えばリツコの口ぶりも奇妙だった。
「碇君に何かあったの?」
加持は病室の隅にあった椅子をもってくると、椅子の背を前にして座った。
「別に怪我をしたわけじゃないから、安心してくれ。シンジ君は今特殊な場所にいる。昔風に言うと、営倉だな。……と言っても分からないか。軟禁ってやつだ」
「……どうして?」
「君との戦闘のあと、ちょっと暴れたからさ。まぁ、生身の身体で暴れたんなら良かったんだがね。初号機で暴れちまった」
「……」
「司令もだいぶお怒りでね。シンジ君も謝らないから、ぶち込まれたって訳だ。いや、ぶち込まれたというか、半分自分から入ったようなものだな。まぁ、ある種の親子喧嘩だな、あれは」
リツコが言葉を濁していた理由が分かった。レイは掛け布団を跳ね上げた。
「行く」
「おいおい、無理するなよ。まずは身体を治してから……」
「身体はもう大丈夫」
レイは身体を起こすと、ベッドから降りた。ふらつく身体を必死にまっすぐにする。
「今すぐ連れていって」

86 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/12/15(火) 00:26:41 ID:???
「いやいや、今日は無理だ。軟禁されてる人間に突然会いにいってはいそうですか、というわけにはいかない。今回ばかりは司令もお怒りだしな」
「……」
「なに、別に生命の危険がさらされてるわけじゃないし、シンジ君も逃げやしないさ。そうだな……じゃあ、明日でどうだ? そう言うと思って、
実は先生のほうには外出許可を取ってある。長時間でなければ外出しても大丈夫だとさ」
レイは口を開きかけたが、結局黙ってうなずいた。妙に手際がいいが、シンジに会わせてくれるなら意図はどうでもよかった。
加持は明日来る時間を告げると、それじゃ、といって出て行った。
ミサトが心配そうな顔を見せたのは、それから一時間後だった。

 □ 

予想に反して、シンジが軟禁されている部屋はそれほど下の階ではなかった。
もっとも、特別な許可がないと使用できないエレベーターに乗る必要はあったが。
看守は、何かの間違いで自分はここにいるのだという顔をしている、白髪が目立つ初老の男だった。
加持は看守と一言二言話し合い、身分証明書を見せ、次に書類を取り出して渡した。看守はテストを採点する教師のような熱心さで書類をチェックすると、深々とうなずいて鍵を取り出した。
久しぶりに人間と話すことができてほっとしているような感じもなくはなかった。
看守を先頭に、独房から連想される陰惨な雰囲気というものがまったくない、チリ一つ落ちていない明るい廊下をしばらく歩き、奥から三番目の部屋で立ち止まった。
看守は扉を拳でトントンと叩いた。
「碇君。君に会いにきた人がいるよ」
「え……」ベッドに寝そべっていたシンジは、億劫そうに立ち上がると、ベッドの縁に腰をかけた。「誰ですか……? 僕は今誰にも会う気はありません」
「やあ、俺だよ、シンジ君。綾波も来てる」
「綾波!?」シンジはまるで電流を流されたように立ち上がった。
レイは看守に顔を向けて、「開けて」と冷たい口調で言い放つ。
「残念だけど、規則でね」看守は首を振った。
「まぁまぁ」何か言い募ろうとするレイを手で押さえるフリをして、口を挟んだのは加持だった。看守の肩に手を回して、少し離れたところまで誘導する。
「別に殺人を犯した凶悪犯ってわけじゃないんだし、大目に見てもいいんじゃないですかねぇ?」
「いや、しかし……」看守は渋い顔をする。

87 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/12/15(火) 00:27:30 ID:???
「そもそも使徒と体を張って戦ってるのはあの子たちですぜ。簡単な話、もしあの子たちが戦うのはもう嫌だって言えば俺たちは死ぬってわけだ」
年のわりに皺が目立つ看守の顔が不安げなものに変わっていく。
「おたく、子供は?」
「ああ、いるが」
「いくつ?」
「高校生の息子がいるよ。来年受験だ。このご時世じゃどうなるか分からんがね」
「なら碇司令の息子とそれほど歳は変わらないな」独房にいる中学生が司令の子息であることをさりげなく思い出させる。「自分の子供がこんな部屋に閉じ込められている様を想像して欲しい」
看守の顔はため息をついた。妙に似合う仕草だった。
「何かあれば俺の名前を出していいから、頼みますよ」
少しの間考えている風だったが、腕時計を見て、唐突に、「そうだ。この時間は独房の中の検査をする時間だった」と言い出した。
それから扉の前まで行くとカードキーで電気ロックを解除し、「いかん。トイレに行きたくなった。歳を取るとどうも近くなっていけない。少し時間がかかるかも知れないな」とぶつぶつ呟きながら扉を開けたままにして立ち去ってしまった。
「……ということだ」加持は肩をすくめると、レイにうなずいてみせた。
レイは「ありがとう」と言うと、中に入っていった。
「ありがとう、ね。こりゃ驚いたな。そんなことを真面目な顔で言う子には見えなかったがね」
加持は中を覗き込み、レイとシンジが話しているのを見届けると、その場から離れ、廊下のはじまで行って携帯を取り出した。
「ああ。俺だ。首尾よくいったよ。……なぁに、キューピッド役もたまにはいいものさ。じゃあまた今度、飲みにでもいこう。できれば二人きりで」
連絡を終えると、加持は壁に背をもたせかけて呟いた。
「さてさて、彼女もどういうつもりなのかな。まさか本気でキューピッドになるつもりでもないだろう」

88 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/12/15(火) 00:29:45 ID:???
「あ……綾波」シンジはレイが部屋に入ってくると、はじかれたように後ろに下がった。目は大きく見開かれ、過呼吸になったように激しく肩を上下させて息を吸っていた。
それから糸の切れた人形のように床に膝と手をついて、泣き出した。
「綾波……ごめん……僕は……」
レイはショックを受けていた。窓越しでもそのやつれぶりは分かったが、こうやって改めて対面してみると、その消耗ぶりは痛々しいほどだった。
頬はげっそりとこけ、ただでさえ繊細な顔立ちを一層弱々しいものに変えていた。黒目がちな目に差す翳は、精神のバランスが崩れる一歩手前を示しているように思われた。
レイの胸がきりきりと刺すように痛む。泣きじゃくるシンジの前に膝を着いて、茫然とシンジの白いうなじを見つめた。
何を言えばいいのか分からなかった。ただシンジが泣くのは見たくなかった。
「もう泣かないで。私は大丈夫だから」
シンジは顔を上げた。
「怪我……したって聞いたけど……」
「ちょっと。もう大丈夫」
シンジは涙を拭うとレイの姿を上から下まで何回も見つめた。まるでレイが幻で、目を離すと消えてしまうとでもいうように。
「よかった……」そこでシンジは笑おうとしたが、表情は強張ったままだった。「綾波に……会わせる顔がないよ」
「どうして?」
「だって、綾波に怪我をさせたのは僕なんだよ」
「それなら、おあいこ」
「え?」シンジはきょとんとした。
「だって私も碇君を殺そうとしたんだから」
「それは……違うよ。綾波は使徒に操られていたんだ。だから綾波のせいじゃない」
「それなら碇君も同じことじゃない。ダミーシステムが動いていたのだから」
シンジは納得のいかない様子だった。「で、でも……」
「あまり、自分を責めないで。碇君は悪くない」
レイの言葉を聞くと、シンジは俯いて、そうだ、と言った。
「父さんが……。悪いのは父さんだ。僕には綾波が正気に戻るのが分かってたんだ。もう少し待ってくれれば良かったのに。なのに……」
レイはかぶりを振った。「司令の判断は正しかった。もしかしたら私はぎりぎりのところで元に戻れたのかも知れない。だけど、もしそうじゃなかったら……私が碇君を殺していた」
「いいよ、その方が! 綾波を殺すより僕が死んだ方がいい」シンジは悲鳴に近い声を上げた。

89 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/12/15(火) 00:31:32 ID:???
「それは違う。碇君が死んだら私を止める手段はなくなっていた。人類が滅んでいたわ」
「それは……」シンジは何を言えば伝わるのか必死に言葉を探している。「それは理屈だよ。いくら正しくても感情は違う。僕は……僕はどうしても父さんが許せないんだ」
俯いたシンジの目から、また涙がぽたぽたと垂れてくる。
レイはシンジの手を取って強く握りしめた。シンジははっとして顔を上げた。
「碇君」レイはシンジの目を覗き込む。「碇君は、誰かを憎んだり恨んだりしては、だめ。私は……」
そう言うと、まるで落ちている言葉を拾うようにいったん下を向いた。それからまたシンジの目を見て、断固とした口調で言った。
「私は碇君にいつも笑っていて欲しい。私には碇君みたいに笑えないから。それっておかしい?」
シンジは目を瞬かせてまじまじとレイを見つめた。
「綾波……。僕が言ったこと、覚えてる? 本当は綾波は優しい性格なんだってこと。やっぱり僕は間違っていなかった」
「いえ、違う。人は他人の中に自分の姿を見るの。まるで鏡を見るように。碇君が私のことを優しいと思うのは、碇君が優しいから」
司令のことを許せないというのは、本当は自分が許せないということなのよ――とは言わなかった。
「そう……かな。難しいこと言うね、綾波は」
ちょっと困った顔をするシンジの顔を見ているうちに、ふと何かを思い出しそうになった。
「どうしたの?」
「いえ……。何か、碇君に言うことがあったような気がする」
「何かな?」
「それが……分からないの。でも、大事な……とても大事なことということだけは分かってる」
「色々あったから、しょうがないよ。ゆっくりでいいと思う」
「そうね」と、レイは言った。
沈黙の天使が二人の間をゆっくりと通り過ぎた。
シンジが咳払いをして、言い辛そうに、
「……綾波」
「え?」
「その……手が……」
「あ」
レイは慌てて手を放す。顔が少し赤くなっていた。

90 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/12/15(火) 00:32:32 ID:???
「どうだ。積もる話は済んだかい?」
ちょうどいいタイミングでひょっこりと加持が顔を出した。
「ええ」レイが立ち上がった。「行きましょう、碇君。こんなところにこれ以上いる必要はないわ」
「いや、さすがにそういうわけにはいかないな」加持は苦笑した。
「うん。加持さんの言うとおりだよ。強引に出たら看守のおじさんにも迷惑かけちゃうし。結構僕によくしてくれたんだ」
レイは少しの間黙って考えていたが、「じゃあ、司令にかけあってくる」と言った。「司令の許可があればいいんでしょう?」
「まぁ、そうだな。あとはシンジ君の意志だ。どうだい、シンジ君」
「ええ、僕は……僕も、大丈夫です」
「少し待ってて、碇君」レイは静かに言った。

ゲンドウは書類から顔を上げ、驚きを示す、眉毛を数ミリ程度動かす仕草をしてみせた。
扉の前には、いかつい警備員の横にいるせいで普段よりも小柄に見えるレイの姿があった。いつものように背筋をぴんと伸ばし、滑るような足取りでデスクの前まで来る。
「レイ。もういいのか」
「はい。私は大丈夫です」
「そうか。無理はするな」
レイはそれには答えず、単刀直入に切り出した。「司令。碇君を出してください」
「シンジ……初号機パイロットは罪を償っている最中だ。あれのやったことは……」
「碇君も反省しています。お願いします」
レイは頭を下げた。
ゲンドウはレイを黙って見つめていた。ゲンドウが驚愕していることが分かるのは、冬月くらいのものだろう。次の言葉が発せられるまでいくばくかの時間がかかった。
「分かった。手続きはとっておく」
ありがとうございます、とレイは答えた。
レイが出て行くと、ゲンドウは椅子の背もたれに背中を預け、臍のあたりで手を組んで目を閉じた。

91 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/12/15(火) 00:34:27 ID:???

本部から出て病院に帰る途中、アスカとばったり会った。加持に仔犬のようにまとわりついている。
レイを見ると、加持は露骨に助かったという顔で、「お、用事は済んだか? その様子だと司令の許可は下りたらしいな。じゃ、病院に戻るか」
アスカは加持の腕から手を放し、目を丸くする。「ファースト! あんた……もういいの? 酷い怪我だったって聞いたけど……」
頭から爪先までレイを眺め回し、「その様子だとそんなに大した怪我じゃなかったみたいね」
ほっとした雰囲気だった――と他人が指摘したらアスカは烈火のごとく怒りだしただろう。加持はもちろん何も言わず、無言でニヤニヤするだけだった。
「ええ」
レイはそう言ったものの、実際自分の怪我がどんな程度だったのか知らなかったし、興味もなかった。今こうして歩ければそれでいいのだ。
「そ。……あー」アスカは言いづらそうに口ごもる。「まぁ、何ていうか……色々あって落ち込んでると思うけど――あ、いや、落ち込んでるってのは
あんたじゃなくてシンジのほうよ。あんたは落ち込むってタマじゃないし――」
アスカはそこで一旦言葉を切ると、咳払いをして、「あーもう! 私が言いたいのは、要するにあいつを元気付けてやりなさいってこと! あんたしか出来ないことなんだからさ!」
レイは小首をかしげた。「私だけしか出来ない?」
「そうよ! 分かる?」
目をぱちぱちと瞬かせてレイは「……分かったわ、惣流さん」
「そっ……惣流さん……?」
目が点になって立ち尽くすアスカを後に残し、レイは少々ふらつく足取りで加持と一緒に病院に戻っていった。


92 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/12/15(火) 00:35:23 ID:???

 □

こうしてシンジは復帰した。学校はなくなり、子供たちは家庭教師をつけられて勉強することになったり――アスカとレイは拒否したため、シンジだけだったが――、
シンジの心には傷跡が残り、悪夢を見て夜中に跳ね起きたりすることはあるもの、おおむねいつもの日常に戻ったように思われた。
起こったことを考えれば、誰にとってもまずまず文句のない展開と言えた。
特に、赤木リツコにとっては理想的とさえ表現してもいいくらいだった。

リツコはタバコを口に銜えたままモニターをチェックしていた。タバコの煙越しのため、目を細めて見ている。
レイのシンクロ率を見る。案の定、以前よりかなり低く、何回テストしても低いままだった。
部屋に誰もいないときを見計らって、もっと上げるように指示すると、レイは戸惑った様子で、自分でも分からないがもう自由にシンクロ率を操作できなくなった、と告げた。
嘘をついてるようには見えなかったし、その理由もない。
つまり――。
「さて、と。いよいよね」タバコを灰皿に押し付けた。手に力が入っていることに気がついて、苦笑した。やっとこの日が来たのだ。力が入って当然かも知れなかった。
「お姫様は王子様と末永く仲良く暮らしました――。そんなことが通ると思ってるの、レイ? そうはいかないわよ。あなたにはハッピーエンドは似合わないし、私が許さないわ」
リツコは受話器を取り上げた。
さあ、いよいよ――
復讐の時間が、はじまるのだ。

(続く)

93 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/15(火) 03:11:43 ID:???
おおGJです!

94 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/15(火) 04:02:42 ID:???
乙でやんす!

リッちゃん(((((;゚Д゚)))))ガクブル

95 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/15(火) 07:54:07 ID:???
ぎぃやああああ



96 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/15(火) 09:56:51 ID:???
きたー!おつ!

97 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/15(火) 10:53:12 ID:???
本当に乙
心から感謝
いよいよ最終話だな
がんばってくだしあ

98 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/15(火) 11:14:05 ID:???
ゲンドウよりおっそろしいリっちゃんを見てしまうのか!
こりゃたまらんでゲス

99 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/15(火) 18:45:43 ID:???
使徒より恐いリツコたん

100 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/15(火) 22:53:59 ID:???
すげえ良い内容だ乙

101 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/15(火) 23:41:53 ID:???
と、糖分が足りない…

102 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/16(水) 13:24:26 ID:???
やっと読めたー乙です!
あと一話で終わるのかぁ…(´・ω・`)

103 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/16(水) 14:12:10 ID:???
おおおおおおおお乙です!!!!!
こんなすげえ話が読めて幸せすぐる

しかし…

リツコォオオオオオオやーめーてー

あと一話って!?

104 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/16(水) 14:30:07 ID:???
>>103
最後は長いから分割するって言ってたよ。つい最近

105 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/18(金) 15:03:31 ID:???
>>104
あ そうだったな
ありがとう

それにしてもあと2回で終了か・・・うう

106 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/18(金) 22:32:23 ID:???
この黒レイがみんなに反感買ってた去年から
俺はタダモノではないと思っていたぜ…

なんてなー

最終話楽しみにまっています作者様

107 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/18(金) 22:33:44 ID:???
あれ…去年って何

108 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/19(土) 22:22:55 ID:???
これだけのものを自サイトではなくここで公開してくれる神に感謝だよ

109 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/19(土) 23:18:10 ID:???
乙です。律子の復讐が怖すぎる。死にかけていたのを無理やり生き返らせてまでしたい復讐とはいったい何なのか。
引きが強くていいですね

110 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/26(土) 22:32:48 ID:???
まだかなまだかな

111 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/29(火) 01:05:58 ID:???
もうしばらくの辛抱だ

112 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/31(木) 14:44:39 ID:???
投下マダー? 今年が終わっちゃうよー(泣)

113 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/31(木) 15:17:27 ID:???
まさかのお年玉!?

114 : ◆IE6Fz3VBJU :2009/12/31(木) 15:24:54 ID:???
いや……その……

115 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/31(木) 15:28:40 ID:???
いいっすよ。気長に待ってますから。

116 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/31(木) 18:35:49 ID:???
あせるこたぁない
単行本に比べたら全然早いくらいw
いつまででも待てるからがんばってね〜

117 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/31(木) 19:04:19 ID:???
>>116

そうそう。世の中には三州公の突撃の結末を十年以上も明かさない佐藤大輔という作家もいることだしね

118 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2009/12/31(木) 19:31:13 ID:???
レス数が伸びてるから投下キタ━━━(゜∀゜)━━━!!とwktkした俺orz

119 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/04(月) 07:31:55 ID:???
お年玉投下もなかったかorz

120 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/07(木) 11:52:41 ID:???
投下待ち(´・ω・`)

121 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/09(土) 19:34:25 ID:???
そんなに急かさなくったって

122 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 01:19:56 ID:???
>>92

16.

――何だろう? 
シンジは不安げな面持ちで、カチカチと音を立てて数字が増えていく風変わりな階数表示盤を見つめていた。エレベーターの中は、どこか息が詰まるような感じがする。
つい先ほどリツコから電話があり、何でも用件はレイのことだという。何故僕なんですか、というシンジの問いかけに、リツコは、デリケートなことだから――と口を濁すだけだった。
それから――と、リツコはとっておきの秘密を告げるような口調で、誰にも言わないように、と付け加えた。
シンジには用件の内容は全く推測できなかったが、レイのことと聞いては行かないわけにはいかなかった。
「ようこそ、シンジ君」
ネルフ本部にあるリツコの私室は、持ち主の性格を表してか、整然としていた。おびただしい本が――ほとんどはシンジにはその内容すら類推できないような
専門書だった――きちんとラベリングされ、書架にずらりと並んでいる。
ミサトさんも少しは見習えばいいのに……と、シンジは頭の片隅で考える。もっとも整理整頓できるミサトは、もはやミサトではない気もしたが。
シンジは挨拶もそこそこに、本題に入った。
「いったいどうしたんですか、リツコさん。綾波のことだって言ってましたけど……」
「ここに来ることは誰にも言ってないわね?」リツコはシンジの質問に答えず、シンジに確認する。
「ええ……」シンジの顔に不安が徐々に浮かび上がってくる。
「そう」リツコは満足そうにうなずくと、机の引き出しから一枚の写真を取り出して立ち上がった。
「これを見て欲しいの」
「はい……」
シンジはリツコの顔から写真へと視線を移し――悲鳴を上げた。
「な……何ですか、これ!?」
写真にはエントリープラグ内のレイの姿が鮮明に映し出されていた。両脚は潰れていて、全身が血まみれの無残な姿がある。
「何って……この間の戦闘のあとのレイの写真よ」
シンジは写真から目を逸らそうとしたが、磁石のように吸い付いて離れない。

123 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 01:23:02 ID:???
「う、嘘だ……」
「なぜ?」
「だって……綾波は元気にしてる。参号機と戦ってから三週間も経ってないのに、こんなに酷い怪我が治るわけがない!」
「私が嘘をつく必要はあるかしら?」リツコは黒い眉を上品にしかめてみせた。言葉に詰まるシンジに、「これは本当のことなのよ、シンジ君。現実なの」
嘘だ、と再び呆然と呟くシンジ。突然吐き気を催したように腰を折り、口に手を当てた。
「シンジ君」
リツコはシンジに合わせて腰をかがめ、シンジの耳に囁いた。
「レイの秘密を知りたくない? いえ、違うわね。レイがこんな目に遭ったのはあなたの責任でもあるから、知る義務と責任があるわ」
シンジは限界まで目を見開いて、リツコの妖しく光る瞳を見つめた。

 □

呼び止められて振り向いたとき、レイは相も変わらぬ無表情だったが、リツコは以前とは違うものを見出していた。それはある種の穏やかさだった。
群雲のように湧き上がってきた嫌悪感をリツコは必死に抑える。
もう少し。もう少しで、この顔が絶望に歪むのを見られるのだ。
レイは、発音するために必要な最小限度分だけ口を動かした。「なに?」
リツコは腕時計に目を走らせた。「あなたさえ良ければ、今から一緒に来て欲しい場所があるのだけど」
「……何の用で?」
なぜ私が、という顔をするレイ。
「シンジ君のことで」
「碇君?」
レイの声にリツコでなくても分かるほどの感情がこもった。
「碇君の、どんなこと?」
「シンジ君が黒い球体から出てきたときのことを覚えてる?」
「ええ」
「それから本部まで侵入してきた使徒を迎撃するさいに、シンクロ率400%を超えたことも覚えてるわね」
「当たり前よ」
そんなに前のことではないのだから、忘れるわけがない。
「分析の結果、シンジ君があなたと同じということが判明したの」
「私と同じ!?」レイが目を大きく見開いて叫んだ。「どういうこと?」

124 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 01:24:20 ID:???
リツコは周囲を見渡すと、声をひそめた。「複雑な話なの。ここで立ち話をするわけにはいかないわ。何より、機密事項なのよ。……一緒に来てくれるわよね」
レイは少し躊躇ったが、結局はうなずいた。
リツコは内心ほくそえむ。こんなに簡単にいっていいのかと思うほど見事に引っかかってくれた。これもシンジのお陰だ。
「じゃあ、行きましょうか」リツコは、囁くように言った。

「どうしたの、レイ?」
エレベーターホールを出たところで突然立ち止まったレイを、リツコは、だだをこねる子供を見守る母親のような、少し困った笑顔を浮かべて振り返った。
レイは端正な白い顔を引き攣らせると、一歩後ずさった。
長い廊下の先にあるドアの向こうで、何かが待っていると本能的に分かったのだ。
何か、良くないものが。
「どうしたの? いったい」と、リツコは繰り返す。今度は笑いは浮かんでいない。目を細め、無表情になっていた。
レイはゆっくりと首を振った。「加持リョウジを病院に来させたのは、あなたね?」
「あら」リツコは目を丸くした。わざとらしい仕草だった。「よく分かったわね。正解よ」
「いったい、何が目的?」
「勿論、あなたのためよ。碇君に会いたいだろうと思って。私だと、立場上差し障りがあるから」
「嘘」
「嘘? なぜ私が嘘を?」心外な、という表情。これもわざとらしく、芝居がかっていた。
「あなたが私のために何かするわけがないもの」
リツコはレイの顔を穴の開くほど見つめると、急に笑い声を上げた。
「酷いわね。少しは他人を信じるものよ。……さ、もう行きましょう」
リツコはレイのほうに一歩進んだ。レイはかぶりを振った。「行きたくない」
ため息をつくと、「我儘は困るわ、レイ」
素早く手を伸ばすと、レイの左手首を掴んだ。
「放……せ」
レイは腕を引っ張り、びくともしないことが分かると、右手でリツコの身体を叩きはじめた。片手であり、また大人と子供ということもあって、何の効果もなかった。
「あらあら。そんなまどろっこしいことをしないでも、ATフィールドを展開したら済むんじゃないかしら?」
「そんなことをしたら、あなたが死ぬわ」
「別にいいわよ。やってご覧なさい」
「脅しと思ってるの?」

125 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 01:26:09 ID:???
「だからやってみなさい」
レイの頬が引き攣った。沈黙が分厚い壁のように二人の間に立ちはだかった。
「やっぱり、思った通りね。もうできないのね、レイ」リツコは唇の端を吊り上げる。「おめでとう、レイ。あなたは……人間になれたのよ。喜びなさい」
「何……言ってるの」
「まぁ、それは置いといて。どうしても行きたくないというなら、一つ教えて貰おうかしら」
「何を?」
「首を絞められる前に、あなたが母に言ったこと」
「……何も言ってないわ」
「言いたくないのならいいわ。シンジ君に話してしまうわよ? あなたが怪我したフリをして、シンジ君をエヴァに乗せたこと」
レイはねめつけるようにリツコを見る。
「好きにすれば?」平然と言い放つ。少なくとも、本人はそのつもりだった。
「本当にいいの?」と、リツコは、叱られてご飯なんかいらないとダダをこねる子供を諭すように優しく言う。
レイは黙りこんだ。シンジに謝ればいいだけの話だった。確かにバツが悪いが、取り返しのつかないようなことではないだろうと思う。何なら、リツコがばらす前にこちらから告白してしまえばいい。
「じゃあ、あなたがシンジ君に押し倒された場面を相田君に撮らせていたことは?」
予想外の言葉にレイは硬直した。「な、何で……」
「ふふ。実はね、あなたの部屋に盗聴器を仕掛けておいたのよ」恐るべき内容とは裏腹に、笑顔を浮かべて、「あなたは部屋に鍵もかけないし、こっそりコピーをとるのは楽なものだったわ」
レイはリツコの異常とも言える執念に絶句する。
「で、どうなの、レイ? 考え直してくれた? シンジ君、どう思うかしら。どうせあなたのことだから、あれをネタに言うことを聞かせようとするつもりだったんでしょう」
レイは一言もない。その通りだったからだ。
「さすがにこれは、ねぇ? シンジ君、あなたのこと――嫌いになっちゃうんじゃないかしら」
「……」
「さ、シンジ君に黙っていて欲しければ話しなさい」
レイは俯いて唇を噛みしめた。
リツコはレイの表情の変化を見逃さなかった。携帯を取り出して、「嫌ならいいのよ。今シンジ君に電話して教えるから」
「待って!」レイは白い顔をさらに白くして叫んだ。
「なぁに?」
「……やめて。言うから」
「やめてください、じゃないのかしら? 人に物事を頼むときは」

126 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 01:27:30 ID:???
レイは顔をゆがめる。「……やめて、下さい」
「よく出来ました」リツコはにっこり笑って、「それじゃあ言いなさい。あのとき、母に何と言ったの? 本当のことを言うのよ、レイ」
「……ばあさんは用済み」
「何ですって?」
「"所長がそう言ってるのよ、あなたの事。ばあさんはしつこいとか、ばあさんは用済みだとか"」
レイは目を閉じて、あのとき言った台詞を忠実に繰り返した。
「それ、本当に司令が言ったの?」リツコの顔はいつの間にか能面のように無表情になっていた。
「……」
「レイ!?」
リツコはレイの手首を握った手に力を込めた。くっ、とレイがうめき声を上げる。
「言いなさい。言わないとシンジ君に全てを話すわよ」
レイとリツコの視線が絡み合う。しかし、この勝負の決着はすでに着いていた。
「……でたらめよ。たまたま見ていたテレビドラマか何かの台詞を適当に変えて言っただけ。あのときはあなたの母と司令が付き合ってることも知らなかったし」
「そのでたらめで母さんを殺したのね」
「殺してないわ。あなたの母親は事故で死んだのよ」
「殺したも同然よ」
「だいたい、あの女が余計なコンプレックスを持っていたのが悪いのよ。そうじゃなければ……」
途中でレイは沈黙した。リツコがレイの頬を平手打ちしたからだった。
「それ以上何も言わないで。言うと殺すわよ。あなたじゃない、シンジ君を、ね。……さぁ、それじゃあ行きましょうか、レイ。楽しいパーティのはじまりよ」
「なっ。本当のことを言ったら行かないって……」
「あら。私はシンジ君にビデオのことを言わないって言っただけで、あの部屋に行くことは何も言ってないけど?」
「だ……騙したわね」
「あっはっは! あなたからそんな台詞を聞くなんてね。さ、もういいでしょう。パーティに相応しい特別ゲストも用意してるのよ。楽しみにしててね、レイ」
リツコはレイを引きずるようにして歩き出した。
レイはリツコの手に血が出るほど強く爪を立てて抵抗したが、リツコは全く意に介さなかった。
特別ゲスト。
レイの肌が粟立った。何が待ち構えているのか分からないが、レイの全身の細胞が、魂がこの先を拒否していた。

127 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 01:31:44 ID:???
「あ……あ……」
レイは生まれて初めての恐怖に遭遇していた。あまりの恐怖に言葉が出ず、ただ首を振って哀願するだけだ。
リツコはその表情をご馳走を目の前にした美食家のように見つめると、一見すると全く邪気のないような笑顔を浮かべた。
手を伸ばしてレイの顔を優しく撫でる。
「私はね、あなたのその顔が見たかったのよ。その顔さえ見られればよかったの。これで許してあげるから、もうおいたは無しよ」
レイの全身から力が抜けた。助かった、と思った。安堵のあまり膝を地面に着きそうだった。
「なんて、ね」
リツコはレイを引き寄せると、力いっぱい抱きしめて、愛しい我が子に子守唄を唄うような調子でそっと囁いた。
「冗・談・よ。あなたは、絶対に、許さない」
レイは、悲鳴をあげた。

「私はね、レイ」
「あなたが人間になるのをずっと待ってたのよ。この日が来ることをどんなに待ち焦がれたか、あなたには分からないでしょうね」
「多分、シンジ君に会う前のあなたなら、何の衝撃も受けなかったでしょう。だけど今は違う。あなたはシンジ君を知って人間になった」
「人間になったあなたが、あれを見てどんな風に思うか」
「いえ、違うわね。あれを見たシンジ君を見て、あなたがどう思うか、ね」
「楽しみだわ」
「私はこの日を何年も待ち続けてきたのよ」
「本当に、楽しみだわ、レイ」
「そう、何年も何年もね」
「これは報いよ」
「これは報いなのよ、レイ」
リツコはレイに向かってというよりも、独り言のように呟きながら廊下を歩いていく。
レイも、リツコに引きずられるように――いや、実際に引きずられていく。その顔から一切の表情が失われ、生気のなさはまるで人形のようだった。
すぐに扉の前まで来た。
「まずはあなたに見てもらわなければね」

128 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 01:32:57 ID:???

レイはリツコの足元にぺたんと座り込んで「それ」を待っていた。
それ――すなわち、破滅を。
巨大な獣がぱっくりと口を開けて、レイをその黒々とした洞の中に飲み込もうとしているのだ。
逃れる術はないことは、レイには分かっていた。
部屋の明かりは最低限度まで落とされている。傍から見ると、床に座り込んだレイの姿は暗闇に溶け、同化しているように見えるだろう。
リツコはずっと楽しげで、上機嫌だった。鼻歌すら歌っていた。
どれくらいの時間が経ったのか。レイには永遠にも思われたし、一瞬のようにも感じられた。
扉が開く、シュッという小さく擦れるような音は、レイにとって、世界の終わりを告げるラッパの音に等しかった。
そこにあらわれたのは――
当然、シンジだった。困惑した様子でおずおずと部屋に入ってくる。「リツコさん――?」
「あら。意外と早かったわね」時間通りと知りながらも、腕時計に目を走らせてリツコが言った。「もう少し気をもたせてよかったのに」
レイを見下ろしながら、ふふ、とリツコは含み笑いを洩らす。その笑みがシンジの後に続いて入ってきた人物を見て固まった。
「ここは一体……何なの?」
「ミサト……!?」リツコの驚きは、しかし、一瞬だった。「あなた、昨日夜勤だったでしょう? 寝不足はお肌に悪いわよ。お互い若くないんだから気をつけないと」
リツコのふざけた調子の台詞にも、ミサトは険しい顔つきを崩さなかった。
「俺もそう言ったんだがね」ひょっこり顔を出したのは加持だった。
「加持君!? そう……。シンジ君の様子に気がついたのはミサトじゃなくてあなただったのね」
加持は返答の代わりに肩をすくめた。
「私が夜勤のときを狙うなんてね。あなたらしいわ、リツコ。……で、あなたは何をしようとしているの?」
リツコは肩をすくめた。「まぁ、いいわ。せっかくの舞台だもの、観客が多いほうがやる気が出るわ。……私が何をするのか、ですって? これよ」
華やかな開会式の開幕を告げるように言うと、手に持ったリモコンのスイッチを入れた。
部屋の明かりがついた。

129 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 01:35:45 ID:???
「うっ!?」
「これは……!?」
三人は眩しさのあまり手をかざし――次の瞬間、それぞれの顔に驚愕を貼り付けていた。
水槽が部屋の周囲を半円状に取り囲んでいた。
そして、その中には――
「……綾……波……?」シンジが呆然と呟いた。
何人もの綾波レイが、おそらくはLCLと思われる液体の中に裸のままで浮かんでいた。
「人形?」と、本能的に違うと分かったものの、ミサトは掠れた声で訊いた。人形にしては生々し過ぎた。
「違うわ、ミサト。これは……レイのクローン。いえ、クローンという言い方はおかしいわね。別にレイのオリジナルがある訳じゃないのだから。
これは、レイのパーツ。そうとしか言いようがないわ。このレイが死んだらこの中のレイのどれかに意識が宿り、それがレイになるのよ」
このレイ――というリツコの言葉で、三人はリツコの足元に呆然と座り込むレイの姿にやっと気がついた。
「分かった? シンジ君。この子は人工的に作られた生き物なのよ」
「止めなさい、リツコ!」ミサトの鋭い声が飛ぶ。
「どうして? 私はシンジ君に約束したのよ。レイの秘密を教えるって」
「レイの秘密を教える……? 何でそんなことを……?」
リツコはため息をついた。
「親切心で……と言っても信じてもらえないでしょうね。……分かったわ。本当の目的は――復讐よ」
「復讐!?」
「そう。私の母は、レイに殺されたのよ。その復讐」
「何を言ってるの? あなたの母は八年前、交通事故で――」
「直接的な死因はね。間接的には、アルコールに溺れたからよ。そしてアルコールに溺れたのは、レイのせい」
「レイのせいですって?」
「そうよ。この子が母に酷いことをしたから」
「そんな……」ミサトは言葉を失った。「八年以上も前って……レイはまだ子供もいいところじゃない」
「子供かどうかは関係ないわ」リツコの顔が急に憎々しげなものに変わった。「それに、子供とか大人とか、そういう尺度では量れないのよ、この子は。なにせ人間ではないのだから」
リツコは何か言おうとするミサトを手で制して、「レイはリリスと、とある人物から造られたの」
「リリス?」
「第二の使徒」
「使徒!?」

130 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 01:36:27 ID:???
「そう。だけど、私たちの思惑とは違って、リリスの性質が強すぎた。コントロールがきかない存在になってしまったの。それはあなたもよく知ってることよね」
リツコはシンジの方を向く。「シンジ君?」
突然名前を呼ばれ、シンジはびくりと身を震わせる。
「あなたがネルフに招かれたのは、レイを抑えるためもあったのよ。結果、見事に――いえ、期待以上にレイは人間らしくなったわ。あなたには本当に感謝している」
どう答えていいか分からず、シンジは固まっている。
「あなたに会う前のレイだったら、出生の秘密を暴露しても鼻で笑うだけだったでしょうね。人並みになれたからこうやってショックを受けることができる。皮肉なものね」
「シンジ君を……利用したのね」
「その通りよ」
「何てことを――!」
「あら、あなたに私を責める道理があって? あなただって自分の復讐のためにシンジ君たちを利用してるんじゃないの? 復讐の道具じゃないと胸を張って言えるのかしら?」
ミサトは鋭い痛みに襲われたように顔をゆがませた。「それは……」
「いいや、そいつは違うな、りっちゃん」それまで黙っていた加持が口を挟んだ。「使徒と戦うことは止むを得ないことだ。それに少なくとも葛城はシンジ君たちの境遇に胸を痛めているよ。君はどうだい?」
リツコは降参するように両手を上げた。「そうね。私はあなたたちと違って、冷酷な人間だもの」
「それも違うな」加持は首を振った。「自分でそう思ってるだけさ」
「……分かったようなフリをするのは止めてくれる? あなたの悪い癖よ、加持君」リツコは内面の激情を無理に押さえつけているような、不自然なほど平坦な口調で言った。それから波立った自分の心を落ち着かせるように目を閉じ、
深呼吸をひとつする。目を開いたときにはリツコの心を波立たせたものは拭い去ったように消えていた。
「なぜシンジ君を呼んだのか、分かる、ミサト? それはシンジ君とレイには特別な関係があるからなの」
「特別な関係?」
「特別な関係と言えばね、母も私も、司令の愛人だったの」
軽い調子とは裏腹の内容に、その場の空気が凍りついた。
ミサトはシンジに素早く目を走らせた。「止めなさい、リツコ。事実かどうか知らないけど、そんなことを言う必要はないわ」





131 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 01:37:15 ID:???
「馬鹿な話よね。あの人の心には彼女がいつだっていたのに」リツコの唇が吊り上がった。「彼女って分かる、シンジ君?」
シンジは名指しされて、怯えるように一歩後ずさる。
「彼女というのは、さっき言った、レイの肉体のもとになったある人物のこと。つまり……」
「リツコ!」青ざめたミサトの叫び声も、リツコの囁くような声を止めることは出来なかった。
「碇ユイ。シンジ君の母親よ」
加持が素早く動いて、ふらりと倒れかかるシンジを支えた。
「本当は母の死が理由じゃないのかも知れない。あの人が私のほうを振り向いてくれないからなのかもね。いえ、もうどうだっていいわ。私はレイが憎い。理屈じゃないわ。憎くて憎くて仕方ないのよ」
リツコの目は炎を映しているように爛々と光り輝いていた。その目が下を向く。
「どう、レイ、分かった?」喉を仰け反らせて、狂ったようにリツコは笑った。「あなたなんかいくらでも代わりがいるのよ。でもね、レイ。あなたは絶対死なせないわよ。この光景を刻み付けなさい。心に焼き付けて一生、生きていくのよ」
「リツコ……」
ミサトは理解し、そして慄然とした。リツコの精神の暗さ、その深さに。
なぜリツコがことあるごとにレイ危険な任務を避けるような言動をとっていたのか。
最初の出撃のときからそうだった。リツコはなかなか出撃しようとしないレイを擁護した。
第五使徒戦のときもそうだ。より危険な防御役をシンジに、レイを砲撃手役に推薦したのはリツコだ。
参号機の実験でもレイを搭乗させるのにリツコは最後まで抵抗していた。
すべて、レイを死なせないようにとの意図だったのだ。
復讐のために。
「このバカ!」
ミサトはなおも笑い続けるリツコの元に歩み寄ると、頬を張り飛ばした。ぴしゃりという高い音が静まり返る部屋に響く。
「そう、私は馬鹿よ」打たれた方の頬に手をあて、リツコは俯いた。「どうしようもない馬鹿だわ」
それから、静かに涙を流しはじめた。
何か言おうと口を開いたミサトがよろめいた。突然跳ね上がるように立ち上がったレイとぶつかったのだ。レイはミサトに構わず、出口に向かって走り出した。
「レイ!」
その叫び声も、レイに追いつくことはなかった。そのまま長い廊下を駆け抜け、エレベーターホールに辿り着くとすぐに上ボタンを押した。

132 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 01:40:58 ID:???
幸いにも、ミサトたちが使ったままだったので、すぐに乗り込むことができた。
背中を壁に預けると、ずるずると床にへたり込む。
――見られた。
真っ白になった頭の中を、その想いだけが嵐のように渦巻いていた。
碇君にあれを。あの姿を。
私を。たくさんの私を。
恥ずかしいとか、みっともないとか、そういう感情を超え、ただ衝撃があった。
――知られてしまった。
ナオコが首を絞めるときに言った台詞が、唐突に蘇った。
……あんたなんか、いくらでも代わりはいるのよ。
いざ思い出してみると、なぜ忘れたのか不思議なほどはっきりと耳に残る言葉だった。
長年の疑問が解けた。なぜ、子供の言うことに本気で怒って殺そうとしたのか。
いくらでも代わりがいるからだ。あんなにいるんだから、一人二人殺したってどうってことはない。
レイは笑い出した。
自分でも止めることができない、ヒステリックな笑いがエレベータの中で反響する。
エレベーターを出て、自分の部屋にどうやって帰ったのか、記憶になかった。
気がつくと、バスルームで鏡を見つめていた。
赤い目をした綾波レイが鏡の向こうで冷笑を浮かべている。
そこで我慢ができなくなった。思い切り胃の中身をぶちまけていた。すべて吐いても吐き足らず、胃液まで吐き出した。苦痛のために目尻に涙がたまる。
饐えた匂いが立ちこめる中、喉から笛が鳴くような音を立てながら、蛇口をひねって汚物を始末する。
――とうとう見られたわね。碇君に。
鏡の中のレイがレイに向かって語りかける。
……あなた、知ってたわね。
――もちろん。あなたも知ってたでしょ?
……そう。私も知っていた。けど、忘れていた。いや、忘れさせられていた。
――あなたは、人間じゃない。
……私は、人間。
――人間にスペアはないわ。碇君にも葛城さんにも、セカンドパイロットにも代わりはいない。代わりはいるのはあなただけ。
……。

133 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 01:44:17 ID:???

レイは、こつん、と額を鏡に打ちつけた。
また、打ちつける。
こつん。
代わりがいるのは私だけ。
さらに、打ちつける。
人間じゃない。人間じゃない。私は人間じゃない。
こつん。
碇君に知られてしまった。私が人間ではないことを。
化け物だということを。
化け物だということを。
化け物。
化け物。
「ひっ」
レイは、叫び声を上げ、今度は思い切り打ちつけた。鈍い音とともに鏡が割れた。
額から血が流れ出て、レイの顔をまだらに染める。
赤い血。血? 人間じゃない化物の血。何故赤いの?
頭が割れるように痛かった。
胸がつぶれるように苦しかった。
「痛い……」
レイは呟いた。
「痛い……」
痛いのは傷ついた額ではなかった。痛いのは肉体ではなかった。
「痛い痛い痛い痛い」
痛くてたまらなかった。
苦しくてたまらなかった。
この痛みから、苦しみから逃れるにはどうしたらいいのか。
どうしたらいいのか。
下を見ると、鏡の破片に映る大量の顔がレイを見返していた。
心が決まった。
どうしたら――
レイは自然と破片を手にとっていた。その瞬間からレイの心を占めるものは、右手に握った鏡の破片と、自分の手首だけになった。

134 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 01:47:16 ID:???
「は……」
大きく息を吸った。
大きく息を吐いた。
破片を思い切り握り締めたせいで、手のひらが切れ、血が流れ出してきたが、痛みは感じなかった。これから自分がすることに比べたら、どうでもいいことだからだ。
大きく息を吸った。
大きく息を吐いた。
繰り返すうちに、呼吸は徐々に浅く、速くなっていく。
そしてその呼吸が止まると同時に、手首に押し当てた破片を思い切り――。
チャイムが鳴った。

綾波は肩を大きく波立たせながらドアのほうを見た。
破片を持った手が激しく震えている。
もう一度チャイムが鳴った。
「ひっ」
震えが激しいために、破片を落としてしまった。あわてて拾おうとするがうまく掴めない。
「誰……」
いや、分かっていた。訊くまでもないことだった。
がくがくと笑う膝を叱咤しつつ、幽鬼のように立ち上がる。
どうしよう。これからどうすればいいのだろう。
「綾波」シンジの声が聞こえてくる。「綾波。話をしよう」
いったん切れた気力は容易に取り戻せそうになかった。
特に、シンジの声を聞いてしまったあとでは。
話をする?
いったいどんな顔をして会えばいいのだろう。
このままやり過ごそうか……と考えたそのとき、ドアに鍵をかけてないことに気がついた。
「駄目!」
鍵をかけようとふらつく脚でバスルームから出ると、すでにドアが開きつつあるのが目に入った。
レイは悲鳴を上げて後ずさる。もう間に合わない。
「どうしたの、綾波!?」
悲鳴を耳にして飛び込むように入ってきたシンジだが、血に染まったレイの顔を見て立ちすくみ、息を呑んだ。「綾波! 怪我して……」
「どうして来たの?」レイの悲鳴にも似た問いかけの言葉がシンジのそれを遮る。
「どうしてって……綾波が心配だからだよ。それよりも、手当てしないと……」

135 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 01:50:57 ID:???
「嘘!」
レイはキッチンに放り出すようにして置いてあった包丁を手に取ると、シンジに刃先を向けた。
「こっ……来ないで!」
喉からひっ、ひっとしゃっくりのような音を立て、レイは包丁をシンジに向けたまま後ずさっていく。
「綾波……。その包丁……どうしたの?」
「……?」レイが何を言うのかと不審気な顔をする。少しだけ気持ちが落ち着いたが、そのことには気がついていない。「自分で……買ったのよ」
「そう。じゃあ、料理、作ってるんだね」
「……」
「食べたいな。綾波の手料理」シンジは言いながらじりじりと亀の歩みでレイに近づいていく。「包丁は……そういうことに使うものじゃないよ」
「来るな!」
シンジはぴたりと止まった。
「あなたも心の中で私を笑ってるんでしょう?」
「綾波……」
「人間じゃないって。私が人間じゃないから私の言うことを大人しく聞いてたんでしょう?」
「……」
「偉そうに言ってるけどあいつは人間じゃないって。何人でも代わりがいる化け物だって」
「……」
「化け物だって化け物だって化け物だって」
シンジは首を横に振って、レイを真正面から見つめた。長い時間をかけて結晶化した鉱物のような、澄んだ目線だった。
「そんな目で見ないで!」
レイはなおも後退しようとして、壁に突き当たったことを知った。
「綾波は人間だよ。そんなこと……言うまでもないよ」
「口だけの台詞を吐かないで。あなたの代わりがいる? いないわ。でも私の代わりはいる。これで人間と言えるの?」
「人間だよ」
「人間じゃないわ」
「じゃあ、いいよ。綾波はそう思っていればいい」
「!?」
「僕は勝手に綾波を人間だと思うから」
レイはまるで殴られたように仰け反り、喘いだ。「何それ……」
「本当だよ。僕は本当にそう思ってる。嘘だと思うなら――僕を殺してもいい」

136 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 01:55:40 ID:???
「出来ないと思ってるの?」
シンジは無言でレイを見る。
挑発――レイはそう、受け取った。
「馬鹿にして……!」
頭と、包丁を握り締めた手が真っ白になった。
そしてシンジに向かって突進する――とシンジは思うだろう。
矛先を自分に向けるつもりなのだ。
――その手には乗らない。
レイは高々と両手を振り上げ、切っ先を自分の胸に向けた。
「綾波っ!」
シンジの言葉とともに衝撃がレイを襲い、視界が天井から床に、左右にぶれた。
気がつくとレイは床に座り込んでいた。かすかな呻き声に目をやると、シンジが左手で右手を押さえている。右手からは血が流れていた。
「あ」レイは口を開けて言葉を発しようとしたが、それは形にならない。「ああ」
「うん。大丈夫。大した怪我じゃないから。ちょっと切っただけ。ほら」シンジが右手を見せると、手のひらをやや斜めに横断する形で傷がついていたが、
深くはなく、流れている血の量はそれほどでもなかった。「綾波の額のほうが心配だよ」
レイの全身から緊張が抜け出していった。
「い……碇君……」
レイは必死に口を動かす。
シンジに言う、大事な言葉。
今がそれを言う最後の機会だった。
しかし、やはりまだ何か大きな塊が胸につかえているようで、どうしても出てこない。
今、この一言を言わなければ、自分は多分壊れてしまうだろう。
壊れたくなかった。
レイの、血がまだらに絡みついた顔が大きく歪む。
「わ、わ、わた……わたし……」
極度の緊張から解放されたせいで、まるで雪山で遭難したみたいにガチガチと歯が鳴って言葉が出てこない。
「大丈夫だよ、綾波。さぁ、医務室へ行こう」シンジは立ち上がると、座り込むレイに促すように左手を差し出した。
「なぜ……」レイは、シンジを見上げる。
「え?」

137 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 01:57:08 ID:???
「なぜ、あなたは、私を……私のことを、そんなに……気にかけてくれるの?」
「それは……同じエヴァのパイロット同士だし……」シンジはそこまで言うと急に黙り込み、俯いた。すぐに顔を上げると、大きく息を吸い込んだ。両手をぎゅっと握り締めている。
「いや、それは違う。そんなことが理由じゃない。本当の理由は……僕は、綾波のことが、好きだから」
シンジは膝を床に着き、レイの手を取った。
それから、レイの目をまっすぐ見つめてもう一度言った。
「僕は綾波を、好きだから」
その瞬間、レイの胸につかえていた大きな塊は溶けて、消え去った。
「碇君……私も……」

私も、
私も、
私も――

大粒の涙がぽろぽろとレイの目から零れ落ちていった。
「私も、碇君のことが、好き」
たどたどしく言い終えると、シンジの胸に飛び込んで、子供のように声を上げて泣きじゃくりはじめた。
「大好き」

138 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 01:59:27 ID:???
Epilogue.

レイはATフィールドを反転させた。これでシンジがこれ以上侵蝕されるのは防げる。
――ありがとう、碇君。あなたに会えてよかった。
この間、あれだけ泣いたのに、また涙が零れ落ちてくる。
これが、最後の涙だった。
目を閉じ、決心すると、自爆装置に手をかけた。
「レイ、自爆する気!?」ミサトの叫び声が聞こえてくる。
そう。その通り。これから私は自爆するのだ。
レイは唇に血がにじむほど歯を食い縛った。死にたくはなかった。こんなことを思うは初めてだ。本当は死にたくない。
まだ、シンジと話したいことが山ほどあった。一緒に学校まで歩いていきたいし、料理も教えてもらいたい。
しかし、こうするしか方法はなかった。
シンジが死ぬよりはいい。それに――代わりはいるのだ。
「碇君、さよなら」
――次の私を、よろしくね。
シンジは叫んだ。「さよならなんて言うな、綾波! 絶対ダメだ!」 
「でも、これしかないの」
「そんなことないよ……なんとかなる。いや、僕がなんとかする。だから死んじゃダメだ、綾波!」
なんとかするって、一体どうするのだろう。絶望にレイは首を振る。
「綾波、君の代わりはいないんだから!」
その瞬間、天啓が雷光のようにレイの背骨を貫いた。
これは、何とかなることなのだ。
碇君と、私とで、きっと何とかするのだ。
根拠は何もないが、それは確信を超えて、自明のことのように思えた。
今日の次は必ず明日が来るように。
今日は雨でも、明日も明後日も雨でも、たとえ永遠に降り続くように思えても、晴れの日がいつかは来るように。
「……わかった。待ってるわ、碇君」
レイは手を元に戻して、モニターのシンジに向かって微笑んだ。

それは、綾波レイが生まれて初めて浮かべた、心からの――本当の、笑顔だった。

(了)

139 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/01/10(日) 02:05:26 ID:???
ということで半年近く続いたこのFFもこれで完結と相成りました。
ところでこのFFを書くに当たって2つほどの明確なきっかけがありまして、1つ目は
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/eva/1194401792/27 の

>リツコとシンジをつけた為に自分にはいくらでも替わりがいることを知ってしまって精神崩壊。
>お見舞い弁当(シンジ作)を食べて始めは嗚咽だったのが終いには号泣になって復活&デレ化か。

これを見たときに「何という自分好みのシチュエーション……。これは書くしかない」と、2ヶ月くらいかけてラストシーンと最初の部分を中心に1000行程度書いたものの、
全部で4000行以上は書かないといけないと分かって(実際は4800行ぐらいでした)、「長すぎ。そんなの完結できるわけがない」とやる気をなくし、
書きたいシーンを大雑把ではあるものの書いたという満足感もあり、そのままお蔵入りでした。
それを引っ張り出したのは、2つ目の理由、破を見てテンション上がったため+長いものを書く自信がついたためです。
それにしても、上のスレッドのレス書いた方が読んでてくれたりしたら面白いんですけど、まぁないかなー。

最後まで読んでいただき、感謝の念に堪えません。
お陰さまでというか、内容についてはほとんど後悔がありません。つたない部分、上手くいかなかった部分を含め、100%出し切ったと思います。
一つだけ、エピローグを本編に組み込んで、10年後加持と結婚して子供も出来たミサトのところに結婚式の招待状が届いて……というのをエピローグにしようか、
迷いに迷いました。上のエピローグだと、レイが助かるのか断定してないのがちょっと気になったというか。
まぁ蛇足に過ぎるかと思ったので削りましたが、今でも迷ってます。ってもう遅いけど。

正直こんなに読んでくれる人がいるなんて思いませんでした。(2、3人くらいかと思ってた)
みなさまの応援カキコがなかったら、とてもじゃないですけど終わりまで書けなかったでしょう。

それでは、またどこかで。

作者敬白

140 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/10(日) 02:39:26 ID:???
乙すぎて死ねる

141 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/10(日) 05:59:31 ID:???
UP A REI!(訳:レイがかわいいぜ!)


142 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/10(日) 14:08:48 ID:???
>>139
GJ!!ハラハラしつつすごい楽しませてもらいました

も一つのエピローグも見たかった…

143 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/10(日) 14:12:07 ID:???


144 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/10(日) 15:06:53 ID:???
終わってしまった…

145 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/10(日) 16:16:59 ID:???
半年間お疲れ様です
レイが生存するのかのあやふやな感じが好きだなあ
今年の目標は”なんとかんなる”で過ごしていこう

146 :タン塩 ◆349p5oDd5g :2010/01/10(日) 18:13:48 ID:???
素晴らしい作品を投下ありがとうございました。長いラストも一気に読んで
しまいました。実にいい。

ところで相談なのですが、この作品を『綾波レイの幸せ』に投稿しませんか?
管理人のtambさんが「2ちゃんに自分が直接書き込むのはまずいが、いい作品で
ぜひうちに欲しい」とおっしゃっていたので私が独断で書き込みました。もし
その気がありましたら一度綾幸のページからtambさんにメールしてみて下さいませ。
最後に住人の皆様、余計な書き込みをしたことをお許し下さい。

147 :タン塩 ◆WA.gERG/No :2010/01/10(日) 18:16:34 ID:???
トリップ間違えました。こちらでした。申し訳ない。

148 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/10(日) 18:54:09 ID:???
また読み返す日も来るから、どこかに置いてあると嬉しい
余計な書き込みとは思わない

149 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/10(日) 20:30:51 ID:???
タン塩さん久しぶりに見た

150 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/10(日) 20:44:05 ID:???
綾幸の皆さんには頑張って頂きたい

151 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/10(日) 21:53:38 ID:???
>>139
完結お疲れ様です。

とても楽しませてもらいました。ありがとうございました。

152 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/11(月) 01:31:45 ID:???
こんな素晴らしい話をありがとう
一人目のレイとか数あるLRS-SSの中でも新鮮すぎた
最初はどうなることかと思ったけどレイの心の変化がとても丁寧で
ラストシーンまで違和感なく読めた
感動した 泣いた 乙すぎて何言ったらいいのかわからない
遅くなんてないので気が向いたらエピローグも見せてくれ
ほんと乙でした

153 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/11(月) 10:46:51 ID:???
どうせならもう一つのエピローグを綾幸でやればいいんでね?
このスレの住人なら綾幸にも行ってるだろうし、綾幸へのお土産にもなるだろ。

154 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/11(月) 23:19:49 ID:???
乙でした!!!!
黒レイに押され気味のシンジが最後ものっそい漢前でよかった!
幸せになってくれるんだな?

155 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/16(土) 05:02:39 ID:???
乙でした〜

156 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/19(火) 16:06:22 ID:???
hos

157 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/19(火) 21:28:10 ID:???
半年間お疲れ様でした。
とても面白かったです。
私は長いもの書けないから憧れるなぁ……。

158 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/19(火) 23:06:16 ID:???
短いのなら書けるんだね?じっくり話し合おうじゃないか

159 :157:2010/01/20(水) 02:38:30 ID:???
>>158
前スレでポカ波さん劇場っていうのを書いてましたので、大した話ではありませんがよろしかったらご覧下さいw
あまりの書き込み規制にこの度●を取得しましたので、書き上がったらそのうち投稿します。
……書き込み規制と年度末の忙しさに書き掛けのまま放置プレイしていたら脳内のネタが飛んでしまい、さっぱり指とシンジさんが動きませんが……。


160 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/21(木) 12:22:43 ID:???
シンレイ結婚生活5の初心者772ですけど、こっちにも別物書いても良いのかな?

161 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/22(金) 02:12:10 ID:???
反対する理由はない。存分にやりたまえ。

162 :160:2010/01/24(日) 12:47:50 ID:???
今書いてますので、第1話、今月中になんとか…

163 :つなぎ:2010/01/31(日) 11:35:54 ID:???
>>162さんが書き上げるまでの繋ぎに投下↓↓
※なお、私の発想と文章力の関係で所々不可解な描写があるので注意が必要です

164 :つなぎ:2010/01/31(日) 11:48:41 ID:???
>>163すいません、行が長過ぎて書き込めませんでした……orz

うう……修正してきます

お目汚しをしてしまってすいません

165 :つなぎ:2010/01/31(日) 13:13:14 ID:???
書き込めるかな?

1.

今夜は妙に明るい。午前2時を回ったというのに、月明かりで部屋は薄明かりが点いたように照らされていた。どういうわけか、虫も犬も猫も大人しい。静かな夜。
私は見慣れた白い天井を眺めていた。いや、私は天井など見ていなかった。少し大きめなスクリーンとして、脳内に残るあの日の映像をそこに投影していた。

ヤシマ作戦。私が碇君を守った日。碇君が私のために涙を流した日。それに戸惑う私に笑えば良いと碇君が教えてくれた日。

思えば、私は碇司令以外に笑顔を見せたことがなかった。そもそもネルフの職員とは必要最低限の業務会話ぐらいしかしていない。
勿論、碇君も例外ではなかった。同じ学校、クラス、パイロットであろうと、私は彼に必要以上に接触しようとしなかった。必要だから緊急招集を伝えに学校の屋上に
行ったし、ヤシマ作戦概要を伝えに病室まで足を運んだ。
碇君は積極的とまでは行かないが、どうにか私に接触しようとしていたように思える。教室ではチラチラ私の様子をうかがっていたし、ネルフで一緒になったときも
何かしら話しかけてきた。

どうして彼は私にかまうのだろう。私が同じパイロットだから?

何にせよ、私は人と上手に接する方法を知らない。いくら碇君が私に近付こうと試みても、彼が望む反応を返すことができない。
それにもかかわらず、彼は私に接触してくる。無愛想で事務的な反応しか返してこない私に。他のクラスメイトは二、三度私に話しかけると、その反応の薄さから
諦める者が大半だった。ネルフの中ではオペレーター三人はクラスメイトと同様で必要最低限の接触に留まり、赤木博士は研究や実験の話ばかりで、これも必要だから話
しているに過ぎない。葛城二佐は他に比べたら話かけてくる方だが、あの人は誰に対しても積極的な人だから私を受け入れる器量があるのだろう。

だけど、碇君と碇司令は違う。あの二人は社交的と言える性格とは思えない。不器用で人付きあい苦手な人間に見える。得意でもないのに、どうして私にかまったりするのだろう。

・・・・・・わからない・・・・・・

166 :つなぎ:2010/01/31(日) 13:55:18 ID:???
2.

小鳥がさえずっている声が聞こえる。仮説を立ててはその可能性を否定し、また新しい仮説を立てる行程を繰り返しているうちに、何時の間にか眠っていたようだ。
携帯電話を手に取り、時刻を確認すると午前7時になったばかりなのが分かった。睡眠時間が足りないのは明らかだったが、起きることにした。簡単にシャワーを浴び、
制服に着替えると、私は鞄の中を探った。手帳を探し当てると、開いて今日の予定を確認する。

今日は学校で授業を受けた後、ネルフ本部へ登庁。定期検診を受ける。確認が済むと私は手帳を閉じて鞄に仕舞い、アパートを出て駅へ向かった。
今日は朝日が随分眩しく感じる。睡眠不足のせいだろうか。目をこすり、瞬きをする。余計なことは考えずにさっさと眠るべきだったのだ。歩みを進めながら昨日の自分の
愚行を戒める。

今日は定期検診。そのことを考えると、少し気分が重くなった。あれは疲れる。そもそも何故、二人いるパイロットの内、私だけが頻繁に検査を受けなければならないのだろうか。
赤木博士は私が「特別だから」と言っていたけど、「特別」とはどういうことなのだろう。電車に揺られながら、回らない頭で考える。答えは出そうにない。

3.

授業は4限目に入った。根府川先生は例によってセカンドインパクトの講義を始める。生徒は惰眠を貪ったり、メールで他の生徒と雑談していたりして思い思いの時間を過ごしていた。
私はというと、窓から見える風景を眺めていた。別に他のクラスがやっているドッヂボールに興味があったわけではない。

碇君の視線を感じたのだ。

以前なら彼の視線に気を留めることなどしなかった。自分の容姿が人目を引くのは経験で分かっていたし、放っておけば相手も飽きて視線を逸らすことも知っていた。でも、あの日以来、
彼の視線が妙に気になる。他の人からの視線と違って、嫌な気はしない。でも、どうしてあげれば彼が喜んでくれるのか分からないから、いつも私は窓の外を見て気付かないフリをしていた。

今日もそれは変わらない。

167 :つなぎ:2010/01/31(日) 14:26:12 ID:???
4.

「レイ・・・・・・」
碇司令が私の目の前に立っていた。
「お前は大切な鍵だ」

私が鍵・・・・・・?よく分かりません。

「使徒を倒し、契約を満たすのだ。お前はそのためにスペアまで用意して生かされている」

その通り。私は契約を満たすために生まれ、使徒と戦うために生かされているのですもの・・・・・・。

戦えなくなったら私はどうなるのだろう・・・・・・怖い・・・・・・。

少なくともあの人は私は必要としなくなるだろう。私には存在理由が必要だ。

だって私には・・・・・・


・・・唐突に私は現実世界に引き戻された。筋肉の収縮による衝撃が私を目覚めさせたようだ。教卓に目をやると、根府川先生は既に居なかった。教室の掛け時計によると、
今は授業とホームルームの合間らしい。

あまり良い夢ではなかった。首筋に汗が浮かんでいる。私は肩の辺りで首を拭い、渇いた喉を潤そうと、廊下の冷水機に向かった。磨き上げられたスチール製のシンクに私
の顔が映る。

・・・・・・あなたには・・・・・・

シンクの中の私が何か言おうとしたので、私はペダルを踏んで水で流した。自分でも分かっていることなのに、はっきりと言葉にしてしまうのが怖い。
私は覚束ない足取りで自分の席へ戻り、ホームルームが始まるのを待った。


168 :つなぎ:2010/01/31(日) 15:14:27 ID:???
5.

ホームルームが終わり、クラスメイトは各々自分のグループに分かれて談笑を始めた。私は早々と荷物をまとめ、席を立った。元々、話をするような相手もいないし、
今日は用事がある。いつもより少し速いテンポで私は教室を横切り、廊下へ出た。

まだ放課後になったばかりのせいか、校庭の人通りはまばらだった。真面目な野球部は既に着替えを済ませ、ランニングを始めていた。疎開のせいで部員が3人に
なってしまったのに、彼らの情熱は一向に冷めない。あれでは試合はおろか、練習もままならないだろうに。

彼らのそんな姿を立ち止まって見ていると、背後から走ってくる足音が聞こえてきた。4人目の野球部員が現れたのだろうかと思って振り返ると、
走ってきたのは碇君だった。もう少し来るのを早くすれば野球部でもやっていけそうだ。

「碇君、野球部に入ってみたら・・・・・・」
私はふと、思ったことをそのまま口に出してしまった。
「野球部?えっと・・・・・・なんのこと?」
案の定、碇君は首を傾げた。
「いいの、何でもないから・・・・・・」
これ以上突き詰められると困る。中身などない発言だったのだから。
「そっか、それなら良いんだけど」
碇君は追及しないでくれた。やっぱり彼は優しい。

169 :つなぎ:2010/01/31(日) 15:16:23 ID:???
6.

「綾波、今日はもう帰るの?」
碇君が歩き始めた私にためらいがちに訊ねてきた。
「いいえ、本部に行かないと」
嫌な検査が私を待っている。
「そうなんだ」
私の答えを聞いた碇君は嬉しそうな顔をした。
「僕もミサトさんの着替えを届けに行くんだ」
「そう・・・・・・」
「うん、ミサトさん、最近忙しくて家に帰ってこれないんだ」
「そう・・・・・・」
「・・・・・・え〜っと・・・・・・」

校門を出る前に私たちの会話は途切れてしまった。お互い無言のまま駅まで歩いた。碇君は気を揉んでいたようだったけど、私は心地好かった。碇君の隣は暖かくて
居心地が好い。そうか、こうすれば良かったのね。もっと前から知っていれば良かった。もっと素直に彼に接触すれば良かったのだ。常に理想的な対応をする必要
なんて無かった。失敗ばかりでも、とにかくぶつかっていけば良かったのだ。
私は今、素直にこのままもっと碇君と一緒に居たいと思える。

170 :つなぎ:2010/01/31(日) 15:48:09 ID:???
7.

ネルフ本部行きの電車には殆ど乗客が乗っていなかった。まあ、ネルフ職員以外が本部に行くことは緊急時を除いてあまり無いだろうし、夕方から出勤する人も多く
ないから当然と言える。私たちは手近な席に座り、電車が動き出すのを待った。

「ねえ、綾波。ミサトさんが昇格したの知ってる?」
電車が動き出すと、碇君は不意に話を振ってきた。
「葛城二佐が?」
「一佐になったんだって。きっとヤシマ作戦の功績が認められたんだね」
碇君は嬉しそうだ。まるで自分のことのように。
「碇君の、おかげね」
「そ、そんなことないよ・・・・・・」
碇君は顔を赤くした。
「綾波が・・・・・・守ってくれたから・・・・・・」
碇君は顔を赤くしたまま俯いた。
「それが、私の役目だったから」
「でも、綾波のおかげだよ。綾波が零号機で守ってくれたから僕らは生きてる」
碇君は顔を上げて私を見た。
「私はエヴァに乗って戦わなければならないから・・・・・・」
私は目を伏せた。エヴァに乗らないと私は存在価値を失ってしまう。

だって・・・・・・

「だって私は・・・・・・」
その先を言おうとして、私の思考は立ち止まった。

・・・・・・自分はエヴァに乗るしかないって、そんなこと言うなよ・・・・・・

蘇るあの日の碇君の言葉、涙、暖かさ。やっと思い出した。もうこんな考え方をしてはいけないのだ。エヴァに乗ること以外で私を規定する何か・・・・・・まだ
見つけてはいないけど、きっと見つける。碇君にも手伝ってもらおう。



171 :つなぎ:2010/01/31(日) 15:56:42 ID:???

「綾波?」
顔を上げると碇君が私を見つめていた。
「着いたよ」
何時の間にか電車はネルフ本部に着いていた。ドアが開くと、碇君が先に立った。私も後に続こうと、立ち上がろうとした。が、疲労のせいか私はバランスを崩した。
「綾波、大丈夫?」
とっさに私の手を取った碇君が心配そうに私の顔を覗き込む。
「ええ、大丈夫」

あなたがいるから

この手があるから

私はきっと大丈夫

その時、私は自然に笑えた気がした。





とりあえず着地 うわあ、えげつないくらいにレス連投してしまった・・・orz すいません・・・


172 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/01/31(日) 18:11:35 ID:???
投下乙
悪くない作品だから、言い訳などせず堂々とうpしたまえ

173 :160:2010/02/02(火) 09:57:17 ID:???
つなぎさんありがとう&乙です
感動したっ!

身内に不幸があって1週間家を空けてました
もうちょっと掛かりますのでよろしくおねがいします

174 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/03(水) 10:28:33 ID:???
エヴァ板良スレ保守党




175 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/03(水) 12:21:35 ID:WtdT5XOP
1~23番の二次創作小説SS(Side Story)のコミケや通販予定はないでしょうか?

1. 初恋ばれんたいん スペシャル
2. エーベルージュ
3. センチメンタルグラフティ2
4. ONE 〜輝く季節へ〜 茜 小説版、ドラマCDに登場する茜と詩子の幼馴染 城島司のSS
茜 小説版、ドラマCDに登場する茜と詩子の幼馴染 城島司を主人公にして、
中学生時代の里村茜、柚木詩子、南条先生を攻略する OR 城島司ルート、城島司 帰還END(茜以外の
他のヒロインEND後なら大丈夫なのに。) SS
5. Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSS
6. ファーランド サーガ1、ファーランド サーガ2
7. MinDeaD BlooD 〜支配者の為の狂死曲〜
8. Dies irae
9. Phantom of Inferno
END.11 終わりなき悪夢(帰国end)後 玲二×美緒 SS
10. 銀色-完全版-、朱
『銀色』『朱』に連なる 現代を 背景で 輪廻転生した久世がが通ってる学園に
ラッテが転校生,石切が先生である 石切×久世 SS

176 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/03(水) 12:22:22 ID:WtdT5XOP
11. TYPE-MOON
(1) 逆行最強化断罪スーパー慎二がペルセウスを召還する SS
(2) 凛がイスカンダルを召還するSS
(3) 逆行最強化慎二 OR 四季が 秋葉,琥珀 OR 凛を断罪する SS
(4) 憑依最強化慎二 OR 四季が 秋葉,琥珀 OR 凛を断罪する SS
12. ゼロの使い魔
(1) 原作知識有 助演 憑依転生最強化SS
(ウェールズ、ワルド、ジョゼフ、ビダーシャル)
(2) 原作知識有 オリキャラ 憑依転生最強化 SS
(タバサ OR イザベラの 双子のお兄さん)
13. とある魔術の禁書目録
(1) 垣根 帝督が活躍する OR 垣根帝督×麦野沈利 SS
(2) 原作知識有 垣根帝督 憑依転生最強化 SS
(3)一方通行が上条当麻に敗北後もし垣根帝督がレベル6実験を受け継いだら IF SS
14. GS美神
(1) 逆行最強化断罪 横島×ダーク小竜姫のSS(非ハーレム 単独カップリング ルシオラ も除外)

177 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/03(水) 12:23:46 ID:WtdT5XOP
15. EVA
(1) 逆行断罪スーパーシンジ×2番レイ(貞本版+新劇場版)のSS
(2) 一人目のレイが死なないで生存そのまま成長した一人目のレイが登場する(二人目のレイは登場しない)
P.S
エヴァンゲリオンのLRSファンフィクションで、レイの性格は大体二つに分かれます。
1.白痴幼児タイプのレイ
LRSファンフィクションで大体のレイはこの性格のように思えます。
白痴美を取り越して白痴に近いレイであり、
他人に裸や下着姿を見せてはいけないという基本的な常識も知らず、
キスや性交等、性に関する知識も全然無いか、それともほとんどありません。
このタイプの場合、逆行物では、シンジがレイに常識や人間の感情等を一つ一つ教えていくという「レイ育成計画」になってしまいがちです。
このタイプは、アニメのレイに近いと言えるでしょう。
2.精神年齢が高く、大人っぽいレイ
1番の白痴幼児タイプとは違って、他人に裸や下着姿を見せてはいけないという
基本的な常識くらいはあり(見られたとしても恥ずかしく思ったりはしないが)、
キスや性交等、性に関する知識は理論的に知っており、自分の自我が確立している、
(命令には絶対服従だが)感情表現がより豊富です。
このタイプの場合、 コミックスのレイに近いと言えるでしょう。

178 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/03(水) 12:24:42 ID:WtdT5XOP
16. BlackCat
イヴ×リオンのSS
17. 鬼切丸
鬼切丸×鈴鹿のSS
18. MURDER PRINCESS
カイト×ファリスのSS
19. 式神の城
玖珂光太郎×結城小夜 OR 玖珂光太郎×城島月子のSS
20. 大竹たかし DELTACITY 全2巻
21. ヴァンパイア十字界
蓮火×花雪 OR 蓮火×ブリジット
22. 地獄少女
(1) 不合理な 地獄少女の被害者(e× 看護婦,1期の看護婦、2期の 拓真を助けに来てくれた若い刑事,秋恵) 家族・恋人が 地獄通信に 地獄少女と仲間たちの名前を書くSS
(2) 極楽浄土の天使 OR 退魔師が 地獄少女と仲間たちを断罪するSS
(3) 拓真の 地獄少年化SS
二籠の最終回で拓真が地獄少年になるのかと思ってたんですが・・
地獄少年 ジル : 所詮この世は弱肉強食。 強ければ生き弱ければ死ぬ。
拓真 : あの時誰も僕を守ってくれなかった。
守ってくれたのはジルさんが教えてくれた真実とただ一振りの超能力
・・・だから 正しいのはジルさんの方なんだ。
23. 真・女神転生CG戦記ダンテの門
ダンテ× ユーカのSS


179 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/16(火) 19:14:47 ID:???


180 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/25(木) 19:34:50 ID:???
しゅ

181 :夏厨:2010/02/27(土) 06:32:04 ID:???
>>160 です、遅くなりました
始まりがイタモノっぽいし、微妙に長くなりそうですがよろしくです

182 :夏厨:2010/02/27(土) 06:37:16 ID:???
「敵シールド、ジオフロントへ侵入!」
「第2射、急いで!」
「ヒューズ交換、再充填開始」
「銃身冷却開始」
「目標に再び高エネルギー反応!」
「マズいっ!」
「ああぁ!」
「シンジ君!」
「綾波!」
「盾がもたない!?」
「まだなの!?」
「後10秒っ」
「早く…、早く…、早くっ!!!」
「いよっしゃあっ!」

「ミサトさん、綾波が…」

-----【零章・喪失】-----

183 :夏厨:2010/02/27(土) 06:39:32 ID:???

熱に耐えきれずに融解した零号機が横たわっている。
無理矢理引き抜かれたエントリープラグは焼け焦げて拉げ、ハッチの隙間からLCLが漏れ出している。
「綾波っ!うああああああっ!」
初号機から転がり出るシンジ。
目の前の絶望的な光景に我を忘れ、零号機のエントリープラグにとりつく。
「ウゥ…ウゥゥ…」
ハッチの開閉レバーを握ると、猛烈な熱さがシンジの両腕を襲う。
それでも強引にプラグを抉じ開ける。
ハッチが開くと同時に溢れ出す煮え立ったLCL。

「綾波!大丈夫か!綾波!」
暗いプラグを覗き込むシンジ。
咽るような匂いの湯気に霞んで中がよく見えない。
「綾波…」
身動きひとつしない白いプラグスーツが横たわっている。
シンジは急いでプラグから彼女を引き摺り出そうとする。

後ろからヘリのエンジン音。
次々と降りてきた救護隊や保安部、諜報部の何人もの男達が、引き剥がすようにシンジをレイと零号機のエントリープラグから遠ざける。
「あぁぁぁ…」
声にならないシンジの嗚咽。
今、肩と腰を抱き寄せながら少しだけ触れたその綾波の身体は、もう綾波ではなくなっている事を告げていた。
「僕を守るなんて…」
「僕が死なないなんて…」
やっと吐き出した言葉は、シンジの慟哭。
「自分には他に何も無いなんて、そんなこと言うなよ…」
「別れ際にさよならなんて、悲しいこと言うなよ…」
そのまま気を失うシンジ。

184 :夏厨:2010/02/27(土) 06:41:08 ID:???

作業する男達の無線。
力のない声で指示を出すリツコ。
「赤木博士…」
「プラグは回収、関係部品は処分して。」
「了解、作業、急げ!」

「…レイ、…シンちゃん」
電波障害から復帰したモニターでその詳細を見ていたミサトがつぶやく。

「碇…」
「…」
静まり返った発令所の広い空間を、冬月コウゾウの声が微かに木霊した。


病室のベッドの上で意識を失って、もう7日間眠り続けるシンジ。
傍らの硬いパイプ椅子に座るミサトは苦悩していた。
自らが指揮した「ヤシマ作戦」は事実上成功。
多くの被害と犠牲の中、第5使徒を殲滅。
零号機・初号機とも大きく損壊はしているが、1週間もすれば80%以上は修復されるという。
「問題はファーストチルドレン…」
そう、シンジがここに眠り続けている理由も「綾波レイ」に依る処だ。
あれだけの戦いの後そんな事実を知らされたら、シンジでなくても精神に絶望的なダメージがないはずがない。
今、ファーストチルドレン・綾波レイは…。

185 :夏厨:2010/02/27(土) 06:42:20 ID:???

プシュッ
ミサトが思考のループに陥っている背後で病室のドアが開く。
「葛城一尉、赤木博士がお呼びです」
「あぁ、マヤちゃん、リツコ戻ったの?」
「はい、研究室までお越しくださいとのことです」
「そう…、マヤちゃん、またシンちゃんの事お願いしていい?」
「はい、博士からもそう言われて来ました」
「シンちゃんの容態は良好よ、問題は意識がいつ戻るかだけだから」
「わかりました、何かあったらすぐにお知らせします」
「悪いけどお願いね、なるべく早く戻るから」
「少しゆっくりしてください、一尉」
「ありがとう、寝てるからってシンちゃんを襲っちゃダメよ?」
「そんな…一尉…」
「冗談よ、ジョーダン、ヨロシクねん♪」
「は、はい…」
床に投げ出したままだったジャケットを無造作に着て、つとめて明るく振舞いながらミサトはシンジの病室を出ていった。
マヤは「ふぅっ」と溜息をついた後、シンジの身体を拭くために用意された小さめのたらいにお湯を作る為に給湯室に向かう。

シンジが倒れてからの一週間、マヤは冬月副司令の命でミサトと交代にシンジの世話をしていた。
栄養剤の投与で食事の心配はなく、糞便の処理などは看護師が行っている。
特別何かをしてあげる必要は何もないのだが、マヤの性格上何もしないという事に堪えられない。
それをミサトに相談すると、「横にいて、シンジ君が起きたら私に報告すればいいだけよ?でも…そうね、お風呂に入れてあげられないから身体でも拭いてあげてくれるかな?」と言われた。
当初当惑したが、元来律儀すぎるマヤは2日目にはそれを任務として過ごす事に矛盾は感じなくなっていた。
発令所に戻ると、シンジの世話を焼くその自分の姿を思い出して苦笑もするのだが。

186 :夏厨:2010/02/27(土) 06:43:52 ID:???

「今日もここで寝なくちゃダメかな?」
ミサトが出て行った今は、碇司令かリツコの指示が出ない限りマヤはシンジのそばを離れることが出来ない。
使徒の襲来の際はその限りではないだろうが。
固く絞ったタオルでシンジの華奢な身体をなぞる。
病衣の下の筋肉が昨日よりまた落ちてしまっている。

「こんなに細い身体であんなものに乗って…」
目の前の少年に使徒という得体の知れぬ敵の殲滅を任せなくてはならない自分達の許しを請うように、マヤは優しくシンジの身体をなぞる。
「シンジ君…このまま…目を覚まさないなんて事ないわよね…」
心の奥にある不安を口にしてみる。
「レイちゃんもICUから出られないみたいだし…、さあシンジ君綺麗になったわよ、早く目を覚ましてね」
言って自分の心のざわめきを感じる。
それはつかみどころのない不安。

病室の照明を落とすと、それはマヤの心を孤独にする。
疲労しているのはマヤも同じなのだろう。
自分の孤独を埋めるように横たわるシンジの手に優しく触れながら、マヤはいつの間にか眠りに落ちた。


つづく

187 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/27(土) 14:55:59 ID:???
投下キター
期待してます!

188 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/27(土) 23:07:46 ID:???
投下キター
ってまさかいきなり二人目お亡くなりですかorz
続きに期待。

189 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/02/28(日) 22:18:02 ID:???
規制すごくてなかなか書き込めなかったけどつなぎの方
超乙でした!!新劇っぽい雰囲気に身悶えた

それからぽか波さん!!超ファンです
がんばってください!

夏厨さん連載乙!

破の発売に向けてまた賑わっていくことに期待

190 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/01(月) 03:37:29 ID:???
テスト

191 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/04(木) 14:11:27 ID:???
規制解除かな?長かったー。皆さん乙です。

192 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/04(木) 18:11:45 ID:???
綾幸に投下来てるね

193 : ◆IE6Fz3VBJU :2010/03/05(金) 02:20:58 ID:???
えーお久しぶりです。
タン塩さんのお勧めの通り、「綾波レイの幸せ」に投稿することにしました。
つきましてはもう一つのエピローグと(まぁ大したことないんですが)、シンジ視点のコメディっぽい、いや「ぽい」というより完全コメディの後日談を付け加えました。
掲載されるのは来週頭ぐらいになるだろうとのことです。よろしければ見てやって下さい。
ではでは。


194 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/05(金) 05:39:52 ID:???
黒レイ楽しみだ
夏厨氏も引き続き頑張って頂きたい

195 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/05(金) 09:32:27 ID:???
まさかの黒波さんキターーーーーーーー

196 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/05(金) 09:41:14 ID:???
キタ━━━(゜∀゜)━━━!!

197 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/05(金) 11:00:46 ID:???
グレイきたのかwwwwwwグレイ待ってるよグレイwwwww

198 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/05(金) 20:41:36 ID:kY6Sdyho
乙です!

199 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/06(土) 12:05:04 ID:???
おお、いいね、ここもいいところだけど、ちゃんとしたサイト持ってるところにアップした方がss作家としては今後が良いと思います。
新作楽しみにして待ってます。

200 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/06(土) 19:58:08 ID:???
綾幸のぞいて来たが、分量が多いから来週頭は厳しいってさ

201 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/07(日) 02:04:51 ID:???
グレイ超乙!!!!!!
またグレイに会えてうれしい

夏厨氏もポカ波氏も楽しみにしてます

202 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/09(火) 07:00:56 ID:???
綾幸にグレイキター

203 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/10(水) 17:46:29 ID:???
綾幸でグレイ(一人目は笑わない)を最初から読み返したがやはりいいな。
最初の頃のドSなレイがどんどん可愛くなっていくのが無理なく読める。
おまけのラブコメは吹いたww

204 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/15(月) 06:58:45 ID:???
「一人目は笑わない」を通して読んだ。
ここに掲載された時より少し推敲されてる?
リアルタイムで読んだ時も良かったが、
まとめて読むと二度目でも結構緊張する。

205 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/15(月) 18:38:18 ID:???
通りすがりだが投下しておk? 短いが…

206 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/15(月) 18:39:28 ID:???
改めて読んでも最初の頃のレイのエグさはハンパないもんな

207 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/15(月) 18:40:21 ID:???
>>205
構わん、やりたまえ。

208 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/15(月) 19:00:54 ID:???
稚拙でもおk?

209 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/15(月) 19:32:55 ID:???
誰でも最初は素人さ

210 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/15(月) 20:10:20 ID:???
じゃぁ遠慮なく

211 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/15(月) 20:15:17 ID:???
真夏の常夏。気温が下がることのない日々。セカンドインパクトの名残は今も残り続けている証に、強い陽射しは照ること以外知らないかのようにその自身の存在を映し出している。
紅く染まりあげた海面にも惜し気もなく爛々と照りつける様は不思議と威風堂々しているようにも感じられた。

「こんなに暑いのに季節は12月か。本当にセカンドインパクト前は寒かったのかな……」

納得いかない、と愚痴を零しながら点々とアスファルトに黒い染みを残していく。流れ落ちる汗が邪魔で仕方ない。
ハンカチを出せばいい。確かにそうかもしれない。だが残念なことに、買い物袋で両手は塞がっている現実。今は為す術もなくただ歩いていくだけであった。

「にしても酷いよなアスカもミサトさんも。材料ぐらい買ってきてよ……いや無理か」

たとえ買ってきたとしても要らないものが沢山増えること間違いない。生活費を握ってる身としては不安が募るばかりだ。
きっとビールにお菓子などキリがない。下手をすれば新商品だからと言って、なんでもかんでも買う可能性もあるだろう。

「なんか損な役回りだなぁ……」

いまさら何を言ってるんだ、と苦笑いしながら兄のように慕ってる彼を思い出す。

「ホント、いまさらですね」

自分でも苦笑しながら角を曲がる。ふと先に、見慣れた蒼髪を見かけた気がした。

「綾波……?」

見慣れた制服姿、そして蒼髪に白磁器のような肌。間違いない綾波だ。


212 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/15(月) 20:17:11 ID:???
「綾波ー!」

「……碇くん」

振り向いた彼女は、目をパチクリさせながら何でもないように零す。

「どうしたのさ? こんなとこで会うなんて珍しいね」

普段外で見かけない分こんなことを漏らす。
ふと、日傘いらないのかなぁと考えてしまう。

「散歩」

「……へっ?」

「散歩してるの」

いきなりだったもので素っ頓狂な返事をしてしまった。恥ずかしいと顔に朱を差す頬を掻く。

「そ、そうなんだ。僕は買い物。重いのにアスカもミサトさんも手伝ってくれなくてさ」

213 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/15(月) 20:17:52 ID:???
ははは、と乾いた笑いをしながらつい愚痴を零す。
すると目の前に差し出された手。
目を白黒させついつい手を凝視してしまう。

「荷物……」

「……? 碇くん?」

なんのことかと合点するのに数秒を要した。

「あぁっ! もしかして持ってくれるの?」

コクンと頷く彼女。

「じゃぁ片方お願いできるかな?」

差し出す荷物、軽く触れた手にドキリとしながら荷物を渡す。
じわりと熱を持つかのように触れた部分が熱くなる。

「綾波、手が赤いけどやっぱり重かったかな?」

「そう……大丈夫だから」

イマイチ掴めない返事をしながら共に歩く。

暑さはかわらず、夏の面影を残したまま今年の冬が続いていく。騒がしく蝉もただ、いまはそれに身を任せていく。会話もなく、けど不快でない。ただ家に着くための帰路、一緒に歩いているだけ。

日常の一ページ。

アスファルトに二つの黒い染みを点々と跡を付けながら。

214 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/15(月) 20:19:40 ID:???
以上で終わりです。
ただ終わり方がイマイチなのは即興なのであしからず。

215 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/15(月) 20:45:25 ID:???
なかなかいい作品だから言い訳せずに堂々と投下したまえ

216 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/16(火) 18:59:02 ID:???
短編としてはかなり良かったと思うよ。二人の何気ない距離感とかが良く出てたと思う。
これからも書いてくれたらうれしいな。

217 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/03/26(金) 05:32:03 ID:???
ほす

218 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/04/05(月) 17:36:05 ID:???
ひたすら投下待ち

219 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/04/12(月) 15:58:44 ID:???
綾幸って掲示板にも短編投下来てるのな
気づかなかったわ

220 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/04/12(月) 18:14:24 ID:???
なんてもったいない…

221 :夏厨:2010/04/13(火) 01:27:59 ID:???
規制長いな、やっとイケそうかな?
もうちょっとで続きできますが、既に需要がないかも?
よろしければがんばります

222 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/04/13(火) 02:19:40 ID:???
>>221
見てるぞ、頑張れー!

223 :名無しが死んでも代わりはいるもの:2010/04/14(水) 19:15:10 ID:???
待ってる、頑張れ!!

224 :夏厨:2010/04/22(木) 01:51:37 ID:???
そろそろいきます
推敲してないし、まだ主役がマヤちゃんですがw
ちゃんとLRSにしますんで許してください

225 :夏厨:2010/04/22(木) 01:53:41 ID:???
(・・・この娘をここにもう一度戻しても司令を喜ばせるだけ)
(・・・私がここで全てを壊せばそれでお終い)
(・・・私に出来ることは何だろう、私は何をしているのだろう)

-----【壱話・人がつくりしもの】-----

「レイ、私がわかる?」
「赤木・・・博士・・・」
「さあ、そこにある服を着て、碇司令のところまで行くわよ」
「・・・はい」
リツコは目を覚ましたレイにそう言うと、手にしていたコーヒーカップをデスクの上に置いて立ち上がる。
既にレイを再生して3日目。
シンジが昏睡のまま戻らない事から、いつ来るとも知れない使徒の襲撃に備えて碇ゲンドウの指示は「とにかく急げ」と言うものだった。
(まだ早すぎるかもしれない、体力も・・・精神の構築もまだ・・・)
リツコの心に不安が過ぎるが、あの第三使徒の襲撃の際にもゲンドウは手負いのレイを出撃させようとした事を思えば当然の事なのだろう。

226 :夏厨:2010/04/22(木) 01:55:14 ID:???
古びたエレベーターの中、レイはリツコの後ろに朦朧と立っている。
見覚えのある光景、聞き覚えのある音。
「碇・・・くん・・・」
エレベーターの音にかき消され誰にも聞こえない声で、レイはそう呟いた。

「着いたわよ、早くいらっしゃい」
エレベーターが止まりドアが開くと、薄暗いロビーに脚をなげたリツコはそう言ってさらに真っ暗な廊下を進む。
「司令、ファーストチルドレンをお連れしました」
ゲンドウの執務室のドアの前に立ちリツコは言う。レイは無表情でその後ろにいた。
「入れ」
冷たい金属質の扉の奥から聞こえる声。同時にその扉が「プシュッ」と音を立てて開く。
「失礼します」
何歩か踏み出してゲンドウの姿を確かめるリツコ。
デスクに肘を突き両手を口の前で組む姿勢で、ゲンドウはこちらを睨みつけているように見える。
「何をしてるの、レイ?入りなさい」
入り口で立ち止まっているレイをリツコが急かす。レイはゆっくりとその部屋に入った。


227 :夏厨:2010/04/22(木) 01:57:34 ID:???
「司令、今のところファーストチルドレンは・・・」
言いかけたリツコを無視するように言動が眉を上げる。
「レイの状態に異常はないか?」
少し躊躇してからリツコは事務的に応える。
「…問題ありません」
眼鏡の奥のゲンドウの瞳が微笑むように見えたのはリツコの思い過ごしだろうか?


「そうか…、すぐに戻って現在のレイの記憶データを明日までに報告しろ」
「判りました」
「明日の旧東京の鉄くずの件は赤木博士は行かなくていい、葛城君に行かせろ、以上だ」
「はい」
リツコはゲンドウの安堵したような表情に少し苛立ちを覚え、あえて問いかける
「…司令」
「どうした」
「サードチルドレンの回復、思わしくないようですが」
「問題ない、使えなければ取り替えればいい、代わりの予定は繰り上げた、来るまでレイを戦闘待機できるようにしておけ」
「はい」
そんな言葉でゲンドウを動揺させる事など出来ない自分に苦笑するように、リツコは返事をして執務室から出る。

228 :夏厨:2010/04/22(木) 01:58:54 ID:???
「行くわよ、レイ」
「…」
何も言わずリツコの後を歩くレイ。
「赤木博士・・・」
思いの堰を切ったかのように、レイが問いかける。
「どうしたの、レイ?」
「…教えてください」
「…」
「サードチルドレンはどうなったのですか?」
「あなた、シンジ君に興味があるの?面白いわね、シンジ君は身体はもう大丈夫よ」
「何処にいるのですか?」
「今は眠っているわ、昏睡状態、いつ意識が戻るかは彼の気力次第ね」
「…」
「どうしたの?会いたいの?」
「…判りません」
「今は会わせるわけにはいかないわ」
「…」
暗い廊下での会話は、冷たく無意味に二人の足音にかき消されていった。

229 :夏厨:2010/04/22(木) 02:01:40 ID:???
早朝、シンジの病室。
似合わない軍帽をつけたミサトと、交代に来たマヤ。
「レイちゃん、無事だったんですね」
「…あの状態で、信じられないわね」
「でも良かったです、シンジ君が目覚めたらきっと喜ぶと思う」
「そうね、そうだといいわね」
「シンジ君があの時プラグから引き出したおかげですね」
「ほんと、そのせいでこんなになっちゃったんだけど…」

途切れる会話。
重い空気を切るようにミサトは襟を正す。
「じゃあマヤちゃん、今日は丸一日シンジ君の事任せるわよ?」
「葛城一尉、いつ戻られるのですか?」
「日付が変る前までには来るから、あんなところに長くいたってつまらないものね」
「お気をつけて、シンジ君の事は大丈夫ですから」
「ふふふ、すっかり板についたって感じね?いっそのことシンジ君の保護者の件、マヤちゃんに押し付けちゃおうかしら」
「そ、そんな事無理ですよっ!」
「いや〜ね、冗談よ、んじゃちょっくら行って来ますか〜♪」

230 :夏厨:2010/04/22(木) 02:03:06 ID:???
病室を出るミサト。廊下に誰かいる。

「レイ?何してるの?」
「…」
「シンジ君の事が心配で来たの?」
「…」
「もう、何か言いなさいよ、シンジ君なら今は面会謝絶よ?リツコか司令に許可を貰いなさい」
「…わかりました」
踵を返して去るレイ。

「何よあの子、でも心配するなんて気持ちがあの子にもあったんだわね」
独りごちるミサト。
「リツコを問いたださなきゃ、レイの事も、それになんだか知らないけど今日のお披露目だかもドタキャンするし」
不満げにしながらも、軍帽を直す仕草で旧東京へ向かうミサトだった。

231 :夏厨:2010/04/22(木) 02:04:32 ID:???
「レイ、あまり歩き回らないでちょうだい」
リツコの研究室。ミサトからの報告でレイがシンジの病室の前にいたことを知り少しイラつく。
「多少の記憶は残っているようね、でもそれはあなたの記憶じゃないの」
「・・・」
「あなたが今しなきゃいけないことはセカンドチルドレンが来る前にエヴァとのシンクロ率を上げておくことよ、サードチルドレンがあの状態なんだからセカンド一人で使徒と戦わせる訳にはいかないんだから」
「・・・」
レイが少し眉を顰めた気がした。
「どうしたの?何か言いたい事でもあるの?」
レイの様子がおかしい。
「サードチルドレン・・・碇君・・・初号機パイロット」
「?」
「・・・碇司令の息子」
レイの瞳から涙が溢れ出す。
「あなた、泣いてるの?」
「・・・わからない」

(どうしたのかしら?データとしての記憶以外この子には何もないはずなのに・・・)
「今日は送ってあげるわ、自分の部屋に戻りなさい」
「・・・はい」
リツコの研究室を出る二人だった。


つづく

232 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/04/22(木) 07:49:58 ID:???
otu

233 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/04/22(木) 20:25:34 ID:???
乙。
第五使徒でレイが死んじゃった分岐かな?シリアスっぽいのでこれからシンジがどうなるのかワクテカしてます。

234 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/04/29(木) 22:56:28 ID:???
ヾ(*'-'*)

235 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/04/30(金) 18:12:14 ID:???
わくわく

236 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/05/11(火) 22:48:19 ID:???


237 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/05/24(月) 07:53:01 ID:???


238 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/05/30(日) 16:43:25 ID:???
hosyu

239 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/01(火) 22:14:04 ID:???
エヴァ板良スレ保守党




240 :夏厨:2010/06/03(木) 09:43:09 ID:???
解除?

241 :夏厨:2010/06/03(木) 09:44:21 ID:???
じゃ、がんばってみる
月中旬には続きを…

242 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/03(木) 15:17:47 ID:???
待ってる

243 :落ち着いて:2010/06/06(日) 06:52:16 ID:???
LRS小説

244 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/07(月) 17:49:15 ID:???
まだ?

245 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/08(火) 13:11:39 ID:???
まだ上旬だろう

246 :JUN:2010/06/08(火) 20:54:17 ID:???
保守だと思ってください。綾幸のJUNです。

「綾波、綾波、起きてよ」
「ん……」
 レイが気だるい声を上げる。ころんと寝返りを打ち、また眠ろうとする。
「ちょっとちょっと綾波、起きなきゃ遅刻だよ」
「後五分……」
「綾波、もう九時なんだってば」
「え!?」
 急にレイが起き上がり、きょろきょろと辺りを見回す。
「何ですぐ起こしてくれなかったの……」
「起こしたよ。そのたびに綾波、あとちょっと、後五分ってさ」
「……いいわ、最初の講義は休む」
「綾波い……」
 ぽとんとベッドに横たわってしまったレイに、シンジは情けない声を上げた。
「揃って講義休んだら、またからかわれるよ」
「問題ないわ。あなたとの噂なら」
「綾波、大体眠りすぎだよ。いっつも僕の部屋に来るたび……」
「それは碇くんが悪いわ。いつまでも眠らせてくれないんだもの」
「い、いやその、だって綾波が悪いんじゃないか。裸の上にワイシャツだけで僕のベッドに潜り込むなんてさ、卑怯だよ。そんなの」
「だって、碇くんがパジャマを買ってくれないから」
「い、いやそれは」
「それに、裸シャツを可愛いって言ったのは碇くんだわ。“かわいいよ、綾波……”って」
「う……」
 言葉に詰まってしまったシンジに、レイはさらに続ける。
「私はいつも講義に遅刻するって言ってるのに、碇くんは毎回構わないって、最初の講義は休めばいいって」
 

247 :JUN:2010/06/08(火) 20:54:58 ID:???
 言うとすぐにシーツを被り、眠りにつこうとする。しかしシンジはつかつかとベッドに歩み寄り、
「……綾波、さっきから聞いてれば随分言いたいこと言ってくれたね」
 言ってレイに覆い被さる。
「え、ちょっと、碇くん……」
「大体綾波が誘惑するからいけないんだ。綾波がいつも、好きよ、なんてベッドの中で言うからだめなんだ。分かってるでしょ?」
「そ、それは――」
「自分のことを棚にあげるような悪い子には、お仕置きだよ」
「え、いかりく――んっ…………」
 シンジがレイの唇を奪う。甘く、深いキス。
「だめ、碇くん、二コマ目は、必修……」
「綾波がきちんと反省するまで、離さないよ……」
「もう、留年しても、知らないから……」
「なら、綾波も道連れだ。一緒に留年しよう」
「私はしないわ。大学へ――」
「だったら、綾波をその気にさせれば、いいんだね……?」
「え……ちょっとちょっと、いかりく、あ、だめ……」
 なおも抵抗の兆しを見せたレイに、シンジは耳元でとどめの一言を囁いた。

「愛してるよ」

「あ……」


「………………レイ」


 結局、講義には遅刻してしまった二人だった。


248 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/08(火) 22:15:04 ID:???
いきなりすぎて驚きより笑いが先にきた

249 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/08(火) 22:36:35 ID:???
この人の良さはゲロ甘だからいいじゃない

JUNさんと同い年で女やってる私にゃ直ぐ性的な方に飛んでくのはあんまり頂けないんだけどww

個人的にゲロ甘はたまに読むのとちょうどいい。乙でした〜*^ω^*

250 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/08(火) 23:20:47 ID:???
乙です!

251 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/09(水) 00:04:17 ID:???
乙!
感謝感謝!

252 :JUN:2010/06/11(金) 23:36:37 ID:???
どもです
えと、もう一本。多分今まで書いた中じゃ最速です

「腕、組んでいい」
「いいよ」
 嬉しそうに微笑んで、レイはシンジの腕にしがみついた。
「今日は、どこに行きたい?」
「……デパート」
「了解」
 相変わらず制服のレイである。私服でも買うのだろうか。それなら自分に役目はないようなものだ。センスのよさそうな店員に任せ、自分はかわいいと言ってあげるだけでよい。それだけでもきっと彼女は喜んでくれる。

 デパートに入ると、レイはインフォメーションボードを確認して、ずんずんとシンジを引っ張るようにして歩いていく。
「綾波?婦人服売り場、そっちじゃないと思うんだけど」
「こっち」
「そう、なの?」
 言ううちにもレイは歩を進める。明らかに服ではない。周りにピンクや水色といった色彩が目立ち始め、女性客が増え、男性客がいなくなってきた。鈍いシンジも流石に危機感を覚え始めた。ここはどう考えても、男が来る場所ではない。
「あ、綾波……?」
「……何?」
「ここって、下着売り場だよね?」
「そう」
「僕が来る場所じゃないと思うんだけど……」
「問題ないわ」
 レイに無くともシンジにはある。周りの女性客の視線がそろそろ痛い。どんな想像をされているのか知らないが、よくないことだけは確かである。腕を組んだ男女が、しかも中学生が、二人で下着売り場へ。どう考えても絶望的な状況だった。
「その、綾波。僕、イアホン見てきちゃだめかな」
「駄目」
「いや、あの」
「碇くん」
「は、はい」
「選んで」
「はい?」
 

253 :JUN:2010/06/11(金) 23:38:03 ID:???
シンジは混乱の境地にあった。恋人に下着売り場に連れてこられ、選んで、である。
 荷が重過ぎる。シンジは思った。
「いや、僕、そういうセンスないし……」
 そういうセンスってどういうセンスだ、とシンジは自分の中に突っ込みを入れた。
「じゃあ、せめて色だけでも選んで」
 自分は神様に失礼なことでもしたのだろうか。何が気に食わなくてこんな試練を自分に。色を選ぶのも荷が重い。というか、どんな色だろうが、言えるはずが無い。
「そ、その……」
「選んで」
 言うレイからは覇気に近いものを感じる。そしてシンジの中での理性VS欲望も、いよいよ限界を迎えようとしていた。い、色くらいなら……
「え、じゃあ、そ、その……ぴ、ピンク……」
 顔が真っ赤になった。自分は何を言っているのだろう。お約束の自己嫌悪が舞い上がってくる。しかし目の前のレイはとても嬉しそうで、それだけでも得した気分にならなくも無い。
「分かった」
 言って奥へと駆けてゆく。シンジは安堵のため息をつき、素早くコーナーを出た、もとい、逃げた。

 シンジが音楽コーナーを物色していると、レイは帰ってきた。紙袋の中にはつまりモノが入っているのだろう。先ほどの自分の台詞を思い出し、シンジは少し紅くなって目をそらした。
「終わった?」
「終わった」
「じゃ、帰ろう」
「ええ」
 レイの含み笑いに、シンジは猛烈に嫌な予感がする。
「綾波。人に見せたりしないだろうね?」
「しないわ」
「なら、いいんだけど……」
 レイのことだ。油断してはいけない。シンジは心に刻んだ。

254 :JUN:2010/06/11(金) 23:39:06 ID:???
 次の日、いつものようにシンジはレイを迎えに行った。
「綾波、おはよう」
「おはよう、碇くん」
「綾波、数学の課題できた?分かんなくてさ……」
「教えてあげるわ。私の家で」
「あ、ありがと」
 ちゃっかり“家で”と言うあたりが綾波レイの綾波レイたる所以だろう。シンジもそこは理解している。
「腕、組んでいい?」
「いいよ」
 半ば苦笑しながら、シンジは言った。この問いに対して駄目、とシンジが言ったことは無いのに、レイはまるで初めてそれを頼むかのように訊いてくる。レイ曰く、『いいよって言ってくれると碇くんも私が好きなことがわかって嬉しい』のだそうだ。
 嬉しそうに微笑んでレイがその華奢な腕を抱き寄せると、シンジは軽くその頭を撫でた。
「ね、碇くん」
「ん?」
「私、昨日鮭のムニエル作ったの」
「へえ、うまくできた?」
「焦がしちゃったわ」
「綾波、まだ慣れてないからね。火加減とか。今度教えてあげるよ」
「うん、お願い。それでね、碇くん」
「うんうん」
「私今日、ぴんくのぱんつなの」

255 :JUN:2010/06/11(金) 23:41:30 ID:???
ごほっ、げほげほっ、ごふっ、ごほっ、げふっ

 ――死ぬかと思った
 
 シンジは荒い息を吐きながら思った。あまりに唐突である。読みが甘かった。

 我に返ったシンジは、慌てて辺りを見回した。洒落になっていない。誰かに見られでもしたら悶絶ものである。幸い辺りには誰もいないようで、シンジはほっと安堵の息を吐いた。
 レイは状況が飲み込めていないのか、きょとんとしている。シンジは眩暈がした。
「見て」
 見る?ではない。見て、である。シンジがまたも眩暈を覚えているうちにレイは早くもスカートをたくし上げ始めていた。

 眩いばかりに輝く白いふくらはぎ、扇情的を超えて神秘的ですらある脚線美を備えたふともも、そしてその根元にあるレースをあしらった薄い桃色の―――――

「すとおおおおおお――――――――っぷ!」

 シンジは声の限りに絶叫した。レイの手が止まる。はだけかけたスカートはそのままに。
 見てない、見えてない。さっきのは幻影だ。僕の邪な妄想が生み出した幻だ。僕は何も見ていない。
 レイは膝上十センチほどのところまでスカートを捲り上げたまま固まっている。かなりイケナイ画である。
「あ、綾波。とりあえずその手を放そう。」
 ぱっ、とレイがスカートの裾を放した。シンジはほっと息を吐く。
「そ、その、なんだって?」
「ぱんつ」
 何を訊くの?とばかりにレイが言った。
「あのさ、綾波……」
「ぴんくのぱんつ。碇くんのリクエスト」

256 :JUN:2010/06/11(金) 23:42:50 ID:???
幸せと言うのだろうか、こういうのは。大好きな女の子が自分のリクエストした下着を穿いて来てくれるのは。
 ……違うよな、多分。
 シンジはそこまで割り切っていないのである。正直嬉しくないと言えば嘘になる。が、レイには人並みの恥じらいを持って欲しいのである。少なくとも朝っぱらから恋人に下着を見せようとしない程度には。
「あのさあ、綾波」
「……何」
 レイは上目遣いでシンジを見る。その表情は心なしか寂しそうで、どうにも勢いよく怒れない。
「年頃の女の子がさ、朝っぱら男の子にその、下着を見せるのはどうかと思うんだ。それに綾波、昨日見せないって言ってたよね?」
「言った。けど、恋人にはぱんつを見せるものだと聞いたわ」
「そういうのはさ、もうちょっと大人になってからなんだ。僕らにはまだ早いの、いい?」
「…………」
 レイは黙ってしまった。よし、勝った。こうして一つずつ一般常識を身につけてくれればいい。ゆっくりでいいのだから。巡り巡って彼女のためだ。
「それじゃ、行こう?」
 レイは頷かなかった。けれど、細い肩を抱き寄せて強引に歩き出す。
「……碇くん、見て、くれないの?」
 レイの声は震えを含んでいた。しかしシンジは答える。
「う、うん。ごめんね」
「……私は、見て欲しい。碇くんに」
「い、いや、綾波。あのね――」
「私、頑張って選んだのに……」

257 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/12(土) 00:02:01 ID:???
シンジの良心がぐらつき始めた。甘いと言わば言え。大好きな女の子が傷ついているのである。シンジにとって一番の懸案は、レイの心である。
「あ、あの、綾波……」
「……」
「ごめん、僕だって見たいのは山々なんだけど、心の準備がいるんだ。僕も恥ずかしくて……」
 自分が中学生ということを忘れそうになる。我ながら何を言っているのだろう。
「だから、その……二人きりの、誰もいないときに……ね?」
「本当?」
 れいがぱっと顔を上げる。真紅の双眸は煌々と輝いていて、期待の色が見て取れた。
「う、うん」
「かわいいって、言ってくれる?」
「も、もちろんだよ」
「嬉しい……」
 目尻に涙を浮かべて、レイはシンジの腕に頬擦りした。結局折れてしまった自分を情けなく思いながら、シンジはまた歩き出した。
 ――苦労が多いな……
 けれど、仕方ない。恋愛感情は本人の意志ではないのだ。自制心をきちんと固めて、覚悟を決めよう。

 ――綾波の下着、どんなのかな……

 少年の淡い期待はもう少しだけ、お預けである。

                  FIN


258 :夏厨:2010/06/12(土) 02:18:33 ID:???
>>231

-----【弐話・帰還】-----

シンジの病室。
マヤがシンジの背中を濡れたタオルで拭いている。
「シンジ君、か・・・本当に保護者になっちゃおうかな・・・」
独り言を言って自分に照れ笑いするマヤだった。

「早く元に戻れればいいのにね、でも元に戻ればまたエヴァに乗らなきゃならないんだもんね」
発令所で何度も聞いたシンジの悲鳴や絶叫を思い出し顔を顰める。
「このまま眠ってても誰も責めないよ」
呟いたマヤの頬に涙が落ちる。

「・・・ぅぅ」
「?」
マヤの涙に急かされたかのように、シンジの様子が変わる。
「・・・ぅ、ぁぁ」
「シンジ君?」
呼びかけるマヤ。
「気がついたのね?シンジ君、シンジ君っ」
急ぎナースコールを押し(病室はモニターされているのでその必要などないのだが)、シンジに呼びかける。
「シンジ君っ!」
「ぅぅ・・・ぅぅ・・・」
思わず抱きかかえて呼びかけるマヤ。

259 :夏厨:2010/06/12(土) 02:19:40 ID:???
医師や看護師が駆けつけ、シンジの容態を確認する。
いくつかの投薬を行い、計器の動向を看護師がメモに書き込む頃にはシンジの瞼が開いた。
「碇シンジ君、わかるかね?」
医師が問いかける。
「・・・はい、ここは・・・」
か細い声で応えるシンジ。
そのやり取りをつっ立ったまま見ていたマヤが嗚咽する。
「ぇっ・・・よかった・・・シンジ君・・・よかった」
横でマヤの肩を押さえていた看護師が呟く。
「伊吹二尉のおかげですよ、本当におつかれさまでした」
「ぅっ、ぅっ、ありがとうございます」
「さ、碇さんに声を掛けてあげてください」
「は、はい・・・シンジ君・・・おはよう・・・」
少し場違いな言葉に、その場にいる医師や看護師は優しく微笑んだ。


260 :夏厨:2010/06/12(土) 02:20:58 ID:???
一応の処置が終わり、病室にはマヤと、計器と点滴に繋がれたシンジ。
「マヤ・・・さん・・・僕は・・・」
「もう大丈夫よ、安心して」
「ここは・・・病院・・・」
「そう、あれから何日も経ったの、ずっと眠ってたのよ」
「マヤさん・・・」
「まだあまり喋らない方がいいわ、ゆっくり休んでね」
「・・・ありがとうございます」
「なっ・・・えっ・・・あっ・・・」
シンジの優しい瞳と言葉に取り乱すマヤ。慌てて言葉を返す。
「あ、あ、レイちゃんも無事だったのよ?」
「?」
一瞬表情が曇るシンジ。
「あの時シンジ君が早く助け出してくれたから、レイちゃんはもう元気になったのよ?」
「綾波・・・?綾波が?」
「うん、今先輩がケアしてる、もう心配ないわ」

261 :夏厨:2010/06/12(土) 02:21:48 ID:???
「・・・」
「ご、ごめんね、まだ混乱してるよね、もう独りで心配ないって先生が言ってたからお薬をもらって休んでね」
「マヤさん・・・」
「か、葛城一尉も夜には戻るから・・・きっと大喜びよ」
シンジの琴線に触れてしまったのが怖くなり、言葉を失い話題を変えるマヤ。
「一尉が戻るまで独りで大丈夫よね?私は先輩に報告しなくちゃだから・・・」
「は、はい、もう大丈夫です、お仕事忙しいのにすみません」

ベッドサイドのパイプ椅子を立つマヤ。名残惜しくなり、瞳に涙をウルウル滲ませて呟く。
「じゃ、行くわね、何かあったらナースコール、ね?」
「はい・・・ありがとうございます、マヤさん」
「・・・シンジ君・・・本当に良かったね」
「マヤさん・・・」
「また後で来るからね、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
「・・・握手」
一方的にシンジの手を取るマヤ。
「じゃ、本当におやすみなさい」
弱々しくその手を握り返すシンジ。
「はい、おやすみなさい」
「また目を覚まさないなんて絶対ナシだからね?」
「だ、大丈夫ですよ」
「えへへ、冗談よ」
「はい」
「えっと、それじゃ・・・」

262 :夏厨:2010/06/12(土) 02:23:00 ID:???
「あなたたち何してるの?」
突然病室に響くリツコの尖った声。その後ろにレイ。
「せ、先輩っ!レイちゃん!」
少しニヤリとリツコが微笑む。
「報告が遅いから『怪しい』と思って来てみたら・・・」
「あ、や、違うんです、シンジ君に少し眠ってもらおうと思って睡眠薬を・・・」
「ま、いいわ、カエデ達に職場を取られたくなかったら早く戻りなさい」
「は、はいっ!申し訳ありませんっ!」
慌ててその場を逃げ出そうとするマヤ。そこにリツコが追い討ちを掛ける。
「マヤ、シンジ君が気に入ったの?」
「せ、先輩っ!違います、え、そういうんじゃなくて、」
「保護者の事、何か言ってたわよね?モニターで確認したわ」
「せ・・・」
「それと、今最初の『また後で来るからね、おやすみなさい』からシンジ君の手を握って私が来るまで7分22秒」
「い、いつから見てたんですか・・・」
「ずっとよ」
「ずっとって・・・先輩・・・」
そこにレイが口を挟む。
「たぶん・・・碇君が私を助けてくれたという話題の時から『ずっと』です」
「れ、レイちゃんまで・・・ひどい・・・」

病室から逃げ出すマヤ。さっきとは別の意味の涙が彼女の頬を濡らしてゆくのを三人ははっきりと目撃する。
「無様ね、でもおもしろいわ」
新しい遊びを覚えた子供のように、リツコの瞳が一段と怪しく光る。

263 :夏厨:2010/06/12(土) 02:23:59 ID:???
「リ、リツコさん・・・」
その様子を固唾を呑んでその冴えないコントを見守っていたシンジがようやく口を開く。
「あら、シンジ君、良かったわね、目が覚めて」
「は、はい・・・」
「早速だけど司令がお呼びよ、と言っても目が覚めたばかりで筋力が戻ってるとは思えないからこの車椅子に乗りなさい」
「え?…あ…リツコさん、よくわからないんですけど」
シンジの目線はレイの周りで泳ぐ。
そののあやふやさに眉を顰めながらリツコが返す。
「何の事?司令がお呼びだと言う事が?」
「いえ………いや、いいです」
シンジは何か腑に落ちない表情で俯く。
「変な子ね、まぁいいわ、レイ、車椅子にシンジを乗せてあげて」
「はい」
レイが少し上気した表情でシンジに近づく。
「ちょっ、いいよ綾波、自分で出来るから」
あからさまにレイを拒否するシンジ。というより少し怯えているのだろうか。
「・・・命令だから」
半ば強引にシンジの肩を抱えて、そのレイの紅い瞳が少し曇る。
「あ、ありがと・・・」
レイを盗み見ながら、けれどもレイと目をあわせようとしないシンジだった。

264 :夏厨:2010/06/12(土) 02:26:09 ID:???
「レイが自分でシンジくんを運ぶって付いてきたのよ」
リツコがシンジとレイの少し前を歩きながら言う。
「レイが誰かに興味を持つなんてね、そんな事今まであったからかしら?」
「………そうですか」
それ以上シンジはどう答えていいか判らず無言になる。
ふと、レイの表情は見えないが、シンジには車椅子のスピードが少し上がったように感じられた。

「さあ、着いたわ」
ゲンドウの執務室のドアが開き、3人はおずおずと部屋に入る。
「と、父さん・・・」
声にならないシンジの呟き。
「赤木博士、ご苦労だったね、だが綾波レイを呼んだ覚えはないぞ」
ゲンドウの横に立っている冬月が言う。
「副司令、申し訳ありません、シンジくんが歩けないので補助のために一緒にお連れしました、レイ、帰っていいわ」
冷静にリツコが促す。
「…はい」
聴こえないくらい小さな声でレイが応える。
「君もまだ万全と言える状態ではない、早く部屋に戻って体調を整えなさい」
冬月が追い打つように続けた。

レイは俯いたまま今来たドアに向かって歩き出す。
「あ…綾波?」
シンジが声を掛ける。
レイが立ち止まる。
「あの…綾波、送ってくれてありがとう」
レイの肩が揺れ、今にも振り返りそうな仕草。
「レイ、早く行け、休養も大切な仕事だ」
ゲンドウの冷たい声がその空気を遮り、レイは無言のまま執務室を出た。
刹那、リツコの眉が動いた気がするが、レイが出たドアが閉まるまで誰も声を発することはなかった。

265 :夏厨:2010/06/12(土) 02:27:01 ID:???
「赤木博士、シンジの状態はどうだ?」
「いくらかの筋力の低下と血圧が不安定なのを除けば何の問題もないと医療チームから報告が出ています」
「エヴァに乗れるまでどのくらい掛かるか?」
「今日一晩安静にした後、一週間のリハビリと少量の安定剤投与で元通りになると思われます」
「精神汚染や記憶障害の報告はあるか?」
「現在経過観察中です」
「二日後にセカンドチルドレンが着任予定だ、それまではレイを戦闘配備できるように、セカンド到着後はシンジが回復するまで2名を常時待機できるようにしておいてくれ」
「承知しました」

暫しの沈黙。

「シンジ」
ゲンドウがシンジの名を呼んだ。
「ぇ、…」
蚊の鳴くようなシンジの声。
「ヤシマ作戦から倒れるまでの事は覚えているのか?」
思いがけずゲンドウの質問。慌ててシンジが答える。
「と…あ、綾波をエントリープラグから出すまでは覚えて…」
その時の手の感触と光景がぶり返して言葉を切るシンジ。
「…そうか」
「と、父さん・・・綾波は・・・」
嫌な時間を断ち切るためにシンジがゲンドウに問い返そうとする。
「シンジ、ご苦労だったな」
「え!?と、父さん?」

266 :夏厨:2010/06/12(土) 02:28:32 ID:???
考えもしなかったゲンドウの一言にシンジは何も言えなくなり、だがネルフに来て初めて心が満たされるようで嬉しくなった。
リツコに目を向けると、無表情だがゆっくり頷いてくれた。
「父さん…」
「シンジ、司令と呼べ」
「あ、ご、すいません…」
せっかく膨らんだ風船が一気に萎んだような気分だった、が、それでもシンジの心に明るさが差し込んでいるようだ。

一拍の無言の時、その後ゲンドウが続ける。

「シンジ、これから赤木博士がお前に大切な話をする」

さっきまでの空気が一変するのを感じて、シンジは息を呑むのさえ忘れて唇を噛んだ。



つづく

267 :夏厨:2010/06/12(土) 02:29:16 ID:???
JUNさん乙です

268 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/12(土) 10:46:35 ID:???
2人とも乙です!

個人的な意見だけどもJUNさんは毎回律儀に『綾幸のJUNです』って言わないでいいんじゃない?

どんな人が書いたか初めからしってると偏見が生まれそうだから^^;
本当に個人的な意見スマソ
作品は好きだよ

269 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/16(水) 08:16:09 ID:???
>>268
同意
このスレには名の知れた作家さんも投稿してるけど、皆匿名だよね


270 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/16(水) 15:03:56 ID:???
ていうか「綾幸の」って自ら名乗って良いのは普通tambさんだけだと思う。共同管理者でもなんでもないんだから

名乗った上で投下するかどうかは他の人がどうあれ一職人さんの自由だと思うけど
ただ「○○の」と名乗りたいならせめて自分のサイトを持たれてはどうか

271 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/16(水) 17:40:40 ID:???
すみません、次から気をつけます。
また何かしら投下はさせてもらうと思いますが、その時は匿名でやらせていただきたいと思います。

272 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/16(水) 20:07:58 ID:???
しかしJUN氏は綾幸組組員と言えるのでは。

まあ組長tamb氏の許可がないと組の看板は晒せないかな。

273 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/16(水) 21:11:23 ID:???
JUNさんがちゃんと書きたいと思ってる職人さんなのはわかる
でもここでは知られたサイトだけに綾幸ブランドの先入観なく勝負してほしいとは思うかな

274 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/19(土) 08:03:30 ID:???
JUNさんはそれなりの実力をおもちだから、
まあサイトの名を汚すことはないだろうけど
他人様のサイトの看板を掲げるのはいかがなものかと思う。

JUNさんの作品は好きですので、投稿は楽しみにしています。

275 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/19(土) 17:13:56 ID:???
まあ次は匿名でって言ってるからこれに懲りずに次の投下があることを期待したい

JUNさんも夏厨さんもGJ!

276 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/19(土) 17:16:47 ID:???
夏厨さん投稿乙です
続きを早くupしてください。
続きが気になって眠れんw

277 :夏厨:2010/06/20(日) 09:21:01 ID:???
続きは惣流さん登場バージョンで書いてたんですが、破を見て手直し中です
待っていてくれる人がいて嬉しいです

278 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/23(水) 20:38:01 ID:???
1レスだけ投下してみます。
--
「え、あ、あれ……!」
 慌ててシンジは跳ね起きる。
気がつくと、レイの膝枕で寝ていたことに気がついたからだ。

とりあえず、シンジは謝る。
「あ、その、ごめんね」
「なにが?」
「あ、ああ……その」

(ううう、ウトウトして綾波の肩に寄りかかりそうになったのは覚えてるけど)
 シンジは悶々と考える。そして、その相手の方をチラリ。
何事かに動じた様子もなく、ジッと前方を見据える綾波レイ。

(僕なら膝枕ぐらいオッケー? いや……たぶんどうでもいいんだろうな。はは……)
 結局、ネガティブに片付けてしまい、立ち上がる。
さて、接続試験はまだかな? もう待ちくたびれてしまった。

「……クスクス」
 誰かが少し離れたところで笑っている。それは携帯電話片手の葛城ミサト。
「ね、ね、見て? シンちゃん……レイってば」
 と、シンジに携帯の画面を見せようとしたその瞬間。

 (がばっ)

 と、レイの両手が覆い被さる。あまりの素早さに、シンジには訳がわからない。
「わーった、わーった。そんなに怒んないでよ、レイ」
と、取りなすミサト。そして、閉じられた携帯に写っていたものは?
 それは、携帯のカメラで隠し撮りしたものだろう。
なんとなく頬を染めながら、居眠るシンジの髪をなでるレイの姿が…… (完

279 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/24(木) 05:17:15 ID:???
イイヨーイイヨー

280 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/26(土) 07:54:48 ID:???
短いけど凄くイイ!
またお願いします!

281 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/26(土) 13:06:21 ID:???
>>278
1レス以内なのにこんなに萌えられるとは…凄くいい!ありがとう

282 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/26(土) 23:21:58 ID:???
ありがとです。では、調子に乗って。
---
ついっ……と、シンジは机に指を滑らせる。
そこは綾波レイの机。彼は何かを見つけて、指で摘み上げた。
それは綾波レイから抜け落ちた、1本の髪の毛。

シンジは思わず声を漏らす。
「へえ……根本まで青いんだ」
「バカッ」
と、絞り声で咎めたのはアスカ。
(このバカシンジ、本人が気にしてたらどうするのよ!)
「え、そういうものなの? ねえ、綾波。これ貰って良いかな?」

ギクリ、と振り返るレイ。
「い、いいけど」
「本当? ありがと。うわあ……」
と、シンジは無邪気な様子で、窓の光で透かして青い髪にみとれている。

「綺麗だね。ね、アスカ?」
「知らないわよ」
「ねえねえ、なんか上手く保存する方法って知らないかな? 水晶に納めるとか」
「……北欧に行って、ドワーフでも訪ねてきたら?」
そんな二人を尻目に、そっとレイは教室を出る。

いや、レイは確かに気にしていた。
散らかった自室の、散らかった洗面台に置いてあった物。
それを手にしてジッと眺める。それは、髪染めのセットだった。
日本人らしい黒髪があなたのものに――。

そして、それをゴトンとゴミ箱に投げ捨てる。
つまらない自分の悩みが、ゆるやかに溶けていくのを感じながら。 (完

283 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/27(日) 12:33:19 ID:???
また書いてくれてありがとう
シンジの何気ない言葉にレイが救われているんですね!

284 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/06/27(日) 12:48:09 ID:???


285 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/06(火) 07:53:58 ID:???


286 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/06(火) 09:24:00 ID:???
楽しみでげす

287 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/07(水) 19:30:07 ID:???
FanFiction.NetでエヴァFFを漁っててけっこう衝撃的なLRS小説を見つけたので
紹介を兼ねて適当に日本語訳してぶん投げてみるよ
一度しかやらないから今回だけ大目にみてね

もとの作品
ttp://www.fanfiction.net/s/269698/1/Impulse

288 :Impulse:2010/07/07(水) 19:31:12 ID:???
衝動
By Random1377

シンジにとって、その瞬間は時が止まったように思えた。レイの赤い瞳が静かに見返して
くる。彼女の上に乗って見下ろしているシンジの瞳を。――なんだこれなんだこれなんだ
これ。なんなんだ。――シンジの思考はぐるぐると空転し、そして突然ある衝動が襲って
くる。シンジはレイの体に覆いかぶさって、その唇にキスをした。レイのまぶたが少しだ
け開いたが、抵抗はしなかった。――綾波の唇、すごくやわらかいや――シンジは考える
、――綾波のからだも。――そこではっと目を見開き、飛び起きる。ようやく左手がレイ
の胸を触りっぱなしなことに気がついたのだ。後ずさりをはじめるシンジ。レイは立ち上
がり、そんなシンジを物珍しそうに見る。「なぜ……」「ごめん!ほ、ほんとうに、ごめ
んなさい!じ、自分でも何考えてたのかわかんないよ、ぼ、僕は……」「なぜ、途中でや
めるの?」先にレイのほうが言い終えた。シンジの後ずさりが止まる。ぽかんと口を開け
る。「…今、何て言ったの?」レイは冷静沈着にシンジに歩み寄り、平手打ちを浴びせる
。「ねえ、何でこんなこと……」レイは自分の唇をシンジの唇に押し付けて黙らせた。「
…………違うわ、さっきのとはぜんぜん違う感じがする。二度目のほうが、間違いなく楽
しい」シンジはただ突っ立ってレイを見つめている。「何か問題があるの、碇くん?」レ
イは首をかしげる。

289 :Impulse:2010/07/07(水) 19:32:38 ID:???
「ななななななにか?」考えがうまくまとまらない。というよりレイが未だに目の前で素
っ裸な時点でもうどうしようもない。科学の実験かなんかみたいな目で見られてるし。「
興味深い状況だわ、碇くん。交尾の手順は教科書で読んだことがある(必修科目だからね
ぇ、読者のみんな)。だけどわたしはキスをしたことがいままでなかった。もう一度やっ
てもらえないかしら」目を見開きすぎて目玉を落っことすことが仮にありうるとしたら、
とっくにシンジの両目は床の上に転がってるだろう。「なななな何て言ったの?」レイは
どこまでもどこまでも落ち着き払っているようだ。「聴力に問題があるのかしら、碇くん
。あなたはもう一度聴覚検査を受けなおしたほうがいいと思う。『もう一度やってもらえ
ないかしら』、そう言ったの。さっきやったみたいに、もう一度、わたしにキスするよう
に。そういう意味で言ったのよ」

290 :Impulse:2010/07/07(水) 19:36:07 ID:???
シンジが真っ先に思いついたのは逃げ出すことだった――はるか遠くへ――決して後ろを
振り向かず。だがしかし今のシンジは、後方には壁を背負い前方にはとってもナイスプロ
ポーションな裸体が立ち塞がっているという状況下にある。この選択肢は取れない、従っ
て次善の案を採用する。つまり説得によって道を切り開くのだ。「ねえ、綾波。まさか本
気でもう一度キスしてって言ってるんじゃないよね……よ、要するにさ、さっきのことは
謝るから……んで、えっと、えーと……」「碇くん、わたしは間違いなくもう一度キスし
てって言ったの。わたしはとてもとても気持ちがよかった。あと、怒らせても怪我させて
もないのに謝る必要はないと思う。わたしは怒ってもいないし、怪我もしてない」片眉を
つりあげたレイの顔はなんだかちょっと不吉な雰囲気を漂わせている。「それに私のほう
が階級は上。碇くん、あなたはキスしろって命令されるほうがいいの?」

291 :Impulse:2010/07/07(水) 19:38:02 ID:???
シンジは自分という人間に腰抜けだの弱虫だの負け犬だのと――まあ呼び方はいろいろあ
るが基本的によろしくない方向のレッテルを貼っていた。しかしながらシンジは自分のこ
とを愚かだとは思わない。要するに素っ裸の若い女の子(しかも上官)がキスするように
求めてきたときに断るほど愚かではなかった。いちばん最初の時とは違って、レイはキス
をやり返してきた――それも激しく。レイは自分のからだをシンジに押し付けて両腕をま
きつけてくる。「んー…………」レイが体を引き離した。「とても素晴らしいわ、碇くん
。もう一度お願い」「なー…」もう一回。シンジには一言しゃべり終えることすら許され
ない(哀れな少年だよね? まあ、何はともあれ…)レイはシンジの脇腹を下から上へと
さすり上げていき、しまいには彼の短い髪を指でくるくると巻き上げる。レイが体を引き
離す。シンジの呼吸はすでに相当荒くなっていて、あともう気持ち悪いくらいに硬くなっ
ていた(何が硬くなったって首がだよ。レイのほうが背が低いから首が凝ったんだ。あー
もう、どぶにはまったような顔するのやめれ)「さて」レイはシンジの瞳を覗き込みなが
ら粛然と言った。「衣服を脱いでベッドに乗りなさい」

292 :Impulse:2010/07/07(水) 19:41:07 ID:???
シンジの目玉が飛び出した。「な、なんだってー!」レイがかわいそうな子を見る目つき
になる。「うん、やっぱりあなた、聴覚検査の必要があるわ。衣 服 を 脱 い で 
ベ ッ ド に 乗 り な さ い」目の前で大声を出されたせいでシンジは後ろに飛
びのくハメになり、自分のシャツのボタンを外しはじめた。が、途中で手を止める。「待
てよ…なんで僕、服を脱いでるんだ?」レイは腕組みをしながら冷静に説明する。「理由
は二つよ、碇くん。一つ、上官の命令だから。二つ、あなたは一糸まとわぬわたしの姿を
見た、そしてわたしは一糸まとわぬあなたの姿を見たい。これで質問の答えは十分でしょ
う?」シンジは無言でうなずいた。「よろしい、じゃあ早くして。何も心配はいらない、
ぐずぐずしないで早くするの、碇くん」そう言いながらレイは手を伸ばしてシンジのシャ
ツの襟をつかみ左右に引っ張った。ボタンがちぎれてあちこちに吹き飛び、シンジは驚い
てきゃあああと悲鳴を上げる。

293 :Impulse:2010/07/07(水) 19:43:15 ID:???
5秒後、シンジは裸になってレイのベッドに横たわっていた。レイはシンジを監視してい
る、というか体中をなめまわすように見ている。「興味深いわ、」レイは静かに言った。
「男性の裸を直に見るのははじめて。服を着ていないあなたのことを考えたり、眺めたり
するのは……とても……刺激的だと……言わざるをえないわ」シンジはごくりとつばを飲
みこんでレイの裸の姿を見つめる。レイがその視線に気づく。「わたしは魅力的に見える、
碇くん?」シンジはただうなずく。レイはにっこりと笑ったのだが、なぜだかシンジはそ
の笑顔に不安を覚えた。「碇くん、もう一つだけ、あなたにやってもらうことがあるの。
それが終わったら帰ってもいいわ……理由はわからないけど、あなた居心地が良くなさそ
うに見えるから」シンジはほっとして溜息をついた。実際、居心地が悪かったからだ。
(なんでかって?知らんよ。だけどこの子原作でも人間関係に腰がひけてるしさ、そんな
もんじゃねーの)

294 :Impulse:2010/07/07(水) 19:44:11 ID:???
安心したのもつかの間だった、レイが微笑みながらこう続けたから。「さあ、あなたはわ
たしと性交するの」シンジという人間はめちゃくちゃ簡単にびびってしまうタイプなもん
で、あわててベッドから飛び出した。しかしレイは(シンジの行動なんてお見通しだった
ので)彼の手首をひっつかんでまたベッドに投げ倒し戻す。「碇くん、そんなに慌ててど
こに行くつもりなの」レイの声は冷静だったが、その瞳はいやーんな感じに燃え盛ってい
た(太陽みたいに輝いてたんじゃないかな、たぶんだけど)「わたしのこと魅力的ってあ
なたは言ってくれた、そうよね? あなたのこと魅力的ってわたしは言った、そうよね?
今までいろんな本を読んで学んできた知識からすると、ここはもうセックスするところよ」
シンジがどもりながら言う、「だけど、だっだけど、まずででデートするとか、仲良くな
るとか、けけけ結婚するとか、あああとそれと、あああ、愛し合うとかそそそういうのを
先に…」おそらくその場しのぎをしてるだけだとレイは思った。「そんなことやってる暇
はないわ」そう言い放ってベッドによじ登ると、シンジの両腕をその頭の上のほうで押さ
えつける。「たくさん本を読んで性技の勉強をしてきたのよ、碇くん。試してみたいの、
あなたといっしょに。だからもう抵抗するのはやめて」レイは体を折り曲げてシンジにキ
スをした。「……あー、……レイ?」レイが静かに息を吐き出した。「何、碇くん?」シ
ンジがそっとつぶやいた。「シンジって呼んでもらってもいいかな」レイは微笑んで。
「もちろん構わないわ、シンジくん」レイは覆いかぶさって、シンジに激しくキスを浴び
せる……

おしまい
(続きが読みたければ想像力をかきたてるんだ、なぜならこの先は書く気ないから :P)

295 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/07(水) 19:45:15 ID:???
以上、投下終わり
書き忘れてたが本編第5話の例のシーンの分岐ものです

FanFiction.Netには他にも良さげな小説がいくつもあるんで
きっちり原著者のみなさんに許可取ってからサイトを自分で立ち上げるなり
既存のサイト様に委託するなりして日本語訳をあげていこうかと考えています

296 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/07(水) 19:47:56 ID:???
ほほぉ

297 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/07(水) 20:01:12 ID:???
なんか新鮮な綾波だな

298 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/13(火) 02:38:51 ID:???
>>295
おつ
英文をスラスラ読めるなら海外サイトもおもろいだろうなぁ(´;ω;`)
サイト期待してるんで出来たら教えてくれ

299 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/13(火) 21:12:00 ID:???
☆ゅ☆ゅ

「ただいまあ」
 シンジが玄関を開けると。何ともいえない臭いが部屋に漂っていた。変だな、今は誰もいない筈だけど。
 シンジはしばし考え、その臭いが何なのかに気づいた。酒だ、アルコールだ。ミサトのビールだ。
「そんな筈はないんだけど……」
 シンジは誰ともなく言った。ミサトが帰宅するのは夜である。この時間から酒をあおっているとは考えづらい。仕事で何かあれば別かもしれないが、使徒がいない今、そんなことがあるのかも甚だ疑問である。
 だが、鍵が開いているのである。NERVのセキュリティーカードが鍵代わりなので、ミサトやシンジやアスカ以外でも開錠は可能だ。
 
父さん、じゃないよな……

もしそうであれば、シンジはすぐさまトウジ宅へでも避難する。アルコールが入ったゲンドウなど、想像するだけで恐ろしい。

リツコさんかな?マヤさんかな?

一瞬考えた。それなら別によい。むしろ歓迎だ。バスタオルでウロウロするような女性でなく、恥じらいを身に着けた大人の女性。たまにはそういうのも悪くない。目の保養だ。
そう思ったが、やはりないと思った。人の家で勝手に酒を呑むような人間ではない。なら……?

「おかえりなさい……」

 どこかで聞いたような、けれどそうであって欲しくないような、うわついた声がシンジを迎えた。あの声は、いや、まさか……

「おかえりなさい、いかりくん……」

 頬を桜色に染めたレイが、シンジを迎えた。

300 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/13(火) 21:13:26 ID:???
「お邪魔します……」
 持っていたセキュリティカードで、レイは扉を開いた。シンジがS-DATをNERVに忘れていたのだ。リツコにことづけられ、レイは少しだけ暖かい気持ちになりながら、届けにきた。
 当然、誰もいない。シンジは買い物だと、リツコに聞いた。アスカもいない。ミサトは仕事だ。
 ここに置いておけば分かるだろう、と思い、居間のテーブルに持ってきたそれを置いた。メモに『NERVに忘れていました、レイより』と書き残し、立ち去ろうとした時、レイの目にあるものが映った。
「ビール……」
 テーブルの上に無造作に置かれたそれは、まだ少し残っているようだった。ぬるい。
 興味などはなかった。大人が飲むものだ。飲めなくとも困らない。しかし、レイの中で何かが動いた。つい、先程。


 レイには今、切実な悩みがあった。その悩みを解決する、一つの突破口に思えたのである。その悩みとは――

「これを飲めばおっぱい、大きくなるかしら……」

 ――おっぱ、もとい、胸のサイズである。

301 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/13(火) 21:14:45 ID:???
シンジがトウジやケンスケと話している時よく、乳の大きなおなごがええよなあ、などと言ったりする。シンジはそれに紅くなりつつも、そ、そうだねと賛同の声を上げるのだ。
 大きな胸は男性としては魅力的らしい。何故だろう、邪魔なだけなのに。レイには不可解でならなかったが、他でもないシンジの好みである。最重要事項であろう。

 自分の胸はどうなのだろう。大きいのだろうか。シンジとしては自分の胸は小さいのか、大きいのか。前に触られた時訊いておけばよかったと後悔する。今や彼とは恋人同士でであるが、訊いてよいことといけないことの境が、レイにはまだ分からない。

 それからというもの、レイは胸を大きくする方法を考えた。同性に訊くのは何故か憚られた。それが嫉妬だと気づくには、彼女の心はまだ幼すぎた。
 ネット上で調べたことは全て実践した。牛乳を飲み、腕立てもした。寝る時は仰向けで寝た。しかし、レイの胸囲は増えなかった。異性に――特に想い人に――揉んでもらえば大きくなるという非常に耳寄りな情報も得たが、それはやめた。はしたない女の子だと思われたくない。


 そして袋小路に迷い込んだレイは、次に周りの胸の大きい人を参考にし始めた。ミサトやアスカは肉をよく食べる。ならば、と最近ひき肉からチャレンジしているが、芳しくない。


 そして今、ふと思ってみる。恐らく自分の周りで最も胸が大きいのはミサトだ。次点でリツコである。あくまでレイの目測ではあったが、恐らく正しい筈だ。
 そしてミサトと他の人間の相違点として最も大きいのは、恐らく飲酒量だ。特にビールの。

 ならば、とレイの行き着いた結論は当然、手段の一つとしてビールを飲んでみるということだ。もしかしたらアスカも飲んでいるかもしれない。ドイツではそれが当たり前なのかもしれない。自分だけ呑んでいないというのは不公平だ。
 突破口が見えた気がした。これで胸が大きくなる。シンジに気に入ってもらえるかもしれない。

302 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/13(火) 21:16:47 ID:???
 決意したレイは早かった。冷蔵庫の中からビールを取り出し、コップに注ぐ。
 しゅわしゅわと音を立てながら、泡が膨れ上がり、小さくなる。その光景が珍しくて、ついつい見入ってしまった。
 泡のなくなったビールは、麦茶によく似ていた。そう思った瞬間、レイは一種の悟りを開いた。
 そうだ、麦茶だ。ビールの原料は大麦とホップだ。要は発酵した麦茶だ。どうということはない。
 そう考えると、今までどこか躊躇っていた自分の心に踏ん切りがついた。グラスを掴み、一気に流し込む。これは――

「にがい……」

 少なくとも美味な代物ではない、と思ったが、ミサトはこれを飲んでいるのだ。大きな胸になるための第一歩だ。
 身体がぽかぽかと火照ってくる。これは彼と一緒にいる時のぽかぽかとは別種だ。快か不快か悩ましいが、今のところ許容範囲だ。もう一杯呑んでみる。
 
 ――こうして、レイは堕ちていった。

303 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/13(火) 21:17:27 ID:???
 シンジの目の前でレイはふらふらとこちらへ寄ってくる。危なっかしいことこの上ない。
「いかりくん、はいらないの……」
「え、あ、うん、いや、入るけど……」
 しどろもどろになりながら靴を脱ぐ。酒を呑んだことは一目瞭然だ。どうしてそんなことをしたのか謎だが。
「綾波、酔ってる?」
 レイはふるふるとかぶりをふった。
「いいえ、よってなんていないわ。わたしはわたしだもの。いかりくん、ぽかぽかする……」
 言っていることが支離滅裂だ。寝かしつけるべきだな、と思ったシンジはレイの手を取り、アスカの寝室へ向かう。
「いかりくん、どこへいくの……」
「アスカの部屋だよ。綾波、ベッドに横になってれば治るから、大人しくしててね」
「ベッド……いかりくん、わたしにえっちなこと、するの……?」
「し、しないよ」
「そう……ざんねん…………」
 このままではシンジの身が持たない。どうにかなってしまう。

304 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/13(火) 21:18:34 ID:???
 必死の思いでレイをつれてきたシンジは、ベッドにレイを横たえるとその側に腰を下ろした。
「綾波、どうしてお酒なんて呑んだのさ」
「のんでなんていないわ」
「嘘つかなくていいよ。綾波、酒臭いもの」
「くさい……わたし、くさいの……?」
 レイが見る見るうちに涙ぐみ始める。シンジは焦った。
「い、いや、そうじゃなくて、お酒の臭いがするからさ」
 正直、悪臭にカテゴライズされる匂いではない。アルコール臭に混じって、果実のような甘い匂いがする。ほんのり桜色に染まった頬と、うっすら汗を浮かべた素肌とがあいまって、扇情的なものを感じさせた。
「で、でさ、なんでお酒なんて呑んだの」
「お……」
「お?」
「おっぱいを、おおきくしようとおもって……」
「はい?」
 シンジは素っ頓狂な声を上げた。
「いかりくんが、おっぱいはおおきいほうがいいって……」
「誰が言ったのさ、そんなこと」
「わたしのおっぱいがおおきくなったら、いかりくんがよろこんでくれるから……」
「べ、べ、べつにそんな……」
 思春期の悲しさか、レイの胸元に目が行ってしまう。制服を押し上げているそれはそんなに小さいとは思わない。一度触った時は、なかなか質量があったように――

305 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/13(火) 21:19:52 ID:???
 ――ば、馬鹿!

 こんな時にそんなことを考えていると、いよいよ歯止めが利かなくなる。酔いつぶれたレイが目の前で寝ているのだ。取りようによっては据え膳である。
「いかりくんは、おっぱいがおおきいほうが、いい……?」
「い、いや、べつにそんなに気にならないっていうか、なんというか……」
「いかりくんによろこんでもらえるなら、わたし、がんばる……」
 真剣に悩んでいたのだ。傍から見ればくだらないだろうが、彼女の中では一大事だったのだろう。気にするように自分の胸に視線を落とす彼女に、シンジは愛しい気持ちになった。
「あの、さ、綾波……」
 シンジはレイの細い手をそっと握った。
「別に僕は、綾波の胸の大きさなんて、気にしないよ」
「でも……」
「大事なのはさ、その、大きさなんかじゃなくて……」
 シンジは軽く息を吸った。
「……誰の胸か、ってことだと、思うんだ」
「それ、って……」
「どんな大きさでも、それが綾波の胸なら、僕は好きだよ」
「いかりくん……」
 その声に後押しされてレイはそっと、シンジの手を引いた。はしたない女の子と思われてもいい。それが自分の望みだから。自らの胸と、彼の手を重ねる。
「あ、綾波……」
「さわって、ほしい。わたしのぜんぶは、いかりくんのためにあるから……」
 もう片方の手で、シンジの頭を抱き寄せ、口付ける。
「……いいの?僕、止まらなくなっちゃうよ、これ以上行くと」
「かまわない。わたし、こうなるのを、ずっとまってた…………!」
「あやなみ……」


 ――あなたと、ひとつになりたい……

306 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/13(火) 21:20:47 ID:???
〜エピローグ〜

「でもさあ、どうしてお酒で胸が大きくなるなんて思ったの」
「葛城三佐が、いつもビールを呑んでるから」
「あれは胸が大きいっていうより、ビール腹なだけだよ。綾波はああなっちゃだめだ」
「そうなの……」
「そうだよ。人間ああなったら、終わりだしねえ」
「そうねえ、勉強になるわ」
「でしょう?ミサトさんもちょっとは綾波を見習って…………え?」
「シンちゃんが私のことそんな風に思ってたなんて、知らなかったわ。じっっっくり、お話を聞こうかしら」
「い、いや、ミサトさん。今のは違うんです。そうじゃなくて、その……」
「言い訳は後で聞くわ。レイ、シンちゃんを借りるわね」
「どうするんですか?」
「女の子の扱いを教えてあげるのよ。レイとのデート必勝法とか。楽しみにしててね♪レイ」
「は、はい……!」
「綾波、騙されちゃ駄目だ!これは――むぐっ」
「さぁ〜て、行きましょう、シンちゃん♪」
「ん〜、ん〜、ん〜!」
「頑張って、碇くん」
「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」


  おしまい


307 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/14(水) 19:44:16 ID:???
キタ━━━(゜∀゜)━━━!!
GJGJGJ

308 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/14(水) 20:23:49 ID:???
ナイス

309 :夏厨:2010/07/17(土) 05:57:01 ID:???
-----【参話・再会】-----

病室、ベッドの上。深く溜息をつくシンジ。
(僕に出来るわけないじゃないか…)(だいたい僕はさっき気がついたばかりなのに…)(やっぱり父さんも誰も僕の事なんて…)
シンジのマイナスのループは病室の空気を重くする。

「…あの、シンジ君、入るわよ…」
「あ、マヤさん、どうぞ」
「先輩が心配だから行ってあげなさいって…」
「リツコさんが?そうですか…」

(今になって父さんがあんな風に言い出すなんて・・・リツコさんも、あれじゃ僕は・・・)
深い思考の迷路に俯くシンジ。それを知らずにマヤはニコニコしながらシンジの肩に手をやる。

「疲れちゃったのかな?少し横になってね」
「・・・はい」

310 :夏厨:2010/07/17(土) 05:58:12 ID:???
(え?あ?私なんかまずい事言ったのかな・・・どうしよう・・・わ、笑ってよシンジ君・・・)
「・・・え、えっと・・・あ!そうだ!葛城一尉、もうすぐ戻ってくるわよ!しかもね、シンジ君の大喜びする人を連れてね!」
「・・・」
「き、聴こえてる?シンジ君・・・」
「あ、聴こえてますよマヤさん、ミサトさんですね?」
「そうそう、ちょっとトラブルがあったんだけどね、でもなんとか明け方までに戻るってさっき連絡が来たの」
「トラブル?何かあったんですか?」
「うん、ちょっと機密事項があるから言えないんだけど・・・」
「・・・そうですか、でも無事で戻ってくるって事ですよね?」
「そう、全然いつもどおりの声だったから大丈夫よ?」
「良かった・・・」
「葛城一尉が戻るまで少し眠る?その方がいいわよね?わ、私はあっちに戻って・・・」
「マヤさん、せめてミサトさんが戻るまでいてくれますか?」
「え?」
「なんだか心細くて・・・誰かの声を・・・その・・・」
「わ、わかったわ、せん・・・赤木先輩に報告してくるね?」
「・・・ありがとうございます」
インターホンでリツコに付き添いをする旨の報告をするマヤ。何故か顔が真っ赤になっている。

311 :夏厨:2010/07/17(土) 05:59:06 ID:???
暗転、ゲンドウの執務室。モニターでシンジの病室を見ているゲンドウと冬月。
「・・・君の息子は・・・親子揃ってマダムキラーなのかね?」
「・・・」
「ふっ、葛城君が怒るだろうな」
「・・・」
「シンジ君がその気なら保護者の変更の件、作戦に支障はないが、どうする?」
「・・・シナリオの書き換えは許されない」
「・・・碇」
「・・・」
「・・・とにかく・・・羨ましいな・・・」
「ああ・・・」


「それでね、青葉さんが言うのよ、面白いでしょ?」
「あはは、そんな人だったんですか?」
「絶対内緒よ?」
他愛のないマヤのおしゃべりが、リツコとゲンドウが伝えた事の重みを少しだけ忘れさせてくれる。
シンジはなんだか久しぶりに自然に笑えたような気がして、マヤのマイペース(能天気?)に合わせている。
(マヤさんは優しいんだな、こんな僕に自然に話しかけてくれる…ミサトさんみたいにガサツな人じゃなくてマヤさんが保護者ならいいのに…)
「し、シンジ君…そんな事…」
また顔を真っ赤にするマヤ。シンジは今思ったことを、どうやら口に出してつぶやいてしまったらしい。
「っえ?っあ?いや、あの…」
モジモジする二人。その背後で病室の扉が開く。
「へー、シンちゃん、言うようになったわね」
怒気のこもった声、ミサトである。
「か、か、葛城一尉!」「ミサトさん!!!」
「保護者の変更の件、司令に報告する?お姉さんさびしいわ〜〜、ついこないだまではあんなに激しく求めたくせに!」
「葛城一尉!シンジ君!そんな…」
驚愕のマヤ。凍りつくシンジ。
「シンちゃん、浮気はダメよ?マヤちゃんも寝取ったらタダじゃ置かないんだからっ」
瞳を光らせてニヤリと笑うミサト。その横を「いや〜〜〜!」と叫びながらマヤが飛び出していく。

312 :夏厨:2010/07/17(土) 05:59:59 ID:???
「ミサトさん…」
「あはは、やりすぎたかな?…シンちゃん、久しぶりね…良かったわね、戻ってこれて」
真剣な表情に変わるミサト。
そしてグッとシンジを抱きしめる。瞳にうっすら涙。
「眠ったままだったらどうしようかと思っちゃった…ホントに良かった」
照れるシンジ。でもその表情が柔らかく揺れている。
「ありがとうございます…」
しばらくの間、病室は優しい空間に満たされていた。

「明日、退院しましょう、ここにいるとマヤやリツコやレイがシンジ君を狙ってるから」
「って!やめて下さいよミサトさん!」
「あら、本当よ?」
「もう、僕は病人なんですから…」
「へへへ、ジョークよ、でももうそんなに元気なんだから明日の午後には家で静養しましょうね?」
もう一度抱きしめるミサト。
「く、く、苦しいですよ、ミサトさん…」
「嬉しいでしょ?」
「…」

戦わせて傷つけた者と戦って傷ついた者の束の間のやすらぎに、その不自由な重みにミサトの胸が熱くなる。
涙が止まらなくなるミサト。
「悪いけどもう少しこのままいさせてね?」
シンジに返せる言葉はなかった…。

313 :夏厨:2010/07/17(土) 06:00:53 ID:???
「さてと・・・そろそろかな?」
シンジとの再会の儀式が終わると、ミサトは思い出したように呟く。
「先に話しておくわね、今日ドイツからセカンドチルドレンが赴任になったの」
「セカンド?チルドレン?」
まだ目覚めて数時間のシンジにはその成り行きが何を意味するのか判らない、というか急な展開に着いていけない表情。
「そ、ヤシマ作戦の後司令が緊急召集したわ、シンジ君は眠ったままだし、レイも無事だったのが奇跡だし」
「奇跡・・・」
「あなたのおかげの奇跡よ?シンちゃんがプラグから出してくれるのがもう少し遅かったらレイは今頃ダメだったでしょうね」
「・・・」
「シンちゃん、どしたの?」
「い、いえ」
「何よ、変なの、ま、いいわ、そのセカンドチルドレンだけど、これが凄いわよ〜〜♪」
「・・・」

悪戯っぽい瞳で捲し立てるミサト。
「ここに来るまでのエヴァ弐号機海上輸送中に第六使徒と遭遇、国連軍太平洋艦隊との共同戦線で殲滅、って言ってもほとんど弐号機の先攻でだけどね」
「独りで・・・殲滅・・・」
「凄いでしょ?でね、今日私が旧東京でちょっとした事故に遭ってね、そこでも大活躍♪」
「ミ、ミサトさん、事故に?!」
「あはは、心配しないで、弐号機が緊急対応で駆けつけてくれてこのとおり、ぜ〜んぜん無傷だし」
「でも・・・無事で良かったです」
「ありがと、でね、そのセカンドチルドレン、私がドイツにいた頃に何度も話した事あるんだけどシンちゃんの知り合いらしいわよ?」
「へ?」
「っていうか、たぶんシンちゃん大興奮の生唾モノっ!憎いね、この幸せ者〜♪」
全く話の展開に着いて行けず困惑のシンジ。そしてミサトから重大な名前が。
「セカンドチルドレン、その人の名は!!」
「あ、あの・・・」
「ナント!!」
「え、えっと」
<ガッターーーン!>
その時病室の前の廊下から物凄い音が響く。驚くミサトとシンジ。その廊下から悲鳴にも似た叫び声が聴こえた。
『あんたバカァ!?』

314 :夏厨:2010/07/17(土) 06:01:46 ID:???
数分前、シンジの病室前の廊下。金髪碧眼の少女が迷いイラつきながら辿り着く。
彼女の名は惣流・アスカ・ラングレー。4歳からセカンドチルドレンとして英才教育を受けたエヴァ弐号機専属パイロット。
「シンジは何処にいるのよ!まったくミサトもあたしを置いてどっか行っちゃうんだから」
薄暗い廊下を誰に問いかけるでもなく愚痴る。その視界の先に・・・誰かいる。
「あのー」
さっきまでの剣幕は何処へやら、猫をかぶったような声でその『誰か』に声を掛ける。
「302号室はこの辺ですか?」
そこまで口に出してふと気づく。その『誰か』が誰なのか。
「アンタがファーストチルドレンね」
来日直前に見たデータの写真の蒼髪紅瞳。そんな風貌の人間などそうはいない。しかもここはNERV施設内の病棟。
間違いない。そうであるならここは同じエヴァのパイロットとしてコミュニケーションを図るべきとアスカは思い立つ。
「あたし、アスカ、惣流・アスカ・ラングレー、エヴァ弐号機の専属パイロット、仲良くやりましょ」
「・・・」
一瞥した後、何も見なかったかのように視線を逸らすレイ。
「聴こえてるの?あたしは惣流・アスカ・ラングレー・・・」
「・・・聴こえてるわ」
(この女、ムカつく、何よこの態度)
「ま、まあいいわ、サードチルドレンのいる病室は何処?」
「・・・」
「って、ここじゃない、302号室、アンタここで何してるのよ」
「・・・わからない」
(わっ、わからないって、どう見てもシンジを心配してここにいる風情じゃない!なんなのよこの女!)

315 :夏厨:2010/07/17(土) 06:02:33 ID:???
実際レイは何故ここに自分がいるのか理解していなかった。
ただ先刻の執務室での出来事の後自分の部屋に戻るのが何故か躊躇われ、地上のバス停で3台ほどバスをやり過ごした後シンジの病室の前に来てしまっていた。
「シンジはこの中なのね?」
「・・・あなたはサードチルドレンの・・・何?」
その一言でアスカは激怒する。
(コイツ何様?あたしがシンジの何?コイツこそシンジの何なのよ?)
反面、レイ自身その言葉を吐いた後、何故自分がそんな事を言うのか理解できず困惑した。
(この気持ちは何?何故この人はこんなに怒るの?何故この人が碇君の名前を言う度に嫌な気持ちになるの?)
「そ、そんな事アンタに関係ないでしょ?そこどきなさいよ!」
思いがけず力が入ったアスカ。レイを病室の前から掃うような仕草をしたつもりが、レイの肩にアスカの腕が触れ、レイを押し倒すようになる。
「・・・っ」
二人、もんどりうって倒れこむ。レイがアスカの下で苦悶し、拒絶するような紅い瞳でアスカを射抜く。
「アンタがモタモタしてるからっ!」
アスカの苦い叫びの後、体勢をずらして膝まづいたまま離れる二人。レイは込み上げてくるワケのわからない違和感に迷い、アスカへの視線がさらに強くなる。
「な、何よ?やるっての?」
「・・・」
「何か言いなさいよ、何なのよアンタ!」
「・・・ここは病院、静かにするべきだわ」
冷淡に言い放つレイ。


316 :夏厨:2010/07/17(土) 06:03:46 ID:???
この一言で、アスカの全身の血液は蒸発するほどの沸点をむかえる。
『あんたバカァ!?』
やり場のない、豆腐に針を刺すような問答にプラス上から見下すような紅い瞳。そしてシンジへの献身にも似た、さっき見えた思いつめたような表情。そしてこの物言い。
アスカにとってこれを『宣戦布告』と取る以外の選択肢は持ち合わせていなかった。
「あたしはね、シンジの幼馴染にしてフィアンセ!ま、まぁ3歳の時の約束だけど、それにエヴァのパイロットになったのだって・・・」
そこまで言った時に病室のドアが開き、ミサトが赤鬼のような顔をして立っていた。

『アンタ達!面会謝絶の重病人の部屋の前で何してるの!喧嘩ならドグマででもやってなさい!』

病室の中、ベッドの上で半身を起こしてこちらの様子を心配そうに見るシンジがいた。
ミサトに怒鳴られて一瞬怯んだアスカだが、そのシンジを見つけて顔が見る見る紅葉する。
そしてレイは・・・。

(〔男〕one's fiance; 〔女〕one's fiancee[<((フランス語))]結婚を約束した相手。婚約者。いいなずけ。 )

先程のアスカの言葉を脳内で反芻して迷走していた。




つづく

317 :夏厨:2010/07/17(土) 06:05:58 ID:???
レス番付け忘れた
>>266 のつづきです

318 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/17(土) 14:03:02 ID:???
アスカと婚約設定は珍しいな
今後に期待してます

319 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/20(火) 13:29:52 ID:???
夏厨氏乙!続き待ってます

320 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2010/07/20(火) 20:30:26 ID:???
GJ!続き楽しみにしてます!

321 :夏厨:2010/07/22(木) 23:48:22 ID:???
みなさんアリガトです
まだまだ淡い繋がりのレイちゃんとシンジ君を幸せに出来るようにがんばります
無論アスカ嬢も隅には置いては置かないつもりです

リアル、月末引越し⇒祖母初盆で北海道行きが続くので、次回はもしかして9月かもしれません
忘れられてしまわないようにがんばります

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