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邪気眼―JackyGun― 第零部 〜黒ノ歴史編〜

1 :名無しになりきれ:2008/11/05(水) 06:24:18 0
かつて、大きな戦いがあった。

個人、組織、そして世界をも巻き込んだ戦い。

戦士達は屍の山を築き上げ戦い、

それでも結局、勝者を産まぬまま、

戦いは、全てが敗者となって決着を迎えた。

そして、『邪気眼』は世界から消え去った――――筈だった。

2 :名無しになりきれ:2008/11/05(水) 08:10:34 O
Q.ここは何をする所だ?
A.邪気眼使いたちが戦ったり仲良くしたり謀略を巡らせたりする所です。

Q.邪気眼って何?
Aっふ・・・・邪気眼(自分で作った設定で俺の持ってる第三の目)を持たぬ物にはわからんだろう・・・
 邪気眼のガイドライン(http://ex20.2ch.net/test/read.cgi/gline/1183099660/)を参考にしてください。
 このスレでの邪気眼とは、主に各人の持つ特殊能力を指します。
 スタンドとかの類似品のようなものだと思っておけばよいと思います。

Q.全員名無しでわかりにくい
A.昔(ガイドライン板時代)からの伝統です。慣れれば問題なく識別できます。
どうしても気になる場合は、雑談スレ(後述)でその旨を伝えてください。

Q.背景世界とかは?
A.今後の話次第。
Q.参加したい!
A.自由に参加してくださってかまいません。

Q.キャラの設定ってどんなのがいいんだろうか。
Q.キャラが出来たんだけど、痛いとか厨臭いとか言われそう……
A. 出来る限り痛い設定にしておいたほうが『邪気眼』という言葉の意味に合っているでしょう。
 数年後に思い出して身悶え出来るようなものが良いと思われます。

3 :名無しになりきれ:2008/11/05(水) 08:21:42 O
……我の究極の眼、『創世眼』によって、閉じられた世界は再び開いた。

さあ、邪気眼使い達よ。
目覚め、戦うがいい。

我が願いを叶える為に!!

4 :名無しになりきれ:2008/11/05(水) 10:29:30 O
グアッ・・・目が熱い・・・!?

5 :名無しになりきれ:2008/11/05(水) 17:57:50 O
エターナルフォースブリザード!
相手は死ぬ!

6 :名無しになりきれ:2008/11/05(水) 18:23:06 0
はい重複

邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ6 
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1225711769/

7 :名無しになりきれ:2008/11/05(水) 18:42:26 O
>>6
ッフ……邪気眼を持たぬ者にはわかるまい。

8 :名無しになりきれ:2008/11/05(水) 23:05:53 O
これは前立ってたスレの続きか?

9 :名無しになりきれ:2008/11/05(水) 23:19:56 O
>>8
ククク……違う、と言ったらどうする?

10 :名無しになりきれ:2008/11/05(水) 23:33:34 O
>>9
そんなに俺の眼の力が見たいのか?

11 :名無しになりきれ:2008/11/06(木) 18:34:07 0
黒の歴史っていうとまずサンホラが浮かぶな・・・
まぁ、邪気には違いないか・・・

12 :名無しになりきれ:2008/11/06(木) 18:36:53 O
俺は机の奥の厨房の時に書いた……ぬああああ!!!!

13 :名無しになりきれ:2008/11/06(木) 21:08:39 O
闇に飲まれたか・・・愚かな

14 :名無しになりきれ:2008/11/08(土) 03:16:53 0
ハハハハハッ!待ァちかねたァ!待ちわびたぞこの時をォッ!!
滅多にしないスレッド検索でこうも都合良くヒットするとはまァさァに運命!!
さァ!!6ヶ月と21日ぶりにィ!命の火花を散ィィィらそうじゃあないかァッ!!!!

で、雑談スレ(後述)はこれでいいの?

なりきり板邪気眼スレについての雑談 其之三
http://yy45.60.kg/test/read.cgi/jaki/1174402120/l50

15 :名無しになりきれ:2008/11/08(土) 13:51:07 O
来たか戦友……!


携帯だと雑談スレに繋がらないのは何故だ。

16 :名無しになりきれ:2008/11/08(土) 14:37:53 0
潰したはずなのにまだ残ってるなんてね…
いいよ、あっちのスレもちょうどつぶそうと思ってたところだ
俺の中に少しだけ残っていた乙女心を踏みにじった我が弟よ、ここで完全に消してやる
自分も不細工なくせに人を見かけで判断したこと、後悔させてくれる!

17 :名無しになりきれ:2008/11/08(土) 14:42:44 O
>>16
貴様に何があったのか、知らないし知った事じゃない
この「想魔眼」をもつ俺と会ったことが運の尽きよ…

18 :名無しになりきれ:2008/11/08(土) 15:59:21 O
>>17
ククク・・・大層な名前の眼の割には隙だからだ・・・俺の『影潜眼』で暗殺してやろう・・・

19 :名無しになりきれ:2008/11/08(土) 19:40:16 0
関係ないって?クスクス…
僕が前の世界の破壊者だとしても?
僕がいる限りお前達に安息なんてあげないよ
さぁ僕の名前を叫べ!あの遺跡の名の!心崩壊せし破壊の神に!
絶対に繁栄などさせてやるものか!

20 :名無しになりきれ:2008/11/09(日) 10:58:45 O
ほう。旧き世界の敗北者がまだ生き残っていたか。

ククク。世界を変えられなかった負け犬風情が神を気取るとは。

不快だな。我の『創世眼』で、存在ごと虚無の海に沈むがいい……。

21 :名無しになりきれ:2008/11/10(月) 16:58:17 O
邪気眼みせろよ邪気眼!

22 :名無しになりきれ:2008/11/12(水) 14:08:51 0
バカな…復活、だと!?

23 :名無しになりきれ:2008/11/12(水) 14:20:36 O
そう……復活したのだ。
始まるぞ、再び血に染まった饗宴がな……!

24 : ◆0HwRhPoFaw :2008/11/12(水) 15:17:33 0
きめぇww

25 :柊さん ◆Xdq/.CMNoo :2008/11/12(水) 15:42:07 0
なにやってのこいつら?

26 :名無しになりきれ:2008/11/12(水) 15:42:29 0
こんな無駄な争いをしている場合じゃないわ!みんな、私に力を貸して!

27 :柊さん ◆Xdq/.CMNoo :2008/11/12(水) 15:44:31 0
19
破壊神ですね、理解。

28 :柊さん ◆Xdq/.CMNoo :2008/11/12(水) 15:47:58 0
26
はい、どうぞ。
【普通の飴玉に見えるけどすごい飴玉】

29 :名無しになりきれ:2008/11/12(水) 15:56:27 0
こいつはまさかあの…シヴァ…か?

30 :谷口 衛守 ◆Xdq/.CMNoo :2008/11/12(水) 15:56:41 0
あと4分で、16歳なんです。

31 :谷口 衛守 ◆Xdq/.CMNoo :2008/11/12(水) 15:57:31 0
とりあえず、なんか分かんないけど、参加してみます。

32 :川久 衛守 ◆Xdq/.CMNoo :2008/11/12(水) 16:00:48 0
16歳なたー!!!


脚の小指の感覚が無いです。
川久だった・・・

33 :名無しになりきれ:2008/11/12(水) 16:03:51 0
>>32
ククククッ、おめでたいやつだ!
これは私からの祝福だ。喰らえ!

34 :川久 衛守 ◆Xdq/.CMNoo :2008/11/12(水) 16:27:45 0
うがっ!!
っく・・・、不覚でした・・・;
こんな雑魚から攻撃を喰らうとは・・・

35 :名無しになりきれ:2008/11/12(水) 16:38:55 O
とりあえずコテ外せよ

36 :名無しになりきれ:2008/11/12(水) 16:51:54 0
えー。わかったー。

37 :名無しになりきれ:2008/11/13(木) 00:40:09 0
フハハハ!
このスレは俺様がいただいた!
世界は俺様のものだ!

38 :名無しになりきれ:2008/11/13(木) 00:50:59 O
あの遺跡を知る奴がまだいたか!
あのお方に報告せねば…!

39 :名無しになりきれ:2008/11/13(木) 20:34:04 0
''あのお方''だと・・

40 :名無しになりきれ:2008/11/13(木) 20:38:30 O









ラ・ヨダソウ・スティアーナ

41 :名無しになりきれ:2008/11/14(金) 00:17:28 O
それが世界の選択か……

42 :名無しになりきれ:2008/11/14(金) 20:01:00 0
世界の選択などッ!!!
この俺が覆して見せるッッ!!!!

43 :名無しになりきれ:2008/11/14(金) 22:32:24 O
ククク、お前にできるかな?
私の神羅眼の前に消えろ!

44 :名無しになりきれ:2008/11/15(土) 16:47:49 0
貴様ら・・・許さん・・・っは・・・し、静まれ・・・
俺の腕よ・・・怒りを静めろ!!

45 :名無しになりきれ:2008/11/15(土) 18:43:25 0
なんだと…俺の眼が共鳴している…?

46 :名無しになりきれ:2008/11/16(日) 07:47:41 0
くっくっく・・・青臭く、空臭く、血腥い・・・
懐かしい臭いだ・・・あの時は私が・・・・・・っふ、違うな・・・
私は今も黒歴史を紡ぎ続けている・・・そして貴様等も!
 イマ
現在が黒歴史・・・黒歴史とは現在・・・現在進行形の闇そのものだ!!
永遠に醒めない・・・夢の世界へ・・・ようこそ・・・!

47 :名無しになりきれ:2008/11/16(日) 09:14:40 0
正直な話、>>6のスレで事足りる話だとは思うが――
立ってしまった以上は致し方ない

選択せよ。続けるか、オリるか

48 :名無しになりきれ:2008/11/16(日) 09:34:31 0
――――…………


『また』、か……クク……破滅を紡ぎし能力者……我が仔達よ……
今度は世界を"やり直す"と謂うのか……フハハ……考えたな……

だが廻る歴史は同じく滅ぶ……所詮は墓標が増えただけのこと……
我が愛しき仔達よ……再び屠ってあげよう……幾度目かの【混沌】へと……

幕は上がった……舞台に上がり給え……何れ千一の終端が君達を殺めるその日まで……
精々死ぬべき能力者達よ……残酷な運命より逃れてみせるのだな……フハハハハハ―――

49 :名無しになりきれ:2008/11/16(日) 10:47:33 0
とはいえ今更後戻りなどできぬということ…貴様にはわかっているんだろう?

50 :名無しになりきれ:2008/11/16(日) 17:56:36 0
私は既に一線から身を退いたロートルだ
何の役に立つとも思えんが…
今少し世界の行方を見守るとしよう
…っふ、本当に老いたものだな…以前なら私が舵を取っていただろうに

では合言葉に沈んだ遺跡の名を…邪気眼

51 :名無しになりきれ:2008/11/16(日) 18:41:48 0
ヨコシマキメ遺跡・・・・だと?
馬鹿な、あれは炎の中に消えたはず・・・・

52 :名無しになりきれ:2008/11/16(日) 22:10:00 0
>>16
ここ数日の恨み言、ご苦労なことだ
死ぬ死ぬ詐欺も飽きたと見えるね
それにしても不細工は失敬だなあ。キモイとはよう言われるけど・・・

53 :名無しになりきれ:2008/11/16(日) 23:14:24 O
そう。遺跡は消えた。だからこそだ。
神が御しきれず、終焉を迎えたこの地……この地こそ我が初まりに相応しい。

さあ、創世を始めるぞ。我の『世界』の創世を――――

     ア  ル  カ  ナ
 『 世界を記した22の原典 』 ! !

(男が手を上に上げると、上空から降ってきた黒い22本の光の柱が遺跡を囲む様に突き立つ。
直後、在りし日のヨコシマキメと、そこに住んでいた人々の姿が構成された。
その中には、かつてのヨコシマキメに生きていた邪気眼使い達の姿も―――――)

ククク……ハーッハッハッハッハッ!!!!!!!!

54 :名無しになりきれ:2008/11/16(日) 23:35:19 O
なん……だと……!


また懐かしいスレだなおいwwww

55 :名無しになりきれ:2008/11/17(月) 00:30:54 O
クッ…ついにおっ始めやがったか!

56 :名無しになりきれ:2008/11/17(月) 01:31:31 O
>>53
・・・な!?
テメェ何してやがる!
エターナルフォースブリザードを喰らえ!

57 :名無しになりきれ:2008/11/17(月) 08:17:13 O
俺だ…また奴らが動き始めたらしい。

どうやら「saga」は俺たちと本気でやる気らしいな…



また連絡する

ラ・ヨダソウ・スティアーナ

58 :名無しになりきれ:2008/11/17(月) 18:29:55 0
>>47
スレ
 俺は…正直この世界なんてどうでもいい。

 邪気眼を持っているからといって常に人を巻き込まないように生きていかなきゃならない俺にとって、
スレ
 この世界は決して優しくない。

 いつ滅びたってかまわないと思っていた…

 だが…君は。

 君は俺が邪気眼所持者だと知ったときも、
 
 怖がることなく優しく言ってくれたんだ。

「君は君だよ」…って。
        スレ
 俺はっ!この世界は好きになれないが…
         スレ
  君が生きるこの世界を守りたいんだッ!

 サマーサンシャインバースト 相手も死ぬ
  
 うああああ...


59 :名無しになりきれ:2008/11/17(月) 23:31:34 O
ワロタw

60 :名無しになりきれ:2008/11/18(火) 00:54:39 0
>>58
愚かな…もはや破滅への道は避けられぬ!
ならば望み通りこの世界ともろとも消滅するがよい!

ウィンタースノーレクイエム 相手も死ぬ

ば、馬鹿な…こんな雑魚相手にこの私が?

61 :名無しになりきれ:2008/11/18(火) 21:48:33 O
>>56

『  創 造  』

(地面から木が生え、凍り付く)

エターナルフォースブリザードを使うとは多少驚いたが、その程度か。

つまらんな。殺すにすら値せん。
(その場に土で出来た門を作りだし、その奥に消える。門は直後に崩れて消えた)

62 :名無しになりきれ:2008/11/18(火) 21:54:33 0
やあ (´・ω・`)
ようこそ、邪気眼スレへ。
このEFBは挨拶だから、まず喰らって落ち着いて欲しい。

うん、またなんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

でも、このスレを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「若さゆえの過ち」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした2chの中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
そう思って、このスレを立てた
…のは私ではないんだが、それはどうでもいいよね。

じゃあ、君の邪気眼を見せてもらおうか。

63 :名無しになりきれ:2008/11/18(火) 22:12:13 0
なっ・・・・なんだ、このスレは!?
記憶が・・・・・オレの過去が疼く!

64 :名無しになりきれ:2008/11/18(火) 22:37:35 0
ついに再び始まってしまったね・・・
戦いは何時だって、ネガティブイメージしか生まない
それでもヒトは戦い続ける。ってことはさァ・・・
ヒトは存在そのものがネガティブなんだねェ

哀しい生き物だなあ、ヒトってのは
仕方ない。ボクがどうにかしてあげよう
一先ず、そこのキミ、来たまえ。・・・救ってあげるから

65 :名無しになりきれ:2008/11/19(水) 01:46:13 0
再びあの間違いを始めるのか?
また、相手は死んだとかで殺し続けるんだろ・・・?

祈る神があるならば勝手に祈ってろよ。
そして、永遠に訪れぬ救いを絶望の中で待ちわびろ!

死ぬという事実を無効化し、再生の炎で焼き尽くす邪気眼。
この『不死鳥』の前では無力だと言うことを教えてやる!

66 :名無しになりきれ:2008/11/19(水) 12:40:20 O
我が魔術名は不死殺し。

―――貴様の天敵という訳だ。

67 :名無しになりきれ:2008/11/19(水) 17:11:07 0
新たな戦いが始まるのか・・
楽しもう・・

(扉をあけて背中から銀の触手が生える)

クックック・・・・

68 :名無しになりきれ:2008/11/20(木) 01:01:29 0
>>66
・・・この俺を!前大戦を死に抜いて生き抜いた俺を殺すというのか!
だが、知っていたいつか不死を越える死が来ることも!これが世界の新生か!

それを見られぬのは残念だが!その始まりを見届けて死のう!

そして、貴様に我が『不死鳥』がなぜ『不死鳥』たるかを教えてやる!
この『不死鳥』は宿り主たる私が死ねば、新たなる宿り主を捜して飛び立つのだ!

さあ、見るが良い!『不死鳥』が天へ解き放たれる様を!綺麗だろう・・・?

(そのまま絶命)

69 :名無しになりきれ:2008/11/20(木) 21:41:41 O
不死鳥が墜ちたか……カノッサの復活は近い……!

70 :名無しになりきれ:2008/11/21(金) 01:53:47 0
どいつもこいつも手応えのない奴ばかりだなあ、おい?
一人は生きようと無駄に足掻いてこの俺を楽しませてくれる奴はいないのか?

71 :名無しになりきれ:2008/11/21(金) 20:23:49 0
焼失の憂き目を見たヨコシマキメ遺跡――
図らずも、突如現れた謎の人物に再生され、かつての面影を取り戻した

しかし気をつけたまえ、所詮は人間業、
完全な姿で復元されたという保証は無い!
恐らくは、遺跡内各所に点在しているであろう『歪』、
そこに呑み込まれれば、如何なる強力な能力者であろうと、
次元の廻間に放り出され、存在の消滅は免れない!

だが、遺跡に潜ることが、デメリットしかもたらさないわけではない
ヨコシマキメ遺跡の深部は、大火に脅かされることなく残り、
即ち、復元による『歪』の影響を受けず、当時の完全なる姿を留めているだろう
高価な宝物や、歴史上の重大な資料、或いは――
『眼』の力を飛躍的に増強させる魔道具も、歪み無く残されている可能性もある
邪気眼使いにとっては、たまらぬ話ではないか

諸君らが剣を手にするか、踵を返すかは、全く自由である
そもそも興味が無いというのなら、それもそれ、仕方ないね――

72 :名無しになりきれ:2008/11/21(金) 21:40:29 0
ところでお主・・・プレートという存在に覚えはないかね?

73 :名無しになりきれ:2008/11/21(金) 21:59:52 0
ああ…知っている。私は『それ』を回収しながら歩いているからね…
でも、幾つかは別の世界に散ってしまった。
全部回収するのは無理のようだ。
私が持っているのは一つだけ…それも力を失った…
プレートに興味があるのかい?
残念だけど、これは渡せない。プレートは人を選ぶんだ。
それにしても、あの板切れを子供達に配って歩いていた女…
今は何をしているんだろうな。

74 :名無しになりきれ:2008/11/21(金) 22:14:33 0
クククッ…プレートならここに一つあるのだがね…
渡しはしない!焼き尽くせ、魔人眼!

75 :名無しになりきれ:2008/11/22(土) 17:53:41 0
待った!確かに私は『回収している』と言ったが、
無理矢理奪う気など微塵もない!そう血気に逸るな!
プレートは適合しなれけば板切れだ。
渡す気がなければ、お前が寿命なり事故なり戦いなりで死んだ後、
ゆっくり回収させてもらう。時間は幾らでもあるのだからな。
精々生き急ぐが良い!さらばだ!

76 :名無しになりきれ:2008/11/22(土) 20:20:49 O
くく……流石は手練れの冒険家達でさえ《怪物の口腔》と恐れたヨコシマキメ遺跡……
帰還者0と噂されるだけはあるな……至る所に仕掛けられた夥しいトラップはさしずめ怪物の牙と云う訳だ……

今まで何人もの生命がその餌食になり、この怪物の胃に収まってきた……
だがそれは決して無駄死にではない……彼らは、彼女らは、その命を犠牲にして怪物の牙をへし折ってきたのだ……

死した者の数だけトラップは暴かれ、意味をなさなくなる……さあ怪物よ……残された牙は後いくつだ?
お前に喰われた同朋達の遺志を継ぎ……今こそこの俺が、お前を踏破してやるぞ……ヨコシマキメ遺跡!!

(ズボォ)

……何だ、何が……入り口に……落とし穴……!?
ガッ……クソ、深い……やはりデビュー戦にこの遺跡を選んだのは無理があったか……おのれ怪物め!

77 :名無しになりきれ:2008/11/24(月) 15:27:55 0
いる…この遺跡のどこかに…トラップを再起動させている奴が…!

78 :名無しになりきれ:2008/11/25(火) 00:13:54 O
>>76
こんな所で何をしている。
ここは、一般人の来る場所じゃないぞ。
(フード付きのマントを羽織った人物が手を差し延べる)

79 :名無しになりきれ:2008/11/25(火) 19:23:50 O
く……こう見えても歴とした冒険家の端くれなんだがな……。
(暫し逡巡し、差し出された手を両腕で掴む)
(そのままバタバタもたついた後、落とし穴から無事這い出た)

んんっ。
クク……どうやら穴ぐらで夜を明かさずに済んだようだ……。
礼を言おう……俺の名は、人呼んで『Y』……よろしく頼む……。

(センスの無さを感じさせる服装、ボサボサの黒髪)
(何より目立つは右腕に巻かれたあからさまな《包帯》)
(時折不自然に右腕を抑え、呻いている)

《怪物の口腔》ヨコシマキメ遺跡を攻略しに、遙々異国より赴いた……。
お前はどうやら遺跡の関係者か……腕が疼くと思ったぜ……。

80 :名無しになりきれ:2008/11/25(火) 23:08:47 O
>>79
Yか。私は……ああ、そうだ。私はリバイヴ。この街と遺跡の監視を行う物だ。
(フードをはずすと、頬に切り傷のある金髪碧眼の、美麗な少女が現れる)

……やれやれ、冒険者という割には警戒が足りないな。
ヨコシマキメは異界よりも地獄よりも尚深い。
有名な筈だが、知らなかったのか?
今のお前は、全裸で北の海を泳いでいる様な物だ。

忠告してやる。
引き返せ、邪気眼使いであろうとこの遺跡は食い殺すぞ。

81 :名無しになりきれ:2008/11/26(水) 17:38:55 O
おいおい、よく俺を引っ張り上げる力があったもんだな……。
やはり文献通り、常識という奴は通用しなさそうだ……。

んんっ(右腕を抑え顔を伏せる)
クク、ご忠告有り難い……確かに今の俺は、装備全くなしの丸腰だ。
道中追い剥ぎに遭ったからな……まさか火炎を手から放つとは。

それで1つお尋ねしたい……。
その……『邪気眼』というのは、一体何なのだ?
あ、いや知ってはいるがただ俺の認識と合致しているかをな……。

(やけに静かだ……ここ周辺には俺とこの娘しかいないのか?)
(古より語られし伝説のヨコシマキメ……この目で見られるとは、な)
(文献によれば、『右腕に包帯を巻き時折呻く』のが当時の民の常識)
(高名な学者は、その時代の流行病によるものだと云うが……)

82 :名無しになりきれ:2008/11/26(水) 20:17:17 O
>>81
炎の邪気眼使いか……全く。最近は龍族やカノッサ、プレート所有者が
暗躍しているせいで、ヨコシマキメの治安も地に落ちた。困ったものだな。
(溜息を付き、眉間に皺を寄せる)

……?

何を言っているんだお前は。
邪気眼は、人知、自然の理、魔法すらも超えた、あらゆる現象と別格の異形の力。
邪気眼使いはその力を用いる者達の事。そんな事は世界の常識だろう。
そもそも、その腕に巻いた包帯は、お前の邪気眼を封じているんじゃないのか?

ああ、そういえばお前は東方から来たんだったな。
それなら、お前の地方では邪気眼という呼称ではなく、別の呼称で読んでいたんだろう。

邪気眼とは――――『コレ』のことだ。

『水葬眼』

(少女の右目が青く光ると、突如現れた水の槍が近くにあった大きめの岩を容易く破砕する)

83 :名無しになりきれ:2008/11/26(水) 23:42:53 O
りゅ、龍族、カノッサ、プレート……はは、ま、全くだ。
(どうやら全部資料で目にした用語ばかりみたいだ)
(ここで一気に尋ねてはまずい。追々聞いていこう)

む、そ、そうだな。クク、どうやら無事合致してるようだ。
常識だからこそ、それを蔑ろにする輩も出てくるのかもな。
力の影には責任が在る。それを忘れるとは、眼も嘆いておろう。
(なるほど、包帯はいわゆる拘束具と云う訳か!)
(何が流行病だヘボ学者め……論壇で覚えてろよ)

よく出身が東方だと……しかし邪気眼も大した事なくてよかっ

バゴォォオン!

…………。
な、なかなかの威力……流石監視者を称すだけはある……クク。
さあ今夜はどう凌ぐか……宿があれば一番いいが……。
(おい誰だ文献にあんなちゃちい想像図描いたのは……)
(これは……生きて帰れるか不安になってきたな……)

84 :名無しになりきれ:2008/11/27(木) 12:42:16 0
 /l、
(゚、 。 7 ?
 l、 ~ヽ
 じしf_, )ノ

85 :名無しになりきれ:2008/11/27(木) 15:59:32 O
!!こいつは…伝説の聖獣「ビャッコ」!?

86 :名無しになりきれ:2008/11/27(木) 16:24:11 O
ふふん。まあ、伝統ある監視者の後継だからな。これでも出力は押さえてあるんだぞ?

……宿? 宿なら街にあるだろう。引き返してそこに泊まればいい。
それより、私の眼を見せたんだ。お前の眼も見せてもらうぞ。
そこまで厳重な封印をするという事は余程強力な……!?

伏せろっ!
(小声になり、Yの頭を押さえて岩影に隠れる)

白虎……幻獣か。戦うには面倒だな。やり過ごすぞ。

87 :名無しになりきれ:2008/11/27(木) 17:14:33 0
おやおや、こりゃ可愛らしいでっかい猫だな。

……む?
こいつ……かなり力を持ってやがる。
危ない危ない、距離があるうちに気付けたのが幸いだ。
それにしても伝わってくるこの力…。ククッ、使えそうだ……。
えーっと、幻獣図鑑には―――。
(ポケットに手を突っ込み、手帳のようなものを取り出す)
ふむ―――英名「WHITE TIGER」か。中々高レベルの奴じゃあないか。
ここまでのレベルの奴には出会ったことないが、なんとかなるだろう。

まずは…観察から始めてみるか。
(ビャッコから十数mの間合いを維持して見続ける)

88 :名無しになりきれ:2008/11/27(木) 17:42:57 O
出力を押さえ……!
……クク、だ、だろうと思った。
あれが全力なら敵の先兵相手さえままならぬ……。
(もう何と言えば良いやら……マジやばい)

ま、街か、そういえば見かけた気がするな。
活気溢れる良い民達だ……気に入ったぞ、クク。
って眼? は、いや……んんっ、クク……我が眼はそう易々グワ!

グ、な、何を……は?(あれが白虎……名前負けしとるがな)
やり過ごすって、別に戦わずとも……む、何だあの人影は。
見るからに白虎?を狙っている……どうするのだ?
(これは邪気眼の戦闘を見られるチャンスなのか)
(ええい、メモの用意だ。メモ帳とペンがポケットに……)

89 :名無しになりきれ:2008/11/27(木) 23:46:46 O
  /\___/ヽ +
+/"""  """:::\
|(●),  、(●)、|
| _ノ(、_,)ヽ_ :|
|  `-=ニ=-′ ::|+
+\  `ニニニ′.::/
_イヽ、ニ__ー―ノ゙-、
"|ヽ \__ノ| ヽi
 | \/(_)\| 〈|
 >  ヽハ | ||

90 :名無しになりきれ:2008/11/27(木) 23:50:49 0
なっ…まさか奴はあの…!?
くそ、こんなところまで現れるとは!

91 :名無しになりきれ:2008/11/28(金) 05:33:13 O
「冷徹たる紳士」…
いかなる状況に於いても冷静に振る舞い、任務失敗時すら堂々とした態度で我が道を貫くという、噂の男か…
厄介な相手だが…割と抜けたところもあると聞く。
この「聖印符一式」を使えばうまく奴を利用できるかもしれん
(古ぼけた麻雀牌を取り出す)

92 :名無しになりきれ:2008/11/28(金) 19:42:54 O
馬鹿を言うな、奴は――――見ろ。

あれが奴の戦闘形態、ダディ・クールだ。
(冷や汗を流す)
ッ……この距離でも強大な力が伝わってくる。
私でも手加減していてはやられるレベルだぞ、奴は。



あの男、何をしているんだ……幻獣には、並の邪気眼使い程度では
歯が立たないというのに。

93 :名無しになりきれ:2008/11/29(土) 00:02:03 0
ほお、変化したか…。
この力の強大さ、私に冷や汗をかかせるほど、か!
素晴らしい、実に素晴らしいな!ククッ、フハハハハハ!
フハハハハハ、フハ、フハ、フハハハ!!
こいつで我が邪気眼の実験台になってもらってもいいんだが…。

その前に其処の貴様に話を聞こうか。
そう、岩陰にいる貴様だ。
(二人の隠れている岩に近付く)

(岩に近付いた男は狼を思わせる顔つきをし、長い茶髪を後ろで纏めた青年だった)
(どう考えても動きづらそうな仰々しいローブを羽織り、口を開くたびに長い犬歯を顔を覗かせる)

…む?二人か。おかしいな、私の勘も鈍ったかな?
まぁ良い、私はフェンリルという者だ。
あの幻獣について詳しく聞こうと思ったんだが…もしかして貴様ら、邪気眼使いか。

ふむ…ならばこの遺跡の奥深くを目指すのに協力願いたい。
数多くの人間の命を貪ってきた遺跡には必ずあると言われる【神々の怒り】…。
そいつを取りに行くための同行者が欲しかったんだ。
私には何者にも負けない力があるが、この遺跡の罠には全くの無知だ。
もしかすると私をも滅ぼすような強大な罠が仕掛けられてるかもしれないが、貴様らなら見抜けるかもしれないしな。

どうする?来てくれるか?

94 :名無しになりきれ:2008/11/29(土) 11:12:01 O
む、姿が!? 戦闘形態【ダディ・クール】……だと!
(非常につっこみたいが……今は観察を優先だ)
(実際の邪気眼の戦闘を目にする機会が来ようとは……)
(ここは黙ってカメラとメモ帳を構えておかねば!)

ってうお! ク、クク……俺の気配を嗅ぎ付けるとは。
フェンリル……なかなかの手練れだな、見事だ……。
(まさか気配で人を探り当てるとは……)
(というかロープ2人目だな、流行ってるのだろうか)

【神々の怒り】だと……? 何に使うというのだ、あんなもの。
しかし罠への傾注は同意だ。俺も先程思いも寄らぬ悲劇に、な。
(まさか入り口に落とし穴とはな……昔から落とし穴だけは見抜けん)
(しかし神々の怒りか。文献でも見たことがないが……)

これは一介の冒険家たる俺の口添えは無用だな。
リバイヴ、お前の判断に従うとしよう。
(郷に入りずんば郷に従えだ。ここら一帯は彼女の庭だろうしな)
(遺跡の攻略も、白虎と戯れるも、宿屋で一泊するも、全てはここからだ)

95 :名無しになりきれ:2008/11/29(土) 23:38:22 O
フェンリルか。私はリバイヴ。ヨコシマキメ遺跡の監視者だ。
……成程、私にお前の案内をしろというのか。

うむ、断る。

私は遺跡の監視者だ。

そして、その使命はこの遺跡の監視と、遺跡へ入ろうとする盗掘者に『警告を促す事』なのでな。
命知らず供の自殺の手助けなど、知らん。
どうしても行きたいならば、そこのYという男と行けばいいだろう。中々に協力な使い手のようだからな。

そもそも……このヨコシマキメの遺跡の奥にあるのはそんな優しい物じゃない。
白虎ですら比ではないモノだ。
再度言うが、命が惜しいならば手を出すな。

よし。任務完了。警告はした。私は家に帰るからな。
(遺跡の入口から死角になっている場所に立っているボロ小屋へ歩いて行く)

96 :名無しになりきれ:2008/11/30(日) 12:25:40 0
【神々の怒り】を…何にって?
フン、言わなくてもわかるだろう。

…そうか、拒否するか。
ならば仕方があるまい。
リバイヴとやら、不必要な警告をありがとう。
私は盗掘者のような下賎な者どもとは違うからな。

白虎…WHITE TIGERの比じゃない、か。
ククククク……それを聞いて安心した。
あんな猫よりも強いモノが居るのなら、相手に不足は無いからな。

おお、気をつけて帰るがいい。リバイヴという臆病者。
さて…Yとやら。
貴様は先程奴に従うといった。
奴は貴様を連れて行けといった。
一体どうする気だ?

97 :名無しになりきれ:2008/11/30(日) 18:14:29 O
/ ̄/  ̄ /_|__ _|_
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   /\___/ヽ +
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 |(●),  、(●)、|
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 `<ゝフ\  ーノ-、
⊂二フ" ノ /⌒)_ノ|ヽi
⊂二7_/ ゝγ \|〈|
| ヽ__ノ
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四二三四◎◎◎伍|伍|
萬萬萬萬◎◎◎萬|萬|

98 :名無しになりきれ:2008/12/01(月) 17:12:10 O
こんな事態になろうとは……暫し待て。
(俺を連れてけなんて、これはただのポーズだぞ……)
(何か良いアイデアは……そうだ)

まあ待てリバイヴ。そんな警告では何も判らんぞ。
フェンリルも、それだけこの遺跡は危険なのだ。

遺跡に挑戦するにはまず具体的なリスクを突き止めるのが先決。
ならば……クク、『腕試し』がちょうど良かろう。
そう、比にもならないと称されたあの『白虎』が相手でね。

もしフェンリルが勝利できれば、遺跡攻略の準備を。
敗北したなら……警告してくれたリバイヴに謝るのだな。

どの道、伝説の聖獣なる白虎を余裕で倒せねば話にもなるまい?
どうだご両人、これなら後臭れなくことも収まろう。どうする?

99 :名無しになりきれ:2008/12/01(月) 23:52:41 O
ふん。この私を臆病者呼ばわりとは失礼な盗掘者だな。
せっかく警告してやったというのに。


……何?私の警告が足りないだと?

成程……一理あるな。そちらの方がより性格に任務を果たしている。

いいだろう。その白虎をお前が短時間で倒せたら、先に行く事を止めない。
更に、私からいい物をやろう。

100 :名無しになりきれ:2008/12/02(火) 15:57:50 0
…腕試しか……面白い考えをするものだな。
私も賛成する。

いい物だと?そんなものいらないぞ。
所詮下らぬ物だろう。
それに、荷物をあまり多くしたくない。
あとは私よりも貴様の方にあるべきだろうと思ったからでもあるがな。

それじゃあ腕試しの開始といこうか。
Yとやら、あの猫を戦闘不能にでもすればいいんだな。
(ロープを脱ぎ捨て、動きやすそうな半袖の服装となる)

行くぞ―――『業狼眼』

(両手の甲で、目の形に黄色く輝く)
(同時にフェンリルは人間では出せないようなスピードと力強さでビャッコに迫り、長く尖った爪を突き出す)

101 :名無しになりきれ:2008/12/02(火) 19:43:20 0
test

102 :名無しになりきれ:2008/12/03(水) 19:32:16 0
transcendent
eyes
system
tournament

…だと?
クッ、ついに始まるのか…伝説の戦いが!

103 :名無しになりきれ:2008/12/04(木) 10:36:10 O
 /  ̄/ ||  /        /  ||   ̄ ̄/       ̄ ̄/ ○
    /    / / ── /\     /     ||     /
 _/    //      /      /      /   /
     +
  *  _  +                         /\___/ヽ
.     (|9|(`>、                     . /''''''   ''''''::::::\
   + ▽ミゝr'フ\                     +  |(●),   、(●)、.:| +
  ⊂コ二Lフ^´  ノ, /⌒)                  |  ,,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|
  ⊂l二L7_ / -ゝ-')´                + |   `-=ニ=- ' .:::::::| +
       \_  、__,.イ\           +     \   `ニニ´  .::::/    +
        (T__ノ   Tヽ        , -r'⌒! ̄ `":::7ヽ.`- 、    /
         ヽ¬.   / ノ`ー-、ヘ<ー1´|  ヽ | :::::::::::::ト、 \ (  ./ヽ
          \l__,./       i l.ヽ! |   .| ::::::::::::::l ヽ   `7ー.、‐'´ |\-、

104 :名無しになりきれ:2008/12/04(木) 21:23:47 0
……ふん。別にお前にやるとは言ってない。



身体能力の強化か?成程、言うだけあってかなりのレベルだな。
しかし、どうも違和感がある。ただの身体強化ではないような……

む!?不味い、白虎を殺しきれていない!!
受けたダメージの分、白虎がパワーアップするぞ!!

105 :名無しになりきれ:2008/12/04(木) 21:27:56 O
グレードアップだと……!?
ふん……面白い、それが貴様の真の力ということか

106 :名無しになりきれ:2008/12/04(木) 21:31:23 0

┌┴┐┌┴┐┌┴┐ -┼-  ̄Tフ ̄Tフ __ / /
  _ノ   _ノ   _ノ ヽ/|    ノ    ノ       。。

       /\___/ヽ
    /ノヽ       ヽ、
    / ⌒''ヽ,,,)ii(,,,r'''''' :::ヘ
    | ン(○),ン <、(○)<::|  |`ヽ、
    |  `⌒,,ノ(、_, )ヽ⌒´ ::l  |::::ヽl  
.   ヽ ヽ il´トェェェイ`li r ;/  .|:::::i |
   /ヽ  !l |,r-r-| l!   /ヽ  |:::::l |
  /  |^|ヽ、 `ニニ´一/|^|`,r-|:「 ̄
  /   | .|           | .| ,U(ニ 、)ヽ
 /    | .|           | .|人(_(ニ、ノノ

107 :名無しになりきれ:2008/12/06(土) 21:31:12 O
(リバイヴは水葬眼、フェンリルは業狼眼……)
(邪気眼は種類によって能力も異なる、ということか)

クク……白虎を前にして、臆さず仕掛けられるとは。
フェンリルという男、なかなかやるじゃないか……っ

(白虎の様子が……ぐあ、腰が抜け……!)
(立てない……気圧されてしまった……凄まじい威圧感だ)
(な、何とか誤魔化さねば……上手い言い訳を……)

……ふ。流石は伝説の聖獣と謳われるだけはある。
あの覇気、伝説を冠するに値するというものだ……。
ククク……酒の肴にはなってくれそうだな。どれ……美味い。

(冷や汗かきまくりだ……俺が戦う羽目にならないで良かった)
(緊張で酒の味さえ分からん……良い焼酎なんだがな)

108 :名無しになりきれ:2008/12/06(土) 22:21:28 0
ほう、中々鋭いな。
単なる身体強化じゃないと勘付いた奴は久しぶりだ…む?

フン……中々の威圧じゃあないか。ククククク…
その刃物の威力は高そうだが…
(右手の爪が5つの鋼鉄で出来た刃物のように尖る)
食らう前に、この一撃で仕留めてやれば何も問題は――――――無いッ!!

(凄まじい衝撃により、辺りの空気が震え、ビャッコとフェンリルの居た場所に土煙が舞う)
(数秒後、爪が元に戻ったフェンリルが戻ってくる)

止めを刺してきたぞ。
左腕に食らってしまったがな…ククッ、ピクリとも動かんわ。
少し経てば何とかなるだろうから、杞憂する必要は無いぞ。

さて、リバイヴ。この結果は合格か?それとも不合格かな?

109 :名無しになりきれ:2008/12/06(土) 23:01:45 O
Y……お前、奴の力を前に酒を飲む余裕があるとは、やはり相当な能力者なんだな。
邪気の消し方も超一流……まるで邪気を感じない。何物なんだ?


……やられるかと思ったが、口だけじゃないようだな。
80点だ。
及第点だが……正直、それでも“アレ”をどうにかできるとは思えない。
私は、伊達や酔狂で警告をしている訳では無いんだ。

まあいい。クリアしたのなら私に止める権利などないからな。好きにするといい。

ああ、そうだ。
約束だが、フェンリルという男はいらないらしいからな。
Y、とりあえずお前にこれを渡しておく。
一般には出回っていない遺跡の地図と……『召喚の鈴』だ。
その鈴は、鳴らせば3回だけ私を召喚できる。どうしても力が足りないときに使うといい。

110 :名無しになりきれ:2008/12/09(火) 15:10:13 O
それが世界の選択か・・・

111 :名無しになりきれ:2008/12/09(火) 19:15:31 0
エンッ!

112 :名無しになりきれ:2008/12/11(木) 01:11:23 O
クク……何者かと問われれば、『Y』と答える外あるまい。
邪気を消さねば、数多の命を傷つける。ただそれだけだ。
(なんて、俺ただの真人間だから当然だろ……出せるかっての)

決着がついたな……尤も、クク……いや、良い戦いだった。
(手を叩き、頭を下げる)
伝説の聖獣が一、滅多に眼に出来まい。我々は幸運だ。
(これで亡びた? ……俺達と遊んだのか、白虎)
(伝説に語られる程だ、亡びはしないか……参ったな)

さあ、リバイヴより戦利品を頂戴した。本格的な話をするか。
遺跡を攻略するにあたり、まずは装備を整えたい。
ここは出立の前に、暫しの休息と洒落込んではどうだ。
それに……。

(そう、ヨコシマキメ遺跡に『奴ら』の影がないのはおかしい。)
(文献では詳細の片鱗も掴めなかった謎の組織……)

(――カノッサ機関)

113 :名無しになりきれ:2008/12/11(木) 12:13:52 O
うぬ等からは蚊程の邪気しか感じられんな…

我が真光眼の前では貴様等はカス同然よ。

114 :名無しになりきれ:2008/12/12(金) 19:23:18 0
クク、吠えるな雑魚が・・・

我、“闇より出でし、闇よりも尚暗き漆黒”の“四聖天”──『滅姫・ヴァルキュール』に
敵うわけもあるまいが・・・・・・


──!?──


な、なんだ、この邪気は──我が震える、だと──ありえぬ!!

115 :名無しになりきれ:2008/12/12(金) 20:31:58 0
80点……チッ、一撃で仕留められなかった上、反撃を食らえばそうなるか。
忠告どうも。
何、『アレ』がどのくらいのものなのか、貴様が理解していることは十分伝わっている。

だからこそだ。
だからこそ行くんだ。
私の本気がどれ程通用するか、無事に【神々の怒り】をとってこれるか。
試してみたいしな…クックックックック。

ああ、それと勘違いする前に言っておくが―――あの程度が私の本気と思うなよ?
(ローブを羽織る)

本格的な話、か。
……ふむ。それもいいかもな。
休息を取っているこの左腕も完治する筈。
(左腕を動かす)
丁度いいかもな。



…ほぉ、この街は血気盛んな奴らが多いらしいな。
中々の邪気を放つ奴らが居る。
―――【真光眼】、【四聖天】、【滅姫・ヴァルキュール】……。
よくわからんが、面白そうなものが見れそうだ…クク、ハハハハ!

116 :名無しになりきれ:2008/12/14(日) 14:09:39 0
この場所は………見覚えがあるな…
……そうか、『眼』が引き寄せたのか
湧き出てくる邪気から察するにも、飯の種になるものは在りそうだ
フン、ならば暖かいうちに頂くとしよう

確かこの遺跡には監視役のような者が居たと思ったのだが…
……記憶違いか
《遺跡入り口へ向かう》

117 :名無しになりきれ:2008/12/15(月) 11:52:48 O
(ボロ小屋の後ろにある墓の前で両手を組んでいる)……父様、母様。
今日もしっかりと使命を果たしました。お二人がいなくとも、私はしっかりやっています。
だから、心配せずに安心してお眠りください


……む?
また侵入者か。今日はやけに命知らずが多いな。

おい、そこの侵入者。
そこから先は危険だ。むやみに入れば命を落とすぞ。

118 :名無しになりきれ:2008/12/16(火) 05:57:16 0
(やはりな……まだ人が付いていたと言うことは、それなりの価値が残っているんだろう)
(しかしその価値が残っているのにも関わらず、侵入を阻止しない所を見ると…)

命を落とすなど安いことだ……食い物を落とすことに比べればな

(構造に余程の自信があるか…)

ところで貴様、この場所で何が起こっているか把握しているか?

(何かしらの目的があって遺跡を調べさせているかだろうな)

119 :名無しになりきれ:2008/12/16(火) 12:38:23 O
(´・ω・`)
やあ。ようこそ僕の『亜狗禁眼』の作り出した世界『バーボンハウスへ――――』
うん。『無駄』なんだ。邪気眼使いはこの中では身動きすら取れなくなり、
生命力を吸われ続ける邪気眼殺しの邪気眼だからね。
これも仕事だから、謝って許してもらおうとも思わない。
君達にはここでテキーラの臭いを嗅ぎながら死んで貰うよ。
それじゃあ、遺言を聞こうか。
(突如現れY達をバーボンハウスに取り込む)

120 :名無しになりきれ:2008/12/16(火) 22:19:09 O
(リバイヴ……いや何も言うまい)
(「当時」の境遇としてはありふれていることだ)
(……待て、彼女は果たして「当時」の人間か?)

(フェンリルにしてもそうだ……時代考証は念入りにせねば)
(む、今の名前の列挙は? ……うーむ、奥が深い)
(果たしていつまで演技が通用するやらな……)

おお……新たな客人が来たようだぞ。
クク、今日は命知らずがよく集まる……良い日になろう。
さあ、まずは街に降りて……!

(な、何だ、奇襲!? 何処に潜んでいた!)
(くそ、命運尽き……あれ、何ともない?)
(……あ、俺は邪気眼使いでも何でもないからか! セーフ!)

クク……領域型と召還型のダブルタイプか……なかなかだ。
親鳥は『機関』かな? 無論復活しているとは思っていたが……。

フェンリル、まさかへばっている訳じゃなかろうな。
ひとまずまあ、頂こうじゃないか……サービスの、テキーラでもね。


121 :名無しになりきれ:2008/12/16(火) 22:41:36 O
むぅ。お前は食い意地が張っているんだな。

……?

この場所で何が起きているかなど、私は知らん。知る必要も無い。私が知っているのは、
ヨコシマキメ遺跡の構造、今誰が侵入していて、誰が戻って来ていなくて、『何があるか』。それだけだ。

ふむ。職務を円滑に果たすには、まず名乗るべきだったな。
私はリバイヴ。由緒あるこの遺跡の監視者の一族だ。
そして、監視者として忠告する。この先にあるもねはお前の手におえるものじゃない。
命が惜しければ引き返せ。

122 :名無しになりきれ:2008/12/17(水) 16:44:39 0
……『亜狗禁眼』ね…。
邪気眼殺しの邪気眼とは、中々希少種じゃないか。
そいつは邪気に反応して作動するみたいだが…。

Y、貴様思った以上の使い手だな?
邪気を完全に消し去り、邪気の反応を完璧に無くす。
私にもある程度は出来るが、そこまで高度な消し方は出来ない…。
勿論、今まで見てきた奴でもその領域に届いた奴は居ないが。
貴様ならあの遺跡に行っても大丈夫だろう。

さ、マスター…。
テキーラ頂くよ、迷惑料として…な。
まさか断る筈はないだろう?

123 :名無しになりきれ:2008/12/17(水) 17:47:39 O
(´・ω・`)
機関……ね。さあ。仕事を果たしているんだから、依頼人の情報は教えられないな。

(;´・ω・`)
な!?……うん。中々やるみたいだね。まさか邪気をそこまで完璧に消せるとは思わなかったよ。
……でも忘れない方がいい。ここでは邪気眼は使えないんだ。

(´ ω `)
だから最後に笑うのは……

(´・ω・`)
このショボン様さ!

(最新式の拳銃を抜いて発砲する)

124 :名無しになりきれ:2008/12/18(木) 22:57:21 0
(遺跡内部で一瞬空間が歪んだな…強い歪みだ…)

そうか、変な質問をして悪かった
(……奴の言葉に嘘は…無いな、警戒しすぎか…)

俺はリーだ
ここへは生命力の高い生物から命の糧を貰いに来た
長らえる為だ、すぐに出て行く

追われている身でな、こんな目立つ場所に長居するつもりはない
腰を起こすのが面倒になる
何より救世主などに……
(……ん…?救…世主?………どういうことだ、まるで覚えが無い…)

………何でもない、忘れろ

125 :名無しになりきれ:2008/12/19(金) 00:36:44 O
必要に応じて得た術が、偶々役立っただけだ……クク。
(あ、そう解釈するのか……ポジティブだな意外に)
(さて……問題は、この窮地を脱するかだな……ん?)

あれは……! ぬう!!
(ぐ……よりによってブラフで包帯巻いてた右腕に……)
(あれは……拳銃、しかも最新モデル……ぐ、何故)
(『邪気眼殺しの眼』、『最新式の銃』……まさか、こいつッ)

(ぐあっ……駄目だ、ここで意識を失っては……)
(何とか隙を作らないと……戦えないなら、せめてそれぐらいは……)
(奴の集中をこっちに向けさせる……それだけを考えろ……)

……ククク……成る程……そういう事か……。
《邪気眼を封じて銃器を使えば》、確かに勝率は劇的に上がろう。
だが……ククク、わざわざ最新式とは……律儀な奴よ。
新しく購入したのが見え見えだ……まあ無理もない。

《「現代技術」なら「当時」に負けない》と、そう考えたならな……ッ。
ククク……おっと、「動くなよ」……!!
(血まみれの右腕をショボンに翳す)


126 :名無しになりきれ:2008/12/19(金) 13:27:10 0
くふ。
我が名は…そうだな、アリンシャスとでも言っておこうか。

遺跡
くふ、くふふふふふふ

127 :名無しになりきれ:2008/12/19(金) 23:52:25 O
生命力を……?
リーと言ったな。お前は吸血種なのか?


まあそれはいいが、それが目的ならば尚更先には進まない方がいいぞ。
ここの先には白虎レベルの存在が数多にいるからな。生命力を取るにはリスクが高すぎる。
それに……カノッサ機関の連中も何人か入り込んでいる。
今しがたの力の発動、感じただろう?

命が惜しければやめておけ。

それでも行くというならば、止めないがな。

128 :名無しになりきれ:2008/12/20(土) 22:43:50 0
…あくまで断るか。
それも一つの選択だな…ぐっ!
(足を撃たれるが、出血は少ない)
だが、そんな鉛玉で俺を殺せると思うな!
…Y、大丈夫か?

…ふ、その出血で動くか…。
中々の精神力の持ち主だな。
戦うつもりなら、俺は見ているぞ。
貴様の力も見てみたいしな…ククッ。

129 :名無しになりきれ:2008/12/21(日) 04:39:06 0
フン、そう言うお前も邪気眼を使うようだな


白虎程の相手なら当分は心配要らないな
まぁ、何が居ようと俺は行くぞ
下っ端の機関員などに後れなど取りはしない
それに……命を頂くことに対して命を懸けないのは大変な侮辱だ…

すぐに済ませる
じゃあな…
《遺跡の中へと消えて行く》

130 :名無しになりきれ:2008/12/21(日) 17:08:25 O
(´・ω・`)
フフフ。君達原住民の時代の頃の銃火器と一緒にしない方がいいよ。
この銃は何十発も連射が可能だし、貫通力も半端じゃないからね。

(;´・ω・`)
……!な、何をする気だ。その手を下ろせ!
(臆するんじゃない僕。この中で邪気眼は使えない筈なんだ……いや、待て。
ま、まさか彼はここで邪気眼を使えるのか?僕の知らない能力の抜け穴があるのか?
くそっ、この間目覚めたばかりの力だ、僕自身知らない事があっても不思議は無い。
ましてや当時の邪気眼使いなら……だとしたら、無闇に撃つのは危険だ……)


(精神集中が乱れた為、ショボンの邪気眼の力が弱体化した)

131 :名無しになりきれ:2008/12/22(月) 00:50:44 O
(そんな鉛玉で簡単に死ねるんだがな……人間は)
(って俺が戦う訳あるか! お前に懸かってんだよ!)

(ちらちらとアイコンタクトをかます)


成る程……確かに、クク、銃器は脅威といえば脅威。
だが……それだけだ。単なる「道具」の域を出まい?

"復活"したこの世界には……更なる脅威が現れる。
【機関】や【財閥】……【組織】や【騎士団】、【武器商】もいるかもな。
我々はそんな脅威達と、鍔を競り合う事になるやも知れぬのだ……

互いに譲れぬ『意志』があるなら、刃交えるも致し方ない。
だが……君はさっき、俺の翳した腕を目にして……"揺らいだ"。
申し訳ないが……君がどんなに有利な武器を手にしたところで……


――――君の『意志』では……戦うには些か足りない。


(翳した血塗れの腕を思い切り振るう)
(飛び散る血潮がショボンの目に襲いかかり)
(振られた手がショボンの銃を叩き落とそうとする)

――フェンリル、今だ!!


132 :名無しになりきれ:2008/12/22(月) 16:46:03 0
原住民…?
ふむ、私が見ない間にそんなに技術は進歩してたのだな。
…まだ、私を殺すような火力ではないようだが。
(ふっと体が軽くなる感触があり、右腕を軽く振る)
………乱れたか。


(Yの声と同時に、一瞬で間合いを詰める)
(そして片手で銃を持っていた手を捻り上げ、もう片方でショボンの首を掴んで持ち上げる)
ご苦労、Y。
『眼』はどうやらこういう戦いには向かないらしいが、貴様自身は心理戦の上手さや確固たる意志がある。
どんな『眼』だろうと上手く使いこなせそうで恐ろしく思えるほど、な。
貴様の能力は見られなかったが―――焦らず、そのうち見せてもらうことにするよ。

さて、マスター…。
この空間を解除してもらえないか?
話はそれからだ。
無論断れば…
(首を掴む手に力を込める)
…いいな?これは取引でもなんでもない、要求だ。
わかればとっとと解除してもらおうか。

133 :名無しになりきれ:2008/12/22(月) 20:28:37 O
………どうしても行くというなら仕方がないな。私には止める権利は無い。
気をつけて行くんだぞ。

最後にこの情報はサービスだ、ここにいるのはカノッサの下っぱだけじゃない。
ではな。
(見送る)

134 :名無しになりきれ:2008/12/23(火) 23:12:58 O
(´ ω `)
なっ!?目、目が!僕の目がぁ!!

(無闇に発砲しまくるが容易に首を絞められる)


(´゜ω゜`)
うぐっ……ひっ、た、助け……命だけは……

(能力を解除する)

135 :名無しになりきれ:2008/12/25(木) 00:11:47 O
クク、今回はこの作戦が適していた……それだけだ。
生憎と、減らず口が効かぬ輩もいるのでな……。
(う、運が良かった……ご先祖の金言が役立つとはな)
(それに……彼はさほど悪人には見えなかったしな)

フェンリル、離してやってくれ……もう打つ手はあるまい。
そもそも彼は、力に目覚めて日が浅い……そうだな?
戦闘中挙動が過敏だったのは、そういうことだろうしな。
そんな彼が、依頼殺人をすらすら出来ようはずがない。

更に彼がずぶの素人なら、最新の銃の調達など笑わせる。
つまり……【依頼人】とやらが、真に見据えるべき黒幕。
もしや彼の《開眼》にも、関わっている可能性があるかもな……。

フェンリルよ……これは一筋縄で済まないやも知れんぞ。
少年。君は依頼から解放された……【依頼人】について、説明してくれるね?

136 :名無しになりきれ:2008/12/26(金) 15:42:44 0
良し。解除したようだな…。
それでは質問に…なんだ、Y。

…そうか、なら離しても大丈夫か。
(ゆっくりとショボンの体を下ろし、手を離す)
【依頼人】か…。
まぁ話だけでも聞いておいて損は無いか。
その【依頼人】とやらがあの遺跡の謎に一枚噛んでいるんだろう?
ククッ、なら尚の事。

…マスター。一度敵対したとはいえ、情報を教えてくれるなら謝礼は弾む。
そうだ、貴様の『眼』の説明もあると嬉しいが…。

137 :名無しになりきれ:2008/12/27(土) 20:01:46 O
(;´・ω・`)
ゲホッ!ゲホッ……ハァハァ。
(くそっ、この僕がこんな目に遭うなんて屈辱だ……けど、
生き残るには答えるしかないか……嘘を見抜く力が無いとも限らないからね……)

(;´・ω・`)
わ、わかった。話すよ。
僕がこの邪気眼に目覚めたのは、今から一ヶ月ほど前の事さ。
ある朝、日課のガチホモ雑誌の読書をしながら新製品のテキーラ飲んで
居た時、急に頭に電流が流れたような衝撃が走ってね。
気が付いたら周囲に酒場が形成されていたんだ。不思議な出来事
だったけど、何故か僕には理解できたよ。これは僕の『力』なんだって。

(´・ω・`)
そうして、ただ酒を飲み放題になウハウハ生活を送っていた所に
現れたのが、あいつ等……『アルカナ』だった。
彼らは、僕の亜狗禁眼の領域の中に突然現れて、僕に言ったんだ。

『自分達に協力しろ。そうすればどんな願いでも叶えてやる』
『しかし、協力をしないならば、お前を殺す』

って、僕に銃を突きつけながらね。
訳がわからなかったけど、僕に拒否権なんか無かったよ。
彼らは僕に邪気眼と能力者、『組織』について話してから、こう命令した。

『復活させたヨコシマキメ遺跡に行き、我々が最深部へと辿り着くまでに
 この事で動き出すだろうカノッサ機関及び全ての組織・能力者の
 ヨコシマキメ遺跡への進入探索を妨害しろ』ってね。

(´・ω・`)
……僕の知ってる話はこれだけだ。
この話は他言しないで欲しい。僕の言われた事はそれだけだけど、
僕が話した事が奴等にバレタラ……バレ、あ、れ……苦し……ゴボアッ!?
(まるで猛毒でも飲んだ様に、突然致死量の吐血をする)

(´゜ω゜`)
……が……な、に……死にた、な……


――――ショボン死亡

138 :名無しになりきれ:2008/12/29(月) 18:25:24 O
ちょwww死んだwwwww

139 :名無しになりきれ:2008/12/30(火) 21:31:45 O
(アルカナ……!? んな奴ら聞いたこともねえぞ!!)
(ここに来て新組織……どうなってやがる!!)

アルカナ……ふむ、タロットカードに出てくるあれか。
大アルカナは、0【愚者】からXXI【世界】の22枚。
それに小アルカナの

14
(1〜10と人物札[コートカード]の【王】【女王】【騎士】【小姓】)

×4(【杖】【剣】【聖杯】【硬貨】の4組)

=56枚を加えて、総数は78枚……。
クク……ただの素人集団ではあるまい。少しは楽しめ……!?
(な、なんだ、『遠隔系』!? そっ、そんな嘘だろッ!)
(しっかりッ、しっかりし……ま、マジかよ……)

……ショボンだったな。貴様の名、しかと覚えたぞ。
フェンリル……まずは、蠅退治をせねばならぬらしいな。
(ショボンの眼を手のひらで閉ざす)

140 :名無しになりきれ:2008/12/31(水) 00:21:37 0
理由もわからぬまま開眼、そして『アルカナ』…。
これは怪しいな…におうぞ。
Y、中々詳しいな?
78枚あるタロットということはその組織もまた…だな。

!マスター?
……チッ、やられたか。
遠隔で攻撃したか、もしくは話したら即発動の地雷型だったか…。
なんにせよ、えげつない奴らのようだな。
……巻き込んで利用して、最終的に殺す…。
こういう輩は―――殲滅しないと。

マスター、貴様は中々の相手だった。安らかに眠れ…。
………そろそろ出向くか。
蠅で済めばいいだろうがな、ククッ。
それじゃあ、事は一刻を争う筈だ。
用意などはしていられんだろう。
(Yを小脇に抱え、足に力を溜める)
落ちるなよ―――『業狼眼・脚』

(両手の甲を光らせ、強化された脚で先程のスピードを維持しながら狼のように街を飛び出す)
(やがて洞窟が見えると、入り口で急停止する)

……さて、さっきのマスターの情報から『アルカナ』は既にこの中だろう。
しかし――暗い。
明かりは此処にあるが…
(何処からか松明を取り出す)
…火はどうやって付けたもんだろうね。
丁度マッチは切れてしまってね…。

141 :名無しになりきれ:2009/01/01(木) 08:39:02 0
すぐに事を済ませるつもりだったが……随分歩いちまったな…

(しかし…これはどういう事だ……
 ここまでに、獣はおろか虫一匹出て来ないとは…)

………嫌な静寂だな…

…ん!?
風が吹いた……?
(何か来る…!!隠れるか…!)



フッ………クハハハハハ…
(隠れるスペースが無いな…)

142 :名無しになりきれ:2009/01/05(月) 18:03:22 O
(く……吐きそうだ、人の死を間近で見ると……)
(ざけんなよ……俺の手に負えるのか……!?)

っ……ここは、遺跡か……。
ろくに道具もなく、先程の傷も癒えてないというのに……。
しかし……まあ、まごついていても始まらないか……。

……貸してみろ。
(松明をコートで覆うと、こっそりライターで火を点ける)
四大要素の基礎ぐらいは、習得して損はあるまい。
さて、そろそれ行くか……そこに落とし穴があるぞ。

む……人の笑い声? かすかに聞こえたが……。
誰か先客がいるようだ……精々、敵でないことを祈るか。
リバイヴから貰った地図と鈴も持った、では……

―――怪物ヨコシマキメの、退治といこう。

143 :名無しになりきれ:2009/01/07(水) 13:22:25 0
…笑い声。それも自嘲的だな。
大方罠にでも嵌ったのか…。

お、点いたか。
いやはや…私はそっち系統には疎いのでね。
なんにせよ貴様は心強いな。
だが怪我してる奴にはそんなものを持たせられない。
私が持とう。
(松明を取り、掲げる)

ヨコマキシメ―――怪物の腹の中にいざ参らん。

…む、この紐はなんだ?
(天井からぶら下がる短い紐を引っ張ると、上から毒蛇や毒蜘蛛がわんさか降ってくる)
…しまった、近道でも出来るかと思ったら…罠だったか。
ククッ、流石怪物の腹の中!
ここは早めに走り去るぞ!

144 :名無しになりきれ:2009/01/09(金) 13:05:13 O
これぐらいなら、慣れれば誰でも出来ように……クク。
(問題は、今の装備でどこまで通用するか、だな)
(くそっ、追い剥ぎなんかに遭ってなけりゃあ……!)

そうだ……フェンリル、遺跡内部のものには極力触れるな。
素人が直感で手を出すと大抵……こういうことになるのだ。
(ぼとぼとと降り注ぐ毒生物を見ながら溜め息をつく)


近道とは大方、床や壁面にカムフラージュされている。
こういった『分かりやすい』仕掛けではない……わかったな。
(手持ちの酒を振りまくと、こっそりマッチに火を点け放り投げる)
(燃え上がる毒生物達)

念の為、だ……よし、お望み通り急ごうか。
――む……人影? いまいち確信が持てんが……。
(……そういえば、何だか痛みがなくなってきた?)
(麻痺か……? 出血も止まっているようだが……)

145 :名無しになりきれ:2009/01/09(金) 22:33:38 0
・・・テケリ・リ・・・テケリ・リ・・・

何かの鳴き声のようにも思えたが、波動自体が不吉さを拡散させていた。
物理的に聞こえたわけではない。ただ果てしない遺構の深奥部から
そう在るように感じられた。

其は確かに存在に能うものだったが
同時に世界の境界を強く感じさせる気配を漂わせていた。

始まりの終わりか、終わりの始まりか・・・
むしろ俺の脳裏には、後者であるようにしか思えなかった。

「阿呆どもが・・・少しばかり遣える程度でも、
所詮はこの星の上での力量に過ぎんことを知るだろうな」

恐らくは数分後にここに到達する者の運命を思いつつ、
俺はその場で影へと潜り込んだ。

146 :名無しになりきれ:2009/01/11(日) 10:44:29 0
鳴動していた。ヨコシマキメ――そう、与枯四万黄女――
冥き邪教の秘典においてさえ、名前だけが記されることを
赦された闇き女神が目覚め始めたのだ。

「馬鹿どもが、だから警告したんだ・・・!」

リバイヴは呻いた。この後に起きることはすでに知って居るからだ。
その背中は哀切に沈んでいるように見えたが、俺は声を掛けた。
もう時間がないことは分かっていたから・・・。
                                     プレート
「阿呆どもがしくじったようだな。・・・おっさん、教えてくれ。真紅の石板は
このままだとどうなる?」

いつものように監視小屋の影の中から身を起こした俺に、
リバイヴは誰何するでもなく答える。

「小僧か・・・。むぅ、常人の手によるモノならば『移動』する遺跡の振動波で
分子レベルに分解されるだろうが・・・あの呪わしいプレートは共に動くだろうな。」
「移動、ね。なるほど」

俺は幻視した。八柱の王子神と飯縄権現、そして東方浄瑠璃世界の盟主である
薬師如来の足下に、紅い闇が集積しているようだった。

「八王子・・・門にオベリスク、これは・・・大学か?・・・リバイブ、先に行っている。」

そうして俺は返事を待たずに、影に潜った。程なくして遺跡が丸ごと移動した先、
八王子の山中にある真新しい大学の門を前にしていた。その門に刻まれていた大学の名は・・・

147 :名無しになりきれ:2009/01/14(水) 18:53:35 0

 「 創 価 大 学 」

148 :名無しになりきれ:2009/01/14(水) 22:55:11 0
「なんだ、またイタズラか・・・」

そう言って初老の警備員は大学名のプレートに貼られたポスターを
無造作にはがした。大学のプレートには、こう書いてあった。

   世界基督教大学

「大学の名前に敵愾心を持っているのかねぇ・・・」
ややあきれた風に警備員は告げると、その場を立ち去ろうとするも、
一連の動作を俺が見ていたことに気づくいて声を掛けた。

「なんだいあんた、こんな朝早くに。・・・まさかこのイタズラはあんたじゃ
無いだろうね。」

「いや、違いますって。・・・今度ここに採用されるかも知れないんですよ。」

とっさの嘘だったが、ここに入り込まねばならないのは事実だった。

この大学の地下に転移した遺跡の励起を防ぐために、
石板を奪取しなければならない。

ひとたび励起すればヨコシマキメは目覚め、都心に侵攻を開始するだろう。
       カノッサ
そうなれば機関の思うつぼだった。

会話も適当に切り上げ、俺は門前を辞した。挑発するような殺気を覚えたからだった。

「そう焦るなよ。」

そう呟いて俺は街へと歩き出した。どうやらここに遺跡が移動してくるところまでは"計画通り"
なのかも知れなかった。

149 :名無しになりきれ:2009/01/15(木) 14:10:05 0
アルコールを撒いたか。
よく燃えるな…。

人影?気付くのが遅かったな。
あそこで立ち往生してたのを見ると私達を待っていたのか、困り果てているのか。
ま、『アルカナ』だろうがなんだろうが話を聞くのがいいな。

(人影から少し離れた位置で立ち止まり、考え込むそぶりをする)
…ふむ。
ところでY…貴様はなんのために此処に来たんだ?
ああいや、なんでもない。
答えなくともいい。

150 :名無しになりきれ:2009/01/16(金) 02:12:31 0
いや……待てよ…壁に化けるか!
この薄暗さだ、そうそう簡単には…!!



………チッ…灯が!!
思ったより早ぇなオイ!

 (獣…じゃあねぇな、人数は……2人…
  面倒はごめんだ、こっちに来るんじゃ無ぇぞ…!!)

 (………止まりやがった…やっぱダメだったか…
  さて……とりあえず無駄な体力は使いたくない…
  攻撃してこないってことは積極的ではないな…よし!)


何だ貴様等、俺に用でもあんのか?
それとも……探し物はこの奥か…?


  (適当にやり過ごすぞ…)

151 :名無しになりきれ:2009/01/20(火) 18:19:13 0
――警告 警告 ”遺跡<K鳴動中 危険 危険 ――
右目の機械式義眼。
イ ー ビ ル アイ
邪 義 眼 が告げる。
私は目覚めた。闇の中で。
ここはどこか?分かり切っている、廃棄された軍需倉庫の中。
朽ち果てた倉庫の深奥、戦闘ヘリ。そこが私の玉座だ。
「機関」は滅びた、だが実際はそうではない。
私が居る。

イービルアイ スタート
邪 義 眼 起 動

プログラム
フ ル オ ー ト マ ニ ヒ ゚ ュ レ イ シ ョ ン
全 自 動 全 械 操 法
システム緊急起動、全システムオールグリーン。
目標ヨコシマキメ遺跡。
倉庫屋上ハッチ解放、特殊攻撃ヘリ「オッドアイ」出撃。

私の名は、ミスタースティアーナ。機関のエージェント。
朽ちかけた翼が蘇り、私はヨコシマキメ遺跡へと飛ぶ。

152 :名無しになりきれ:2009/01/20(火) 20:15:13 O
ふむ……素性が不明となっては、迂闊に近づくのは危険だな。
しかし進展を敢えて望むなら、ここは接触を試みるのも……何だ?
(……り、理由か……難しいな、果たしてどう答えるか)
(易々と嘘を吐く訳にはいかないな。ここは何とかはぐらかすか)

―――クク、お前ともあろう者が。ヒントはもう手にしているだろう。
我が名は<Y>……まあ分からずとも、何れは分かることだ……クク。
(<Y>の宿命――まあ、嘘は吐いてないしな)

とかやっている内に……クク、どうやらあちらさんがお待ちかねのようだ。
すまないな、待たせてしまって……俺の名は――――……!?

(何だ、今のは……何かが大きく動いた、そんな気配がする)
(まさか、【黒ノ歴史】がこんなに早く……いや、そんなまさか)
ホロビ
(千の洪水までは間に合う……まだ間に合うはずなんだ)

……失礼したな。俺は<Y>、こっちはフェンリル。
この《怪物の口腔》、ヨコシマキメ遺跡攻略の為パーティを組んでいる。
クク……貴殿と見えた瞬間、何やら動き出した気配がした。

これも運命の内、よろしく頼もう。

153 :名無しになりきれ:2009/01/21(水) 01:46:15 0
――一方そのころ、ここは大学の食堂。
誰も居ないはずのその場所で、一人の男が朝食を待っていた。
食堂のおばさんはいつもどおり仕込みをし、一膳目の盛りつけを終わらせた。

そこに、忽然と男が座っていた。
学生でもなく、教員でもない、だがこの男は片手に食券を持って厳かに告げる。

「Bランチを貰おうか・・・」

不審な男を訝しげに見るが、そのとき食堂のおばさんは渋々食券を受け取った。
朝一番の配膳。男はトレイを受け取ると、トレイを持って隅の席に腰掛けた。
ふるぼけたTVが一台ある、TVを無造作に点け、ニュースを選択。

男は虚空を見つめると、両手を顔の前に掲げて掌を交差させる。
指で「眼」を形作ると、男はその眼を通して虚空を睨む。
そこで男は、厳かな表情をする。

「それが世界の選択か・・・」
そこで携帯を取り出し、発信する。
「俺だ」

「奴ら≠ヘまた♂エたちとやりあうつもりらしい」
「ああ、わかっている。あいつ≠ネりの選択だな」

「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」

男はそう告げると、寂しげな表情で飯を食い始めた。
そして、それが”合図≠セった。


154 :名無しになりきれ:2009/01/21(水) 21:29:54 0
(世界基督教大学前、男が一人立っている。男は捨てられた「創価大学」と書かれたプレートを拾い上げ、やれやれというふうにため息をついた)

流石に目立ちすぎたか…隠す邪気から考えれば、ここまで軽量化できただけで上出来なのだがな…
…助手A、こいつを校門裏に埋めておけ。

(男は穴を掘り始めた助手を一瞥もせず、そのまま大学構内へ足を進めた)

…まあいい。邪気の隠し方も知らんようなガキの世話など、元より知ったことではない。それよりも今は、こっちだ。

(こつ、こつと、靴の爪先で地面を二、三度叩く)

「世界基督教大学」「邪気眼使い」「ヨコシマキメ遺跡」────その他幾つもの鍵が重なり行き、やがて扉が開かれる。
得てしてそれは新世界への進化の扉か、世界を滅ぼすパンドラの箱か。


しかし私にとってはそんな事どうだっていい。
私はただ、探求あるのみなのだからな。


…なんだA、私は今から遺跡に───何、「食堂の男」が動いただと?
………………………………くそ、忙しい時に掛かる間違い電話、靴紐を結んでる時に来る押し売りか…

…まあいい。私も大学内の邪気眼持ちを確認しておきたかったところだ。
少し大学内の様子を見てくる。お前はプレートを埋め終えた後、隣に穴掘って埋まってろ。

(白衣の裾を翻し、男は大学構内へ歩を進めた)

155 :名無しになりきれ:2009/01/22(木) 16:14:25 0
…そう、易々と明かす気は無いか。
……クククク、何れ分かるならその時までのお楽しみだな。

そうだ、忘れていたが失礼。名は――おっと。


…私達の自己紹介はYの言ったとおりだ。
ふむ、貴様に用があるかないかではある。
特に差し支えなければ答えてもらいたいのだが、この先に誰か居るか聞きたい。
怪しい奴らなんだがな、単刀直入に言うならば私達はその害虫どもを殲滅が一つの目的だ。
貴様がその一員かもしれんが、まぁそうだとしても構わない。

貴様に疚しいことがなければ答えられるだろう。
何、答えたくなければ答えなくてもいい。
世界には黙秘権なるものもあるらしい。
……尤も、そうなれば力ずくで聞き出す可能性も無いわけでは無い。

さぁ、答えてくれるかな?
あまり時間は無いのでね。

156 :名無しになりきれ:2009/01/24(土) 12:38:15 0
フン、貴様等の名などに興味は無い
勿論、邪神の復活にもな
俺の興味の矛先は食えるか食えないか、それだけだ。

  (このYと名乗る男……なんて野郎だ…この俺が邪気を感じ取れないとは…
   目的もなかなかに面倒な奴等だな……巻き込まれるのは御免…だが、
   この話は食い物に変わるかもしれん…)

ハッハッハ、力ずくとは穏やかではないな!恐れ入ったよ!
  (ああ、マジで御免だ、本末転倒だ)
さて、この先に誰か居るか……か、居るだろうな
俺は此処まで、全く力を使わずに来た
リバイヴは「白虎レベルの存在が数多にいる」と言っていたが、
そんなものは欠片も拝めなかった

つまり、この奥に居る者…者達かもしれんが、
ソレは相当な実力を持っているということだ
貴様等二人の手に負える相手では無いだろう

さぁ、答えるべきことは答えたはずだ
これを聞いても貴様等は進むのか?
ま、興味なんて無ぇんだがな
そんなことより俺は腹が減ってんだ

157 :名無しになりきれ:2009/01/26(月) 20:42:38 O
(な、何もそんな脅しめいた口調で言わないでも!)
(邪気眼使いは気が強いな……俺はハラハラしっぱなしだ)

クク――言わんとしているところは分かった。
既にこの『怪物』の牙を、あらかた折った奴がこの先にいる、か。
……確かに有り得る。道中、罠の数もあまりに少なかったからな。

先客がいるとして、もしそれが我々の敵とする組織【アルカナ】ならば。
奴らの目的は『カノッサ機関及び全ての組織・能力者の探索の妨害』。
中で待ち受け攻撃を仕掛けてくる可能性は高いと言える――――が。


……どうも、先程から違和感を感じないか。
前と今とで、じゃ、邪気の質が大分異なっている印象を受ける。
遺跡の階層が……いや恐らくは、【遺跡の外で何かが起きた】。
だが、遺跡の次の階層まで後もう少しというのも事実ではある。

ここは……どちらを優先すべきだろうな。
『遺跡の外を確認しにいく』か、『次の階層の確認を急ぐ』か。

158 :名無しになりきれ:2009/01/27(火) 21:30:34 0
Prrrrrr…

(大聖堂近くの事務室内、黒髪を腰まで伸ばした女が座っている)

──はいもしもし、こちら世界基督教大学大聖堂です。
…え?「我、神の教えに背く者也」?はあ、なるほど……

(声の質が変わる。気だるい声から、どこか調子っ外れの明るい声に)

………はい、こちら出産から暗殺まで、「一人で出来る範囲なら」なんでもおまかせのアスラカンパニーでっす。
へ?…ああ、この間の!その説はどうも。え?…ははあ、成程。人物の捜索…ですか。えー宜しいですよ。
この類はちいと値が張りますが…構わない、と。それでは人物の情報をお願いします。……ふむ、ふむ…「────」さんですか。
写真類は後日、顔合わせた時に…と。了解でっす。場所はあそこでよろしいですか?よろしい、と。はいはいはい…。
あー、それと今回は少し仕事が立て込んでまして、一ヶ月ほど時間を頂きたいのですがいいでしょうか?
構わない、しかし至急…はいはい、ありがとうございます。なるべく迅速に済ませますので、毎度どうも。ありがとうございましたー。

ガチャリ

……ふう。忙しい時に限ってこういう依頼がなあ…ま、いいや。商売が忙しいにこしたことはないってね。

(腰まで伸びた黒髪を束ね、修道服を羽織る)

【怪物の口腔・ヨコシマキメ】…何の因果か知らないが、目の前のお宝を見過ごすアホはいないよねえ。
さーて、チャチャっと強奪に参りますか……うふふふふふふ…

159 :名無しになりきれ:2009/01/28(水) 21:10:07 O
≪大学内≫

………ッ!?
なんだ今の気配?地震と一緒に何か"巨大な"ものが現れた!?

「すげー地震だったな〜今の」

他の連中は気付いてない…それにこの気配の"質"……邪気か――!!

相当手練の邪気眼使いが、それも結構な数が――巨大な気配と一緒に現れた……転送系の能力か?
だとしても一体、どこに…そういえばここの地下は戦前の基地予定地として巨大な空洞が今もあるって話だ…もしかしたら……!!

160 :≪とある大学生の日記・1≫:2009/01/29(木) 17:38:38 0
俺が21歳くらいの時の話。(ちなみに今は27)

小学生の時から10年以上も使ってる机があって、
あるっていっても、もうほとんど使ってない。
つまり、ただの収納器具になっていた。

ある時、何をしようとしていたかは端折るが、ハサミが必要になった。
誰でもたまにクリエイティブな事したくなるでしょ。
普段使わないものなので、そこらを探してもあるわけがなく、
あるとすれば机だった。
大体検討もついている。
一段目の引き出しには電池やドライバーなど、小さいものを適当に入れていた。
めったに使わないハサミがそこに入ってるかどうかは分からなかったが、
ついでに整理でもするか、と引き出しを引っこ抜いた。
中はいろんな物が散らばっていて、ジュースについてきたピンバッジやら、
バラバラのプリクラやら、会員カードやら。
懐かしい気分に浸っていた。



そういう雑貨に埋もれて、見覚えのない封筒が出てきた。

・・・なんだこれ?

161 :≪とある大学生の日記・2≫:2009/01/29(木) 17:40:10 0
その頃、俺はプリクラにはまっていて、
友達と撮っては、貼らずに封筒へ入れていた。
こん中もプリクラかな?
薄いし手ごたえがないから、なんか妙な感じがしたけど、
頭の中ではプリクラだろうと思っていた。
とりあえず開いてみる。



変だな、何も入ってない。
いやいや、光の加減で見えないだけかもしれない、と手を入れてみる。
ガサゴソとさぐるがやっぱり何もない。

不意に変な感触がして手を出してみた。

162 :≪とある大学生の日記・3≫:2009/01/29(木) 17:41:54 0
??

指には2、3本の髪の毛がつままれていた。
不安と焦りで頭が回らない。
この机は新品で買って以来、ずっと俺が使っていた。
なんで髪の毛が出てくるかなんて考えても分からない。
胸の辺りに嫌なものがこみ上げる。
元々幽霊なんか信じていなかったが、こういう不可解な事があると、
やっぱり俺も気持ち悪くなった。

いや、理由があるはずだ。
幽霊なんて信じないし、いるわけがない。
何秒じっとしていたか分からないが、
嫌な汗が風で冷たくなって、落ち着かせてくれた。
とりあえず髪を中に戻す。
そして封筒を見る。

日差しで封筒が透けていて見難かったが、
よく見ると表にはボールペンでこう書かれていた。

「世界一優秀な遺伝子」

・・・・

思い出した・・・
俺が中坊の頃入れた奴だ・・・

163 :名無しになりきれ:2009/01/30(金) 08:11:05 O
"世界一優秀な遺伝子"…だと――!!
かつて"絶対記録(アカシックレコード)"から零れ落ちたとされる108の"クロニクル"のうちの一つ…!
この世界からはとうの昔にロストしていたと聞いていたが…ククク、面白そうな話じゃあないか!

164 :名無しになりきれ:2009/01/30(金) 19:46:34 0
――――ヨコシマキメ遺跡『最深部』。
金髪に血の様な赤目の男がゆっくりと歩いていく……

「……ククク。下郎の邪気眼使い共よ。精々に足掻き、殺し合うがいい。
それが我の掌の上とは知らずに、な」

男の纏う空気は、それ自体が力を持ち、周囲の世界――――
時間から空間に至るまで全てを支配するかのようだ。
そしてその真紅の瞳は、全てを見通しているかの如くただ前のみを見ている。

一度眠ったヨコシマキメを蘇生し――――
停滞世界に外因を持ち込み、時間を与え――――
そして、最後の鍵ももうすぐ起動するだろう。この男の予測通りに……

そうして男は、張り巡らされた数多の防御結界を無いものかの様に破壊し、
男の瞳と同じ、禍々しい赤に輝く『真紅のプレート』に、ついに立った。

「『食堂の男』、××××。此度の貴様らは遅すぎた。
 もはや我の世界は止められん……ククク……ハーッハッハッハ!!」

世界を嘲るように笑う男の後ろには、付き従うように黒い影が多数あった。
それはタロットの『大アルカナ』の数と同じ――――

165 :名無しになりきれ:2009/01/31(土) 11:48:04 0
む…二人程気づいたか…
あまり騒がしくしたくはないが…まあ、この際仕方なかろう。

…ここを開くのも久しぶりだな。とっくに利用価値は無いと踏んだが…さて、なかなか分からないものだ…
(革靴で二、三回地面を蹴る。すると自然に床が捲れ、地下への階段が姿を表した)

…ん?なんだ、「連中」以外の先客が数人いるようじゃあないか。

……フ、面白い。ぬるい大学で暇つぶしのような研究続けて身体も鈍っていたところだ。
準備運動がてら、実験素材にでもしてやろうじゃないか…

166 :名無しになりきれ:2009/02/01(日) 02:55:34 O
・大学構内
(授業の終了に伴って大聖堂から吐き出される人の群。
その流れに逆らって歩く一人の学生がいる)

地下に現れた邪気の奇跡を辿って来てみれば…大聖堂か。
この下にあの"気配"の正体が…灯台下暗しって奴か。
まいったな、"機関"の連中がうろついてやがる…
俺の"倒錯眼"は戦闘向けの能力じゃないからな。
術式も無駄には出来ないし、流石にこの数を相手にするのはキツいか…

さて、どうしたものかね

167 :名無しになりきれ:2009/02/01(日) 17:57:00 0
るりらりら〜♪強奪〜♪盗掘〜♪ボロ儲け〜♪

どれどれ…アスラお手製邪気測定器によればヨコシマキメの反応は…ん、あれ?結構近いじゃん……って、ウチの大聖堂裏かい!
あーやれやれ、灯台下暗したあよう言ったもんだねホント。まーいいや。荷物確認…ハンカチ持った、ちり紙持った、拳銃持った、
アレ持った、ソレ持った、コレ持った…よし。んじゃま、今日も元気に行きますか!

(事務机に「旅に出ます」と書かれた紙を残し、勢いよく部屋を飛び出す)

…さーて、測定器ではここの裏…って、あらら…先客がいたよ。
私は邪気云々は分からないからなあ…ただの一般人なら追い返す。関係者なら…どうしようかな…ま、とりあえずカマかけときますか。

やいこらそこの少年、誰だか知らんが教会の裏は死霊の溜まり場。憑かれたくなかったらとっとと帰れ!

168 :名無しになりきれ:2009/02/02(月) 01:25:29 0
…………ふむ。
そいつらが強かろうがなんだろうが、別にいいが…。

違和感ね…。
此処はあくまでも遺跡、そしてあくまでも敵は先に居る。
なら……言うまでも無く、次の階層へ行った方が良い。
遺跡の外を確認してからだと二度手間になりかねない。

ところで、白虎レベルの奴らがわんさかいる中で……本当に倒して行ったのか?
もしそうなら、その死体やら残骸、肉片……体毛くらいはあるだろう。
だがそのはずなのに『何も残ってない』のは異常だと思わざるを得ないんだ。

(しゃがみこんで地面に手を触れる)
ほら、此処もあっちも乱闘の跡すら残ってない。
つまり、これは……・……いや。後に分かるだろう。
今は先に進むのが先決だ。

おい、Y。ちょっとその地図を見せろ。
…………お、丁度此処は上下に通路が交差しているんだな。
なら――――二人とも身構えておけ!
『業狼眼・拳――破壊特化』!
(右手の甲で目の形に光り輝き、ローブから覗く右腕は狼のように毛で覆われる)
(右拳を振り上げて――思い切り、床に叩きつける)

169 :名無しになりきれ:2009/02/02(月) 13:03:18 O
・大聖堂裏
(不意に背後から声を投げられ思考を中断する。振り向けばそこには修道服を着込んだ女が立っていた)

おっと、大聖堂の関係者か…?ここで俺の素性が露見するのはマズい…

だが今この女は何と言った?"死霊"…?

古から邪気眼使いはその性質故に"死霊の遣い手"と呼称されていたって話だ。
邪気に疎い人間の中にも"それに近い"ものを感じとれる者達が好んでそう呼んだらしい…

目の前のこの女…十中八九この"巨大な気配"について"それに近い"解答を得ているッ…!!


ああすいません、この大学で考古学を専攻していまして、ここの大聖堂について興味深い記述を見つけたもので。
――宜しければその"死霊"について、詳しくお聞かせ願えませんか?

170 :名無しになりきれ:2009/02/02(月) 19:28:25 0
…うーむ…微妙な所だね。邪気はまんま死霊の類と置き換えられるから、この場所を心霊スポット扱いされても不思議はない…か


あー、えーっと、学生さんかな?悪いけど、私の言った事にそんな大層な意味は無いよ。
…でも、まあ、聖なるものの影に悪しきものありって言うし、大抵の教会は裏が墓場になってるし、死霊が溜まってるってのも案外当たってるのかもねえ。

んで、今からお姉さんちょーっとお払いに行くのよ。死霊払い。はっきし言って邪魔だし、そことっとと退いてくれないかな?
(言いながら、こっそり修道服の中から拳銃を用意する)

171 :名無しになりきれ:2009/02/02(月) 20:49:36 0
ほう…死霊払い、ね。
目の前の女からは邪気らしきものを感じないが、仕草や身のこなしから漏れ出る微かな殺気、血と鉛の匂い……
只者でないことは確定的に明らかだ。なるほど、聖職者ならば邪気払い(アンチイビル)
に該当する技術を習得していてもおかしくはないが……カノッサの関係者だったら洒落にならんな

だが……潜り込んだこの大学でやっと掴んだ手がかりだ。
"108のクロニクル"のひとつ、"黒の教科書"を見つけるまでは諦めるわけにはいかない――!!
使うか?"倒錯眼"――(気取られぬように僅かに右目に力を込める)



――そうですね、わかりました。邪魔するわけにも行きませんしね

それに……どうやら中に居る"死霊"とやらは鉛弾で殺せる類のもののようですし

172 :名無しになりきれ:2009/02/02(月) 22:59:21 0
【ヨコシマキメ遺跡中層域】

(横穴にて、短髪の男が身を横たえている)

遺跡に潜って早三日… 不味い
進路も退路も分からん。疲れた。腹減った
何より… 飽きた。何も見つからねえじゃねえか、ココ
発見できたのは、『アルカナ』とか言う… タロットヤロー共
五人は追っ払ったが… 一体、何人潜伏してやがる
挨拶もなしに殺しにかかるとは、ったく。堅気じゃねえな。…俺もだけど

…ここにならば、あのカノッサ機関に関するブツもあるかと思ったが、
そうはいかねえか。所詮は連中も、時流の徒花だったって事か?
所詮は―― 俺の骨折り損かよ

しかし暑いな。なんか蒸し暑い… 土から染みた瘴気か? 或いは魔力か…
何にしても、一寸ヤバいかも…… 畜生め。動くか

(傍らにあった、冒険者の遺骸と思わしき頭蓋骨を無造作に殴り潰し、立ち上がり歩き出す)

173 :名無しになりきれ:2009/02/03(火) 14:06:51 0
そう、詰まりそう言うことだ

成る程、アルカナとやらはこの遺跡に眠るモノを独占しようとしている訳か…
リバイヴが言っていたのはコイツらのことだったか
  (何処の組織だ?アルカナ………アラカルト的な何かか…?
   そしてこの遺跡に眠るモノ……思い出せ…在籍中の記憶を………
   っく……記憶に…弾かれ―――待て、待てよ…ここは……違う、この場所は…!!)

ん、何だ?違和感…だと?
しまった!地上に感じる邪気が多くなっている…!!
どう言うことだこれはッ!!アルカナの伏兵か!?
いや……この感じは、振動波の余波か…!
っふ……諸君、どうやら元居た場所にはもう戻れんようだぞ…

だが、急いでいるならフェンリルの言う通りだ

俺は跡形も無く消し去る程の力を持っていると踏んだんだが…
―――…成る程、見る目は確かなようだ
さて、俺はこの辺で失礼……「二人とも」…?
お、おい貴様何をする気だやめろ俺は一緒に行くなんて一言も言ってn

《ドゴオオオオオオォォォォォォォ!!!!!》
《床が崩れ落ち、三人を飲み込む》

ぐぅォオオッ!?床がッ…!!
南無三…!『魔溜眼』、衝撃吸収!!
《空中で体勢を整え、手を着いて音も立てずに着地する》
………ふぅ…やってくれるな…!
周囲の安全を確認しろ
全く食えねぇ奴等だ、しょうがねぇから手伝ってやる

174 :名無しになりきれ:2009/02/03(火) 23:26:07 O
(……ん? 元居た場所には戻れな……や、やばい!!)
(それじゃリバイヴ呼べねえじゃん!! どうすんのこれ!!)
(結局こうなるのか……嗚呼、我が命運尽きるなかれ)

……探索の妨害が目的なら、罠を一掃したのは短慮だったな。
しかし、あるいは罠か……クク、最悪既に事を終えているやもしれん。
いずれにせよ、確かめるしかあるまいな……探索続行だ。

と……クク、地図など見てどうする。この先は直進3時間……。
……は? おい……一気に中層まで落ちるつもりか、バカな真似は

(南無三)
(崩壊する地面に飲み込まれる)

ちょおおまじざけてんじゃねえぞこらあああ―――……

(素の叫びが轟音に掻き消され、暗転)


…………。
……3時間のショートカットとはいえ……些か無理が過ぎる。
どうやら人の気配もする……賑やかになりそうだな、クク……。

(土塊の山から這い出ると、砂だらけのフードをはたき)
(あまりの衝撃に土気色の顔を、さり気なく適当に気配のしそうな方へ反らす)

175 :名無しになりきれ:2009/02/04(水) 20:45:25 0
クックック……平和で簡単な手段もいいが、危うき道を辿って目的を達成するのも一興だ。
(崩れた岩の頂点から、二人を見下ろすように立っている)
それに災い転じて福と為したようでもあるしな。ククッ
(リーを見据え、喉を鳴らして笑う)
なに、上に戻れないという心配はいらんよ。
この程度なら十分私は登れる。
あとはロープで引き上げれば万事解決さ。

……そうそう。
この様子を見る限り、此処からが本番のようだな。
見てみるがいい、かつて欲望のままにこの遺跡に迷い込んだ盗賊どもの成れの果てを。
誰も戻ってこなかったという怪物の片鱗に触れた者を。

(周りを見れば、幾つもの白骨死体が転がっている)
(大体数十年前のものも、数年くらいのものもある)

こいつらは何を思って怪物に挑み、何を思って死んだのか。
それがどんなものだろうと、怪物には無関係。
こうならないように気をつけなければな……。

――――では、先に進むとしよう。
こっちだな。

176 :名無しになりきれ:2009/02/04(水) 20:52:51 0
コツ、コツ、コツ、コツ、コツ、コツ…

……怪物の口腔「ヨコシマキメ」…ふむ、実際に見てみるとまた壮大なものだな。
多くの文献にその存在を匂わせつつ、実態を少しでも探ろうとすれば煙の如く掴み所が無い謎の遺跡───まさに、研究にはうってつけという訳だ。

しかし一人で調べるには少々大きいのも事実──ふむ、「目」を増やす必要があるな。

(懐からピンポン球程度の大きさの玉を三つ取り出す)

三つ程で十分か。
(白衣の男が遺跡の方へ指を差すと、そこ向かって「目」がそれぞれ遺跡へ飛んでいく)

さて、私は───とりあえず、正面から行くか。
…招かれざる客も少なくないようだ。少し急ぐか。

177 :名無しになりきれ:2009/02/06(金) 18:32:34 0
よし、すぐ近くには敵影無しか…
だが潜伏している可能性も有る、警戒を怠るなよ

さて、ここは中層か
道案内は任せるぞ、尻拭いは俺がやってやる

《改めて辺りの様子を見遣る》
本当に骸が多いな…
  (昔を……思い出す…)
チッ…!死霊が!!
貴様に用は無い!
死せる者共に安らかなる眠りを…―――臨兵闘者皆陣列在前…行ッ!!

しかし……っく、邪気の残留が濃いな…そしてこれは………
やはりここもか…空間が所々歪んでいる…
引き込まれれば……っふ、骨にもなれんぞ…!
  (そう考えれば降りた所に『歪』が無くて良かった…
   不幸中の幸いだな………この調子で何か喰いたいもんだ…)

178 :名無しになりきれ:2009/02/06(金) 22:22:51 0
拳銃に気づいたか。…うーん、業界の人である事は確定かな。

…やれやれ。「金のなる木を見つけても金を得る事は容易じゃない」か。当たり前だけど面倒くさいなあ…
同じ組織なら話は早いんだけどなあ…シャイアーテックスは壊滅したっていうし、生き残ったのなんてそれこそ末端の末端の私くらいだよねえ。
カノッサ…結城…もしくはフリー?なんにせよ、お宝が目的って風じゃないねこの人。それなら楽でいいんだけど…


え?あー、うん。素直に従ってくれるってならそれに越した事はないよ。アンタを死霊の仲間入りさせるのは「簡単だけど本意じゃない」からね。
んじゃ、後は専門家に任せてとっとと帰りなさい。しっしっし。
(でもどうせ尾けてくるんだろうなあ…ま、いいや。宝探しの邪魔するなら、そんとき殺せばいい)



……さて改めまして、と。

えーっと確か…ここと…ここと…ここかな?
(指で何箇所かの草むらや壁をなぞる。するとかちゃりと音がして、奥の墓石が動きだした)

…よしビンゴ。そんじゃあ後は…ちょちょいのちょいっと。
(墓石の下に現れた階段を下り、墓石を戻して地面との接続部に細工をする)

オーケー、起爆装置接続完了。後は…逃げろっ!

179 :名無しになりきれ:2009/02/07(土) 22:49:21 0
やはりな。堅気じゃないことに気付いた瞬間、目の前の女の雰囲気が変わった……

一瞬だけ漏れ出した殺気をすぐに押さえ込むあたり、一流と言わざるを得んだろう。
ここでことを構えるには少々リスクがでかすぎるか。どんな隠し玉を持ってるかわからんしな。

(追い出されるように踵を返し、墓地から出る)

まぁいいさ。お手並み拝見といこうか



(修道服の女はいくつかの手順を踏み、開いた墓石の下へと消えていった)

……ふむ、この下に大空洞へ続く通路があるのは間違いないようだ。
問題は何があるか、だ。

気配を読み取るに『何か巨大なもの』がこの下にあることは分かっている。
だが逆に言えばその気配が途方もなく大きいこと以外は何も知らないのだ。俺は。
チッ、組織の後ろ盾さえあればもっと楽にことを運べただろうに。
この探索が終わったらパトロンでも探すか?『探求者』を拾ってくれる組織があったらな。


――ふむ、同時に現れた複数の邪気が押しつぶされていないどころか内部で自在に動き回ってるところを見るに、
『それ』は巨大な建造物……か?だが一体何のために?どうやってここへ?

……いかんな。理屈っぽくなりすぎだ。邪気眼は『なんでもあり』の能力。そこに常識は通用しない。
案ずるより生むが易しとでも言うべきか。とにかく行動あるのみだ。






180 :名無しになりきれ:2009/02/07(土) 23:30:07 0
(修道女の気配が完全に消えてから墓地へと足を踏み入れる)

さて、ストーキングの開始だ。
年上の女って時点でいまいちモチベーションが乗らないが、贅沢は言うまい。

……これがさっきの墓石か。他のものと比べてもなんら遜色のない普遍的な墓石。

さっきあの女は俺が尾行しようとしてることに感づいていたはずだ。警戒の気配は終ぞ消えなかった。
にもかかわらず手順を隠しもせず堂々と中に入っていったあたり誘ってるのか、罠なのか、あるいは――
もとより眼中にないか、だな。おおかた後々にでも始末できると考えてのことだろう。それは俺も同じだが。

あの女の使った手順なんざ覚えてないが、俺にとっては『ここが開く』という事実だけで十分だ。

(墓石の前に立つと、懐から鍵を取り出す。一般家庭の玄関に使われる普遍的なものだ)

自宅アパートの鍵だがこれでいいか。さぁ、行くぞ。
"倒錯眼"、発動――『鍵で開く』行為を『目の前の隠し扉』に適用する……!!

(鍵と墓石が極彩色に輝き出す。開錠するかのような動きで鍵を捻ると、カチリと音がして墓石がずれた)

俺の"倒錯眼"は『行為』の『対象』を意図的にズラす能力。俺の鍵は全ての扉を開けられる。
『学生証による身分証明』を『この大学』にズラせば、どの大学にも学生として潜り込めるって寸法だ。
諜報活動にはこれ以上ないってぐらい便利な能力だが、戦闘で使うには心もとないのが玉に瑕だな。

さて、仕掛けが作動してないから人力でこの墓石を動かさなきゃならんな。
くっ、重い………………よし動いた!――ん?何かバネの弾ける音がしなかったか?

(ふと下を見れば、爆弾と思しき物体がその性能を如何なく発揮しようとする最中だった)

ブービートラップ!?――やってくれる!

(刹那をもって邪気が展開し、学生の体を包み込む。直後、爆炎がそれを飲み込んだ)

181 :名無しになりきれ:2009/02/09(月) 01:09:16 0
>174 >175 >177
・・・? 何か急に気が楽になった気がするな
暗鬱の闇夜から、燦然の東雲へ抜けたような――
悪夢の朝に飲む一杯の水のような――
なんやかんやな―― 少しだけ良い気分だな
フン、誰か浄化の術式でも唱えたか? 僥倖だな・・・ あ

(Y、フェンリル、リーを遠目に見つけ、指差しつつ俄かに殺気を露とする)

おいそこの手前ら! なんだこの、冴えねえ雁首揃えくさって
アレかおい、まさかアネモネ・・・ 違う、またアルカナとかいう連中かよ
もしそうだとしたら、戦闘は止しとけ。勝負はもう決まってる。お前ら勝ち目ゼロだ
翻って、手前らの答えがNOだとして、尚且つそれが嘘だとしたら、
手前らはこれからスットボケ三人組と名乗る事を命ずる
万が一、手前らが真実アルパカに関わりない者だとしたら、
今までの俺の暴言を許しつつ、大まかでいいから出口の方角を教えてくれ

俺の提示した選択は以上三つ。選べよ

・・・ムカついたか。ムカついて結構、ヒトが俺の思うままに感情を揺るがすのは愉快だ
さァて、どうするよ?

182 :名無しになりきれ:2009/02/09(月) 02:31:18 0
現行まとめ?


名前              能力        目的                      現況

Y               無能力    ヨコシマキメ攻略      ヨコシマキメ遺跡中層域にて短髪の男と邂逅
フェンリル          業狼眼       同上                      同上
リー             魔溜眼    内部の生物を『食う』                同上
 
リバイヴ          水葬眼     侵入者への警告        ヨコキマシメ遺跡跡の小屋で監視

修道服の女(アスラ?)  ???    ヨコシマキメ盗掘     世界基督教大学大聖堂裏からヨコシマキメ突入

学生             倒錯眼   "黒の教科書"入手   修道服の女を尾行するも仕掛けられたトラップに遭遇

食堂の男          ???       ???           どうやらブッシュは俺達とやる気らしい

短髪の男          ???       ???       ヨコシマキメ遺跡中層域にてアルカナと交戦、立往生

白衣の男          ???       探求         世界基督教大学にてヨコシマキメへ向かう途中


こんなところか?追加あったら頼む

183 :名無しになりきれ:2009/02/09(月) 03:02:25 0
世界観まとめ

邪気眼…人知、自然の理、魔法すらも超えた、あらゆる現象と別格の異形の力

包帯…邪気を押さえ込み暴発を防ぐ拘束具

ヨコシマキメ遺跡…通称、『怪物の口腔』
            かつての戦禍により一度は焼失したが、謎の人物によって再生された。
            内部には往時の貴重な資料や強力な魔道具が残されており同時に侵入者達を討ってきたトラップも残存している。
            
カノッサ機関…あらゆる歴史の影で暗躍し続けてきた謎の組織。今回の件にも一枚かんでいる

アルカナ…ヨコシマキメの復活に立ち会い守護する集団。侵入者はもとより近づくものすら攻撃する。
       大アルカナと小アルカナがあり、タロットカードと同数の能力者で構成される。

プレート…力を秘めた古代の石版。適合者の手に渡るのを待ち続けている。

世界基督教大学…八王子にある真新しいミッション系の大学で、大聖堂の下には戦時から残る大空洞が存在する。

108のクロニクル…"絶対記録(アカシックレコード)"から零れ落ちたとされる遺物。"世界一優秀な遺伝子"や"黒の教科書"等がある。

邪気払い(アンチイビル)…無能力者が邪気眼使いに対抗するべく編み出された技術

残りたのむ

184 :名無しになりきれ:2009/02/09(月) 19:12:17 O
>>182-183
ふむ。ご苦労だったな

185 :名無しになりきれ:2009/02/09(月) 23:08:44 O
(コイツら相手に、俺の命は1つで足りるのか……)
(まあやるだけやるか……折角の生の能力者だしな)
(こちとら遊びじゃねえ……何としても生還、論文を仕上げる!)

白骨の骸か……クク、《怪物の口腔》ヨコシマキメ遺跡に相応しいな。
まるで喰われた後、胃液に溶かされた様のようだ……笑えぬがな。

(し、しりょー? なんだかいつの間にやら馴染んでるな……)
(流石は邪気眼使い……当時の石碑にも、『邪気眼使いは惹かれ合う』と記されただけはある)

(ん……なんだ、板きれ? 木製ではないようだな)
(一応拾っておくか……なんかの役には立つだろ)

……む、遭遇か。こうも立て続けとは、運命の思し召しか?
(落ち着いていけ……やればできる……明日を諦めない……)
(何とか戦いにならないように……誠意を見せる……よし)


――――(ゆらりと近づき、包帯を巻きつけた左手を差し出す)
我が名は<Y>……2人はフェンリルとリーだ、宜しく頼む。
遺跡の探索をしているが……汝はどうやら、迷いの仔羊のようだ。

―――いやどうやら仔羊と称すには、些かか弱さが足りぬか? クク……。
(フードの奥で笑う)

186 :名無しになりきれ:2009/02/10(火) 21:05:50 0
────爆音?

墓石を破壊した音は聞こえなかった───ってえ事は…アイツ、どうやってここへ入った?
アイツの死角にあたるレンガを操作したから私の手順を真似たという可能性は消える──別ルートもしくは横穴?だったら爆音はしない筈。

…結論はひとつ。「自身の能力を使った」だろうね。
この材料から推測できるアイツの能力…つまり「墓石を消滅させる事が可能な能力」もしくは「開かない扉を開く能力」…後者なら一見の価値がある!


(爆炎が収まり、煙の中から修道女が身を躍らせる。学生の背後に立ち、拳銃をつきつけた)
…オーケー兄さん、両手を上に上げて気をつけの姿勢を取りな。
安心しな、別にとって食おうって訳じゃない。少しおねーさんとお話しない?

(一人くらい邪気が感じ取れるヤツが欲しかったし…利害がぶつかりさえしなけりゃ、手を組むのも一興かな)

187 :名無しになりきれ:2009/02/10(火) 23:06:49 0
(大聖堂裏、爆炎と爆煙の冷めやらぬ傍で、黒い靄に包まれた学生が立ち上がる)

――危なかった。
あの女本気か?咄嗟に邪気で防護壁を張ってなかったら腕の一本や二本じゃあ済まなかったぞ……
だが、これで確証が得られた。『殺しを厭わない覚悟』と、『それを有するだけの価値』が、この下にはある。
財宝か?資料か?魔道具か?あるいは、

――"クロニクル"か。大規模な次元振動、それに伴なった気配の移動。この世界からロストした遺物が
『歪』に巻き込まれて不時着している可能性……!!ククッ、考えるだけで垂涎ものだ……

(爆発の余韻が消え、入り口へと踏み出そうとした瞬間。眼前の煙から修道服の女が飛び出してきた)

チィッ!!待ち伏せか……!!

(即座に戦闘態勢に入ろうとするが、邪気を纏う前に背後に回られた。背中に硬い感触を得る)



……驚きだな。その身のこなしといい、制圧までの淀みのなさといい、アンタ本当にシスターか?
オーケー解った。手を挙げよう。敬語?もう使う必要はないだろう。所詮学生は隠れ蓑さ。
とりあえずその銃を降ろしてくれ。なに、俺の能力は戦闘には向かなくてね。アンタには勝てない。
それに――

知りたいことが山ほど有るんだ。

188 :名無しになりきれ:2009/02/11(水) 20:48:53 0
ほう、先客か…。

Yの言ったフェンリルというのが私だ。
さて、貴様の言った選択肢。
その最後だ、アルカナではない。
道も教えてやるが……残念ながら戻ることは出来んのだよ。
一に、途中で大穴が開いて通れない。
二に、これは推測だがこの遺跡は転移した。
無事入り口に辿りついたとしても元の場所ではない。

(不敵な笑みを浮かべる)
だが、戻るための手段は私が知ってる。
その手段は一度遺跡の奥の奥まで行かなければならんが。

では…貴様は入り口に行くか?
それなら向こうだ。

189 :名無しになりきれ:2009/02/12(木) 21:12:33 0
  (―――ッ!!殺気!1つ…何処からだ………
   ……………そこかッ!!)

『魔ry―――』
《指を指した男の声に遮られる》

……フン、随分と肝の据わった野郎だな
気に食わねぇ…
        ア ン コ ウ
肝を喰うのは仄暗き深淵の太公望に限る

アルデンテはどうやら……
いや、アルカナはどうやらこの二人にとって倒すべき敵らしいぞ
俺はなりゆきで手を貸しているだけだが…フン、後は聞いての通りだ…



―――だが………
《後を向いて数歩歩く》
《素早く振り返り、張り詰めた邪気を纏って身構える》

……Y、テメェ何者だ…
何故、 俺 の 名 を 知 っ て い る !
俺は貴様等の前で名を名乗った覚えは一度も無い
正直に言えよ、テメェ……カノッサの人間か…?
《静かに右手に力を込める》

190 :名無しになりきれ:2009/02/12(木) 21:24:18 0
(知りたいこと…ね。それはこっちも一緒さ。
 ハッタリが通用する状況下でその言い草…つまり、少なくとも隙あらば刺してくるような奴ではないってことか)


チャキッ

(背中に突きつけた銃を降ろし、修道服の中に放り入れる)
初対面だってのに失礼したかな?ま、勘弁しておくれよ。こうしなきゃ長生きできない女なもんでね。

…聞きたい事、ねえ。私の不利益にならない範囲でなら教えたげるけど、代わりにこっちにも二、三教えてもらうよ。
まず一つに、アンタの目的。二つ目はどうやって墓石を開けたか。(ま、とりあえずはこの二つかな…)

…名前も知らない女にそこまで言えないって?仕方ないな…
私の名前は…えーっと…「アスカ」。見ての通り、「純情可憐な」「どこにでもいる」「美少女」シスターさ。

191 :名無しになりきれ:2009/02/12(木) 23:05:51 0
【背後からの殺気が消え、銃の感触が離れる。膠着していた状況に終わりが見えた】

(……ふぅ、とりあえず命の危険はないな。せいぜい情報元とボディーガードにでもなってもらうさ)

アスカ、ね。オーケー姉さんとりあえず胸に手を当てながら鏡を見つつ免許証でも確認することをお勧めする。
……わかった、わかったから銃を向けないでくれアンタのそれは洒落になってない。質問に答えよう

俺は先刻言った通りこの世界基督大学で考古学部の学生をやってる者だ。"こっち"じゃヨシノと呼ばれてる。

目的は"黒の教科書"の入手……聞いたことがあるだろう?"108のクロニクル"だ。"千の洪水"の体現、【黒の歴史】を記した禁書として名高いが、
情報規制がやたらに厳重でね、『この大学に存在すること』と、それが『大学内には無いこと』のみが俺の持つ手がかりだ。

(能力まで馬鹿正直に明かす必要はないな……未だ得体の知れない相手だ)

墓石は俺の能力で開けた。お察しの通り、俺は"邪気眼使い"、あらゆる鍵を開ける『倒錯眼』を持ってる。
姉さんアンタは"違う"な?能力柄、邪気には人一倍敏感でね。包帯もしていないようだし。

さぁ、今度はこっちの質問だ。まずはアンタが何者か。それから『この下』には何があるんだ?

192 :名無しになりきれ:2009/02/13(金) 02:56:43 0
>185
・・・何が宜しくだ。初めて遭った連中といきなり宜しくするかよ

(拳銃を取り出し、差し出された左手に向ける)

つーか・・・ あァ、答えになってねーんだよ
提示した選択肢に沿わない、不当だ。駄目ダメだめ・・・ 期待外れだ
いや、期待を誘うほどの甲斐性のある風貌はしてねえか、手前らは。ケッ
・・・どうもアレグロの一味じゃねえらしいな。フン、まあいい

甲斐性ナシの手前らに忠告だ。ここら一帯はなーんもねえぜ。無駄足だったな
下層まで行ったところで、目ぼしい物が見つかる気色も、外に戻ってこれる保障もねえよ
俺は仔羊で済んでるかもしれねえが、手前は山羊程度の格かもな
ストレイシープに、スケープゴート・・・ 遺跡の闇に呑まれるぜ。・・・カシになっちまいな

>188
へェ、こっちは話の分かるヒトだ。それでいいんだ、会話が成立すると心地良い

(拳銃を収めて、唇の端を釣り上げる)

で、帰り道が・・・ 何? 冗談・・・ どこのタコ野郎だンなことしたのはッ
穴はまだ良し、転移!? この遺跡を丸ごと? 馬鹿げた魔力だ
・・・まあ何でも良い。こんな陰気臭いトコから、帰れるのなら――

>189
――いや、もう少しここで話を聞かせてもらうか
喧嘩か? 良いぜ。湿ったところで景気づけすりゃ良いさ・・・ 見ててやるから
アンキモ野郎ととカシ候補の勝負なんざ滅多に無い大一番だからな
そして、カノッサ・・・ カノッサね。良いタイミングだよ

193 :名無しになりきれ:2009/02/15(日) 21:59:55 O
(ぐあ……またも強烈な個性の持ち主が現れたな)
 ジャキガニスト
(邪気眼使いってこんなんばっかだな……流石というか)
(い、いかん、集中集中! 呑まれたら即座にバレる!)

ククッ……期待に添えず申し訳ない……が、この方が楽しかろう?
我にとっても、汝にとっても……それにしても、【山羊】か。
山羊とは悪魔の象徴だ……尤も、千に比ぶれば666などまだ可愛い。

転移……ほう、なる程。それなら辻褄が合うかもしれんな、フェンリル。
この邪気の異質さから見るに……余程遠くへと跳ばされたらしい、クク。
(出任せばっかなんだけど、これ会話成立してんのかな)


…………。
(あ、あれ、自己紹介されてないっけ……何で知ってたんだろう)
(い、いかん取り敢えず弁明しねえと……脳髄フル回転!)

それは……<カノッサの人間なら知っていてもおかしくはない>。
そういう論法だな……ククク、なる程。だが何、安心したまえ。

ジャキガニスト
邪気眼使いというのはそも特徴が強い……汝なら尚のことな。
ましてや、千里を走る類なら更に尚のこと……カノッサである必要はあるまい。
まあ念の為に言っておくと、そういう情報筋を持っているのも確かだ……クク。

(よっしナイス説明俺! これなら色々理が通りそうだぞ)
(同じ「昔」の人間として動いた方が便利そうだしな……)
(……待てよ、ジャキガニストって専門用語、当時使われてたっけな……)

194 :名無しになりきれ:2009/02/15(日) 22:29:58 0
(改めて銃を、安全装置を外した状態で修道服内に放りこむ)
…は、いちいち細かい所にツッコんでると長生きしないよ。

ヨシノ…ね。へえ…(ただの学生…ねえ。どうだか…)
黒の教科書?ああ、名前くらいなら聞いた事がある。……ふんふん、そいつがこの下に埋まってる、と。

(桁外れの力を持ったが故に作成者が自ら封印したという伝説の魔書か…金…にはなりにくそうかな…
 …まあ、私もこういう家業やってる手前、一度拝んでみたいって欲が無い訳じゃないけど……)

私?…あー…(…まあいい、明かすかな)ほれ。
(名刺を飛ばす)
助産婦から殺人まで「一人で出来る範囲で」請け負う何でも屋さ。そっちじゃアスラと名乗ってる。以後、会う事があればご贔屓に頼むよ。

…で、この下に何が埋まってるかだっけ?

《怪物の口腔》ヨコシマキメ遺跡。アンタも名前くらいは聞いた事があるだろう?
十重二十重のトラップ、無限に増え続ける怪物共、力尽きた冒険者は、邪気にあてられて死霊となる。
帰還者ゼロのこの遺跡はやがて《怪物の口腔》と呼ばれ、向こう見ずな冒険者達をただ飲み込み続ける────。

だ・け・ど。

深部にはかつて栄えた古代文明のロストテクノロジーやら
伝説上にしか存在しないはずの魔法使いさんが自分の命削って作り上げたという超伝説の魔道書やら
幾多の戦場で数々の武勇を打ち立てた歴戦の勇者様の愛用していたいわくつきの剣(遺品)やら
七つ集めるとギャルのパンティーから不老不死までなんでも願いをかなえてくれる玉やらがわんさか埋まってるという、まさにお宝倉庫ってわけ。
私の目的は…(瞳に\を輝かせつつ)言わないでも分かるだろう?


…さて、これは提案なんだけど…。

お察しの通り、私は邪気眼使いでないただの人間。これが普通の遺跡ならいいんだろうけど…なにせ舞台が舞台だ。
邪気眼使いと戦うのも、一回や二回じゃ済まないだろう。…私も腕に自信がないって訳じゃないけど、相手が邪気眼使いとなると少々分が悪い。

そこで…ね、少しばかり手を組まない?
アンタ戦闘向きじゃないって言うし、互いにとって損はないと思うけど。

195 :名無しになりきれ:2009/02/16(月) 02:49:05 0
【アスカから名刺を受け取り、その紙面に目を通す】
(アスラカンパニー……裏社会で名前『のみ』有名なアレか。神出鬼没にして正体不明の凄腕何でも屋、彼女がその?)

……へぇ、姉さんアンタが。会えて光栄だな。どうりで仕草から身のこなしまで尋常じゃないモノを感じるわけだ。
(本気で危ない橋だったな……一歩間違えてれば文字通り死霊の仲間入りだ)

それで、この下には何が――なっ、ヨコシマキメ、だと?(よりにもよって《怪物の口腔》が?何でまたこんなところに……)

確かあそこは龍族と聖獣のテリトリー、遥か異国の地で復活して以来何の音沙汰も……
成る程、先刻の転移術式か。さしずめ怪物の次の獲物がこの国この街この大学ってとこだろう

(姉さんの口ぶり、八王子のど真ん中に遺跡があること自体は異常と認識していない?
 ってことは、ヨコシマキメの転移はそう大事件でもない。恐らくは一定の周期で定期的に移動を繰り返しているのか)

そうやって各地を巡って、財宝や怪物、ヒト、邪気その他諸々を喰らってきたわけだ、この大食漢は。
溜め込んでる『腹の中』も相当なものだろう。ただでさえ『当時』の宝はA級国宝クラスの逸品ばかりだ。
……ならば、俺の愛しの"黒の教科書"もまず飲み込まれていると見て間違いないだろう。潜ってみる価値は大いにある

むしろ飲まれて良かったと言うべきか?漠然と探すよりこのまま怪物の腹を抉り出した方が手っ取り早い

(そう、ヨコシマキメはそのものが巨大な生物、言わば『生きた遺跡』。そして必ず、怪物の手綱を取ってる奴が居る……)


ふむ、手を組もう、か
確かに俺は鍵開けと邪気感知ぐらいしか出来ない。アンタは相当腕が立つが無能力者。
遺跡の中に入れば戦闘は避けられないだろう。他の盗掘者や探求者も潜ってるだろうから争奪戦になる。

――厄介だな。中で待ち受けてるのは死霊か?獣か?『当時』の能力者達か?……その全て、だろうな。
姉さんアンタが求めてるものがどれほどの価値かは知らんが、少なくとも命は一つじゃ足りないだろう。

だから、俺の命を貸そう。
アンタの提案に全面的に強力する。よろしく頼む、姉さん。

……そうだ、手を組むからにはアンタに対する『誠意』の提示が必要だな。【懐から懐中電灯を取り出す】
俺の能力は『倒錯眼』。鍵開けはそのごく一部分でしかない。今からさらにもう一部分、見せよう

『倒錯眼』発動――懐中電灯で『照らす』行為を『ヨコシマキメ遺跡』に適用する……!!
【懐中電灯が極彩色に輝き、電灯の光がその領域を延ばす。灯りは光の奔流となって入り口から階段を駆け下りていった】

……流石に全体には届かなかったか。だが怪物の半身、中層域ぐらいまではこれで照らせたはずだ。【懐中電灯を灯けたまま墓石に立てかける】
遺跡探索で最も脅威なのは暗闇。先に潜った連中もこの光には気付くだろうが……闇の中で衝突するよりマシだろう。
さぁ、食いしん坊の怪物に虫下しでも処方しに行こうか。灯りの電池が切れる前に、な

196 :名無しになりきれ:2009/02/18(水) 19:37:26 0
……………
成る程な……迂闊だった…
カノッサの情報網は広大だが、網の目を知ってさえいれば逃げ回ることは出来る…
だが……その情報屋が他の情報屋からネタを仕入れていれば…筒抜けだな…
……ハッハッハハハハハハハハッ!全く間抜けな話だ、バカらしくて涙が出るぞ!

  (なら追っ手が来ないのは何故だ…構う程の相手でもないと?
   ………いや、秘密を知られれば構成員でも始末する…そう言う所だ…
   ……ならば変革が起きた?………違う…これは涙じゃない…汗だな…
   とにかく、俺に構っている場合じゃねぇなら今が隠れ時だ………)

しかしこの胡散臭ぇスットコ野郎の見世物になるのも癪だ、この場は拳を納めてやる
Y、結局貴様が何者かは判らず仕舞いか……小賢しい男だ…
まぁ…俺も男だ、貴様が何者であろうとこの口から出た言葉は曲げねぇ
俺の名はリー・ゼバッブ
貴様等とのパーティ、最後まで堪能してやるよ

足を止めさせて悪かったな…
俺の用は一先ず片が付いた
まだ何か有るのか?

197 :名無しになりきれ:2009/02/18(水) 20:22:10 0
(光栄…って…あれま、私ってば思ったより名前売れてた?)

…そう。かつて幾重の冒険者及び邪気眼使いを飲み込みそのまま消え失せたという伝説の遺跡、
そして東の果ての聖獣に守られし地に最近突如出現し、ほんの1時間くらい前になーんの因果か、これまた突如ウチの大学下に現れた。
正に神出鬼没…やれやれ、ヨコシマキメの伝説に違わない無茶苦茶っぷりだよ。

(…まあ、ここは「世界基督教大学」なんだし、その「因果」ってヤツも大体想像はつくけどさ…)


大食漢…か。ハハハ、上手い事言うねアンタ!まるで遺跡が生きているみたいな口振りじゃないか!
なら怪物の体内へ潜る私らはさしずめ一寸法師って所かい?確かに打ち出の小槌があったって不思議じゃないがね!

…ん──まあ、例えこの遺跡が「生きてる」って言われたって、疑問を持てないのがまた恐ろしくもあるんだけどさ…


(…随分と黒の教科書にお熱みたいだけど…今ひとつ目的がつかめないな。
 黒の教科書っつったら手にした者に多大な力とそれ故の狂気を与え続けてきた悪魔の書…
 腕が立つって程でもなさそうだし、身に吊り合わない力を手に入れて世界中の鍵でも開けようとしてるのか?)



ガスッ


(「無能力者」という所で、ヨシノの顎にハイキックを入れる)
…無能力者って言い草は好きじゃないんだ。無能呼ばわりされてるみたいでさ。

これでも社会に溶け込む為にはありとあらゆるものを犠牲にしてきた。アンタも聞いた「アスラカンパニー」の名は、その見返りだ。
アンタみたいな「生まれ持った力」とは違う…望んで身に付けた力。そしてだからこそ、上限がない。
だから私は誰にでも勝てる。少なくとも、生まれ持った力に胡座をかいてるような連中には、絶対に負けない。
これは邪気も魔法もない、「人間」である私の特権だ。アンタ等には絶対に譲り得ない、私だけの、ね。

───というわけで、私は「人間」である事を無能扱いされるのが一番嫌いなんだ。私と組むのなら覚えておきな。あ、自殺願望があるのなら別だけどね。

198 :名無しになりきれ:2009/02/18(水) 20:23:27 0
…ああ、その通り。今時は魔獣の類もそう見かけなくなったけどここだけは別格だ。
(…ちょっと待って…「当時の能力者」?何の話なのよ…ヨコシマキメの復活と一緒に当時遺跡にいた連中も蘇ったって事?
 だとしたらどうして………黒の教科書といい、コイツ、まだ何か隠してる──って、私が言えた義理でもないけどさ。
 ……手を組むにしてももう少し様子見ようか…大した問題にならなければいいけど…)

(「倒錯眼」が発動され、遺跡内に光が灯る)
…へえ、これがアンタの能力か…
(モノが力を働く対象を、別の対象とすりかえる能力…使いどころが難しそうだね…ま、宝箱の鍵は確保って所かな?)

食いしん坊の怪物…アンタ、その言い回し気に入ったの?


…それとも、「この遺跡は一つの生き物」だったりして?


…なーんてね。ハハ、言ってみただけよ。
(…間違いない。コイツ、確実にヨコシマキメについて知られていない情報を持っている…って事は…私以上の情報網を持っている?
 だったら何処か大組織の幹部クラスに属する者……いや、まだもう一つ可能性がある…出来うる限り考えたくはないけど…

 こいつ「一度ヨコシマキメに潜った事がある」のか…!?)


199 :名無しになりきれ:2009/02/19(木) 00:29:49 0
【照明の灯った遺跡の通路を、アスカの後ろに隠れながら進む。不意打ちに遭っても自分だけは護れる絶妙な位置】
(……相変わらず埃っぽいな、ここは。理屈で言えば定期的な構造の改編と移動、むしろ通路が無傷なのが不思議なくらいだ)

ほら見ろ姉さん、在りし日のここの住人が描いた壁画だ。 【壁に描かれているのは22人の人影。どす黒い『眼』がどの人物にも植え付けられている】
かつて歴史の影で隆盛を誇った『カノッサ機関』の行った悪夢の所業、『人工邪気眼計画』……その原点が、ここにあるわけだ。

(いや、この手の話は鬼門か。これ以上は黙っておこう、蹴りを喰らいたくはないしな。あれは効いた――
 どうにもこの手の話になると饒舌になりすぎる。理屈屋癖もそうだが、俺の性向と適正はまるで別のところにあるんだよな……)

しかし疲れるな。流石に遺跡の半分まで能力を届かせる程の邪気を展開すればこうもなるか。調子に乗りすぎたな。
加えて『ヨコシマキメそのものの性質』……邪気眼遣いに限らずあらゆる能力者は力の源を吸われ続けてるわけだからな、生還率0も頷ける。

……いや、ちゃんとついて行くさ、こんなところで置いて行かれたらそれこそ『こいつ』の栄養になるだけだ。
(そう、泣き言も言ってられない――旅団のみんなの『犠牲』は、俺の『経験』として息づいている。だから覚悟しておけよ"怪物"……絶対に貴様を攻略するッ)


――流石は迷宮、どうにも入り組んでるな。一応ここの地図はあるが……ああ、全く関係ない市街のガイドマップさ。俺の『眼』で多少、いじってやれば……
【地図の『案内』を『遺跡』に適用する。何の変哲もない市街地図が極彩色に輝き、数瞬の時を経て、ヨコシマキメ遺跡中層域までの内部地図へと姿を変えた】
やはり探れるのは中層域までか。くそ、さっきから死霊らしき邪気が蔓延っているなこの辺りは。姉さんアンタの管轄じゃないのかこいつらは?

(それにしてもこの女……『人間』であることにえらく拘ってるようだが……解せないな。これが俺達『化物』との軋轢か、成る程見下してるように見えるわけだ。
 裏社会で稼業してれば異能者や邪気眼使いと戦うことだってあったろう。むしろ戦闘系は大体がそっちに流れる……恐ろしい話だな。
 異能に頼らず『義眼』も使わずよくもまぁ……『魔道具』や『神器』の類でも持ってるのか?だとしてもとんでもない戦闘力。迂闊に怒らせれば本気でヤバい。)

【複雑な地形や罠をものともせず進む後ろ姿を見ながら考える。一分の隙もない所作。洗練されたそれは能力という安寧の上に在る自分では到底身につかない】

(……強いな。最も恐ろしいのは殺気でも覇気でもなくその『覚悟』。相手が化物でも平然と立ち回れるような、ある種の気負い。怖いね、実に怖い。)


……どうせ長い道のりだ。少し話をしよう。姉さんはこの遺跡について、どれくらい知っている?いや、質問を変えよう『この遺跡の移動遍歴について』何か知らないか?
俺はどうにも裏の事情には疎くてね。それなりに長い間学生で過ごしてたのもあるんだろうが、興味があるのは"黒の教科書"だけだったしな。

(まぁなんにせよ、これから解き明かしていけばいい話だ。この女のことも、この怪物のことも。よろしく頼むぜ、姉さん?)

200 :名無しになりきれ:2009/02/21(土) 16:11:22 0
【遺跡最深部。或いは、魔の鼓動を最も近く聴く深閑】

ショボン氏の始末が終わりました。苦しみながら死んだようです。
我々の名を出した時点で幽界へ突き落とす、強力な術を仕込んでおきましたゆえ。
……やはり、忠誠を持たぬ者を使うわけにはいきませぬ。
何より、所詮は只の人間。何を解すこともできますまい。初めから相容れなかったのです。
万事、我々選ばれし者のみにお任せすればよろしい。

しかし……我々の存在も少なからず知られたでしょう。先のショボン氏の件によって。
また、人払いに出した傭兵も――無論、消えて頂きましたが――アルカナの名を出したようです。
もしかすれば、我々の計画を挫こうなどと愚考を逞しくする者が出るや知れませぬ。
となれば、今まで以上に積極的な、部外者の排斥が必要かと……
儀式には万全の体制を……一片の塵すら、許されませぬからな。

……そこは憂慮なさらず。既に、『星』と『戦車』をめくりました。
『塔』や『死』、『悪魔』なら更に上手くやり遂せるでしょうけれども、
今は状況が良くない。遺跡を全壊させられては適いませぬゆえ。
遺跡転移のより深い原因も調べさせております。『教皇』が……まず間違いありますまい。
……いえ。万事、我々選ばれし者……その頭脳、『月』にお任せあれ。

そう。つきましては私と、あの『愚者』めの処遇について、是非ご一考を……フ、フフ

【『星』、『戦車』発つ】

201 :名無しになりきれ:2009/02/21(土) 17:50:03 0
……?

(後方から光が通路を駆け抜け、男を追い越してそのまま駆けて行く)

……能力、か。わざわざ遺跡全体を照らす必要もあるまいに、ご苦労な事だ……
ふむ、後ろの二人の片割れか。感じられる邪気も薄いし、もう片方に至っては邪気すら感じない。余程の手練か、単なる愚者か…行動からして後者だろうな。

(前方、後方から三つの球状の物が飛来し、男の周囲を回る)

ふむ…先行者が三人…いや、四人…か。
…ん?なんだ…後ろの二人は大学の小僧に便利屋の尼じゃないか。
半端な実力でこの遺跡に踏み込むか…死に行く者の相手をしている暇はないな。

(前傾姿勢から、男が音も無く一気に走り出す)

(絡みつく死霊をうざったく払いながら)
…ふむ…やはり上層は物足りないな。どれもこれも大して価値の無い品ばかりだ…

ならば…下へ参ろうか。
(一呼吸置く事も無く、ちょうど目の前に現れたフェンリルの開けた穴へ飛び込む。そしてそのまま着地。
 どういう訳だか音はせず、土煙が少し舞っただけだった。)


下は四人いるが…何か取り込んでる様子だったし…まあ、邪気を消して、音を立てて、さも通行人のように歩いてれば気づくまい。
(普通に音を立て、白衣の両ポケットに手を突っ込みながらのんびりとした歩調で歩き出す)

202 :名無しになりきれ:2009/02/22(日) 14:28:26 0
…ふう…ん。これがカノッサの人工邪気眼計画…か。
こんな場所にだって住んでいた人がいるってんだから…なんとまあ、豪胆な人間もいたもんだね。

ああほら、そう来ると思ったよ…
仮にも怪物の口腔、その中全体に能力を巡らすっていうんだから…目に見えて疲れてるじゃないか。
見せびらかすように能力を使うから…大層な能力なんぞ使わずとも、カンテラ一つで事は足りるだろうに。
…先に言っておくけど…もしアンタの邪気が尽きて、それこそアンタがただの動く肉塊になるようだったら…
置いていくなんて言わない。その場で刻んで、焼いて、カンテラの燃料にさせてもらうよ?

…?地図……おいおい、無闇に邪気使うなって言ってるじゃないか。
それともこの程度で尽きるような邪気じゃないって?ま、能力を使うのはアンタの勝手だから私の知ったところじゃないけどね。

…でも…ま、サービス程度の気遣いならいいかな。
(懐からポラロイドカメラを取り出し、地図を上から接写する)

ほら、とっとと能力解除しな。遺跡全体に張り巡らすような能力二つも使ってりゃあ、ヤバいってのは私でも分かるよ。

(…へえ、邪気測定器は使い物にならなかったけど…単純な仕組みで動く物はある程度機能するようだね。懐のコルトも健在だ)

死霊払い…ねえ。(弱ったなー…私サボリ魔だし、神父の爺の話は右に左に流してたし、会社の暗号が「我、神に背く者也」だし…)
…んじゃ、ま、こいつ振っときな。
(ポーションのような容器に入った水を渡す)

聖水さ。業界でもマザー・テレサの生まれ変わりだとか平成のナイチンゲールだとか言われてるウチのシスターの製品だから、質は保証するよ。
(…そーいやあいつ、まさかこの遺跡の事知らないよなあ…あの神様馬鹿が来るとすっげえ面倒くさいけど…)

203 :名無しになりきれ:2009/02/22(日) 14:28:49 0
話…か。いいや、私も本業は金儲けだから、なにもヨコシマキメに固執してる訳じゃないさ。
移動遍歴…ね。昔々──それこそシャイアーテックスなんて武器商が盛り上がってたような時代、文献には載っていないどこかにひっそりと存在していた。
そこへ幾多のお宝──この「お宝」というのも、どういうもんだか分かった物じゃないが──を求めて、数多の能力者が集い、
やがて戦いはヨコシマキメ焼失という形で幕を閉じた。

そこから先の事は何も分からない…というのが私の馴染みの情報屋の限界だったね。

数週間前に「22本の柱」とともに、東の果ての聖獣に守られし地に突如として現れた。
この事態からかつてのヨコシマキメはそこにあったとされる説が湧いたけど…まあ、証拠に欠ける話さ。

その後、何処からか情報を嗅ぎ付けた山犬のような数人の冒険者が遺跡へ入り、一人として帰っては来なかった。
二、三日前、ヨコシマキメは「転移」を開始。そしてやってきたのがここ、基督教大学地下って訳。

ま、私の知ってるのはこんな所かな。

…おっと。
(小石を摘み上げ、目の前の床に投げる。すると床が抜けた)
怪物なんて異名を持ってる割にはショボいトラップだねえ。…へえ、ここで上層?っつー事は…下か。
階段があるんだろうけど…正直にそこまで行くのも億劫だ。床は…うん、私じゃ到底吹っ飛ばせそうに無いか。
ヨシノ、アンタの能力でなんかできない?床をスッパ抜いて下まで一気にいけるような方法。

204 :名無しになりきれ:2009/02/22(日) 20:13:07 0
>>193
千? ・・・チッ。ああ、そうだな

(何故怒らない? もっと感情を剥き出せ・・・ 似非ポーカーフェイスめ
 事なかれ主義かよ。嫌なタイプだな)

(『念の為』? やにしつこいな
 アルカナに関した俺の質問は流したくせに・・・
 つーかジャキガニストってなんだ。カニ? まあ、ともあれ・・・)

お前がカノッサ構成員でないって直接の証明にはならねーけどさ

>>196
(よく笑うやつだな。ダイエット法の一種か?
 しかし・・・ 『逃げ回る』か。口を滑らせたかよ
 こいつの身内か、或いはこいつ自身が、カノッサと一悶着あったのは間違いない
 ってことは、このリーに付きまとっていれば何時かは・・・)

まだ何か・・・ あるよ
さっさと外に出ようかと思っていたが、もう少しお前らに憑かせて貰う
本当に・・・ 気にしなくて良い。お前らは今まで通り三人のままのつもりで良い
俺はお前らの後ろで空気に溶けているからよ
まあもし、余ほど危険な目に遭いそうになったら、フォローくらい入れてやるから・・・
今まで通り・・・ ナカヨクやっててくれ。じゃあな

(遺跡の隅に溜まる闇に吸い込まれるようにして、気配を消す)

205 :名無しになりきれ:2009/02/22(日) 21:20:13 0
まぁ、転移といえどもそれが『人の手によるもの』とは限らないがな。
何処に着いたのか――まさか時空を越えてるとは思いたくないが、無きにしも非ずだし。

(リーとYの方に向く)
さて、さて。
口喧嘩は終結したか、Yにリー…だったかな?
こんなところで仲間割れしてるようなら遺跡に飲まれるということを忘れないほうがいいぞ。
疑心暗鬼は心の歪み。
歪みは『歪』に連鎖するともいう。
永遠の無明無音を味わいたくないのなら――ここで下手こいて足踏みしてる暇も無いんじゃないか?


――――む、
(後方から光が通路を照らし、深部目掛け輝いてゆく)
これは……新たな邪気眼使いの、能力?
ふむ、新しい侵入者及び、私達の次のヨコマキシメの得物か。
うかうかしてれば追いつかれて喉を掻っ切られるかもな。ククッ。

名も知らぬ迷える子羊はあちらかな。
貴様が生きて出られることを願わん。
では、行くぞ。
アルカナも待ってくれるわけじゃないしな、ククク…!
(軽く駆け足気味に走り出す)

206 :名無しになりきれ:2009/02/22(日) 23:52:03 0
……聖水か、恩に着る。
【聖水のビンを受け取り、栓を開けて中身を体の各所に振りかけていく。まとわり憑いていた邪気が薄れ、霧散した】

(この水……ただ聖捌されたものじゃないな。かなり高度で緻密な浄化術式が組み込んである……やはりただの宗教寺院じゃないってことか)
目に見えて体が楽になった。聖水の浄化が一種の膜を張って邪気の流出と搾取を防いでいるのか……いや、助かった。これならまだ行けそうだ。

(さっきは本当にヤバかった……調子に乗って二つも大規模な領域型能力を使った結果がこの有様か。くそ、何やってるんだ俺は、もっと冷静になれ。
 怪物の中を照らせば、光を頼りにみんなが還ってきてくれるとでも思ってたのか?とうの昔に旅団ごと死霊の群れになっているだろう)


ふむ、シャイアーテックスと言うと一晩で都市ごと壊滅したっていう大企業か。それが全盛期ってことは……思ったより昔ではない、か。
どちらにせよ武器商が介入する事態、そしてヨコシマキメで起こった『戦い』、戦場の消滅というかたちでついた決着……この『生きた遺跡』が何故復活したか。

考えれば考えるほどに複雑に事情が入り混じっている。考えるのは嫌いじゃないが……何よりも不可解なのはこの『世界基督大学』。
こうも都合良く遺跡を移動させるのに適した空洞が地下に存在している事実、そしてそれがあまりにも知られていなさ過ぎるこの状況……解せないな。

(そしてヨコシマキメ復活の際に立ち上った22本の光……壁画の『眼』の数と同じ……!!これは偶然じゃない、怪物の飼い主が、この遺跡には居る……!!
 やっと巡ってきたチャンスだ……"黒の教科書"の入手と仇敵"怪物"の攻略、両方を一辺に目指せるまたとないチャンス、必ず……!!)


――ん?アンタまさか通路ブチ抜いて下への道を創れと?……むやみに邪気を使うなと言ったのはアンタだろう……オーケーわかった、刻まれるのはゴメンだ。
穴あけ……ね。【暫く逡巡し、肩から提げた大学カバンから書類用の穴あけパンチを取り出す。レバー式の単発型、生協のマークが所属を表している】
この穴あけパンチで『地面』を『穿て』ば下への縦穴を開けることは可能だ。ただこれだけの厚さの岩盤を穿つとなると相当の邪気が……わかったから刃物をしまってくれ!

(この女……冗談じゃなく本気の目だったぞアレは……やれやれ戦闘職ってのはみんなこうなのか?)

穴を開ける。とりあえず地図を見せてくれ、迷路のように入り組んでるからなここは。上手い具合に中層域の通路と交差しているところを探す必要がある。
【ポラロイド写真に控えた地図を見ながら暫くその辺をうろつく】……この先にあるな、交差地点。早速俺の『眼』で……

――ん?
……はは、見ろ姉さん、俺が能力を使うまでもない。大穴が開いてる。下まで突き抜けて……中層域まで続く大穴がな。
邪気の残滓を感じ取るに、相当な戦闘向けの邪気眼使いがこれをやったみたいだ。これだけの威力を出せるのは、『近接型』の……『変身系』か『支配系』か?

すぐ下の空間には誰もいないが、邪気は中層域からひしひしと感じる。明確に感じるのは手練の邪気眼使いの気配が二つ固まっているのと、その大分後ろにも一つ。
俺が感じ取れるのは邪気だけだから、実際にはもっと大人数の先行者がいると考えていいだろう。下に降りてすぐにはかち遭わないだろうが、相手も気付いてるだろうし、
このまま進めば戦闘は避けられないだろう。――どうする姉さん、ここから先はアンタが決めてくれ。

207 :名無しになりきれ:2009/02/24(火) 23:03:11 0
うららかな日の光が木々の間から零れ、綺麗に整備された道の上にレース編みのような影が踊る。
時折吹く風にそよそよと揺れる新緑の色の葉。
そんな街路樹の下をゆったりとした足運びで歩く女が一人。
その手にはどこかへ旅行にでも行っていたのであろうか、使い込まれた革のトランクが握られている。

時折すれ違う人々に柔らかい微笑み浮かべつつ挨拶をして、そうしてたどり着いた先…

―世界基督教大学大聖堂

その建物の前で女は一度足を止める。
飾られた十字架を見上げ、彼女は柔らかな笑みを浮かべた。

―――ただいまもどりました……
また再び…、無事に此処に立てたのも、我が主のご加護と祝福があったからですわ。
心より感謝いたします。

ですが…

ふ、と女の表情が曇る。

安らかな眠りの場を、荒げた者がいるようですね。
嘆かわしいこと…
宥め、清めておきましょうか。

聖水の入った小瓶を取り出すと指先を濡らし、辺りに水滴を撒く。
そうして十字を切り、まずは入り口を清めるとそのまま聖堂へと歩みを進める。

208 :名無しになりきれ:2009/02/25(水) 15:16:50 O
ククッ、潔いな……良い性格をしている。
(はあ、何とか切り抜けられたな……しかし気になる)
(何故俺はリーの名を知ってたのか……いや、今はそれよりも)

猜疑が歪となって顕現するか……俄かには信じがたいが……。
しかしここは怪物の腑だ、何が起きても不思議ではない。
十二分に留意するとしよう……気を抜けば忽ち養分にされてしまう。

(カノッサか……文献には、壊滅の記録が記されていた)
(だが……<Y>の宿命が確かなら……いずれ相見える)
(やれやれ……厄介な血を受け継いだもんだな)

(き、消えた? いや……恐らくは能力の一種……)
(全くジャキガニストはことごとく超人的だな……)

む、待てフェンリル! 行き急ぐことはあるまいに……。
やれやれ、では我々も赴くとしよう……か?

…………。
…………。
……誰?
(偶然目に入った白衣の男に、思わず素で問う)

209 :名無しになりきれ:2009/02/27(金) 13:04:20 0
……………………………。

(無視して通り過ぎようとするが、三歩歩いてそうもいかない状況である事に気づく)

……………………………チッ。

……あー…その「誰」というのは私…か?…私…だろうな。

(長い溜め息を吐いて)
…はー…やれやれ…流石にこの手は無理があったか…。隠密の真似事なんぞしたくもなかったが……これは失策だったか。


…質問に答えよう。

貴様等がいつからこの遺跡にいたのか知らんが、とにかく今この遺跡は「とある大学」の下に存在している。私はその大学の研究員だ。
大学の下に突如としてこんな遺跡が出現した物だから、研究者としていてもたってもいられずに、こうして潜り込んだというわけだ。

…ああ。無論「ただの」研究員では無い。
(消していた邪気を放つ)

…フ…予想通り興味深い物が得られたよ。カノッサ「人工邪気眼計画」の資料、他に類を見ない程に不安定な「時空の歪み」…
…そもそも、この遺跡自体がロストテクノロジーの塊…研究者にすればこの遺跡に潜ったこと自体が「宝」と言っても過言ではないのだからな。
邪気を喰らい、邪気を放つ…「生きるために喰う」でも「喰うために生きる」でもない「喰う為に喰う」というように存在し続ける姿勢も全く好ましい。
…いや、しかしここで最早中層というのだから全く惜しいものだ。これ程の建造物、99階あってもまだ足りぬというのにな…。
(クックック……と、口の端を吊り上げて笑う)

…あー…と、まあ、そういう訳だ。私がここにいる理由はご理解いただけたかな。
常時の私なら邪気眼も採取対象なのだが…ふむ、今は少しばかり忙しいのでな。

それで、貴様等は何者だ?

210 :名無しになりきれ:2009/02/27(金) 22:23:23 0
(…鋭いね。大学の違和感に気がついたか…)


(サバイバルナイフを服の中に…放らずに、腿のホルスターにセットし直す)

その手の力ってのは、使うべき時にきっちり使う物だろう?階段目指したっていいんだが、その途中で面倒な奴に遭遇しないとも限らないんだ。
面倒事は回避に限る。この床だって、砕けるものならハナっから最下まで穴あけて進んでるさ。

…ふんふん、地下とクロスしてる地点っつったら…・………あらま。こりゃまた見事な大穴ねえ…。
これも邪気?ふーん…(穴をしげしげと眺めつつ観察する)

………!
(穴の少し前の方に、穴に飛び込んだと思われる踏み込んだ足跡を見つける)

この靴跡…あの白衣野郎も来てるのか…?

…ヨシノ、ちょいと事情が変わった。少しばかり急ぐ事にするよ。
あん?…成程、二つと一つ…か。今更ケツ捲る訳にもいかないさ。無論飛び込む。
…けど、できるだけ戦闘は避けたい。幸い、こっちには地図もあるし、できるかぎり相手を避けるように進もう。

…アンタ、邪気を消す事はできる?できたとしても念のためコイツ持っときな。
(服の中からアタッシュケースを取り出す)

…「白い婦人(シルキー)」っつー妖怪は知ってるかい?
その昔、さる西洋の田舎の老夫婦の家に住み着き、家の者の知らぬところで手伝いをする…まあ、家事妖精の一種みたいなもんさ。
その姿は目に見えないほど薄く、代わりに動くと衣服の擦れる音がしたとか言われてる。

…んで、これが私のお宝コレクション「白い婦人の絹衣」。これを着とけば邪気の変わりに妖気を発する…言うなれば、
この辺漂ってる死霊と大差なくなるってわけさ。

邪気眼使いは離れてても位置を感知できる、言わば歩く発信機と受信機だ。
私は相手の五感さえ誤魔化せればいいけど、アンタは正直厄介だ。こいつ羽織って、邪気の気配を消しておきな。

……あん?…はは、当然だろう?「白い婦人」は家事妖精だ。家事手伝いの衣服っつったら「それ」だろう?
安心しな。見た目の割に動きやすく出来てる。私で実験済みさ。

(メイド服の入ったアタッシュケースを手渡す)

211 :名無しになりきれ:2009/02/27(金) 23:25:12 0
潔いか、だっだだが…良い性格と言うのは早計だと思うぞ…


……「憑く」だぁ?
おまけに溶けるだとか気味の悪ぃ野郎だな…
まぁ、あの鬱陶しい顔を見ずに済むなら良いか…
………あ……聞こえてんのかこれ…悪かった
ん…そういや気にしなくて良いんだったか


相変わらず的を射た物言いをするな、フェンリル
確かに『歪』に呑まれるのは御免だ、先を急ごう
そう、後ろから命知らずも向かってくることだしな…

《全力でフェンリルの後を追う》
………ック…ふぅッ……ふッ…ひぃッ…!!
ああはッ…言ったがッ…走ッぐッ!……走るのはッ…きッ…キツッ…ゲフッゲフッ!
クソッ…『魔溜眼』ッ…まッ…摩さtッ…ふぅッ…!
《靴を手に持ち、裸足で地面を滑り出す》
……っふ、見苦しい所を見せたな…


《白衣の男に気付く》

………とある大学…?
成る程、辺境から都市部か…これはまた……面倒な…
  (コイツ……Y程ではないが、この邪気の消し方…並の手練れじゃねぇな…
   ん…「人工邪気眼計画」?「時空の歪み」?
   あぁ、そうだった…俺はここに飯の種を拾いに来たんじゃねぇか
   手ぶらで帰る訳には……あぁ、帰れねぇんだったな…)

俺は……そうだな…「ありとあらゆる被捕食者の為に喰う男」だ
成り行きでこの二人に手を貸している

212 :名無しになりきれ:2009/02/28(土) 00:02:03 0
(白衣野朗……?姉さんの知り合いか?といってもあまり穏当な方向の知り合いってわけじゃないようだな)
ああ、早い決断だな。確かに降りるなら早くした方が良い、ここに留まっていても何もないだろうからな。

……ふむ、一応それなりの訓練は積んであるから邪気を絶つことは出来る。疲れるのであまりやりたくはないが。
おお、そんな道具があるなら使うに越したことはないな。というかアンタの服はどういう構造してるんだ?いや、詮索はするまい。とりあえずそれを有り難く――――


――なん……だと……!?  【アタッシュケースの中身を見て愕然とする】

馬鹿な……そんな、そんな、待て、これは、姉さん、なんという、アンタ、これを着れと言うのか――!!!!
(待て待て、こんなモノ着たら社会的にも死霊は確実……!!着なくても足手まといの俺は姉さんによって死霊の仲間入り……!!究極の選択ッ!!)

背に腹は代えられん、か……!!オーケー、着るよ、着るから。ちょっと見ないでくれ……【通路の角の物陰に身を隠し、アタッシュケースからメイド服を取り出す】
"白い婦人の絹衣"……モノは良いようだが、まずサイズが合うのかコレ……?【半信半疑で袖を通すと、不思議なことにピッタリと、服の上からでもサイズが合った】
(……ほう、気配隠蔽と漏れ出る邪気の変換術式、それも半永久的に機能する高度なものが仕込まれている。流石は宝だけあるな、姉さんは何故こんなモノを?)

【恐る恐る手荷物の鏡で自分を見る。やけに長身で陰鬱な面持ちをしたメイド(♂)が、そこに居た】
(似合わない……致命的にッ!これは、最早根本的な所で何かが狂っている……怪物か?ヨコシマキメの瘴気が人を狂わせるのか……!!?)

……着てきた。〜〜〜〜〜〜ッッ!!解ってる!!似合わないことなど重々把握している!だからこっちを見るな!頼むから!そして笑うな!!
下に降りるんだろう。今しがた、先行していた二つの邪気とその遥か後ろを行っていた邪気がぶつかったようだ。戦闘には至っていないようだが、合流か?
なんにせよ急ぐに越したことはあるまい。連中はバリバリの武闘派、後手に回れば、分が悪い。行こう。

――だから笑うなと言ってるだろう!!!!

(屈辱だ……くそ、赦さないぞヨコシマキメよ、絶対に、必ず、命に代えても、貴様を…………ッ!!!)

213 :名無しになりきれ:2009/03/01(日) 01:59:30 0
……許すまじ。許すまじ。許すまじッ!『月』ィッ!!
よりにもよってこの俺……『教皇』を、たかが密偵の命に使うとはッ!
なぜ『隠者』にやらせん。陰謀だッ!!

全く、俺は本来は人を使う側にあるはずの存在だ……
それが何故、このようにコソコソしながら現場に出なければならん
『月』め……そうか、あいつ俺を恐れているな
俺が組織内で力を付けることを恐れて、こうして遠ざけているのだ
我が教皇のカードが示す通りの、協調性を守る性格を逆手に取り、俺に命令を下したのだ
みだりに人に反発しない俺の性を利用した訳だッ
どこまでも卑怯な奴だ。だから許すまじ!
……いやいや待て、無用な邪推はそれこそ『隠者』の仕事だ
寛大な俺が、そのような事で一々ムカっ腹を立ているのは良くない
ともあれまずは仕事をこなさねば……遺跡転移の因を調べる事が先決だ
一体誰が……余計な事を。全く全くッ!

いや、しかしここはどこだ?
地上直通の転移陣でスッ飛んできたが、見たことのない風景だ
緑がある、柔らかな風も……俺の故郷には大分遠いようだな
……おっと任務を忘れては参るな。しっかりしろ……

ん、ありゃ教会か。教会ってのはどこへいっても同じ格好で突っ立ってるんだな、滑稽だ
肩書きとは言え、教皇の名を持つ者としては、少しばかり心惹かれるものだ
ちょっと邪魔をしていくか。……!?

女か。しかも良い女だ。上玉とかいう種族か。タマが上がるのか、不明瞭な
しかもあの格好……シスターかな。余計に見目麗しい
フッ、ここで一声掛けなきゃ男が廃って此れ荒涼たる大地也
肩書きとは言え、教皇の名を持つ者としては、少しばかり心惹かれるものだ
シスターって、教皇の奴隷でしょ?

ヘイ!そこの彼女……俺と一緒にお茶でもどうですか
と言いたい所だが、あなたは神に仕える身のようですから聖水を飲みましょう
俺は別に、若干シャトルーズイエローの聖水でも構いませんが……ッ!?

(無駄に手入れされた金髪を掻き揚げながら歩いてアピールするが、
 足元に振り撒かれていた聖水に滑って、顔面にキス)

……罠かッ!貴様何者だッ!!

214 :名無しになりきれ:2009/03/01(日) 02:18:13 0
下三行目訂正:×顔面 ○地面

215 :名無しになりきれ:2009/03/01(日) 06:46:51 0
さすが『アルカナ』最強の男『戦車』様だ。中層からこっち、三時間はかかる道のりを、たったの三十分で済ませちまうとは……
つまりこれは、常人の十倍の速度で走り抜けたって事だな……我ながら恐ろしいぜ。
さて、最強のおれとしては、任務をしくじる訳にはいかねぇ……幸い、まだ連中は気付いてねェみたいだしよ。
二人がなにをゴチャゴチャやってンのかは見えねェが、そりゃお互い様ってヤツだ。
ってコトは、よ……穴から下りようとした所を、『ズドンッ!』だ。
クク……今から楽しみだぜ……

216 :名無しになりきれ:2009/03/01(日) 22:19:58 0
(ヨコシマキメ遺跡中層域、『戦車』が飛び出していった地点に更に動きが生まれる。芽生えたのは燐光、その色は輝くような山吹)

…さてさて、『戦車』殿が出撃しましたか。『月』殿よりの指令、我らが『怪物』の懐へ踏み入りし不届き者への襲撃…
アルカナ『二十二柱』が一人、この『星』がしかと承りましたよ。

(響くような独白が虚空に木霊する。山吹色の光の中から一人の少女が『生えてきた』。燐光と同じ色の髪を後頭部で結い、淡く輝く衣を纏う)

ふーむ、『戦車』殿はもう行ってしまわれましたか。方向からして上層側、二人組の方へ向かったようですな。
あの方の速さならば、常人が行くより六倍は早く目的地まで到達するでしょう。その行動力と機動力、流石と言わざるを得ません。
…少々イケイケに過ぎる傾向があるようですが。

(空間を包んでいた光が寄り集まり、『星』の右目へと吸い込まれていく)

――私も行かねばなりませんな。上層の連中よりもずっと深く先行している連中…
諜報部によれば武闘派が二人に研究員らしき人物が一人、詳細不明が二人ほど。数は多いものの先手を取れれば悪くない戦いです。
ただ、懸念するべきは不明の二人…一人は邪気を微塵も残さず完全に覆い隠し尚且つそれを長時間維持できる達人。
もう一人に至っては闇に紛れ姿すら掴めない。恐らく何かの能力でしょうが、警戒に越したことはないでしょう。

(同時、少女の体そのものが光へと変化しだした)

…中層までをくまなく照らすこの光、――上の侵入者の能力でしょうが、私にとっては少々厄介ですね。
能力者を倒せば解除されるでしょうから、『戦車』殿のご活躍に期待です。

――さてさて、『星』とは『光』の象徴、だから私は、光になりましょう。近接型変身系『白金眼』、発動――!!

(山吹色の閃光は刹那の時間で駆け抜ける。目指すは五人の侵入者。何かを話すその背後から、光速をもって激突した)


217 :名無しになりきれ:2009/03/01(日) 23:35:12 0
この気配…、やはり“あの場所”で聞いたことは間違いではなかったのですね。
うちの神父様やシスターたちはどうしているのでしょうか…。変な事に巻き込まれていなければいいのですが。
とにもかくにも、今後についてお話をせねばなりませ………?

あら、あの金髪の方、一体どなたかしら。
学生、ではないようですね。
見学から懺悔まで、私にできることなら何だってお手伝いしましてよ、お望みならばお茶も。
シャトルーズイエロー…?白ワインかしら。赤ワインならありますけれど。

(呼びかけに振り返り、柔らかな笑みを浮かべる。転んだ『教皇』に驚きつつも近づくとそっと手を差し出す。)

あらまぁ、大変!
先ほど清めた所為で、滑りやすくなっていたようですね。わたくしの所為ですわ。ごめんなさい。
お怪我はありませんか?
わたくしはこの大聖堂で神に仕えておりますの。
ただの修道者ですわ。

(『教皇』の剣幕に首を傾げつつ答える。柔らかい風が吹き抜け、頭巾と修道服の裾を揺らす。)

あなたは?我が聖堂にどのような御用でしょう。


218 :名無しになりきれ:2009/03/02(月) 10:06:57 0
…………………………………ぷっ。

くっ、ふっ、かはっ…い、いや、笑ってないッスよ?ちっとも笑ってないッスよ?
笑って…な…ひゃーはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!ダメだわ、もう、これ無理!アンタもう歩く犯罪だよもう!
ま、私が渡したんだけどねえ…。…にしても似合わねえことこの上ないわ!く…ククっ…い、いや失礼…。AMEN…。
(笑いすぎて涙流した眼を閉じて口元をゆがませつつ十字を切る)

…あん?合流したか。一箇所に集まってくれるのは都合がいいね。
そんじゃ早速───(と、言いながら振り向く)…くっ…い、いや、耐えますハイ。これ以上は探索に支障が出ますんで……。
落ち着けー、落ち着けー…あんな透明の女装長身メイド面白くないぞー…。

ふう。さてもう一回。
そんじゃ早速──────?

(殺気…か。おまけにこの臭い…火薬?相手は銃撃者、降りてきたところを狙い撃ち…ってところ…かな。
 定石なら閃光弾か音響手榴弾使ってひるませた後、速攻で制圧…だけど先行してる連中が邪魔だ。そんなモン使ったら連中呼び出すだけだろうね…)

(声を潜めて)
…ヨシノ、穴の下に殺気がする。動かないところを見ると多分遠距離型か、もしくは穴自体に仕掛けを仕掛けたかだ。
見たところ穴に異常は無いようだけど…穴に邪気は感じない?そう…。

私が不意打ちして敵の注意を引く、アンタは後から降りてきて、適当に支援して。

(人の頭一つ分ほどの手ごろな岩石を両手で抱え上げ、穴の中に思いっきり叩きつけるように投げる)

───それじゃ、お互いに神のご加護のあらんことを。

(岩石が下の階に落ちた音がすると同時に穴の中に飛び込み、体勢を低くとって拳銃を2、3発相手がいると思われる方に打ち込む)

219 :名無しになりきれ:2009/03/04(水) 20:34:41 O
(リー……お前……いや、なんか何も言えねえよ……)
(お前がその力を手に入れたのは、運命だったのかもな……)

(むあっ! この感じ……こいつも【ジャキガニスト】!)
(大学ってことは、こいつ現代人!? 何で力が!?)
……ククク。俺は<Y>と名乗っている……よろしく。
あれがフェンリルと……もう一人闇に紛れているな。

我が目的は『ヨコシマキメの攻略』……つまり踏破。
邪気学的な新発見を求めて、遙々東方より来た。
その筋の人間ならば……このような機会、逃す手はあるまい?

しかしどうやら、厄介な連中に先行されているらしくてな。
【アルカナ】という組織なのだが……何か知っていることh

(喋っている途中で、何かに盛大に蹴躓く)
(どうやら邪気モグラの掘った穴に爪先を突っ込んだらしい)
(―――が、まさにその上を『星』の光速突進が駆け抜ける)


(なんっじゃありゃああ!? 速ッ!!)
(え? 星? 流れ星なの? 願い叶うの? 馬鹿!)

220 :名無しになりきれ:2009/03/04(水) 20:46:23 0
(この女っ……!!まさか盛大に嘲笑するためにこんな服を用意したんじゃないだろうな……?)
【しかしその実、纏ったメイド服の効力はてきめんだった。邪気が変容したせいか自分の存在すら知覚の中でおぼろげになりつつある】

さ、さて、当面の問題は解決できた訳だし、さっさと中層に降りようなじゃいか。このままだとグダグダに――【言いかけて、アスカの変化に気付く】

――何だ?敵襲か?……ふむ、殺気を隠そうともしないあたり余程自信があるのか馬鹿なのか、あるいはその両方か、ってところだな。
因みに今感じ取れる限りじゃ穴から邪気は感じないぞ。恣意的に消してる可能性もあるが……前述の殺気と矛盾する。罠タイプの発動能力である可能性は薄いな。

(不動の殺気、か……おそらくは待ち伏せタイプの戦闘能力者……わざわざ穴の下まで出向いてきてるってことは近接でも勝てるという自信なのか?)

ああ、アンタが先に降りるか。オーケー援護なら任せろ、俯瞰できる位置からの後方支援なら俺も戦力になれるだろう。
(姉さんがやられなければ俺に直接攻撃が来ることはない。戦闘に使うには心もとない能力だが……隙を見つけて『倒錯』を叩き込む――!!)

【戦う為の道具を展開する。学生鞄から取り出すのはホチキスやハサミ、消しゴムと万年筆に穴あけパンチ。何れも能力により物理的な破壊や影響に特化】
(さぁいつでも来い、実戦は初めてじゃないがやはり緊張するな。だが、どんな敵も冷静に理屈で対処すれば勝機は見えるッ)


――俺は聖教派じゃないが、祈ろうか……生きてまた会おう。

【アスカが岩を投げ、自身も穴の中へ落下する。足元で銃撃音が響くと同時】

『ズドンッ!』


【待ち伏せしていたらしき『殺気の主』の攻撃。空間そのものを震わせるように砲が空気を割る音が響いた】



221 :名無しになりきれ:2009/03/05(木) 00:47:17 0

………リー、貴様運動神経というか、体力が…あーいや、何も言うまい。
だが中々面白い能力だ。この先色々と役立ちそうだしな……ククッ。

(白衣の人物に気が付く)
む……?
誰とは勿論貴様だろ。


大学、というのはアカデミーで…そこの者で。
私達――いや、ヨコマキシメは其処に転移したのか。
面倒だな、ククク…。

ん?「ただの」ではないという事は……。

ふん、やはりな。
中々邪気は消せるようだ、結構な実力者みたいだな。
私はこの怪物の深部に用がある……
(一瞬考え込む)

うん、フェンリルという者だ。
無論、私も邪気眼使いだが……急いでるんでな。
縁か運命かあればまた出会うだろう。では――

――っ、新たな邪気だと…!?この感じは敵か……!
貴様ら、お喋りは後だ!早く体勢を整えろ!
『業狼が――』ぐぁっ!!

(手の甲が輝く前に『星』の体当たりをまともに受け、後ろに吹き飛ぶ)


222 :名無しになりきれ:2009/03/05(木) 22:30:35 0
(差し出された手を払いのけ、自力で立ち上がる)

ええい、うるさいっ、優しくするな!傷だらけの心身に染みるわ!
……そうだ。君の聖水と俺の転倒の間には対応関係がある
君には責任があるぞ。具体的には賠償責任だ、傷害の賠償だ!
この恥辱と苦痛は、必ずや君への同等の処刑を以って……

(……何だこの感情は。これ以上の指斥は憚られる
 いや、躊躇する必要など……賠償の義務は遵守させよ。しかし……
 そうだ、故意でやったのでないなら、こうまで言うことはないな
 うむ、故意じゃないから……恋……そんなバカな)

クッ、もういい。次からは気をつけるんだな!

(格好付けた割りに、ひどい有様だな。くそ……仕方ない)

ええとね。俺の名は……あー……えー、フォウ=スレインということで
只の旅人……そうさ、人は誰でも旅人だ……幸せ探してるからな
えー、それで、別にこの聖堂そのものに用があって来たんじゃないんだがね
ちょっと情報収集の為にうろついていただけなんだよ
……整理すると。俺はこれから君に質問するつもりであり
また、それは君個人に対するというだけのものである
つまり、君の言う聖堂の体面については気にすることはないので
君個人の思うところで答えてもらって差し支えなく
また俺もそれを望むわけだ……いいかい

ずばり。ここいら近辺で、『ヨコシマキメ』という言葉を聞いたことはないかい
またそれを肯定した場合、できることなら、その言葉を得た情報源……
会話、独り言、文書等の更なる詳細を教えて欲しい
否定の場合は、まあ何だ、俺との会話の事は全て忘れてしまうんだね
君のような修道士が関わる様な事ではないからさ
それを認識しつつ、このような質問をする俺も、配慮に欠けるが……あー、頼むよ

(名乗るのは信頼関係の基本だからな。たとえ偽名としても……
 それにしても一体、自分でも何を言っているのか。明らかに混乱の体だ、情けない)

223 :名無しになりきれ:2009/03/05(木) 22:46:26 0
(…背筋に汗…発汗?体力に難ありの邪気眼使いか。被捕食者の為に喰う…肉食獣的な男だ。
 喰われないよう用心するか………と、これは連中にも言える事だがな…クックック…

 Yとか言うのは実力者か…?余裕の見せ方は異能者のそれだが、邪気を微塵も感じないな…
 しかし左腕の包帯といい、ハッタリで片付けるには少し危ういな。鵺的人物…一番の危険牌と言ったところか…

 フェンリル…ふむ、こいつが一番普通のようだな。普通の実力者だ。危うき異分子に近寄らず、会話は必要最低限。
 どちらにしろ、情報を落とすタイプでは無さそうだ。…ふむ、対象外だな)

ふむ…どこの旅行客かと思ったが…中々、興味深い。
しかしまあ、先程も言った通り今のわたしは少々忙しい。情報交換に費やす時間はあまりないようだ。
では又、因果の交差路で────っと。

(言いかけた刹那、後方より光速で移動する何かが接近する。
白衣の男に衝突した──かに見えたが、そうではない。男はただ光速で移動する何かの背後にぴたりと付いて同じ動きをしていた)

……やあ、すまない。余りに強い光だったもので──つい、癖が出てしまった。
(口の端を吊り上げてニヤリと笑い、動作を起こされる前に跳躍して距離をとる)


ふむ…敵、か。属性は間違いなく光…それも特級。アルカナ…なれば「太陽」…あるいは……「星」?
いやあ、なんにせよ早速出会えるとは嬉しい限りだ。見たところなかなかの使い手。実力は高いほどよい研究の糧になる。

(徐々に、白衣の男の邪気が増していく)
そう、前々から光の者を「採取」しておきたかった…。今までのはどいつもこいつも私の「影」に飲まれて使い物にならなかったからなあ…!


────名乗らせて貰おう。

私は「影」。「永遠の影究者」アリス=シェイド。
影あるところに光はあり、光があれば影がある。つまり私は、貴様の天敵にして、絶好の獲物というわけさ………。
(白衣のポケットに手を突っ込んだまま、「星」を敵と認識していないかのように悠然と言う)

224 :名無しになりきれ:2009/03/06(金) 09:41:05 O
なんだ、岩? 気付かれたのか?
(落ちた岩から視線を上げ、落とされたその方向を、穴が空く程睨付け)

はん、撃って来やがるか! わかりやすくて良いねぇ!

(砲音は銃撃音を切裂いて、砲は銃撃を弾く)

ん? 女二人たぁ報告ミスか?
なんだって良いさ! やる事は変わらねェ!

(大声は砲弾と同じく上昇を続け、重力に逆らい大穴を上る……その正体は)

我が名は大アルカナの『戦車』!
我が盟友達の夢のために!

(意外! それは自分自身!
 甲冑で全身を包み、一直線に高速で移動するその質量と速度こそが、砲弾!)

このおれが貴様らを絶望の淵へブチ込んでやる。

(そして、最初に見上げたその位置へ、寸分のブレもズレもなく、ただ一直線に、着弾!)

225 :名無しになりきれ:2009/03/07(土) 11:44:26 0
  (何故か視線が痛いな……チッどいつもこいつも何を企んでいる…)
言っておくがガキの頃から運動神経は良―――…

《フェンリルの言葉に反応し咄嗟に身構える》
何ッ!!?ッく…!
《吹き飛ばされるフェンリルの進路上に左手を出し、ふわりと着地させる》

『魔溜眼』、運動エネルギー吸収…
無事か?フェンリル
役に立つのは…それ程先ではなかったようだな…
Yは何処に…………な…んだと……あの攻撃を…避けた…?

  (敵の能力はまだ解らねぇが…あの速さは厄介だな…
   速さは即ち破壊力だ、まずはそれに耐えなきゃならねぇ)

『魔溜眼』放出、弾力!
《先程の吸収で異常に肥大化した身体が元に戻って行き、リーの弾力が上がり出す》

……さて、こいつの相手は誰がするんだ?
俺は寄って集るのが好きじゃねぇんだ
………ん、お前…あぁシェイドだったな、貴様がやるのか?

226 :名無しになりきれ:2009/03/07(土) 18:20:50 0
──っ!
(弾の質量が明らかに銃弾じゃない……ロケラン?いや、そんなもんじゃない…戦車砲…いや、これは何かそれより大きなもの──!?
 上層へ飛んでいった…付近に敵の気配は無い…なら、アレが敵って事!?)

…さーすがヨコシマキメ。最初の敵は砲弾ってワケ…手え抜いてるヒマも無さそうね…。
(修道服内から、自分の背丈の2/3程の剣を取り出す)

ん…「戦車」…か。成程、分かりやすい名前だ。
スピード、破壊力、射撃の精密さ…うん、肌で感じるよ。アンタ「なかなかの使い手」みたいだね?

ただ少しだけ───観察力が足りてないみたいだ。

(修道服内から手榴弾を取り出し、穴の下から穴の上へ、ピンを抜いて一秒数えてから投げる。手榴弾は投げ返す間もなく上層で爆発する。
 爆炎が収まったのを見計らい、先程落とした岩を足がかりに一気に上層へ昇りつめる)

アルカナだかマリファナだか知らないけど、こちとらそれなりの覚悟持って潜ってんだ。ここでおめおめ殺される訳にも行かないの…さっ!
(さっき「戦車」が着弾した位置に向けて剣を横に振る。剣からは炎がほとばしり、辺りに広がっていく)

227 :名無しになりきれ:2009/03/07(土) 23:14:31 0
〈奇襲の突進が不発に終わった反動と、それをいとも簡単に成し遂げられた驚愕で能力が乱れ、その場に姿を現す〉
な、全員外した…!!?
(否、一人には着弾していました。ですが瞬時に衝撃ごと他の仲間が肥大化して受け止めた?この不自然な挙動は明らかに何らかの能力ッ!!)
(そして邪気の無い男、能力発動の気配もなく光速突進をノーモーションで回避!?人間業じゃないッ)

なるほど…流石は我らが『怪物』の懐まで攻め入るだけあって全員が全員かなりの手練、まさかの先制失敗です。
〈背を伝う戦慄に冷や汗しながらも二十二柱としての矜持が精神を支え立つ。即座に邪気を展開し戦闘態勢へと移行する〉

…名乗りましょう。私はアルカナが『二十二柱』、白金の断罪者・『星』ッ!!
古の怪物ヨコシマキメを侵し犯し冒す不届き者を成敗するため馳せ参じました!貴方がたの選択肢は三つッ!

――『死ぬか消えるか喰われるか』、お好きなようにどうぞッ


〈『白金眼』が発動する。少女の体と身に纏う全てが光へと変わり、空間を縦横無尽に駆け巡る〉

(とはいえ連中に私を捉える手段がないのは確か。こちらから攻撃しない限り光で在り続けられる私は故に無敵ッ!)

〈と、白衣の男の挙動に気付く。怖気が走るほどの邪気と『影』、それがこちらに向けられている事実だけで、全身の毛穴から汗が噴出す〉

(な、何ですか、この禍々しい邪気ッ…!!震えが、止まらない!これは、この感じは……まさか、『影』……!!)


こころが、くわれていく。へびににらまれた、かえる。
あまりに得体の知れない何かに、長い舌で絡め取られていくような感触。


(この男が一番の危険ッ!非戦闘員っぽかったのでノーマークでしたが、一体何者ですかッ!!?)

228 :名無しになりきれ:2009/03/08(日) 00:47:44 O
(パシンと軽い音を立てて弾かれた手を胸元に寄せる。眉尻を下げて心底申し訳なさそうに、どこかしょげ返った犬を彷彿とさせる瞳で立ち上がった『教皇』を見上げ、頭を下げる。)

お怒りはごもっともですわ。
申し訳ありませんでした…。

――スレインさまですね。わたくしはルチアと申します。…えぇ、わたくしは日本人(ジャパニーズ)ですから、勿論クリスチャンネームですよ。
まあ、わたくしの本名ですか?
…それはお互い様、ということにいたしましょう?

えぇ、大丈夫です。貴男の仰ることはよく分かります。

そうですね――…少し、立ち話には向かないお話のようですわ。
ですので、わたくしから改めてお誘いします。
お茶を一杯如何ですか、ミスタースレイン。
旅先で美味しい紅茶を手に入れて参りましたの。ご馳走しますわ、きっと気に入るはずです。
――勿論、お嫌でしたら無理に、とは言いません。でも、貴男は断れないでしょう?
今のわたくしの言動は“わたくしが何かを知っている”という事をほのめかしているから。
ふふ…個人的なお話のようですのでわたくしのお部屋にお連れします。

――特別ですよ?

(そう秘め事めかして言ってみせる。唇を閉じると傍らに置きっぱなしだったトランクを持ち、何の企みもなさそうなにこやかで平和な笑みを浮かべ『教皇』を見てから、聖堂の脇にある居住スペースの入り口たる扉に向かってスタスタと歩いていく。)

229 :名無しになりきれ:2009/03/08(日) 01:40:17 0
【中層域に飛び降りようとした刹那、打ちあがってくる『戦車』が鼻先を掠めた。幾本かの髪が道連れに舞い散り、脂汗が浮かぶ】

おわっ、何だ、何が起こった?『殺気の主』そのものが上って来た!……なるほど、こいつの体そのものが『砲弾』!
(なんて速度と質量だ……直撃すれば致死は確実ッ!下手すりゃ跡形も残らないかもしれんぞ……!!)

――『戦車』、そして『大アルカナ』?まったく状況がわからんが、それがお前の所属と名前か!
(大アルカナ、つまりはタロット。二十二枚の絵札、ヨコシマキメの復活、壁画の二十二人……まさか!!)

【事象は要素を生み、要素は真実を紡ぎだす。遺跡突入から得てきた全ての情報が、今このとき、繋がった】


『当時』の能力者、そしてこの怪物の飼い主……!!つまりは俺の、『俺達』の、仇敵――――!!

(殺す。今ここで捕まえて、洗いざらい吐かせて殺す。どんな手を使ってでも、何に代えても――)
【敵意と殺意が交差する。頭の中が真っ赤になり、思考が殺しへシフトする。沸騰しかけたその瞬間、】

……手榴弾?――マズい!
【足元に転がる爆弾を熱い視界の端で捉え、咄嗟に飛びのき邪気を纏う。数秒もせず下から飛び出してきたのはアスカ】

殺す気か?殺す気なのか!?……だが助かった。おかげで頭が冷えたよ。
(そうだ落ち着け、俺が向かっていって何ができる?相手は相当な手練、生半可な実力じゃ傷一つつけられない。俺に出来ることは?)

【アスカが戦闘を開始する。炎の範囲外に逃れ、俯瞰できる位置を取る】
姉さんのアレは魔剣か。それも特級、とんでもない業物だ。銃火器を使いこなし、魔剣すら得物とする……只者じゃないとは思っていたが。
独断で突っ込めばかえって足手まとい、最悪あの炎剣で斬り燃やされるのがオチ、ならば……

オーケー姉さん、サポートするから指示をくれ!足留め、崩し、切断等々なんでも実現してみせよう!

230 :名無しになりきれ:2009/03/08(日) 02:48:14 0
ルチアさん、ね。ッフン、結構なお名前で……へえ、東国の人間ですか
……お互い?お、何をおっしゃられりゅのかさっぱり……

(馬鹿なッ!わざわざPhoe=Thrainのアナグラムまでして苦労したのに……
 何故だ、名乗る前の間が悪かったのか。あの妙な空白の所為か!
 いや、俺は嘘が好きじゃないんだから……バレる嘘吐いたって仕方ない!)

はあ、紅茶って……俺もちょっと急ぎの用ですので
レモンティーとかそっちの類でない限りは……
!成程……そうとなると、俺としてもご一緒せざるを得ませんな
では謹んで……お邪魔致しましょう

(流れに合わせてみたが、明らかに俺の頭が馬鹿ッ!
 ……『月』ならもっと上手くこなすんだろうか)

(とりあえず、この状況を冷静に判断しよう
 俺はこれから、女性と共に、部屋の中に二人っきりになるわけだ
 しかも……私室。しかも……特別ッ!
 確かこういうのをフラッグとか……文献で読んだが
 しかしその文献も、やたら卑猥な語が並んでいたな
 となると、フラッグを携えた俺にも卑猥なことが起こる訳か?
 良し!これで上手く事が運べば……ロリコンという不名誉な殻から脱出できる
 つーか、ロリコンって言っても、『星』が可愛いのが悪い!
 極稀に見せる微笑とか、明らかに魔性、明らかに悪ッ!
 ……しかし、可愛いは正義だとも文献で読んだ。これは一体……
 いや、『星』が可愛いのを正義と仮定しよう
 ならば、『星』というロリを可愛いと思う俺の心も正義……と言うことは)

ロリコンも正義であり、名誉!矛盾はない……整合した!

【思考漏洩発動】

231 :名無しになりきれ:2009/03/09(月) 22:36:23 O
──『当時』の能力者、そしてこの怪物の飼い主……!!つまりは俺の、『俺達』の、仇敵────!!

ん? メイドなお嬢さんがどこのどなたか存じませんが、そんなにヤりたいなら先に片付けてやってもいい──なッ!?

(銀の鎧は爆炎を遮る。が、熱を遮断する事まではできない。
 逃出そうにも視界が、斜線が阻まれ『戦車』の行使を許さない)

ド畜生が〜〜ッ!
ヒドい目にあったばかりだってのに、次は魔剣の投入かよッ!

(容赦なく振るわれる大剣。
 これを食らえば助からないのは、コーラを飲んでゲップが出るくらい確実!)

だが、面白れェ。

(首を撥ねられる直前、斜め上を見遣り、瞬時にその方向へ加速。
 最大速度と初動速度は同数を示し、天井にぶつかってから漸く速度を落とす)

手榴弾に炎を吐く魔剣、偶然かどうか、おれが熱に弱いのは確かだ!

(天井に張付き静止。直後、落下を始める前に横の壁へと向けて、同じ事が起きる)

蒸焼きになっちまうからな。鎧の中ってのは暑いンだ。
だが、おれの高速機動は廃熱も兼ねるッ!

(同じように、足元、岩影、穴の下から、曲り角まで、縦横無尽に目に付く端から愚直なまでの直線移動と衝突による停止を繰返す)

正に攻防一体! 最強である『戦車』に相応しい能力だと思わないか!?

(移動にて生じる余波! 着弾時に崩れる遺跡!
 その二つを牽制として、メイド──ヨシノ──の真上から、強襲!)

232 :名無しになりきれ:2009/03/11(水) 22:17:09 0
…ああ。こいつは私が相手をしよう。観戦するなり、これ幸いと進むなり、自由にしてくれ。
観戦する場合は気をつけることだ。周りに影響を与える力を使わないとは言い切れんでな。

…ふむ、やはり「星」か。能力の相場としては…「自らの身体を光とする」といった所かな。
…中々、興味深い。霧に変わる能力者なら見たことがあるが「光」とはな…

(言いつつ、ゆっくりと「星」の姿を眺める)

「死ぬか消えるか喰われるか」───?
面白い事を言う。貴様はこれから私の研究の糧となり、やがて死を迎え、私の手によって存在を消されるというのにな…クックック!

(「星」の体が光となって、あたりを縦横無尽に駆け巡る。シェイドはただ突っ立っているだけ)

…ほう。「白金眼」…か。その移動速度、成程「光速」の名に相応しい──。

(相変わらず悠然と構えている。得物を取り出す様子も無い)
……ふむ、少し座学を聞かせよう。「影と光、その違いは何か?」

(シェイドの身体に光が差す度、身体の切り傷が増えていく。しかしどれもこれもカスリ傷程度のものしかない)
──答えは「動くこと」だ。「影探眼」発動。

(自分の邪気眼の名前を小さく呟くと同時に、シェイドの姿が闇に飲まれて消える)

(やがて、どこからともなく声が聞こえてきた)
「光速」「光年」の言葉が示す通り、光は地点Aから地点Bへ、299792458m/sという速度で進む事ができる。
しかし「影」は別だ。光源がその場を移動しない限り、影は光の届かない所から動く事はできない。

それを言い換えれば──影は光あるところなら、どこにだって追いつける、ということだ。

(遺跡内を駆け巡る光に、黒い影が差している。影はやがて少しずつ光にまとわりつき、光の輝きを落としていった)

233 :名無しになりきれ:2009/03/13(金) 10:42:07 0
それがアンタの能力…か。直線的な高速移動でも、こうピュンピュン飛び回られたらそりゃ手も足も出ないわね…。
だけど…面白いじゃない。やってやるわよ、弾丸野郎。

(とは言ったものの、実は何にも考えてなかったりするのよねえ…。
 …高速で移動するあいつに追いつくのはほぼ不可能…だったら、行動を読んで攻撃か、移動自体を止めるか、あるいはこの部屋を熱で満たすかかな…)

(「戦車」は移動を続けている。ふと、着弾した後に一度体勢を立て直してから再度発射されている事に気づく)

……?
(跳弾は出来ないのか?つけいる隙を自ら作って…あれじゃ戦車というより人間大砲じゃないか)

…何にせよ、あんな隙を見逃すわけにはいかない───っ!?

(天井に張り付いた戦車の照準がヨシノのほうへ動くのを見る)

───チッ!2Pプレイは慣れてないよ…ったく!
(「戦車」がヨシノに視線を合わせる直前、転がり込むようにヨシノを押し倒す)

ヨシノ、あいつ着地後一瞬固まる、そんとき1センチでもいいから鎧をブチ抜きな!
それとアイツを倒すまで絶対に一箇所に留まるんじゃないよ!常に動けっ!

そして「戦車」!アンタの相手は私だよっ!

魔剣「デスフレイム」!
(剣の切先から火炎弾を3発放つ。落ちてくる瓦礫に邪魔をされてうまく照準が定まらない)

せまい場所でなんつう技使うんだい…ったく!
(「戦車」の一撃を紙一重でかわしつつ、火炎弾をぶつけ続ける)

234 :名無しになりきれ:2009/03/13(金) 23:38:26 0
【上空から降ってくる戦車。その姿を視認するより早く、懐へ飛び込んできたアスカに突き転がされる】

おぶっ!?……た、助かった。……!!っと【更に落ちてくる瓦礫を横っ飛びで躱し、距離をとる】
(マズいなこれは……俯瞰どころか奴の突進を避けるので手一杯。いや、それは姉さんも同じ……ここで躊躇えば全滅は必至!)

オーケー、あの鎧に穴を開ければいいんだな?任せろ姉さん!
(とりあえず観察しなければ始まらない。だが動き回りながら奴の動きを見切れるか!?)

【邪気を展開し、空間を走査。同時に意識と思考を感覚へシフト。目視と体感の両方で『戦車』を捉える】
(俺の『倒錯眼』は至近距離でなければ使えない。座標を正確に定めるには直接触れるのがベストだ。ならばまずは奴の足留めが先決!)

能力で動きを止めるならば狙うべきは着地後の一瞬、だがあまりに短いその時間で行使するには、『眼』を接触発動モードで罠のように設置する他ないッ!

(故に必要な情報は『奴が次にどこへ着弾するか』。つまり『高速移動の目標指定条件』、これを知らなければならない。
 奴はどうやって着弾点を決めている?『砲弾』の狙いは正確、ってことは指定方法さえ看破すれば先読みで能力の設置も可能!!)

【炎弾の応酬を浴びせ続けられる戦車、その鉄兜の隙間から垣間見える眼光と目が合った。刹那、展開していた邪気が危難を告げる】
――来るッ!!【邪気の流れに従ってサイドステップ。直後、自分の居た空間を致死の砲弾が駆け抜ける】

ふぅ、心臓に悪いな。だが理解できた!奴の移動を決定付ける要素――意外!それは『視線』ッ!!
弾道の『軌跡』は視線の体現!『目視した座標への高速移動』……それがお前の能力だな?

【不意に動くのやめ立ち止まる。『戦車』の視線がこちらへ向くのを肌で感じる。次の瞬間、突進が来る】

――やはり馬鹿正直に跳んできたな『弾丸野朗』!そこは既に『罠』の設置を完了しているッ!!
『倒錯眼』発動、ホチキスの『留める』行為を『目の前の座標』に適用する――!!

【空間そのものが歪曲し、巨大な不可視の針が『戦車』をその場に磔にする。同時、後ろに跳んで回避していた態勢から『戦車』へ向けて走り出す】
(対象指定ではなく不安定な座標指定、故に奴を留められるのは1秒が限界!届くか?届くのか?――届け!!)

【手に持った穴あけパンチが極彩色に輝きだす。鎧に触れるまであと一歩。隙間を埋めるように重ねる時間。致命的に足りない】

(ここでミスれば次はない。俺は一瞬で肉片、姉さんは渡り合うだろうが、それでも犠牲が出るだろう。
なによりこれは俺の、『俺達』の弔い合戦!かつてとこれからを分かつ分水嶺!だから勝つ。こいつと『こいつ等』の喉元へ牙を突き立てるためにッ!!)

【悠久にも似た一瞬を、思考と志向で埋め尽くす。満たされた『向かう意志』に、邪気が意識が手が足が、付和雷同に頷いた!!】


『戦車』の再始動より鼓動一つ競り勝って、指先が鎧の表面に触れる。考えるよりも早く、パンチレバーを正確に一回、押し込んだ。


                              ――――――穿て……『倒錯眼』――――――!!!


【閃光と劈音を同時に奏で、能力が発動する。堅牢を誇る『戦車』の銀鎧、その胸部を貫通して拳大の穴が穿たれた】



235 :名無しになりきれ:2009/03/17(火) 23:07:00 0
――――?
……リーか。悪いな……大丈夫さ。
ちぃ、情けないところを見せてしまったか……。

『業狼眼』――体を、軽く狼化……。
(薄く手の甲が光り、体に邪気がみなぎる)
光――か、道理で私の反応すら遅かったわけだ。
Yは……クククッ、私をどれだけ驚かせるんだか……。

ふむ、『星』……。まさに光の象徴。
不意を衝かれてしまえば恐ろしいが、正体さえわかれば――む。

……!なんだ、この男は……!
『影探眼』?
こちらに来て聞いたことは――っと、そうか……。

世界は広いものだな、こんな獣が野放しにされている場所とは。
アリスとやら、そのアルカナは貴様に任せる!
私達は――――いや、私はとっとと先に行かせてもらう。
Yとリー、私についてくるか『星』の始末に付き合うか、どちらか選べ!

(言葉を吐くと同時に、獣の如き速さで深部に駆け出す)

236 :名無しになりきれ:2009/03/18(水) 03:38:13 O
はっはーッ! 便利で強い魔剣だが、砲は剣よりも強しってな!
(絶え間なく降注ぐ火炎弾。しかしそれは影すら捉えることはなく、脅威ではなかった。
 なかったのだが、一瞬、催眠術なんてチャチな物ではなく、動きが止められる。留められる。
 ────そして)

なん……だと……?

(そして。風を、感じた。出撃以来隠され続けていた薄く膨らんだ胸部が、鎧の穴より晒される)

オーケィ。答えよう。その通り、おれの邪気眼は────あぁ、名前は忘れちまったな。
『高速移動』するだけの、戦闘能力も何もない陳腐な能力だ。
使用条件も、お察しの通り、だ。

(その能力が発動するよりも早く、火炎弾は『戦車』を襲う。
 肉の焦げる匂いと、音がした。
 透き間風が入り込み易くなったのが、不幸中の幸いだろうか)

当然能力が割れれば不利になる。勝てると、お前達はそう思ってる筈だ。
正直、おれも倒せるとは思えねェ。ハッキリ言って怖いね。

(尚も迫り、視界を遮る火炎弾から目を逸らして見上げれば、映るのは天井)

だがおれは『恐怖』を支配し!
『勝利』を手にしてみせよう!

(そして加速! 人体の限界を超えた圧倒的速度!
 天井を崩し、中層へと続く穴と入口から続く道を塞ぐ、まさに勝利への渇望が為せる技!)

リミッター解除だぜ!
邪気眼のよォ!!

(────体が、軋む)

237 :名無しになりきれ:2009/03/19(木) 00:31:42 0
〈光速で流れる視界の中、ナイフを携えた突進で『星』は確かに切り裂く手応えを得る。しかしシェイドの身に刻まれるのはどれもこれもが浅い〉
(その場から動いていないのにこの余裕…そして先ほどから何度も斬り付けているのに一つたりとも決定打になりません。防御に特化した能力ですか…?)

〈断定は事実をもって覆される。『影探眼』が発動し、シェイドの姿が闇に紛れ不可視となる〉
な、消えた?闇と同化する能力…?――ですがッわたしの光で照らせない場所などありませんッ!!

〈響き渡る『講義』から逃れるように、駆け、奔り、馳せる。光の身体と速度があれば、誰にも追いつかれはしない。それだけが自信であり、矜持だった〉

〈だが、〉


一体どうやってわたしの後ろにッ!!?
〈光となって駆け巡っているはずの背後から、黒い影が侵食してきた。ゆっくりと真綿で首を締め付けられるように、身体への負荷となって圧し掛かる〉

(これが『影』!……『光』のわたしとは相反するが故に、その動きは表裏一体!!せめて『太陽』姉さんのように光を支配する能力であったなら、
 光を収束させ影を切り裂くことも可能でしょう…!!ですがわたしの能力は自分と触れたものを光に変えるのみ…あまりにも相性が悪いです!)

〈逡巡する視界の端に、遺跡の奥へと駆けるフェンリルの姿が映る〉

――しまった!!足留めしきれないッ!行かせてはいけないのに…追わなきゃいけないのに……もう身体が動きません
〈『星』の身体は大半が黒く染まりつつあり、負荷はもはや立ち上がることすらままならない程にまで膨れ上がっていた。能力が解け、地面にへたり込む〉

……敵の力を見誤り、勇んで挑んでこの様ですか。もう笑う気にもなれません。――白衣の貴方……『研究の糧にする』と言いましたね。
どうするつもりかは存じませんが、わたしにだって矜持というものがあります。敵に捕まり生き恥晒すなど言語道断。だから――


――せめて一緒に消えてください

〈『星』の身体が一際強く輝き出す。能力のリミッターを解除し、まとわり憑く影すら吹き飛ばすほどの奔流を作り出す。自らの命を削って〉

(姉さん…『戦車』殿…『教皇』殿…あとはお願いします――)


――『白金眼』、オーバーロード――!!

〈爆発的な能力の膨張は、『空間』すら巻き込み光に変えて、遺跡の通路を埋め尽くす。同時、閃光が刃となって拡散した〉

238 :名無しになりきれ:2009/03/19(木) 22:17:42 0
(「戦車」の速度が更に増す。より早く、より大きな威力を持って壁を切り崩していき、やがて下層への穴と通路を瓦礫で塞いだ)

あっ……………………やれやれ、諦めの悪い異能者ってのはほんとに始末に困るよ!
(火の粉をあたりに撒きつつひたすら移動する。いい加減息が上がってきた)

…あいつが風前の灯なのは明らか。ほっときゃ力尽きるだろうけど…そろそろこっちもヤバいね。
止まった瞬間に殺られる…か。このまま時間切れを待つよりは、いっそ一撃…入れてやるか!

…………来な、人間大砲!月の裏側まで吹っ飛ばしてやらあ!
(魔剣の切っ先を「戦車」に向け、中指を立てて「戦車」を挑発する)

(「戦車」がゆっくりと視線をアスラに向ける。鎧の間から覗く視線がアスラと交錯した瞬間───)

燃やしてやるよ!魔剣デスフレイム「顕現」!


(刹那、アスラと「戦車」の間に炎の壁が出現する。アスラの体は炎に阻まれ、一瞬だけ見えなくなった。
 そしてその一瞬、炎の壁より橙に輝く何かが飛び出す。それが火の玉であったのか、炎の壁を越えたアスラの姿であったのか分かる前に、
 「それ」は「戦車」の眉間に長剣を突き立てた)


………ゼー…………ゼー…………
…………たは…ちょっと…セコかった……かな?
(「それ」は、そのまま疲弊しきったように膝を突いた)

239 :名無しになりきれ:2009/03/20(金) 02:13:07 0
【穿った鎧の穴へ火炎弾が吸い込まれ、内部で爆ぜるのを聞く。紛れもなく決定打。叩き込まれた致死の火球は内部を焼き尽くすはずだった】

――な、まだ動けるのか!?追撃を……く、身体が動かんッ
(魔剣に耐えるあたり尋常じゃないとは思っていたがあの鎧、なんて硬さだ……ほんの拳大を穿つだけでかなり邪気をもってかれた)

【視線を軌道へ変える『戦車』の機動は天井へと衝突し、さらなる瓦礫の瀑布を生む。降ってくる岩が自分に当たらなかったのは僥倖と呼ぶほかない】

しまった、道を塞がれた……!!どうするんだコレ、誰がまた穴開けるんだよ……俺か。
姉さんは……流石に対応が早いな、交戦中か……よし、後は任せよう。明らかに『戦車』の動きが鈍い……もう虫の息なのだろう。
(何より精神的な疲労がヤバい。ここまで派手な読み合いを演じた挙句『眼』の連続使用……慣れないことはするもんじゃあないな)

【地面に倒れ伏したまま眼を閉じた。展開していた邪気を鎮め気力の回復に努める。暫くして、決着を知らせる撃音が響いた】

……終わったか。うわ、熱がこっちにまで来るじゃないか、なんなんだあの姿は?
(伝わってくる魔力のケタが違う……戦略級決戦魔導兵器……一個人の運用できるレベルじゃないだろう、マジで何者だ?)

【『戦車』の兜を貫通して魔剣が刺さっていた。剣を中心に膨れ上がった魔力は熱波となってヨシノの場所まで届いている】

――死んだのか?俺は個人的に色々とこいつに聞きたいことがあったんだがな。

240 :名無しになりきれ:2009/03/20(金) 19:00:38 0
異常なまでの高濃度な邪気が充満している場所に怪物がいる

腕、脚、胴、首には、光を帯びた鎖が幾重にも巻き付けられている

怪物は自らを虜にしている鎖を引き千切ろうとするが、それは決して叶わない

数えるのが馬鹿らしくなる位、幾度も鎖を引き千切ろうと試みているが絶対に叶わない

普通ならば諦めるだろう。だが怪物は諦めない

いや、この怪物の辞書には諦めるという文字は存在しない

そもそもこの怪物に理性などというものは一欠けらも存在しない

強大な力の渦に呑まれた"彼"は、もう何も考えられないし思い出すこともできない

嘗て自分が『力』と呼ばれていたことも、人工邪気眼計画の被験者であったことも

栄誉ある計画だった。喜んで彼は真っ先に自らの体を捧げた

しかし不完全な技術と強大な邪気の渦は彼を呑み込み、闇に葬り去った......

漆黒の邪気が満ちる場所で赤い二つの光が浮かんでいる
その鎖は未だ外れず、彼は未だ解き放たれず

          【遺跡内部に不気味な咆哮が響く......】

241 :名無しになりきれ:2009/03/21(土) 23:12:21 0
(【星】……大アルカナのXVII!! マジかよ!!)
(奇襲とか卑怯だろ……話し合いの余地は残して……)

(「光」対「影」……善悪二元論の再来に比喩うのは安直か)
(まあ何にせよ、これで俺が戦う必要は……てフェンリルううう!?)

(えええ!! えええええ!! お前、ちょ、生き急いでんな!!)
(く……あいつを放っておくとヤバい気がする……仕方ないな)


……クク……なかなかの血戦だ
酒の肴には持ってこい……だが

連れを見失うと、色々と厄介だ……
名残惜しくもあるが、我も先を急g

ズボオッ!!!
(直後、<Y>の身体が地面を突き破り穴に落ちる)
(邪気ビッグモグラが掘った穴であろうか、結構深めである)


(刹那、空間を死める閃光が、白刃となり拡散する)


(光とは直進の性故に、斜に差し込む場合には)
(どうしても、空間を明と暗に塗り分ける)

(<Y>は暗の側に横たわり、明の側には突き刺さる白刃)
(貫かれた岩盤は傷口からヒビを走らせ、それは周囲2mほどの地面に及ぶ)


……はいはい。
ははは、この程度じゃまだ【鈴】は鳴らさねえよ。


(おめでとう!
おとしあな は しんそうちょっけつこーす に しんかした!)


(<Y>は落ちた)


どちくしょうがああああああぁぁぁぁ........



242 :名無しになりきれ:2009/03/22(日) 14:43:47 0
そうか、何にしろ巻き込んで悪かったな…
俺達にはあまり時間がないようだ
あんまりダラダラとしてられん
  (酒の肴だと……クッ…この余裕…無性に腹が立つ
   だが実力が伴っているものだ……何故だ、何故こんなにも…)
ああ、『星』は任せた、ラ・ヨダs……ッチ…じゃあな…!

なら、俺は喰われてくるとしよう
無論……ただでは喰わせんがな…

っふ、フェンリル…言ったはずだ……
最後まで付き合ってやると!

《軽い屈伸運動の後、一度ぐっと重心を落とし跳躍……せんとしたその瞬間、》

な…Y!?
―――くおッ…!『魔溜…』
  (しまっ……先程のフィードバックが…!!)
ぐ…っおおおおおおッ!!『魔溜眼』んんんんんッ!!!!

《魔溜眼によって光のエネルギーを吸収し、リーの身体が暗闇に包まれる。》
《しかしその規模は大きく、満ちる光の中で黒い点となることしか出来ない。》
《開けられた穴に雪崩れ込むように光が集まり、リーは過ちに気付く。》
《リーの身体を刃が切り裂き、『眼』をその負荷が刺し貫く。》

俺が…喰い切れないッ!?
ぐおああぁあぁぁぁああああぁぁああああ――――ッ!!!!!!!!!
  (何処の組織も……同じだな…。こんな…小さな子が………。
   ………ん…なんだ……この感じは…身体が……―――)

《光に射抜かれ、眼から、身体から血を吹き出し……》


(<リー>は落ちた)


はは……っ(よ)く…(落)ちるh(日)…だ………あ゙ぁ…気味の悪ぃ…(声)が(聞こえる)........

243 :名無しになりきれ:2009/03/22(日) 16:14:52 0
【紅いプレートの前に立っていた男が、落下してきたYの方を見ることも無く、
プレートに手を翳し、異常な密度と濃度の邪気をぶつけながら言葉を紡ぐ】

――――ほう。アルカナを二つもを掻い潜り
これ程早く此処に辿り着く者がいるとはな。

『月』よ。これを見る限り、貴様の選出した『戦車』と『星』は
我の意思を遂行出来なかったようだな。

……ふむ。まあいい。計画が完成する前に、アルカナに混じっていた
我の意思を果す事の出来ない、ゴミを処理できると考えるとしよう。

奴等の内のどちらかが勝利以外の結果を持って戻って来たのなら、
そ奴は『月』、貴様の手で“処理”をしろ。
さすれば、貴様と『愚者』の事も考えてやらんでもない。
【紅いプレートと謎の男の間のエネルギーがぶつかり合いが激しくなり、
 周囲に余波が放たれ始め、そこで初めてYの方を見る】

……さて、アルカナである『月』の予想をも超えた男よ。
まずは誉めて使わそう。我の計画に僅かでも影響を与えるとは、
凡百の愚図には出来ぬ諸行だ。
我のいる世界に無断で立ち入った事は死に値する罪だが、貴様の
功績に免じて不問に処す。そして――――光栄に思うがいい

我が直々に貴様に名を名を語る事を許してやろう。
さあ、貴様。名は何と言う?

【語る男が纏う邪気は、他の邪気眼使いと比較しても、あまりに
 異常にして異様であり異端であった。それは、邪気眼を持たぬ者にさえ、
 異形を感じ取れる程に。正に絶対を体現したような邪気だった】

244 :名無しになりきれ:2009/03/23(月) 02:21:19 0
<世界基督大学・食堂>

昼時にも関わらずやけに静然とした堂内で一人箸を進める人影がある。
本来空腹を抱えた学生達でごった返すはずの食堂は、来客一人という実質開店休業状態に見舞われていた。

大学構内の残っている人影は数えるほどしかいない。地下で人知れず展開される邪気のぶつかり合いの余波は地表を突き抜け、
湧き上がってくる邪気にあてられた人々は次々に不調を訴えそれぞれ逃げるように大学を後にしていた。

今、それに耐えこの大学に残留している人物は、『極端に鈍い』か『抵抗する方法を知っている』かの二極。
前者である食堂のおばさんを唖然とさせる珍客は、後者でありまた当事者でもあった。

「どうしちまったんだろうねぇ、みんなして具合が悪いって。ここで残って働いてるのもアタシだけさ」

ま、給料出るならどうでもいいんだがね、とおばさんは笑いながら言った。話しかけられた相手は箸を止めずに返す。

「ほーんと、何でこんなことになってるのかしら。これが世界の『選択』って奴なのかな」

「またそれかね。今朝もなんだか怪しい男がそんなことをぶつぶつと…知り合いかい?」

「んー、まぁ、そんな感じで間違いはないと思うけど」

やっぱりねぇ、とおばさんは得心したように言う。そしてBランチを貪るように喰らう客を眺めながら、

「そんな感じがしたよ。アンタも…まぁ、かなり怪しいし」

それは女性と少女の中間にあるような女だった。無論、普遍的なカテゴリに属するそれではなく、まず格好からして違った。
流れるように結いこんだ髪は眼の覚めるような山吹色で、それも微妙に発光している。後頭部で一まとめにし、毛先は天を向いていた。
纏う衣服は全てが統一されたように黄色く、燃えるような赤のスカーフが辛うじて色に変化を与えている。

実に奇抜な格好だった。
一番の特徴は、その眼にあった。大きく縁取られた眼窩に収まる眼球は、鮮やかに発色する青と金がコントラストを描いていた。
人工邪気眼。人の手によって人ならざるものへと跳躍を果たした証たるそれは、異色のなかでも一際異彩を放っている。

女は食事を終えるとおばさんに食器の乗った盆を手渡し、退出するため出口へと足を進めた。

「ところでさ、」

背後でおばさんが言った。

「アンタどうやってここに入ったんだい?入り口は電子ロックで閉めといたはずなんだけど」


アルカナ二十二柱が一人・『太陽』は、振り返りながら笑顔で唇に人差し指を当てた。

245 :名無しになりきれ:2009/03/23(月) 13:28:52 0
くっ!なんだ、この光――まさか、命を……!
ならば、相当な威力……不味い!

(遺跡の角を曲がり、光が直接当たらない位置に移動し――直後)

(白刃が移動し損ねたローブを壁に括りつけ、フェンリルを磔に)

……!

本当に間一髪だったようだ……。
命を引き換えにして放つ大技……当たれば私ですらやられてたか。

アリス、リー、そして……Y。
あいつらは死んだか?
まぁ、あれを食らえば当然だな。
ご愁傷様……ククク。

(ローブを脱ぎ捨て、半袖とジーンズの姿になる)

クク、アルカナの一柱『星』。
先に進ませまいとするその執着心は見上げたものだった。
恐ろしい恐ろしい。私が戦わなくてよかったよ。

だが、私は生きて行かせてもらう。
残念だったな、ククククク……。

さて……此処は一本道か。


(早く進まないと……力を、手に入れなければ。)
(私が世界の支配者に……『破壊者』になるために!)

246 :名無しになりきれ:2009/03/25(水) 20:12:40 0
(やがて光の動きが緩やかに止まり、少女の姿を形作る。シェイドはそれと同調するように影化を解き、少女に向かい少し失望の混じった溜息を吐く)

……なんだ…もう終わりかね?この分では大した収穫には成りそうに無いな…。
…まあいい。アルカナ一柱というだけで価値はある。それでは当初の約束通り、私の所有物になってもら――――
――――何っ!?
(シェイドが手を触れようとした刹那、「星」の体が一層輝く。光の流れは至近距離にいるシェイドの体を侵食した。
 血管を逆流するように、光がシェイドの体に流れ込む。やがて「星」の体から弾け飛ぶような光の刃が発せられた)

くっ………この光は…!

(やがて光が収まり、通常の光量が遺跡に残る。たった今まで戦闘が行われていた場所には最早シェイド以外誰もおらず、
 シェイドの白衣は自身の血で斑点を描き、彼自身も生きながらにして殺されたかのように呼吸すらせずに立っている)

………………………クッ……
………………………ククッ……クッ…ハハハハハハハハハハハハっ!
(その場にしばし呆然と立ちつくしていたシェイドが、突如狂ったかのように笑い出す。
 同時にシェイドの体から視覚できるほどの邪気が放たれ、それによって体に侵入した光が全て四散する)

惜しい!実に惜しいぞ!蝋燭の灯火は消え際が最も輝くと言うが…人は蝋燭ではあるまいに!何故、あの光を生きながらにして出せぬのか!
いや、しかし…素晴らしいぞアルカナNo.XVII「星」!貴様の全身全霊、影使いアリス・シェイドがこの四肢に刻み込んだ!ククッ………ハハハハハハハッ!


(そのまま、地の果てまで響くような耳につく笑いを続ける)


………さて、歓喜はこの辺りで良いだろう。子供じゃあるまいし。
いやしかし…全くもって素晴らしい。流石は…ヨコシマキメということか。

(と、そこで辺りにいた連中が一人残らず消えている事に気付く)

……さっきの光にやられたか?馬鹿な、吸血鬼じゃあるまいし。
ふむ………まあいい。とにかく以下の研究データを助手Aに送って、探索を再開するとしようか。
(眼鏡を人差し指でかちりと鳴らし、元の進行方向へ歩き出す)

247 :名無しになりきれ:2009/03/27(金) 00:56:35 0
〈『星』は自爆した〉

〈光は刃となって散り、風もなくその場を空虚で埋め尽くす〉


――――当該存在の消滅を確認。術式を自動起動。

〈シェイドが歩き去り、その場から生命が消えた〉

――――非常通信術式『告知{インセクトコール}』発動。

〈故に音もなく綴られる独白は命ある者のものではなく〉

――――状況承認。対象選択。決定。

〈地面に転がった髪留めから発せられていた〉

――――告知対象:『太陽』。

〈『星』という名の少女が存在していた唯一の証〉

――――告知内容:能力過熱、術者爆散、回収依頼

〈たおやかなポニーテールを形作っていた器物〉

――――情報転送開始。

〈そこに織り込まれていた術式が、持ち主の消滅をもって起動した〉

――――転送完了。告知完了。術式完了。


髪留めは待ち続ける。光となり散った持ち主を『回収』してくれる能力者の来訪を。
血を分けた姉妹が、その仇を討ち果たしてくれるのを。

――アトハ、オネガイシマス

全てを傍観していた髪留めは、今をもって初めて自らの役目を全うし、今度こそ永久の沈黙へと移行した。

248 :名無しになりきれ:2009/03/28(土) 01:50:00 0
<世界基督大学・広場>

普段ならば多くに学生達が行き交う広場も、今は人影なく閑散としている。
人のぬくもりはここにはない。ただ静かに、ゆっくりと冷えていく空間を、彼女は横切っていた。

『太陽』。黄色い髪に、黄色い衣服の、まるで陽光を人型に切り取ったかのような存在感。
スティックタイプの携帯糧食にかじりつきながら、風を肩で切り前へと進む。向かう先は決めていない。

「んー、何も考えずに地上への転移陣に乗ったはいいけど、この建物たちは一体なんなのかしらん」

彼女は大学という施設を知らない。彼女に限らず、『アルカナ』に属する者たちは殆どが遠い異国の地の出身である。
その中には生まれてきた『時代』すら違う者も少なくない。彼女とその妹もその類だった。

彼女の有する知識の中には、直線と直角だけで構成された建物群や、自分の姿が映り込むほど磨き上げられたリノリウムの床も、
街一つぐらい作れそうな数の人間を集めるための空間なども存在していなかった。故に、目に映るもの全てが新鮮で、

(食べ物が尋常じゃないくらいに美味しい。風景も綺麗だしもう一生ここで暮らしてもいいや)

彼女の嗜好を満足させるには充分すぎるほどに足りた。

そんな至福の極みにある彼女の、その髪をまとめ留めてある髪留めが小さく鳴動した。
情報伝達術式。追付する魔力の質で発信者が妹であることと、それがあまり穏当な方向の情報でないことを即座に理解した。
鳴動は尚も継続し、脳裏に直接情報が流れ込んでくる。

――妹が、爆発した。

彼女は知っている。『星』の能力は光への変身。その力がオーバーヒートすれば、待っているのは永遠の霧散。
身体はすべて光となって散り、最早自分の意思で戻ること叶わず。能力を司る意思そのものも、消え散ってしまっている。

(あの娘に戦闘任務を任せたの、『月』?)

同僚の姿が脳裏に浮かぶ。陰に多くを傾けたな面持ち。昏き光を宿した眼。
『太陽』と『月』の本質ゆえか、彼女達は相反する性向を有していた。

彼女と『月』は同格。故に自由人たる『太陽』は自らの意思で地上へ上がり、大学内を闊歩している。
だが妹は違う。あの酷くお人よしで臆病な娘は、使命に従うことを至上命題とするフシがあった。

やるべきことは決まっている。妹を『回収』しなければならない。
そして、彼女は知らねばならなかった。一連の事件の本質たる真実を。『アルカナ』を傀儡をするもう一つの意思の存在と、その目的を。


戦慄する程の邪気と戦闘力を身に纏い、『太陽』は行く。己の刃が自由であるために。

249 :名無しになりきれ:2009/03/28(土) 20:40:21 0
……はー疲れた。のっけからこんなんで大丈夫か私って感じだよねえ。
ヨシノー、生きてる?ちょっと手え貸してよ手。この剣、中に魔神入っててさ、解き放つと結構体力使うのよ。

(辺りの残り火が剣に吸い込まれるようにして消え、やがて鉄火色の刀身は鈍色に戻った)はいご苦労さん…と。


聞きたいこと…ねえ。まあ仕方ないんじゃない?尋ねてペラペラ喋るやつでもないだろうし、そもそも止まって会話ができないやつだし。
まあ、情報はこいつの亡骸に聞いてみることにしましょ。
(「戦車」の鎧の中を改める)


……………………あれ?

……あらまあ。口調からしててっきり髭をたくわえた筋肉質なおじさまかと思ったのに……開けてビックリ、中身はローティーンのかわいこちゃんじゃない。

(瞬間、ヨシノの目つきが変わる)

ま、女子供だろうと容赦しないのがアスラ様。早速ひん剥いて金目の…いや「アルカナ」とやらの情報を頂き………ん?

(ヨシノの放つオーラを察知する。「白い婦人の絹衣」を付けて尚感じ取れる、明確な、しかし得体の知れないオーラである)

……あー、で…でもこいつ、鎧以外にロクなもん身につけてなさそうだね。あんな能力だから…まあ、当然っちゃあ当然かな。ははは。
こ、ここはあえてスルーしますか。…ヨシノ、ほら、ボヤボヤしてたら切り刻むよ?
(引きずるようにヨシノを運ぶ)

250 :名無しになりきれ:2009/03/29(日) 01:20:46 0
【魔剣の魔力が静まり、沈黙する。こともなげに軽口を叩くアスラの顔にも疲労が見て取れる】
(やはり特級魔剣……それも魔神封印型?いや、契約型の可能性も……うーむ実に興味深い)

流石のアンタも疲れたと見える。だが残念だったな、俺の疲労はそれを遥かに凌駕しているのだよ……!!
とりあえず死人に口無しである以上、こいつの装備や身体から調べて察する他ないか。……ってもう剥ぎ始めてるな?
(手の早いことで。しかし『戦車』、ね。『大アルカナ』とはコイツの所属……ってことはS級レベルの能力者があと二十一人も?うへぁ)

【暗澹たる憶測に人知れず嘆息している傍で、『戦車』の鎧が外されていく。中から出てきたのは、】


な、少女……だと……!!
馬鹿な……確かに鎧で篭った声からは性別を判断できなかったが、言い振りと一人称からして男だとばかり……

(しかしよく見ると可愛らしい顔立ちじゃないか……それもまだ成熟しきっていないと見える。まさかの俺っ娘!?それもロリ!)
【膨れ上がる邪気とは異なる奔流。パトス。人はそれを、リビドーと呼ぶ】
(っは……し、静まれ……俺の心よ……火照りを静めろ!!)


おおっと急に疲れが消えて無くなったんだが?姉さんは休んでてくれあとは俺が隅々まで調べて――
――ははは、おいおい何をしているんだ俺の襟首なぞ掴む必要はなかろう待て待て情報が!色んな情報が遠ざかっていく!!
いくら俺でも死体に興味があるわけないじゃないかただちょっと知的学術的探究心がだな敵を倒したら剥ぎ取るのが流儀だろうが
三回までは剥ぎ取りが許可されていてだな集めた素材で武器を作りいざ一狩り行こうぜ!!?

【引きずられるようにアスラに運ばれる】

【大穴を埋めた瓦礫の隅をぶち抜き、中層域へと引きずられたまま舞い降りた】

251 :名無しになりきれ:2009/03/30(月) 22:51:07 O
テスト

252 :名無しになりきれ:2009/04/02(木) 22:39:43 0
世界基督大学より遥か西、かつてのヨコシマキメ遺跡跡。
古くより異能に馴染みの深かったこの土地は、三つの勢力が拮抗した上に成り立っていた。
龍族と聖獣、そしてヨコシマキメ。邪気眼という無限の概念で他を憚っていたヨコシマキメが原因不明の消失を起こした今、
彼等三つ巴のパワーバランスは大きく崩れ崩壊へと緩やかに向かい始めている。

遺跡の中で繰り広げられる戦闘。彼らは知っているのだろうか。



世界は誰が思うよりずっと早く、綻びを見せ始めているということを。

253 :名無しになりきれ:2009/04/03(金) 01:24:18 0
白虎は敗走していた。
この感覚を知っている。ほんの半日ほど前にも、異装を纏った人間が彼の前に現れ、おおよそ人間らしくない牙と爪を向けてきた。
その攻撃は彼の命まで届きはしなかったものの、鬼神錬磨を誇る白虎の毛皮を深く傷つけ、敗走を余儀なくされた。
それと同じような状況が、今も起こっている。

白虎は血を流しながら走る。手負いながらもその疾駆は風を越え、しかし追走者を振り切ることは叶わない。
普通の人間はもとより、どれだけ身体強化に重きを傾けた異能者であっても、元となる身体はヒトのものだ。
聖獣である白虎とは、生物としての基本性能からして桁が違っている。故に彼にぴたりと併走し追う者はヒトではない。

それは人形だった。
可憐な少女の容貌を持った人形。漆黒の衣装にはところどころに意匠の施されたフリル。
風に揺らめくそれはまるで煉獄から立ち上がった黒炎のように思える。それほどに、おぞましい。
舶来のものに似たその顔には、ぴくりとも変わらない表情が固定され、翡翠のように透き通った瞳は白虎の方へ向けられたまま微動だにしていない。

人形がこちらに手を翳す。
同時にずっと閉じられていた口が開き、言葉を紡ぎだす。

『照準完了。標的への穿撃を開始します』

言葉を解さない聖獣にも、それが何を意味するかは感じ取れた。
攻撃が来る。

不可視の力が漆黒の燐光へと姿を変え、さらに新たな形へと移行する。
黒い光が形作ったそれは、巨大な鏃だった。

『戦闘攻性術式"イビルアンカー"――起動』

射出する。
死の香りが濃厚になった。白虎は咄嗟に虚空へと身を投げ出す。
同時に戦闘態形へと移行する。『ダディ・クール』、四足獣の姿が光に包まれ、次の瞬間には紳士の大男へと変化していた。

「――ッッ!!」

豪腕を繰り出す。狙いあやまたずそれは鏃にぶち当たり、漆黒の死線はひしゃげ、光の飛沫となって四散する。

『――捉えました』

白虎は見る。それまで頑なに表情を固定していた人形の口元が、僅かに緩むのを。
紳士状態となった白虎を見据え、その人形は確かに『笑った』。
己の繰り出した腕を見る。そこにはさっきまで存在していなかったはずの漆黒の鎖が、幾重にも絡みついていた。

強烈な制動をかけられ、慣性に身体を締め付けられる。浮上は同時。腕に絡められた鎖に牽引されて、白虎は再び虚空に放られた。
空中で鎖を断ち切り、白虎は態勢を立て直す。地上は遥か下に見えるが聖獣たる彼には些事ともいえる高さ。
着地と同時に突進攻勢をかければ勝機はある。しかし、彼の思惑が叶うことはなかった。

叩きつけられるように落下した地面にはうっすらと文様が敷いてある。白虎の身体がそこに触れた刹那、それらは一様に輝き始めた。
白虎は気付いた。一連の動きが罠であることを。この文様が動きを封じるための術式陣であるということを。
一瞬のうちに隠れていたと思しき人間達がわらわらと這い出ては集まってくる。包囲が完了した。

白虎は自分が捕獲されたことを理解した。

254 :名無しになりきれ:2009/04/03(金) 02:02:56 0
<元・ヨコシマキメ遺跡跡>

かつての遺跡があったこの場所に、今は別の目的で大勢の人間が集まっている。
彼等は一様に統一された服装をしており、それがそのまま所属を如実に表現していた。

『小アルカナ・"剣"』
アルカナの誇る戦闘部隊である彼等が包囲しているのは、この地を守護する異能の獣、『聖獣』だ。

剣呑な雰囲気の包囲網が割れ、中から一人の男が歩み出した。
小アルカナの面子とは違い私服らしきカジュアルは服装に身を包み、顔には退廃的な笑みを浮かべている。
中世的で端正な顔つきではあるが、いまいち締りの無い表情のせいで色々と台無しになっている。
小アルカナの一員であろう壮年の男性が敬礼しながら歩み出た。筋骨隆々のガタイは緊張と恐縮のせいか縮こまって見える。

「『白虎』の捕獲が完了しました。お疲れ様です――『吊られた男』様ッ」

報告を受けた男は緩みきった微笑みを振りまきながら応対する。

「やぁ、君たちもご苦労様。おかげで任務も上手くいったし、僕のコレクションも増えて双方お得だね?」

「恐縮です!『大アルカナ』の一員たる貴方のご協力がなければ我々と言えども全滅は必至でしたッ」

「そりゃー良かった。そんじゃあ『こいつ』は僕が持って帰るからあとは頼むよ?」

「了解ですッ」

部下の一団が引き上げていく。『吊られた男』と呼ばれた彼は息を吐きながら捕縛された白虎の傍へと歩み寄った。
隣にはその捕獲へと一役かった少女の人形が直立不動で彼を待っていた。

「……やれやれ、"剣"の一師団使って追い詰めて、しかも僕の『お気に入り』まで投入してやっと一匹か。こりゃ割りに合わないね?」

問いかけは人形に向かってだった。応えは待たずに返ってくる。

『そのわりには嬉しそうですわね、ハングドマン様』

「リスクを負うに値する相手だったってことさ、マリー。マリー=オー=ネット?」

マリーと呼ばれた人形は口の部分を器用に歪ませてアヒル口を作る。翡翠の眼も今は半目だ。

『フルネームで呼ばないで下さいまし。あまり気に入っておりませんの。その安直なネーミングセンスが』

「はー、キツいこというねマリー。いつから君は命名評論家を目指すようになったんだい。夢を持つのはいいことだね?」

『話がズレていますわ。それで、どうするんですの?貴方の"吊り糸"を繋げばこのニャンコロベエも意のまま、哀れなマリオネットに早変わりですものね』

「そりゃあそうするともさ。そのための包囲網だからねぇ。こりゃ久々に僕の『お気に入り』に追加が出るかな?」

終始ニヤケ面で語る『吊られた男』を睥睨し、マリーは踵を返す。視界の端で、彼から邪気で構成された糸が白虎へ伸びるのを捉えた。
心なしかマリーの表情が晴れやかでないのを見越して『吊られた男』は微笑みながら尋ねる。

「もしかしてマリー、嫉妬してる?」

『全ッ然、微塵もありませんそんなこと!!』

言いながらマリーはこっそりと構成していた魔力の鏃を『吊られた男』へと射出した。

255 :名無しになりきれ:2009/04/04(土) 19:39:03 O
(〜〜〜っ……ッチィ……んだよ今のは……何が起きた……)
(……くっ、全然違う景色だな……ってことは……また落ちたのか)
(くそっ……フェンリルやリー、あの白衣と短髪は無事なのか……)

(ん? なんだ……ありゃ……人影に……紅い光?)
(紅……っつったら……おいまさか、【紅のプレート】!?)

(冗談じゃねえ! 何処の世界に、1日で最奥まで突っ込むバカがいんだ!)
(【アルカナ】の連中の妨害工作を鑑みるに、奴らは恐らく……)
(ああくそッ、どうして寄りによって俺が来ちまうんだよ!!)

(こうなったらやるしかねえ……家訓1、まずは相手に呑まれない!!)


――――クク……【星】とやらには感謝をせねばなるまい。
彼女の尽力のお陰で、想定より早く到着が出来た……。
ついでに、道を綺麗にしておいてくれて礼を言う……。



道中、快適だったぞ……なかなかな、ククク。

(瓦礫の山から立ち上がり、フードで青い顔を隠す)

ああ……そう言えば、名を訊ねていたな。いや焦らして済まない。
が……名とは問う方から語る物……先に名乗るは汝に譲ろう。


(あばばばばもうどうにでもなーれ)


256 :名無しになりきれ:2009/04/06(月) 21:56:38 0

「ああ……そう言えば、名を訊ねていたな。いや焦らして済まない。
 が……名とは問う方から語る物……先に名乗るは汝に譲ろう。」

瓦礫から立ち上がった男がそう言った瞬間、周囲にいた数人の『アルカナ』の中に
驚愕の混じった緊張が走った。
それは、侵入者に名を尋ねた者がどの様な『存在』なのかを知っているが故の反応。
もしも邪気眼を持つ者ならば、目の前の男の異質にして異常なその気配を感じ取り、
その絶対的な力の差に対して、逆らおうなどという考えは起こせない。
ましてや、質問に答えず、逆に問いかけるなど考えもよらない反応だったからだ。
その過程が示すのは、即ち目の前のこの男が、相応の実力者であると言う推定……

だが、

「下郎の狐が。 我は貴様に問いに答える以上の権利は与えてはいない。
 何より、安い道化芝居を我に見せるとは、余程命が不要だと見えるな」

目の前の存在は、男の道理も条理も論理も全てが自らの持ち物だとでも
言うように、侵入者の虚飾を、直感唯一つで叩き潰す。

少し不愉快そうな表情をしながら、その存在は左手を払うように軽く振る。
埃でも払うように行ったその動作は死刑の合図。突如現れた黒い光が侵入者の首へと纏わり付き、
縄となり侵入者の首を締め上げようと動き出した。
そうして縄は、呼吸を完全に停止させるべく動き……だが、何かを思いついたように動きを止めた。

「……ふむ。このまま殺すのもつまらんか。下郎とはいえ、我の膝元まで辿り着いた
 蛮勇は中々……ならば、一度限りの慈悲をくれてやろう。貴様の望みを叶えてやる」

そうして、地獄の業火を思わせるその瞳で見つめながら。
その存在は自らの名を

「我こそがアルカナの頂点、究極にして絶対の存在――――MO.21 『世界』」

高らかに宣告する。

257 :名無しになりきれ:2009/04/09(木) 21:36:03 0
トントントン……

…さて…と。戦闘データはこの位だろうか…。
おい助手A、今送ったデータをアルファ・システムに入れて保管───何、土に埋まってて手も足も出ない?なんだってそんな真似をしている、阿呆。
…ああ、こちらは万事正常だ。
どうも移動は人為的らしいな。いや、空間に観測できる「歪」の数値がな…こいつは滅多に無いサンプルだよ。
あ、その情報も入れてある。データを紛失しようものなら………私製の真綿で首を締める。じわじわと。

ピッ。

……さて、先程感じた邪気…。
挑発か何かは知らんが、とにかく最下層に驚くべき邪気の持ち主がいる事は間違いないな。
ヨコシマキメ採掘…滅多に無いチャンスだが、少し急がせて貰おうか。
着いた頃には終わっていた、なんて笑えんからな。

(少し歩いて、ふと足を止める)

……ん、邪気…か。
敵意が無い所を見るとお仲間だろうが、誰だ?

258 :名無しになりきれ:2009/04/10(金) 00:41:33 0
<世界基督大学・大聖堂裏>

学内の隅に展開される石と花だけで構成された空間。ミッション系の学舎にはよく見られるこの共同墓地、その中央部に入り口はある。
不自然に動かされた墓石と、そう遠くない過去に爆発があったことを物語る煤けた地面と飛び散った石片。そのいくつかを靴底に噛み、
『太陽』はそこにいた。鮮色を纏う彼女は色あせた墓地に立つことでその存在感を一層強めている。

「……随分とゴーインな開けかたするのねぇ。ヨコシマキメも可哀想に」

墓石へ歩み寄る。本来決まった手順を経て開閉するはずの隠し扉は砕け散り、最早隠匿の役目を果たしてはいない。
開けっ広げの入り口の傍に、点灯したままの懐中電灯が立てかけてあった。『太陽』にとっては初めて見る器物であったが、目するべきはその挙動。

(光が『口』の中まで伸びてる……それに微かに感じるこれは、邪気?)

先行く賊の残した能力の残滓。『倒錯眼』によって拡大された効果範囲をもつ光。その痕跡を、彼女の知覚は正確に嗅ぎ取った。
そしてそれは、彼女にとっても価値ある情報だった。

「賊が誰だか知らないけれど、遺跡の中に光が満ちているのなら――『暁光眼』発動」

『太陽』の眼に邪気が集まり、力の奔流は凝固する。数秒を経て彼女の前に現れたのは、光で出来たディスプレイ。
そこには遺跡内に満ちる光を通して全ての情報が集約されていた。

領域型支配系・『暁光眼』。光を自由に生み出し自在に操る能力。それが彼女に与えられた『人工邪気眼』であり、それ故に彼女は『太陽』だった。

彼女は光を支配する。そこに限界はなく、本当の意味で『自在』に使役するのだ。
光あるところならば彼女に知覚できないものはなく、故に現在半身を照らされるヨコシマキメ遺跡の内部は手に取るようにわかった。

上層にて『戦車』を発見。既に事切れている。『光』に過去を遡らせたところ、下手人は現在中層域へ降りようとする最中のようだ。
中層にて『星』の髪留めを発見。妹はそのあたりで爆発したのだろう。その先には白衣の男と茶髪の男。
最下層へ続く穴も発見したが、そこまでは賊の光も届いていないようだった。

やるべきことは解っている。

まずは『戦車』を撃破した賊二人組に接触する。場合によっては戦闘になるかもしれないが、そこに迷いはなかった。
自分は『太陽』。アルカナの上位ナンバー。矜持と自信と決意とが、重なり堆積した上に彼女は立っている。

(大丈夫……お姉ちゃんは、負けないから)

『太陽』は入り口へと足を踏み入れる。覚悟を決めた主の一人を、ヨコシマキメは無言で受け入れた。

259 :名無しになりきれ:2009/04/10(金) 17:00:29 O
影羅「オレを起こす馬鹿は誰だ?」

260 :名無しになりきれ:2009/04/16(木) 22:28:34 0
(ずるずるとヨシノを引き摺りながら進む)
…ほら、いつまでやってる気だ。とっとと起きな、未練がましい。

……にしても「アルカナ」か…聞いた事無い組織だね。さっきの「戦車」の実力からして、半端な力じゃない事は明白だけど…
ヨコシマキメ転移のタイミングといい、ひょっとしたら私達、結構ヤバい喧嘩買っちゃったのかしらねえ…ま、遺跡に入った時点で覚悟はしてたけどさ。


……ふうん。この辺りは割と大人しいみたいだね。
戦いの跡はなんぼか残ってるみたいだけど…(辺りの瓦礫を物色しながら)…うーん、やっぱり宝らしい宝はないね。


────?
(その時、アスラは何者かに「見られた」感覚を感じ取る。はっとして辺りを見回すが誰もいない。ただ光が満ちているだけである)


……へん、ノゾキとは…あんまりいい趣味とは言えないねえ。

(…私が気配を嗅ぎ取れない…か。ヤバい程の実力者か、或いは異能者。異能者ならば能力は…
 …瞳を飛ばせる能力、あるいは自らの存在をゼロに近づけられる力…ってとこかな?
 どちらにしろ友好的ではなさそうだ…さて、敵さんの正体は…?
 冒険者、遺跡管理人、或いは大学関係者…あと…考えたくないけど一番高い可能性が「アルカナ」ね。
 ヨシノも私も万全とは言い難い・…こうなったら…できるだけ逃げる!)


(背後に迫る敵意を感じて)
……見て見ぬフリも限界か……ヨシノ、気づいてるでしょ?
「いちにのさん」で、仕掛ける。…出遅れんじゃないよ?


いち…にの…


それっ!逃げダーーーーーーーッシュ!
(土煙が上がらんばかりの勢いで走り出す。これこそが便利屋アスラが長い年月をかけて培った経験と実力で成る技「逃げダッシュ」である。
 お宝を横取りして逃走する時、遠くまで出張った地での食い逃げなど、その利用方法は真に多様だ)

261 :名無しになりきれ:2009/04/17(金) 18:00:10 0
ククク…

262 :名無しになりきれ:2009/04/17(金) 22:24:31 0
……む?
(後からの声に反応し、振り向いて気配を読み取る)

(一瞬眉をひそめたが、すぐさま納得した表情でシェイドの前に現れる)
……ほう、貴様は生きてたんだな。アリス=シェイド。
あれほどの攻撃を受けても余裕はあるとは、私の想像以上だ。
そしてその力で、これから現るだろう雑魚を大いに片付けてくれると嬉しいがな。

と、『星』を始末したのか?いや、自滅したのかはたまた『歪』に飲み込まれたか?
どれだろうと私には関係無いが、何かに利用できた筈だろうに……。

(くつくつと喉を鳴らし、存分に嘲った後に辺りを見回す)

……ああ、そういえば他の奴……Yとリーは居ないのか。
死んだんかね、だとすると本当に短い付き合いだったことになるな。
どいつもこいつも短命で面白くない。
そういう意味では貴様は面白そうだが。


(その時、何かの気配を感じて眉間に皺が寄る)
(再び視線を動かすが、その気配は感じ取れない――何者かはわからない)

……む、また新たな刺客だろうか――と、後から急ぐ足音が聞こえるな。
どうしたものかね……とりあえず、先に進もう。
アリス、貴様は付いてくるか?

263 :名無しになりきれ:2009/04/18(土) 00:04:13 0
【アスラに引き摺られながら遺跡を進む。『白い婦人の絹衣』がモロに地面を擦っていたが、不思議と汚れは無い】

この辺は随分と荒れてるな。『当時』の戦いの痕跡が今でも残ってるのが大多数だろうが……いくらか真新しい形跡が見られる。
どうにも先に潜った連中はそう遠くない位置に居るようだな。追いつけるかどうかは解らんが、意識の片隅にでも置いておいた方がいい。

――!!
【直後、遺跡の半分に展開されている『倒錯眼』の能力に微細な干渉が生じた。寸毫にも満たない間隙を縫って、何かに傍受されている感覚】

(遺跡の入り口から俺の能力に直接インターセプトをかけてきている……ただの異能者じゃないな、何者だ?
 媒体である光に干渉……単純な攻性術式じゃない、おそらく邪気の奔流から知覚情報だけを掠め取られた――!!)

……まずいな、俺達の位置も筒抜けってことか。それにさっきから感じる邪気、余波だけでも『戦車』と同等かそれ以上だ。
どうする姉さん。相手は相当の手練、俺達はさっきの戦闘で疲弊しきってる。あまり芳しい状態とは言えないな?

――仕掛ける?(この状況でその選択ってことはよっぽど何か秘策でもあるのか?よし、信じるぞ姉さん!)オーケー、了解した。

「いち…にの…」

【と、秒読みの途中でアスラが駆け出す。しかしその足の向く先は背後に迫る敵ではなく遺跡の奥、つまりは逃亡】

ってあれぇぇぇぇぇぇぇ!?『さん』はどうした!?ってか逃げやがったあの女!!嘘だろおいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!
(ちょ、おまっ、なんてこった、もう姿が見えなくなったッ!あれは完全に他者を置き去りにする走りッ!!つまりは盗掘屋の逃走術!!)

ふざっけんなド畜生がぁぁぁぁぁぁ!!!

【ルーチンワーカーであるヨシノには体力がない。開眼してから邪気眼に頼りきりであったことも相まって、その身体の低スペックさにものをいわせた
 無様な逃亡は速やかに終わりを告げる。彼が息を切らしてその場にへたり込んだころには、背後の気配はもうすぐそこまで来ているのだった】

(馬鹿な……俺はこんなキャラじゃなかったはずだ……いつからこうなった?知的でクールな俺はどこへいったんだ……!!)

264 :名無しになりきれ:2009/04/18(土) 00:04:55 O
(ッ! まずった!? 一体、なに、が……!?)


(…………。)
(………?)
(……な、生きてる……? ……やっべえええ……)

(あ、アイツが『世界』ってのは分かった……分かったが)
(完全にアウェイ……これ詰んだんじゃねえか俺……)
(……いや、諦めるな。まだ俺は生きてるんだ……!)


……クックック……これはおかしなことを仰る。
まさかこの道化めにかしずけとは……野暮なことを。

ましてや狐にかしずけとなると、
これは見世物か大道芸の間違いであろう……?

(時間を稼ぐしかない……それしかできない……!)
(こうなりゃやるだけやってやれ……最初からクライマックスだ!)

大アルカナXXII、『世界』。名乗ってくれて感謝する。
主な意味は「完全なる」、「約束された成功」……クク、成る程。

流石のアルカナだ、あんな大それた自称をするだけはある。
勿論それが正位置ならばの話だが……杞憂だろうね?


―――【アルカナ】諸君!!
汝等が如何にしてアルカナを名乗るのかは知らないが……。

覚えておくといい、占いは時として本当に運命を暗示するものだ。
『世界』たる彼には、汝等の誰もが逆らえぬようにな。


例えば、この中に『塔』を

265 :名無しになりきれ:2009/04/18(土) 00:19:37 O
<ミスすまん!続きです>

―――【アルカナ】諸君!!
汝等が如何にしてアルカナを名乗るのかは知らないが……。

覚えておくといい、占いは時として本当に運命を暗示するものだ……。


例えば……汝等の中に『塔』を冠する者がいよう。
その者のアルカナは「悲嘆」や「災難」……憐れむなかれ諸君。

『隠者』などもおるのだろう?
その者には「深慮」はあるのだが、故に「崩壊」も孕むのだ。
考えすぎには注意するに越したことはない。

そして大アルカナXVIII、『月』はおるかね?
意味は「幻惑」にして「欺瞞」……さらに、「隠れた敵」、「裏切り」


(狙うは、攪乱)
(たとえ『世界』が動じずとも、その周囲の人間ならばどうか)

(命懸けの虚勢)
(大きい身振りで言葉を張り上げるその様は)
(さながら演技にして、まさに煽動)


嗚呼……しまった、これが俺の悪い癖なのだ。
何せタロットには並々ならぬ興味を……つい口が軽く。

おおそう、申し遅れてしまって済まない。
我が名は<Y>……汝等も能力者なら、多くを語らずとも意味は分かろうな?

266 :名無しになりきれ:2009/04/18(土) 23:38:45 0
遺跡を照らす異能の光も仄暗さを孕む深層近く、正規の順路ならばここが中層域の終端となる。
この先は明かりも届かない邪気と瘴気に満ちた深淵。躯と骸が転がるばかりの死の領域。

混沌を体現したかのような闇の暗幕から、一人の男が歩みだしてきた。地獄から這い出るような邪の芳香を纏い、
向かう先は中層からこちらへ来る賊への迎撃。染み出る邪気の甚大さとは裏腹にその歩調は軽く、男の顔には退廃的なニヤケ笑い。
傍には黒衣を纏い可憐な少女の容貌を持った等身大の人形が、男を護るように寄り添い供に歩みを進めていた。

男が言う。
「いやぁ、白虎を捕獲してすぐ侵入者迎撃の任務を仰せつかったわけだけど、『月』氏もなかなかに人使いが荒いね、マリー?」

人形が返す。                                                                           ハングドマン
「仕方がありませんわ。『星』様も『戦車』様も見事にしてやられたようで、下っ端に任せて済む事案ではなくなったということでしょう、『吊られた男』様」

『吊られた男』が苦笑する。
「うわお、爆弾発言だよマリー。本人達ならまだしも『太陽』女史なんかが聞いたら泣いたり笑ったり出来なくされちゃうよ?」

もとからそんな複雑な表現回路は持ち合わせておりませんわ、とマリーはひとりごちる。
「それより露払いなんぞに駆出されたご自分の不甲斐なさをお嘆き下さいませ。あんなシャンコロベエの捕獲に師団一つ使うものだから」

「アルカナってそんなに財政キビしいのかい?まぁいいさ、丁度件の『新入り』を実戦投入してみたかったところだよ。
 僕の『吊り糸』は繋がった対象の記憶も多少垣間見ることができるんだけれど、どうやらこの先の賊に白虎と一戦交えた相手がいるみたいだね?」

「そんなことには微塵も興味がありませんわ。噛み捨てたガムよりどうでもいい情報です」

またまた、と『吊られた男』はニヤケ笑いを強める。どうもこの意思を持った人形は彼の興味が白虎に向けられるのが面白くないらしい。
なんとも未成熟で稚拙な感情だが、彼女――人形に想念が宿ったのもそう昔のことではないので、どちらかといえば順当な成長だと言えた。

中層域の中間近く、『星』が自爆した地点より少々奥まった位置で、ついさっき合流したばかりらしい二人組を見つけた。
一人は狼を思わせる顔つきをした青年。長い茶髪を後ろでまとめている。
もう一人は所々血に染まった白衣を纏った男。眼鏡の奥に光る眼光からは感情を読み取れない。
諜報部からの情報にあった外見と、完全に一致した。あと二人ほど足りないが、どのみちここで迎撃すれば言いだけの話である。

「やぁ、お初にお目にかかるね。僕は大アルカナが一人、『吊られた男』。こっちは魔導人形のマリー=オー=ネット。ヨコシマキメを冒す賊とは君達だね?」

依然変わりなく退廃的に微笑みながら、両腕を広げて自己紹介。同時にその突き出した手から邪気が立ち上り、撚り合わさって糸を構成していく。

「早速だけど、君達の邪魔をしに来たよ。これ以上奥に進まれると困っちゃうからね。あと茶髪の君、ウチの子が個人的にリベンジしたいってさ、どうする?」

ウチの子、という言葉にマリーが微かな反応を示す。それを端目に創りあげた糸を地面に投げた。いつの間にか敷かれていた転移陣に吸い込まれ、
何かを吊り上げていく。ゆっくりと牽引されて地面から生えてきたのは、紳士の姿をした大男だった。先の任務で捕獲した聖獣、白虎である。


「僕の邪気眼は『傀儡眼』、能力はご覧の通りさ。それじゃあ始めようか、楽しく踊ってくれよな――我がマリオネット達と、ね?」

267 :名無しになりきれ:2009/04/19(日) 04:39:13 0
邪気眼は人間が扱っても全体の10%未満しか発揮出来ない…
天使、悪魔が扱っても35%以下だ…
神が使っても80%まで、邪気眼はどれほどの底力を秘めているのか?
100%はどれほどの破壊力なのか?研究の種は尽きない…
…この実験体も駄目だ、40%に満たないうちに壊れてしまった、使い物にならない。
やはり人間では無理が有るのか…?
いや、それはこの戦いを見てから決めるとしよう。時間はまだある。
『イチンペンテ』の日まではたっぷりと、時間はある…

268 :名無しになりきれ:2009/04/19(日) 15:59:45 O
安い男が、安い挑発をする!

【Yと『世界』の間に割って入る漆黒のローブ
 同時に辺りに満ち溢れる、髄骨を削るような凍える邪気】

主よ、耳などお貸しにならぬよう……
彼奴の思惑など見え透いております
大方、苦し紛れに戯言を弄し、少しでも時間を稼ごうとの魂胆でしょう
そうでなければ、あるいは単なる挑発か
何にせよ、この程度歯牙にかけるまでも……否、無用な心配か
矮小なる虫けら如きの言葉が、偉大なる我らが主にまで届く法もない。フ、フッフフフ……

しかし生憎と、私の方にはしっかりと聞こえてしまっているようです
そう勝手に、反逆者の烙印を押されるのは心得られぬゆえ

――『月』だ

【舞い上がったローブの下に現れたものは
 口調に似合わず、銀髪の艶も眩い妙齢の女性。或いは少女
 翻る黒布を背後にする立姿は、あたかも夜気を裂いて光輝を射る『月』のよう
 焼け爛れた瞼に縁取られたオッドアイには、明らかな軽侮の色が浮かぶ】

仮に。……私が密かに、後ろ手に叛旗を携えているとして
主ほどの方ならば、既に気付いて当然でしょう
しかし今現在、『我が主』は、こうして私をお傍に付かせておいて下さる
そしてまた主は、不穏分子を泳がせなさるなどと、甘い考えはお持ちにならない
と、貴君の言分の是非は、状況が示している筈ですが……

【ふと『世界』に向けられる、湿り気を帯びた流し目】

さて、自己弁護もそこそこに。貴君は私のみならず、我が同胞までも嘲った
それだけに留まらず、己を〈Y〉……などと
〈Y〉を冠する者の血脈は、とうに途絶えた筈!
……私は古今東西のあらゆる能力者に覚えがあるが
貴君の顔などまるで知ったものではない

貴君が真実に〈吉岡〉なのなら、私が知らぬ道理があるか!!

【瞬間、周囲を払う威圧は氷点下】

最早、堪りかねる。
主よ、この哀れなる無礼者への執り成し
──万事、この『月』にお任せあれ

269 :名無しになりきれ:2009/04/21(火) 22:09:50 0
……ん?なんだ、先程の吸血鬼…否、光で死んだのではなかったのだから非吸血鬼と言うべきか。
まあとにかく、あの時のアレだ、えー、あの時私の問いに対して一番つまらない名乗りをした奴。名前は確か、あー、そう、「フェンリル」か。貴様か。
生きてたのか貴様。残りの二人は死んだか?…ふむ、惜しい事をしたな。「Y」とやらにはもう少し尋ねたい事があったのだが。

(やけに急いでいるようだな…何かある、か)

…「星」か。あれはもう少しと言う所で自爆した。
いや、全く惜しい事をしたよ。せめて奴のデータを我が血肉たる研究の礎として精一杯利用してやらねばな…。
(フェンリルの嘲笑を気にする風でもなく、ただ意識は「星」の散り際に飛んでいた)

大体にして今回の探索は無駄が多いのだよなあ。何時もならばあの銭亡者の尼さえ居なければそこに「在る」物全てを何かしらデータの一部として利用するくらい
の勢いで採取・観察し研究という城を建てる煉瓦として使うというのに、私ときたらヨコシマキメと聞いて少しばかり気が焦っていたのかはたまた存在する「歪」
にあてられたかは考察を書く気きもならないがとにかく光を操る邪気眼使いと邪気眼持ちおまけにアンノウンを取り逃がしてしまうなど持っての外。せめて下層域
の上等な連中は全員持ち帰って原型なくなるまで研究し尽くすくらいやらないと私の気が済まな………

……ん?
(闇の奥からスルリと人影が現れる。まず現れたのは、冒険者とも思えないような普段着に身を包み、どこか小馬鹿にしたような薄ら笑いを浮かべた男。
 その一歩後ろから、闇に溶けるような黒衣を着た背丈のやや低い少女。男の従者のようについていた)

…新手、か。邪気が糸状に伸びている…成程、「傀儡眼」…分かり易い名前で大変結構。
私はアリス=シェイド。不変にして千変の知の力を持って影を操り、そして今日から貴様を操る者。
貴様の選択肢は二つに一つ、A.私のもとに来て研究材料となるか、B.研究材料として私のもとに来るかだ。

…ん?フェンリル、人形に顔見知りが居るとは…なかなか顔が広いようじゃないか。
それでは、貴様はそちらを頼もう。私は術者を担当するとしようか…。

(懐から片刃の短刀を取り出し、一歩「吊られた男」の方へ歩き出す)

270 :名無しになりきれ:2009/04/22(水) 23:07:40 0
  (俺はどうなったのだろうか…
   『星』の自爆をまともに、いや、余計なことをしたせいで必要以上に喰らってしまった…
   ………異様に身体が軽い……俺は死んだのか?
   バカな、生と死の境目を渡り歩いてきた俺がこんなイージーミスで…
   いや、これは落ちているんだ
   流れ出てる血で目が見えないが、ローブがたゆたうのを感じる
   落ちているのなら身体の軽さも頷けるな
   だが、これはまるで浮いているような…
   ―――っ!?これは………光?……何か…懐かしい…)


……………はッ!!これは邪気!!!!
空気が張り詰めている…!
まるで凍り付くような……殺意…

Yは!?先に落ちたはずだ!
奴ほどの使い手なら問題は無かろうが…
もう一つ……なんだこの…恐ろしく強大な邪気は………

……地面が見えてきたな…!

《最下層の闇を切り裂き、リーが舞い降りる》
《胸に提げた小瓶から放たれる、淡い光を携えて》

Y、手を貸すぞ

271 :名無しになりきれ:2009/04/23(木) 07:39:45 0
『太陽』は困惑していた。                            レーザー
放置されていた『戦車』の亡骸を手厚く葬り、瓦礫に埋まった大穴を収斂光条で再び切り開き中層域に到達したのがつい先刻。
戦闘を覚悟で賊二人組に接近してみれば、接触する前に修道服は遁走し、意表を突かれた女中服はそれを追いながらも途中で力尽きたらしく
へたり込んでいる。彼女が追跡術数を駆使するまでもなく、いとも簡単に追いつくことが出来た。

斃そうとすればいくらでも隙はあった。逃げるならば足を打ち抜く。光に圧力を持たせてやれば照らされた空間で身動きをとる術はない。
それでも彼女が疲労に喘ぐ女中姿を手にかけなかったのには直感に基く違和感を感じていたからに他ならない。

(お、と、こ……??)

メイド
女中服を着てへたり込んでいるその中身は、誰がどう見ても男のそれだったのだ。
侵入者は女二人だと思っていた。彼女の常識では女中とは読んで字の如く女性の給仕のことであったし、
労働者階級の人間が修道女と共にいるのも珍しいことではなかった。ジェネレーションギャップとでも言うべきか。
少なくとも彼女の生きてきた時代では、『女性用の服を好きこのんで着用する男』というのは、紛れもなく変態だったのである。

だから言う。
「へ、変態…………!!」

『太陽』の認識は概ね正しい。誤算があるとすれば、呼ばれた瞬間に目を剥いてこちらを振り返った女中服の表情が
理不尽と不条理を大いに湛えたものであったということと、全身黄色の服装をした彼女もまた、客観的常識的視点から言えば、



変態だったのである。

272 :名無しになりきれ:2009/04/23(木) 22:35:24 0
「フハハハハ! やはり、空より大地を見る『月』の名を与えただけあって、
僅かであれ、凡人よりは我を認識できているな、『月』よ。誉めて遣わそう。
――――最も、『月』を名乗る以上、そうであってもらわなければ、この場で処分した所だが」

無表情に『Y』と『月』の語りに耳を傾けていた『世界』は、
突如哄笑をすると、二人から視線を逸らし、紅いプレートへと向き直る。

「……道化よ。貴様の命懸けで道化を演じる胆力、そしてその名を語る覚悟。
それはこの我が直々に認めてやろう。だが、貴様の言葉は所詮は衆愚の思考よ。
崩壊も災害も裏切りも、全てはただ我の掌の上で踊る、我の所有物という事を知れ」

そして『世界』は神託のように理屈や道理抜きに『アルカナ』の心に絶対的な安定を与える、
呪言にすら似た言葉を紡ぎ、新たな侵入者の事など蚊ほども気にした様子無く、
再び『月』に語る。

「『月』よ。お前の願いは聞き届けた。その汚名を濯ぐ為に、
この場はお前に任せよう。 任せたからには――――我を失望させるな?」

直後、『世界』が軽く片腕を振ると、黒い光が『世界』達と
Yと月との間を隔て、それは瞬間にして『ミスリル』となり、
物理的かつ魔術的に最強クラスの壁を形成した。

「ククク、『道化』と『月』か。本来なら見る間でもない
決まりきった結末となるだろうが――『Y』の名が出てきた以上、
座興程度には我を楽しませてくれるかもしれんな」

273 :名無しになりきれ:2009/04/25(土) 19:52:46 0
ふむ、マッドサイエンティストという奴か……こりゃ骨の髄まで染まってるな。


およ、こっちにも刺客が。
これでアルカナが差し向けた刺客は何人になるかね?やれやれ。
好い加減しつこいな。道を開けてとっとと奥まで案内してくれるとが合理的だが、やはり戦うのか?

『吊られた男』――アルカナの12番目か。
『傀儡眼』とはわかりやすい名称且つ興味深い眼だ。
だが、ご覧の通りというのは怪しいな。こういう輩というのは呼吸も同然に嘘をつけるのだし。

それよりもだ、人形遊びは他所で私を巻き込まずにやってくれると嬉しい。
戦いは戦いで楽しむべきだというのが私の理念でね。
組み合わせるとどうしても無駄な部分や相殺しあう部分がある。
それが勿体無いのだよ。だから個々で楽しむ、それが一番だ。

つまりだ、私が言いたいのは――ガキのお遊びをこっちに持ってくるなよガキ野郎。
家で一人閉じこもっていろ。

(白虎を見て)
ふむ、おやおやこれは……いやなに人形とは面識は無い。あるのは単なる白い虎だ。
確かそれは大男にもなりはしたが、ここに居るのは単なる操り人形。よって面識はないのだ。

(指の骨を鳴らしながら、自分も敵に歩み寄る)

さて……どうぞ、貴様はその人の匂いが薄い奴をやってくれ。
こっちは獣の人形と女の人形の相手をしてやろう。いつでも掛かってくるが良い!



274 :名無しになりきれ:2009/04/25(土) 20:34:13 0
糞スレ晒しあげ

275 :名無しになりきれ:2009/04/27(月) 00:22:46 0
【ヨシノは背後に邪気の高まる余圧を感じる。最早振り向く気力もなく、故に地に伏せるのは最低限の防御。諦観ではなく逃避】

(……く、そ、やはり先の無理がたたったか――旅団。…もうどうにも身体が動かない。――盗掘。死ぬのか?――仲間。俺は死ぬのか?
 ――崩れる洞窟。浮かび上がる死霊の残滓。抉り取られる生き残り。最後。赤。朱。紅。届かない両腕。冷たくなっていく人じゃない何か。
 畜生、打開策を思いつこうにも何故か昔のことばかり脳味噌の中でぐるぐる回ってやがる。走馬灯にしちゃ随分と趣味が悪い。
 これもヨコシマキメの邪気が見せているのか?冗談じゃない。何かあるはずだ。今までだって考えてどうにかなってきた。
 俺の本領はそこだろう。だが背後にいる誰かは間違いなく今まで出会った中で最強に近い部類、理屈こねて打破できる現状か?
 せめて姉さんが居れば…あの女…悉く俺の範疇から逸脱しやがって…絶対に化けて出てやるぞ……南無三……!!)

【しかし覚悟していた攻撃はいつまでもこちらに届かず、変わりに呟くような言葉が飛来した】


「へ、変態…………!!」

なん……だと……!!


【思わず疲労すら忘れ振り返る。そこにいたのは全身を黄色でコーディネートした少女。髪の色まで似たような感じである。つまりは、】

(変態に変態扱いされた……もういい死のうかな!!)

【あまりの不条理に泣きそうになる。桁違いの膨大な邪気を湛えるその少女は、故に単なる変質者というわけではないだろう】

……言いたいことは山ほどあるがまず教えてくれ。アンタは俺とさっき逃げたシスターの敵か?
そうならば俺なんかより先にあっちを仕留めに行ってくれ。俺はこの通り動けないし、何よりあの女は一筋縄じゃいかないからな。
その分俺も生き長らえられる。敵でないならちょっと手を貸してくれ、腰が抜けて立てないんだ。

【当初とは別の覚悟を固めたヨシノ。しかし彼は二転三転する現状に流され木を見て森を見ていなかった。】


【女装メイドと、黄色づくめ】


【出会ってはいけない変態二人が、出会ってしまった】

276 :名無しになりきれ:2009/04/27(月) 21:23:49 O
(あばばばっばばばまさか挑発に乗ってくるとはあああ!!)
(ま、まあ大ボスの『世界』が来なかっただけマシかも……)
(……どの道死ぬわ!! バカ!! 安心してどうする!!)

()

277 :名無しになりきれ:2009/04/27(月) 21:40:07 O
(ミスすんません…改めて)


(あばばばっばばばまさか挑発に乗ってくるとはあああ!!)
(ま、まあ大ボスの『世界』が来なかっただけマシかも……)
(……どの道死ぬわ!! バカ!! 安心してどうする!!)

(ってどわあ!! なんっじゃありゃ!! 壁? 普通の壁!?)
(魔法の類か何かか……しかし……鑑賞されるかと思ったがな……)
(ってうわあああさっきからお前殺す的なこと言われてるんですけどおお)

(……を!? まさか!? やった……リー来たあああ!!)
(何とかなるかも知れない……こうなれば、俺のやることは一つ!)

(『相手の気を引きつける』……これしか、ない!!)


―――ククク……随分と遅かったな。待ちかねたぞ、リー。
危うく見せ場を逃すところだったな……期待しているぞ、クク。

ところで……君。確か『月』とか名乗っていたね?
いやはや先程は失礼した……我が不徳のなす業だ、許してくれたまえ

……そうそう。先程、君は我が名<Y>の由来を、
『吉岡』だと……そう推測したろう。いや、良い線を行っている。

確かに……この邪界において、『吉岡』姓は特別な意味を孕む。
【特異点の少年】吉岡邪気……あらゆる因縁の大元とも言えよう。


……だが。
君はいくつか忘れている……ないし、知らないことがある。
邪気眼の起点にして終点たる<Y>を冠する存在……。
……後【2つ】あるのだが、心当たりはあるかね?


(後ろ手で、親指と人差し指を立てたサインをリーへ送る)
(『隙を見て攻撃』―――そういうことらしい)

278 :名無しになりきれ:2009/04/28(火) 23:53:45 0
シェイドの嘲りとフェンリルの煽りを受けて、『吊られた男』は静かにニヤケる。
その表情はこの世の全ての愉悦を得た者のそれであるような、つまりは人を食ったような笑みだった。

マリーがそれを横目にちらと見て、問う。
「喧嘩を売られているんですのよ。何が可笑しいのです?」

彼女の顔は対照的に憮然としたものだった。乏しい表情機能をフルに使って不愉快であることを示す。
『吊られた男』に毒を吐かれた事実に眉を吊り上げずにはいられなかった。"それ"をしていいのは、自分だけのはずなのだ。

「……いやね、彼らはよく人を見てるなって。ここまで痛いとこつかれたのは久しぶりだね?」
『吊られた男』は元引き篭もりである。それも親の加護のもと何不自由なく暮らしてきたとっちゃんぼうやのことであるから、
ガキ扱いも当然といえば当然であった。実際彼が自らを操る『糸』の存在に気付くまでは、こしゃまっくれたガキそのものであったのだから。

だが今は違う。だからこそ言える。
「――でもね、家に閉じこもるのなんかとっくの昔に終わってるんだよ。十年選手の年季は伊達じゃないよ?」

「誇れることではないでしょう。そんなことより御託ばかり並べているといい加減『月』様に時間稼ぎを疑われます。
 私達の任務は足留めでなく迎撃なのですから。減棒処分を喰らいたくはないでしょう」

言って二人は前を見る。短刀を構え一歩踏み出したシェイドと、既に戦闘態勢のフェンリルがいる。

「茶髪の彼は君と白虎をご指名のようだねマリー。どうする?」

「愚問ですわ。貴方が一人で戦えるような能力なら、私の存在意義がございません。それに――」

マリーは少し躊躇って、
「あのデカブツには無理な相談でしょう。貴方を護れるのは――私だけなのです」

血が通ってなくてよかった、とマリーは思う。きっと赤面していたから。彼女に宿った想念は、少ない機能で表現するには
最早複雑に過ぎる感情を有していた。そういった現状を誰よりも喜んでいるのは彼女自身であるということをマリーは認めない。必要もない。

「<ギミック>のメンテナンスは済んでるね。戦闘準備はオーケーかい?」
護りたい者があって、

「完了しておりますわ。いつでも行けます。指示を」
護るための刃がある。

「よし、――――好きなように暴れてくれ。これで充分だね?」
今はそれで充分。彼女の思考回路は、最も大事な結論を既に導き出しているのだから。

「――了解しました」

マリーは右腕を振る。燐光と共に出現したのは、<ギミック>と呼ばれる魔力兵装が一つ。
白虎捕獲の際にも活躍した鏃。今はその刃を長大に拡張し、最早剣と呼べる代物にまでなっている。
シェイドを見据える。血に染まった白衣を翻し短刀を構えるその姿を自動追尾スコープの照準に捉え、言い放つ。

「では参りましょう。改めて自己紹介します。私の名はマリー=オー=ネット。『吊られた男』様の刃にして盾。そして、」

「――君達の敵、だね?」

主の言葉を背に受けて、マリー=オー=ネットは戦いへと踏み込んだ。

279 :名無しになりきれ:2009/04/29(水) 00:31:53 0
白虎は当惑していた。
東の聖地で捕縛され、転移術式によってどこかへ収容されたことまでは覚えている。
術式の中で意識が薄れ、ぼんやりとした思考の中で、何かが脳内へ介入してくるのを感じた。
それは糸状の想念で、白虎の思考と少しの記憶を読み取ったあと、彼に問いかけてきた。

戦いたいか、と。

言葉を解さない白虎は、その問いかけが言葉を介していないものだと理解した。つまりは思念が直接流れ込んでくるのだ。
たおやかな糸は彼の感情をがんじがらめにし、根源的なところから答えを攫っていく。だから彼は、正直に応じた。

闘いたい、と。

聖獣である白虎は故に高いプライドを持つ。半日ほど前現れた人間は、狼のような風貌へ変身を遂げ、彼へと爪をつきたてた。
生物としてのスペックは桁一つのみならずこちらが上だというのに、あの人間は果敢にも挑みかかりあまつさえ彼に傷を負わせた。

自然界における強者としての自尊心が、その毛皮とともにズタズタに引き裂かれてしまったのだ。
その事実は白虎に怒りをもたらし、同時に興味すら抱かせた。

もっと戦ってみたい。プライドを取り戻すと同時に、彼の抱いた興味がどこからくるものなのか知りたかった。

そうして今、邪気の糸に牽引され術式から外に出てみると、そこには件の人間がいた。衣装こそ変わってはいるものの、
姿も匂いも声も挙動も、彼の意識へ爪を食い込ませたフェンリルに違いなかったのだ。

白虎は歓喜した。また戦える。彼に繋がった糸から思念が送られてくる。

『リベンジしたいかい。好きなように動いていいよ?』

同時、得体の知れない活力が全身に巡るのを白虎は感じた。右手を見る。そこにあるのは包丁。勿論ただの包丁ではない。
まず大きさからして違う。成人男性の身の丈ぐらいはありそうな大振りの刀身に、薄く付けられた刃が鈍く冷ややかな光を放つ。

得物を手に、白虎は吼えた。過去(>>106)と同じように。自分自身の弔い合戦へと咆哮を向ける。
少し離れたところで自分を捕縛した男と人形が視界に映ったが、最早気にも留めていなかった。

早く闘いたい。早く斃したい。早く知りたい。

欲と願望を混ぜこぜに波立つ感情を一吼えで抑えこみ、白虎は刃を掲げる。
裂帛の気合を腹に溜め、彼は闘いの間合いへと踏み込んだ。

280 :名無しになりきれ:2009/04/29(水) 18:35:43 O
テスツ

281 :名無しになりきれ:2009/04/29(水) 18:42:53 0
(眼鏡の奥の瞳を少し開き、マリー・オー・ネットの全体像を一瞥する)
───ふむ、やはり貴様は人形か。いや、なかなか面白いじゃないか…。
槍?…否、槍の先端部つまりは鏃。ほう、つまりそれが貴様の刃…《ギミック》とか言ったか。
それは主人の手製かね……成程。使役者・被使役者共に興味深い人材だ……。

(一歩、また一歩と歩を進めてゆく。間合いまではまだ少しある)

ギミック…即ち仕掛け、改造…。

……改造、何処かで聞いた事があるな…専門外故、詳しいわけではないが…
確か、そう。人形を「製造る」者と「使用う」者の中間…製造られた人形に手を加えて更なる高みに近づける者──
───魔に改めんと造る。即ち《魔改造》…と。

貴様の体は中々興味深い…ふむ、数多の《魔改造》の跡が覗える。
一つ一つに丁寧なほど情念が篭っているな…人形というのは製造の目的故にヒトの情念が付き易い物だが──
──ふむ、主人には十分に愛されてるようだな?

出来る限り傷を付けずに捕らえたいものだ────とっ!

(「吊られた男」に向かって一気に走り出す。刃を振るうも、マリーに阻まれて弾かれる)

───ハッ、人形愛好者に人間愛好人形か!
愛だの恋だのに価値は無いが、面白いじゃないか!

(返す刃で斬りつけるも、マリーの《ギミック》に全て対処される。マリーの攻撃をかわしつつバックステップで距離を置く)

「影探眼」発動!

(白衣を捲り上げ、白衣の裏に無数に取り付けられた短刀を投げ飛ばす。しかし全てそれらは「吊られた男」とマリーの近辺に刺さり、命中はしない)

操作対象:【短刀の影】───影殺一式「百花」!

(短刀が垂直に刺さった事によって生じた小さな影が突然盛り上がり、質量と形を持ち始める。
 すぐに何十本もの短刀の形になり、それは一斉に二人に向かって発せられた)

「繚乱」!

282 :名無しになりきれ:2009/04/29(水) 20:33:49 0
……フン

(マリーが『吊られた男』の傍に行くのを見、鼻を鳴らす)

おいおい、私相手にこいつだけでいいのか?『吊られた男』とやら。
どうせだから2人で掛かってくればいいものを……。
3人でもいいんだぞ。だが、アリスもいるから、流石に獲物の独り占めは良くないから分けたのに。
結構舐められたものだなぁ。
私の戯れの相手が猫一匹とは、こちらが逆に心配するぞ?
そんなに切り詰めなければならないくらい手駒が少ないなんて、な。

……とと、もう始める気か、WHITE TIGER――白虎。
どうやら半日前とは違うようで。これは中々……。
あの時よりも気迫が、覚悟が、感情が数段違う。
手負いの獣を舐めてはいけないとはいうが、いやはや……。
心構えを変えただけで一段と強くなったものだ。

が、まだまだだ。

(瞬間、フェンリルの周りに以前よりも多くの邪気が満ちた)
(その邪気はフェンリルから放出されたものではなく――ヨコキマシメに在る邪気)

此処の邪気は邪気眼使いも長くはいられないという……。
だが、私には素晴らしく快い空間だ。しかも下層に行けば行くほど邪気も濃い!
なんと嬉しい性質か!

――――業、とは何か。
それは邪なる物。詰まるところ、邪気だ。そして邪気が多ければ多いほど私に力を与える。
業を、力を与える狼の林檎に変える――――それが『業狼眼』。

(戦闘の為だけに編み出された、まさに戦闘の為の体勢に構え、手の甲に眼の光を刻む)
(フェンリルのその腕は毛に覆われ、両手の爪は鋼鉄の刃物となり、両眼は黄色くぎらついた)

前回のおさらいと行こう――かッ!!

(瞬時に白虎の懐に潜り込み、喉元に風穴を開けようと右手を突き出す)

『業狼眼・爪』!

283 :名無しになりきれ:2009/04/29(水) 23:55:01 O
主よ。有難き幸せに御座ある
私はこれまで、頭脳労働ばかり担当して参りましたが
戦闘においても能有りとのこと、この機会にご確認頂けましょう

……む
また、侵入者。『吊られた男』君は間に合わなんだか

【颯爽と現れたリーに対して、不機嫌を露にし、神経質に咳払いをする】

お知り合いですか。リー……リー・ゼバッブ君に御座いますね
お名前だけは存じておりますよ。余りご活躍が耳に入りませぬもので……

しかし、いきなり現れた上に、いきなり参戦布告とは
ご自身の行動が些か無謀である事、お分かりで御座いましょう
総身の傷痍……刃を抜くには、少々難儀では?
あちらの隅にて安静になさっているのが宜しいかと
さすればこちらとしても、事を成すのに手間が省けて良い
……もっとも、何事も強いては申しますまいが

【慇懃無礼な態度に出て、気持ちを落ち着けた後、次はYの話に聞き入る】

……二つ?フ、一体何を仰りたいのか!
私の答案に対し、合否を宣するだけでは足りませぬか!
〈Y〉を冠する語など……心当りどころか、ありふれ過ぎているでしょう
全く。私にこれ以上、語彙に棲む虱を潰せとでも?

貴君はここへ、私を試験しにいらっしゃったのか
……その二つとやら、貴君御自らきっぱり仰った方が
対話が澱みなく進んで宜しいものと存じますがね!

【人を揶揄することはあっても、されることは慣れないらしく、沸点が低い
 コートのポケットに手を入れて何やら弄びながら、苛立ちを抑えている様子】

284 :名無しになりきれ:2009/04/30(木) 15:05:45 0
女中服の男からの誰何に、『太陽』は思索を巡らせる。

(敵かどうかを聞いてくるってことは、私の素性はバレてない?ここは味方のフリをしておくべきかな)

目の前の変態からは邪気を感じない。支配光での知覚情報によれば、邪気がないというよりも、周囲と同化するような波長へと変質しているといった感じだ。
つまるところ導き出される結論は、邪気の波長を自在にコントロールできる相当な手練か、なんらかの術式や魔道具の補助を借りて気配を消しているか。
どちらにせよ戦闘向けの能力者ではないのだろう。すぐに息切れを起こす体力の無さや、執拗に闘いを避けている傾向がその証左と言える。

(んーまぁ、とりあえず関係ないかな。そんなことは、ね)

『太陽』は自分の戦闘能力に絶対の自信を持っている。無論それは実績と立場の裏付けがあってこその矜持ではあるが、
この世界に無尽蔵に溢れている『光』というエネルギーを味方につけている以上、そんな自分が闘いで窮地に立たされることは想像し難かった。

そして何よりも。

初めて出会った自分以外(無論彼女にその自覚はないが)の『変態』という生物に、『太陽』は根源から沸きあがる興味を覚えずには居られなかった。
思えば格好が奇抜に過ぎるという共通点は、彼女にとって何よりもシンパシーを覚える要素であることは間違いないのだ。

『太陽』は自分のファッションセンスに絶対の自信を持っている。無論それが衆目と風評の裏付けがあれば容易く瓦解する矜持ではあるが、
この世界に無尽蔵に溢れている『光』というイメージを主体にコーディネートしている以上、そんな自分が野暮扱いされることは想像し難かった。

だがしかし。

周囲には嘲笑われ初対面の人間は例外なく顔を背け肩を震わせる。唯一の理解者である妹さえも街を一緒に歩くのには躊躇いを見せた。
「目がチカチカするんだよ」 「なにそれカッコいいの?ねぇカッコイイの!?」 「うわぁ……」 「変態!変態!変態!」 「姉さんそれはちょっと……」

だからこそ。

彼女は知りたい。目の前の変態は何を思って女装するのか。そこには一体どんな感情が渦巻いているのか。
この男と行動を共にすることで、自分の求めるものが見えてくるかもしれない。見えてこないはずがない。

『太陽』は微笑みと共にそっと手を差し伸べる。
返答や如何に?といった顔で見上げるメイド服の変態に向かって応えを出す。

「返答はこれで充分でしょ?私も突然こんなところに放り込まれて困ってるんだよね」

掴まれた手を力いっぱい引っ張って、彼を助け起こす。立ち上がったその身長が思ったより高いことに若干驚きながら言う。

「私はステラ=トワイライト。"怪物の口腔"を照らす『探求者』で、ついでに言えば服飾業界の先駆者になる存在。あなたは?」

詐称するのは身分のみ。『太陽』ことステラ=トワイライトはこの日数世紀ぶりに自らの本名を口にした。

285 :名無しになりきれ:2009/05/01(金) 03:13:20 0
シェイドの能力によって操作された影が刃となり二人に降り注がんとする瞬間、マリーは空中にいた。
彼女の眼窩に仕込まれた<ギミック>は自動追尾スコープ。その視覚素子は飛来する攻撃の全てを個別に捉えることを可能とする。

小さくシーク音を立てて分析と演算が完了し、故にマリーは一拍も置かず即時に対処できた。予測される軌道を把握しその射線上から身を外す。
じゃり、と音を立てて黒塗りの革靴底が遺跡の地面を噛み、生み出される動きは横っ飛びのライドステップ。

(……!報告にあった『星』様を縛った術式ではないですのね。影に実体を持たせ自在に操る能力……支配系か干渉系ですか)

思考回路を戦闘用にシフトし、相手の能力について推論と検証が高速で繰り返される。
同時に視界を回転させ、『吊られた男』へ迫る危難を察知。地面より無数に出でる致死の弾刃のうち幾本かがその軌道上に彼を捉えていた。

「――『吊られた男』様!!」
逡巡は必要ない。返答も必要ない。ただ一言呼ぶだけで二人の間で意思は疎通し新たな動きを作り出す。

マリーの伸ばした左腕に瞬時に接続されたのは『吊られた男』の"あや吊り糸"。身を委ねれば間髪入れずに牽引される。
慣性に任せ再びマリーは宙を舞う。刹那の時をもって影と『吊られた男』の間に割って入り、右腕に展開した長鏃で空間を薙ぐ。

『吊られた男』の操作でマリーは体の軸ごと回転した。生み出されたのは剣による壁。プロペラのように廻る自身と鏃によって
構成された防衛線は迫る刃の逆瀑布を一つ残らず弾き落とす。彼の安全が確保されたのを視覚素子の端に捉え、マリーは回転を止め着地した。

「はー、ご苦労様マリー、なかなか効果的な攻撃をするね彼も。今のはちょっと冷や汗かいたね?」

「ぼさっと突っ立ってないでご自分でも御避け下さい!樽の中の黒髭ですか貴方は。減らず口を叩く穴は一つで充分でしょう」

会話は呼吸を整える。疎通は歩調を同じにする。だから二人は次を出せる。攻撃に対する返答は、反撃と呼称されるそれである。
足並みを揃え『吊られた男』とマリー=オー=ネットは踊るように跳躍し散開した。

影の刃を受け止めたことで刃こぼれの生じた鏃剣は惜しむことなくパージする。彼女の武装は魔力に製され、故に次弾は無尽蔵。
空になった右腕に新たに補充される武器はやはり鏃。以前との相違は多分にあるが、特筆すべきは後方に据え置かれた射出機である。

「――<ギミック>"ショットアンカー"を連射モードで起動……目標確定、射出します」

射出する。

捕鯨機という漁具がある。ワイヤー付きの極太矢を鯨に発射して動きを奪う代物だが、マリーの武装はまさに捕鯨機の携行版である。
彼女の腕と同じくらいの太さを持った鏃が連続して発射され、その度に漆黒の燐光が舞い上がる。全ての鏃の尻部からは細い鎖が繋がっており、
幾条にも伸びたそれは全てショットアンカーの基部に集約されていた。反動で少しずつ後ろに下がりながら、シェイドを狙って撃ちまくる。


286 :名無しになりきれ:2009/05/01(金) 03:50:08 0
白虎=ダディクールは知っている。
眼前の狼男の初撃は懐からのアッパークロー。半日前の邂逅と同じ一撃。彼の毛皮に突き立てられた爪撃。

ならば合わせられる。フェンリルの攻撃は常人ならば知覚する前に貫かれてもおかしくない疾さを有していたが、
あくまでそれは人間ならの話である。生物としての地力にものをいわせた強引な身体挙動によって白虎は迎撃を可能にする。
同じ手は喰わない。

『――――ッツ!!』

右手に握った巨大包丁を盾のように使ってガード。幅広の刀身を眼前に置けばそれは最早壁である。
ぎぃん、と鋭利な金属音が響く。敵を妨げる白刃の向こうで火花が散るのを見た。無論、それだけでは済まされない。

吹っ飛ばされるようなノックバックが白虎を襲う。一体どれだけの速度と質量がぶち当たったのか、幸い薄鋼の刀身は
大きくたわむだけに留まったが、何よりも後ろに下がってしまった事実は不退転を本能に刻む聖獣にとって赦しがたい屈辱である。

故に白虎は咆哮した。怒りと苛立ちをありったけぶち込んで、フロア全体を揺るがすようなハウリングを叩き出す。
気合は裂帛。白虎はそのままの態勢で盾にしていた包丁の刃を立てる。正確にフェンリルへ刃を向けると、そのまま力任せに振りぬいた。

一瞬、白虎の体が膨れ上がったように見えた。体中の筋肉を総動員し、重力に逆らって包丁へと力を伝達する。
常人の身の丈ほどもある巨大な鋼の塊である包丁はそれだけで巨大質量である。その利点は振り抜いたときにこそ真価を発揮する。

『慣性』というものはこと破壊において何をおいても重要な一要素である。

殴る、叩く、叩き斬る、撃つ、突く、打つ、蹴る、投げる、当てる……エトセトラ、これらに共通する部分は等しく、
『質量のあるものを勢い良くぶち当てる』ことである。そのどれもが『勢い』と『重さ』によって生まれるエネルギーを対象物に伝達することによって
為される事象なのだ。そしてその『勢い』と『重さ』を統括する概念が『慣性』なのであった。

つまるところ、
聖獣の身体能力を余すとこなく使った超速スイングは、巨大包丁の重さとの相乗によって尋常じゃない威力を発揮していた。
それは斬撃というにはあまりに無骨で粗野で鈍重で、打撃といってこそ完璧に等しい攻撃である。

巨人だって余裕で殴り殺せるその一撃を、白虎惜しむことなく目の前の敵に叩き込んだ。

287 :名無しになりきれ:2009/05/04(月) 11:10:56 0
…ほう、私の「百花繚乱」をそう防ぐか……さすがに人形遣いだけはあるな。人形の扱いにかけては一流か…。

(マリーの腕から取り付けられた鏃が連続して放たれる)
おっと、こいつは……射出式の鏃か、ふむ…。壊すには少し硬過ぎるかな。ならば…避けるしかないか。

(一歩、二歩と踏み込んで紙一重で避けてゆく。いくつかの鏃は白衣に僅かな切り目を作っていく)

ふむ…身体に似合わぬものを使うべきではない。力学的に考えて、明らかに負担が廻ってるはずだ…
(アンカーショットの反動で、マリーの体は壁際まで寄せられていた)


………其処か。


(鏃に付いた鎖に向かって、とっさに短刀を振るう。鎖はまるで切られるのを待っていたかのようにするりと切れた)

糸の切れた操り人形ほど見ていて虚しい物はない……コレは返すぞ…っと!
(切った鎖の端を掴み、縦に数回回して鎖ごと鏃をマリーの方へ投げ飛ばす。
 それは命中こそしなかったが、勢いよく壁に刺さったそのアンカーの影は、彼女の身体に袈裟に掛かっていた)

操作対象:【アンカーの影】────「同化」発動…!

(「影探眼」の発動宣言──だが、それは何も起こさなかったかのように見えた。
 しばし、何故か沈黙が流れる。やがて口の端を吊り上げてシェイドが笑い、ゆっくりと口を開いた)


───さあ、主人以外の者に「吊られる」気分はどうかね?


何をしたか分からないという顔だな…まあ、自分の身体が主人以外の干渉を受けているのだから当然か?クックック…!

ふむ…「影縫い」という呪術があるがね…これは我が「影探眼」を用いたそれの簡易版だ。
貴様の脇に刺さったそれの影と貴様自身の影を一体化させる事で、貴様の影が動くことを封する。影が動かなければ本体が動かないのは道理ということさ。

…ああ、今の情報を統合すれば貴様とそのアンカーは一体化したという結論になるが…
生憎、技の使役者は私…そして、先程握った時に少しばかり私の邪気を込めておいたそのアンカー。
手を伸ばせば届くようなそのちっぽけな鉄塊に、今貴様は「吊られている」という事さ…。

(技の解説を語りつつ、一歩、また一歩とマリーの方へ近づく)

288 :名無しになりきれ:2009/05/07(木) 01:08:15 0
【差し出された手を迷わず掴み助け起こされたところに少女の名乗りを受けヨシノの時間は一瞬止まる】
(『探求者』……驚いたな、同業か。それにしてはその格好は随分と奇抜に過ぎないか?……俺の言えたことじゃないな)

【状況が状況だけに思考の方向が定まらない。もっと他に確かめねばならない情報があるにも関わらず、逡巡はただただ上滑り】
(しかしまぁ、なんてカオスな空間だ……この娘といい姉さんといいヨコシマキメ関係者にまともな服の持ち主はいないのか?)

……ん、あぁ、名乗りがまだだったな。俺はヨシノ、ヨシノ=タカユキ。"上"にある大学の学生で、君と同じ『探求者』――
ついでに言えば、邪気眼使いだ。――その『眼』と感じる邪気から察するに、君も邪気眼かそれに順ずる能力を得ているな?

いや、気を悪くしないでくれ。なんせ遺跡に入ってからこっち、『アルカナ』とか言う武装集団らしき連中の一人に襲撃されてるんだ。
君がどの場所から来たのか知らないが、上層にまだ奴の亡骸が横たわってると思う。恐ろしく強い能力者だった。

【アルカナの名を出した途端、ステラの表情に僅かな変化が生まれたが、場を取り繕うのに必死なヨシノはとうとう気付かなかった】

(うーむ……美少女と言って差し支えないのだが……俺のセンサーが反応しないところを見るに既に赤飯炊いてる歳、それも成人する直前ぐらいか)
【器用にもベクトルのまったく異なる推論を並列してやってのける。目の前の少女は警戒に値するか、そして彼女は"少女"なのか】

『突然放り込まれて困ってる』……そう言ったな?やはりヨコシマキメの転移と『食事』は同時、不本意に飲み込まれた人間も多いのか。
そのわりには"怪物"の胃袋に入ってから普通人との遭遇がないな。出会った奴は君も含めみな一様に"異能"の関係者だった……

ヨコシマキメには飲み込まれた財宝が眠っている……その種別はどれもが魔道具や魔剣にカテゴライズされるもの。
(俺の求める『黒の教科書』も例外ではない)……君に遭えたのは幸運だったな、同業の意見を聞きたい。

『ヨコシマキメの"食事"には法則性がある』。つまりそれは、『邪気や魔力等、"異能"の眷属を優先的に飲み込む』ことなんじゃないか?
そしてこの怪物は異能を吸収する性質を持つ……取り込んだ魔道具や能力者から吸い取った『力』の総量は膨大になってることだろう。
それこそ、その気になれば軽く世界一つ滅ぼせるぐらいの攻性大量破壊術式の一つや二つ作れそうな。

ヨコシマキメは"旅"をする。それには気の遠くなるような大きさの魔力と転移術式が必要だ。恐らく前述の『力』をそれに充てていたのだろう。
そしてそれは結構な頻度で繰り返される。そういう風にしてこの怪物は各地を巡っているんだ。まるで暴食の台風だな。

【調子に乗って自分の考えをべらべら喋る。それは最初のアルカナを相手にしたときからずっと考えてきた考察】
そんなヨコシマキメのライフサイクルを支える"燃料"たる力が、この遺跡の奥深くにいまも溜め込まれ続けている。
これはあくまで推察だから本気で考えなくてもいいが、


遺跡の中で侵入者の排除に動いてる連中――アルカナの狙いはその『力』なんじゃないか?


289 :名無しになりきれ:2009/05/09(土) 15:13:04 0
怒れ!もっと怒っていいんだ!
怒りは怒りを生む!
さあ、怒ってみせろ!

290 :名無しになりきれ:2009/05/09(土) 16:45:46 0
――ッく!
流石にワンパターンな攻撃は無駄か。
聖獣だけあって、学習能力も高いッ!

(体勢を整えるために一歩下がる)
(――白虎の咆哮。耳を劈く響きに、フェンリルは心を躍らせているように笑う)

いいぞ、中々素晴らしい威圧だ。
私を高めるためには貴様のような存在が良い。
もっとだ、もっと強く、何物だろうと破壊し尽くせるくらいに高めさせてくれ。

(そして、包丁が振り下ろされる)
(その様子を構えたまま傍観し、タイミングを取り――)


――ここだ、『脚』!

(地面から頭上に弧を描くような蹴りを放ち、振り下ろされる包丁の側面にぶち当て……衝撃とともに壁に吹っ飛ぶ)
(目標を見失った包丁は地面に叩きつけられ、掘り起こされるぐらいの惨状を生み出した)

危ない……って、レベルじゃないな。
足が痺れる――逸らすにも一苦労じゃないか。

(吹っ飛んだ勢いで壁を蹴り、白虎の頭上に落ちるような軌道で跳ぶ)

その包丁は使えんだろう、隙ありだッ!
『業狼眼・爪、斬撃特化』!!

(白虎を頭から切り裂くように、左手の指についた5つの刃を袈裟懸けに振り下ろす)

291 :名無しになりきれ:2009/05/09(土) 19:37:31 0
ク、ク、ク……
(<Y>と『月』、そしてリーを遠巻きに観察していた『アルカナ』の一人が忍び笑いを洩らした。)

なんとまあ、あのお月様、てっきり単なる頭脳担当かと思っていたら、案外熱いハートをお持ちじゃないか。
そしてその鍍金を剥ぎ取ってくれた謎の男、その上まだもう一人相当な使い手が来るとはねえ……

ああ、だめだ、抑えきれない。
心象のはいいろはがねから……四月の気層のひかりの底を……
唾し はぎしりゆききする……
おれはひとりの 修羅なのだ……

俺の中に棲んでいる獣が……鬼が……囁く、唆す、勧める、強請る、叫ぶ、――
闘え、と!!

………だが、ここではいけない。
『世界』さんの結界をぶち破って割り込むなんて無粋な真似は避けたいし、何よりあの三人はもう『始まって』しまっている。
乱入は格ゲーの華なれど、その気がないのに割り込まれたら心象察するに余りあるからなあ。

仕方ない、『上』に何人かいるようだからそちらに相手してもらおう。
じゃあ『世界』さん、『月』さん、乱入してきたお二人さん、『アルカナ』の皆さん、後は任せた。
センクゥゥーーーーーワァーーーーーーーーープ!!!!!
(一頻り大声で呟いたと思ったらどこかへ消えてしまった)

――――

さて、この辺りから強い闘気というか邪気が……あ、あそこか。
だが残念、あちらも既にして戦闘中のようだな。無粋な真似は止さねば。
(『吊られた男』達を無視して再びワープ!!)


292 :名無しになりきれ:2009/05/09(土) 20:42:30 0

(ワープ先にいたのは、修道女!)
ほう、ほうほう、ほうほうほう、どうやらかなりの手練と……見たぜ!!
こんなとこまでやってくるってことは、『世界』さんの言ってた『邪魔者』の類かね?

まあ、あんたが何者なのかはどうでもいいんだ。
ついさっき、下のほうで『月』さんが知らない男二人相手にみんなの前でおっぱじめちまったもんだから、俺ももう辛抱堪らなくなってねえ。
あんたなら、俺の相手にゃあ十分以上だと判断させてもらうぜ!!!!

(言うが早いか相手の意思など一切お構いなしに、それまで何とか押さえていた殺気が堰を切ったように溢れ出す!!!)

さあ、応えよ………我が身の『悪魔』にっ!!!!

(『悪魔』、それは『邪悪な欲望』の暗示!
雇用主の指示でもなく、信ずるもののためでもなく、ただ己の欲するままに拳を振るう!!!)

言っておくが、否も応も無いぜ!!
なぜなら………あんたが好むと好まざるとに関わらず、俺はあんたを全力でぶちのめすッ!!!
証を見せてやるよ!!!

『 白 虎 掌 』!!!!!
(一方的に宣戦布告した上、返事も聞かずに蒼白い気弾を撃ってきた!! まさに外道!!)


293 :名無しになりきれ:2009/05/10(日) 00:23:56 0
 (ヨコシマキメ遺跡中層……の、とある場所に、全力で逃げる一人の女が居た。
 軽い前傾姿勢に開いた拳をひっきりなしに交差させ、それはまさに「走るためだけの姿勢」そのものである。

 彼女の名は坂上明日香────又の名を、「何でも屋」アスラという。

 立ち上るお宝の匂いを嗅ぎ付けて地下遺跡ヨコシマキメに威勢良く飛び込んだ彼女。しかし古の大遺跡の洗礼は容赦なく彼女に襲い掛かった。
 巧妙に仕掛けられた罠の数々に打ちのめされるアスラ。だが如何なる目に合おうとも決して屈する事はない!
 何故なら彼女は「人間」であり、そのどうしようもない諦めの悪さと往生際の悪さこそが己が「人間」たる唯一の埃…もとい誇りであるからだ!
 ヨコシマキメの罠に落ちた哀れな犠牲者にそっと涙を拭い、それでも彼女は進み続ける!転進だって転じて進むと書くじゃないか!)


言われなくてもスタコラサッサ──z__/ ̄ ̄ ̄乙___l ̄l_っとお!
私は分の悪い賭けはしない主義でね……さらば!ヨシノ!アンタの名は三日間くらい忘れないよっ!


……
………

……さて、ここまで逃げればいいかな?いやあ、我ながら見事な逃げっぷりだったわ…なんか久々ねえ、こういうのも。
それだけヨコシマキメっつー場所のレベルが高いって事なのかなあ……っと、いけないいけない。今はとりあえず落ち着いて…そう、情報整理と行こうか。

ふーむ…逃げてみたはいいが、さっき見たアイツはなんか知らないけど他人を監視する能力を持っている…
敵さんからはこっちの位置が見えていると考えていいかな…。とりあえずは回復に専念して、そっから探索の継続か脱出かを考えて…

…ま、とりあえず聖なる力で回復しておくかな。神様はスゲェイカス超寛大な御方だし、私みたいなのでも救ってくれるでしょ。
(懐から液体入りのビンを取り出して一気に飲む。全快とまではいかないが、疲労回復程度に力が戻った)

294 :名無しになりきれ:2009/05/10(日) 00:26:36 0
(飲み干したビンを修道服の中に放りこんだ丁度その時、目の前の風景がじわじわと歪む。
 歪みはやがて人の形を成していき、やがてそれは完全な人となる。明らかに敵意丸出しな見知らぬ人物がこちらを見ていた)

─────────?
(ちょっちょちょっちょちょっと待って待って待って待って待って!落ち着け、落ち着け私。クールになれクールに…
 えーと、目の前に怪しいお方が突如登場して?世界とか言っちゃってるところ見ると「アルカナ」ですか?マジ?)

…あー、世界だの月だの知らないけど、とりあえず、なんだ、私は今お昼休みなので闘いたければあっちの方に居るメイドさんを当たって下さ───っ!?
(「悪魔」と名乗る者の手のひらからこちらの言い分は一切聞かずに気弾が放たれる。
 紙一重で避けたが気弾は修道服の上の部分の帽子みたいなアレに掠めるように当たり、帽子みたいなアレを弾き飛ばした)

〜〜〜〜っ!
人の話は最後まで聞け!鬼!悪魔!

(露になった長髪をなびかせ、姿勢を低くとってから顎に蹴りを打ち込む。相手が対処した隙に一歩距離を置く)

…ああ、噂のアルカナさん?まさに『悪魔』ってわけねえ…いろんな意味で、私にピッタシの相手って訳か!
(修道服の背から魔剣を取り出し、横一文字に切り付ける。魔剣の切っ先から噴出す炎が、剣の通った後を炭で真っ黒に染め上げていった)

295 :名無しになりきれ:2009/05/10(日) 18:36:23 0
ハッハァ! 白虎掌を避けるか、いいねえいいねえ!! 久方ぶりに楽しめェそうだアァ!!

ンッン〜〜〜いい反応だ! 場馴れしてるなあんた!!
だがッ!! RYOU式、因果青龍拳!!
(蹴りに素早く反応し、何故か派手なジャンピングアッパーで避ける! 着地に隙ができるってわかってんのかお前!!)

(着地して態勢を立て直すのと、アスラが剣を抜くのは同時!!
そして! 次の瞬間! アスラは仰天した![かもしれない]
普通武器を抜かれたら間合いを取る! それが燃え上がる魔剣だったらなおさら離れないと危ない!
だが!! 『悪魔』はッ!!!
逆に思いっきり踏み込んだッ!!!)

いい剣! いい太刀筋だッ! だが!!!

296 :名無しになりきれ:2009/05/10(日) 19:00:36 0
               因

               果

(剣速! 威力! 火炎! 全てが最小になる鍔元に焦点を合わせ……掟破りの白刃取り!!!
そしていきなり画面が暗転した! というか『悪魔』とアスラの周囲が闇に覆われた!!)

かずさ式、因果……
(闇の中、『悪魔』が構えを変えていた。それは……空手でいう前羽の構え!!)

眉間!

人中!

水月!

金的!

(暗転中に、カウンター気味の正中線四連突きが炸裂した!!)

『  怨  返  し  』 ! ! ! !

(闇が晴れると、反撃を警戒して距離を取り、息吹系の行動を取って気合を溜める!
連続技か大技――あるいはその両方を狙っているようだ!!)

297 :名無しになりきれ:2009/05/10(日) 21:42:14 0
気が付いたら壁に縫いつけられていた。

マリー=オー=ネットは動揺しない。彼女の思考を生み出す万能根源は既に戦闘モードへとスイッチされている。
故に冷静な判断を削ぐような感情はマリーの内に発生しない。湧き上がるのは分析と推察の渦。渦中にあるのは対峙した能力。

(……指一本動かせない?ただの束縛術式ではありませんわね。影から染み渡る邪気に駆動中枢そのものがインターセプトされていますわ)

ただしそれは、あくまで状況判断においてのみのアドバンテージ。現状、彼女にシェイドによる戒めを解く術はほぼ無いといって等しかった。
『ほぼ』、である。無論為すすべなく破壊を待つだけが未来ではない。しかし残された『最後の手段』を講じるのにマリーは躊躇を否めなかった。

シェイドがこちらへ歩みを進める。その動きは牛歩ながらも確実に敗北へと近づく死の行進。

マリーは迷う。『最後の手段』を使えば確実に彼女の機動は約束され、白衣の鼻っ面に一撃を見舞ってやれる。
ならばもっと牽きつけて。射程距離に入ってから。自分に言い聞かせるように内で唱える文句は決断の先送りに他ならない。

「はー、まさか僕のマリーをこんなにも容易く行動不能にするなんてね。驚天動地がグラム1ドルで特売されてる気分だよ?」

そして。

「マリーは壁に磔、白虎はあっちで戦闘中、そして君はこの娘を壊さんとするその時――」

一番招きたくはなかった事態が。

「――つまり、僕の出番だね?」

ネギを背負った鴨の如く彼女の目の前に立った。
思考回路で押さえつけてきた感情が敷居を退けて溢れ出す。彼女の存在理由そのものが、毒牙の口腔に飛び出したのだ。

「お退がり下さいクレイン様……!リスクを負わずに太刀打ちできるような相手ではないことぐらい理解の上でしょう!!」

初めて彼女は焦燥する。思わず任務では呼ばないと決めていた本名が零れ出す。同時に起こる自己嫌悪。誤断を下した自らへの叱責。
何をおいても彼が前線に立つことだけは避けねばならなかったのに。それが自分に課した至上命題であるはずなのに。

『吊られた男』は応えない。ただシェイドとマリーを結ぶ直線上に立ちはだかるのみである。相も変わらずその顔には堕落した笑み。
そして彼は行動した。足元に展開される術式は、『吊られた男』のコレクションルームへ繋がる転移陣。投入されるのは掌から伸びる『あや吊り糸』。
ミスリルすら貫通しそうな注視の中、邪気の糸で引っ張り揚げられたのは真紅の長槍。『吊られた男』の手に吸い込まれるようにして掌握されるそれは、

「『魔界鉄槍クリムゾン=タスク』……過去の大戦で魔剣に対抗すべく開発された魔槍でね、造られたはいいけど結局投入されずじまいだった
 "お蔵モノ"さ。不遇っぷりにビンビン来るね?で、コレのいいところはって言うと――」

再び宙に放られる魔槍。その基部に接続された"糸"から魔力を供給されると、赤みを帯びた紫電が穂先から石突にかけてを網羅し始めた。

「――槍身に触れた者の神経中枢を電磁破壊して丸焼けゾンビ量産機になっちゃうのさ。持ち主さえもね。どうだいこのキワモノっぷり、たまんないね?」

当然のことながら『吊られた男』とて例外ではない。『あや吊り糸』で支配しなければ触れたもの全ての神経を焼ききってしまう。
だからマリーの傍では使えなかった。十重二十重にプロテクトされた彼女の万能根源でさえ魔槍の電撃には耐えられない。

「さぁ、第二ラウンドだよ。マリーを磔刑なんかにした君には、――さながら糸の切れたマリオネットな最期が望ましいね?」

怒気の萌芽と形容できる感情を言葉に乗せて、『吊られた男』は槍を振るう。一切の容赦を捨てて、目の前の白衣に致死の一閃をぶち込んだ。

298 :名無しになりきれ:2009/05/10(日) 22:35:24 0
斬撃が降ってくる。

咄嗟に左腕を突き出したのは理合いによって下された判断ではない。聖獣の本能が、腕を犠牲にしてでもこの窮地を脱せよと喚く。
その通りにした。視認できたのは一閃の銀光。刹那をもって灼熱が疾走し、鮮血が瀑布のごとく降り注ぐ。

『〜〜〜〜〜ッッッ!!!』

割れていた。裂けていた。抉れていた。丸太のように強靭な白虎=ダディクールの腕に、赤とも朱とも紅ともつかない色の花が咲いた。
辛うじて骨は繋がっている。あとは、"無い"。肘から手首までにかけての腕の肉が消失していた。

痛みすら凌駕する灼熱感。出血すら停止する喪失感。フェンリルの振り下ろした爪の一撃は、白虎の左腕をあらゆる意味で"持って行った"。
咆哮は後回し。苦痛と屈辱を置き去りにして、白虎は必死に迎撃へと移行する。包丁は使えない。左手も使えない。
残されたのは、

『――――ッツッツ!!』

右手に造った拳のみ。たった一つの武器を、まだ滞空していたフェンリルへぶちかます。
体幹を捉えた感触を得た。クリーンヒットの手応えを得た。そのまま慣性を存分に伝達し、叩き込んだ拳を振りぬいた。

犠牲者は砲弾と化す。制動をかけるもののない空中において打ち込まれた衝撃は、その進行方向へ正確に速度を作り出す。
生まれる動きは球技における打球と等しい性質のものであり、すなわち打撃された球と同じ末路をフェンリルは辿る。

聖獣の動体視力をもってしても追いきれるか否かのスピード。ライナー軌道を描きながら茶色の弾丸は遺跡の壁面へと突き刺さった。
硬い何かが衝突した音と瓦礫の崩れる音を同時に奏で、土煙の中へと消えていく。視界から敵が消えてようやく白虎は慟哭した。

既に出血は止まっている。聖獣の再生能力は短時間での体組織修復を可能にするが、欠損した肉を元通りにするには相応の時間がかかる。
少なくともこの戦闘中には使い物にならないだろう。急所を庇った代償が片手一本ならば安いものだ。

冷静になった頭で思考する。おかしい。違う。対峙しているこのフェンリルという男は、今まで相手にしてきた能力者と決定的な相違がある。
それこそが白虎の興味の対象であり、故に初めて遭遇した時から思索してきた案件なのであった。

ヨコシマキメは異能を喰う。それはどんな能力者も例外ではなく、邪気眼遣いですら異能のカテゴリの内である以上その制約を受ける。
異能の聖獣である白虎は古からの定向進化によって『力』の流出を妨げる毛皮を獲得しているし、彼を捕獲した組織の面々も一様に
ヨコシマキメの干渉を受けない処理を施した術式や魔道具によって護られている。

だが、こいつは違う。

他の連中が『吸い取られまい』と画策する傍で、フェンリルは『吸い取っていた』。
異能の輪廻に反するこの能力が、何故存在するのか。そしてそれを獲得したのが矮小である人間である不条理。

生物としての矜持と知能が欲する博知、その両方の答えを得るため、白虎はここに来た。
土埃の向こうで起き上がる気配が生じる。片手で扱えるサイズに縮小した包丁を担ぎながら、彼は追撃の為に駆け出した。

299 :名無しになりきれ:2009/05/10(日) 23:40:26 0
「期待している」か…始めに言っておくが、
俺は食べ残すなんて気の利いたことはできねぇぞ

  (ほんの一瞬だが確かに見えた
   あのゴタイソウな壁の向こうで興を楽しんでやがるのは、
   口振り、威圧感からして間違いなく親玉だ…
   そしてコイツが――)

―――『月』、か
フン、無謀だと?この程度は一振りのスパイスに過ぎん
それは「胡椒の丸呑み」、と言うヤツだ……

《Yのサインを一瞬だけ見遣る。》

  (成る程、奴らしく小賢しい考えだ…)

《静かに、右足を前へと送り出す。》

  (敵は揺さぶりを掛けられて注意力が散漫になっている…)

《腰を捻り、右腕を振りかぶったまま石のように静止する。》

  (先ずは、あの厄介な壁を片付けなければ…)

《じわり、じわりと、リーの身体が肥大化していく。》

  (金剛石、いや、あの幻想的な光沢はミスリルか……打ち抜くのは容易ではない…)

《1.25倍ほどで肥大化が止まると同時に、右足に踏みしめられていた地面がベコリとへこむ。》

  (……ならば…ッ!!)

《刹那、薄暗い洞窟に一閃が走る。》
《その巨大な図体に似合わぬ速度の突進、そこから繰り出される鋼鉄の拳。》

――『魔溜眼』――奥義…




《衝撃。》




     コウ  ショウ  オウ  バク  メイ  ケン
『    黄  猖  皇  驀  瞑  拳    』!!!!!!!!!!!!!!!


《ミスリルの防壁は遺跡最下層の壁・床・天井を抉りながら、》
《けたたましい轟音を上げ、疾風怒濤の勢いで『月』へと迫り来る。》

……………ミシィィィ……

300 :名無しになりきれ:2009/05/12(火) 23:55:53 0
『太陽』は感嘆していた。

目の前の変態が訥々と語るヨコシマキメに関する推論は、当事者である彼女が関心するほどに的を得ていた。
彼女は光あるところの全てを知覚できる。支配した光をヨコシマキメに食わせれば、その"食事"に行き着く先へとアクセスすることは可能である。

そして『太陽』は識った。ヨコシマキメの深く深くを漂う次元領域が、全体像を把握することすら困難なほど途方も無い量のエネルギーに満ちていることを。
それこそが邪気や魔力――『異能』の力の根源。古より堆積されてきたヨコシマキメの真実の姿。

それらの事実について『世界』からは何も知らされていない。おそらくアルカナの大半がそうなのだろう。右腕である『月』あたりならば知っているかもしれないが。

(たったあれだけの断片的な情報で、ここまで正確な推察を構築できるなんて……やっぱり『探求者』、ただの変態ってわけじゃないみたいね)

同時に思う。なんて無用心なのだろう、と。
二、三言葉を交わしただけの相手を容易く信用し肩を並べ、あまつさえ世界を滅ぼしかねない理屈をべらべら喋るなど。

(初対面の私にここまで話す理由は何?まだ切り札か何かを隠し持ってるの?)

数世紀前から武闘派で鳴らしてきた『太陽』にとって、饒舌な理屈屋というヨシノのタイプはまったくの初遭遇であった。
正直なところ、アルカナの名前を出した時点で何度か仕留めようとしかけたがその度に必死で"アルカナの自分"を押さえつけてきた。

もっと情報を。どうせいつでも斃すことはできるのだから、少しでも多く話を聞きたい。だから今、必要なのは彼との会話。

「おそらくその考えは――――……」

そして。新たなる答えを得るための問答を開始せんとするそのとき、彼女は禍々しい圧力を頬に受けた。
身体に緊張と臨戦の硬直が走るのと、ヨシノの顔に同質の表情が浮かぶのは同時。

「これは……邪気?一体どこから――!」

答えは光が知っていた。即座に邪気を感じる方向へと走査の支配光を疾らせる。寸隙を待たずに彼女の元へ知覚が舞い込んだ。
アルカナの同僚――『悪魔』と先刻取り逃がした修道服が対峙していた。

(『悪魔』……!!なんでこんなところにいるのよ!?よりにもよって一番厄介な奴が……あのシスター、戦える身体なの?)

凄腕の戦闘狂にして悦楽主義者。アルカナに属しておきながらその行動はまったくのトリックスター。
『太陽』にとっての『悪魔』とはそのような位置づけであり、事実そのような性質を有していた。

あの限界知らずのナックルハッピーは例え相手が尋問すべき侵入者でも、「ハッハァ!勢い余って殺っちまったァ!!」で済ませそうな気がする。
というか確証がある。間違いなく事態が好転することはない。それだけがあのハイテンションに確約されている。ならば。

「――どうする?シスター、助けにいくなら手を貸すよ。話をするのはそれからでも遅くないから」

後悔とは取り返しのつく形でするのがベストである。とりあえずあの狂拳から護って、その上で必要ならば屠ればいい。
妹が爆発して以来、『太陽』はとみにそう思うのであった。

301 :名無しになりきれ:2009/05/13(水) 08:27:31 0
ニコポ
ナデポ 
sekyoo
銀髪でヘキサミグロン

302 :名無しになりきれ:2009/05/13(水) 21:00:11 0
(切れた白衣の切り口をニ、三度指先で弄り、何かしら呟いて歩を進める。ゆっくりと、今からその身に起こる事柄を想像させる余裕を与えるように)

…ふむ、大人しいことは美徳だよ。やれやれ、ようやく目立った収穫が望めそうだな。

(一歩、また一歩と歩んでいく。やがて数歩歩いた所で『吊られた男』が目の前に立ちふさがる。
 そこには戦に臨む者の気負いも威圧も無く、ただ相変わらず退廃的な笑みを浮かべた一人の男として立っていた)

……餓鬼が。人形の吊り糸を切られて尚、私の前に立つか。

「はー、まさか僕のマリーをこんなにも容易く行動不能にするなんてね。驚天動地がグラム1ドルで特売されてる気分だよ?」

…ああ、そういえば貴様も稀有な眼を持っていたのだったな…。安心しろ私は慈悲深い。その人形と貴様を引き離すような真似はせんよ。

「マリーは壁に磔、白虎はあっちで戦闘中、そして君はこの娘を壊さんとするその時――――つまり、僕の出番だね?」
「お退がり下さいクレイン様……!リスクを負わずに太刀打ちできるような相手ではないことぐらい理解の上でしょう!!」

おお、仲のよろしい事だ。
…少しは私の話も聞いて欲しいのだがな。ここで貴様等が私に採取されたところで、別に引き離すつもりは毛頭無いと言っているだろうに。
ただ少しばかり特殊な液に漬かって貰ったり、身体の一部を提供してもらったりするだけで─────?

(白衣と『吊られた男』の間に魔方陣が出現し、そこに伸びた操り糸が吸い込まれるように潜っていく)


────転移陣、だと?


(地に描かれた円形状のそれを見つめるシェイド。やがて糸は、地中から一本の槍を取り出した)

それは───!?

「『魔界鉄槍クリムゾン=タスク』……過去の大戦で魔剣に対抗すべく開発された魔槍でね、造られたはいいけど結局投入されずじまいだった
 "お蔵モノ"さ。不遇っぷりにビンビン来るね?」

(その言葉に、シェイドは何も答えない。ただ目の前の槍をただ見つめ、やがて手で顔を覆う。その姿勢では絶望か歓喜かも分からない。
 やがて長い息を吐き、突如、狂ったように────否、狂い、笑った)

303 :名無しになりきれ:2009/05/13(水) 21:02:03 0
魔界…鉄槍……か……クッ…ハハッ……クハハハハハハハハハハハハハハハッ!

魔槍!ハハ、魔槍とはな!ハハッ、そいつは失われし「大戦」の魔道兵器じゃないか!
それも『クリムゾン=タスク』と言えばその危険さ故に開発を放棄された「ロストナンバー」の一つ!私の研究室にもない非常に貴重な品だ!
以前から伝承クラスの魔剣・魔槍には非常に興味があったが…ハッ、ハハハハハハ!流石はヨコシマキメ、流石は『アルカナ』!
君に対する認識を改めようじゃないか『吊られた男』クレイン!その年でそんな物を所有しているとは…ハッ!

 そ い つ は 私 が 頂 こ う ! 

(勢いよく白衣の懐に手を滑り込ませ、金色の小振りな鋏を取り出す。閉じられた刃の方を握り、ニ、三度扇子のように振るった)
(シェイドの眼が爛々と輝く。手をごきりと鳴らし、口は頬まで吊り上がってこの上なく不敵な笑みを浮かべている)


素材採取の時間だ!『アルカナ』所属傀儡眼使い『吊られた男』クレイン及びその従者マリー・オー・ネット!私はこれより貴様等を「敵」と認識する!


(クレインが邪気によって構築された糸を振るい、シェイドに向けて魔槍を打ち込む。上がる土煙、辺りは一瞬にして焦土と化した。
 土煙が晴れる。そこにはシェイドの姿も、シェイドだった物の残骸も残ってはいない。

 石造りの空に、白色が舞う。
 跳躍された白衣、身体を半分捻り、手には四丁の鋏。
 身体を戻し、同時に一斉に打ち込む。鋏は全て九十度に開かれて固定されており、それらを手裏剣のように回転を加えて投げた。
 それら一つ一つには明確なまでの邪気と殺意が篭っている。クレインの喉笛、両足首で三丁、残りの一丁はマリーの眉間に向けて放たれた)

304 :名無しになりきれ:2009/05/13(水) 21:53:01 0
うっわ、牽制のつもりだったのに何その避け方!アレか?私に燃やされたいっていう新手の馬鹿か!?
ま、なんだっていいや!お望みどおり燃やしてハイおしまいってんなら有り難いんだけどね!
(着地の隙を狙って横一文字に魔剣を振るう。怯むどころか直線的に突っ込んでくる『悪魔』。これには逆にアスラが面食らった)

のわっ!?

(勢いのままに剣を振るうアスラ。『悪魔』はその攻撃を最小限に抑える位置に飛び込み、掟破りの白羽取りで攻撃を止める)

───チッ!まあいい、コイツは止められたって炎を吐け──!?

(刹那、世界が暗転する。
 意識はある。感覚もあるし、身体もあるしちゃんと動く。視界のみが封じられたらしかった。
 そして突如として目の前に『悪魔』の姿が現れる。
 暗闇の中ではいやに長く感じられる一瞬、『悪魔』が構える。
 アスラは武道について本気で学んだわけではなかったが、なんとなくヤバい技だという事は経験から理解した。

 『悪魔』の手の動きを見て判断したのか、それとも長年の経験かは分からない。しかし彼女は咄嗟に水月と人中に手を置き、辛うじてダメージを軽減した)

ッッくぁ〜〜〜〜〜〜っ!的確に急所狙ってきやがってこのクソ悪魔ァ!お前なんか聖水浴びるほど飲んでたらうっかり目に入ってそのまま死んじまえっ!
(ヤケクソ気味にルチア特製必殺聖水を封開けて投げる。ビンから漏れた聖水が放物線を描くように辺りに撒かれ、キラキラ光って綺麗だった)

諦めたらそこで試合終了ね…!逃げ道見つけるまでは仕方ないから相手してあげますか!
(魔剣の切っ先を『悪魔』に向けて突きつける。そこから火の玉をチロっと出し、それを空気を入れた水風船の如く膨らましていく)

放て!「紅蓮突貫」!
(直径二メートル弱にもなった火の玉を切っ先に付け、野球の素振りのようにして『悪魔』の方へ振りぬく。
 火の玉は切っ先から離れ、『悪魔』めがけて飛んでゆく)

305 :名無しになりきれ:2009/05/13(水) 23:32:25 0
(自分の爪が皮膚を、肉を、筋肉を切り裂き、骨によってその進行を止められる確かな感触。
 返り血と肉片を雨のごとく浴びたフェンリルの黒地の半袖服は、その赤色によっておぞましく変わった)

ククッ……まず左腕――頂いたぞ!
だが足りん、私にはまだ足りんよ!!
その首、貰い受け――

(左腕を振り下ろしたまま、右手の爪で命を刈り取ろうと力を込め――)

――ぐぁ、はッ――!!

(白虎に残っていた右の拳。それが一瞬よりも早くフェンリルに叩き込まれる。
 肋骨と脇腹の位置。めしりという音とともに体が弓なりに曲がり――超高速で遺跡の壁に突き刺さる)

(土埃、その中でフェンリルは瓦礫の下から這い出るが……地面に吐き出された血の溜り。
 常人なら止まっている筈の無い血量――だが、悠々とフェンリルは身を起こす。
 血が体外に出ている様子は全く無いと言っていいほど余裕のある立ち様である)

ククク……中々の拳だ!
それだけで私に血を吐かせる奴とは久しぶりに出会えたぞ!

普段ならもしかしたら動けなかったかもしれん――が!


『 邪気吸引術 ・ ヴァーンズサック 』!!


(手の甲の『眼』が輝く。同時に、周囲に異変が起こった。
 辺りの邪気が渦巻き、フェンリルの肌から吸収されていく。
 邪気を吸い込んだ後、一瞬のみ皮膚が黒く変色して再び白く染まった)

やはり上質の邪気だ――私にもってこいの素晴らしい空気だ。

(土埃の奥から何かが来る気配がある。が、それに対してフェンリルは――

 爪を引っ込め、自然体のまま待ち構えた!)

来い、白虎。
貴様の攻撃を乗り切った上で――貴様の全てを『破壊』し尽くしてやろう!!

306 :名無しになりきれ:2009/05/14(木) 20:21:07 0

んっん〜、人中と水月には完全にガードが間に合っていたし、眉間と金的もしっかり芯をはずしている、かあ。

――“暴動”〈ライオット〉‥‥!!

楽しいなあ、オイ!!!!

――そこらは青いガードのエフェクトでいっぱい
飛び込みからの睡さうな連続技にみち
ゲージ下の五つのストックは
いよいよつめたく液化され――

聖水……? まあ、なんでも関係ないな!!
『玄武脚』!!!
(どういう原理か宙に浮いての回転連続蹴り!! 聖水の瓶を蹴り飛ばすが、中身はもろに掛かっているのにあまり意味があるとは思えない)

冷たくていい感じだぜェ……!! あんたの本命はその火の玉かあ!?
来いよ……!! 受けきってやる!!!!

(聖水のことは気にも留めず、紅蓮突貫に向けて全神経を集中させ、再び玄武脚の構えを取る!!)

――すべてあるがごとくにあり
かゞやくごとくにかがやくもの
おまへの武器やあらゆるものは
おまへにくらくおそろしく
タイマンはたのしくあかるいのだ ――

307 :名無しになりきれ:2009/05/14(木) 20:22:41 0
(――いや、玄武脚ではない。これはもっとおぞましい何か――)

『 暴 風 玄 冬 脚 』 ! ! ! !

(宙に浮かんだまま、その場で独楽のように超旋廻――)

  ――《みんなむかしからのきゆうてきなのだから
      けっしてたぜいをたのんではいけない》――

(回転によって生じた突風が紅蓮突貫を吸い込み、炎渦竜巻となる!!!!
そして渦螺旋が消え、全身から煙を上げつつもダメージをある程度軽減したと見えて未だ臨戦態勢のままの『悪魔』がその姿を現した!!)

ああ、もっと、ずっと、あんたとこうしていたい!!
でも、俺の手は拳を作っちまう、せっかくの楽しい時間を、自分の手で終わらせちまう!!!
(陶然と呟くや、暴風玄冬脚に匹敵する闘気が『悪魔』の両手に集中していく!)

――僕はもうあのさそりのやうにほんたうに
僕の幸のためならばみんなのからだなんか百ぺん灼いてもかまはない――


             震

             空

             白

             秋

             掌


(八極拳のいわゆる双掌の構えを取り、両掌から白虎掌を遥かに上回るビーム兵器めいた闘気流が放たれた!!)

さあ、どうだぁ!? 頼むからこれだけでは倒れてくれるなよ!! もっと、もっと、もっと俺を楽しませてくれ!!

(紅蓮突貫で額の鉢巻が焼き切れそうになっていることにも、震空白秋掌の射線上にヨシノと『太陽』がいたことにも全く気付かず、
ますます殺意と邪気が研ぎ澄まされていく!!)

308 :名無しになりきれ:2009/05/14(木) 23:41:57 0
【言いたいことを全部話しきったあとの清清しい表情。自らが練り上げた論述へのドヤ顔。一息ついたヨシノの顔面はつまりそんな面持ちだった】
(……って、何で俺は初対面の人間にこんなにもベラベラとしゃべってるんだ!?またやっちまった……)

【フラッシュバックするのは顎部への蹴撃。確か同じような状況で相手にハイキックを喰らった覚えがあった】
(大丈夫か?もう痛いのはゴメンだぞ……この娘はそこまで暴力的には見えんが、シスターが"あれ"だからな……)

【ヨシノの憂慮は概ね正しい。実際のところ、ステラこと『太陽』は幾度か彼を屠ることを考えていたのだから。そして、】

【蹴りの代わりに邪気が来た。背後から叩きつけるような圧力が吹き抜ける追い風のようにヨシノの首筋を駆ける】

――邪気ッ!新手の邪気眼遣いか!!あの方向、そして感じる邪気は一つにも拘らず臨戦の剣呑さ……
アルカナに姉さんが襲撃を受けてると見るのが妥当か……?――ああ、君は感知能力を持ってたな……やはりビンゴか。

助けにいくか、だと?…うーん、俺が行ったところでどうにかなるとは思えないんだが……何よりあの女、俺を置いて一人で逃げやがったしな。
だが。行かないわけにはいくまい。情けない話だが俺一人でヨコシマキメに残されるのは御免だ。片時とはいえ姉さんは一応探窟仲間だからな。

(そうだ……"あの時"のように俺だけ尻尾巻いて逃げるなど言語道断ッ!拾える命は拾えるだけ拾う。そのために身につけた邪気眼だ。
 例え直接戦闘できなくたって、俺にしかできない"縁の下"があるはずた。『戦車』を斃したときのようにッ)

【ステラに案内され遺跡を進む。さしたる距離を行かずにひらけた空間へと踊りでた。そして目の前では、】

【武闘家のような格好をした何かが、びしょ濡れになって】


【 空 中 で 回 転 し て い た 】


なん……だと……!!



【そして飛んで来るビーム】

309 :名無しになりきれ:2009/05/15(金) 00:13:55 O

ククク……
我が出身地たる《極東》には、わびさびという概念がある。
無駄を殺ぐばかりが人生ではない……脇目を振ることも必要だ。
さて、邪気世界……邪界における3つの<Y>だったな。

まず一つは汝の言う通り、吉岡(Yoshioka)のY。
言わずもがな、《特異点の少年》、吉岡邪気のファミリー・ネームだ。

そして二つは、この遺跡、ヨコシマキメ(Yokoshimachime)のY。
邪界史において重要な位置を占める遺跡だ。異論はあるまい?

問題は三つ目。汝の指摘する通り、虱潰しという訳には行くまい。
何故なら、中世邪界史や近代邪界史は覇権を巡る争いの歴史。
故に邪界を統べる<Y>なんてものは、この時代になると形骸化し始める。

とすると目を向けるべきなのは……そう、古代邪界史。
知らぬならばこれを機に覚えるが良い。邪眼の産声とは龍の嘶き。

                     "wy"vern
邪気眼の始まりを告げたのは……『飛龍族』。これで3つだ。


ここまで来ればもう分かるだろう。<Y>の名、その意味を。
いや分からねばそれで良い……何れにしても、【もう遅い】。



――――『月』はそろそろ地平の彼方へ沈む時間だ。

(<Y>のすぐ横を吹き抜ける《暴風》が、堅牢なる王壁を陥落し)
(深奥に昏く木霊する軋みの音が、<Y>の目的の達成を厳かに告げる)

ククク、敢闘だぞリー。
わざわざ矢面に立った甲斐があったと云うものだ……。

さて、儀式の中断が成功しているといいが……。

(まさか既に終わってて、脱出した後とか言わねえだろうな……)
(いやどっちみちスタコラサッサしたいのはやまやまだが……)

310 :名無しになりきれ:2009/05/16(土) 01:14:33 0
黄金の軌跡が飛来する。

シェイドが放った四つの鋏を『吊られた男』は静かに見据える。マリーのような高性能の視覚を持っていない彼にとっては、
投擲された暗器がどこを狙っているものかは判断できない。故に選択すべき行動は回避ではなく阻止。

「なんだ、この槍が欲しいのかい。"こんなの"で良ければいくらでも――君の墓前に供えてあげるよ?」
                                                         スカーレットガーデン
自前の邪気と魔槍の内在魔力を運用し、術式を組み上げていく。【――構成完了。結界術式<緋朱磁界>――起動】
『あや吊り糸』を手繰り寄せ、槍の石突を地面に突き立てる。同時、膨れ上がった魔力が展開した。

真紅の稲妻は閃光となり、緋色の閃光は壁をかたち造る。確定されるのは魔槍を中心とした巨大な半球型の領域結界である。
半透明の光で覆われた結界に鋏が次々と衝突する。ドームの表面でいくつもショートが巻き起こり、生まれた電磁波に侵入者が絡め取られていく。

一つ。二つ。水際で突破を阻んでいた結界が不意にガラスの割れるような音と共に爆ぜ割れ、崩れ去った。
その合間を縫って三つめの鋏が飛び込んでくる。狙いは喉元。『吊られた男』は辛うじてそれをスウェーで躱し、逃げ遅れた肩口に切り傷を創った。

「は、やっぱりただの鋏じゃないね……恐ろしく密度の濃い邪気が込められてる。本来なら魔剣の一撃にだって耐えうる結界だよ?」
そして気付いた。投擲された鋏は四つ。足元に転がる鋏は三つ。残る一つは――

「――マリー!!」
逡巡は必要ない。返答も必要ない。ただ一言呼ぶだけで二人の間で意思は疎通し新たな動きを作り出す。

マリー=オー=ネットは名を呼ばれてやっと自己嫌悪のループから立ち戻った。目の前に迫るのは邪気を纏った投げ鋏。
即座に眼窩の<ギミック>が起動し、落下軌道を予測。このままでは彼女の眉間に直撃する。想定される被害は甚大。

遺跡の空を鋏が横切る、そのどうしようもなく僅かな時間で彼女は思考し結論を出す。
左腕に武装された<ギミック>を使えばこの窮地を抜け出せる。幸い兵装は独立したものと認識されるらしく、シェイドの影縫いの範疇ではなかった。

(クレイン様は前線で傷つき、私は眉間を貫かれる直前……最早躊躇う理由など――――!!)

ありはしない。 

『吊られた男』は背後に衝撃音を聞く。同時に爆発と破砕の三重奏。振り返ればマリーが鋏を弾き飛ばしていた。
解放されている。彼女を磔にしていたアンカーの影が、後ろの壁ごと粉砕されていた。

「――お待たせしました『吊られた男』様!不肖マリー=オー=ネット、再び貴方の御許へ舞い戻りました」

左腕の<ギミック>はパイルバンカー。マリーの身長ほどもある巨大な杭打ち機は背後の壁を容易く砕き、面がなければ影は生まれない。
無論、壁に固定された状態でそんなものを使えば無事ではいられない。マリーの躊躇はそこにあった。

「マリー、その腕…………――この闘いが終わるまでは直すの我慢してくれるね?」

当然ですわ、と返すマリーの左腕は、肩のあたりから消失していた。間接部のジョイントがねじ切れ、おまけに少し焦げてさえいる。
縫い付けられていた為にパイルバンカーを使った衝撃が左肩をモロに直撃し、間接の耐久を超えて吹っ飛んでしまったのである。

『吊られた男』に改造してもらった、彼女にとって何にも代えがたいものの一部――切り捨てる決断は故に断腸の思いで行った。
不意に軽くなった左半身とは裏腹に心に重くのしかかる喪失感。二つの相反する要素を纏めてかき抱いて、彼女は戦う覚悟を決めた。

人形遣いと操り人形。ふたりが揃えば、何でもできる。何だってやってみせる。人形遣いは真紅の槍を、操り人形は漆黒の鏃を。構えて両者は再び踏み出した。

『吊られた男』が疾駆する。その後ろでマリーは右腕を前に翳し、術式を構成し始める。掌から生じる空間は漆黒へと歪曲し、巨大質量へと変貌する。
それは巨大な楔だった。遺跡の通路を丸々埋め尽くしそうな大きさの楔が膨張と鋳造を重ねて生成される。あまりの魔力密度に遺跡自体が鳴動している。

「さぁ、これが僕らの今出せる最高出力さ。アルカナには神も仏もいないから、お祈りはセルフサービスで頼むよ?」
                   クレイモアリベット
【――生成系攻性術式<打楔する他者の運命>――射出します】

射出する。右腕の<ギミック>の内在魔力を殆ど使用して、マリーは己の全力を狂笑の仇敵へと叩き込んだ。

311 :名無しになりきれ:2009/05/16(土) 02:12:48 0
白虎は疾駆する。
使い物にならなくなった左腕を振り子のようにだらりと垂らし、走る際のバランサー代わりにすることで包丁を保持しての疾走を可能にする。
叩き込んだ拳は決定打だったはずである。ならばそう簡単には立ち上がれはしないだろう。確証が背中を押し、白虎は速度を上げる。

跳躍。

土埃の向こうで蠢く人影に向かって細長く精製した包丁を振り下ろす。
フェンリルは立ち上がっていた。それだけで白虎を驚愕させるには足りたが、爪は引っ込みふらりと立ち尽くすのみの敵影に彼は勝機を見た。

『――ッツ!!』

斬撃。
片手で扱えるよう軽量化された刀身に以前のような圧はなく、代わりに疾さが付与される。
切れ味にものをいわせて切り刻む包丁本来の特性が宿った刃は速度を得ることで今度こそ完璧無比な斬撃へと進化を遂げる。

それを。
フェンリルは片手で受け止めた。どう考えても眼で追いきれるような速力ではないにも関わらず。
次の瞬間、確かに致死の攻撃力を有していたはずの包丁は、フェンリルの一握りによってただの鉄屑へと姿を変えた。

まただ。またである。白虎は脅威を直感で感じ取り飛びのいた。十二分に距離をおいてやっと全身から冷や汗が吹き出る。
この男はうち倒すたびに強力になっていく。ヨコシマキメの邪気を吸収して、ノーダーメージどころかパワーアップしているのだ。

白虎は気付いてしまった。同じなのだ。奴の能力の性質は、このヨコシマキメのものと同質。
ヨコシマキメはその膨大なキャパシティで勝っているが、吸収力だけに絞って比べるならば、フェンリルに分があるのを認めざるを得ない。

震えが止まらない。自分はとんでもない相手に喧嘩を売ってしまったのかもしれない。
ヨコシマキメの申し子。限定的ながらもこの遺跡全体を超越する能力をもった邪気眼遣い。
その身体の内に異能を宿す聖獣だからこそ、ことの重大さに気付いてしまえば精神の瓦解は容易くなる。

フェンリルが近づいてくる。『破壊』の化身がこちらへ来る。自分を壊しにやってくる。
殺される壊される食べられる殺される壊される食べられる殺される壊される食べられる殺される壊される食べられる殺される壊される食べられる
殺される壊される食べられる殺される壊される食べられる殺される壊される食べられる殺される壊される食べられる殺される壊される食べられる
殺される壊される食べられる殺される壊される食べられる殺される壊される食べられる殺される壊される食べられる殺される壊される食べられる
殺される壊される食べられる殺される壊される食べられる殺される壊される食べられる殺される壊される食べられる殺される壊される食べられる


312 :名無しになりきれ:2009/05/17(日) 01:53:37 0


313 :名無しになりきれ:2009/05/18(月) 23:12:17 0
そして飛んで来るビーム。『太陽』の判断は迅速だった。

「下がってて!――『暁光眼』:局所展開【スペクトルシールド】!!」

咄嗟にヨシノの前に立ちはだかり、邪気眼を発動する。生み出された光条は彼女の眼前から放射状に展開し、
光の傘を作り出す。『悪魔』の掌から放たれる闘気の奔流は盾に接触すると同時、弾かれた雨のように流れ去っていく。

「――っこの!!こんな狭いとこでなんつー技つかってんのよあの格闘馬鹿はっ」

見れば傘に弾かれ四散するビームはそれでも遺跡の内部を駆け巡り、その通り道には抉り傷が明確な痕跡として残っていく。
『太陽』とて完全に相殺できないわけではないが、それをするのが躊躇われるほどの威力を震空白秋掌は秘めていた。

(『月』がコイツを使いたがらないのも頷けるわ……遺跡ごとぶっ壊す気なのかしらん)

「ヨシノ、生きてる?生きてるなら聞いておいて。あいつは『悪魔』、ご存知アルカナの幹部にして戦闘員。格闘に自身がないなら
 絶対に近づいちゃ駄目。瞬殺ならいいほう。戦闘狂には常識なんて通用しないから、下手したら肉片も残らないかも」

何が何だか把握しきれていないような顔で目を白黒させるヨシノに一気にまくしたて、ついでに能力をもう一つ発動させる。

「――『暁光眼』:対象展開【インビジブルアウト】……!!」

周囲の光を支配し、物質の可視光屈折率をゼロにまで強制低下させる。生み出されるのは光学迷彩。
ヨシノの姿が頭から消失していく。支配光が足まですっぽり覆えば、出来上がるのは透明人間。

「それで姿は見えなくなるはず。あとは邪気さえ消せばもう誰も貴方を視認できないから、上手く使って隠れるなり援護するなりして」

そして『太陽』は走り出す。目指すは対峙している修道女。おそらくは相当な実力者だが、それでも一人でどうにかできる相手ではないことを、
彼女は知っている。だから助ける。必要なのは後悔に取り返しをつけることだ。今ここで見捨てれば、彼女に知るべき事実も遠のく気がする。

「そこのシスター!死にたくないなら手を貸して!」

故に『太陽』は、"手助けをする手助け"を、助ける相手に要請した。


314 :名無しになりきれ:2009/05/21(木) 00:34:25 0
【東の聖地】

ヨコシマキメが去ったかつての遺跡の地では、パワーバランスが崩れたことにより『歪』の発生が顕著になり始めていた。

『歪』とは因果の奈落。多元的にして恣意的な意味を持つブラックホール。飲み込まれれば対象は因果の彼方に消え去り、この世界からロストする。
あらゆる次元あらゆる世界を巡り巡って色々な空気に触れ、類稀なる魔力と存在感を得て再び同じ世界に顔を出したものを、その実数になぞらえてこう呼ぶ。

       クロニクル 
――108の年代記、と。


聖地の上空に影が出現した。影は黒光りする鋼の実体を持っており、爆音を共に引き連れて遺跡の空を闊歩する。
それはヘリだった。巨大なヘリである。2,30人ほどなら軽く内蔵できそうなボディにはやはり、定員ギリギリの屈強な男達が詰め込まれている。

一人一人が巌のような物々しい体格を有しているが、身に着けているのはもっと物々しい代物ばかりであった。
ある者は身の丈ほどもある狙撃銃を。ある者は大振りのコンバットナイフを。ある者は土管を切り出したような無反動砲を。

武装したプロテクター姿の男達の真ん中に、痩身の中年が座っていた。周りの人間の半分の横幅もない、ナナフシのような男だが、
それを囲む隊員たちの目に侮りの色はない。ただ指導者としての信頼と武人としての畏怖がそこにはあった。

「おわー、ここが噂のヨコシマキメっすか。だだっ広いばっかで寂しいとこですね、レイジンさん」

窓から聖地を見下ろしていた隊員の一人がナナフシ男に喋りかける。レイジンと呼ばれた彼は眼をぎょろりと廻しながら、

「正確にはねェ、元。ですよォ?ヨコシマキメは『旅をする遺跡』……そこは古巣なので一番"怪物"の影響を受けてますがねェ」

謡うように語るその口調とは裏腹に、表情は眉一つ動かさない。鉄面皮というかポーカーフェイスというか、レイジン・シェープスはつまりそういう男だった。

「しかしまァ、もとより多世界を旅してきた"クロニクル"の一つとはいえ、こうもポンポン動かれると厄介ですねェ。しかも内部には正体不明の異能集団
 が立てこもってるときたァ。大方狙いは"怪物"の溜め込んだエネルギーなんでしょうが……ああ厄介ですねェ」

「そりゃあ厄介でしょうよ。ほっときゃ世界は破滅にしか進まない。そこをどうにかするのが俺たち『調律機関』でしょ」

「面倒ですねェ。帰って愛娘と戯れたい。『パパのあとにお風呂入りたくない!』とか『パパのパンツ洗いたくない!』とか言われたいなァ」

「それ戯れなんですか。ってかレイジンさん独身でしょ、アレですか?会うたびお小遣いくれる"パパ"ってことですか」

「夢がないなァ君は。目を閉じればほら、目蓋に映る夢想の一人娘が私に微笑んでくれてるじゃァないですかァ?」

「それもっとヤバイ方向じゃないっすか。夢があるってか、夢以外アウトオブ眼中?もしかして」

「さて、雑談はこれくらいにして、そろそろ降りますよォ」

急に素に戻ったレイジンに面食らいながら、隊員はもう一度窓に張り付く。

「え、もうですか。まだ地上に近づいてないんじゃ――」

「どうやら敵さんも愚かじゃァないみたいですねェ。あと二十秒で接敵しますよォ」

予言通りになった。彼らを乗せていたヘリは、きっかり二十秒後に何者かにより撃墜された。

315 :名無しになりきれ:2009/05/21(木) 23:14:00 0
撃墜したのは一人の男だった。大アルカナが一人、『塔』。彼は自分のことをそう定義付けている。
2メートルをゆうに越える長身と、寡黙にして精悍な肢体はまさに"塔"と呼ぶに相応しく、事実その通りの役回りを得ている。

アルカナの誇る対空人間要塞。それが彼の職分であり、その為に特化した能力も習得している。
狙撃の為のありとあらゆる器物を生み出し、またそれらの性能を限界まで引き出せる。近接型召喚系『瞬穿眼』、それが彼の能力であった。

「……撃墜完了。……帰投する」

爆炎を上げ燃え上がるヘリの機体を一瞥すると、無感動に踵を返す。任務は完了した。あとは小アルカナに事後処理を任せれば良い。
しかしその思惑は、振り返った瞬間に粉砕された。視界を埋め尽くすのは突きつけられた拳銃の銃口。

「あーららァ。邪気眼遣いともあろう者がこんな簡単に警戒解いちゃっていィんですかァ?」

クセのある喋り方は謡うようにも聞こえ、しかし言葉の零れる口は面白くもなさそうな真一文字。
痩身の中年がそこにいた。黒い装甲服に包まれた身体は『塔』よりも頼りなさげだが、纏う雰囲気は武人のそれである。

「……ヘリは墜とした。……何故ここにいる?」

驚愕を覆い隠した無表情で『塔』は問う。レイジンは無表情のまま可笑しさを隠し切れない口調で言う。

「オートパイロットですよォ。貴方の"殺意"を二十秒前に察知できたんでね。文明の勝利ですねェ。
  まァそんなポンポン墜としていいもんじゃないんですがァ、おかげでここまで近づけましたねェ」

問答にこれといった意味を見出せないといったふうに、レイジンはそれきり何も喋らない。『塔』に銃を突きつけながら、
無作為に時間が経過していく。『塔』にとっては好都合だった。気づかれぬように武器を召喚するのは骨が折れたが、
話すことによって時間を稼いだおかげでどうにかなった。袖に仕込む形で精製した暗器を放てば、勝利は自分のものである。

「……概ね問題ない。……今ここで確実に仕留める!」

最後まで言い終わらないうちに『塔』は腕を振った。袖から出てくるのは小型のボウガン。片手で発射できる暗器である。
しかし狙撃する前にボウガンは粉砕した。目の前を掠めたのは弾丸。それもありとあらゆる方向から彼の武器を打ち抜いていた。

「時間を稼いでたのは我々のほうですねェ。くだらない問答やッてるうちに貴方の包囲が完了しました。
 邪気眼遣いも銃で撃たれりゃ死ぬんでしョ?無駄な抵抗はやめて捕まっちゃって下さいな」

『塔』はゆっくりと周りを見渡す。彼をとりかこむ黒の装甲服を着込んだ男達が、大小さまざまな銃器を『塔』の方へと向けていた。

アルカナ髄一の狙撃手は、皮肉にも銃器に囲まれて捕縛された。



316 :名無しになりきれ:2009/05/22(金) 00:09:10 0
北欧の小国、とある古城のひと部屋で、女は座ってモニターを眺めながら「そこにはいない人間」と交信していた。

「ちゃーんと感謝してるって、だいじょーぶ。このセカイに来れたのも……のご厚意の賜物だって。」
「うん。あたしは手出しできないんだから、安心してよね。それじゃあ切るよ。」

女はその身長よりもあろうかという長さの髪から手を離すと、再びヨコシマキメの映像に目をやる。

「次の攻撃がありけるのね。戦力をを送らんとせんければならなきことでしょう。」

『奥さま、デンマーク語が苦手なら日本語でもよろしいのですよ。だれも見ていないのですから。』

「見えないところで手を抜くことはゆめゆめ許されざる事なるのよ。ていうか、今『奥さま』って言ったでしょ、言ったよね?そうよ、言ったのよ!あたしが何のためにこのカラダにしたと思ってるの!」

『申し訳ありません、お嬢様。エキサイトすると日本語に戻るところも、またチャーミングでございます。』

「ほめてもごまかしてもだめなの!って怒ってあげたいところだけど、例の件はどうなってるのかしら?」

『接触の準備はできています。今すぐにでもかの地に発つこともできますが、その場合お嬢様の警護はどうなさいますか?』

「それは気にしなくてもいいわ、わたしもチカラを完全に使えないわけじゃないから。それより命令よ。プレートが『彼ら』に渡ることだけは絶対阻止しなさい。」

『御意。使い手は仕留めてよろしいのですか?』

「いまさらためらうことがあるのかしら?」

『いえ。ただ、今のわたしは、あくまで三千院家の執事でございますから。』

(こっちのセカイは、きっともうちょっと頑丈にできてるわよね…)
三千院家の女帝は執事ともうふた言ほど交わすと、そのまま深い眠りに就いた。

317 :名無しになりきれ:2009/05/22(金) 20:54:10 0
ええい!分かってたさ!聖水が効かないことくらい分かってたさばーーかっ!
(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイなにこの格ゲー的キャラ!体力ゲージ半分以下タイムアップ無し一本勝負ってどこの上級者よ私は!
 落ち着け…いままでの悪魔の攻撃は衝撃波とか打撃とか、とにかくアイツが格闘系キャラであるのは間違いない…近接格闘は今の私には辛い…
 逃げる…?いやいや、なんかものすごく笑いながらいやに滞空時間の長い桃白白の乗った丸太みたいな飛び蹴り仕掛けてきそうな気がする…
 一旦戻ってヨシノを巻き込む?うーん…アイツいても屍が増えるだけのような気がする…囮にするか?
 いや、さっきの逃げでアイツ私の事警戒してるだろうし…あ、第一アイツの所にも敵いたじゃん!うわ、なにこの袋小路的状況!)

───何!?
(『悪魔』は玄武脚の構えをとり、回転しながら宙に浮き始める!炎はその独楽のような生き物に巻き取られ、やがて消えていってしまった!
 最早その動きが人間離れしすぎててコメントすら出せやしないze!)

……あー、昔ド○えもんであったねえそんなの。キ○レツだっけ?なんだっていいけどさ。

あ!?もっとずっとこうしていたい!だあ!??ええい!サブい愛の告白してんじゃないよこの戦闘狂(バトルマニア)!
…っつっても…フッたくらいで引き下がるようなヤツじゃないって事は、私だって重々分かってるけどさ!

       モ チ モ ノ
こうなりゃ修道服の中全部使い切るまで相手してやるわ!ありがたく思いな!


風林火山の体現とうたわれたアスラカンパニー創設者にして唯一の社員!裏ではアスラ、表では坂上アスカ!
         ヒトデアルコトヲステタチカラモツモノ    バケモノヲウチタウオスモノ
アンタみたいな「   化   物   」に、「   人  間   」の私が負けてたまるかぁっ!

(魔剣を真一文字に構え、気力を高めて炎を滾らせる。
 炎はどれだけ燃え上がっても止まろうとせず、高まっていくアスラの気合と比例するようにひたすら火力のみを上げていく)

318 :名無しになりきれ:2009/05/22(金) 20:55:16 0
震空白秋掌…?ハン、相変わらずのチート技だね…上等だよ!
(震空白秋掌が放たれると同時に、垂直に「炎」を振り下ろす。放たれた炎は壁のようになり、震空白秋掌の前に立ちふさがる。
 衝突。炎の壁はぐにゃりと曲がり、壁というよりは布のように震空白秋掌を包み込んだ。
 それでも壁の面積以上あったビームは壁を越え、結果壁の真後ろにいるアスラに当たる事はなくそのままヨシノ・『太陽』の方へ飛んでいった

 炎の壁はやがてビームの勢いを大方殺す。炎の布に包まれたビーム球は重力に導かれ、地面に着地。
 そして大爆発。煙が上がる。煤まみれの修道女は、しぶとくも立っていた。)

……「火蜥蜴の皮衣」…修道服の裏に縫い付けといてよかった……
やっぱ自分の炎で死ぬほどアホくさいこともないからねえ…。

(あーやれやれ、短歌、いや啖呵切ったはいいけどさ…アイツのペースで闘ってたら命が幾つあったって足りゃしないよ…
 神様仏様稲尾様…いや、ここはキリストのとっつあんにでも祈っとくべきかね…ハハ、信仰心の無さであいつに説教食らってた私が神頼みか…
 ……信じられるのは現実のみ、か。…よし、ひとつ死ぬまでやりますか!)

(と、そこで流れ着く『太陽』の助け舟)
「そこのシスター!死にたくないなら手を貸して!」

救援?誰よ───って、ホントに誰よアンタ!
(100m離れてても一発で視認できるような服───薄暗い場所、例えば遺跡の中だったら尚更なのに…
 こんな場所でそんな服を着るという事は、自分の腕にかなり自信があるって事?…それとも罰ゲームかなんか?
 ええい、なんだっていいけど刺激強くて目がチカチカするっ!整髪料何使ってんの!?なんかすごく怪しいんですけど!)

…あー、まあ、この際アンタが誰だっていいや!
どんなに胡散臭くたって少しでも生きる希望が見えたんなら、私はそれを掴むだけよ!

…サクッと説明するわ。私はアスラ。敵はあっちのバカが一体。接近・格闘技が好きみたい。あとビームも出すから気をつけて。

(「生きる希望」をその手に握り締め、魔剣を再び『悪魔』に向けて構える)
そんじゃ嬢ちゃん、指示頂戴!初対面のアンタを信用しきったわけじゃないけど、とりあえずその通りに動かせてもらうわ!

319 :名無しになりきれ:2009/05/23(土) 13:02:39 0
───フッ

(四丁の鋏を投げ終えて、シェイドは音もなく着地する。間もなく四丁の鋏を結界で弾くクレイン)

魔槍を中心とした守護方陣…か。フッ、小賢しい真似を…。
しかし応用は利きそうだな。私ならあれをこうして…っと、いかん。意識が飛ぶところだった。

…ん?ふむ…上々じゃないか人形。それは「正解」だな。面が無ければ影の存在は成り得ない。
パイルバンカー…か。何故だか知らんが懐かしいな…。しかし…うむ…自己犠牲か。つまらん真似を…。

「人形」と「人形遣い」が揃った…か。これで手加減の類は────っ!?

(空間が歪む。マリーの詠唱、漆黒に染まる一帯。やがて巨大な楔を形成した)

…ほう……面白い技じゃないか。珍しい術式だな…オリジナルか?ふむ……

(顎に手を当てて思考する。楔が、マリーの右腕より射出される)

…おっと、今は思考する刻でもないか。…ふむ……

────では少しばかり見せてやろうか。我が研究の片鱗をな─────!

320 :名無しになりきれ:2009/05/23(土) 13:04:33 0
(シェイドの影が一際大きく伸び、やがて影は渦を描いてブラックホールのようなものを形成する。
 ある程度の大きさになるとこともなげにその渦中に身を落とした。
 術者が渦中に消えても、影は消える事無く残っていた。最早それは影というよりも闇。
 やがて渦中よりシェイドが現れる。その足場ごと影が大きくうねり、山のように盛り上がった)


────影は実体があるからこそ存在し、影は常に実体の動きを真似る。故に影は実体を映す黒き鏡であると、私は考えた。

聞きたまえ。「座学」の時間だ。

そうだな…「両儀」を知っているか?万物の根源たる大極から別れし二極。それは即ち陰と陽。
私はこう考えたのだよ…生きとし生ける者が持つ力は全て陰と陽の二極に別れているのでは無いか───とな。
つまり通常人が行使する力は陽、我ら邪気眼使いが持つ力は陰の力という訳だ。

陰はカゲと読む。これは影に通じる言葉。
この手の掛詞は古来より腐るほど使われてきた。私は影こそ陰なる力を引き出す手がかりと考え、ありとあらゆる影を採取し様々な実験を試みた。

………気づいた、という顔だな。出来の良い生徒だ…。
その通り……「素質ある者」や「力持つ者」の影にはそれなりの力が秘められていたよ……!


(山は形を形成し、頂点にシェイドを乗せたまま巨大な龍の姿を作った)
そう、こいつは昔採取した影さ…当時はこの世で最も強いとうたわれた生き物の影だ…堪能するがいい!


─────影探、終式の一……「 暗 黒 龍 」(ダークサイドオブドラゴン)!


(龍は口を開き、迫り来る楔に向け無数の闇を吐き出す。衝突と同時に激しい音がなるが、火花が散るような事は無かった。
 やがて楔は勢いを殺がれ、闇の中に飲まれて見えなくなった)


終わりだ。全て…な。
(ぱちん、と指を鳴らすと、暗黒龍が少量の闇を吐く。闇はクレインの手元から魔槍を奪い、シェイドの元に運んだ)

321 :名無しになりきれ:2009/05/23(土) 13:19:15 0

……
………
(手元に運ばれたそれをしげしげと眺めつつ)
……ふむ、まだ邪気が残っているな…。触ればそれ即ち死の魔槍か…クックック…興味深いな…
しかし…研究が済んでない以上戦闘には用いれんな。荷物になるのなら…少し惜しいが、研究室に転送するか。

ピッ
…助手A聞こえるか?今から貴重品をそっちに転送する。戻ったら検分するからそれまで厳重に保管しておけ。触る時は手袋をつけろよ。
ピッ

…さて、と。
(暗黒龍がぐらりと崩れ、元の影に戻っていく。相変わらず音の無い着地で降り立ち、影は収縮してあるべき姿にもどった)


…ああ、そういえばあの男…………フェ……フェンリルはまだ闘っているのか…?

(二、三度辺りを見回し、クレインとマリーに気づく)
…ん?なんだ、まだいたのか貴様等。

自立思考人形と傀儡の邪気眼使いに興味が無いわけでは無いが……ふむ、先程の術式にあの魔槍…生かしておいたほうが面白そうだな。
先程の口振りから見るに、もう戦う力は残っておるまい?私も殺意は無い。帰っていいぞ。

322 :名無しになりきれ:2009/05/23(土) 17:26:39 0
(土埃の向こうから感じる接近の足音。フェンリルはそれにリズムを合わせる)

さて、相手の隙をつく・攻撃を受ける、流す、避ける・移動する――
それには相手の呼吸を読むことが必須。
私とて、完璧には程遠いが――貴様の呼吸は、

(土埃を切り裂きながら白刃が近づいてくる)


          み


(空に描かれる銀線の先に、左手を持ち上げ)


          え


(視線だけで銀線を追い――――)


          た。


(――――狼の毛の生えた、5本の指先でそれを止めた)


――可笑しいな、さっきの威力はどうしたんだ。
遺跡を叩き壊すあの勢いは?
私を壁面に叩き付けた豪腕による拳は?
最初に傷をつけた、最高の一撃は?

私に力の及ばぬ貴様など、恐るるに足りんぞ……!!

(憤然とした様子で、包丁を――鉄屑へ、握り“変えた”)

323 :名無しになりきれ:2009/05/23(土) 17:28:24 0

さ。
そんなに怯えてどうした?白虎。
その様子じゃあ虎なんていう気高い生き物よりも、鶏の方がよく似合ってしまうぞ。

(一歩一歩、相手に恐怖を与えるようにゆっくり歩み寄る)

私をもっと、もっと高めてくれる――そう思っていたんだが、期待はずれだ。
哀しいな、力を求めても求め切れん。


……そういえば、私には必殺の一撃、そんなものが全く無いんだ。
名誉ある最初の実験台――貴様にしてやるよ。

それに当たって一つ。邪気の入った私の拳は『貫かない』。
衝撃が全体に広がってしまうんだ。致命傷を与えようにも、弱い力じゃ大して欠損させることもできない。
だが、威力が存分にあれば岩の地面に深い穴を開けることすらできる――――おわかりだな?

(逃げることのできないよう、首を左手で掴み上げ―― 一言)

つまり、貴様の体は砕け壊れるんだ……!

(指先から肩まで、フェンリルの右腕が漆黒の邪気で染め上がった)
(その上を狼の毛が覆い、右手の甲が眩く輝き――拳を放つ)


――――『  業  拳
                  白  砕  』


(白虎の胸の正中線に拳は吸い込まれ、接触)
(一瞬よりも早く四肢が、胴体が、頭蓋が、血を噴き出し裂けてゆく)


――スプラッターを見る気は無いが……ま、最期ぐらいは見送ってやろう。
さらばだ。

324 :名無しになりきれ:2009/05/23(土) 17:30:14 0
ああ、引き下がってたまるものかよ!!
久方ぶりの戦いだァ! 血の一滴、骨の一片まで使い果たすような、もしかしたら死んでしまってもかまわないような、そういう戦いがしてェんだ。
あんたが『その相手』かどうかはまだわからねえけどよォ……!!!


ククク、震空白秋掌ですら『コレ』かぁ。どこまでやれるか、期待しちまってもいいんだよなコイツは!?
しかし、化け物たぁ言ってくれるじゃねえか!?
俺ァ『手に武器を持たない闘い』を極めるために研鑽を積み続けた! それだけだ!!
それで異能に目覚めようが、人の領域を踏み出そうが、知ったことじゃねえんだよォォッ!!!!

(膨れ上がった闘気が『悪魔』の周囲で渦を巻く!!)

さて、小休止は終わりだ。
いくぜェ! 絶望という名の地………………!?

(なにやら凄そうな技を繰り出すための突進に入ろうとした瞬間、アスラの背後にいる『煌く人』が目に入った)

『太陽』さん……? ステラ?
何であいつが……こんなとこに?

(予期せぬ遭遇によって、一瞬『悪魔』に動揺が生じた。
その一瞬、闘気は彼の制御を離れ、焼き切れかかっていた鉢巻が完全に千切れ、落ちた。)

…………え?

――耳ごうど鳴つてさつぱり聞けなぐなつたんちゃい

(『悪魔』が、内側から湧き上がる何かに耐え切れなくなったようにがっくりと膝を突いた)

       (ザ……!  ザ……!)

(そして、一瞬の沈黙の後)


325 :名無しになりきれ:2009/05/23(土) 17:31:51 0
 お……

(立ち上がった『悪魔』の形相は一変していた)

      (  ザ    ワ   ッ  !!  )

(鉢巻が、否、邪気眼制御用包帯が外れたことで、)

WOOOOOOOOOOOOOOOOAHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!!!!!!!

(彼の眼が、『拳闘眼』が暴走を始めたのだ!!!!!)

――血の“朱”が……鉄の“黒”が……暴力を“支配”する…………

(天に向かって哀切な、あるいは獰猛な猫科猛獣の如き雄叫びを上げる『悪魔』の身に、目に見えて変化が現れ始めた)


    WO………A……AH…………

(右目が禍々しい緑玉の輝きを放ち)

    ――“見”てごらん……?

(身に着けていた生成りのジーンズと洗い晒しのTシャツが、邪気に浸されて赤黒く染まる)

            ――“オリオンの星”が堕ちてゆくよ…………

(そして、まったく突然に、遺跡全体を震わせるように放出されていた闘気が完全に消える)

――心象のはいいろはがねから……四月の気層のひかりの底を……

(だが、その場にいる全員が、戦慄とともに理解していた)

――唾し はぎしりゆききする……

(それは消えたのではなく、ただ裡に潜っただけだ、)

――おれはひとりの 修羅なのだ……

(ここからが、本当の闘いなのだ、と)



   剛         戦






   臨         鬼


326 :名無しになりきれ:2009/05/23(土) 19:54:53 0
【『太陽』の光傘障壁により致死の魔光から逃れてはいたものの、情けないことにその余波でヨシノは尻餅をついていた】
んなっ……!?なんだあの生物は?本っ当にヨコシマキメの関係者は変た――

【感想が口から零れるより先に、ステラがまくし立てる。それは目の前の敵の出自であり、忠告であり、】
(なんでそんなことを知ってる……!知り合い?だとしたらこの娘もアルカナなのか!?)

【疑惑を生むには充分すぎる証左を前に、ヨシノはどうしていいかもわからずひたすら状況へと身を任せる】

【ステラの能力が発動し、ヨシノに不可視のカーテンをかけていく。それは彼を敵の範疇から外すためのものであり、即ち】
(護られてるのか俺は?アルカナの一人に?くそ、まったく状況がつかめない……だが、当面の敵は奴か)

(必要なのは納得だ……『納得』は全てに優先するッ!あの『悪魔』とかいう格闘家が俺の納得を妨げるというのならッ!!)

――後ろは任せろ。俺も戦う、そして全てを教えてもらうぞステラ=トワイライト!!

【邪気の奔流を練り上げ、能力を発動する。極彩色を纏うのはステラの創った視認隠匿術式】

……『倒錯眼』発動!――『インビジブルアウト』の隠匿を『俺の存在』へとすり変える……!!

【ヨシノの身体を覆っていた支配光は視覚への隠匿を司る。彼はそれを『視覚』から『存在』へと変更した。】

不可視と言えどもうかつに奴へ近づけば気付かれる。広範囲攻撃でもされれば致死は確実!ならば俺がするべきなのはッ!
『攻撃の届かない場所からの接近』……――溶け込め、『倒錯眼』!!

【支配光に覆われたヨシノの身体は二三回明滅を繰り返すと、遺跡の地面へと溶け込むように消えた】

【本当に、この場から、消滅した】

327 :名無しになりきれ:2009/05/24(日) 12:25:49 0
『太陽』は対峙する。目の前の『悪魔』が最早邪気眼遣いという範疇からも逸脱した存在へと変わる、
その余波だけで幾重にも張っていた光条障壁が爆ぜ割れ、生身の肌が風を受ける。

(あの鉢巻……『包帯』だったんだ……脳内麻薬の出しすぎで制御を失った?なんて不安定で膨大な力!)

そこには安定も安寧も安心もない、ただ一個の『力』として存在するのみ。脊椎の中に直接氷をぶち込まれたような悪寒。
数多の戦歴を誇る『太陽』でさえも、ここまで暴力的で冒涜的な力の奔流を目の当たりのするのは初めてだった。

「シスター・アスラ。よく聞いて、私はステラ、"あれ"は私の知り合いで、つまりはアルカナの幹部戦闘員『悪魔』。
 ここにいるのは貴女と私と、貴女の連れ――元・連れかな?ヨシノがその辺に潜ってる」

言いながら『太陽』なりに状況を分析する。敵――『悪魔』は同僚ながらもその力は未知数。格闘戦への執着を見るに、
あのビームさえどうにかすれば遠距離からの攻撃に利がある。狙撃に特化した同僚の姿が脳裏をよぎったが、

(対空砲撃手の『塔』は持ち場を離れられない……そもそもアルカナ同士での戦闘なんて想定外。増援はナシ。
 今ある戦力で勝つほかない――真実への布石のために!ここで死ぬわけにも死なせるわけにも、いかない!)

アスラとヨシノの行動を追っていた彼女には残存戦力を知る術があった。そのための知覚能力もある。
現戦力で最も攻撃能力に秀でているのは『太陽』である。ヨシノは援護特化の後衛、アスラは前衛だが疲弊とダメージが目立つ。

(何気にいいパーティじゃない。全員の足りてるもので足りないものを補い合えば、あのバーサーカーにだって負けはしない!)

「あいつに近づかないのは正解。特に今はかなり危険。理性がのこってるどうかも怪しいから。うまく間合いをとりながら……
 二秒。二秒だけあいつの動きを止めて。二秒あれば決定打になり得る攻性術式を叩き込める。どうにか隙をつくって!」

同時に『太陽』は疾駆した。彼女の最大攻撃術式を発動させるには、この空間に光を満たす必要がある。
支配光を全身から撒き散らしながら、『太陽』は遺跡の壁面を駆け巡り始めた。

328 :名無しになりきれ:2009/05/24(日) 22:18:56 0
(ここがヨコシマキメですか。実に素晴らしい邪気ですね。)

突如中空から降り立った黒い執事服の男、リクス・クシュリナーダはその遺跡に一歩一歩近づいていて行く。
驚くべきはその時間である。即ち、彼は主人の命を受け、ものの数分でこの空域に達したのである。
尤も、それは彼の能力ではなく、彼女のプライベートジェットの性能の証左にしかならないのだが。

(先客は既にアルカナを一人確保なさったようですね。これ程の数の手練、私が相手にするにはやはり苦しいところでしょうか・・・
敵であればジェット機を直撃させてあの女に嫌がらせをしてもよかったのですが、その程度では大した嫌がらせにすらなりませんね。)

執事は自らの登場法を若干後悔しながらも目の前の人物に集中する。

「そちらのお方、見たところ『調律機関』の所属とお見受けします。この遺跡で何かトラブルでもあったのでしょうか。」

三千院家の長身の黒執事は、痩身の中年にわかりきったことをあえて問いかける。

「もしそうでしたら私もお手伝いさせていただきますよ。もっとも、主人の命に反しない限りですが。
私は『あくまで』三千院家の執事ですから。」

329 :名無しになりきれ:2009/05/24(日) 22:26:40 0
それは刹那の出来事だった。『吊られた男』が疾駆し、マリーの最大攻性術式が射出される一瞬。
全ての音が掻き消え、寸毫ほどの時間が悠久へと引き延ばされる。視界は見る見るうちに色褪せ、そして、

眼前に巨大な影が立ちはだかった。

マリーは動けなかった。左腕を失ったことでバランスが崩れ、術式発射の反動で大きくノックバックしていたからである。
無論重心の演算に補正を入れて、バランスを取り直すことは可能である。しかし彼女は敢えてそれを放棄した。

バランサーにシステムリソースを取られれば、"クレイモアリベット"の術式精度への影響は免れない。
この正念場において、針の穴に糸を通すほどのコントロールが求められているのは確定的に明らかだった。

楔の発射機構をパージしたマリーは、矢のように疾走する『吊られた男』の背中を追う。途中で吹っ飛んだ自身の腕の回収も忘れない。
そうして何処からともなく響き渡るシェイドの『座学』が終わりを告げ、隆起した影が形を作り始めるのを見た。

楔が激突する。
遺跡を揺るがすような轟音が、マリーの聴覚素子を一時的に麻痺させ、『吊られた男』の動きをその場に縫い付けた。
そして見る。シェイドを乗せた影が形作る"それ"は、在りし日の聖地で最強の名を欲しいままにしていた生物の姿。

「は、龍族……?そんなの持ち出してくるなんて、――ちょっとズルくないかい?」

いつでも余裕を崩さない『吊られた男』ですら唖然とするような事態。マリーにとってはそれが何よりの重大事であった。
気の遠くなるよう甚大さを秘めた力と影の塊が、『吊られた男』とマリーの最高値を遥かに上回る攻撃力を紡ぎだす。

「クレイン様!」

マリーが叫ぶより先に、楔を軽く飲み込んだ暗黒龍の支配影が伸びる。高速かる正確に『吊られた男』の吊り糸から魔槍を絡め取ると、
シェイドの元へと運んでいく。あまりの事態にマリーはおろか『吊られた男』ですらその一部始終を見送るほかなかった。

じっくりと検分する白衣の足元で、勝負を決した影の龍は崩れるように地面へと溶け込んでいく。
シェイドが音もなく遺跡の土へ降り立つと、何事も無かったかのように辺りに静謐が満ちた。

『吊られた男』クレイン=トローリングとマリー=オー=ネットはその場に立ち尽くし、そして理解した。

任務は失敗した。


決着が、ついたのだ。

330 :名無しになりきれ:2009/05/24(日) 22:44:48 0
白虎は恐怖する。
フェンリルに首を掴みあげられ、足掻こうにも手足は虚しく宙を掻くばかり。

握られた拳は断頭台。語る台詞は死刑執行までの猶予時間。
誇り高き聖獣であったはずの彼は、免れない死に直面した今、ただの獣へと成り下がっていた。

ありえない、ありえない、ありえない、
思考ばかりが上滑りし、状況の打開を記憶の求める。脳裏に浮かぶのはとりとめのない考えばかりで、
彼の望む回答へは一向にたどり着かない。彼は最期まで知らなかったが、走馬灯というのは彼の現状にあてはめるのが最も適当なのだった。

そして理解した。彼がフェンリルへ求めていた答え。

邪気眼は力に貪欲な人間に肩を貸す。高潔な精神など必要ないのだ。
地べたを這いずり泥水を啜ってでも力を得たいという覚悟、そういった者を邪気眼は好む。ヨコシマキメがそうであるように。


そして最期の執行宣言が為される。


――――『  業  拳
                  白  砕  』


戦車砲より凶悪で獰猛な威力を秘めた拳の一撃が、彼を襲った。

たった一撃である。一撃喰らっただけで四肢は砕け臓腑は爆ぜ頭蓋が裂けていく。噴出す血液の赤に、やがて脳漿の色が混ざっていく。
最早バラバラなどという表現ではおいつかない、まさに"挽肉"となった白虎だったモノは濃い桃色の軌跡を描いて遺跡の空を横切り、

壁に叩きつけられた勢いで蒸発した。あまりのエネルギーに壁が耐え切れず崩壊し、余剰の運動量が熱へと変換されたのだ。
つまりそれは、流れ星が燃え尽きるのと同じ理屈であり、白虎はこの世から消滅した。

文字通り、星になったのだ。

331 :名無しになりきれ:2009/05/24(日) 23:45:04 0
白虎が斃された。
肉片一つ残らずに破壊し尽されたかつての"お気に入り"が失われたことに感慨がないわけではなかったが、
何よりここに居る必要が失せたことで『吊られた男』は柄にもなく張っていた緊張が解けたことへの安堵を感じていた。

「負けたんですの、私達は……申し訳ありません、『吊られた男』様」

マリーは茫然自失といった風で呟く。彼女は『吊られた男』に勝利をもたらすことが何よりの至上であり義務であると己に課していた。
魔導人形であるマリーに涙を流す機能はないが、宿った想念が得た感情は紛れもなく"悲哀"であった。

「君が謝るようなことは何もないさ、マリー。ほら、もう帰っていいって。早くその腕を直しちゃわないとね?」

『吊られた男』はそんな彼女の機微を敏しく感じ取り、慈愛に満ちた表情で背後からマリーを抱いた。
首から手を回すと彼女は残ったほうの腕でそれを強く握る。人工皮膚の滑らかで柔らかな感触を楽しむように目を閉じ、そして開けた。

地面に放った邪気から術式が展開する。青白い光の線で描かれる方陣はアルカナ汎用型の転移術式。
足元で燐光を放つそれを踏みしめながら、『吊られた男』はシェイドとフェンリルを見る。その表情はいつのまにかいつもの退廃ニヤケ面へと戻っていた。

「とりあえず今回はこれで帰るよ。その槍も預けておく。君達は強いね、反則的なまでに強い。君達ならあるいは、
 アルカナの喉元へ牙を立てられるかもしれない。そしてこのヨコシマキメに、底なし腹の怪物に、『千(ホロビ)の洪水』に抗えるかもしれない」

マリーは何も言わなかった。言いたいことは全て主が代弁してくれる。今はただ、背中に感じる温もりを。

「最後にいいことを教えておくよ。アルカナは一枚岩じゃあない。『世界』氏に恭順した者もいれば、ただ力を追い求めるもの、
 真実へたどり着きたいもの、邪気眼を恐れるもの、恐れられるもの、なにせ22人もいるからね、君達の目的に同じる者もいるかもしれないね?」

『吊られた男』がどれに当てはまるのか、それは最後まで言わなかった。理由はない。必要もない。
ただ、ひとこと言っておきたかった。彼とマリーの、建前を取り払った本音の言葉。

「次に会ったら、また戦おう。それまでに白衣の君の龍を攻略する力を身につけておく。――首を洗っておいてくれよな?」

足元からの光がふたりを包み込み、輪郭を曖昧にしていく。この場から転移完了するまであと数秒もかからない。
マリーの頭を撫でながら『吊られた男』は手を振った。ニヤケ面は最後の最後で真面目な表情へと変わる。

「……それじゃ、また。願わくば、因果の交差路で再び会いまみえんことを――」

一際強い閃光を残して、『吊られた男』とマリーはその場から完全に消え去った。


今度こそ、遺跡に静寂が戻ってきた。

332 :名無しになりきれ:2009/05/25(月) 05:39:24 O
なんだこのスレ

333 :名無しになりきれ:2009/05/25(月) 22:01:42 0
(鉢巻が取れた悪魔───「力」を行使する為に存在する破壊兵器を見つめる。どこか呆れたような表情で)
………………………バカだねえ、本当。イカれてるってのは褒め言葉になるかな?
ヨシノは何処行ったのさ…アイツ…まさかさっき私が逃げた仕返しのつもり?OK、だったらとりあえずシメときましょ。

はいはい聞きますよキンキラちゃん。……ステラ、ね。やっぱアンタは『アルカナ』だったか。
しかしなんだって私たちに協りょ……

(悪魔を一瞥して、納得したように頷く)

…まあ、ね。どっちにしたってありゃ放っておけないわよねえ…。
ま、いいわ。アンタ信じなきゃ私が死ぬし。ひとまず仲良くいきましょ。

ほいでは依頼を拝借しましょか。
………二秒…ね。OK、「できるだけ」なんて言わない。引き受けたからには…命賭けてやらせてもらうわ!

(…ふん、依頼は二秒間の足止め、報酬は私の命…か。くぅ〜〜…なんか久々ねえ、こういうのも。
 接近戦は御法度、拘束系は…100パー破られるけど、二秒だったらなんとか繋がるかも。弱点は…意識がはっきりしていないくらいかな…
 心に留めておかなきゃならないのは、相手が化物ってこと。人間だと思ってやったら間違いなく潰される。死体も残さないくらいの勢いでいかなきゃね…)

んじゃ…コレかな?そらよっと!

(懐から聖水の入った瓶を取り出し、悪魔の頭上へ向けて投げつける。
 瓶は悪魔の周囲を覆う凄まじい邪気によって空中で砕け散ったが、中身は蒸発する事無く悪魔の体を濡らした)

天に召します我等が神よ、導きに背きし者に天罰を────!

(飛び散った聖水が邪気に反応して悪魔の体に取り付く。水は明らかに量を増し、悪魔の邪気を押さえ込む。
 続いて首に掛かったロザリオを引っぺがし、根元をカチリと押し入れて先端からナイフを出させる。
 さらにそれを片手で投げ、悪魔の左胸に突き刺さらせる。ロザリオの仕込みナイフからは電流でない閃光が走り、悪魔の体を駆け巡る)

天罰覿面────「聖・裁」(ホーリー・ジャッジメント)!
あー、シスターっぽい技使ったのマジで何年ぶりだろ…。

(ちょうど二秒経つ。『太陽』の大技とやらを期待しつつ、何時来てもおかしくない反撃に備えて魔剣を構える)

334 :名無しになりきれ:2009/05/25(月) 22:27:22 0
レイジン=シェープスは『調律機関』の武官である。
彼の職分は実働隊における陣頭指揮であり、自らが戦線に立って戦闘を行うこともままある。

その戦歴と経験によって蓄積されたノウハウ、彼が武官たりえる危険予測、総じて言えば『熟年の勘』が、
目の前に降り立った長身の男を警戒に値すると回答した。只者ではない、気配がそう教えてくれる。

「おやおやこれはァ、随分と場違いな人間がおいでになりましたねェ。ここは戦場ですよォ?」

男は黒い執事だった。それ以外の形容をレイジンは思いつけない。ただその身に纏う邪気が彼の身に着ける
汎用性対異能力プロテクターを蝕むのが圧力として感じられ、能力者ではないレイジンにもその脅威がはっきりと知覚できた。

「能力者っすか?もしかしてヨコシマキメの関係者ですかね」

隊員が捕縛した『塔』の脇腹をライフルの先端で小突く。小柄な彼とアルカナ最長身の差は頭三つ分ほどもあった。
同時に部隊のほぼ全員に緊張と警戒が走る。ある者は身構え、ある者は銃器を執事へ向けた。

「構える必要はありませんよォ。ヨコシマキメ関係者でもなければ敵でもない。世界皇族"三千院家"の当主――その執事だそうで」

つらつらと語るレイジンの顔はやはり無表情。眉一つ動かさず執事に視線を戻した。

「流石は三千院家、もォ嗅ぎ付けてきましたか。政府の情報統制がザルだとは聞いていましたが、ここまで筒抜けだと不安になりますねェ。
 緘口令は敷いても人の口に戸は立てられないとはよく言ったもので。それに貴方ような――能力者まで飼っているとは……」

「うへぁ、"調律機関"でも補足できてない能力者……今なら囲んでフルボッコにできるっすね、やります?」

「血の気が多すぎですよォ君は。ここに来た目的は『歪』の修正と武装集団の鎮圧、ひいては世界を救うことでしョう」

意気込む隊員を飄々と制止しながら、レイジンは両手を広げ歓待の意を示す。

「丁度良い。執事氏、我々は貴方を歓迎しますよォ。私はレイジン=シェープス、この部隊の長をやッてます。
 見たところ貴方もかなりの手練、戦力は多いほうが良いでしョうし、貴方もヨコシマキメに用があるんでしョう?」

「――"アルカナ"とかいう能力者集団、その制圧に力を貸して頂きたいんですねェ」

そういうことになった。

335 :名無しになりきれ:2009/05/26(火) 23:47:45 0
(『悪魔』は、避けるそぶりすら見せず棒立ちになったまま聖水とそれに続く『聖・裁』を受けた)

ガ‥‥!?

(だが、結論から言ってアスラの戦術は間違っていた)

カ‥‥カカ‥‥

(暴走開始直後の虚脱状態に陥っていた『悪魔』が、この一撃で意識を――或いは戦意を取り戻したのだ)

オメーのゆー“ウラケン”ってのはよ‥‥
(いつの間に動いたのか、『悪魔』が意味不明なことを呟きながらアスラの眼前に現れ――)

“ コ レ ”かぁ!?
(魔拳を持つ手めがけてとてつもなく重い裏拳をぶち込んだーーっ!!)

ひやっはァッ!! “修道女”(シスター)ァ! テメー“べコべコ”にしてやるよォ!?

(“裏拳”を打ち込んだと思った瞬間にはアスラの“顔面”に左手が掛かっている)
“戦車”やったくれーで

(左手が掛かったと見えたときにはもう、アスラの後頭部ごと遺跡の“壁面”に蜘蛛の巣状の亀裂を作る威力で“叩きつけ”られている!!)
“ の ぼ せ ” て ん じ ゃ ね ー ゾ ! ?

(そしてそのまま“変形の大外狩り”に繋ぎ、)
“わかっ”ってんのかよ!? あぁッ?

(正確に“米神”を狙った“サッカーボールキック”!!)
“わかっ”てんのか よ ォ ! ?

(そして、アスラにどの程度のダメージを与えたのか、そもそもきちんと命中していたのか確認するそぶりすら見せず、無造作に『太陽』に向けて歩いていく)


336 :名無しになりきれ:2009/05/26(火) 23:48:45 0
なぜ“ここ”に“あんた”がいるのか‥‥スゴく、気になる。
だが、“それ”は“戦うとき”に必要なことじゃあない‥‥
そうだ、思考の方向を制御してみよう。
今から始まることの中で、一番楽しい部分だけをリアルに思い描く。
そしたらあとはそれを現実にしてみるんだ――きっと、とてもいい気分になれる。

(目の前にいる『太陽』が見えているのかいないのか、何かに酔ったように呟く。
その姿は、人間の理解の外にいるモノ――即ち、古典的な意味での『悪魔』そのものであった)

そうだ、拳をブチ込んでやるんだ。
拳でなくてもいい。爪先でも、指でも、膝でも、頭でもいい。なんだったら体全体でも構いやしない。
ステラの。顔に、腕に、足に、上腕に、大腿に、胸に、腹に、その他のあらゆる場所に。
そうだ。そうしよう。多分それが、俺の一番したかったことだ。うん。そうに違いない。

(そして、初めて『悪魔』は『太陽』を――否、ステラ=トワイライトを見た。
慣れない愛の告白でもするように、照れたような笑みが『悪魔』の唇に浮いた)

ステラ……ずっと、あんたとヤりあいたかった。初めて会ったときからそそられていたよ。
眠れない夜に、何度も何度もあんたのことを想ったもんだ。
あんたの柔らかい肉に、俺を思いっきりぶち込んでやりたくてたまらなかった。


337 :名無しになりきれ:2009/05/26(火) 23:50:44 0
(あんたもそうなんだろう?
俺の顔に拳を打ち込みたくてたまらないんだろう?
『悪魔』の言葉には言外にそういう含みがあった。
俺の正拳があんたの鼻にめり込む瞬間を――
私の光線がお前の腹を貫く瞬間を――
何度も、何度も、何度も――
そして――)

現実になってみると、案外現実感というものが足りないものなんだな。
まるで夢の中にいるみたいな心地だよ。
それとも、現実なんてものはもともとその程度の確かさしかないんだろうか?

(よくわからないことを呟きながら、いつの間にか『悪魔』がステラにラッシュを仕掛けていた。
その場の誰にも、いつ『悪魔』が動いたのかわからなかった。
速さ――ではない。
滑らかさ――でもない。
その両方と、そしてもう一つ以上の何かが組み合わさって初めて可能になる動きだった)

ああ、斑鳩が行く……
望まれることなく、浮世から捨てられし彼らを動かすもの。
それは生きる意志を持つものの意地に他ならない――

(読経のように意味不明な言葉を吐きながら仕掛けられる『悪魔』のラッシュ。
それは、ただ拳速の早さだけではなく、着弾の瞬間に体内で白虎掌を炸裂させることによる威力をも秘めていた。
技名を『朱雀殺』という――)


338 :名無しになりきれ:2009/05/26(火) 23:59:32 0
黒い執事は口を開いた。

「目の前の脅威に瞬時に身構え、それでいて命令にはきちんと従う、よく訓練された部下をお持ちでうらやましい限りですね。」
(そして私の邪気を受けてなお怯まず冷静な判断を下すことができる。この男、やはり相当の実力者、それもかなりの場数を踏んでいると考えていいでしょう。)

「お嬢様も悪趣味でいらっしゃいますからね。邪気眼といい遺跡といいスリリングなものに価値を見出しなさるのは、何とかしてほしいものです。」

「確かに、仕事熱心な方々にこう取り囲まれては、私もただでは済まないでしょうね……」

言葉とは裏腹に執事の周りの邪気は薄まっていき、彼は見た目には黒髪に黒い執事服ではあるものの、当初のような底知れぬ闇はほとんど感じられなくなった。
そして痩身の男の次の言葉を聞き、彼は予想通り、いや、予想以上の回答に満面の笑みを浮かべることとなる。

「ええ、そうです。レイジン=シェープス様ですね、手厚い歓迎感謝します。」

『アルカナ』という単語が事前の情報に合致することを確認し、主人の命への背信の可能性は消え去った。

「私の力、今お見せできるのはこの程度ですが何かのお役には立てれば光栄です。」

その言葉と同時に執事の周りの大気が氷結する。

「私の眼は『氷結眼』、多少のものならこのように。」
(あらゆる事象を微分することで氷結させることができるわけです。)

手の内をすべてさらけ出すまでもない、そう判断してさし障りのない部分のみ見せることにしたリクスは、レイジン達の歓迎の意をありがたく受け取るのであった。


339 :名無しになりきれ:2009/05/27(水) 22:09:06 0
【存在を地面に溶け込ませたヨシノは攻撃こそ受けることのない位置であったものの、『悪魔』の暴走に戦慄し恐怖していた】

(怖ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!なんなんだコイツ!?というか知ってるぞ、奴の纏う邪気の質……言動……雰囲気……
 それら全てが田舎のヤンキーと同質!地元でしか調子にのれないタイプの!リーゼントとニッカボッカが似合いそうな!)

【一瞬で詰め寄った『悪魔』の連撃をアスラが受ける。助けにいこうにも湧き上がる邪気が不可視の壁を形成し進行を阻んでいた】

な、疾過ぎる――!"不運"と"踊"っちまったな……姉さん、死んじゃいないようだが武闘派のあの女でさえ反応できない速度だと?
(――って、解説役に成り下がってる場合じゃない……!近づけないなら近づけないなりに出来ることがあるはずだ)

【投げ技で地に伏すアスラへ容赦ない追撃。こめかみを狙った蹴りは傍から見ても致死の威力】

アレは……ヤバい!『倒錯眼』、ゴムの"弾性"で姉さんの頭を覆えッ!!

【邪気が奔り、アスラの上半身を覆っていく。そこに付与されたのはケシゴムの"弾力"。まともに受ければ首がもげる一撃を、
 あえて弾き跳ばされることによって吸収させる。蹴撃はとどめにこそならなかったが、アスラは大きく吹っ飛ばされた】

                            スリングスプリント
おおおおおぉぉぉぉぉおおおぉぉ、届けッ!!『護謨疾走』!!!
【両足にゴムの伸縮性を付与しトランポリンの要領で跳躍。邪気を纏う身体強化もあわせて、アスラが吹っ飛ぶより疾く落下地点へ辿りつく】

(短時間・短距離でしか使えないがこれなら動ける。俺だって邪気眼遣いなんだ、一矢報いることは可能!)
よう、また会ったな姉さん!とりあえず置いてきぼりにしやがった件については後でネッチリコトコト釈明を要求するぞ!?

【飛来してきたアスラを受け止め、『悪魔』を見る。既に奴はステラのもとへと接近し、うわごとを呟きながらラッシュの最中】

ステラがアルカナってのはマジなのか?そのわりには『悪魔』が一番闘いたそうにしてたのはあの娘。
くそ、能力者ってのは本当に頭のおかしな奴ばっかだな!ネジ外れてるどころの騒ぎじゃないぞこれは……

(厄介にもほどがある……接近戦ができないってことは、俺の持ってる攻性術式のほとんどが通用しなくなる。
 拘束も速攻破られ、ヘタに刺激すればこっちが危ない。2秒でいいだと?2秒もあれば軽く捻り潰されるわ!)

姉さん、アンタ今どのくらい動ける?手持ちの火器総動員してアイツの動き止められないか?
一瞬でもいい。あとはその一瞬を、どうにかして二秒まで引き伸ばす。

幸い奴は近接特化型の格闘馬鹿。手から炎とか雷とか出すわけじゃない。……ビームは出るけど。
邪気眼遣いだって銃で撃たれれば傷付くし、当たり所が悪ければ死にもする。

――存外、銃器や爆弾の類が効くかもわからんぞ。


340 :名無しになりきれ:2009/05/28(木) 01:38:38 0
執事――リクスの『氷結眼』を目の当たりにしてレイジンは密かに眉を顰めた。
能面のような顔にあってそれはあまりに微細な変化であり、その場の誰もが彼の表情に気付かない。

「ほう、それが貴方の邪気眼……氷を作り出しているというよりは、対象の分子運動を低下させて低温を作っていますねェ。
 物体の温度に影響を及ぼす『干渉系』能力、支配系や変身系より出力は劣るものの汎用性の高い邪気眼ですか」

(しかし味方とはいえ異能を間近で見るのはあまり良い気分とは言えませんねェ。彼らのような牙と爪を持たない
 我々無能力者にとッては鼻先で猛獣と対面しているようなもの。有り体にいえば"化物"なのですからねェ)

『調律機関』は全員が無能力者で組織された公設兵団である。故に異能に対する畏怖と嫌悪は何よりも強かった。
能力者と聞いた途端に隊員達が身構えたのは、そういった理由によるものが大きい。

「さァて、自己紹介はこれくらいで充分でしョう。結界班、『歪』の修正処理はどの程度終わッていますか?」

『歪』の周りで機械のコンソールを叩きながら作業していた装甲服の一団から声が挙がる。

「ディメンションホールの収縮工程は終了しています。あとは閉じるだけですね、三分でできますよ」

「了解、引き続き結界作業を続行して下さいな。術式班、アルカナの通ッてきた転移術式の解析はどうです?」

『塔』を囲っていくつも術式陣を展開していた白衣の集団が返答を寄越す。

「術式そのものは汎用型で解析はすぐにできたんですが、どうも強固なプロテクトがかかってるらしく逆探で本拠地探すのは骨ですね」

「ふむ、奴らのアジトにまで直接攻め入るには無理……ヨコシマキメの入り口から正攻法でいきますかねェ?」

「えー、遺跡の中じゃライドムーバー使えないじゃないすか。それに狭いとこじゃ大隊で囲むメリットなくないっすか?」

小柄な隊員が不満そうな声を挙げる。彼は調律機関が誇る巨大多足型汎用戦車『ライドムーバー』のパイロットだった。
レイジンは隊員をついと見遣ると、無表情のまま思案に耽りだした。ふむ、と軽く息をつきながら、

「そんな君にうッてつけの場所がありますよ。適度な広さの平地があッて、直接ヨコシマキメに接触できる場所。
 そこならアルカナをおびき出して囲むことも可能でしョう。少々離れちャあいますがねェ」

「術式班、ヨコシマキメの転移先はわかりますねェ?転移術式の残滓から指定座標と距離の割り出しを」

「既に完了しています。ヨコシマキメ自体の邪気が膨大なんですぐに捕捉できましたよ。追転移しますか?」

頷いたレイジンは部隊に召集をかける。術式班を中心に巨大な幾何学魔法陣が展開し光が彼らを包んでいく。

「術式発動の準備を。皆さん、これから転移術式に乗るんで陣の中に入ッて下さいな。執事氏もよろしいですかね?」

「追転移術式発動準備完了しました。移動指定先は――」


「――『世界基督教大学』」

341 :名無しになりきれ:2009/05/28(木) 21:56:15 0
リクスもまた、レイジンの微妙な表情の変化に気づくことはできなかった。

「おおよそそんなところですね。やはり、あまり出力を出すことはできないことを念頭においてくださると助かります。」

(先ほどの部下の方々のリアクションもありますし、戦闘中に突然力を使って驚かれでもしたら困ると思ったのですが、私の目の力のメカニズムを瞬時に推測なさるレイジン様にはこのような不躾な真似は必要なかったようですね。
もっとも、血気盛んな部下の方々にはこれくらいのモノを見せておきたかったので致し方ないのですが。それにしても、まったく内心が読みづらい方ですね。)

「そうですね。やはり、無闇に力を使うことは憚られます。」

そう言う頃には、リクスの周りの氷は消失していた。
そもそもただ氷を作るのではなく、中空に浮かべておくのには相応の邪気を要するのであろう。

そうこうしているうちに、レイジンとその部下が言葉を交わしていた。が、リクスが口を出すことはなく、ただ彼らの手際を観察するのであった。

(『歪』への迅速な処理、やはり手馴れていらっしゃいますね。)

(魔術的知識を持つ方もいらっしゃるようですね……そして『ライドムーバー』、ですか。機関自体秘密裏の存在であるが故にその技術の一端もほとんど知ることができなかったわけですが、やはり実用化されていたのですね。)

ある程度の情報は得ていたものの、『調律機関』の錬度とテクノロジー、その双方に改めてある種の頼もしさすら感じたリクスに、レイジンから声が掛けられた。返答は、もちろん聞くまでもない。

「ええ、よろしくお願いします。」

その後彼は、一つの単語を聞くことになる。

(――『世界基督教大学』、私のような者がそんなところに行くことになるとは、実に皮肉ですね。)

魔法陣の中で、黒執事は、笑みを浮かべた。

342 :名無しになりきれ:2009/05/29(金) 22:32:14 0
連撃が視界を埋め尽くす。『悪魔』の放つラッシュは最早壁となり『太陽』の進路も退路も阻んでいる。

最も凶悪な威力を秘めた拳こそ小規模展開した光傘で防いでいるものの、それを貫通して炸裂する白虎掌の威力は減衰できない。
放たれる闘気流は致命打にこそなりはしないものの、確実に『太陽』から余裕と体力を奪っていく。

「こ――っのぉっ!!『暁光眼』:【サンライズフレア】!!!」

防御術式の向こう、『悪魔』の眼前で光を凝固させ小型太陽を作り出す。その小さな光源は物理的なダメージこそないものの
その熱量は敵の身を焦がしその日輪は容赦なく敵の目を焼く。視界を奪われた『悪魔』の動きがほんの一瞬だけ鈍る。

隙ができた。

「狂った理屈を!笑顔で語らないでッ!!この変態鬼畜狂人外道白痴論外脳筋軽薄単細胞レイパァァァァァッッッ!!!」

小型の陽光として散った光たちに再び指令を与える。光は収束し凝固を経て形を作っていく。それは無数の槍だった。

振り上げた手を一気に振り下ろせば生まれるのは刃の瀑布。光の処刑台。降ってくる光槍は狙いあやまたず『悪魔』へと集中し、
彼を地面へと縫い付けていく。さながら地面から生えた剣山のようであり、そこに活けられるのは外道の輩。

「変態にだって通すべき筋があるよ……他人に依らなきゃ自分すら見失う貴方が愛を語る?笑わせるなッ!!」

『太陽』が諸手を打ち合わせた。パシッと軽快な音を響かせながら組まれた指と指の間から溢れるのはやはり光。
手を開くと同時に展開するのは光と邪気で創った棒だった。その先端に付いた重りは時を刻むごとに肥大化していく。
つまりそれはハンマーだった。光で出来たハンマーは、その大きさと力強さを最大級にまで練り上げていた。

「それでも拳に欲を求めるなら――あの世で武術に詫びつづけろッ!【トールハンマー】!!!」

アルカナ幹部『太陽』の、紛れもない最速にして最大級の一撃。タイミングは完璧、溜めも申し分ない。

そんな最高品質の一撃を、

『悪魔』は掴んだだけで止めた。

正確には『柄の部分を的確に掴み取った』。
『太陽』の驚きはそれを瞬時にやってのけた『悪魔』の挙動よりも、最大術式を止められる攻防力よりも、

「確かに地面に縫いとめたはず!なんで動けるの!?」

確かに光の槍を無数に打ち込んだはずだった。実際幾本もの槍は未だに『悪魔』の身体に刺さったままである。

(刺さりが甘かった……?いや、追撃までの時間がかかりすぎた!!)

それは致命的な事実だった。瞬時に二つも術式を発動させるには時間がかかりすぎる。やはり必要なのは協力者。
タイミングを合わせて捕縛した瞬間に全力を叩き込むほかに勝機はない。

『太陽』に残された道は一つしかない。同伴者であるヨシノとアスラがどうにか活躍してくれることを祈りながら、
彼女は再びラッシュをさばく作業を開始した。


343 :名無しになりきれ:2009/05/29(金) 22:40:01 0
遥か背後から、大きな魔力のうねりが響いた。
これほど烈しい空間の歪曲を伴うものは、転移術法か――
と、振り返りもせずに、心の隅で『月』は密かに推測する。
また、『赤のプレート』を手に入れられるか否かの重大な瀬戸際で、
参謀たる自分に了解を取りもせずに、そのような勝手な行動をとるのは、
おおよそ『悪魔』に違いない、との察しもつけられた。
司られるタロットカードの暗示に過たず、常にトリックスター的な行動をとる彼は、
『月』にとって、これ以上ない頭痛の種であった。
いっそこの際、転移先で誰ぞかに始末されれば良いのに、などと、
余りにも邪な希望が脳裏を掠めていったが、静かに深呼吸をして、それを改める。

が、その刹那、生ける遺跡と呼ばれるヨコシマキメが、真に生を受けたか、
胴震いでもするかのように、凄まじい振動を示して脈打った。
空気を引き裂かんばかりの衝撃が走って、赤茶けた岩盤がみしりと悲鳴を挙げる。
たまらず膝を折る『月』。地震か!違う!?
轟音の正体。『月』の前にそびえていたはずのミスリル壁が、
その全身をひしゃげさせ、猛烈な勢いでもって周囲の岩石を抉りつつ、彼女を押し潰さんとして迫っていた。
そればかりでない、けたたましい轟音が鼓膜を穿って、心臓をも貫くようである。
言うまでもなく、このままでは『月』の圧殺は必死。たかがヒトの身躯で耐えられる訳もない。
それでも彼女は、へたりこんだままの姿勢から立ち上がりもせず、代わりに、
先程まで、ポケットの中でしきりに弄り回していた何物かを取り出して、
眼前に掲げると、まるでそれによって、
いびつな白銀のプレス機を止めてやると言うかのように、底の見えぬ微笑を湛えてみせた。
しかし当然、そんな「おまじない」が効果を示す訳はない。
冷たい光を宿した壁が、咆哮を挙げて突貫する。

衝撃

344 :名無しになりきれ:2009/05/29(金) 22:45:23 0
さーて、ロザリオは心の臓をピタリ当てまして…と。こっから奴がどう出るか───

(魔剣を胸の前に構えて、悪魔の動きを待つ。しかしそれは間違い。ヤツが動くことを待った事がアスラのそもそもの間違いである。
 覚醒しきった悪魔は移動した痕跡も残さずに目の前に「出没」した)

─────!?

(魔剣を構える左腕に向けて放たれる神速の裏拳。そこから放たれる地獄の連撃。
 裏拳なんぞ使ってねーーーっ!というツッコミを心の中に浮かべた瞬間、既に彼女は大外狩りをかけられ地面につっぷしている。悲鳴をあげる暇もない)

(そこから致死のサッカーボールキック───が、HITする瞬間、アスラは自分の体が何かに侵食される感覚を味わう。
 放たれた悪魔の蹴りは想像していたよりもずっと威力が弱く、体は何故かゴム鞠のように弾き飛ばされた)

(瞬間、地面に叩きつけられるのとはまるで違うやわらかい感触を全身に感じる。
 それはヨシノの腕だったわけだが、倒錯眼を使っていた彼の姿は誰にも見えないわけで)

……………………ッ!生きてる?生きてる!よし、生きてりゃなんとかなる!(抱えられたまま腕を垂直に立ててガッツポーズ)
あ?その声…ヨシノ?声は聞こえど姿は見えず…ってことは何、あんたやっぱり死んだの?
ヨコシマキメの邪気に当てられて亡霊化するなんてありがちな話だからねえ…ドンマイ!
(声色は明るく、それでもヨロヨロと立ち上がる)

……重火器…ねえ。心臓に杭打ち込んで死なないような奴に効くとも思えないけど…まあ、アンタがそういうんだったらなんか考えあるんでしょ。
一瞬ね…ふむ…

……そんじゃ、こんなんはどうかしらんっ!
(懐から、円周の違う二つの円柱をくっつけたような形の爆弾を取り出し、悪魔めがけて全力投球する。
 それが爆発する寸前に黒眼鏡を装着。悪魔の反撃に備えて壁を背に立つ。
 その爆弾は炸裂した瞬間に、部屋一帯を光で包み込む。つまりは、閃光弾である)

核ミサイルぶっ飛ばしても生きてそうな奴だけどさ…いくら鍛えたって「そういう眼」でないかぎり、眼球は鍛えらんないでしょ?

(どこから取り出したのか対戦車ライフルである。いつの間にやったのか瓦礫の間に上手く固定されてある。
 反動で撃つたびに後ろへ吹っ飛びそうになるが、それでもいまだ光り続ける閃光弾を目印に悪魔へ向けて正確に撃ち込んで行く。
 だがそれも3発ほど撃った所で限界がきた。腕がついていけなくなり、最後の一発の反動で大きく後ろへ吹っ飛ばされた)

…じゃ…あと…ヨロシク♪
(口から一筋の血が流れ、ゆっくりと目を閉じる。ここで悪魔に襲われれば間違いなく死ぬが、このまま意識を保つというのも無理な話だった)

345 :名無しになりきれ:2009/05/29(金) 22:53:31 0
衝突音の反響だけが、浮かばれぬ魂のように、しつこく遺跡の闇に反響して留まっていた。
が、

「Y君。私はもう少しばかり、賢い答えを期待しておりました。
 しかし、まさか取るに足らぬ言葉遊びとは……
 『ワイバーン』などと、要らぬとんちを利かせてくれる!」

気炎一撃、動きを留まらせていたミスリル壁は、紙を裂くように易々と、縦一閃に真っ二つとなる。
それから一呼吸置いて、続いて、横に斜めに、あらゆる角度から裂け目が入り、
最終的に、最高硬度と称されたミスリルは今や細切れとなり、形を持たぬ粉塵となって舞い上がった。
そして中空に銀の煌きが舞って、仁王立ちの『月』を縁取る。
『月』は生きていた。しかも、傷一つ負うことなく。
それだけではない。彼女を庇護するかのように、大剣を構える異形が一体。
漆黒のフルアーマーで全身を固めたそれは、体長3メートルをゆうに超え、並みの人間の肉体ではない。
さらによく見れば、左手の手甲は、何らかの衝撃を受け止めたらしく烈しく歪曲しており、
剣の刃部には銀粉が、もっと適当に言うならば、ミスリル粉が散りばめられている。
『月』は、その異形に近寄ると、異形の鎧の腰部に手を当て、
戦場の熱気を避けて、金属特有の冷ややかさを味わった。

「まだまだ月は沈まぬ。これからいよいよ、煌々と輝くのです。
 遺跡の中からでは見えませぬが、暦からして、今宵は満月。
 フ、フフ……月の魔力に魅せられぬよう、せいぜいお気をつけなさいませ。」

唇から息が抜けるような不気味な笑いを漏らすと、
先から手の内に握りこんでいた何物か――血錆びた鉄片のようなものを、今一度眼前にかざす。
すると、『月』の両目と鉄片とが、眩いばかりの閃光を放ち、
またそれに呼応するかのように、異形もビクリと全身を痙攣させた。
往け!その号令が響いたかの刹那、異形は全身を躍動させて飛翔、
リーとY共々へ向けて、懸河の勢いで、ミスリルを斬り破ったあの剣戟を見舞った。

346 :名無しになりきれ:2009/05/29(金) 22:54:52 0
>>343>>345は一繋がりです

347 :名無しになりきれ:2009/05/30(土) 23:47:19 0
明日になれば、今日死んだ何億という細胞の怨念に苛まれるだろう。
明日という日があればの話だが。
糞。
ビールが飲みたいな。
冷たいビールだ。
きんきんに冷えたビール。味さえわからないくらいに冷えたビールを、おもいきりのどの奥に流し込む。
なんで、ビールを飲んでおかなかったのだろうか。
せめて、ビールぐらい飲んでおくんだった。
今からでもいい。
ビールを飲みにいくべきだ。
相手は―――
そうだ。
ステラがいいな。
あの子は、いい子だ。
話をしていて楽しい。
そうだ、ステラを誘えばいい。おや―――
目の前にいるのは、ステラじゃないか。
なんだって、俺は、ステラの前にいるんだろう。なんだって、ステラが俺の前にいるんだろう。
しかも、俺と、ステラは闘っているらしい。

こんなことは、とりあえずやめて、ステラに言わなくては。
なあ、ステラ、戦闘なんかやめて、これから冷たいビールを飲みにいかないか。
指でジョッキをはじけば、中のビールがたちまち凍りつき始めてしまうほど冷たいのを出してくれる店を知ってるんだ。
俺とあんたは、今、何かやっているらしいが、それは、ビールを飲んでからでもいいじゃないか。
どうだい。ステラ。
悪魔は、『おい……』
と、本当にステラに声をかけそうになった。
その寸前に、真白い、闇のような光に目を灼かれた。
舌の付け根まで登ってきた”おい”というその言葉を、悪魔は、うめき声と共に吐き出した。


348 :名無しになりきれ:2009/05/30(土) 23:48:46 0
――hentaikichikukyoujingedouhakuchirongainoukinkeihakutansaiboureipaaaaaaaahhhh!!!
なんだ。
何かが響いている。
糞。
いったい何なんだ。
視えない。
しかも、やけに暑い。いや、熱い。
何なんだ!?
特に右肩だ。
右肩が、焼けるように熱い。
いや、もしかしたら違うのではないか。
俺の頭がこれを熱だと思っているだけで、もしかしたらこれは痛みではないのか。そんな気がする。
そうだ。突き刺さるような痛みだ。
次が左脚であった。
次が右手であった。
次が脾腹であった。
次が右胸であった。
次が   であった。
次が   であった。
      であった。
      であった。
      であった。
      であった。

気がつくと、体が動かなかった。
俺に痛みを与えている何かが、動こうとすると邪魔をしてくる。
まるで鎖だ。中世の地下牢で見かける骸骨みたいに、俺を鎖が壁に縫い止めている。
「――貴方が愛を語る?笑わせるなッ!!」
ああ、そうか。
さっきから俺の耳に響いていたのは、なんと、ステラの怒声だったのか。
ステラが、どうやったのかは知らないが、いずれあの光を使って俺の目を焼き、俺の体を出来の悪い昆虫標本のように壁に縫い付けたのだ。
いや。
壁か?
どうも違うような気がする。
気がする、というのは、重力がどうも横からきているような感覚があるからだ。
ということは、ここはもしかしたら床ではないのか。
おお、視力がなんとか戻ったらしい、天井が見える。ということは、ここはやはり床なのだ。


349 :名無しになりきれ:2009/05/30(土) 23:49:33 0
ああ、天井が見える。ということは危ないということだ。このまま仰向けに倒れたら、マウントをとられてしまう。
しかし、今、天井に向かって登ってきたものは何だ。今、自分の視界に入ってきたあれは?
鎚だ。誰の? 俺はハンマーなど持っていない。とすればあれは、ステラの戦鎚ということになる。
それが天井いっぱいにまで登りきり――どういうことだ、その鎚が俺の上に落ちてくるじゃないか。俺の貌へ。
そうか。仰向けに固定された俺を狙って、凄い勢いで、ステラのハンマーが打ち下ろされてくるところか。あんなものを顔面に喰らってしまったら、もう、俺は立てないだろう。
いけない。どうすればいいのか。このまま全身にあまねく光の鉄槌を打ち当てられ、そのまま押花にされてしまうじゃないか。
あの光塊と、遺跡の床との間に、俺が挟まれることになるのか。そうなったら、場合によっては、死をも覚悟せねばならない。
しかし、愛とはどういうことだ。
愛。
愛!
愛?
俺が、愛というのか?
俺が、愛を ているとでも言うのか?
ステラは。
不可解なことだ。
俺が、いつ愛などを口にしたのだろうか。
思い出せない。
想い出せない。
それに、愛というものには対象が必要なのではないのか。
俺が、誰を愛している?
何を愛している?
俺?
否。
『世界』?
否。
『アルカナ』?
否。
戦闘?
否。
ステラ?
―――――――――、否。
では、俺が愛を語ったと、どうしてステラは思ったのだろうか。
知りたい。知らなくてはならない。
「どういうことだ!?」
思い切り、叫んだ。
叫びながら、ステラのハンマーを掴み止めていた。
掴んだとき、俺が縫い止められていることを忘れていた。
忘れていたから、動けたんだろうか。
そうだとも、そうでないとも、答える声は無い。


350 :名無しになりきれ:2009/05/30(土) 23:50:19 0
「どういうことだ!?」
打。
「愛とは!?」
蹴。
「俺が、愛しているのか?」
「誰を?」
打。
「何を??」
わからない。
「わからない。」
叫んでいる。
知りたい。
ステラに聞きたい。
『俺は、愛しているのか!?』
しかし、戦闘の最中に、そんなことを思いはしない。思っても意味がないからだ。
しかし俺はその思っても意味がないことを思っている思っている考えているそんな事を考えている
そんなことを思うのはやめろとも思っている無駄なことを思っているもうやめろ今はステラを痛倒す事を
右考え拳ねばなら蹴いいぞ隙がジャンプ大パチンレバー入れ大ピンチスーパーウリアッ上このコンボでほら入った――

どうした?手を貸してやろうか。
起き上がって来い。
そのうちに、もう、二度と起き上がって来るなと、じきに俺は思うに決まっている。
今だけだ。
今は起き上がって来い。
寝床の中から起き上がってくるいつものあのやり方で!


351 :名無しになりきれ:2009/05/30(土) 23:52:26 0
まただ。
また光が俺の眼を灼いた。
また視神経が麻痺してしまった。
そして、また熱のような痛みが来た。
ステラだな。
ステラに違いない。
なぜなら、この場には俺とステラしかいないのであり、この光と痛みが俺の攻撃によるものでないなら、ステラの攻撃によるものであるということになるからだ。
そうだったな。すっかり忘れていたよ。
俺達は、それが出来るんだ。
起き上がったりしなくても、寝転がったままでも、なんとなれば腕一本眼一つとなっても、闘えるんだった。
すまなかった。
倒れたからといって攻撃の手を休めては失礼だった。

そして。
ステラは、アスラは、ヨシノは、それを見たのである。
悪魔の纏う闘気が、邪気が、比喩ではない本物の炎となってゆくのを。
そして、そのまま、悪魔が、パンチともタックルともつかない、それらの中間か、あるいは合計であるような技を繰り出すのを。

それは、裏百八式・大蛇薙に似ていた。

    人         裏

    体    

    発    

    火         千

    現         八

    象         式



352 :名無しになりきれ:2009/05/31(日) 11:57:35 0
案内役であるルチアと逸れてからというもの、
『教皇』は見知らぬ土地にたった一人取り残されているという不安もあって、
見るに耐えないほどに情けない様子であった。
空気が抜けて萎びかけた風船のように、
だらしなく風に流されるまま、あちらへ吹かれてはこちらへ飛ばされ、
ふらふらとあてどもなく彷徨い続け、
ところ構わず不機嫌な溜息をついては、周囲の大気を汚染していた。
しかし、何も全く無為のままに過ごしていたわけではない。
通りがかる人には見境なく話しかけて、
ヨコシマキメ遺跡転移に関する仔細について、それとなく嗅ぎ回り、
アルカナとしての職務を全うする為に躍起になっていたのだった。

『教皇』はしゃがみ込むなり、足元の芝生を毟り取って抹殺し、
ブチブチという断末魔を聞きながら、得られた情報についての整理を始める。

まず一つ。ここが、『世界基督教大学』と呼ばれる土地である事。
この些細な事柄について調べるだけでも、大変な苦労を要した。
何しろ敷地が広大なため、地名が記されている場所を探すにも大儀で、
一々人に聞いて回るほかなかったのである。
しかし、そもそも出会いがしらの第一声に、「一体ここはどこですか」、
などと言う頓珍漢には、誰もまともに取り合ってくれるはずがないのである。
が、中にはおせっかい焼きというか、度を超した親切心を持つ者はどこにでもいるもので、
心ばかり馬鹿にした様な目付きながらも、さらりと教えてくれたものだった。
そこで、自分のいる空間、大学の名を知ってからは、何となく気が軽くなって、
『教皇』は割かし若い容姿を武器として、学生として振舞う事にした。

次の情報は――ない。
直接調べ上げられた事柄は、大学名、たったそれだけである。
とは言え、話しかけた際の学生らの反応から、様々推測する事はできなくもない。
もちろん自分も学生の振りをした上で、ちょっとよろしいかと前置きし、
ヨコシマキメ遺跡、という語を挟みつつ話を進めてみると、
学生達は大抵、あからさまなほどに食いついてきて、
中には、遺跡の謎を解き明かして見せたい、友人らと組んで踏破したい、
など、学生の分際にも似合わない大層な白昼夢を見る者までいた。
またその内の何人かは、君こそ遺跡にはどんな思い入れがあるかとカウンターを打ってはきたが、
それに対しては何とも応えられず、むにゃむにゃと寝言みたような呟きで返しては、
仕舞いに相手が呆れて立ち去る、といった具合に収束した。
翻って、ヨコシマキメ遺跡と大学の関連、即ち転移させたものとさせられたものだが、
そこの顛末について仄めかして尋ねてみると、誰も彼も首を捻るばかりで、碌な返答は得られなかった。
このことから推測するに、どうも今回の転移の件は、
大学側で大々的に行った事ではない、何者かが秘密裏に暗躍した事である、と。
ついては、転移施術に関わった物らは明らかに少数派と見られるから、
もし彼らとアルカナが交戦に陥ったとき、数の上では決して不利にならぬであろう点では好都合、
しかし、相手の実態が全くつかめないという点で不都合、という結論に落ち着く。
いや、そもそも施術者らは本当に大学に直接関係のあるものなのか、
勝手に大学の敷地を利用しただけの事であり、本体はまた別に――
このままでは帰還できぬな、と頭を掻き掛けたところ、
『教皇』は突如として巻き起こった違和感に総毛立つ。

今やこんもりとした小山状になった芝生の死骸が、風もないのに舞い上がる。
地鳴りとも付かぬ、不愉快な微振動が、地面を走っている。
空気に痺れるような衝撃が走って、『教皇』の胸を打つ。
何か来る!何か?「何者か」か!?

『教皇』はすっくと立ち上がるなり、双眸をぎりりと引き絞って、
スタンスを程よく開き、安定した立ち姿を保った。
普段、締りのない顔で戯言を喚き散らしている彼とは殆んど別人である。
さあ、来い――!
握り締められた両の拳には、既に汗が纏わり付いていた。
恐怖ではない、覚悟による純粋な反応であった。

353 :名無しになりきれ:2009/06/01(月) 01:05:41 0
<世界基督教大学・広場>

広大な大学構内における中心地、芝生の名残ある窪地となったところに広場と名の付く場所がある。
大講堂に肩を並べる面積を誇るこの場所は平時は学生達の憩いの場、行事の際には催し物の会場と幅広く利用されている。
レンガ敷きにベンチがちらほらあるだけの平地を覆うように、燐光が奔った。光は線を描き出し線は円を紡ぎ出し、数秒ののちのは巨大な魔法陣が浮かび上がった。

――『術式施工終了。内在魔力充填。ネクストフェイズ:三秒後に転移完了します』

どこからともなく響き渡る機械音声めいたアナウンスは来訪者の訪れを告げ、音とは異なる振動が大気を振るわせた。
空間にノイズが混じり、そこに転移してくるもののために空気が、光が、土中の微生物さえも場所を空け渡し追いやられた。

そうしてできたのは半径20メートルほどの円状に切り取られた真空の空間。そこにはいかなる物質も存在し得なく、パズルのピースを埋め込むように
転移してきた空間がはまり込んだ。魔力の燐光を伴なってそこに出現したのは30人ほどの屈強な兵達からなる集団。全員がものものしい武装に身を固めている。

「さァて、到着したようですねェ。しかし何度乗っても転移術式には馴れませんなァ、時空酔いにもなかなか強くなれません」

調律機関の実働部隊長、レイジン=シェープスは無表情のままぶんぶんと脳を揺さぶった。覚醒を促す動きというよりかは、珍妙な踊りにさえ見える。
彼を先頭に置き後方で控える隊員たちにも時空酔いを起こしたものがちらほら見られた。術式があるにもかかわらずヘリを専らの移動手段にしているのは
このような物理法則を無視する『術式馴れ』を習得していない面子が少なからずいるからというのもあるのであった。

「執事氏は大丈夫のようですねェ?流石は三千院の随身と言ッたところですか」

レイジンは一瞥することで気遣いの意を示すと、即座に部隊の展開へととりかかった。なにしろここは敵地である。大規模な転移術式を発動したことで
知覚に優れた能力者には十中八九感づかれたとみて間違いはないだろう。いつ何時奇襲や迎撃をうけるかわからない以上、纏まったままの部隊で
いつまでも棒立ちでいることだけは最も避けねばならない状況だった。周囲を見遣りながら的確に指示を飛ばす。

「ここに本陣を敷きます。結界班は魔力障壁の設営と感知結界の展開。偵察班は大学構内の視察と斥候、状況は逐一送信して下さいよォ。
 整備班はライドムーバーの起動準備。ムライ君は試運転に行ッて下さいな。実働班は武装の点検ののち私と一緒に周囲の制地を」

「お、ここで使っていいんすか?ヒャッホウ操縦手当て弾んで下さいよ!」

ムライと呼ばれた小柄なパイロットが頓狂とも喚起ともとれる声を挙げると整備班に連れ立って跳ぶように走っていった。
指示を出し終えて一息ついたレイジンはあらためて周囲を見回す。冗談のように白い建物ばかりが並ぶ視界はともすれば距離感を誤りそうである。

「大学……建物の掘り込んである字体から察するにJapanかChina……GPSの位置情報によれば日本のようですねェ」

レイジン自体語学が堪能というわけではなかったが、『世界政府』の異能管理課に就職するためにパスした幾十もの試験のなかには
ライドムーバーの技術提供元としての日本企業から出された問題も含まれていたので、一通りの日本語を理解することはできた。


354 :名無しになりきれ:2009/06/01(月) 01:26:51 0
口中で情報を反芻しながら哨戒を続けていると、小間使いにしている伝達班員がレイジンの傍に駆け寄ってきた。

「偵察班から報告上がりました!この世界基督教大学は日本国・八王子に在るミッション系大学で、その歴史は古くおよそ120年前に寺院として竣工
 されてから大学へと名を変えた現在にいたるまでただの一度も破損や火災や爆撃の憂き目に遭っていない貴重な文化財としての価値もあるようです。
 大規模な改装工事は何度かされていますが基本的な構造に変わりはなく、戦前より残る大空洞が聖堂の地下に眠っているとの話も」

「ふむ。大学にしては妙に人が少ないようですねェ?おそらく転移してきたヨコシマキメの邪気に当てられた大多数の学生がここを離れたせいでしョうが
 逆に言えば残ッている人間は『極端に鈍い』か『異能関係者』……最悪人混みに紛れて奇襲を受けるかと思いましたがこれなら」

「さらに一つ面白い話が聞けました。この大学が大学になる前から存在していた大聖堂があるのですが、そこがいわゆる『邪気祓い(アンチイビル)』
 の流れをくむ宗教兵団の大元でして。――『世界基督教大聖堂』といえばそのスジでもそれなりに有名な戦闘寺院のようで、
 戦闘用祝福儀礼や浄化術式を主流をした戦闘術は裏社会のみならず世界政府でも御用達の部隊が存在するんだとかなんとか、まぁ眉唾モンですがね」

ほう、とレイジンは顎に手をやり息をついた。なるほど、ヨコシマキメが次のターゲットに選ぶにはそれなりの理由があるとは思ったが。

「世界基督教大学――どうやら只の学府ではないようですねェ。裏で手を引いてるのがどんな黒幕かはァ解りませんが、一筋縄じャいかないでしョう」

そして感じた。そう遠くない場所から不可視の圧力が立ち上るのを。リクスの顔に同様の警戒を孕んだ表情が浮かぶのを見るに、
圧力の主は十中八九邪気眼遣い。おそらくはヨコシマキメに巣食う武装集団アルカナ。それもかなりの実力者である。

「実働班、総員戦闘準備。敵さんがこちらに気付いたようです。ライドムーバーの起動準備は?」

「急ピッチで進めてはいるんですが、なにせ転移術式でいくつかパーツが歪んでしまいましたからね。今は無理ですよ」

「把握しました。止むを得ません、今戦える人員だけで食い止めますよォ。執事氏、力を貸して頂けますな?」

武者震いにも似た緊張渦巻くなか、レイジン=シェープスは明確な戦意を圧力の主に向けた。

355 :名無しになりきれ:2009/06/01(月) 22:34:38 0
【アスラの放った閃光弾がその威力を存分に発揮するのを光学術式越しに見る。すかさず三発の対戦車ライフルが打ち込まれ、
 ヨシノは気を失ったアスラをその場に抱きとめた。柔らかくかつ迅速な動きでアスラを地面に横たえると、即座に眼を起動した】

オーケー任せろ姉さん。あとは俺が、どうにかして隙をこじ開ける!アンタの撃った対戦車弾はキッチリ打ち込まれたようだな。
それで良い。それが良い。対戦車弾の目的は殺戮ではなく破壊。『貫通すること』、それこそが効果ッ!!

『倒錯眼』発動――……対戦車弾の『貫通』を『悪魔の足元』へ!

【練り上げた邪気が地面を蛇のように奔り、『悪魔』の足元へと異能の光を紡ぎだす。同時に撃ち込まれた弾が同じ色に輝きだす】

(まばたきより短い時間だが確かに奴は止まった!物理的な手段でも足を留めることは可能……!ならば最も効果的なのは『落とし穴』!)

【そして感じた。『悪魔』の邪気が炎へと変わっていくのを。それは至近距離ならば確実に消し炭になっていただろう禍々しさの権化。
 だがしかし。ヨシノは確かに見えた。見据えた。見抜いた。知に重きを置いた慧眼ゆえか、はたまた対岸の火事さながらに俯瞰できたからか、】

(『次の瞬間、奴は一歩踏み出す』――……その威力は豪拳、その軌跡は突進。なんとなくだった予測が今だけは解る!奴の動きが!)


――貫け……『倒錯眼』――!!!!


【踏み出した『悪魔』のはじめの一歩、その着地点に三つの黒点が宿る。それはアスラの撃った対戦車弾と同じ直径を有していて、
 同じ効果をそこに再現した。絶妙に角度を計算された対戦車弾の『効果』は不可視の破壊力となって遺跡の床を掘り進む。
 内部炸薬の破裂が再現されたとき、地面は爆ぜる。そこに顔を出したのは逆さまの巨大な三角錐に抉られた穴であった】

地獄には程遠いが……その穴がお前の墓穴だ。先立って堕ちておけ!!

【人一人をすっぽりと落とし込める穴はその形状によって脱出を困難する。蟻地獄めいたトラップはその効力を如何なく発揮し、
 最も力の集まる踏み出しをすかされた『悪魔』はそのまま穴へと吸い込まれた。触れられた地面から炎で融け始める】

なんつー熱量だ……数秒もあれば穴が意味を為さなくなるな。為さなくなるが。数秒もあれば充分だ!頼んだぜ、ステラ――!!!

【既にステラは術式を組み上げていた。周囲の光が収束していくのがわかる。とどめの一撃。決定打になり得る一撃。
 アスラの放った閃光弾の光すらその糧にしているのを見て、ヨシノは理屈抜きに理解した】

収束しろ!『倒錯眼』――!!ヨコシマキメの半身を照らす光を、全てこの空間へと集める!

【眼に送った命令は即座に入り口に置いてきた懐中電灯へと伝達し、ヨコシマキメの半身から光が消えた。
 拡散していた光をすべてステラの集め、辺りは強烈な照光に包まれた】

356 :名無しになりきれ:2009/06/01(月) 23:32:25 0
大学とはその名こそ「学校」であるものの名だたるものの実態は最先端の研究機関であることも多い。
そういった意味では屈強な兵団も十分違和感があるのだが、突如現出した光の線の中から登場した黒執事がそれ以上に場違いであるという事実もまた、揺るぎないものであった。

『執事氏は大丈夫のようですねェ?流石は三千院の随身と言ッたところですか』
「ええ、お気遣い感謝いたします。このような術にも、慣れておりますので。」
(熟練した人間の方々にも、やはり『時空酔い』を催す方が少なからずいらっしゃるようですね。)

そんなことを考えながら、リクスは互いのそれほど多くかわされたわけではない言葉の中から、組んだ相手の力量を正確に把握しようと試みようとしたが、その前にやることがあった。

(『眼』を持つ者同士は引かれ合い、また、互いに邪気を感知することもできる。即ち現状で私が優先すべきは索敵。
もっとも、『転移』を使った以上相手に存在を把握されている可能性は高いでしょうけど、私もここで積極的に役に立っておく必要がありますからね。)

リクスはすぐさま思考を転換し、あたりを見回した。
すでにレイジンの部下の一部は散開し、情報収集を行っている。
『ムライ』という名を聞いて日本人だろうか?などという疑問が湧いたがさしあたって索敵には関係なさそうである。

「一口に『日本の大学』と言ってもお嬢様が酔狂で通っておられたところとはずいぶん様子が違いますね。何より、人がほとんどいらっしゃらないようで。」

日本はリクスにとってもなじみ深い国である。なぜならこの極東の島国は彼の主人、セレネの出身地であり、その影響で彼もまた、『現代日本文化』について詳しくなっているのである。
そんなリクスの目には、この閑散とした大学は、いささか奇妙に映ったのであろう。
そして、現在この大学にいるものの中に、邪気の扱いに長けた者がいるということもまた、想像に難くなかった。

(おそらく我々の存在はすでに敵の知るところであると考えて差し支えありません。どうやら私は、一刻も早く敵を感知し先手を防がねばならないようです。)

レイジンと部下のやり取りを聞きながら、リクスはこの地についての情報を頭に入れるや否や、空気が変わった。
明確なる敵意である。

(――先んじることはできませんでしたか。攻撃が来る前にわかっただけでも及第点ということにしておきましょうか。)

過去を評価することに大きな意味はない。ましてや危機が迫った状況ではなおさらである。
リクスは自らの不手際への若干の不満とともに警戒の表情を浮かべると、レイジンのほうが口を開いた。

『把握しました。止むを得ません、今戦える人員だけで食い止めますよォ。執事氏、力を貸して頂けますな?』
「ええ、もちろんです。このような局面でこそ、私の誠意を見せさせていただきましょう。」

すでに視界に入っていた。リクスは懐から銀食器を抜き出し、プレッシャーの主に放つ。

  silver
「 『銀』 には『銀の弾丸』という言葉が表わすように、邪なる者を滅する力があります。
その魔術的な象徴としての意味、即ち邪気眼使いはかすっただけでその魔力にダメージを与えられるというわけです。
もっとも、これだけでは単なる牽制程度にしかならないでしょうけど。」

黒執事は微笑した。

「さあ、力をお見せください、見知らぬ邪気眼使い様。」

357 :名無しになりきれ:2009/06/01(月) 23:57:35 0
ああ、次はもっと珍しい術式と魔法具を持ってくるがいい。名前は覚えさせてもらった。貴様等ならば何度でも、この私が直々に採取してやろうではないか。
(転移術式の光が人形と男を包み、やがてその場から存在を消した)

さてファ…いやフェンリル、戦闘は終了か?…ふむ、相手は「聖獣・白虎」だったか……
屍を残してくれればありがたかったのだが…まあ、他人の戦闘だ。そこまで口は出せんな。

貴様ももう気づいているとは思うが…我々の戦闘中、邪気を放つことのできる者が数人遺跡付近に降り立ったようだ。
場所はこの遺跡の真上…すなわち「大学」なのだが、そこは私の管理地区内でな。非常に億劫ではあるが、私は一度上の様子を見てこようと思う。
降り立った連中の狙いは大方ここ…ヨコシマキメだろう。採掘敵を知りたいのであれば私は構わんが、どうする、貴様も来るか?

358 :名無しになりきれ:2009/06/02(火) 16:22:56 0
先程感じた、歪曲された波動は、明らかに転移術、しかも転受時によるものである。
万が一に、ヨコシマキメ遺跡の転移に関わった者がやって来るかも知れない、
もしそうなれば、捕まえて直接、内情を一から吐かせてくれよう、と、
希望的観測を逞しくしながら、『教皇』は転受ポイントを探して駆けずり回っていた。
そのところ、ふと目を走らせた先に、何やら身内で話し合っているらしい集団を見つけた。
彼らの風采は教授にも学生にも見えず、明らかに怪しい。転移は既に完了されていたか。
木陰に身を隠し、今一度、改めてその一味を観察してみる。

近代的な装甲服と種々の得物に身を固めた屈強な戦士が、二十と多少、
そして彼らに庇護されるかのような立ち位置に、一際異彩を放って、
執事風の衣服に身を包んだ男と、病的にまでやせ細った男。
その二人は、これと言った武装をしてはいないが、
まさか筋トレ不足の罰として、装備の配給がなされなかったわけでもあるまい。
ともあれ詳しい事情は知れないが、彼ら二人と、
汎用な風采をしている有象無象共との間では、明らかな差別化が図られているように思えた。
果たして、どこぞかの小隊と、その上官であろうか。アテが外れたか?

しかし、彼らの実態など、もはや現状において大した要素にはなり得なかった。
彼らの放つ明確な敵意は、場の空気をいやがうえにも引き締めて、
『教皇』の全身を、ビシビシと無数の鞭で叩くばかりに苛烈である。
間違いなく、戦闘に縺れ込む――

ならばこちらから先手を取る!樹下より飛び出し、『教皇』はすう、と腰を落としかけるが、
その隙を狙ってか否か、執事風の男が一歩踏み出し、
大きく腕を振るって充分な加速をつけ、何物かを投げつけて来た。
凄まじく速い。その動きを目で追うことは辛うじて可能だが、
この中途半端な体勢では、回避できるまでには至らない。
『教皇』は一瞬の内に思考を廻らせると、何を思ってか、ニヤリと笑ってみせた。
その直後、投擲物は『教皇』の胸に衝突するなり、
乾いた音を立てて跳ね返り、鋭く回転して、萎れた芝生の上に着地した。

当の『教皇』は殆んどダメージを追うことなく、微動だにもしておらず、
満面の笑みを浮かべたまま、ふっと息をつく。
彼の左眼から零れた淡い青色の光が、全身を覆っていた。
これこそが、善良なる壁。『教皇』の持つ絶対防御の能力である。
無邪気に微笑んでいる限りは、悪意ある干渉を一切受けない、
戦闘においては殆んど禁じ手となり得る、極めて強力な防護手段である。
これにより、飛来する投射物の衝突の勢いに完璧に対応したのであった。
しかし銀の持つ浄化の力に対しては、些か分が悪かったと見えて、
衣服の胸部には僅かに焼け焦げた痕が、煙を上げて残っていた。

359 :名無しになりきれ:2009/06/02(火) 16:28:00 0
出来る限りにこやかな笑みを崩さぬよう神経を使いながら、『教皇』は口を大きく開けた。

「一体君たちは何者かね!挨拶もなしにいきなり攻撃とは!
 まるで一般常識を解さない連中と見たが。全く、物騒な事はやめるんだな!」

笑い顔のまま怒声を喚き飛ばすという離れ業を駆使しつつ、
先ほど執事風の男が投げた物へ、摺り足で近寄り、拾おうとする。
銀製のその物体は、『教皇』の持つ、汚れた邪気眼の魔力を嫌って、
彼の手に向けて静電気に似た拒絶を示していたが、
最終的には、善良なる壁の持つ、絶大な防御力の前に根負けし、
大人しくその身を明け渡さざるを得なかった。
食器の形を保っていたそれは、銀に浄化され爛れかけた彼の手に握り込まれ次第、
全身をうねらせて変形を始め、刃渡り30センチほどの細身のナイフへと生まれ変わった。
これもまた『教皇』の持つ多彩な能力の一つ、
野に打ち捨てられたあらゆる物体を、拾う事で武具へと変態させることができるという、
環境に優しく敵に厳しい、大変有用なものである。
これら、微笑みよる防御といい、ゴミ拾いによる物体変化といい、
彼の『利想眼』の発動は、世に存在するあらゆるマナー、エチケット類に、その契機を任せているのであった。

体勢を立て直した『教皇』は、白刃をちらつかせつつも、
相手方に積極的な一撃を食らわそうとの動静は見せない。
何しろ敵はあの人数、下手に飛び込めば当然に袋叩きの目に会う。
かと言って防戦重視では、こちらのスタミナが尽きるのが先か。
ならば接近を避けた、遠距離からの攻撃が最善である。となると――

「まあいいや。とりあえず、俺と君たちは初対面だよね。
 挨拶の手本を見せてやろう。……初めましてッッ!!!」

そう叫ぶが早いか、『教皇』の口部から、極太の青いレーザーが放たれ、
照準過たず、一直線に執事風の男へ向かって飛んだ。
煌びやかな輝きを撒き散らして尾を引くそれは、夜空を切り裂く彗星に似る。
張り詰めていた空気は一瞬で引き裂かれ、
今や光線の放つ轟々という大音響が辺りを満たしている。
これもまた挨拶というマナーによる、『利想眼』の発動であった。
さあ、どう出る。『教皇』は表情筋の疲れを覚え、薄っぺらい笑みを取り下げると、
ナイフの刃に指を当て、その鋭利を確かめた。

360 :名無しになりきれ:2009/06/02(火) 22:08:55 0
執事は目撃した。男が銀食器の直撃を受けてなお、微動だにせずその場に立っているのを。

(??――おかしいですね。確かに今私が放った攻撃は直撃したように見えました。
すると、彼は生身でこれを受けることができるほど強靭な肉体をもっているのでしょうか?
とてもそうは思えませんね。おそらく何か仕掛けがあると思って間違いないでしょう。)

『一体君たちは何者かね!挨拶もなしにいきなり攻撃とは!
 まるで一般常識を解さない連中と見たが。全く、物騒な事はやめるんだな!』

その言葉はリクスを驚かせるに十分であった。
彼がこれまで相対してきた邪気眼使いは皆好戦的な者ばかり、戦闘においては相手の名を聞くことすらかなわないことが殆どであったのだ。

「驚きましたね。私が丹精込めて磨いたシルヴァーがそのような姿になってしまったこともですが、
それ以上に、邪気眼使いから『一般常識』という単語を聞くことができたのが驚きです。」
(このような興味深い邪気眼使いとの邂逅、どうやらシルヴァーは安い代償になりそうですね。)

『まあいいや。とりあえず、俺と君たちは初対面だよね。
 挨拶の手本を見せてやろう。……初めましてッッ!!!』

その瞬間、男から光線が放たれた。リクスは咄嗟に目の前に氷の盾を作り出す。
光線である以上乱反射させれば多少は威力を減ずるはず、という目論見は間違ってはいなかったのかもしれない。
しかし、後方に飛ばされた。二人の距離が倍ほどに伸びる。
膝をつくことこそなかったものの、ノーダメージでは済まなかったことは見た目にもわかりやすい。

(これはマイナスイオン?ですか。ぜひお嬢様に浴びせて差し上げたい攻撃ですね、色々な意味で。
それにしても、この時点で相手が使ったと思われる術は3つ、そのどれにも物理的共通点は見当たりませんね。
そしてまず、先の攻防の結果からいって、彼は絶対的な防御能力を持っている可能性があります。
彼を攻略するには、まずは彼だけの『ルール』を見極める必要がありそうです。)

リクスは体勢を立て直す。

「先程はご無礼失礼いたしました。何分私は今まで礼節ある方との戦闘の体験がございませんでしたので。では改めて、初めまして。」

礼儀には礼儀で返すのが、人間という生き物であるらしい、とリクスは認識していた。
もっともこの場合、相手の礼儀がごく一般的なものといささか乖離している気がしないでもないが。

「ではこちらも、『礼儀』として先に名乗らせていただきましょう。
私は三千院家の当主、セレネお嬢様の執事、リクス・クシュリナーダです。
今は訳あって、そちらの方々と行動を共にさせていただいております。」

リクスはレイジン達を一瞥する。彼らも同じ推測を行っているのだろうか?彼らの起こす行動も気になるが、どちらにせよ必要なのは情報である。
会話、攻撃、防御。あらゆる接触から相手の『ルール』を見つけ出す。長く、そして厄介な戦闘の幕開けに思えた。

361 :名無しになりきれ:2009/06/02(火) 22:56:42 0


   393 閉鎖まであと6日と10時間 2007/01/17(水) 10:42:46.53 ID:fUU5TfUkO
   厨2の頃の話。
   DQNに絡まれボッコにされた俺は、
   「貴様にコルベニクは使わん。まだ体が惜しかろう。去れ!」
   と言い放った。
   コルベニクとはモルガナの第八相の力で、
   それを発動させると周りが消し飛ぶという設定だ。
   DQNはポカーンとしてて、「僕は君のロールを否定しないよ^^」
   と言って来た。
   この時点でイタタタタタだが俺はそれだけに飽き足りず、
   「来たれ再誕!コルベニクぅぅぅぅぅぅ!!!」
   と意味不明な詠唱を始めた。
   しかしDQNは卑怯にも永唱中に殴って来た。
   …その日どうやって家路に着いたか覚えていない。
   その日からあだ名はもちろんコルベニク。



   

362 :名無しになりきれ:2009/06/02(火) 23:31:07 0

――――そもそも、プレートは何なのか。

邪気眼に打ち勝ち、魔剣に競り負ける、三竦みの一角の様なその存在。
だが、邪気眼が『異常』。魔剣が『魔道の結晶』と大別できるのに対し、
『プレート』に関しては、その正体を殆どの物が知らない。
しかし、それは仕方の無い事だろう。例えば、自分自身の内臓を観察しようなどという
人間がこの世において殆ど居ないのと同じ理屈だ。
当たり前のものをあえて確認しようとは思わないのが人であるのだから。


生み出したミスリルによって隔絶した空間において『世界』は、
ヨコシマキメの核たる『紅いプレート』を侵食しながら、愉快気な笑みを口に浮かべていた。
『世界』は、下位のアルカナを用い、ヨコシマキメ内においての動きを大まかに理解している。
その為、『塔』が何者かに撃破された事、他にも数人のアルカナが敗走、
或いは謎の行動を行っている事。第三の侵入者が現れた事も、ある程度把握している。
だが『世界』といった存在は、それら全て事に対して何の感慨も抱いていないように見える。
たった今、ミスリルを破壊し、背後で繰り広げ始められた『月』達の死闘ですら、
単なる雑音程度にしか考えていないようだ。

『世界』はただ己が目的に向け、行動を続ける。

紅のプレートは、今やその姿の九割を黒へと変えている。
現時点で『世界』を止めるという者がいるのなら、彼らに残された時間は――――皆無。



(ふむ。つまり侵入者諸君に求められるのは「必死」の抵抗という訳だね。
 最も――――いや、これは既に終わった存在である私が考えるべき事では無いか。
 今私が為すべき仕事は、『世界』君の目的の完成……やれやれ。実に気が進まない仕事だ)

アルカナ]T『正義』。物語の初めより今まで『世界』の後ろに控え、
一度も動きを見せていなかったフードの男。
最終にして不落の守り手である、この世界にあってはならない彼は、
未だその場を動く事無く、ただ洞窟の闇に紛れ続ける。

363 :名無しになりきれ:2009/06/03(水) 00:04:39 0
眼前で『悪魔』が燃え上がる。

それは豪を備えた拳打だったのかもしれないし、あるいは愚直なまでの突進だったのかもしれない。
陽炎すら焼き切れるような熱波が障壁を突き破って頬を舐める。背筋を蟲が這うような邪気が心を縛り付ける。

じり、と『太陽』は後ずさった。確かに後ろへと足を運んだ。炎に焼かれるから。間合いを取りたいから。理由はなんでもいい。
純粋に『怖かった』と訳してもいい、そんな感情が頭蓋の内側でぐるぐると廻り始め、脳の皺一つ一つに警鐘の音を擦り込まれ始めた。

(これは、違う。攻撃が効いてないんじゃない。『効いていることを認識していない』んだ……!!)

それは徹底した自己管理と言い換えるのが適当かもしれない。『悪魔』は夢想の内に自らを仕舞い込んで、あらゆる事象、概念、倫理から
自分を切り離している。肉体は閃光と銃弾によって動きを止められていても、精神だけが先走り前へと進む。

だから折れない。だから朽ちない。だから止まらない。

だがそれは同時に肉体の滅びをも誘発する。痛みを伴なわなければ、人は自分の身体の限界さえわからない。
つまり目の前で燃え上がるこの戦闘狂は、

(初めから自分の命なんて顧みてないんだ。笑いながら拳を振るえれば、それで自分が死んでしまっても構わない……本気でそう思ってる!)

また一歩、後ずさる。閃光弾の輝きが暖かい。きっとこれはアスラの意地。気を失ってなお戦場に喰らいつかんとする意志。
そして『悪魔』が踏み出した。襲い掛かる連撃は、きっと今までの比じゃないくらいに協力だろう。肉片も残らないと最初は冗談半分で
言っていたが、ここへきてそれが現実味を帯びだした。直感は予測を補正し、予測は暗澹たる感情をたたき出す。

(それでも……それでもここで私が折れるわけにはいかない。『悪魔』の覚悟が命を武を賭したものならば、私は命を術に賭す!)

カウンターは合わせるように。『太陽』は後ずさるのをやめた。左手を前に、右手をそこに添え、彼女の持ち得る最強の術式を喚起する。
正面からの衝突。『太陽』の保身を捨てた構えはどの格闘技にも該当しない。その姿は弓を引き絞る寸前のように見えた。

そしてそれは実際に弓だった。左手に凝固した光は緩やかに反った長弓へと形を変える。レーザーの弦を引き絞れば、
完成するのは光によって構成された巨大な強弓。引き絞った右手には周囲の光を収束させた矢が創られようとしている。

「『暁光眼』:武装展開――【サジタリウス】……!!」

まだ足りない。時間が足りない光が足りない力が足りない疾さが足りない強さが足りない全てが不完全ッッ!!!
刹那の時は引き伸ばされ。意識だけが凝縮された時間のなかをたゆたう。『悪魔』はまだ踏み込みの態勢。
光速で集まるはずの光条矢がいやに遅く感じる。『太陽』は、ステラは、ステラ=トワイライトは、それでもやはり、遅い。

364 :名無しになりきれ:2009/06/03(水) 00:48:28 0
公・私・戦・常に関わらずステラ=トワイライトの弱みといえば『妹』だった。

出自バラバラのアルカナにおいて唯一血の繋がった肉親。唯一彼女のかつてを知るもの。唯一これからを歩みたかったもの。
あるいはもっと前から。
数世紀前、彼女達がこの世に生を受けたときから『太陽』と『星』は両者に依存しあって生きてきたのかもしれない。

ステラの邪気眼は光を支配する。妹の邪気眼は自らを光に変える。
光速で動ける『星』に対して『太陽』はあまりに遅く、光あるところならば無双の『太陽』に比べて『星』はあまりに単一能。

『速さ』と『汎用性』という二つの要素において彼女達は互いに足りないものを補い合ってきた。戦場でも、日常でも。

妹が爆発したとき、ステラは半身を?がれたような痛みとともに覚悟を決めた。
光となってヨコシマキメに飲まれた妹を、怪物の腹に風穴開けてでも取り返す。それが光を律するものとしての命題。

光があるうちは、妹を感じていられるから。

「だから、光があれば――妹が傍にいれば私は負けない!私は『太陽』!日輪に依ってあまねく光を律する者!!!」


そして時間が戻ってきた。猛攻を仕掛けんと『悪魔』が踏み込む。瞬間。爆発。地面の消失。
突如として遺跡に開いた竪穴に、『悪魔』が吸い込まれる。それはさして深い穴でなかったものの、突進を止めて釣りが来る。
ヨシノだ。ステラは理解した。最大術式によって部屋中の光が吸い取られ薄暗くなっていく中で、共同戦線を組んだ仲間の息吹がはっきりと感じ取れた。

だから負けない。
足りないならば、補えばいい。遅いなら、徒党を組めばいい。今のステラには仲間がいる。『悪魔』との決定的な覚悟の差を補って余りあるプラスアルファ。

暗くなった部屋に再び光が満ちる。ヨシノの『倒錯眼』が照らしていた光を周囲に集約させたのだ。一瞬でそれも取り込み、
矢が完成した。大きさこそ普遍のものと変わらないが、その内部にはヨコシマキメの許容量すら越える光の奔流が渦巻いている。


……ねぇ、『悪魔』。いつか私があの世に行ったら、一緒にお酒でも飲もうか。
何杯だって、何晩だって付き合ったげる。
向こうには妹もいるから、紹介するよ。でも手出しちゃ駄目だからね。出したら殺す。
ああでもそれじゃアンタ喜ぶかな。喜んじゃうね。
とりあえずそういうことだからさ、
だから、
だから――

「だから、今は私の勝ちだぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ――――!!!!!!!!!」


裂帛の怒号とは裏腹に。ステラは極めて正確に引き絞った右手を解放した。

光より速く矢は『悪魔』の元へ到達し、心臓の真上の皮膚に触れた瞬間、

世界が歪曲した。

365 :名無しになりきれ:2009/06/03(水) 10:50:28 0
ヨコシマキメ遺跡全体の鳴動は、今や目に見えて激しさを増し、
多少腰を落としてバランスを保たなくては、まともに立っていられないほどである。
足元に散らばっている細かな砂利などは、この揺れを受けて、
スプリングでも仕込まれたかのように、ピンピンと喧しく跳ねてさえいた。
恐らく震因は、どこぞかでの熾烈な戦いの為に発生した衝撃であろうが、
何にせよ、これにより遺跡が自壊でもしない限りは、
己には関係のない話、と、男は汗で萎えた短髪を一気に掻き揚げると、
壁に寄り掛かり、一人、にひるな笑みを浮かべていた。

それにしても、アルカナの一人たる『星』の戦闘能力の凄まじい事。
男は、遺跡に入ってから、同じくアルカナと名乗った五人を、
手傷を負いながらも然程の苦もなく駆逐してみせたが、
どうにもそやつら雑兵共と、『星』とやらの間には、
途方もない力の差があると実感した。
男と『星』とは、直接刃を交えたことがあるわけではないが、
彼女が見せた、不図現れたアリスとかいう男に対しての立ち回りから察するに、
実力の程は容易に察することができた。
影を操る、あの極めて異様で強力な能力者を相手に、
心を折られることなく、喰らい付いていったのである。
一体、それ程の技量を持つ者の自爆攻撃といったら――
巻き込まれていたら、果たして無事でいられたものか危うい。
男は、カノッサを捉える足がかりになり得たリーとの接触を断ってでも、
その場から一目散に逃げる他なかった。
どうしようもなく惨めな失態ではあったが、
命あっての物種という、古い言葉に従っただけの話である。

ともあれ、『星』の力量から考えるに、
彼女と同等、またはそれ以上の精鋭が軒を連ねているであろうアルカナに対し、
生半可な覚悟で銃口を向けることはできない。
そして現在、ここヨコシマキメ遺跡は、どうやらアルカナの巣窟……。

以後、己が取るべき行動について、三つの選択肢が挙げられる。

一つ目として、まず最も簡単と思われるもの。これから起こりうるトラブル、
即ち、アルカナとの戦闘を避け、尻を端折って遺跡から逃げ帰る事である。
が、否。そこまで自らのプライドを泥に塗れさせるわけにはいかない。
そもそも、この遺跡は転移しており、入り口は元と違う空間へ繋がっていると、
フェンリルという、妙に目付きの鋭い男から聞いた。
もしそれが真であるのなら、入り口の先に広がる異世界を見た時の絶望感を、
どうやって押さえ込めればよいのか。一先ず逃亡策は却下である。

二つ目に、いっそこの際、アルカナと全面戦争を演じてくれる事。
狂気さえ孕む無謀な考えではあるが、ひょっとしたら、己の力量を試すという点では悪くない。
男は、頭の中で三角印を描き、良きにしもあらずとの評価を下す。
ただ、万が一全戦全勝したとして、肝心要の、遺跡を探索する体力が残されているものか。
ふんと溜息をつくと、急いで三角の中を黒く塗りつぶし、不適当の烙印を押した。

三つ目、多分にこれが最良ではあるが、
なるたけ不要な戦いは避け、それでいて必要な情報は集める事。
具体的には、遺跡内の人間はまずアルカナであるとして距離を置き――
或いは奇襲を仕掛け、気付かれぬ内に葬ってしまう手もあるが――
そして、遺跡内にある、カノッサについての手掛かりを掴んでいく事。
或いは再びリーと合流し、彼をエサとして、カノッサが接触してくるのを待つ。
これだなと、男は三度想像の中で筆を取ると、ずいと丸を描いた。
そうして、わざわざ真面目な思考が必要なほどの結論ではないか、と自嘲し、
もたれている岩壁へ後頭部をそっとぶつけ、頭蓋骨内に鈍い音をもたらせた。

366 :>>364続き:2009/06/03(水) 15:06:32 0
『悪魔』の胸へと光の矢が突き刺さる。光速より疾いその軌跡は空間すら捻じ曲げて次元の向こうへと到達する。
超高密度に圧縮された邪気と光の塊は人知を超えた速度で互いにぶつかり合い、その凄まじいエネルギーは一つの事象を生む。

時空間歪曲現象――通称、『歪』である。

本来世界規模の膨大なエネルギーの蠕動によって引き起こされるものである。
そこにはいかなる物質も抗えない誘引と摺込、そいて破壊か次元転移かの二択。

古より数多の器物を引き摺りこんでは咀嚼し嚥下し『108のクロニクル』が生み出される原因にもなった、
絶対不変の超常異能災害。人には決して抗うことも御することもできない正真正銘の天災。底知りえぬ因果の奈落。

ステラはそれを人為的に作り出す術を習得していた。世界に満ち溢れる光という無尽蔵のエネルギーを支配できるからこそ成り立つ、
三千世界においてステラのみが為しえた偉業にして異業の技術。無論の如く禁術である。

『歪』の発生は大きな危難をともなう。下手すれば自分が取り込まれかねないし、一度開いた『歪』を閉じるのにも多大なる労力と時間を要する。

それでも、使うべきだとステラは判断した。

たとえ骨を砕き肉を焼いても『悪魔』は止まらない。最早精神と邪気は完全に合一し気力だけで闘い続けるだろう。
それこそ、次元の奈落にでも放り込んで存在をこの世界から抹消しなければ、世界すら滅ぼしかねないのが『悪魔』である。

だからこそ、最期まで付き合いきる覚悟を決めた。たとえここで『太陽』としてのアイデンティティを使い果たすことになったとしても、
全身全霊持てる手段を尽くしてこいつを止める。それが『悪魔』の本気に応えるための、ステラの本気。

矢が爆ぜあふれ出た光が再び山吹色にフロアを染める。
同時に『悪魔』を黒が包んだ。否、"黒"という色ですら形容しきれない"何か"が『悪魔』の周囲を切り取った。

空間を、世界を、次元を。

その部分だけごっそりと抉り取ったように、名状しがたい音を残して『悪魔』はこの世から消滅した。

367 :名無しになりきれ:2009/06/03(水) 16:44:38 O
余計ながら訂正
良きにしもあらず→悪しきにしもあらず

368 :名無しになりきれ:2009/06/03(水) 21:24:13 0
やーれやれ。
私はそんなに攻撃もしてないし動いてないのに終わったなぁ。
残念過ぎたよ、本当っに。白虎、哀しいもんだ。
(白虎が遺跡の塵と化すその様を見ながら、呆れたよと言いたげの軽い息をついた)

ん、そっちも終わってたかアリス。
屍か?残念だが実験してたらなくなってしまったよ。脆すぎたのが原因だ……ククッ。
そっちはそっちで上々だろう、なら欲張るものじゃないな。
虻蜂取らず、なんて言葉もあるくらいだ。欲張りはよした方がいい。
目標は一つに……な。
(目を細め、けらけらと笑う。その目は全く、と言えそうなほど笑っていない)

まぁ、な。
後ろの3人程度はいいとして、上か。
私は大学とやらには興味が無いしなあ……と、いうわけで先へ進むつもりだ。
存分に調べるといい。私には関係無いからな。

それじゃあまた運命が交わったところで――その邪気は実に『イイ』しな。
ではさらば、狂科学者アリス=シェイド!
(フェンリルは足に力を込め―――)


クク……ハハハ。
(―――ジョギングで遺跡の奥に進み始めた)

369 :名無しになりきれ:2009/06/03(水) 21:43:09 0
流石はミスリルだ……かなり…っつ…痛ぇな…
  (第二・第三中手骨辺りにヒビが入ったか、魔溜眼で硬質化させていたが…
   やはり邪気が少し減ってきてるな…)

さて、壁は…
《ドゴォォォオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!》
……直撃したか
だが、ヤツもこのまま潰されるようなタマじゃあねぇだろう…どう出るッ


《ミスリルの壁に剣筋が輝く。》

……な――――
《更に一筋、二筋、無数の斬撃を浴び、ミスリル壁は灰のようにサラサラと舞い散った。》
――んだ…と………
  (まさかあのミスリルをこうも易々と……奴が…?)
《もはやヴェールとなったミスリルの向こうから、ダークブルーのコートと、嫌に大きく黒い何かが現れる。》

………なるほどな……あっちか…
フン、言われる前から「おかわり」の用意とは…気が利いてるじゃねぇか…
丁度良い、月見酒の肴にしてやるッ!!
  (あの黒いのは甲冑か…強度は……む、手甲が拉げている…そうか、「かなり堅い」ってことだな…
   携える大剣はミスリルすらも切り捨てる…オマケに速い…
   ……コイツは……面倒臭そうだな…!)


《『月』が手に持つ何かを翳し、閃光を放つ。》
―――ッくお!!目潰しか…!
チィッ……デカブツはどこだ…!?
《黒の異形からの剣戟。》
……上!?…しまっ…ック!魔溜――――――
《ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ……!!!!》
《土煙が巻き上がる。》

《土煙は異様に広がり、空中の異形を包み込む程に伸びる。その中から微かに覗く黒い影。》
―――魔溜眼!奥義…!!
《煙を突き破り、異形に向かって飛び出す…のはローブ。》
……かかったか!?
《リーは異形の真下を通り、一拍遅れて異形の背後へ飛び上がる。》
ここだぁッ!オウアァァァ!!
《異形の頭上に縦回転を加えた踵落としを試みる。》
  (一度は右腕の斥力を操作して凌いだが、反応が遅れて逸らしきれなかった……それに…
   次に斥力を使えば腕の存在自体消えて無くなる…!間合いを取らせれば負けだ!!まずは一発、決まれッ!!)

370 :名無しになりきれ:2009/06/03(水) 22:15:24 0
レイジン=シェープスは俯瞰する。リクスと正体不明の襲撃者が互いの術を交えている最中に、彼は配備していた兵を退がらせ
新たな指示を密かに飛ばしていた。作戦を大幅に変更。実働隊は既に散開し人気のない大学の建物へとその配置を移した。

「あァ。只今ご紹介に与りました。私はレイジン=シェープス……世界政府直属『調律機関』の実働隊長をやッております」

(……と、言ってもあまり友好的ではないようですねェ。邪気眼使いとの戦闘は不可避だとは覚悟していましたが、まさかこんなにも早く)

レイジンは流れ弾に被弾しないよう姿勢に注意しながら無線に向かって指示を飛ばす。

「術式班、障壁の構築をストップして下さい。執事氏が敵と思しき能力者と交戦しています。下手に防壁を張ればかえって邪魔になるでしョう。
 変わりに別の任務をお願いしますよォ、敵さんの術式――否、邪気眼の分析を」

白衣の集団は既に作業を開始していた。非戦闘員である彼らは本陣に築こうとしていたものより高度で高密度な障壁を幾重にも重ねた結界
の中に保護されている。レイジンないし実働部隊にとって術式の構築・分析をリアルタイムで補佐する彼らの存在はまさに虎の子だった。

「もうちょっと詳細なデータ欲しいですね。例の摩訶不思議な魔力防壁があと何度か見られれば法則性を見出せそうなんですが」

「了解しました。まァほッといても執事氏が攻撃してくれるんでしョうが、保険は重ねておくに越したことはない。
 よろしい、こちらからも仕掛けてみますかねェ。実働班、配置にはつきましたか?」


「Aチーム配置つきました。狙撃準備もオッケーです」 「Bチーム配置完了。狙撃もいけます」 「Cチーム右に同じ」 「Dチーム同上」

371 :名無しになりきれ:2009/06/03(水) 22:39:06 0
通信機から準備完了の返事が飛んで来る。部隊のまま固まるのはよくないと判断したレイジンは、
実働班をいくつかのチームに分けて大学構内へと散開させた。

大学に殆ど人がいないのはかえって好都合。騒がれることなく、ベストなポジションを獲得することが出来た。

実働班が伴なっていったのは各チームに一人ずつの狙撃手。彼らが携えるのは市街戦用にカスタムされたスナイパーライフル。
弾には特殊な術式処理が施された銀が使用されている。

銀の持つ退魔効力に着目したのはなにも執事だけではなかった。

本来の使い方、すなわち『銀の弾丸』――その用途を最も如実に顕現させたともいえる退魔弾は、『世界政府』と『大聖堂』の
まさに嫡子とも言える代物だった。教会の施した祝福儀礼で銀の効力を飛躍的に引き出し、それを最新の術式科学で弾へと鋳造する。
無論純銀無垢ではコストがかかりすぎるため、別の退魔術式を練りこんだ青銅に銀でコーティングすることで費用対効果さえも解決。

「最古と最新の奇跡のコラボレーション……見せてやりましョうじゃァありませんか。狙撃準備――」

現在展開している狙撃手は四人。各々のスナイパーライフルの照準は襲撃者の眉間、心臓、太腿、脊椎を正確に捉えていた。
急所を狙うだけではなく、あらゆる角度から色々な場所に撃ち込むことで防壁の効果範囲と防御性質を見極める目論見だ。

レイジンは右手を高く掲げた。ライフルの引き金に指をかける。固定された銃身は真っ直ぐに襲撃者を射抜いている。

そしてレイジンは揚げた右手を、叩き付けんばかりの勢いで思い切り振り下ろした。

細腕が風を切るひゅ、という音が鳴り止まぬうちに銃声と重なる。
高さも距離も異なる建物から発射された弾丸は、音を置き去りにして襲撃者へと飛来した。

372 :名無しになりきれ:2009/06/04(木) 14:34:36 0
『教皇』の放った破壊光線、その名を「御哀殺」――
充分な集中を込めて放ったそれは、相当の威力を有していたはずだが、
執事風の男に直撃する寸前、水晶を模したような壁に阻まれて、
その壁と共に、彼の身体を吹き飛ばすだけに終わった。
しかし遠目から、辛うじて僅かな外傷を与えられた事を確認できる。
本来、極大級の出力ならば、ヒト一人を消し飛ばすくらいは容易な技なのではあるが。
己の体たらくに苦笑しつつ、『教皇』は反撃に備える。しかし、

『先程はご無礼失礼いたしました。何分私は今まで礼節ある方との戦闘の体験がございませんでしたので。では改めて、初めまして。』

「あ……いや、初めまして。どうも……」

執事風の男から返されたものは、銃弾でも拳でもない、妙に慇懃な挨拶、
彼の風采通り、頭から足先まで礼儀を詰め込まれたように、僅かな粗略さもない所作であった。
対する『教皇』は、『礼節ある方』との評価を付けられ、
何だかくすぐったく、密かに身内が悶える思いがする。
常識があるとか、マナーを知っているなどと言われる事は、
彼にとってこれ以上ない愉悦なのであった。
執事風の男は再び口を開く。

『ではこちらも、『礼儀』として先に名乗らせていただきましょう。
私は三千院家の当主、セレネお嬢様の執事、リクス・クシュリナーダです。
今は訳あって、そちらの方々と行動を共にさせていただいております。』

「へェ……お、『お嬢様』!?」

『教皇』の聴覚神経は一瞬間の内に研ぎ澄まされ、その言葉へ喰らい付くと、
凄まじいスピードで以って、お嬢様としての理想像を脳内に紡ぎだす。
超高速で構築される偶像――白いタイツに包まれて、ほっそりとしたラインを作り出すおみ足。
幼児体型を隠す、煌びやかなドレス。ふんわりとしてボリュームのある金髪。嗚呼……。
それでは、瞼の裏に描かれた美少女の尊顔をいよいよ拝しますというところ、
なんと彼女の顔は、紛う事なき『月』そのものであった。
俺はこんな火傷顔が好みだったかと、肺臓の辺りがひやりとしたが、
何のことはない、執事殿ことリクスの馬鹿丁寧な口調から、彼女を連想してしまっただけの話である。
『教皇』は、温かな風呂に浸ってまどろんでいた所、いきなり冷水を掛けられたような思いがして、
ドレスを纏った『月』の頭頂を平手で連打し、淀んだ妄想の底へと追いやってしまった。

冷静さを取り戻した『教皇』は、脳髄の端で、リクスの言葉をはなからなぞってみる。
三千院家、とは、アルカナ内で耳にした事がないわけでもない。果たしてどのような機関だったか、
目を伏せて、記憶の海に潜りかけたが、これはいけないと自制する。
ここは既に戦場、無用無駄な思考は禁物である。が、女性に関する想像はその限りでないらしい。
それにしても、「そちらの方々」とは。

373 :名無しになりきれ:2009/06/04(木) 14:39:11 0
『あァ。只今ご紹介に与りました。私はレイジン=シェープス……世界政府直属『調律機関』の実働隊長をやッております』

世界政府直属!リクスが「方々」と表現したからには、
先までクルクルと忙しく動き回っていたが、今は何処へともなく姿を消した雑兵や、
レイジンの後ろで何やら作業の最中らしい白衣の連中も、政府に属する者共か。
確かに、彼らは皆、レイジンからの言に従って行動しているように見える。
形勢不利、どころの話ではない。『教皇』は今度こそ肝が冷えた。
むしろ、臓腑の芯まで凍らされる心地までした。
たかだかアルカナの一構成員が、世界政府から放たれた兵団に適うものか。
しかも、どのような事情があってか知らぬが、三千院家だとかいうところの執事まで付いている。
先ほどまで楽観的でいられた人間が、敵の名前を知るだけでこうまで絶望できるものかと、
恐怖の為に、首をしめつけられたような苦しいうめきを挙げてしまう。
いっそこの場から逃げてしまいたくもあるが、もし本当に逃避したが最後、
すぐさまアルカナ上部に嗅ぎ付けられ、とても思いも付かない惨状に晒されるに決まっている。
やはりこの場で戦闘し、勝利する外に道はない。

「よろしいぞ……受けて立ってやろうじゃないか、諸君。
 たとえ三千院が、四千になろうと五千になろうと、俺に太刀打ちできるわけがないさ。
 調律機関だとかいう皆さんも、この場で殲滅させてくれるから、覚悟したまえ。」

振るえながらもそう宣言する事で、強引に己を奮い立たせつつ、
とっさの身捌きが可能なよう、『教皇』は姿勢を低く取り、相手方をじっと見遣る。
リクスはこちらの観察に徹しているようで、攻撃態勢にある様子には見られない。
レイジンの方は、中空へ向かって、何やらボソボソと呟いている。
独り言ではあるまい。まさか誰かに連絡を取っているのでは――しまった。
思考するより早く、正しく本能からの司令によって、
口を開き歯茎をむき出して、どうにか笑い顔と称される表情を保った。

直後、四つの弾丸が『教皇』の肉体に鋭くめり込んだ。
注意を逸らさせたところへ狙撃による奇襲、しかも銃口は複数と来た。
善良なる壁は、寸での所で展開を完了し、銃弾の貫通こそ防いだものの、
着弾以前に発生できなかった為に、善良なる壁の看板通りの「絶対防御」とはいかなかった。
吹き飛ばされる『教皇』。地に叩きつけられた衝撃で、弾は残らず零れ落ちたが、
四つの銃創には、邪気眼使いに対する銀特有の反応が残り、
肉は爛れ崩れ、すえたような臭いが立ち上っていた。

が、彼もアルカナに名を連ねる以上、倒れても只では起きない。
苦痛に歪んだ顔を、無理矢理な笑みで塗り固め、今一度善良なる壁を展開しつつ。
倒れたままの姿勢から、方々に視線を飛ばす。
足元に転がっている銃弾では、強力な武具への変形は期待できない。
何かないか――じわりと、焦燥が首をもたげてきた時、不図見つけたのは、
学生の仕業であろうか、ベンチの影に、コンビニ弁当が食い散らかされた後。
しめた。『教皇』は素早く体勢を立て直すなり、そちらへ飛びつく。

サラダでも入っていたらしい、ドレッシングが底にたまった、四角筒型の透明な容器がと、
パスタが二三本取り残された、丸型のプラスチックトレーが一つずつ。
そして同じく、プラスチック製のフォーク。
これだけあれば御の字と、『教皇』は全身に、赤々とした血液が猛り駆け巡る熱さを覚えた。

374 :名無しになりきれ:2009/06/04(木) 14:44:01 0
まず四角筒の容器を手にし、精神を集中する。
容器は身悶えるようにして全身をくゆらせながら、次第に形を定着させ、
完全に変形し終わったその外観は、なんと増幅器付きメガホンである。
正確に言えば武具ではないが、『教皇』の考によると、これも立派な兵器の一つである。
にやりと意地の悪い表情を見せ、メガホンに口をつけると……。

「ヒャアアアアアあああああぁぁぁぁぁッッ!!」

天空から大地まで真っ二つにするほどの金切り声を飛ばす。
只でさえ元の声が馬鹿に大きい分に、メガホンによって増幅された為、
宇宙の果てまで揺るがしかねない一大騒音の体をなした。
『教皇』自身も体幹にびりりと波動を覚え、全身が麻痺しかねないと危惧したほどである。
これならば、敵の動きを止めるのに充分に足る。
そう確信し、ナイフを口にくわえ、メガホンを地面に転がし、両手を自由にさせると、
右手で丸型のトレーをチャクラム、左手でフォークを三又の投槍へと変形させ、
気配だけで狙撃手の居場所を感知し、その内二人へ向けて力の限りそれぞれ投げつけた。
また残る二人に方へは、搾り出すようにして「お元気ですか!」と叫び、やや細目の『御哀殺』でなぎ払う。
そして、ナイフを手の内に戻す。咳が一つ、唇と擦れて乾いた音を鳴らした。

メガホンでの大声と、二発目の御哀殺、これにより喉には甚大な損傷が残った。
もう声を使った攻撃はできぬなと、『教皇』のこめかみに汗が浮かぶ。
だが、手も動けば足も屈折できる。戦闘続行には支障無し。
さても、ここからの戦術としては、自らを実働隊長と名乗ったレイジンの殺害が最優先である。
司令塔である彼さえ消えれば、残った兵士連中は、それこそ役立たずの烏合の衆となるに違いない。
もちろん彼らも、曲りなりにも政府直属の機関の人間であるからして、
隊長の死亡後の対応もきっちりと教え込まれているに違いないが、
その内容は恐らく撤退だとか、後ろ向きな行動であるはず。
もしそうとすれば、むしろ、わざわざ雑兵共を嬲って白旗を揚げさせるより手間が省ける。
多数よりも一人を狙うという、単純な策である。
リクスとか言う、執事殿については、一先ず保留。
彼にはすでに、渾身の一撃を止められている。二度目がないとの保証はない。

よし、と『教皇』はレイジンに狙いをつけると、全身を躍動させて駆け出した。
一歩、地面を踏み切るごとに、目標との距離はぐんと縮まる。
急激な運動により、四つの銃創から血が染みて、足下のレンガに幾つも赤い斑点を作った。
先の絶叫による麻痺効果がまだレイジンに残っている事を期待しつつ、
彼の首筋へ向けて、刃の凶光を閃かせた。

「そういや名乗りを忘れてたな。僕はフォウ……
 いや、ルート=ルート!冥界に行ったら、この名に向けて呪うなりなんなりすれば良いさ!」

――斬!

375 :名無しになりきれ:2009/06/04(木) 15:13:50 0
訂正 僕→俺

376 :名無しになりきれ:2009/06/04(木) 20:47:45 0

――――――オーム――――――

それは、裏百八式・大蛇薙に似ていた。

裏千八式・人体発火現象!
何人もこの魔技から逃れることは出来ない

ステラ=トワイライトは人体発火現象の及ぼす死の射線の中央に位置し
瞬時に一握の灰と化す運命にあった

悪魔の脳裏に浮かぶは
鮮明なる勝利の幻

――――――終のラウンド・1――――――

さあ、ステラ。
これが、俺の総てだ。
お前を灰になるまで滅茶苦茶に殴りつけてやる。
きっとそうしたら、俺は今まで到達したことのない感情へ手が届くに違いない。
きっとそうしたら、俺は何かに突き動かされるように涙が涸れて血の流れるまで泣き続けるに違いない。
どうしてだろうか。
わからない。
そうなったときにはじめてわかるのだろう。
だから、そのためにも俺はお前を焼き尽くさないといけないんだ。
さあ――なんだ、これは!?

――「だから、光があれば――妹が傍にいれば私は負けない!」
ステラが叫んでいる。
俺は?
俺は、いったいどうしているのだ?
重力が消えた?
違う。
消えたのは地面だ。
俺の踏み込むところの地面を、どうにかして削っておいたのか。
大雑把から、いきなり小技かよ。
顔が笑っているのがわかる。
これだ。
こういうやり取りがしたかったのだ――
生きている実感がある。
こういう生き方しかできないのだ――
さて、踏み越えるには深い。
跳ぶ、か。


377 :名無しになりきれ:2009/06/04(木) 20:48:40 0
炎が周囲の大気を侵食し、俺の周りに強い上昇気流を作っているらしい。
そのせいか、それとも今まで味わったことのない興奮の中にいるせいか、ずいぶん高く跳んだようだ。
重力が、いやに弱く感じる。
着地までに闘気を高められるだけ高めておくか――
いや、視力を回復するのが先だ。
何たることか、今の今まで目が見えないことを忘れていたなんて。
しかし、視力を回復するといっても、どうやったら出来るのだ。
わからない。聞いたこともない。
だが、気付いてしまった以上、回復しなくてはならないときには回復するしかない。
いや、待て。
もしかしたら、もう俺の目は見えているんじゃあないのか。
ためしに、首を右に回してみる。
ほら、そうだ。
左からの強い光源が、いつの間にか暗くなった遺跡を鮮やかに照らし出しているのがよく見えるじゃないか。
ここ一番の大事なときに、きちんと治ってくれるとは、いい身体を持ったものだ。

――待てよ、左からの強い光源とは何だ。
今の視界で左ということは、俺の正面ということだ。
そこには確か、ステラがいるはずだ。
正面に向き直った。
そこに、太陽があった。
いや、『太陽』があった。
否、ステラ=トワイライトがいた。
ああ、なるほど。
俺の視界を覆い尽くすほどの強烈な光源は、あんただったのか。
凄まじい光が、ステラの全面に集中している。
荘厳さと、ある種の美しさを感じさせる光景だった。
悪魔は、その美しさ、そしてもうひとつ彼自身にもわからないものに魅入られていた。

美しい。
と、悪魔は思った。
ステラの姿が、である。
とてつもなく美しい。
猫科の、大型肉食獣がいる。
ライオン、虎――いや、チーターだ。
そのチーターが、草食獣のインパラを襲うシーンを、映像で見たことがある。
あの姿―――
それも、最初の一撃を加える直前の、極限までの力が蓄積された瞬間。
しなやかで、優雅で、なお力強く、無駄が無い。そして美しい。
人の肉体が、このような姿を取れるのか。
悪魔は、感動していた。
太陽の輝きが、つややかだった。


378 :名無しになりきれ:2009/06/04(木) 20:58:26 0
素晴らしい。
このステラの姿を、ずっと見ていたい。
たまたま立ち寄った美術館で、一枚の絵に心を奪われた人間というのが、このような気持ちなのかもしれない。
如何なる手段を以っても保存できない、この美中の美の傍に居たい。
だから――
「だから、今は私の勝ちだぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ――――!!!!!!!!!」

何!?
何だ!?
ステラ!?
弓?
光?
矢?
怒声。
殺意。
防御。
防御しなくては。
なぜ?
矢だ。
あれは弓だ。
弓なのだから矢を打つためのものだ。
それを裏付けるように、あの弓には矢がつがえられ、限界まで引き絞られている。
そしてその矢の向いている先は――
俺だ。
『悪魔』だ。
俺の心臓だ。間違いない。
ステラの顔がそう言っている。
ステラの手がそう言っている。
ステラの目がそう言っている。
ステラの口がそう言っている。
ステラの足がそう言っている。
ステラの全身がそう言っている。

あの矢を受けたら、俺は助からない。
先のハンマーよりも確実に助からない。
防御だ。
防御するんだ。
手に闘気を集中させて、心臓をガード――
よし、できた。
これで、心臓は守れる。
だが、心臓がやけに痛むな。
相手の狙っている部位がちくちくと痛むことはこれまでにもよくあったから、それだろうか。
それにしては痛みがリアルだ。
まるで、本当に心臓を打ち抜かれたような痛みが間断なく脳に押し寄せている。
いや、「ような」ではない。
実際に、俺の左胸には光の矢が突き立っている。
何故だ?
俺は確かに防御したのに。
もしかしたら、遅すぎたのではないか。
ステラのほうが、俺の防御よりも早く攻撃に移って、光の速さで矢を放った。
きっとそうに違いない。


379 :名無しになりきれ:2009/06/04(木) 20:59:09 0
――――――オーム――――――

いいかね。試合というのは常に神のものなんだ。試合は全て神にささげられるべきものなのだ。
そのためには、勝とうという意志すらも持つべきではない。試合に臨む者は、ただ、その時その時に、一番効果的な技を使うことだけを考えればいいのだ。
勝利は、その結果として、神が与えてくれるものにすぎないのだよ。          ――カール・ゴッチ

――――――終のラウンド・2――――――

痛い時には、痛いと        考えはまとま      だ。
まったく        一方的なことを              ゆく。
        だが           、

おれ
                          た。

ひどく寒い。
耳鳴りがする。
また、何も見えなくなった。
どこなのだ、ここは。
どこでもない世界――
胸の内に浮かんだ言葉が、不思議にすとりとはまった。
どうやらここは、生物の生きられる場所ではないらしい。
生命とでも言うべきものが急速に失われていくのがわかる。
たまらん。
意識が遠のきかけている。
意識が遠のくのも悪くない。
眠るのもいいな。
眠れば、これが終わるのだ。
これが終われば、休む事ができる。
それに、ステラに倒されたのだ。
俺の死に様にしては、上等じゃあないか。
他の誰かでなく、ステラなのだ。
どうだ。羨ましいだろう。

待てよ、なぜステラなのだ。
なぜ、他の誰かでなく、ステラなのだ。
わからないぞ。
ステラであるということが、そんなに重要なのか。
なぜだ?
どうしてだ、悪魔よ?
なぜ。
なぜ――

『私は『太陽』!日輪に依ってあまねく光を律する者!!!』
『あの世で武術に詫びつづけろッ!』
『だから、今は私の勝ちだ――』
『妹が傍にいれば――』


380 :名無しになりきれ:2009/06/04(木) 21:00:11 0
ステラに、何かを感じている。
そもそも、俺はステラをどうしたかったのだろうか。
ステラ。
戦うのもいい。
殴るのもいい。
殴られるのもいい。
だが、他にも何かがあったのではないか?
何かが――
何かが――
何かが――
俺とステラを、繋ぐものが―――
会いたい。
ステラに、もう一度会いたい!
そうしたならば、この胸の奥に燃えているものの正体がわかるのに!!
ステラ――

――――――オーム――――――

命のやりとりより、深い付き合いはないよ。   ――隆慶一郎『一夢庵風流記』

――――――終のラウンド・3――――――

遺跡の天井近くから、何かが落ちてきた。
ヨシノにも、ステラにも、はじめ、それが何だかわからなかった。
距離を置いて仔細に観察すると、どうやら人間らしい。
それも、ひどく傷ついている。
四肢が残っているのが不思議なほどだった。
そして、一瞬あっけにとられていた二人とアスラを加えた三人の眼前で、
どう見ても致命傷であるはずの闖入者が、

如何なる奇跡を用いたのか『歪』から現世に帰還した悪魔が、立ち上がった。

彼の右目から放たれる緑玉の光が、遺跡と三人の人間を怪しく照らし出していた。



381 :名無しになりきれ:2009/06/04(木) 23:58:00 0
ふむ、壊れてしまったか…全く、「生命とはどうしようもなく脆いものだ」な。
…虻蜂取らず、か。なかなか痛い事を言ってくれる。

目標は一つに…か。貴様の「たった一つの目標」は面白そうだな…クックックッ…

…ふむ、相変わらずの急ぎ足だな。まあ、構わんさ。
ラ・ヨダソウ・スティアーナ、「どうにも締まらない邪気眼使い」フェンリル。縁があればまた何時か・……。

(去りゆくフェンリルを見送る。やがてフェンリルの足音が聞こえなくなる)



……さて、と。

ピッ
助手A、大学に虫が入り込んだのは知ってるな?バカ共のデータを参照して用意しとけ。
久々の「管理役」としての仕事だ。面倒くさいが仕方あるまい。一度戻るから転送装置の用意を───ん?応答しろ、助手A?

……応答なし…か。フン、どこまで経っても使えない奴だ……

(手に収まるサイズのよく分からない機械を出して、2、3のボタンを押す。やがてシェイドの身体が光に包まれ──)

ヒュンッ

(──ヨコシマキメ遺跡から消失した)

382 :名無しになりきれ:2009/06/04(木) 23:59:16 0
─────大学構内「有る筈のない実験室」

ヒュンッ

…ふむ、時空間のブレが発生したか。ヨコシマキメの「歪」の影響か?誤差は範疇に入れたはずなのだがな…。

(ふと、薄暗い実験室の片隅に消し炭のような何かがあるのを発見する)

……ん?助手A、貴様何をしている?

(近くに先ほど転送した魔槍が転がってるのを発見する)

……馬鹿め。残留邪気の残った『クリムゾン=タスク』に触れたか。全く、世話を焼かせてくれる…。
あー、確かこれとこれだったか…。

(棚から試験管を一つ取り出して、消し炭にぶっかける)

助手A、乗り込んできたのは何処の阿呆だ?……『調律機関』に『三千院家』?やれやれ、大人数だな。
全くもってつまらない事柄ばかりだよ、管理役としての仕事は。研究の方が百倍いい。

…しかし行かねばなるまい、なあ。やれやれ、他の管理役の連中が来てくれないものかね……。

(眼鏡を外し、引出しから黒いサングラスを取り出して掛ける)

見たくない物は見ない、知りたくない事は知らない。
いっそ全員私の影に取り込んで、なかった事にしてやろうか…………
(研究室の扉を開け、屋外へと歩を進める。そこは今まさに戦場であった。
 シェイドはひとまず様子見だと呟き、壁に背を置いて戦闘の様子を眺め始めた)

383 :名無しになりきれ:2009/06/05(金) 16:43:31 0
壁を離れた男は、うん――と全身の筋肉を引き絞って伸びをし、
またそれにあわせて、短めに刈り込まれた頭髪も、
一本一本、気合いを注入されて逆立つようであった。
こうした、つまらない伸展運動でも、そこそこのリラックス効果はあるらしく、
遺跡内部を一歩踏み進むごとに、身体に付着してきた不可視の重りを、
いくつかこそげ落とす事ができた。
彼はしばし、しきりに髪に手櫛を通していたが、
小さな溜息を拍子として、静かに歩みだした。

遺跡に残るカノッサの情報を網羅しつつ、降りかかってきた火の粉は全力で振り払う、
これこそが、短髪男の一先ずの方針である。

男は、ホルスターで仮眠を取っている銃を愛撫しつつ、
粘ついた空気の充満した、黄土に濁った遺跡の壁の間を、
軽やかな足取りで行く。それにしても、砂埃がひどい。
一歩進むたびに、汗で塗れた顔に、空中に浮いた砂が吸い付いて、
厚く重い化粧を施されている気がする、
のみならず、頭髪の間にまでも砂塵が紛れ込んで、
胡麻大のちんけな虫が這い回るような、怖気ましい痒さ覚えた
男は手で髪と顔を払い、砂を落とそうと躍起になった。
自然由来のメーキャップをして、頭髪に虫を買うなど、
未開の土人の生活ではないかと、熱のこもった溜息を吐く。

孤独な思考の世界に入っていたところ、こつこつという、
人の足音らしいものが、子気味良いリズムを呈して、此方へ向かってきた。
音のする方向には、一直線の通路になっているが、
その奥となると、闇のヴェールに包まれて、短髪男の視線を阻んでいる。

アルカナか――否、アルカナとして扱うべし。
男は即座に、近場にあった大岩の影に身を隠すと、
銃を抜き、安全装置が解除されている事を確認して、とりあえず呼吸を整える。

先ほどから近づいてくる足音の間隔は、どういう訳か、
健康管理程度にしかに役立ない、正しくあのジョギング運動のものであった。
この遺跡内部で、体力を温存するなら歩けばよい、宝の先取りを狙うなら走ればよい、
しかしそのどちらともつかぬ中途半端な徒法は、全く不可解で、男の神経を引き擦っていた。

さて、鬼が出るか蛇が、否、邪が出るかと、男はそっとトリガーに手を掛ける。

384 :名無しになりきれ:2009/06/05(金) 23:59:21 0
必要なものは情報である。リクスは思い返す。

(戦闘が開始したときは私の先制、しかし彼は私の攻撃を見て笑みを浮かべ、青い光と共に絶対防御と思しきものが発動しました。彼は自らの防御力によほど自信があったと見えますね。)

『よろしいぞ……受けて立ってやろうじゃないか、諸君。
 たとえ三千院が、四千になろうと五千になろうと、俺に太刀打ちできるわけがないさ。
 調律機関だとかいう皆さんも、この場で殲滅させてくれるから、覚悟したまえ。』
(ええ、三千院が四千五千になったらいささか見栄えが良くなさそうです。語呂が変わったお嬢様の落胆ぶりは見てみたい気もしますが、今はそれどころではないですね。)

状況はさほど有利ではない。1度目の攻撃は耐えたものの、あの光線が完全に防ぎうるものと決まったわけではないどころか、むしろこのままではダメージが蓄積するばかり。
しかしそれにも増して問題なのは、相手の邪気眼が持つ法則性がまったくつかめないことである。相手の手数は不明。いつ死角を狙われてもおかしくないのだ。

(そうこうしている間にレイジン様のほうの準備は完了なさったようですね。まずはあの防御術の発動条件を見極めないことには…)

弾丸が放たれた。男はまたもや笑っている。しかし――

(!!)

今度は様子が異なり傷を負っているように見える。

(これは術式の発動が遅れたという解釈でよろしいのでしょうか?だとすると発動のキーはいったい……
それにしても、四方からの攻撃を受けてなお笑みを絶やさないとは何たる精神力!それによって己を奮い立たせている?しかしそれだけではない何かを感じますね。)

リクスは思索に耽る。しかしその隙に、男が、飛んだ。

「あれは……ゴミですね。あれで目くらましでもするのでしょうか?」

あまりに奇妙な行動に、思わず疑問が零れ出た。リクスにとっては無価値な廃物。しかし相手にとっては違っていたのだった。廃物は見る見るうちに姿を変え、メガホンの形をとる。

リクスは気づいた。どれだけ鍛えた人間でも、音響攻撃に耐えるのは至難の業である。
なぜなら人間にとって音は知覚のために必要であり、それをシャットアウトすることは敗北につながりかねない。
相手は『必要なモノ』に毒を混入させるのであり、それは外気が有毒ガスにすり替えられることにすら匹敵する。それどころか、リクスは今、その『毒』を濾過するフィルターを持たない。

(これはまずいですね……)

『ヒャアアアアアあああああぁぁぁぁぁッッ!!』

男は金切り声を上げる。その刹那、世界が震えた。

(内部攻撃、やってくれますねッ)

385 :名無しになりきれ:2009/06/06(土) 00:04:13 0
連打されれば意識を失い、最悪命を落としかねない、とリクスは現状を分析する。
再び男のほうを向く頃には、4人のスナイパーはすでに無力化されているようであった。

(邪気眼だけでなく素の戦闘力も高い!これは…)

気づいた時には既に、男はレイジンのほうに向かっていた。しかし、真にすべきは彼の身を案ずることではない。
このまま徒に攻撃を仕掛けてもやはり防がれる可能性も高い。リクスは再び思い返す。

(よく思い出してみましょう。彼に降りかかった2度の攻撃、同じ物理的外傷を与えるものであるにも関わらず、前者は効かず後者は効いた。このことから彼は2度目の攻撃に対しては、術式のキーが遅れたと推定することができます。
しかし、彼は2度目の攻撃でも本来は致命傷でありそうなものをある程度は抑え込んでいる、つまり、遅れたものの発動した。そう考えると、「彼は攻撃を認識していた」「術式は思考発動ではない」と言えそうですね。)

リクスのわずか一瞬の思考のうちにも、男はレイジンに迫っていく。

(思考発動ではない以上、彼の行動には必ずキーが含まれていることになります。
そしてそれは、私の攻撃を認識してからでも「彼が不敵に笑うことができる」ほど確実に自信を持って発動で来て……いや、違いますね!
彼が先ほどから異様なまでに笑みを浮かべていること!それこそが術式のキーなのではないでしょうか。)

糸口が見えた。彼の防御については、1つの仮説が立てられた。仮説である以上、実験しない道理はない。
男が迫りゆくレイジンに向かって、黒執事が黒い笑みを浮かべる。

「レイジン様、私に1つ、チャンスを頂きたいと考えます。どうにかして彼のその凝り固まった微笑を崩していただけないでしょうか?
恐怖、怒り、悲しみ、驚嘆、いかなる感情でもかまいません。私の『眼』の発動のため、『一瞬』を作っていただきたいのです。」

言葉は少なかった。しかしこれでも通じるであろう、とリクスは考えた。あまり多くを語れば却っての手の内が晒される。
一瞬でよい。この段階で自らの邪気眼の本質の片鱗を見せることには若干の落胆がある。
しかし――これ以上の猶予はなさそうである。三千院家の執事に、負けは許されない。

386 :名無しになりきれ:2009/06/07(日) 19:53:30 0
【部屋中に満ちていた光が一つ残らずステラの手元に収束し、弓矢がそこに完成する。目を焼かれるのが怖くてヨシノはアスラ
 を引き摺りながら都合よく傍にあった岩陰へと転がり込んだ。存在隠蔽もステラの術式が切れた今なんの意味も為していない】

あれが……『決定打』の術式……?確かにあの矢には途轍もないエネルギーが内在しているが、それにしても些か矮小じゃないか……?
いや、あそこまで限界ギリギリに圧縮してるからこそのあのサイズ……この遺跡に存在する光の殆どを費やした攻撃。おそらくはこれで決まる!


【そして矢が放たれる。光速すら追い越して撃ち出された光の矢はその速度と質量によって『歪』を作り出した】

んな馬鹿な!『歪』を恣意的に喚起するなんてことが可能なのか……!!天災レベルの現象だぞ……
だが目の前で展開されている光景は紛れもなく事実!これがアルカナ、これがステラ=トワイライトの本気……!!

【『歪』は矢で射られた場所を中心に拡大し、解放されれ満ちた光の真ん中から『悪魔』だけを正確に切り取った】

……終わった、のか。それにしてもなんつう術式だ、つまりは地震や津波を自在に作り出すのと同義。
十中八九禁呪だろう。逆に言えばそれを使わなければ勝てないような相手だったってことか……

【遺跡に静寂が満ちる。『悪魔』の邪気が完璧に感じられなくなったのを確認してからヨシノは岩陰から顔を出した。
 未だ気を失ったままのアスラに肩を貸しながら一歩踏み出したその瞬間、天井のあたりに気配が宿る】


……ん?

【最初。ヨシノは正常な判断を出来なかった。そしてすぐに正常な思考も放棄した。そこにはありえない、ありえてはならない光景。
 ぼとり、とあまりにも無体な音を立てて落下してきた"それ"は、打ち捨てられたぼろきれのような"それは"、辛うじて人のかたちを保った"それ"は、】

うそ……だろ――――!!

【どうみても『悪魔』以外のなにものでもなかった】

どうやって生きてる……!?『歪』に飲まれたものは永久の放蕩か悠久の破壊かの二択にかないはずッ!!
『ここにいるこいつ』はどうやってその選択から外れたッ!?どういう理屈でここに居るッ!?

【『悪魔』が立ち上がった。虫の息であるのが傍目にもわかる状態で、それでも立ち上がった。
 それは臨戦を意味し、この地獄のような戦闘の再開であった。であったのもかかわらず、ヨシノの足は動かない。動く必要がないと、そう知った】

【『悪魔』が身体を引き摺りながら、それでも向かおうとしている先は、ステラだった。
 それ以外は見えていない、むしろそれすら見えているのか怪しいぐらいの足どりは、武人でないヨシノにすら追撃を躊躇わせるほどの凄みがあった。】


……俺が出る幕じゃあない、か。

387 :名無しになりきれ:2009/06/08(月) 21:31:56 O

(おいおい……まだ儀式やってんのかよ。あんたの部下が大変だぞ……)
(まあとにかくリーのおかげで壁も取っ払われたし、後はあいつだ、け……)

(……な、なんだ……!? あれ!? 壁が消え……違う!! 木っ端微塵にされたんだ!!)
(そんな、た、確かにあいつ、壁に……それに、隣のでかいのはいつの間に……!?)
(くそ……決まったんじゃないのかよ!! どうする!! 次の手、を―――がああ!!!)


<月より放たれし目映い月光が、夜更けのような深奥を鮮やかに翔抜けたその瞬間>
<彼女の号令と共に漆黒の異形が猛々しく飛び上がり、<Y>は腰を抜かしてへたりこみ>

SLAAAAAAH!!!!
<刹那、<Y>の首があった空間を、先程ミスリルを粉塵にした白銀の死が奔り抜ける>

<もう既に戦端を開いている、リーと異形との死闘を横目に、>
<数本の黒髪と、フードの頭頂部の切れ端が、ひらひらと砂塵に舞い上がる>


(\(^O^)/)
……クク……なかなかの速度だ……。その巨体を考えれば、十分及第点だな……。
では、その宵闇の騎士の決闘相手は任せたぞ、リー。さて、俺は酒を……という訳にもいかんか。


<ぐらっぐらの足取りで、<Y>は月の方へと緩慢に歩き出す。>
<次第に距離が近づき、そして――――>

――――とんちで悪かったな。とっさに思いついたにしてはいい出来だろ?


<<Y>は月と、すれ違う。>

<目指しているのは、陥落せし堅牢なる《王壁》の向こう側>
<其処で未だに儀式を続けている「世界」へと、一歩ずつ近づく>


(俺は邪気眼使いでもないし知略もからっきし、ましてや戦いに手慣れてる訳でもねえけど……)
(そんな俺が出来ることと云ったら……もう、こんなことしかねえんだよ!!)


……随分と夢中だな、『世界』。汝の目的は別にしてみれば、いささか興味がある。
見学しても構わないかね……何、私は邪魔をできる役者ではないことぐらい弁えているさ。

388 :名無しになりきれ:2009/06/08(月) 23:43:30 0
満身創痍を引き擦りながら、致死の白刃を携えて。ルート=ルートと名乗った男が接敵する。
レイジンは鼓膜に与えられた打撃にふらつきながら軽く身を引いた。大振りの一閃が寸刻前まで彼の首のあった空間を駆け抜ける。
彼の痩身は風に煽られた木の葉のような独特の動きでひらりひらりと追撃の白刃を躱す。片足を軸にして重心を巧みに移動させる。

「おおッとォ、確かに足を狙い撃ったはずなんですがねェ、これほど動けるとは予想外ですなァ……」

鋭利な金属の煌きが髪の毛一本分の隙間を残して皮膚の上を通過しても、レイジンの病的なまでの無表情は崩れない。
涼しい顔で近接格闘すらこなすのは、彼が武官たる証左。軍隊格闘術に彼の痩身を活かす工夫を練りこんだ彼だけの武術。

リクスの嘆願が飛ぶ。

「レイジン様、私に1つ、チャンスを頂きたいと考えます。どうにかして彼のその凝り固まった微笑を崩していただけないでしょうか?
恐怖、怒り、悲しみ、驚嘆、いかなる感情でもかまいません。私の『眼』の発動のため、『一瞬』を作っていただきたいのです。」

「なるほどォ、その不可解な障壁の発動条件は『笑顔』……どうりでノーモーションなわけです……ねェ!」

言葉尻に裂帛を孕ませ、レイジンは片足を脱力、軸足を回転。生み出されるのは細く長い脚を十二分に利用した鞭打のような廻し蹴り。
脚払いにも似た下段廻し蹴りは、鋭く風を切りながらルートの太腿――そこに刻まれた爛れた銃創を正確に打ち据えた。

いかなる鍛錬をもってしても、ある程度の深さをもった傷口を直接打撃されれば激痛とともに訪れるのは致命的な間隙。
そしてそれが全体重を支える軸足であったならば、筋肉は伸張を放棄し骨格は荷重に耐え切れずもんどりうって転倒するのは確定的。
実際、そのとおりになった。

ルートがコケるのを認めたレイジンは即座にその場から飛びのいた。肩で息をしている。持久力のなさは年齢のせいだけではなかった。
レイジンが退避すると同じに彼の周りに残った実働隊員達がその銃口をルートへと向け、間髪入れずに引き金を引く。

銃声の連なりが広場を震わせる。退魔弾の連射は正確にルートと短機関銃を軌跡で結び、硝煙と土煙が視界を埋め尽くした。
土埃が晴れるとそこにあるのはやはり笑顔で無傷のルートと青色の魔力障壁。

「やっぱだめですね……珍妙な音響攻撃といいこの結界といい奇怪な技の豊富なこと豊富なこと」

隊員がぼやくのを横目に見ながらもレイジンは既に次の行動をとっていた。左腕に備え付けた通信機から現況を知らせる声が響く。

「Aチーム、部隊損傷軽微。狙撃銃が大破」 「Bチーム軽傷二人。戦闘可能です」 「Cチーム、やられました、狙撃手が重傷。戦闘不能です」「Dチーム同上」

最後の2チームはなぎ払いビームをうけた小隊だろう。正確に狙撃手を狙って攻撃するあたり制圧戦にも馴れているのだろう。
侮れない、という認識をレイジンは改めて脳裏のデータベースへと上書きした。

(死者が出なかったのは幸いですかねェ……うちの部隊は血の気の多い者が多いですから、歯止めが利かなくなります)

思いのほかこのルートという男は手練である。当初の彼の印象は珍妙のひとことで全てを表現できるような言動と風体で、
敵を侮るということを滅多にしないレイジンでさえその珍妙さと湧き出る小物臭に稚気ながらも油断が生じた。

(私としたことが……どうにも調子を狂わされますねェ。武装テロリストなどという物騒な響きとは無縁の愁風を感じますなァ)

しかし実際厄介なものは厄介なのだった。彼の攻撃そのものは大振りのものが多く見極めるのは対して難しくない。
先程のようにカウンターを合わせることも可能。大技であればあるほど決定的な隙は大きくなっているのも愛嬌か。

だがしかし、隙あらば狙撃で命を刈り取る術をもつレイジン達との戦いにおいて現在まで彼が生き延びているのは、
『決定的な隙には必ず件の障壁が展開している』という一因に尽きる。どういう理屈かあの不可解にして不可侵の結界はあらゆる攻撃を
その外側に留め、よほど虚をつかないかぎり本体まで届くことがない。ルートという男は、笑顔さえ保っていれば戦場では不死身なのだ。

(執事氏は言いました……『一瞬』、決定的な隙に"珍妙氏"を無防備な状態で彼のもとに届ければ我々の勝利は確定的に明らか。
 そのためにいかなる感情を喚起すべきか……そうですねェ、私は"羨望"を選択しましョう)

「――珍妙氏、少しお話でもしましョうか?私のかわいいかわいい"愛娘"について、余興ついでに聞いてくださいな」


389 :名無しになりきれ:2009/06/12(金) 01:12:03 0
『歪』が『悪魔』を飲み込んだ。
彼の邪気が完全にこの空間から消失したのをアナログとデジタル両方の知覚で確認し、ステラは術式の構えを解いた。
これで終わりではない。未だ彼女達の眼前にて渦巻く『歪』を閉じなければ、成長する台風の如く空間の歪みは拡大し、やがてステラにさえ
御することの適わない大きさへと発展してしまう。ステラは両手で円を作り、狭めた視界の中に『歪』を入れた。

「――術式終了。【境界縫合】」

狭窄の意志を織り込んだ魔力で【歪】を包み込む。色のない渦は次第にその規模を縮小し始め、やがて胡麻粒ほどの大きさの黒点となって、
音も残さず消えうせた。全てを終えたステラは磨耗した邪気と魔力、そして精神の喪失を埋めるように大きく息を吸い、そして吐いた。

「……終わったよ、これで。因果の奈落に叩き落したから、もうどうやったって這い上がってはこれない。
 次に出てくるとしたら百年後か、二百年後か、『クロニクル』になって不時着するくらい。私達の勝ちだよ」

元通りに明るくなった部屋で、ヨシノがアスラに肩を貸しながら出てくるのを見て、ほっと胸を撫で下ろしたが最後、ステラはふらりとその場で揺れた。
倒れこむように腰を落とす先に光を集めて小さな椅子を作り、陽光を思わせる暖かな感触に身を委ねながら嘆息した。

「つっ……かれた〜。もう無理。無理無理。魔力なんかすっからかんだし、もう一歩も動けない。ヨシノ、肩一つ余ってるでしょ、貸してよ」

脱力する。『悪魔』との戦闘は気を抜けば一瞬でやられるという緊張が常につきまとい、長い間臨戦に晒され続けた精神は目に見えるほど疲弊していた。
心の疲れは倦怠感という形で如実に現れる。なんだかんだ言って後に響くようなダメージをうけていなかったステラでさえも、
これ以上の行軍を身体が拒否していた。もう一度溜息。幸せが逃げるというが、この程度で逃げるような幸せが果たして如何なる福音をもたらすものか。

おそろしく手強い相手だった。それは単純な戦闘力の高さもさることながら、かつての同僚を手にかけねばならないという後ろめたさも手伝って、
『悪魔』本人がそのような些細かつ瑣末なことを気にするのかというと答えはNOになるわけだが、それでもこころを文鎮のようにおさえつける何かがある。

(どうしよ。『月』に怒られるだろうなー。あ、もう戻れないのか。お尋ね者じゃないの私……)

裏切り者。ステラはそう呼ばれることだろう。身を護るためとはいえアルカナの幹部として名を連ねる『太陽』が、侵入者迎撃に動いていた『悪魔』を
加勢するどころかあまつさえ侵入者と一緒になって倒したのだ。それがどういう事態をもたらすか、予想も予測も難くはない。

(ま、いいか。ここで『太陽』の名前を捨てるのも悪くない。どうせアルカナに未練はないし……『星』もいないしね)

決断は即である。アルカナ二十二柱が一人『太陽』は、数世紀前からやってきた光の奇人ステラ=トワイライトの名を取り戻した。
まずはヨシノ・アスラと手を組み、ヨコシマキメの中枢まで到達する。ステラの目的は妹の回収、そして真実の究明。
利害は一致している。それに『悪魔』という強大な敵に対して手を組み共に戦った仲である。このパーティーならいける、そう結論づけた。

「……さて、敵も片付いたことだし改めて自己紹介でもさせてよ。私は――」

ヨシノと、その肩で目を閉じたままのアスラに向かって加入表明を唱えようとして、ヨシノの目線が彼女を見ていないことに気が付いた。
いぶかしむようにその視線を追って上を見上げて、残りの言葉を飲み込んだ。声を失ったと表現してもいい。彼女の顔は驚愕に彩られていた。

『悪魔』がいた。

次元の奈落に叩き込んだはずの、『歪』に跡形もなく飲み込まれたはずの、ステラの最大術式を喰らったはずの、三人がかりでようやく倒したはずの、

最狂の敵がそこにいた。

降ってくる。四肢はちぎれかけ胴体はずたぼろの、人であるのかさえよくわからない物体は、しかしその右目に強く光を宿し、立ち上がる。
いたるところから血を噴出し、うわごとのようになにごとかを呟いて、翠の光を放ちながら、千鳥より覚束ない足どりで、それでも歩く。

『悪魔』が、歩く。

ステラはいつのまにか立ち上がっていた。もう指一本動かす力も残されていなかったはずなのに、どうした理屈か、ステラはそこに立ってしまった。
半ば条件反射のように行われた動作は、有り体な表現を許されるなら、こう描写できた。


スタンディングオベーション、と。

390 :名無しになりきれ:2009/06/12(金) 22:20:30 0

――CLOSE YOUR EYES 何が視えるだろうか?

   CLOSE YOUR HEAD 何が残るだろうか?

   今も幻を視ている人々の為に……


その眼は、ただ一つのものだけを見ていた。
同時に、その中に含まれる全てのものも。
そして、それを透して映る自らをも。

「ステラ、ありがとう。」
姿に反比例して、澄み切ったよく通る声だった。
つい数分前までの雷鳴のような大音声と同じ人間から発せられた声だとは、誰にも信じられないだろう。
いや、事実彼は変わっていた。
傷を差し引いた外見はそのままに、人間性(なかみ)だけが変わっていた。
もはや先ほどまでの、いつから継続いていたのかわからない、一人の狂った武道家ではなく、
今まで誰も見たことのない、格ゲーキャラ蒐集家がいた。

「――暗示が裏返った。それだけは確かなようだ。」
悪魔が、格ゲーキャラ蒐集家が、誰に言うともなく透徹な声で話し始めた。
右腕が肩口から千切れ、緑玉の塵芥と化して流れていった。


391 :名無しになりきれ:2009/06/12(金) 22:21:20 0
「正位置と逆位置2つの暗示に……私の体内の何か、
歪との接触によって脳に生じた物理的心理的変質、……あるいは
ステラ、君との戦闘によって生じた多幸感……。
そしてその昂ぶりから形造られてしまった化学物質か……」
正位置の悪魔は『裏切り』『誘惑』『欲望』『不倫』『悪意』『束縛』を暗示する。
そして、逆位置の悪魔は『別れ』『解放』『回復』『マイペース』『次の出会い』『上昇傾向』を暗示する。

「あるいはそれら全てが私の内部で出会ってしまい、
化学反応を起こしスパーク……」
誰に言うのでもない、自分に言うのですらないこの独白のうちにも、彼の生命力とでも言うべきものが失われていくのが見て取れた。

「そしてそのとき、私は確信したよ。
私は――『悪魔』は、君を愛していた。」
ステラに歩み寄る軌跡の中には、もはや血痕すらなかった。

「なぜなら、一人の狂った武道家であるところの悪魔において、愛とは惜しみなく奪うものであったからだ。」
「そして、格ゲーキャラ収集家であるところの悪魔にとって、愛とは全てを捧げて悔やまぬものだ。」
血も命も全て失い、死を眼前に迎えて、なお彼は生きていた。

「私はまだ、君に苦痛しか与えていない。」
透徹な声も、徐々に声量を失ってきている。
「君に、喜びを与えたい。そのために、こうしてここにいるのだから。」
それと同時、彼の右眼が輝きを増し、遺跡の表層から深奥に至るあらゆる箇所で、光子が渦を巻いた。
光が構成するオウムガイの等比螺旋は、悪魔の、否、格ゲーキャラ蒐集家の右目にその極点を置いていた。

『正位置』の『一人の狂った武道家』が使う、左眼の『拳闘眼』は、内から外へ力を放出し、全ての物を破壊する力であった。
『逆位置』の『格ゲーキャラ収集家』が使う、右目の『拳闘眼』は、外から内に力を吸収し、全ての物を造り出す力であった!


392 :名無しになりきれ:2009/06/12(金) 22:23:33 0
「が…ハッ……」
だが、その力を使うのは、もはや彼岸にいる彼には塩の柱と化しかねない苦痛であった。
安らかな死を拒絶し、苦痛の中で終末を迎えようとして、しかし彼の顔にははっきりと笑みが浮かんでいた。
だが、そうまでして彼がステラのために蒐集しようとするものは何か?

「『月』と『世界』の言葉を聞いていたから……知っているんだ。
遺跡内へ散逸してしまった光子……私の力なら、蒐集し、再構成できる。」
残された左手を眼窩に突き刺し、光子によって構成される小銀河のバルジと化した眼を取り出した。

「ずいぶんと散逸してしまったから、全て蒐集できたかどうかはわからない。」
それをステラに向けて手渡そうとする姿は、何かを哀願するようにも見えた。
「だが、きっと…大丈夫だと、信じている。」
そして、格ゲーキャラ蒐集家であり一人の狂った武道家であるところの悪魔は、
「なぜなら……星と、いうものは……いつも、黄昏(twilight)から……輝き始める……もの……なの…だか…ら………」
塵となり、
風となり、
過去となって、消えた。
あとにはただ、眼であった緑玉の宝玉だけが残った。

――ナ・カ・ナ・イ・デ……
   本当の孤独も知らない
   まだ淡い花びらに
   涙の粒抱えたまま――



393 :名無しになりきれ:2009/06/12(金) 23:34:39 0
(壁に寄り掛かり腕を組み、底の見えない黒眼鏡でバトルの様子をひときしり眺める)



───ふむ、中々興味深い眼をもつ男だ。

状況から見てあの黒男が「三千院」、ナナフシモドキみたいな体型したあいつが「調律機関」、眼持ちの騒音男は異分子か…。
しかし部隊を率いての戦闘とはな…自身の異能の力に絶対の力を持つ「邪気眼使い」らしくない…否。ひょっとすると…眼を持っていないのか?
…ふむ。ま、なんにせよ火器銃器の持ち込みだ。連中は「神聖なるこの地を武力を持ってして制圧せんとする神をも恐れぬ愚者である」と考えて…よいのだな。

(唇の端を吊り上げてにやぁ…と笑う。壁から背を離し、首をニ、三度上へ下へ回す)


隙を見つけて乱入──と、それには少しばかり、羽虫が多いか。


(ニ、三歩歩き、自分の影を背後の建物の影に重ねる。
 黒眼鏡を指でかちりと鳴らし、彼はぼそりと「眼」の発動を宣言した)

疾れ、我が空蝉────「影探眼」発動。

(瞬間、その建物二階部分のガラスが全て吹き飛んだ。
 基督教大学文学部棟二階に構えていた「調律機関」の部隊。それらは最早返答もままならず、彼の影に散ったのだった)

────行くぞッ!

(そのまま足を浮かせ、対峙する教皇とレイジンの元へ一気に距離を詰める。
 二人の間に割って入り、教皇へ裏拳を叩き込む。咄嗟の攻撃に膝を屈し、教皇はシェイドの影の上に屈んだ)

影探、二式────

(続けてそう呟き、自分の影に手を翳す。黒く渦巻く邪気が手のひらから発せられ、それはシェイドの影と共鳴した)

─────「闇禍の沼」っ!

(途端、シェイドの影が質量をもつ。さながらそれは小さな池。
 膝を折った教皇はその沼に沈み込み、シェイドはそれが沈みきるのを確認してニ、三度影を叩く。そこは既に沼ではなく、ただの影と化していた)

…奴には特殊な溶液でもてなさせてもらうとしよう。助手A、自白剤αを用意しておけ。


────さて、そこな二人。「世界基督教大学」に何の御用かな。
(侵入者に向き直り、「営業笑顔」を向ける。しかし「嗤う」ならともかく「笑う」、ましてや「笑顔」など滅多に見せないシェイドの作ったその表情は、
 見る者の心を一瞬で凍りつかせるような「明らかに何か裏に隠し持ってます、的笑顔」にしか見えなかった。)

394 :名無しになりきれ:2009/06/14(日) 21:46:54 0
―消失―
ルート・ルートと名乗った男は影の中に消えた。
そもそも何が起こったのであろうか、少し前を振り返るリクス。



ルートはレイジンに接敵し、局面はしばし近接戦闘に持ち込まれたものの、レイジンはその攻撃をことごとくかわした。

(レイジン様は指揮官タイプと思っていましたが、肉弾戦も自在にこなされるのですね。やはり『調律機関』の部隊を率いているだけのことはありますね。
ルート様もただ『眼』の力に頼っただけのスタイルの方ではないとお見受けしました。これは、私の『発動』まで一苦労のようです。)

思う間に、ルートは体勢を崩し銃の掃射を受けたものの、やはり効いてはいなかった。
そして、レイジンが次の一手をうつと思われたその時、建物が、悲鳴を上げた。
飛散するガラスはリクスに降りかかることこそないものの、新たなる事態に、リクスは思考の速度を上げねばならない。

(この攻撃も彼のもの?いいえ、それはないでしょうね。彼がレイジン様にターゲットを絞っていることこそが、彼の攻撃能力の限界を浮き彫りにしているといえましょう。
すなわちこれは、第三者による介入。それも、あの建物に部隊が展開されていると知り、なおかつそれと敵対する用意のある人物、ですね。)

考えながらもリクスは最低限の術式の発動の用意はできていた。身構えるリクス。

しかしここで、ルート・ルートが呑まれた。

『─────「闇禍の沼」っ!』

(ご丁寧に自らの攻撃は『影』を媒介とすると教えてくださったようです。もっとも、自らの絶対的な力に裏打ちされている者ほど、邪気眼使いは技の名を口にしてしまうようですが。)

新たな敵は、白衣の男であった。

(影による攻撃。パターンはいくつもありそうですが、少なくとも、今の攻撃は彼の絶対防御を打ち崩さずとも『位置』として呑み込むことができる有用な手段であったわけですね。そして、それができる彼もまたかなりの実力者……
ですが何より、この『力』を使って行動不能に陥れて、レイジン様達への『同行へのお礼』と代えさせて頂こうと思っていたのに、残念な限りです。)

「『一般常識』を語った彼が名乗りを上げることすらできず影に沈んだ、『ルール』とは力あるものの押し付けにすぎないということをよく表しているのがまた、皮肉ですね。
世界はまさに、お嬢様のおっしゃる通りに動いているようです。」

新たな敵対者の登場に、リクスは呟いた。

『────さて、そこな二人。「世界基督教大学」に何の御用かな。』

リクスは正直に答える。

「私は世界皇族三千院家当主、セレネお嬢様の執事、リクス・クシュリナーダと申します。
今は訳あってとある遺跡に行かなければならないので、こうしてこちらを通らせて頂こうというわけです。」
(現状、彼が先のルート様と敵対していたのは明らか、即ち、どちらかがアルカナであり今一方がその敵対者であると考えられます。
『大学』がどちら側かわわかりませんが、少なくともこの白衣の方は大学関係者、そして私達がここを通ることをあまり快く思っていらっしゃらないようですね。)

影による防御。それは速度にもよるが、最悪、あらゆる攻撃を呑み込まれかねない。
影による攻撃。それは錬度にもよるが、最悪、あらゆる方向から攻撃を受けかねない。
強敵である。

(やはり『眼』を持つ方と戦うのは、いささか骨が折れますね。)

リクスは適応した。次の敵は白衣の男。ルート・ルートへ用意した手札は全て捨て去らざるを得ないであろう。
結構な損害を被ったレイジンの部隊の次の一手に最大限の注意を払いつつ、三千院家の黒執事の、第2ラウンドが始まった。

395 :名無しになりきれ:2009/06/14(日) 22:11:45 0
かけられた声に、『世界』は僅かに振り返り、言葉を返す。

「……ほう、愚民の分際でよく『月』の包囲を抜け出したものだ。
 一度なら偶然で済むが、二度というのは必然だ。
 下がれ『正義』。我は少し興味が沸いた。この「Y」を名乗る愚民にな」

世界は、いつの間にか「Y」の背後に無音で立っていた
『正義』に指示をだし、『正義』もそれに従う。

「……愚民よ。先の請願だが、貴様の愉快な行為に免じて特別に見学は許可してやろう。
 だが……ククク……しかしながら、貴様は実に壊れているな」

道化師を見るような目をしながら、傲岸不遜な声色で言葉を並べる『世界』。

「貴様は、我の目的など知らぬ。そして、逃げようと思えば逃げられた。
 月を出し抜く瞬間に我ではなく外に向えば、少なくとも生存確率は上がったのだ。
 しかし、にもかかわらず我に向かってきた……無為な興味本位に命を賭けるとは
 普通の愚民には出来ぬ、普通の愚民ならば行わぬ行為だ。実に壊れている。
 すばらしい心がけだ。それ程までに我を愉しませたいか?」

「まあいい……せっかく見学を許してやったのだ。座興の演目を知らねば面白くなかろう?
 故に、我が目的を特別に教えてやろう、愚民よ」

言葉ではそう言うが、『世界』はYのことなど見てもいない。
ただ単に、己が語りたいから語っているだけだ。

「我の目的、それは実に明快だ――――即ち、この『世界』の作り手の排除。
 愚民共にも判りやすく言うならば、創造主共の殺害だ。
 このヨコシマキメの力の根源、黒の歴史を利用して、我はそれを成す」

396 :名無しになりきれ:2009/06/17(水) 00:05:02 0
「娘との出会いはそう、葉月舞う頃のよく晴れた日でした。その日私は所要で町まで出かけたのですがァ……」

レイジンは訥々と語りだした。『妄想娘自慢百夜語』……いもしない娘について百夜ほどぶっ通しで語り続ける彼の必殺技である。

喰らった者は例外なく幽鬼のような表情で「見える!僕にも隊長の娘さんが見えるぞ!」と呟きながら白い壁ばかりの病室へお世話になるため、
懲罰房より酷い処罰として部下達から恐れられている。無論レイジン本人にそのつもりはまったくなく、ただの自慢と自己解釈しているため
今回の発動も純粋に娘自慢でルートにねたみそねみと羨望の感情を植えつけようとしてのことである。

(いくら珍妙といえど人の子であることに違いはない。百戦錬磨を誇る私の娘自慢で嫉妬の闇に堕ちてもらいましョう……)

そしてルート・ルートは闇に堕ちた。本当に、物理的な意味で闇に堕ちた。
闇に潜るほど娘自慢が心に刺さったのか、とレイジンは一瞬だけ自分の能力の可能性に思いを馳せてみたが脊髄がそれを否定し、
同時に破砕された建物の窓に自分の部下がまだ残っていることに気付いて通信機をとった。

「各チーム、応答を……!!応答せよ……!!連絡がつかない、まさか全滅……?」

「なんなんだお前!?この爆発と今の消失、お前がやったのか?新手の邪気眼使いか……!!」

「狙撃に向かった実働班から通信が途絶えました!GPSマーカーも機能してません!」

ついさっきまでルートが立っていた場所に黒影が広がり、白衣が降りる。眼鏡の向こうで含みを持った眼光が弓なりに笑っていた。

レイジンは動揺し色めき立つ部下達を片手で制し、白衣との間に身を割り込ませるようにして仁王立ちする。
何より彼の知覚が、勘が、何重にも着込んだ対異能プロテクターが、目の前で笑う男から放たれる邪気を受けレイジンをそのばに縫いとめていた。

「さて、そこな二人。「世界基督教大学」に何の御用かな」

白衣の男が口を開く。それは誰何であり詰問であり審問だった。分かりきったことを、とレイジンは胸中で言葉を飲み込む。

分かっているのだ。質問に意味はない。この男の目的はこの場の殲滅でありそこに協力や妥案などといった日和は存在しない。
だからこそレイジンは応えることにする。己の指標を見失わぬように。ここで退けばきっと自分が何者かもわからなくなる。

「本日三回目の名乗りですねェ。『調律機関』のレイジン・シェープスです。世界基督教大学に用はないんですがァ、『この下』にちょっと
 厄介な案件が控えてまして。貴方も相当な使い手とお見受けしますが、関係者ですかねェ?まぁそんなことはどうでもよろしい」

だからこそ。

「貴方が散らした窓辺の者達は私の部下でしてねェ――仲間の仇です」

調律機関実働部隊、その全員が付和雷同に声を揃えて、

『『『――――地獄へ堕ちろクソ野郎』』』

白衣に向かって中指を立てた。

397 :名無しになりきれ:2009/06/19(金) 00:40:24 0
(自分の立ち位置を名乗る二人、そして高々と中指を立てるレイジン。そんな様子をノー・リアクションで見終えて)

…ふむ、上等だ。そちらが「三千院」でこちらが「調律」だな?
目的は矢張り遺跡───か。やれやれ、それが‘世界の選択’であるとはいえ…。
せめて大学構内でない地に出没してくれれば探索を中断することも無かったのだがな……。

あー、私も名乗っておくとしよう。
私の名はアリス=シェイド。世界基督教大学『管理役』の一人にして、無限に広がる知識の海を探る探求者。
今回のケースにおいてそちら(調律機関)の行った「大学への武力介入」は我等《大学》の定めた規約に反し、よって我等は──ええい、面倒くさい。

要約しよう───(にこりと口元のみの微笑みを覗かせ)───大人しく撤退しないのなら、潰す。お分かりいただけたかな?

さて目の前で勇ましくも中指を掲げ私個人若しくは大学へ宣戦布告を宣言した調律機関の貴様。それは撤退の意思が無いとみなさせていただこう。
三千院側がどう出るかはわからんが、潰せる方から潰させてもらおうか…。

(言い終えると同時に一歩下がり、自分の影と建物の影を重ねる)

────「影探眼」発動。

(割れた窓ガラスの破片がずぶずぶと影に飲まれ、ワンテンポ置いて一斉にレイジンへ向け発射される)

398 :名無しになりきれ:2009/06/19(金) 01:34:49 0
【ヨシノはただ壁によりかかり、未だ気を失ったままのアスラを気にかけながら、それでも何かあればすぐ飛び出せる態勢で
 ことのあらましを見ていた。もっとも彼に状況をどうこうできる力があるかは別の話であるが】

……そしてこの状況をどうこうする必要があるのか否か、ってのもまた別の話だな。

【ヨシノの人一倍鋭敏な邪気知覚でも、『悪魔』の殆ど戦闘力が残されていないことを証明している。
 それどころか、積極的に命を削るような行動に出ているフシがある。『歪』からの脱出に力を使い果たしたのか、あるいは】

(酷く内罰的だな……武闘家ってのは等しくそうなのかもわからんが。それでもこいつの行動は、あまりにも退路を見ていない。
 精神的に帰りの燃料を積んでないやりかただ。何がそうさせる?何に心を奪われてる?――ステラ。そういうことか)

【単純な理屈だった。それはあまりにも単純すぎて、答えに辿りつくまでにかえって遠回りをしてしまった。
 あれこれ考える必要などなかったのだ。『悪魔』は始めから自分に正直で、単純で、単細胞で、それ故に極めて純粋だった】

(惚れた弱み……か。理屈じゃあないのだろうに、いちいち論で纏めようとするのは俺の悪い癖だな)

【自分にはわからない感情だろうとヨシノは自嘲した。理屈屋ながらも生粋の変態である彼にとって、純愛とは最も程遠い現象である。
 理屈で理解はしても本当の意味で『わかる』のはいつになるのだろうか。答えの出ないままもう二十余年を生きてきたヨシノにとって、
 『悪魔』の正直過ぎる感情には辟易しつつも一抹の羨望を抱かずにはいられないのだった】

(ん?あれは……宝石?いや、『眼』の成れの果て、しかも中からはまったく別の邪気が感じられる)

【『悪魔』がステラに手渡した"それ"は、彼の邪気と同じ色に輝きながらも内包する邪気に彼の残滓は感じられない。
 光が逆光となってステラの表情も読めず、ヨシノは熱のこもった息を吐き出しながら、そして『悪魔』が今度こそ掻き消えるのを感じた】

ラ・ヨダソウ・スティアーナ。言うまでもなくアンタの死は安らかだろう『悪魔』。

【一陣の風が吹いたのを最後に、今度こそ闘いの終わったのをヨシノは見た】

399 :名無しになりきれ:2009/06/19(金) 20:54:31 0
(……これはまずいですね。)

リクスは感じた。
『調律機関』の面々は、白衣の男にむき出しの敵意を抱いている。しかし、眼前の敵は意志の力でどうこうできるレベルを超えている、というのがリクスの率直な感想であった。

『大人しく撤退しないのなら、潰す。お分かりいただけたかな?』

冷厳な宣告である。しかし、リクスにもやるべき仕事がある。

『三千院側がどう出るかはわからんが、潰せる方から潰させてもらおうか…。』

(割って入るべきですね。いくら彼らが邪気眼使いとの戦闘に長けているとはいえ、白衣の彼シェイド氏の「力」は小手先でどうにかなるものではないでしょう。『ノーダメージ』で突破するのは不可能、どうやら今度こそ、私の出番のようです。)

リクスが仕掛けようとしたその時、再び影が動いた。

(ガラス片!?それもこれほどの量、まともに受けてしまっては)「氷結せよ」

リクスは言い、レイジンの付近の大気が氷結する。しかし、無情にもそれは、間に合ったとは到底言い難いものであった。

(私の術式では半分も防ぎきれなかったようですね……やはり私が前に出ることにしましょう。)
「これは困りましたね。残念ですが彼らは私の同行者、これから予想される険しい遺跡内での戦闘に際し、必要不可欠な方々です。
彼らを排除するというのなら……まず、私と一戦交えていただきましょうか。」

次の瞬間、シェイドが立っていた地面が急激にせり上がる。リクスが生み出した氷柱である。

「彼の先ほどの口ぶりから言って、おそらく大学構内に協力者がいます。あなた方はその『助手A』とおっしゃる方を合流前に処理していただけませんでしょうか?」

答えを聞く間もなくリクスも後を追い、二人のバトルステージは空中へと移動した。しかし、それだけではない。

「『氷結眼』」

取り囲むような氷の球が幾重にも形成され、二人のフィールドの周囲を覆い尽くす。

(どうやら予定通り、光の反射によって内部は完全に暗闇にすることができたようですね。)
「影とは、一体何なのでしょうか?」

リクスは、『影の使い手』たるシェイドに問う。

「『光あるところに影あり』。では、この命題の逆の真偽は如何なるものでしょう?
今、このフィールドには『光』が存在しません。あるのはただ闇のみ、『光の対として生じるもの』は見当たりませんね。」
(無論そんな言葉遊びをしたところで、彼はおそらくこの空間でも、私にダメージを与える術などいくらでも持ち合わせていらっしゃるのでしょうね。)

あと一手、そう思いつつもついにリクスが仕掛けた。
懐から放たれる銀製のナイフ。どうやら、他の武器の持ち合わせは乏しいようである。

(やはりこの程度では傷を負わせることすらできないようですね。それなら……)
「ぐはっ」

シェイドの反撃である。先の戦いのダメージに加えシェイドの攻撃、そして彼から常時放たれる強力な邪気。シェイドとは対照的に、リクスはかなり消耗しているように見える。

単純に、『危機』である。しかし……

「では、そろそろ行かせていただきましょう。攻撃の効かない相手には、『軸』を変えた攻め方を。」

不敵に微笑む黒執事。本当の意味での邪気眼同士の戦いの、幕開けである。

400 :名無しになりきれ:2009/06/19(金) 23:01:46 0
ステラは立っていた。『悪魔』も立っていた。二人の間を隔てるのは一間もない距離のみである。
冗談のように朗々と語るその声が、嘘のように静まり返ったその姿が、『悪魔』の"裏返り"の証左として虚空に満ちる。

『悪魔』の独白に、ステラはただ頷いていた。独白に水を差すほど無粋ではないし、そもそも声が届くのかすら怪しい。
それ以上に、彼の言葉を一字一句たりとも洩らさず海馬に刻み付けておきたい。

意思よりも意志、意志よりも遺志。
ここで彼の独白を自分の言葉で途切れさせてしまえば、それ以上言葉を切らせてしまうかもしれない。最期の言葉を。

そうなればきっと、後悔するはずだ。

だからステラは頷くだけに留めていた。『悪魔』の口からどんなに歯の浮くような愛の語らいが漏れ出そうとも、
全て受け止めていた。『悪魔』の声が擦り切れたテープのようになっていく。聞き取り辛いのではなく、聞くのが辛くなる。

『悪魔』が歩み寄る。ステラへと歩み寄る。差し出した手は既に崩壊が始まっており、しかし何かを請うように掲げる掌には力強い光。
渦巻く翠玉の奔流は、黄金比の回転を思わせる螺旋の軌跡と軌道をもって収束し、やがて一つの宝石を創り出す。

ステラには、否ステラ=トワイライトには、否『太陽』には、それに内在する邪気が、魔力が、気配が、誰のものか理解できた。
理屈を越えて、知覚を抜かし、感情を置き去りにしておきながら、それが『星』のものであると知ることができた。

『姉さん――』
                                              『わたしは『星』ですから。姉さんの傍で輝ければ――』
                『姉さんまたそんな服――』
                                         『後はお願いします――』
  『それが世界の選択ですか――』
                                             『わたしが出ます。アルカナ二十二柱がひとりとして――』


                        『行いましょう。私達の在るべき力への存在転換を』
                     
                       『定めましょう。かつてとこれからを見据える確定視点を』  

                           『――トワイライトの姓は光と共にあると』


知った瞬間、今まで押さえつけてきた感情が、心に積み上げた防波堤が、涙腺を封じた覚悟が、全てが押しのけられ、
それは決壊した。

「あ、あ、あああ、ああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!!!!!」

視界が滲む。『悪魔』の体は最早原型を留めないほどに崩れていたが、それを上回ってステラの視覚が歪んでいく。

目尻がその許容量を容易く放棄し、銀の筋となって頬を伝い落ちる。顎の先から落ちる雫の一滴一滴が、皆一様に同じ
『悪魔』の歪んだ表情を写し取っては、石畳に当たって弾けていく。水滴の歪みを『悪魔』の崩壊が凌駕し始めたとき、

「『悪魔』……『悪魔』ッ!!『悪魔』『悪魔』『悪魔』『悪魔』『悪魔』『悪魔』『悪魔』ァァァァァァァァァッッ!!!」

贖罪ではなく、後悔ではなく、ただ感謝だけでステラは叫んだ。喉の奥で感情が震えた。熱い発露が体中を駆け巡った。
『悪魔』はそこにはいなかった。最早どこにもいなかった。そして彼は、どこにでもいた。

どこでもなく、ここに。ここでもなく、そこに。『悪魔』の残滓は『星』の雫となって、ステラの手の中にあった。
膝を折って、彼女はその場に膝をついた。会わせた両手に中に緑玉の宝石を包み込んで、それはまるで祈りだった。

「ありがとう……『悪魔』。ありがとうッ!私はもう大丈夫。『これから』が見えたから。全部終わるときまで、背負うから!
 貴方の決意も覚悟も過去も未来も意思も意志も遺志も何もかも全部ッ!!『黄昏』の名の下にッ!!『悪魔』の愛したステラ=トワイライトとしてッ!!」


零れ落ちる涙の粒に、『悪魔』はもう写らなかった。かわりに雫は翠に光って、やはり地面へと消えていった。

401 :名無しになりきれ:2009/06/20(土) 08:56:31 O
はい、おしまい。

402 :名無しになりきれ:2009/06/21(日) 12:46:16 0



流れてる────



私が最初に感じたのは、そんな感覚。

何に?何かに。
背中を押す絶対的な力が、私に進めと命じている。

《力無き力》───物理的な力を加えずとも対象を歩みださせる《力》。プレッシャーとか呼ばれているらしいが、今の私には理解らない。
私は抵抗する術もなく、押されるがままに一歩踏み出した。

足首の辺りまで冷たい感触が走った───これは水か。

両足を水に浸し、私は川辺に立つ。
背中からの《力》は尚も強さを増し、私の本能に『ただ進め』と命じる。

手に力が入らない。
歩むべきでない一歩を、私は踏み出そうとしていた。
そこに自分の意志が無い事など承知している。けれど、進む。それしか無いと背中が語る。

────ああ、これが死かしら。

惚けた頭も《理解》を始める。
私がそれを死と認識した瞬間、背中の声は語る言葉を変えた。


       「死ぬがよい」


《力無き力》が私の背中を押し続ける。その力はより一層強大になってゆく。
私はただその場に立ち尽くし、ほんの少しだけ、首を傾けた。

辺りの様子が目に飛び込んでくる。
闇よりも暗い空、醜いほどに澄んだ足元。全く、たったその二つで構成された世界────


────そこで私の目は、水辺を歩くもう一人の『男』を捉えた。

403 :名無しになりきれ:2009/06/21(日) 12:47:05 0
何処か儚く、何処か寂しげで、それは闇の向こうでおぼろげに「形」を保っていた。
ジーンズ穿き、Tシャツ一枚、額には切れた鉢巻───それはゆっくりと、噛み締めるように歩いていた。




────ああ、アイツも《向こう側》へ行くのか────
────私がこれから向かう場所へ、アイツも同じように向かうのか────


────ああ───アイツと行くなんて─────






────死んでも、嫌だ──────!






刹那、思考が覚醒する。

半目の目を見開き、丹田に力を集中させる。シナプスは私の言う事をとてもよく聞いた。

久々に主人の意志を聞いた体。とりあえず足を大きく震い、水面ごと宙へ蹴っ飛ばす。

上げた足をそのまま荒々しく地面に突き立て、ただ、絶叫する。




「こんなところで────死んでたまるか!」





404 :名無しになりきれ:2009/06/21(日) 12:49:53 0

太腿のホルスターに手を掛け、拳銃を引き抜いて掲げる。
確かに伝わる鉄の感触───それを今ここにある何よりも信頼し、撃鉄を持ち上げ、宇宙《ソラ》に向けて発砲する。

放たれた弾丸は闇を切り裂き、アスラの視界を青空で満たした。


「《悪魔》!」



叫ぶ。

先に行く者の名を。



「「またね」なんて台詞は死んでも言わない!約束する、私は絶対、二度とアンタと会わない!」



それは咆哮にも似た《誓い》─────



「私は絶対、死んでやるもんかっ!」



たかがヨコシマキメ、たかが邪気眼使い、たかが《アルカナ》───



「邪魔する奴は、片っ端からふっ飛ばす!」



そう、それは私の唯一の望み─────



「最後まで────キッチリ生き抜いてやる!」






その言葉を最後に私の視界は暗転し、
そして私は目を覚ました。

405 :名無しになりきれ:2009/06/21(日) 12:52:34 0
……………ん〜……はっ!今三途の川渡りかけてた!
危ない危ない。うっかり死んじゃう所だったわ…。

(寝起きの頭で辺りを見回す。となりにはメイド服を着た半透明のヨシノ君、ちょっと遠くに宝石抱えて泣いてるステラが見えた)

おい、こらそこのロリメイド。どういう状況か三行以内百字未満で説明しないとあんたの子孫が七代に渡ってゲフンゲフンされるよ。
……冗談だってば。

えーっと…あいつは倒した…って事でいいのよね?どっか空間突き破って復活したりしたら私は泣くよ。
そこでさめざめと泣いてるステラちゃんは…うーん、ありゃ結界張ってるね。
「なんか入っちゃいけないムードの結界」だ。夜の大学とかで張ってる奴結構いるのよねえ…あの手の結界。

まあ、とりあえずあの結界が切れるまで情報ちょーだいよ。…そうねえ…悪魔がどうやって死んだか、あの結界が張られた訳あたりが聞きたいかな。

406 :名無しになりきれ:2009/06/21(日) 14:36:44 0
一定のリズムを刻む、軽快な足音が静かに響く。
それは昼下がりに休憩の場所を見つけるためのような散歩の音でもなく、決められた時刻までに到着するために早足で急ぐ音でもない。
更なる記録を出すための全力疾走の音でもなければ、戦いに負けた兵士の敗走や逃走の音でもない。
ジョギングだ。
健康を維持したりといった程度の目的以外にはあまり用いられない走法。
戦闘や探索には全くと言って良いほど向かないものだ。
遺跡の奥へ奥へと進むために、フェンリルは使っていた。

狼のような邪気眼使いは、影の邪気眼使いに数分前言われた言葉を思い返す。
「どうにも締まらない邪気眼使い」――フェンリルを形容した言葉。
思い出して、口の端を歪めた。

「『締まらない』?締まらないんじゃない。私は締めないんだよ、アリス」

地上に居る聞こえるはずのない邪気眼使いに返答を送り、にやけた顔のまま奥へとどんどん進んでいく。


だが、フェンリルは唐突に立ち止まる。
フェンリルの今の目標は『兎に角下へ、奥へ進む』である。
しかし現状はどうだろう。
結構なスピードで進んでいるにも関わらず、下層へ降りる為の穴も階段も一向に見えては来ない。

――更なる戦いを望むんだろう?力が欲しいんだろう?『破壊者』になるんだろう?
全てへの答えはイエス。
ならば下層へと進まねばならない。

そして思い至る。
道が無いなら――自分で作ればいい。

そう考えた瞬間、フェンリルは左の拳を振り上げた。
上層の時と同じように遺跡の床をブチ壊して下層までたどり着くのだ。
辺りの邪気を吸収して、真っ黒になった左腕を土気色の床へと全力で振り下ろした。


そこまでは一緒だった。
前回と違うことといえば――――白虎と2度戦って、更に強くなったこと。
それによって、フェンリルが地面に与えた衝撃は、物理的に遺跡を揺るがさんほどになったことだけだった。

407 :名無しになりきれ:2009/06/21(日) 19:31:01 O

クク……これでも、それなりに合理的な思考に基づいて言動をしているつもりだがな。
まあ、誉め言葉として受け止めて置こうではないか……汝はどうやら出会いに乏しかった様子だしな。


(クソッ、余裕こきやがって……! あのプレートを、奴に渡す訳にはいかない!)
(散々忌避していたリバイヴの為にも……しかし、創造主共の殺害って一体……)
(そして、【黒の歴史】、ブラッククロニクル……バカな、そんなものを制御できる筈がない!)

(だが、どうする……このまま時間稼ぎをしても、誰かが現れる気配すらも……!)
(どうなってるんだ……新たに1人や2人、少なくともフェンリルは来ると思ったのに!!)
(それとも、俺達がただ単に上手く行っていただけ……まずい……まずいぞ!!)


……疑問だな。何故、斯様な企てを画するのだ。創造主など居ようが居まいが大差あるまい。
其れに、【黒の歴史】を用いると聞いたが……魅入られた者は、皆等しく滅ぶと云う。
何でも、魔獣がどうとか……黒の歴史を崇拝する秘密結社も其処彼処にあるらしい。

其れは良いにしても……それで。創造主共を殺めた暁には、一体何があるのだね。
あれだけの人数を率いれるなら、何か其れなりに彼等を惹きつけるモノがある筈なのだ。
巻き込まれる身としては……最低、<どうなるのか>は知っておきたい処だが。


(チィッ、このまま意味のない時間稼ぎをうだうだやってる暇なんてない! ないけど!)
(それならどうすりゃいいってんだよ!! 俺とリーで、どうにか好転させるっていうのか!?)
(なる訳ない……無理だそんなの……! こんな奴らと、一体どうやって対抗し

408 :名無しになりきれ:2009/06/21(日) 19:47:50 O

<――――震える地面、定まらぬ足元、奮える大音、儘ならぬ足音>
<突如として降った巨大な衝撃が、唸る轟音を従えてこの遺跡を乱暴に揺るがす。>
<青年は即座に直感した。このような荒事を如何にもしそうな奴を、偶然知っていたのだ。>

<そして青年は、これを膠着状態にあった深奥の状況を打破する一縷の好機だと判った。>
<もしこれが、『フェンリルの起こした、この最下層まで続く穴をぶち開けた』音だとすれば、>
<フェンリルや、その他いるであろう侵入者達も辿り着く可能性が出現したからである。>


<しかし、それは青年の頭に浮かんだ『三つの勝機』の内の一つでしかない。>


<二つ目の勝機――それは、青年が後ろ手で送った《サイン》にあるのだとしたら、>
<そしてそれが、「月」を倒している頃であろうリーへと宛てたものであったとしたなら、>
<更にその《サイン》の内容が、『「世界」の儀式を阻止する為の攻撃のGOサイン』であるとしたなら、>


<その勝機の内容は、皆様にも容易にご理解いただけるのではないかと愚考する次第である。>


――――……やはり俺には、アンタの計画を隔てるような配役は割り振られてないみたいだな。
と、同時に……アンタも、計画の遂行を達成するような役柄には選ばれてなかったらしい。

お互い、不憫な役回りだな……此処は、二人で日本酒でも酌み交わすとするか……「世界」サンよ。


<最後に青年は<仮面>を引っ剥がして、酒の入った水筒を懐から取り出し乾杯をした。>

409 :名無しになりきれ:2009/06/23(火) 08:19:45 0
『――術式起動。領域型障壁<ウォールオブバベル>』

調律機関実働隊は既に召集を終えていた。術式による防御を確実のものとするためである。
彼らの足元には既に術式陣の敷設がされてあり、それは一瞬で半透明の円柱へと姿を変える。

さながら天を突き刺すように。

大規模ながらも安定した術式発動は専門部隊・術式班の叡智の賜物である。
得てして『虎の子』と評される彼らは戦場にいながら術式分析や発動を行える文武のエキスパートであり、
調律機関は攻防においてその恩恵を多分にうけていた。

シェイドの放ったガラス片は無数に及び、それはあらゆる方向から発射される。リクスのサポートによっていくらか減衰された
凶器の群れは、しかし防御の円柱に深く深く突き刺さる。鼻先数センチにまで侵攻したガラス片はやがて天まで続く柱の重量に押しつぶされた。

「彼の先ほどの口ぶりから言って、おそらく大学構内に協力者がいます。あなた方はその『助手A』とおっしゃる方を合流前に処理していただけませんでしょうか?」

リクスの言葉に調律機関の面々は見る。憎き仇敵、シェイドの姿が巨大な氷塊によって覆い隠されるのを。
それはさながら檻だった。人二人を内包して尚有り余る広さを空間から切り取ったかのような所作。

「ほォ。空気中の水分氷結をここまで微細にコントロールできますか。まさに『氷結眼』の面目躍如といったところですねェ」

「隊長!俺達も加勢しましょう。あいつ絶対許さねぇ蜂の巣にしてやる」

同僚の仇とばかりに隊員達が色めき立つ。レイジンだけが状況を冷静に俯瞰し吟味し、指揮官としての最良を選ぶ。
ともあれ助かった、と思う。気勢に推され大啖呵を切ったはいいが、広範囲に一瞬で高威力の攻撃ができる相手に対し、
数と戦略で圧倒する調律機関の戦闘スタイルは極めて不利に働く。ここは同レベルの能力者に任せるのが最良とレイジンは判断した。

「執事氏に任せましョう。我々が加勢したところで白衣氏にとッてそれほど障害にはなり得ないでしョう。珍妙氏や同志のようにね」

まるで戦力外通告のようなもの言いに血の気の多い隊員は耐え切れず反駁する。レイジンに指揮官として絶対の信頼を置く彼らにとっては、
それは極めて異例にして意外な行動だった。仲間の仇。その言葉に縛られるように彼は言葉を紡ぐ。

「でも!このままやられっぱなしなんて死んだ奴らに示しがつきませんよ!チャーリーもマイクもタカヤマもパクも、みんな奴に――!!」

「だからこそ、ここで貴方が死ねばもっと言い訳がつかないでしョう?死んだ者に示しをつけたいなら、彼らに安らかな眠りを与えたいなら、
 生きて探しましョう。彼らに言える最良の報告を。そのために必要なのは犬死になんかじゃありませんねェ?」

レイジンは鉄面皮いほんの僅かだけ、唇に皺が寄るくらいの表情を含ませて言った。

「一矢報いるならもっと他に良い方法がありますでしョう。執事氏の言ッていた『助手A』とやらを見つけ出します。いいですか?」

「……了解です。必ず見つけ出して蜂の巣にしてやりますよ!」

ひとまず戦況をリクスに預け、調律機関実働隊は大学構内へと散開した。

410 :名無しになりきれ:2009/06/24(水) 09:09:53 0
『悪魔』が死んだ。今度こそ消え去った。
代わりに奴の邪気眼と同じ色をした緑玉の宝石が残り、それを掲げる少女の目に光るのは涙。

俺にだってなんとなく状況を察することはできたし、心中を垣間見ることも難しくはなかったが、
なんとなくそこへ踏み込むのは憚られた。どの道あの娘は立ち直るだろう。わざわざ俺が声かけに言って火に油を注ぐこともない。

考えるべきことは他にある。例えば先程の戦闘は、連中の口ぶりから察するにアルカナ対アルカナの内乱戦だったらしい。

あの娘、ステラがアルカナだったという事実、にも関わらず侵入者を排除するどころか護ったという状況、そして何より闘いを望んだ
『悪魔』の行動。それらを加味して考慮するに、暗中模索に見えたこのヨコシマキメ攻略にも光明が見えたのかも知れない。

アルカナは一枚岩じゃない。

どこかにいるであろう親玉によって統率を取られていると思っていたが、それは一部だけで恭順しない連中も少なからずいるのだ。
ステラや『悪魔』のように。彼らは自分の目的にのみ沿って行動している。

つまりそれは、残り二十人相当居るであろう大アルカナ、特級能力者達の全てを相手にする必要がないということになる。
現に一人を戦力として迎え入れている。そして俺達の他に幾人か先行している侵入者達。彼らが敵ではなく同じ侵入者なら、
他の大アルカナとも何戦か交えているはずだ。そういった現状を考えるに、遺跡の強行突破は案外悪くない道なのかも知れない。

そして俺自身に芽生えた新たな力。先の『悪魔』戦で生じた、不可解な予測能力。相手の動きを先読みし、相手の求めるべくを知る。
見たのだ、この眼で。俺の『倒錯眼』は道具の対象を任意に選択する能力。『眼』で、『動き』や『望求』を見たと考えるべきだ。

(邪気眼が進化している……?概念に対して干渉できる能力じゃあなかったはずだ……)

それは新たなる可能性への第一歩。邪気眼はなんでもありの能力であり、そこに限界はない。求めれば、まだまだ未知を見せてくれる。
俺にも戦えるかもしれない。戦場の隅っこでのうのうと解説役に成り下がっていた日々に三行半を突きつけてやれる。
邪気眼の進化を上手くコントロールしてやれれば――!!

ふと、隣で気絶している姉さん――アスラの方へ意識を向けると丁度目覚めようとしているそのときだった。
 

                                   ―――――――― 
 
【『悪魔』の消えた空間には、ヨシノとその隣で覚醒したばかりのアスラ、そしてさめざめと涙を流すステラだけが点在している】
 
起きたか姉さん。全て終わったよ――とりあえず"もう"復活することはないだろう。あの娘の涙が証拠さ。
(何やってたんだこの女……どうにも意識が見えないと思ったら死にかけてやがったのか?)

とりあえずアンタも俺も、死霊の仲間入りだけは避けられたようだな。いやかなり際どかったが……まあ及第点だろう。

……『悪魔』はあの宝石を遺して死んだ。色でなんとなく察せれると思うが、『眼』の残骸――『遺眼』、そう呼ばれてる代物だ。
邪気眼使いが死ぬ要因には大きく三つあってな。一つは闘いによる死。一つは病による死。そして最期に自らの邪気に飲まれる死。

三番目の死は体そのものが塵となって消えうせ、代わりに生前の輝きを残したままの邪気眼が残る……それがあの『遺眼』だ。
眼といっても成分はほとんど鉱石と変わらないいわゆる宝石なんだが、中に持ち主の邪気を封入しておくことで擬似的な復活や
肉体を伴なわない顕現といった術式が可能な――まあ平たく言えば魔法具の類になるわけだな。

……オーケー、本題に入ろう。悪かったよ、どうもこの手の薀蓄は長くなりがちでな。薀蓄といえばもともとの由来は――すいませんでした。

とにかく中に邪気や肉体の残滓が封入されてるんだ、あの宝石の中には。どうにも『悪魔』は自分を残すことを放棄して、別の死んだ誰か
をそこに封じ込めたらしい。それが、ステラの大切な人のものだったと。それでずっとあんな感じだと。ここまではよろしいか?

オーケーそれじゃ薀蓄に戻り……はい申し訳ないでした!!

411 :名無しになりきれ:2009/06/24(水) 21:47:30 0
今日も俺なりの使命を果たそうと必死に情報収集をする。
場所はは"2ちゃんねる"という、いわゆる巨大匿名掲示板だ。

巨大匿名掲示板─────

米粒のような1レスでも、もしかしたら貴重な情報が隠されてるかもしれない。
現に今東京で蔓延している謎のウィルス(政府からは"Yウィルス"なんて呼ばれている)関係のスレが
次々と立っては消されていく。これは何か"裏"がある。
巷ではどっかの宗教や財閥が図った計画なのでは?という噂が飛び交っているが、
あながち間違ってはいないのかもしれない。

東京では大混乱が続いている。

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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 18:39:12.88 ID:aujB74GzO
なんでおれたちがこんな目にあわなくちゃいけねーんだ史ね政府
早く外出許可だせ

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 18:39:52.61 ID:ovgxcSG70
で、結局邪気ってなんだったんだ?

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 18:43:55.97 ID:aujB74GzO
邪気ってあれだろ 昔あった邪気眼使いのことだろ
噂だと政府とかでっかい財閥がそいつらを使っていろんなお偉いさん暗殺とかしてるっていう都市伝説

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 18:45:44.70 ID:DadaScSG70
このご時勢政府が隠蔽してもしきれず誰かが漏らしたんじゃね?

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 18:47:29.20 ID:aujB74GzO
まぁどっちにしても多分ここも見張られてるだろ VIPなんて特に

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/24(水) 18:51:56.68 ID:ovgxcSG70
悪魔

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 18:52:55.54 ID:aujB74GzO
 \                    /
   \  丶       i.   |      /     ./       /
    \  ヽ     i.   .|     /    /      /
      \  ヽ    i  |     /   /     /
   \
                                  -‐
  ー
 __          わ た し で す            --
     二          / ̄\           = 二
   ̄            | ^o^ |                 ̄
    -‐           \_/                ‐-

    /
            /               ヽ      \
    /                    丶     \
   /   /    /      |   i,      丶     \
 /    /    /       |    i,      丶     \  

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といいつつも、何が真実で何が嘘かは全く分からない。
しかし、世間では"邪気"という言葉が広まりつつある。
政府や科学者達はこんな子供の妄想じみた概念を、と
バカにしているが、これはもしかしたら、、、、、、

412 :名無しになりきれ:2009/06/25(木) 16:23:12 0
<世界基督教大学・食堂>

食堂のおばさんは困惑していた。

この職に就いて三十余年、職業柄本当に色んな客を見てきた。それはこの大学の食堂に入ってから極めて顕著になったが、
それでもおばさんの許容できる範囲内でのことである。朝からぶつぶつ独り言をいう男も、全身黄色の変態女も、まだ理解できた。

春だから。暖かいから。気の毒だから。

そんなトートロジーめいた理屈付けで幾人もの奇態を記憶の彼方に葬り去ってきた。それで世界は正しく廻ると信じていた。
それでも、そんな歴戦の勇士たるおばさんでさえ、人並みはずれた鈍さと豪胆さを併せ持つ大学食堂のおばさんでさえ、
目の前の現実は許容できない。

少女の形をした人形が、喋って動いて、あまつさえハヤシライスを頬張っていた。

美しい人形だった。おばさんがあと半世紀遅く生まれていれば、大喜びで服を着せ変えたり外に持ち出して自慢したに違いない、
それはそれは綺麗な少女の姿をしていた。ともすれば人間と見紛うその容貌は、しかしどこか無機質めいた雰囲気によってそれが
等身大のアンティークドールであることを教えてくれる。良く見れば眼は翡翠だし間接も被服材の下に球体の角ばった丸みがわかる。

しかしスプーンを持って口と皿を行き来させるその挙動が、隣に座る男と会話するその声が、口の周りについた食事の証左が、
おばさんの現実認識をコペルニクスレベルで覆してしまう。常識という名の普遍を遠い彼方に置いてきぼりにして、世界は新たな選択をする。

「――この、シチリア産岩塩チーズパスタってのをもらえますかね?」

人形の所有者らしき男が口を開く。長い髪を結わえただけの無造作な容貌に、季節違いもいいとこなカジュアルシャツ。
目鼻立ちは中性的で整っているにも関わらず、退廃的で間の抜けたニヤケ面が全てを台無しにしている。

「胡散臭い料理名ですわね、クレイン様。シチリアの塩は岩塩でなく海水から採るのではなくて?」

人形がクレインと呼ばれた男の注文にコメントする。人形の癖に妙に博学である。と、おばさんは少女への認識を新たにした。
ちなみに食堂の料理名は全ておばさんが独識と偏見と雰囲気と勢いだけでつけたもので、『シチリア産岩塩チーズパスタ』に
使用されているのはシチリアどころか岩塩ですらなく市販の食塩、中国産の500g98円である。

「雰囲気さえそういうものだと認識していれば、人の脳は案外コロっと騙されるものだよマリー?
 そうでなくたって、僕らにそんな微細な味の良し悪しは分かりはしないんだ。だから、これはこれで正解だね?」

なかなかにいいことを言う。結局のところそれは本質を放棄した免罪符にしかならないのだが。
全体的に胡散臭い感じのこの男と少女がどのようにして電子施錠を抜けて入ってきたかは皆目検討もつかないが、
とにもかくにもおばさんは自らの職務を全うすることでつかの間の平静を取り戻すことにした。

「あんたたちが一体全体何者なのかとか、どうやってここに入ってきたかとかそういうことは聞かないことにするよ。
 どうせ聞いたってわかりゃしないんだろうしね。――とりあえず、」

メニューを指差したままニヤニヤ笑うだけの男に向かって教えてやる。

「うちは定食屋じゃないよ。料理が食べたきゃまず食券を買いなさいな」

413 :名無しになりきれ:2009/06/25(木) 20:20:42 0

「侮るな凡夫。歴史如きに犯されるならば、我はこの場に『世界』として立っておらぬわ」

「しかし、『創造主がいてもいなくても関係ない』とはな……ククク。
 知らぬとは存外幸福なのかもしれぬな。 ……愚民よ、創造主共を殺す事で
 世界がどうなるかを話したとしても、今の貴様程度には理解出来ん」


「『アンビシャス』、『アンブレイカブル』、『エターナルセンゴク』
『ヒーロー』『吉岡コウタ』『R』『シマ』『夢朗』『雅儒丸』
『蝶子』『クロークルワッハ』『重草』『苦堕鬼』『アレス』」

「『氷動令助 』『流命寺有栖』『「激情」のアルベルト』『御童紫苑』
『黒炎類』『南雲上枝』『アッシュ』『与賀潮コウダイ』」

「貴様は、これらの名を知らぬだろう?
 ……だが案ずるな、何もせずとも結末はもうすぐ訪れる。
 それを見て理解するがいい。『世界』の選択をな……」

紡がれるYの言葉。時間稼ぎを目的としたものであると、
『世界』でなくとも判断がつきそうなその言葉に、しかし『世界』は
口を開き、一つ一つ返答をする。それは慢心なのか、
或いは別の考えがあっての事なのかは判断がつかない。ただ泰然と、自身に語るように話す。

そして――――突如、ヨコシマキメが揺れる。それは、この物語に区切りでも付けるかのように。

「ふむ。そろそろ終幕か……さて『Y』よ」

「貴様が何を企んでいるかまでは知らぬが」

「我は『世界』、配役を抜け出た存在だ。道化如きの奇道は通じぬと思え」

紅のプレートは後一瞬の後に黒く染まりきるだろう。

414 :名無しになりきれ:2009/06/26(金) 01:57:57 0
『悪魔』の遺した『星』の残滓を片手に、ステラは泣いた。ひとしきり泣いた。
泣き疲れて、ふと辺りに目を遣ればヨシノと、いつの間にか目を覚ましたアスラがなんとも言えない表情でこちらを見ていた。
空咳を一つ。ステラは涙を拭いて立ち上がると、出来る限りの笑みを作った。

「……もう、へいき。へっちゃら。心配かけたね。もう大丈夫だから。先に進もう」

手元で未だ輝きを放つ『遺眼』に光で編んだ紐を取り付け、首からペンダントのように下げる。
全身黄色のコーディネートに新しい色が増えた。眼球の大きさにもかかわらず緑玉は注視を避けられない存在感を醸していた。
奇抜な形状の外套と合わせると、どこかの部族に民族衣装のようにも見えて、ステラは苦笑する。

『悪魔』は"これから"に希望を導き出してくれた。『遺眼』に込められた妹の邪気は、ヨコシマキメに散逸した彼女の肉体を
喚起するための媒介となる。つまりは、

(『星』はまだ、助かる……!そうと分かればこんなところで立ち止まってる場合じゃないよ)

『遺眼』の発動には特殊な技能と能力を持った邪気眼使いの協力が不可欠だ。
アルカナにそのような能力の持ち主はいなかったかとステラは脳内に検索をかけるが、そもそもアルカナ自体にそこまで
知り合いがいなかったことを思い出した。出身も来歴もバラバラの連中が集まる組織である。無理もない。

(やっぱり手探りであたってくしかないか……アルカナも何人残ってるかわかんないし)

自分を除いた残りのアルカナは二十一人。その内『星』と『戦車』が負けたことは知っている。そして『悪魔』。
となれば残りは十八人だが、『星』を倒した侵入者達の存在も考えると、もっと少なく見積もっていてもいいだろう。

(『塔』や『吊られた男』君は元気かな……『月』も。今頃アルキアナ諜報部もてんてこ舞いだろうし)

ともあれ今必要なのは前に進むことである。故にステラは全ての憂いを切り捨て、ヨシノとアスラの元へ向かった。
定めなければならない。これからを見据える確定視点を。そのために必要なものはそろっている。決意も覚悟も仲間も。

「改めて自己紹介するよ。私はステラ=トワイライト。元アルカナ二十二柱が一人、『太陽』で、――光を擁す『探求者』」

『悪魔』の"かつて"と『星』の"これから"、その二つを両の車輪にして、ステラは前へと踏み出した。

415 :名無しになりきれ:2009/06/26(金) 23:56:40 0
(放たれた影を氷の盾で受け止めるリクス。その様子を見てシェイドはほう、と声を漏らした)

氷結眼…か。
(手帳を取り出し、メモを取る)

大気中の水分を操ったのか…?成程、成程…面白いな…。
ふむ…しかしこれで貴様等はめでたく「侵入者」になってしまったわけだ。おめでとう。

ん…助手Aを狙う気か?それはいい。
奴は何度うっかり殺めても試験管数本で蘇るからな。奴が死ぬような技なら「研究の価値あり」だ。

(とはいえ、私の「有る筈のない実験室」は大学内で転移と消失を繰り返す神出鬼没の部屋…眼でもなければまず見つからんがな)

…まあ、「調律」一行が別行動を取ってくれるのは有り難い。「額に突きつけられた拳銃」を払う事が出来たというものさ。
私とて「突きつけられた拳銃」を全て破壊するような真似はしたくない…するには簡単だが、なにぶん面倒くさいのだよ。
そもそも邪気を行使する者としてだな──────ん?

「彼らを排除するというのなら……まず、私と一戦交えていただきましょうか」

……ふむ、氷柱…か。ほお、中々の精度だ。「作り手」たる貴様もそれを「可能」とする眼もそこそこの実力があるということか…。

参ったな。あくまで「管理役」として動くつもりだったが……このままでは「探求者」に戻ってしまいそうだよ…クックック…!


『氷結眼』


─────お?
(途端、シェイドを覆うように氷のドームが形成される。それは一つ一つは薄くとも何層にも積み重なった「壁」。
 ドームに侵入せんとする太陽光は氷の板に幾重も反射し、やがて力を失う。ドームの中はほぼ「闇」で満たされた)


416 :名無しになりきれ:2009/06/26(金) 23:58:01 0
(目の前の敵は悠然と「光と影」について語る。その姿がいつもの自分と重なり、シェイドは片眉を吊り上げた)

なーにを言っている「学ばぬ者」が。その手の座学は探求者たる私の分野だろうに…。
……まあいいさ。なんにせよ死に場所をセルフで造ってもらったんだ。無問題…さな。

(リクスが仕掛ける。懐から放たれるのは銀のナイフ。シェイドはそれを見切ってかわし、胸ポケットに差し込まれた金の片鋏を取って切り付ける。
 それはあまりに正直に、リクスの体に傷をつけた)

…なんだ、随分とやつれてるようじゃないか。
件の騒音馬鹿にやられたか?まあいいさ。その分なら────


────生け捕りもそう難しくは無さそうだな。


(世界基督教大学管理役はその一瞬だけ、探求者の顔になった)

参ろうか…氷の執事殿。『攻撃をさせない相手には、軸を変えた攻め方を』
(挑発するように、リクスの台詞を真似る)

まずは小手調べ……だ。
(終わるや否や白衣の管理役は跳躍し、顔面にストレートなキックを放つ)


417 :名無しになりきれ:2009/06/28(日) 23:32:48 0
リクスはひどく消耗していた。

邪気眼使いとの連戦、一人目の奇妙な男、ルートによる防御不能の音響攻撃と二人目の白衣の男、シェイドの片鋏による斬撃。
それらは、防御術式に乏しいリクスの戦闘力を逓減させるには十分であった。

『────生け捕りもそう難しくは無さそうだな。』

(言ってくれますね。ですが、確かにこのままでは分が悪いのは誰の目にも明らかです。どうやらこれまでの、圧倒的な威力と精度で相手に有無を言わさず消してきた戦闘スタイルが、仇になったようですね。
次のお嬢様の御命令までに、防御力をあげておく必要ができました。)

依然として戦闘中に他事が頭を過るリクス。少なくとも、思考力はいまだに奪われていないようであるが、皮肉にもそのことによりリクスは、シェイドの一瞬の表情の変化を見逃すこととなったのである。

(まずは距離をとって…)
『参ろうか…氷の執事殿。『攻撃をさせない相手には、軸を変えた攻め方を』』

次の瞬間、ステージの漆黒を割く白衣がリクスの顔面を襲った。先の攻撃により鋏を意識せざるを得なかったリクスは反応が遅れ、上体が後方に押される結果となる。

「ッ!」

声にならない反応。またもやシェイドの攻撃は、的確にリクスを捉えたのである。

(武器だけでなく体術、どうやら彼は正に一流の『使い手』のようですね。邪気眼、体術、武器による攻撃……彼のリーチには全くの隙がない上に、回避も防御も自由自在。概念系を除けば最悪の相手と言っても過言ではないでしょう。)

思考を深めるほどに揃い行く悪材料に、『敗北』の二文字が頭をもたげる。思い出されるのは先のシェイドの言葉。

『────生け捕りもそう難しくは無さそうだな。』

「寄ってきてくださるというのであれば……『アイスソード』」
まるで雑念を振り払うがごとく、リクスは術式を発動する。それは剣の名を冠していながらも、術者が触れることを要しない。

(このフィールドは私のテリトリー、周囲すべてが私の武器なのですよ)

中空とも思えた場所から現出する幾本もの氷剣、しかしシェイドの圧倒的な実力の前では決して有効打にはなり得ない。

(これでも駄目ですか。ですがこれで……十分ですね!)

あらゆる攻撃を見切るだけの実力の持ち主、影の使い手アリス=シェイド。それにも拘らずリクスは、一つの勝機を確信したのであった。

418 :名無しになりきれ:2009/07/01(水) 20:29:43 0
村井浩介(むらい こうすけ)は『調律機関』の特殊機甲搭乗員である。

今回の任務で奇しくも捨てたはずの祖国に戻ってきた彼は、懐かしい空気を肺腑に染み渡らせながら
己の手足となる汎用多足型戦車『ライドムーバー』の整備を待っていた。整備班とともに彼らを覆う特殊な結界は
外界からの一切の干渉から隔離することによって戦場での整備補給を可能とする。

「なっつかしいなー……もう五年かそこらになるっけか。こっから見える範囲じゃああんまし変わってねぇみてえだけどよ」

ムライが居るのは大学構内の中でも一段と開けた郊外、多目的グラウンドである。体育の授業やスポーツサークルなどで
使用されるこの場所は、大運動会でも開催できそうな広さの運動場と閑静な深森に分かれており、彼が市街地を眺めている
野外テラスは森の中にあった。背後でドーム状に形成された整備結界は半透明に景色を透過し中身を世界から切り離している。

「レイジンさん達は無事かねぇ。戦闘になったって聞いたけど」

通信機が最新の戦況を報告したのがつい五分ほど前。それきりうんともすんとも言わなくなってしまった。
シュミレーション・コールやGPSマーカーが普通に生きてることから作戦が続行中なのは確認できたが、
大学の端で作業に没頭する整備班や自分に詳細な状況を把握できるはずもなく。

「ま、そう簡単にあの人がやられるわきゃねぇよな……」

レイジン=シェープスは彼ら調律機関の面々にとって単なる指揮官ではない。その類稀なる判断力と指揮力で
幾多もの戦闘を勝利へと導いてきた『英雄』であり『象徴』であり『目に見える偶像』である。
彼が健在であることが直接の士気に関わる。故に最も狙われやすく、そしてその都度彼らは護り通してきた。



419 :名無しになりきれ:2009/07/01(水) 20:49:26 0
『整備完了しました。ライドムーバー/03<シザーズ>――起動準備。整備用結界解除』

結界の中から通信が入る。ようやく整備が終わったらしく、半円のドームが融けるように霧散していく。
中から現れたのは数人の整備班と調整用の機械、そして、調律機関が誇る局所制圧自走兵器『ライドムーバー』。

「とりあえず動かせるのは三号機だけですね。そのかわり最上級のチューニングでやっときましたよムライさん」

整備班の面子が汗を拭いながら歩み寄る。よほどの急ピッチだったのか、全員が全員疲弊を顔に貼り付けていた。
その背後で圧倒的な存在感を醸す多足戦車は一軒家ぐらいなら軽く覆い隠せそうな巨大さを秘めている。

それは巨大な蟹だった。そう表現するのが最も端的である。六本の丸太ほどもある脚部パーツで支えられた胴体は平たく、
コックピットがある以外には全てがなんらかの武装によって形作られている。とりわけ目を引くのは前方に伸びる
一対のパワーアーム。巨大な鋏を有するそれは銃器に頼らずとも装甲車ぐらいなら捻り潰すほどの攻撃力を備えている。

これが調律機関が所有する六機のライドムーバーのうち一つ、三号機<シザーズ>である。
ムライが操縦できるのはこれ一機だけであり、これを操縦できるのはムライだけ。そんな両者の汎用性のなさを
彼は『相棒』という言葉で長所に変える。紛れもなくムライと<シザーズ>は調律機関の最大戦力であった。

「お疲れさん。んじゃ残りの微調整は乗りながらやっとくから、あとはまかせろよな」

軽く頷くと整備班は引き上げていった。撤収した彼らは術式班の結界の加護のもと戦況を見守ることになる。
ムライは足元の小枝をパキパキと踏みしめながら、深い蒼に彩られた愛機を見上げて呟いた。

「よう、相棒。今日はおもっくそ暴れていいらしいぞ、よろしく頼むぜ」

起動ランプに光が灯る。ハッチ上部に設置された触覚に見立てたマニュピレーターがおもむろに伸び、ムライを掬い上げると操縦席へと運んだ。
自動でハッチが開き彼をコックピットに座らせると、メインモニタを兼ねたコンソールに緑色の光が奔った。
光の線は文字を作りだし、流れるようにムライへと情報を運ぶ。

『<シザーズ>起動準備――……起動完了。機能チェック――フレキシブルアーム:クリア。自走脚部マニュピレイション:クリア。
 アビリティキャンセラー:クリア。単分子ワイヤーフック:クリア。銃器類武装:オールチェックグリーン――操縦補佐AIを起動』

コンソールに奔っていた光が消え、代わりに左右にあるサブモニタに火が入った。極彩色とセピアに分かれる左右のウインドウに
展開されるプログラムは、パイロットとライドムーバーとの意思の疎通を図り操縦の補佐をする学習型AIである。
彼はこれを便宜上、右のモニタを『ライティ』左を『レフティ』と名付けていた。女声質な合成音声が両側から響く。

『むらい!むらいきた!これでかつる!これからたたかう?』 『操縦者確認、網膜、静脈、指紋、DNA認証完了。個体名村井浩介。――幾久』

「オッケー準備は万端だな?そんじゃ行くぜ!ポートブースターァァァァァオン!!!」

脚部に取り付けられたスラスターが青白い火を吹き、陽炎と焦げ後で軌跡を描きながら推進する。
一人と二つの最大個人戦力が、ついに戦局へと投入された。

420 :名無しになりきれ:2009/07/03(金) 16:21:43 0
《足が一本無くなったり腕を焼失したり紆余曲折を経て、魔溜眼の真の力を解放し激ヤセしたリーは、》
《爆発的超スピードと触れるものを灰にする火だるまボディと空間の命を蝕み続けると言うビックリ能力を用いて、》
《新たなるとんでもない強敵を従えた『月』に勝った!》


とどめは刺さん、死にてぇなら自分で死ね

……だが、生きる気があるならば…俺のローブを取れ…
非常用超常栄養食が入っている
気絶する程癖の強い味だが…食えば長らえることもできるだろう
ものを喰うことが許されるのは、明日を歩む覚悟のある奴だけだ

俺には、もう不要だ



さて、Yは……っふ…また、か…

《移動の衝撃で生じた爆発音を遺跡の振動に合わせ、世界の眼前に一瞬で移動する。》

土産だ、喰らいな

ベッコニング オブ ヘルジェイラー
    闇紫開獄波


《世界の顔面とプレートに、軌道上の空間を真空に変える紫色の衝撃波を飛ばす。》

創造主を殺すだとかって言ってやがったよな
俺は機関を抜けた裏切り者だが……受けた恩を忘れちまうほど物覚えは悪くねぇんだ…

421 :名無しになりきれ:2009/07/03(金) 21:29:11 0
…ふーん、遺眼ねえ。どっかで聞いた事あるわ。

元々滅多なことじゃ死なない邪気眼使いが死に際に残す数少ない宝玉。
鉱石自体としての価値はともかく、そこに封じられた邪気がそれこそ目の玉飛び出るような値段で売れるってね。
(…だーけどねー。ステっちの様子から察するにただの遺品でない事は明白…勿体無いけど、手は出さないほうが賢明かしらん?)

………はいそこ、とっとと話を進めやがれっ♪
(よりかかるようにヨシノの首に自分の腕を巻く。そしてヘッドロックの要領で締める)

ふーん…あの様子見たらよっぽど大切な人みたいだねえ…。
しっかし自分の命捨ててまで残すなんて…なんつーか悪役っぽくないなあ。アルカナっつー組織も極悪人ばっかりじゃないのかもね。
(むしろ見捨てて逃げたり拳銃突き付けたり私のほうがよっぽど悪役…いやいや、それは言わない約束でしょう)


………あ、結界が解けた。いや、こっちの話ね。

…はい、ご丁寧な挨拶どうも。私はこーいうモンです。(名刺を飛ばす)
姥捨てから殺人までなんでも請け負う職業やってるから、今後なんかあったらよろしくね。

さて、アンタに確認しなきゃならないことが二つ三つあるんだけど…

とりあえず一つ目。何故アルカナを抜けたの?
二つ目。元・お仲間がわんさか巣食ってるけど、このまま私たちと共に下層に行っちゃっていいの?
三つ目は……んー、今んところ無いか。ヨシノ、アンタ聞きたいことあったら聞いときなよ。

(…って「探求者」?うわ、どーして私の知り合いに多いかね…)

422 :名無しになりきれ:2009/07/06(月) 02:54:20 0
……痛い痛い姉さん締まってる締まってる苦しい苦しいちょっとまてマジ絞めしてるだろアンタ!

【気持ちよく薀蓄ぶちまけてるところに強制介入しヘッドロックをかけてくるアスラに抵抗しながら、
 ヨシノは器用にも思考を二つに分けて並列で考える。如何にしてこの怪力女に絞殺されるのを逃れるか。そして、
 これからの我々の方針。このまま進むべきか否か。進むにしてもどっちへ行けばいいのかが不明ではどうにも立ち行かない。】

(姉さんは不退転を決め込むだろうな。俺はもうそろそろ帰りたくなってきたぞ)

【ステラを見る】

(この娘の目的は読めんが、少なくとも地上に戻るつもりはなさそうだ。俺はそろそろ太陽が拝みたいんだが)

【実のところ『太陽』は目の前に鎮座しているのだが、いくら同じ名を持つキンキラ女を眺めていても端からストライクゾーン外のヨシノにとって
 得られる精神の安寧は微々たるものである。よっぽど空に浮かぶ日輪でも眺めていたほうが建設的だ】

(良く考えたら両手に花か。さっきから俺の頭蓋骨をミシミシ言わせてるこの女が花ってのには異論を唱えたいが。それにしても……)

……嬉しくはねえな。いや、こっちの話さ。気にすることはない。

【アスラが名乗りと共にステラに質問を投げるのを流し聞きしながら、ヨシノは自らの思考を反芻し精度を上げていく】

(そういえば『悪魔』が"遺眼"を創出したとき、確かに俺のロリっ娘センサーに反応があった。まさか、あの遺眼……!!)

なるほど、そういうことか。ステラ、三つめの質問をしたい。――妹さんとか、いるかな?

【ともすれば変態まるだしというか、まんまロリコンの極地を突き詰めたような質問に場の空気が氷点下に突入する。
 女性陣の四つの眼光は半目を通り越して汚物を見るような鋭さの視線となりヨシノを滅多刺しにせん勢いである。というか、刺された】

……痛い痛い刺さってる姉さん刺さってるってば頼むから無表情でナイフちくちくすんのやめて怖いからそして返事してくれ!
ごめんなさいごめんなさいマジ申し訳ないでしたからステラさん熱いんでレーザーっぽいので頭皮焼くのやめて禿げるから!



……オーケー、悪かった。全体的に俺が悪かった。ふむ、丁度遺跡の道が分岐しているな。どちらかが下層につながりどちらかは罠。
両者は訪れる度に正誤を入れ替え旅人を常に惑わせる……『シュレンディガーの岐路』、古代の異能遺跡にはありがちなトラップだな。

お詫びというか汚名返上というか、ここは俺が正解へと導こう。こんなこともあろうかと用意しておいて良かったぜ。

【そう言うなり懐からペン状の小さな白い棒を取り出す。ペン廻しの要領でくるくると弄ぶそれは純白である以外に目立った装飾はない】

何の変哲もないただの棒、タネと仕掛けはこれから仕込む。これ自体には単純な伸縮術式しか施していないが……

【喋りながら指先を通して棒へと魔力を注ぎ込む。内部に施術してある術式が起動し、一瞬で長さ一メートル半ほどの棒へと展開した】

これは"白杖"。視覚障害者用の杖だな。内包する効果は"誘導"……『倒錯眼』発動――『白杖』の『誘導』を『分かれ道』へ――……

【杖が極彩色に輝きだす。同時に二つある分かれ道の一方へと杖が動き出した】

要はダウジングだ……術式だから精度も信憑性も高いぞ――導け、倒錯眼!!

【白杖で強く地面を叩くと、隆起した地面の砂と土が極彩色の矢印をつくり、分かれ道の片方を指した】


――こっちのようだな。それじゃあ参ろうか。かつてを足がけこれからを見るために。

423 :名無しになりきれ:2009/07/09(木) 07:51:19 0
…ふむ、さしずめこの氷球は貴様の腕の中…装備の調達も自由自在。そして私の能力は封殺…ということか?
悪くない戦法だ。どうやら私は不利な状況に誘われたらしいな…。

ま、構うまいよ。逆風に向かうもまた一興だ。

……アイスソード…《氷剣》…か。
ほう、なかなかの数だ。それ程の邪気が残っているということ…か。

(────ここからヤツが仕掛けてくるとすれば…遠距離から剣を飛ばしての攻撃がベターな所か。
 避けるのも難しければ食らっても拙い…やれやれ、だな。眼を封じれば私もこの程度…か?)


───《金鋏》だけでは……少し不味いか。


(襟元を少し折り、やがて観念したように呟く)

転送・八式…我が手に《裁鋏》を。

(呟いたと同時に、シェイドの手元に粒子のような物質が集まる、やがてそれは徐々に形をつくり、巨大な鋏となった)

ペンは剣よりも強しとはいうが…さて、鋏と剣ではどうなるのかな?
(ククク…と不敵に笑い、支点部分を突いて鋏を二本の長剣へと分解する。そのままリクスに向けて走り、X字に切り付ける)

424 :名無しになりきれ:2009/07/09(木) 18:08:49 0
迫り来る紫色の衝撃派。空間をも真空と化すその一撃は、
相応の威力と速度を持って、射線上にいる『世界』とプレートに
襲い掛かり――――――しかし、届く事は無かった。

「うむ。相当の威力だが、少々構成が雑だね。怪我の影響かね?」

声を発したのは、大アルカナ『正義』。
突如射線に割り込んできたその男によって、衝撃波は「殴りつぶされ」たのだ。
世界はその様子を無表情に見た後、再びYの方を向き言う。

「……Yよ。あのカノッサの狗の乱入が貴様の見た勝機だというのならば、
 余りにつまらぬ勝機だな。この程度の不確定であれば、
 計画を動かした時より、予測しているぞ。
 アルカナはただの私兵ではない。我の計画を遂行する駒という事を知れ」

そうして『世界』は、もはや針の様な一点しか紅を残していないプレートを
その掌に掴むと、禍々しい気配を纏いながらYに向けて歩みを進める。

「さあ、どうするのだ? 奇しくも、今この場で物語の鍵を握るのは、
『世界』たるこの我と、愚民でしかない貴様だ。
 貴様の勝機がこれで潰えたというのならば、それは貴様らの敗北を意味する
 という事が解らぬほど愚かでもあるまい?」

『世界』はYの目の前に紅のプレートを晒すと、愉快そうな歪んだ笑みを浮かべる。

「さあ、選択しろ愚民『Y』よ。観客となるか、それとも、道化として最後の座興をみせるかを」

この後に及んで、自らの勝利を目前にしたこの場面である筈なのにも関わらず、
『世界』は、一般人である筈のYに選択を迫る。それはまるで、何かを確認でもしたいかのように。
或いは何かの目的でもあるかのように。

425 :名無しになりきれ:2009/07/09(木) 18:50:43 0


「やれやれ。すまないね、乱入者君。正義の味方としては、
 この様な戦いに巻き込まれるのは不愉快以外の何物でもないのだが、
 生憎と今の私は傀儡のようでね。ソレが許される存在ではないのだよ」

アルカナ『正義』。リーの前に立ち塞がったその男が先ほどまで被っていたフードは、
衝撃波を殴り潰した影響で破れ、その下に隠された素顔が露になっていた。
白いロングストレートの髪を持つ中世的な美形、執事服を纏ったその男の表情は
あくまで無表情のまま、それでもどこかつまらなさげな空気を纏いリーに語りかけ――――

そしてその直後、目の前の空間に向けて超速の拳を繰り出した。

凄まじい速度と力で殴りつけられた空気は、数発の不可視の空気の弾丸と成り、
リーに向かい直進する。

「……おっと。そういえば、自己紹介がまだだったね。
 私の今の名はアルカナ『正義』――――正義の味方の残骸だ。

 乱入者君。私の方で手加減は出来ないが、出来れば私に殺されずに私を殺してくれたまえよ。
 私の話はもう昔に終わっているのだ。トランプテーブルにチェスの駒があるのは不自然だからね」

そうして、『正義』は空気弾の後に追撃を入れるべくリーに向けて駆け出した。

426 :名無しになりきれ:2009/07/09(木) 23:11:00 0
シェイドの行動は、またもやリクスの予想も範疇の外であった。取り出した鋏をすぐさま分解するなどという者がこの世に何人いるであろうか?

(これも彼の術式、ということは、彼は影無しでも転送術式で武器を取り出すことができるということですね。どうやら、物理的な空間の隔絶はそれほど大きな意味を持たなかったようです。)

そんなことを考えている間にもシェイドは眼前まで迫っていた。
(圧倒的な速度。これは危険ですね!)

思うや否やリクスはその手中に先の氷剣を取るも、シェイドの鋏の刃の前には玩具同然の強度であることを思い知らされることになる。
氷剣は容易く弾かれ、シェイドの斬撃が次々とリクスをとらえて行くのであった。

シェイドの斬撃で吹き飛ばされるリクス。その体から発する邪気は徐々に弱まっていった。焼けつくような痛みを発する裂傷。
(中途半端に頑丈な体というのも考え物ですね。麻痺という感覚がまるで無いのですから!)

黒い執事と白い白衣、そして飛び散る鮮血の赤のコントラスト。
そこに光があれば、さぞかし美しくも凄惨な光景であろうと思われたその時、本当に、一筋の光が差し込んだ。

氷壁に、風穴が開けられたのである。

弱まった邪気にリクス自身の直撃。ついに氷細工のフィールドは破れた。

「Nothing can be eternal」

形有るものはいつかは壊れる、しかし、このフィールド自体が、壊れることを前提に構築されていたのであったなら。

(あらゆる物理攻撃を防ぎ得る、影による防御。さればこそ、私が邪気眼を発動する素振りを取れば迷わず彼はそれを用いようとするはず。
ましてや今までそれを封じられていた状況なら、尚のこと意識はそちらに向かうはず。そう。これは最初からあなたに「影による防御」を使わせるための戦いだったのですよ)

「『零凝』」

リクスの邪気眼が、発動した。あらゆる事象を微分し氷結させる『氷結眼』。
その力により、シェイドの両の手と『眼』は数刻前の状態に微分解析された状態で固定されたのである。

(やはり、3か所が限界でしたか)

「術を解除せぬまま無理に動こうとなされば、体がちぎれることになりますよ。」

シェイドに術がかかったことを確認し、今度は自ら一気に距離を詰めるリクス。

「あなたの術式を封じてもなお一対一で押されるような私が、お嬢様の執事たる所以を教えて差し上げましょう。
執事に求められるのは、敵の攻撃を、『絶対的に』無力化すること。これが、私が要し、私が欲した『力』なのです。」

「『アイスブレード』」

リクスの手には、先のものよりも細身で長い氷剣が握られていた。

(命を取る気はありませんが、彼はどうもレイジン様の同僚を亡き者になさったようですし…)

逡巡はなく、シェイドには氷剣が突き刺さった。しかし、身体を最後まで貫ききる前に、氷剣は形を失った。

(これだけの邪気を使い、これだけのダメージを受けてやっと一撃とは、今回はずいぶん割に合わない戦闘だったようですね。)
「さようなら、シェイド様」

そう呟いたリクスも、氷の台地を維持するだけの力は残っておらず、今度こそ、足場が崩壊する。

427 :名無しになりきれ:2009/07/10(金) 21:51:20 0
外は陽気だった。午後もかくやというところまで差し掛かった太陽はその本分を惜しみなく発揮し、
食事を終えて食堂から出たばかりの青年と人形へ今年一番の陽光を届けてくれる。
まだそんな季節でもないのに汗ばんでいく額をカジュアルシャツで乱暴に拭い、『吊られた男』は満腹となった腹部をさすっていた。

「はー、美味しかったねマリー。やっぱり穴倉の奥で湿ったパンなんか齧ってる場合じゃないね?」

「クレイン様、今の発言はアルカナ糧食部門の大部分を敵に回す覚悟の上だと判断しますわ。宣戦布告はお済みでして?」

「大部分?全員じゃなくてかい?」

「彼らは、自分達で作った料理を決して食べようとしませんもの。最近じゃコンビニ買出しのパシリ専門部隊が編成されたそうで」

隣に寄り添うようにして追従するマリーが高度に皮肉を使い分けるのに苦笑し、『吊られた男』は彼女を見遣る。
魔導人形であるマリーにとって食事は栄養補給以上の意味を持たない。それすらも、最近までは定期的な魔力充填で済ませていた。

わざわざ消化吸収という酷く効率の悪い手段をとる必要などありませんわ、というのが彼女の言。それでも近頃は、

「……こうやって誰かと食事を共にするというのも、悪くはありません。率直に言って、なかなかに素敵です」

皮肉ぶってはいるが『吊られた男』は知っていた。マリーが破損した左腕の修理を技術局に依頼した際、空洞だった腹部に食堂と胃の
代わりになる魔力変換炉を搭載するよう秘密裏に頼んでいたことを。それが『吊られた男』と一緒に食事をしたいが為だということを。

以前では考えられもしなかった事態だ。彼女は滅多に自分の欲求を表現しようとしなかったし、それが人形としての美徳だと存じていた。
新たなる進化への可能性の発露。人形が人形としての分を越えた何かを求め始めた。そんな未知の胎動を『吊られた男』はこう結論付ける。


人形マリー=オー=ネットは、人間に近づきたいのかもしれない。


428 :名無しになりきれ:2009/07/10(金) 22:52:57 0
他愛もない雑談で間を埋めながら散策する二人は、大学の隅にある多目的グラウンドにまで足を伸ばしていた。
今回の彼らの任務は地上における索敵である。侵入者――フェンリルとシェイドの迎撃任務に失敗した二人は
『月』による制裁を覚悟していたが、幸か不幸か『月』は取り逃がした侵入者との戦闘中であった。

『月』の闘いに手出しは無用と前もって明言されていたこともあり、手持ち無沙汰である。
故に彼らは奪われた『クリムゾン=タスク』に取り付けておいた"あや吊り糸"を手繰ってここまできた。
あわよくば、再び白衣の好敵手と刃を交えることを期待して。そして現在、『吊られた男』とマリーは盛大に迷っていた。

「……もうさっきから同じとこばかりぐるぐる廻っていますわ。触角を?がれた蟻でももうちょっとマシな動きをすると断言できます」

マリーがジト目で見上げてくる。人形の彼女に疲労という概念はなく、つまりは『吊られた男』に対する睥睨の形がこの目である。

「いやぁ、"あや吊り糸"に繋がった魔槍の位置が定期的に移動していてね。どうやら出現と消滅を繰り返してるみたいだ――トラップかな?」

「気付いてたならもっと早くに言ってくださ――!!?」

マリーの声を遮って、不意に音が聞こえた。轟音である。ガスコンロに点火した炎をそのままグレードアップさせたようなバーナー音。
『吊られた男』のも、もちろんマリーにも、そのような音を立てる器物などジェット機やホバーエンジンぐらいしか知識にない。

音のする方角にはグラウンドの森林部。背の高い針葉樹林に阻まれて姿を隠してはいるが、何かが居る。
そして木々の向こうの騒音者は、覚悟を待たずに森を飛び越えて出現した。

「蟹――!!」

マリーが咄嗟に叫んだ言葉で『吊られた男』は既視感に得心がいった。蟹である。巨大な蟹が、冷たい鋼鉄の体躯と森に溶け込むような深蒼の体色
を持った蟹型の機械が彼らの前に飛び出してきた。各所に見受けられる砲門や武装の運用跡が、この巨蟹が兵器であることを判断させてくれた。

「脚のところで光ってるのはスラスターか……さっきの音の正体はこれかな。どう考えたって堅気じゃないね?」

転移術式を応用した分析術を蟹に向けて放つ。アルカナのデータベースに接続し、目の前の兵器の所属と詳細、そして敵か否かを精査する。
結果は直ぐに返ってきた。術式の表示枠に情報が文字として流れ込んでくる。『吊られた男』は一瞬で目を通し、理解した。

「調律機関所有の局所制圧用多足型歩行戦車『ライドムーバー』……?世界政府直属の機関がお出ましだね!?」

「肩書きなんぞどうでもよろしいです。ミカンの白いスジ並に不要ですわ。肝心なのは目の前のこの蟹が――」

「――敵か否か、だねマリー。残念なことに前者だよ。どうやら世界政府がアルカナのことを嗅ぎ付けてきたらしいね?」

蟹は飛んでいた。脚部のジェットスラスターによって翼を持たない甲殻類のくせして宙を舞っていた。
おそらく『吊られた男』とマリーには気付いていないのだろう、その軌跡に淀みはみられなかったが、これは先制のチャンスでもある。

「――マリー。ショットアンカーを最大出力で展開。あいつを叩き落すよ?」

「了解です!……【<ギミック>起動――ショットアンカー:目標補足完了】」

マリーが右腕を空に翳す。魔力の凝縮によって空間が歪曲し、そこに漆黒の射鏃砲が実体を持って出現した。
間髪入れずに射出する。反動を膝で吸収し、巨大な鎖つきの鏃は上空の蟹目がけて撃ち上げられた。

429 :名無しになりきれ:2009/07/12(日) 19:59:09 O
(な……!? 2 人 ! ? そんな……どうして!? どうやって!?)
(くっそぉぉ……っ!! リーが……ッ、リーがあんなにボロボロになってまで……!!)
(やっと掴んだ勝機だったのに……『殴り潰された』……文字通り……畜生ぉぉおお!!)

(駄目なのか? 藻掻いても足掻いてもッ、駄目なのか!! 敵わないのかッ!!)
(俺は主役でなくていいッ、メインでなくていいッ、脇役でなくても構いやしない!!)
(アイツを……『世界』をッ、止めてくれぇ……!! この世界が……俺達がッ


                黒 の 歴 史 に 葬 り 去 ら れ る 前 に ッ ! !)


                                    ス レ
<其の瞬間、チカラ無き青年を貫く、雷の閃きが如き忘却の「記憶」>
                     ロ グ                 レ ス
<黒の歴史に流し去られし数多の「記録」――地に刻まれた戦いの「軌跡」>


<かつて、大きな戦いがあった。>

<個人、組織、そして世界をも巻き込んだ戦い。>

<戦士達は屍の山を築き上げ戦い、>

<それでも結局、勝者を産まぬまま、>

<戦いは、全てが敗者となって決着を迎えた。>

<そして、『邪気眼』は世界から消え去った……筈だった。>


う ぉ ぉ お お お お お お お お あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ぁ ぁ あ あ あ ぁ ぁ ッ ッ ッ ! ! ! ! !

430 :名無しになりきれ:2009/07/12(日) 20:28:08 O

 チ カ ラ        サケビ  ハ ハ       シ タ   ウ エ
<邪気眼無き青年の咆吼が、女神なる遺跡を深奥から地表まで貫き躍る>
 サケビ  カ レ ラ
<咆吼は冒険者達に伝えるだろう。『世界』と名乗る敵の、其の企みを>
                            ワ レ ラ
<『世界』が有する圧倒的なチカラを、そして、冒険者達が立ち向かうべき相手を!>

<青年は遂に日常の此岸から、非日常の彼岸へと楷を手繰り辿々しく漕ぎ出した!!>


……ククク……少し”血抜き”をね……いや、下手に繕う必要はないか?
しかしこれは、非日常に臆さず立ち向かう為の「武器」だ……どうかご承知願おう。
                  チ カ ラ
さ、て……お察しの通り、俺は邪気眼を持たぬ《白眼の民》でね……いや申し訳ない。
派手なドンパチはどうにも……クク、得手じゃあない。攪乱と交渉が主と言ったところだ。

が……こんな話は聴いたことがあるか? 昔々、魔眼使いと呼ばれる者達がいた。
彼等は眼を持たない人間にとって脅威だった……邪悪な力で破壊の限りを尽くす蛮族とね。
やがて人間は彼等に対抗すべく、ある魔導兵器を手に入れることになる……そう、それが、


   プ   レ    ー    ト
″視えざる者が持ちし聖書の断片″……いわゆる、「石版」と言うやつだ……ククク。

これで形勢は一時覆された……後々、邪気眼やら魔剣やらが現れ、三竦みとなる。


――――という、『仮説』がある。何故仮説か? 証明や議論に必要な証拠が無いからだ。
何一つ無い。葬り去られたのだ……終焉の洪水によって……「黒の歴史」によってだ!!
             ワ レ ワ レ
……「黒の歴史」……邪気学者の間では知らぬ者はいまい……有名な話だ。
邪気眼の歴史の最後には黒の歴史の名が現れ、そこでピタリと歴史が終わる……。

……葬り去られるのが汝だけなら構わん。だが違う。葬られるのは汝だけではない!!
その世界に生きる者の全てが何らかの巻き添えを食らう!! それでも目的が大事か!!


……それに……「創造主」と言ったな。カノッサのトップだったと言われる。



……カノッサ機関は、最早機関としての体を成していない。

カノッサは、滅びた。


残るは残党が数人と聞く――――創造主も、恐らくもう……。

431 :名無しになりきれ:2009/07/13(月) 20:16:04 0
(X字に放たれた斬撃は、正直にリクスの身体を捕らえた。そのまま反撃に転じさせる間も無く、両手の大剣が舞うように傷を作っていく。
 あまりに素直に当たりすぎる攻撃に半ば呆れつつも、傷を正確に削りつつ言う)

………つまらん。
貴様こそこの程度か?若造。

(最後の斬撃を放ち、二丁の剣を掲げて再び支点を合わせる。途端に剣は鋏に戻り、光の入らない氷球の中で一刻の確かな黒い光を放った)


私も暇な身ではない……私の時間を徒に消費させた罪は重いぞ、「お前」。


(最早シェイドの瞳にリクスはリクスとして映っていない。黒衣の彼の中でシェイドの【興味】を惹くものは一つ、《氷結眼》のみ。
 目の前でわざとらしいほどに攻撃を受けつづけるそれは、氷結眼を身につけた細胞の集合体でしかなかった)


────邪魔だ。


(一歩踏み込む。手元で鋏をくるりと回転させ、合わされたふたつの刃を手中に収める。
 弾むようにもう一歩。上体を反らし、腰を後方へねじる。瞳に掛かった黒いレンズのみが依然として「お前」を捉えている。
 そしてそのまま、三歩目を歩みだす────)


「薄野月夜」
月の向こうまで、飛んでゆけ。


(────遠心力の限りを尽くし、楕円形の持ち手を「お前」の首めがけて放った)

432 :名無しになりきれ:2009/07/13(月) 20:18:09 0
(衝撃をそのままに吹っ飛ばされる「お前」。その身は強かに壁に打ち付けられ、とうとうそれに穴をあけた。
 氷球の中に光が差す。照らされた内部は血と氷で満ち、おぞましくも美しく彩られていた)

……チッ、光が入ったか。これでは例の技が発動できん…【アレを肉片ひとつ残さず地獄へ叩き込む】のは不可能だな。
ああ…やれやれ、本当に無駄な戦いだ…。

(心底落胆したように肩を落とし、眼を発動しようとしたリクスの素振りを見て面倒くさそうに邪気眼を発動──しようと、した)

「影探――」ガッ!?

(瞬間、予期せぬ拘束。両手とシェイドの「眼」は、完全に機能を停止した)

何……だと………!
氷結眼によっての拘束…チッ!この私が見誤ったか!

(数度力を込めてみるも、返ってくるのは鈍い痛みのみ。やがて観念したように前を見据え、氷剣を構える目の前のリクスを見た)

……認めよう。ひとまず私の負けだ。遺跡に潜るなり勝手にするがいい。
精々、「お嬢様」とやらのご機嫌取りに精進することだな………。


(圧倒的不利な状況。しかし彼は、この上なく嗜虐的な表情で、最後にニヤリと笑った)

次に会う時を楽しみにしていろ。秘蔵の「座学」を聞かせてやろう…………!


(狂笑。執事の氷剣が突き刺さるまでの刹那、狂ったような笑い声が響き渡る。
 いともあっさりと刺さる氷剣。彼の着ていた白衣は、ようやく己の白地を主の血によって染めることができた)

(薄れゆく視界の中で、自分が落下する感覚を体感する。崩れた足場に男を受け止める力があるはずもなく、床に強かに体を打ち付ける。
 やがて、彼の意識は影の中に落ちた。)

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