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HELLSINGのキャラがルイズに召喚されました part9

1 :マロン名無しさん:2008/09/16(火) 13:55:38 ID:???
HELLSINGのキャラがルイズに召喚されました part8
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1216109823/

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part170
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1221370902/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
※左のメニューの【お預かり作品】に作品があります。



           我らはSS投下者の代理人
            保守のスレッド代行者
          ,___
        /゙      ` ̄ ̄`-,―ー,ハ、 _ ,--、 ,_
       l            |   ゙//:´::::|(二二,)
       ゙l \ヽ`ー―−- - |   ,iii,,ゝ:::::|(二二 )       我らが使命は
         |    _`、_ 。 。 。.|。 。,ii,l iノ ̄ヽ(゙~l`)     投下者に襲う規制を
        ゙l  i  ` ̄~`tーーl_,_:/:lヽ、___,/-´    そのレスの最後の一片までも
         ゙|  i  ー´~l::::::::::::::::://::::_,(二)        ―――保守する事―――
         l  i       |::::○ ::::○::::: | ,ー´
           l, i   イ ゙l::::::::::::::::::::::::::|i:::|ヘー、_
         く  i   i   |:::(二)ヽ::::::::::|i:::|lノ ゙゙  `ヽ
           ゙ゝ`i ノ ,i⌒i⌒i⌒l~ヽ i ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ー、
         <´ゝ- (二| ,i  l  i , |iiニ,__i ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ i ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
゙\   ,_,ー´ ̄ー ,/ /:゙ヽ,_,_,_,,ノ゙> |i:::|y  _,ー´ ̄/
  ヽ ヽ,   _-ー´,,ノ:::::::。,>`-ーー、,ゝ.|i:::|    i  ゙̄/
   |ー,く (,_,ー゙ ̄´ :::::::。゚::: )/ゝ::/ ゙̄/゙|i:::|   ,i ヽ_」
   ゙| ヾ\ \:::::::::::::::。゚:::::::::i//   / , .|i:::| \i  ,l/
    ヽイ-`ヽ ゙\;:::::::::゚。::::::::。\_,/゙。  .|i:::|   ヽ, l゙
\    \ヽ \ ゙\ :::::::゚。_。゚:::::::`\ 。 .|i:::| 丶  ,|ノ゙

2 :マロン名無しさん:2008/09/16(火) 14:01:27 ID:???
               ___           ______
          r―==ケ::::::::::::::ヽ、       /
       /"   /;:::r-,:::::::○:::ト、     /      支
      //     トi!::::`":::::::::::::::i! )     / 読 ち  援
      !:/     `l|::::rwんソソ:::ソ    <     ゃ が
      ! !  r=、  `!::ヾ:::::::::::::::/::ミ     |   ん  っ 済
      `=、__ノ  /:::::::::ゝ!⌒!/::::::川-=-、 .|    ち  ん 
           //::::::r彳⌒`ーi 、::::::::::::::ヽ| で  ゃ .だ 
        _r-''":::::ノヾ三r--,!  !/):::::::::::::::::!、   と  ら 
      r''"::::::::::::/ノrl|リ::||:::l|i! !ヘ::::::::::::::::::! ヽ
      ノ::::::::::::::::`' !_l|l|::ll:::::|`ー〉/:::::::::::::::::!   \_____
/ ̄ ̄ ̄ ̄\___:::::r-l|::j.l::::|| /ィソヾ___/
   レ       /::::::トl|.::j |::::l|ソノi::::::::::::/リ
           |::::::::ミ!/::j |::::l|イ/i:::::::/:::l|
   ス       ..|::::::::ヾイ-|::::l|':::::i::::::::!::|l::::ト
           |::::::::::ソ-==-l|:::::i::::::::!:::l|!:::ヾ
   し       .|:::::::::くl| |::::`}i::::i:::::::::!;;:l|::バ
           |:::::::::|l::| |:::::|| i:ノ:::::::::!::リ/川
   ろ  |      .|::::::::|l::| |::::::l|::く∧:::::!ソ/:: :|
             |::::::::|:::| |:::::| |∨〉:::::::〉/:::/::|
\________/::::::::|l::| |::::::l.|:::::::::::::::::!ノ/ 川
  /r::::::::::::::::::!::::::::::::|l::| |::::::l.|:::::::::::::::::::ヾソ ノ
./::::::::::::::::::/ソr":::::::::::|l::| |:::::::l.|:::::::::::::::::::::::ヾ-、
:::::::::/:::::ソ-'":::::::::::::::::::|::| |:::::::::l|::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ

3 :マロン名無しさん:2008/09/16(火) 14:08:57 ID:???
  /   な   \  / l l   l  ‖│ l | l_⊥-┼| l  トy-、 l |   l l /         ヽ
  |   ら    | /, | |   |  || | l l∠-‐ニ!lTl| l   |/,=、ヽ l |l  l |′     ひ あ
  |   さ    | /│ l |  |   |レ|,ィ彡tテl⌒リ!l ! l  | {ニ、} } l |l l l |     ょ
  |    .っ    | | l | |`>ト<、 {/{爪__ノ_ノ 川  | i |  / /l l | l│‖     っ
  ヽ.   さ    |│ l lVヘiY代ミ、   ´ ̄   i l l  l l | ト-イl l l│l |l l|l、    と
   ,ゝ と   / ヽト、∧ lヽゞーソ,       ! l |  l i l l リ l l│l lリ!|ハ、    し
 /       /   ヽ、 ヽリハ´ k、‐ _ ____,l l |  l l l l /_l⊥!-亠‐'¬ト、   て
/        <         ,ハl ハ  、rく_ン‐宀ィ| l l  l i レ'´      __, ニフ´       /
    支    l     ///l l ヽ、 \{   ノ/ l |  l l |  ,.ニ‐  ̄ __ /          r‐′
    援   │    / ' / ! i i l\ `三'´ ,l l  l l / /   ,∠-/  の 投   ヽ
    を  /  ,/ // /  l l l  l>、__. ィ/ l  ! l,/'´   /-‐ /    か . 下 こ  !
 し     >´ ////  i i l /レ了´/l l  l/   ∠ - ‐ l     な  し の  |
 ろ     /  ///, '/   / l l l 厂l/ / //   /´   __|     ?  て .私  |
\___/ //// /,  '/ // l//   / /'     / -‐  ̄   l     キ 欲 に │
      // ∠ -‐ 7, // // /'´   / /    /    -‐   \   ミ   し    l
    //, く    _// // ///    / /   ∠−  ̄         ∠ 、達  い    /
  ,/// /\,/// // //′    //ニニン′             \_    __/
/// / __/  j/ // //      //  /                    ̄厂

4 :マロン名無しさん:2008/09/16(火) 17:32:24 ID:???
>>1

5 :マロン名無しさん:2008/09/16(火) 21:11:26 ID:???
アンデルセンに師事し勇者となった狂信者サイト
ベルナドットに師事していたらスネークのコードネームで呼ばれる様になれたかな。
ワルドとルイズの結婚式でダンボールの中で息を潜め機会を窺うサイト(セラス以外誰も気付かない)

6 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/09/16(火) 23:09:51 ID:???
2330より15話目投下します。

7 :虚無と狂信者:2008/09/16(火) 23:32:08 ID:???
レコンキスタ所有の戦艦の中。
火が、風が、氷が、刃が、彼に当たる。その度にそれに臆することなく進んでくる彼の為に、恐怖と恐慌が巻き起こる。
彼が一度その腕で薙ぎ払う度に、血の糸が生み出され、血風が舞い、死が起きて行く。
一方別の場所では両手から放たれる弾丸が人を粉砕し、息の根を着実に止めて行く。近接戦を挑んだものは
喉に食いつかれ、生きながらにしてその血を吸われていく。

「あーあ」
叫びと、狂乱と、死の言霊が空の風を突き破り、キュルケとルイズの元に届く。シエスタは口元を抑えて呟く。
「……エグイですね……。」
「「……言わないで。」」
少し落ち込む二人。ふと戦艦の辺りを舞う黒い蝙蝠達に気づいた。何やら戦艦と外を行ったり来たりしている。
蝙蝠達はそれぞれ石を持っていて、バケツリレーで運び、それらをポイポイと下海に落としていく。
(((ちょっと可愛い………。)))
和む三人だが、それがもたらす効果はえげつない。
「うわぁーー!!風石がーーー!!」
「頼む!止めてくれ!落ちるーー!!」
戦艦は風石の力によって浮き、航行する。その風石が無くなると、当然浮力は不足し、墜落する。
だんだんと戦艦は高度を下げ、避難船の高さよりも下になった。そこでようやく彼らが帰って来る。
「お帰り、アンデルセン」「御苦労様、アーカード」
避難船の甲板に降り立つ、彼女らの使い魔達。その二人の姿を見て、キュルケとルイズの顔が強張る。
アーカードの首には銃剣。
アンデルセンの額には銃弾。
「「あんたらねー……。」」
「いやあいつら以外と手ごわい。」
「ああそうだな。」
「あんたら実は仲良いでしょう………。」


8 :虚無と狂信者:2008/09/16(火) 23:36:20 ID:???
「あら?」
シエスタの声で一同はそちらを見やる。
高度が下がっていき操作不能となっている戦艦。その行先には、おそらく民間船らしい。
双方大騒ぎするも、抵抗はむなしかった。
クラッシュ
「うわーーー!!」
「誰か落ちたぞー!!」
シエスタは小刻みに震え始めた。ポカンとするキュルケにルイズ。静止するアーカードとアンデルセン。
暫くしてシエスタ除く四人は行動方針を一致させる。
「いやー災難ね?!」
「ええ、そうねヴァリエール。全く何でこんなことになったのかしら。」
「全く軍艦ともあろうものが、民間の船に激突するとは情けない。」
「それよりサイトの様子を見ましょうか。」
ぞろぞろと船室に入る四人。シエスタはぼんやりとそれを見送り呟いた。
「大人ってズルイわ………、もう。」
誰もいないところでおちゃらけた後、彼女もまた皆の後を追った。

サイトは船室で眠りこけていた。ピクりとも動かない。
「大丈夫かしら。」
港町にて眉間に一発の銃弾、内臓破裂二回。
間髪いれず、即死ものの雷撃二発、剣が胸をつらぬき、風による斬撃、裂傷、数知れず。
ついでに言えばアーカードとアンデルセンのまきぞいで眉間に一発、胸に銃剣二本。
相手で言えば、トライアングル一人、人狼一人、スクウェア一人、最強の吸血鬼一丁。
「再生者って便利なものね………。」
そのルイズの呟きにアンデルセンが首を振る。
「いえ………これだけダメージが嵩めば………。このまま目覚めないことも充分にありえました。」
一斉にアンデルセンに振り向く一同。そのまま彼は続ける。
「所詮人間ですからね。限界があります。」
彼とてアーカードとの戦いではギリギリまで追いつめられたのだ。再生能力とて限りがある。


9 :マロン名無しさん:2008/09/16(火) 23:40:25 ID:???
支援

10 :虚無と狂信者:2008/09/16(火) 23:41:36 ID:???
「そ、そんな…………。」
「大体痛みはあるのだろう?ライトニングクラウドを喰らって気絶しないなんて大したものだ。」
そう、ベルナドットすら一撃で戦闘不能になったのだ。あの呪文がもたらす激痛は計り知れない。
魔法で治す場合でも本人の生命力を過ぎれば治癒が追い付かないことがある。
「まあこの分だとしばらくは眠ったままだろう。ゆっくり寝かしておいてやろう。」

「なあ、デルフ」
「んだよ相棒」
デルフの声は暗い。まあ、扱いが悪かったし当然だろうが。
「あいつの回復法術の力は異常だ。どういうことだ?」
サイトの回復能力の高さは自分に匹敵する。
つい最近カトリックに改宗したばかりの聖職者でもない少年がである。異常という他無い。
「うーん、そうなのか……。やっぱりな。まあ簡単に言うとそりゃあ相棒の力だよ」
アンデルセンは顔を顰める。意味が分からない。
「そして最後にもう一人、記すことすらはばかれる……」
「何だそれは?」
「伝承さ、悪いが、それ以上のことは言えねえ」
「ふざけるな」
「ああ、そうかもな。相棒、俺はお前さんのこと好きだよ。とんでも無く強いし、
面白い敵と戦ってるし、何よりお前さんは面白い奴らを惹きつける。
こんなに退屈しなかったのは六千年生きてて久し振りだ。
だから、俺がやることは皆お前を思ってのことだ。
だから、俺が知らないといったら知らねえんだ」
それっきり黙りこくった剣を置き、アンデルセンはその場を立ち去る。
サイトのいる部屋に向かうためだ。
その彼を見送り、デルフは一人呟いた。
「やっぱり……相棒はあいつとは違うよ」


11 :虚無と狂信者:2008/09/16(火) 23:46:32 ID:???
サイトの回りにはシエスタ、ルイズ、キュルケ、タバサ。皆が集まっている。
「こうして見るとまあ合格点くらいの顔はしてるわね。ウフフ」
「こら色ボケキュルケ!あんた平民にまで欲情するなんて貴族の風上にも置けないわね!」
「あーら、別に私が誰を好きになってもあなたには関係無いじゃない。」
「グ、それはそうだけど…………。そ、そうだ!あんたに迫られたらあんたの取り巻きに
襲われるでしょうコイツが!一応コイツは私の命の恩人なんだからね?!」
「そうだって何よ………。大体そんなこと言ったらあなたの家だって公爵家じゃない。マズイでしょ?」
ルイズはワルドに言われたことを思いだす。気持ちが少し沈んで行った。
落ち込み様は、その沈黙が少年への好意を示すことに気づかぬ程である。
ただ確かに彼女に取ってみれば、二度も自分の命を救った彼に恋に似た感情を持つのも無理からぬことであった。
「そうですよ、御二方。貴族と平民、身分違いの恋は、不幸の元ですわ。」
シエスタがにこりとこちらを向く。本来は名誉でも何でもないが、目が勝ち誇っている。
「そ、そうね!平民同士お似合いよね!」
「ええ、ありがとうございます。ミスヴァリエール。」
睨み合う二人、その二人の対立を煽るキュルケ。その隣のベッドでベルナドットが溜息をつく。
「一応こっちにも病人いるからよ、静かにしてくんねえかな。」
タバサはそんな彼にサイレントを掛けてやった。
「便利だな。アリガトヨ。タバサ嬢ちゃん」
すぐさま彼の感覚では静かになる船内。ベルナドットはごろりと横になる。
ふと思い出すのは、あの皇太子。
「………元気に死んでっかな………今頃よ。」


12 :マロン名無しさん:2008/09/16(火) 23:46:37 ID:???
支援だ! 支援が起きている!

13 :マロン名無しさん:2008/09/16(火) 23:49:36 ID:???
支援を拒む理由は無い

14 :虚無と狂信者:2008/09/16(火) 23:50:33 ID:???
「お先に!」
「御然……らば。」
「逝きます!」
爆音が響き、人が弾けて行く
三百の兵は、一丸となって包囲網を突っ切って行く。
勝ち戦の兵は、その皆殺しの空間に恐れをなし、次々と自ら道を空けて行く。
先頭のウェールズは精神力が切れたにも関わらず、二本の銃剣で立ちふさがる兵達を速やかに切り裂く。
さらに戦闘不能となった兵は体に巻いた火薬により速やかに自爆して行く。
昨日、貨物船より奪った硫黄である。
誰も彼も、舌うち一つ、溜息一つ零さない。
起こっているのは「死」なのに、彼らを支配するのは「歓喜」。
誰も彼も笑っている。
遠くの敵と戦う為だけに、戦っている。
消えてしまえと、死んでしまえというように。

その戦法は向かえ打つ敵にとっては最悪と言える。
ついに敵兵は潰走を始めた。
残る兵が数十となったころ、血で片目が塞がったウェールズの視界に一つの旗印が入る。
「クロムウェル………!」
ウェールズの顔が笑っている。
熱い呼気が、白い霧となって口から洩れた。
もはや失う領地もない。愛する人も置いて来た。
部下は自ら命を断ち。戦友はすぐ傍にいる。
(勝てる!)
この戦いの中、幾度も無く思ったこと。
仲間のメイジが火によってその道を開ける。
「さあ私はコールしたぞ!次は貴様だクロムウェル!覚悟を決めろ!
ハリー!!」


15 :虚無と狂信者:2008/09/16(火) 23:54:13 ID:???
「閣下!お逃げください。」
クロムウェルは、ただの普通の男にしか見えぬ男は、のんびりと茶を啜っていた。
アルビオンで品種改良された茶葉だ。
「閣下!」
「そうさわぐな。なんのことはない。」
「何がです!王党派はすぐそこまで来ているのですぞ!?」
「うんそうだな。一杯どうだね?これはうまい!これを栽培してアルビオンの特産品としよう。」
「ですから………。」
「うんわかっている。」
クロムウェルは飄々と笑った。
「兵は宝、これ以上失う前に私みずから決着をつけ、勝利をより多くの士卒で味わおう。」
唖然とする部下を尻目に、ウェールズの怒号のする方へと向かう。
「いいだろう陛下。コールだ。」

天幕からあっさりと求めに応じて、クロムウェルが姿を露わした。
その姿はまさしくただの司教であり、ただの人間であり、それゆえに不気味だった。
体格などはウェールズとは比べ物にならず、あっさりと敗れそうである。
しかしウェールズは冷や汗をたらした。
(何故冷静でいられる?)
両者の距離およそ10メイル、間を防ぐ兵はいないにも関わらずである。
逡巡している間に兵が間に入る。すぐさま火炎がそれを覆った。
残ったひと欠片の魔力を行使し、死体の壁を飛び越える。
「オリヴァーーーーッッッ!!!クロムウェルッ!!!!」
ウェールズの特攻に彼は立ったままだった。そして手を少し差しのべてやる。
銃剣が突き立った、はずだった。


16 :マロン名無しさん:2008/09/16(火) 23:55:33 ID:???
…まさか、指揮官殿か? 支援

17 :虚無と狂信者:2008/09/16(火) 23:57:56 ID:???
ウェールズの体を何かが貫く。緑色の何か。クロムウェルの体から生えるそれ。

それは、何本もであり、ウェールズの体が痙攣を始めていた。
もはや十数となった彼らは一斉に魔法を斉射する。
風が、氷の矢が、クロムウェルを貫いた、はずだった。
しかし、茨となったクロムウェルはそれを物ともせず、彼らを貫き、締め上げ、絶命させる。
最後に残った兵が叫ぶ。
「何なんだお前はー!?」
茨が、彼の周りをまるで御伽噺の城のように覆う。
その姿にレコンキスタは初めは戸惑いつつも、次第に大きな歓声を挙げる。
「神聖皇帝万歳!!」
「レコンキスタ万歳!!」
「『茨の冠』クロムウェル万歳!!」

かくしてニューカッスルの戦いは王党派の全滅と共に、貴族派三千の犠牲を生んだ。
王党派は全軍で敵に突撃し、クロムウェルの天幕に到達した。この戦いは伝説となる。
しかし、その戦いの後、レコンキスタはその志願者を大幅に増すことになる。
それは、クロムウェルの奇跡の力が初めて垣間見えた戦いだったからだ。


18 :虚無と狂信者:2008/09/17(水) 00:00:59 ID:???
アーカードはその目線をアルビオンに向けて、極めて静かに佇んでいた。そこにキュルケが近寄って来る。
「一体何を考えているの?」
 彼はその狂喜を何ら隠さずに言う。
「いや、何。つくづくこの世は馬鹿共が多い。とな」
馬鹿共が一体誰を指すのかは大体察した。一つはサイト、一つはウェールズ。
「何だって、必ず死ぬような戦いをするのかしらね」
キュルケから言わして貰えば、勝機の見えぬ戦いを挑むことと、勇敢さとは違うものだ。
「いや何。勝機などというものは億に一つ、京に一つとして転がっているものだ。
であるならば、それを目指して戦いにいった彼らは充分に勇敢と言える」
 彼の鼻孔には確かに、彼の好きな匂いがとどいていた。
「それに、戦うことと死ぬこと以外の人間の営みなど、全てくだらないことだ。
逃げて、住むべき城も、治めるべき領地も、守るべき領民も失くして生きた所で、一体何になるのか」
 キュルケはその言葉が、他ならぬ彼自身に向けられぬことに薄々感づいていた。
 不死身の伯爵、最強の吸血鬼、化け物を狩る化け物。
 でもなぜ、この己の使い魔が、こんなにも弱弱しく見えるのだろう。
 ひどく哀れで、滑稽で、子どもっぽい。
「不思議ね……。今のあなた。あそこで寝てる男の子よりも……、全然弱い気がするわ」
 アーカードは天を仰ぐ。その顔に浮かぶのは今まで見たことも無いほど優しい微笑みだった。
 憐れな男、人間でいられなくなった、弱い化け物。
 彼が守るべきものも、愛する人も、彼を知る者もみな消えうせてしまった。
 キュルケは想像する。体は瑞々しいまま、永遠に生きること。
 それは確かに素晴らしいだろう。
 だが己の使い魔を見る限り、それを欲しいなどとは思えない。
 優しく撫で上げたその首筋は、ひどく冷たかった。

19 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 00:04:34 ID:???
ダイレクト支援(サポート)!

20 :虚無と狂信者:2008/09/17(水) 00:04:55 ID:???
サイトの異変にアンデルセンが気付く。彼の眼に一筋溢れる、涙。
「悲しい夢でも、見たのでしょうか?」
シエスタはそれを指で拭い、手の上で愛おしく眺めた。

ルイズとアンデルセンは二人で甲板に立っていた。少女の目には涙が湛えられている。
「ねえ?何でサイトや………あなたは、戦うの?」
アンデルセンは空を見ながら言う。
「きっと私と彼は別物でしょう。」
そう、俺はただの銃剣でいい
神罰という名の銃剣でいい
俺は生まれながらに嵐なら良かった 脅威ならば良かった 一つの炸薬ならば良かった
心無く涙も無いただの恐ろしい暴風なら良かった
半世紀近くそうだった
ならば、彼はどうだろう。

港町で分かれたタバサとベルナドットはセラスを迎えに来た。セラスは泣きだしそうな顔で、
「うぇーん!お嬢様ぁぁああ!生きてたー!」
と叫んでタバサに抱きついた。
「あ、あいつが、ワルド様がタバサさんを吹き飛ばしたんですよね?!大丈夫でしたか!?」
「平気」
「あの、俺は?」
「サイトさんは!?倒れてましたけど!?」
「だから俺は?」
セラスはベルナドットに敬礼する。
「隊長!任務御苦労様です!」
ベルナドットは苦笑いを浮かべ敬礼しつつも、心中は複雑だった。
(信頼の証なんだろうけど、なんだかなー)


21 :虚無と狂信者:2008/09/17(水) 00:07:18 ID:???
「ウェールズは逝ったか………。」
シュレティンガー准尉は頷く。
「あの王子サマもあと10年早く生まれていたらねー」
「戦争とは情報戦で始まり、終わっている。本番でよく頑張った方だろう。」
犬耳をピコピコさせ、准尉は答える。
「あ、そうそう。王サマお気に入りのあの子ね。ワルド倒しちゃったよ。
あのおじさん、スキルニルを二つもくれてやったのにサ。」
男は笑って言う。
「君達といい、彼等といい、この世界にやって来た向こう側の者達は相応の力やアイテムを持って来た。
ではなぜ?何も持たず、ただの少年である彼が来たか?興味はある。」
使い魔でもなく、武器も持たず、化け物でもなく、ただその身のまま彼は来た。
何のつもりで。
「ブリミルも酔狂なものだ………。あの少年も可哀そうにな………。」
もはや彼は来ざるをえない。成り行きとはいえ彼はコールした。
いや、誰も彼も身を委ねたのだ。
担い手も赤髪もシャルロットもそしてその使い魔達も。
「さあ皆で行こうではないか……。皆殺しの平野(キリングフィールド)へ。」


22 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 00:13:53 ID:???
支援

23 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/09/17(水) 00:14:09 ID:???
以上で投下終了です。支援、まとめありがとうございました。
次回はテファ由美です。それでは。

24 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 00:18:20 ID:???
乙でした

クロムウェルは聖釘使用か
水の指輪も持ってるんだろうな〜

外伝にも期待しています

25 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 01:19:20 ID:???
乙&GJ
クロムウェルがどうなるか激しく気になる

26 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 01:27:41 ID:???
クロムウェルが一瞬どっちのことかと思ってしまった

27 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 01:29:31 ID:???
紛らわしいよなwクロムウェルwww

28 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 01:34:50 ID:???
つーかクロムウェルって苗字なんだよな
なんで拘束制御術式の名称なんだろ?

29 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 07:07:22 ID:???
調べてみたけど俳優と政治家、戦車と駆逐艦、あとオリバー・クロムウエェルとその親戚しかでねぇ
なんでクロムウェルなんだろうな?拘束術式と革命家なんて関係ないよな?

30 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 07:36:01 ID:???
イングランドのキリスト教を語る上で欠かせないからじゃない?
イングランド国教会の創設者でもあるらしいし。

31 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 07:44:23 ID:???
狂信者の人乙!
アンデルセンは聖釘で単なる神罰と化した。
しかし、クロムウェルは化け物になったとは言え自分を保っている。
クロムウェルが使っているのは本当に聖釘なのだろうか。
まだ出て来ていないドクがクロムウェル製作に関わっている気がする。

32 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 12:21:04 ID:???
バチカンから失われた『聖骸布』とか『ロンギヌスの槍』が流れてきてたりして。

33 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 16:37:40 ID:???
>>32
出すならどういう効果にするかが問題だな

34 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 17:50:54 ID:???
ゼロ魔世界の技術レベルだとドク印の吸血鬼を作る事は出来ない。
聖杯か聖骸布に使用者が望む化け物(例えば吸血鬼)に変化させる機能を持たせるのはどうだろう。
ロンギヌスの槍はどういう効果にするかちょっと思いつかない。

35 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 17:59:50 ID:???
聖杯=ヒトラーさんの魂が入ってる
聖骸布=燃やすと一時的に暖かくなるが、地獄を見る
ロンギヌスの槍=ロンギヌスさんになれる

36 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 18:08:13 ID:???
ロンギヌスの槍=キリストの死を確認したことから
死を確定させる槍、とか。シュレディンガー准尉涙目で。

37 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 20:06:57 ID:???
刺し殺した相手が3日後に復活する槍とかw

38 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 20:36:59 ID:???
>>36
死亡確定させる不死者(再生者含む)特効は良いかも知れない。
>>37
刺殺三日ルールはバキの溺死1.9億年ルール(塩漬けなら蘇生可能)に近いものがあるからちょっと・・・。

39 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 21:44:45 ID:???
旦那の場合は死んでないわけじゃないからなぁ
槍じゃなくて大量破壊兵器とかじゃないと駄目じゃね?

40 :マロン名無しさん:2008/09/17(水) 22:46:51 ID:???
クロムウェル→聖教徒革命→バチカン関係

41 :マロン名無しさん:2008/09/18(木) 00:12:22 ID:???
ロンギヌスは衛星軌道上の使徒を(ry

42 :マロン名無しさん:2008/09/18(木) 01:53:18 ID:???
>>36
刺さる気がしない
空気相手に槍振り回すようなもんだし

多分猫耳准尉があの世界で一番のチート

43 :マロン名無しさん:2008/09/18(木) 07:05:23 ID:???
セラスの胸じゃね?

44 :マロン名無しさん:2008/09/18(木) 07:27:54 ID:???
局長の性格だな

45 :マロン名無しさん:2008/09/18(木) 09:28:25 ID:???
いやいや
一番のチートはHELLSINGの主人公山守義雄だろ

46 :マロン名無しさん:2008/09/19(金) 10:14:50 ID:???
SBR優勝

47 :マロン名無しさん:2008/09/19(金) 20:58:19 ID:???
チートかどうかは知らんが
諦めが人を殺すという信念を破壊して諦めさせ
化け物を殺すのは化け物説を根底から覆した
旦那調教の腕にかけて猫耳准尉の右に出るものはいないよ

48 :マロン名無しさん:2008/09/19(金) 22:36:03 ID:???
ここで平野コータを召喚。

49 :マロン名無しさん:2008/09/20(土) 07:54:45 ID:???
確かに准尉のショタさはガチだな
ノンケの俺が目覚めちまう程に

50 :マロン名無しさん:2008/09/20(土) 08:58:38 ID:???
あの質量を持って型崩れせずバランスを保っているティファが一番のチート。
あれにはゾーリンもシュレも吃驚だ。

51 :マロン名無しさん:2008/09/20(土) 12:54:01 ID:???
セラスもティファに劣らない、中々の物を装備してると思うんだかどうか?

52 :マロン名無しさん:2008/09/20(土) 16:22:13 ID:???
シュレ・ゾーリン「・・・(ティファのものを凝視)」
ティファ「あの・・・何か?」
シュレ「今回は僕達の負けのようだね」
ゾーリン「その様だな、今回は退かせて貰う」
由美江「ちょっと待て!!」

53 :マロン名無しさん:2008/09/20(土) 16:25:53 ID:???
シュレおかしいだろww

54 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/09/20(土) 21:43:23 ID:???
外伝2話目2215より投下

55 :マロン名無しさん:2008/09/20(土) 21:57:05 ID:???
おー、支援。
 
>>51
だが、セラスにはブラがある。テファはブラによる形状補正が全くない状態でああなんだぜ?
恐ろしいにもほどがあるわ!

56 :もう一つの虚無と狂信者:2008/09/20(土) 22:17:50 ID:???
由美江と由美子がティファニアに召喚されてから一月ほど。この生活にも慣れてきた。
由美子とティファニアは太陽と共に起きて、朝食の準備を始める。朝食が済めば、由美江に代わって、
今度は薪割りや狩猟といった力仕事を行う。特に薪割りは男でのないウエストウッド村ではかなり
重宝される。この効率のよさは由美江の能力だけではなさそうだ。
(左手のルーン?って奴かな。)
初めて薪割り用の斧を握って見た時、その変化に気づいた。体が軽くなった感覚を覚え、どれだけ
動いても疲れにくい。狩猟用の弓も、使ったことなど全くない由美江でもあっさりと使いこなせた。
ためしに由美子にも使わせてみたが、その効果は変わらず発揮された。無論能力の差はあったが。
これを戦いに応用できれば、対吸血鬼戦で強力な活躍ができるだろう。
しかし、不思議とそんな気はおきない。
「由美江?休憩にしよ?」
主であるティファニア。その生い立ちは暗い。エルフの血を引くというだけで脅えながら暮らす彼女。
母を殺され、国を追われながらそれでも復讐など微塵も考えぬ彼女に由美江はある種呆れていた。
自分ならそんな連中とっとと斬り捨てているだろう。
だが、このか弱く、優しすぎる彼女にはそんな考え思いもよらないのだ。
「はい、紅茶。おいしい?」
「ああ」
自分などよりも数倍シスターに向いているであろう彼女、この少女のお友達になるのも悪くは無い。
まあ、由美江は彼女の姉と同年代なわけだが。
それに孤児達の面倒を見るその姿は自分の敬愛する神父と少し重なる。
無論この少女は狂信者でも二重人格と思えるほどの戦闘狂でもないが。
どの途自分は彼女が居なければ死んでいたのだから、これも主の導きなのだと思っている。
「どうしたの?」
考え事をしていた自分をティファニアがのぞき込む。その頭を撫でてやる。表情は無愛想なままだが。
「なんでもない。」
手の感触に嬉しそうに目を細めながら、ティファニアは話を始める。
「ねえ?また由美江の世界の話を聞かせて?そうね、飛行機の話。」
「ん?そうだな」


57 :もう一つの虚無と狂信者:2008/09/20(土) 22:21:55 ID:???
向こうの生活様式や技術の話を彼女は飽きることなく聞いてくる。そしてその度に言うのだ。
「私も由美江や由美子の世界に行ってみたいな………。」
この言葉を聞く度に由美江はこの言葉を返す。
「そうか?あたしはそれよりこの世界の色んなところに行きたいがね。」
火竜の棲む山脈、様々な幻獣、いま自分が居るところですら空に浮かぶ大陸だという。
「そうね………。でも私は………。」
ティファニアは耳を塞ぐ。正直こんな少女を畏れるなどと由美江には全く理解できぬことだが、
この世界の人間全てがこのかよわいハーフエルフの少女の敵なのだ。さらにエルフの間でも彼女は迫害の対象らしい。
落ち込む彼女の両耳を由美江はつまんでやる。とたんに身を竦め、顔を赤らめるティファニア。
「ったく!こんなもんのどこが怖いんだかな。」
「ちょっ、止めて……」
「安心しろよ。とりあえずは一緒に居てやるから」
その言葉にハッとするティファニア。そしていつもの優しい笑顔になった。
 意外なことにティファニアは優しい由美子よりもぶっきらぼうな由美江によく懐いていた。
 自分とどこか毛並みの違う所に惹きつけられているようだ。

その夜。ティファニアはハーブを演奏し、何か歌を歌っている。この歌を聴くと、
由美江と由美子の心に郷愁の念が込み上げてくるのは何故だろう。

神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。左に握った大剣と、右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる。

神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛。あらゆる獣を操りて、導きし我を運ぶは地海空

神の頭脳はミョズニトニルン。知恵のかたまり神の本。あらゆる知識を溜め込みて、導きし我に助言を呈す。

そして最後にもう一人……。記すことさはばかれる……。

四人の僕を従えて、我はこの地にやってきた……。


58 :マロン名無しさん:2008/09/20(土) 22:22:36 ID:???
支援

59 :もう一つの虚無と狂信者:2008/09/20(土) 22:25:17 ID:???
歌が終わり、拍手してやると、ティファニアは笑顔で会釈した。
「ねえ、ワインがあるの、飲まない?」
「ああ……」
頷いた時、由美江が村に迫るその異変に気づいた。

少し離れた所、林の影に、彼女はいた。最後の大隊所属、ゾーリン・ブリッツ中尉である。
子どもが12、少し大きいのが一人、大人が一人。吸血鬼の脅威的な聴覚は正確に村にいる人間を探知した。
(ティファニア姉ちゃんとか呼ばれていたから……。あの家の二人のどちらか、か)
後は寝静まるころに攫って、聞き出せばいい。
(残った餓鬼どもはどうしようか?)
別に子どもだから特別うまいという程でもないが、彼らにとっては悪いことに彼女は腹を空かしていた。
別に彼女が特別残虐という訳ではない。だがヴェアヴォルフとは普通こういうものというだけだ。
(一人、二人だな………。まあ、あまり取り過ぎると後々困る。)
渇きを癒すその感触を想像し、絶った気配が少し、ほんのわずか緩んだ。
彼女はまさかここに自分に対抗し得る敵がいるなどとは考えていなかった。

それは普段なら見過ごしていただろう。ただどういう訳か由美江の第六感はその気配を感じた。
「どうしたの?由美江。」
「あ?いや、ちょっとトイレにな。」
そして彼女は外へと出た、愛刀を持って。

誰かが出てくることを察知し、ゾーリンは木の上に身を隠した。成人の女だ。明らかに辺りを警戒している。
ゾーリンはその女の手に明らかにこの世界と異質な武器を持っていることに気づく。
(まさか感づいたか?)
しかし、彼女は辺りを見回すのみでこちらの位置を正確に掴んでいない。
では、話は早い。
今こそが好機。敵はこちらに気づいていない。辺りは夜。しかもあちらからこちらに赴いた。
奇襲の好条件は確実に揃っていた。


60 :もう一つの虚無と狂信者:2008/09/20(土) 22:28:18 ID:???
(気のせいかな)
元々彼女に敵の殺気を正確に感知するような馬鹿げた力は無い。ただ、歴戦の経験が知らせた違和感に過ぎない。
(ご主人さまのところに戻るか。)
そう思ったところで、またも感じた。それは数多の戦いの感覚と同じもの。
彼女は全速でしゃがみ込みその一撃をかわした。

まさかかわされるとは思いも依らなかったゾーリンはそれでも二撃目を彼女に見舞おうとする。
それは不安定な姿勢の彼女には絶対にかわせぬ筈だった。
しかし、彼女の左手のルーンが光ったと思うと、姿がそこから文字通り掻き消えた。
驚愕の呻きを挙げるも大鎌を目前の敵に突きつけるゾーリン。
由美江はただ、構えた。
腰を落とし、納刀した刀に手をかける。
島原抜刀術の態勢を整えた。

61 :マロン名無しさん:2008/09/20(土) 22:30:28 ID:???
支援

62 :もう一つの虚無と狂信者:2008/09/20(土) 22:32:12 ID:???
ゾーリンは眼前の敵を自身の記憶にあるデータと照合する。そして答えが出た。
教皇庁13課イスカリオテ機関の要注意人物。
アレクサンド・アンデルセン神父を鬼札とするならば、彼女はエース。
仕事人、狂戦士高木由美江。
おそらく自分と同じ様にこの世界に来たのだろう。
「何しに来た?」
ゾーリンはその問に正直に答えた。
「ここにいるティファニアとかいう女と、そのマジックアイテムに用がある。」
「それをどうするつもりだ?」
「知らないよ。友達に頼まれたのさ。」
「そうか………。」

明らかに人為らぬそれ。夜の者。
「退く気はないか?」
この言葉に目の前の敵は笑って言う。
「噂と違って随分と大人しいんだな。えぇ?イスカリオテバーサーカー?」
そうかもしれない。自分は丸くなった。使い魔のルーンが影響しているか否かはわからない。
ただ、あの哀れで優しい少女がこの者と背後にいる連中に渡ればどうなるかは分からない。
十三課の一員である自分の素性を知る程の地位、もしくは集団に所属するミディアンズ。
消そう。
「んじゃ噂通りいくわ………糞ったれフリークス!!」


63 :マロン名無しさん:2008/09/20(土) 22:35:05 ID:???
支援

64 :もう一つの虚無と狂信者:2008/09/20(土) 22:36:26 ID:???
島原抜刀術「秋水」
鞘走りとルーンの力により、亜音速の速さと化す切っ先をゾーリンはあっさりとかわす。
切り返し、さらに余勢による連撃、相手が人であるならばとっくに終わっているその攻撃もこともなげにかわされる。
フリークスと呼ばれるもの達のおそろしさは、その不死性ではなくもっと根源の部分。
敏捷性、耐久性、身体能力、瞬発力、五感、第六感。
弾丸をドッジボールのように避け、人を容易くゴミのように引き千切る。
根本的な戦闘能力こそが脅威であり、人間への優位なのだ。
まして目の前にいるのはただの吸血鬼ではない。
ミレニアムの尉官、ヴェアヴォルフの一人、ゾーリン・ブリッツ中尉である。
ただの薙ぎ払いがすでに由美江の抜刀なみの速さである。
ならば。
納刀し、腰を落とす。その構えの狙うところを感じ、ゾーリンも警戒する。
動作を最小に、速度を最大にし、敵が間合いに入るところを、斬る。
「AMEN………。」
そうあれかしと叫んで斬れば、世界はするりと片付き申す。
そう教えてくれたことを、今はもういない神父に感謝した。

ゾーリンはその構えの危険性を知りつつ、なおも不敵に笑った。
「ふーん、成程ね……無意味なことを!」
そう無意味だ。自分の能力の前では。あちらが距離を詰めぬのであればむしろ都合がいい。
力を解放し、発揮する。
右手の掌を地面に叩きつけた。

由美江の眼前に現れたのは呪印による無限の迷宮、そのすぐ後、目に焼き付いた光景。
「泣いては………いけません………眠る……前……に………お祈りを………
AMEN」

それは自分が敗れた、あの光景。


65 :もう一つの虚無と狂信者:2008/09/20(土) 22:39:47 ID:???
敬愛していた先生を足下にし、その死と戦いを侮辱した執事は悠然と話始める。
「人は死ねばゴミになる。ゴミに弔いは必要ありません。」
そうこの後に自分は逆上し、斬りかかる。そのとおりに映像は流れる。
「手前ェら主従の云々なんぞ 知るか! 知ったことか!!」
斬りかかる自分。結果は分かっている。
「島原抜刀術『鐘馗』!!殺ったぞ!」
だがあの執事は事も無げに言う。
「殺ったのではない、殺られたのだ。」
痛みがやってくる。自分の体がバラバラになる。あの時のそのままの痛み。
なぜ今
痛みに呻きながらも確かに呟く。
「これは……嘘だ……」
「ウッソッでえーすぅ」
本物の痛みと、衝撃がやって来る。

かろうじて刀を間に挟むも、その衝撃は由美江を吹き飛ばす。
ゾーリン・ブリッツの特殊能力「幻術」
自らの右半身に施した術式により、人の記憶と心に干渉し、視覚に留まらぬ五感すべてを支配する能力。
視覚に頼らず、複数の魂をその身に宿す吸血鬼には効かないものの、対人戦でこれほど凶悪なものもない。
「さ、て、と」
ゾーリンは、地面をのたうち回り、口から血を撒き散らす由美江に笑いかける。
「シスターってことは処女かい?頂こうかね。」
それは捕食。だが由美江に怒りの感情も憤りも無い。
文句は無い。ただ気がかりが残っている。
「ティファ……ニア……。」
「由美江!!」
聞こえてくるのは、少女の叫び声。

月明かりの中、そこに居たのは、傷付く己の使い魔。
脅え、怯みながらも、ティファニアは由美江を救う為呪文を唱え始めた。


66 :もう一つの虚無と狂信者:2008/09/20(土) 22:43:50 ID:???
詠唱、それが長いことから強力な呪文だろうか。喰らったところでどうなるとは思わないが、念には念を入れる。
掌を高々と掲げ、勢いよく地面を叩いた。彼女の半身に敷き詰められた呪詛が、地面を侵食するように広がる。
「あんまりオイタが過ぎるとぶっ殺しちゃうよ?お嬢ちゃん?」

「何………あれ………?」
部屋にいた子ども達の眼の前に現れる、巨大な、百メイルはあるであろう、人。
それはゾーリン・ブリッツ中尉の姿を象っていることは彼らにとっては全くどうでもいいこどだ。
彼女が手に持つ得物を叩きつける。崩壊を始める家屋。
「う、うわあぁぁぁあ!!!」

ティファニアの目に映ったのはあの日のこと。
遠い昔に起こり、忘れようと試みたこと。
「お母………さん……?」
優しかったお母さん、色々なことを教えてくれたお母さん。
父を殺され、逃げ落ちて、それでも逃げきれず
「いい?ここに隠れているのよ?」
この結末を知っている彼女は大声で叫ぼうとした。けれども言葉はでない。
(待って!行ったら駄目!)
クローゼットの隙間から見えたその光景は、封印したはずだった。

メイジの炎に焼かれた母。
美しかった母は黒焦げとなる、その姿。
燻った音を上げ、人の油が爆ぜる音。
そしてそのリンと脂の蒸す臭い。

号泣し、絶叫するティファニアを満足そうに見下ろし、由美江に向き直る。
首筋に歯が突き立てられようとしていた。



67 :もう一つの虚無と狂信者:2008/09/20(土) 22:46:27 ID:???
「あああああああ!!」
叫びとともに、刀がゾーリンの胸に突き立てられる。予想だにしない反撃に顔を歪める。
「あーあっ。たくよー」
由美江はふらりと立ち上がる、左手のルーンは一層輝きを増し、
薄暗い月夜を照らしていた。
「好き勝手まあ、暴れてくれやがって……。人がせっかく大人しくここで暮らしてやってたのによ!
せっかく人が綺麗事で片付けようとしてたのによ!しょうがねえ!」
ティファニアのやるように、このまま静かにやっていてもよかった。
きれいごとで片付くならば。
刀を眼前に構え、己の存在意義を唱える。
「手を汚してでも…片付ける!」


68 :もう一つの虚無と狂信者:2008/09/20(土) 22:49:16 ID:???
その声は確かにティファニアに届いていた。その幻影と過去の記憶に苦しみつつも呪文を唱え続ける。
メイジとしての精神力か、ゾーリンの幻術にある程度の耐性があるらしい。
舌打ちをし、ティファニアに詰め寄るゾーリン。本能で感じ取った。何かマズイと。
そのゾーリンを追おうとする由美江は未だ幻術の支配下にある。
この支配を脱出するには。
ティファニアの詠唱は彼女のルーンに安心感と使命感を与えていた。
そして思い出した。自己の使命を。
神に仇なす化け物を倒す。
その敵を眼前に放置して何がイスカリオテか。
「頼むぜ。由美子」
シスターは目を閉じた。無論それだけで幻術は破れない。彼女は二重人格。その精神は二つ。
由美江は由美子に代わる。
(うう、怖いよお)
ガンダールヴの力で、由美子は背後から詰め寄る。
そして彼女は、ゾーリンの術式を、ほんの少し傷つけた。
ゾーリンの驚愕の呻きと共に幻術が解かれる。非常事態に一歩、バックステップをとったのが命取りだった。
島原抜刀術 ショウキ
縮地といわれる独特の移動法により瞬時に距離を詰め、敵を切り裂く。
それは確かにゾーリンの左手を切断した。
そして崩れ落ちる由美江。ゾーリンの大鎌はそれでも由美江を切り裂いていた。
満足気に崩れ落ちる由美江。一言だけ呟いた。
「そうあれかし(アーメン)………。」
ティファニアの呪文が完成された。


神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。左に握った大剣と、右に掴んだ長槍で、
導きし我を守りきる。


69 :もう一つの虚無と狂信者:2008/09/20(土) 22:51:45 ID:???
由美江が起きたとき、夜は明けようとしていた。おそらく三分にも満たない戦闘。
意識を取り戻した由美江は傍で顔を埋めているティファニアを叩き起こした。
「あ!!由美江!!良かった……。」
寝ぼけるティファニアを揺さぶる。
「早く出るぞ!テファ!」
その言葉にキョトンとするティファニアに由美江は説明する。
昨夜きた敵は何者かの指示でここに来たこと。
もし退けられたとしてもいずれ追手が来ること。
二度目の対戦で自分があの敵に勝てる保証はないこと。
またあの敵が来るという可能性はティファニアを怯えさせた。
「ど、どうしよう。」
「誰かいねえか?お前等を世話してくれる奴!」

アルビオン、トリステイン間の定期便に乗るウエストウッド村の住人達。
「はーい!みんな点呼とるよー!」
由美子は旗を振って子ども達に合図する。全員揃っているようだ。
ティファニアの姉がトリステイン魔法学院という所で働いているというのでそこに厄介になることにしたのだ。
由美子は子ども達を船室に置き、ティファニアの居る甲板に行く。
「はあ、しっかし本当に浮いているのね………」
その眼にあるものが飛び込んでくる。
「うわあ!綺麗!!」
空に悠然と浮かぶアルビオン大陸。そこから流れ出る水と作られる霧。そして虹。
しばし感動に揺れる。
(こりゃ凄いな………。)
由美江ですら感嘆の感想を述べる。ティファニアはボケっとそれを見て、不意に笑った。
「おかしいな……私見たことなかったんだ。私が生まれた国の姿…………。」
彼女もまた感動しているのだ。ポンとその頭を撫でる由美子。
「落ち着いたら、またどっか行きましょ?」
「………ええ!」


70 :もう一つの虚無と狂信者:2008/09/20(土) 22:55:20 ID:???
自分のことを、妹のように思ってくれる使い魔。
自分のことを、命を懸けて守ってくれた使い魔。
マチルダ姉さんが見たらどう思ってくれるかしら?
そんなことを考えながら甲板で二人語り合う。
子ども達は元気に走り回っている。
日当たりが実に良く、立ったまま眠ってしまいそうになる。
ふと、周りが騒がしいことに気づく。
「どうしたのかしら?」
どうもこちらの方を見ているようだ。二人同時に振り向く。
そこに見えたのは、ゆっくりとこちらに向かって来る戦艦。
下の方にぶつかり、甲板が崩れる。
ふわりとティファニアが海に落ちた。
そしてチェンジした由美江が後を追う。

「誰か落ちたぞー!!!」



訂正
57の最後から二行目
>そして最後にもうそして最後にもう一人……。記すことさはばかれる……。
そして最後にもう一人……。記すことさえはばかれる……。
でした。



71 :もう一つの虚無と狂信者:2008/09/20(土) 22:58:33 ID:???
以上で投下終了です。支援、まとめありがとうございました。
本編は野郎臭さ全開ですのでせめて外伝で女の子を。
諸事情により合流はまだ先と。
あと、由美江のあの厚手の服の下はかなりの桃りんごが入ってると思うんだぜ。
それでは。

72 :マロン名無しさん:2008/09/20(土) 23:08:16 ID:???
GJ!
ゾーリンは、塵に還ったか、記憶消去で帰ったのか曖昧だけど、テファニアが船から落ちた原因は・・・
やはりイスカリオテとアーカードの相性は最悪なのか。

73 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/09/21(日) 03:50:10 ID:???
トリップつけ忘れてました。すいません。

74 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 10:25:49 ID:???
乙”
これは由美江&由美子は絶対アンデルセンに文句を言うな。
やっぱり由美江はブラじゃなくて晒なのか?

75 :ゼロリカ ◆DNrogED.cM :2008/09/21(日) 16:36:06 ID:???
狂信者さん乙です。


そしてどうも、皆様お久しぶりです。

一続きなので、後々辻褄が合わなくなったりしても困るので、書いた端から投下というわけにもいかず、時間が空いてしまいました。(遅筆なのもありますが)
文章量はいつもよりもかなり多いですが、それでもかなり端折っているので、予め外伝のタバサとギャンブラーを読み直しておくとわかりやすいと思います。

3分割ほどしつつ投下していきます。


ゼロのロリカード外伝 〜ロリカードとギャンブラー〜


76 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 16:39:30 ID:???
「ド・サリヴァン家の次女、マルグリット」
「アーカード・シュヴァリエ・ド・ツェペシュです」
タバサとアーカードとシルフィードはカジノの潜入任務にやってきていた。
例によってアーカードは半ば無理やりついてきたようなものであったが。

「ありがとうございます、マルグリット様。アーカード様は・・・シュヴァリエと?」
「ええ、マルグリットお嬢様お付きの騎士をやっております。そしてこちらは世話係の―――」
「シルフィなのね」
先住魔法の『変化』によって人型に化けたシルフィードが名乗る。

「ははぁ、まだお若そうなのにシュヴァリエとは・・・。いったいどのような功績を?」
「剣を少々・・・。今日はお嬢様と一緒に、楽しませていただきます」

 アーカードは、普段の様相からは考えられないほど柔らかく微笑んだ。
その丁寧な物腰も相まって、支配人のギルモアは少し考えるもすぐに疑念を払拭する。

「ありがとうございます、存分にお楽しみください。マルグリット様、アーカード様、シルフィ様」
そう言ってギルモアは踵を返し去っていった。


 順当に潜入することが出来たタバサ達は、まず持ってきた金貨をチップへとかえた。
「多少変な目で見られていたようだが・・・、とりあえずは順調に入り込めたな」
タバサは頷く。自分もそうだが、年端もいかぬ少女がシュヴァリエというのは、得てして無用な猜疑心を抱かせてしまう。

「演技ももういらんな。それじゃ、私は楽しませてもらうよ」
アーカードは今回、厳密には任務の協力者という立場ではない。ただ楽しみたい、それだけの理由でついてきた。

 聞く話によると、支配人ギルモアがイカサマをやっているという。
『サンク』と呼ばれるゲームで、ここぞという時にやたらと引きが良くなると。
ギルモアのイカサマを見破り、恥をかかされた貴族達に巻き上げられた金を戻す。それが今回の任務であった。
なのでアーカードには、純粋に楽しんでもらって構わない。
 

77 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 16:41:54 ID:???
 任務内容を反芻したタバサは、まずは元手を増やす為にサイコロ賭博のテーブルへと向かう。
アーカードはルーレットを選び、シルフィはどれにしようかと右往左往しながらあれこれ悩んでいた。



「これはお嬢さん、ルーレットのルールはご存知ですかな?」
ディーラーの言葉に、アーカードはザッと見渡した。自分のいた世界のルーレットとは特に差異はなさそうだ。

「あぁ、大丈夫だ」
アーカードがそう言うとディーラーは納得したように頷き、ルーレットは始まった。
(まずは増やすとするか)

 高レートのカジノで楽しむにはまず豊富なチップが必要である。
あっという間にすってしまう可能性もあるし、ちまちま賭けていてはスリルも面白味もない。
兎にも角にもある程度大量のチップがあった方が、なにかと張りが出るというものだ。
しかし一介のシュヴァリエの年金の1ヶ月分。金額にして40エキュー強をチップにかえたに過ぎないので、非常に心許なかった。


 まず最初、一度目はアーカードは賭けなかった。ただの様子見である。
球は黒の17に入った、他の客から一喜一憂する声が聞こえる。二度目、一回目のベットが終わり球が放り込まれる。
(まずは堅実に・・・赤黒賭けにしておくか)
アーカードは二回目のベット終了する合図の直前に、30エキュー分のチップを赤へと賭けた。

 球は赤の9へと入った。
「幸先がよろしいようですね」
ディーラーが営業スマイルを浮かべながら口を開く。
「ふむ」

 アーカードの動体視力は回転する球と盤面を正確に捉え、そこから最終的に入るだろう箇所を予測していた。
一度目の回転とその結果を基にし、おおよその見当をつけていただけなので少々不安があった。
結局、目算していた数字とは違うところに入る。しかし賭けたのは同じ赤であったので、勝ちは勝ちである。
賭けていた30エキュー分のチップは倍になって返ってきた。

78 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 16:44:53 ID:???
 
(いきなり30エキュー分は危なかったな・・・。数字に賭けるのは、もう少し見極めてからにするか)


 球と円盤の回転を鋭く見ながら赤黒賭けをしていたら、倍々ゲームであっという間に3850エキューほどのチップにまで膨れ上がっていた。
(ん〜〜〜む、いつの間にか随分な量になってしまった・・・)

 見極めてから、増やす。の筈であったのだが、見切りに確信が持てるようになったと思えば、既に充分過ぎるほどのチップが手元にあった。
(まっ・・・結果オーライ)
そしてアーカードは二回目のベットをやめ、純粋に楽しむ為に一回目のベットで賭け始めた。

 しかし一回目に賭け始めてすぐ、大きく賭けたその悉くを連続ではずし始める。
一転してみるみる内にチップは減り始め、引くに引けなくなったアーカードは負け分を取り戻す為に賭け続ける。
小勝ちと大負けを繰り返し、気づけば4000エキュー弱あったチップは500エキュー分まで落ち込んでいた。


「んぬぬぬ」
「ふゥー・・・」
それは通常、客には聞こえない小さいものであった。しかし、吸血鬼であるアーカードの耳にはしかと聞こえた。
予定通りに事が上手く運んだ、そんな安心したような一息。

 その時、アーカードに電流走る―――!

(こやつ・・・!?)
少しだけ思考を巡らす。直感でしかないがナニカ作為的なものを感じた。
アーカードは沸き上がった疑問を確かめるべく200エキュー分のチップを赤へと賭けた。
ディーラーはうっすらと笑い、球を放り込んだ。2回目のベットタイムも終わり、球は黒の31へと入った。


(やはり・・・・・・)
相手の表情、その挙動、そして大きく張った時に必ず狙いからはずれる球。疑問はほぼ確信へと変わる。
 

79 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 16:47:24 ID:???
 このディーラーは、自分の好きな箇所へ球を落とすことが出来る・・・・・・ッ!?
やや溜めをつくって若干の捻りを加えながら投げる、少し凝った投擲方法。ただのパフォーマンス、魅せ技かと思っていた。
だが実のところそれは狙った場所に球を落とす為の技術なのだ。イカサマなどではなく、ただの技術。
であるならば、それを咎めるのは憚られる。そもそも確たる証拠も存在しない。

(・・・・・・手の平で踊らされていたわけか。こんなにチップが減るまで気付かんとは耄碌したか喃)
それにしてもかなりの練度だ、おそらく己の技術に相当な自信を持っている筈。
重圧の中、一投一投に全神経を集中させてるのだろう。とてもとても立派なことだ、安易にイカサマに走るわけではないのだから。

 きっと血の滲むような地道な努力をして身につけた筈だ。
本来ならば、全体のバランスを考えながら適度に場をコントロールし、客を楽しませるのだろう。
それにひきかえ、自分は半ばチートのような行為で元手を増やしていた。
自分が一回目にベットをし始め、ディーラーが多少怪しまれようとも、負けた分のチップを露骨に回収しようとするのも無理はない。


 吸血鬼になる以前。ヴラドとして、まだ人間として生きていたあの頃から、誠実さに欠けることだけは疎んできた。
不誠実な輩は平民・貴族を問わず、串刺しにしてきた。そのおかげでついた名が『ツェペシュ』だ。
専制君主としての強い自尊心。今思えばまだまだ若い自己の価値観の範囲内であったが、それでも厳格な正義感というものがあった。
その本質、根幹部分は、バケモノと成り果てた今でも変わっていない。

 当然のことであるが、気が付くまでは知らなかった。回転を見切り予測するのも、自分の能力ではある・・・・・・。
だがしかし、吸血鬼のそれは人間のそれとは違う。少し見極めるだけで見切ることは可能となり、事実チップを大量に稼いだ。
人間と吸血鬼では、その前提が違う、立っている土俵が違う。吸血鬼ならば『一の努力』で済むところが、人間には『百の努力』が必要なのである。
故に人間である相手が必死に身に着けた"技術"と比較すれば、吸血鬼である自分が一朝一夕でおこなった"見切り"は不誠実と言えるかもしれない。

(でも・・・なんかムカツク)

 

80 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 16:49:18 ID:???
支援じゃあ

81 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 16:50:11 ID:???
 アーカードは最初の倍々ゲーム時、二回目のベットが終了するギリギリまで見極めをしていた。
一度球が放り込まれた後は二回目のベット終了の合図以外に、ディーラーはテーブルにその手すら触れていない。
なによりアーカードが赤黒賭けの倍々ゲームで、チップを稼いでいた時は為されるがままだった。
つまり一度球を放ってしまったら、それ以降操作できないのだ。
なればこちらが二回目のベットで賭ければ単純な運勝負。球の入るところを見切れば、容易に勝てることだろう。

 が、カラクリに気付いた今、それを自ずから進んでやることは・・・・・・ありえない。
しかし単純に運や勘で勝負するのも、少々興が殺がれる。

 アーカードは考える。運でなく、能力でなく、その上で勝つ為に。


「・・・・・・勝負だ。次の賭け、次の一回で、何もかも一切合切、決着をつけよう」
「は?」
「次に私は二回目のベットで、残りのチップを全て賭ける。ちと少ないがの、私が勝ってもここでの勝負は終わりにする」
その言葉に周囲がどよめいた。

 それから、ディーラーにだけ聞こえる声音でアーカードは続けた。
「ちなみに最初の時のような真似は二度としない、正々堂々勝負するつもりだ」
アーカードは足を組みかえると、唇の端を上げる。
「お前は・・・好きにするといい、赤か黒か。二回目のベットならどうしようもないだろう?」


 ディーラーの目が細まり、同時に顔が険しくなる。
目の前の少女は・・・・・・自分が狙った所に球を放り込めることに気付いている。

「一体何を言っているのか、手前にはわかりかねます。が、勝負というのなら全身全霊でお受けしましょう」
「そうこなくちゃな。貴様のプライドと私の意地、最後の対決だ」
二人の言葉に、場がヒートアップしていくのがありありと感じられた。
 

82 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 16:52:27 ID:???
「ぁあ〜それと、勝負の前に一つだけ聞いておきたい」
「・・・なんでしょう?」
他の客の手前、余計な事を言われるのではないかとディーラーはヒヤヒヤしたが、なんてことはない質問であった。

「これ以外の、他のギャンブルは担当しているか?」
「いえ、これのみですが?」
アーカードは「そうか」と、一言だけ呟いた。



 ディーラーは思い出す。最初の倍々ゲームの時の、あの連続した当たりは運や確率では考えられない。
それに少女は言った、「最初の時のような真似は二度としない」と。なんらかの方法で、赤と黒のどちらに入るのかを見通していた。
その方法までは定かではないが、何かをやっていたのは確かのようだ。
ディーラーはさらに思い出す。球が放り込まれた後、球や盤を見るのは当然である。だが思い返せば普通の客以上に、見つめていたような気がする。
俄かには信じ難いが、二回目のベット終了直前まで見極めて、球が入るところを予測していたのかもしれない。

 そんな荒業をやっていたのかもしれない少女は、今目の前で腕を組んで瞳を閉じていた。
他の客は空気を読んでいるのか、誰もベットする様子がない。

 これは正真正銘の一騎打ち。先の言葉からもそれが窺える。自分のプライドに賭けても、この勝負に負けるわけにはいかない。
しかし・・・・・・宣言したとはいえ、目を瞑っているとはいえ、少女が天命に任せているとは限らない。
油断させておいて、こちらが放った瞬間に目を開けて見極めるやも。他に協力者がいて合図を送っている可能性だって有る。

 ディーラーは考える。確実に勝つ為のポケットを。
赤黒を当てられるということは、数字も当てられるのか?しかし、倍々ゲームの時は何故か赤黒のみに賭けていた。
ディーラーはさらに考える。実際には正確に予測しているわけじゃない?
赤黒に賭けておけば、はずれたとしても確率はほぼ1/2だ。倍々ゲームの時は運もたまたま良かったのかもしれない。

 考えても考えても思考がまとまらない。いずれにせよ、赤黒を連続で当てたという事実だけは存在する。
少女も「赤か黒か」と言っていた。ならば球を放り込むべき場所とは――――――。

 

83 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 16:54:16 ID:???
 勢いよく球が盤面を回転した。
ディーラーは球を放った瞬間に手応えを感じた。自分が積み重ねた技術、間違いや奇跡など起こらないその渾身の一打。
その瞬間少女に目を移す。目の前の少女は未だ目を瞑っていた。宣言通り正々堂々、運でもって勝負する気のようだ。
と、思うと少女は口を開き喋りだした。

「技術があるから場をコントロール、ひいては支配する事ができた」
アーカードはパっと目を見開き、残った300エキュー分のチップを"その数字"へと迷いなくベットした。
「だからこそプライドがあるだろう、そして焚きつければきっと勝ちにくるだろう」
ディーラーの顔が青ざめていく、二回目のベット終了を告げる合図も忘れる。アーカードは言葉を続けた。

「ただでさえルーレットは、運の要素が強いゲームだ。ゆえに相手の心理を読む事に慣れていない、さらに技術があるから必要に強いられない。
 そこに、間隙がある。赤か黒か、運では負ける可能性がある。なれば考えるだろう、勝つ為のポケットを。そして操作をするだろう、そのポケットへ」

 ディーラーは呆然と・・・・・・回転する球と盤を見つめていた、アーカードの講釈も既に耳に入っていないかもしれない。

「それにさっき、確認したな?このルーレット以外に他の担当はしているのかと。
 まぁ元々これほどの技量を持つお前だ、他のゲームの担当に割り当てられているとは、思っていなかったがな」


 コロコロと球の勢いが落ちていく、ゆっくりとボールは"そのポケット"へと吸い込まれた。
「もっと精進することだな、でないとこうして足を掬われる」
300エキュー分のチップは一気に35倍となった。観客は感嘆の声を上げ、めいめいに拍手を打ち鳴らす。

 ディーラーは放心していた。自分の技術に間違いはない、それはわかっていたことだった。
奇跡が起こってズレたりすることはなく、寸分違わず"そこ"に球は入った。
少女アーカードの主人を象徴する、その"0"の数字に――――――。




 

84 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 16:55:42 ID:???
 カジノにある一通りのギャンブルを楽しんだ後、アーカードは一旦タバサに会うことにした。
ホール内を探してもいなかったので、係員に聞くと部屋で休んでいるらしかった。

 案内された部屋の前でアーカードが扉を開けようとすると、自動的に開いた。
「おっと、これは失礼致しました」
控えめに言っても美形だろう、その青年は丁寧に会釈をしてカジノ場へと歩いて行く。

(今の男・・・・・・なかなかできるの)
咄嗟の事にも対処し、動けるように意識せず置かれた重心。
それが自然となるまで身についたその歩き方、それなりに鍛えた者だろうと推察する。


「おっ、いたいた」
その言葉に、部屋のベッドに腰掛けて本を読もうとしていたタバサは顔を上げる。
「ここにいると聞いてな、休憩か?」
タバサは頷き肯定した。

「さっきの男は何者だ?」
「・・・・・・昔の、知り合い」
それだけ言うとタバサは本を開き読み始める。
「昔馴染みか」

「危険な香りのする給仕なのね!強いし、口も上手いのね!!」
「あぁ・・シルフィード、いたのか」
「なっ!?いくらなんでもそれはヒドいと思うのねっ!」
シルフィードは大袈裟なリアクションで抗議する。

「まあいいのね、シルフィもそういう事よくあるのね。えっと・・・それで、さっきの男はおねえさまの―――」
「余計なことは言わなくていい、うるさい」
タバサは本に視線を向けたまま口を開いた。

 

85 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 16:57:27 ID:???
「おねえさま、なんかシルフィに対してヒドいのね!さっきも少し黙っててとか、人権侵害ってやつなのねっ!!」
シルフィはプンプンと怒り出し、タバサは我関せずといった涼しい表情で一言告げる。
「人じゃない」
「えっと・・・・・・じゃぁ・・竜ッ!竜権侵害なのねっ!!!」

「まぁそれはどうでもいいとして、任務の方は順調か?」
アーカードはシルフィードを無視して、話を振る。
「これこれ!お姉さまこんなに稼いだのね!!」

 シルフィードは新しい話題にすぐ心を移し、嬉々と小切手をアーカードに見せる。
「なんだ?なんで小切手なんか・・・・・・」
「お肉!いっぱいお肉買えるのね!」
「ほぉ、私より稼いでいるな」
タバサには賭博の才能があるようだ、この調子なら任務は案外簡単に完了するかもしれない。

「勝負は引き際が肝心なのね。もう帰ってお肉を買うのね」
「・・・・・・まだ終わってない、それはもう一度チップに換える」
「あの男がわざわざ小切手にしてくれたんだから必要ないのね!勝ち逃げするのね!」


「なるほど、昔馴染みが小切手にして持ってきてくれたというわけか」
これ以上カジノ側の損失を防ぐ為に、穏便に済ます為に持ってきたのか。
それとも・・・・・・タバサがこれからイカサマで負けることを見越して、それが忍びないという老婆心からか。

「そうなのね、いい人なのね。これからお姉さま勝てないから、早く帰った方がいいって持ってきてくれたのね」
(後者か・・・親切なことだ。『勝てない』ということは、やはり何か裏があるのは確実か)

 

86 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 17:00:15 ID:???
「イカサマを見つけて潰すことが任務、まだ帰るわけにはいかない」
「そうだな、ちなみに大凡のギャンブルを回ったが、めぼしいイカサマはなかったと思うぞ」
「サイコロの方も、してなかった」
少しの間沈黙が流れる、思うところはタバサもアーカードも一緒であった。

「やはり、ギルモアか」
タバサは本を閉じてゆっくりと頷く。
「かなり稼いで目をつけられた、多分そろそろ勝負をしてくると・・・思う」
「なるほど、本番前に休んで英気を養っているわけか」

 大勝したタバサをして勝てないと、小切手を持ってきたのだ。
いよいよもって油断するわけにはいかない。疲れも当然残していてはいけない。


「シルフィも頑張ってイカサマを見つけてやるのね!」
「無理」
「無理、じゃないか?」
タバサとアーカードの同時にハモったツッコミがシルフィードに突き刺さる。
「ひどいのねッ!!!!!」
意気込むシルフィードは憤慨し、部屋を出て行った。

87 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 17:04:59 ID:???
支援せよ!!支援せよ!!

88 :ゼロリカ ◆DNrogED.cM :2008/09/21(日) 17:08:59 ID:???
とりあえず、1回目の投下終わりです。
支援ありがとうございました。


※補足
史実ではヴラド公は実際に地主貴族を集めて何人も串刺しにしましたが、
本来串刺しは磔刑の一種で、身分の低い者が重い犯罪をした時にのみされるものであり、
その行為に対するヴラドへの強い反発もあり、以後配慮をして斬首刑に切り替えているそうです。


尤もHELLSINGに於けるアーカードは、多分そんなの関係なく串刺しにしてたような気がします。
文章の中で語弊があるといけないので、ここに注釈しておきます。

89 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 17:50:51 ID:???
乙です。立派な家が五件買える荒稼ぎをしたアーカードはやっぱ凄いな

90 :ゼロリカ ◆DNrogED.cM :2008/09/21(日) 18:38:36 ID:???
では二回目の投下です。

91 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 18:40:48 ID:???



 暫くして、充分に休んだタバサとアーカードがカジノ場へと戻る。
するとすぐさま笑みを浮かべた支配人のギルモアが、小走りに近付いてきた。

「これはマルグリットお嬢様、アーカード様、お待ちしましたぞ!」
「やっぱりチップに換えて」
わざわざ小切手にして持ってきてくれた、トーマスの気遣いを踏みにじらないよう、さも心変わりしたようにタバサは言った。

「いやはや、さすがです!我々もお二人のような、お強い方々と戦えることを誇りに思います」
そう言うとギルモアはパチンと指を鳴らした。やや沈んだ表情でトーマスが歩いてくる。

「そんなお二方の為に、VIP専用の特別なギャンブルをご用意させていただきます」
ギルモアはトーマスに目配せすると、一歩進み出た。
「では・・・アーカード様はこちらへどうぞ。私がお相手いたします」
「マルグリットお嬢さまは私がお相手しましょう」

 タバサとアーカードは視線を交わす。
思ったより早くギルモアが出てきた、あとはイカサマさえ見つければ任務完了である。



 アーカードは個室へと通された。
小めのテーブルと二つの椅子、そして棚があるだけの簡素な部屋。
しかしそれら全てがシンプルながら、高価なものであることが素人目にもわかる。

 トーマスは棚からいくつものギャンブルが書かれた紙のリストを取り出し、アーカードに渡す。
「そちらがリストになります。なにかご希望はございますか?アーカード様」
椅子に座り、足を組む。ずらっと文字が並べられたリストに目を通す。

 

92 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 18:43:18 ID:???
「マルグリットお嬢さまとは知り合いらしいの」
紙を眺めながら、アーカードは繋ぎに話を振る。
「えぇ、昔私の父がコック長をしておりまして。まだ若かった私はお遊び相手をしておりました」
(ルイズとアンリエッタのような関係に少し似てる・・・・・・な)

「なぜシャルロット・・・いえ、マルグリットお嬢さまは何故お帰りいただけなかったのでしょうか」
「その為に部屋にわざわざ来たというわけか」
「・・・・・・これ以上は決して勝てません。だから――――」
「かつての恩義から小切手にして、帰るよう進言したと」
アーカードはフッと笑って言った。トーマスは目を細め、納得いかないという顔をしている。

「はい、ギルモア様が相手をする以上・・・・・・絶対に勝てる筈がないのです」
「イカサマか?」
リストをテーブルに置く、トーマスを射抜くように見つめながらアーカードは聞く。
「・・・・・・私からは何も申し上げられません」
トーマスは目を瞑り、やや澄ました顔で黙する。


「・・・・・・我々は、勝ち負けにはさほどこだわってない」
「単に、楽しむ為だと・・・?」
アーカードはうんうんと頷く。任務を決して悟られないよう、顔にも声色にも一切油断は見せない。
トーマスは腑に落ちないといった表情を浮かべていたが、すぐに営業用の笑みをつくった。

「ご希望のギャンブルはございましたか?」
「そっちも見て構わんか?」
アーカードはそう言って棚を指差す。
「えぇ、どうぞ。ゆっくりお選び下さい」

 

93 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 18:44:52 ID:???
しえんするであります〜

94 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 18:46:38 ID:???
 アーカードは棚にしまってある、いくつものギャンブル道具を一つ一つ手にとって見ていく。
『ルーレット』のように、アーカードの世界と差異がないものは、に名称がそのまま翻訳されて頭に入ってくる。
一方でギルモアが不正を働いているという『サンク』というゲーム。
トランプではなくこの世界のカードを使うポーカーのようなもので、それは新たな単語として耳に入ってくる。

 リストにもそういった名称の違いが顕著に表れていてた。
今まで吸ったハルケギニアの人間の記憶からわかったことだが、名称こそ違えど似通ったルールのゲームもいくつかある。
余談だが、特に本などを読んでいると書いてある文章と、実際に頭に入ってくる意訳はまた違っているのだ。
自分がガンダールヴだからなのか、深く考えても仕方ないのだが、翻訳機能とは実に便利なことであった。


「お決まりになりましたか?」
「そうだな、チンチロリン」
そういえばサイコロを使用したギャンブルはやっていなかった。
タバサが既にやっていたので、イカサマを調べる必要がないと踏んでいたからである。
「かしこまりました」
トーマスは棚から丼とサイコロを取り出してくる。

 『チンチロリン』、サイコロを三つドンブリに投げ込んで、その目で勝ちが決まる博打。
名称がそのまま頭に入ってくるものを選んだ為、当然基本的なルールは変わらない。

 賭け金は青天井。親は交代制だが、金額は常に客が決められるようになっている。
出目の倍率は通常の勝ちで一倍、123は二倍払い、456は二倍。1のアラシ、即ちピンゾロは五倍。それ以外アラシは一律三倍であった。



 ざわ・・・・・・ざわ・・・・・・
十回を越えた時点で数えるのはやめた。これでもう何回目の貼りになるのか、トータルするとかなり負けていた。
たった今も結構な額を張り、負けてしまった。
(むぅ・・・・・・なんかここぞという時には負けてる気がする)
 

95 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 18:48:18 ID:???
 その時、アーカードに電流走る―――!

 最初にやったルーレットを思い出す。負けが少々露骨だった上に、ディーラーのふとした吐息のおかげであの時は気付けた。
だが、今はどうだ?トーマスのポーカーフェイスは完璧で、表情から感情は読み取れない。
話術にも長けていて、客を飽きさせない。今までやってきて別段不自然なことも感じられなかった。

(何もやっていないだけか・・・、それともこやつが悟らせないほど上手いのか・・・・・・)
他のギャンブルをやっていた時も、似たような状況はあった。
ここから持ち直して勝てる可能性も当然有るかもしれない、だが――――。

(確認してみる価値はある)
トーマスがなかなかに楽しませてくれてるので思わす忘れていたが、自分とタバサは二人揃ってチップを相当数稼いでいる。
ギルモアとトーマスがそれぞれチップを回収しようと、何かしらのカラクリを用意している可能性は非常に高いといえる。


 親はトーマス、アーカードは軽く張った。
今まで気付かれず何かをやっているとすなら、トーマスはやり手だ。二回連続で勝負に出れば、必ず訝しむに決まっている。
まずはさっきまでと同様に普通に張って頃合を見る、大きく張るのはその後だ。

(看破できるタイプのイカサマだったらいいが、ルーレットの時のように技術とかだったら困りものだな・・・)


 何回か続けてアーカードの親番、賭け金は常に客側が自由に決められるのでここで大きく張った。
今アーカードがやや勝ちしている流れ、くるとすればそろそろと踏んでのことだ。
「では振らせてもらおう」

 ドンブリにサイコロを放り込む。2、5、2、出た目は五だ。
「なかなかの目でございますね」
トーマスの言葉に黙ったまま、サイコロの入ったドンブリを自分の手元まで引き寄せる。
 

96 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 18:51:10 ID:???
 ざわ・・・・・・ざわ・・・・・・
「アーカード様は一体どのような功績で若くしてシュヴァリエに?」
そう言いながらトーマスはサイコロを振る。
「ん?あぁ・・・・・・とある元メイジの盗賊を捕まえてな」
「元メイジの盗賊を?ですか」

 アーカードが肯定しようとした瞬間、サイコロの回転が止まる。
出た目は5、5、5、ゴゾロ。三倍づけであった。
「アーカード様は五、私は五のアラシですので私の勝ちでございますね」

 ざわ・・・・・・ざわ・・・・・・
「何という名の盗賊を捕まえたのですか?」
「・・・・・・いや、言うほどのことでもない」
「謙虚なのですね」
トーマスは会話を続けながらチップを計算し、ゆっくりとサイコロを拾った。


 アーカードは受け答えしながらも、この一回に限っては神経を集中させていた。
だからこそ気付く、その小さな綻びに。一つ一つ組み立てられた勝ちへの仕組み。
見たのはほんの数秒であるが、吸血鬼の目だからこそ捉えられた――――――そのカラクリ。

(なるほどなァ・・・むかつくが、感心せざるをえまい。技術ではなく明らかなイカサマだが・・・・・・許してやろうじゃないか、その寛容な精神で・・・!)
アーカードは表情に出さず、心の中だけでこれ以上ない邪悪な笑みを浮かべた。


「では続けて、私の親でございますね」
賭け金を決める、またも大きく張った。
トーマスは特に反応を見せず、サイコロを振った。一回目は目なし、二回目で出た目は四。
さすがに連続でイカサマを仕掛けてくることはなかった。
次にアーカードが振った。出た目は、1、1、1、ピンゾロ五倍づけ・・・!
 

97 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 18:54:44 ID:???
 ざわ・・・・・・ざわ・・・・・・
「さすがですね、アーカード様」
先ほどの負け分を取り返して余りある。トーマスはポーカーフェイスを崩さない。
博打なのだから確率的にもあって当たり前。驚くほどのことでもない。

「私の親番・・・だな」
アーカードが唇の端をあげる。
「残った全てのチップを賭けようか」
そう言ってもトーマスの表情は微塵にも動かない。

「全てですか・・・先ほど勝った分を含めて6200エキューですね、負けてしまいましたら終了となりますが・・・よろしいのですか?」
(ほォ・・・これでも平静を保つか、よく訓練されてることだ)
「構わん、全てだ」
「・・・・・・かしこまりました」


 トーマスに手番が回ってくる事はなかった。何故なら、親であるアーカードが出した目がまたもピンゾロだったからだ。
6200エキューの5倍づけ、即ち31000エキュー分のチップに一気に膨れ上がる。トーマスがようやく驚愕の顔を浮かべた。
 
「くっくっく・・・ようやくお前のいい顔が見れた。目には目を、外法には外法を、イカサマにはイカサマだ」
「な・・・・・・ッッッ!?」
トーマスはアーカードの言う事にさらに驚きを禁じえない様子であった。
確率ではなく、なるべくしてなった結果、負けるべくして負けたのだと。

「ミス・ディレクションのおかげで全然気付けなかったよ。まさかジゴロ賽とは」
「全て・・・・・・お見通しですか」
トーマスは大きく息を吐き、観念したように呟いた。

 

98 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 18:57:24 ID:???
「マルグリットお嬢さま・・・・・・シャルロットさまが幼き頃、得意の手品を使って楽しんでいただいてました」
トーマスは郷愁の入り混じった笑顔を浮かべる。
「なるほど。ミス・ディレクションも、すりかえに必要な器用な指先も、お得意だったわけか」
トーマスが「えぇ」と頷き肯定する。

「しかしよくできた賽だ、一方向から見たらなんの矛盾もないのだから」
アーカードはジゴロ賽を手に取って、コロコロと弄ぶ。

「普通の人間じゃ、コレが回転していても見極められよう筈がないが・・・。念には念をか、違和感を覚えてサイコロを改めるということくらいはあるかも知れんしな。
 尤も、私ならば例え回転していたところで、その様子を見てさえいれば、ジゴロ賽を見抜くことなど造作もなかった。
 だが巧みな話術でもって、意識をそらすというミス・ディレクションのおかげで、全然気付けなんだ。大したものだよ。
 勝負所では必ず会話を途切れさせることなく、さらには質問で受け答えをさせるようにしていた。視線を自分に向けさせて、決して悟られぬことのないように。
 三回あるサイコロを振るチャンスも最大限利用し、最も効果的タイミングを狙い、目が出た後も決して焦らず会話を続けチップを計算。
 自然な流れを保ちつつ何気なくサイコロを回収する。本当に見事な手際だ、物的証拠であるイカ賽など真っ先に回収したくなるのが人の心理だというのにな」

 トーマスの顔が少し険しくなった。
「回転している賽を見抜く・・・。ルーレット担当から話は聞いていましたが、まさか本当に・・・・・・」
「なんてことはない芸当だ。回転する賽を見極めるのも、狙った出目を出すことも、私にはな」


「ふぅ・・・・・・文句なく貴方様の勝利です、アーカード様」
トーマスは深く頭を下げた。

「その礼は誠意のつもりか?私に誠意を見せたいなら焼き土下座くらいしてもらわんと」
「焼き土下座・・・?それは一体どのような・・・・・・良い印象はありませんが、私に出来ることであれば――――」

「ククッ、焼き土下座は冗談さ。はっきり言って、心底感心したよ。ルーレット担当の奴とは別のベクトルでな」
アーカードは足を組み直し、柔らかな笑みを浮かべた。
 

99 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 18:57:31 ID:???
支援

100 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 18:58:47 ID:???
ちょwwカイジすぎるww

101 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 19:00:03 ID:???
「丁寧に積み重ねられたロジック。お前はそれを一切崩さず、さらに揺るぎないものに昇華させた。技術・話術・判断それら全てが見事だった。
 ルールで五ゾロ、六ゾロあたりを最高の役、安易に最高倍率にせず一番強い目をピンゾロにする配慮、これも素晴らしい。
 そうしておけば印象がぼける・・・・勝つには勝つがそう奇跡的ってわけでもない印象、演出になる。それと、イカサマ行為については別に咎める気はない」

 アーカードは一拍置いてから続ける。
「私は私で少々やらせてもらったからな」

「ありがとうございます」
「・・・・・・ところで一つ聞きたいのだが、リストにあったギャンブルから私は無作為にチンチロリンを選んだ。
 マジシャンズ・セレクトはされてない筈だが・・・・・・リストに書いてある全てのギャンブルにイカサマが用意してあったのか?」

「全てがイカサマというわけではありません、私の技術を応用したものもあります。ですがどれを選んでも勝敗を調整する事が可能です」
「なるほど。つまりここは儲けた客から搾取する為の特別室、ということか」
「噛み砕いて言えば・・・そうなりますね」

 アーカードはゆっくりと立ち上がって、大きく伸びをした。
なんだかんだで結構長引いてしまった、そろそろタバサの様子も見ておきたい。
勝つにせよ負けるにせよ決着がついていてもおかしくない時間だ。

「とりあえずゲームは終了だ、マルグリットお嬢さまのところへ行きたい」
トーマスは少し考える。ギルモアに言われてアーカードのチップを毟り取る筈だったが失敗。
イカサマがバレてしまった以上、続けられる理由もなし。なによりもうアーカードに勝てる気がしなかった。
最早自分が止められる理由はない。

「かしこまりました、チップの方はいかがいたしますか?」
「そのまま持ってきてくれ」

 アーカードとトーマスは連れ立って、タバサの元へと向かった。

102 :ゼロリカ ◆DNrogED.cM :2008/09/21(日) 19:04:54 ID:???
以上で二回目終了です、支援ありがとうございました。
カイジネタは前々からやりたくてやりました。
むしろこれと次のネタの為に外伝をやったようなものです。

ちなみに、
ミス・ディレクション:一箇所に注意を向けさせて、本命の種を隠すことです。
マジシャンズ・セレクト:相手が自分で選んだように思っても、実際にはマジシャン側が誘導していることです。

103 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 19:26:32 ID:???
>>102
ざわ…乙です。
両方とも古畑任三郎を見返していたんでおおっ!と思いながら読んでました。

104 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 20:05:38 ID:???
次はジョジョネタか?

105 :ゼロリカ ◆DNrogED.cM :2008/09/21(日) 20:41:25 ID:???
>>103
実は自分も最近シリーズ見直してましたw

>>104
/(^o^)\


では、投下します。


106 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 20:44:41 ID:???


 ギルモアとタバサの一騎討ちギャンブルが行われていた場所は厨房であった。
今日二回目のギルモアが出張ってきた大勝負なので、野次馬もかなりいる。

「これは始祖の思し召しということになるのでしょうかな」
高貴なる風は唯一高貴なる炎に負ける。タバサは大敗を喫していた。

 『サンク』、ポーカーと似たゲームでトランプではなくこの世界のカードを使う。
ロワイヤル・ラファル・アヴェニュー、ポーカーで言えばロイヤルストレートフラッシュ並のこの役を二人とも引いた。
タバサが自力で出したにせよイカサマで出したにせよその最高役に対して、さらに僅差で上回る最高役で勝つとは。
あまりにも露骨、しかしそれだけ露骨なのにも拘わらずタバサはイカサマを見抜けていないようだった。


 タバサは今ので全てのチップをすってしまったようで、ド・サリヴァン家の名前で金を借りるかを打診されている。
タバサは当然その打診を断る。俄かに肩が震えているのが遠めから見て取れた、イカサマを見抜けず憤懣やるかたないといったところか。
「お嬢さま、こういうのはどうです?お金がないなら、服を賭けては――――」
「その必要はない」
アーカードは高らかに言った、すぐにその場を割って入っていく。タバサ、ギルモア、野次馬達、皆の視線がアーカード一点に注がれた。

 ギルモアはアーカードの後ろにいるトーマスの姿を捉えて顔が歪んだ。
大量のチップを持って控えている。ということは、十中八九負けたということだ。

「交代だ」
アーカードはタバサの肩に手を置く。顔を上げたタバサの目には信念が浮かんでいた、イカサマを絶対に見つけてやると。しかしアーカードはそれを軽くあしらう。
既にチップはなく服を賭けようとしている、これ以上やってもほぼ無駄だろう。金を貸してやってもいいが、それは甘えというものだ。
それに自分もギルモアのイカサマを看破してみたい。そのカラクリが一体どれほどのものであるのか知りたい。
感情を殆ど表に出さないタバサであるが、それでも精一杯悔しそうな顔をし、仕方なくアーカードと交代する。

 

107 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 20:45:06 ID:???
当てられたかw支援

108 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 20:46:23 ID:???
 チップを置いたトーマスは、ギルモアに睨みつけられる。トーマスはただただ黙って頭を下げていた。
ドンッと積み上げられた大量のチップ。軽く見積もっても3万エキューくらいあるのではないか?
結局頼れるのは自分自身だけということか。トーマスめ、案外役に立たない男だ。だが己のイカサマが見破られることなどありはしない。

 アーカードが騒いでいないところを見ると、イカサマは恐らく看破されていないのだろう。
仮にバレたとしても問題ないよう、二人だけの個室を用意してあるのだ。いざとなったら知らぬ存ぜぬで通せるように。

「これは、アーカード様。随分とお稼ぎになったようですね」
「はっはっは、なんだか一生分の運を使ったかのような馬鹿勝ちだよ」
主人の敵討ちか、トーマスが上手く誘導したのか、この際どちらでもいい。
勝負の席についてくれたということが重要だ。サンクで自分が負けることなど決してありえない。

「ルールの方は大丈夫ですかな?」
「問題ない、他のテーブルで一度やったからの」
ギルモアとアーカードは互いに笑みを浮かべあい、勝負は始まった。



 なるほど、とんでもない負けっぷり。あっという間に1万エキューほどのチップをすってしまった。
だがトーマスとはまるで役者が違う、ギルモアは大根もいいとこだ。
貴族をこき下ろすことに充足感を得ているのか、何かと鼻につく言動が目立つ。

 一つ一つを洗練し積み上げたトーマスと違い、ギルモアは表情も言動も素人のそれであり滑稽極まりない。
だが逆に言えば、こんな愚鈍でもバレないイカサマ。絶対の自信を持ったカラクリを用意しているのだ。
事実、今までの貴族は誰一人見抜けず金を巻き上げられた。タバサですら為す術なく負けてしまった。
自分も1万エキューもすったのに、まだ突破口どころか糸口すら見えてこない。

 カードを切るのは常に客側。吸血鬼の目でもって鋭く観察していたが、ギルモアがカードをすりかえている様子はなかった。
ここはタバサが無作為に選んだ厨房だ、実際に見ていておかしな点はなかったしテーブルにイカサマはないだろう。
タバサの最後の勝負の時に、野次馬を注視していたが怪しい動きをしている奴もいなかった。
 

109 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 20:50:00 ID:???
(やはり、カードそのものに細工がしてある可能性が一番高いか・・・)
カードを変えるように言って、イカサマを封じ込めるのも面白いかもしれない。
だがそれでは本来の任務からはずれる、チップを稼ぐのではなくイカサマを暴くのが目的なのだから。

(まっ・・・看破できないならできないで、やり方というものがあるさ)


「いやはや、随分と負けてしまったなあ」
「いえいえ、これからでございますよ。まだ2万エキューも残っているではないですか」
白々しいギルモアの態度に、アーカードはケラケラと愉快に笑って合わせる。
これから一体どのような表情を見せてくれるのか、すこぶる楽しみだ。

「そうそう、一つ提案があるんだが」
「なんでしょう?」
「一度だけでいい、私が親をやりたい。無論、賭け金はそっちがご自由に決めてくれて構わん」

 ギルモアの眉間に皺が寄る。
「・・・・・・構いませんよ」
「ぉお!そうかそうか、ありがとう」

 ギルモアは受ける。今までにもイカサマを疑って、この手の提案を持ちかけてきた奴は何人もいた。
役を自由に操作できる自分が、たまたま相手に強い役が揃って負ける可能性は限りなく低い。
だが可能性が0ではない以上、親は必ず自分がやる必要性がある。しかし無下に断っては相手はさらに疑いを深めるだろう。

 しかしこういうケースの場合は賭け金を吹っかけるのを仄めかすだけで、相手は撤回することをギルモアは経験から知っていた。
後から際限なく上乗せしてやったっていい、そうすれば勝手に降りてくれる。所詮は根拠なく、こちらのイカサマを疑ってる状態に過ぎない。
だからこちらが強気に出れば間違いなく迷う、イカサマをやってるという確信もないのに、見破れる保証もないのに、負けるとわかっているのに大金を賭けて勝負に出るのは愚者だけだ。

 

110 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 20:52:14 ID:???
「そうですな・・・・・・では1万エキュー分ほど、最初から賭けさせていただきますがよろしいですか?
 仮にアーカード様が負けたとしてもまだ1万も残りますし。なかなかのスリルでございましょう。
 勿論カード次第ではさらなる上乗せも構いませんよ。仮に残った1万エキュー分のチップ全て上乗せしても私は勝負に応じます」

「ふ〜む・・・・・・」
ギルモアはほくそ笑んだ。迷っている迷っている、これは勝負から降りる反応だ。
今までの相手となんら変わらない、そう思った直後だった。

「オーケー、少々きついが受けよう。私が言い出したことだからの」
アーカードはそう答えると、その動きは躊躇いなく、チップの半分を積んだ。
これは流石にギルモアも予想外であった。だが元々2万エキューもあるのだから、半分くらい大丈夫と考えているのかもしれない。

 ギルモアは考える、このまま勝負を進めてしまっていいのか?
確率的に考えれば低いが、相手が親である以上カードを開くのは自分からだ。
どうやってこの話をなかったことにしようかと考えてると、すかさずアーカードはそれを急かしてきた。


「さっ、カードを切ってくれ」
(くっ・・・・・・)
既にアーカードはチップを積み、客達も盛り上がってる。
もはや引くに引けない状況、ここまできたらもう諦めるしかなかった。

「いえいえ、カードを切るのは常にお客様にお願いしております」
ギルモアは一息ついて、笑顔を浮かべてそう言った。

「今まで子であった私がカードを切っていた。だが今回だけは私が親、カードを切るのも逆でいいさ」
ギルモアの心に猜疑心が生まれる。一体何を考えているのだろう。
なにか思惑があるのか?単に気まぐれなのか?だがすぐに思考を停止する。
なんでも構わない。勝てばいいのだ、ただそれだけのことだ。

 

111 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 20:54:44 ID:???
「・・・・・・では、失礼して」
ギルモアはカードを切る、それぞれにカードが配られる。
「チェンジしなくてよろしいのですか?」

 ギルモアはアーカードに問い掛ける。一発で役が揃うことなどなかなかない。
自由に役を操作するギルモアですら余計な疑いをかけられぬよう、一応形だけチェンジはする。
しかしアーカードはちらっと覗いただけで、カードを置いてしまった。

「構わんよ、このままで」
ギルモアは手の平に汗が滲んでいるのがわかった。妙な重圧が体全体にのしかかる。
賭け金は1万エキューだ、負けるわけにはいかない。
相手は大層な自信だ、確率が低いがかなりの役が揃ったのかもしれない。

 上乗せは互いになし。ギルモアはかなり迷ったが、ラファル・アヴェニューの役で勝負した。
「今日の私は、なんと幸運に恵まれているのでしょうか」
周囲が沸くと同時に、アーカードは笑い声をあげた。


「ははははッははははははは!!」
ギルモアは眉を顰めてアーカードを見つめる。
「なっ・・・何がおかしいのですか?」
「・・・・・・いやなになんでもない、失礼した。では、こちらもカードを開こうか」

 他の客が大勢いる中、その視線をものともせずに、強い役を提示するとは浅はか過ぎる。
自分が親でない、先にカードを提示しなくちゃいけないとはいえ、ここまであからさまだと笑うしかない。
そうやって繰り返して広まった風評がどのような結果をもたらすのか、そこまで考えが至らないのかこの阿呆は。

 

112 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 20:56:52 ID:???
 次いでアーカードが邪悪な笑みを浮かべてカードを開く、野次馬から一層大きな歓声があがった。
「ロワイヤル・ラファル・アヴェニュー、私の勝ちだ」
「ばっ・・・馬鹿なッ!?」
「馬鹿な?おかしな事を言うな」
思わず口走ってしまったことに、はっとしてギルモアは口をつぐんだ。

 ギルモアはトーマスに視線を送る。
トーマスは首を静かに、少しだけ横に振った。ということはアーカードが、何か不自然なことをした様子がなかったということ。
しかもカードをチェンジしていない、一発でロワイヤル・ラファル・アヴェニューが揃うなんてどのような確率になるというのか。
カラクリの種である『エコー』が裏切った?しかしそれは考えにくい、理由もない。

(こうも都合よく最高役が出るだと・・・!?イカサマか!?だがカードを切ったのは私だ、やったとしたら一体いつ!?)
「さて、元に戻って私が子だな」
ギルモアが疑念と思考の袋小路に嵌まっている中、アーカードは追い討ちをかけるように続ける。

「・・・・・・では賭けさせてもらおうか、先ほどの勝ち分を含めたチップ全てを」
「はァ・・!?な・・・なんだってー!!」
周囲がこれ以上なく沸いた。もはや流れは完全にアーカードにあった。


 汗が止め処もなく流れ始める、ここにきて全額だと?カード見て上乗せするわけじゃなく、配る前から全額!?わけがわからない。
「どうした?顔色が悪いようだが?」
「ぐっ・・・・・・いえ、少々驚いただけです。本当に、いきなり全額お賭けになるのですか?カードを見てから上乗せしても遅くは――――」
「必要ない」

 アーカードはギルモアの言葉を途中で切る。意志は固いようだった、一体何故ここにきて全額を賭けるのか。
カードを一切チェンジすることなく叩き出した、さっきのロワイヤル・ラファル・アヴェニュー。
ただの運だとは思えない、何かをやっているとしか思えない。
 

113 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 20:58:36 ID:???
「・・・・・・申し訳ないですが私にカードを切らせていただいてよろしいですか?」
「別に構わんぞ」
呆気なく了承されて、さらに猜疑心が渦巻く。本当にもうわけがわからない、絶対に勝つ故の自信なのか!?
そもそも圧倒的優位にいたはずなのに、何故今自分は追い詰められているのだ!?


「ギルモア様、少々落ち着いてください」
トーマスが耳打ちをしてくる。そうだ、落ち着け。全額賭けたということはチャンスでもあるのだ。
自分が親なんだ、恐れることはないんだ、ない筈だ。

 ギルモアはカードを切って渡す、だがアーカードは動かなかった。
「どうしました?アーカード様、カードを見てチェンジするかどうか――――」
「このままでいい」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

「えっと・・・その、今なんと仰いました?聞き間違いですかな?『このままでいい』と言ったように聞こえましたが」

「言葉どおりだ、このままでいい・・・・・・。この5枚のカードで勝負する」
「な・・・っ!?ですがあなたはそのカードを見てもいないでしょう!」
ギルモアは狼狽し、アーカードにテーブルごしに詰め寄る。

「・・・・・・このままでいい」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

(馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿なッ!!何故見ようともしない!?全額を賭けてるんだぞ?どれほどの自信があるというのだ!?)
心底わけがわからない。動悸がどんどん激しくなる、心臓の音が頭の中で響く、胸が苦しい。拭っても拭っても汗が止まらない。
トーマスを見やる、トーマスも怪訝な顔で汗を浮かべていた。トーマスもわからないのだ、一体アーカードが何をやっているのか。
 

114 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 21:00:01 ID:???
支援!承った!

115 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 21:01:10 ID:???
 だが開くのは相手からだ。その上でそれに勝てる役にすればそれで済むはずだ。
「コールだな、では同時に開こうか」
「は・・はっ・・・?同時・・・・・・?」
「最後の勝負なんだ、共にオープンした方が面白いだろう」
「い・・・いえいえ、ルールですからそれは―――――」

 アーカードは大きく嘆息をつき、言葉を遮る。
「カードを切らせてやったではないか、それくらいの融通は利かせろ。それとも・・・・・・『必ず私の後にカードを開かなくてはいけない』理由でもあるのか?」

 アーカードはギルモアの目を真っ直ぐ見据えた。心の中を覗くような、全てを見透かすようなその紅の瞳。
周囲からもアーカードの提案に賛成する声が聞こえる。最早観念するしか・・・・・・ないのか。


 息をするのもつらい、この少女は一体どこまで見通しているというのか。
目がチカチカする。今すぐこの場から逃げ出したい衝動に駆られる、開けたくない。
ギルモアは思わずカードを握り締めた、その瞬間だった。

 カードは小さなイタチのような姿に変わる。
ギルモアがカードを握った痛みで、先住魔法で変化をしていたエコー達は思わず戻ってしまったのだ。
手の中でもがくエコーに、ギルモアは反射的に手を離す。客達が呆気に取られていたその刹那、声が響き渡った。

「待つのね!!!」
声の主はシルフィード、手にはイタチの入った籠を持っていた。
「この子は古代の幻獣『エコー』!イカサマなのね!!こんな可愛い子供を人質にとって、カードに変身させてイカサマするなんて断固として許せないのね!!」


 現状を把握し怒った客達はギルモアに掴みかかろうとする、瞬間トーマスが剣を抜いて立ちはだかった。
客達は思わず怯む、その隙にトーマスは煙幕を張った。客達は突然の出来事と見えぬ視界で混乱する。

「さて、いくか」
アーカードの言葉にタバサは力強く頷いた。
 

116 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 21:02:21 ID:???
sien

117 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 21:02:57 ID:???


「やぁ、トーマス」
「アーカードッ・・・様」

 抜け道を通って出た路地裏で、背後からいきなり声を掛けられ振り向いた。そこにいたのは二人の少女であった。
「どうして抜け道が・・・!?」
「風を辿った」
ギルモアの疑問に事も無げに答えたのは、マントを羽織り背丈に似合わない杖を持ったタバサであった。

「シレ銀行の鍵」
さっさと渡せと言わんばかりに、タバサは手を突き出し言った。
「お嬢さまは王政府の人間ですか?」

 トーマスが何とも言えぬような悔しげな顔で言った、タバサはただ頷いて肯定する。
「なぜ・・・・・・一体どうして!どうしてシャルロット様は、お父上を殺した王政府に従うのですか!?」


 アーカードの眉がピクリと動く。タバサの過去の一端を、今トーマスは言ったのだ。
「わたしはもう、シャルロットじゃない」
タバサのその言葉、その奥深くに秘めたる決意をアーカードは感じた。

「さて・・・大人しくすれば殺しはせんが、どうする?」
トーマスは感じ取る、アーカードの強さを。少女の姿の裏にある、得体の知れない恐怖を。
シュヴァリエというのは虚言ではない。幼いながらも騎士の称号は伊達じゃない、トーマスは覚悟を決める。


「一つお聞きしたいことがあるのですが」
トーマスはアーカードに向かって言った。
「なんだ?」
「あなたは最後の勝負で勝つつもりでした、どのような細工をしていたのですか?」
トーマスは確信していた、アーカードがギルモアとの勝負で何かをやっていたということを。

118 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 21:06:02 ID:???
支援

119 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 21:06:24 ID:???
 
「あぁ、あれか。・・・・・・気付かなかったか?私が持っていたカードは、エコーとやらに戻ってないということに」
トーマスとギルモアはハッとする。あの時は動転していて気づかなかったが、よくよく思い出せば・・・・・・確かにそうであった。

「あの特別室でお前に言ったろう、"私は私で少々やらせてもらった"とな。棚を見せてもらった時に、カードを失敬させてもらった。
 サンクでギルモアがイカサマをしているというのは、既に聞いていたからの。前準備としては当然、備えあればなんとやらだ」

「それにしても・・・・・・私に気付かれずすりかえるなど・・」
「なぁに、こうしただけだ」
そう言うとアーカードの右手からカードが出てきた。
文字通り手の平からカードが出てきたようにしか見えなかった。


「えぇい!いつまでくっちゃべっているッ!!」
そう叫ぶと、ギルモアはいきなり小型の拳銃を取り出し発砲した。命中精度の低い弾丸はアーカードを狙うも、タバサの方に向かって飛んでいく。
バチッという音と共に、タバサの顔の前に突き出したアーカードの左腕に防がれる。アーカードは冷ややかな目でギルモアを睨んだ。
「まったく・・・あんたの血は臭そう、とても臭そうだ、ギルモア」

 次の瞬間動いたのはタバサであった、敵意を見せた相手を制圧する為に呪文を詠唱する。
それに呼応するかのようにトーマスの目が鋭くなり、瞬時に投げナイフを4本、両手にそれぞれ取り出し投擲した。

 アーカードは撃たれた左手で、投げられたナイフを4本とも難なく掴む。間髪入れずにトーマスが投げた二射目に向かって、右手に持っていたカードを投げ放った。
カードは空気を切り裂いて、投擲されたナイフを全て弾き吹き飛ばした。内一本はカードと衝突して粉々に砕け散る。
その間にタバサは、エア・ハンマーの呪文を完成させる。空気の槌はトーマスとギルモアをまとめて叩き、二人は壁に打ち付けられた。
 

120 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 21:07:08 ID:???
支援

121 :ロリカードとギャンブラー:2008/09/21(日) 21:08:10 ID:???
 呻き声をあげ倒れたままのギルモアと、それでもなんとか立つトーマス。
アーカードは左手で掴んでいたナイフを投げ返そうとするも、タバサがその手を止めた。
「殺す必要はない」
そう言うと、タバサはスリープ・クラウドを唱える。
アーカードが嘆息をつくと同時に、トーマスに青白い雲が包まれる。すぐにトーマスの意識は昏迷し、ゆっくりと落ちていった。





「随分と甘い措置だな」
「シルフィも甘いと思うのね!エコー達を利用するなんてとてもとても許せないことなのね!!」

 ギルモアから銀行の鍵を取り上げた後、眠らせてギルモアとトーマスを宿屋に預けた。
その後すぐに小宮殿に出頭し報告、速やかに任務を終了した。ギルモアとトーマスに関しては一切知らせなかった。

「捕縛の命は受けていない」
「別に、タバサがいいと言うのならば構わんが」
「お姉さまが許すというなら、しょうがないのね」

 学院へと戻るシルフィードの上、タバサは思索に耽っていた。
「今回はシルフィが大金星だな」
「えっへんなのね!」

 不甲斐ない。アーカードの言う通り、今回イカサマを暴いたのはシルフィードである。
アーカードもイカサマを直接見抜いたわけではないが、結果的には破ったようなものであった。


 まだまだ自分は甘い、もっともっと経験を積むことが肝要だ。
己が果たすべき目的の為にタバサは自戒し、改めて決意した。

122 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 21:11:54 ID:???
支援

123 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 21:11:57 ID:???
なんか、凄くおなか痛い・・・

とりあえず支援

124 :ゼロリカ ◆DNrogED.cM :2008/09/21(日) 21:13:55 ID:???
どうも、以上で投下終了です。ごめんね、シルフィ。結局殆ど出番がなかったよ。

長々とお付き合い&支援ありがとうございました。
外伝は多分これで終了です。あとはテンプレ本編をまったり書いていきます。


HELLSINGもいよいよ次で最終回を迎えるので、旦那は復活するのか否か。
場合によってはプロットを変えたり、過去に書いたのを修正する必要性が出てくるかも?

外伝もちゃんと終わらせてくれるのかなぁ・・・。
ではまた。

125 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 21:25:31 ID:???
乙”
燃え尽きるほど熱かった。

126 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 21:37:08 ID:???
GJ 惚れ薬イベントに期待大ww

127 :スナゼロ ◆kdp8/y3/66 :2008/09/21(日) 23:27:53 ID:???
素晴らしい、やはりゼロリカさんのアーカードは強い。
自分も早く投下しないと、執筆速度の遅さが恨めしい。

128 :マロン名無しさん:2008/09/21(日) 23:48:36 ID:???
狂信者の各人のイメージ
由美江=晒
セラス=ブラ
ルイズ&タバサ=必要ない
シエスタ=晒
キュルケ=ゲルマニア製高級ブラ
ティファ=付けていない
マチさん=ブラ

ゼロ魔の世界だとブラの類は貴族や金持ちか、多くは買えない高級品かもしれない。

129 :マロン名無しさん:2008/09/22(月) 02:20:39 ID:???
ていうか中世にブラは存在しないのでは?

130 :マロン名無しさん:2008/09/22(月) 07:50:37 ID:???
現在の形で作られるようになったのは1913年・・・意外と新しい技術だった。
異世界からの漂着、漂着した人間が作り始めたで解決して貰う。
時代に合わせてゾナ(女性の胸を覆う一枚布の下着)にするべきかな。

131 :マロン名無しさん:2008/09/24(水) 18:54:32 ID:???
あ‥?あ‥?

132 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/09/24(水) 21:50:57 ID:???
16話目2230より投下します。
個人的にはブラよりサラシのが良い

133 :虚無と狂信者:2008/09/24(水) 22:28:31 ID:???
「うーん、ここは」

平賀才人の眼前に見なれた景色が飛び込む。
そこは日本の街のど真ん中だった。突然の帰郷に才人は戸惑う。

「あれ?俺、ワルドと戦って、そっから……」
 ぼんやりとした頭で思い返す。
ふと目の前を見ると彼の目の前に一人の少女がいる。黒い髪の、見なれた少女だ。
この少女に話を聞こうと声を掛ける。
「あ、シエスタ。俺」
「あら、サイトさん、どうされたんですか」
彼女は何故かセーラー服を着ていて、普通なら魅了される所だが、そうはならなかった。

少女に不釣り合いな程の野太い声によって。

「な、何で」
後ろからルイズが駆け寄って来る。彼女はナースだがそれよりも気になるのは。

「ちょっとエロ犬! 何メイドと話をしてるのよ」
犬ってナニ?とかメイドだから?とかよりも、やはりこの少女達の声がおかしい。

「お兄様! お兄様! 御飯なのね!」
いつもは甲高い声のシルフィードも同じ声だった。

「何で」
タバサが本を読みながら近づいてくる。もしかしてこの子も…。
「おはよう」
「何で皆神父とおんなじ声なんだーーー!!?」


134 :虚無と狂信者:2008/09/24(水) 22:31:35 ID:???
全員がCV若本ではいくらこの子達がセーラーだろうとナースだろうとブレザーだろうと台無しである。
これがCV那智でも結果は同じであろう。
「と、とにかく逃げなきゃ」
可愛い少女が五十越したおっさんと同じ声では耐えられない。心の中の何かが壊れる。
そして、走り去る彼に神父声とぶるあぁぁぁの混声合唱である。走った。彼は走った。
するとしばらく行った所に、長身の男がいる。

「神父!!」

こちらを振り向く、身長2メートル、推定年齢60歳前後。髭に頬傷、丸眼鏡の男。
思わず声をかけた所でふと気づく。彼女らが神父の声ならば、彼は。

「いやあ、サイト。元気ですか」

「ぎいいいいいいいいやああああああああああ!!!!!!!!」
もはやザキである。





「うわあ!!」
サイトは風竜の上で目を覚まし、突然暴れ始めた。
さっきまでうなされていた彼が今度はまるで神父に追い立てられた
吸血鬼のように脅えきっている。シエスタが慌てて静止するも彼は叫び、耳を押さえるのみ。
「さ、サイトさん! どうしたんですか?落ちますって!!」
「み、皆声が! 声が! アナゴアナゴアナゴアナゴアナゴアナゴメカ沢アナゴアナゴアナゴ」
「アナゴがどうしたんですか!? サイトさん!!!」


135 :虚無と狂信者:2008/09/24(水) 22:34:25 ID:???
シエスタの元通りの可愛らしい声で彼はようやく平静を取り戻す。
「し、神父!」
空を見ながらぼうっと考え事をしていた彼は何事かという風に振り向く。
「お、俺の名前呼んでください。」
 ともすれば誤解されかねない発言に顔を顰める。
「……大丈夫か? お前?」
それはいつもの野太い声だった。その瞬間ヘナヘナと倒れ込む。
「良かった。夢だった……。死ぬかと思った」
「どうしたのよ? アンタ」
ルイズの声に拒絶反応を示す才人。猫のように俊敏に跳ねる。
「ルイズ! た、頼むから話しかけないでくれ! 俺の中で何かが壊れる!!」
「ななな!! しししし失礼ね!!」
呪文を唱えようとするルイズをギーシュが慌てて取り抑える。
「あれ? キュルタバは?」
「何よその略は。あいつらはお宝を換金するから別行動だって、魔法学園で落ち合うの」
「ふーん……。そういやタバサの怪我ってどうなの?」
ふと、ワルドの風によって吹き飛ばされた少女が頭に浮かぶ。
「あのね。あんたよか千倍ましよ。それよりそろそろトリスタニアにつくわよ」
(何よ。私の心配はしなくていいっての?)
そっけなくルイズは答える。しかし、その実心のうちでは軽く焼きもちをやいていた。一方才人は未だ
回復しきって無いのか糸が切れたように眠り始めた。アンデルセンはそんな彼を見て溜息をつく。
「忙しい奴だな……」



136 :マロン名無しさん:2008/09/24(水) 22:36:13 ID:???
よし、此れより支援を開始する

137 :虚無と狂信者:2008/09/24(水) 22:37:09 ID:???
トリステイン王宮より、中庭に風竜が降り立った。
魔法衛士隊マンティコア隊が彼らを取り囲む。
「お待ちください! 我々は姫様の密命を帯びたものです。姫様にルイズ・ヴァリエールが来たと仰ってください。」
隊長であろう人物が彼らをじっと見る。
風竜、少年、町娘、長身の中年男性。
あまりに信じがたい。一目で貴族とわかるのはこの少女と金髪の少年だけ。
「貴方達のような得体の知れない者達を取り次ぐ訳にはいきませんな。まずは杖と武器を預かりましょう。」
仕方ないかと、憮然としながらも随う一向。しかしアンデルセンは簡単には行かない。
出てくる出てくる。爆薬付きの銃剣が。預かろうとした兵士がその重みで潰れてしまった。
なにせ三十本以上も銃剣が出てくるのだからたまらない。そこで隊長もこの人物を危険な者と断定した。
「この者達を捕縛しろ!!」
この場にその言葉に喜んだ人物が一人だけいる。当のアンデルセン神父だ。
「しょうがないですねぇ。」
顔が明らかに喜んでいる。銃剣を二本取り出した彼を三人がかりで止める。
「待ちなさい―――!!」
「ちょっと神父様! ストップ!ストーップ!!」
「君達! 逃げたまえ! この人は本当に危険なんだ―――!!」
その余りの必死さに遠巻きになる衛士隊。必死に止める少女達。
目を覚ましたサイトはその光景に、健やかな眠りに逃避しようとした。
「こら!! 起きたなら手伝いなさい!!」
マンティコア隊隊長はその、どこかコミカルな風景にも冷や汗を出しっぱなしだった。
もはや確信にまで自分たちが敗れるだろうことが予想できる。
それほどまでにこの神父は危険だった。
だから、慌てた様子で広場にやって来たアンリエッタ姫に、彼は一層の忠誠を誓ったのだ。


138 :虚無と狂信者:2008/09/24(水) 22:39:07 ID:???
手紙を渡した時、アンリエッタは静かに泣いた。
「ウェールズ様は、戦死したそうです。クロムウェルの陣地に、無謀な突撃を駆け……」
「姫殿下……。」
「ウェールズ様は……私のことなど……思って下さらなかったのでしょうか……?」
「違います! 姫!」
ルイズははっきりと言った。
「ウェールズ様は王族としての誇りと、ハルケギニア全土の未来と、姫様への愛を……同時に守ったのです。」
そして彼女は伝えた、今は亡き皇太子の遺志と、今ハルケギニアに起こっている重大な危機を。

「よかった! 目が覚めたんですね?!」
「うん………まあ………。」
サイトは言葉に詰まる。シエスタのけしからない胸が、自分の腕に当たっている。
(何?何で?何で?)
ギーシュは羨望の眼差しでこちらを見る。
「君は何だね?! 何故そんなにモテルんだね? コツを教えたまえコツを!」
「モテルって………誰に?」
自分の身の回りの女性で、キュルケは本当に何にもないし、ルイズは時たま爆撃してくるし、
セラスさんにはベルナドットさんがいる、タバサとシエスタは………よくわからないが友達だろう。
「カ―――ッッッ! 天然かね? 天然がいいのかね?」
シエスタはギーシュの言葉にうーんと唸る。
「それはやっぱり………モテようなんて考えだけで行動しないことですよ。」
「グハァ!!」
ちょっと抉ってしまったらしい。
「モンモランシーはダメだぞ! 駄目だからな!」
「………誰?」
付き合ってられないので外に出ようとするサイト。そこにアンデルセンが入って来る。
「あ、神父!」
嬉しそうに駆け寄るサイトにアンデルセンは……拳骨を見舞った。


139 :マロン名無しさん:2008/09/24(水) 22:41:43 ID:???
支援ですわ シレンですわ

140 :虚無と狂信者:2008/09/24(水) 22:42:06 ID:???
「〜〜〜何するんですか!?」
「……いいから寝てろ。」
その迫力に怯みながら、ベッドに潜り込む。
「………無茶しやがって。」
「………すいません………。」
その雰囲気にギーシュは遠巻きになり、さしものシエスタも口を挟まない。
「いいか? お前は不死身ではない。
心臓を突かれたり首を刎ねられたり頭を爆薬で吹き飛ばされたら死ぬ。
解ってるのか?」
サイトの顔から冷や汗が滴る。解っていなかったらしい。
アンデルセンは自身の説明不足に軽い自己嫌悪に陥る。
そして本題に入る。
「全く、無茶な戦いしやがって、もっと自分の身を大切にしろ」
((それはひょっとしてギャグで言ってるのか?))
シエスタとギーシュは全く同じことを考えていた。サイトは神妙な面持ちでそれに答える。
「いや、その、何て言うか……。あそこで、ちょっとでも退いたりしたら……。
何かが終わってしまう気がして」
「………死ぬかもしれんぞ」
「………死にません」
何となく、その光景が仲の良い父子に見えたため、シエスタの顔に笑みが浮かんだ。

なぜ、自分はこうも思い悩んでいるのだろう。自分はただの人斬り包丁。それでよかった。
今は、ペースを乱されっぱなしだ。
面倒くさい。
彼はそう一人呟いた。


141 :マロン名無しさん:2008/09/24(水) 22:43:17 ID:???
裂けて砕けて割れて散る
支援と支援と支援の果てに

142 :マロン名無しさん:2008/09/24(水) 22:44:38 ID:???
支ぃ援ン、シィイイイエエエエエエエン!!!(CV若本)

143 :虚無と狂信者:2008/09/24(水) 22:45:13 ID:???
「そうですか………。吸血鬼。」
アンリエッタは憂慮する。
「あのレコンキスタと言う集団は、吸血鬼を広めることで、信奉者を増やしているのですね………。
何と嘆かわしい。民を守るという貴族の、王族の最低限の気位を……。そんなもので聖地を奪還し、
始祖ブリミルの遺志を継ぐなど……。茶番もいいところだわ。」
アンリエッタはルイズを見据える。その瞳はさっきまでの不幸に酔う姫では無い。
誇り高く国と民を愁う、真の王族そのものだった。
「あなたの使い魔と、サイトと言う少年は、吸血鬼を狩る者だそうですね?お話できませんか?」

「いい? あなた達はただの平民なんだからね? 姫様になんかしたら、リアルで首が飛ぶんだから!」
「わかってますよ。」
「そうそう、水洗トイレみたく流されるのはもう嫌だからな。ハハハ……。」
軽口を叩くもサイトは少し緊張しているようだった。一方アンデルセンは全く普段と変わりは無い。
そして謁見の間に入る二人。アンリエッタは正装であり、その美しさと気品にサイトは見とれた。
その後、全く動じないアンデルセンを見て、この男の鉄人振りを感じた。
(本当に神様と結婚してるんだな……。)
最も十七も少女にいちいち靡いていていてはそもそも成人男子としてアレである。

流れる水を越えられず、日光を忌避し、聖書や聖水に弱く、香草を嫌う。
白木の杭を心臓に打ち込んだり首を刎ねたり銀や祝福された武器で攻撃すれば倒せる。
「しかし、メイジはおそらく対吸血鬼戦でほとんど戦力にならないでしょう。」
それはサイトも感じる所だ。そもそもメイジ殺しとよばれる戦士の存在からもわかるように、メイジは近接戦に弱い。
呪文の詠唱の際に距離を詰めるなど吸血鬼にしてみれば造作も無いことだ。
速射性に魔法より段違いに優れている銃器を使うプロですら1対1ではほとんど吸血鬼を狩れないのだから。
さらにただの風の刃や吸血鬼に効くかと言われれば答えはNO
火も相当の腕でなければ燃やしつくせはしない。
流水も弱点ではあるが、実戦となればどうであろうか。
「つまり、我々は対吸血鬼戦専用の部隊をつくる必要がありますね…………。」
「ええ、そこで姫様に相談なのですが……。」


144 :虚無と狂信者:2008/09/24(水) 22:47:56 ID:???
「教会?」
「ええ。教会を作り、装備に祝福を施せば通常兵器でも吸血鬼を倒すことができます。」
「ですが…………。」
ハルケギニアではブリミル教の総本山である宗教国家ロマリアが力を持っており、
もし異なった宗教の建造物の設立を認めたというのであれば、重大な外交問題となる。
「では、私が適当な所を見繕い、勝手に建てますので、あなたがたは黙認して下さい。」
「いいのですか?」
つまり、ロマリアが因縁をつけて来た場合、アンデルセン自身が責任を取り、
かつ祝福済みの武器を与えるというのだ。
「構いません。吸血鬼達はもともと我々の世界のものですから。ねえサイト君?」
サイトはその言葉に感動を覚える前に一つ仮定した。
ロマリアがアンデルセン神父を捕まえようとする。
……………………………………………………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………………………………………………
……………………………………………………………………………………………………………………
ロマリアオワタ
「ねえサイト君。我々は信仰の自由を勝ち取らねばなりませんなァ。」
「アハ、アハハハハハハハハハハハハハハアハアハ」(やべえこの人!完全に二つの意味でヤる気だ!)
その二人の様子をアンリエッタは不思議そうに見つめるのだった。

「あの、サイト殿」
姫に自分の名を呼ばれ、サイトは恐縮する。成程姫は可愛くて、もとから初心な彼は思わず赤面する。
「ありがとうございました。ウェールズ様や、私の大切な友達を救ってくださって。」
その屈託のない笑顔で感謝され、彼は嬉しかったが、ウェールズの名を聞き、一転神妙な面持ちとなる。
「これは約束の報酬と、謝礼として何か贈り物を……」
そう言われ、サイトは思案する。帰る方法の手助けというのも浮かんだが、
この国の権力者に自分が異世界人だと知られるのもどうかと思った。
「じゃあ、何か、異世界からの珍しいものとかで心当たりがあったら教えて下さい。できたらでいいので……」


145 :虚無と狂信者:2008/09/24(水) 22:50:54 ID:???
アンリエッタはその申し出の訳が分からずポカンとしたが、すぐに取り繕い頷いた。
そして虚空を見上げ、悲しそうに聞いた。
「ウェールズ様は私を……愛して下さらなかったのでしょうか?」
「あ、愛してました!」
サイトは自分でもなぜこんなに焦っているのかは分からなかった。目の前の姫もキョトンとしている。
「あの人はあなたを愛して、けれどあそこで退いたら、あなたが愛したあの人で無くなってしまうから。
あなたが愛した勇敢な皇太子、ウェールズ・テューダーで無くなってしまうから……。
だから……」
たかだか数時間一緒に居た人間になぜこうも感情移入し、焦っているかはわからない。
ただこれはどうしても自分がやらなければならないことに彼は感じたのだ。
その拙い、けれど必死な訴えにアンリエッタは儚くも優しい表情を浮かべる。
「そうね……私が愛したあの人は、そう……とても勇敢で……」
思い人に対する懐かしさと共に、新たな決意を瞳に宿す。
「あの人が勇敢に死んだのなら、あの人が愛した私は…………。
勇敢に生きてみようと思います」

「あれで良かったんでしょうか……?」
サイトは廊下を歩きながらアンデルセンに問う。
「さあ、わからん」
そっけない返事だった。
「だが、悪くないんじゃないか」
その言葉に一瞬呆けて立ち止った後、先を行く彼に慌てて付いていった。


「なんだー? サイトー? いっちょまえに悩み事か!」
「ええまあ………てかベルナドットさん完全に出来上がってますね。」
「馬鹿野郎――隊長と呼べ隊長とー。」
ここは城下町の酒場、ベルナドットに奢ると言われ酒場に連れてこられた。
(あああ、なんで俺の回りの大人はみんな一味厄介なんだろう。神父といいアーカードさんといい)
 近いうちに行われる宗教戦争のことを思うと憂鬱になってしまう。


146 :虚無と狂信者:2008/09/24(水) 22:53:49 ID:???
「………お前なんか失礼なこと考えてるだろ。」
(酩酊しててもスルドサはそのまま!さすが隊長厄介だぜ!)
心の中で無理やりハイテンションになりつつ、赤ワインをちびちびやる。
「んだ、そんな女みてえな飲み方は! マスターテキーラ! ロックで!」
「隊長。俺未成年なんで………。」
「何言ってんだ! 俺がお前位の頃はバーボン三本やって救急車呼んだんだぞ!」
「ぶっ倒れてるじゃないっすか!」
「まあ今日は俺の奢りだ。パーっとやろうぜ。」
「そういやお宝どうしたんですか。」
「ああ、欲しいモンがあるんで大体はキュルケ嬢ちゃんに預けた。
それよりお前酒駄目か………。じゃあ綺麗なお姉ちゃんが一緒に寝てくれるトコの方がいいか?」
「隊長!!」
「悪い悪い。怒った?」
「一生付いていきます!!!!」
「なんだお前も男かコノ生臭坊主―!」
その後二人でつつき合う。絶好調に出来上がっている。テキーラはいつのまにか無い。
ふとサイトの隣に誰かが座る。
「あ、すいませ………………。」
「どうし…………。」
そこにいたのは、赤い服、赤い帽子、サングラス、眼。
アーカード、思い起こされるのは、ラ・ロジェールの一悶着。
思考を埋める、サイトは五文字、ベルナドットは六文字の言葉。
(オレオワタ)
(サイトオワタ)



147 :マロン名無しさん:2008/09/24(水) 23:00:17 ID:???
オワタ 支援ハジマタ

148 :マロン名無しさん:2008/09/24(水) 23:04:58 ID:???
我に返るときっついよなぁ

支援

149 :虚無と狂信者:2008/09/24(水) 23:07:21 ID:???
サイト終了のお知らせに身を固くするベルナドット。サイトはというと聖書をパラパラしている。
「おっかしーなぁ。瞬間移動できないぞぉー」
「………落ち着け。そして戻って来い」
アーカードはと言えば優雅にワインをテイスティングしている。
成程ワインは味だけでは無く、色合いや香りを楽しむもの。その仕草には気品が溢れている。
(ひょっとして怒ってない? というか忘れちゃった?)
サイトはその姿に淡い期待を覚えてみる。
「……どうだった? 闘争の味は」
その問いにドキリとする。どの闘争かで意味合いはガラリと変わる。
「あの………誰との?」
「私とのだ」
(はいどう考えても俺終わりです。どうもありがとうございました。)
「あのよ、旦那。」
マッサージ機のように震えるサイトにベルナドットは流石に哀れになったのか助け舟を出す。
「その、旦那は、サイトをどうこうしようと思ってんのか?」
「さあ、何のことだ? 私は何もしていないが。」
アーカードはサイトを見て可笑しそうに話した。
「なあ、こいつはこんなにも私が怖いにも関わらず、私に立ち向かったのだ。素晴らしいとは思わんか?」
ベルナドットは頷く。確かにこの少年は自殺行為ともとれることをするが、それらは全て他人のためだ。
「おそらく、私がお前を殺そうとすれば、こいつはまた燃えたぎる油の様に闘争の炎を巻き上げるのだろうな」
「……冗談でも止めてくれ」
しばらく沈黙が続いた後、ふいにサイトが呟いた。
「あの、なんていうか………。いきなり、あの、ぶった切ったのは、その、良くなかったですよね?
一応、仲間なのに。その所為で結局タバサまで危ない目に遭わせたし……。スイマセン」
その言葉にアーカードは一瞬呆けた後、小刻みに震え始めた。

さるくらいました

150 :虚無と狂信者:2008/09/24(水) 23:10:01 ID:???
「アハ、アハハハハハ」
髪を掻き毟って笑う彼を店内の全ての人間が注目する。
唯一ベルナドットは異質なものを見る目でサイトを眺めていたが。
「フウ…成程……全く以て人間は不可思議極まり無いな」
そしてアーカードはワインを眺める。
「…飲まないんですか?」
「余り旨くない。」
元貴族であり、舌の肥えたアーカードが場末の居酒屋に置いてあるワインで満足する訳が無い。
「そうだな………。仲直りというなら、御馳走してもらおうか」
そう言い、ワイングラスをサイトの前に置く。察したサイトは懐の銃剣で掌を斬り、
その手を握りしめ、血をそこに垂らした。血の数滴垂らされたワインをアーカードは呷る。
「不味い…しかも薄い。出血し過ぎたな。」
「おいしいとか言われたらどうしようと思いましたよ……。あと薄さの何割かはあんたのせいです」
「フン、貴様が私に与えたダメージなど、この血の一滴よりも些細だ。元より気にするな。」
そしてアーカードはお代を置いて出て行った。ベルナドットはその姿を見送る。
「しかし…お前も大したもんだな………。サイト?」
言われたサイトは呆然と自分の脚をさする。
「ベルナドットさん、俺生きてます。」
「ああ、そうだな。」
その途端滝のような汗をかくサイト。顔が完全に蒼白である。
「寒い!寒い!」
ベルナドットはそんな彼に魔法の言葉をかけてやる。
「落ち着け!今から綺麗なお姉ちゃんとこいって暖めてもらおうぜ。性的な意味で」
その一言に一転して震えが止まりサイトの顔が輝く。
「うおー!! 隊長俺一生付いていきます!!」
「良し!! サイト副長!! 今より出撃する!!」
そして意気揚々振り向いた彼らの目に映った者達。
ルイズ、シエスタ、タバサ、そしてセラス。キュルケが楽しそうにそれを見ている。
思考を支配する7文字の言葉
オレタチオワタ


151 :マロン名無しさん:2008/09/24(水) 23:11:48 ID:???
\(^o^)/オワタ

152 :虚無と狂信者:2008/09/24(水) 23:13:11 ID:???
ふーん、そう、へえ。神父の代わりに守るとか何とかカッコいいこと言っといてそうですかそうよね
ずっとずうっとグースカ寝てやっと起きたらこれって全くもうしょうが無いわねえ

ええ全くしょうがないですねー。人をさんざ心配させといてこの天然タラシムッツリスケベは

FUCK

「痛え――!! てかそもそも何でお前らが怒るんだよ!! おかしいだろ?!」
「うっさい馬鹿犬! あんた私を守るとか言ったくせに何処いこうとしてんの?! 
罪なので罰としてチ○コもぐ!」
「サイトさんの! 浮気者―――!!」
「子どもになに吹き込んでるんですかあ?」
「犯罪」
「ギブ! ギブ! ギブ!」
「理不尽だよー!別に誰とも付き合ってないのに!」
「「いいから黙る!!」」


153 :マロン名無しさん:2008/09/24(水) 23:14:59 ID:???
強くなれサイト……

154 :虚無と狂信者:2008/09/24(水) 23:18:17 ID:???
「で? ゾーリン? 本当に何があったか覚えてないの?」
「あ? ああ……」
シュレティンガー准尉はぼんやりとした調子で話すゾーリン・ブリッツ中尉を不思議そうに見つめた。
彼女を片田舎の土地にマジックアイテムをとらせにいったら、ふらふらと何も持たず帰って来た。
片腕を失くした状態で。無論、今は傷の再生を終えているが。
彼女にはその時の記憶が完全に欠如していた。
「忘れさせる力……か。」
ヴェオウルフの力でもそんなものは聞いたことがない。で、あれば……。
「どうします?シェフィールドさん」
そう呼ばれた女性はしばし黙考して言う。
「そいつがもう一度捕捉できたなら、手に入れるわ……」
その額には、何やら刺青のようなものが施されている。
黒い長髪に、どこかハルケギニアとは異質な風貌をしている。
「すいませんねー。迷惑かけてー。ウチのゾーリン脳みそ筋肉で出来てるからさ」
ギリギリギリ
「ま! 間接! 間接技は無し!」
寂れた隠れ家に少年兵の悲鳴が響き渡った。




155 :虚無と狂信者:2008/09/24(水) 23:20:56 ID:???
以上で投下終了です。支援、まとめありがとうございました。
学校が始まったのと、ちょっと追加した話ができたので
流石に今までのペースで投下はできなくなりますが
これからもよろしくお願いします。


156 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/09/24(水) 23:23:24 ID:???
すいません。またやってまいました。
シェフィールドどうしようかと思ったんですが
15巻読んだ結果登場させました。それでは

157 :マロン名無しさん:2008/09/24(水) 23:30:06 ID:???
GJ!

158 :スナゼロ ◆kdp8/y3/66 :2008/09/24(水) 23:31:10 ID:???
狂信者さんの投下力は化け物だ、と言う訳で自分も投下!

159 :マロン名無しさん:2008/09/24(水) 23:35:06 ID:???
乙”
今までの燃え尽きるほどヒートじゃない
ちょっと一息な感じの話が良かったです。
オワタに吹きました。

160 :マロン名無しさん:2008/09/24(水) 23:38:32 ID:???
ゾーリンとシュレのやり取り、隊長とサイトのやり取りどちらも良かった。
平時のヴェアヴォルフのガリアでの生活が気になります。

161 :スナイピング ゼロ:2008/09/24(水) 23:39:53 ID:???
トリステイン魔法学園、本塔と火の塔の間。地平線の向こう側に、夕日が沈もうとしている時刻。
教師になって二十年になる炎蛇のコルベールは、研究室である小屋の中で、椅子に座って寝息をたてていた。たまに
「ぐふ、お年寄りがねぇ〜・・・むにゃむにゃ」
 と、何の夢なのか分からない寝言を漏らしている。

 研究と発明で疲れ切った体を休ませている時、小屋の窓がガタガタと震えだした。その音に気付いたコルベールは、
瞼を擦りながら立ち上がる。
「・・・何事かな?」
 寝惚けながらも扉を開け、周りを見渡す。聞こえてきたのは、聞いた事の無い異様な音。しかも、その音は大きく
なってきている。余りの轟音に、手で耳を塞ぐ。
「なんなのですか、この音は!? 鼓膜が破れそうですぞ!」
 更に音が大きくなった時、音を発する物の正体が見えた。

 それは全体を黒く染めた、空飛ぶ物体。頭に付いた細い棒を、目に捉えられないほどの速度で回転させている。
その物体は腹の辺りから黒く丸い物を出すと、コルベールの目前に着陸した。離れた場所に、ウィンドドラゴンも着陸する。
 呆然としていると、脇腹の部分が開き生徒達が出てきた。

「凄いわね、タルブから学園まであっと言う間じゃない!」
「まさか本当に空を飛ぶとは思わなかったよ、竜騎士すら相手にならないだろうね」
 ワイン入りの袋を背負ったキュルケとギーシュが、嬉しさと驚きを混ぜた顔をしながら地面に降りた。地に足をつけた
キュルケがバランスを崩した所を、隣を歩くタバサが支える。

「あぁ、ごめんねタバサ。ちょ〜っと飲み過ぎちゃったみたい」
「・・・みたい、じゃ無い。あきらかに、飲み過ぎ」
 タバサの目には、顔を真っ赤にしたキュルケが映っている。背負っている袋には、空になった瓶が一本入っていた。
帰りの道中に、少し味見したようだ。そんな生徒に、コルベールが話しかけた。
 

162 :マロン名無しさん:2008/09/24(水) 23:40:55 ID:???
支援支援支援支援

163 :スナイピング ゼロ:2008/09/24(水) 23:41:03 ID:???
「え〜と・・・君たち、これは一体なんだね? 出来れば、私に説明してほしいんだが」 
「私が説明するわ」
 左側の操縦席からリップが降りると、コルベールに説明を始めた。反対側の右側からセラスが降りると、背中に背負った
デルフリンガーから乗り心地を尋ねられている。説明を聞き終えたコルベールは、激しく知的好奇心を刺激された。

「これが君たちの世界では普通に飛んでおるのか、実に素晴らしい! 出来れば、今から私を乗せて飛べないかね?」
「え〜とですね、実はその件に関してコルベールさんにお願いしたい事がありまして・・・」
 困った顔をしたセラスが、コルベールに説明を始めた。



「なるほど、この液体と同じ物を作る事が出来れば『ヘリコプター』は飛ぶんだね」
 小屋の中で、コルベールは小さなコップを持っていた。その中には、ヘリの燃料タンクから取り出したガソリンが入って
いる。臭いを嗅いだコルベールは、口を抑えて咳をした。セラスはコルベールの背中を摩る。
  
「あぁ、すまない。それにしても、温めなくともこのような臭いを発するとは、かなり気化しやすいようだ。爆発した時の
威力は相当なものだろうね、取扱いに注意しなくては」
「それで、どうでしょう・・・調合できますかね?」
 両手を擦り合わせながら、セラスは尋ねる。机に置かれた羊皮紙になにやらメモすると、コルベールは振り向いて笑顔を
見せた。

「出来ると断言は出来ないけど、なんとかやってみるよ」
「お願いします」
 ペコリと頭を下げ、セラスは部屋を出ようとする。そこへ、コルベールが声をかけた。

「セラス君、ちょっと質問があるんだが」
「あ、はい。なんでしょう?」
「君の故郷、英国と言うんだったね。そこでは、あのヘリと言う物は普通に飛んでいるのかね?」
 どう返答するか考え、セラスは取り合えず頷く。
「英国と言うか、世界中でヘリは飛んでますね。あとヘリの他にも、飛行機とか気球とか色々と」
「他にも飛ぶ物があるのかね? 君の世界では、本当に変わった世界なのだね」
 (コッチの世界の方が何倍も変わってますよ)とセラスが思っていると、背後で扉がノックされた。

164 :マロン名無しさん:2008/09/24(水) 23:42:06 ID:???
更なる支援を

165 :スナイピング ゼロ:2008/09/24(水) 23:42:34 ID:???
「鍵は開いてるよ、入りなさい」
 コルベールが言うと、ゆっくりと扉が開かれた。隙間から顔を覗かせたのは、始祖本を持ったルイズだった。
セラスを見つけると、こっちに来いと手招きする。セラスが近づくと、耳元でボソボソと喋りだした。

「帰って来たなら主人に報告ぐらいしなさいよ、心配したじゃない」 
「す、すいません。ちょっとコルベール先生に頼み事をしたかったもんで・・・」
「ふ〜ん・・・所で、リップはどうしたの? 姿が見えないけど」
 小屋の中にリップがいないのを確認したルイズが尋ねる。

「リップさんなら、ちょっと用事があって外出しました。日が沈むまでには帰るって言ってましたよ」
「用事?」
 不思議な物でも見るような目で、ルイズは頭を捻った。



リップバーン・ウィンクルは、魔法学園の外に広がる森の中にいた。折り畳み式の椅子に座り、丸型テーブルを挟んで
一人の女性と向かい合っている。女性の後ろには車両が停められており、仲間の人間が周囲を警戒していた。
リップは椅子から立ち上がり、女性に右手を差し出した。

「ようこそ、異世界の国へ。この旅は急な依頼に答えていただき、誠に有難うございます」
 女性は椅子から立ち上がり、リップの手を優しく握り返す。
「初めまして、リップバーン中尉。この旅はHCLI社に依頼していただき、感謝いたします」
 手を離すと同時に、横から眼帯を付けた黒髪の少女が現れた。ファイルから一枚の紙を取り出し、テーブルに置く。
女性は懐からペンを取り出すと、リップに手渡した。

「そちらが受領書となっています、内容の確認を。間違いが無ければ、サインを願います」
 さっと目を通してサインすると、リップは受領書を女性の側に戻した。女性は後ろに佇む白髪の男に手で合図すると、
テーブルに置いてあったペットボトルを手にした。表面には英語で『コカコーラ』と表示されている。

「なあ相棒の相棒よ、この女達は何者なんだい?」
 デルフリンガーが相手に聞こえないよう、ボソリと尋ねる。
「政府上層部や情報機関との関係を駆使し、合法・非合法を問わず武器を売る・・・死の商人よ」

166 :スナイピング ゼロ:2008/09/24(水) 23:45:08 ID:???
振り返らず、リップは質問に答える。デルフは黙って、白いコートに白い髪の女性を見つめた。そして、テーブルの上に
置かれた箱に視線を移す。中には、ハルコンネンに使用する30mm弾が半分ほど入っている。

「なるほど。相棒が使ってる銃の弾はハルケギニアでは手に入らないから、売り手を呼んだって訳かい」
「その通り」
 一人と一本が話している間に、白髪の男が箱を抱えて戻って来た。テーブルの上に置き、蓋を開ける。中には30mm弾が
ぎっしりと詰め込まれていた。

「お求めの劣化ウラン弾と徹甲弾、確かに受け渡しました」
「感謝いたします、白き御嬢様」
 リップは再び立ち上がり、一礼した。その姿を、女性の隣に立つ少年がじっと見つめている。
その後ろでは黒髪の少女が手で煙を扇ぎながら、煙草を吸う白髪の男に怒鳴っていた。

交渉を終えたリップは、魔法学園への帰り道を歩いていた。右手に弾薬箱を、左手には女性から渡された名刺を持っている。
なんと書いてあるのか?とのデルフの問いに、リップは名刺を見つめながら答えた。

『HCLI社ヨーロッパ・アフリカ兵器運搬部門 現場担当 ココ・ヘクマティアル』
下の方には *(ハルケギニア大陸も担当いたします) と、書き足されていた・・・。



「と言う訳で弾薬の補充は可能よ。ご理解いただけたかしら、前スレ>>834>>835のお二人さん?」
「リップ、誰に話しかけてるの?」
 棺桶に座って壁に話しかけるリップに、ルイズはツッコミを入れた。
 時刻は夜、明日に備えて眠る時間。ルイズはベットに座り、ブラシで髪の癖を直している。弾薬箱の中を見たセラスは、
驚いた表情をリップに向けた。リップは軽くウィンクした。

「良かったな相棒、これで弾薬の心配はいらねぇな」
「でも、凄いですね。どうやって異世界で30mm弾を手に入れたんですか?」
 入手方法に興味津々なセラスに、リップは悪戯っぽい笑みを浮かべると
「禁則事項よ♪」
 そう言って、誤魔化した。

167 :スナイピング ゼロ:2008/09/24(水) 23:47:01 ID:???
そして灯りが消され、主人のルイズは夢の中へ旅立った。枕を強く抱き締め、静かな寝息を立てている。
セラスも棺桶の中で瞼を閉じているのだが、眠ることが出来ない。どうしたものかと思っていると、棺桶をノックされた。
蓋を開けると、そこにはリップがいた。

「眠れないの?」
 いきなり核心を言い当てられたセラスは、目を丸くした。
「・・・なんで?」
 自分が眠れないのが分かったんですか?との問いをぶつける。
「中から音がしてるから」
 分かりやすい答えと共に、クスリと笑われた。セラスの頬に、薄っすらと赤みがなる。

「聞こえてました?」
「えぇ」
「・・・すいません」
 そう言って頭を下げようとして、両頬に手を添えられる。何だろうと思い、顔を上げようとした時・・・口付けされた。

「んっ」
 舌で唇を開かされ、舌を無理やり絡みとられる。
最初こそ驚いたものの、されるがままに口内を蹂躙された。慣れとは恐ろしいと、セラスは思った。

 「「ちゅ、くちゅ・・・ちゅぱ・・・・・・んっ、あぁ・・・」」

 お互いの唾液が混ざり合う音が、密着した二人の唇から流れ落ちる。
小さくて可愛いルイズの鼾と、大きくて卑猥な二人の音。相容れない異なる響きが、部屋の中に染みていく。その時、
ルイズが寝返りをうった。

「う〜ん」
 と言う寝言に、二人はサッと顔を離す。しばらく主人を注視するが、起きる様子は無い。

「はぁ、はぁ・・・」
 呼吸を整えながら、セラスはリップを見つめる。唇に付着した唾液を舐め取っていたリップは、笑みを浮かべた。
そして、蛇のようにペロリと舌を出す。

168 :スナイピング ゼロ:2008/09/24(水) 23:48:54 ID:???
「落ち着いた?」
「・・・え?」 
 突然の問いに、セラスは返答に窮する。すると、リップは右手を前に突き出した。ゆっくりと、セラスの胸に触れる。
「ここは、落ち着いてるみたいね」
 そこは、胸部の左側・・・心臓の位置だ。

「そ、そうですね。何時の間にか落ち着きました」
「なら、もう寝なさい。夜更かしは肌の敵だって、隣の赤髪さんが言ってたから」
 そう言うと、リップは自分の棺桶に戻って行った。蓋が閉じられ、部屋は無音の空間となる。
自分の手を、心臓に当ててみる。口付けが原因なのか、平常通りの脈動を感じ取る事が出来た。

そんな状態に安心したのか、大きな欠伸をしながら、セラスは棺桶に入っていった。



同時刻、トリステインの王都トリスタニア。
すでに眠る時刻であるにも関わらず、アンリエッタは自室で書類に目を通していた。
ゲルマニア皇帝との結婚で一週間ほど城を留守にするため、その間の職務を先に終える必要があるためだ。

 文面を読んでは杖を振るって花王を押しの繰り返しに、アンリエッタは疲れていた。
そのうちに積まれていた書類は減っていき、残りが一枚となる。

「これで終わりね」
 そう言って杖を振るおうとした時、扉がノックされた。
「殿下、私です。入ってよろしいですか?」
 声の主は、枢機卿のマザリーニだった。
「構いません、入りなさい」
 了承すると、扉が開かれた。扉を後ろ手で締めると、マザリーニは真っ直ぐアンリエッタの元へ歩み寄る。
右手には、一枚の書類が握られていた。仕事の追加かと思い、アンリエッタは露骨に嫌な表情を浮かべる。


169 :スナイピング ゼロ:2008/09/24(水) 23:51:37 ID:???
「ご安心ください、殿下の睡眠を減らすほど時間は取りません」
 安心させるような言葉と共に、机の横で立ち止まる。
「明日、艦隊旗艦のメルカトール号がアルビオンの客を迎えいれるのはご存じですな?」
「その事なら知っています、それが何か?」
 マザリーニは、机の上に書類を置く。

「その間に、外交会議を行う事が決定しました。ご了承のうえ、花王の捺印を願います」
「外交会議・・・ですか?」
 書類を手にし、書かれている文面を目で追う。最後まで読み終えると、溜息をついた。

「ただでさえ結婚の準備や、書類の整理で忙しいと言うのに・・・」
「仕方がありませぬ。同盟が控えているとは言え、他国との会議を疎かにする訳にはまいりませんからな」
 枢機卿の言葉に、アンリエッタは子供のように頬を膨らませた。黙って書類に花王を押し、書類を突き出す。

「分かりました、明日ですね。事前の準備は任せましたよ」
「分かっております。では、失礼」
 要件を終えると、マザリーニは部屋を出ていった。扉が閉じられると、アンリエッタは立ち上がって服を脱ぐ。
そして寝間着に着替えると、ベットに横になった。

「私の知らない間に、色んな事が決まっていくのね・・・」
 弱音ともとれる言葉を、ボソリと呟いた。


170 :マロン名無しさん:2008/09/24(水) 23:51:54 ID:???
百合りん支援

171 :マロン名無しさん:2008/09/24(水) 23:56:32 ID:???
べらぼうに支援だ

172 :スナゼロ ◆kdp8/y3/66 :2008/09/24(水) 23:57:27 ID:???
今日はここまで、支援に感謝いたします。前スレで弾薬の補充に関する話があったので、
異世界から武器商人を呼ぶことにしました。元ネタは月刊サンデージェネックスに連載
されてる作品「ヨルムンガンド」から。シェフィールドが操る巨大人形とは無関係です。

173 :マロン名無しさん:2008/09/25(木) 00:07:38 ID:???
乙!
ところでシェフィールドが操る巨大人形って勝手に火星に行ったり、一定レベルを超えると全てが解ってしまう放射線を動力源にしている類の人形じゃないですよね。

174 :スナゼロ ◆kdp8/y3/66 :2008/09/25(木) 00:17:11 ID:???
>>173
そういう類の人形では無いと思う、原作13巻〜以降は未読だから詳しくは分からない。

175 :マロン名無しさん:2008/09/25(木) 00:35:40 ID:???
>>174
そうですか・・・それはそれとして
砂ゼロのシェフィールドがどんな人形を操るかwktkしながら待っています。

176 :マロン名無しさん:2008/09/25(木) 20:26:31 ID:???
でっかいジム

177 :マロン名無しさん:2008/09/25(木) 20:57:22 ID:???
>>176
宇宙ごとハルケギニアをふっ飛ばす気か?

178 :マロン名無しさん:2008/09/26(金) 01:27:46 ID:???
その時、虚無が発動した

179 :マロン名無しさん:2008/09/26(金) 07:57:44 ID:???
黒富野じゃ全滅エンドになっちまう

180 :マロン名無しさん:2008/09/26(金) 11:33:15 ID:???
ルイズが虚無を使えるようになって皆から祝福されておわり

181 :マロン名無しさん:2008/09/26(金) 12:31:16 ID:???
>>180
おめでとう、オメデトウ…ryって補完されそうだ

182 :マロン名無しさん:2008/09/26(金) 13:35:08 ID:???
ココも面白い市場見つけたなぁ…。でも何で取引するんだろ?

183 :マロン名無しさん:2008/09/26(金) 21:05:53 ID:???
はははは・・・
このリップはその気になったらマッコイじぃさんすら呼び出しそうですね(滝汗)

184 :マロン名無しさん:2008/09/27(土) 11:48:58 ID:KPc70sFB
ココさんが弾売りにきてたのか。

185 :マロン名無しさん:2008/09/27(土) 13:19:03 ID:???
ココと聞くと亀を思い出してしまう
フルアヘッド!ココ好きなんだけどなぁ

186 :マロン名無しさん:2008/09/27(土) 17:45:31 ID:???
>>185
フルアヘッド!ココと聞くと自動的にヘッドロココを思い出してしまう俺は
間違いなくウエハースチョコ&カードダス世代


187 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/09/27(土) 22:52:54 ID:???
2330より17話目投下開始します。


188 :マロン名無しさん:2008/09/27(土) 23:11:36 ID:???
寝る前に支援

189 :虚無と狂信者:2008/09/27(土) 23:25:10 ID:???
アルビオン ウエストウッド村

マチルダはその村の様子に息を飲んだ。
その村を包むのは、真の無音。
そこに響いているはずの子ども達の、あの賑やかな声が聞こえ無い。
家の中に入る、争った形跡は無い。着替え、その他必要なものが消えうせている。
「どこかに逃げてくれたか………?」
あの仮面の男から渡された手紙に書かれた場所。この村の場所。
何をするかは言ってこなかったが、それだけで充分だった。
少し安堵した。で、あるなら自分がトリステイン魔法学院で秘書をしていることは知らせてある。
ならばトリステインで待てばいずれ来るだろう。
そう思って港に戻ろうとした時、その鼻孔をつく臭いに気づく。
急ぎ、風上に移動する彼女。そこで見た物。
なぎ倒された木々、吐瀉物、そして残された大量の血痕。
地面に伏すマチルダ。頬を伝うもの。
生きている筈だ、生きている筈だ、それでも。
彼女の心は不安で押し潰されそうだった。


190 :虚無と狂信者:2008/09/27(土) 23:27:28 ID:???
破壊された城壁、転がる死体の群れ。ニューカッスルの戦いの後、美しかった王都はその姿をとどめてはいなかった。
その王都の一室で、レコンキスタ首領、クロムウェルはある人物と会っていた。
元トリステイン魔法衛士隊グリフォン隊隊長ワルド子爵。
トリステインのメイジの中でも五指に入る戦闘能力を持つ風のスクウェアメイジ。
その彼が、目の前にいる男に膝ま付いている。
(勝てない………)
ワルドは自分がこの男に比肩しえないと気づいた。
それほどまでに余裕と、底知れなさを感じる立ち振る舞いだ。
(恐ろしい……)
一瞬でも早く退出したい。なにせ自分は任務を失敗したのだ。
しかし、彼は退くわけにはいかない。
「一つ……お聞かせ下さい………吸血鬼とは、どういうことですか?」
「ああ、黙っていたな」
あっけらかんとクロムウェルは答える。ワルドは心中で歯軋りする。
吸血鬼を手駒とする。その行為は構うまい。問題は別にある。
「吸血鬼をばら撒き、数多の人間を殺すことが始祖の意思だというのですか?」
「聖地の奪回には必要なことだ」
「罪の無い人間を殺すことがですか?」
「ただの平民だ。何、始祖も許して下さる。エルフどもから聖地を取り戻せるならな」
ワルドは眩暈を覚えた。聖地の奪回、確かにその行為は間違いなく正しいことだ。
そのための犠牲も覚悟している。しかし、それはあくまで常識の範囲のことだ。
化け物を作りだし、それをばら撒く。その犠牲は不必要であり、常識を越える。
ハルケギニアの人間が全滅しうるのだ。
ワルドは目の前の人物に心底戦慄した。尚も意見しようとした時、後から肩を叩かれる。
犬耳の少年が、何かを自分に握らせる。
それはナイフ。地下水と呼ばれるインテリジェンスナイフは、その体を乗っ取った。


191 :虚無と狂信者:2008/09/27(土) 23:30:52 ID:???
 一方、トリスタニアのとある酒場では一人の少年が倒れ伏していた。
「うう、理不尽だよう…」
ルイズとシエスタはサイトを痛めつけるだけ痛めつけてどこか行ってしまった。
「何であいつらあんなに怒るんだろ……」
ふとそこにアンデルセンがやって来る。
「あ、神父」
その顔が優しい顔だったので、嫌な予感がした才人は少し警戒する。
アンデルセンはそんなサイトの両肩に両手を乗せ、とくとくと話始めた。
「いいですか、サイト君。神は言われました。汝姦淫するなかれと」
「それは罪、それによってゾドムは…」
「ですが神はそれでもあなたを……」
「主イエスキリストはあなたを許す……」
「神に祈りを捧げ…」
「祈りとは戦い……」
神父が言葉を重ねるごとにサイトの目がだんだんトロンと酔ったようになっていく。
その様子を、組み技をしているセラスとされているベルナドットは唖然として見ていた。
「わかりましたか」
「はい、わかりました」
アンデルセンは少年の反応に満足そうに頷いた後去っていく。
「おい、サイト?」
「サイトくん……?」
「何でしょう? おふた方?」
二人の問に答えるサイトの目はキラキラと輝いている。しかし焦点は会ってない。
「おい、サイト。女は……」
「あはは。やだなあ隊長。ヤハウェの地上代行者たる僕がそんなことする訳ないじゃないですかぁ」
凄まじく元気に答え、悠然と歩いて行く彼を茫然と見送るセラス達。
「ああやって、13課ってのはできるのかね…」
「イ、イヤアァァァァ!!! ていうかどうするんですか! あの子まで神父みたくなったら」
学院の空気が偉いことになる。主にアーカードの回りで。どうしたものかと彼らは頭を捻った。


192 :マロン名無しさん:2008/09/27(土) 23:32:41 ID:???
支援

193 :マロン名無しさん:2008/09/27(土) 23:33:00 ID:???
ブラジルのホテルを思い出しながら支援!

194 :虚無と狂信者:2008/09/27(土) 23:33:30 ID:???
サイトはシルフィードに愚痴っていた。その瞳は何と言うか、ヤバい。
「全く。皆酷いよなぁ。俺はヤハウェの地上代行者なのにー」
風韻竜はそんな彼にかなり引いていた。追い詰められているのではなく、
ぶっ飛んでいるからだ。そこにベルナドットがやって来た。
「あ、隊長。お父チャンはお前の好きな金の玉を二つ持っちょる〜
(東京都足立区の方言でこんにちはの意味)」
「今から飲みに行くぞ!ついてこい!!」
「いや、でもー僕は神に仕える人斬り包丁ですからー」
「じゃあ、メシだ! メシだけでも来い!」
このままでは彼がぶっ飛び狂信者になってしまう。あの神父のストッパーがいなくなるのは
学院生活に重大な支障をきたすので必死である。ふとシルフィードが騒ぐ。
「それじゃあシルフィも連れてくのね! お兄様達だけズルイのね!」
「え? いいけどどうやって店に入るんだよ」
「シルフィは韻竜なのね。舐めて貰っちゃこまるのね! 我を包みこむ風よ……」
そしてシルフィードは呪文を唱える。すると、彼女の体が光に包まれた。
そして現れたのは、二十歳前後の女性。驚くべき変身能力だ。
「どう? 凄いでしょ? 精霊の力は凄いのね」
「ああ、スゴイな…」
彼らの注意はそこでは無く、ただ一点に注がれる。すなわち裸だということ。
サイトはコートの中をまざくりある物を取り出す。それは彼が以前着ていたパーカーだった。
コルベール先生に珍しい素材ということで渡したところ、錬金で直され戻って来たものだ。
ベルナドットはそのパーカーがコートの中から出てきたことにはあえて突っ込まなかった。
そして着せてみる。パーカーだけ。サイズはやや大きく。大事な部分は隠れた、が。
「ベルナドットさん…………。コレは」
「よくやったサイト。お前は世界の半数から勲章を授与されるべき大功をたてたのだ」
サイトは極めてあっさり自然に狂信者からただのエロガキに戻った。隊長はホッと胸を撫で下ろす。
けれど流石にこの格好で町に行くわけには絶対いかないので、ベルナドットはスカートを買って来た。
「何でミニスカートなんですか?」
「セラスには内緒だぜ」
二人はがっしりと握手した。その瞬間二人の世界の歯車はがっしりと噛み合ったのだ。


195 :マロン名無しさん:2008/09/27(土) 23:35:15 ID:???
偉大な二人に支援

196 :虚無と狂信者:2008/09/27(土) 23:37:48 ID:???
ベルナドットに連れられてやって来た酒場。サイトは解放感で一杯であった。
おいしい料理、旨い酒、そして、
「キワドイ服着たお姉さん」
「ヒャッホー!!!!」
である。そんなお姉さんがたがお酌してくれたり乾杯してくれたりするものだから、
若い少年のテンションは馬鹿上がりである。
「おらおら死に掛けたんだから飲んでもバチ当たんねえぞ!楽しめよ!」
「隊長!一生付いていきます!」
「きゅいー!男前なのね!」
シルフィードはちょっといないくらいの美人故に、男性客を魅了する。
サイトはハルケギニアでは珍しい容姿から人目を惹き、
ベルナドットは元からこういう場になれていたこと。
そしてなにより羽振りが良いからこのテーブルは異様な盛り上がりである。
青い竜は鬼神の如く肉料理を食い漁っている。既に皿で塔が出来ている。
ベルナドットは女の子を両手に侍らせひどく楽しそうだ。
サイトはその二人のあまりのハジケっぷりに若干引きながらも、楽しく料理を食べていた。
何か懐かしい気がする肉とジャガイモの煮付けをパクつきながらふと気づく。
「これ………肉じゃが………?」
「?この料理をご存じですか?」
「ああ、何か故郷の料理に似てるんだ………」
「そう言えばサイトさんって私のひいおじいちゃんの刀も知ってましたね………」
「うん?」
隣をまるで油を入れ忘れた扉のようなぎこちなさで見るサイト、
そこに立っていたのは町娘の服を着たシエスタだった。
先程の仕打ちを思い出し、身を屈める。シエスタはそんな彼を見て恥ずかしそうに俯いた。
「あ! すいませんさっきは! そ、そうですよね、付き合ってないですしサイトさんは………
男の子ですから………。それに健康なのはいいコトですし………。将来的にも……子どもは……」
「いや、そうじゃなくて………シエスタは何でここに?」
別の世界にトリップしていたシエスタはついうっかり、とでも言うように舌を出した。


197 :マロン名無しさん:2008/09/27(土) 23:40:48 ID:???
弾けているシエスタに支援

198 :虚無と狂信者:2008/09/27(土) 23:41:33 ID:???
「実はここ、私の従姉の働いている店で………この店の料理は私の故郷の味なんです」
サイトは思い出す、明らかに日本のものである刀と剣術を扱った目の前の少女の雄姿を。
「そういえば………シエスタのひいおじいちゃんって異世界から来たんだって?」
「ええ、東の方から………」
「そっか……じゃあシエスタの村へ行けば、帰れるかな……?」
サイトは遠くを見る、望郷の念が込められたその目をシエスタは潤んだ瞳で見た。
「サイトさん………帰っちゃうんですね」
「うん……いつまでかかるか解らないけど、いつかは………」
「………そうですか」
二人の間に気不味い空気が流れる、サイトはそれに気づき慌てて取り成す。
「まあ、でもとりあえず学院に帰って仕事しないとな、それにもうちょっと居たいし……。
すぐに帰郷できる訳じゃないんだろ?」
「え?ええまあ、纏まって休みがとれないと……夏休みまでは……」
「んじゃそれまでよろしく! ってことで乾杯な」
彼女は笑ってグラスを取る。慣れない手つきで酌をする彼らを見ながらベルナドットは笑う。
(休みくらい簡単にとれるだろ、やろうと思えば、ったく鈍いな………)
しかし、ぎこちなく彼の機嫌を取ろうとする少女を見ると、わざわざ言う気にはならなかった。

三十分後
「いいですか?サイトさん……。あなた女の子二人に怪我させて……。
両性動物のクソをかき集めた値打ちしかないんですよ?あなたになんか」
「はい、すいません。俺クソでしゅ、むしろ魚糞でしゅ……」
「馬鹿言ってんじゃ無いですよ!肥料になるんですよクソは!わかってるんですか?」
「じゃ、じゃあ鉄くずでしゅ、肥料にもなんないでしゅ」
「何言ってんですか?鉄は大事な資源ですよ!?メイジにかかれば使いようはあるんですよ?」
「あ、あう……。それじゃあ……」
このような問答が延々と続いている。どうやらこのメイドには酒乱の気があるようだ。
ついでにこの少年はへべれけに酔っているので正常な思考が出来ていない。
そんな珍風景を見ながらベルナドットはまたこの子らをつれてこようと思うのだった。
だって面白いし


199 :マロン名無しさん:2008/09/27(土) 23:43:25 ID:???
じじいのファックのように気合いを入れて支援

200 :虚無と狂信者:2008/09/27(土) 23:46:29 ID:???
任務から帰った翌日、一同はオールド・オスマンの部屋に呼び出された。オスマンの手には一枚の紙がある。
 トリステイン王家の紋章が書かれた指令書である。
「サイト君。そなたをルイズ・ヴァリエールの使い魔、アレクサンド・アンデルセンの助手とする。だそうじゃ」

正直最初は何を言っているのか分からなかった。自分はこの前まで厨房で世話になっていたのだから。
「不満かの?」
「いえ……。文句はありませんが……。何でまた急に?」
「さあ……。まあ、給料は増えるし、引き受けてくれんかの」
彼としても特に異存はない。元々彼を敬愛していたこともある。だが、何か引っかかるものを感じたのだ。

「あ、ああそう! い、いいんじゃないかしら!」
才人の思考は可愛らしい少女の声で寸断される。ルイズである。
「駄目ですよ!サイトさん!」
ルイズを押しのけて才人に言葉を掛けるのはシエスタだ。
「よ、要はミス・ヴァリエールの従僕ということでしょう?確かに給料はいいですけど仕事は大変ですよ?」
成程、アンデルセンはルイズの使い魔であるから、そういう仕事もあり得るだろう。
その後ルイズとシエスタは言い争いを始めたが、才人は構うこと無く再び思考の闇に自信を沈めた。


201 :マロン名無しさん:2008/09/27(土) 23:48:53 ID:???
支援

202 :虚無と狂信者:2008/09/27(土) 23:49:28 ID:???
助手。ということはアンデルセン神父の教会建造をサポートしろということか。
  これは小さいながらも吸血鬼をレコンキスタが運用していることを考えれば中々重要な仕事だろう。
  それを彼とある程度気心が知れた関係とはいえただの平民、それも出仕不明の俺に任せるか?
  いや、待てよ。確かブリミル教の本山であるロマリアは大きな力を持っているんだろ?
  だったら俺はただの平民な訳だからもしロマリアとやらに捕まったとしよう。
  けれどトリステインとしては言い逃れは効く訳か……。

「仕事は大変だけど! 給料は高いんだからいいじゃない!」
「サイトさんはもとの世界に戻るんだから給料なんて気にしません」
 このような会話を聞きつけ、サイトの思考が他にも移る。
(そうか……。元の世界に帰ることを考えたら、厨房の手伝いよりも勝手が効くか?)
 厨房の仕事は年中ほぼ無休と言っていい。けれど従僕というならそんなに仕事は無いのでは?
 それはサイトの頭の中の話であって、実際はむしろ従僕の方が責任を伴うため一般的には忙しいのだが。


200の最後の行の「自信」は「自身」ですね。すいません




203 :虚無と狂信者:2008/09/27(土) 23:52:13 ID:???
「そ、それに給料が高ければあの馬鹿でかい竜にいい食事を与えられるんじゃないの!?」
 ルイズのその言葉が不味かった。ガシャンという音とともに眼前の窓ガラスが突き破られた。
「きゅい! きゅい!」
 才人は頭を抱え、窓を突き破った食いしん坊の竜に近寄る。
「シルフィ? お前が窓を突き破っちゃったから俺はその弁償のためにお金を払ってお前にお肉買う
お金が無くなっちゃうんだよ? あと、もしお前がやったことで学院追い出されたらマルトーさん
からのごはんも無くなっちゃうんだよ? そこんところ分かるかな?」
 シルフィードは才人の妙な迫力により怯んだ。
そしてこんなことをしでかして学院長の申し出を断れるはずもなかった。


オスマンは学院長室にて、水キセルを吹かしながら考えていた。
彼は才人を気の毒に思った。ワルドを倒したことは、王宮にも、彼らの敵対者にも、彼の存在を知らしめた。
この通達の意味も分かっていた。
使い魔とはいえただの平民に助手、といっても限りなく召使に近い人間を与えること。
明らかに不自然である。
また、彼の給付も学院からでなく王政府から直接出されるようになった。
すなわち、平賀才人の身柄は限りなく政府に近いものになったということである。
いや、おそらくは政府内の誰かが彼を確保しようとしたのだろう。
もしこのまま学院内の手伝いのままでいさせたなら、他国に引き抜かれる可能性もあった。
しかし、この措置により、彼の接触には制限がつくようになった。
要はヘッドハンティングに限り無く近い。

オスマンの机には、学生は持ち出し不可の書物が平積みで置いてある。
しかし、異世界に関する事柄は見つからない。溜息が洩れる。
「恨まんでくれよ、サイトくん」
彼を助けることはできない。戦いの最中に行く、年端の無い少年を止める術を持ってなどいないのだ。
彼が望んでいくなら尚のことだ。


204 :マロン名無しさん:2008/09/27(土) 23:55:48 ID:???
そう言えば狂信者のサイトの年齢って幾つ支援

205 :虚無と狂信者:2008/09/27(土) 23:56:26 ID:???
「これで良かったのですか? 枢機卿」
王女の一室にて、アンリエッタと、幼い姫に代わり、実質国の実権を持っているマザリーニ枢機卿。
彼は、その瞳の色を何ら変えずに頷いた。
「ルイズ・ヴァリエールの仲間は多ければ多い程よろしい」
「彼は平民ですよ?」
「ワルド子爵を撃退できる平民です」
アンリエッタの密命は、もはや彼女ただ一人の秘事ではすまなくなった。
魔法衛士隊の隊長が裏切ったのだから当然である。彼に知られぬ筈もない。
そして何よりレコンキスタが吸血鬼を運用していることを枢機卿に相談せぬ訳にもいかない。
また、彼女自身も、彼を国に仕える人間としては信頼していた。
ただ、彼の中では自分の優先度が国全体より低いというだけだ。
無論わだかまりはあるが、一時の私情を国事より優先させるほど出来ていない人間ではない。
「よろしいですか。姫。味方は一人でも多い方が良い。そしてヴァリエール殿はあなたの味方です」
アンリエッタは頷く。おそらく唯一と言っても良いだろう。
「そして、それならば彼らもまた、味方でありましょう。そして、そこにある不純物は取り除きなさい」
もし、彼がこのまま学院に所属していたなら、彼の行動はオスマン老によってある程度制限される。
よって、この制限を取っ払っただけのことだ。
これ以降ルイズに密事を依頼する場合、彼は容易に追従してくれるだろう。
それは理解できるものの、アンリエッタは何故か薄暗いものを感じていた。


206 :マロン名無しさん:2008/09/27(土) 23:58:52 ID:???
薄暗いものを感じ取れるだけ、まだまともなのか、この姫様は。

207 :虚無と狂信者:2008/09/28(日) 00:00:20 ID:???
マザリーニの中では、才人に対する評価はかなり高い。はっきり言ってワルドの強さはトリステイン全体
の中でもかなりの部類に入る。それを打ち破った男を手放すなど、マザリーニから言わせれば、ありえない。
まして、彼の耳には当然各地で暗躍する吸血鬼の存在も耳に入っている。彼らは一見無計画に人を殺して
いるだけだったが、彼らを計画的に運用している存在が明らかになったのだ。
そしてその集団。レコンキスタがアルビオン政府を打ち倒し、ここトリステインに攻め入ろうとしている。
その時、アンデルセンや才人の存在は欠かせぬ力となる。
アンデルセンの場合は公爵子女の使い魔ということもあり、そう気軽に運用できる者ではない。
しかし、サイトは身分としてはただの平民である。彼ならば、自分の計画に最適な人物であろう。
条件次第ではあるが、取り込めるやも知れない


 アンデルセンの力、あるいは吸血鬼達の力は凄まじい。
 しかし、彼らは自分達で制御できる存在ではない。
 それならば力は劣っても確実に制御できることの方が重要だ。
 マザリーニの手には一つの草案があった。

 『対吸血鬼戦専用部隊 王立特務機関第十三課』

>>204
一応原作と同じ17ですが確かに幼く描写しすぎたかな?







208 :虚無と狂信者:2008/09/28(日) 00:02:47 ID:???
「俺はいいですけど……。神父はいいんですか?」
「何が?」
「いや、足手纏いとか。邪魔とか……」
気まずそうに才人は訊ねる。アンデルセンはごそごそとあるものを取り出した。
それは、生物工学の粋をこらした再生能力が入った箱。ヴァチカンから失われた技術。
その力を持つのはアンデルセンと才人のみとなった人類が生み出した技術である。
「これをヴァチカンに還したい」
もとより一度滅んだ身である彼には元の世界に戻ることに興味は無い。
むしろ一度死んでなお生き返るというのは彼から言わせてみれば神への冒涜であり、吸血鬼と同じである。
だが、この箱の中に入っている技術は元よりヴァチカンのもの。
であれば、これを元に戻すのが神から与えられた使命であろう。
才人は口元を緩めて答える。
「わかりました。俺が元の世界に帰る方法を探しますよ。それでは、一応マルトーさんに挨拶してきます」
「ええ、私も彼女に一応断っておかねばなりませんので」
そう言って二人はそれぞれ別れた。


209 :マロン名無しさん:2008/09/28(日) 00:03:13 ID:???
17だとゼロ魔の世界だと一人前の男なのでは…
狂信者は今まで年齢が明記されていないので13-15ぐらいに下げてしまったら
どうですか支援

210 :虚無と狂信者:2008/09/28(日) 00:05:02 ID:???
学院長室にはルイズ達に続いて、ミスロングビルが入室してきた。
「おお、ひさしぶりじゃ。休暇はどうじゃった?」
「ええ、まあ。」
「さて、さっそくお願いしたいことがあるんじゃがのう。」
そう言って、書類を出す。
「何でもこの前、軍艦がアルビオンとの定期船と事故を起こしてのう。
そこに乗っていた子ども達が、トリステイン魔法学院にいるマチルダという女性に厄介に
なる予定だったと言っておる。しかし、そんな女性、うちで勤務しておらんでのう。」
その言葉にロングビルの顔が輝いた。

「そ、その方は私の友達ですわ!色々と事情のある方で………。とにかくその子達は私が………。」
「む?そうか………。まあわしはかまわんし、余計な詮索もせんが。」
「で、では用意致しますわ」
「うむ、まあよいようにしなさい、フーケどの。」
駆け足で退出しようとしたロングビルの動きがピタリと止まる。オスマンは楽しそうに笑う。
「ま、改心しようとする人間をどうこうしようとはおもわんわい……。
あとは破壊の杖を返してくれればな。
それに。」
ゴホンと咳ばらいしてつづける。
「その、髪もボサボサ、服は後ろ前、靴は左右逆、おまけに下着もはかんようになるまで、
その子達を心配していた女性を捕まえるのは忍びないでのう」
「え!あ!」
マチルダは顔を真赤にして杖を振る。

「オールド・オスマンが落ちて来たぞ!!」
「でもなんか幸せそうだわ!」

211 :マロン名無しさん:2008/09/28(日) 00:06:34 ID:???
爺萌え支援

212 :虚無と狂信者:2008/09/28(日) 00:10:07 ID:???
自分に対し様々な思惑が絡んでいるとは露ほども知らない才人は、余りに急すぎる展開に上の空になりつつも、やるべきことをする。
まずはマルトーに挨拶、急過ぎる辞職に戸惑ったようだったが、神父の助手ということで割りと歓迎していた。
「頑張れよ!腹が減ったらいつでも来い!」
背中を叩かれ噎せ返る。けれど気の良い言葉に元気づけられた。
「サイトさん。辞めちゃうんですか?」
シエスタが潤んだ瞳で聞いてくるので彼はどうしようもなく焦る。
「あ、いや別に学院にいることには変わらないし、神父の助手ってだけだから!」
「……また遊びに来てくれますか?」
「う、うん」
そこで納得したのか、明るい顔になるシエスタを見て、才人はホッと胸を撫で下ろした。
「また困ったことがあったら手伝うから、いつでも頼りにしてください」
「おうよ。またいつでも来い。『我らが銃剣』」
「ちょっと待って下さい!何すかそれ!?」
「ん?そりゃあお前、何か知らんが重大な任務を任され、おまけに風竜を操るなんて凄いじゃねえか!俺達の誇りだ!」
「いや、それなら神父の方が」
「神父様は『我らが神父』だ」
「ってそのまんまやないかーい」

冷静になって考えれば、厨房勤めから神父の手伝いに代わるだけなのでさして変わらない。
神父と共に吸血鬼を狩ったり教えを乞いたりする分にはむしろ都合がいいくらいである。
ふと、ワルドとの戦いを思い出す。おそらく近いうちに彼は才人の前に現れる。
次は本気で殺し合うだろう。
「まだ足りない。まだ」
ワルドを打ち倒すには何かが足りない。教えてくれるだろうか。
人狼。最後の大隊。レコンキスタ。そして吸血鬼。
ふと、才人は頭を傾げた。
「俺、何でこんなに吸血鬼が嫌いなんだ?」
確かに殺されかけたが、それだけで自分の人生全て掛けるほどの憎しみがあるのは何故なのか。
なぜ自分はあのアンデルセン神父にこうも執着するのか。

213 :虚無と狂信者:2008/09/28(日) 00:14:08 ID:???
よくわからない感覚を覚え、困惑する。考えてみれば不自然ではないか。
ただの高校生である自分がこうも無茶な戦いをするなどということは。

「前世に何かあったのかもな」
カトリックとしてはどうかと思う発言をしながら、才人はルイズの部屋までやって来た。
ふと耳を澄ませば、何やら言い争いの音が聞こえる。といってもルイズが一方的に捲くし立てているだけの
ようだが。才人としても彼らの仲が悪いのは非常に頂けない。意を決し中に入る。
「WAWAWA〜〜」
「おお、サイト。ちょうど良かった」
アンデルセンが才人の肩を掴むと、信じられない力で彼を持ちあげ、自分と主人の間に立たせた。
「後はよろしく」
抜けた声を出す彼を置いて、アンデルセンは凄まじい速さで廊下を駆けて行く。
「待ちなさい! アンデルセン!」
ルイズは廊下を走る彼に向けて杖を振り上げる。才人は慌てて彼女の杖を取り上げた。
「何すんのよ! 逃げちゃうじゃない!」
「いや! お前何する気だよ! いいからおちつけって!」
「うるさいうるさいうるさいうるさーーい!!」
才人から杖を引ったくり、そのまま少年にレビテーションを掛ける。

ドカン!!

爆風をバックステップで避けた辺りこの娘も成長しているようである。

>>209流石にそれは……。次回から気を付けるということで。ご指摘ありがとうございました。

214 :虚無と狂信者:2008/09/28(日) 00:16:51 ID:???
「成程、神父が教会を作るために出かける。けどそれは使い魔として失格だから止めたと」
煤だらけになった才人は恨めしげに彼女を見る。
「あのな。使い魔とは言え神父は人間だぞ?それなのにそういつまでも束縛したり、
あまつさえ爆破したりするなよ!人間扱いしないんじゃ神父だっていつまでもお前を守りはしないぞ!」
才人の説教にルイズはそっぽを向き、頬を膨らませる。普段の彼なら顔がニヤけんばかり
の愛らしさだが、いかんせん先程爆破されたばかりなので顔に張り付くは怒りの形相だ。
(落ち着け、才人。こいつはいくら可愛くても、人がどっかいっちゃうと教室を半壊させる爆破を
人間相手(まあ神父だが)に平然とぶっぱなす女だ。これはハルヒやナギのようなツンデレではない!ヤンデレだ!山岸由香子だ!)
「とにかく反省しろよ?!」
ルイズはしばらく憮然としていたが、ふと気になって声を掛ける。
「あんた何でここにいるの?」



シカト?
いや、もっと他に御免とか! わかったとか!


才人は前途多難すぎて泣けてきた。

結局、元の世界に帰る方法を探すどころではない程忙しい日々が始まることになる。

215 :マロン名無しさん:2008/09/28(日) 00:20:44 ID:???
最終支援

216 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/09/28(日) 00:20:52 ID:???
以上で投下終了です。支援、まとめありがとうございました。
長文エラーで無駄にレス数増やしたり、行間空けすぎたりしてごめんなさい。

原作読んだことない、+前スレ見てない人の為ということで一応。
再生能力をヴァチカンが作った云々という所は捏造です。
あんな強力なものを神父以外(おそらく)持ってないのは誰かに奪われたのではないか?
ということです。原作でも再生能力に関する描写が無いので。
才人をリジェネーターにしたいからそういう形に作りました。

それから本当はモット伯の話を挟んでダルフ戦に直行する気だったんですけど、
これだとあまりにもタバキュル主従が空気なので彼らの話を追加します。
長々とすいません。それでは改めましてありがとうございました。


217 :マロン名無しさん:2008/09/28(日) 00:28:47 ID:???
乙、
シエスタを手篭めにしようとすればモット伯オワル
狂信者のシエスタだと戦って自由を勝ち取りそうだし、
並のメイジなら返り討ちに出来るだけの強さもある。

それとロリ年増の吸血鬼エルザはサイトと愉快な仲間達に入らないのですか?

218 :マロン名無しさん:2008/09/28(日) 00:55:17 ID:???
明後日最終回(予定)か・・・

219 :マロン名無しさん:2008/09/28(日) 03:03:35 ID:???
予定は未定であって決定では(ry

220 :マロン名無しさん:2008/09/28(日) 06:34:06 ID:???
虚無と狂信者の人の作品はたまに落書き絵モードのヒラコー的で好きだワー。
乙彼ッス。

221 :マロン名無しさん:2008/09/28(日) 19:19:53 ID:???
虚無と狂信者の方、乙です!

うーん、サイトがアンデルセンの助手となると原作同様ルイズのせいで悲惨な目に合う展開しか思い浮かばないな…
サイト自身ルイズにあまり好い印象&ルーンの洗脳効果がないから、まだましな方か…な?

サイトはルイズ組よりタバサ組にいた方が幸せなんじゃないだろうか?
ベルナドットと仲良いし、タバサからも好意(?)向けられてるし居心地よさげだと思うんですけどね〜




222 :マロン名無しさん:2008/09/28(日) 20:36:47 ID:???
大長編のジャイアン並に人間が出来ている二次創作のキュルケの場合は…
アーカードがいるから完全にアウト。
思考が一般人に近いセラスと一般人なベルナドット、比較的良識派のタバサと組むと
確かにサイトにとっては一番居心地が良いかも知れない。吸血鬼化を視野に入れているタバサの苦悩は確実に深まる。
サイトとの触合いで苦悩し悶えるタバサはちょっと見てみたいかも。

223 :マロン名無しさん:2008/09/28(日) 21:49:39 ID:???
>大長編のジャイアン並に人間が出来ている
喜んでいいのか微妙な例えだよなw

224 :マロン名無しさん:2008/09/29(月) 07:49:55 ID:???
狂信者のタバサはルイズよりもサイトに近い場所にいるな
イーヴァルディに重ねてるのも原作よりも早いし、デレるのもそろそろか?
一方でルイズがサイトからヤンデレ扱いされてるのには笑ったw
まぁ、原作でもルーンの洗脳がなけりゃ同じふうに考えてたろうな

>221・222
サイトにタバサ、セラスにベルナドット+きゅいきゅい
考えてみるとアンデルセンやアーカードみたいな爆発的な強さのメンバーこそいないものの、かなり強力なPTだよね


225 :マロン名無しさん:2008/09/29(月) 14:49:54 ID:???
しかもセラスとルナ先生が居るので、下手な攻撃をしてしまうとアーカードやアンデルセンクラスの化け物が生まれると

226 :マロン名無しさん:2008/09/29(月) 20:01:17 ID:???
いよいよ明日か

227 :マロン名無しさん:2008/09/29(月) 22:00:33 ID:???
>>225
ルナ先生ときくと、EROい個人授業をしてくれるかてきょを連想するのは俺だけか?

228 :マロン名無しさん:2008/09/30(火) 00:04:00 ID:???
狂信者でサイトと組んだのがキュルケだったら
サイト=アーカードを御しているキュルケを尊敬、キュルケを姉御と呼ぶ
キュルケ=私は弟分が欲しかったのじゃないわよッッッ
アーカード=はやく立派な強敵(おとこ)になれと、サイトを連れ吸血鬼退治をする

229 :マロン名無しさん:2008/09/30(火) 00:49:35 ID:???
ペイリン副大統領候補で勃ちました

230 :マロン名無しさん:2008/09/30(火) 02:43:42 ID:???
>>227
それはひょっとしてギャグで言ってるのか(AA略
……そっから来てる呼び名だと思ったけど、違うの?

231 :マロン名無しさん:2008/09/30(火) 17:45:13 ID:???
>>227
そのネタは年齢がばれる。

232 :マロン名無しさん:2008/10/01(水) 00:08:12 ID:???
お帰り伯爵。




ババァインテグラ綺麗だな。
誰か召喚してくれんかな?
ペンウッド孫でも可。

233 :マロン名無しさん:2008/10/01(水) 00:12:04 ID:???
虚数化したモノが意思を持って命削るとかもやもやしすぎる
あーもうシュレものでも書くか

234 :マロン名無しさん:2008/10/01(水) 00:39:10 ID:???
婦警は鎖骨も実にエロいぜ!

235 :マロン名無しさん:2008/10/01(水) 08:33:16 ID:???
最終回だというのに作者コメントが実にヒラコーでワロタw
そして次回作……だと……
外伝はどうしたあああ

236 :マロン名無しさん:2008/10/01(水) 11:35:09 ID:???
>>235
外伝やOVAもあるのでって書いてあったじゃん
本編もよかったけど六道神士の読み切りが面白かった

237 :マロン名無しさん:2008/10/02(木) 07:46:31 ID:???
次回作とか外伝もいいけど本格的な13課の話での連載も見てみたいな

238 :マロン名無しさん:2008/10/02(木) 14:15:09 ID:???
>>
一種のパラレルワールド的なものではあるけれど、単行本1〜3巻に収録されてる「CROSS†FIRE」は?
連載というには短すぎるけど

239 :マロン名無しさん:2008/10/02(木) 14:16:03 ID:???

レス番抜けてたorz >>238へのレスな

240 :マロン名無しさん:2008/10/02(木) 18:04:59 ID:???
そうかそうか

241 :ゼロリカ ◆DNrogED.cM :2008/10/03(金) 00:50:54 ID:???
ひっそりと投下します。

242 :ゼロのロリカード:2008/10/03(金) 00:53:02 ID:???
 アーカードが例によって、銀縁メガネで棺桶に腰掛けて足を組みつつ本を読んでいる。
『イーヴァルディの勇者』。学術書などではなく、たまたま目にとまっただけの本。
特筆すべき点はない、よくある物語だがそれも暇潰しであった。

 ノックなしに扉が開く、入ってきたのは部屋の主であるルイズである。
しかしルイズはその場から動かなかった、何かにとり憑かれたように虚ろな瞳でアーカードを見つめていた。
「どうした?ルイズ、ボーッと突っ立って・・・」
「ん・・・・・・うん・・・なんかアーカードを見たら、よく・・わかんないけど・・・・・・」
そう言ってルイズは立ったまま俯く。

 アーカードは疑問符を浮かべた、ルイズが何を言ってるのか意味がわからない。
「んんっ・・・」
ルイズが艶っぽい声をあげ、体を震えさせた。下に向けていた顔をゆっくりとあげる。
「・・・・・・?」
「ふふっ」
いきなりルイズが笑った。目をトロンとさせて、ゆったりと歩を進め距離を詰めてくる。


 アーカードの中で何かピンとくるものがあった。そう、前にもこのような有様を見せた事があった。
「ねぇ、アーカード。あなたはわたしの従僕よね?」
「・・・・・・んむ」
ルイズがアーカードの肩にしだれかかってくる。アーカードの手を取り本を閉じさせ、ぎゅっと握り締める。
「なら他の子と仲良くするのはもうやめて?ご主人さまだけを見てくれないとイヤ・・・」

 アーカードは確信する、惚れ薬だ。何故かまたどこかでルイズは惚れ薬を飲んできたのだ。
どうしたもんかと、黙っているアーカードの目をルイズは艶やかな瞳で見つめる。
「また前みたく、愛してほしいの・・・・・・」
「ん〜む」
「もしかして・・・女の子同士はイヤになったの?でも女の喜びを教えてくれたのはアーカードじゃない」

 

243 :ゼロのロリカード:2008/10/03(金) 00:56:21 ID:???
 アーカードは一度だけ嘆息をつく、そして少し大きめの声で言った。
「そうだな・・・とりあえず、外にいる二人さっさと入って来い」

 暫しの間の後、扉が開く。
「い・・・いやぁ・・・・・・邪魔しちゃ悪いかと思って。別に後学の為に覗こうとか、そんなことは思ってないよ。ハハ・・ハハッハ」
「私は別に・・その・・・」
乾いた笑いをしながら頭を掻きつつ入ってきたのはギーシュ、そして顔を赤くしているモンモランシーであった。

「なんでルイズに飲ませた?」
アーカードは単刀直入にモンモランシーに聞いた。惚れ薬なんて作るのは、目の前のモンモランシーくらいなものだ。
「べっ、別に私が飲ませたわけじゃないのよ!ルイズがいきなり現れたと思ったら、突然飲んじゃうんだものワイン」
アーカードはモンモランシーを疑わしげに半眼で見つめ、いまいち事情の飲み込めないギーシュは首を傾げていた。

「いきなりルイズが僕の持ってきたワインを飲んだのは間違いないよ、それで・・・何が起こってるんだい?」
「さっ、説明せい」
アーカードの妙な迫力にモンモランシーは素直に話し始める。

 要約するとこうだ。ギーシュの浮気癖にモンモランシーは辟易し、堪忍袋の緒を緩めていた。
結果、惚れ薬を作る目処が立ったのでつい使ってしまいたくなった。ワインに入れて飲まそうとするも、突然現れたルイズがそれを飲んでしまった。
万年発情期のギーシュが惚れ薬を飲んでも誰も違和感は抱かないだろうが、堅物であるルイズがいきなり変貌したら誰もが訝しむ。
少し悩んだあと、さすがにやばいと思ったモンモランシーはルイズの後を追った。ギーシュもわけがわからないまま、とりあえずそれについていった。
夜だったとはいえ広場からルイズの部屋まで、他の誰とも会わなかったのは奇跡としか言いようがない。結局、部屋にいたアーカードを見て発動してしまった。
そして部屋からいかがわしい会話が聞こえてきたので、とりあえず邪魔するのもアレだったし、二人ともそういうお年頃だった所為か、盗み聞きをしようとしていた次第である。

 

244 :マロン名無しさん:2008/10/03(金) 00:57:08 ID:???
し・・・支援

245 :ゼロのロリカード:2008/10/03(金) 00:59:23 ID:???
「なぁルイズ、ちょっと答えて欲しいんだが・・・」
「愛しのルイズって呼んでくれなきゃヤダ」
ギーシュとモンモランシーは唖然と見つめている、あのルイズがここまで変わるのかと。
「モ・・・モンモランシー、君はあのルイズがここまで変わってしまうシロモノを僕に飲ませようと・・・・・・」
ギーシュはゾッとした、これほどの効果なのだから禁制品になるのも頷ける。アーカードは特に気にせず続けた。
 
「なぁ愛しのルイズ、どうしてワインを飲んだのか教えてくれないか?」
ルイズはフフッと無垢な笑顔を向けたあと、次にムスッと何かが気に入らないような顔になる。
「もうすぐ夏休みでしょ?それで実は姫さまから夏期休暇中にお仕事頼まれたの。でも実家に帰ってくるようにも言われてたの。
 それで私が事情があるから帰れません、って言ったの。そしたら理由を聞かれて・・・・・・。
 でもそれはゼロ機関としてのお手伝いだから、もちろん家族にだって言えないでしょ?」

「ゼロ機関?」
ギーシュがルイズの言葉に疑問を返すと、アーカードが人差し指を唇に当てて「しっ」と、話の腰を折るなと注意する。
ギーシュとモンモランシーはよくわからないまま、ルイズの話は続けられる。
「そしたら、そしたらね?わたしに男ができたんじゃないかって言うの。それを隠しているんじゃないのかって。
 わたしにはアーカードしかいないのにひどいよね?それでムカムカしてたの、それでたまたま目の前にあったワインを飲んだの」


「そうか、ありがとうルイズ」
「撫でて」
「ん?」
「いい子いい子して」

 アーカードは何も言わず、膝枕してルイズを頭を撫でてあげる。
「どれくらいで効果は切れる?また一日か?」
「それが・・・その・・」
モンモランシーは言い淀む。
 

246 :マロン名無しさん:2008/10/03(金) 01:03:24 ID:???
支援

247 :ゼロのロリカード:2008/10/03(金) 01:03:53 ID:???
「前にあなたに渡した試作品と違ってこれは完成品で・・・効果は個人差があって・・・・・・その・・・」
「歯切れが悪いな」
「・・・・・・早ければ1ヶ月くらいで、遅ければ・・・1年くらい・・」
アーカードは溜息をつく。そんな悠長に待っていられるわけがない。

「いくらなんでもそれは長すぎる、解除薬は作れないのか?」
詳細はわからないが、アンリエッタ女王からの密命をルイズは受けているのだ。
内容次第でもあるが、夏期休暇までに治らないと十中八九任務どころの話ではないだろう。


「それが・・・秘薬はもう売り切れてて、しかも次回入荷も絶望的らしくて。ラグドリアン湖に住む水の精霊の涙だけど、連絡が取れなくなったらしいの」
ラグドリアン湖、ウェールズの記憶にある。ガリアとの国境付近に存在する広大な湖。誓約の水精霊、その涙。

「モンモランシー、君は解除薬が作れないものを僕に飲まそうと・・・・・・!?」
「だってあなたが浮気するからじゃない!」
「僕は永久の奉仕者だ!浮気なんてするわけないじゃないか!」
「してたじゃない!ケティって子と!」
「だからあれは――――」
「ストップ」

 モンモランシーとギーシュの言い争いを、アーカードは制す。
「水の精霊と連絡を取るにはどうすればいい?」
「え?普通の人には無理よ。代々交渉役がいて、昔は私の家系もそうだったんだけど今は・・・・・・」

 そこまで言って、モンモランシーはハッとした顔になる。頭に血が上っていて余計なことまで口走ってしまった。
時既に遅し、アーカードは自分を見てニヤ〜ッと笑っていた。
「なるほど、昔は交渉役だったわけか」
「い・・・今は無理よ!それに私は昔に一度会ったくらいで――――」
「明日出発する、諸々準備しておけ」
 

248 :ゼロのロリカード:2008/10/03(金) 01:06:42 ID:???
 モンモランシーはガックリと肩を落とし観念する。
「なぁに、僕もついていくから大丈夫さモンモランシー」
「あなたじゃ頼りにならないわよ、よわっちいし」


「モンモランシーとばっかりイチャイチャして・・・・・・わたしのことなんてどうでもいいんだわ」
頭を撫でられたまま、ルイズが突然口を開く。
「イチャイチャしてるわけじゃない」
「じゃぁなんで、わたしを放っておくの?」
「それはな、放置プレイだからだ」
アーカードは少し考えてからそう答えた。

「ほうちぷれい?」
「そうだ、精神的距離を置くことで、相手をより愛おしく感じることが出来るようになる」
「でもさびしいよ・・・・・・アーカード」
「私もつらい、だが二人の為なんだ」
アーカードは巧みにルイズを説き伏せる。

「うん、わかった。二人のためなら、さびしいけど我慢する」
「よしよし、明日は早いから寝るといい」
そう言うとルイズはすごすごと、ベッドへと潜り込む。アーカードはモンモランシー達へと目をやった。

「それじゃ、また明日」
大きな溜息を吐いてモンモランシーは部屋から出て行き、ギーシュもそれに続いた。


「一緒に寝てくれないの?」
ルイズが布団から顔半分だして、せつなげに言った。放置プレイに早くも耐えられなくなったようであった。
「本を読んでいた途中だからな、一区切りつくまでは寝ない」
「わたしにも読んで、じゃないと寝ないもん」
「しょうがないな」
 

249 :マロン名無しさん:2008/10/03(金) 01:07:23 ID:???
支援ですわ支援ですわ

250 :ゼロのロリカード:2008/10/03(金) 01:09:11 ID:???
 アーカードは穏やかに笑って、ベッドへと一緒に入ってやる。
読んでいるとすぐルイズは寝入ってしまいそうになるが、それでも健気に睡魔と闘って耐えようとしていた。
そんな主の可愛い様子に、たまにはこういうのも悪くないなと思いつつ、夜は更けていった。





「襲撃者ってのはいつくるんだろうねえ・・・」
ギーシュがぼやく。ラグドリアン湖で無事水の精霊と連絡を取ることができた。
しかし水の精霊の涙を提供してもらうかわりに、襲撃者の撃退を条件として出されたのである。
ルイズは先ほどまで喚いていたのだが、既に陽も落ちていて辺りは暗い。今は疲れも相まってか、木にもたれかかってスヤスヤと寝息を立てている。

 ギーシュは楽観視していた。アーカードの強さは身をもって知っている。
オーク鬼を殲滅した時の破格の強さも目にしている、タルブの決戦で大活躍した話も知っている。
よっぽどの相手ではない限り、アーカードが負けることはない。だからこそ自分達は安全だと、半ば確信していた。

 一方モンモランシーは気が気ではなかった。自分が前に出るわけではない、アーカードが襲撃者と戦う手筈である。
だがもしもアーカードが負けてしまったら、役立たずのギーシュなんかすぐにやられて、自分にも火の粉が降りかかる。
下手したら命のやり取りになりかねない。極々一般的な学院生活を送っていたモンモランシーにとって、今の事態は異常としか言えなかった。


(むっ・・・・・・)
アーカードのセンサーが反応する、吸血鬼の鋭敏な感覚による索敵範囲に何者かが引っ掛かった。
「来た」
アーカードはスッと立ち上がる、デルフリンガーを背負って周囲を窺った。
モンモランシーはいよいよもって覚悟を決めようとするも、現実感のない不思議な心境でいた。
ギーシュも敵の出現に、多少なりと緊張しているようだった。
 

251 :ゼロのロリカード:2008/10/03(金) 01:11:28 ID:???
「ルイズを頼んだぞ」
「・・ぁ・・・あぁ、任せたまえ」
アーカードは一気に飛び上がり、周囲の森の中で特に高い木のてっぺんに立った。
吸血鬼の目は夜でも関係ない。むしろ夜の方が良く見えるくらいである。
「ん〜・・・?」

 アーカードは唸る、目を細めてさらに凝視する。
(あれは・・ふむぅ・・・・・・はてさて、どうするか)
アーカードは考える、襲撃者の姿を捉えて。暫く考えた後、アーカードは頭の帽子を取った。
コートと上着を脱いでネクタイをはずし、その上からシュヴァリエのマントを羽織る。
髪を後ろでアップにまとめてポニーテールにした後、最後にマフラーをくるくると巻いて口元を隠した。

 普段のアーカードの面影は薄れ、一見しては誰なのかわからない。
デルフリンガーを右手に持って肩に担いだアーカードはマフラーの下で静かに笑い、闇夜の空へと躍り出た。

252 :マロン名無しさん:2008/10/03(金) 01:14:07 ID:???
ちょw
わかっててあえてやるかwww

253 :ゼロリカ ◆DNrogED.cM :2008/10/03(金) 01:16:44 ID:???
以上で終了です、支援ありがとうございました。


HELLSING本編、良い最終回だった!!
クロスSS的にもとてもいい感じにまとめられそうで、インテグラと旦那の最後のやり取りも最高でした。

ではまた。

254 :マロン名無しさん:2008/10/03(金) 01:24:45 ID:???
乙です!タバキュルの運命や如何に?

255 :マロン名無しさん:2008/10/03(金) 09:06:13 ID:???
放置プレイワロタw

256 :マロン名無しさん:2008/10/03(金) 11:37:43 ID:???
次はロリカードが惚れ薬を飲めば良いのに

257 :マロン名無しさん:2008/10/03(金) 11:44:35 ID:???
効く・・・のか?

258 :マロン名無しさん:2008/10/03(金) 12:40:45 ID:???
ポニーテールのロリ旦那だと……!

259 :マロン名無しさん:2008/10/03(金) 13:01:37 ID:???
いいなあポニーテールのロリ旦那

260 :マロン名無しさん:2008/10/03(金) 15:47:05 ID:???
そもそも旦那泳げるのか?

261 :マロン名無しさん:2008/10/03(金) 21:02:04 ID:???
>>260
カナヅチで浮き輪装備じゃないと駄目とかそーゆー

262 :マロン名無しさん:2008/10/03(金) 23:15:33 ID:???
>>261
ヒント:旦那は一応吸血鬼なので水ry

263 :マロン名無しさん:2008/10/03(金) 23:21:14 ID:???
アーカードが水辺に居るなら。
伯爵なら帆船、ヘルシング所属なら空母、ロリなら足漕ぎアヒルボート(セラス動力)。

264 :マロン名無しさん:2008/10/03(金) 23:25:21 ID:???
流水は浮き輪でもアウト
湖沼なら浮き輪でおk
シャワーや風呂はイヤイヤ

265 :マロン名無しさん:2008/10/03(金) 23:49:27 ID:???
>>264
まぁ、厳密に考えればそうなんだろうが、旦那ならつかることぐらいはできてもいいと思うんだ。

泳げないのは間違いないが。

266 :マロン名無しさん:2008/10/04(土) 00:13:45 ID:???
泳ぐのは無理でも、海底を歩くとかはできそうだ

267 :マロン名無しさん:2008/10/04(土) 00:54:16 ID:???
地獄の釜(海)で揉まれ砂浜に打ち上げられたぐったりしているスク水旦那(ヒゲ)ですね。

268 :マロン名無しさん:2008/10/04(土) 09:12:16 ID:???
髭「何も 問題は ない。男性用の女性用スクール水着だ」

269 :スナゼロ ◆kdp8/y3/66 :2008/10/04(土) 09:54:05 ID:???
やっぱり、このスレは面白いなw

270 :マロン名無しさん:2008/10/04(土) 12:53:19 ID:???
ヘルシング本編もとうとう完結したねぇ。
そういう話題はこのスレ向きで無い?

271 :マロン名無しさん:2008/10/04(土) 14:51:07 ID:???
>>270
単行本派なので…

272 :マロン名無しさん:2008/10/04(土) 14:57:08 ID:???
>>270
迷ったらしないほうが無難
ヒラコーブログ更新しろよ・・・

273 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/04(土) 16:25:46 ID:???
ゼロリカさんGJ ポニテロリカ可愛いです。

何か思いついた小ネタ

アンデルセン「……海にでも行くか」
ルイズ「どういう風の吹きまわし?」
セラス「……そんなに私のこと嫌いですか」
アンデルセン「さあ、何のことだ?」
タバサ「……行きたい」
セラスΣ (゚Д゚;)
ベルナドット「いいかもな、最近暑いし」
セラス(;_;)
キュルケ「泣いてるわよ」

現地にて
棺桶に入ってついてくるセラス
タバサ「別について来なくても」
セラス「そげなこといわんと!」
ベルナドット「はっはっは! ん?どうしたサイト」
サイト「……吸血鬼って日光と海は天敵ですよね」
ベルナドット「ああ」
サイト「あそこで元気にサーフィンしている赤グラサンの吸血鬼が」
ベルナドット「……旦那だからしょうがない」
サイト「そっすねー、しょうがないっすねー」

アンデルセン「……チッ」
ルイズ「やっぱり嫌がらせだったのね」
シルフィ「ビーチバレーするのね!」
アンデルセン「……まあいいか」

274 :マロン名無しさん:2008/10/04(土) 17:42:15 ID:???
デレデレになったロリカードと言うのも見てみたい気がする

275 :マロン名無しさん:2008/10/04(土) 17:58:52 ID:???
>>273の勝手に続き
バレーボールでアーカードを狙撃、海に叩き落すアンデルセン。
アンデルセン「いやー久しぶりだった物で、失敗してしまいました」
サイト「・・・神父、あなた・・・」
アンデルセン「何ですか、サイト君?」
サイト「な、なんでもナイデス・・・」
ルイズ「アンデルセン、これ(ビーチバレー)って相手チームを叩いたボールで倒すゲームなの(キュルケから目を逸らしながら)?」
アンデルセン「いえ、違います。これは・・・(ルールを説明)」
キュルケ「あなた達、私に対して言う事があるのじゃないかしら…(怒)」

276 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/04(土) 19:09:50 ID:???
>>275
おお、ありがとうございます。また需要があれば続きでも。

277 :マロン名無しさん:2008/10/04(土) 19:46:23 ID:???
>>276
惚れ薬イベントとは別に親睦会イベントを立ち上げてはどうですか?
参加者
おマチさん(引率者)
ルイズ&アンデルセン+サイト、シルフィード
タバサ&セラス、ベルナドット
キュルケ&アーカード
ギーシュ&ベルダンディー
留守番
シエスタ、モンモラシー

278 :マロン名無しさん:2008/10/04(土) 22:41:48 ID:???
>>275>>267につながると

279 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/04(土) 22:42:58 ID:???
>>277
いいかも。  18話目投下2315より。

280 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/04(土) 23:14:18 ID:???
「ふーん、あんたもアンデルセンに置いてかれちゃったのね」
「あ、ああ」
ルイズは唇に指を当て何事か考えていたが、ふと笑顔になる。
「そ、そう。あ、あんたみたいな平民が傍にいても嬉しくなんてないけど。しょうがないわね!
あなたを私の召使にしてあげるわ!」
「召使?いやだよ」
才人に速攻で拒否され、ルイズはムッとする。
「何言ってんの?あなたアンデルセンの助手でしょ?アンデルセンは私のもの。よってあなたは私のものなの」
「いや、その理屈はおかしい」
などと限りなく不毛な言い争いをした後、才人はあきらめた。
「まあ、神父がいない間はお前を世話してやるよ」
どうもあの神父はこの少女に恩義みたいなものを感じているようだから、
彼に命を救って貰った恩がある手前できる限りのことはしようという気になった。
「……。ちょっと聞きたいんだけど」
「?何だよ?」
「私とアンデルセンと、どっちが大事よ?」
「神父」
即答され、ぐうの音もでない。しかし、気を取り直す。
「と、とにかく!とりあえずあんたはアンデルセンのいない間ちゃんとやるのよ!はい!洗濯!」
「はいよ」
才人はこの時、まあ何とかなるくらいの感覚でいたのだ。

その考えがチョコラテより甘いと知るのは少し後だが。

281 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/04(土) 23:16:48 ID:???
彼の生活は特に変わりは無かった。増えた仕事と言えば朝早くにルイズを起こし、
顔を洗い、着替えを渡し、洗濯をするくらいだ。アンデルセンは使い魔として
食事や授業についていくなどしていたが、身分は完全にただの平民である才人が
貴族の食堂や教室に入る訳にもいかない。よって結果として、

「暇だ……。」

となるのも致し方ないことである。
だが、そうは言っていられないという事で、彼は鍛錬に勤しむことにした。
いわゆる筋肉トレーニングや銃剣の素振りを行ってみる。
しばらくしてふと向こうを見ると、ベルナドット隊長が呑気に日向ぼっこに興じていた。
「暇そうっすね」
とりあえず声を掛けてみる。隊長もまた話し相手ができて嬉しいらしい。
「そうだよ! 暇なんだよ! なあ、ちょっとあのドラゴンに乗って町に行こうぜ」
訂正、足ができて嬉しいようだ。金は先のアルビオンで相当手に入ったものの、学院では使い道がない。
「セラスさんに乗せてもらえばいいでしょう?」
「こんないいお日様の日にか? それに女同伴で町に行ったらできないことがあるだろ?」
鈍い才人でも後者に重きがおされていることは簡単に分かった。
「でもセラスさんと一緒じゃなきゃできないこともあるでしょう」
「その発想は無かった」
どの途この間行ったばかりで町に繰り出す気もない才人は本題に入る。
「ちょっと組み手でもしません?」

木剣ごと吹き飛ばされ、才人は地面に尻餅をつく。
「痛たたた。手加減してくださいよ……」
「いや? お前が結構やるからよ。ちょっと大人気無かったな」
笑いながらベルナドットは才人の手を持ち引っ張り起こした。


282 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/04(土) 23:20:17 ID:???
噴水で顔を洗い、木陰で少し休む。
「初めて会った時よか力ついたんじゃないか?」
かつては文化系だった才人の体も手首が太くなり、腹もはっきりと割れ目ができている。
「うーん。何か普通より筋トレの効率がいいような……」
「お前再生者だろ? 超回復しやすいのかもな。アイシールド的な意味で」
「ああそうか(何で知ってんだ?)」
繊維が切れた筋肉が元に戻る時に勢い余ってもとの状態より増える。
そうすることで筋肉が増える訳だが、再生者はこのサイクルが早いのだろう。
「あとは結構実戦慣れしてきたか?」
何度かの命の危機がこの少年に戦う気構えをもたらしているのかもしれない。
ただ、それだけではこの急成長に説明がつかない気もする。
「すいませんね。付き合ってくれて。神父がいないと組み手の相手が」
「はあ、あの人も木剣つかうのか?」
「いえ? 銃剣ですよ」
「それ危なくないか?」
「刺さります」
お互いリジェネーターということで本気で刺し合うらしい。
それはワルド位で恐れはしないだろうとベルナドットは心中で納得する。
「どおりで結構傷があるのな」
才人の体には目立たぬものの無数の傷跡が残っている。
「隊長だって左目が」
そう言われベルナドットは遠い目をする。才人などとは比べ物にならない程長い時間彼は戦っていたのだ。
「ま、色々あるさ。戦ってればな」
しばらくボケっと宙空を見ている。本当にいい天気である。


283 :虚無と狂信者:2008/10/04(土) 23:24:34 ID:???
午後になると才人とベルナドットは、偶々通りかかったコルベール先生に誘われ、彼の研究室にやってきた。
「これ、内燃機関じゃないか!」
「ほう、やはりそうか。君達の世界では実現されているそうだね。アーカード殿に教わったんだよ」
意外にもあの不死王の方が神父や隊長よりよほど熱心に彼女についているようだ。
こうやって技術についての話をする時は、隊長の普段は見せない博識に感嘆する。
戦場を生き抜く者の知恵として、ある程度の機械に関する知識は持ち合わせているらしい。
ただ、才人には少しだけ気になることがある。
ベルナドットとコルベール。仲好さげに話していても、どこか相容れない。
そんな妙な雰囲気を感じるのだ。

学院の授業が終わり、才人はある人物の元へ向かう。タバサだ。
彼女と共に本を読む。異世界に関する事柄を探す為である。
そして時たま彼女の希望で聖書を読ませている。もう一通り目を通した筈だが、
異世界で最も多く読まれている本ということで興味があるらしい。
この光景は実はそれなりに前、シルフィードの件以来の光景である。

ただ、そこに彼らを見つめる桃色の髪の少女が追加されたことは、
感覚が鋭敏なタバサはともかくとして、才人は気づかなかった。


284 :虚無と狂信者:2008/10/04(土) 23:27:17 ID:???
厨房の片づけを手伝った後、中庭でまた訓練を始める。ふとそこに一つの影が近づいて来た。
「や、やあ」
「ギーシュ。どうした?」
「いやね。ちょっと……特訓でもしようかと」
「何でまた?」
「だってだね。あの神父や吸血鬼ならともかく、あまつさえ君やメイドまで活躍したのに
僕はほとんど活躍してないから、ちょっと危機感がね」
「いや、でもウェルダンテのお陰で合流できただろ」
「僕関係無いだろ?」
「そうだな」
才人は内心で彼の評価を上げた。トリステインの貴族は傲慢な人間が多いと思っていたが、
彼は意外にも努力家なようだ。
「よし、んじゃ、いっちょやるか!」
「おお!」

三十分後
「やっぱりワルキューレのイメージを固めるにはな、本物の達人の動きを学ばせる方がいいと思うんだ」
結論から言うとワルキューレ相手に才人は苦戦を強いられた。再生能力があるとはいえ身体能力はただの人であるから当然である。
ただし、ワルキューレの問題は硬さだけであり、硬度も銃剣に劣るものであるから、才人によって最終的には破壊された。
最も、ワルキューレを複数出されたら手も足も出なかっただろうが。
「達人と言っても誰かいるかね? 神父は不在だしあの吸血鬼はご免だ」
「俺だっていやだよ。いるだろ? 一人」
そう言われ、ギーシュは手を叩いた。
「あのメイドか!」


285 :虚無と狂信者:2008/10/04(土) 23:32:04 ID:???
夜、中庭では、月明かりを頼りに、本人達たっての希望でサイトとギーシュがシエスタに特訓を受けていた。
青銅のワルキューレが、黒髪のメイドに突撃する。
「減点2!」
そう叫び、抜刀する。
「一つ!突撃ばかりで緩急がついていない!」
ワルキューレの槍での攻撃は往なされ、素早く懐に飛び込まれる。
「一つ!敵と自己の間合いを把握できていない!」
一瞬にして、青銅は輪切りになる。
「以上!研鑚を怠らぬように」
「わ、わかった」
「……口でクソたれる前と後ろにサーをつけろと言ったでしょう?」
「サー!イエス!サー!」
「はい、次はサイトさんですよ!」
そして彼は銃剣にて斬りかかる。しかし、少女によってあっさりと跳ね除けられる。
「トロイ!!何だそのへっぴり腰は!爺のファックの方がまだ気合が入ってる!」
「サ、サーイエスサー!!」
「もっぱぁつ!!」
「サー!!イエスサー!!!」
とまあこんな感じで、シエスタによりギーシュはぼこぼこにされたり
サイトは時々本当に刺されたりしながら島原式特訓を受けていく。一切の妥協はゼロである。
「よーし、ここまでで訓練は終わりです豚娘達。最後に一つ聞く。貴様らの仕事は?」
「「殺しだ!殺しだ!殺しだ!」」
その後、シエスタは悪鬼のような険しい顔から、一瞬にしていつもの温和な顔に戻る。
「はーい、それでは休憩にしましょうか。あ、牛乳持って来ますね」
そう言って急にいつもの彼女に戻るのが彼らの調子を狂わせた。
ギーシュは心底彼女に怯えているが、訓練を終えた今では優しい彼女である。
「に、二重人格というやつかな?」
「いやあ、仕事熱心なんだろ」
才人にとってみれば、神父に比べればなんぼかマシ位の感覚である。

286 :虚無と狂信者:2008/10/04(土) 23:36:32 ID:???
「サイト! あんた私の召使の仕事はどうなったのよ!」
夜も更け、サイトがルイズの様子を見に行った所、何故か正座させられた。
「召使も何も。俺は神父の助手で、お前の召使でも下僕でも無い。
大体仕事も全部したし、プライベートまでとやかく言われる筋合いは無いだろ」
淡々と正論を述べられ、ルイズは不機嫌に頬を膨らませる。
「それは、そうだけど……。あんたタバサと一緒に居たりメイドと一緒に居たり……。」
「? それがどうしたんだよ?」
「何でも無いわよ!」
それっきり不機嫌になったルイズにどう対処していいかわからず、才人は頭を掻いた。
ルイズとしても、例えば彼が下僕だったり使い魔だったりすれば束縛できるものの、
初めてのそれらしい恋心にどう対処していいかわからないのだ。
(ていうか私、あの件謝ってないじゃない……。)
あの件というのは港町へ向かう途中にあったイザコザのこと。
正直言って彼の中では記憶の彼方に埋没していることだが、ルイズとしてはやはり気になってしまう。
「あ、あのね。サイト……。サイト?」
ルイズが振り向くと才人の姿は部屋の中から掻き消えていた。耳を澄ますと廊下から会話が飛び込んでくる。
「あ、サイト君。トランプやらない? 七並べ。マスターもキュルケちゃんも留守で」
「セラスさん。まあいいですけど……。そのトランプは?」
「ああ、森を歩いていたら沢山落ちていたのよ。それで三組ほど揃えてみたの」
「(まさか……。)まあいいですけど」
ルイズの眉間に青筋が浮かぶ。
(あ、あいつ……! ていうか何であいつ女吸血鬼と仲好くトランプしようとしてんの?
馬鹿じゃないの? アンデルセンに知られたら殺されるわよ?)
流石に殺されはしないし、アンデルセンもタバサとは仲がいいことを彼女は知らない。
「おーい、ルイズ! 一緒にやらね?」
「……いい」
そしてこのチャンスでも素直になれない彼女だった。

287 :虚無と狂信者:2008/10/04(土) 23:39:41 ID:???
そのような日常が繰り返す筈だったのだが、二日程である事件が起きる。

「できた!!」
中庭の一角で才人はある物を完成させた。何のことはない。五右衛門風呂である。
早速火をつけ、お湯を沸かす。
「ウホッ!いい湯加減! それじゃ、入るか!」
やっとの思いで完成させた為、若干テンションが高くなりながら勢いよく漬かる。
「ああ……。いい湯だな……」
異世界での生活はそう不便でも無かったが、やはり故郷の物が恋しくなる。
「母さん……」
よく家族と旅行に行ったことを思い出す。そうしてしんみりとしていると、
不意に甲高い声で現実に戻された。
「きゅいきゅい! サイト兄様何コレ!」
「シルフィード。ああ、これは俺の世界のお風呂だよ」
「シルフィも入る! 入る!」
学院内で話すことを咎めるのも忘れ、才人は苦笑する。
「お前の図体じゃ入れないだろ」
そう言ってしまった所で、才人はある事を思い出した。
「舐めるなのね!」
「ちょっ! シルフィ! 待った!」
才人の制止も聞かず、シルフィードは呪文を唱え、妙齢の美女に姿を変える。
そしてピョンと飛び跳ね、飛沫を上げ湯船に飛び込んだ。楽しそうにはしゃぐも、才人はそれどころでは無い。
「ソドムとゴモラソドムとゴモラソドムとゴモラソドムとゴモラソドムとゴモラ」
などとうわ言のように繰り返す才人の顔に水がかかった。
シルフィードがお湯を掬いかけたのだ。

288 :虚無と狂信者:2008/10/04(土) 23:45:31 ID:???
「シ、シエスタ!助けてくれ!首輪が!首輪が!あ、あの女病んでやがる!」
彼は、当の思い人、平賀才人本人だった。
その首には、何か首輪のようなものが巻きついていた。
「サ、サイトさん。その首輪は……」
「シ、シエスタ!ルイズが!」
「そんな、サイトさん!私そんな首輪をつけられた涙目のサイトさん見たら何かに目覚めちゃいそ」
「何言ってんの?ねえ?何言ってんの?」
「じゃなかった。あの、それは?」
「聞いてくれよ! ルイズの使い魔見たいなことしてんだけどさ! タバサと一緒に勉強はまあする訳じゃん!
セラスさんと一緒に遊んだりする訳じゃん。何かあいつキレるのよ! それで俺が怒ったらさ。この首輪を……」
ああ、どうもあの子が焼き餅を焼いたのだな、ということで納得する。
「はあ、けどその首輪が一体どうしたんですか?」
「これは「犬」」
犬と呼ばれ、サイトはキャウと鳴いた。哀れにも今の彼は完全に牙が折られた飼い犬である。
「あ、あんたは私より小さい女の子や、あ、あんな女吸血鬼と。ていうかあんたアンデルセンの助手なら
ドラキュリーナに尻尾振ってるんじゃないわよ!さ、盛りのついた犬め!」
大体状況が掴めたシエスタは溜息をつく。付き合ってもいない女性にこうも愛されてはさすがに気の毒だ。
それにタバサは兎も角としてセラスにはベルナドットがいるのだからどうということは無いだろう。
「お、おまけにそのメイドとも……。やっぱりこれを買って正解だわ……。ヴァスラ!」
呪文を唱え、杖を彼に向ける。すると、サイトの体に電流が流れ、悶え苦しみ始めた。
「ちょ、ちょっと!ミス・ヴァリエール!いくらなんでもやり過ぎです!」
シエスタはルイズの手を叩き、杖を落とす。
「さ、サイトさんに酷いことする人は例え貴族といえども許しませんわ!」
その宣言に圧倒され、ルイズは正気に戻る。はっきり言ってやり過ぎた。サイトは脅えきっている。
「そ、それは。こいつが……」
「女の子と遊んだりする位なんですか!そのくらいで電流の流れる首輪をつけるなんてどう考えてもやり過ぎです!」
「……ご、ご免……。だってこいつ。青い髪の巨乳女と一緒に風呂に入ってたから」
その瞬間この場の空気が凍る。おもにシエスタによって。

289 :虚無と狂信者:2008/10/04(土) 23:47:54 ID:???
(こいつはドラゴンこれはまやかし こいつはドラゴンこれはまやかし)
脳内で自分に言い聞かせ、才人は正気を取り戻す。
「やったな! コイツ!」
精神的には小学生くらいなので妹のように思うことにした。自己暗示である。
そして久々におもいっきり、元の世界のようにはしゃぐことにした。

その姿を一人の少女が見ていたことが、彼の悲劇である。



翌日の昼間、広場にて。
才人が厨房からいなくなったことで、シエスタは少し落ち込んでいた。最も、彼は三食必ず厨房で食べるし、
家事などはシエスタと一緒にやっているのだが。それよりも不安なのは。
「ミス・ヴァリエール」
自分の恋敵の名を呟く。その瞳は赤々とした炎で彩られる。彼は今ルイズの召使のようなポジションにいる。
非常に頂けない。シエスタは母の教えを思い出す。
「綺麗なやり方で手に入らないなら、汚いやり方で手にいれる!
強引に行けばサイトさんの一人や二人!」
さてどうしてくれようか。と思案していると、不意に聞き覚えのある声が聞こえて来た。

288と入れ替えて下さい。すいません。

290 :虚無と狂信者:2008/10/05(日) 00:00:09 ID:???
「ミス・ヴァリエール。それはミス・タバサでは無いんですね」
「え、ええ。そうよ」
「もっと詳しく説明して下さいます?」
ルイズは説明した。サイトが夜になるとギーシュと一緒に訓練していること。
彼らがそれを終えた後、サイトが中庭に拵えた自作の風呂に入ったこと。
昨日それをたまたま発見したら、青く長い髪の妙齢の女性と一緒に入っていたこと。
「サイトサン?」
「は、はい!」
妙な迫力を出した彼女にビビりまくる少年。
「あー、あの女の人ですね。この前一緒に御飯食べてましたものね。ベルナドットさんもいたから
大して気にも止めてませんでしたけど。成程そういう関係でしたか、そうですか……」
シエスタはゆったりと背中に手を回す。するとそこからするすると黒い棒のようなものが出てくる。
才人にはそれが刀だとわかった。そして彼女は左手でそれを持ち、右手を切っ先に添えた。
「あ、あのシエスタさん?その構えは」
「憤!」
やたら格好いい掛け声と共にシエスタはその突きを敢行する。才人は間一髪避けたものの、その先にあった木は跡形も無く粉砕した。
「ふむ……。仕込み杖は携帯に便利だが強度がまるで玩具です。使用するならやはり日本刀に……」
才人は高速で逃げだした。

タバサとセラス、ベルナドットは部屋にて遠出の準備を始めていた。タバサが実家から召集された為だ。
使い魔達もおおよその事情は知っているので黙って追従する。そして準備が出来た時、才人が飛び込んできた。
只ならぬ様子に身構える一同。代表してベルナドットが応対する。
「どうしたんだ。」
「いや、あの」
「ヴァスラ!」
突然痺れ始める才人。そして何を思ったかその状態で目の前のベルナドットにしがみ付く。当然電流が伝わる。
「ちょ、ちょっと待て!あばばばば」
「ちょ、たいちょおぼぼぼぼ」
さらに彼にしがみ付かれたセラスは虚空を掴もうとするも、何もない。タバサは無表情で本を開いた。


291 :虚無と狂信者:2008/10/05(日) 00:02:27 ID:???
「シ、シルフィードオオォォォーー!!
才人は窓から飛び降りた。地面にぶつかる寸前で風竜に拾われる。
「きゅいきゅい。どうしたのねお兄様」
「い、いや別に何でもない」
原因の竜に笑って誤魔化す。別に彼が一緒に入ろうと誘った訳では無く、彼女が勝手に入って来たのだが、
それをここで言ったところでしょうが無いし、この竜に落ち込まれてしまっては申し訳が無い。
しかし才人は知らなかった。実はこの首輪に魔法が届く範囲を未だ抜け出した訳では無いことを。
「ヴァスラ!」
「ぎゃああああああ!!!!」
「きゅいいいいいい!!!?」
才人は一緒に感電し暴れたシルフィードに振り落とされ、地面に危ない感じで叩きつけられる。
タバサは流石にまずいのではないかと思ったが、才人は元気に逃げだしていた。

ミス・ロングビルは火の塔から出てきた。結局、あの破壊の杖を元に戻してここで働き始めた。
おそらく破壊の杖を宝物庫に戻したのが、土くれのフーケの最後の仕事だろう。
もう足を洗うことに決めた。
正直言って気持ちは暗い。子ども達は来たものの、ティファニアはどうやら事故によって海に落ちたらしい。
少女がフライでも使えたら心配いらなかったが、生憎少女の魔法は全て爆発してしまうのだ。

 嘆いても仕方が無い。私は信じている。あの子が生きていると。
 だから、あの子が見つかるまで、私があの子達を守るのだ。


292 :虚無と狂信者:2008/10/05(日) 00:05:13 ID:???
ふと中庭を見ると、彼女の命の恩人である少年が見える。
最強の吸血鬼から、敵である私を助けてくれた少年。
「何してるんだい……?」
どうやら電流の流れる首輪をつけられているのかのたうち回っている。
さらにはメイドに剣を突き立てられ今にも泣きだしそうだ。
その姿は港町の件が嘘のように情けない。
「しょうがない……」
目立つのは賢くないが、かといって恩人を捨て置いては女が廃るというものだ。
そしてフーケ。今の名はロングビルが杖を取り出した。

「な、何で怒ってるのか分からないけど俺が悪かった! すいませんでした! 殺さないで下さい!」
「分かりません。殺します」
「ちょ!!!」
無慈悲な死刑宣告がシエスタの口から出る。
「こんにちはサイト、そしてさようなら」
ルイズが一層魔力を込めた杖を振り上げ、才人の体に一層強力な電流が流れる。
「ぎゃあああああ……。ああ?」
電流が突然感じられなくなり、下を見る。見ると、その悪魔のような首輪が地面に落ちていた。一部が土になっている。
「全くどうしたと言うのですか!大丈夫ですか?あなた」
呆然とする才人は、近寄って来た女性を見やる。たおやかな大人の女性といった感がする彼女は優しく彼を抱き起こした。
美人の女性に助けられ、彼は見とれたように赤くなる。
「ちょ、ちょっと!あ、あなたサイトの何よ?」
そうかサイトというのか、とその少年を見やる。彼はロングビルの背に隠れ震えていた。
あまりにも情けなくて同情してしまう。
「彼の何も無いでしょう。見ず知らずの人が危ない目にあったら普通は助ける。それだけです。」
心中ではどの面下げて言うのだと笑ってしまう。彼女は元強盗で、かつては彼を殺そうとしたのだ。


293 :虚無と狂信者:2008/10/05(日) 00:07:27 ID:???
「さあ、大丈夫ですか?」
「え、ええ、まあ」
天の助けに少年は飼い主を見つけた仔犬の様な眼で見る。こんな子どもに助けられたと思うと情けない。
才人はロングビルを見やる。顔は知っていた。どこか気品のある顔立ち。大人の女性といった感じの魅力。
しかし、その物腰にはどこか神父を感じさせる。それに何故か初めて会った気がしなかった。
「あの……。どこかで会いましたか?」
「さあ、というかそこそこの頻度で会っているのでは?」
「いや、そうでなく……」
ふといやな予感がして後ろを振り向く。黒髪のメイドと桃色の少女は触れる者を凍て付かせるオーラをはなっている。
そして悟った。根本的なところは何も解決していない。
逃げなければ、殺される。
「シルフィードーー!」
しかし、風竜はさっき本人からすれば原因不明の雷撃を喰らったので、遠くでイヤイヤと首を振る。何ともいじらしい。
「いや、ほら、首輪とれたから!大丈夫だから!」
「「逃がすかーー!」」
また追いかけっこを始める。サイトはたまらず叫んだ。
「だれか助けてくれー! 神父!アーカードさん!コルベール先生!リカルド!ギーシュ!誰でもいいー!」
だんだん頼る者が頼りなくなりながら、虚空に手を伸ばした。
彼に同情するべきか、彼が名前も知らない筈のブラジルの特殊部隊隊員より評価されないギーシュに
同情するべきかは微妙な所だ。どちらにせよ哀れな少年に、天の助けが舞い降りる。
「う?うおお?!」
才人の体がふわりと宙に浮いた。


294 :虚無と狂信者:2008/10/05(日) 00:10:33 ID:???
がっしりと才人の腕を掴んだのはベルナドットだった。そこはセラスが引っ張る、籠の上。
彼にレビテーションをかけたのはタバサだった。
「うおお!神様仏様タバサ様!ありがとうございます皆さん!」
「言い過ぎ」
口ではそう言いつつも満更ではなさそうだ。
「いやあ、助けてくれてありがとう。つうか何で女の人と話をしたくらいでああも怒るの?
同じ女性として君の意見を聞きたい!」
「嫉妬」
「SHIT!?確かに糞ったれだよ畜生!ジーザス!」
どうも怒りの余り会話のキャッチボールができていない。
「?んで?これからどこ行くんだ?タバサ達」
タバサは溜息と共に説明する。
「今から少し仕事がある。よってガリアに向かう」
そこでこの少女がガリアからの留学生であり、騎士の称号を得ていることを思い出した。
「そうか……。なあ。ついて行っていいか?」
彼女はじっと彼を見る。何を言っているんだ。とでも言うような顔だ。
「いや、どうせこのまま学院に居てもおそらく死亡するからさ、
あいつらのスーパーヤンデレタイムが終わるまで。いいかな?」
「危険な任務。覚悟はいい?」
危険と言う言葉に今までの情けない顔から、アーカードやワルドに挑んだ時と同じ顔になる。
「危険?女の子が危険なことするってのについていかない訳にいかないだろ?尚更行くよ!」
その言葉にセラスとベルナドットの顔に笑みが浮かぶ。
そしてタバサ達主従とサイトは一路ガリアに向かった。

「ちょっとメイド!あんたのせいでサイト行っちゃったじゃない!」
「そ、そんな!もとはと言えばミス・ヴァリエールがあんな首輪を……。」
醜い争いを聞き流し、マチルダは豆粒となったサイト達を見やる。
「あんなのに助けられるとは……足洗って正解だね」
自己の選択の正しさを改めて認識したのだった。


295 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/05(日) 00:13:16 ID:???
以上で投下終了です。まとめありがとうございました。
次回からロリ年増吸血鬼です。多分二話位になるかと。それでは。

296 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 01:40:56 ID:???
乙でした
そして次回はゼロ魔の吸血鬼ですか
セラスやサイトの行動を楽しみにして待ってます

297 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 02:46:20 ID:???
狂信者の方、乙です。

うわ〜… ルイズ最悪だ…
ストーカー行為にDV、正にヤンデレですね
原作ではルーンの洗脳効果があるからサイトの心を縛る事ができたけど、それがない本作ではサイトの心はどんどん離れていくでしょうね
ルイズの場合自業自得だけど
シエスタも何か変な感じ入っちゃってるし…ていうか流派違うしw
それにその考え方は変ですよ?シエスタのお母さんw

それに対してタバサ組の面々は一緒に鍛錬したり、読書したりトランプしたりと普通すぎるw
↑にも書かれてるけど、サイトはタバサ組に在籍してた方が平穏無事に過ごせそう
15巻みたいにタバサがサイトを意識して苦悩するのも読んでみたいですね

次回は対エルザ戦、それとも別の吸血鬼か? 
楽しみにしております!





298 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/05(日) 07:29:25 ID:???
GJ
ルイズ、ツンデレのツン分が強すぎますなぁ。
サイトが完全にタバサルートにいってますぞ。

299 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 08:09:28 ID:???
ルイズって、随分とツンデレからヤンデレに近づきましたよね……サイトの忍耐力に尊敬の念を抱くほどです。。

300 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 09:35:48 ID:???
感想がルイズ氏ね一色だな

301 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 10:54:19 ID:???
シエスタ教官乙であります!
シエスタがルイズと魂の色が同じになっている。
吸血鬼化を視野に入れているタバサが一番まともなのは何とも。

302 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 13:53:30 ID:???
乙です!
タバサが吸血鬼退治を危険と言ってるのがなんとも…。
普段その数段危険なの相手にしてる上、使い魔も吸血鬼なのにw
やっぱ犬の餌になるのかな?

それにしてもルイズが病みすぎてる
これはもはや犯罪者でしょwww


>仕込み杖〜使用するならやはり日本刀
のくだりの元ネタなんでしたっけ?

303 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 13:54:43 ID:???
うーん、ルイズのがヤンデレなら言葉様に失礼なような・・・

304 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 14:33:35 ID:???
>>302
ドク謹製の吸血鬼やアーカード、セラスのチート連中が吸血鬼の強さ基準になっていれば危険発言は頷けると思う。
エルザの弱さに拍子抜けするタバ主従と大した事が無いと言われ屈辱で涙目のエルザが見れる。

殺人鬼のような目をした牙突が必殺技の男が出てくる漫画だよ。

305 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 15:04:25 ID:???
>302
これまでの戦いの経験から、吸血鬼=アーカ−ド達と同じ世界からの吸血鬼
みたいなイメージしか沸かないからじゃない?
ハルケギニア世界の吸血鬼も十分強いと思うけど、比べる相手が相手だしね…
まぁ、危険である事に変わりはないし、タバサからしてみたらサイトをわざわざ
危険な任務に同行させたくはない、と考えての発言なのでは?
一緒に行く以上、今回の任務でタバサとサイトの仲がより親密になる展開だといいな〜
というか、もうタバサルートでいいような気がするw
15巻読んだあとだとなおさらそう思う

>仕込み杖〜使用するならやはり日本刀
元ネタはるろ剣の斉藤一だね

>303
ヤンデレというよりは、高慢ちきなバカ女といった感じかな?
サイトを自分の『モノ』としか見ていないから、身分をたてにして高圧的な態度しかとらない
そのうえ自分の思い通りにならなければすぐ虐待だしなぁ…
ヤンデレとは違うけど、もはやツンデレというのにも当てはまらない気はするけどね




306 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 18:01:27 ID:???
いや、タバサルートはまだ未定の方が良いと思う。
革命胸やロリ年増の生粋吸血鬼、アニS隊長がまだ登場していない。
あと鬼教官シエスタ殿は暫くネタとして生きて欲しい。

307 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 18:13:12 ID:???
正直ルイズ邪魔だな…
原作の方もルイズが出てない所は面白い。

308 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 18:16:47 ID:???
ああ、何故か世界がアンチルイズのほうに流れていくっ?!
でもほら、あれで結構照れる所とか可愛いじゃないですか。その反動で素面に戻った時サイトを虐待しますけどっ!

309 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 18:42:43 ID:???
それがウザイ

310 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 19:02:49 ID:???
きっと、原作よりもしっかりしてる上に実力のある再生者サイトに
原作と同じような対応を取ってるから
余計に馬鹿丸出しに見えるんだな>ルイズ

311 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 19:09:24 ID:???
なんだこの流れは!?
やめさせろジーン!!

312 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 19:27:22 ID:???
では主役級のはずのアーカードがほとんどセリフない件について話し合うか
やはりキュルケの使い魔は空気になる運命なのか

313 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 19:35:58 ID:???
キャラが多くなれば相対的に台詞が少なくなるのも仕方なかろう。

314 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 19:41:32 ID:???
このルイズは危機に瀕して啖呵を切れるだけの強さは有るし、悪くは無い。
ルイズは誰からも馬鹿にされ否定され続けた結果、見事に性格が歪んだ。
某SSの轟龍を呼び出したルイズは力の本質に触れて一皮剥けた。
何かのイベントで級友、教師陣、亜人、エルフを失敗魔法でなぎ払うかして自信を付けさせればまもとになると思う。
サイトに説教され「ごめんなさい」が素直に言える様になれば完璧。

315 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 20:55:46 ID:???
吸血鬼は押し並べて犬属性
あの准尉ですら少佐のために従容と死ぬ程度の健気さがある

316 :マロン名無しさん:2008/10/05(日) 21:41:03 ID:???
狂信者キュルケ「最近、どうも出番が無い気がするのよね」
アーカード「惚れ薬を飲んでベルダンディーを見る」
キュルケ「Non、獣姦は使古されているわ」
アーカード「タバサ殿に代わり洪水を治める」
キュルケ「Non、問答無用で精霊を殺すとその後のイベントが繋がらなくなるわ」
准尉「アーカードとの特訓なら最近、出番が無かったことの説明になるよ」
キュルケ「・・・それね」

317 :マロン名無しさん:2008/10/06(月) 09:43:29 ID:???
タバサ組の後にキュルケ組の話もあるみたいだし、キュルケ組の方にもサイトが関わってくる事を期待

318 :マロン名無しさん:2008/10/06(月) 15:52:53 ID:???
虚無と狂信者、まとめの方で最初から読んだんだけど、タバサの召喚シーンがないのはデフォ?

319 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/06(月) 22:36:36 ID:???
デフォです。当初は普通にシルフィの予定でしたので。
ダルフ編が終わる位に番外編としてでも書きたいですね。

320 :318:2008/10/06(月) 23:06:37 ID:???
おおっ、作者さんから直接返事が!

>番外編
それは是非読んでみたいですね〜
本編の方も執筆頑張ってください!

321 :マロン名無しさん:2008/10/07(火) 21:18:44 ID:???
ふと思ったのだが
タバサと風呂に入る方が青い髪の巨乳女(シルフィ)よりヤバイ気がする。

322 :マロン名無しさん:2008/10/08(水) 01:05:05 ID:???
>>321
ヤバいどころか確実にサイト死亡フラグだろ、それw
サイトとタバサが一緒に風呂に入る展開は・・・・・・無茶苦茶読みたいぜ!!

そういえば神父は風呂に入ったりするんだろうか?

323 :マロン名無しさん:2008/10/08(水) 09:16:13 ID:???
イタリアに湯に浸かる習慣が有るかどうかは知らないけど、入ることは入るんじゃない?
ところで、HELLSINGにはインテグラっていう共通の主が居たけど、狂信者みたいにお互いの主が違う場合、セラスはアーカードの命令とタバサの命令とどっちを聞くんだろう?

324 :マロン名無しさん:2008/10/08(水) 13:37:22 ID:???
>>323
タバサが人間でいる限りタバサの命令を優先すると思う。
アーカードもそれを当然の物として受け止めるだろうし、他所の主の使い魔に命令をする無作法はしないと思う。

325 :スナゼロ ◆kdp8/y3/66 :2008/10/08(水) 21:56:50 ID:???
投下5分前、誰も居ないね?

326 :スナイピング ゼロ:2008/10/08(水) 22:01:44 ID:???
朝もやの中、トリステイン魔法学園の玄関前にルイズ達の姿があった。離れた場所では、衛兵がルイズ達を珍しい物でも
見るような目で見つめている。

「マスター、王宮の馬車はまだですか?」
「もうすぐ来るわ、もうちょっと待って」
 始祖本を抱き締めたルイズが外を眺めながら、セラスに返答する。二人の使い魔は主人の背後で座り込み、何やら
話しこんでいる。

「と言う訳で、HELLSINGの連載が終了しちゃった訳だけど・・・次は何が来るかしら?」
 リップがニヤニヤしながら尋ねる。
「私としては『以下略』を続けてほしいですね、真紀ちゃん見たいですし」
「私は『大同人物語』ね、続きが読みたいわ」
(なに話してるのかしら、あの二人は?)
 コソコソ話し合う使い魔をルイズが見つめている時、遠くから馬が歩む音が響いて来た。

「来たみたいね。二人とも、おしゃべりの時間は終わりよ!」
 『は〜い』と二人の返事が重なったと同時に、ルイズの目が点になる。
「・・・あれ?」
 目の前に現れたのは、使者が乗った一頭の馬だった。後ろを見やっても、馬車は見当たらない。困惑していると、使者は
ルイズに大声で訪ねた。

「学園長はいらっしゃるか、早急にお伝えしたい事が有るのだが!」
「学園長ですか? 多分、学園長室にいると思いますけど・・・」
 オスマンの居場所を伝えると、使者は馬を走らせ学園の中へ向かっていった。呆然としていると、リップがルイズを
抱き上げた。 

「追うわよ」
「へ? ちょ、ちょっと!?」
「行くわよ、セラス!」
「ヤー!」
 二人は回れ右をして、学園長室へ向かった。

327 :マロン名無しさん:2008/10/08(水) 22:03:35 ID:???
俺はガンマニアの続き支援

328 :スナイピング ゼロ:2008/10/08(水) 22:05:46 ID:???
「宣戦布告じゃと!? それは本当かね?」
 結婚式の出席のため準備をしていたオスマンは、突然の報告に顔色を変えた。目の前に立つ使者は、それ以上に顔色が
変わっている。額から幾筋もの汗を流し、両手が震えている。

「はい。そのため、姫殿下の式は無期限の延期となりました。学園に関しましては、生徒・教員の外出禁止令を願います」
「現在の王軍と敵軍の戦況は、どうなっておるのかね?」
「王軍は港町のラ・ロシェールに展開中です、敵軍はタルブの村を竜騎士で強襲。家や草原を焼き払い、艦隊から兵を
降ろして占領したと・・・」
 使者は怒りを抑えながら、出来うる限り冷静に話した。握り締められた拳が、オスマンの目に映る。

「ゲルマニアに援軍を要請したのですが、派兵するには三週間は掛かると言われました」
 (見捨てられたな・・・)と心の中で言いながら、オスマンは溜息をついた。
「アルビオンには条約を破られ、ゲルマニアには同盟を破られる。約束は紙より容易く破られるとは、まさにこの事じゃて」


 学園長室の扉に耳を貼り付けていたルイズは、唖然としていた。結婚式に浮かれていた状況が一変、戦争状態に陥って
しまったのだ。後ろを振り返り、セラスとリップを見つめる。

「大変な事になっちゃった・・・」
「そうみたいね」
 何でもないとでも言いたげなリップの言葉に、セラスは告げる。
「まだシエスタさんがタルブに残ってるはずですよ、早く助けにいかないと!」
 セラスの必死な表情を見やり、リップは指先で頬を撫でる。

「ま、あの子には色々と世話になったし・・・じゃ、行きますか」
「行くって、まさかタルブむrって、またなの!?」
 再びルイズを抱き上げ、二人はルイズの部屋へと向かった。

329 :スナイピング ゼロ:2008/10/08(水) 22:08:37 ID:???
「何事かと思ったら戦争か、あのシエスタって娘っ子も災難だねぇ」
 操縦席の脇に立て掛けられたデルフが、呑気な口調で呟いた。セラスは操縦席、リップは副操縦席に座り、スイッチや
ハンドルをいじっている。後部の座席にはルイズが座り、二人の様子を見つめていた。

 あの後ルイズの部屋に戻った二人は、自身の武器を手に取りヘリへ向かった。小屋で眠っていたコルベールを叩き起こし、
完成した燃料をタンクに装填した。そして今、ヘリを飛び立たせようとしている。
 途中で朝早くヘリを飛ばす事に対してコルベールが不満気な発言をするハプニングがあったが、リップが首に軽く手刀を
叩きこんで小屋に放り込み事なきを得た。
 
「ねぇ、本当に大丈夫なの?」
 始祖本を抱き締めたルイズが、後ろから二人に話しかける。
「何が?」
 被っていたヘッドセットを外し、リップが顔を向ける。

「タルブの上空はレキシントン号を含めた戦列艦で、制空権を奪われてるのよ。周囲は火竜を操る竜騎士が飛び交ってて、
近付くことすら難しい。そんな所に、こんな小さな飛行機械で突っ込むなんて・・・」
「あぁ、そう言うこと」
 スイッチの一つに指先を当て、強く押しこんだ。カチッと言う音と共に、メインローターが回り始める。
室内にローターが空間を引き裂く音が響く中、リップは口元を歪ませながら嬉しそうな笑みをルイズに向けた。

「ヒッ!」
 恐ろしい顔を直視したルイズは、思わずへたり込んだ。
「ダメですよリップさん、マスターを怖がらせちゃ」
「あら、ごめんなさい。戦争の濁流の堰が切れてるもんだから、つい嬉しくなっちゃってね」
「もう、気をつけてくださいね」
「そうだぜ相棒の相棒、主人を驚かす使い魔なんて聞いたことねぇぞ」
 デルフと並んで注意しながら、セラスは操縦桿を握り締めた。ゆっくりと手前に引き、機体を浮き上がらせる。


330 :マロン名無しさん:2008/10/08(水) 22:08:38 ID:???
外伝・ワルシャワ編を所望いたす支援

331 :スナイピング ゼロ:2008/10/08(水) 22:11:03 ID:???
「大戦争だわ・・・」
「何か言いました?」
 外を眺めていたリップに、セラスは顔を向けた。

「いえ、別に」
 ドーファンは更に上昇に、一路タルブの村へ機首を向け飛び去った。



トリステイン王宮の会議室では、怒号が飛び交っていた。将軍や大臣が椅子から立ち上がり、大声で怒鳴り合う状況が
続いている。巨大なデスクは書類によって埋め尽くされ、散乱していた。
 昼を過ぎても意見はまとまらず、議論は続いている。その状況を、上座に君臨するアンリエッタは驚いた表情で、
新設された銃士隊の隊長であるアニエスは冷ややかな表情で見つめていた。

「伝令より報告、タルブ村の領主アストン伯が戦死。引き連れていた部隊も全滅です!」
「偵察に向かった竜騎士隊は帰還せず、敵軍の竜騎士隊は村のあちこちに火を放っています!」
「もはや開戦は避けられん! 今からでも王軍を編成し、ゲルマニアに軍の派兵を要請しよう!」
「何を言うんだ、そんな事をしたらアルビオンに全面戦争の口実を与えるだけだ! ここは特使の派遣を!」

 意見が飛び交う中、マザリーニは結論を出せないでいた。外交か戦争かの瀬戸際に直面した中で、早急に答えを出す
事が出来ない。外交で解決したいという考えと、戦争でしか解決できないという想いが、彼を責め立てていた。
 アンリエッタは、薬指に着けた風のルビーを見下ろしていた。王女として、どうする事が最善の策なのか? 
じっと考えて・・・そして、ボソリと呟いた。

「茶番です」
「殿下・・・?」
 周囲から視線が集まる中、アンリエッタは上座を下りた。
「茶番です、と申したのです。アニエス、着いて来なさい」
「はい」
「どこへ行くつもりですか、殿下?」
 扉へ向かうアンリエッタに、マザリーニが声をかける。アンリエッタは振り返ると、落ち着きながらも力の籠った声で
言い放つ。

332 :スナイピング ゼロ:2008/10/08(水) 22:14:51 ID:???
「枢機卿、私はこれ以上は付き合いきれません。不毛な議論をしている間にも、何物にも代えられぬ民の血は流され続けて
います。私はこの一連の事態を計画された攻撃行動と認識し、王軍を出動させ敵軍を殲滅いたします」
「そ、そんな!? そんな事をしては・・・」
「マザリーニ枢機卿、お伝えしましたよ」
 アンリエッタの言葉に周囲が騒ぐ中、椅子に座り悩み続けていたマザリーニは顔を上げた。

「分かりました姫殿下、命令に基づきトリステイン軍の編成を行います」
「了解」

 アンリエッタは会議室を出ると、部下を引き連れ自室へと戻って行った。


「アニエス、貴女はどう思いますか?」
「私がですか? そうですね・・・」
 自室へと向かいながら、アンリエッタは腹心の部下に問うた。

「条約破りもいいところですね、あからさまな。時間が経てばたつほど、敵の思う壺です」
「ですが放ってはおけません。宣戦布告にしては、余りにも物騒すぎます」
 自室の扉を開け、中に入る。背後でアニエスが扉を閉める音を聞きながら、ドレスを脱ぎ始めた。

「我が軍の竜騎士隊を退けてから、敵に動きはありません。自ら仕掛けては来ませんが、無視する事は出来ません。
近づけば攻撃してくる、これは典型的な示威籠城戦です」
「村は草原であり無限に広い庭でもあると言う訳です。そしてあの長射程のカノン砲、あの砲に近付ける物など
ある訳も無い・・・」
 ドレスをベットに脱ぎ捨て、下着だけの姿となる。その間にアニエスは部屋の奥から取り出していた一式の鎧を、丁寧に
着せてゆく。


333 :スナイピング ゼロ:2008/10/08(水) 22:18:55 ID:???
「ですが、連中はもはや脱出出来ない。村を連中にとって地獄の釜の底も同然にしてやります。『レキシントン』艦上から
引きずり出し、そこに叩き墜とす。ですが、そのための方法がありません」
「左様です」
 肩を落とす姫に対し、騎士は冷静に同意した。部屋の中が、しんと静まり返る。床を見つめていたアンリエッタは、
悲壮感を漂わせた表情を部下に向ける。

「艦隊や竜騎士も失った今、どうやったら・・・あの草原の空に君臨する鋼鉄の城塞を打ち崩せるか?」
「・・・姫殿下は、どうすれば良いと考えておられますか?」
 アニエスは腕を組み、姫に問うた。鎧や剣が、ガチャリと音をたてる。
「そうですね・・・」
 顎に手を当て、アンリエッタは考えた。

「大型艦船」
 アニエスは、首を横に振った。
「NON 大型の物は壊滅しました、それに奴らが何時までも上空に船を停泊させているとは限りません」

「小型快速艦艇」
 今度は、アンリエッタが首を横に振る。
「NON カノン砲や火竜の餌食になります、砲弾や紅蓮の炎に耐えられるとは思えません」

「竜騎士隊 直上からの降下」
 再び、アニエスは首を振るった。
「NON 艦載の砲弾で、直上はおろか接近すら出来ません」

「残っている艦艇を大量に使用して ドラゴンの使用」
 アンリエッタも、再び首を振る。
「NON 砲弾は誤魔化せても、竜騎士がいます」

 まさに八方塞がりであった。敵に対し有効な反撃策が無い現状に、アンリエッタは溜息をつく。その時、アニエスは
後ろを振り向いた。直後に、ゆっくりと扉が開かれる。

334 :マロン名無しさん:2008/10/08(水) 22:23:02 ID:???
支援

335 :スナイピング ゼロ:2008/10/08(水) 22:26:41 ID:???
「結論は」
 現れたのは、青色のドレスらしき服を着た一人の女性だった。背後には、側近らしき女性の姿がある。
「カノン砲も火竜も、戦列艦をも物ともせず・・・草原に君臨する巨艦を大地に叩き落とす事が出来る、そんな方法です」
 二人は、昨夜マザリーニが言っていた外交会議の代表者であった。すぐにアニエスは方膝を付き、頭を下げる。
 
「まさしく、無理難題です」
「いえ」
 諦めたかのようなアンリエッタの言葉を、側近である女性が否定する。
「あります。一機種のみ、その無謀を適える機体が」
「それは本当ですか!?」
 アニエスは立ち上がると、大声で叫んだ。女性は、ドレス姿の女性に小さな声で話しかける。その女性は、軽く頷いた。 

「本当です。私の個人的な知り合いに、その機体を所持する者がいます。今から連絡を取ってみましょう」
「感謝いたします」
 アンリエッタとアニエスは、同時に頭を下げた。

「もちろん、タダでは出来ません。現在、我が国はエネルギーの輸入や燃料の輸出が出来ず困窮しています。そのため、
トリステイン王国と貿易関係を築きたいのです。この要望、受けてくださいますか?」
「それは勿論、我が国に出来る限りの事をさせていただきます。貴女様の国との貿易は、トリステインにとっても有益な
ことですから」
 その言葉を聞いて、女性は側近に何やら話しかけた。側近の女性は一礼して、部屋を出て行く。扉が閉められると、女性
はアンリエッタに向き直る。

「あと一つ、お願いがあるのですが・・・よろしいですか?」
「なんでしょうか?」
「私と側近の者を、今から向かう戦場に同伴させていただきたいのです」
「「は?」」
 突然の事に、アンリエッタとアニエスの台詞が被った。国交を結んだばかりの相手国の代表を戦場に同伴させるなど、
聞いた事が無かったからだ。額に浮いた汗を手の甲で拭いつつ、アニエスが口を開く。


336 :マロン名無しさん:2008/10/08(水) 22:33:21 ID:qmj2X2hq
アンアンじゃインテグラになれなかったっか。

337 :スナイピング ゼロ:2008/10/08(水) 22:36:25 ID:???
「お言葉ではありますが、国家の代表であられる者を戦場に同伴させると言うのは・・・」
「非常識であるのは分かっています。ですが、友好国が危機的な状況にあるのを見過ごす訳にはいきません」
「しかし・・・」
 女性はアニエスから、アンリエッタに視線を移す。

「お願いします。どうか、私を貴女達と共にラ・ロシェールにお連れください」
 女性は二人に対し、軽く頭を下げた。
「トリステイン王国王女、アンリエッタ・ド・トリステイン殿 」
「・・・殿下、どうなさいますか?」
 困った表情のアニエスを横目で見ながら、アンリエッタは即座に答えを出した。どうせ拒否したら、敵軍の打破が可能な
機体の提供は却下されるだろう。元から、この願いに否定など出来ようはずも無い。アンリエッタは女性の手を取り、固く
握手を交わした。






「分かりました、お連れしましょう。新興国アザディスタン王国第1皇女、マリナ・イスマイール様






以上で終わりです、また新たに異世界から召喚してしまいました。
どう活躍させるかは未定です。*筆者は以下略の真紀ちゃんを応援しています。

338 :マロン名無しさん:2008/10/08(水) 22:37:02 ID:???
乙。

339 :マロン名無しさん:2008/10/08(水) 22:38:57 ID:???
乙。
マザりんは老ウォルター役かアイランズ卿役でもよかったにゃー

340 :マロン名無しさん:2008/10/08(水) 22:51:01 ID:???
まぁアンリエッタとインテグラじゃ、格も覚悟も自覚も違いすぎるわな。
ていうか比べる事がインテグラに失礼。

341 :マロン名無しさん:2008/10/08(水) 23:05:28 ID:???
ゼロ魔の世界ならドーファンの速度でも充分な気がする。

342 :マロン名無しさん:2008/10/08(水) 23:59:11 ID:???
>>340
アワーズ最強の処女と比べちゃねぇ

343 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/09(木) 22:56:30 ID:???
スナゼロさん乙&GJです。

さっき自分の作品改めて見直したけど、どうして18話のルイズだけ
あんな弾けてるんだろうか。 気を取り直して19話目投下 2315より。

344 :虚無と狂信者:2008/10/09(木) 23:15:29 ID:???
三十年前のある街のある夜。
街に買い出しに来た修道女。彼女は月夜の通りを足早に歩いていた。
そこに二つの影が忍び寄る。男の声が通りに、妙な重音で響き渡る。
「眠りを導く風よ」
その声が響いた瞬間、猛烈な眠気が女性を襲った。
その正体が眠りを導く先住魔法だと、賢明なメイジであれば気づいただろう。
襲いかかる睡魔に必死になって抵抗するも、空しくふらりと倒れ落ちる。
獲物に近寄る二つの影。影が女性に手を伸ばした時、異変が起こる。
突然、得体の知れないものが彼らの回りを旋回する。
何か、異国の言葉が書かれた紙片は街の建物の壁に次々と、何処からか出現した鉄の釘で打ちつけられた。
そして、紙の一枚一枚がぼんやりと、神聖さを以て輝き始める。
吸血鬼が驚いて見上げると建物の屋根に人影を確認した。その影は三十メイルの高さのそれから
無造作に飛び降り、影達の眼前に降り立つ。その異様さに影は先住魔法を試み、異変に気づく。

世界に遍在する筈の精霊の力を借りることができない。

同様した吸血鬼が激昂し叫ぶ。
「貴様!! 何をした!?」
その胸にはブリミル教とは異なる十字架が輝く。彼はコキリと肩を鳴らして答える。
「浄化したのさ。貴様らの汚らわしき……大いなる意思だったか? それを使って小細工が出来んようにな……。
ははは! 全く! 大いなる? そんなものは我が神だけが! ヤハウェにだけが許される言葉だ!」
彼はさらに口上を続ける。
「我らは神の代理人、神罰の地上代行者。
我らが使命は、我が神に逆らう愚者を、その肉の最後の一片までも絶滅すること――。
AMEN!!」


345 :虚無と狂信者:2008/10/09(木) 23:17:30 ID:???
「さあ、泣き喚け! 死ね! 我が神を喜ばせろ! 化け物共……」
「ほざくなよ! 脆弱な人間風情が!!」
男の不遜な物言いに激昂した吸血鬼が、買い言葉と共に人では追随不可能な身体能力で飛びかかる。
しかしそれに怯むこと無く彼はそのコートから白く輝く長剣を取り出し、洗練された技術で斬りつけた。
その首がにべも無く落とされ、男は生首の髪の毛を掴み持ち上げる。
男は吸血鬼の断末魔の顔を見ながら、破顔した。
悪鬼の如き所業を心底楽しげに笑いながら行う男に戦慄したもう一人の吸血鬼は、敵に背中を見せて逃走する。
男が黙って逃す訳も無く、聖書の紙片が吸血鬼の脚に巻きつく。
それを皮切りに次々とページの群れが襲いかかり、その動きを完全に封殺した。
「お、おねがい! やめて!」
その声でその吸血鬼が女性だと気づいたが、そんなことは彼にはどうでもいいことだった。
「主を愛さない者がいれば」
男は彼女の前に立ち、祈りの言葉を口にし、剣を刺した。吸血鬼の顔が苦痛で歪む。
「呪われよ!」
叫びと共に剣を勢い良く抜き放ち、返す刀で首を刎ねる。
そして転げ落ちた首を、両の手で抱えた彼は、その恐怖に引きつった顔を見ながら、笑った。

狂気を全く隠そうともせずに、辺り一面に響き渡るほど大きく、その凶行が嘘のように愉快に。

彼はひとしきり大笑いした後でふと気づく。
「おっといかん。こいつらつがいか……。その辺に餓鬼がいるやも知れんな」
辺りに散らばった聖書の紙片が一人でに元に戻り、一冊の本に戻る。
それをコートにしまうと、彼はまた町を徘徊し始めた。

その頃には外套を羽織った少女が町はずれの森を疾走していた。

そして現在―――。


346 :虚無と狂信者:2008/10/09(木) 23:20:11 ID:???
タバサはプチ・トロワに居るイザベラの元へ向かっていた。北花壇騎士としての任務を受ける為である。
しかし、その思考は受ける任務では無く別の方へ向かっている。それは想像ですらない、ただの妄想だ。

――もし吸血鬼だったら。

ここから風のように速くあの男の元へ向かい、その喉元に噛みつき、血を吸い、そこから記憶を奪い、母を治す。

そんな馬鹿げた発想にタバサは苦笑する。吸血鬼になったところでそう簡単には行かない。
もしそうならどこぞの王族が吸血鬼に血を吸われたなどという話が立つはずだ。
そう、できない。けれど充分に魅力的だ。あの能力と暴力は。

何処か呆けた様子で、彼女はイザベラの前に立ち、任務を受ける。その任務は前もって聞いていた。
――吸血鬼。
といってもおそらくはハルケギニアの吸血鬼。これも異界の吸血鬼に劣らぬ、否、それ以上に厄介な相手であろう。
しかし、彼女の意思は、その言葉を鍵とし、また先程の空想に旅立つ。

吸血鬼となり、伯父を倒し、母を元に戻し、全てを終わらせ、

アンデルセンに殺される。


イザベラは虚ろな意識で考える。最近嫌な噂が多い。父が得体の知れない人間を宮殿に招き入れていること。
そしてその頃からハルケギニア中で吸血鬼による被害が増えたこと。
おそらく父王が良からぬことを企んでいるのは肌で感じている。それに不安を感じぬでもないので、
気に食わぬ従妹を怖がらせ、せいぜい憂さを晴らそうと吸血鬼退治などを押しつけてみたものの。
「実際あんな青い顔されると……。ねぇ」
そのままの無表情で血の気だけを引いた顔を見て少し可哀そうになる。
「そうだね。あのガキの犬耳でも、もふもふしてるか」
そう言って彼女は侍女の制止も聞かず王宮まで向かった。

347 :マロン名無しさん:2008/10/09(木) 23:20:18 ID:???
支援

348 :虚無と狂信者:2008/10/09(木) 23:23:24 ID:???
前回までのあらすじ
アンデルセンの助手ということで彼が不在の間、使い魔の代わりをしていた俺、平賀才人。
何故かスーパーヤンデレタイムに突入したルイズとシエスタから逃れる為に、タバサの任務に同行する。
セラスさんや隊長も伴って、危険な仕事に向かうのだった。

「はずだったのに、何でこんなにのんびりしてるんだ?」
ここはガリアの領地内にある森林。そこで彼らはキャンプのようなものをしていた。
ついてきたシルフィードは、セラスと水辺で戯れていた。流水は苦痛であるはずだが、
人のいいセラスは付き合っていた。その姿は自分の狩るべき相手とは思えないし、思わない。
「セラスが吸血鬼なのは秘密だからよ。タバサ嬢ちゃんが一人で仕事を受けてるんだ。」
ついでに言えば彼女が高速で飛行することができることも秘密なのでゆっくり行かねばならないらしい。
「吸血鬼って知られるとマズイんすか? ってそりゃそうか」
しかし、どうして騎士とは言え学生の身分であるタバサが危険な任務をするのだろうか。
才人としては気になったものの、タバサに尋ねたところ、何も言わず首を振られた為何も言えなかった。
(まあ、いつか教えてくれるだろ)
流石に無理をして聞く気にはなれなかった。

そこでふと思うのはルイズのこと。
(守るって約束したのになぁ……。あいつ怒ってたし……。俺何か悪いことしたかなぁ……)
学院にいるルイズを四六時中警護する必要もないし、怒りの原因も理不尽なものなのだが、それでも彼は悩んでいた。
(神父にも任せられたのになあ……。情けない……)
学院から出た最初の内は理不尽に雷撃と斬撃を浴びせて来た彼女らに怒っていたものの、
頭の冷えた今ではそれも消えていた。この辺りがこの少年の損な所である。
(汝の敵の為に祈りなさい。か……)
アンデルセンからもらった銃剣を弄びながら、止め処なく考えていた。


349 :虚無と狂信者:2008/10/09(木) 23:26:18 ID:???
その武器、重さとしては一キロ以上あるそれを眺めてふと疑問に思う。
(確か神父ってこれを三本とか四本とか持ってたよな……)
気になったので自分でもやってみる。
(こんな感じで、もっとこう……。もうちょい……)

ゴキャッ

静な森に間抜けな少年の指が折れる音と、悲鳴が響き渡った。


「何やってるんだ?お前?」
「あはははは」
銃の整備をしているベルナドットの近くに座り、恥ずかしげに頭を掻く。
ふと、帰って来たタバサがその男の持つ武器に興味深げに視線を送っていることに気づいた。
「おう、おかえり。……何だ? 撃ってみたいのか?」
才人が戸惑いながらも訊ねると、タバサはこくりと頷いた。
ベルナドットは愛用のリボルバー、コルトをタバサに預け、使い方を説明する。
「ちゃんと両手で支えて……。そうそう」
とりあえずという事で10メートルほどの距離の木に円を描き、そこを狙わせる。
しばらく静寂が包み、過保護なセラスだけでなく才人まで何故か緊張してしまう。
その二人とは対照的にベルナドットはニヤニヤして見ており、タバサは明鏡止水極まれりといった顔つきだ。

ドン!

予想以上の衝撃にタバサは吹き飛び、尻餅をつき、変わらぬ無表情でその先を見ていた。
いわゆる茫然とした状態だ。
セラスは慌てて彼女に駆け寄り、ベルナドットは腹を抱えて大笑いし、才人は、萌えていた。
その後、長い杖でその頭を叩こうと、隊長と追いかけっこをし、
尚からかわれているタバサを成程、とても可愛らしいと思った。
その言葉が口に出ていたので彼もまた追いかけられる訳だが。


350 :虚無と狂信者:2008/10/09(木) 23:29:52 ID:???
私は現場へ急行する為に風竜の背に乗りながら考え事をしていた。
彼女達を召喚した時は驚いた、何せ人間二人である。複数の使い魔を従えるなど、始祖降臨以来今まで無かったことだ。
最も彼らから言わせれば、元々二人で一つのような存在だったのが、召喚されたことで元に戻ったものらしい。
目の前の女性を見ながら、つくづく吸血鬼という存在は馬鹿げていると思う。血を吸い、その命を自分のものとする。
戦闘能力、不死性、特殊能力、etc. 馬鹿げていると言ってもいい人間との差。
 一方のベルナドットもまた、相当なものだと思う。あのような銃器を自在に使いこなし、その見識は鋭く、深い。
 というかサイトも普通に使っていたし、反動があんなに凄いものだとは思わなかった。
 異世界で傭兵団を率いていた彼の判断力には敬服している。戦闘に対する気構えの点で言えば私より上だろう。


 しかし、タバサは気づいていない。本当に彼らを必要としている所はそこではないと。
 本当に彼らが自分を救っているのは、例えば命の危険があった後に涙を流し心配してくれることや、
あるいは兄のような笑顔で頭を撫でられた時だということを。

 そして彼女は求めている、力を。彼らが祝福する筈もない、力を。
 母の為に、復讐の為に。誰も彼もそれを祝福しないのに。

 次に私は才人を見やる。正直何故彼を連れて来たのか、自分でもわからない。
単純に戦力が増えるのはいいことだ。風のスクウェアを打ち破った実力は評価できる。
でもそれだけでは無い
ただ、一つ言えるのは彼と私はある意味、近い。

彼も力を欲している。私も力を欲している。
彼はアンデルセンを見た。私はセラスとアーカードを見た。

ただそれだけだ。私はあの男を倒す為だけに、母の為だけに戦っている。
しかし彼は

彼は何故?
あの恐ろしい場所に行くのだろう。

351 :マロン名無しさん:2008/10/09(木) 23:33:27 ID:???
支援2

352 :虚無と狂信者:2008/10/09(木) 23:33:47 ID:???
それを見極めたい。いつか彼と相対した時の為に。本当はそうならないのが一番だが。
けれどいつか、私は人間を辞める日が来るかもしれないから。
その時、目的を達するまで死ねないから。

「で?任務って一体何なんだ?」
 布で銃剣を磨きながら訊ねる。
「吸血鬼退治」
 自分に縁深いその言葉に才人はどう反応したものかと考える。タバサは続ける。
「貴方達の世界の吸血鬼では無い。ハルケギニアの吸血鬼」
 彼女の説明によると、ハルケギニアの吸血鬼はセラス達とは異なるものらしい。
 狡猾にグールを操り、敵に正体を悟られること無く血を吸う。先住魔法を操り、人と見分ける方法は無い。
「体温が低かったり、聖書に弱かったりは?」
「体温は人と変わらない、妖魔であって死体では無い。
聖書に関しては未知数。祝福された武器でなくとも傷つけることはできるはず」
成程と才人は唸る。手強そうな印象を受ける。直接の戦闘力で言えばセラスには勝てまいが、
人と見分けがつかず、突然身構える間も無く襲われるのであれば、それは単なる暴力以上の力である。
アーカード達を、力を振るう暴君と言うなら、彼らは智を用いる死神であろう。

「人間と区別がつかないのは、厄介だな……」
 元の世界の吸血鬼であれば、その肌を触れば異常なまでの冷たさによってその正体に気づくだろう。
 それが通じぬのは、成程分が悪い。発見するのは骨が折れそうだ。
「発見した後も問題。力が強い上に先住魔法を使う」
「そうそう、さっきも気になったんだけどよ、先住魔法って何だ?」
ベルナドットも会話に入り、セラスも聞き耳を立てる。
「メイジが扱う系統魔法と対を為す、亜人やエルフが扱う魔法。系統魔法が人の力を使うのに対し、
先住魔法はこの世界に普遍に存在する精霊の力を使う」
「精霊……ね」
 成程ファンタジーだなと納得する。それは皆同じ気持ちのようだ。
「もちろん!この知恵のドラゴンであるシルフィードも使えるのね!
お兄様達好みのナイスバディに変身したのも精霊の力なのね!」

353 :虚無と狂信者:2008/10/09(木) 23:37:27 ID:???
 いらないことを言われ、才人の目線が泳ぐ。女性陣の視線が何処となく痛い。
 才人は強引に話題を転換させようと、今までに無いほど頭を回転させる。
「け、けれどよ。確か顔を変えるくらいの魔法がスクウェアクラスなんだろ?
ってことはワルド以上の強さってことかよ?」
 水と風のスクウェアスペルであるフェイスチェンジを例に出す。今だ目線がキツイもののタバサは頷く。
「一概には言えないけど、そう思っていい」
才人は気を引き締めつつ、ふと思いついて懐から銃剣を取り出す。
その呪文のような形の光を見ながら考える。
 アンチキリスト 精霊 神ならざる力
「いかなるものの形も作ってはならない。あなたはそれらに向かってひれ伏したり、
それらに仕えてはならない……」
「何?」
「何でもない」

サイトはふと辺りの皆を見回して気づく。
「あれ? 隊長のトンプソンとセラスさんのハルコンネンは?」
その言葉に二人は頭を掻く。
「いやあ、大尉に折られちゃって……」
「おれも残弾がほとんどなくなってよ」
「え?どうするんですか?」
「キュルケ嬢ちゃんが修復してくれるっていうから預けた」
ああ、それで彼女達の姿が見えなかったのだなと納得する。
確か彼女の実家であるゲルマニアは治金技術が発展しているらしい。
「成程、まあでも……」
(セラスさんはともかくとして隊長は……)
ちょっと浮かんだ酷い結論にサイトは首を振った。


354 :虚無と狂信者:2008/10/09(木) 23:41:05 ID:???
「十字架や、祝福された武器は、吸血鬼以外の者にも有効なの?」
 タバサの突然の問に、才人は少し驚きながらも丁寧に答えた。
「うーん、何て言うか……。いわゆるアンチ・キリストの化け物全般に効くらしいよ」
「例えば?」
「そんなの本当にいるのかわからないけど。悪魔とか、悪霊とか、そういうの」
 別に吸血鬼という存在があるのだからそう不思議な話でも無いだろう。
 いわゆるエクソシズムも13課の仕事だ。
「そう」
 何故かホッとした様子のタバサを不審に思ったサイトは思考を巡らせる。そして彼女に関する一つの事実に思い当たった。
「ああ、大丈夫大丈夫。多分お化けにも効ポペ」
 その言葉はタバサの杖の一撃により阻まれた。

「で、隊長。気になったんですけど」
「何だよ。セラス」
「お兄様 達 って何ですかね」
「きゅい?それはたいちょーなのね」
(この竜。空気読めねえ……)
 期待するだけ無駄である。セラスはふーんと頷いた。

「そんだけ?」
「へ?」
「ねえ?焼いて? 焼き餅焼いて。そんでボコボコにして!」
「キモイ!!」


355 :虚無と狂信者:2008/10/09(木) 23:43:40 ID:???
件の村に着き、タバサはセラスと才人をそれぞれ指差した。
「囮」
「セラスさんはともかく俺も?」
「タフだから」
成程と才人は納得する。作戦はシンプル、無防備を装うメイジを餌に隠れた攻撃役が撃つ。
元より全員が何らかの一撃で終わらせられる攻撃手段を持っているタバサ主従である。
自分が囮なのは全くもって自然だ。元より勝手について来た身であるから文句は言わない。
セラスはタバサの杖を、才人はマントをそれぞれ身につけ、村に入った。

二人のメイジがやって来た時、村人の反応は芳しくなかった。
「まあ、あんな小さい嬢ちゃんを従者にして……」
「男の方のメイジなんかまだ子どもじゃないか……?」
「従者の男の方がまだ強そうだ……」
「女性の貴族様は凄い美人だな……」
その会話を聞きつけた才人がタバサに耳打ちする。
「評価が低いのって全部俺らの所為かな?」
彼女は沈黙という肯定を返した。


356 :マロン名無しさん:2008/10/09(木) 23:45:43 ID:???
支援3

357 :虚無と狂信者:2008/10/10(金) 00:00:08 ID:???
村長の村につき、タバサが(表向きはサイトが)指示したのは体を改めること。
グールには吸血鬼の牙の後が残るためだ。
それこそ老人から子供まで、役割分担して徹底的に洗う。
しかし、山ヒルが多いらしく、それに噛まれた傷と区別などつく筈も無い。
才人もとりあえず何人かメモをとったが彼の分だけで五人もいるのだ。
頭を抱えて部屋に戻ると、セラスが少女に怯えられていた。目が涙で潤んでいる。
「どうしたんですか?」
村長は貴族のマントをつけたサイトに申し訳なさそうに呟いた。
「あの子は両親をメイジに殺されたのですじゃ。それっきりメイジに怯えてしまいまして」
才人はポリポリと頭を掻き、カモフラージュ用のマントを外して近寄る。
「ああ、君。とって食べたりしないから、ね?」
その少女はチラリとこちらを見る。
才人はその変化を見逃さなかった。
少女が自分を見た時の表情、覚えがある。
アンデルセンが吸血鬼を狩った時、その吸血鬼が見せた表情だ。

その目線は確かに、彼の持つ十字架に向けられていた。

「この子の名前は?」
村長は怪訝な表情で答える。
「エルザですじゃ」

次に被害の状況を尋ねる。二ヶ月程で9人の被害、その中にはトライアングルのメイジも含まれる。
「最初に被害に遭ったのは、十二才になったばかりの娘で」
それを聞いた才人は静かに十字を切った。その仕草の意味する所が分からない少女の親は、
それでも才人の痛切な顔を見て、頭を下げた。

358 :虚無と狂信者:2008/10/10(金) 00:02:55 ID:???
セラスとベルナドットが村人を尋問し、タバサと才人が現場検証をするという風に役割分担した。
最後に吸血鬼が現れた家で捜査する。
疑問点は二つ。見張りの村人が必ず眠りこけてしまう点。そして鍵のかかった家にどう侵入したか。
「眠りの先住魔法」
「そうなのか?」
「風のある所ならどこでも使える初歩の先住魔法」
「チートだな……」
「チート?」
「反則な位強かったり性能が良かったりってこと。例文『アーカードさんはチート』」
そんな会話をしながら二人は家の中を調べ回る。成程鍵はしまっている。
窓は板で打ちつけられ、扉は家具で固定されていた。
「となると後は煙突だな」
「小さい」
確かに煙突の幅は狭く、仮に吸血鬼がタバサ位の背格好だとしても無理だろう。
「アーカードさんみたく蝙蝠になったりは?」
「できない」
それでもと才人は煙突の中を見る、しかし煤だらけになるだけで何の成果も無い。
お手上げのポーズをして、サイト達はセラス組の方に向かった。

タバサはその背中を見ながら考える。

彼は女性に優しい。それは彼の信条であり、曲げられない不文律だ。
そして私は仮定する。もし、私が吸血鬼になった時。
彼は私を殺すだろうか、殺さぬだろうか。
友である私を殺すだろうか、殺せぬだろうか。それとも殺されるだろうか。

「酷い奴」

私は今、とてつもなく残虐で非道な打算で彼の隣にいるのだ。

359 :虚無と狂信者:2008/10/10(金) 00:05:09 ID:???
ふと見ると、一軒の家に鍬や鍬で武装した村人達が集まって、何やら不穏な空気を醸し出している。
慌ててその家に入ると粗末なベッドの回りで人間達が集まっている。その中にセラス達も含まれていた。
「何事です?」
「あ! お嬢様!」
咄嗟にそう言ってしまったセラスの靴をベルナドットが踏む。
「あう……。サイト君、実は……」
曰く、この家に住む占い師の老婆とその息子アレキサンドルが怪しいと、村人達が大挙して乗り込んできたらしい。
しょうが無いのでセラスもこの老婆を日光にあてようとするのだが、
村人が大挙して押し寄せたので脅えてしまったのか言うことを聞かない。
ふとベルナドットが才人の肩を叩いて言う。
「おお、丁度良い。こちらのお方は一級フラグ建築士、故に安心してお任せできる」
「何すかそれ? ……まあいいですけど」
そして才人は老婆に近づく。アレキサンドルが暴れかかるも村人達が取り押さえる
「あのですねー。この人達がどうしてもと言うので、少しお散歩に行ってくれると有難いんですけど」
などと気さくに話かけてみる。殺気のさの字も無い、ある種情けないほどの態度でしばらく
語りかけていると、老婆の方も落ち着いたのか、毛布から顔を出す。
そしてベッドからのろりと立ち上がる。そこでサイトは手を差し出したのだが、彼女はその手を
借りることなく、手を虚空にやる。才人は辺りを見回し、部屋の隅に立てかけられた杖を見つけ、差し出した。
タバサはその光景に一瞬眼光を鋭くした。
「ほら、こっちこっち、お婆ちゃん」
そして背中を押しながら、家の外に出る。
「いい天気だねー、お婆ちゃん」
才人の問いかけにしきりに頷く老婆に村人は顔を見合わせ、引き下がった。
一安心と息を吐く少年の手を、老婆は有難げに擦っていた。
「も、もう分かっただろ!」
息子が老婆に駆け寄る。しかし、その息子の態度にやはりタバサは不審な物を感じた。

360 :虚無と狂信者:2008/10/10(金) 00:07:37 ID:???
「ふう」
「これで安心だな」
「安心?」
ベルナドットの言葉にセラスが首を傾げる。
「ああなった時にはよ、人間ロクなことをしねえもんさ。ああしなかったらいつか焼き打ちでもしてたんじゃねえの?」

「どうしたんですか? お嬢様」
セラスが押し黙ったままのタバサに聞く。
気になったのはさっきの光景。少し違和感を覚えた。
息子が老婆を外に出す時、彼は暴れていた。それは少しおかしいのではないか。
老婆が疑われているなら外に出して身の潔白を証明すればいいのだから。
老婆の病気がもし立てない程深刻だったなら話は別だが、杖があれば歩けたのである。
「杖があれば歩けるのに、杖はベッドの側ではなく、部屋の遠いところに置いてあった」
「というと?」
「まるで老婆が外に出ることを防いでいるようだった。」
才人の頭の中で、例の曲が脳内再生される。
「真実はいつも一つ! タバサ何てバーロー?」
「バーロー?」
「俺の国の有名な探偵だ」
「ほらよ、蝶ネクタイ。」
「隊長。何げに日本文化詳しいっすね」
となると老婆はアレクサンドルに対して恐れていたということだ。
「じゃああの人が吸血鬼?」
タバサは首を振る。
「吸血鬼ならば疑われた時点でとっくに村から出ている。いつまでも村にはいない。おそらくグール。
確証は無いが、見張りをつける」
皆が感嘆の声を上げ、タバサに蝶ネクタイをつける。

その光景を彼らの視界の外で、一つの影が見ていた。

361 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/10(金) 00:14:14 ID:???
以上で投下終了です。まとめ、支援ありがとうございました。
原作十巻の伏線までいれたら冗長になりましたね、すいません。
三十年前の話は、7万以降の話に結構かかってくるので。
まあ、戦闘まで書くのはこれで最後にします。そういいことでは無いので。
あと、タバサが黒いのは十巻の為です。書けるといいな……。それでは

362 :マロン名無しさん:2008/10/10(金) 06:55:49 ID:???
GJ!
>「そうだね。あのガキの犬耳でも、もふもふしてるか」
不覚にも、この一文でデコ姫が可愛いと思ってしまった。


363 :マロン名無しさん:2008/10/10(金) 07:26:18 ID:???
狂信者の方、乙です

エルザの両親(?)が出てくる展開は初めて読んだ気がします
もっともすぐに退場しちゃいましたが…

タバサ、吸血鬼化して事が済んだら死ぬ気みたいですね
正に復讐を果たす為だけに力を求めてますな
復讐だけでなく母親を助ける為に力を求めてるのに、それだと意味がないじゃん…
これは早くサイトにデレないとまずいか?

今回はネタが豊富で笑わせていただきました
サイトのコ○ンネタ、いいですね〜
それに隊長、知ってるとはジャパニメーションが好きだったのか?w
隊長も何気にセラスの事を意識してる?
でも「ボコボコにして!」 はないでしょうw

次回は吸血鬼殺人事件・後編ですね
人間化してないシルフィがどう絡んでくるのか、タバサのサイトへの好意UPはあるのか?
次回も楽しみにしております




364 :マロン名無しさん:2008/10/10(金) 18:42:17 ID:???
狂信者の人、乙!
イザベラに犬耳?をモフモフされているシュレを妄想して妙に和みました。
大尉もイザベラにモフモフされているのでしょうか?

365 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 04:39:31 ID:???
狂信者の方、乙です!
丸1日以上投下に気づかないとは… 不覚!

今回はタバサの黒い情念が淡々と語られてますね。
そのうえ自滅まで覚悟してるとは原作以上に悲惨かも。
迷いの中でサイトへの想いが大きくなるのはいつ頃かな?

>こちらのお方は一級フラグ建築士
今回ここで大笑いしてしまいましたw
サイト、早くタバサフラグも立ててくれ!

>この辺りがこの少年の損な所である。
なんというか… あんなことされてもこう考えるサイトはお人好し過ぎ。
アンデルセン神父よりよっぽど神父に向いてるかもw

今回は10巻の伏線が出てきてるので、タバサスキーとしては今から楽しみです。
アーハンブラ城の時点で、タバサルートが確定してるといいな〜
次回も楽しみにしております。





366 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 14:41:26 ID:???
狂信者を読み直して気付いた事を一つ・・・
細かい事だけど一応指摘しておきます。
冶金(やきん)の冶が治になっていました。

367 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 17:54:32 ID:???
狂信者さん乙です
気になったんだけどシュレって犬なの?名前とかで今まで猫かと思ってたんだけど

368 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 18:16:55 ID:???
シュレディンガーの「猫」だろう

369 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 20:40:39 ID:???
シュレディンガー准尉は旦那並のグロい迫害受けてそうなイメージがある

370 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 21:18:29 ID:???
迫害と犬耳、モフモフで妄想してみた。
シュレ「や・止めて・・・」
イザベラ「ふっふっふ、ここが良いのか」
シュレ「に、にゃあーーー」
ジョゼフ「博士、まさに君はイカレタ天才だ!!」
ドク「感謝の極み」
ジョゼフ「それにしても犬属性にもかかわらず、彼は猫みたいな声で鳴くな」
ドク(陛下、私は猫をイメージして彼を作ったのですが…)

371 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/11(土) 23:12:50 ID:???
冶金は素で間違ってました脱字でなくorz
あとヴェアヴォルフだけに犬かなと思ったんですけどね。
20話目投下 2330より

372 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 23:17:14 ID:???
おおっ! もう続きが読めるとは…
支援だ!

>371
あ、19話で誤字を見つけたのでご報告

>同様した吸血鬼が激昂し叫ぶ。
 
動揺かと

373 :虚無と狂信者:2008/10/11(土) 23:28:25 ID:???
夜になり、村中の娘を村長の屋敷に集め、守ることにした。
怪しいアレキサンドルは、ベルナドットが見張っている。
そして中庭ではメイジ役のセラスとサイトが武器を置いて酒を飲み、管を巻く。
無力を装い酒に酔ったふりをして吸血鬼を誘き出す算段である。
「何だよあいつらー。俺が何したってんだよー」
才人が飲んでいたのは葡萄ジュースの筈だったが、それでも酔っぱらっている。よほど辛かったらしい。
「何でさー、女の子に電流流れる首輪つけられる訳? 俺の国なら普通に警察動くよ?
それとも何? これがこの国の貴族のスタンダート何ですか? ねえタバサ!」
タバサは黙って石を投げる。若干正気に戻ったらしい才人はいらないことを言わないように突伏する。
そしてフラリと屋敷のトイレに向かった。

才人が廊下でバタリとすれ違ったのは、エルザだった。
「あ、貴族様」
「やあ、エルザ。早く眠りな。お兄ちゃん達まだ起きてるからさ。」
そう言って頭を撫でてやる。少女は才人の下がりかけた瞼を見る。
「貴族様眠そう」
「眠いよ」
「大変だね」
「まあね」
「ねえ。貴族様はどうしてメイジを退治するの? そんな大変なのに」
エルザの問にサイトはぼんやりと考える。
何故だろう。
奴らが人を殺すから?
アンデルセン神父に憧れたから?
吸血鬼に殺されかけたから?
「エルザや、エルザの友達を食べるからだよ」
そう言った才人も自分で嘘に気づいていた。
それは一つであって、全てでは無い。

374 :虚無と狂信者:2008/10/11(土) 23:31:21 ID:???
俺は何故



「ねえ。お兄ちゃん。何で吸血鬼が血を吸ったらいけないの?」
「え?」
「お兄ちゃん、さっきワイン飲んでたよね? でも葡萄だって生きてるよ?」
「……まあ、そうだね」
「吸血鬼が生きる為に人を殺すのと、人間が生きる為に葡萄を採ることとどこが違うの?」
「うーん……」
その理屈で言うとベジタリアンも駄目だよなあ、などと変なことを考える。
「まあ、そうだね。人間じゃないもんなあ」
人間でないものが、人間を喰う。人間が、人間でないものを喰う。
「じゃあ、吸血鬼が間違ってるって訳じゃ無いんだ」
「ああ、けどそれはきっと」

何が正しいとか、間違っているとか、そんな次元の場所じゃない。
吸血鬼も、それを狩る者も、そこにどんな道理があれ、論理があれ、
あの行為が糞の様な闘争であることに代わりが無い。なら、

そこに行く俺は何だ。
人か? 正義か? 答えは出ない。

だから、今は、これでいい。

「俺は人を殺す吸血鬼を狩る。俺は人間だから」


セラスを見張っていたタバサは若干意識が弛緩していたが、
ベルナドットが使い魔として感覚を共有させたことで意識を張り詰める。

375 :虚無と狂信者:2008/10/11(土) 23:34:39 ID:???
アレキサンドルが突然村長の家の方向へ疾走した。
ベルナドットがワルサーを取り出し、人間ではあり得ない速さで走るそれに発砲する。
足と背に着弾するも、全く動じることなく怪物は視界から消えた。
「シルフィ! 頼むぜ!」
武器を引き下げ、彼は青い竜の背に飛び乗った。

才人は夜も遅い為、エルザを寝室に送ってやった。
「ほら、ついたぞ」
エルザがドアノブに手を掛けたその時だった。
木の壁を突き破り、その怪物が姿を表す。
才人はすぐに銃剣を取り出し、その心臓を貫いた。
しかし、怪物は全く怯まずにその剛腕で才人の首を締め上げた。
「ちっ」
少年がそう毒つくと、今度は両手に銃剣を持ち、敵の両肩を貫いた。
一瞬力が抜けた瞬間を逃さずに、蹴りを放って距離を保つ。
しかしアレキサンドルは肩から銃剣を引き抜き、サイトの胸に突き立てた。
そして脅えたエルザを抱え、自分が壁にあけた穴から飛び出した。
残された彼も銃剣を抜き取り、すぐにその後を追った。

ハルケギニアの吸血鬼によりグールになった人間は才人の知るものと違い動きが早い。
無尽蔵に作るそれと、力を込め作る一体の差だ。
人間の足では普通は追従不可能だが、それでも才人は訓練の甲斐あり何とか視界に収めている。
ふと獲物を抱えたグールの前に人影が立ちはだかる。セラスが左腕を変化させ刃と為し、
少女を掴んだグールの腕を引き裂いた。呻き声を上げ、さっき以上の速さで食屍鬼が逃げだす。
フライの呪文で追いかけてきたタバサがセラスとサイトに指示する。
「追って」
才人は了解してセラスと共に追いかけた。

376 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 23:35:56 ID:???
支援

377 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 23:36:01 ID:???
支援

378 :虚無と狂信者:2008/10/11(土) 23:37:25 ID:???
「タバサ嬢ちゃん! すまねえ! 大丈夫か」
「平気。セラスとサイトが追いかけている」
「そうか、なら大丈夫だ」
そして風竜の背に乗ろうとした時、異変が起こる。
ドサリと音を立て、シルフィードとベルナドットが地面に倒れ伏す。
それにタバサが気付いた時、木の枝がしゅるりとその腕をとった。

才人は食屍鬼を追いながら、ふと先程の光景を思い出し、足を止める。
あのグールの行為に感じたどうしようもない違和感。
そして彼は元居た場所に戻った。

「あなたが……。吸血鬼?」
「そういうこと」
五歳程の少女がその無邪気さ故に凶悪な笑みで答える。
「まあ、ちょっと焦っちゃった。彼がグールだってばれたし、メイジ二人だもんね。
あ、でもあのお兄ちゃんは本当にメイジかな? 剣つかってたし。」
だがタバサは納得がいかない。
「なぜ、こんなリスクを犯したの?」
「確かに危険ね。でもここは私が一生懸命契約したからね。そこにおびき寄せた時点でほぼ私の勝ちだよ。
あなた達を纏めて始末するならこうするしかないでしょ?」
「……それだけ?」
タバサのこの状況でなお冷たい瞳に吸血鬼は笑って答える。
「まあ、何て事は無いわ、私怨よ」
「私怨?メイジに対する?」
「いいえ、あの男の子。まあ、私にも色々あったのよ。
それより……」
エルザはゆったりとタバサに近づく。
「あなたがミイラみたいに干からびてたら、きっとあの子泣いちゃうわね。それでいいわ。
それじゃ、いただきます」
そう言って彼女はその口から長い牙を出し、タバサの首筋に突き立てた。

379 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 23:38:04 ID:???
このサイトだとエルザを殺せそうに無いな支援。

380 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 23:40:34 ID:???
エルザ、やっぱり十字架見てたか
支援

381 :虚無と狂信者:2008/10/11(土) 23:41:11 ID:???
私は意外にも穏やかな気分だった。何のことは無い。戦って、負けて、終わるだけのことだ。
どうしてだろう。
私は悠長に考える。そして一つ結論に達した。

これで人として終われるからだ。

元より、永遠の命に興味など無い。ただ力が欲しかった。
母様を元に戻す力が欲しかった。それだけだ。
あの男に復讐を成す力が欲しかった。

吸血鬼になってその後どうなる。
そうすれば復讐を終えた後どの途アンデルセン達に殺される。

それでもなお戦い、戦って戦って戦って。
そう生きようとした。
そうすればきっと歓喜なのだろう。
無限に戦い無限に殺しそしていつか息絶える。
そうすればこの無限の地獄から抜け出せると。
地獄を楽しみ地獄を歓び地獄を進軍する。
正気から狂気へ向かい、狂気から滅びへ向かえたら。

戦わなければ、私の母は狂ったまま。
勝とうと思えば、私は人間では無くなる。

もはや諦めてしまえば、人間でいられないなら。
化け物として生きるのでは無く、人として死ねたら。

382 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 23:43:05 ID:???
諦めちゃダメだシャルロットぉぉぉ

383 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 23:43:31 ID:???
>貴族様はどうしてメイジを退治するの?
吹いたぞw
支援

384 :虚無と狂信者:2008/10/11(土) 23:44:45 ID:???
それでも、彼のように諦めを踏破するなら。



吸血鬼が、後から飛来した何かを弾き飛ばす。
それは銃剣。ただ一振りのバイヨネット。

「我らは神の代理人 神罰の地上代行者
我らが使命は 我が神に逆らう愚者を
その肉の最後の一片までも絶滅すること―――」

彼はきっと私を打ち倒してしまうもの。

「AMEN!!」

彼のように生きれたら、彼らのように生きれたら。
ただ己の意志のもとに、地獄たろうと何処だろうと、
どこまででも突き進めたら。


エルザは怒りの形相で毒つく。
それはもはや人間の少女では無い。ただの化け物だ。
「その言葉……!」
「何故そこまで俺を憎むんだ? 吸血鬼」
才人は間断なく構え、彼女と対峙する。
「三十年前。私のパパとママは! あんた達に殺された! 笑いながらよ……。
許せない!」
三十年前、そう言えばいつかアンデルセンに三十年前こちらの世界に来たイスカリオテ機関員がいると聞いた。
「以来三十年間。私はあなた達を倒すことだけを考えて生きてきた。今ようやく叶うわ……。願いが!」
吸血鬼が両手を広げ、木々と風がそれに従うように蠢き始めた。

385 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 23:44:46 ID:???
タバサ、心労から人生諦めてる!? 
こういう考えにサイト達は怒りそうだ
支援!

386 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 23:47:56 ID:???
追い詰められていたのだねタバサ支援

387 :虚無と狂信者:2008/10/11(土) 23:48:41 ID:???
才人は激昂する吸血鬼に対し、申し訳無さそうに頭を掻いた。
「いや、なんつうかさ。俺は厳密にはあの人達の仲間では無いんだよね。神父に付いてってるだけで」
「一緒よ!」
「それに多分さ、俺はあの人達よりもひどいよ」
遠い目をして彼は続ける。あの神父の姿を思い浮かべる。
「彼らは銃剣。彼らは神罰。彼らは暴力装置。けれど俺は違う」
コートから二本の銃剣を取り出す。
「俺は君が許せない。人を殺すものを、血を吸うものを、俺達でしか打ち倒せない化け物を、
だから」
一拍置き、少女の形をした怪物を倒す為の決意を口にする。
「君を狩る。身勝手なんだよ俺は。ただの人間だから」

そう、彼が戦うのは彼の意志。彼の心に反するものを全力で打ち倒す。
彼自身のバイヨネットで。そうあれかしと叫んで斬る。

「私を狩る?この状況で?話をしてて思ってたけど……脳みそはかなりおめでたいみたいね!」
先住魔法により操られた木々が枝を鞭のように撓らせ、才人に向かい襲いかかる。
その攻撃をある時はしゃがみ、ある時は飛び越えて敵の懐に近づこうとする。
苦し紛れに銃剣を投げつけるも、風の障壁によって
これに対し吸血鬼は攻撃を加えながらも、十分に才人との距離をとる。
「魔法も使えないただの人間が、本気で叶うとおもっているのかしら?」
不可視なる風の弾丸がしたたかに彼を撃つ。
ワルドの場合は呪文の詠唱によりある程度タイミングは掴めたものの先住魔法に呼び動作はほとんど無い。
衝撃に耐える為に体を硬直させる暇もなく吹き飛ばされる。
この隙に木々が彼を捕まえようとするも、その体を踊らせ束縛をかわす。
そして懐から銃剣を両手合わせて四本、おそらくこれが彼の限界の数、満身の力で投げつける。
「馬鹿の一つ覚えね。本当に脳みそはすっかりおめでたいのね!」
風の障壁が銃剣を弾き落とす。しかし、その足元に何かが転がって来る。
手榴弾
爆発により粉塵が舞い彼女の視界を覆う。

388 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 23:51:41 ID:???
このサイトは勇者だ支援

389 :虚無と狂信者:2008/10/11(土) 23:52:13 ID:???
「しゃらくさいまねを!」
身を強ばらせ、敵の襲撃を待つ。そして背後に気配を察し、才人の喉元に噛みつく。

だがサイトは首を噛まれながらもがっしりとその腕を掴む。
「捕まえた」
エルザははっとルーンが聞こえた方へ顔を向ける。そこには自分が杖を奪った少女が、
節くれだった杖を自分に向けていた。彼女を拘束していた木は銃剣によって切断されている。
才人が淡々と説明する。
「視界を奪ったのは攻撃の為じゃない。タバサに杖を渡す為だ。惜しかったな」
氷の矢がエルザの腹を貫いた。


人間ならば即死の攻撃だが、それでもエルザは動いていた。
「何で、何で貴方達は私達を殺すの? 何で貴方が私を殺すのはよくて、私が人を殺すのは駄目なの?」
少女の言葉に才人は残念そうに答える。その表情は三十年前の機関員ともアンデルセンとも違う。
そこには狂気も歓喜も無かった。
「……よくないよ。殺すことにいいも悪いもない。人間で無い君が人間を食うことも、
人間が人間を食う君を殺すことも、それはもはやそういうものだ」
無慈悲な節理を口にする才人の表情は恐ろしい程に昏い。
「いやよ。仕方なかったの。生きるために。私は悪くない……」
「ああ、悪くない。君が間違ってるとか俺が正しいとかそういう次元の話じゃ無い。
この闘争とはそういうもので、これはこういうことだった」
「いや、いや……」
エルザは命乞いが通用しないと悟ったが、それでもその首を振り続けた。
才人は心痛な面持ちで銃剣を振り上げ、神に祈り、少女の首を刎ねた。

これが鉄火だ。これが俺の選んだ場所だ。
俺を知る何かのために、守るために戦うこと。
それは崇高でも、何でもない。

390 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 23:54:08 ID:???
このサイトになら掘られてもイイ支援

391 :マロン名無しさん:2008/10/11(土) 23:54:48 ID:???
さすがアンデルセン、良い教育をしている支援

392 :虚無と狂信者:2008/10/11(土) 23:56:14 ID:???
才人の視界にふとエルザの死体が映る。
タバサはその死体に砂をかけ、錬金して油にし、発火の呪文をかけ燃やした。
才人はその燃える死体を、顔を顰めてじっと見ていた。

吸血鬼を狩った後、才人達は隊長とシルフィードを起こそうとする。
「きゅい〜〜。お肉〜〜」
「うぇへへ……。きょ・にゅ・う。きょ・にゅ・う」
杖を振り上げようとするタバサを才人が押しとどめた。
さっき自分は死にそうに成っていたのにこんな楽しげな夢を見られていては無理もない。
「ストップ。落ち着け……っておい!」
止めようとしたタバサの体がふらりとよろけたので才人は慌てて抱えた。
血を吸われ、その後全力でウィンディ・アイシクルを唱えたため、体力は限界に近かった。
「大丈夫か!?」
彼女は無言で頷く。
「ビックリさせんなよな……もう……」
才人は大きく息を吐く、その腕に掛る重さは、酷く軽い。
か細すぎる少女にまた疑問が湧き上がる。

「なあ? やっぱりお前みたいな子どもがこんな危険なことするなんておかしいだろ」
才人の問にタバサはしばらく押し黙り、一言だけ紡ぐ。
「ごめん……」
彼はしばらく目を閉じ、苦しげに唸った後、答える。
「まあ……、言いたくなったらでいいよ。いつかな……」
タバサは、才人にまた同じ言葉を繰り返した。

その時、セラスが戻って来る。彼女の視界に映るのはよりかかる主人とそれを支える少年。
セラスに気づいた二人は彼女の姿をじっと見つめる。
(あ……。空気読めなくてごめんなさい……。)
二人は何故か暗い影を背負った彼女を不思議そうに見つめた。

393 :虚無と狂信者:2008/10/11(土) 23:59:26 ID:???
結局その後、村長に事の顛末を話し引き揚げた。
といってもエルザが吸血鬼であるということは伏せ、エルザは世話をしてくれる貴族に
預けるということにした。タバサの配慮である。
アレキサンドルの母にも事情を説明した。老婆は泣きながらも才人に向けて何度も頭を下げていた。
結果を見れば大団円といってもいい。しかし。

「サイト君。大丈夫かな」
風竜の上でセラスは彼の背中を見て答える。彼は先ほどからボケっと宙空を見ている。
タバサはというと若干失血したものの、至って元気だ。彼女はそんな彼に近寄り、声を掛ける。
「何故彼女が吸血鬼だと?」
「ああ……。アレキサンドルが廊下から入って来たからな。普通なら部屋に直に入って来るだろ?
どうせぶち抜けるんだし。俺達をあの契約した場所におびき寄せるためにわざと俺の目の前で攫われた。
もともとあの子は何か様子が変だったからな。
まあ推理が外れてもグール位セラスさん一人で大丈夫だろうからさ」
説明している間も才人は夜空を見上げたままだ。
「ごめん」
タバサの口から飛び出た言葉に才人は驚いて振り向く。
「……いやな仕事を手伝わせた」
普段は感情の色をほとんど見せない彼女が神妙な面持ちでそんなことをいうから彼は驚いてしまう。
同時に自分が情けない。一体どれだけ弱弱しい姿で自分はいたのだろう。
たかだか相手が少女の形をしていた位で。
「い、いいって。好き好んで付いてきたんだから」
才人は無理に笑顔を作る。
(そうだ、勝手について来たんじゃないか。情けない)
口元を引き締め、才人はシルフィードが向かう方角を見つめた。

394 :マロン名無しさん:2008/10/12(日) 00:01:34 ID:???
このサイト、男前過ぎる。

395 :虚無と狂信者:2008/10/12(日) 00:02:51 ID:???
「ねえ、何であなたは戦うの?」
しばらくして、タバサはまた才人に尋ねた。才人は考えながら言葉を紡ぐ。
「最初はさ、ただの憧れだったんだよ。あんな風に強くなれたら……って」
逡巡なく、真っ直ぐに、ただ強く。
「……けどさ。今は違うよ」

目の前で誰かが、世話になった人や、ちょっと可愛いと思っている人や、見知らぬ誰かが危険なら、
放ってはおけない。

それを許せば自分では無くなる。

「現実にさ、吸血鬼何てのが出て、それが人を殺してて……。誰かがそれを倒さなきゃいけない。
俺が何も知らないならいい。何もできないならいい。けど知ってしまったから。
再生能力なんて力を貰ったから。だから……。」

それは自身に生まれた闘争への欲求と対をなす、また偽らざる彼の本心だった。


私は今、何故彼が気になるのかが分かった。
何のことはない。
彼と私は同じものだ。
夜に完全に染まることなどできない。
昼に完全に留まることなどできない。
薄暗がりを歩くもの。
ただ夕方を歩き続けるもの。

私と彼は同じだ。
戦わなければ己になれない。

396 :マロン名無しさん:2008/10/12(日) 00:03:24 ID:???
支援!

397 :虚無と狂信者:2008/10/12(日) 00:06:03 ID:???
そしてもう一つ分かったこと。
彼は吸血鬼になった私を殺せる。
私が人を殺すから、彼は私を赦さない。
その銃剣で私を殺す。

それもきっと今のように泣きながら。
私は酷い奴だ。
けど今は。


「サイト」
「ん?」
「ありがとう」
驚いてタバサを見る。その表情はやはり伺えない。才人ははにかんだ笑顔になる。
「どういたしまして……。まあ良かったよ。タバサが無事でさ。」
はにかんだ笑みを浮かべる才人。

私の友達。助けてくれて、笑ってくれて。
だから本当は、彼の敵になどなりたくない。

そして、私の親友も、きっと望まない。

タバサの視線は自然と、ゲルマニアの方向へ向いた。


398 :虚無と狂信者:2008/10/12(日) 00:08:45 ID:???
セラスは考える。
主人は吸血鬼に成りたがっている。それは分かっている。
そしてその結果どうなるかも。
そうする理由も、無理からぬことだ。
例え命を捨ててでも、人間を辞めてでもやるだろう。
して欲しくない。
どうすれば止まるだろうか。
強くなればいい。
彼女が吸血鬼となって得る力の何倍も強くなればいい。
あの大尉にも負けぬほど、彼女の手を煩わせぬ程。
彼女の主人を自分と同じものにしたくない。
この力はそんなにいいものではない。
セラスは一人、拳を握って気合を入れた。

ベルナドットは考える。
彼女は吸血鬼となることを望んでいる。
しかし、それは違う。
彼女の望みは母を元に戻し、伯父の脅威から逃れること。
そうするためには力がいる。だから吸血鬼に。
馬鹿馬鹿しい。それで目的を達し何になるのか。
頼ってくれればいい。
自分や、セラスや、キュルケや、アーカードや、アンデルセンや、そこの少年に。
学院の皆に。
独りでは無い。助けてと叫べばいい。
この少女に助けてと叫ばせてくれるのは。
こいつだろうか。キュルケだろうか。
己には頼ってくれるだろうか。

399 :虚無と狂信者:2008/10/12(日) 00:12:05 ID:???
ベルナドットは気を取り直し元気に言う。
「んじゃ、学院に戻るか」
学院という言葉に才人の体がピクりと跳ねる。
彼女らのスーパーヤンデレタイムは終了しているのか。
もししていなかったら。
逃げられるだろうか。

「ネクストコナンズヒーント! 被害者は俺。ネクストコナンズヒーント! 被害者は俺。
ネクストコナンズヒーント! 被害者は俺。ネクストコナンズヒーント! 被害者は俺。
ネクストコナンズヒーント! 被害者は俺。ネクストコナンズヒーント! 被害者は俺。
ネクストコナンズヒーント! 被害者は俺。ネクストコナンズヒーント! 被害者は俺」

呪文のように言葉を唱え、ガタガタと震え始めた。

タバサがサイトの背中を優しく擦ってやる。

二人の使い魔は顔を見合わせ、揃って溜息を漏らす。

青い竜は闇夜を裂き、その空の果てに掻き消えた。


400 :マロン名無しさん:2008/10/12(日) 00:14:27 ID:???
サイトは人としてサイトのままで強くなっている。

401 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/12(日) 00:20:39 ID:???
以上で投下終了です。まとめてくださった方。いつにもまして沢山の支援ありがとうございました。
当初の目的の主従の関係から随分逸脱しましたね。隊長本格的に戦力外でしたし。
まあ、隊長はダルフで本当に活躍させますので。
当初はもっとタバサがデレてたんですけどちょっと時期尚早かなと。
あとOVAのトバルカインの声がツボだったので色々とエルザにしゃべらしてみました。
次回のキュルケとアーカードはちゃんと主従の話にします。

>>383 ご指摘ありがとうございます。つうかこれは本気でやっちまったorz
謹んで訂正申し上げます。

402 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/12(日) 00:24:33 ID:???
373の上から20行目
「ねえ。貴族様はどうしてメイジを退治するの? そんな大変なのに」
ではなく「ねえ。貴族様はどうして吸血鬼を退治するの? そんな大変なのに」
改めて訂正します。

403 :マロン名無しさん:2008/10/12(日) 00:25:36 ID:???
乙、人の強さを体現するサイトと弱さを体現するタバサの対比が良かったです。
この時点でタバサがデレたらサイトの死亡フラグが確定しますのでこれで良かったと思います。

404 :マロン名無しさん:2008/10/12(日) 00:37:43 ID:???
狂信者の人、GJ!

サイトとタバサの2人がそれぞれ対極を表してますね〜
人としての強さを持ち弱さもみせるサイト、人としての弱さを持ちその弱さを見せないタバサ
似てないようで根っこの部分は似てる二人ですね
この2人は互いを支えあえれば強くなるでしょうね、今はまだのようですが

確かにタバサのデレはまだ早いかもしれませんね〜
ある意味原作よりも精神的に追い詰められてる感じですからね、タバサ
サイトが少しずつでもタバサの心の負担を軽くしていければいいのですが…
でももうタバサルートしか考えられないw

そういえばタバサ、蝶ネクタイしたままとか?w





405 :マロン名無しさん:2008/10/12(日) 02:48:29 ID:???
血を吸われる事で吸血鬼になるという設定がハルケギニアとの共通項だとしたら、
サイトも吸血鬼になってしまっているのではないだろうかと・・・

洗礼を受けているから大丈夫って事?

406 :マロン名無しさん:2008/10/12(日) 07:37:56 ID:???
素敵だ やはり狂信者は 素晴らしい

今回も実に素晴らしい内容でした。それにしてもサイトのコートが着々と四次元コートになってきているようなww
その内サイトも、アンデルセンばりに爆導鎖や、袖から複数の銃剣を出してきそうでとてもワクワクしてきますww

407 :マロン名無しさん:2008/10/12(日) 13:58:39 ID:???
>>405
あれだよ、ただ血を吸うだけじゃなくてその後吸血鬼のエキスを注入しないと吸血鬼にならないんだよ。
石仮面的に考えて。

408 :マロン名無しさん:2008/10/12(日) 14:20:40 ID:???
>>405
吸血鬼化の描写なんて作品ごとに山のようにあるからな〜
とりあえず「虚無と狂信者」のなかでは、吸血されただけでは吸血鬼にならない。と考えていいんじゃない?

それにしてもタバサはどうやって吸血鬼になろうとしているのか…
やっぱりアーカードに頼んで血を吸ってもらうのかな?
タバサは多分処女だから、吸血鬼になれる…はず


まとめに20話登録されてるけど、作者さんが訂正を指摘した箇所直ってないね
登録してくれたのは乙と言いたいが、ちゃんと訂正してからやってほしいな

409 :マロン名無しさん:2008/10/12(日) 14:37:41 ID:???
訂正くらいあとからやれよ

410 :マロン名無しさん:2008/10/12(日) 14:40:47 ID:???
なんか 酷い自演してる気がするんだけど

411 :マロン名無しさん:2008/10/12(日) 14:46:28 ID:???
ゼロ魔の吸血鬼は亜人の一種だから増殖は普通の方法じゃないのか。

412 :マロン名無しさん:2008/10/12(日) 14:50:42 ID:???
普通に子供が産めるからエルザがいるんだよな

そういえばエルザって何年生きてたんだろ?

413 :マロン名無しさん:2008/10/12(日) 15:07:34 ID:???
>>397を見て、既にタバサがハルケギニアの吸血鬼になったものだと勘違いした。
吸血鬼に成ったとして、成ったタバサをサイトは殺すことが出来るという話をしてるのねー。

414 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/12(日) 17:06:48 ID:???
うーん、原作に書いてないことはなるべく自分の考えを書いていかねばなりませんね。
今度からはなるべく詳しく描写します。
一応、HELLSINGの正当なる吸血鬼は敵を吸血鬼にする為には、
噛むだけじゃなくて、その上で殺す必要があるというのが僕の考えです。
でないとイスカリオテとか噛まれただけで味方に殺されますから。
グールに関しても殺す必要はやはりあるかと。血を吸う必要は、銃で撃たれてもやっぱり
なるようなので必要ない。ただしアーカードが殺した人間はグールにならないため制御は
可能であろうと思います。
それからハルケギニアの吸血鬼の件ですが、エルザが両親というのを原作で口に
してましたから、繁殖で増えるだろうと。グールに関してはやはり血を吸う、プラス殺すのが条件と。
いつだったかサイトがインスタントに噛まれたこともありましたが、
死んでいないのでグールにならずということです。

要は死にさえしなければ大丈夫ということです。

上記の設定で今後書いていきたいと思います。ご容赦下さい。

415 :マロン名無しさん:2008/10/12(日) 17:47:40 ID:???
>414
なるほどなるほど
確かに『死んで』ませんからね、サイトもタバサも
こう考えるとイスカリオテの再生能力もグールにならない為と考えられますね


416 :マロン名無しさん:2008/10/13(月) 07:19:40 ID:???
やっとアワーズ見れた
ペンウッド孫の扱いが酷い

417 :マロン名無しさん:2008/10/13(月) 07:33:05 ID:???
あの一族は昔からああです。

418 :マロン名無しさん:2008/10/13(月) 08:05:13 ID:???
>416-417
でもきっと、爺さん同様『男の中の男』なんですよ。インテグラが鍛える価値のあるくらいに。

419 :マロン名無しさん:2008/10/13(月) 12:31:48 ID:???
教会の間久部さんに吹いた。
やっぱりタイラント2匹をチョークスリーパーで倒すあの人なのか。

420 :マロン名無しさん:2008/10/13(月) 14:34:54 ID:???
kwsk

421 :マロン名無しさん:2008/10/13(月) 15:21:25 ID:???
聖学電脳部で登場した、神学教師の間久部字楽先生。通称「悪魔さん」が、イスカリオテのトップとして再登場していた。
……かつては「バイオハザードを再現する積もりで作ったゾンビを相手に、生身で戦っていた」人です。

422 :マロン名無しさん:2008/10/13(月) 18:52:36 ID:???
ちょwww自分で作っておいてwww自分で始末したのかよwww

423 :マロン名無しさん:2008/10/13(月) 18:53:51 ID:???
ハインケルは傷もそのままで年取ってなかったが、再生者にでもなってるのかね

424 :マロン名無しさん:2008/10/13(月) 21:46:59 ID:???
エルザの行末
砂ゼロ=性的な意味でリップに食われそう。
狂信者=人間として振るったサイトの銃剣で首を飛ばされた。
ロリカ=アーカードに吸血鬼的な意味で食われる。

狂信者で13課に両親が狩られていなかったらエルザとサイトは、どんな出会いになっていたのだろう。

425 :マロン名無しさん:2008/10/13(月) 22:12:30 ID:???
>>423
ふたなりは若く見えるんです

426 :マロン名無しさん:2008/10/13(月) 22:46:37 ID:???
両頬ぶち抜かれて包帯で覆ってるから若く見えるだけかも・・・
セラスと笑みを交わす所は旦那と神父を思わせて良かったわ

427 :マロン名無しさん:2008/10/14(火) 20:04:57 ID:???
>>401
濁点のつける場所違いますよ。

428 :マロン名無しさん:2008/10/14(火) 21:16:47 ID:???
>>423
なってなかったら下っ端が「今なら勝てる!」みたいなこと言えなかったんじゃね?

429 :マロン名無しさん:2008/10/14(火) 21:26:47 ID:???
いや、他の連中はセラスを見下してるから言ったんだと思った。

430 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/14(火) 23:14:02 ID:???
タルブですね。すいません。 
何でどこもアワーズ置いてないのさ……

21話目投下 2330より 

431 :マロン名無しさん:2008/10/14(火) 23:28:52 ID:???
支援いたそう

432 :虚無と狂信者:2008/10/14(火) 23:29:28 ID:???
 杖の先から放たれる爆炎が、武装した男達を焼いていく。
突然現れたメイジに恐慌した男達はそれでも身構え、抵抗しようとする。
「山賊の皆さん。早く降伏なさい」
その女の姿は焼け放たれた柱の中に隠れている。赤く美しい髪がそこから洩れている。
これでは弓で狙撃することも叶わない。艶やかな声でメイジは告げる。
「今ならちゃんと警吏に引き渡し、我が国の法に則って正当に処断してあげるから」
それは山賊としては容認できない。死刑以外の刑に処される程度の罪では無いのだ。
今なら彼女は油断している。山賊とはいえ、その中にはメイジがいることがある。
これもまたそのケースである。杖を引き抜き、風が巻き上がる。
しかし、それより早く炎が杖を焼いた。
「な!」
男は驚愕する。今の風を破った火の出力と精度、そして威力。おそらくトライアングルであろう。
相手が悪い。
しかし、このまま縄につく訳にもいかない。
もはや部下は背中を見せ逃げ始めている。自分もそうするべきだろう。

逃げおおせた彼らを見てキュルケは溜息をつく。
休憩にと立ち寄った村でまさか山賊の襲撃に出くわすとは。
今仕方助けた少女の手を取り、引き起こした。
「あ、あの……。ありがとうございます。貴族さま」
おどおどした態度でキュルケに頭を下げる。
「いいわよ。領民を守るのは貴族に勤めでしょ?」
「え? じゃあ、あなたさまはツェルプストー様。も、申し訳……」
「いいのいいの。あんな連中をのさばらせたのも元はと言えば私達だし」
そして逃げて行った山賊達の方を見て溜息をつく。
「同情の余地は無いけど。ちょっと可愛そうね……」
その言葉に村娘は首を傾げる。
キュルケは知っている。今頃は彼女の使い魔が一人残らず彼らを、

鏖殺していることを。

433 :マロン名無しさん:2008/10/14(火) 23:32:25 ID:???
空気になるジンクスを越えたな支援

434 :虚無と狂信者:2008/10/14(火) 23:32:31 ID:???
なんなんだ!
さっきから声がしている。
悲鳴、怒号。
銃声が聞こえる。
激昂した声が聞こえる。
その後に必ず断末魔の声が聞こえる。

逃げ出した全員分の断末魔を聞き、彼らを束ねていた風のラインである男は、次こそは自分だと悟った。
フライの呪文で飛び立つ。とにかく精神力が尽きるまではこれで安心である。
はずだった。

森から大量の黒い何かが襲いかかる。
蝙蝠の群れ、それが彼に纏わりつく。
それに恐怖し、払おうとするもフライの詠唱中は他の呪文を唱えられない。

そして彼の前方で蝙蝠が集まり、それが
人の形へと変わった。

その男が自分を掴む、彼はどうしようも無く、風の刃でそれを裂く。
フライの詠唱が切れ、地面に落下するも、辛うじてレビテーションを唱え不時着する。
だが、今仕方風の刃で切り裂かれたそれは人間なら致命であろう傷を意に介さず男に向かう。
「ば、化け物」
その問掛けに、それは地獄から湧き上がるような声で答える。
「よく言われる。ではお前は何だ?
人か、狗か、化け物か?」
男は全精神力を振り絞り、雷撃の呪文を唱える。
絶叫し、心を震わせ、振り絞る。
そして精神を使い切った男は、それでも立っている敵を見て、失神した。

アーカードはどこか満足気に立っていた。

435 :虚無と狂信者:2008/10/14(火) 23:35:54 ID:???
「アーカード、お帰り」
「ああ」
自分の使い魔が一人の男を持って来たので、キュルケは意外に思った。
「殺さなかったの?」
アーカードはニヤリと笑った。
「敢闘賞だ。なあに、これも一つの余興だよ」
そう言って男を縛りあげ、やって来た騎士団に引き渡した。

キュルケは馬車に揺られながら自分の使い魔について考える。
高貴で優雅で、残虐で非道で、最強で最悪で、弱い。
守るべき民も、治めるべき国も消え去った。
彼が闘争を望むのは彼が滅びを望んでいるからだ。
そんなものは強いとは言えない。
圧倒的な強さであっても、滅びの中でしか愉しさを享受できないならそれは。

だから拘るのだろう。
アンデルセンに、サイトに。
人間でありながら彼を打ち倒しうる存在に。

彼はいい使い魔だと思う。それは一個の生命、死人だが、として見れば不完全にしても。
戦闘能力は馬鹿のように高く、自分に対して異常なほど忠義である。
確かに時々制御不能になるものの、それは自分の力量であろう。
それはあの神父にも言えることだ。単独でみれば優秀な使い魔。
それに、こうして二人きりでいる分には冗談も言えるし、よく見れば顔は好みだ。

「あら、結局そこに行きつくのかしら?」
「? 何がだ?」
「何でも」

436 :虚無と狂信者:2008/10/14(火) 23:38:50 ID:???
そうね。確かにね。一人だけならいい使い魔だと思うの。
でもね、二人ともはいらないの。

ここは酒場
座っているのは赤い髪の少女、赤ずくめの吸血鬼。
そして神父。

嫌過ぎる……。

用事を済ませ学院に戻ろうとヴァリエール領に入ったと思えばこれである。
酒場を見つけ、店内が満席ゆえに合い席となり、いたのは神父だった。
これなんてバトルフラグ?

「偶然だな」
「ああ」
これが本当に偶然ならば神様は相当にキュルケのことが嫌いらしい。
「相棒……。そんな睨んでないでとっとと飯食おうぜ」
この場で一番分かり合えそうなのが喋る剣というのも物哀しい。

しばらくの沈黙。

「ねえ? 何してたの? あなた?」
空気に耐えきれずキュルケが会話を試みる。アンデルセンも応えてくれた。
「……教会を建てようという話でな」
「ほう、武器に祝福でも施すのか」
「そんな所だ」
「それで、何処に建てるの?」
「……できれば学院の近くか、先のことを考えればヴァリエール領の中だな……」
キュルケは内心で感心する。彼もまた主人のことを考えるという点では良き使い魔なのだ。

437 :マロン名無しさん:2008/10/14(火) 23:39:31 ID:???
ラインの男、無茶しやがって・・・

438 :虚無と狂信者:2008/10/14(火) 23:41:41 ID:???
「で、お前らは何をしていた?」
アンデルセンが話題をこちらに振る。
「あなたに頼まれた件。それに銃弾の製造と、ハルコンネンの修復にね」
ルイズの任務を手伝ったことで報酬として学院長から公休が貰え、実家に戻りそれらを手配した。
それだけで彼らに貰った金のほとんどを費やしてしまった。
しかも自動小銃の弾は作れずリボルバーの弾だけでほとんど消え、ハルコンネン用の弾薬も
焼夷弾頭十数発で限界だった。それでもツェルプストー家お抱え鍛冶ギルドと、方々から集めた
土メイジの総掛りでの結果である。その代りツェルプストー家の財力でリボルバーが
実用化され、利益が出たならベルナドット達に特許料という形で支払うということにした。
キュルケは手で試作品のリボルバーをいじりながら説明する。
「そうか、結構なことだ」
普通は武器を製造した何てことは顔を顰めてしかるべきだが、別にこの神父はそういう所もないようだ。
まあ、もしそんなことをしたらこの場に居る人間全てで総ツッコミであろうが。


「で? 目ぼしい所は見つかったの? アンデルセン」
アンデルセンは地図を広げた。
「一から建造もできんからな。金が無い。打ち捨てられたブリミル教の寺院なら少し改築
すれば済む。となると学院の近くに一件、この辺りに一件、さてどちらか。」
「ふーん……学院の近くにしたら? あの子が卒業すれば移ればいいんだし」
「そうだな……。ただ学院の近くの寺院にはオーク鬼の巣があるらしい。
掃除する必要があるな」
オークの群れを掃除などとは簡単には言えないことだがこの神父ならばさもありな話であろう。

「ふむ。中々どうして、主思いだな。あのヤンデレ崩れに」
「お前こそ、この売女(ベイベロン)に忠義だな」
瞬間立ち上がる二人。
(何故呼吸をするように喧嘩を始めるのよ!)

439 :マロン名無しさん:2008/10/14(火) 23:42:18 ID:???
支援せよ!

440 :マロン名無しさん:2008/10/14(火) 23:44:26 ID:???
ヤンデレ崩れwww
やっぱりそう見られてるのかwww

支援!

441 :虚無と狂信者:2008/10/14(火) 23:44:37 ID:???
「アーカード! 私は気にしないから!」
「貴様。売女などよくも言えたものだ。マスターは百パーセント純血の処―――」
「チェストォオオ!!」
いらんことを言おうとしたアーカードを思いっきりグーで殴る。
「何であなた知ってるのよ!」
「血を貰ったことがあるだろう? 血を吸った相手のことは大体分かる」
「だからって言うことないでしょ!」
「すいませんお嬢さん」
「あんたも急に神妙になるな!」
いつもの余裕ある態度とは裏腹にキュルケは少し泣きそうな顔をしている。
周りの客達も突然繰り広げられた珍劇に視線を集める。
「いっそ私を消して……」
ふと前を見ると、聖書の紙片が散乱し、彼の姿が掻き消えていた。

 いつも思うことだがあの男の逃げ足はかなり早い。
 そういえば最初の出会いもそんな感じだった気がする。


442 :虚無と狂信者:2008/10/14(火) 23:46:41 ID:???
 とりあえず彼が居なくなったことでやっと普通に食事ができる。
ようやくここの料理が旨いということがわかった。
ふと後ろから声が聞こえ、振り向くと老婆が傭兵に縋りついていた。
「ドラゴンですじゃ。退治して下さいませんか?」
「おい、婆さん。またかよ」
酒場の主人が怪訝な顔をする。
「また?」
「ああ、何でも寺院にドラゴンが住み始めたなんつってね? しかもその頃から村の人間やらが居なくなるっつって」
「そう……」
アーカードがふらりと老婆に近づく。いい暇つぶしを見つけたとでも言うように。
「どこだ?」
その言葉に主人が慄く。
「おい! あんた正気か? ドラゴンなんてメイジ何人がかりでも手がかかるんだぜ?」
キュルケは思案する。彼がドラゴンに後れをとるとは考えにくいものの、どう倒すのかは興味がある。
それに。

この事件は不審だ。竜が人知れずいなくなるような綺麗な殺し方をするなどあり得ない。
アーカードも行きたそうにしていたので了承した。


443 :虚無と狂信者:2008/10/14(火) 23:49:33 ID:???
村人は竜が住み始めた三日前から五人いなくなったという。
老若男女バラバラな五人。
その現場を抑えたものはいない。

老婆によって連れられてきたキュルケは村人に歓迎された。
村長に話を聞く、寺院はこの辺りの村が寂れたため、打ち捨てられたと聞く。
いつか取り壊そうとしていたが、つい最近、竜が住み始めたという。

「竜がやったとは考えにくいわね」
獣道を通り、寺院へと向かう。女性には苦な道だが、意外にもキュルケはアーカードの
ペースに軽々とついていっている。この少女、結構なお転婆である。
アーカードはその姿を敬愛する女王陛下に重ねていた。
あのお転婆は、あの美しい姫君は、今もまた五十年前のあのころのままだろう。
しばらくすると、寺院の屋根が見えてきた、そしてその庭先には成程、巨大な、珍しい白の風竜の姿がある。
同じ風竜であるシルフィードとは大人と子ども程の体格差があるだろう。
「こんなのが人知れず村の中から人を攫える訳ないじゃない……」
竜はと言えば威嚇するように羽を広げる。それがどこか脅えているように見えるのは気のせいではあるまい。
銃を向けようとするアーカードを押しとどめる。
「かわいそうじゃない」
危害を加えて来る山賊や傭兵、兵士なら一片の容赦も無く殺すよう命令できる彼女だが、
そこにただ座っていただけの竜にそんな気分にならない、それに。
「鞍が付いてるじゃない。きっと竜騎士の竜よ」
といっても、この不穏な情勢の時に竜騎士がいるものだろうか。
竜騎士というのは正に一騎当千という戦闘遂行能力を持っている。
機動力、攻撃力、展開力。軍の中でも相当なウェイトを占める兵科なのだ。

444 :マロン名無しさん:2008/10/14(火) 23:50:02 ID:???
そうか、アーカードの主人だのだから『不味い血』のわけが無いのか。つまりキュルケは……見た目だけのお子ちゃま?

445 :虚無と狂信者:2008/10/14(火) 23:52:25 ID:???
竜はその口を大きく開け、木々まで揺らす咆哮を彼らに向ける。
だが、彼は全く動じることなく口の端を歪めるのみ。
それにより竜が脅えと共に後退した時。

「ちょっと君達! 僕のアズーロに何してるんだ!」

森から薪を両手に抱えた、神官風の青年が出てきた。



アーカードがその神官に警戒の構えをとる。青年は薪をそこらに落とし、
両手を上げ、半ばやけっぱちといった声を上げる。
「君達は何だ? 物取りか!? 金は出すから殺さないでください!」
キュルケはその青年が害意の無いことを悟り、アーカードを制する。
「いいえ。ところで、これはあなたの竜?」
青年はキュルケの胸元を凝視し、生唾を飲んでいたが、慌ててその質問に答えた。
「ああ! 僕の相棒のアズーロだ! なあ、今度はこっちの質問に答えてくれるか?」
キュルケは首肯する。
「君達は何者だ?」
「通りすがりのさるところの子女」
「その従者」
使い魔と言うといちいち面倒ゆえに表向きはそういう事にしてある。
「……物取りでは無いのか?」
「次は私の番。あなたは何者?」
青年はしばらく考えて言葉を紡ぐ。
「僕はジュリオ・チェザーレ。ロマリアの神官だ。
まあ……内緒のお仕事でね。ここで雨風を凌いでいたんだ。
何せコイツとの相部屋を認めてくれる宿屋なんてないからね」
アズーロはアーカードを避ける用にジュリオの影にすり寄っている。可愛いと言えなくもない。

446 :マロン名無しさん:2008/10/14(火) 23:52:43 ID:???
遊んでるように見えても実はおぼこだったキュルケに支援

447 :マロン名無しさん:2008/10/14(火) 23:57:04 ID:???
んー? この展開は…
タバサの冒険のミノ退治の老婆と同じ老婆??

支援!

448 :虚無と狂信者:2008/10/15(水) 00:00:26 ID:???
「次は僕の番だな。君達が物取りでないなら何の用だ? コイツが噛みついたっていうなら謝るけど?」
ジュリオの下手なジョークに愛想笑いで返す。
「この竜がそこの村の娘達を食べたっていうから、退治にね」
キュルケの説明にジュリオは大袈裟な仕草で膝を叩く。
「娘? アズーロはそこまで悪食じゃない! それにちゃんと三食やってるよ! 高価な羊肉をね!
そのお陰で君達に渡すお金もほとんど無いんだ!」
まあ、嘘では無いだろう。元々この竜の仕業というのも疑わしかったのだ。
キュルケとしても他を当たろうと思ったのだが、青年は意外な申し出をする。
「そうだ! 僕もその娘達の捜索を手伝おう! なあに、始祖ブリミルもそうせよと仰るはずさ!」

「……何でまた?」
キュルケは怪訝な顔で聞く。大体ロマリアの神官というのは普段は威張り腐っているがその実、
何の役にも立たないというのがハルケギニアの一般常識であり、また、キュルケが実際見て来た
神官もその例に漏れなかったからだ。ましてこんな一銭の得にも成らぬ仕事をするとは思えない。
「何で? 始祖ブリミルの敬虔なる僕である僕が、同胞の訴えを聞かぬ訳がないだろう」

「まあいいわ。勝手に頑張ってね」
「へ?」
キュルケとしては自分とアーカードさえいれば大抵の敵には戦えるし、神官、竜に乗って
いるということはおそらくはメイジだろうが。いてもいなくてもどっちでもいい。
「ちょっ! ちょっと待ってくれ!」
ジュリオの叫びにキュルケは考えを中断され、機嫌を悪くする。
「まあ待ってくれ! 君みたいな、か弱い少女をほおっておける訳ないだろ?
それに、仕事も一段落して暇なんだ。どうせだったら人様と、美女のために…ね?」
そう言ってジュリオはその左右の色が異なる瞳、ハルケギニアで言う月目でキュルケを見つめる。
キュルケはその瞳を細め、唇に指を当て、さり気なく腕で胸元を強調する。
だが、ジュリオはそれに惑わされることなく、キュルケの瞳だけをじっと見つめる。

さるさん食らいました。すいません。

449 :マロン名無しさん:2008/10/15(水) 00:02:56 ID:???
ジュリオがいるってことはヴィンダは原作通りなのかな支援

450 :虚無と狂信者:2008/10/15(水) 00:03:10 ID:???
「……慣れてるのね」
「……体は一時の魅力だが、瞳は一生の魅力さ」
キュルケは肩に伸ばされた手を優しく払う。
「ついてこれば?」
「謹んで。ミス……」
「キュルケでいいわよ」
「ではキュルケ。このアズーロにてお送りしよう」
アズーロがゆっくりとジュリオに跪いた。
(処女の癖に……)
アーカードは声には出してはいなかったが、しっかりとファイアーボールを喰らった。

風竜は凄まじいスピードで飛んで行く。キュルケは以前シルフィードに乗ったことを思い出すが、
それよりも断然速い。シルフィードは幼竜であるが、アズーロは立派な成竜である。
「で? 内緒のお仕事って?」
キュルケはジュリオにしなだれかかり訊ねる。ジュリオは困ったように笑いを漏らす。
「勘弁してくれよ。言えないから内緒なのさ」
「そう……つれないのね」
口では残念そうに言いながらも、キュルケは
ロマリアがハルケギニアの国家の中でも、陰謀に長けた国であることは知っている。
竜に乗れるほどの能力を持つ人間が任される任務とは、あまり首を突っ込まない方がいいだろう。
それにキュルケはジュリオに対して、それで信用しないというのも変な話だが、自分と同じものを感じた。

恋だの愛だのに執心に見えて。どこか一つ身を置いている。そんな感覚。

ジュリオはこっちの番だとキュルケに訊ねる。
「君の従者だが……。アズーロを怯えさせるなんて何者だい?」
キュルケとしても本当のことを言う気はない。言っても信じないだろうが。

451 :虚無と狂信者:2008/10/15(水) 00:07:18 ID:???
「東方からやって来たの。とっても強いのよ」
アーカードはといえば何をするでもなく座っている。彼にとってはいつものことだ。
ジュリオは大袈裟に驚いてみせる。
「あのエルフの住まう土地を抜けて来たのか? 大したものだ!
しかし東方か……。向こうではどんな生活をしてるんだい?」
その問にアーカードはそのままの態勢で答える。
「そうだな……。食い倒れ通りというやつが大きな町に一つずつあってな……。
そこでは食べ物を貰えるかわりに絶対に通りすがった人間とフルドッキングヘッドロックを……」
異世界からの少年が聞けば首を高速で横に振ること請け合いの出鱈目を街に着くまで話し続けた。

結局、村人に事情を話し、一連の失踪が竜の仕業では無いと納得させた。
村人は巨大な風竜に慄いた様子だったが、ジュリオの話を聞き納得した。
しかし、これで失踪事件が解決した訳でも無いため、さてどうしようかと思い悩む。
「どうする? アーカード?」
聞いた物の、元々アーカードは生粋の戦闘屋であり、頭を用いて事件を解決するというような事には向かない。
HELLSINGゴミ処理係時代も暴れている吸血鬼を狩る位で、隠れながら巧妙に人を殺すような輩を、
探し出し殺すというのは不得意だ。そもそもの問題として、
「本当に化け物の仕業か? 村人同士で殺し合ったのかもしれんだろう?」
そう。普通に考えたらそちらの可能性の方が高い。そもそも人間に見つからないように殺すなどという発想は
人間位がするものだ。オーク鬼やドラゴンがそんなことを気にするまでも無い。また、妖魔だって普通は死体を残すものだ。
「あるいは、人攫いとかかもね」
ならば、急げば助けられるかもしれない。
「ただそうだとして、誰にも悟られずに攫えると思う?」
悲鳴を聞いた者も、姿を見た者もいない。一体どうやってやったのか。
キュルケは頭を捻った。


452 :虚無と狂信者:2008/10/15(水) 00:10:00 ID:???
アーカードは夜闇の中を佇んでいる。夜、感覚を鋭敏にさせ、何か起これば分かるよう気を張る。
念の為自身の分身である蝙蝠を家々の軒先にぶら下げ、これにより、何かがあれば彼らが異変を
知らせてくれる。正統なる吸血鬼の持つ様々な特殊能力の内の一つだ。キュルケはと言えば、
アーカードと一緒にいようとしたが、体を冷やすと言うことでジュリオに諭され、部屋にて待機している。

ふと、アーカードは蝙蝠からの交信を察知した。

キュルケと同じ年頃であろう村の娘が、闇夜の森におずおずと向かって行く。
キュルケは不審に思う。そもそも村に不穏な噂が流れているのに、わざわざ危険を冒すだろうか。
足取りはしっかりとしている為、水の魔法で操られた訳でも無さそうだ。
明らかに自分の意思で歩いている。

しばらくして着いた先は、村の外れにある屋敷だった。
その中から一人の、茶色い癖毛の青年が出てくる。
「こんにちは。リースです。どうかいれて下さい」
「おお、リース。待ちわびていたよ。どうか中へ」
娘の顔が仄かに赤らんでいたのを見て、キュルケがポツリと呟く。
「何よ。夜這い?」
「さあ、どうだろう。あまり覗くのもね」
そう言って三人は竜を呼びつけ、それに送って貰った。

453 :マロン名無しさん:2008/10/15(水) 00:12:33 ID:???
アーカードの便利すぎる能力支援

454 :虚無と狂信者:2008/10/15(水) 00:12:37 ID:???
翌朝。
キュルケは昨晩の疲れからか、日中までぐっすりと眠っていた。それでも眠たい目を擦り、
あくびをしながら外に出る。彼女は呆ける頭で、騒がしい村人達をただ、見ていた。
ジュリオがそんなキュルケに水桶を持ってくる。
それでパシャパシャと顔を洗い、タオルで拭う。
「何かあったの?」
「ああ、リースって子。昨日見ただろ」
「夜の?」
「うん、まだ帰ってこないって」
キュルケの瞳がカッと開く。だがジュリオはそんな彼女を他所にどこかのんびりした様子だ。
「何でそんな余裕なのよ?」
「だって君の自慢の従者があの屋敷に行ってるからね。僕らが行く必要も無いだろう?」
キュルケは言葉につまるも、気を取りなおし、その赤い髪を靡かせる。
「どうするんだい?」
「決まってるわ! 私も行くわよ!」

ジュリオはしかたないというように手を空に向け、口笛を吹きアズーロを呼び出した。


別に彼女が桃色の少女のように使い魔と常に一緒にいるのがメイジの務めと思っている訳ではない。
キュルケは想像する。はたして犠牲者達が生きているとして、彼が生存者を助けるだろうか。

答えはNO
率先して殺しはしないが、積極的に助けもしない。
彼はそれにより吸血鬼を増やした前科がある。セラスから聞いたことだが。
これ以上吸血鬼を増やしたら学院の空気が偉いことになるし、面倒を見切れない。

455 :マロン名無しさん:2008/10/15(水) 00:14:19 ID:???
アーカード(下僕)二号さんを作る気か支援

456 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/15(水) 00:17:38 ID:???
「急いで!」
キュルケに怒鳴られ、ジュリオは眉をひそめる。
「怒鳴らなくても五分とかからないよ。大体、そんな心配しなくてもあの従者なら心配無いと思うんだけど」
「彼の心配をしているんじゃ無いの!」
「じゃあ誰の?」
「……生存者よ」


以上で投下終了です。支援、まとめありがとうございました。
アーカードとジュリオのセリフをそれっぽくするのが凄い難しいことが判明。
ああ、こりゃジュリオの出るSS少ないわ。理由がわかりました。
とりあえず、外伝のミノ退治の出だしだけ参考に、オリジナルの話を。
まあ、何と戦うかは大体わかりますよね。
キュルケはルイズやタバサより活躍するかもしれません。
22話はなるべく近い内にやります。それでは。

457 :マロン名無しさん:2008/10/15(水) 00:25:13 ID:???
乙彼!
乙女な事をひた隠しにするキュルケに萌えた。
キュルケを可愛いと思う日が来るとは思ってもいなかった。
この乙女キュルケはルイズより萌える!!

458 :マロン名無しさん:2008/10/15(水) 00:34:24 ID:???
投下乙です!

誤魔化そうとするキュルケ可愛いな〜
タバサといいキュルケといい狂信者さんの書く2人は魅力的すぎる
ルイズはヤンデレ崩れだし、シエスタはネタに走ってる分一層引き立ちますな

リボルバーを実用化できそうなキュルケの実家すごいな
今後キュルケ本人もリボルバー使うかも?
でも、きょにゅう美人にはリボルバーよりもブローニングM1910の方が似合うと思うw

ジュリオが出てくるssって珍しいかも
しかもキュルケに絡んでくるなんて初めて読んだ気がします
15巻で評価が急降下したジュリオがどんな風に関わってくるのか・・・
まぁ、100%教皇の陰謀絡みだと思うけどw

22話も楽しみにしております!


459 :マロン名無しさん:2008/10/15(水) 00:38:26 ID:???
狂信者さんは人物増やして薄くなるどころか
それぞれ立ててる所がとても良いよな。
これがただの俺TUEEEEEE!! SSだと
ハルケギニア組の皆様がモブ・脇役・噛ませ犬だもんな。
感心するわー。

460 :マロン名無しさん:2008/10/15(水) 00:45:15 ID:???
処女・・・だと・・・

こ、このキュルケは後ろ専門ってワケじゃないよね?

461 :マロン名無しさん:2008/10/15(水) 01:03:13 ID:???
>>460
安心しろあの慌て方からそれも無い。狂信者のキュルケは完全な乙女だ。

462 :マロン名無しさん:2008/10/15(水) 11:09:28 ID:???
>>460
・・・ゴクリ

463 :マロン名無しさん:2008/10/15(水) 16:12:54 ID:???
>>429
それはつまり、伝えるべきことを伝えていない上の連中が無能ってこと?

464 :マロン名無しさん:2008/10/15(水) 16:24:58 ID:???
セラスのガチの強さなんてわかる奴インテグラしか残ってないじゃん。
いや、インテグラすら知らないかもしれない。

アンデルセンと同格以上レベルまで昇華し、大尉を倒した恐るべき吸血鬼。
相対した者は殆ど死に、ハインケルもちょこっと見ただけ。

ハインケルがどれくらい強くなったかは知らないが、セラスも成長してるだろうし、
まるで相手にならないかと。

465 :マロン名無しさん:2008/10/15(水) 16:30:44 ID:???
ハインケルが神父より強いってことは無さそうだしなぁ。
喧嘩を吹っかけてセラスの戦力を測るとかしないのかな。

466 :マロン名無しさん:2008/10/16(木) 20:55:27 ID:???
知られざるセラスの生態

467 :マロン名無しさん:2008/10/16(木) 21:48:59 ID:???
まとめスレ専門でしたが驚きのあまりとんできました。
心底ビックリした、ビックリしたよぉ。

468 :マロン名無しさん:2008/10/16(木) 22:35:33 ID:???
何にそんなに驚いたんだ

469 :マロン名無しさん:2008/10/16(木) 22:41:07 ID:???
サイトの覚悟完了っぷりと乙女なキュルケにだろう

470 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 00:20:09 ID:???
出会い一つであそこまで変わるのかと狂信者サイトには驚かされた。
原作とは違う乙女なキュルケにも驚かされたな。
狂信者には更新ペースも含めておでれーた。

471 :467:2008/10/17(金) 02:07:01 ID:???
零時も過ぎたし、ID出ないけど>467です、
まとめwikiだよ、まとめスレってなんだよ俺… orz
ちなみに私が驚いたのは『女の子』なキュルケにです ソウゾウシタコトモナカッタョ。

472 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 08:44:09 ID:???
夜中にあれだけ男を呼んどいてきっと処女だよ!
とか……ねーわwww

473 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 09:46:49 ID:???
SSは自由なもんだしいいんでない?

まぁ原作の設定を無視するのに、嫌悪感を抱く人がいるのもわかるが。

474 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 10:19:30 ID:???
やってると具体的に書かれてない以上どうとでもなる

475 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 10:29:15 ID:???
さすがにそれは無茶だろ常考

476 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 10:37:19 ID:???
キュルケの攻めで搾り取られちゃって、誰も本番まで辿り着けなかったんだよきっと。
そんで自分で下ネタ言うのは平気でも、人に言われると恥ずかしいタイプなんじゃね?
もしくはやれる状況にいても何も出来ないヘタレばかり引っかけてたとか。

477 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 12:29:16 ID:???
キュルケを改良するのは
反抗もされてない使い魔の食事を粗末にするルイズと同じくゼロ魔二次テンプレみたいなもんだからしょうがあるまい
文句があるなら自分で書けよ

478 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 15:32:47 ID:???
そういうのが嫌って言う人がいるだけだろう

自分が書けってのはおかしな話

479 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 15:53:04 ID:???
処女だから純情とか単純すぎ。
処女のままでもド淫乱に男の相手する方法なんて幾らでもある。

480 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 15:57:57 ID:???
明らかに論点が違う、なんてお門違い

481 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 16:11:06 ID:???
まぁ双方押し付けはよくない、アンチレスは避難所の毒吐きスレとか使っていいのかな?
ここで吐かれると雰囲気が悪くなるから自重してくれ。

482 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 18:26:13 ID:???
夜、部屋に呼ばれたらセクロスできるとか考えてるやつって何なの?

483 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 18:26:31 ID:???
狂信者では彼氏が出ていないから外見と雰囲気でそう思われているだけかも。
二次創作になるとキュルケが人間的に出来ていたり、イザベラが気さくになったり、ルイズにヤンデレ要素が強くなったり、タバサが妙に可愛くなるとかの設定変更は常。

484 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 18:35:16 ID:???
原作のタバサが可愛くないと言いたいのか?ぶち殺すぞヒューマン

485 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 18:50:56 ID:???
二次創作の場合、原作よりタバサの可愛さが増しているだよ。
イザベラ、タバサ、キュルケはヘタレさが増すルイズとは対極の位置にいるな。

486 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 22:46:13 ID:???
下らん事を
考えるべきはあの外見で自殺を許容するような
歪んだ精神構造を抱くに至ったシュレの過去とかあるだろうに

487 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 22:56:54 ID:???
あのショタ多分登場人物で唯一目的無しに死んでる

488 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 23:04:52 ID:???
いきなり死ねって、どういう事ですか?コピペに沿って薦めてみたらしそうだよなw

489 :マロン名無しさん:2008/10/17(金) 23:19:01 ID:???
ミレニアムは目的に伴っての死を遂げる人間だらけだったけど
准尉は戦闘するでもなく何かするでもなくただ死んだだけだったからな
何かして死ぬ事じゃなく死ぬ事自体が目的だったのかね
そう考えると登場人物の中で一番歪みが甚だしい存在に思えるが

490 :マロン名無しさん:2008/10/18(土) 10:08:06 ID:???
シュレはどこにでもいて、どこにもいない確率だけで存在する不確かな存在。
シュレの目的は自分の存在を確定する事だったのじゃないか。

491 :マロン名無しさん:2008/10/18(土) 14:37:11 ID:???
狂信者の人のSSではシュレディンガーが犬になってるけど、
ヘルシング本作では猫だね。

シュレーディンガーの猫がモチーフになってて、
作品内でもチェシャ猫だと言及されてる。
Wikipediaにも載ってるので興味があれば是非。

文脈的に書き換えても問題無さそうなのだが、どうだろう?

492 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/18(土) 14:41:56 ID:???
>>491
ああ、そうなんですか。是非お願いします。
ずっと犬だと思ってました。

493 :マロン名無しさん:2008/10/18(土) 15:53:47 ID:???
>>492
あの作品のキャラがルイズに召喚されました@wikiの方、
書き換えさせていただきました。
こまっかい所でゴメンなさい。

22話とても楽しみなのだわ。

494 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/18(土) 22:34:17 ID:???
>>493
ありがとうございます。 
22話 2300より投下開始

495 :マロン名無しさん:2008/10/18(土) 22:55:13 ID:???
これは支援するしかないな!

496 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/18(土) 23:01:46 ID:???
ジュリオは昨晩の屋敷の庭に竜を降り立たせた。
キュルケはヒラリと飛び降り、屋敷に向かう。
ジュリオはやれやれと首を振り、後を追おうとする。
「ここで待ってて。すぐに退避できるように準備していて」
キュルケは一人で行くことに逡巡しないでもなかったが、竜に乗っていない竜騎士を
連れていくよりは一人の方が効率的と考え、代わりに退路を確保することを優先させた。
「わかった。気をつけるんだよ」
ジュリオもそれに反論することなく、彼女を見送った。

キュルケは慎重に屋敷を探索する。
そこでふと違和感に気づく。
「埃が積もっているわね」
生活感がまるでみられない。ならばあの男はこの屋敷の住人という訳ではなさそうだ。
聞き込みをしておけば、この屋敷を使っていた人間はとうにいないことを知っただろう。

壁を背にし、少しずつ少しずつ進んでいく。これは敵の奇襲に対し、最も危険な背面への
攻撃に対処する為だ。扉があれば、顔を出して一部屋一部屋確認する。念をいれ、
既にファイアーボールの途中までは詠唱している。ラ・ロジェールにて吸血鬼相手に後れを
とったことで、彼女はこうした工夫を自分で考えるようになった。
ふと、キュルケはある部屋の壁に不自然な線を見つけた。
みると、ここだけ埃が少ない。足跡も多い。
それを軽く叩いてみる。

空洞がある。

慎重に、その扉を開ける。
階段の下には倒れている人影が見える。
それは昨晩見た娘だった。
「ねえ! ちょっとあなた」

497 :虚無と狂信者:2008/10/18(土) 23:06:06 ID:???
一方アーカード。
キュルケとは別のルートから地下を発見したアーカード。
といっても体を蝙蝠に変化させ、排気孔から入ったのだが。
彼はその部屋を見て心底愉快そうに、笑った。

様々な機械類と、ハルケギニアの文字では無い方陣。
それは、アーカードの良く知るものだ。アンデルセンがここに居たなら怒り狂っただろう。
「なあ? そこの! 中々面白いことをしているじゃないか」 


キュルケが倒れた娘に近づく。
「あ、あの。助けて」
娘がその顔を上げ、キュルケを見やる。
「何があったの?」
「と、突然、誰かに襲われて」
「ふーん」
キュルケは階段を、一段だけあがった。

「何でここに来たの?」
「そ、それは、ここの主人に」
キュルケはまた一段上がる。
「人の住んでいる気配は無いわ。それに、こんな不穏な時期にここまで来るほど惚れてる彼は?」
また一段あがり、ルーンを完成させる。
「ねえ、あなたは、あなた達は一体何をしていたの?」
娘がしばらく俯いていた後、不意にその顔をキュルケに向けた。彼女はその顔を見て驚愕する。

真赤な瞳、鋭い牙、滲み出る殺意と獣性。
その人では無い貌。それはもはや人では無い。
「何!?」
キュルケが身構えるのと、吸血鬼の身が躍るのは、同時だった。

498 :虚無と狂信者:2008/10/18(土) 23:11:02 ID:???
アーカードは自分に対峙する男に笑い掛ける。男はアーカードに聞く。
「これが何かわかるのか?」
「わかるとも。懐かしい感じだ」
アーカードの言葉に男は怪訝な顔をする。
「懐かしい? まさか貴様も?」
「貴様らと一緒にするな……。しかしこんな方法とはな。
博士の作ったのはこれか? 全く愚かなものだ……。
人間であることがそんなに苦痛か? そんなに耐えがたいか?」
ハルケギニアでは考え憎い医療器械。旋術のための方陣。それは彼に因縁深いもの。
「永遠の命がそんなに欲しいか? 力がそんなに欲しいか?」
アーカードは侮蔑の、憤りとも言っていい、表情を浮かべ、続けた。

「吸血鬼にそんなになりたいか?」
それは吸血鬼を生み出す部屋だった。

「ああ、成りたいだろうとも! 成りたいさ! 貴様にはわかるまい。
老いることの恐怖が、死ぬことのおぞましさが、力の無いことへの怒りが」
その吸血鬼は銃をアーカードに向ける。ニヤリと笑い赤ずくめの男が銃を向けた。その時。
暗闇から躍り出た影が二つ。一つはアーカードを押さえこみ、一つはその喉元に食らいついた。
「だから彼達は力を得ることを望んだ、それだけだ」

バラバラになったアーカードを見下ろし、吸血鬼は口上を続ける。
「平民は貴族に、メイジにいつも搾取されている。この村もね、かつてはよくメイジ崩れの盗賊に襲われたものだ。
ヴァリエール公爵の所領でさえこうだ。ハルケギニアの全土でどれほどの人間が苦痛に耐えていると思う?」
二人の女性は男にすり寄る。
「吸血鬼は増える。もっと、もっとだ。そしてこれより、世界は変わる」
男は傍らの吸血鬼の首筋を優しく撫で上げた。


「愚かな連中だ……」

499 :マロン名無しさん:2008/10/18(土) 23:13:45 ID:???
支援!

500 :虚無と狂信者:2008/10/18(土) 23:17:03 ID:???
地獄の底から這い出るような、その声。バラバラの肉片となったそれは、
まるで時が巻き戻るように、その形を取り戻す。
「貴様らでは何も変わらん、たかが化け物に人の世の常が変えられるものか……。
化け物は打ち倒される。他でもない人間にだ。
そうでなくてはならんのだ……」

「こ、殺せ!!」
しかし吸血鬼達は、その不死身という言葉を超えた不死性に逡巡するばかりだ。
ばらばらになってなお死なぬそれが、一体どうやって死ぬというのか。
「ほらな。貴様らなどどれだけ増えた所で、あの男が、あの餓鬼にすら、打ち倒せぬものになどなれるものか。
奴らは人を惹きつけ、貴様らより強力な軍となる。なぜなら奴らは人間だからだ」
そう、あの、己の全ての命を捧げた陣を打ち破った彼なら、彼の仲間なら、あの人間達なら。

女吸血鬼の首筋に、その牙を突き立て、吸う。抵抗することすらできず、
アーカードが手を鬱陶しげに払い、それが、千切れた。
「足掻くこともせず」
残った2体は彼に背中を向ける。男の方に向かい、その身を躍らせる。
「逃げるだけか」
その足を、踏みつける。
おぞましい音と共に、それがあらぬ方へ曲がる。
引きつった声をあげ、至近距離でその額を撃つも、アーカードは動じない。
何もなかったのと同じだ。
先程までの威勢が消え、脅えるだけのそれに侮蔑の眼差しで告げる。
「さあ、洗いざらい話してもらうぞ。貴様の血に」
「ち、血に?」
「そんなこともできんか……。もはや吸血鬼ですらない。貴様はただの出来損ないだ」
首筋からその血を貪り喰う。くぐもった声を上げるも、それに構うこと無くアーカードは吸い続けた。
この時ばかりは、凶悪な笑みが溢れてしまう。
くぐもった声と、彼が喉を鳴らす音が響き続ける。
記憶が、なだれ込んでくる。

501 :虚無と狂信者:2008/10/18(土) 23:21:07 ID:???
(アルビオン……。こいつがクロムウェルか……。傍らにいるのは女と……。シュレディンガー……!)
知っていることはそれだけだ。こうやって吸血鬼を増やし、奴らは何をするつもりか。
想像はつく、同じことをここでもやる気なのだ。戦争狂どもは。
(トバルカインの血を吸っておけばよかったな……。勿体無い)
今さら言ってもしょうがない。もう一人を追おうとした時、

屋敷に銃声が響いた。



キュルケがファイアーボールを放つ。しかし、吸血鬼は俊敏に天井にはりつきそれをかわし、
彼女に躍りかかる。そして、キュルケは吹き飛ばされ、向こう側の壁にまで叩きつけられた。
さらに首を締め上げられる。吸血鬼の腕力なら、彼女の首などたやすくへし折られるだろう。
「ねえ? メイジさま。どう? 何もできないでしょう? 平民相手に」
その問にも答えることはできない。息ができず、苦しく呻く。手を絞められ杖を落とした。
「私の婚約者はね。国境線の小競り合いで、メイジの炎に焼かれたわ。うふふ、
まああなたの知ったことじゃ無いだろうけど!」
そう叫び、キュルケの腹を殴りつける。胃液が込み上げてくる。
その姿は、もはや蹂躙されるだけのか弱い生娘と何ら変わらない。
普段の彼女の優雅で不遜な姿とはかけ離れて、無様だった。
キュルケの顔が苦痛に歪むほど、吸血鬼の笑みが凶悪になる。
厳然と現れる、明白な恐怖に体が動かない。
吸血鬼は勝ち誇ったように声をかける。
「うふふ。足掻かないで、諦めてくださいね。」

吸血鬼が言った一つの言葉によって、絶望に打ち震えた心に突然、何かが溢れだしてくる。
(諦める……?)
その言葉が酸素を止められた頭脳に魔法のように木霊する
そして首筋に歯が付き立てられようとした時。

銃声が響く

502 :マロン名無しさん:2008/10/18(土) 23:26:02 ID:???
支援だ!!

503 :虚無と狂信者:2008/10/18(土) 23:26:53 ID:???
その言葉を聞いた瞬間、酸欠の頭を支配していた諦めと恐怖、死の実感が全て消え、
次に溢れだしたのは生への執着と、埃を蹂躙しようとした相手に対する敵意だった。
その感情は、彼女の体から茹った闘争心と陽炎のような魔力を纏わせる。

有体に言えば、キレた。

「きゃああああああああ」
吸血鬼が苦痛にのたうち回る。キュルケのポケットに入っていたリボルバーだ。
彼女は絞められた首筋よりも殴られた腹よりも銃の反動により肩に痛みを覚えた。
「ゴホッ!! いったああああ! こんなのよくあの人達簡単に使うわね!」
そう毒つくも、キュルケは杖を拾い上げ、間断なく呪文を唱える。
吸血鬼も立ち上がり、猫のように身を縮める。
(点ではとらえきれない。だったら!)
高速の物体を捉えるには、面で捉えるしかない。
ファイアー・ウォール
ルーンと共に地面から火が噴き出し、炎の、まさしく壁となる。
エア・ハンマー
そして風によりそれを推進させ、逃げ場無く吸血鬼は火を浴びた。
しかし、怪物を焼き殺すには少し足りない。
「往生際が悪い!」
火を払った吸血鬼の視界からは、キュルケの姿が消えていた。

(往生際が悪いですって? あっさりと人間であることを諦めた化け物らしいわ!)
負けるわけにはいかない。
あの、人間を何よりも信仰する彼の主たる、
人間たる自分が、
人間でいられなくなった化け物に負ける訳にはいかない。
絶対にいかない。

504 :虚無と狂信者:2008/10/18(土) 23:31:50 ID:???
「逃げた? 逃げられないですよ? それに火は吸血鬼の弱点ですが、その程度の火力では。
そして本当に逃げられるとお思いですか? 吸血鬼から!」

二択ある。一つは戦う。一つは逃げる。
キュルケは前者を選んだ。ここで彼女を逃がす訳にはいかないから。
ノブレス・オブリージュを体現しようとしているのではない。
彼女を解き放てば誰かが死ぬ。それもある。
それよりも。

「ここまでコケにされて……黙ってられるもんですか!」


キュルケは吸血鬼に悟られぬようルーンを唱える。
自身の全力を込めたあの魔法なら、あるいは吸血鬼を倒せる。
しかし、それを当てるのはあの部屋では無い。キュルケは必死に逃げ、その場所を探した。
「何でわざわざ暗いところに逃げるんですか?そんなに食べられたいんですか?」
キュルケが逃げ込んだのは地上では無く地下。彼女を殺しうる場所があるとすればここだった。
そして見つけた、廊下。
「うふふ、どこへ行くんですか?」
吸血鬼が廊下を降りて来た時。
火球
それが天井にあたり、落石により退路を塞ぐ。
「逃げませんよ? 逃げてるのはあなたでしょう? 全く諦めの悪い。」

正しく怪物といえる化け物に、キュルケは杖を持ち、髪をかき上げ、
先程の様が嘘のような誇り高い姿で言いきった。
「ええ、諦め悪いのよ。私は貴族で……。
人間だから」

505 :マロン名無しさん:2008/10/18(土) 23:36:33 ID:???
さるさんか?
支援!

506 :虚無と狂信者:2008/10/18(土) 23:37:08 ID:???
「ウル・カーノ……」
そしてルーンを唱える、“火”が一つ重なる。
「あはははは、まあ喰らってあげてもいいですけど。そんなにのんびりもしていられません」
そして走り込む、二つ目の“火”が重なる。
リボルバーを痛んでいない腕でしっかりと握り、いたんだ手で杖を握り、発砲。
といっても反動により全くといって良いほど当たらない。
「無駄。諦めなさい!」
そう叫び飛びかかった時、吸血鬼の視界が何かに覆われる。
それが絡まり、身動きが止まる。
「これ?」
それはメイジの誇りの象徴であるマントだった。
躊躇せぬでもないがこのまま喰われるよりは、彼女を逃がすよりは遥かに良い。
「あげるわ」

そして何より、マントよりも彼女の誇りを傷つけたそれを殺すことの方が重要だった。

バックステップで距離をとり、呪文を完成させる。
火の玉が杖の先に出来る。
「はは、そんな――」
その杖の先がさらに大きくなる。
火の2乗フレイムボール。
それにさらにもう一つ火を重ねる。

火の三乗。
「ブレイズボール!!」

その火の玉はさらに巨大になり、彼女らのいる廊下の大きさにまでなった。
吸血鬼から見ると、視線の先が全て炎に覆われたようにしか見えない。

避けられるなら、避けられないほど大きく、激しく。

507 :虚無と狂信者:2008/10/18(土) 23:40:10 ID:???
そして、放たれる。
「いやあああああああ!!!」
吸血鬼の叫びが聞こえる。退こうとするも、退路は塞がれ、逃げられない。
業火の玉は尚も燻る。不浄なものを焼き払うように。
灼熱の玉が消滅せぬよう、キュルケは精神力を継ぎ込み続ける。

吸血鬼の絶叫が炎の轟音に途絶えるまで、
業火は太陽のように燃え続けた。

そしてそれが消えた時、全身が爛れたそれのみが残る。
精神力の切れたキュルケはふらつきながら、それでもよろよろと歩み寄る。
口では何か呟いている。口上だろうか。彼女にしか聞こえないほどか細い声だ。
それは、まだ蠢いていた。キュルケは彼女に告げる。
「マントはあげるわ。彼氏と同じ所へ行けるといいわね」
吸血鬼は首を振るも、生憎彼女も立ちくらんでみえない。
しかし、それでも銃口をそれにむけ、眉間に銀の弾丸を撃ち込んだ。

勝利した。しかし、

(あ、マズ……)
キュルケは仰向けに倒れ、頭から地面に落ちそうになる。

何者かがそっと、彼女を支えた。

508 :虚無と狂信者:2008/10/18(土) 23:44:58 ID:???
揺られる馬車の上で、キュルケは目を覚ました。毛布が掛けられている。
「……アーカード?」
「何だ?」
自身の使い魔が説明する。
あの後自分は精神力が尽き、倒れたこと。
村人達は攫われたのでも殺されたのでも無く自分から吸血鬼になったこと。
消えた人間達は、吸血鬼になったとも言えないのであの男が殺したという風に村長に伝えたこと。
「……そう」
キュルケは体操座りをし、膝に顔を埋める。

「あなたはあんなのあっさり狩れるのに、私は……マントを失くして……、
銃を使って……精神力を使い果たして、やっと一人……。ねえ? 私は……」
涙で潤んだ瞳でアーカードに聞く。

しかしその問は、膝を付く彼の姿によって憚れる。
「マイマスター……。キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。
貴方こそが私の主だ。契約した時から、いつだって、この世界で最も相応しい私の主だ」

優雅で、奔放で、不遜で、気高い、決して諦めない、人間。

「……そう」
その言葉の後、キュルケはしばらく考えた後、いつもの彼女の笑みをとる。
アーカードはこれまでに無いほど優しい笑みをキュルケに向けた。

「それはそうと、あの子達、自分から吸血鬼になったのね」
「ああ。人を誰にも知られないように消すのは困難だが、誰にも知られないように
消えることは遥かに簡単だ。盲点だったな」
「あのレコンキスタって連中ね……」
まだ見ぬ敵の姿を想像する。もはや対岸の火事では済まない。

509 :虚無と狂信者:2008/10/19(日) 00:01:17 ID:???
ふとキュルケが気付く。
「えーと、五人? だったわよね? あの男と娘も含めて七人。
私が一人、貴方がさっきの話だと……2人? あとの四人は?」
キュルケがアーカードに訊ねる。
「ああ、それなら大丈夫だ」
アーカードの言葉にキュルケは怪訝な顔をしたが、すぐに眠気が勝り、アーカードの肩にもたれた。
眠りに掻き消される意識の中で、(ああそういえばジュリオはどうしたのかしら)と思ったが、
もはやどうでもいいことだ。

アーカードは彼女に毛布をきちんと掛け、そのまま動かないでいた。





静かなる森の中、神官風の青年は木にもたれながら、ポケットから何かを取り出し、話かける。
「アローアロー教皇猊下。ええ、やはりトリステインの虚無の担い手はヴァリエール家の
三女で間違いないかと。はい。使い魔は……おそらく異世界の……厄介なことです。
ふん!」
鬱陶しげにその剣を払う。
「おっと失礼。ガリアの担い手はジョゼフ王で間違いなさそうですから……。
あとはアルビオンですね……。これは皆目見当もつきません。
ですがおそらくモード大公の……すいません、ちょっとお待ちを。
先客の女の子が、えー、えー、ははしょうがない子達で、ほんの少しです……」
そう言ってそれをポケットにいれ、歩き出す。顔には変わらぬ笑いを張りつけて。

そこに残されたのは、首を落とされた三つの死体だった。


さるさんすいません……。

510 :虚無と狂信者:2008/10/19(日) 00:04:14 ID:???
女性はあり得ない速度で森を駆け抜ける。何かに怯えるように。
その眼の前に森の木々をへし折って何かが降り立つ、それは巨大な、竜。
不味いと女性が方向を変えた。
視界に何かが映る。
吸血鬼が凄まじい速度で飛び掛る
その月目はニコリと細くなり、次いで衝撃が吸血鬼の胸を貫く、銀の剣。
それが深深と刺さり、木の一本に磔になる。
さらにジュリオは洗練された回し蹴りで深く柄を押し込み、それを釘づけた。
じたばたと暴れる吸血鬼を置き、彼はポケットから再度人形を取り出し、話す。
吸血鬼相手とはいえ、これだけのことをしておいて、とても明るい口調である。
表情は先ほどと全く変わらない。あいかわらずキュルケを誘った時のようだ。
「それで、ええこれからアルビオンに……。トリステインに留まる? 
成程もうすぐ奴らが攻め入ると、わかりました。
ではこれから、そうですね……トリスタニアにでも……。ええ、良い店が。
はは、大丈夫。これでも相手を決めたら一途で。そう、ところでその人の使い魔なのですが……。
正統なる吸血鬼です。おそらくツェルプストー家の……。ええ、おって。まあ、担い手と
同じ学院ですから。……おそらく戦闘能力では何人集めても。僕? 遠慮します。
それでは。はっ、始祖ブリミルの加護を」
人形をポケットにねじ込み、吸血鬼に向き直る。
「お願い。助けて……。」
「ううん、美人のいうことはなるべく聞きたいんだが」
彼は腕組をする。やはり表情は能面のような笑顔のまま。
「人間限定でね」
絶望する吸血鬼を置いて、ジュリオは懐から何かを取り出す。白木の杭。吸血鬼を殺す最たる手段。
「やっぱりコレじゃないと、ね」
吸血鬼が首を振るも、ジュリオは笑顔のまま無視し、心臓に向けそれをさした。
断末魔の叫びが聞こえる。そして高々と拳を掲げる。

511 :虚無と狂信者:2008/10/19(日) 00:07:14 ID:???
木がひときわ揺れ、吸血鬼の体が内包するエネルギーに耐えられぬよう破裂する。
ジュリオは頬に掛った血をそのままに、笑った。
その笑いはキュルケに向けた微笑みではない。
先程までの作り笑いでも無い。
そう、耐えきれないと言うような。彼が普段見せぬ本当の笑いを。
嗜虐と、狂喜を含んだ笑い声がしばし森に響く。
「フフフフフ! 全く! 面白いことになってきたなあ! ハハハハ! アーッハッハッハ!!」
しかし、それはほんの一時だった。彼はまたいつもの、ただの笑顔に戻り、
吸血鬼の死体を焼くために、広場に向かった。
「吸血鬼を狩る吸血鬼か……。味方になるものではないし、敵になるものでもない……だといいけどね」


それでも、その足取りは踊るようで、その口調は唄うようだった。




「ちーす。王様。あんたんとこの姫様本当どうにかしてくれー」
「おお、准尉。はは、あれも年頃の娘だ。勘弁してやってくれ」
「あんたもいい年してまた一人遊び? まあ、似たもの親子か……。
なんかねえ、吸血鬼を生み出させてた奴の一人、連絡が途絶えたよ。
多分アーカードがやったってさ。」
「ふむふむ。まあ、些細なことだ。どうせどうなろうとレコンキスタの問題だからな」
ぞんざいな口調に不審に思う。
「……ねえ、王様。僕らが言うのも何だけどあんた何がしたいの?
吸血鬼バラ捲いて、しかもそれを裏で糸引いてるとはいえ他人にやってさ」
その疑問に、ジョゼフはさも当然という風に返す。
「なあに、これでかの国の政府は吸血鬼に対抗する術を必死になって身につけようとするだろう?
そっちの方が楽しいじゃないか」

ゲームを楽しくするために難易度を上げる。ただそれだけのためにどれほど人を殺すのか。

512 :虚無と狂信者:2008/10/19(日) 00:09:23 ID:???
准尉はそんな疑問が頭をよぎるも、自分達の言えたことかと苦笑する。
「まあ、あの赤髪に刺客でも仕掛けて、レコンキスタに敵対するように仕向ける手間が省けたわ」
ジョゼフの口からあっさりともたらされたその言葉に准尉は柄にもなく驚いた。
「でもさあ、これでアーカードもレコンキスタに敵対してくるよ?
そうなったら次は王様だよ?」
アーカードはジョゼフの望む対局とは全く関係の無い所に居る。
ゲルマニアは彼の眼中にはないのだから。
「ほら、君が言っていただろう? ラスボスの次は隠しボスと」
いかな神出鬼没で常に人を食った態度である彼も、目の前の狂王にはいささか分が悪かった。
「なあに、元はあの桃髪とだけのつもりだったが、あんな面白い奴がいるのだ。
相手にしない法はあるまい。それにどうせやるならいっぺんにだ。」

全く以って度し難い戦争狂。ああ、これでこそ。
僕らが協力する甲斐がある。

「で? どうやって倒す気? あいつは血を吸って、吸うほどに強くなるんだよ?」
アーカードの能力についてはジョゼフに説明してある。
「我々の前にレコンキスタと戦うだろう?」
「まあ」
「いいか? 准尉。敵を殲滅させる銃器を扱い、圧倒的なまでの再生能力を持ち、
おまけにいくら殺したとて、彼は血を吸えば全ておじゃんだ」
それは分かりきっている。
ゆえに存在自体が不定である己を同化させることで、何とか打倒できたのだ。
「そして彼はたった一人でもなお恐ろしい男だ。そうだな」
そう、アンデルセンでもウォルターでも、彼は倒せなかった。

513 :虚無と狂信者:2008/10/19(日) 00:10:52 ID:???
「そんな彼は、今、慎重さと、狡猾さを持っている。
それはそうだ。一度取り込んだ数百万の命も今は消えている。
いかな無敵の吸血鬼とて、あと少しで、あともう少しで殺しきれるかもしれん。
その彼に、大軍を以って攻め入り最後のひと押しを決めるか?
否!
彼はそれでも殺しきれん。そして彼が倒れた兵の血を吸えば全て台無しだ。
彼が力と憶病さを兼ね備える怪物である内は。
完全無欠じゃないか、そんな化け物は。
ただでさえ人間を越えた化け物に、人間の奸智と憶病さまで持たれては。
ではどうすればいい……」
ジョゼフはチェス盤を取り出し、並べられた駒を全て払った。そして一つの駒を中央に置く。
「彼には暴君となってもらう。元の、そう元のだ。
横柄で不遜で傲慢で最強で最悪の吸血鬼に、
暴君に、狂王に、不死身の王に。
そしてそうなった時……」

「彼は私によって撃ち滅ぼされるのだ……」

彼の傍らのチェス盤には、キングが、ただ一人で佇んでいた。



以上で投下終了です、支援まとめありがとうございました。

514 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/19(日) 00:16:59 ID:???
ええと、これが僕のクオリティの限界です。戦闘難しいです!

ロマリアは今後も要所でちょこっとずつ登場と。
多分次はタルブで観戦している所でしょう。
あとジュリオがキュルケよりもの凄く強いという訳ではないので悪しからず。
その辺りは今後書きます。

ブレイズボールは、火の三乗ってことで、ファイアー、フレイムと来たらと、
まあ、そんな感じですww あとキュルケって割とネーミングが安直ですし。

狂信者的吸血鬼の作り方。
1、吸血鬼のエキス的な物を注入する。
2、方陣を使い、術を施す。
彼女を研究する、ウォルターの吸血鬼化のやりとりなどからこう予想しました。
何分コミックスとWIKIの知識しかないので、不十分だとは思いますが、
吸血鬼製造に関してはさらっと流してくれれば幸いです。

今後もタバキュルにはパワーアップしたり、覚悟見せたりさせたいですね。

それではあらためて支援、まとめ、WIKIの訂正、ありがとうございました。


515 :マロン名無しさん:2008/10/19(日) 00:41:32 ID:???
GJ!


516 :マロン名無しさん:2008/10/19(日) 01:00:47 ID:???
キュルケがちょっと大人し過ぎる気もしましたが乙です。
ルイズやアンアン、マゾコリヌ、シエスタ教官、ギーシュ、モンモラシーも忘れないで下さい。

ゼロ魔世界には吸血鬼が普通の亜人として存在しています。
ゼロ魔には「彼女」がいないので亜人の吸血鬼がグール(下僕)を生み出す技法の改良版(ミレニアムver)で、ハルケギニアで作られた吸血鬼はHELLSINGの吸血鬼よりゼロ魔のグールに近いとか妄想していました。

517 :マロン名無しさん:2008/10/19(日) 01:16:46 ID:???
狂信者の方、乙であります!

キュルケ早速リボルバー使いましたね
強力だけどよっぽど熟練者じゃないと吸血鬼の身体能力に翻弄されそう
ジュリオやっぱ裏で動いていたか…
ルイズが目を付けられたようで、何気にヤバいかも?

タバキュル、パワーアップですと!?
2人共(たぶん)処女だから、吸血鬼にはなれるんですよね〜
まぁ、タバサは本人が望んでるけどキュルケは人間としての意地を今回見せ付けてくれたので
キュルケの吸血鬼化はどう考えてもなさそうですが

次回からはのタルブ戦も楽しみにしております!

518 :マロン名無しさん:2008/10/19(日) 01:20:25 ID:???
狂信者のサイトならタバサの吸血化フラグをへし折ってくれるさ(自身の死亡フラグと引き換えに)。

519 :マロン名無しさん:2008/10/19(日) 03:17:19 ID:???
>>514
GJ!
キュルケの人間としての必死の戦いがイカす!
泥臭いというか何と言うか、こんな戦いをする人間は強くなれる!(はず)
タバサだけでなく、キュルケの今後も気になりますな

准尉、そんなにイザベラのもふもふが嫌だったのかwww
すぐ逃げればいいのになんでそうしないんだろ?
まさか、准尉を呼び出したのがイザベラで逃げられないとか!?


>>518
いっそのことサイトがタバサを襲って処女を(以下略
そうすりゃ吸血鬼化も防げて、愛の力でパワーアップして万事OK!

キュルケはあのけしからん胸をミサイルにすればOK!
銀の弾頭のおっ○○ミサイルなら破壊力抜群だ!

ハッ! 何か背後に殺気が・・・



520 :マロン名無しさん:2008/10/19(日) 11:39:43 ID:???
>>517
そこで諦めを踏破ですよ

521 :マロン名無しさん:2008/10/19(日) 14:49:14 ID:???
そろそろ、鉄火の無い日常の話が欲しい。
ミレニアムの日常(シュレ、大尉(完全狼)がイザベラにモフモフされる)
サイトの修羅場に塗れた日常とか・・・
大尉やシュレをモフモフするデコが見たいのじゃないのだからね!

522 :マロン名無しさん:2008/10/19(日) 16:25:45 ID:???
それでもサイトなら、サイトならきっと日常ですら違う意味での修羅場を魅せてくれる

523 :マロン名無しさん:2008/10/19(日) 23:48:16 ID:???
なんとなくジョゼフの話し方に違和感を覚える
シュレ相手なら私じゃなくて俺って言いそう

524 :マロン名無しさん:2008/10/20(月) 00:14:36 ID:???
まあ少佐っぽくしてるんでないの

525 :マロン名無しさん:2008/10/21(火) 22:18:12 ID:Ubmx+BRd
そして過疎

526 :マロン名無しさん:2008/10/22(水) 00:31:16 ID:???
のんびり待とうや

527 :スナゼロ ◆kdp8/y3/66 :2008/10/22(水) 00:43:55 ID:???
狂信者さんの執筆速度を見習わなくては・・・。

528 :マロン名無しさん:2008/10/22(水) 10:33:27 ID:???
ロリカードの旦那はまだかなぁ

529 :マロン名無しさん:2008/10/22(水) 18:30:05 ID:???
そういや結局イデは発動しなかったな

530 :マロン名無しさん:2008/10/22(水) 18:34:40 ID:???
ロリカードの続きがすげえ気になる!
キュルケとタバサは大丈夫だろうか・・・・

531 :マロン名無しさん:2008/10/22(水) 21:00:26 ID:???
どなたか狂信者22話のまとめやってください
ノートPCが修理中なのでできません

532 :マロン名無しさん:2008/10/22(水) 22:15:34 ID:???
>>531
22話アップされていました。

533 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/22(水) 23:29:22 ID:???
>>531
ありがとうございます。

23話目 2330より投下開始

534 :虚無と狂信者:2008/10/22(水) 23:32:20 ID:???
ルイズは朝起きて、しばらく呆けていた。
辺りを見回しても、自分の使い魔はいない。
それはいい。確かにアンデルセンは自分の使い魔だが、彼の信仰心は知っている。
それを邪魔する権利は自分にはない。
彼の戦闘力、人格は己の使い魔としては過ぎたるものと考えているし、
彼が私に忠誠と、一種の、それは先生が生徒に対するもしくは親が子に対する、愛情を
持っていることは感じている。そしてアルビオンで彼が懸命に、それこそ命がけで己が
受けた任務の成功の為に働いた為、この位の暇は与えてもいい。
大体彼は姫様の依頼で動いている訳で、これはひいては己の為にもなる。
それに彼に付いていったって何ができるでもなく、そもそも授業がある。
などと頭では分かっているのだが、彼女の気分は暗澹たるものだった。
というのも机に置かれた一冊の本による。

なんで私なんかが、

ゼロの私が、

使い魔からは頼りにされない私が、

姫様の結婚式に、詔を……。

といっても、元々彼女ならそれだけでここまでネガティヴにはならないのだが。
(アイツ……。怒ってるよね……)
自分の命の恩人である少年。
何故か他人の気がしない少年。
成り行きとはいえ、私を守ってくれた少年。
というか正直に言ってどう考えても自分の行動、あれは無い。
そして彼女はしばし逡巡し、
「そうだ、同じ男の子に相談しよう」
との結論に達した。といっても彼女に交遊のある少年などほぼ一人だが。


535 :虚無と狂信者:2008/10/22(水) 23:35:04 ID:???
ルイズの部屋。ベッドに座り、正座する二人の少女を見据えるギーシュ。
彼は二人の少女から話を聞く。シエスタも何故か居るのだ。
「ええっと……。もう一回言ってくれるかな?」
ギーシュの問にルイズがもぞもぞと答える。
「だから……。才人がタバサ達と仲好くしてて……。」
「そこまでは分かった」
「女と一緒に風呂入ってて……。」
「ああ、それで?」

「電流つきの首輪を」
「やっぱり解らないなあ」
「斬り捨てようとしました」
「全くわからないなあ!」

「それで許してもらうにはどうすればいいかと?」
ルイズとシエスタはこくりと頷く。
「……。まあ示談で済ますなら金はいるかな。相場はレイナールにでも……」
「いや、そういうんじゃ無くて」
「その……男女の仲として」
「うん。まずは敵味方の仲から脱却したまえ」
もはやぐうの音も出ない。ギーシュは頭を抱える。
「恋とか愛とかそれ以前に人間としてどうかと思うよ。僕は」
正論を吐きながら、ふと窓の外を眺め、溜息と共に二人の少女に告げる。
「彼が帰ってきたからとっとと謝りに行きたまえ」
中庭に青い竜が降り立った。

536 :虚無と狂信者:2008/10/22(水) 23:37:52 ID:???
 才人達は吸血鬼退治を終え帰って来た。地に降り立ったタバサは才人に頭を下げる。
「本当にありがとう」
「いいって、それより怪我大丈夫か?」
 彼はタバサの頭に手を置き、彼女は表情を変えず答える。
「平気」
「ちゃんとレバーとかほうれん草を食べて血を作れよ」
タバサは才人の妙な気遣いにもコクリと頷く。
「……さーて、どうなるかな……」
才人のテンションがやたらと高かったのも言ってしまえばシエスタとルイズの所為だろう。
「……まあ、もし殺されかけたらまたこっち来い」
「隊長……。いえ、もうそうなったら学院をしばらく離れます」
「ず、随分追い詰められてるね」
セラスの問に才人も頭を掻く。
「いえね、ぶっちゃけ俺ルイズと最近ですねえ、何か焼いてるみたいだし『これってフラグじゃね?』
とか思ってたんですけどねー。シエスタも脈ありかと……。ああ、あの頃の浮かれた俺ぶん殴りてえ!」
(あの子達ホント紙一重ですね……。)
(あいつら自分からフラグバッキバキにしたからな……。)
落ち込む才人をタバサが杖でつつく。
「何だよ?」
「アンデルセンは言っていた」
「何を?」
「例え人の世が見捨てても、主は愛して下さる」

才人はしばらく呆けた後、走りだし遠い空に向け叫ぶ。
「神様――! 俺頑張るよ――!」
「よし」
「「煽ってどうする!!」」
満足気に頷くタバサに二人の使い魔がハモリながらつっこんだ。

537 :虚無と狂信者:2008/10/22(水) 23:40:29 ID:???
「あの……サイトさん」
才人の体がピタリと止まる。シエスタとルイズの姿を見とめ、ベルナドットの影に隠れる。
「……。」
才人は少しベルナドットの顔を見て考えた後、今度はセラスの後ろに隠れた。
「おい! 何だ!? 今の『これはちょっとな……』みたいな目は!?」
「……駄目そう」
「な!?」
「……だって隊長今回全く活躍してないじゃないですか」
友と主人と思い人にけなされ、ベルナドットは地面に崩れ落ちた。
「しょうがねえじゃん……。俺普通の子だもんよ……。」
「ドンマイ」
「タバサ嬢ちゃんの『駄目そう』が俺的には一番こたえたよ……」
「大丈夫っすよ隊長! 自動小銃さえあれば!」
「それって俺あれが無いと役立たずってことか?」
「ううん、控え目に言って……」
「よし! だったら辛口で言ってみようか!? セラス嬢ちゃん!!」

などという絶妙なやり取りを見てとった彼女らの間に危機感が芽生える。
(メイド……。あれは不味くない? 何か凄い息ピッタリなんだけど)
(っていうかミス・ヴァリエール。サイトさん完全に私達に怯えてますわ。
色恋沙汰以前の問題です)
(でも確かにあんなことしたしね……)
(早く謝りましょう!)
あまりの危機感にアイコンタクトで会話することまで習得した。
今の二人がバスケをすればスクリーンプレイも問題なくできるだろう。

538 :虚無と狂信者:2008/10/22(水) 23:43:32 ID:???
「あ、あのですねサイトさん」
「はい! 何でしょう!?」
才人は地面に蹲りながらセラスの影に隠れる。犬を通り越してアルマジロを連想させる。
「あ、あの……。ご、ごめんなさい……。あんなことして……。」
シエスタの言葉に才人は呆けたように固まる。

才人はいたずらがばれた子どものようにおずおずと聞き返す。
「……。怒って無い?」
「へ?」
才人の言葉にこの場に居る皆が固まる。代表してギーシュが質問する。
「あのね。サイト。これは悪いのは彼女達だから、別に君に非は無いのだよ?」
この言葉に才人はポカンとして言う。
「え? 何? じゃあ別に電流流されたり斬られたりはしないの」
「うん、まあそうだね」
「じゃあ別にいいよ」
ギーシュは口を開けて呆ける。
「き、君は怒ってないのかね?」
「いや、まあ最初は怒ってたけど……別にもういいや」

才人はこっちに来てからというもの戦闘の巻き添いを喰らい、爆発を喰らい濁流を喰らい、
銃弾を銃剣を喰らい随分と理不尽な目にあったので(いちいち怒ってたら身が持たない)という結論に達していた。
無論、大抵のことはなあなあで済ませる彼の気質も関係している。

だがそれはギーシュの目からすれば聖人君子のものとしか思えない。
「君は何故そんなに心が広いんだね?」
「男はタフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格は無い」
「受け売りじゃねえか!」
才人は人差し指を立てそう答え、ギーシュが感嘆の声を上げ、隊長が突っ込む。
彼は恥ずかしげに頭を掻く。

539 :虚無と狂信者:2008/10/22(水) 23:46:26 ID:???
「まあリアルに言うと、俺の親父が言ってたんだよ……。
『男が女のやることにいちいち本気で怒ってたらやってられない』ってさ」
ギーシュは尊敬の眼差しで見つめる。
「あ、だからルイズも気にしなくていいぞ。だが電流だけはやめろ! 本当に止めてくれ!」
ルイズは横を向いて何か口でもごもご言っている。
「電流に何かいやな思いででもあるのかい?」
才人は昔のことを語り出した。
「子どもの頃さ、母さんが『頭のよくなる装置』ってのを買って来た。頭につけるやつさ」
「ほうほう」
「それを使うと、電流が流れて来た」
乾いた笑いが漏れる。なかなかはっちゃけたお母さんである。
「小3の俺はその電流を喰らい続けたのさ。親父が帰って来る三十分の間。
『もうちょっと頑張って』なんて母さんに言われながらな。俺泣いてるのに」
沈黙。
「俺は親父に泣きついた。親父はそんな俺の肩を優しく叩いた」

「その時言われたのが、さっき言った言葉だよ」

皆泣いた。

「悲しい実証に基づいた言葉だったんだね」
ギーシュが涙ながらに言う。彼の両親の結婚生活が手に取るように分かる。
しかし才人は至って元気に言う。
「大丈夫! 俺には今凄えイカス神がいるから!」
目がアレだ。
「いいんだ。俺このままカトリックの神父になって孤児院で子ども達を育てて時たま吸血鬼を狩って、
俺の面倒を見た子ども達が大きくなるのを見届けて神の国に行く。
……いい人生だ」
自分で言っていれば世話は無い。
「うん、今適当に並べてみたけど思いのほかいいな……。という訳で勉強する! じゃあな!」

540 :マロン名無しさん:2008/10/22(水) 23:48:44 ID:???
可哀想な事になっているサイトへ支援。

541 :虚無と狂信者:2008/10/22(水) 23:49:42 ID:???
当面の命の危機を脱したので若干テンションが高い。もう見えなくなっている。
「ま、まあ何はともあれ許して貰えましたね。ミス・ヴァリエール?」
「え? ああ、そうね」
一息をつく二人の少女にタバサが訊ねる。
「いいの?」
「? 何がです?」

「カトリックの神父は生涯未婚」

「「へ?」」
などと聞き返すも確かにそうだ。ブリミル教の神官もそうだし、アンデルセンもそう。
「え? 何? じゃあ私達の恋敵って……神様ってことですか?」
タバサは無言で頷く。
「まあ、頑張って」
タバサの中では才人は異性の中では一番上でも恋愛感情は無い。
(それに、彼がそう選択するのなら、それでいい。)

「ま、不味いですよ! ミス・ヴァリエール!」
シエスタに体を揺すられてもルイズとしてはどうしようもない。
「……まあしょうがないわよ。そうなったら、それは私の決めることじゃないわ」
「そんな! 人に電流の流れる拘束具をつける貴女は何処へ行ったんです?」
「もうそれは忘れなさい! 私はやることがあるのよ!」
そう言い残しルイズは去って行った。シエスタはその場で悩む。
「そ、そうですわ! 神様よりも魅力的になればいいんです!」
今度はいい方向に向かったらしい。

542 :虚無と狂信者:2008/10/22(水) 23:52:17 ID:???
ルイズは部屋で溜息をつき、本を見る。
トリステインの国宝、始祖の祈?書。
それをはたと眺め、溜息をつく。
姫の結婚式の巫女に選ばれたものの、詔など思いつかない。
こういうことで頼りになりそうな彼女の使い魔は、今はいない。

「なあ。ルイズ」
いきなり部屋に入られ声を掛けられ驚いて仰け反る。才人はポカンとしている。
「な! 何よ!」
「何怒ってんだよ……。神父は?」
「ア、アンデルセンはまだ帰って来て無いわよ」
「そっか……。色々聞きたいことがあったのにな……」
ふとサイトはルイズの持つそれに注目する。
「? 何だその本?」
「……始祖の祈?書。国宝よ」
「何でお前が国宝なんて持ってるんだ?」
ルイズは淡々と説明をし始めた。

「巫女? 凄えじゃん!」
手放しで褒めるサイトに何処か嬉しくなる。
しかし、次に出てくるのはどうしても負の感情だ。
「でも……私、全然詔も出来なくて……」
「詔? こう、新婦は気立ても良く……とか?」
「それ違くない?」
才人も頭を掻く。彼だってそんなことしたことが無い。
「まあ、でも、そんな大事なこと任されてるんだろ? 凄いじゃないか!」
彼の発破にも彼女は俯いたままだ。
「でも……。私魔法も使えない『ゼロ』なのに?」
才人はキョトンとする。
「何言ってんだ? 詔に魔法が出来ないも何もないだろう?」
それでもルイズは俯いたままだ。

543 :虚無と狂信者:2008/10/22(水) 23:56:17 ID:???
才人は聞いたことがある。
ルイズは魔法が使えない為、学院ではいつも馬鹿にされていたと。
努力していることは皆知っている。
他の学業では成績優秀だ。
家柄だっていい。
ただ魔法ができないというだけでいつも馬鹿にされていた。
(自信……なくしちゃったんだな)
彼女のプライドの高さは彼もよく知っている。
それで不味いことになる場合も多々あるが、概ね好ましいことだ。
けれど、それに必要な自己を肯定する自信が、長年の罵倒ですっかり壊されてここまできてしまった。
それはアンデルセンだって心配するものである。
どうにか元気づけられないだろうか。
アンデルセン不在の今、というか彼女に対して何かと面倒見がいいキュルケも不在だ。
(じゃあコイツを元気づけられんの俺だけじゃん)
使命感に燃えてサイトは語り始める。
「あ、あのさあ、ルイズ。魔法ができなくても、お前勉強できるんだろ?
だったらいいじゃないか」
しかし、ルイズの顔は優れない。
「それに、お前貴族だろ? ってことはようするに政治家だろ?
だったら領地の経営とか、民衆の暮らしを良くするとかで頑張れば」
経済や政治の分野は魔法の力など大して必要ない。というか全くないのではないか。
「……確かにそうね。でも駄目なのよ。貴族は魔法が使えなきゃ……」
正直才人にとって魔法がどれだけ凄い技術とて、そこまで全てを決定するものとは思えない。
所詮個人の力である魔法で、例えば国民の生活を向上させたりなどできない。
それより上流階級に求められるのは政治力だと魔法のない世界から来た彼などは考えるのだが、
この少女にはそんな発想はでき無いのだろう。ならば。
「ほら、お前の失敗魔法って凄い威力だろ?それでワルドの偏在ぶっ飛ばしたし」
「でも」
効果無し。

544 :虚無と狂信者:2008/10/23(木) 00:00:36 ID:???
(全く! 誰が魔法を使えるやつが偉くて使えないやつは何やっても屑だなんて決めたんだか! 
んなもんただ強いってだけじゃねえか)
などと会ったことも無い始祖に恨み事を言ってみる。

とにかくこの少女を元気づけようと思案する少年は発想を変えた。
『魔法が使えなくても大丈夫』ではなく、単純に『お前は凄い』と肯定する方向に。
彼女は頑張っている。ならばそれだけを評価してやればいい。

どうやって?

そこでふと彼女の使い魔に教えられた聖書の話を思い出す。
「あーっと。ある所にお金持ちの主人がいてな。主人は三人の下僕にそれぞれ
5000エキュー、2000エキュー、1000エキュー預けた」
ルイズは突然何やら言い始めた才人を呆けた目で見る。
「んで、5000エキュー貰った下僕と2000エキュー貰った下僕はそれぞれ
商売してお金を倍にした。1000エキュー貰った下僕は無くならないように金を土に埋めた」
ルイズは興味深げに頷いている。
「主人は帰って来て、下僕達に金を出させた。んで、前の二人は褒められたけど、
金を地面に埋めていた下僕は主人に怒られて追い出された。
主人は神、下僕は人間、金は俺達が持つ才能だ。」
ルイズは最後まで聞いて、首を傾げた。
「それで……。何が言いたいの?」
「つまり、お前は……。何て言うか……。才能を地面に埋めはしなかったんだろ?
一生懸命練習したり勉強したり……。今まで頑張って来たんだろ?」
才人のたどたどしい言葉にルイズは俯く。
「……でも、私魔法ができるようには……」
「だから……それでも他のことで頑張ったり……。とにかく何もしないで諦めたり
何もしなかったりはしなかったんだろ? だったら……お前は凄い奴だよ」

545 :虚無と狂信者:2008/10/23(木) 00:03:08 ID:???
才人はふと遠い目をして言う。
「俺……。元の世界では学生やってたけどさ……。何もしなかったよ。
まあ、典型的なゆとり学生って奴で……。勉強も真面目にはしなかったし、
適当に……。そう、適当に生きてた。何時だって。パソコンばっかりやってたな」
「学生なのに?」
ルイズの突っ込みに刺さるものがある。
「うん……。だから、それに比べればお前なんか……大したもんだよ。
本当にそう思う」
ルイズは赤い顔を隠すようにそっぽを向く。照れ隠しに話題を変える。
「あ、あんただって、馬鹿みたいに訓練してるじゃない」
才人はしばらく考える。
「俺も……。頑張ってみようかなって……。俺、自分は普通の奴だって思って、何もしてなくて。
最初は憧れだった、でも今は……。俺のできることをしたいんだ。
ひょっとしたらさ、俺が、俺にしかできないことってあるかもしれないから」

ずっと世界は俺無しで回ると思ってた。
俺にできることなんて何も無いと思ってた。
けど。
何か分かんないけどここに来て。
あんな糞みたいな闘いをして、
それでも、救える命があった。
きっとそれは、俺にしかできないことだった。

「お前は、お前にしかできないことをやってるんだろ?
凄いことだよ。魔法が使えるとか、ただ強い奴なんて大勢いるけど。
姫様に詔を言うことができるのはお前だけだ。
だから、その仕事をやればいいんじゃないか?」

546 :虚無と狂信者:2008/10/23(木) 00:06:03 ID:???
私にしかできないこと。
私の仕事。

「あのね……。サイト……」
才人ははっとして彼女の方を向く。
「ありがとう」
彼は一瞬ポカンとして、けれど笑顔になって。
「どういたしまして」
とだけ言った。
(そうしてれば可愛いのにな……)

 ルイズは出て行った才人を見送り、溜息をつく。そして体を突然バタバタさせた。
「な、何よ。あいつ。馬鹿じゃないの……」
そう言いながらも笑みが零れる。そこでふと気づく。
今まで、あんなに懸命になって元気づけようとしてくれたのは彼だけだ。
 何か温かいものが体に溢れて来る。そして思った。
「あ、あいつはああ言ってたけど、やっぱりちゃんと謝っておくべきよね。
貴族だもん」
 素直な気持ちで才人の後を追い、部屋を出た。

「お、タバサ。今から飯か?」
才人は廊下でバタリと会ったタバサの隣を歩く。今は昼中で、夕食まで時間があるため
厨房に貰いに行くのだろう。
「ちゃんと食わないとな。血抜いたし」
「あなたも……」
タバサの返答にキョトンとする。そして、自分も彼女と同じくらい失血したことを思い出す。
「そうだな……俺も行……」
言葉が途切れ、突然才人がタバサに寄りかかった。

547 :マロン名無しさん:2008/10/23(木) 00:06:56 ID:???
支援

548 :虚無と狂信者:2008/10/23(木) 00:08:17 ID:???
 才人は再生者となって度々戦闘をしたものの、自分がどれ位のダメージでどれほど
行動に支障をきたすのか、未だ正確には正確に掴めていなかった。
そしてタバサに指摘された時、自身のダメージを初めて自覚し、己の意志に反してふらりと倒れた。
そこで隣のタバサにもたれかかってしまう。
タバサも小柄な外見ながら、何とか反応し、彼を支えることに成功する。
しかし、流石に力が足りず、たたらを踏んで、強かに壁にぶつかる。
衝撃で才人の意識が覚醒する。

気づくと、まるでサイトが壁にタバサを追い詰めている状態となった。
もしここでキュルケがいたら即座にファイアーボールだったろう。

「悪い……」
「……別にいい」
 彼女は驚いた表情であるものの、別に気にした様子は無い。
 才人はというと自分が何をしているかよく分かっていない。
 何とか再起動しようと試みる彼の視界が、彼女の視線が横を見ていることを捉えた。
 その方向に視線を移す。
「あ、ルイズ」
 三人の間の時がしばし止まる。
 先に動いたのはルイズだった。
 桃色の髪を靡かせ、少女が自身の部屋に戻る。
 数秒後、黒い棒状のものを持って出てくる。
 それが乗馬用の鞭と判断している間にルイズが近づく。
 
 才人は何が何だか分かっていなかったが、ルイズの表情が能面のようだったのを見て、
(ああ、俺は殺されるのか)
 とぼんやりと思った。
 鞭が才人にぶつかるその瞬間まで、彼女の表情は硬いままだった。

549 :虚無と狂信者:2008/10/23(木) 00:11:17 ID:???
タバサが廊下に仰向けになっている才人の顔を覗く。
「大丈夫?」
 そう言っている瞬間も、才人の傷は治り続けているのだから流石だ。
「なあ、あいつ何なんだ? 俺が何したってんだ? Sなのか? ドSなのか?」
 天井を見上げる才人の脳には怒りが湧き起る。
かと思われたが、才人は自然な、心からの微笑みを浮かべる。
「まあ、あいつが元気になって良かったよ」
 才人はタバサに向き直る。何か悟っているようだ。
 タバサの薄い唇から、溜息が洩れる。
「ああ、まだちょっと床が気持ちいいから先行っててくれ」
 やはり相当効いたようだ。
「そう……」
「あ、ごめんな? 何か変なことして」
「別にいい」
 タバサはふらりと立ち上がる。
「それに」
 その後の言葉を、才人は聞こえなかった。
 彼女の歩みは、普段より少し速い。
「そんなに嫌じゃ無かった」
 その白雪のような肌は、仄かに赤みがさしていた。

 以上で投下終了です。支援まとめありがとうございました。

550 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/10/23(木) 00:20:23 ID:???
才人の言ったのはタラントンの例えですね。
才人のお母さんは結構ハジケてるイメージ。
あと、絶対「女の子には優しくしろ」とか口を酸っぱくしていわれてるんだろうな。

今回はルイズメイン。ていうか僕の作品読み返すとルイズは結構着々とフラグを積んでたのに
何で18話だけあんなはっちゃけているのだろう。
そしてこの手がタバサを書いてしまう不思議。
ルイズメインのつもりだったのに。何故だ?

あと隊長の書きやすさは本気で異常。すごくいじりやすい。

最後にカトリックの神父云々で気づいたこと。
「三十歳まで童貞だと魔法使いになれる」というけど、
神父の回復法術や瞬間移動は実は…おっと誰か来たようだ。
改めてありがとうございます。

551 :マロン名無しさん:2008/10/23(木) 00:52:29 ID:???
GJ!

552 :マロン名無しさん:2008/10/23(木) 01:00:58 ID:???
GJ!

・・・だが作者は無事に次話を書けるのだろうか

553 :マロン名無しさん:2008/10/23(木) 01:59:40 ID:???
今近くの教会から、同じコートに眼鏡で、首から十字架ぶら下げた神父さんが沢山出てきたんだけど?
こんな夜中に何処行くのかな?

554 :マロン名無しさん:2008/10/23(木) 02:43:35 ID:???
ルイズのフラグバキバキぶりは原作でも同じなんかいなー。
原作未読だから分からないが、分からなくても楽しいぜ! 乙!

555 :マロン名無しさん:2008/10/23(木) 05:51:46 ID:???
狂信者の方&まとめの方、乙です!

サイト、心が広いというか頭がアレというか…不憫だ
隊長もサイトに頼りないと思われちゃ、立場がなさすぎるw

ルイズは今回は成長した?と思いきや、やっぱり暴力オチか…
原作でもそうだけど、ルイズの暴力的なところはどうしても好きになれませんね
サイトはルイズのよき理解者なんだから、何があったかぐらい聞けばいいのに
ギーシュも言ってたけど、人として問題ありすぎ

タバサは段々と感情が出てきてますね
何だかんだあってもサイトを気づかうとこが可愛いw
ルイズが自分でヒロインフラグをバキバキへし折ってる分、着実にフラグを積み重ねてるな〜
隊長とセラスの絡みももっと読んでみたいですね











556 :マロン名無しさん:2008/10/23(木) 12:36:41 ID:???
こうして人は信仰を深めていくんですね

やっぱり絶望したときの救いとして信仰ってのは有効なんだろうね

557 :マロン名無しさん:2008/10/23(木) 16:35:13 ID:???
失恋した人は落としやすいみたいなもんですね。

>>553
アーセナル対チェルシーでも見に行くんじゃない?

558 :マロン名無しさん:2008/10/23(木) 17:07:06 ID:???
乙した

祈祷書の祷って文字化けすんのか・・・


559 :マロン名無しさん:2008/10/23(木) 17:35:38 ID:???
投下乙!

うーん、正論を言うギーシュが常識人に見える
目の錯覚か?w

タバサ可愛いな〜
ルイズよりヒロインやってますよね
作者さんが意図しないのにタバサを書いちゃうなら、もうタバサがヒロインでいいんじゃね?w

それにしても隊長、他人のフラグ云々より自分にダメ男フラグ立ててちゃダメでしょwww

560 :マロン名無しさん:2008/10/23(木) 18:52:01 ID:???
乙彼!
隊長は現代装備が無くても数百人の部下が居れば。
それはさて置き、魔法第一主義のトリスティンの罪は重いですね。


561 :マロン名無しさん:2008/10/24(金) 04:12:28 ID:???
タバサイヤッホォォォォォォォォォォォォォ!!

562 :マロン名無しさん:2008/10/24(金) 13:41:40 ID:???
ヤバダバドゥゥゥゥゥゥゥ!!かと思った、どういう目してんだ……

563 :マロン名無しさん:2008/10/24(金) 13:48:35 ID:???
やっとアワーズ読めたよ
インテグラ男前な老婦人だったよペンウッド孫大変そうだよ
そしてなにより年明けからの新作とやらがすげぇ楽しみ

564 :マロン名無しさん:2008/10/24(金) 18:42:22 ID:???
それより外伝

565 :マロン名無しさん:2008/10/25(土) 13:33:26 ID:???
大同人…

566 :マロン名無しさん:2008/10/25(土) 18:24:06 ID:???
遅レスだけど>>275の続き
セラス「マスターって海に落ちても死なないのですね」
ロリカード「ああ、物凄く嫌いなだけだ・・・」
サイト(流石にグッタリしていますね隊長)
ベルナドット(ああ頭から出ている猫耳が消えていない)
アンデルセン「・・・チッ」
キュルケ「アンデルセン何か言った」
アンデルセン「いえ、何も」
ロリカード「おえ・・・(今まで食べた命の一部が吸血鬼として吐き出される)」

567 :マロン名無しさん:2008/10/27(月) 01:30:24 ID:???
落ちそうだぞ、大丈夫か。保守

568 :マロン名無しさん:2008/10/27(月) 03:39:50 ID:t6dhpPtT
一回ageとく?

569 :マロン名無しさん:2008/10/27(月) 03:40:47 ID:???
俺はなんて馬鹿なことをしちまったんだ・・・・

570 :マロン名無しさん:2008/10/27(月) 14:16:08 ID:???
うぎゃあ!

571 :マロン名無しさん:2008/10/27(月) 21:14:38 ID:???
そろそろ狂信者さん来るかな〜?

572 :マロン名無しさん:2008/10/27(月) 21:41:54 ID:???
ttp://up2.viploader.net/upphp/src/vlphp235192.jpg

ロリカード様!ロリカード様!ロリカード様!ロリカード様ぁぁぁぅぅうううわぁあああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!ロリカード様ロリカード様ロリカード様ぁぁぁぅううぁわぁああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!ょぅι゙ょアーカードたんの黒色ロングの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
9巻と外伝のロリカードたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
ロリカードたん!あぁあああああ!かわいい!ロリカードたん!かわいい!あっああぁああ!
OVA5巻ももうすぐ発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!OVAなんて現実じゃない!!!!あ…漫画もアニメ(黒歴史)もよく考えたら…
ロ リ カ ー ド ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!グレートブリテンンぁああああ!!
この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?外伝のロリカード様わんわんと僕を罵っている?
9巻の中のロリカードちゃんが僕を見てるぞ!ロリカードちゃんが僕を見てるぞ!漫画のロリカードちゃんが僕を見てるぞ!!
外伝のロリカード様が惜しげもなく僕を罵ってるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはロリカード様がいる!!やったよセラス!!ひとりでできるもん!!!
あ、OVA1巻の最後のロリカードちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあ少佐ぁあ!!ア、アンデルセン!!シュレディンガぁああああああ!!!ウォルタぁあああ!!
ううっうぅうう!!俺の想いよロリカード様へ届け!!夜明けと共に消えちゃったロリカード様へ届け!

573 :マロン名無しさん:2008/10/27(月) 22:00:04 ID:???
OVA5巻ってどこまでやるんだろ

死の河開放まで行くのかな

574 :マロン名無しさん:2008/10/27(月) 22:14:13 ID:???
コミックス7巻終了までじゃないか?キリもいいし。

575 :マロン名無しさん:2008/10/27(月) 22:58:55 ID:???
>>572
つ つえーぞこいつ、すげえ「萌え」を持ってやがる

576 :マロン名無しさん:2008/10/28(火) 00:37:47 ID:???
これは・・・修正が必要だ・・・。

577 :マロン名無しさん:2008/10/28(火) 19:53:23 ID:???
>>574
そこまで入るかな…

578 :マロン名無しさん:2008/10/29(水) 13:48:05 ID:???
でも入ったら嬉しいかな

579 :マロン名無しさん:2008/10/29(水) 17:42:23 ID:???
フーケ戦でルイズの使い魔が少佐だったら
至近距離でパンツァーファウストを外す少佐
少佐「だめだデルフ・・・当たらん」
デルフ「この距離であの大きさの物からどうやれば外せるのかな相棒・・・」
少佐「思ったよりも反動が強くてな」
デルフ「これで本格的に絶体絶命だぜ、どうする相棒」
少佐「はっはっは、それは困った」
ルイズ「この・・・」
フーケのゴーレムはルイズが怒りで思い浮かんだ呪文(エクスプロード)で消滅しました。

なぜか急に思い浮かんだ。

580 :マロン名無しさん:2008/10/30(木) 12:42:25 ID:???
どうやってSSに入ったんだろあの人

581 :マロン名無しさん:2008/10/30(木) 14:39:57 ID:???
面接時の演説


あの人って下手に雇うと会社乗っ取られそうだよね。
部下に支持を出してもニヤニヤするだけで全然動いてくれないとかw

582 :マロン名無しさん:2008/10/31(金) 00:52:56 ID:x7wNZxVK
「三十歳まで童貞だと魔法使いになれる」って。。。。。!!
絶望したっ! 神父がアレと一緒だなんて大いに絶望したっ!!!!

583 :マロン名無しさん:2008/10/31(金) 18:06:45 ID:???
つまり神父の奇跡は萌属性の魔法だったという事か

584 :マロン名無しさん:2008/10/31(金) 20:55:32 ID:???
昨夜、少佐がルイズの使い魔として召喚される夢を見たんだ
…それだけ言いたかった 反省はしてるが内容公開はしない

585 :マロン名無しさん:2008/10/31(金) 22:30:41 ID:???
少佐「キュルケのおっぱいが一番に決まってんだろーーーっ!」
ドク「つるぺたが一番に決まってます!」
大尉(美乳……)

586 :マロン名無しさん:2008/11/01(土) 01:01:47 ID:GWAbsErt
>>583
地水火風虚萌ですねわかります
神父「パピコン!」

587 :マロン名無しさん:2008/11/01(土) 01:26:09 ID:???
>>585
セラスのフィギュアを魔改造するドクがそれを言うか?

588 :マロン名無しさん:2008/11/01(土) 06:45:40 ID:???
ルイズが少佐で、キュルケがドクで、タバサが大尉。すげえ愉快なんだが。

589 :マロン名無しさん:2008/11/01(土) 12:22:47 ID:???
>>586
パピコンを出すのは良いが、その際に変身する格好はシスターではなく、やはりメイドなのだろうか・・・

590 :マロン名無しさん:2008/11/01(土) 18:47:12 ID:???
>>588
両家を乗っ取り、ガリアやロマリアと戦争をやらかすのが眼に浮かぶなw
トリステインなんか蹂躙してもつまらんだろうしな。

591 :マロン名無しさん:2008/11/01(土) 19:12:49 ID:???
>>590
最終的にはエルフ相手に一心不乱の大戦争か。

592 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/01(土) 22:56:00 ID:???
文化祭の準備で忙しくて遅れました。

24話目投下2315より

593 :マロン名無しさん:2008/11/01(土) 22:59:33 ID:???
文化祭ですか
もうそんな時期なんですね〜
社会人になると学校行事の開催日時とか徐々に忘れていくな…

それでは支援!

594 :虚無と狂信者:2008/11/01(土) 23:14:17 ID:???
才人は中庭に出て一つ伸びをした。
何とかルイズが元気になったことは彼にとっても嬉しい。
アンデルセン不在の今、少女の面倒を見るのは自分の務めだ。
そこでふと見ると、中庭の中央で何やら騒ぎが起きている。
その中心にギーシュとシエスタ、そしてシルフィードの姿を見止め、才人もまたそこへ駆け出した。

才人は目の前の男と何やら言い争いをしているギーシュに声を掛ける。
「ああ、サイト実はだね……」
「はん! ギーシュ! やっぱりお前はそこの平民と親しいんだな」
ギーシュの前にいる、彼に突っかかっているらしい男を見る。
「……誰?」
「ああ、彼は……誰だっけ?」
「ロレーヌだ! まあいい……。貴様か? この竜の主人は?」
いきなり話を振られ、才人は考える。

(確かに俺とシルフィードとの関係って謎だよなあ……。
いちおうこいつが恩義に感じて俺に協力してるってことはこいつの完全な自由意志ってことで……。
だから俺が主人っていう関係とはあまりに……。)

などと考えているとシルフィードはきゅいきゅいと喚き始めた。
才人は近寄り、彼らに聞こえぬよう話す。
「……別にオッケーなのね……」
「了解」
才人はロレーヌに振り返り、頷いた。
「じゃあ貴様はメイジなのか?」
(ああ!そうなっちゃうのか!)
「ぼ、没落した貴族なんだよ。俺は」
((何と言う口から出まかせ……))
ギーシュとシエスタは二人揃って等しく突っ込む。
しかし、周りは驚いたように声を上げる。

595 :虚無と狂信者:2008/11/01(土) 23:16:59 ID:???
はっきり言って才人の存在は生徒達の間では有名だった。
よくわからないという点で。
使い魔品評会の後に厨房で働き始めた珍しい顔立ちの少年。
夜な夜な鍛練に勤しんでいる。
何やらルイズやキュルケなど家柄で見れば最高級の子女と仲がいい。
変わり者のコルベール先生の悪魔のような(臭い的な意味で)研究室に度々出入りする。
キュルケの使い魔の吸血鬼とは知りあいのようだ。
そしてどうやらルイズの使い魔である異教の神官を慕っている。

よく分からない。

しばらくたって今度はタバサと仲好く本を読む姿が目撃されるようになり、
その後何やら見事な風竜を連れて来た。
しかもその餌代は学院が払ってくれる。
オールド・オスマン直々の口添えで。

全く分からない。

前後してタバサの使い魔が授業に出てくるようになった。
アンデルセンを避けていたのだが、もうバレたので仕方無いということらしい。
そのキュルケクラスの美女である女性や、中々イケメンな隻眼の男。
学院の恋愛事情を一変させた彼らは、やはりあの吸血鬼や神官と知り合いな異国風の人とされた。
そんな彼らともやはり仲がいい。

やっぱり分からない。


596 :虚無と狂信者:2008/11/01(土) 23:20:42 ID:???
大体アーカードやアンデルセンの存在も謎である。
片や使い魔召喚の儀式で回りの生徒を失神せしめた、学院の野性味ない生徒達でも一目で
分かる化け物。そんな彼がトライアングルであるとはいえ、ただの学生であるキュルケの
使い魔で納まっているのがそもそも異常だ。
また、片や時たまその吸血鬼に遠慮なくこれまた裂帛の気合を発散し、かと思えば
それこそ学院の先生達よりはよっぽど教育者らしい態度をとる謎の神官。
その彼らと怯むこと無く気さくに話かける彼は一体何者となっても仕方ない。

そうこうする内に女王陛下来賓とその後の女子寮での騒ぎの後、件のルイズ、キュルケ、タバサ、
おまけにギーシュとその使い魔諸共数日学院から消えたことで、彼らの才人に対する評価は、
『オールド・オスマンに厚遇され、女王陛下直々の密命らしいことに参加し、風竜を操る、何だか凄そうな平民』
という何とも謎なポジションだった。

そこでおまけに没落貴族発言である。風竜を扱う点から鑑みればやはりとなって、
彼らは才人をどう扱うか測りかねてしまった。
(何かマズイな……)
鈍い才人とてこの状況は不味いことはわかる。オスマン老の庇護を得ているとはいえ、
それにはやはり自分は目立たないことが前提だ。でなくば、
「ふうん? 口から出まかせじゃないだろうな? もしそうならただでは置かないぞ!?」
と、このように快く思わない連中が出てくる。
「ああ、でも俺は魔法を使わないけどな」
「ほう、何故だ?」
才人は遠い空を見上げる。
「俺はあの頃から……あの事件から……二度と魔法は使わないと決めたんだ……」
((何と言う中二!))
シエスタとギーシュはまたも二人揃って突っ込んだ。
だが誤魔化しきれたようだ。皆これ以上は追究できない雰囲気に包まれた。
いかな中二設定とはいえ、娯楽もあまりないこの世界では結構効くようだ。

597 :マロン名無しさん:2008/11/01(土) 23:23:49 ID:???
ギーシュが何で中二を知ってるw
支援!

598 :虚無と狂信者:2008/11/01(土) 23:25:54 ID:???
間髪入れずに才人は話題を転換する。
「で? 俺がギーシュと仲がいいから何だってんだ? 確かそんな話だったよな?」
ギーシュは言いにくそうに薔薇で口元を隠し、シエスタはおろおろする。
「ふん! 貴族が平民に尻尾を振るなんて名誉を落とすからやめてくれと言ったんだ」
「は?」
才人は間抜けな声を上げ、ギーシュの耳に口を近づける。
「何? そういう考え方すんの?」
「いやあ……あんな極端なのはそうはいないんだけどな」
「頭の固い保守派って奴か?」
「まあ、そんなとこだ」
そういえばワルドもそんなようなことを言っていたな、と思いだす。
確かにこんなのばかりなら祖国を裏切ったとてそう責めきれない。
「全く貴族の誇りとやらが無いらしいな、ギーシュ・ド・グラモン。
そう言えば貴様そこのメイドと訓練まがいのことをしているらしいな。
はっはっは!お笑い草だ!」
才人達は申し訳なさそうにギーシュを見る。理不尽とて自分達のせいでそこまで馬鹿にされているのだ。
さらにいえばシルフィード云々の下りから、竜を駆る才人に対するやっかみも一因らしいから。
しかし、彼はそんなサイトとシエスタにウインクして見せた。普段の彼の間抜けな仕草と違いサマになっている。
「貴族の誇り……ね。確かに、僕は強くなりたかった。ゆえに彼女に師事した。それが
誇りの無い行為だというのなら、まあそう言えばいいさ。」
ギーシュの殊勝な言葉に一同は驚く、以前の彼なら顔を真赤にしているところだろう。
「まあ、何だ。君がミス・タバサにした行為を思えば、そしてその結果を思えば、
そんな君に貴族の誇り云々言われるのはとても悲しいが、謹んで受け入れようじゃないか」
その瞬間周りの生徒達の間に失笑が漏れ、ロレーヌの顔が本当に真赤になった。
「ギーシュ何があったんだよ?」
気になったサイトは急いで訊ねる。皆笑っているなかで自分がその原因を知らないのは居心地が悪い。
「漏らした」
「は?」
「ミス・タバサに彼が決闘を申し込み、それは無様に倒されたという訳さ」
「成程、そりゃそんな奴に貶されても、どうってことはないな」

599 :マロン名無しさん:2008/11/01(土) 23:30:54 ID:???
支援

600 :虚無と狂信者:2008/11/01(土) 23:30:54 ID:???
そこにふらりと誰かが現れた。タバサだ。傍らにはベルナドットを伴っている。
「何の騒ぎ?」
彼女は極めて自然に中心にいる才人に近づいて来た。
タバサがキュルケ以外にそうした態度をとることが既に驚きに値する。
「ミ……ミス・タバサ……」
ロレーヌがゆらりと立ち上がり、怒りを押さえて聞く。
「き、君はそこの男と一緒にここ数日居なくなっていたが……それは何故かね。
まさかそこの男と何かあった訳ではないだろう? 貴族ともあろうものが」
タバサは顔だけそちらを向けて、じっと見つめた後、ポツリと言う。
「誰?」
ロレーヌは何か空気の塊を吐き出す。
「知らないのに親しげに話しかけるとか、ストーカーじゃねえか?」
ベルナドットが銃に手を掛ける。タバサはそんな彼の影に隠れようとしたが、
やはりその顔をじっと見て、才人の影に隠れた。
「だからそれはやめろよ〜〜」
自分を置いてコントを始める彼らに、虚仮にされたと感じたロレーヌは怒りで震えながら杖を振り上げ叫ぶ。
「決闘だ!!」

「誰と?」

互いに目を見合わせる長い沈黙のあとにそう問われ、ロレーヌは逡巡した。
タバサは無理、トライアングルであるし、敵わない。
その使い魔を相手にしても、彼女に恨まれるだろう。
ギーシュ相手なら勝てるだろうが、貴族同士の決闘は厳禁。となると。
「そこの没落貴族。貴様が相手だ!」
タバサがその言葉にズイッと前に出る。
「彼は私より強い」
「ちょ! タバサ!」
その言葉に驚きが辺りを支配する。学院でも数少ないトライアングルであり、
その戦闘力はロレーヌとの決闘で証明済み、その彼女が極めて当然という風に言ったのだ。

601 :虚無と狂信者:2008/11/01(土) 23:33:36 ID:???
この場で最も蒼くなったのはロレーヌだ。もし彼が本当にメイジなら、竜を使い魔にするほど
才能あるメイジということになる。そうでないにしたってタバサより強いとなれば勝ち目は薄い。
まさかメイドと決闘する訳にもいかない。よって、
「ギーシュ! 決闘だ!」
となってしまう。しかし、ギーシュがしれっと言う。
「貴族同士の決闘は禁止されている」
勝ったとしてギーシュに旨みは全くないのだ。
さらにロレーヌは一応ラインであるから、それなりに危険な決闘だ。受ける義理は全く無い。
「は! 怖気づいたな! 所詮ドッドか!」
そんな批難をされたとて、もはや負け犬の遠吠えに近い彼には怒りよりむしろ憐みの感情
の方が大きくなってしまう。
それに彼はシエスタに言われたことがある。

「いいですかミスタ・グラモン。そもそも戦闘にあって戦うなどというのは下の下です」
「どういうことだい」
「真の護身というのは、危うきには近寄らず、本当に戦うべきときにのみ戦うことです
そうしないで、ただ振るいただ傷つけるのはただの暴力です」
ギーシュは感銘を受けた。そんなことを教えてくれた人はいなかった。
けれどそれはとても大事なことだ。力を得ようとするなら。
「成程……。大丈夫。僕は貴族だ。僕は僕の守るべきものの為にのみ君から教えられた力を振るおう」

ゆえにギーシュはさらりと流している。シエスタはそんな彼を見てしきりに頷いた。
才人もギーシュの纏う一種の余裕に感じ入っていた。

ロレーヌのその言葉が出るまでは。

「ふん! 大方! そのメイドに乗り換えようとしているのだろう!
モンモランシーに振られたからって!」

才人は何かが切れる音というのを初めて聞いた。
「貴様にゃ関係ねえだろおおぉおぉおお!!!!!! 決闘だあああ!!!!!!」

602 :マロン名無しさん:2008/11/01(土) 23:35:51 ID:???
ギーシュ…w
支援!


603 :虚無と狂信者:2008/11/01(土) 23:37:55 ID:???
いきなり貴族らしからぬ声を上げ、目から液体をまき散らしながら薔薇の造花を振りまわす
ギーシュを才人とシエスタは慌てて止める。
「ちょっと待て! 一体何があったよお前!」
「うるさい黙れ! このモテ杉くんが!」
「誰だよ!」
「お、落ち着いて下さい! ミスタ・グラモン!」
「うぇえええええん! 離せ! こいつだけは許しておかねえ!」
ネズミを見つけた某青狸とそっくりなトチ狂いっぷりをみせる彼に、タバサの雪風が
が炸裂し、その頭を霜だらけにする。
「頭冷えた?」
「あ、ああ。ありがとう。ミス・タバサ……」
気を取り直してギーシュは杖を向ける
「おい! ええと……。ま、いいや何とか・ド・ロレーヌ! 腸をぶちまけろ!!」
決闘の作法も何もかもすっ飛ばそうとするギーシュに、タバサのやや本気めのエア・ハンマーが炸裂した。


「こら! 何の騒ぎです!」
もはや中庭は混乱の極地に至っている。当事者ももはや何をしたいか分からない。
そこにコルベール先生がやって来た。才人の視界には何やら後光が見える。
というとあまり褒めているとは思えない。彼の頭的な意味で。
事情を説明し、彼は重そうな溜息をつく。
「とにかく散りなさい。ミスタ・ロレーヌ! あなたに課題を渡します!」
正直あのまま決闘になったら勝とうが負けようが停学ものなので彼も納得した。

無様な姿のギーシュに駆け寄るのは才人とシエスタだけだった。
「サイトオォ〜〜〜〜……」
顔から色んな汁を垂らし胸元に抱きついてくる彼に肘を見舞おうと思ったが、
あまりにも哀れな姿なので突き飛ばすだけにした。
「あ、ま、まあどうだね? ミスタ・グラモン。少し話をしようじゃないか」
流石に哀れになったのかコルベール先生も肩を叩き、タバサも頷いた。

604 :マロン名無しさん:2008/11/01(土) 23:38:05 ID:???
き…切れた
ギーシュの体の中でなにかが切れた…
決定的ななにかが…

605 :虚無と狂信者:2008/11/01(土) 23:40:38 ID:???
厨房の傍らのテーブルにて話を聞く。
ギーシュはモンモランシーに惚れている。これはもはや周知の事実であり、本人達もその気の筈だ。
しかし、どうもギーシュの軽薄さと、モンモランシーの嫉妬深さで事はややこしいらしい。
「ケティとはね……手を繋いだだけなんだよ? モンモランシーとは軽くキスしただけだ。
それで……軍曹とは本当に何もない。それは知っているだろ?」
「軍曹とは?」
コルベール先生とタバサが不思議そうに聞く。
「ああ。シエスタですよ。シエスタ・ハートマン軍曹」
「おはずかしながら……。あとハートマンって誰です?」
コルベール先生は不可解な顔をしたが、まずは続きを聞こうと思ったらしい。
「それでも……モンモランシーは信じてくれなくて……。僕が軍曹に手を出してるって……。」
「お前あんなに怖がってるのにな」
シエスタがムッとするも、まあ事実であろうし何も言わない。
「それで誤解を解こうと軍曹に引き合わせてみたけど話も聞いてくれなくて……。
あんたなんか知らないって……」
最後の方は言葉にならず、机に顔をつけ泣いていた。
「あ、でも。モンモランシーだって話せば……」
「会ってもくれないんだ〜〜」
「ひっつくんじゃねえ! 鼻水つくから! らめ〜〜!」
身を捩りつつシエスタを見る。
確かに軍曹モード時は怖いが普段は清楚で可愛い娘である。
貴族の中でも少し気に掛けている男はいるらしい。
成程、こんな娘と毎晩会っていたら邪推もするだろうか。
やっていることを見ればそんな風には思わないだろうに。
「どうせ僕は、ドッドだし、あの使い魔達には及ぶべくもないし……。駄目人間なんだ〜〜!」
どうもルイズのように、人間落ち込むとそれとは関係の無い所まで自分を卑下するようだ。
「あの使い魔達は……。いや、キュルケやタバサだって……。ルイズだって軍曹だって君だって……。
でも、僕は全然活躍できなくて……。だからもっと頑張ろうって思っただけなのに……」
そんなことを言われると才人も放っておけない。あの桃髪の少女に重なる。

頑張っているのに認められないのは、辛い。

606 :虚無と狂信者:2008/11/01(土) 23:43:49 ID:???
「ああもう! お前ホントルイズに似てんな!」
才人の目からも何か変な汁が出て来た。何とか彼を元気づけられないだろうか。

とりあえず生徒が落ち込んでいるのだから、コルベール先生に聞くのが筋だろうと彼を見据える。
「ああ、そうだね……。つまり話を要約すると、ミスタ・グラモンは自分の周りの人々が凄すぎる、
けれど自分はそれに比べてあまりに情けないと思っているのだね?」
ギーシュはコクリと頷く。
「ああ、例えばだね。ライオンの群れがあるとする」
「はあ」

「そのライオンの群れの中で一匹だけ元気に生活しているウサギがいるとする。
だったらこのウサギは凄いウサギだと思わないか」

その言葉に厨房にいる全員が反応する。
「成程! 確かにそいつは凄いウサギだ!」
「つまりだ! 君の中にすむ悪魔を私に見せてくれ!」
「先生! 意味がわかんないよ!」
咄嗟に突っ込んだ後、ギーシュはあることに気づきポツリと言った。
「僕……ウサギ……?」


「控え目に言って」


一層濃い影をしょい込んだギーシュ。サイトは、今度はシエスタに話を振る。
「え、ええっと。それではダルフに伝わる闘魂注入法を」
一同は何か響き的に嫌なものを感じたが黙って見ている。
シエスタはギーシュを立たせ、その肩をポンと叩く。
「失礼」

607 :マロン名無しさん:2008/11/01(土) 23:45:21 ID:???
何かヤな予感が…w
支援!

608 :虚無と狂信者:2008/11/01(土) 23:48:44 ID:???
シエスタが思いっきりその腕を振りかぶる。
彼女の口から「シイィィィィ」とか聞こえてくる。
ギーシュはヤバい予感を肌で感じとった。
「ちょっと待―――」
「チェエエエエエストオオオォォォォォォォオオオオーーーーーー!!!!!」

ギーシュはシエスタにビンタを喰らい、叩きつけられた。
壁に。
そのまま動かなくなるギーシュ。サイトはそんな彼を一瞥し、彼女の肩を叩く。
「シエスタ。今度からはそれはある程度元気な人に、死なない程度にやろうか
あと警察に行こう」
「え? まさか死……」
一応ギーシュは生きていた。顔も腫れていない。鼻血は凄い出ている。

「まあ、女の子だってよお。お前のことを本気で好きだから嫉妬してんだろ?
だったら焦らなくても大丈夫じゃないか?」
隊長が中々ポジティヴな意見を言ってくれた。流石はフランス人である。
ギーシュも少し自信ができたらしい。
「それはそうと何故か頭が痛いのだが」
皆視線を逸らした。

「……なあ、サイト」
「んだよ?」
「『君を愛してる』以上に愛を伝える言葉って一体何があるんだい?」
(控え目に言ってキモイ。いやもうマジキモイ!)
「無言じゃね?」
(隊長かっけええええええええ!)
目を輝かせる才人。しかし、タバサがポツリと呟く。
「伝わってるの?」
主人の鋭い指摘に、床に伏すベルナドットだった。
才人はそんな彼が余りに哀れ過ぎて何も言えなかった。

609 :マロン名無しさん:2008/11/01(土) 23:59:33 ID:???
支援

610 :虚無と狂信者:2008/11/02(日) 00:00:43 ID:???
そこに久し振りに見る顔が現れる。数日振りの赤い髪に黒い肌の少女だ。
「タバサ。サイト。え〜とギーシュ。何やってるの?」
「キュルケ……。え〜と。って……。」
「なあにギーシュ。またモンモランシーと痴話喧嘩? 飽きないわね〜」
「おお。キュルケ。久し振り」
「サイト久し振り! や〜んタバサ! んも〜また可愛くなっちゃって〜!」
そう言って、タバサの顔が胸に埋まる。
(あ〜。ちゃんと喜んでるんだな。あれ……)
タバサの表情が読めるようになった彼は感心する。隊長が唾を飲む音は聞かないことにした。
『今こそ感覚の共有を!』とかは本当に聞こえないことにする。
「それはそうとギーシュ! あんたこんなとこで管巻いてる暇あったら何かプレゼントするなりしたら?」
凄くタメになる解決策が出た。
「金がない」
全てを無にする節理だ。しかし、そんな哀れなギーシュにキュルケは人さし指を立てる。
「まっかせなさい! 今すぐってわけにはいかないけど、当てはあるのよ」
(タバサが何か嫌そうな顔したな)
「それはそうとタバサ〜。魔法の練習に付き合って〜」
キュルケの彼女とはあまりにかけ離れた言葉に、タバサは黙ってディテクトマジックをかける。
「失礼ね! 私だって……向学に燃えることもあるのよ」
「キュルケ! 病院行こう!」
「ギーシュ! どういう意味よ!」
「頭? 心?」
「タバサまで!」
「まあ……。そういうことなら皆でやろう……。ぶっちゃけ一人でいるのが辛いの……」
そう言ってギーシュはまた暗い影を背負った。
「ギーシュ。本当に参っているのね……。
でも、あなたが逞しくなって勲章の一つでも持ってくればモンモランシーも喜ぶんじゃない?」
その言葉にピクっと震えたギーシュは手を振り上げ叫んだ。
「やってやるぞ! 見返してやる!」
頭の出来がシンプルなのがこの男の良いところである。

611 :虚無と狂信者:2008/11/02(日) 00:03:26 ID:???
「……夜に広場」
「そうね……。いいのよ! 男は逞しければいいんじゃない? とりあえず!」
どうも皆で訓練する方向に行った。ギーシュも時間さえ置けばいいだろう。
(でも何であのキュルケがこうもヤル気になったんだ?)

アーカードがさっきギーシュの出した鼻血を指で掬って舐め、噴き出した。
「マズ!!」
(それはそうでしょう……。てか、最強の吸血鬼が拾い喰いするなよ)
才人はそんな彼を微妙な目で見る。アーカードはそんな彼を見て言う。
「なかなか面白い面構えになったな」
「面白いって……」
「いや、いい意味だ……」
アーカードは一同をぐるりと見回す。
「素晴らしい。やはり人間は素晴らしい」

ふと思う。
人間とは何だろうかと。
今ならわかる気がする。

それは変わること。
諦めず変わろうとすること。

だからアーカードさんは……。
彼はもう死んでいて、
己の技を練り上げることはない。
だから、俺達が変わろうとすることを、
何より望んでいるのだ。

612 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/02(日) 00:11:04 ID:???
以上で投下終了です。支援まとめありがとうございました。

今回はギーシュにスポットを当ててみました。この時期彼はモンモンと仲違いしてたので
ちょっとそれを変化させてみました。
コルベール先生のウサギの例えはクロマティ高校です。
ギーシュが神山でコルベール林田かよ!ってことです(声優的な意味で)
そしてギーシュはクラウドかよ! てか神山もクラウド! 生意気だぞギーシュの癖に!

まあ、今回の話はいつもより緩い感じで、
次回からは本編に絡んだ血生臭い話になるので、ちょっと息を抜いてみました。
これからもご期待下さい、それでは改めてありがとうございました。



613 :マロン名無しさん:2008/11/02(日) 00:18:02 ID:???
狂信者さん、投下乙!

今回みたいなゆる〜い話もいいですね
ギ−シュも多少は成長してきてる…のかな?
まぁ、周りがスゴいメンツばかりだから、ギーシュの気持ちもわからなくもないんですがw

隊長相変わらずいい味でてますね〜
でもセラスの出番はなしorz
セラスの出番も増やして欲しいなぁ…

次は訓練&宝探しかな? お金云々の話も出てきたし
次回も楽しみにしております!

614 :マロン名無しさん:2008/11/02(日) 00:59:53 ID:???
狂信者の人乙であります。
このギーシュ、実戦を踏めば隊長並に化けそうな気がする。
今回の話で一般人代表として頑張るギーシュに萌えた。
ギーシュは隊長に弟子入りすれば結構伸びそう。

次回はルイズと愉快な仲間達によるオークの虐殺、ミノ狩りですか。

615 :マロン名無しさん:2008/11/02(日) 01:56:27 ID:???
狂信者乙。
ギーシュの鼻血を広い食いするアーカードに吹いたww


616 :マロン名無しさん:2008/11/02(日) 02:22:57 ID:???
男連中が妙に可愛くて良いな。

617 :マロン名無しさん:2008/11/02(日) 11:21:06 ID:???
激しく笑ったwwGJWW

618 :マロン名無しさん:2008/11/02(日) 23:21:19 ID:???
狂信者の人、乙

ギーシュと隊長、何か似たもの同士になってきたなw
意味は違うけど『ダメ男』というとこでw

普通にサイトの傍にくるタバサに萌え!


619 :ゼロリカ ◆DNrogED.cM :2008/11/03(月) 02:38:29 ID:???
狂信者さのつ。

そしてどうも、皆さんお久し振りです生きてます。
ひっそりこっそり投下します。


620 :ゼロのロリカード:2008/11/03(月) 02:40:26 ID:???
 タバサとキュルケが湖の前に立つと、何か異様な気配を感じた。辺りを探ると、湖と平行して自分達の直線状に人影を発見する。
いつからいたのか、いつの間に現れたのかわからない。二つの月は濃い雲に遮られ、何者なのかは確認できない。
だが地元の者でも観光者でもないことだけは確かだ、敵意が伝わってくる。

「何者ッ!」
キュルケがそう叫んだ瞬間"敵"は長い得物を振りかぶり、真っ直ぐ最短距離を進んできた。
タバサはいち早く反応し、呪文を唱えてエア・ハンマーを放つ。空気の槌は目前まで迫った"敵"を叩き、湖と反対側の森まで吹き飛ばす。
その間にキュルケはファイヤー・ボールの詠唱を完成させ、火球は"敵"目掛けて真っ直ぐに飛んだ。

 着弾すると思われた瞬間キュルケは目を疑った。一瞬火が大きくなったかと思うと、燃え上がることなくいきなり掻き消えてしまったのだ。
"敵"が片手で振り回す大剣に、そっくりそのまま吸い込まれてしまったようだった。次いで詠唱を完成させていたタバサがウィンディ・アイシクルを放つ。
しかし既に体勢を整えていた"敵"は、襲い来る氷の矢を、顔が地につくほどまで屈んで避ける。さらにそのまま加速し突進してきた。


 キュルケは何故火球が掻き消えたのかを、戦闘中にも拘わらず考えてしまった。
コンマ数秒の判断すら命取りになるこの闘いの中で、それは誤った選択。
肉薄してくる"敵"に対し、キュルケが始めた詠唱は既に間に合わない。
(しまっ・・・・・・)
キュルケが心中で後悔し、一撃をもらう覚悟を決めたその瞬間、タバサがキュルケと"敵"の間に体を滑り込ませた。
 

621 :ゼロのロリカード:2008/11/03(月) 02:42:26 ID:???
 同じトライアングルクラスのメイジであるキュルケとタバサであったが、北花壇騎士七号として、数々の死線と潜って積んできた、実戦経験の差がそこに出ていた。
接近してきた"敵"より一瞬早く、タバサはライトニング・クラウドを喰らわせた。
"敵"は攻撃の為に振り下ろそうとしていた剣を瞬時に防御へと転じ、電撃は火球と同じように刀身に吸い込まれた。
思考を目の前の戦闘に切り替え、持ち直したキュルケは、すぐさまフライの呪文を唱えてタバサを抱えて距離を取る。
"敵"が執拗に白兵戦に持ち込もうとしているのが、ここまでの攻防の間に見えたからこその判断であった。


 間合いが大きく開く。ライトニング・クラウドを吸収し終えた"敵"がゆっくりと立ちあがる、しかしすぐに攻めてくる様子はなかった。
「ごめんね、ありがと」
キュルケはタバサに言った、タバサはその言葉に頷くだけであった。
普通の人にはわからないだろう、そんな頷き一つに込められたタバサの気持ちをキュルケはすぐさま理解する。
「どう、イケる?」
命のやり取りの最中であるにも拘わらず、キュルケは穏やかな笑みを浮かべながらタバサに聞いた。

 タバサは思う、わざわざ自分の任務を手伝ってくれて、死ぬかもしれない状況なのに・・・・・・。
それなのに・・・、自分に全幅の信頼を置いてくれているその笑顔。タバサの心が大きく奮える。
お人好しでお節介焼きの、大切な親友を死なせるわけにはいかない。勿論自分も死ぬわけにはいかない。
その為にあらん限りの思考を巡らせる。今まで積んできた経験、その引き出しからありったけの情報を出して頭を回転させる。

 残った精神力を考えれば、水の精霊は後回し。まず今は、目の前の"敵"を倒すことが優先事項。
任務遂行する上で、この明確な"敵"を放置するわけにはいかない。
殺す或いは再起不能、少なくとも戦闘を続行することが不可能なだけの手傷を負わせる必要がある。
 

622 :ゼロのロリカード:2008/11/03(月) 02:44:11 ID:???
 "敵"は十中八九剣士、それも相当な手練れ。剣がマジックアイテムなのか、魔法を吸収することができるようだ。
その剣をどうにかすればいいが、魔法を吸収する以上それは困難を極める。メイジの攻撃ソースたる魔法が効かないのでは、剣を手から落とすことすら出来ない。
このままでは間違いなくジリ貧。息の合った連携による連続攻撃にも、"敵"はしっかりと対応している。
一手一手、詰め将棋のように考えていく。勝つ為の手段を模索する。尤も、あまり悩んでいる時間はない。今は何もしてこないが、いつ"敵"が攻撃してくるかわからない。



「つくづく便利な剣だな」
「いやあ、久々に使ってもらえて嬉しいよ相棒」
一方で"アーカード"はのんびりと、デルフリンガーと会話していた。
「毎度毎度、再生するのもダルいからのう」
「おう、どんどん使ってくれ。雑談も悪かぁないが、やっぱ武器が本分だからな」


 話していると、襲撃者に動きがあった。
会話の内容が耳に聞こえてくるものの、それではつまらないので、頭で認識する前に意識の外へと追いやる。
すると襲撃者二人、もといタバサとキュルケは魔法を使わず走って距離を詰めてきた。

(ほう・・・・・・一体どんな策を講じてくる気なのか)
アーカードはデルフリンガーを地面に突き立て、『構え』をとった。



「あれはッ!まさか・・・ッッッ!?」
「知っているの!?ギーシュ!」
森の中から戦闘を見守る、ギーシュとモンモランシーは思わず叫んだ。

 それはおよそ一切の流派に、聞いたことも見たこともない、奇怪な構えであった。
突き立てた剣に向かって平行に体を横に開き、右手を逆手に左手を順手に柄を持つ。
ただ見れば、盲人が杖をついているかの如くだが、殺気刀身に満ち微塵の隙もないその構え。
 

623 :ゼロのロリカード:2008/11/03(月) 02:46:11 ID:???
 もし奪わんと欲すれば、まずは与えるべし。もし弱めんと欲すれば、まずは強めるべし。
もし縮めんと欲すれば、まずは伸ばすべし。而して、もし開かんと欲すれば、まずは蓋をすべし!
大地に突き立てられた剣は溜めをつくり、そこから放たれる斬撃は神速を超える・・・・・・ッ!!

「あれこそは必勝の構え、『無明逆流れ』の姿ッ!!!」



 走っていて出てくる汗ではない、単なる冷や汗である。それは"敵"の強烈なプレッシャーがそうさせた。
間合いに入ったと同時に、死が免れないその構え。"敵"へと近づくにつれて、圧迫感・威圧感はどんどん大きくなる。

 "敵"の間合いの寸前にタバサが杖を振り上げる、その瞬間キュルケはフライの魔法を開放した。
さきほど退避した時と同じように、キュルケはタバサを抱えて大きく上空に飛ぶ。
タバサの間合いの見極めは確かなもので、放たれた"敵"の剣は虚空を斬った。その真上からタバサは振り上げた杖を"敵"へと向かって振り下ろす。
同時に杖の先端から放たれたアイス・ストームが、"敵"を包み込んだ。


 "敵"が氷の嵐を吸収し終える頃には、二人はまた距離をとって魔法を同時に完成させる。
湖畔の空気は水分を多分に含んでいて、氷の矢は余すところなく四方と真上、隙間なく"敵"を囲む。
間断なく、キュルケはフレイム・ボールを放つ。一際大きな火球と氷の矢が同時に"敵"を襲った。



 氷が入り混じった嵐は、吸収するのに時間を要し、さらに視界を閉ざしていた。
デルフリンガーによる吸収を終えて、視界が開けた瞬間に見たのは、いざ襲い掛からんとする氷の矢と火球であった。
(なんと!)
アーカードは瞬時に、無数のウィンディ・アイシクルの一角を剣で崩す。
氷の矢が身体に突き刺さるよりも速く、出来た間隙に向かって走りだすも、火球はホーミングして追撃してくる。
 

624 :ゼロのロリカード:2008/11/03(月) 02:48:17 ID:???
 巨大な火球は氷の矢を溶かし、水蒸気を発生させる。捉えにくくなった視界の中でも尚、火球は正確にアーカードを追尾してくる。
アーカードはフンッと笑ってステップを踏む、火球を吸収する為にクイックターンを行った。
振り向きざまにデルフリンガーを構えたものの、火球が剣に吸い込まれることはなかった。
すんでのところで火球はアーカードの足元に着弾、地面が爆砕したのである。

「なっ・・・!?」
燃え上がった炎に視界を遮られる。一体なにが目的なのか、アーカードが気付き察した時には既に遅かった。
『ジャベリン』、形成された鋭い氷の槍が頭上に存在していた。

 思わぬ隙を突かれたこと、そして氷の矢を避けた所為で勢いのついているアーカードに、それを回避する術はなかった。
氷の槍はそのまま容赦なくアーカードの心臓を貫き、その身体を地に縫いつけた。



 槍は確実に"敵"を貫いていた。貫かれた体は空を仰ぎ、だらんと垂れ下がった手から剣が落ちる。
間違いなく、死んでいる。キュルケは大きく息をついた。タバサも安堵の表情を浮かべている。
手強かった、辛勝だ。タバサの精神力は、大量の氷の矢と渾身の氷の槍で既に尽きていた。
さっきので倒せなかったら、間違いなくこちらが負けていただろう。

 単純にアイス・ストームをぶつけただけでは、簡単に吸収されてしまう。突っ込むと見せ掛けて、寸前にフライで出来た僅かな隙。
不意を突くことでほんの一瞬だけ、吸収するのを遅らせればいい。その貴重な時間のおかげで、二人が同時に魔法を完成させることができる。
さらにそこから生み出されるチャンスは、続けざまの二度目の不意。八方塞ぐ回避不能の氷矢と巨大火球の連鎖的攻撃。

 そして三度目の不意、火球を敢えて当てないこと、足元で炎上させ視界を塞ぐこと。その上での、氷槍による四度目の不意。
無論、あわよくばそれまでの手で倒せるかもと、淡い期待も抱いていたがそうはいかなかった。
本当に最後の最後でチェックメイトすることができた、紙一重である。

「やったわね」
「・・・・・・よかった」
水の精霊討伐は明日以降になるが仕方ない。
ひとまずタバサは勝ったことに、親友を死なせずに済んだことに微かに顔を綻ばせた。
 

625 :ゼロのロリカード:2008/11/03(月) 02:50:22 ID:???


「まさか・・・・・・!?」
ギーシュは戦慄した、まさかアーカードが殺されるなんて。
もうここはやり過ごすしかない。自分達が勝てるわけがない。
先程の戦闘も明らかに次元が違った。敵はトライアングル或いはスクウェアクラスが二人、間違いなく殺される。

 物音を立てないようにモンモランシーの服を引っ張る。
モンモランシーは知人が目の前で死んだことのショックで、明晰夢のような言い知れぬ浮遊感と現実感のない精神状態であった。
見知っていた者の突然の死。つい先程まで喋っていた者が未来永劫喋らなくなるという事実。次に自分達がそんな風になってしまうかもという非現実感。

 モンモランシーが我を取り戻したのは、生存本能のおかげだった。
自分達の存在が気付かれたらきっと逃げられない、そうなれば間違いなく殺される。
襲撃者が消耗してるとはいえ、到底自分達が太刀打ち出来るレベルではない。
理性よりも本能が優先され、モンモランシーは半分無意識のまま、その体は逃げることを選択した。


 ゆっくりと、気取られないように二人は振り返り、忍び足で歩こうとするがそこで異変に気付く。
そこにいる筈の人物がいない。スヤスヤと寝入っていたルイズがいつの間にか消えていた。

「アンタ達、絶対許さない!!」
その言葉から容易に想像できる嫌な光景が脳裏をよぎる、一瞬間を置いてから声のした方向へと、ギーシュとモンモランシーは振り向く。
案の定、ルイズが襲撃者と相対していた。ギーシュは頭では拒否していたものの、いつの間にか飛び出し薔薇の杖を構えていた。
今は亡きアーカードにルイズを頼まれていたから。そしてギーシュの奥底に残っていた、男としての僅かな尊厳がそうさせた。



 "敵"がさらに二人現れた。タバサは心の中で舌打ちをする。相手は杖を掲げているようだった、メイジである。
だが不意討ち出来るところを、わざわざ声をあげたという点を鑑みると、大した相手ではない・・・?
メイジ同士の正当な決闘ならいざ知らず、殺るか殺られるかの闘争の中で、わざわざ叫んで自分の位置を知らせるなんて素人のそれだ。
(こちらの気を引いて油断を誘い、別の角度から攻撃する・・・・・・?)
 

626 :ゼロのロリカード:2008/11/03(月) 02:52:13 ID:???
 いや、それにしてもさらに他の場所にも仲間がいるなら、奇襲に奇襲を重ねて波状攻撃をした方が効果的である。
さっきまで気が抜けていたのは確かだし、結果的にこちらは警戒心を強める結果となった。
仲間をやられて感情に身を任せて出てきた、という可能性が高いだろう。ただついで出てきたもう一人は未知数。
何より自分の精神力は打ち止めだ。ただの役立たずならまだしも、足手まといになりかねない。

「退く」
タバサは一言キュルケに告げた。
「オーケィ」
遁走を試みようとするものの、相手は既に詠唱態勢に入っていた。
キュルケは反射的に呪文を唱え始め、タバサはいつでも反応できるように身構えた。


 魔法は発動することはなかった。きちんと詠唱を終えて発動した筈、であった。
しかしキュルケの杖の先からは、火の粉一つ出ることはなく、相手も詠唱を終えて杖を振り下ろしていたにも拘わらず音沙汰がなかった。

 気付けば、杖が切断されていた。
タバサは見ていた。突如飛んできたナイフによって、杖が切断されたのだ。
キュルケと新たな"敵"二人の杖を、造作もなくナイフの投擲のみで切断したのだ。
瞬間、弾かれたようにタバサはナイフが飛んできた方向へと振り向く。

 魔法は使えなくとも杖を構える、その足元にナイフが突き刺さりたたらを踏んだ。
そのナイフを見て頭の中で引っ掛かる、どこか見覚えのあるナイフ。そう、とても最近見たような気がした。
しかしすぐにタバサは思考を停止する。ナイフを投げた者がいるのだ、そんなことを考えている暇はない。
新たな"敵"二人の杖も切断した辺り、新手なのか?いずれにせよ予断を許さない状況に変わりはない。



 二つの月が雲間から顔を出し、未だ氷の槍がその胸に突き立つ"敵"を照らしていた。
垂れていた筈の左手が持ち上がり、こちらへと向いているのが見える。
(死んでいるのに、ナイフを投げた・・・・・・!?)
周囲を探っても、人影はおろか気配すらない。そして死んでいる筈の"敵"から、これ以上ないほどの存在感が滲み出ていた。
 

627 :ゼロのロリカード:2008/11/03(月) 02:54:27 ID:???
 すると水平に突き出された左手が下がり、次に右腕が動いた。
心の臓腑に突き刺さる氷の槍を掴むと、ゆっくりと、そして無造作に引き抜き始める。
肉が削れるような音と共に槍はどんどん抜かれていき、遂には地面から抜ける。
自由になった身体で剣を蹴り上げ、空中で回転する大剣を難なく左手で掴む。


 まるで曲芸、まるで手品。そして完全に身体から引き抜かれた氷の槍からは、血が滴り落ちていた。
「あ・・・なんか懐かしい」
左手に持たれた剣が喋る。次の瞬間、引き抜かれた氷の槍は"敵"の手の中で粉々に砕け散った。
単純な握力で以て握り潰したのだ。そして緩慢に歩を進めてきた。

「そういえばこの世界にきてから死んだのは、初めて・・・・・・だな」
声が響く、死んだ筈の"敵"がはっきりと喋っている。それも聞き覚えのある声だった。
タバサの中でピースが一つ一つはめ込まれていく。月の光で見える"敵"の姿、いつもと格好が違うがなんとなくわかった。

「グッド!いやはや、見事だ。本当に素晴らしいコンビネーションだったぞ、タバサ、キュルケ」
タバサは自分の名前を呼ばれて確信する。"アーカード"は結っていた髪をおろし、マフラーを取った。
ナイフをどこかで見たことがある、なんて思ったのも当然だ。そう、トーマスが使っていたナイフだったんだ。


「アーカードッ!」
ルイズが叫び、その胸に飛び込んでいく。タバサは杖を支えにして目を閉じ、一息ついた。
キュルケはポカーンとアーカードを見つめ、ギーシュは乾いた笑いをし、モンモランシーは腰が抜けて尻餅をついた。

「なんでアーカードが・・・?しかもルイズ、ギーシュまで」
「それはこっちの台詞でもあるさ」
アーカードはキュルケに、爽やかな笑みを向けた。


 

628 :ゼロのロリカード:2008/11/03(月) 02:56:28 ID:???
 双方の事情説明も終わり、相互に状況を把握する。
「領地をきちんと管理するのは当然だから、な」
(・・・・・・任務じゃ仕方ないのう)

 アーカードはタバサのアイコンタクトで察した。任務である、と。
その事はキュルケも知っているようで、適当な理由で説明しそれに合わせた。

「まっ、アーカードも無事?だったことだし、お互い水に流しましょう。辺りも暗かったし、しょうがないもの」
「いや、私はお前達だと知っていたぞ」
「え?気付いてたの?」
キュルケは問い返す、常識的に考えればそんなことはありえない。
気付かなかったのならいざ知らず、気付いていた上で殺し合いを始めたなんて。

「私は暗闇でもよ〜く見える。お前達二人の背丈とフードの隙間から見えた髪、そしてなによりタバサの特徴的な杖ですぐにわかった」
当然アーカード以外は困惑する。相手が顔見知りだと、知人だとわかっていたのに戦う理由はない、説明すれば済む話だ。


「私達とわかってて戦ったわけ?しかも殺す気満々で??」
キュルケは心底わけがわからないといった声音で聞く。
「理由はどうあれ、お前達二人はあの時点では目的達成の単なる障害物でしかない。
 闘う意志で私の前に立つなら、私がどうするか。ただ進み、押し潰し、粉砕するだけだ」

 キュルケは思い返す、その時の状況を。そして口を開いた。
「いや・・・・・・確かあなたが殺る気満々で立ってたから、私らも戦闘態勢に入ったんだけど・・・?」
「んむ、その通りだ。そうなるよう仕向け、誘導したからな。まぁつまるところ・・・・・・」

 アーカードはそこで溜める、一拍置いてから話し始めた。
「キュルケ、タバサ。お前達二人と闘ってみたかった」
なんとなく予想していた答えに、キュルケは大きく嘆息をついた。
「本当は森の中にいた時点でお前達を見つけていた。でもこんな機会もなかなかないし、お互い殺すつもりで戦ってみたかった。
 とても楽しく、有意義な闘争だった。なに、結果死んだら死んだだ。その時は私が責任をもって吸ってやったから安心しろ」
 

629 :ゼロのロリカード:2008/11/03(月) 03:00:29 ID:???
 全く悪びれる様子もなく答えるアーカードに、キュルケはなんだか毒気を抜かれる。
「ふぅ・・・まぁいいわ、結果論だけれど私たちが勝ったわけだし。ある意味箔がついたわ、私たちの連携は抜群ね」
そう言ってキュルケはタバサの頭をポンと撫でた。


 淡白に笑うキュルケとは違い、タバサはある事を考えていた。アーカードは全力を出していたのか、と。
確かに本気は本気だったろう、だがアーカードは終始白兵戦を挑んできていた。真正面から、正攻法で。
もし手段を選ばず全力で殺しにきていたら?果たして自分達は今ここにこうして生きていられたろうか。
だがいずれにせよ自分にとって、大きな経験値になったことは確かだ。
アーカードは自分達を殺す事も厭わなかったようだし、死んでしまっは元も子もない。

「さて、モンモランシー。さっさと呼び出してくれ」
「え?」
「水の精霊に事情を聞く。何故水かさを増やしているのか、な」
タバサの任務と、水の精霊の涙。二つを両立させるには、水の精霊をどうにかするしかない。

 モンモランシーは「あっ」と納得したように呟き、すぐに水の精霊を呼び出す準備に入った。





 水の精霊には奪われた指輪を奪還すると約束し、水かさを増やすのを止めてもらった。
これによりタバサの任務は完了し、また襲撃者を対処したので水の精霊の涙を貰い受けることができた。

 クロムウェル。水の精霊から、秘宝アンドバリの指輪を奪った内の一人の名前。
神聖アルビオン帝国皇帝オリヴァー・クロムウェル、同時に『レコン・キスタ』の総司令官の名前が該当する。

 アンドバリの指輪、偽りの命を与え、従わせるというマジックアイテム。
そんな超常的な力を見せてカリスマを示せば、以降指輪の力に頼らずとも、それ以上に大量の人間を従わせる事も難しくはない。
だからこそ奪う価値はある。そしてそれを実行するだけの人脈もあることだろう。
たかが司教に過ぎなかったクロムウェルが、台頭してきた時期を考えても割かし符号が合う。可能性は高い。

630 :ゼロのロリカード:2008/11/03(月) 03:02:10 ID:???
 
 さしあたって、奪還に際しての時間の制限は設けられていない。寿命が尽きるまでに、取り返してくれればいいと。
(私が死ぬのはいつのことになるのやら・・・・・・)
ゆっくりと取り掛かればいい、焦ることもない。
このまま戦争が続けば、いずれアルビオンともう一度ぶつかることだろう。



 アーカードは部屋の一角に目を向ける。
「うぅ・・・」
「いつまで塞ぎ込んでいる、我が主」

 無事解除薬を飲んで元に戻ったルイズは、惚れ薬でおかしくなっていた時の記憶に悶絶し苦悩していた。
ベッドで芋虫のように布団を被って丸まりながら、ルイズはチラッとアーカードを一瞥するもまたすぐに潜り込む。
「だって・・・これ以上ない醜態晒すし、キュルケにはからかわれるし、杖を新調しなくちゃならないし。
 姫さまの任務もあるし、帰省の言い訳も考えなくちゃいけないし、少しくらい休んでたっていいじゃない」

 ルイズは布団の中でくぐもった声で言う。
「そうか、まぁ主の好きにするといい」


 アーカードはそれっきり黙って、『イーヴァルディの勇者』の続きを読み始めた。
それ以降フォローがないことに、ルイズは少しムカっとする。だがそれよりも気になることがあった。
「一つ聞きたいんだけど、私があの忌々しい薬飲んだ夜、なんで前みたく・・その・・・」

 ルイズは口ごもる。はっきりと言葉にするのは憚られた。アーカードはその続きを聞くまでもなく、口を開いた。
「ベタ惚れ状態でヤることヤるのは、一回で充分だ。そもそも別に、性欲を持て余してるというわけでもないしな。
 ツンツンしている主を少しずつ、私色に染めるのが楽しいのさ。ゆっくりと時間を掛けて、然るべき後に・・・また新たな世界を見せてやる」

 アーカードの浮かべた極上の笑顔に、眩暈を覚える。
心労が一つ増えたことに、ルイズはさらに頭を悩ますこととなった。
そして、身体的にも精神的にも疲れていたので、―――そのうちルイズは、考えるのをやめた。

631 :ゼロリカ ◆DNrogED.cM :2008/11/03(月) 03:19:19 ID:???
以上で終了です。
1ヶ月振りですいません。


※今回はちょっと目まぐるしく視点が変わるので、一応注釈しときます
「†」・・・同一時間・場所の時に、キャラの心理描写や行動視点が移るときに使ってます New!!
〜ついでに、
「◇」・・・場面転換(場所移動や時間経過の時に挟みます)
「◆」・・・回想(この記号の間の文章は基本的に回想シーンです)



ちなみにロリ旦那が「死んだの初めて〜」って言ってることについて、もしかしたら疑問に思う方がいらっしゃるかもしれません。
ワルドに一回首落とされて死んでんじゃん!って。 これにつきましては、零号開放時に茨アンデルセンに首切られても大丈夫だったので大丈夫です。

さらに氷槍で殺していますが、法儀式済み武器や木の杭等で心臓貫かないといけないんじゃないの?という疑問があるかも知れません。
これにつきましては、ウォルターが倒壊した建造物から適当な鉄骨かなんかで引き抜いて貫こうとしてるので、とにかく心臓どうにかすれば死ぬんだろうと解釈しました。


長くなりましたが、ではまた。

632 :マロン名無しさん:2008/11/03(月) 10:07:28 ID:???
GJ!

633 :マロン名無しさん:2008/11/03(月) 20:18:43 ID:???
ロリカード様の極上の笑顔…見てぇ

634 :マロン名無しさん:2008/11/03(月) 22:46:17 ID:???
相変わらずの面白さ! GJです!
戦いたかったから戦う。殺すことも厭わない。
正にアーカードイズム!

635 :マロン名無しさん:2008/11/03(月) 23:23:54 ID:???
今の戦いを342万回やらないと殺しきれず
本気を出して321号開放されらたらどうやっても無理だなw

636 :スナゼロ ◆kdp8/y3/66 :2008/11/04(火) 21:45:48 ID:???
相手が仲間でも死闘を繰り広げるロリカード様、流石です!

前回の投稿が>>337だから、一か月ぶりの投稿になります。
もう覚えている人は少ないだろうけど、久しぶりに投下。

637 :スナイピング ゼロ:2008/11/04(火) 21:48:52 ID:???
タルブ村の上空三千メイルに、アルビオンの主力艦隊であるレキシントン号の姿があった。存在を誇示するかのごとく、
悠然と君臨している。その周囲には、友軍の戦列艦が分散して警戒に当たっていた。
 トリステインの艦隊は全て爆沈され、艦上のあちらこちらで水兵達が万歳を繰り返している。そんな状況に、ボーウッドは
眉をひそめていた。因みに総司令官であるジョンストンも万歳をしていたが、こちらに対しては無視している。

「上手くいきましたな、艦長殿」
 隣に風竜を従えたワルドが、ボーウッドに耳打ちする。先ほどまで自国の村を焼き払っていたとは思えない、冷やかな
表情をしている。
「別に、ただ戦争が始まっただけだ。それ以上でも、それ以下でも無い」
 ボーウッドは、ボソリを呟いた。その言葉を聞いたワルドは、口元を歪める。
そんな二人の元へ、ジョンストンが近づいて来た。まるで子供が欲しかった玩具を手に入れたかのような、嬉しそうな笑みを
浮かべている。

「艦長、伝令から情報だ。港町のラ・ロシェールに、トリステイン軍が展開したらしい。速やかに艦砲射撃の準備を
進めてくれたまえ」
「了解しました、司令長官殿」
ボーウッドは水兵達に艦砲射撃の準備をするよう命じると、ワルドに顔を向ける。

「で、君はどうするのかね? トリステイン軍が砲撃で全滅する様を、高見の見物かな?」
 ワルドは首を横に振ると、ボーウッドに背を向ける。
「まだ敵軍に竜騎士が残っているかもしれませんので、周囲の警戒でもしてきますよ」
 そう言って歩き出そうとした時、伝令が走り寄って来た。真っ直ぐにジョンストンの元へ向かい、何やら報告をしている。
何事かと思ったボーウッドは、ジョンストンに問いかけた。

「何かありましたか?」
「ん? あぁいや、別に大した事では無いよ」
 そう言いながら、ジョンストンは帽子を被り直す。そして、ボーウッドとワルドに言った。

「何でも、奇妙な形をした竜騎士が一騎、こちらに接近しているらしい。まあ、一騎ほどなら驚くに値しないがね」

638 :スナイピング ゼロ:2008/11/04(火) 21:53:34 ID:???
「相棒、右下から続いて三騎あがって来るぜ!」
「ヤー!」
「相棒の相棒、左から十騎ばかり来やがったぜ!」
「は〜い♪」

 レキシントン号から五百メイルほど離れた二千五百メイル上空で、二人はアルビオンの竜騎士隊と空中戦を行っていた。
時速150キロを誇る火竜の約二倍、時速287キロの速度でヘリを縦横無尽に操り竜騎士隊を翻弄している。
 敵の背後に回り込んで銃撃すると言う単純な戦法で、二十ほどいたアルビオンの竜騎士隊は、すでに片手で
数えられるまでに数を減らしている。

「まったく、この飛行機械ってのは凄いね! おもしれえわホントに!」
 二人の操縦士の間で、デルフリンガーが大声で叫ぶ。
「本当に、私もビックリしたわ!」
 後部座席からルイズが体を乗り出して、大声で声をあげた。

「天下無双と言われてるアルビオンの竜騎士隊を軽々と撃ち負かしちゃうんだもん、流石は私の使い魔ね」
 アンリエッタから譲り受けた水のルビーをはめた右手を、強く握り締める。本人に聞くと、お守りのためとのこと。
左手には、始祖の祈祷書をしっかりと抱き締めている。

 マスケットの銃口に丸い弾を入れながら、リップは楽しげに口を開く。
「私達の持つ武器の性能がチートすぎるからよ、こっちだけズルして無敵モードだし」
 ドアの窓から銃口を突き出し、竜騎士に向けて発砲。弾丸は不規則に動きながら、複数の竜騎士と火竜を穴だらけに
した。ガクリと姿勢を傾け、地表へ落下していく。

「有効射程が竜の吐く炎よりずっと上ですから、近づかれる前に撃つだけだから簡単ですよ」
 大した事では無いとでも言いたげな表情をしながら、セラスは窓からハルコンネンを突き出し残った竜騎士に向け引き金を
引く。落雷のような音を響かせ、火竜の頭部を粉砕。竜騎士はフライの呪文を使い、なにか叫びながら地表へ落ちていった。

639 :スナイピング ゼロ:2008/11/04(火) 21:57:37 ID:???
「やったわ! アルビオン竜騎士隊、全騎を撃墜。トリステイン竜騎士隊の仇を討てたわ!」
 ルイズは立ち上がると、両手でガッツポーズを決めた。それと同時に、始祖の祈祷書が足元にドサリと落ちる。あっと声を
あげ、ルイズは慌ててしゃがみこむ。
 それを見た(どこに目があるのか分からない)デルフリンガーが、ニヤニヤしながら(どこが顔なのかも分からない)
口を開く。(どこに口があるのかは分かる、鞘の部分だ)

「ご主人さまよ、喜ぶのは良いけど国宝の書物はキチンと扱いなよ」
「言われなくても分かってるわよ、ちょっと手元が狂っただけなんだからね!」
 大声で反論しながら始祖の祈祷書を拾い上げようとして・・・ふと、ルイズの手が止まった。
「どうしたよ、ご主人さま。鳩が豆鉄砲くらったような顔して?」
「・・・・・・」
「マスター?」
 不審に思ったセラスが振り向くと同時に、ルイズが顔を上げた。両目が大きく見開き、呆気にとられたかのような表情だ。

「え〜と・・・どうかしました?」
「・・・セラス、ちょっと聞いてくれない?」
「なんですか?」
 二人のやり取りを、リップは眼鏡をキラリと光らせながら見つめている。

「私、読み手に選ばれちゃったみたい。いや、何かの冗談かもしれないけど・・・」
「「はぁ?」」 
 セラスとリップが揃って首を傾げる。その時、デルフが話に割り込んだ。
「まさかとは思うけど、それってもしかして・・・虚無のことかい?」
「授業で先生が言ってた、虚無のことですか?」
 セラスは召喚された後で見学した授業を思い出した。確か、四大系統の他に失われた系統魔法があるって言ってたような?


640 :スナイピング ゼロ:2008/11/04(火) 22:01:24 ID:???
「そうよ! ほら見て、始祖の祈祷書に古代のルーン文字が浮かんでるでしょ?」
 ルイズは始祖の祈祷書の適当なページを開き、二人に見せつける。だが、二人は再び首を傾げる。
「どうしたのよ二人とも、文字が読めないの?」
「いや、そうじゃなくてですね」
「じゃあ何よ!?」
「文字が見えないんですけど・・・」
 セラスの冷静なツッコミが、穏やかに響いた。



「竜騎士隊が全滅しただと!? しかも、たった一騎の竜騎兵だけで?」
 レキシントン号の後甲板で、総司令官のサー・ジョンストンは伝令の報告を聞いて呆然としていた。
ハルケギニアで一、二を争うアルビオンの竜騎士隊が、わずか一騎の敵軍の竜によって壊滅させられたと言うのだ。

「本当に竜騎士隊が全滅したのか!? 生き残りはいないのか?」
 伝令の襟首を掴み上げ、額がくっ付きそうなほどの距離で問いただす。伝令は震えながらも、なんとか報告を続ける。
「竜は全滅しましたが、竜騎士は数人ほど生存が確認されています。現在、タルブ村を占領している兵士達によって保護
されています」
 ジョンストンはホッと息を吐く。 

「分かった、数人ほどは生きているんだな。竜騎士に伝えろ、動ける者は地上の兵と共に占領を維持せよとな。
負傷してる者については、治療を受けるように」
 敬礼をして、伝令は走り去って行った。それと入れ替わるように、ボーウッドが歩み寄る。

「わずか一騎で二十騎を打ち負かすとは、まさに英雄ですな。この戦いが終わったら、是非とも会ってみたいものです」
「同感だな」
 相槌をうった所で、ワルド子爵がいなくなっている事にジョンストンは気づいた。
「艦長、ワルド子爵はどうしたのかね?」
「ワルド子爵ですか?」
 部下達の働き具合を見つめていたボーウッドは、ジョンストンに向き直る。
「子爵なら、我が竜騎士隊が全滅したのを聞いてから飛び立ちました。敵軍の竜に挑んで行ったと思われます」
 ジョンストンの眉が、ピクリと動く。

641 :マロン名無しさん:2008/11/04(火) 22:01:28 ID:???
支援

642 :スナイピング ゼロ:2008/11/04(火) 22:05:13 ID:???
「大丈夫なのかね、相手は我が竜騎士隊を全滅に追いやった強敵だぞ。子爵は皇帝の側近の一人でもあるし・・・」
 弱音を呟きだしたジョンストンに対し、ボーウッドは自分の唇に人差し指を当てた。
「総司令官殿、周りに部下がいるのですぞ。そのような言葉は、慎んでください」
 ハッとした顔をして、ジョンストンは周囲に目を向ける。どうやら、聞かれてはいないようだ。帽子の傾きを直しながら、
ラ・ロシェールに視線を向ける。

「子爵には、生きて帰って来るのを祈るしか無いな。艦長、左砲戦の準備だ」
「了解しました」
 ボーウッドは大声で指令を出した。
「総員、左砲戦準備! 上方及び下方、右砲戦準備! 弾種、散弾!」



タルブの村を占領したアルビオン軍から距離にして五百メイルほど離れた町、港町ラ・ロシェール。
そこにトリステイン軍は陣を張り、立て篭もっていた。
 その中には、アンリエッタの姿があった。右隣には同伴すると言っていたマリナと側近のシーリン、左隣ではマザリーニが
将軍達と何やら話しあっている。
 
「あれが、アルビオン軍・・・」
 アンリエッタは軍旗を掲げて前進する兵士達と、上空に浮かぶ艦隊を見て顔色を変えた。背後で控えていたアニエスが
近付いて、耳打ちする。

「殿下、怖いのは分かります。ですが、今は落ち着いて冷静を保って下さい。指揮官が取り乱しては、部下まで取り乱して
しまいます」
 額に浮かぶ汗を袖で拭いながら、アンリエッタは手綱を握る手に力を込める。
「ごめんなさいアニエス、心配をかけてしまって」
 そう言うアンリエッタの呼吸は、明らかに乱れていた。アニエスは少し考えると、アンリエッタの手を取り胸に当てさせる。


643 :スナイピング ゼロ:2008/11/04(火) 22:09:32 ID:???
「殿下、このような時は深く呼吸をするのが良いと聞いております。大きく息を吸い、そして吐いてください」
 アンリエッタは言われた通り、胸に手を当てたまま深く呼吸をした。淀んだ肺に新鮮な空気が入り、不安に苛まれていた
心が落ち着いていくのを感じる。
「大丈夫ですか?」
 マリナが隣に寄り添い、優しく声をかける。アンリエッタは平気ですと口を開こうとした時、爆音が轟いた。
地面が大きく揺れ、危うく落馬しそうになる。音の聞こえた方角に目を向けようとして、アニエスに両目を塞がれた。

「見てはいけません、殿下は正面だけに意識を向けてください!」
「わ、分かったわ。正面ね」
 アンリエッタを敵軍に注意を向けさせつつ、アニエスは湧き上がる吐き気をなんとか抑えていた。敵艦隊から放たれた
砲弾によって、見方の一部に被害が出たのだ。それも、人や馬が散弾と岩によって砕け散ると言う、恐ろしい死に方で。

「敵は空から強力な支援を受ける三千、我が軍は砲撃の的となった二千」
 マザリーニの号令によって空に空気の壁を作るメイジ達を横目で見ながら、アニエスは小さく呟く。
「勝てるのか・・・こんな、圧倒的な差で?」
 更に砲撃が加えられ、空気の壁が破られる。人や馬が岩といっしょくたになって、宙に舞い上がる。頬に飛び散った血を
拭いもせず、小さく口元を歪めた。

「まあ、武器を持っているだけ・・・ダングルテールの虐殺に比べればよっぽどマシだな」
 マザリーニの号令により、騎馬隊が前進を始めた。腰に下げた剣と背中に背負った新式のマスケットを頼りに、
アニエスは馬を走らせ敵陣に向けて突進して行った。

644 :マロン名無しさん:2008/11/04(火) 22:24:06 ID:???
支援

645 :スナゼロ ◆kdp8/y3/66 :2008/11/04(火) 22:31:34 ID:???
以上です、一か月も間があったのに少なすぎて情けないorz
因みに「スナイピング ゼロ」ですが、今の所はアルビオン戦で
一時的に終えて、間を開けて続きを書く予定です。

646 :マロン名無しさん:2008/11/06(木) 01:01:36 ID:???
乙です。
ワルドがどうでるか気になるぜ

647 :マロン名無しさん:2008/11/06(木) 04:39:37 ID:???
時間空いちゃうのかー


648 :マロン名無しさん:2008/11/06(木) 20:16:48 ID:???
女王陛下!後にダンボール!!!

649 :マロン名無しさん:2008/11/07(金) 21:13:53 ID:???
ファイエル!

650 :マロン名無しさん:2008/11/08(土) 12:16:50 ID:???
あそこらへんに

651 :マロン名無しさん:2008/11/09(日) 12:23:25 ID:???
さて、保守とか必要なのかしら。

652 :マロン名無しさん:2008/11/09(日) 16:46:02 ID:???
なんとなく?
って?
感じ?
じゃね?

653 :マロン名無しさん:2008/11/09(日) 22:35:30 ID:???
>>652
プシュッ
プシュッ
プシュッ
プシュッ

654 :マロン名無しさん:2008/11/10(月) 01:25:25 ID:???
ルイズが召喚したのが少佐なら
フーケ戦
少佐「ダメだ・・・デルフ当らん」
デルフ「どうやれば、この距離で外せるんだ相棒」
少佐「私はこの手の仕事が苦手だと言っただろ」
ルイズ「どうするのよ!!」
少佐「問題ありませんマスター、そろそろ」
動きが止まったフーケのゴーレムの足を5メイルほどのゴーレムが現れ支える。
ロングビル「ミス・ヴァリエール!こっちです」
ルイズ「で、でも・・・」
少佐「彼女の助力を無駄にする気ですか?」
デルフ「人の好意を無にするのが貴族か娘っ子」
ロングビル「早く!!」
ルイズ「解ったわよ」
少佐(これの使用法を知った後は味方を装い回収と言ったところかミス・フーケ)
中略
シュブルーズ「はぁはぁ、間に合って良かった」
ルイズ、キュルケ「先生、どうしてここに?」
少佐「ミセス・シュブルーズとここで落ち合う予定だったからですよ」
タバサ「形勢逆転」
シュブルーズ先生のゴーレムに固められているフーケ「どうするつもりだい」
少佐「それを決めるのはこの国の司法であって我々ではない」
フーケは首だけが出た状態で学園に護送される。

655 :マロン名無しさん:2008/11/10(月) 02:30:07 ID:???
ある程度の好き勝手が出来る程に成り上がるまでは猫を被っているんですね、分かります。

656 :マロン名無しさん:2008/11/10(月) 02:58:16 ID:???
だが、猫を被っていてもムスカっぽい笑顔が滲み出てくる気がするね。

657 :マロン名無しさん:2008/11/10(月) 21:44:44 ID:???
アーカードに勝てたので、今度はルイズの育成に挑戦する少佐がいても良いじゃないか。

658 :マロン名無しさん:2008/11/10(月) 21:50:04 ID:???
勝った・・・のか?

659 :マロン名無しさん:2008/11/10(月) 22:57:11 ID:???
大勝も大勝ですよ
本土ボロボロにしたヘルシングは半永久的に冷や飯

660 :マロン名無しさん:2008/11/10(月) 23:03:36 ID:???
インテグラ様は無能か否か

661 :マロン名無しさん:2008/11/10(月) 23:09:04 ID:???
国教騎士団の存在意義が英国防衛にある以上
ラインボード・フォルトナー曹長が着地した瞬間完全に敗北してる
旦那は従者としてインテグラに仕えている以上
敵が残ってるのにシュレに消されて完全に戦力として機能しなくなった瞬間に敗北してる

662 :マロン名無しさん:2008/11/10(月) 23:40:22 ID:???
手放しで有能だとは言えないかもしれないけれど、無能ではないと思う。
英国襲撃の時も、軍が押さえられてほぼフリーパス状態で入って来られるのに、ヘルシング側の所持する防空戦力がセラスのハルコンネン位で、それで防衛しろっていうのも無理じゃないかな。
少なくともゼロ魔のキャラ、特にアンリエッタなんかと比べれば何億倍も何京倍も有能だと思う。

663 :マロン名無しさん:2008/11/10(月) 23:48:34 ID:???
情報収集能力と根回し能力がゼロに近いのはかなりマイナス点
他の部署からは敵視され、あまつさえイーグル乗っ取りから情報てにするまでに時間が掛かりすぎる

664 :マロン名無しさん:2008/11/10(月) 23:50:25 ID:???
前線仕官までかなあ
それも旅団クラスの

665 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 00:02:03 ID:???
情報収集能力は、ヘルシング機関には、制度的にほとんど与えられていないんじゃないだろうか。
基本的に、軍や政府から吸血鬼が発見された場合、住人ごと皆殺す「汚れ役」な感もあるし。
ヘルシング家の暴走を防ぐ意味も込めて、情報関連は別の円卓メンバーに任されていそう。

根回し能力・・・、確かに低そうだ、予算折衝とかウォルターがものすごく苦労してそうなイメージがある。

666 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 00:11:34 ID:???
与えられてなくても自分で持つ例あるよ
各国の情報機関みたいに
与えられてないから作らないじゃ怠慢
しかも情報取り込める旦那居るのに
ミレニアム来るまで末端の尻尾もつかめてない

667 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 00:13:45 ID:???
少佐の目的はアーカードを打ち倒す事でそれ以上でも以下でもない。
シュレを食わせてアーカードを消した時点で少佐の勝利。
>>665
根回しとか予算の折衝はウォルターじゃなくペンウッド卿がやっているって。
情報管理はウォルターが握っていたからミレニアムの暗躍や甥の暴走を見逃せたのだと思う。

668 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 00:15:27 ID:???
眼鏡中尉に獣の耳が生えたら

669 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 00:16:34 ID:???
そして幼女化して涙目で見上げるのか・・・なんてチート兵器。

670 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 00:18:19 ID:???
ヴェアヴォルフ試薬に大尉の血が使われていて
満月のたびに多少の影響(犬耳程度)が出るという妄想ならした事がある
ゾーリン中尉は無意識に除外の上で

671 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 00:19:02 ID:???
グラ様は古い家柄の人だし従者も古い(時代からいる)存在だから考え方が少し古いのかもね
自分たちの仕事は敵を倒すことで情報収集じゃないって感じで
だから情報面は必要にならないと調べようと思わなかったとか

672 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 00:21:46 ID:???
良くも悪くも育ちのいいお貴族様って感じかな

673 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 00:22:39 ID:???
>>670
二つの満月で影響力も二倍
犬髭も生えてちょっと間抜けな顔になる中尉

674 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 00:27:25 ID:???
インテグラは予算折衝はペンウッド卿に丸投げしていたし、情報収集をウォルターに一任していただけじゃないのか。
ウォルターに任せているから大丈夫、万が一の場合は連座して責任を取るみたいな感じでやっているっぽい。

675 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 00:37:41 ID:???
同業者とはいえ、外国の国家機関に直で話をつける権限を持っているんだから、
任務のうちであればかなりフリーダムなんだと思うが。

676 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 04:58:54 ID:???
アーカードという宿敵に巡り合わなかったら、少佐は第三次世界大戦でもやってたのだろうか。

677 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 11:59:49 ID:sfOTqKVn
>>676
2次大戦は終わらず、欧州がグールだらけになってた

678 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 16:36:45 ID:???
>>667
甥の暴走って何だっけ?

679 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 16:53:27 ID:???
2話を読め

680 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 19:03:24 ID:???
暴走してたのはアーサーの弟、インテグラの叔父さんだ。

ヘルシング機関は常時の局員が100人程度程度な所を見ると、
元々戦略的な行動をする機関では無いし、
戦略的思考を求められていないような気がする。
(イギリスが大体日本と同じぐらいの面積を持っていることを
考えると全域カバーにはあまりに少なくないか?とも思う)

ミレニアムに出し抜かれ放しなのは
ウォルターが相手側に通じてた以上どうにもならないしなあ。
あの状況でウォルターまで疑うリストに入れて考えていたら神経症になりそうだ(笑)

681 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 20:18:26 ID:???
それにアーカードに勝ちたい為だけに主を危険に晒し敵と通じるとは普通考えない。
吸血鬼とかの化け物が出る頻度を考えると100人もいれば充分なのかもしれない。
稀に起こる吸血鬼事件の為にそれほどの人員も予算も普通掛けない。ヘルシング機関が100人規模になったのもミレニアムの暗躍で吸血鬼事件が急増してからで以前はもっと規模が小さかったかもしれない。それでも規模のわりに権限は大きかったと思う。

682 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 20:33:00 ID:???
ここらでちょっと一息入れて、セラスのおっぱいの話でもしようか。


683 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 20:57:08 ID:???
D?E?F?G?

684 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 21:17:26 ID:???
セラスは処女のままなの?

685 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 21:25:50 ID:???
セラスは隊長を食って一人前のレディー(女吸血鬼)になっただろ。

686 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 21:30:06 ID:???
中尉に売り子役させてコミケに放り込みたい
ああぞーりん中尉じゃないです棺桶入っててください

687 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 21:48:54 ID:???
魔弾「アーカード×DIO本いかがですかー」

688 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 22:35:47 ID:???
メイド服シュレ「インテグラ×セラス本もありまーす」

689 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 22:45:36 ID:???
爛れ過ぎだw
カバー裏の通りではあるがw

690 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 23:28:51 ID:???
スク水少佐「だめだゾーリン・・・売れん」
体操着ゾーリン「何処が悪いんだ」
ドク(それはもちろん、あなた方のコスの所為ですよ)

691 :マロン名無しさん:2008/11/11(火) 23:50:04 ID:???
ヘソ出しに言われても全く説得力ないなww

692 :マロン名無しさん:2008/11/12(水) 02:45:49 ID:???
>>690
体操着の姐さん?
ジャージなら可かな?

693 :マロン名無しさん:2008/11/12(水) 02:46:22 ID:???
「シュレたん百連発」くださーい

694 :マロン名無しさん:2008/11/12(水) 07:07:42 ID:???
レス数すごいから新作でも着てるのかと思ったら
おまいら・・・

695 :マロン名無しさん:2008/11/12(水) 07:33:37 ID:???
容量的には何KBでおしまいなんだ?

696 :マロン名無しさん:2008/11/12(水) 10:43:03 ID:???
そろそろ狂信者さん来てほしいな〜

697 :マロン名無しさん:2008/11/12(水) 17:31:52 ID:???
>>692
体育教師ですね。

698 :マロン名無しさん:2008/11/12(水) 18:29:10 ID:???
セラスが着てイメクラに見えないコスって何かあるかな。

699 :マロン名無しさん:2008/11/12(水) 21:09:32 ID:???
>>698
ガチャピン

700 :マロン名無しさん:2008/11/12(水) 21:47:43 ID:???
>>sage

701 :ゼロリカ ◆DNrogED.cM :2008/11/12(水) 23:42:56 ID:???
ぼちぼち投下します

702 :ゼロのロリカード:2008/11/12(水) 23:44:42 ID:???
「なかなかいい部屋だな」
梁にぶら下がった蝙蝠を撫でながらアーカードは呟いた。
そんなアーカードの反応とは裏腹に、ルイズは絶句していた。

 『魅惑の妖精亭』、酒場と宿を兼ねているこの店の屋根裏部屋にルイズ達は通された。
薄暗く、埃にまみれ、蜘蛛の巣が張り、雑多にモノが積み上げられ、年季の入ったベッドが置かれた、物置としか形容できない部屋。
だけど四の五の言っていられない。ルイズはアンリエッタからの要請で、平民に扮して情報を集め報告するという任務を受けていた。
諸事情によってここで働くことになり、贅沢は言えない状況なのであった。


「そうそう、私は明日から外で情報を集める。それと、長丁場になりそうだから棺桶も持ってこんとな」
「え?なんで!私だけがここで働くの!?」
アーカードは蝙蝠を自分の腕に移動させ、穏やかな笑みを浮かべながら顔だけを向ける。
「そうだ」
ルイズは納得のいかないという表情で抗議する。

「アーカードもここで働きながら、情報を集めればいいじゃない」
「同じ場所で情報収集してもあまり意味がないだろう、私は街に出て情報を集める」
「うっ・・・・・・」
ルイズは口ごもる。確かに姫さまの為に、より奉公する事を考えると・・・・・・分担した方がいいかもしれない。


「じ・・じゃぁ・・・・アーカードがここで働いてよ、私が外で――――」
「私は今日一日でもう充分にチップを稼いだ、給金も貰ったしな。ミ・マドモワゼルは残念がるだろうが、正直もうここで働く必要はない。
 主は客に酒を零し、皿を割って料理を割り、チップはおろか給金のかわりに請求書だったな。賄いと寝る場所を与えられているだけマシなくらいだ」

 アーカードは例のメイド服を利用し、巧みにチップを稼いだ。たまたま参加したジェシカすら抑えてその日のトップであった。
一方ルイズはプライドが邪魔してまともな接客ができず、その短気さと不慣れが相まって失敗の連続、最終的にマイナスとなってしまった。

「本気でこんなトコで寝起きして働けって言うの!?」
「私がまだ人間だった頃、都合12年ほど幽閉されていたが・・・・・・十二分に寝れる場所だぞ、ここは」
 

703 :ゼロのロリカード:2008/11/12(水) 23:46:30 ID:???
「アーカードが私の分も稼げばいいわ!それで―――――」
「自分の尻は、自分で拭うべきだ。・・・・・・忘れたのか?」
アーカードが片目を瞑りながら嗜めるように言う。ルイズはバツの悪そうな顔で口をつぐんだ。



「次こそは大丈夫、必ずイケるわ」
「・・・・・・」

 街のカジノ、アンリエッタから任務用にともらった金が少ないと言い出したルイズは、ギャンブルで金を増やそうとした。
「もうやめた方がいい、ルイズ。お前には才能がない」
「うるさい、集中してるからちょっと黙ってて」

 アーカードは嘆息をつき、やれやれと首を横に振る。
典型的に駄目なタイプ。最早肉親の忠告であっても耳を貸さないだろう、ギャンブルで身を滅ぼす人種だ。
アンリエッタから頂いた分、さらにはルイズ個人の金貨も全てチップへと変わり、内9割程が既にカジノ側へと渡った。

 残りの1/10もたった今消えようとしている。アーカードは目を鋭くルーレットを見つめる。
球の回転と円盤の回転、そこから導き出された入るべき箇所を予測する。それはルイズの賭けた黒――――――ではなかった。
「あっ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
「これで"ゼロ"だな」

 ルイズはガックリと肩を落とす。肩がわなわなと震え「ふふふ」と小さく笑っていた。
さすがのアーカードも、その異様な主人の姿に一歩退いた。いよいよもっておかしくなってしまったのか。


「アーカード、あなたシュヴァリエよね」
「・・・・・・それがどうかしたか?」
アーカードの頭に嫌な予感が過ぎった。
その瞬間ルイズはガバっと起き上がり、アーカードの方へ勢いよく振り向く。
 

704 :ゼロのロリカード:2008/11/12(水) 23:48:31 ID:???
「私のモノは私のモノ、使い魔のモノも私のモノ。だから今すぐ年金を前借りしてきなさい、これは命令よ」
ルイズの目の色は完全におかしくなっていた。最早何を言っても無駄だと悟ったアーカードは大きく溜息を吐きうなだれる。
こんなことなら、タバサとの任務で行ったカジノ場での勝ち分を、半ば無理やりにでも貰っておくんだったなと、一人ごちた。



「――――それで結局、全て、完璧に、一切合財、余地を残すところなく、・・・金をすってしまったのは、一体どこの主だったかな?」
「うぅ・・・・・・だからあれは私も悪かったわよ」
アーカードは半眼でルイズを見つめる。

「ぎ・・ギャンブルは本当に危険ね、身を滅ぼすのもわかるわ」
「そうだな、一つ勉強になったろう。だからここで働くのもとてもよい社会勉強だ。拾ってくれたスカロン店長の好意を無駄にせぬ為にもな」
有無を言わさぬ論でもって、アーカードはルイズを追い詰める。

「それに適材適所だ、我が主には常識がない。外は危険が一杯だ、満ち満ちている。そんな所に主を一人放すわけにはいかん」
「アンタには常識があるって言うの?」
ストレートに言われてムッときたルイズは、アーカードを訝しげに見つめる。
確かに自分は貴族だし、平民の生活はあまりわからない。常識がないと言われても仕方がないかもしれない。
しかしアーカードが常識的か?と問われれば、自分は否と答えるだろう。


「これも昔の話だが、私は八年間に及ぶ亡命生活をしていた。ルイズ、私がお前の年の頃には、ひたすら孤独と戦い逆境に耐え抜いて生きてきた」
「むっ・・・」
「娼婦を買いに、しばしば宮廷を抜け出すこともあったなぁ・・・・・・」
アーカードはやや遠い目をして、過去を振り返る。
 

705 :ゼロのロリカード:2008/11/12(水) 23:50:26 ID:???
 ルイズは傍若無人なアーカードも、昔は人間らしい生活をしていた事に少々違和感を覚えるが、すぐにそれは別の記憶で払拭される。
事実として、アーカードは時として社交的でいつの間にか色々な人と交友関係を作っている。
まともに友達もいなかった自分にすら、気軽に喋れる者達が出来た。怨敵ツェルプストー家のキュルケですら、だ。
罵倒や揶揄もここ最近はめっきり聞かなくなった。それもこれも、アーカードが来てからだ。
この吸血鬼を召喚してから、全てが劇的に変わったと言っても相違ない。
別の気苦労が増えたが、やはり本質としては公私の使い分けもしっかりしているとても優秀な使い魔なのだ。


「ぅぅぅ・・・・・・でも、私はここで働くのは向いてないわ」

「大丈夫だ、主は器量がいい。その手の人に人気が出るだろうし、すぐに私より稼げるようになるさ」
アーカードは心の中で「多分」と付け足す。
「それに、アンリエッタ女王陛下直々の命だろう。この程度の事で足踏みしていてもいいのかな」

「・・・・・・わかったわよ」
ルイズは不満げな顔で唇を尖らせながらも、渋々了承する。
「見てなさいよ!すぐにチップを一杯貰ってこんなトコ出て行ってあげるんだから!!」

「んむ、それじゃ私は早速外回りをしてくる」
アーカードも、もうルイズの扱いに手馴れていた。
どこで押し、どこで引けば折れるか―――――コントロールは容易かった。


 アーカードは蝙蝠を肩に乗せ、扉から外へ出て行く。吸血鬼の生活サイクルを考えれば多分明け方には戻ってくるのだろう。
「大丈夫、私ならできるわ。それでもってアーカードを見返してやる」
ルイズは意気込む。実際問題、酒場というのはこれ、なかなかに情報が集まってきてメリットもあるのだ。
と、同時にルイズは失敗も思い出す。果たして本当に自分はやっていけるのかと先行き不安になる。

「大丈夫よ、ルイズ。せめてこんなトコで寝なくて済むくらいには・・・・・・稼げるわよ・・・ね・・?」
自問自答したルイズは大きな溜息を三度吐いた後、その日一日の疲れから汚れを我慢してベッドに腰掛ける。
 

706 :マロン名無しさん:2008/11/12(水) 23:52:14 ID:???
来たぜ! ぬるりと・・・支援

707 :ゼロのロリカード:2008/11/12(水) 23:52:55 ID:???
 しかし加重によってベッドの足が折れ、大きく傾きルイズはバランスを崩してベッドと共に倒れた。
「ぅぅ・・・やっぱりもうやだ・・・・・・」
衝撃で埃が舞い漂う中、ルイズは目に涙を浮かべながら毒づいた。





 アーカードが情報収集を終えて一旦魅惑の妖精亭に戻ってくると、入り口からすぐの所に男が三人立っていた。
避けて通ると、その男達と相対する感じで立っている見知った顔を見つけた。

「ん?タバサ」
名前を呼ばれてタバサはアーカードへと目を向ける。なんでここにいるのかと問い掛けようとした瞬間、奥のテーブルから声が聞こえた。
「アーカード〜〜〜!」
「キュルケにギーシュにモンモランシーまで、揃ってどうした」

 アーカードの言葉にキュルケは手をちょいちょいと自分達の方へと招くように振る。
再度タバサと男達に目を向ける。タバサはいつも通り涼しげな表情、一方穏やかな顔とは言い難い軍人風のナリをした男三人。

(ふむぅ・・・・・・)
なんとなく事情を察したアーカードは一言だけ添えて、キュルケ達の方へと向かう。
「タバサ、ちゃんと手加減してやるんだぞ」


 男達が二言三言なにか言ったような気がしたが、アーカードは無視して歩き出す。
タバサと男達はそのまま出て行った。

「行かせちゃうんだ?」
キュルケがクスクスと笑いながらアーカードに言う。
「なぁに、あの程度の相手なら結果どうなるかは、火を見るより明らかだろう」
アーカードの言葉にキュルケは肯定するまでもない、といった仕草を見せる。
 

708 :ゼロのロリカード:2008/11/12(水) 23:54:36 ID:???
 互いに命を懸けて闘り合ったからこその、タバサの強さを認めてるからこそのキュルケとアーカードであった。
三人の戦闘を見ていたルイズ、ギーシュ、モンモランシーも、特に心配してる様子はない。

「ルイズ〜、ボーッと突っ立ってないでさっさとお酒と料理持ってきなさいよ」
「だからイヤよ!アンタなんかに奢るなんて死んでも嫌ッ!」
「あら、そんな事言っちゃっていいわけ?ラ・ヴァリエール。学院の生徒にバラされちゃってもいいんだ?
 アナタが何でこんなトコで働いてるか言いたくないみたいだから、ツケで手打ちにしてあげよってのにねぇ〜?」

 キュルケはいじめっこのそれを思わせる笑みを浮かべて、ルイズを見つめる。
ルイズは苦虫を噛み潰したような顔でキュルケを睨みつけている。ともすると、アーカードが横から口を開いた。
「そういじめてくれるな、我が主は自分から労働の喜びを味わいたいと言ってだな・・・・・・」
「なによ、その取って付けたような理由は」
キュルケが半ば呆れ顔で、アーカードに視線を向ける。アーカードは懐から袋を取り出しテーブルに置いた。


 ドンッという重い音と共に、ギッシリと詰まった袋から、何枚か金貨がテーブルにぶちまけられる。
ギーシュとモンモランシーはその大量の金貨に目が釘付けになり、ルイズも単純に驚いていた。
「今夜は私が奢ろう、口止めとラグドリアン湖で無理やり戦ったお詫びも兼ねて・・・な」
「オッケー、どっかのヴァリエールと違って太っ腹な使い魔さんね〜」

 嫌味ったらしくキュルケはルイズに言った。しかし当のルイズの耳には入っていなかった。
「ぐっ・・・アーカード、いつの間にこんなに稼いでるのよ」
「はっはっは、秘密だ。さっ、酌をしてくれ我が主―――もといルイズ」
アーカードはチップをチラつかせる。ルイズは心の中で握り拳を作りながらも、目の前のチップには抗えない。

 以前に稼いだ金貨は、また全てギャンブルで使ってしまったのだ。
あの日ほど笑った夜はない、あの日ほど泣いた夜もない、酒も飲んだ夜もなかった。
我ながら見事なまでの馬鹿さ加減だった。


 

709 :ゼロのロリカード:2008/11/12(水) 23:57:04 ID:???
 ルイズが酒と料理を丁度運び終えた頃、タバサが戻ってきた。
「おかえりタバサ、いいタイミングね」
タバサは頷きを一つだけして座り、すぐ本を読み始める。
「今夜はアーカードの奢りだってさ」

 そう言われタバサはアーカードに目を向ける。
「このお前のお詫びだ、好きなだけ飲み食いするといい」
「わかった、お言葉に甘える」
頷き一つとその言葉の後、タバサはキュルケが注いだワインを手に取る。
「それじゃ、乾杯」

「なあキュルケ・・・・・・」
ギーシュが首を捻り訊ねる。キュルケは一口飲んでから口を開く。
「なあに?」
「きみたちは、いったいどうしてそんなに仲がいいんだ?まるで姉妹のようじゃないか」
「気が合うのよ」

 いまいち腑に落ちないギーシュは尚も続ける。
「確か入学早々決闘騒ぎも起こしていたような記憶があるんだが・・・・・・」
「ほぅ、私も気になるな。この前の連携もそうだし、その以心伝心っぷりはなかなかのものだ」

 アーカードはそう言うと酌をしているルイズと視線を合わせてから、ポンポンと太股に視線を向けて叩く。
一瞬顔をヒクと強張らせるも、ルイズは仕方がなくそこに座って酌をし始める。
「決闘話というのも是非聞きたいな、いい酒の肴になりそうだ」

 キュルケはタバサを見る、タバサは特に何も言わなかったがその心は伝わる。
「わかった、この子が話していいって言うからお話しするわ。そんな大層な話じゃないから期待しないでね」
残ったワインを飲み干すと、キュルケはゆっくりと語り始めた。


 

710 :ゼロのロリカード:2008/11/12(水) 23:58:56 ID:???
「人に歴史あり、か」
「単にタバサの分を横取りしただけで、貸しでもなんでもないじゃないの」
「きみはひどい女だな」
「そうね、あたしってばきっと・・・・・・すっごいわがままなのかも、しれないわね」

 そう言った直後、キュルケは大きく欠伸をする。
「ふぁあああああああ。なんだかんだで長引いちゃったわね、ちょっと眠くなったわ」
そう言ってキュルケはアーカードを見る。
「構わんぞ、一番いい部屋に泊まるといい。タバサと二人でな」
「ありがと」
キュルケはタバサを促して立ち上がり、二階へと上がって行った。


「あ〜〜〜僕らも、奢ってくれるのか・・・な?」
ギーシュがややバツが悪そうな態度で口を開く。
「そうだな、口止めということで飲み食いした分だけは払ってやろう」

 さすがに宿泊代まで払ってくれるほど甘くはないかと、ギーシュは心中で溜息を吐く。
「持ち合わせがないなら、無利息で貸してやろう。男女二人いればやることは一つ、学院と違って声を我慢する必要がないからの」
「なッ・・・が・・ばっ馬鹿言わないで!誰がこんなのと!!」
モンモランシーは思わず声を上げる。
「そんな!?モンモランシー!」

 その時だった、男達が五人ほど近づいてきた。
内二人は見覚えがある、そう・・・タバサと連れ立っていった三人の内の二人。残った三人は見覚えがないが、格好が同じであった。
「先ほどのレディたちはどこに行かれた?」
「う・・・上で寝てますけど・・・・・・?」
モンモランシーが少し怯えた様子で答える。

「先ほどのお礼をしようと思いましたが、逃げられましたか。では貴方方に付き合って頂くとしましょうか」
外を見ると何百人もの兵隊が並び、なかなかにとんでもない光景であった。
 

711 :ゼロのロリカード:2008/11/13(木) 00:01:08 ID:???
 
 呆気に取られるルイズ、ギーシュ、モンモランシーとは別に、アーカードは嬉しそうに口を開く。
「ククッ、いいだろう。今夜はとても月が綺麗だ・・・・・・そう、死ぬにはいい日だ」
「勇ましいお嬢さんだ」

 アーカードの言葉にルイズがトトトと近づき耳打ちする。
「殺しちゃダメよ、絶対。相手は王軍の兵士なのよ」
「では丁重に扱おう、耳を切り落とすか鼻を削ぎ落とすか顎を弾き飛ばすか、全員伊達にして帰して――――」
「だから駄目だってば、本来は共闘すべき味方であって敵じゃない。それに姫様にだって迷惑が掛かかっちゃう。なるべく傷つけないよう穏便に、これは命令よ」

 アーカードは嘆息をつく。面倒だが・・・・・・しょうがない。命令ならば仕方がない。

「了解した、我が主。ただその場合」
アーカードは三人をそれぞれ見やった。
「ルイズ、ギーシュ、モンモランシー。自分達に降りかかる火の粉は自分で払うんだぞ」
「は?」
三人の声が揃うと同時に、逃げられないよう後ろからそれぞれ両肩をガッシリと掴まれる。
三人は乾いた笑いを漏らし、アーカードは残った二人と連れ立ってサクサク外へと出て行った。





 死屍累々。双月の下、積み上げられた死体。ではなく、気絶した兵士達の上でアーカードは煙草を吹かしていた。
ガンダールヴの特性ゆえに、武器を持つと肉体が強化されてしまう。そうなると力加減が難しくなってしまうので、素手で戦った。
デルフリンガーが言うには、アーカードの心の奮えはさほどでもないから、あまり強化されてないそうなのだが・・・・・・。
というわけで、魔法を吸収できるデルフを使わなかったので、当然魔法は避ける必要性があり、さらには手加減付きであったので、存外に時間が掛かってしまった。
 

712 :ゼロのロリカード:2008/11/13(木) 00:02:54 ID:???
 アーカードは視界の端で動いた者に目を向ける。それは匍匐前進、否、地面を這っているルイズであった。
軽やかに兵士の山から飛び降りて、ルイズの目の前に降り立つ。手を貸してやり、起き上がらせるとルイズは息も絶え絶えに口を開いた。
「・・・・・・ちゃんと、手加減してくれたみたいね」
「命令だからな、まっ夜明けまでは起きんだろう」
そう言ってアーカードは振り向いて、街中に不釣合いなその山を見る。

「最近は手加減も少しずつ慣れてきたな。まぁ私にとっては何百人いようと何千人いようと何百万人いようと4人だ」
「・・・4人?」
「一度に4人だ・・・・・・まぁ時折五方向目、即ち上も注意せねばなるまいが。同時に四方の敵を倒せれば作戦なんか関係ない。
 つまるところ、たとえ全世界の人間、亜人、獣とケンカしたって倒されはしない。尤も魔法にだけは注意を払わねばならんが」


「フフッ、アーカードのスケールにはかなわないわね」
ルイズは暴論に呆れながらも笑う。しかしすぐに一転して虚ろ気な表情を浮かべた後、恨めしげに口を開いた。
「私、頑張って鍛えてたのに・・・・・・全然相手にならなかった、正直自惚れてたわ」
「にわか仕込みの体術と、以前よりはちょっとついてきた程度の体力では当然だ」

 アーカードはそう言うと、立ってるのもつらそうなルイズをお姫様抱っこする。
「このままベッドまで運んでやろう」
「うっ・・・・・・恥ずかしいけど、今はお願いしようかな」
「随分としおらしいじゃあないか」
アーカードが少し驚いた様子で言う。

「だって、本当に疲れてるもの。体中痛いし・・・・・・」
「手加減なしだったら、支援してやれたものを」
「いいわ、いいのよ。私が言ったことだもん。それに毎回アーカードにフォローされてちゃその・・・・・・主としての立場がないし」
「はっはっは、その意気だ」

 と、アーカードは無残無様に倒れているギーシュとモンモランシーを発見する。
「ギーシュとモンモランシーも、後で運んでやらんとな」
アーカードは二人の様子を遠目で確認する、一応息はしているようであった。するとルイズが喋り始めた。
 

713 :ゼロのロリカード:2008/11/13(木) 00:04:59 ID:???
「過信してた、自分は伝説だって。私より小さいタバサだってあれだけ戦ったんだから、ちょっとは自分もイケるかもなんて思ってた」
「タバサは元々のセンスがいい、何より実戦経験が遥かに豊富だ。到底比べられん」


「私が、なに」
声を発したのは、二階から降りてきたタバサであった。隣にはキュルケも一緒にいる。

「あらあら、可愛いわねルイズ。自分より小さな女の子に抱きかかえられてるなんて」
「うぐっ・・・・・・」
「タバサは才能があってしかして驕らず勤勉で努力しているという話だ」
アーカードはタバサの質問にしれっと答える。

「な〜んか飲み足りないし、寝付きが悪かったから降りてきたんだけど・・・・・・」
「なにごと」
周囲を見渡していまいち状況が掴めてない二人の質問に、ルイズとアーカードは答える。

「一個貸しよ」
「貸しイチだ」
「ひと・・つ・・・貸しておく・・・・・・よ」
「いっこ、貸しだから・・・・・・」

 いつの間にか顔だけをあげたギーシュとモンモランシーも悪態をつくように一言、そして力尽きた。

714 :ゼロリカ ◆DNrogED.cM :2008/11/13(木) 00:13:31 ID:???
以上です。支援どもでした。
あとまとめてくれてる方もいつもありがとうございます。

幽閉や亡命や娼婦のくだりは、一応史実から引っ張ってきました。

余談ですが、お絵かきBBSを見ていたら一年経過というコメがありました。
気になって過去ログ遡って調べたら、なんと書き始めたのが去年の10月4日。
隔週くらいのゆっくりペースではあるけれど、もうそんな期間に渡って書いてたのかーとびっくりしました。

これからもゆっくり更新ペースだと思いますが、頑張って続けていきたいと思ってます。
書きたいシーンが色々あるけど、すっ飛ばすわけにはいきませんので頑張っている一心。
読んで下さってる方々のレスは、とても励みになります。楽しんでいただければこれ幸いです。

ではまた。

715 :マロン名無しさん:2008/11/13(木) 00:53:59 ID:???
娼婦を買うだと?エロいな

716 :マロン名無しさん:2008/11/13(木) 05:39:51 ID:???
ロリカードの人、乙〜

ルイズ、やっぱり使い込んだかw
姫様から渡されたお金をギャンブルで使い込むなんて、バレたら厳罰ものですよね
世間知らずぶり&無謀もここに極まれり

逆にアーカードの順応ぶりは流石というか…
まぁ、年季のいい吸血鬼と世間知らずのお嬢様とじゃ比べるまでもないかw

アーカードがルイズをお姫様抱っことは…萌え!
そういえばロりカードはルイズよりも小柄だったんですよね
次は同じくらいのタバサのお姫様抱っこを見てみたいですねw

次回も楽しみにしております!





717 :マロン名無しさん:2008/11/13(木) 22:04:31 ID:???
バキネタがあると分かってても笑ってしまう

718 :マロン名無しさん:2008/11/14(金) 09:03:25 ID:???
>>717
やっぱバキネタか。確か幼年編のバキのセリフだっけ?
バキ自身は偉そうな事言ってたのにチンピラ100人倒す前に力尽きたっけ(記憶あやふや)


719 :マロン名無しさん:2008/11/14(金) 15:38:14 ID:qTwjUm9H
乙です。
一年か。そんなになるんだねえ。

720 :マロン名無しさん:2008/11/14(金) 18:19:43 ID:???
言ってたのはバキじゃなくて警察かなんかのオッサンじゃなかったっけ

721 :マロン名無しさん:2008/11/14(金) 18:37:21 ID:???
ゼロリカさん乙です。
このアーカード、勇次郎すぎるww あとゲバルww

722 :マロン名無しさん:2008/11/14(金) 18:40:41 ID:???
http://taisenrogu.web.fc2.com/teki/index4.html

723 :マロン名無しさん:2008/11/15(土) 09:21:32 ID:???
次はカイジとか

724 :マロン名無しさん:2008/11/15(土) 22:48:58 ID:???
カイジ役はルイズかギーシュだな。
ロリカードの場合、アカギにはなれてもカイジにはなれない。

725 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/15(土) 23:05:11 ID:???
ゼロリカさん乙です。僕もバキ大好きです。 
一周年ですか……凄い……。自分もそれ位長くやれたらいいな……
25話目投下、2330より。

726 :虚無と狂信者:2008/11/15(土) 23:31:33 ID:???
 ハルケギニアにはオーク鬼という亜人が広範囲に生息する。
 二メイル以上の体躯に厚い脂肪。戦闘能力は手練れの平民の剣士五人に相当する。
「そいつらが学院にほど近い教会に生息し始めたのじゃが、
だれか退治にいってくれんかの……報酬は弾むぞ?」
 打ち捨てられた寺院。こういうことが起きぬよう取り潰しておくべきだったが、
今さら言ってもしょうがない。しかしオーク鬼というのはメイジであれども相当に危険な
相手であり、教師陣は誰も手を挙げない。そこで手を挙げたのはミス・ロングビルである。
 周りはざわつくが彼女の正体を知るオスマンは、問題無いとみた。
 相性の問題で彼女、土くれのフーケの作る巨大ゴーレムはオーク鬼であろうと安全に狩ることができるからだ。
 オークの攻撃は三十メイル級のゴーレムに乗る彼女に届くことは決してない。
 退陣する教師達、残されたのはオスマンとフーケだけとなった。
「……報酬の額は200エキューでどうじゃ」
「私には帰りを待つ二十人の兄弟達が……」
「………250」
「ありがとうございます」
 退出しようとする彼女を見送り、オスマンは使い魔であるネズミを呼び寄せる。
「……何?! ズボンじゃと! カーッ!! けしからん! けしからん!」

 報酬の額を弾んでもらったもののフーケの表情は冴えない。
 仕事の報酬は悪くないが、育ち盛りの孤児達を養うには少々役不足だ。
(せめて住宅費が安くなればねえ)
 問題なのは彼女の妹、ティファニアの所在が不明なこと。
 定期船に軍艦が接触し、事故。その後消息不明。
 八方手を尽くすもいまだ情報は掴めない。
 子どもたちが全員健在なのはいいことだが。
(ひょっとしたらもう……)
 頭を振ってその考えを否定する。
 とにかく今やるべきことは彼女の帰る場所を残しておくことだ。
 愛しい妹のために。


727 :虚無と狂信者:2008/11/15(土) 23:34:13 ID:???
 それよりも目先のことである。寺院の場所は分かっているが、準備は万全でなくてはならない。
(誰かしら仲間が欲しいところだね)
 そう強力で無くても、相手の注意を分散させることができる仲間。ふらふらと中庭を歩くと彼が居た。
 黒い髪と黄色い肌の、異邦の少年。熱心に本を読んでいる。平賀才人。しかし思い直す。
 彼は自分の正体に気づいていない。自分が彼を襲ったことを。またあの時その場にいた彼らとはなるべく
コンタクトをとらないことにしていた。自分の正体、元盗賊の顔は知られてはならないのだ。
 そう思い、心当たりもないので一人でいこうとする。そのフーケと誰かがぶつかった。
「あ、すいませ……」
 目の前に居たのは、赤ずくめの吸血鬼、アーカード。

 思い起こされるのはラ・ロジェールでの一件。
 髪の毛を引っ張られ、銃口を突き付けられた。
 撃ち抜かれた足の痛みがフラッシュバックする。

 世間を騒がせた土くれのフーケとて、怖いものの一つくらいある。
 ましてや眼前にあるは恐怖の象徴とも呼べる存在。
 圧倒的な戦力差。
 アーカードは彼女の全てを知っているかのように、

 その口元を歪めた。

 途端に腰を抜かすフーケ。微動だにしないアーカード。何事かと駆け寄るサイト。
「ひ、ひい、ひいいい」
 平賀才人がこれまで見て来た彼の行動から、一つの結論にどうしても収束してしまう。
「ちょ、今度は何したんすか! アーカードさん!」
「いや、別に何も」
 主に女性の混乱によりもはや収拾がつかない。サイトの足に縋りつき、泣きながら首を振るのみだ。
 目の前にいる相手がアーカードならばそれもいたし方ないことであろう。
「あの、アーカードさん、ちょっとどっか行ってくれます?」
「わかったわかった」

728 :マロン名無しさん:2008/11/15(土) 23:37:08 ID:???
支援

729 :虚無と狂信者:2008/11/15(土) 23:37:22 ID:???
 すがりつく女性をあやしながら、去っていくアーカードの背中を見送る。悪い気がしたが、
 まあ最強の吸血鬼がこの程度で傷付くわけないか、と思い直した。
「あ、あいつ行ったかい?」
「え、ええ行きましたよ」
 大きく息を吐く女性を見て、サイトがピンと来る。
「……もしかして……港町の?」
 その言葉に今度は驚愕するフーケ。
「い、いや、これは、あの」
 しかしサイトはポリポリと頭を掻きながらあっけらかんと口にする。
「……まあでも改心したんですよね?ここで働いてるってことは。じゃあいいですよ。
あとアーカードさんは戦闘時以外では話が分かる人ですからそんなに怖がらなくても大丈夫ですよ?それじゃ」
 そう言って去っていこうとする少年を呆けて見送りそうになる。
「ちょ、ちょっと待ってください」

 厨房でお茶をもらい、話を始める。サイトは戸惑いながら言う。
「別に言いふらしたりしませんよ?」
「いえ、そういうことでなく……」
 流石にこの少年を口封じで殺せばオスマンも黙っていないし、命の恩人を殺そうとは思わない。
 ただこの少年をマジマジと観察する。全くフーケに対して警戒していない。
 一応は戦ったフーケにである。己の力に自信があるという訳でもなさそうだ。
(こりゃ、甘ちゃんだね……)
 おそらくフーケが攻撃するなど本気で微塵も思っていないのだろう。
 しかし、それは置いておいてもこの少年の不死身の再生能力は十分戦力になる。
 そこで、己が言い渡された任務を説明する。
「オーク鬼というのは?」
 ハルケギニアでは割と知られているそれを知らないのは不審だったが説明する。
 その一体が手練の剣士五人に匹敵する戦力とあってその顔が険しくなる。
 やはり駄目かとフーケは退こうとした。しかし、才人は表情とは裏腹の言葉を口にする。
「良いですよ、手伝っても」
 あまりにあっ気なく了承され、またもズッコケそうになる。今度は間抜けな風に。
「いや、ほら、学院には世話になってるし……。あのゴーレムだったら楽勝でしょ?」
 どうもこの少年の価値基準は自分とはかけ離れているな、とフーケは逆に彼を心配してしまった。

730 :虚無と狂信者:2008/11/15(土) 23:41:39 ID:???
「はあ、妹さんを人質に……」
 シルフィードに乗りながら互いのことを話す。時折、フーケは木々の少ない、
ゴーレムの作れそうな場所を確認しつつ。
 フーケが訳あって少女と孤児達の世話をしていたこと。
 彼女らの存在をチラつかされ、脅迫されたこと。
 そんなことを話している。
「ええ、すいません…………」
「良いですよ!そんなことされたら仕方ないじゃないですか!」
 その少年のあっさりとした許しに驚きながらも、彼ならそれもありうるだろうと苦笑する。
「優しいですね。あなた」
 ふと自分の妹を思い出す。この少年もあの娘も似たようなもの。
 周りを不安にさせるほど優しくて、真っ直ぐな人なのだ。

 件の教会まであと少しという所で、フーケは異変に気がついた。
 途中で確認した平地にフライで降り立ち、ゴーレムが足元から沸き起こり始める。
「敵?!」
 シルフィードを下降させ、地面に降り立つ。銃弾を装填し、サイトは拳銃を構える。
 彼の前に現れたのはオークの群れ。
 真っ直ぐ突撃する彼らの急所を無理やり冷静にした頭脳で撃ち抜いて行く。
 この大陸ではありえない射程と威力の拳銃の攻撃はオーク鬼の想定の外の虐殺を行った。
 だが、打ちもらした数匹がサイトに迫る。
 その巨体からなる圧力は吸血鬼に勝るとも劣らない。
 まして彼は再生能力以外の能力は年頃の少年とさして変わらない。
 それでもこれまでの戦いで身につけた胆力でオーク鬼の喉元に銃剣を突く。
 しかし、人間など遥かに超えた生命力でオーク鬼は踏みとどまり、棍棒での必殺の打撃をお見舞いする。
 脳天に食らえばいかな再生者とて死に至るだろう衝撃を、サイトは転がって交わす。
 不安定な態勢となった少年に、続けざまの追撃が迫る。かわせない。

「マズ…」
 視界に棍棒が迫る。サイトはそれでも、例え防げないとしても銃剣を握りしめ、それを弾こうとした。

731 :虚無と狂信者:2008/11/15(土) 23:44:17 ID:???
 突然、視界から棍棒が消えうせた。
 その衝撃はもたらされることはなく、オーク鬼は宙に浮いた。
 フーケの創りだした全長三十メイルのゴーレムは冗談のようにオーク鬼の巨体を片手で持つ。
 そしてその手の中で短い断末魔が聞こえたと思うと、赤い液体が染み出した。
 辺りを見ると残りのオーク鬼も残らず圧死していた。あまりの凄惨さに目を背けそうになるが、
 それでも彼は目を逸らさずに十字をきった。

 これが己の選んだ結果だから。

 フーケのゴーレムの上にサイトものせてもらった。すぐ近くなのと、これを一旦解除し、
再構成するよりも持って行ったほうが消費する精神力は少なくてすむからだ。
「あのオーク鬼、何か変だったねえ。」
 まるで何かに追われているようだった。どういうことかと思案に暮れる。
 しかしそれより、何故かバツが悪そうな少年の方が心配だった。
「どうしたい、沈み込んで」
 少年は溜息を吐きながら答える。
「いや、だって……敵とはいえ、殺したんだから、ちょっと気分が悪くなってるだけですよ」
 フーケは嘆息する。この少年はまだ殺すことに慣れていないのだろう。当たり前だ。
 ただの少年なのだから。この齢で死に慣れるなどあってはならない。
 そんな子どもは悲しすぎる。
 そしてふと思う。この少年はそういう普通の少年なのにあの化け物から私を助けてくれたのだ。
 そう考えると、一層有り難く思える。そして同時に気になりもした。
「……あんた、どうしてあの時あたしを助けたんだい?」
 その言葉にサイトはうーんと唸る。
「いや、だって目の前で人が殺されそうだったら助けるでしょう。そりゃ。」
「……敵でもかい? 私はあんた達を殺そうとしたんだよ?」
「いや、だってあの時はあれで勝負はついていた訳で……それに脅迫されて……」
 フーケは口をもごもごさせる彼を見て一瞬呆けた後、大笑いした。


732 :虚無と狂信者:2008/11/15(土) 23:48:53 ID:???
 突然笑われたことに、サイトは顔を赤くする。
「な、なんで笑うんですか!?」
「あ、はっはっは悪い悪い」
 フーケはサイトの肩を何度も叩いた。目をこすってしみじみと言う。
「あんた……ほんとイイ奴だね」
「………だから何なんですか?ソレ………」
 そしてサイトはふと気づく。
「それが素なんですか?ミス・ロングビル」
「……」
 彼女はしまった、と心の中で呟いた。まあこの少年ならいいだろう。
「……ああ、素だよ?ネコでも被んなきゃ盗賊何てやってらんないよ」
 そしてサイトの頭を撫でてやる。やはりどこか、自分の妹に似ている。
「マチルダ」
「?」
「私の本名さ、誰もいないときはそう言いな」
「へえ、マチルダ姉さま!」
「ん? 何か言ったかい?」
「いえ! 何も!」
 才人はシルフィードに向け人差し指を立て、口を抑えた。

 才人は先ほどの戦闘を思い起こし、頭を悩ませる。
 オーク鬼に対し、自分は間違いなく死にかけた。
 オーク鬼は確かに強力な亜人である。しかし、例えばメイジからすれば決して強敵ではない。
 おそらくドッドメイジであれど数体程度なら倒せるはずだ。
 しかし、ドッドどころかトライアングルクラスであれ倒せる程の自分でも倒せなかった。
 これが相性というものだろう。
 才人の持つ武器はあくまで対人のもの。そして彼の不死性も相まって、メイジや人間との戦闘で
あれば相当クラスの使い手でも何とか倒せる。
 ただし、そのメイジが倒せるであろう人外の敵を、自身が倒せるかと言えば答えは違う。
 例えばドラゴンを倒せるかと聞かれれば、首を横に振るしかない。
(その辺りのことも神父に聞くか)
 最近めっきり姿を見せぬ彼を思った。

733 :虚無と狂信者:2008/11/15(土) 23:52:09 ID:???
 教会に着き、見えたもの。首を刎ねられたオーク鬼たちの死体の山。
 才人とマチルダは警戒する。明らかに何かがいる。
 ゴーレムは塀を踏み越え、教会の敷地の中に入って行く。そこで繰り広げられていた光景。
 オーク鬼の群れが、コートを着た男の放つ弾幕のような銃剣の群れによって押しやられる。
 肉の塊の持つ質量よりも勝る銃剣の群れの衝撃が、生命を生命だったものに容赦なく変えていく。
 それでも突進してくる亜人に、男はその首を順番に落とすことで対処していく。
 後ろから棍棒が振りかぶられる。
 その必殺の衝撃を、今居た所より一歩踏み出すだけで受けきり、そのまま逆手で銃剣を脳天に突き立てる。
 その隙を窺っていた一際大きいオーク鬼が唐竹にその男に棍棒を叩きこもうとする。

 しかし、それよりも速く、男は二本の銃剣を両手に持ち、全く同じ動作で上から叩き斬った。

 肩から足元まで、オークの胴体が三つの肉片に分けられた。
 3メートル近い豚の怪物をである。
 呆気にとられるマチルダ。しかし、サイトはその人物を知っている。
 手を振ってその名を叫ぶ。
「アンデルセン神父―! 何やってるんですかー?」
 男はゴーレムの上に立つ少年に気づいた。
「サイト。どうしたんだ? お前」
 先程までの命のやり取りがまるで感じられない程の穏やかな受け答えだ。
 そして自身と彼を比べ、彼との差は一朝一夕では埋まらないものだと改めて理解した。

734 :虚無と狂信者:2008/11/15(土) 23:55:43 ID:???
 アンデルセンの話では、教会の建造をしようとした彼はちょうどいい土地を探していたが、
 丁度打ち捨てられた教会が学院の近くにあったため、ここに建てようとしたのだ。
 ルイズの使い魔もせねばならない彼には、この土地は打って付けだった。
「後は改築するだけですね」
 法に則ってキリスト教の教会へと改築せねばならない。
「それでは私も手伝いますわ。土メイジですから、お役に立てますわ」
 ロングビルの申し出にアンデルセンも笑顔で答える。
「それはありがたい……あなたに神の加護を」
「いえいえ、あなたとこの少年には手伝ってもらいましたから」
 サイトは恥ずかしげに頭を掻く。その頭をアンデルセンはぶっきら棒に撫でてやった。
「子供扱いしないでください!」
「ああ、悪い悪い」
 その姿は傍から見ると父親と小学生である。アンデルセンが大きすぎるからだが。

 一方その頃。
 キュルケが授業から戻ると、見知らぬ髭の男が居てびっくりした。しかしすぐにその正体に気づく。
「アーカード!?どうしたのその格好?」
 その姿に違わぬ野太い声で答える。
「どうも怖がられるようだからイメチェンをな……」
「……はあ?」
「アーカードか髭カードかロリカードかショタカードかどれがいいだろうか?」
 この吸血鬼、存外に傷つき安かった。

 数日後。
 オーク鬼の死肉と血で溢れ返った敷地はきれいに片付けられ、埃は全て掃除された。
 そして壊れた壁と割れたガラスはマチルダの手でしっかりとした石壁とステンドグラスに変えられた。
 まさに劇的ビフォーアフターである。
 サイトは感動の面持ちで辺りを見回す。
 心が洗われる感じがする。

735 :マロン名無しさん:2008/11/15(土) 23:57:28 ID:???
支援!

736 :虚無と狂信者:2008/11/15(土) 23:57:41 ID:???
ふと誰かがやって来る。キュルケにタバサ、そしてその使い魔達。
「一体どうしたんすか?隊長」
「ん?お届物だよ。」
そして何かの束を取り出す。見憶えがある。
「…………銃剣?」
それにしても多い、五十本以上あるのではないか。
神父はそれを十字架の下に運び何事かする。すると、そこに印が刻まれる。
「これでよし」
「んじゃ、俺らのも頼むぜ。」
持ち込まれたのは、弾薬の束。
「ふん………異教徒でも約束は守る」
「いや、神父!俺はカトリックだよ!」
「う、裏切りものー!」
「裏切ったんじゃねえ! 表切ったんだよー!」
媚びへつらうベルナドットにセラスが教会の外で文句を言う。
「まあいい、頼むぞ宿敵」
「ふん」
険悪な雰囲気だが、それでも淡々と彼らの持ち込んだ弾薬に祝福が施されていく。
「パーフェクトだ、宿敵」
弾薬を運び出すアーカード、教会に普通に入ってこれる吸血鬼に二人は改めて戦慄する。
「ワルサー用の銀弾頼む」
「私の爆裂徹鋼焼夷弾も」
「待て待て、まずはシエスタさんの日本刀をせねば」
その和気藹々と殺す用の道具を弄ぶ彼らを見ながらマチルダはサイトに訊ねる。
「………あんたらの宗派の教会ってどこもこんな血生臭いの?」
「あの人達だけです!!」

737 :マロン名無しさん:2008/11/16(日) 00:03:10 ID:???
支援!

738 :マロン名無しさん:2008/11/16(日) 00:12:56 ID:???
さるさんかな?

739 :マロン名無しさん:2008/11/16(日) 00:24:03 ID:???
神(ゴッド)! 千手支援!!
ttp://asame3.web.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_015849_2.jpg

740 :マロン名無しさん:2008/11/16(日) 00:51:28 ID:???
投下終了…じゃないよね? とりあえず支援!

741 :虚無と狂信者:2008/11/16(日) 01:03:04 ID:???
アンデルセンはサイトの持つピストルの弾薬を投げて渡す。
「それで……吸血鬼と戦うのか?」
サイトははにかんだ笑みを浮かべる。申し訳なさそうな、しかし目に譲れないという光を込めて。
「その時が来たら」
「そうか」
アンデルセンはコートを翻し外に出る。サイトは笑ってその後ろを付いて行く。
「あれ? 神父。サイト。あの銃剣はどこやったんだよ?」
「? しまったが」
「ええ」
もはや何も言うまいとベルナドットは思った。

その時、キュルケが彼達を呼び止めた。
「ちょっと! あなた自分で頼んどいて忘れるんじゃないわよ!」
そう言うと彼女は鞄からケースを取り出した。
「いつあいつらが襲って来るかわからないからなるべく早くって言ったのあなたでしょ!」
アンデルセンが頭を掻く。平時の彼には結構鈍重な所がある。
「おお。できたのですか?」
「ええ! 今朝方うちの竜騎士が持って来てくれたわ。それよりどうぞ」

開かれたケースに入っていたのは四本の銃剣。
しかし、それは普段彼の用いる黒く輝く無骨なそれとは違い、白くきれいに輝いていた。
「これ……銀か?」
「ええ! そうよ! といってもただ銀で出来てるってだけじゃないわ。
何てったって家のお抱えの中でも最高の鍛冶師に鍛えさせ、おまけにスクウェアメイジによる
固定化をかけ、アーカードのカズールでも傷一つつかない逸品よ!
……高いんだから投げ捨てたりしないでよね!」
アンデルセンは自身の銃剣と比べてみる。
「素晴らしい……。馴染みますね……。
パーフェクトです。ミス・ツェルプストー」

742 :虚無と狂信者:2008/11/16(日) 01:07:40 ID:???
 彼はその銃剣で殺しうる敵を想像する。
「これならば大尉ですら殺してのけるでしょう」
 人狼にはただの祝福済みの銃剣では役不足。
 銀を心臓に打ち込まねば、彼らは死なないのだ。

「それはそうと神父とキュルケって見ない間に仲好く……。
というか神父が殺気を当て無くなりましたけど何かあったんですか」
 その言葉に二人の表情が凍り、アーカードがにやつき始めた。
「いや、意外にもしっかりした人だというか……」
「ええそうよね? ア ン デ ル セ ン ?」
 何故かアーカードが笑いを堪えるように口元を抑え、ファイアーボールが宙を舞った。
「ま、まあともかくとして……ほら、サイト」
「え? 俺にも……」
 四本の内、二本を手渡される。
 それを彼はじっと見つめる。

これを渡されたということはどういうことか。
才人は理解した。
己を戦力として認識してくれた。

その重みは今まで貰ったどんな物より、名誉より、
彼にとっては嬉しかった。

「なあ、アンデルセン。約束通り、ここに子ども達を住ましてもいいかい?」
「ああ、別に構いませんよ?」
事情を話し、すっかり打ち解けたマチルダは砕けた口調で彼に頼む。
ここならばただで子ども達を養えるし、何より、ティファニアが帰って来た時やりやすいからだ。
なお、言うまでも無いことだが、彼らにマッドに布教する神父と、
それを阻止せんとするマチルダ及び才人の壮絶な戦いが日夜繰り広げられることになる。


743 :虚無と狂信者:2008/11/16(日) 01:10:52 ID:???
 アルビオン空軍工廠の町ロサイスにて、黙々と艦隊の整備が行われていた。
「なあ、あの砲台は凄いな」
「ああ、トリステインの砲台の一・五倍の射程があるそうだ」
「うん、でもさ」
「うん?」
「ありゃ何だ?」
 確かに奇妙な物だった。ハルケギニア最強と言えるレキシントン号。
 その船底にぶら下げられた、なんの変哲も無い、箱。
「ありゃあ、何に使うんだ?」
「それは私が乗り込むのですわ」
 後ろからいきなり声をかけられ、士官達は驚き仰け反る。
 そこにいたのは珍しい黒く長く美しい髪、愛らしいソバカス、丸眼鏡、そして巨大な
マスケット銃を担いだ女性だった。その妖艶な、しかし不気味な笑みに、彼らは思わず道をあける。
「さあ、いきますよ、地下水さん」
「子爵って言いな。魔弾さんよ」
 その隣には明らかに身分の高い貴族。
 さらにその後ろには見る者を凍て付かせる目をした大男が立っていた。

「何故吸血鬼になさらないの?」
「ああ、どうも吸血鬼になると魔法が使いにくくなるんだよな……死んでるからかな?」
「そう? まあ、やりやすいようにやるといいですわ」
 ワルドの体を乗っ取っている地下水は頭を掻く。
 確かに吸血鬼の身体能力は魅力的だが、今度の戦はおそらく竜に乗ることになる。
 ならば必要なのは純粋なパワー、魔力だ。
 それならばこれで充分だ。なにより、
(勝手に体を操って吸血鬼にします。ってのもなあ……)
 そこまでの悪逆はしないという点で、おそらくこの中の誰よりも人間に近いナイフである。
 
さるさんです。すいませんでした。

744 :虚無と狂信者:2008/11/16(日) 01:14:32 ID:???
さらに言えば、ワルドの持つ魔力は今まで地下水が操ったどんな体よりも大きい魔力を備えている。
おそらく今の彼は大陸でも最強に近いメイジだろう。
しかし、そんな彼でも、マスケット銃を片手に揚々と歌いながら、
まるでピクニックに行くように楽しげに鉄火に赴く彼女。
そして、無表情な、しかし、闘志と殺意を完全に抑えきれていない大尉との間では霞んでいた。
「そうそう、ゾーリン・ブリッツ中尉もこちらに向かっているそうですよ」
まだ増えるのかと、地下水はありもしない胃を痛めるのだった。

「戦争だな」
「ええ、大戦争ですわ」
彼女は少女のように笑う、それはあどけない、ゆえに狂気であった。
対して地下水は事務的な、無感動なものだった。ゆえに酷薄であった。
そして大尉は、ただ喉を鳴らしただけだった。


以上で投下終了です。支援、まとめありがとうございました。

745 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/16(日) 01:25:24 ID:???
さるさんくらってお待たせしてすいませんでした。
それと前回から遅れてしまって申し訳ない。
文化祭も無事に終わり、本腰をいれて書いていきます。

とりあえず今回はマチルダと兼ねてよりの教会建造。
久々の大尉達、本当に久々のアンデルセンw 今後は彼らの出番を増やします。
それでは。改めまして支援、まとめ、ありがとうございました。

746 :マロン名無しさん:2008/11/16(日) 01:39:56 ID:???
乙です。
銀の銃剣でサイトのスペックUPしたけど対人戦闘は相変わらず苦労しそうだなー。
日本刀が強化されたので人外に対する戦力はシェスタ>キュルケか・・・
シェスタこえー

747 :マロン名無しさん:2008/11/16(日) 01:41:26 ID:???
狂信者の方、投下乙でした!

サイトとマチルダの共闘は珍しい
まぁ、これからも対神父戦での共闘も見れそうですがw
教会の修理というか、建築仕事に土メイジは大活躍ですね
土建屋としてもやっていけそうだw
それにしても学園の教師陣、相変わらず腰抜けぞろいですね…

タルブ戦の準備、着々と進んでますね
大尉にリップヴァーン、地下水ワルドにゾーリンも来るとあっては、タルブ戦は凄惨な戦いになりそうだ…

748 :マロン名無しさん:2008/11/16(日) 02:32:01 ID:???
ちょっとアナウンス。

「虚無と狂信者」や「ゼロのロリカード」がまとめられているWikiが
大規模メンテナンスのためアクセス不可になっています。
再開は11/16(日) 07:00ごろの予定です。
まとめて読み返したい人、投下をまとめてくれる人は、しばらく
お待ちください。

749 :マロン名無しさん:2008/11/16(日) 10:51:05 ID:???
>>745
狂信者の方、乙です。
しかし、子供たちを澄ませる場所を明らかに間違ってますよマチルダさん。
アンデルセンの教会に住ませるなんて、絶対歪んで成長するって……。

750 :マロン名無しさん:2008/11/16(日) 11:53:27 ID:???
その辺はサイトの頑張り次第だと思う。

それと狂信者の人乙!
地下水が一番サイトたちに近いとは・・・流石は少佐の教え子といった所ですか。
あと、少佐の登場予定はありますか?

751 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/16(日) 13:00:52 ID:???
>>750
いやあ、実は無いんですよねえ。
指揮官型の人間は出さないというか出してもあまり活躍できないというか。
物語の展開上もちょっと無理があるかなと。
インテグラも出す予定はありますが、ハルケギニアには来ません。
その代わり少佐のポジションにはジョゼフがついてまして、彼は人伝に聞いた
少佐という人間にかなり影響されています。
少佐ファンの人は本当にすいません。それでは。

752 :マロン名無しさん:2008/11/16(日) 17:14:45 ID:???
だから、ジョゼフの一人称が俺から私になったのか。

753 :マロン名無しさん:2008/11/16(日) 22:49:17 ID:???
タバサフラグに続き、マチルダさんフラグか?
まあ……サイトは晩婚化が進む日本出身だけに、
二十代前半くらいでは生き遅れ扱いしなさそうだし。
おマチさん側から見れば案外優良物件かも。

754 :マロン名無しさん:2008/11/17(月) 06:28:09 ID:???
おマチさんフラグは恋人というより、サイトにとって気を許せるお姉さんといった感じがする


755 :マロン名無しさん:2008/11/17(月) 13:15:08 ID:???
>>753今回たったのはサイト鉄の男化フラグだろ常考。
おマチさんとこの子供の面倒見るうちに一生結婚せず孤児院で子供育てつつ
吸血鬼退治する未来が着実に近づいてきちゃうよ。


756 :マロン名無しさん:2008/11/17(月) 14:32:46 ID:???
たまにガリアやらトリステインからの依頼でお仕事して孤児院の運営費や生活費を稼いだり
週に一度くらいのペースでロマリアに遠征して異教の司祭をぶっ殺して回る生活か、大変だなぁ……

757 :マロン名無しさん:2008/11/17(月) 17:56:56 ID:???
胸革命エルフとおマチさんと良い仲になってアンデルセンから神罰を与えられる可能性は?

758 :マロン名無しさん:2008/11/17(月) 22:19:41 ID:???
>>757
「 そうなったら神父より先に俺が神罰を下す!! 」
BY しっとマ●ク

759 :マロン名無しさん:2008/11/17(月) 22:33:23 ID:???
おっと二重人格シスターを忘れるな!!
もっとも、一級フラグ建築士殿がどんなフラグをおっ立ててくれるかまでは知らんが。

760 :マロン名無しさん:2008/11/18(火) 00:52:25 ID:???
サイトが立てたフラグ
・ルイズ
・シャルロット
・シエスタ
・男前過ぎる活躍にやられた読者

ロリ吸血鬼エルザのフラグを立てるかと思われたがサイトはそのまま殺した。
エルザのフラグを立てたのはジョジョのホル=ホースだけみたいだ。

761 :マロン名無しさん:2008/11/18(火) 07:10:08 ID:???
>>760
とらハ2の耕介もフラグ立ててたぞ。

762 :マロン名無しさん:2008/11/18(火) 07:24:24 ID:???
>>760
今のところフラグを一番積み重ねてるのはタバサかな?
23話で恋愛感情はないと描かれてたけど、抱きつかれて『嫌じゃ無かった』とか言ってるし。
揺れ動くタバサの今後のデレがどうなるか…

一方ルイズとシエスタは現状やや不利かな?
特にルイズはまた強烈にフラグをバキバキと自分でへし折ったしねw

763 :マロン名無しさん:2008/11/18(火) 17:49:14 ID:???
>>758
何言っているんだマルコメ!!

764 :マロン名無しさん:2008/11/18(火) 22:40:46 ID:???
虚無と狂信者をまとめで見ると文が省略されているのは何故?
避難所の方で聞いた方がいいか?

765 :マロン名無しさん:2008/11/19(水) 05:48:53 ID:???
>>734
誰も突っ込まないので、私が突っ込む。
案外ナイーヴなアーカードに吹いたww
マチルダさんの反応はどう見ても一般人のヤ○ザに対するそれだもんな……。

766 :マロン名無しさん:2008/11/19(水) 15:49:33 ID:???
しっとの心は父心

767 :マロン名無しさん:2008/11/19(水) 21:54:16 ID:???
乳心とな?

768 :マロン名無しさん:2008/11/20(木) 13:16:20 ID:???
しっと魂は暑苦しいまでに燃えてるんですよ

769 :マロン名無しさん:2008/11/20(木) 15:26:03 ID:???
初回版キター

770 :マロン名無しさん:2008/11/21(金) 17:44:27 ID:???
これはいい

771 :マロン名無しさん:2008/11/21(金) 21:50:35 ID:???
何の話?

772 :マロン名無しさん:2008/11/21(金) 21:55:29 ID:???
OVAゴーカンの話じゃね?多分

773 :マロン名無しさん:2008/11/21(金) 22:06:52 ID:???
なるほど、ありがとう

774 :マロン名無しさん:2008/11/21(金) 23:06:00 ID:???
もし、サイトが悶々とのフラグを立てたら・・・

775 :マロン名無しさん:2008/11/22(土) 00:38:22 ID:???
狂信者の最新話がまだまとめに登録されてないね

776 :マロン名無しさん:2008/11/22(土) 23:39:34 ID:???
やっちゃえ男の子!

777 :マロン名無しさん:2008/11/23(日) 01:32:09 ID:???
>>776
キャプテン・クロウ乙

778 :マロン名無しさん:2008/11/23(日) 18:59:04 ID:???
狂信者さんまだかな〜?

779 :マロン名無しさん:2008/11/23(日) 21:06:21 ID:???
まぁそんなに焦らずにゆっくり待とうや。
本誌、単行本、OVAと待ち続けたHELLSING好きにとって、1週間や2週間なんて待ち時間にも入りませんぞ。

780 :マロン名無しさん:2008/11/23(日) 21:57:26 ID:???
OVA5はイスカリオテの皆さんがカッコよすぎ
つーか由美江、あんたマシンガンの弾が見えてるんですねw

781 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/23(日) 22:56:25 ID:???
見たいよ〜。五巻みたいよ〜。
そしてお待たせしました。2330より26話目投下開始

782 :マロン名無しさん:2008/11/23(日) 23:00:31 ID:???
支援!

783 :マロン名無しさん:2008/11/23(日) 23:05:23 ID:???
おおっ!これで読むまで寝れなくなったぜ!

あ、でも容量が464Kbまできてるね
容量的に投下大丈夫かな?
キツそうでしたら新スレ立ててきますけど、どうでしょうかね?

784 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/23(日) 23:15:38 ID:???
短めですから大丈夫とは思いますが、できたらよろしくお願いします。

785 :マロン名無しさん:2008/11/23(日) 23:17:26 ID:???
>784
了解です やってきますね

786 :マロン名無しさん:2008/11/23(日) 23:20:27 ID:???
スレ立てしようとしましたら、けられました…orz
どなたかお願いします

HELLSINGのキャラがルイズに召喚されました part10

(前スレ)
HELLSINGのキャラがルイズに召喚されました part9
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1221540938/

(関連スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part188
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1227439481/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
※左のメニューの【お預かり作品】に作品があります。


787 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/23(日) 23:30:34 ID:???
一応480kbになるまではこのスレでいこうと思います。

 トリステイン王宮の一室。アンリエッタはマザリーニから草案を受け取っていた。

 対吸血鬼戦専用特殊部隊。
 王立特務十三課。

 アンデルセンからの通達により、教会が建造されたことを知ったアンリエッタは、竜騎士を使い
武器を輸送し、全軍の剣、槍、銃弾などに至急祝福を施すことを決定した。
 おそらく、近いうちに通常戦力としては十分な量の装備ができることだろう。
 これにより戦時の際への最低限度の備えはできたことになる。

しかし、不十分だとマザリーニは言う。

 今の所、吸血鬼の行う戦闘行為は無視できるものではない。
 何か手を打たなければならないが、吸血鬼に対抗しうる戦力は無いのが現状だ。
 確かに武器はある。しかし、それを振るう人間を育成するには、しばし時が足りない。
 今の所、候補はワルド子爵の裏切りにより規模を縮小したグリフォン隊の隊員だろう。
 しかし、彼らの仕事も身分も公のものであり、表向きは存在していない吸血鬼を対処させることはできない。
 彼らが働く理由は無論給金であるが、それと同じ、もしくはそれ以上に名誉が重要である。
 彼らはその名が公に認められるからこそ、王家に忠誠を誓うのであり、
非常に灰色の存在である吸血鬼を排除する任務に好んで就くとは思えない。
 確かに吸血鬼の存在は平民の間にも噂として広まっているが、王室として公式に認めてはいないし、
認める訳にはいかない。もし認めれば、無用な混乱を招くからだ。
 である以上、灰色の存在である吸血鬼を狩るに相応しい人材は、
 一に貴族では無い、平民、もしくは没落貴族。
 二にその出自が曖昧であること。
 三に名誉では無く、金もしくは正義感で動く人材であること。
 四にプロフェッショナルであること。

788 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/23(日) 23:32:52 ID:???
「無理難題ですわね」
 恩賞も貰わず、名誉も求めず、ただ二束三文の褒章で吸血鬼を狩ってくれる人間。
 もし死んだとして、遺族が不審に思うことは無い。
 しかもその働きを公言せず、誇ろうともしない。
 一体どんな物好きだというのか。
「平民から取り立てますか?」
「ですが、彼らとて機密を守る人種であるとは限りません」
 アンリエッタはずっと頭に引っ掛かっていた言葉を出す。
「ルイズの使い魔、アンデルセン神父はどうでしょう」
 マザリーニが首を横に振る。
「ヴァリエール家の三女が黙っているとは思えません」
 アンリエッタとて、たった一人の親友が唯一魔法を成功した証を奪いたくはない。
「それでは、枢機卿は人材に心当たりがあるのですね?」
 マザリーニは指を三本立てる。
「一人はサイト・ヒラガと名乗る出自不明の平民」
 あのワルド子爵を撃退した手並み、交渉次第で引き込めるなら越したことは無い。
「二人目は火のトライアングル。最も強力ですが、彼に関しては望みが薄いでしょう。
そしてもう一人は……」
 

 学院長室にて、オスマンは一人の男性と話をしていた。
 ジュール・ド・モット。
 王宮勅使の職につき、『波濤』の二つ名を持つトライアングル・メイジである。
「では、確かにお伝えしましたぞ」
 オスマンは髭を撫でながら訊ねる。
「しかし、首を縦に振るのは期待せんで欲しいんじゃが……」
「まあ、そこからは私の問題ではありませんので。
そんなことよりあの秘書どのはいませんので?」
 モットは確かにできる男だが、いかんせん好色すぎる。

789 :マロン名無しさん:2008/11/23(日) 23:34:51 ID:???
最後の1人は誰だ?
支援!

790 :マロン名無しさん:2008/11/23(日) 23:35:07 ID:H/VL512z
「ああ、ミス・ロングビルか。今は出掛けておるが、仕事中はあんまりからかわんでくれよ。
それになあ、ここだけの話あの人どうも最近『恋する乙女』モードなんじゃよなあ」
オスマンの言葉にモットは勢いよく噴き出してしまった。
「あ、あの年で乙女とかギャグにもなりませんぞ? ははは!」
「いや、全く! あっはっはっは」
そう言って二人の笑い声がしばし響いていたが、
 突然現れた巨大な腕により遮られた。
「ごっはあああああ!」
「ぬおわあああああ!」
 モット伯の背中に直撃し、彼は巨大な机ごと窓際に追いやられる。
 机と壁に挟まれオスマンが一瞬呻いた。
 頭を振って立ち上がる二人の前に、幽鬼のようなオーラを纏った女性が現れる。
「すいませんねえ? 恋する乙女で……。あと誤解ですので悪しからず」
「そ、そうかのう? あ、あの少年に惚れとるんじゃったら。やっぱ乙女くらい言っとかんと」
 杖が振られ、オスマンの喉元に土の手が現れる。喉を締め上げられじたばたと暴れる。
「あ、あなたは淑女です。若き瑞々しさと熟した甘美が溶け合っているのです。
どうか私の伴侶にでも」
 音の速さでその肩に手を回すモット。
 声をかけるというより、命の危険だからというのが大きい。
彼女は艶やかな微笑みを浮かべ、その手を払う。
「ギャグで悪うござんした!」
 彼女は弁慶の泣き所を責めはしなかったが、鳩尾に膝を叩きこんだ。
 そのまま大股で退出するロングビル。
「うーん、最近女運が悪いんですよねえ」
 モット伯は倒れながらオスマンに愚痴るが、彼の顔は既に土気色になっていた。

「ああ、酷い目にあった、さて、後はと」
 モットは埃を払いながら、ある人物を探し始めた。

791 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/23(日) 23:38:09 ID:???
「何であの貴族の方のお召し物はああも汚れているのでしょう?」
 シルフィードに餌をやりながら、シエスタは呟く。
 モット伯はシエスタの姿を見止め、近づいてくる。
 しばらく話を始める。
「そ、そんな」
 シエスタの抗議を受け付けるでも無く、彼は馬車に向かって行った。
 呆然とするシエスタを、シルフィードは不安そうに見つめた。

 その夜。
 金属同士がぶつかり合う音と共に、銃剣が宙を舞う。
 尻餅をついた少年の喉元に、黒鉄の刀が突き付けられる。
 才人は両手を挙げ降参の意を示し、シエスタは刀を鞘に納めた。
「やっぱシエスタは強いよなあ」
 そう言って恥ずかしげに苦笑する才人の手を取り、立ち上がらせる。
 そのまま塀にもたれ休憩を入れた。

「はーあ、全然駄目だー」
 才人は遠い所を見ながらぼんやりと紡ぐ。上気して、顔が赤くなっている。
シエスタがその顔を熱くみていることに彼は気づかない。
 そして彼女は、かねてより気になっていたことを訊いた。
 
「どうして、そんなになってまで強くなりたいんですか?」

 それを聞かれるのは何度目だろうか。
 そしてその度に、微妙に異なった答えを言ってしまう。
 なぜだろうか。

名前とイーメールランが消えたorz ほんとすいません!

792 :マロン名無しさん:2008/11/23(日) 23:38:49 ID:???
熱烈な支援だ

793 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/23(日) 23:40:08 ID:???
「こうさ、色々あるんだよな、きっと。
神父に憧れた、とか。吸血鬼が許せない、とか。自分にできることをやろう、とか。
本当にそれだけなのか、それだけじゃないのか。
自分でもよくわからないんだ」

 よく分からない。
 けれどそれでいいとも思う。
 
「シエスタは……何で?」

 女性である彼女が、これほど技を練り上げるまで一体どれほどの時間を費やしただろう。
 人の身で、少女の身で。

「最初は、ひいおじいちゃんが教えてくれたんです」
 シエスタは懐かしそうに、思い出を話していく。
「ひいおじいちゃんは、力が強くて、色々な話をしてくれました。
昔は剣術道場を開いていて、お弟子さんもたくさんいたとか。
けれど戦争で、剣を捨てたそうです」
 話を聞きながら才人は、そのひいおじいちゃんとやらが自分と同じ日本人であると察した。
やはりこの少女に自分が帰還する手掛かりがあると確信した。
「ひいおじいちゃんは、力は人を守る為にある。そう言ってました。あの、私の故郷は農村でして、
ワインが名産なんですけど、だから裕福で、けれど盗賊団とかが良く狙って来るんです。
それで、ひいおじいちゃんやおじいちゃんやお父さんが、村を守ってくれたんです」
「……そうなんだ」
「だから私もそんな風にって」
 そこまで聞いてサイトは、今度は自分を顧みる。
 本当に何かを守る為に戦ってるのだろうか。
 それだけでは無い。  
 けれど力を求めている自分は何なのか。

794 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/23(日) 23:42:04 ID:???
「けれどサイトさんの言うことも分かるんです」
「へ?」
「本当に守るだけなら、逃げればいい。お金で強い人を雇えばいい。
けれど強くなろうとしてる。
守りたいといいながら、こういう理由だっていいながら、
皆戦ってる」

守る為、護るために、戦う。
それは本当は間違っているのではないか。

呆然とするサイトにシエスタは笑い掛ける。
「大丈夫ですよ。サイトさんなら力を酷いことには使いません」
「そんな信用されても」
 サイトは困ったように頭を掻くが、シエスタはそれでも笑って言った。
「大丈夫です」



使用人棟の一室。学院から宛がわれたサイトの部屋。
サイトは数分前神父から手渡された革袋を見ていた、中には一見ただの水にしか見えない液体が入っている。
「………これが聖水なのかな?」
魔を払う水。アンデルセンに自分には不要だと分けられたそれを手にとり、吟味する。
そう何度も何度も吸血鬼が襲って来るとは限らないが、念には念である。
何せこの一月程のあいだに三回も吸血鬼と戦ったのだ。まあ、巻き込まれたという表現の方が正しいが。
部屋に散乱するのは聖書、銃剣、弾薬、白木の杭、香草。義理固いものである。
さて、件の水をしばし弄んだ後、一言呟いた。
「普通の水とどう違うんだ?」

795 :マロン名無しさん:2008/11/23(日) 23:44:06 ID:???
支援!

796 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/23(日) 23:45:20 ID:???
「いや、分かんねえよ」
隊長に聞いてみたが解らない。彼は指で触ってみたが、何も変化はない。
「どうしたんですか」
そこに現れたセラスさん。彼はその水を無造作にセラスさんの顔に塗った。
「!!!!あっっつっつっつtああああぁぁぁぁ!!!!」
「おお! 効くもんだなー!」
「〜〜〜〜〜〜!!!!」
声にならない怒りと共に殴られた隊長は天井に叩きつけられ、二三回そこと地面を往復した。
成程本物か。俺はそう納得したところで部屋を出ようとする。
「サイトさん?ちょっとお話が」
(うん、今のは俺達が悪い。)
俺はあまんじてそれを受け入れた。

殴られた頭を擦りながら厨房に入って仕事を始める。ふと俺は皆の空気が固いことに気づいた。
「何かあったんですか?」
料理長マルトーはこの質問に怪訝な顔をする。
「?お前昨日シエスタに会ったんだろ?あの薔薇の貴族と一緒に。聞いてないのか?」
「!?何をですか?」
マルトーの親父の言葉に最初は何を言っているのか分からなかった。
「シエスタは………モット伯っつう奴の妾になったよ。」
妾?シエスタが?何も聞いてないぞ?!
いや、まあここは中世なんだし、妾ってのもあるのか?
それに伯爵なんだし、悪くはないんだろう?
けれどその考えもマルトーの沈んだ表情で儚いものになる。
「………気にすんなよ。貴族のやることに……平民は逆らえないんだ」
その言葉がひどく頭に、山彦のようにこだました。

797 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/23(日) 23:47:16 ID:???
 一方その頃、シエスタのものだった使用人室。
 そこに金髪の青年が一人佇んでいた。
 目の前には無造作に立てかけられた、この部屋の主の持つ武器。
 しばらく、本当に長い間それを見ていたと思うと、決意の瞳とともにそれを手にとった。

 シルフィードを撫でながら、俺は頭の中で反芻する。

 シエスタが俺を守る為に吸血鬼に立ち向かったこと。
 シエスタが俺と一緒ならと危険な旅に来てくれたこと。
 シエスタが俺とギーシュの特訓に仕事で疲れているのに付き合ってくれたこと。
 シルフィードに一緒に乗ったこと、俺を看病してくれたこと。

「お前も…世話してもらったよな………」
 シルフィードは不思議そうに訊ねた。
「シエスタお姉さまいなくなるの?お兄さま」
 俺はその青い鱗に顔をうずめて言った。
「多分………」
 彼女は悲しそうに鳴いた。
「本当に望んで行ったなら………お別れくらい言うよな………」
 暫くそのままで居た後、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

798 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/23(日) 23:50:39 ID:???
「いた!ここにいた!何をしているんだね?!その風竜でとっとと行くぞ!」
 後ろからいきなり大声で叫ばれ俺は仰け反る。ギーシュだった。手にはシエスタの刀が持たれている。
「お。おい?行くってどこへ?」
「何ってモット伯の屋敷に決まってるだろう!話は聞いただろう?!
あの外道にあんなけしからん体のメイドを渡してみろ!どんなことになるかわかるだろう?!」
「いや?お前相手は伯爵だろ!?マズイんじゃないのか?」
「大丈夫!僕は元帥の息子だよ?!大丈夫く無いけど大丈夫だ!」
「どっちだよ!多分に大丈夫く無いだろうそれ!」
「うるさーい!!」
 いきなり捲し立てたあと、叫び始めた。そしてギーシュは、今度は声のトーンを落として言う。
「あのメイドはね……特訓に付き合ってくれたし………とにかくいい子なんだよ!彼女は!
そんなレディが困っているのに捨て置くのは貴族として、男として失格だ!」
 俺はその言葉に胸に込み上げてくるものを感じた。ただキザなだけの
情けないアホで馬鹿で可哀そうな奴かと思っていた。
 けれど実際はどうだろう。こんなに熱くて、イイ奴じゃないか。
「ちょっと!何言ってるのよ?!」
 そこにやってきたのはルイズだった。顔が赤い。
「あんたら、貴族に手を出してタダですむとでも思ってるの?
 ギーシュはまあどうでもいいとしてサイトは、あんたは一生牢屋よ?!」
「どうでもいいって………」
「別にいい」
 俺はルイズの言葉を黙って聞いていたが、シルフィードにそのまま跨った。
 そうだよ。お別れも言わずに行くなんて、俺達に心配かけまいとしてたんじゃないか。
 そんなシエスタの優しさに応えなきゃ。
「行こうぜ! ギーシュ!」

799 :マロン名無しさん:2008/11/23(日) 23:53:08 ID:???
支援!

800 :マロン名無しさん:2008/11/23(日) 23:56:38 ID:???
風来の支援

801 :マロン名無しさん:2008/11/24(月) 00:01:51 ID:???
ルイズの登場が唐突すぎる・・・
支援!

802 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/24(月) 00:02:09 ID:???
 ルイズは尚も食い下がる。
「作戦はあるの?!」
「無い」
 ギーシュは指を気取って振り、答えた。
「この剣を届けに来たと言って屋敷に上がり、シエスタを攫う、無理矢理だが仕方無いだろ?」
「おお、その発想は無かったわ」
「君はどうする気だったんだ?」
 俺たちの態度にルイズはしばらく俯いていたが、観念したように叫んだ。
「わかったわよ! 行きなさいよ! その代わり私も行くわよ!」
 ルイズの申し出に俺は粟を食った。これはマズイ。
「それはいい。お前に何かあったら神父に申し訳が立たない」
 俺の言葉に、ギーシュもうんうんと頷く。
「そうそう、それよりちゃんとアリバイの方よろしく。」
 そしてこれ以上面倒はご免とばかりにシルフィードを飛ばした。
 ルイズが何事か叫んでいるが、もはや聞こえない。
 俺はシルフィードの上で、コートの中の銃剣を握りしめ、呟いた。
「わたしはあなたを悪人の手から救い出し 強暴な者の手から解き放つ。 AMEN」

「アンデルセン!」
 聖書をパラパラ捲っていた彼は入って来た少女に向けて顔を上げる。
 少女のつたない説明を理解した彼は、一つだけ溜息をつき、
 しかし満更でもなさそうな表情で、その聖書の紙片を展開しはじめた。
「ちょっと! 私も連れて来なさい!」
「アリバイの方をよろしく」
 窓を開け、アンデルセンの体がその外に掻き消えた。
 呆然と見送ったルイズは、哀しげに呟いた。
「一体何なのよ……。アリバイって……」
 この少女は異界の警察用語に明るくは無かった。

803 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/24(月) 00:05:16 ID:???
 モット伯邸の一室。主であるモット伯は、部屋にいるもう一人の女性に話しかける。
「もうすぐ君の望みの少女が来るぞ」
 その人物は騎士のいでだちの中に、実直な気配を身に纏っていた。
「すいませんな、いつも足労をかけて」
「……そう思うならもっと遠慮してくれたまえ」
「なら、今度からはうちの部下に手を出すのは辞めた方がいいでしょう」
 モット伯は悲しげにうなだれた。
 騎士、アニエスはその視線を地面に移しながら、期待と共に一つ、嫌な予感がしていた。


 モット伯邸の手前。門を守る衛兵達が倒れている。
 そしてしばらくすると、その死体が、動き始めた。
「ふはは……。素晴らしい! これが吸血鬼というものか」

以上で投下終了です。支援、まとめ、786さん、ありがとうございました。


804 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/24(月) 00:13:30 ID:???
何とかおさまりました。遅くなって申し訳ありません。
次回のモット伯邸ではまた何人かのキャラを同時に活躍させたいと思います。
ちょっと展開が力押しすぎるとも思いますが、何とかお目こぼし願いたいです……。
シエスタは一応前半のメインヒロイン位に考えてますので、
何かエライことになってる気もしますが……。
モット伯編は飛ばそうとも思ったんですが、これからの展開に必要なので入れました。
次回もどうかご期待ください。

>>801 自分でも時々「何でコイツここにいるんだ?」と思います。
特にルイズ、タバサ辺り。まあ、この辺も書いてる方としては楽しいのでお見逃しお願いします。

805 :マロン名無しさん:2008/11/24(月) 00:18:31 ID:???
狂信者さん、投下乙です!

むむむ??
今回は宝探しイベントではなく、モット伯イベントでしたか
モット伯の屋敷にシエスタが連れて行かれるのはよくありますが、アニエスがいる展開は珍しいですね
アニエスが会うのを期待してるのはシエスタなのかな?
アニエスがいるのが私用なのか公務なのか気になりますね

次回はバトルかな? 楽しみにしております!

806 :マロン名無しさん:2008/11/24(月) 00:32:53 ID:???
>>804

投下乙です!

まさかのアニエス登場!
これはアニエスの13課入隊フラグ立ったかな?
それにしてもマザリーニの考えは政治家としては正しいのでしょうが、サイトを『平民』だから駒みたいにしか
考えてないのは気持ちいいものではありませんね…

シエスタが前半のメインヒロイン!?
タバサスキーとしてはちと残念^^;
シエスタに負けないようにタバサも早めにデレてほしいとこですね

隊長、よりにもよって女性に顔になんていうことを…
セラスが怒るのも無理ないよね
それにしてもセラスは損な役回りしか回ってきませんね〜
セラスにも、もうちょっと愛の手を・・・


807 :マロン名無しさん:2008/11/24(月) 00:35:08 ID:???
HELLSINGのキャラがルイズに召喚されました Part10
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1227454432/

一応立てときました。

残り20kbだと量によってはきつそうですね。

808 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/24(月) 00:41:32 ID:???
>>807
乙です!

809 :マロン名無しさん:2008/11/24(月) 00:44:40 ID:???
>>807
スレ立て乙であります!

まとめに25話登録してくださった方も乙!
ただ、作中で作者さんのコメントまで登録されちゃってますね
修正よろしくお願い致します

810 :マロン名無しさん:2008/11/24(月) 00:53:47 ID:???
>>809
修正しました(26話の登録も)
wikiの編集は初めてなもんで、至らない所があったら教えてつかーさい

811 :マロン名無しさん:2008/11/24(月) 01:23:23 ID:???
>>810
早速の修正と26話の登録、乙です!
あとは避難所のまとめwiki更新報告スレの方に、登録したと書き込めばOKかと

812 :狂信者 ◆BLbeX1AAMU :2008/11/24(月) 01:29:37 ID:???
>>810
ありがとうございます!

813 :マロン名無しさん:2008/11/24(月) 01:38:50 ID:???
>>811
ああ、避難所にも報告が必要でしたね
ありがとうございます

>>812
これからも頑張って下さいませ
早く5巻が観れるといいですね


814 :マロン名無しさん:2008/11/24(月) 10:54:13 ID:???
狂信者の人乙!!
あのシエスタに手を出そうとすれば伯爵だろうが公爵だろうが関係なく潰されそうです。
セラスは原作もそうですけど不幸キャラが定着していますね。らしいからもっとやれ。
アニSさんがどう動くか気になります。とりあえずエピタフの使用は控えておきます。

815 :マロン名無しさん:2008/11/25(火) 01:13:32 ID:???
           -‐::´::::::::::::`ヽ、
       --ーフ::::::::::::::::::::::::::::::::\
       ´フ彳::::;/iノi:::ノヽ;ハ ::::、:::ヽ       
       ´ノ〃:/lr'´ l|/' `ヽリ|::l::|:::::i   残り容量微妙だからAAで埋めるよ
        レ!小●   ● 从::::|:::ハ 
          ヽ|l⊃ 、_,、__, ⊂⊃:::|::!__  
     /⌒ゝ、 lハ. 丶_'')   jW'',く_)  
      y'´:.:.:\ _.>,、 _ _, イ-.._/.:.:.::/  
       ヽ゚・。:.:.:l`オ/!`弁´N`(/.:.:.:.ソ
         \:.:.:ヤ' '、| 川:.Lゝ`、.:.:,イ

816 :マロン名無しさん:2008/11/25(火) 01:14:53 ID:???
 心  命  ガ 部 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ,. -――――- 、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
 の  ご  タ  屋 |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/          \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|   す 小
 準  い  ガ の |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/             l :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|   ま 便
 備  す  タ  ス |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::|              |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|   せ は
 は  る  ふ  ミ |::::::::::::::::::::::::::::::::::::|              | 从ノ|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::|   た
 O     る  で | rヽ::::::::::::::::::::::::_|                lレ 丿 :::::::::::::::::::::::::::::::: |   か
 K     え     | \\ ::::::::::::::::|            /⌒ヾ     三_ :::::::::::::::::::::::::::::|  ?
 ?     て     >:::::;;ゝ \ :::::::::|         ヽ_ノ    _ミミ:::::::::::::::::::::::::::::::::|
ー――――――‐'  (二__,.(^ヽ\―`                 `ー- ...__:::::::::::::::::::::::::\
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/  \\|                         ̄ ̄_ゝ::::::::::::::>
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::_/   rィ'^| }        、===ツ                   厂 |:::::::::/お
::::::::::::::::::::::::::::::::: ,.-‐┘  ⊆ィ  |        ̄ ̄              /   |::::::::| 祈   神
:::::::::::::::::::::::::::::::ノ       | | |                         /       |::::::::| り   様
::::::::::::::::::,.-‐'"        |i!  L_                   /       |::::∠ は   に
::::::: ノ ̄                L    フ ̄7⌒^ - _          /        |::::::::| ? 

817 :マロン名無しさん:2008/11/25(火) 01:15:42 ID:???
         ./′         .iレ|   ,.rフ´リ′                    
         }          .r)゙'')-z''i「┘                       
         .}         ,|^   ∨                         
      .r   〕         .l;|'''''''''''''''''''''''''''ソ7'''''''''''''''┬-、、、 >           
      .|\.,ノ          フ.! r,,/ヽ-冖¨゙ ̄.′    〕  ¨^|、、、         
      .〕 ゙″          l゙ ″:lllllllllllllllァ       .:i′  ,|(_ ゙l.        
      .〔            〕  (   ̄         .}   .厂′.}        
      .ミ           ト  \          ノ   .{¨′.ノ         
    _,,_  )          }             ノ    .i|゙'' ../′        
   .\\ノ       y、v-┘            ,/    |\r'′         
     ゙l,         .(、,__              ,「    .ノ .)           
     (           ¨^|           ._/′   .,ノ   }          
      .゙'r         _,,丿         _r'′   ,r′  .}          
      .丿         \.、        ,r'ニ-┤  _/′    〕          
   .u,_ ,/′         /′_       .'¨′ .} .,/      } 、         
   .^┤          .¨''^゙)          rレ'′       .|,/| _       
     .゙'-__           .}                    ″}r|/       
       .゙>          )                     ¨ ′      
       ,/           .}        ._,.、                    


818 :マロン名無しさん:2008/11/25(火) 01:17:23 ID:???
 、-≦_ー‐  -=ニ`ー、ヾ,ヽヽト、ヾヨヽ'i Y,r‐'‐イ   /  ̄ ̄ ̄\
  〉三_‐_´_ `ミ、_ヽ`ミト、ト_ミ;;W_ヽi リ∠'-三!,/  フ     \
 彡ラ'_´-_‐' -‐三ミー_-ミミr'    `"┴ミミミ≦|  化リ 踊 踊  |
  〃彡-_ ,-__ヽ≡_−ヾミ{_        ト\、!|  物.| .れ れ  !
 ム,∠/-,-',,.-, |彡_/~~≡_      |ハ!ヾ'|  共ク       |
  }三三{ /) ト'、'、   `ー‐-'_、  ,   !   |    ス        !
 . f三三ム !r'(   ヽヽ、  、 r-、ミヾi|!|,-|   \        /
  f三シ´ } y'/    \`ヽ,ヾ|!、 !ヽミリソ|Z!     >    <
 ノ彡゙  ヽッ';:;;:、     \ `ヾ≧キ};==iリ   /       \
 :゙     /;:;:;;〃_,,、_    `ヽ{_ノ'-'   !  /             !
 ヽ,  i  /;:;:;=、´,=ト、゙_      ,.-、.   i   |  私 こ 見 地  |
 ヽヽ,i'  i',彡;:;,   ゙トy_`,ー-..、  ト、,._  〉‐'|  に の せ 獄  !
  ヽヽ,  \レ: .:,  `'ヽ'、'w,_ `ヽ、〉"   YヽL|       ろ .を  !
 、 ヽヽ,   `に;;::;   、 `ヽ_~)'r'´i_,r ‐ ┼ ゙i\              !
 ヽ  ヽヽ   ヾrシ   ヾ_-ァ‐' 〈r'   ヽ,-'‐ \       /
  ヽ  ヽヽ   ヾfシノ, , 〃/   ヽ_,   ノ!i\  ノノヽ___/
   ヽ  ヽ\_,..-ヾカソノソシノ`ヽ、  </   ソ  ゙ _,| |
    ヽ、_ソ/)、  `\´     `ヽ!     /  , └┐i!
    ヽミ_-' / ノ\   \      |    |!  、ヾッ, | ||
     ヽ  ̄ ´  \   \.    ト、   "  \_`'、||

819 :マロン名無しさん:2008/11/25(火) 01:18:02 ID:???
                                /  う
         /                       l   っ
   `ヽ   /_、                      |   せ
    i lト、     `                         |    |
       `,  ‐┼┐                         |    |
    ノ ヽ i.     |                          |    |
    ⌒ ; |                           ヽ    /
   l    l   ! ! /                      `l丿 ̄
   l l l  |           /``ヽ、        ,、‐ァ、
    | l l  |    ∩  _,イ.:.ィヽ、:.:.:.``ー--‐''"´イ;;;;;;;;ム、
    | l l  |.     l lU´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ゞイ:.:.:.)
    | l l  |       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 瓜 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ; l  |             ノ . ; ヽ
   l l l  |             ( ノ; ,ゝ) ━┓``
                   `ー'` '     ┃ ツ

820 :マロン名無しさん:2008/11/25(火) 01:20:30 ID:???
.   /             \   f三=、ミヾi{ノjリハ|l | l|l|! |l| l li iliヽ   /          \
.  /              |  ,仁ニ≧ー''゛''"'ヘ|l i i|l| |i| | li ll トl  /           ヽ
 │    く  誰 一     l. /彡ィ',r=-_、、、 ,,jNHトl、_lトl、l |l |l|l| /     正 君       |
  |     れ が 体     | k彡イr;≦ニ_ミk==衫ニ仕ミNトl、| |l |l l|│     気. ら     |
  |    る 保 .ど     l,/´-ト《 '┴゚'ヾソl;=t{く(_句ヾYl}ト|l | l|l l| |    は の      |
  |    の 障 こ    j{ { rj ` ー=彳{  `ヽ二≧'人lハlリハリ│       神      |
  |    だ .し の    /ヘヽ!|      ヽ) ゝ   ` ̄  lKイナ"  !        の    │
 │    ね て     /  ト、l   ^ー‐--、、____,う フ ム'/    ヽ             /
.  l    ?       〈   ヽl.      ̄`ー-     jノ     厶         /
  ヽ           /ヽゝ   」l 、            /        \ ____ /
    \ ___    /   _ノ>'´小、ヽ、      ,.  /\_
       _,.二ニ-‐フ´ / /!| \ ` ー --‐ '´ , イl、 丶、ト、__
  ,r‐<´     /  '  /´ |j    ヽ、   __/ ' ハl、   ヽ  `丶、   /⌒〉
 ノハ   \   /    /   jl|  ,'  jゝィ厂   ′/l∧   \    \/   /
∧丶ヽ   V       /    /リ ;   /⌒l|   ; / / ヘ    ヽ   /   /、
l l、 、 }   ヽ     /     ハノノ  /  ∧  ,' / /   ハ     \丿   厂\
、_}/ノレー‐-、\  / 、    |/'´ / ン=c'、{ヽl  ' / /    }、     レ- '⌒ヽ__ ヽ
´ /´{    `ヽV___、>−-、 く  /7个i/ ヘ.0/ /      ハ     /   _,. イへ\ \
 ∧0 ノヽr─-、___)一´- 、/ ) ∨ / / jl   ∨/=-、  (⌒>‐イ  _∠´ /l /! \ \
 {. ハ |  {、_     ____) / /   / |    /    \ (⌒(   __`二´-‐┬' 7/l |   ハ ヽ

821 :マロン名無しさん:2008/11/25(火) 01:21:14 ID:???
              _,..-─-、
        __, 、 -‐'`.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
         `>.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ゞ、
       /.:.:.:.:.:.:.:.,ィ ,、.:.:.:.:,ィN.:.:.:.:.:.:.:.:.:ゞ、
     ,ィ´.:.:.:.:.:.:,ィN'´リ |.:.:/  ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:N
     ``フ.:.:.:.:.:,! ,、‐-、,,jl/ ,、ィ-‐''ヾ.:.:.:.:.:.:!
      / ,、.:.:.:.:N,ィ''ー-‐'  `ゞ-‐''``'ト、:.:!
.      /'´ l.:.:/i  ,‐=・='´  ;:.‐=・=‐ イレ'
        V |    (´._,,..)、    ,'ソ
          i: : : : : : : ,、、、,_: :': : : : iリ  オレ
            l: : : : : : トェェェェイ: : : : :,!
          l: : : : : : : ´.´.`: : : : : :!ヽ
          ,〉、: : : : : : : : : : : : : ,イ::::\
         /::::::::ト、: : : : : : : : ,ィ´ !:::::::::\
       /:::::::::::::i ``ゝ、,、ィ'´   !:::::::::::::::\
     ,ィ´:::::::::::::::::::|   〈ニ〉,、 '´ /::::::::::::::::::::::ヽ
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    /::::::::::::::::::::::::::::::i  /  ト、i´/:::::::::::::::::::::::::::::::l
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822 :マロン名無しさん:2008/11/25(火) 01:24:25 ID:???
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/:::::::::::::::::::V:::ノ ̄ "=--  _::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ̄.."=---.、
:::::::::::::::::::::::::i:::l'          ̄"'''=--  、::_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::√l_ _,,,__          新スレのご案内
::::::::::::::::::::::/:::/                  ̄ "'''= 、_::::::::::::::::::::::::::::::::ノ .ノ "y  ト-、,__      HELLSINGのキャラがルイズに召喚されました Part10
::::::::::::::::::::::::/           _=-―-、         ̄"''=-::::__,,/__/-iノ .ノ./  "=- 、,__ http://changi.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1227454432/
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823 :マロン名無しさん:2008/11/25(火) 01:26:04 ID:???
  /         \  / l l   l  ‖│ l | l_⊥-┼| l  トy-、 l |   l l /         ヽ
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  |   ン    | /│ l |  |   |レ|,ィ彡tテl⌒リ!l ! l  | {ニ、} } l |l l l |     ょ
  |    ワ     | | l | |`>ト<、 {/{爪__ノ_ノ 川  | i |  / /l l | l│‖     っ
  ヽ.   ン     |│ l lVヘiY代ミ、   ´ ̄   i l l  l l | ト-イl l l│l |l l|l、     と
   ,ゝ      / ヽト、∧ lヽゞーソ,       ! l |  l i l l リ l l│l lリ!|ハ、    し
 /       /   ヽ、 ヽリハ´ k、‐ _ ____,l l |  l l l l /_l⊥!-亠‐'¬ト、   て
/        <         ,ハl ハ  、rく_ン‐宀ィ| l l  l i レ'´      __, ニフ´       /
   ワ     l     ///l l ヽ、 \{   ノ/ l |  l l |  ,.ニ‐  ̄ __ /          r‐′
    |     │    / ' / ! i i l\ `三'´ ,l l  l l / /   ,∠-/          ヽ
    |    /  ,/ // /  l l l  l>、__. ィ/ l  ! l,/'´   /-‐ /    か .な 犬   !
    l    >´ ////  i i l /レ了´/l l  l/   ∠ - ‐ l     な い 語   |
   ン   /  ///, '/   / l l l 厂l/ / //   /´   __ |     ? と  じ   |
\___/ //// /,  '/ // l//   / /'     / -‐  ̄   l     キ 駄 ゃ  │
      // ∠ -‐ 7, // // /'´   / /    /    -‐   \  ミ  目     l
    //, く    _// // ///    / /   ∠−  ̄         ∠ 、          /
  ,/// /\,/// // //′    //ニニン′             \_    __/
/// / __/  j/ // //      //  /                    ̄厂

ワンワン次スレ
HELLSINGのキャラがルイズに召喚されました Part10
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1227454432/

824 :マロン名無しさん:2008/11/25(火) 01:29:26 ID:???
           -‐::´::::::::::::`ヽ、
       --ーフ::::::::::::::::::::::::::::::::\
       ´フ彳::::;/iノi:::ノヽ;ハ ::::、:::ヽ   
       ´ノ〃:/lr'´ l|/' `ヽリ|::l::|:::::i   埋め終わったよ!
        レ!小●   ● 从::::|:::ハ   
          ヽ|l⊃ 、_,、__, ⊂⊃:::|::!__   
     /⌒ゝ、 lハ. 丶_'')   jW'',く_)  
      y'´:.:.:\ _.>,、 _ _, イ-.._/.:.:.::/  
       ヽ゚・。:.:.:l`オ/!`弁´N`(/.:.:.:.ソ
         \:.:.:ヤ' '、| 川:.Lゝ`、.:.:,イ


      ,. ,r―――- 、
    /`.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::ヽ、.
   /.:.:.:.:.:.:.: ,.: ∧.:∧.:.:.:.ヽ.    
.  /.:イ.:.:.:.:lノ !ノ V ヽ.:.:.ヾ  
   | ,..ィ.:.:.|  ̄゛ 死  ̄ ヽ.:.|   
   l!( |.:.:.| ´ ̄ l  ̄  Vリ   
   lリゝ」.:.:.|    ヽ   |ソ   なに一人で夜中にはっちゃけてんの
   !vリト.N    ´  ル.    
.    リ|l|. ヽ  ―  /      
     」  ヽ、_/      


           -‐::´::::::::::::`ヽ、
       --ーフ::::::::::::::::::::::::::::::::\
       ´フ彳::::;/iノi:::ノヽ;ハ ::::、:::ヽ    
       ´ノ〃:/lr'´ l|/' `ヽリ|::l::|:::::i  
        レ!小●   ● 从::::|:::ハ  ありゅ〜ん
          ヽ|l⊃、_,、_, ⊂⊃jWノ
          /⌒l,、 _ _, イ
.         /  //!`弁´N`(

825 :マロン名無しさん:2008/11/25(火) 02:00:40 ID:???









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                                             |         ,,|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゞ.    題   |
                                             | ○     イ|:l:::::::::o::::::::o:::::::::::::::::::::ヘ   な は   |
                                             | .5         il:l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝい       |
                                             | 点 _,--ー―゙:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,`ヽ        |
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