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【とらドラ!】大河×竜児【ユラユラ妄想】Vol14

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 00:53:43 ID:fiY/dnrn
ここは とらドラ! の主人公、逢坂大河と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレです。
どんなネタでも構いません。大河と竜児の二人のラブラブっぷりを勝手に想像して勝手に語って下さい。
自作のオリジナルストーリーを語るもよし、妄想シチュエーションで悶えるもよし、何でもOKです。
次スレは>>970が立ててください。 もしくは容量が480KBに近づいたら。
    / _         ヽ、
   /二 - ニ=-     ヽ`
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  ,'            |            /. : : : :|:///∧ : ∨///: : : : : : : : : . \

まとめサイト
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/

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【とらドラ!】大河×竜児【ナツナツ妄想】Vol13
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【とらドラ!】大河×竜児【モフモフ妄想】Vol12
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【とらドラ!】大河×竜児【ラブラブ妄想】(1スレ目)
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http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1241386432/
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【とらドラ!】大河×竜児【ワクワク妄想】Vol11
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1245146459/

2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 00:54:34 ID:fiY/dnrn
【※CAUTION※超重要事項!※CAUTION※】

非エロ(ギシアンレベルまで)はここに投下

ガチエロは避難所に投稿、ここへは告知誘導のみ

アク禁に巻き込まれたなど直接投下できなかった
非エロ作品の代理投稿は作者が望んだ場合に可

※避難所はまとめサイトにあります

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http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1241841788/

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 00:55:43 ID:fiY/dnrn
まとめサイトより

Q、1話の机が吹っ飛ぶシーンどういうこと?超能力?
A、ちがいます。ラブレターを鞄に入れてたら人が来たので、ロッカー隠れようとして凄い勢いで移動したんです。

Q、とらドラ!ってどんな作品なの?
A、とらドラ!は高校生特有の『思春期』という限られたひとときの中、
 友達と過ごしながら楽しいと感じたり、ある時は落ち込んだり、
 またある時は恋に悩んだりしながら、毎日を過ごしていくという作品です。
 (雑誌インタビューより)

Q、何クールですか?
A、2クール25話(DVD8巻構成)です。

Q、会長とあーみんの区別がつきません。
A、川嶋亜美(あーみん・ばかちー):前髪が朝倉風、ややたれ目、胸がおおきい、モデル
  http://www.tv-tokyo.co.jp/contents/toradora/images/chara/ami.gif
  狩野すみれ(会長・兄貴):前髪ストレート、ややつり目
  http://www1.atwiki.jp/toradora?cmd=upload&act=open&pageid=19&file=up49532.jpg

【一目でわかるとらドラ!一話】
@猛獣が襲い掛かってきた
Aお腹がすいていたのでご飯をあげた
B「気に入った。これからも飯つくってくれ、毛づくろいとかも頼むわ」
C襲われそうだし、ほっといたら死にそうなので、しぶしぶ飼うことに
Dご飯あげたら、ちょっと尻尾ふった ←今ここ
実際は竜児を犬扱いしている大河こそが
飼われている側っていうのが面白い

とらドラ! まとめwiki
http://www1.atwiki.jp/toradora/
とらドラ! AA保管庫(仮)
http://monabase.net/toradora

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 00:56:25 ID:fiY/dnrn
この板の設定

1レスあたり最大4096バイトで改行は60行まで可能
半角で4096文字・全角で2048文字です

Samba24規制は40秒です
一度書き込んだら40秒は書き込めません

バイバイさるさん規制は40秒以上開けて投稿しても
スレッドに同時に書き込む人数が少ないと発動します
ROMってる人は割り込みを遠慮せずむしろ支援する方向で

●を持っていると上記の規制は無効化されます
ただし調子に乗ってSamba24規制無視して連投しているとバーボンハウスに飛ばされます
たっぷり二時間は2ちゃんねる自体にアクセス出来なくなるので注意

5 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/06(木) 01:02:45 ID:+0pwcNob
>>1ありがとう〜! 感謝!感謝!感謝です!
『君と二人で』の作者さんに迷惑かけたと思って焦ってたよ。
ありがとうございます。

6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 01:05:48 ID:fiY/dnrn
>>1の過去スレの所間違えたorz
次スレ立てる時に修正お願いします。


7 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 01:07:52 ID:z4Ioj5wQ
>>1>>1>>1>>1
よーし前スレの作品を読んでくるかー

8 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/06(木) 01:09:17 ID:+0pwcNob ?2BP(2828)
『大河がおとなしい女の子だったら』続き貼ります

+×+
恋人になるつもりが一気に婚約者にまでなったな、俺って果報者?
それに大河はいつまでも俺の傍に居たいのか…

「竜児、ご飯こぼしてるよ」
「オォ!スマン」

「さっきから何をニヤニヤしてるの?」

「だってよう、大河が俺の嫁さんになるんだぞ。だから嬉しくてさぁ」

「……恥ずかしいよ」
「ゴメン。さぁ、飯も喰ったし片付けますか」

竜児がこんなに喜んでくれるなんて思いもしなかったなぁ、それに私のことずっと好きだったなんて。
普段と変わらないように装ってるけど、本当は私も顔がニヤケちゃいそうなのガマンしてるんだけどね。
やっぱり年上の私がしっかりしなくちゃねぇ。

「大河、タワシで食器は洗わない方が良いぞ」

「へっ?あぁ… ワザとだよ〜!」
「竜児がニヤケてばっかりだから確かめたの、よく気がついたね!」

「そうか。はい、スポンジ」
「…ありがとう」

家事のことになると竜児はシビアだな、もう。
いつか竜児より家事が出来るようになって、びっくりさせるんだから。

「これで終わりっと。今日は疲れたし、後はゆっくりしようぜ」

しばらく二人でテレビを見てるけど内容は頭に入ってこない、昨日まで無かったこのドキドキ感は何だろ?
それに竜児もなんだかソワソワしてるし、普段みたいに落ち着つけないな。

「大河」
「ハイ?!」

「俺さ… 大河を肌で感じてみたいと言うか、触れてみたいんだけど」

「〜!!!」ブンブン

こりゃ誤解させちまったな、声にならない声を上げて頭をブンブン振り始めたし。
夕方に大河を後ろから抱いた時、あんなに華奢で柔らかいとは思いもしなかった。
あの時は余裕がなかったから恋人になった今ゆっくりと大河を抱き締めたかったんだけどな。

「ダメ!ダメだよ!竜児。わたしクリスチャンだし、それに早すぎるよ。だからダメ!」

「違うんだ!大河を抱き締めたかったんだ、決していやらしい意味で言ったんじゃない… ゴメンな誤解するようなこと言って」

「……そうなんだ、びっくりした」
「言い方がマズかったな、ゴメン」

「それなら良いよ。ハイ、どうぞ」

大河は何の躊躇もなく俺の膝の上に…… でも向きが逆だぞ!
恋人になった初日から、彼氏の膝の上に向き合って乗るじゃない!それに顔が近すぎ!

9 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/06(木) 01:12:06 ID:+0pwcNob ?2BP(2828)
「……大河、逆を向いてくれないか?」
「なんで?抱き締めたいんでしょ?」

「スマン、今日は後ろから抱き締めたい気分なんだ」
「そうなんだ。じゃあ、竜児を背もたれにしてテレビ見よっと」

無邪気なのは魅力のひとつなんだけどな… 困ったものだ。

「竜児!ぎゅーっとしても良いよ」
「本当か?ではお言葉に甘えて」

「なんかその言い方だといやらしいよぉ」
「ゴメン」

「う〜ん… これ良いかも!すごく落ち着くし」
「俺も凄い落ち着く…」

本当に良いなこれ、やっちゃんに抱きしめられるのとは別の良さがある。
これからは二人の時は、ずっと竜児の膝の上にしよう。

「でも、大河がクリスチャンなんて意外だな」
「そうかな?」

「だって、飯を喰う時は『いただきます』って言ってるじゃないか」

「っ?!アレは高須家の文化に合わせてるの!」
「そうなのか?」

「そうだよ、だって私は竜児のお嫁さんになるんだから」

「そうだったのか」

「そうだったんだよ」

楽しい時間はあっと言う間に過ぎ、そろそろ大河を家に帰らせないとな。

「大河、そろそろ帰るか?」
「もう、そんな時間?」

「あぁ、もう帰る時間だ」
「……やっちゃんが帰るの待ってちゃダメかな?」
「何で?泰子が帰えってくるの待ってたら3時頃になるぞ」
「やっちゃんに報告したいんだ、竜児と恋人になれたって」

「確かに泰子は俺たちのこと心配してくれてたからな」
「だから良いでしょ?」

「ダメだ、誰かに誤解を与えるようなことはしたくない。万が一、誰かに知られて変な噂でもされたら嫌だろ?」
「でも…」

「大河の気持ちは凄く嬉しい、泰子のことを大事に想ってくれてるんだからな」
「でもルールは守らないとな、普通は高校生のカップルが恋人の家に泊まったりしないだろ?」

「そうなの?」
「そうなんだ。だから今日は帰ろう、送って行くから」

「…わかった」

10 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/06(木) 01:15:08 ID:+0pwcNob ?2BP(2828)
大河の機嫌をすっかり損ねてしまったな、今も玄関で力無く靴を履いてるし。
でも俺には間違いを起こさないとゆう自信も無いんだ… ゴメンな、大河。

「なぁ大河、機嫌を直してくれよ」
「…別に悪くないよ」

「そうだ!明日の弁当は大河の好き物を作るからさ」
「……私はそんな安い女じゃないわよ」

……アナタ、誰ですか?
普段の態度と全然違うじゃないか!それが本当の大河なのか?今更、猫被ってましたはないだろ…

「竜児? りゅーじ!」

「…………」
「びっくりした?ちょっと大人の女を演じてみたんだけど、どうだった?」
「……びっくりした」

「そうか… 私もやれば出来るんだねぇ」

「…もう、やめてくれ。何でも言うこと聞くから」
「じゃあねぇ… 私をオンブして家まで送って!」
「分かりました」

膝の上も良いけど、これもなかなか… 次に竜児が何かしたら、お姫様抱っこをお願いしよう。

「竜児、明日からは朝も一緒に行こうよ」

「そうだな、明日からは行きも帰りも一緒だ」

「うん!ず〜っと一緒」

「しかし、大河は軽いな。もっと栄養を摂らせないとな」

「えぇ〜 今の竜児が作る料理で十分だよぉ。竜児が作ると何でも美味しくなっちゃうから」

「なかなか嬉しいこと言ってくれるじゃないか」
「ヨイショ!っと、家に着いたぞ」

「ありがとう。じゃあ、おやすみなさい」
「おやすみ」

さぁ、大河との甘い時間は終りだ。
次は現実を見る時間。櫛枝に謝らないとな、それにクラスのみんなにも。
派手に騒ぎを起こしたし、教室の中は滅茶苦茶になったしな。
やっぱり朝一に謝らないとな、ホームルームの前ならみんな揃ってるだろ。

11 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/06(木) 01:18:12 ID:+0pwcNob ?2BP(2828)
  +×+×+×+
今朝はいつもより1時間も早く目が覚めた、たぶん原因は竜児。
朝は苦手な私が、目覚めと共にベットから出るなんて普段からは考えられない。
これが噂で聞いた恋の魔法か…
せっかく早く目が覚めたんだしシャワーを浴びて髪もしっかりブローしよう、愛しの竜児の為に!

張りきった割には時間も掛からずアッサリと準備も終わってしまったなぁ。

「…することもないし、竜児の家に行こう」

女の子として準備がアッサリ終わるのも問題だよねぇ… 今度はやっちゃんにメイクのやり方でも聞いてみよ。
なんて考えながらマンションを出ると、既に竜児はお弁当を片手に待っていた。

「りゅ〜じ!おはよう。待ってられなかったの?仕方ないなぁ〜」

「…おはよう、大河」

おかしい… 私だけが喜んでるみたい?これじゃ散歩に連れられて行かれるワンちゃんじゃないの!
でも元気ないな竜児、どうしたんだろ。

「元気ないね、どうしたの?」
「理由は歩きながら話すよ、とりあえず学校に行こう」

顔色も悪いし、あんまり寝てないのかな?昨日は帰るまで元気だったのに…

「昨日さ、櫛枝を怒らせちまってな。それでクラスのみんなにも迷惑をかけたんだ」

「えっ?!」
「俺ってさ、あんまりみんなに良く思われてないだろ。だから何て謝ろうと考えてたら、あんまり眠れなかったんだ」

「そんなことない!私が好きになった竜児がみんなに嫌われてるはずない!」

「それは大河がいつも一緒に居て、俺を知ってるからだろ?」
「でもな、世間ではやっぱり見た目で判断する人間の方が多いだよ」

「そんなの間違ってる!自分でそんなこと思ってたら、誰も竜児に近づくことできないよ」

「頭では分かってるんだ… でもな『行こう!』

「竜児!学校に行こうよ!そしてみんなに謝ろう!私も一緒に謝るから」

「大河が謝ることはないだろ」

「そんなこと言わないで!!ずっと一緒って、言ってくれたじゃない」

「でもな…」
「ホラ、行こう!みんなに謝る時間なくなっちゃうよ」

私が伝えるんだ、そんな人ばっかりじゃないって。
それに今まで私が助けてもらってばかりだったし、今度は私が竜児を支えるよ。

12 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/06(木) 01:21:07 ID:+0pwcNob ?2BP(2828)
「竜児!時間なくなっちゃう、あと10分でホームルームが始まっちゃうよ」
「ちょっとだけ待ってくれ、落ち着くから」

もぅ!急かすつもりはないけど、さっきから『喉が乾いた』とか『トイレ』とか言って、ちっとも教室に入らないで。

「大河はとりあえず何も言わないでくれ、俺が話すから」
「もう!分かったから、本当に時間なくなっちゃうよ!」

「ヨシ!行こう。まずは櫛枝から謝る」

教室の扉を開けると一斉に視線が突き刺さる。ちょっと待っててくれ、みんなには後で必ず謝罪するから。

「おはよう、櫛枝……」

返事は無し、振り向いてもくれないか。

「櫛枝、昨日は不愉快な思いをさせて本当にすまなかった」

「…………だから?何なの」
「本当に櫛枝には悪いことをしたと思ってる。これが櫛枝への謝罪のつもりだ」

言葉で駄目なら行動で示せ。土下座で櫛枝の気を晴すことが出来るのかは分からない、でも可能性があるなら何だってやるさ。

「やめとけ、高須!」
「止めるな北村!俺の謝罪の気持ちを見せたいんだ」

「駄目だ!高須。それに櫛枝も許してやれ、昨日は高須と逢坂を見て『本当に良かった』って泣いてたじゃないか」

「見てたのか?」
「スマン、つい気になってな」

「……高須君。殴ったトコ痛いでしょ?」
「全然、痛くない!大丈夫だ!櫛枝の方こそ、手は大丈夫か?」

「私は平気だよ、ありがとう。昨日は感情的になって殴ったりしてごめんなさい」
「櫛枝が謝ることはない、俺の方こそ本当にすまなかった。…許してくれるか、俺のこと」

「大河を取り戻して来たんだから、もちろんだよ」
「ありがとう!みのりん」

大河を力いっぱい胸に抱き締める櫛枝を見たらホッとした、次はクラスのみんなだ。
間が良いのか悪いのか、みんなはこちらを見てる謝るなら今だ。

「昨日はみんなに迷惑を掛けてすみませんでした」

……また反応はないか。でも伝えたいんだ、みんなに俺の気持ちを。
そして臆病だった自分を終わりにして、大河と一緒に新しい一歩を踏み出したい。
だからみんなに伝わるまで何度でも繰り返すさ。

「反省してます、これからはクラスに迷惑を掛けるようなことはしません。本当にすみませんでした」

13 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 01:21:57 ID:z4Ioj5wQ
支援っ!

14 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/06(木) 01:24:05 ID:+0pwcNob ?2BP(2828)
『そんなことより、他にあるだろ!』

話したことも無い男子が静まる教室に響く程の声を上げた、顔をニヤケさせて俺を見てる。
そうゆうことか…

「言葉だけで駄目なら土下座する」
「それで気に入らないなら他に何をして良い。例えば放課後の掃除を1人でするとか、あとは…」

『ちょっと待て!違うぞ高須!そうじゃなくて、他にみんなに言うことあるんじゃないか?』

他にと言われてもな…

『それに掃除するって、それじゃ高須君の趣味じゃない』

また一人女子の声が、するとそれを皮切りにクラスがざわめき始めた。

『だよねぇ、高須君は掃除が好きだもね』

また一人、また一人と声は増すばかり。
でも、何で俺が掃除好きって知ってるんだ?

「まだ分からないの?」

声がする方へ振り向くと、香椎が物知り顔で微笑んでいる。

「本当に昔から鈍感だよね、ちっとも成長してない」
「悪かったな、分かるなら説明してくれよ」

「そんなに怒らないで、ちゃんと説明するから。それに高須君、いま謝ってる最中なんでしょ」
「スマン」

「みんなは心配してたんだよ」

「心配って… 俺のことをか?」
「正確には高須君と逢坂さんのことをね」

『ハラハラしたよね』
『そうだよ、あんなに仲が良いのに高須君はちっとも告白しないしね』

『本当だよ、他の男に逢坂を持ってかれたらブン殴ってやろうかと思ったよ』

「みんなは見守ってたんだよ」
「高須君は不器用だから、周りが騒ぐと逢坂に告白できないでしょ?だから、自然とみんなは2人に何も言わないで見守ってたの」
「不思議に思わなかった?2人が一緒に居ても茶化す人なんてクラスに居なかったでしょ?」

「確かに居なかった。…俺はてっきり、みんなに怖がられてると思ってたのに」

『そんなことないよねぇ』
『そうだよ、高須君の逢坂さんへの接し方を見てたらね』
『いつも大切な物を扱うみたいに大事にしてさ』

『あんなの見せられたら、噂なんてぶっ飛んじゃうよ。ヤンキー高須?誰よそれ?って感じなるよね』

みんなは俺を避けてたんじゃないのか… 誤解や先入観に捕らわれてたのは俺の方だったんだ、みんなには悪いことしてたな。

「ねっ!私の言った通りだったでしょ」

「あぁ、大河の言う通りだった」

15 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/06(木) 01:27:05 ID:+0pwcNob ?2BP(2828)
『高須!いい加減に話せよ、逢坂とはどうなったんだ』
「えっと、俺と大河は…」
「私たち婚約しました!!」

『えぇ〜!!!』

教室中がざわめきから叫びに替わっちまったよ、これはマズいんじゃないか?

「大河!つきあうとか恋人になったで良かったんじゃないか?何であんなことを言うんだ」

「だって、みんなに教えたかったんだもん。それにウソじゃないよ」

「まぁまぁ、みんな落ち着け」

こんな時に頼りになる男ナンバー1、北村の制止で若干教室は落ち着きを取り戻した。

「高須、今のは本当か?」
「ウソじゃないよ、ホントだよ。ねぇ竜児」

「……本当だ」
『ウォー!』『キャ〜!!』
『マジかよ!流石は高須』

どうすんだよ、コレ… それに『流石は高須』って何だよ、やっぱり俺のこと誤解してるだろ! 

「ダメだよ竜児、こんな嬉しい時にそんな難しい顔したら」
「スマン」
「でも本当は嬉しいんでしょ?」
「当然だろ」

クラスの雰囲気に自然と笑顔になってしまう。全ては俺の考え過ぎ、誤解だったんだ。
学校でこんなに嬉しく思えることなんて初めてだ。このクラスのみんなに出会えて良かった、ありがとう。

「よーし!みんな、めでたいことだ!2人にお祝いの言葉を贈ろう!」

北村君の声でみんなが立ち上がり、みのりんと香椎さんに先導されて2人でゆっくりと教壇へと進む。
こんな風に竜児に手を引いて貰うと結婚式みたいだなぁ、まるでヴァージンロードを歩いてるみたい。
でもヴァージンロードはお父さんに手を引いて貰うんだったかな?
まぁ、どっちでも良いか。
だって、今が最高に幸せなんだから!

「ヨーシ!みんな準備は良いな!」
 《オォー!》
「それじゃいくぞー!!せーの!」


『おめでとう!!!』


―おしまい

16 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/06(木) 01:32:08 ID:+0pwcNob ?2BP(2828)
以上で終了です。
いろいろと問題を起こした自分に最後までお付き合い頂き皆さんには本当に感謝してます。
ありがとうございました。

さぁ今日は休みだ、寝るぞ!

17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 01:56:18 ID:MTfnkgp3
>>16
おつかれ、GJでした。
お姉さんかわいい大河がよかったです、

大河がお姉さんなんて、最強じゃないか!!
ってお姉さん好きの私はおもっています。

とにかくGJでした。

18 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 02:05:30 ID:Y6AoJieR
>>16
乙でした。
いい作品をありがとうです。



19 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 02:15:29 ID:3NrfJV1R
>>1乙!
そして>>16GJした!

20 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 06:41:45 ID:TUxm8ZR1
>>16
GJ!よくぞ戻ってきてくれた!お疲れ様です。

前スレのギリギリまで投下した猛者の方もGJです。
デレタイガーの書き方とサブキャラの台詞がとても面白かった!
次スレ予告こないからヒヤヒヤしたぜw

21 :朝刊 ◆fDszcniTtk :2009/08/06(木) 07:51:02 ID:GgtC+sIv
「君と二人で」

最終回投下。

みゃは☆

22 :君と二人で ◆fDszcniTtk :2009/08/06(木) 07:51:49 ID:GgtC+sIv
「大河!」

年頃の女の子だというのに腕白小僧のようにキャンプファイヤーの前を駆け抜けていく婚約者に声を掛ける。さっきから走る姿ばかり見かけている。3回ほど声を掛けているのだが耳に入らないらしく、捕まえ損ねていた。どんだけ元気なんだよ。

「あ、竜児!」

ようやく気づいてくれた。ずざざっ!と急ブレーキで止まると、大河はうれしそうに竜児の所に走ってくる。そして、芸能人の密会現場を押さえた三文ライターの笑顔になって

「知ってる?竜児!香椎奈々子と木原麻耶の間に密約があったっていう黒い噂があるの」

と、ひそひそ声。

「黒い噂?」
「どっちが勝っても兄貴ノートを見せようって約束していたんだって」

あまりのくだらなさに、竜児はぷっと吹きだす。

「そりゃ密約じゃない、単なる約束だ」
「えっ、そうかしら。ずるくない?」
「俺は去年能登達にも見せたぜ」
「あ、そうか」

大河が竜児を見あげながら、へらっと笑う。

ミルク色の頬、形のいい小さな鼻、優美な額。淡色のふわっとした髪がキャンプファイヤーに照らされて、オレンジ色に縁取られている。ああ、畜生。こいつかわいいなぁ。竜児はつい、微笑みを漏らす。なんだか最近、
自分は大河のせいでずいぶん軽くなったんじゃないかと思う。いっつも面倒ばかり起こすくせに、こんな風にすぐに竜児の心をとろかしてしまう。

「なぁ、大河。ちょっといいか?」
「何?手早くしてね?私忙しいんだから」

首を傾けて少し気取ったように微笑む大河に、ちょっとだけむっとする。婚約者に対してその扱いは何だ。

「なんだよ、俺の話より重要な事があるのかよ?」
「あら、あるわよ。みのりんとお話するでしょ?ばかちーが色気づいているから注意しないといけないでしょ?木下君が吉田さんにちょっかい出し過ぎないか監視が必要でしょ?それから」
「いや、もういいよ。わかった、じゃ手短に話すよ」

何?と大河は微笑みながら、こちらを見上げている。

畜生。こいつかわいいなぁ。

23 :君と二人で ◆fDszcniTtk :2009/08/06(木) 07:52:31 ID:GgtC+sIv
「大河」

左手の手のひらを上に向けて、大河に差し出す。

「踊ってくれないか?」

目が見開かれ、大河の頬にさっと桜色が散る。瞳はほんの少し潤みを強めて、キャンプファイヤーの光をきらきらと反射する。すこし逡巡したようだが、唇をきゅっとすぼめて恥ずかしげな表情をすると

「うん」

すっと、右手が差し出されて、竜児の左手の上に添えられる。そして

「え?」

戸惑いの表情。竜児が右手で大河の背中をそっと引き寄せたから。

「フォークダンスじゃないの?」
「フォークダンスのほうがいいか?」

学校の校庭で踊るには近すぎる距離に、大河が頬を赤く染める。

「わかんない。竜児が決めて」
「おう、じゃぁさ」

と、竜児は言葉を切って、

「左手を、俺の肩にあてて…そう」
「ああ」

不意にもたらされた竜児の攻撃に、大河がとろけそうなため息を漏らす。

「変なの。こんな風にダンスの格好しただけでため息がでちゃうよ」
「そうか」

いつも元気で身も蓋もないくせに、こうやって照れているところは本当に女の子だ。

「急に踊ろうなんて、変な竜児。こんな風に踊れるなんて知らなかった。やっちゃんから教わったの?」
「いや、本を買って勉強した。お前と今夜踊ろうと思って。ステップは難しすぎてあきらめたけどな」
大河が恥ずかしそうに微笑む。

「私のため?本当?」
「ああ、本当さ」

はーっと大きなため息。ちょっとうつむいて、そして竜児を見上げて

「竜児は時々、急にロマンチックになるよね」
「そうか?」
「そうよ」

うれしそうに言う。

24 :君と二人で ◆fDszcniTtk :2009/08/06(木) 07:53:13 ID:GgtC+sIv
恥らう大河の向こうでぴゅーっと口笛が鳴る。音楽無視でゆっくりと体を揺らし始めた二人に、冷やかしの声が浴びせられる。手乗りタイガーっ!とか、ヤンキー高須!とか、熱い熱い!とか。お前等こっちがおとなしいときだけ威勢がいいな。

「ね、みんな笑ってるよ」
「あんなの無視しとけって。すぐ飽きるから」
「そうかな」

ほんの一年前まで天下御免の手乗りタイガーで鳴らしていたくせに、恥ずかしくて顔を上げていられないらしい。優しく見守る竜児をよそに、大河は顔を竜児の胸に埋めるようにして体を揺らしている。つきあい始めて何ヶ月たっても、大河は冷やかされると顔を真っ赤にする。
不思議な女だ。

大河が気にするまでもない。うるさい連中なんかガン無視すればいい。ガンを飛ばして黙らせて、無視するだけだ。ほら、一人、二人と、はじかれたように顔をそらす。

「ほんとだ、静かになったね。みんな飽きちゃったのかな」

ようやく顔を上げた大河と微笑みを交わす。

「な?言ったとおりだろ」

文化祭の後夜祭もたけなわ。二人が始めたダンスは、瞬く間に校庭の隅々まで広がっていく。まねしてゆっくりと体を揺らしている組もあれば、馬鹿にはじけた踊りに挑戦している自由な奴等も居る。あちこちに散らばったフォークダンスの輪の間で、
ひと組、ふた組、彼氏と彼女たちが踊っている。木下と吉田さんも踊っている。麻耶と陸上部の2年も踊っている。それから村瀬と書記女史も。

キャンプファイヤーの横で踊っているだけなのに、もう、世界はいつもと違うようで。

それにしても、いつもは気にならないのに今夜だけは少しだけ大河の小ささが恨めしい。もうちょっとだけ大河が大きければ表情がよく見えるのに、と竜児は思う。ただ、口許にかすかに浮かんだ笑みだけが見える。


25 :君と二人で ◆fDszcniTtk :2009/08/06(木) 07:54:04 ID:GgtC+sIv
「ねえ、竜児」
「なんだ?」

竜児と大河も、いつもより優しい声で。

「どうして急に踊ろうなんて言い出したの?」
「急じゃねぇ。俺は福男の権利を行使してないんだよ。お前、去年逃げたろ」

くくく、と大河が小鳩のように笑う。

「だって」
「あのときにはそんなに気にしなかったんだけどさ。あとになって踊らなかったことをずいぶん後悔したよ」
「どうして?北村君に焼けちゃった?」

竜児を見上げながら小首をかしげて、少し意地悪そうな目で微笑む。畜生。こいつかわいいなぁ。

「ああ、正直それもあるな。でもさ、あのときもっとちゃんと横に居てやっていればって思った」
「横に?」
「そうだ。去年の文化祭、俺が余計なこと言ったばっかりにお前をつらい目にあわせてさ。それで、ミスコンのお前見て、横に居てやらなきゃ、お前の横には俺が居るって教えてやらなきゃって思ってさ。お前が好きなのは北村だってわかってたけど。
だから頑張って福男になって。なのに、さあ踊りをって思ったら、お前逃げちゃうんだもん」
「そうね」

楽しそうだった大河の口許が、少し憂いをたたえる。

「そんな顔するなって。俺もお前もいろいろあったけどさ。あのときちゃんと捕まえて『俺はお前の側に居るんだぞ』って言ってやっていれば、後でお前をあんなに泣かすことにならなかったかなって思うよ」
「竜児のせいじゃないよ。竜児のせいじゃない」

かすれるような声は、なだめたり取り繕ったりじゃなくて本心の色。うつむく大河に

「お前は」

と、竜児はすこし言葉を切る。

「一番つらいことは、絶対に言わない女だって、俺はあのあとずっと経ってから気がついた。あのときはまだ、一番つらいこと、一番寂しいことは言わない奴だって気づいてなかった。もし、あのときそれに気づいて、『側に居るから』ってちゃんと言っていれば、
お前のつらさや寂しさを少しだけでも和らげてやれてたかもしれない」

低い声でささやくように投げかけられる言葉をかみ締めているかのように、大河は黙って聞いている。

「俺はそれに気づかなかった。それをずっと後悔してた」

26 :君と二人で ◆fDszcniTtk :2009/08/06(木) 07:55:14 ID:GgtC+sIv
「もし竜児と踊っていたら、私達どうなっていたかなぁ」

顔を上げて、大河が微笑む。ぱちぱちとキャンプファイヤーの音が聞こえる。

「どうなっていたかな。あんまりお前を泣かさなくて済んだと思うよ」
「そうかな」
「そうさ」

音に釣られたか、大河がキャンプファイヤーの方を見る。そしてもう一度竜児を見上げる。

「ねぇ、竜児」
「なんだ」
「竜児はそんな風に言うけどさ、私、竜児と出会ってからあんまり泣かなくなったよ。文化祭よりずっと前から、私は竜児のおかげで泣かなくなってたよ」

竜児が微笑む。

「うそつけ、お前泣いてばっかりだったじゃないか」
「だって、前はもっと泣いてたもん。もっと苦しかった。息をするのも苦しかったの。でも、竜児が来てから、あんまり苦しくなくなった」

フォークダンスの曲が変わる。校庭のあちこちから声が上がる。みんな、踊り方覚えてるか?

「そうか」
「うん」
「もっと早く気がつけばよかったよ。ちゃんといつも側に居てやらなきゃって。変だよな。お前が優しい奴だって事には、すぐに気づいたのに。もっと大事なことには気づかないままだった」

大河は少しおかしそうに

「私の事優しいなんて言うの、竜児だけだよ」

言い返してみる。が、

「そうか?じゃぁ、俺だけが知ってるってことか。みんなには秘密にしとくか?」
「もう」

竜児から軽口をくらって、言葉を継げない。

大河は照れたように頭をまた胸に預けてくる。すっかり暗くなった夜空の下、校庭のすべてがキャンプファイヤーのオレンジ色に染まっている。川嶋や香椎、それから櫛枝や春田と言った連中が現れては、二人に声を掛けようとする。
そのたびに竜児は、今は二人きりにしておいてくれ、と首を振って微笑む。みな、冷やかさずに笑顔でそっとしておいてくれた。

27 :君と二人で ◆fDszcniTtk :2009/08/06(木) 07:55:58 ID:GgtC+sIv
「大河」
「ん?」
「もう一度言うけど。去年のミス大橋高校だったお前の所に真っ先にたどり着きたいって思って、俺はこの校庭を走った。側に居てあげたくて。だから、今、ちゃんと言う。お前の横には俺が居る。ずっと俺が側に居る。もう、つらいことは我慢しないでくれ。俺に言ってくれ。
お前が1人で苦しむなんて俺は耐えられねぇ。それをずっと、俺は言いたかった。文化祭の夜に。ミス大橋高校のお前に」

大河は黙ったまま、竜児の胸に頭を預けて体を揺らしている。キャンプファイヤーがはじけて、校庭に歓声があがる。小さく鼻をすする音がする。

「竜児の意地悪。そんなこと言われたら、泣いちゃうじゃない」

声を震わす大河から手を離して、ポケットからきれいなハンカチを取り出す。大河と知り合ってから、ハンカチの出番が少し増えた。

「泣いたら俺が涙を拭いてやる。ほら、鼻かめ。みんなと踊りに行こう」
「みんな?」

ほんの少し涙を残した声で首をかしげる大河に、校庭の一角を指差す。

いつの間にか3−Aと3−Bのフォークダンスの輪が出来ている。キャンプファイヤーのオレンジ色の光に照らし出され、共同企画の成功を祝って理系文系入り乱れて踊っている。あの輪に加わろう。もっと2人で踊りたいけれど、
あの輪で踊ることが出来るのは今夜だけだ。楽しかった文化祭の締めにふさわしい。

「なぁ、大河。文化祭、どうだった?」

キャンプファイアーの炎は、向き合う二人も優しく照らし出す。二人して手をつないで、踊りの輪へ向かう。

「楽しかったよ。みんなで展示作って、喧嘩したけど仲直りして、竜児と2人で見てまわって、ミスコンの司会やって、それに…」

オレンジ色の光を受けながら、大河の顔が明るくほころぶ。

「…踊ってもらえた」

まだそこにあることを確かめるように、竜児の手を握る手にほんの少し力が込められる。竜児も握り返してやる。

「ああ、そうだな。今年の文化祭は本当に楽しかったな」

秋の夜空は寂しい。オリオンもまだ見えない。でも、オリオンが見えなくても、もう大河に寂しい思いはさせない。

みんな楽しそうに踊っている。
柔道部の田口も、陸上部の谷本も、美術部の平原も、理系セクシーな湯川も、数学班の木下も、お弁当で3−Aをパニックにしてくれた吉田さんも、知的な女の岸本さんも、剣道部の横川も、能登も、村瀬も、書記女史も、みんな楽しそうに踊っている。
北村は…また働いているのだろう。

高校生活最後の文化祭は楽しかった。

なにより、大河の横に居てやれた。

「ねぇ、竜児。私も言いたいことがあるんだ」
「おう、何だ」

大河が竜児を見上げてオレンジ色に染まる頬に微笑を浮かべる。

「大好き」

ひんやりした空気が気持ちいい。もうすぐ、秋も終わる。

(おしまい)


28 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 09:02:27 ID:TUxm8ZR1
うおお…遂に終わっちまった…。
振り替えれば2週間ほぼ毎日投下なんて凄すぎる。
大学の蘊蓄や情景描写がうめえw
お疲れ様でした!

29 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 09:02:33 ID:WR9z7Aii
>>6
もう関連スレ貼らなくてもいいんじゃね

30 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 11:39:38 ID:DerTiPZu
乙面白かったよ

31 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 12:39:43 ID:GaOIx8Ry
>>27
乙でした。
ひたすら2828しっ放しでした。
お疲れ様です。

大作がどんどん終わるなあ。

32 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 19:51:50 ID:z4Ioj5wQ
>>16
みんなに祝福してもらえて竜虎も幸せそうでGJでした!

>>27
長編お疲れ様でした。竜児のメロメロっぷりが微笑ましかった。
激動の1年を過ごして大河はかなり成長したと思うんだよね。もちろん竜児も。
そこらへんが丁寧に描かれててとても良かったと思います。

>>リップサービスの人
前半のハイテンションパートではマジ笑わせてもらいました。
小ネタ満載だし後半のしっとり具合もオチも面白かった。これからも頑張って下さい。


33 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 20:23:14 ID:/YQBXp1v
囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗
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囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗囗

専ブラで囗を抽出してみよう

34 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 22:34:34 ID:j+AAsIuE
>>16
何はともあれホントに戻って来てくれてアリガト
書ききってくれてアリガト
そしてお疲れ様でした

オイラは氏の生み出した大河が大好きです
(竜児には敵わないかもだけどw)

前に婚約まで書いてくれたらうれしいと書きましたが、ホントに書いてもらえるとは。。。
でも告白当日に婚約まで行っちゃうとはねぇwww
びっくりですw
奈々子様の【お礼のお茶】がえらい事態を生んじゃいましたねw

佳境での二人の心情に少々ヤキモキしましたが(特に竜児)、オイラに代わってみのりんが鬱憤晴らしてくれたからOKです!

やっちゃんも娘ができたこときっとびっくりした後、喜んでいるでしょうね
読んでみたかったけどw

気が向いたら続編書いてって言うつもりだったけど…
あれだけきれいに〆られるともう無理ですねぇ

素敵な作品ありがとうございました


大河かわいいよ大河

35 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 22:36:58 ID:/PFjJT0Q
次から10レスくらい投下します。

【時期・設定】原作終了後、3年の初夏くらい。
【注意事項】乳の爆弾注意(原作と同等かそれ以下のレベル)

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 22:37:09 ID:hqunhwFh
みんなお疲れ様。書き手の方毎回良作投下していただいてありがとうございます!
仕事から帰ってきて毎日スレを覗くのが楽しなんですよね。
さて、最近規制が解除されたので今まで読み手だった自分も思い切って投下してみたいと思っています。
仕事の関係上不定期更新になってしまうと思いますが大丈夫でしょうか?
以前にまとめて投下して欲しいと言ってた気がしたので・・・
どうでしょうか?

ではこれから執筆作業に入らせて頂きます。また後で覗きにきますのでノシ



37 :哺乳類ネコ科@:2009/08/06(木) 22:39:19 ID:/PFjJT0Q
「お前って本当にネコみたいだよな……」

丸まった物体が、ふぇ? と、寝ぼけ眼で素っ頓狂な声を上げる。

「おう、悪い。起こしちまったか?」

返事はない。ただの寝言のようだ。高須竜児は安堵する。相手はあの手乗りタイガーだ。
安眠を妨害したことが知られたら、どんな仕打ちが待っているかわからない。
今の時点では静かに寝息を立てているが、いつ凶暴な獣に変身するかわからないのだ。

もっとも、ここ最近は「手乗りタイガー」を見ていない気がする。
思い返せば、晴れてお互いの想いを伝え合って以来、だ。
恋人が出来たといって、変わるような女だとも思わなかった。
ましてや、恋人になったのは気心の知れたサンドバッグ、竜児なのだ。
大河が丸くなりつつあるのは、竜児にとっても周囲にとっても大変喜ばしいことではあった。
暴力を受けないのは、少しスキンシップが減ったみたいで寂しくもあったけれど。

「……ん……お味噌汁の匂い……」
「おう、起きたか。早く食っちまえ。帰り、早いんだろ?」

平日の大河は弟の世話で忙しいし、土曜日の午後がわずかな逢瀬を楽しむ時間だ。
学校では顔を合わせるけど、クラスは違うしあまり一緒にいる時間はない。
なので、大河も竜児も土曜の午後を楽しみに毎日を過ごす生活になった。
たいていは大河が竜児の家へ来て、かつてのようにダラダラと過ごすだけなのだけど。
そして、竜児の作る夕御飯を食べて、家まで送っていってもらう、というのがいつものパターンだ。

「そういえば、竜児。寝ているときに何か私に話しかけなかった?」
「起きてたのかよ? いや、大したことじゃないんだが……」
「何?」
「お前、ネコみたいだなぁ、と思ってさ。」
「私が? なんで?」

大河がびっくりとして目を丸くする。
それでいて少しつりあがって、瞳には三日月を宿しているようで。
そうさ、その目だってネコみたいなんだ、と竜児は思う。

38 :哺乳類ネコ科A:2009/08/06(木) 22:40:49 ID:/PFjJT0Q
「だってさ、お前、寝てばっかりだろ?
丸まってて、その……なんか柔らかくてあったかいしさ。
ネコでも飼い始めた気分だな、と思ったんだ。」
「おーやだ、おぞましい。
私が寝ているのをいいことに、あんなことやこんなことをしたのね。このエロ犬。」
「人の膝を枕にして寝始めたのはお前だろ!」
「何のことかしら?」
「お前もう、逢坂『寝子』に改名しろ!
ネコだってもともと、『寝る子』が由来らしいし。」
「なんでそんな変なことに詳しいのよ、この変態無駄知識犬!」
「雑学って言えよ!」

傍から見れば、以前と変わらないやりとりかもしれない。
それでも、何とも言えない丸さが出てきた、と竜児は思う。
なんというか、以前は言葉の端々に、角みたいなものがあったのだ。
本当に色々あったけど、紆余曲折を経て大河も変わりつつあるのだろう。
これはきっと、いい傾向なのだ。
外見から恐れられる竜児とは違って、大河は見た目はいいのだ。
そのうち大河も、必要以上になどと恐れられることなどなくなるのだろう。

そう、竜児は「忘れていた」のだった。

 * * *

「おう、大河と高須くんじゃん!」

向こうで手を振るのは、大河の大親友にして竜児の戦友、櫛枝実乃梨。
思い出深いことも、思い出したくないことも、色々とあったのも今となってはいい思い出。
実乃梨との関係を考えたとき、なんとなく戦友という言葉が一番近いのではないのかと思う。
(確かにあれは強敵と書いて「とも」と読むほどの強敵だったさ!)

「ヒューヒュー、手なんか繋いじゃってお熱いねぇ、お二人さん。
見てるこっちまで暑くなっちまうぜ。
いや、実際今日暑いけどねぇ。」

実乃梨はボヤきつつ、キャミソールの胸元を指でつまみパタパタさせるのだ。
そうすると、必然的に竜児の目線からはTANIMAがはっきりと見えてしまうのだ。
今はもう決着がついたとはいえ、かつての想い人のTANIMAだ。
何より、反応しないのは男として失礼な行為……かどうかは別として、竜児は思わず赤面してしまう。

「あれぇ? 高須くん、どうした? 熱でもある?」

そう言って実乃梨は顔をずい、と近づけてくる。

39 :哺乳類ネコ科B:2009/08/06(木) 22:42:15 ID:/PFjJT0Q
そうすると、なおさら見えてしまうのだ。実乃梨の無防備なTANIMAが。
実乃梨とマンツーマンなら、「お前は無防備すぎるんだよ!」「もーう、高須くんのSU☆KE☆BE」とでも軽口を叩けるのだろう。
しかし、今はヤキモチタイガーの目の前だ。
ヤキモチタイガーの恐ろしさは去年の今頃思い知らされている。
だから、大河と付き合うようになってからは、ヤキモチを妬かれるようなことは慎んできた。
亜美もちょっかいをあまり出さなくなったし、あまり出されないように努力もしてきたのだ。

「本当に大丈夫? 竜児?」
「おう、いや。天然って怖いな、って思っただけだ……」

返事のない竜児に心配したのか、傍らの大河が見上げてくる。
きっと、これが一番無難な返事なんだろう。
大河と実乃梨が大きなクエスチョンマークを掲げているけれども。

「あ、大河。こないだ借りたCDなんだけどさ。
週明けに学校で、でいいかな?」
「うん、それでいいよ。
じゃあね、みのりん! また学校でね!」

そうやって、実乃梨に別れを告げるのだった。
再び歩き出してしばらくして、

「みのりんと話してたら暑いって気づいちゃった!」
「お前はもう少し主体性を持てよ……」
「何とでも言うがいい。今の私はすごくアイスが食べたい気分なのだ」
「はいはい、コンビニな……」
「よろしい」
「帰ってから食べるんだぞ?
コンビニの駐車場で食べるなんてだらしないまねは許しません」
「ちぇー」

大河は口をすぼめ、手で顔をあおぐ。
こういう状態になったら従うしかない。
幸い、大河の家の目の前にコンビニがあるしそこに寄るくらいなら大丈夫だろう。

40 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 22:43:30 ID:B4r7XfpZ
>>16
乙でした!よかったっす。
大河の感情の振幅が派手でなくても、期待と不安、悲しみと喜びをきっちり描いて「とらドラ!」になるんだなぁと
新たな発見をした気分。

前スレ〆めの「リップサービス」も見事な展開っぷりで引き込まれましたぜ!
オチ、ワロタ。

>>27
長期間お疲れ様でした&有難うございました。
1年前の文化祭との違いを考えると、こちらもしみじみしてしまいました。

今回は、オリジナリティに溢れた物語の展開や、個性たっぷりの各キャラ、日常の表現などに目を奪われていましたが、
文豪の伝家の宝刀は、竜虎が想い合う気持ち、特に竜児から大河への、 というのを思い出して、ばっさり斬られマシタ。
「ピクニック」とか「October」とか「証人」とか、前の作品を思い出しましたねぇ。勿論「beautiful」も他にも色々。

あ、今回は 「竜児は時々、急にロマンチックになるよね」にヤラれました。 大河にそんなこと言われたら、軽く逝けるな。

41 :哺乳類ネコ科C:2009/08/06(木) 22:44:12 ID:/PFjJT0Q
コンビニの自動ドアをくぐると、そこは天国であった。

「あー、涼しいー!」
「本当に、この瞬間は嬉しいよな」

こんなに冷房効かせすぎなんてMOTTAINAI! ということは頭ではよく理解している。
しかし、体は正直なのだ。エコロジーに逆行する自分の体を恨めしく思う瞬間だ。

「竜児、ちょっと本見てく!」
「おーい、門限……って、お前早いな! おい!」

もう大河は、ファッション雑誌を開いていた。こうなると、20分は動かないはずだ。
お店に迷惑だろ、と思うのだが、「それ以上に買い物で還元するからいいのよ」と大河理論を持ち出されると反抗する気も失せてくる。
観念して、竜児は店の外に出て携帯電話を取り出し、ある番号に電話する。

「あー、もしもし。高須ですが」
「あら、高須くん。どうしたの?」
「今大河を送って家の前のコンビニまで来たのですが、少し遅くなるかもしれません」
「あらあら、またあの子ね」
「まぁ、その、何というか……」
「近くまで来てるならいいわ。あまり遅くならないようにあの子に伝えてね」
「はいわかりました、申し訳ありません……」
「いいのいいの、いつも大河を送ってくれてありがとうね」

ふう、と竜児は息をつき、電話を切る。
まだやはり、大河の母と話すのは慣れない。
一応の門限はあるのだが、連絡をしっかりすれば大丈夫だ。
だいいち、門限に遅れる場合の原因は必ずといっていいほど大河だ。
大河の母も、きちんとそれは理解してくれているようだ。
(どれだけ信用してもらってないんだよ!)
竜児としては門限を破らせるつもりは全くないし、破ろうとしたこともない。
あれだけ眼前で大々的なエスケープをかました割には、信用されているようで何よりだ。
自分の誠実さも伝わっているようだし、今まで真面目に生きてきてよかったな、と竜児は思う。

42 :哺乳類ネコ科D:2009/08/06(木) 22:45:18 ID:/PFjJT0Q
コンビニの中に戻ると、大河はまだ雑誌を読んでいた。
仕方ないので、竜児も付き合うことにし、適当な漫画を手にした。

「あ、ばかちー」

突然隣にいる大河が、竜児に向かって雑誌を突きつけてくる。
よくわからない特集コーナーで、亜美はなぜかお好み焼きを焼いていた。
その鉄板を見て竜児は一言、

「やっぱり大きいっていいよな……」

としみじみ呟く。家のホットプレートじゃ小さいのだ。
それだけ大きい鉄板があれば何枚も一度に焼けるし、竜児の腕も存分に発揮できるだろう。
泰子の店に行ったときに、しみじみと思い知らされたのだ。

この時竜児に誤算があったとすれば、それは、女に欲情したときと家事全般に欲情したときの目つきがまったく同じである、ということだろう。
それを知る由もない竜児は、さらに畳み掛ける。

「あるといいよな……」

みるみるうちに大河が不機嫌になったのに、竜児は気づかなかった。
大河は雑誌を閉じて棚に戻し、竜児に背を向ける。

「私、帰るね。送ってくれてありがとう」
「お、おう。また来週な」

竜児が返事をしたときには、大河は既に自動ドアをくぐっていた。
別に不思議に思わなかったし、単に眠いのだろうと思うことにした。
あれだけ昼寝したのに、まだ寝たりないのか。
やっぱり「寝子」じゃねぇか。

竜児はまだ「思い出していない」のだ。

 * * *

43 :哺乳類ネコ科E:2009/08/06(木) 22:46:40 ID:/PFjJT0Q
朝練のときにCDを部室に置き忘れた、放課後に返すから部室まで遊びに来てね、と言われて大河は女子部室棟へと向かう。

「おや、大河じゃん。 ようこそ女のサンクチュアリへ」

実乃梨はワイシャツを脱ぎ去ってスカートにキャミソール姿、器用にバランスボールに乗りながら扇風機を浴びていた。
あ゛〜〜、と声を震わせる古典的なネタまでしっかりとつけて。

「みのりん、ちょっとはしたないわよ……」
「いいじゃんいいじゃん、女の園だぜ。
見せたって減るもんでもないし。」

そう言いながら胸元をパタパタさせる実乃梨を見て、ふと気づく。
いつもは実乃梨を見上げる側だったから気づかなかったのだ。
実乃梨を上から見下ろすと、無防備な胸元が見えてしまうことに。
健康的な肌が創り出す谷間に、どうしても目線は釘付けになってしまうのだ。

「あの日はそういうことかよ……」

そう大河がボソリと呟いたのを、実乃梨は知らない。

――そして翌日、文系クラスにて。

「あれ、タイガー今日の弁当どったの?
枝豆ご飯に、大豆とひじきの煮物に、豆腐炒めに、豆乳……?」
「アホロン毛には関係ないことよ。黙れ」

 * * *

折角の土曜日だというのに、大河の様子はおかしかった。
ゴロゴロと寝ているのはいつもと同じなのだけど、なんというか覇気がないのだ。
ここのところ急に暑くなってきたんだし、夏バテの前兆だったら困る。
今日の晩御飯はさっぱりしたものにしよう。
幸い、冷蔵庫には昨日作った鮭の南蛮漬けがある。
肉があまりないとだと大河は怒るかな、でもあいつは猫みたいだから魚も好きなはずだ。
大河のことを考えると自然と顔がニヤけてしまう。

「なにニヤニヤしてんのよ」

44 :哺乳類ネコ科F:2009/08/06(木) 22:48:04 ID:/PFjJT0Q
「おう、ちょっとお前のこと考えながら料理してたらつい、な」
「おおやだ、妄想の中とはいえ変なことしてないでしょうね?」
「そんなことはどうでもいい、こいつを見てくれよ!」

そう言って、本日の力作を並べたちゃぶ台を指差す。

「お前のためを考えて作った料理ばかりだ!」
「豆腐サラダ……に、豆腐のお味噌汁……?」
「重なっちゃったのは気にするな!多めに買っておいたんだ!」
「やっぱり、竜児も……竜児も……」
「それよりも、この南蛮漬けだよ!」
「おっぱい大きいほうが好きなんだ……!」
「おう、暑い中、汗だくになりながら頑張って揚げたんだぜ……えっ!?」
「そういうことは匂わすんじゃなくてはっきりと言えーっ!!」

目の前にいるのは猫なんかじゃなかった。
食いしばった歯はさながら牙、実際には尖っていないけれど存在感のある爪。
そして、なによりも瞳の底から罵倒するような視線。
そこにいるのは久々のご対面、まぎれもなく手乗りタイガー、だった。

 * * *

畳に横たわる竜児はさながらヤムチャ、その横で大河は未だ牙を剥いている。

「な、何でこんな目に合わなきゃならねぇ……」
「何でだと思う?」

わかる訳ねぇだろ。
一つだけわかるのは、こいつが虎だってことをすっかり忘れていた俺が馬鹿だったってことだが。
それにしたって、こんな目に合わなきゃならないのは理不尽だ。

「俺が思うに、お前はたぶん勘違いをしている。
経験上、こういう時にたいてい何かあるのはお前の方だ」
「どの口がそういうことを言うの?」

虎のような目が、ぎろっと竜児を見据える。
射抜かれそうになるのを持ちこたえ、竜児は精一杯の抵抗を続ける。

「よくわからないけど、乳がどうのこうのとか言ってたよな?
どこからそういう話になるんだよ!」

45 :哺乳類ネコ科G:2009/08/06(木) 22:49:22 ID:/PFjJT0Q
「忘れたの? 先週みのりんと会ったときに、みのりんのおっぱい見てたでしょ?」

竜児はうっ、と口をつぐむ。
隠し通したつもりなのに、また隠せてなかったのか俺は。

「そして、コンビニのばかちーよ。
あんた言ったわよね、『大きい方がいい』とか『あるといい』とか。」

確かにいったような記憶がある、が。
記憶の糸を辿り、必死に思い出す。

「おう、あれは鉄板の話だ!」
「本当に?」
「こんなんで嘘ついてどうする!」

大河の目が、みるみるうちに丸くなる。

「まだあるのよ。じゃあ、今日の豆腐祭りは?
私の胸が大きく、とまでは無理かもしれないけどさ。
あるほうがいいってんなら、やんわり示すんじゃなくてはっきりと言ってくれない?」
「あれは単に、美味しい店の豆腐が安くてつい買い込んでしまっただけでな……」
「本当に? 私が先週大豆祭りしてたのに乗っかろうとしたんじゃなくて?」
「そんなこと知るわけねぇだろ!」
「え、じゃあ全部私の……ごか……い?」
「そうだよ!」
「あらやだ」

竜児が次の句を継ごうとした瞬間、ぐぅー、と大河のお腹の虫が鳴いた。

「竜児、もうお腹ペコペコ! 早くご飯にしましょ!」

そう言って大河はちゃぶ台の前にちょこんと正座し、手を合わせていただきます、と一言。
もう反論する気力もねぇ。

 * * *

46 :哺乳類ネコ科H:2009/08/06(木) 22:50:33 ID:/PFjJT0Q
「おう、大河と高須くんじゃん!
ヒューヒュー、手なんか繋いじゃってお熱いねぇ、お二人さん」

先週も聞いたような台詞の主は、やはり実乃梨だった。
そもそも、ことの発端はお前がそんな格好していたからなんだよ! なんて思っていると、

「おろ、高須くん。今日は生傷一杯だね?
大河にやられたのかい?」

もうど真ん中ストレート。
はっきり訊いてくるところも実乃梨らしいっちゃらしいのだが。

「違うわよみのりん、エロ犬に制裁加えただけよ」
「そう言いつつ顔はニヤけてるぜ?大河さんよ」
「何のことかしら、わからないわ」

ああ、誤解が解けてからの大河はもう本当に上機嫌だったさ。
肉が足りない、とボヤきつつもすごい勢いで食べたし、栄養満点の料理に満足してくれたようだ。

「大河、高須くんに甘えるのもいいけどさ、ほどほどにしときなよ?」
「甘えてる? 私が!?」
「そうだよー、普通の女の子は恋人をボコボコにしないぜ?
こんなことをしても離れていかない、って信じてる相手じゃないとそんなことはできないぜ。
大河と高須くんの関係だから、私はあまり言わないけどさ。
さすがに、限度はわきまえないとだめなんだぜ、大河」
「本当にわきまえてくれるといいんだけどな」
「何言ってんのよ!」

大河の左手が、繋いだ竜児の右手に爪を立ててくる。
いでっ、っと竜児が声を上げるのを見て実乃梨は、

「おー、熱いこと熱いこと。ごちそうさま」

なんて言って、キャミソールの胸元に指をかける。

その瞬間の、竜児の目線の動きを大河は見逃さなかった。
竜児はどこかで、カチッ、とスイッチが入った音が聞こえた気がした。

「じゃあ、大河に高須くん、また学校でねー!」

そう言って実乃梨は手を振って去ろうとする。

47 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 22:52:06 ID:z4Ioj5wQ
支援ちゃん

48 :哺乳類ネコ科I(終):2009/08/06(木) 22:53:21 ID:/PFjJT0Q
「ま、待ってくれ櫛枝……!」

気づくと大河は、すごい握力で竜児の右手を握り返している。
少し俯いているので見えないが、どういう表情をしているかはだいたい想像がつく。

「さ、さっきのこと……! わきまえろ、って……!
もう一回大河に言ってやってくれ……!」

足を踏むのはやめてください、大河さん。
実乃梨は人差し指をちっ、ちっ、ちっ、と、

「さっきも言ったけど、大河と高須くんの問題だからね。
夫婦喧嘩は犬も食わない、邪魔者はこれで退散しますわー」

見せ付けてくれやがってこんちくしょう。
ちょっと帰りにバッティングセンターでも寄って、このモヤモヤとした感情を吹き飛ばしてやらないとやってらんない。
それにしても羨ましい、そんなに感情をぶつけられる相手が居るってのはなぁ。
きっと来週には何食わぬ顔でまたラブラブっぷりを発揮するのだろう、なんてことを思いながら。

そして、残された竜児はというと。

「た、大河さん……?」
「そういえば、あんたさっきみのりんのおっぱいのことだけは否定しなかったわよね……?」

はい、男とはそういう生き物ですから。
悲しいけど、これが男の性(さが)ですから。
心の中で必死に主張してみるけど、とても声に出して主張したところで通るような相手ではない。
どうやら、眠れる虎の尻尾を踏んづけてしまったようだ。

「あ、いや、その……はい、すみません。見てました」
「おー、やっぱり竜児は正直者で嘘がつけない子だ。
そんなあんたに、遠まわしに伝えるなんて真似できるわけがなかったわね。
ばかちーと豆腐の件は私が完全に誤解していたわ、本当に悪かったわね?」

目が謝っていないし笑っていない。

「お、怒ってるのか……?」

そうだ、どれだけ猫の仮面を被っていようとやっぱりこいつは手乗りタイガー。
改めて心に刻み込んで、今後は気をつけよう。

「当たり前じゃぼけぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

その夜、虎の咆哮ははるか遠くまで響き渡ったという。

49 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 22:55:55 ID:B4r7XfpZ
>>48
投下の途中に邪魔して申し訳ありませんでした… ちゃんと再読み込みしろよ  orz

50 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:01:50 ID:/PFjJT0Q
以上、「あらやだ」で恋人をボロ雑巾にしそうなヒロイン第一位、の生態をお届けしました。
拙い文章ではありますが、楽しんでいただければ幸いです。

>>49
途中で連投規制にひっかかったとこもあったので、結果的には助かったと思います。
ドンマイですw

51 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:48:56 ID:Y6AoJieR
>>50
乙でした。
いつも変わらない大河に2828です。


ふと小ネタを思いついたので投下します。
原作のスピンオフ1巻の大河急病編で出て来た医者がヤブじゃなかったら・・・。

52 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:50:01 ID:Y6AoJieR
診察室の中には某公共放送のニュースキャスターが勤まる雰囲気を漂わせた医者が、ついさっきまで当直室で寝てましたと言う様子を見せずに座っていた。
「どうしました、逢坂さん」
診察台の上に置いてある真っ白なカルテに書き込まれた名前を見ながら大河を一瞥する。
もはや答える気力も無いのか大河は車椅子の上で気息奄々、はあはあと肩で息をしていた。
「急にお腹が痛いって言い出して」
大河に代わって竜児が症状を説明する。
夏休みの最中の夜中、大学病院の救急外来へ竜児と大河は来ていた。
夕食の時に食欲がないと言っていた大河は夜が更けた頃、急な腹痛を訴え、苦しみ出した。
・・・死ぬかもと言う大河の台詞が冗談に聞こえないほど、深刻そうな様子。
うろたえながらも竜児は大河を抱えるようにしてこの病院に駆け込んだのだった。

「腹痛ね。吐いたり、下ったりした?」
大河は首を振って、違うと意思表示。
「じゃ、ちょっとお腹見るから、横になってくれる」
上半身がふらふらと揺れ大河は車椅子から立ち上がれず、足元がおぼつかない。危うく倒れそうになるのを見て、医者は看護師を呼び介助を依頼した。
大河が横になると、医者は振り返り「ご家族の方?」と竜児を呼ばわった。
大河は家族みたいなものだから、そうだと答えても良かったが、事実ではない。何と答えるのが適切かと少しだけ竜児は考え込んでから答えた、「友人」ですと。
「じゃ、お腹見るから、外で待ってもらえるかな」
家族でもなければ、診察時に追い出されるのは当然か。竜児がそう思って出ていこうとすると、
「ま、待って」
苦しげな大河の声。
お腹が痛くて苦しいだろうに、ベッドの上で無理矢理、上半身を起こそうとする。
「ここにいて」
浅い息の下から、かろうじてそれだけを言う。
「お腹、彼に見られるけど大丈夫?」
一応、医者が警告する。
恥ずかしいと言う思いはあるものの、見知らぬ診察室で一人きりになってしまう心細さが上回り、大河はコクンと頷いた。
医者は目線で竜児に在室を許可すると、「ごめんね」と言いながら大河のお腹へ手を伸ばす。
医者の手元が見えない場所まで竜児は下がり、それでいて大河から見える位置に立った。
医者が大河のお腹を「ここ痛い?」と押すたび、大河は痛そうに表情を変える。
大河の額に浮かぶ汗がその辛さを物語っていて、竜児は直視するのが忍びなかった。
それでも、時折、視界の中に竜児を見つけて、表情を和らげる大河。
竜児はそんな大河のためにも目を逸らさないと決め、じっと診察が済むまで見守り続けた。


53 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:51:49 ID:Y6AoJieR
「念のため、ちょっと検査してみようか」
診察を終えた医者は手早く、検査伝票を作り、看護師に指示を出す。
「生化学と尿検、至急でやってもらって」
「じゃあ、逢坂さん、こちらです」
看護師が車椅子に移った大河をそのまま押してゆく。
そして、そのまま付いて行こうとする竜児を医者は呼び止めた。
「ちょっと、聞きたいことあるから」
「はあ、何でしょう?」
去って行く大河を気にしながら、竜児は診察用の椅子に座った。
「簡単な検査なんで、すぐ戻って来るから心配は要らないよ」
竜児の一番の気がかりを医者は一言で解消する。
「それで、大河は大丈夫なんですか?」
「今の段階で僕が一番心配してることがある」
「まさか、何か悪い病気じゃ」
竜児は医者に掴み掛からん勢いで聞いた。
「ちょっとデリケートな問題なんだけど・・・君、彼女とは友達だって言うけど、本当?」
「そ、それが大河の病気と何の関係があるんですか?」
突然、変な質問をされて竜児は混乱する。
「あるから聞いてるんだけどな」
「じゃあ、言います。友達です。間違いありません。ついでに言うとクラスメートで家は隣同士です」
剥きになる竜児に医者は苦笑する。
「じゃあ、ストレートに聞くけど妊娠の可能性はないね」
「は?」
竜児は目が点になった。
「てっきり仲良さそうだから、そういう可能性を疑ったんだけどね。もし万一そうなら痛みからいって子宮外妊娠の可能性が高いよ。緊急の手術が必要だ。一刻を争う。のんきに検査している場合じゃないかもしれない。だから聞いてるんだ。正直に答えて欲しい」
「だって、俺たち高校生で・・・そんなまさか」
「いや、世間は君が思う以上だよ。ついこの間もそんな事例を診たばかりだから」
「たとえ世間がそうでも俺は違います」
「そう、でも彼女の方はどうかな?君は彼女の何もかもを知っているわけではないんだろう?」
「大河は・・・そんな軽はずみなことをするやつじゃありません」
大河を侮辱するのは許さないと竜児は目の前の医者をにらみつけた。
「OK、よく分かったよ。この件はこれでおしまい。30分くらいしたら結果が出るんで、また、来るから」
そう言って医者は立ち去った。

大河はそれからしばらくして戻って来た。
処置室のベッドにとりあえず寝かせてもらい、大河は力なく横たわった。
「ちゃんと見ててあげてね、竜児くん」
看護師にいきなり名前を呼ばれて戸惑う竜児。
「何で俺の名前」・・・知ってるのかと言う問いかけに看護婦は大河の耳に届かないようにそっと耳打ちした。
・・・彼女、検査室でずっと男の子の名前、呼んでたから。それって君のことでしょ。
そう言って、茶目っ気いっぱいに微笑んだ。

54 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:53:17 ID:Y6AoJieR
「う〜、あ〜」
「痛いのか、大河」
うめき声を上げながらひたすらお腹をなでる大河をどうしてやることも出来ず、竜児はそばについてやることしか出来ない。
いたたまれず、竜児は大河の右手の動きに併せて、優しく暖める様に手を添えた。
「りゅ・・・じ」
「どうした」
「温かいね・・・竜児の手」
大河は手を竜児の手に重ね、精彩を失った瞳で竜児をみつめた。
「しばらく・・・こうしてて」
「ああ、いつまでだってこうしてやる」
「うん・・・こうしてると、痛みが治まる感じがするから」
「大河」
不意に竜児は胸の中で風船が膨らむような息苦しさを感じた。
もし、大河に何かあったら・・・この平穏な日常が壊れてしまったら・・・。
竜児は自分にとって目の前の少女の存在がどれだけ大きな物になっていたのかを今さらながらに思い知らされる気がした。
「友達」・・・果たして大河は友達なんだろうか・・・わからねえ。
「う〜、また、痛い」
大河はまた襲って来た痛みをこらえる様にそのまま目をぎゅっと閉じた。



「検査の結果・・・特に大きな異常は無しだね」
検査結果がプリントアウトされた用紙と大河を見比べた白衣の主は厳かに告げた。
「じゃあ」
「ま、命に関わるようなことはないよ。恐らく急性の胃腸炎かな。ほっておいても一晩で直るけど、かなり痛そうだから、点滴して直そうか」
医者の安全宣言に竜児はひとまず、安心した。
「何かアレルギーとかあるかな?」
大河はいくつかの薬を上げてそれが駄目なことを伝えた。
「そ、じゃあ、大丈夫なのを使うから」
医者が点滴の指示を出すと、看護師が要領よく大河の右手に針を刺した。
刺す時に針から目を背ける大河。
そんな大河の子供っぽい仕草に竜児は心が落ち着くのを感じた。

点滴の効果は絶大だった。
1時間もしないうちに、ケロリとしたように直ってしまい、いつもと変わらない大河がそこにいた。
「竜児」
「何だよ?」
「今日のことは忘れなさい」
「忘れろって、何を」
「不覚だわ、私としたことが」
まあ、かなり弱気になってたからなと竜児は思う。
「そう、あれは夢。何にも無かったの。いい?」
「お、おう」
「帰るわよ、すっかり遅くなっちゃった」
とてとてと病院の玄関ホールへ向かって駆ける大河。
自動ドアのところで振り返り、
「竜児、遅い、ぐず犬は嫌い」
とすっかり元気になり、いつもの大河の言い回しがでる。
「分かった。今行く。まったく」
お世話になった医者と看護師に頭を下げて、竜児は大河の後を追い駆けた。


55 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:55:49 ID:Y6AoJieR
そんな二人を診察室の角から見送る医者と看護師。
「何か、にぎやかな女の子ですね」
「あれは将来、尻に敷かれるな。・・・いや、今でもそうか」
「それにしても先生も意地が悪いですね」
「何がだ」
「聞いてましたよ、診察室での彼とのやり取り」
「ああ、あれね・・参ったな聞いてたのか」
「妊娠だなんて、そんなこと無いって始めから分かってたんでしょ」
「つい、からかいたくなってね。純真そうなふたりだったからさ」
「ホント、彼、すごく心配そうでしたからね」
「友達なんて言ってけど、どうなのかな?」
「恐らく、あのふたりにも分からないと思いますよ」
「そうだな・・・でも下手な恋人同士より、深いキズナみたいなものを感じたよ、俺は」
「先生があ」
看護師は笑う。
「悪いか、でもまあ、友達だなんていい切るなんて初々しいじゃないか」
医者はそう言うと鳴り始めたPHSを手に取った。



おしまいです。

お馬鹿なお話でした。

56 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/07(金) 00:16:22 ID:gjZ27TaO
>>50さんGJ!楽しかったです。

『君と二人で』の作者さんGJ!お疲れ様でした。

感想を書いてくれた皆さんありがとうございました。特に>>34さんいつも細かく感想を書いて頂き、ありがとうございます。続きも良いかもしれませんね、気が向いたら書いてみます。
次は大塚愛さんの『Cherish』を題材にしてみようかな?と思ってます。歌詞が大河の揺れる恋心と似てる感じがするので書いてみよかなと。
皆さんも機会があったら聞いてみて下さい、曲自体を結構良いですよ。

では皆さんありがとうございました。

57 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 01:05:10 ID:5e32ZbEQ
>>50
あるある、どころか絶対あるって感じの話で面白かった
セリフも地の文も自然で見習いたいくらいです

>>55
ほんわかした、GJです

>>36
おお、新人さんですか、頑張って下さい。
不定期なのは全く問題なし。投下量に付いても自分がやりやすい量が一番ですよ。
少な目でも、ある程度話の区切りが付くところで投下して文句言われた事は無かったな。
ゆゆこスレだと言われたかもしれないけどねw ここなら平気じゃないかなーと思う。

58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 01:40:37 ID:xdVwyUzo
>>16
今読み終えた
綺麗に終わって良かったぜ

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 04:01:28 ID:COh+kQlS
>>50
話の展開を持っていくのがうまくて尊敬する
本編後にはこんな日常を送ってるのかと思うとニヤニヤした!

>>55
スレで大河が腹痛になるとこの話題がでててどこかわからなかったから
わかってよかった。心配する竜児の描写がいいね GJ!

60 : ◆fDszcniTtk :2009/08/07(金) 06:36:26 ID:MI5HP212
>>28
>>31
>>56
読んでくれてありがとう!

>>32
そうそう、特に大河はだいぶ変わったと思う。周囲を時折どん引きさせつつも、クラスメイトと
おもしろおかしくやってるんじゃないかと思いながら書いたよ。その辺の雰囲気を出そうと思って、
途中ほとんど旧2−Cの連中を出さないようにしていた。


>>40
文化祭は、原作後半の、大河が傷ついていく一連の事件の引き金みたいな役割だったから、
竜児としても悔いが多いんじゃないかと思って書いてみた。その辺に気づいてくれたみたいで
嬉しいよ。

>文豪の伝家の宝刀は、竜虎が想い合う気持ち、特に竜児から大河への、 
>というのを思い出して、ばっさり斬られマシタ。

タハ。伝家の宝刀というか、単に甘々好きなのさ〜〜〜。このシーン書こうと思っただけなのに
8万文字超えてしまった orz

61 : ◆fDszcniTtk :2009/08/07(金) 06:45:58 ID:MI5HP212
長編終わったんで、短編投下。

風呂で思いついて10分で書いた作品。

タイトル「本当は怖い逢坂大河」

62 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 07:27:13 ID:COh+kQlS
そんなもの書くから本当に大河に襲われちまったか…

ご冥福をお祈りします

63 :本当は怖い逢坂大河 ◆fDszcniTtk :2009/08/07(金) 07:28:42 ID:MI5HP212
「大河、台ふき絞ったからちゃぶ台拭いてくれないか?」
返事がない。
変だな、と思う。最近は喜んで手伝いをしてくれていたのに。
「おい、大河!」
振り返ってようやく理由がわかった。我が婚約者殿はちゃぶ台に頬杖を突き、へらっと顔を融けさせて白いイヤホンから流れてくる音楽に聴き入っている。せっかく遊びに来たんだから、うまいものを食わせてやろうと思ったらこれだ。まったくもう。
「大河、おい大河」
近づいて声を掛けてもまだ気づかない。
「飯だぞ!聞こえないのか!」
「あっ!」
イヤホンを引っこ抜かれた大河が声を上げるが、二の句が続かない。竜児を見上げて口をぱくぱくさせる。そしてみるみるうちに顔が真っ赤になる。
「えらくはまってるみたいだな。何聞いてるんだ?ちょっと聞かせろ」
「だめ!」
大河が奪い返そうとするのを押しとどめてイヤホンを耳に押し込む。想像していたのと全然違う音が流れてきて、一瞬混乱する。それは音楽ではなかった。
『…おう…おうっ!…おぅ…おう?…おおう…』
鳥肌が立った。息を呑む。今度は竜児のほうが声が出ない。あうあうと口を動かしてようやく一言。
「…………なんだ……これ……」
「えへへ。竜児の声録音しておいて編集しちゃった」
もじもじしながら嬉しそうに笑う大河。婚約して正解だったのか真剣に悩んだ瞬間だった。

(おしまい)


64 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 07:29:57 ID:MI5HP212
>>62
うるせー(w

書いた後投下しようと思ったら、「リップ・サービス」と思いっきりネタがかぶっていたので
落ち込んだのは内緒。

65 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 07:41:29 ID:486RR/Xv
>>63
大河に消されてなかったようで何より、乙でした。
隣りでインコちゃんが「コンナンデイーノ?」とか言ってる姿が想像できるw

以下チラ裏。

「お前、まさか俺の声をオカズにあんなことやこんなことしてないだろうな?」
「ひ、引いた?」
「バカヤロウ!」
「や、やっぱり嫌だよね……」
「そういうことは俺としてくれ!
それに、生ボイスのほうが……いいだろ?」
「竜児……」

ギシギシアンアン

設定奪うような形になってしまって申し訳ありません。
乱文乱筆失礼しました。

66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 08:59:49 ID:KKePT+Fu
大変失礼な話かもしれないが、短期間に複数の人が同じようなネタを書くということは
同じインスピレーションを受けるような元ネタになるものが存在するってことなのかな……

67 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 09:06:30 ID:c/uqe1+B
大河は原作で北村音声集を作ろうとしてたがな

68 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 09:33:08 ID:dY6P5XXe
>>64
我々はネタを思い付くのではなく作品世界の光景を垣間見てるのかもしれない

69 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 09:37:04 ID:dY6P5XXe
>>66
            , ;,勹
           ノノ   `'ミ
          / y ,,,,,  ,,, ミ
         / 彡 `゚   ゚' l
         〃 彡  "二二つ
         |  彡   ~~~~ミ      実は俺の仕業
     ,-‐― |ll  川| ll || ll|ミ―-、
   /     |ll        |   ヽ
  /       z W`丶ノW     ヽ
 /        \\   / /      |
/    天      \`i / /  狗   |

70 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 09:48:11 ID:dY6P5XXe
「竜児、ネタがかぶるのは天狗の仕業だって」

「天狗の仕業じゃしょうがないか」

「はぁ?何言ってんのよ馬鹿狗!」

「なんでイヌの字が狗なんだよ?てかなにか問題発言したか?」

「したわよしまくりだわよ確定的に明らかよ!原因がわかってるなら元を叩くのよ!」

「残念だが俺には天狗に勝てる術は無い。あいつらは山で最強だからな。
 それにネタがかぶるくらいいいじゃないか。それだけみんなが大切に思ってくれてんだから」

「ふん、言い訳だけは立派ね。おお、こわいこわい」

「なんとでも言え。不毛な争いはしない主義だ。さあチャーハン出来たぞ」

「やっぱり竜児のチャーハンは最高ね」

「天狗はもういいのかよ」

「この至福の時に比べたら天狗なんかどうだって良いわよ」

「まあお前がいいならそれで良いや」

「お米の神様、生産者の皆様、大好きな高須竜児様、いただきます!!」
「おい////////////」


おお、こわいこわい。

71 : ◆6U1bthnhy6 :2009/08/07(金) 09:56:04 ID:F6ACVarA
元#ラミリアです。今回はトリップ暴露してしまい、申し訳ありません。特にまとめ人さんにはご迷惑をおかけしたと、心から反省してますorz 
新たなトリップでの初投下になります。>>31の言う通り、大作が色々終わっていく中、何一つ終わらない自分・・・。長々お付き合い下されてる皆様。出来ることなら、呆れず読んで下さいませm(__)m
次レスからいきます。

72 :「1話If・12」 ◆6U1bthnhy6 :2009/08/07(金) 09:58:09 ID:F6ACVarA

「あ、逢坂っ!?」
テーブルの上、木刀を振り下ろした体勢のまま固まっていた逢坂の身体が、まるで糸の切れた操り人形のように、急にぐらりと後ろに傾いだ。
このまま倒れたら、頭から床に真っ逆さまじゃねーかっ!?
慌てて駆け出すと、俺はテーブルを一足飛びに飛び越して、逢坂の落下地点へと回りこむ。
ドサリ。
すんでのところでその身体を受け止めて、安堵の溜め息をつく。
「・・・ったく。なにやってんだよ?おい、逢さ・・・」
腕の中の逢坂に話し掛けようとして、俺は言葉を止めた。
なぜなら・・・。
「・・・なんで、気絶してんだ?しかも・・・鼻血?」
・・・どこにもぶつけてないよな・・・?っと・・・!!
ちらりと視界に入った、はだけたネグリジェから伸びる逢坂の白い太腿。
思わず鼻に手を当てた。

『1話if・12』



73 :「1話If・12」 ◆6U1bthnhy6 :2009/08/07(金) 09:59:58 ID:F6ACVarA

「全くなんだってんだ一体全体・・・」
乱暴にガリガリと頭を掻きながら悪態をつく。
ついたところでどうにもならないのはわかっている。
そもそも、どこに向けてついたら良いのかがわからない。
そうして傍らの俺の布団に目を向ける。
いつも俺が寝ているはずの場所には、今は逢坂が眠っていた。
結局逢坂は、さっき気絶してしまってから起きる事はなかった。
そのまま床に寝せておくわけにもいかず、どうしたものかと考えた末、俺の布団へと移動させた。
詳しい容態などは、素人の俺にはわからないが、呼吸が規則正しかったので、単に寝ているのだろうと判断した。
そうしてそのまま、今に到ると言う訳だ。
「・・・」
その寝顔を少し眺めてから、また一つ溜め息をつく。
・・・やっぱ可愛いぞこいつ。
男ならなんてーかこう・・・ヤバイ。違う。そうじゃない。
頭に浮かんだ考えを振り払うように、頭をプルプルと振る。
ああ・・・本当に何がなんだかわからない。
俺は混乱してる頭を冷やすために、台所へ飲み物を取りに立ち上がった。
部屋を出る瞬間寝ている逢坂に目を向けるが、起きる気配は微塵もなく、そのまま静かに襖を閉めた。




74 :「1話If・12」 ◆6U1bthnhy6 :2009/08/07(金) 10:01:22 ID:F6ACVarA

水道の蛇口を捻り、水をコップに汲むと一気に煽る。
生ぬるい液体が喉を通る感触が不快だが、それでもないよりは十二分にマシだった。
「ふう」
一息つくと、少しだけ冷静になった。
しかしそれでも混乱の極みは脱せてないが。
逢坂はなんでここにいるんだ?
どうやって入った?
そもそも俺の家をどうして知ることが出来たんだ?
わからないことだらけだ。
しかし・・・。
「・・・」
コツ。
俺は飲み干したコップを流し台の水切り台の上に置くと、冷蔵庫の扉を開く。
そこから、よく冷やされた麦茶を取り出す。
そのまま棚からコップをもう一つ取り出すと、さっき置いたコップの隣に並べる。
そのまま栓を引き開け、コポコポと麦茶を注いでいく。
俺の分と・・・逢坂の分を。
「起きたら・・・多分飲みたくなるだろーし・・・」
なんに対してかわからない言い訳をしながら、八分目程入れて、麦茶のビンを冷蔵庫にしまう。
そしてコップを手に取りつつ一口。
さっきとは違う冷えた感触に、思わず溜め息が漏れる。
「・・・はぁ、うまい。下手に動き回ったあとだけになー・・・」
さてとりあえず戻るか、と思ったときにふと気付いた。
「俺今・・・どっちのコップに口つけた?」
・・・まあいいか。





75 :「1話If・12」 ◆6U1bthnhy6 :2009/08/07(金) 10:02:27 ID:F6ACVarA

「・・・逢坂・・・?」
ゆっくりと襖越しに声をかける。
返事はない。
「まだ寝てんのか・・・」
なんとなく安堵の息をついて襖に手を掛ける。
刹那。
「どぉうりゃああああっ!!」
裂帛の怒声と共に突き出されてきたのは・・・木刀の切っ先。
見事に襖をぶち抜いたそれは、正確に俺の顔めがけて繰り出されていた。
透視能力でもあんのか?
きっちり目の前5cmで止まったそれに、俺は小さく溜め息をついた。
暫く切っ先を眺めていたが、動く気配なし。
もう一度溜め息をつくと、そのまま振り向いて、持っていた麦茶をテーブルの上に置いた。
・・・いきなりの奇襲にも反応しないなんて、もう感覚が麻痺してるな俺。
頭の片隅でそんな事を考えながら、ちらりと後ろに目をやる。
視界にはさっきと寸分違わずそこにある切っ先。
ゆっくりと襖に近づくと、その出ている棒切れに手をかけた。
「おまえな・・・いきなり人んちの襖に大穴開けてんじゃねーよ」
言いつつ右にずらしていく。
それに伴いゆっくりと開いていく襖。
そうして目の前には・・・。
「〜〜〜〜っ!!」
「・・・真っ赤だぞお前」
木刀を握り締めて、林檎色に頬を染めた子虎が、鼻息も荒く待ち構えていた。





76 :「1話If・12」 ◆6U1bthnhy6 :2009/08/07(金) 10:05:36 ID:F6ACVarA

「ななななななに人が気失ってる間に、べべべべベッドに連れ込んだりしてんのよ!?」
いきなり怒鳴られた内容に、少し首を傾げる。
・・・ああ。今こいつの羞恥はそっちにいってんのか・・・。
「別に何もしてねーだろ?ほら服だって乱れてねーし」
言われて自らの体を見る逢坂。
・・・せめて確認してから難癖つけてくれ。
「お前気絶したから、とりあえず寝かせてただけだ」一通り確認おえたのだろう。バツの悪そうな顔が、俺に向けられる。
ったく・・・。
「それにベッドじゃねー。敷布団だ」
んな顔向けんじゃねーよ、バカ。
「どどどどどっちだっていいわよそんなこと!!」
案の定噛み付いてきた。
そうた。お前はそっちのがいい。
「よくねーよ。俺は今までベッドで寝たことなんか皆無だからな。マットレスの感触すらわからん。」
「・・・なんの話してんの?」
「お前の勘違いについてだ」
「・・・」
「・・・」
「・・・あんたって、変な男よね?」
いきなりなに言うかな?
「お前も十分変だけどな」
「私のどこが変だってのよ!?」
一言一言にいちいち噛み付いてくる。なんだこれ?なんかおもしれー。
「とりあえず真夜中に人ンちに忍び込む辺りだな」
「ぐ・・・!」
痛いトコを突かれて逢坂が黙り込む。
「・・・それについては、わ、悪かったわよ・・・」
「殊勝な心がけだ」
意外にもあっさりと謝った逢坂に、知らず笑みがもれた。
・・・あれ?
俺・・・こんな自然に笑ったのなんていつ以来だ?
「な、なに笑ってんのよ!?」
「あ、ああ悪りぃ」
そういや・・・こいつには最初から自然体だよな、俺。
俺を怖がらないってのもあるが、なんか・・・。
「な・・・なによ・・・。そ、そんなにみつめないでよ・・・」
「え!?」
逢坂の言葉に我に返る。
気がつけば俺は、逢坂の顔を凝視していた。
何やってんだ俺!?
途端に頬が熱くなり、慌てて目を逸らした。
「わ、悪い!ちょ、ちょっと考え事してて・・・」
「考え事・・・?」
その言葉に逢坂が首を傾げる。
刹那に真っ赤になる顔。
「ど、どうした逢坂?」
「かかかか考え事って、ああああれよね?」
「?あれ?」
「ラッ!ララララブラブラブラブレター・・・」
「!!」
そうだったーーーっ!!
すっかり忘れていた事実に、脳内でザッパーンと高波が岸壁にぶつかる光景が浮かび上がった。





77 :「1話If・12」 ◆6U1bthnhy6 :2009/08/07(金) 10:07:12 ID:F6ACVarA

「あ、ああ。そうな・・・」
努めて平静さを装って逢坂に目を向けると、こちらといえば耳まで真っ赤になった顔を、俯かせて必死に隠していた。
やばい・・・その反応は止めてくれ・・・。
俺だって・・・なんだかんだでギリギリなんだ。
こんな夜中に女の子と二人っきりなんだぞ?
ここまで平静だった自分の鈍感さが、今となっては恨めしい。
もっと・・・鈍感でも良かったのに・・・。
「あ、「「あのさ!」」
思わず重なってしまった声。
・・・最悪のタイミングだ。
どちらとも何も言えず、ただ、アウアウと口を動かしている始末・・・。
そんな俺たちの膠着状態が、永遠に続くかと思われた。
・・・が。

グゥ〜〜ゥ・・・

盛大に鳴ったのは・・・逢坂の腹の虫。
「・・・」
「・・・」
「あー・・・飯、食うか?」
間を置いてコクリと頷く逢坂。
そのまま木刀を引き抜いて、立ち尽くしている。
たぶん恥ずかしいのだろう。
しかし逢坂。
正直お前には悪いが・・・俺は助かって安堵している。
ナイス腹の虫。
だから、飛び切り美味いチャーハンをご馳走してやろう。
そうして俺は逢坂を居間に座らせ、いそいそと台所に向かった。




78 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 10:13:35 ID:F6ACVarA
とりあえず以上です。

君と二人で、大河がおとなしい〜のお二方。お疲れさまでした。特におとなしいの作者様には、俺からも復帰願いを出しただけに、完結したのかかなり嬉しいですwまとめに入ってから、一気に読ませて頂きます♪
ここまで書いて、まだ1話の半分・・・やりすぎだろ俺・・・orz
まだまだ続きますが、気長に待てる方のみヨロシクお願いしますm(__)m

79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 10:18:13 ID:tP/+C7x5
>>78
おぉ久しぶりに。
1話ifktkr!もう飽きたのかと心配してたんだぜ。
GJ、毎回楽しく読ませて頂いています。
このペースだと…あと1年で完結できそうだ。

小ネタ投下しようと思ったけど直後は感じ悪いので控えさせて頂きます。
大したことないので期待なさらぬよう。

80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 10:21:52 ID:dY6P5XXe
やはり某吸血鬼なのだろうか

>>78
よろし
再来年のバレンタインデーまで待てるぜ

ところでバレンタインデーってチョコ大量に食う日だろ
もちろん自腹で

81 : ◆QHsKY7H.TY :2009/08/07(金) 12:48:00 ID:ghF6pEOJ
久々に書き込みします。

おとなし大河の人、君と二人での人、お疲れ様っした!

いやもう良かったわぁ!
君と二人での方の最初?の作品クリーム・・ソーダが今だ心に残ってるぜ!!

そして待ってたよifの人!もうめっちゃ待ってたよ!続期待!

さて忙しくて最近投下を避けていましたが、近々投下します。
更新は例によって亀の歩みになりそうだけど。
タイトルだけ告知。
以前俺が書いたのの逆verでタイガチュウドク。

期待せずに待っててもらえると嬉しい。

82 : ◆6U1bthnhy6 :2009/08/07(金) 13:06:30 ID:F6ACVarA
うおぉ、マジかよ?逆verあるのかよ?w 正直言って、竜児中毒とねぇ竜児、これが俺の好きなベストなんだよ、実際wあーヤベぇ。いまからwktkが止まらないw

感想くれた方感謝。なんか嬉しくていきなり続き書けちゃいそうだぜ♪いやマジでw

83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 15:40:25 ID:vigqBHZ3
「ねえ竜児、私の名前の『大河』を分解すると、『大』と『シ(さんずい)』と『可』になるでしょ」
「おう、そうだな」
「で、『シ』から点を一つ『大』に移すと『犬』と『ン(にすい)』になるわよね。『ン』は『二』として、そうすると、
 『犬ニ可』……犬に可……犬に許可してあげるってことになるの」
「お、おう……で?」
「つまり私は、犬のあんたをいつでも受け入れOKってこと。だから……きて」

ギシギシアンアン

84 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 16:09:45 ID:COh+kQlS
なんだその理屈wワロタw

そういや妊娠したら産婦人科で内診受けるんだよな
てことは医者に大河の…ぐあー!考えたくもねえ!

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 17:29:25 ID:tP/+C7x5
さあて朝に言ってた小ネタ投下じゃ〜。相変わらず地の文?だけです。

ふん、ふふん。今日から新しい高校生活の幕開けね。
ガスの元栓でしょ〜、戸締りでしょ〜…まぁこのくらいかな。
少し前に試しに着た制服に袖を通して、ボタンをプチプチ…と。
あららシャツ袖にいきなり醤油の染みが…。染み抜きは帰ったらでいいよね。
ちょっと高かった革靴を履いて…あぁ靴下が下がってる。直さないとね。
トントン、トントトン。相も変わらずいいリズムテンポね、気分も上々っ!
ノブを回して朝日がカ〜ッ! あれ?まだ新聞があるわね?
さっきお母さんが取りに行ったはずなんだけどだなぁ。
一体全体、何しに行ったんだ!?ドジだからな、あの人。フフフ。
お父さんは私の事天然って言うけど、天然ってボケてるって意味だよね。え?違う?
まっ、いいや。新聞は家の中に放り込んでおけば! ぽいっ!…あら、靴箱に入っちゃった。
遅刻したら大変だし、別にいいよね。さあ〜て行きますか!ってあら?隣の人まだ帰ってないんだ。
ドアに新聞がたくさん突き刺さってますよ〜。あ、落ちた…どうしよ?
放っておくかい?拾っておくかい?どっちなんだい!なんて言ってる暇じゃないか。
お父さんは困ってる人は見過ごすなって言ってるもんね。ふふふん。ぽぽぽい。
出張なのか夜逃げなのかわかんないけど、頑張って下さいっ!
エレベーター♪エレベーター♪なーんでエレベー…あ。
今行っちゃったばかりだね。どうしよ、このマンションの階段ちょっと臭いがキツいのよね。
女の子としてはできれば通りたくない!でも、遅刻したらやばいかも?
こう言う時こそ急がば回れ!…どう言う意味だっけ。回ったらいい案がでるのかな。
くるくる…。くるくるくる…。あ、くもの巣だ。つんつん、ねばぁ…。
うひゃぁ!糸引いてる!気持ち悪い…。あ、君がこの巣の主ですか?
ちゃんとここにいないとわたあめにして食べちゃうんだからねっ!
そういえばエレベーター…。あ〜!また行っちゃった!しかもなんか変な目で見られてた!
声くらい掛けてくれても…。ま〜いいや。こう言う時のためにジャジャン!マ〜ス〜ク〜。
これを着けると臭いがわからなくなるんだ。ついでに風邪にもかかりにくくなったり。
どっちが本命だったんだっけ?…まぁいいや。マスク装着、階段へGO!
うおお〜!虫がぁ〜!虫がいっぱい死んでるぅ〜!ごはん中の人ごめんなさい!
ひゃ〜、アニメ化されたらこのシーン絶対カットされる!うぎゃ〜!
ドドドド!ふうふう。なんとかエントランスまで着いた、ようやく学校まで行けるわね。
時間的にもまだまだ余裕が……ッ!!? 8時30分!?やば〜!急げ、急げ!
うおお〜!これでも私の親友は中学の頃陸上部だったんだ!なめないでよね!

あぁ〜、結果から言うと遅刻した。友達が陸上部だからって私が速くなったりしないんだね。
知ってるよ、もちろん。ちょっと夢を見たかっただけなんだ。あはは〜
さあて始業式も終わったし、教室へ戻ろうかな。とてて。
ん?1年はどっちだっけ…?こっち…は2年生のほうか。危なかったぁ。
教室の私の席は…と。これだっけ。えっ、違うって?ごめんなさぁい!
不覚だったわ。右端かと思ってたら左端だったなんて。
お〜担任の先生のお出ましだね。茶髪に紺のカーディガン。似合ってるようで似合ってないね。
ん、何?後で職員室まで来いって…?いきなり呼び出しかぁ、私何かしたかな、お巡りさん。
…あ、登校する時何か蹴飛ばしたのかな。だとしたらごめんなさい。身体で支払います。

オ〜レンジ色に早く、なりたい果実君の光を浴びて〜。うん、いつ聞いてもいい曲ね。
職員室は…ここか。いたいた、恋ヶ窪先生〜!だっけ、恋乃窪?あれ…まぁいいか。
何か用ですか、恋乃窪先生。え?恋ヶ窪なの、失敬失敬。
私は高須です。高須竜河。いい名前でしょ?…どうしたんですか、目見開いて。
…あらら?なんで泣いてるの…?わけわかんない。ほぉら泣かないで、よしよし。
え、なになに?…うん。うんうん…えぇぇ!?私の両親を知ってるんですか!?
手乗りタイガーとヤンキー高須って…お父さんヤンキーだったの!?
でも泣いてる理由がわかんないな。私何かしたのかな。それにしても眉間のしわがひどいわね…。
……お父さん、お母さん。私高校生活上手くやって行く自信がありません。どうしたらいいですか?

Fin

86 :職場からなんで手短に:2009/08/07(金) 18:32:35 ID:rljexiL2
うわぁ…前スレぎりぎりまで貼って、そのままで落ちちゃったから。
…すんませんでした!ほんっと、すんませんした!
そしてありがとうございましたー!

…一つだけいいわけ。
音声編集ネタは、一月前からヒマをみてチョコチョコ進めていたものですが、こういう
シンクロニティって時々、あるものだと実感しました。(話にはきいていたけれど)
だから、今回のネタ被りって全くの偶然だと思います。
まあ北村の放送を編集して…ってのは原作でもあった(未遂ですけど)ネタですし。

あと…1話if。待ってました。すっげー待ってました。
もっと早く読ませてー!とも思うけど、それよりももっと続けてー!って要望の方が自分の中では大きいです。
気長に待ちますので、今後とも、是非。

……でも……自分だけかなぁ。
竜心さまに再臨してもらいたいのは…



87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:48:39 ID:5e32ZbEQ

「ねぇ、竜児」
「おう、どうした?」
「食材に付いて話さない? 何か最近話題になってるみたいだからさ」
「おう、ネタの話か? そいつは俺の得意分野だ、いいぞ」
「それじゃ、まずは今一番ホットな音声編集に付いてね」

「よし、まずはシャケの話ってことだな」
「は? あんた頭おかしくなったの? 私のちょっと危ない変態趣味の話だって言ってるでしょ?」
「いや、だからそれがシャケ料理って事だろ?」
「そう……ね、そうとも言えなくもないわね……」
「だろ? ごくごく一般的な食材って事だ。誰もが目にするし、その調理方法も様々だからな」
「うんうん。シャケを塩焼きにしたり、ムニエルにしたり、味噌と一緒に炒めたりするわけよね」

「そうだ。それで食卓に出して、みんなで旨い旨いって言いながら食うのがこの場所だ」
「この場所って……このせせこましいちゃぶ台の事を言ってるわけ?」
「まぁ、そうなるな。高須家に並ぶ料理は全部、おまえの好物だぞ?」
「そんなの当たり前じゃない、だって竜児が作って竜児と一緒に食べるんだもん」

「そうだろそうだろ。で、だ、例えば今が秋だったとしよう。大河は何が食べたい?」
「んーっとね、サンマ!」
「そうだよな、旬のものは食卓に並ぶ回数が増えるよな」
「うんうん。だって美味しいもん、何回だって食べたいわっ!」

「それじゃ、秋なのにシャケが何回も食卓に並んだらどうだ?」
「そんなの一々聞かなくても、何も問題ないじゃない? 一般的なおかずなんだもん」
「分かってるじゃねえか、大河。いつでもおいしく食べられる……最高だよな」
「いつも新鮮な食材を仕入れてくれる職人さんに感謝しながら食べるのみっ!」
「おうっ! 大河のために料理しておいしく食べるっ!」
「いっぱい食べるっ!」

「よーしよしよし、バンザイはしなくていいからな」
「へへへ」
「それにしても、相変わらず食い物の事に関しては元気いっぱいだな、大河」
「何よそれ、バカにしないでよね?」
「はいはい……そういえばさ」
「ん、何よ?」
「例えばチャーハンの味付けの微細な変化の話だとか、レアな魚の話みたいなものもあるんだとさ」
「へぇ……それで?」
「でも、長くなったから面倒だって言ってるんだ」
「そうね、私も飽きたわ。っていうか、お腹空いた!」
「しょうがねえな……」
「ほら、早くしなさいよ……」
「……おう」



ギシギシアンアン

88 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:49:09 ID:2mjN8wzj
×シンクロニティ
○シンクロニシティ
◎シンクロナイズドラブ(武富士)

89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 21:20:50 ID:jhVA/ia8
竜児「大河」
大河「なによ」
竜児「その・・・なんだ・・」
大河「なんなのよ」
竜児「あの・・・セーラー服は・・どこかなと」
大河「着るの?」

90 : ◆QHsKY7H.TY :2009/08/07(金) 23:01:03 ID:ghF6pEOJ
こんばんわ。
告知したやつを投下しようと思います。
それと昼間言い忘れましたが、Remember完結の際に感想くれた方々、ありがとうございました。
激しく亀レスになってしまい申し訳ないです。
それと勘違いしてる人がいたら念の為。
今回の話はリュウジチュウドクの別視点ではなくタイガチュウドクといてのオリジナル版です。
ご期待ありがとうございます。
では次より投下を。

91 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 23:02:28 ID:VuDdPu23
>>89
(つд⊂)ゴシゴシ
こっ、これは、バカには見えないギシギシアンアン?

92 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/07(金) 23:03:05 ID:ghF6pEOJ
突然だが、人間の集中力って奴は限界があるらしい。
人にもよるが、実際に集中できるのは一時間から二時間程度。
それ以上は能率が落ちていく、という話だ。
だから学校の授業も一時間事に休憩時間を入れるのだろう。
それは、自分で成る程と納得できるものだったし、人間の構造上集中し続けることが不可能というのは『逆に』ありがたいことだ。
だが、それでも自分の好きな物、例えばゲーム等は長時間やってしまうということがよくある。
気付けば何時間も経っていた、というような具合に。
似たような経験は誰にでもあると思う。
いわゆる無我の境地とでも言う奴だろうか。
まぁ恐らくは脳内麻薬の一種だろうとは思う。
そこまで考えて、自身の手を止め、ちらり、と背後に視線を向ける。
そこには卓袱台に頬杖ついてだるそうにテレビを見ている女性がいた。
名を逢坂大河。
長い茶髪のふんわりとした髪と、高校二年生というにはやや小さい体躯が特徴の女の子だ。
……別にこいつは彼女というワケではない。
ただクラスメートで、お隣さんなだけだ。
視線を戻して、目の前のカレー鍋の具合を測る。
ぐるぐるまわすお玉を止め、
「良し、いいかな」
そう呟いて俺は炊飯器に近寄った。
炊きあがったご飯をかき混ぜる。
と、先程の呟きを聞いていたのか、大河は俺の傍まで来て……皿を一枚差し出した。
「ん」
短い一言。
ようするに早く自分の分だけでもくれ、ということだろう。
まぁ別にいいんだけど。
「おぅ」
皿を受け取ってご飯を盛り、先程の鍋の中身、カレーをかけていく。
「一杯、いーっぱいかけなさい」
よっぽど腹が空いているのか、大河は大盛りを所望する。
まぁいつものことではあるが。
「はいはい」
俺は子供あやすようになげやりな返事をしつつ、盛りつけた皿を大河に手渡した。
と、受け取る大河の指が俺の指に若干触れる。
「んじゃ、先に食べてるから」
大河は気にしたふうもなく先に卓袱台へとついた。
もうすでにカレーしか見えていないようだ。
俺はあいつと触れた指先を一瞬見つめ、すぐにカレーを盛って座る。
大河は夢中になってスプーンを動かす。
「はむっ、むぐむぐ」
スプーンには零れんばかりのカレーのかかったご飯が掬われ、大河はそれをはむっと口の中へ運ぶ。
それはもう、美味しそうに。
食べる度に後ろの髪があっちへこっちへ揺れるがきにしたふうもない。
そのうち、
「おかわりっ!!」
大河は再び皿を突き出してくる。
「はいよ」
俺はその皿を受け取ってもう一度ご飯とカレーを盛りつける。
「カレーばっかじゃなくてサラダも食えよ」
そう言ってから皿を渡してやる。
「わーってるわよ、毎度毎度うるさい男ね」
いつもの聞いてるんだか聞いてないんだかわからないような返事をして、大河は再びカレーを口へと運び出す。
そんな大河を見つつ、俺も食事を再開した。

***

93 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/07(金) 23:04:59 ID:ghF6pEOJ
食事を終えて洗い物を片づけ、ぼーっとテレビを見ている大河にお茶を出してやる。
「ほれ」
「ん」
大河はまた短い返事をしてお茶を啜り出す。
白く細い指が湯飲みを掴んで、薄い、柔らかそうなピンク色の唇にお茶が吸い込まれていく。
とん、と湯飲みを置くと、まただるそうにテレビへと視線を戻す。
今やっているのが特に見たい番組、というわけではなく、つまらいなから見ている、といったところだ。
ぼーっとテレビに視線を向け続ける大河の横顔は端正で、ふっくらとしている。
時折テレビから放たれる光が多彩にその頬を染め上げる。
首筋は細く、肩も小柄で、触れば壊れてしまうのではないかと思うほど脆そうだ。
「……つまんないわね」
ふっと顔がこちらに向けられる。
「お、おぅ、そうだな。バラエティも見飽きたしな」
「あぁ〜あ、暇。特に見たい番組も無いし……っとそうだ。お風呂はいっちゃおうっと。竜児、お風呂借りるわよ」
「お前、いいかげん自分の部屋の風呂も使ったらどうだ?」
「掃除が面倒くさい」
「掃除ならしてやってるだろ」
「うるさいわね、お風呂はたまにじゃない」
「お前なぁ、流石に女子の風呂場にそうそう何度も足を踏み入れられるかってんだ」
「だから私がこっちのせせこましいお風呂に入ってやるって言ってんのよ。私は掃除しなくて助かるしアンタも私のバスルームに入らなくて済む。ほら、良いことづくめじゃない」
「あぁもうわかったよ、その代わりちゃんと着てた服は持って帰れよ」
「はいはい」
大河はそう言って泰子の部屋へと入っていく。
いつの間にか大河は、泰子の部屋のタンスの引き出しのいくつかを大河用スペースとして使用しており、そこから着替えを用意する為だ。
「あ、竜児」
「んー?」
着替え片手の大河は、さも当然よねとばかりに、お願いする。
「風呂上がりにジュース飲みたい。すっごく冷えた奴」
「……とっとと入ってこい」
俺は呆れながら大河がバスルームに入るのを見送った。
「………………」
大河の姿が見えなくなってから、はぁと一息吐く。
疲れた、というのとはちょっと違う。
違うが、やっと楽になれるというか、考えなくてもいいと言うか。
──────それが寂しいというかなんというか。
「っ!?何考えてんだ、俺」
寂しいなんて、おかしいじゃないか。
すぐそこに大河はいるし、何より、今までは泰子が仕事に行ったらずっと一人だった。
そうだそうだと思い直し、ふと卓袱台を見ればそこには頬杖ついた大河がいて……消えた。
「………………」
足りない。
そこは、さっき居たはずの人物がいないだけで圧倒的に違和感を覚える。
一瞬幻覚を見るほどに、それが見慣れた景色なのだ。
ぼーっとしながらもテレビを見て、時折笑いながらこちらを向く大河。
タリナイ。
「……ちょっと風呂に入っているだけじゃねぇか」
ぶんぶんと頭を振る。
全く、最近の自分はどうしたと言うのだ。
ずっと大河に付きっきりだった反動か、ちょっと大河視界からいなくなるだけでこのザマだ。
さっきだってカレー作りながら俺は一体何回くらい大河の方に振り返ったんだ?
「あぁもぅやめだやめ。考えてられるか、そんなこと」
こうやって大河の事ばっか考えてるからこんなわけのわからん事になるんだ。
雑誌でも読もう。
俺は海外のインテリア雑誌を取り出して読み耽る。
いくら高いインテリアでも見るだけならタダだからいい。
一瞬、チラリとバスルームの方に視線をやってしまった。
「まだ、上がんないか」
そう呟いて再び雑誌を眺める。
そんなことを数分おきに繰り返していた。

94 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/07(金) 23:06:09 ID:ghF6pEOJ
***

「ふぅ……竜児、上がったわよ」
頭にタオルを乗せ、珍しくワンピース型ではない正面ボタン式のパジャマ姿で大河は出てきた。
「おぅ」
短い返事と共に何処か安堵しながら立ち上がる。
大河の言う「上がったわよ」とは文面通りの意味ではない。
上がったから、入る前に言っておいたジュースを出せ、という意味だ。
「その前に髪をちゃんとかわかせ、風邪引くぞ」
ぽかぽかと湯気を漂わせ、丈が若干短いのかそういう仕様なのか、下は膝下数cmからは無く、裸足だ。
それだけでいつもと少し違って見える。
「え〜、めんどい。いいから先にジュース飲む」
はぁ、と溜息一つ。
何度言ってもこいつは自分というものを大事にしようとしない。
いや、自分の綺麗さを理解していないと言うべきか。
諦めて冷蔵庫からグラスとオレンジジュースを取り出す。
若干冷えたグラスにジュースを注ぎ、氷を二三個放り込む。
「ったく、ほらよ」
大河は卓袱台の前で座って、本当にまだ少し濡れた髪をほっといてジュースを飲み出す。
俺はやれやれと零しながらも視線は大河の髪から離れない。
このままでは湯冷めしてしまう可能性もある。
「ったく、しょうがねぇな」
俺はわざとらしいぼやきのような言葉の後、洗面所にドライヤーを取りに行った。

***

「ほら、あんま動くな」
「うるさいわね、へたくそ」
ドライヤーをかけて、バスタオルで髪の毛を丁寧に拭いていく。
大河の髪はシルクのような手触りで、触れてもすぐに指の隙間からサラリと零れる。
大河はされるがまま、とはいかなくテレビを見ながら時に頭を揺らすのでやりにくいことこの上ない。
「だいたいアンタ細かすぎなのよ、少しくらい気にしたもんじゃないでしょうに」
それはお前が気にしなさすぎだ、と言いたいがぐっとこらえる。
どうせまた口論になって終わりだ。
それなら、このまま黙って髪を拭き続けたほうが……む?
「大河、お前枝毛があるじゃねぇか」
「えっ?嘘っ?」
これには少し焦ったように驚く大河。
「ほら見ろ、そんな態度ばっかりとってるからせっかくの髪が傷むんだ」
「黙れ、そして腐れ。んなことよりブラシ!!」
ちょうだい、とばかりに俺に振り返って手を差し出し、
「あ、やっぱいいや」
と俺に再び後頭部を向ける。
「アンタどうせ暇でしょ?」
……はぁ。
「お前なぁ……」
文句を言いつつもドライヤーと一緒に用意しておいたブラシをこの髪に梳かしこむ。
時折、少しひっかかりを覚える物のほとんどはサラリと梳くことができる。
触れるたびにくすぐったくなるような大河の髪はブラシと俺の掌を流れるように踊り、すぐに枝毛などはなくなっていく。
もともと枝毛などそう多くは無いのだから当たり前だが、何となくもったいなくて少し、サラサラになった髪をブラッシングし続けた。

95 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/07(金) 23:08:00 ID:ghF6pEOJ
「なぁ、お前手入れはもうちょっと気を使った方がいいんじゃねぇのか?」
黙っているのもなんなので話しかけてみる。
「うるさい、テレビ聞こえない」
さっきまでたいして真面目に、いや今もそんな真面目に見てるようには見えないテレビを見つめたまま、大河はただひたすらに後頭部だけを俺に預ける。
何度も何度も髪を梳いては梳き残しが無いかチェックして、大河の髪をブラッシングすること数分。
「ふわぁ、アンタ本当に下手ね」
そう難癖つけながら眠そうに大河は立ち上がった。
そろそろ帰るのだろう。
「お前、人にやってもらっておいてそれは無いだろう」
「良いのよアンタ相手には。そもそもアンタ相手にしか言う事無いし」
俺の諫めるような言葉も大河は受け流す。
いつからだろうか。
そんな仕草も随分とやわらかくなったものだ、と感じるようになったのは。
「じゃ、もう遅くなってきたし今日は帰るわ」
「おぅ、着替え忘れず持って帰れよ」
「わ、わかってるわよ!!」
焦ったように脱衣所に服を取りに行き、じゃね、と一言残して高須家を出て行く。
数分して隣のマンションの窓に明かりが灯った。
「良し、ちゃんと帰ったな」
それを確認してから俺もようやく風呂に向かう。

***

風呂場に残っている微かな匂いが鼻腔をくすぐる。
この匂いは決して高須家からは生まれないものだ。
それを嗅いで、どこか気恥ずかしくなる。
「だから俺は何を考えてんだ……」
ぶんぶんと頭を振り、さっと浴室に入る。
良く体を洗って、湯船に浸かり「あ……」気付いた。
掌を正面に持ってくる。
「……洗っちまった」
じっと掌……指先を見つめる。
別に、洗ったら問題があるわけではない。
むしろ綺麗好きとしては文句の言いようもないはずだ。
それでも、MOTTAINAIと思ってしまった。
「別に、洗い物した時に十分手は洗われてるじゃねぇか」
自分にそう言い聞かせるが、心は納得していない。
『ん』
耳に残っている皿を突き出す大河の声。
触れた……指先。
細くて、しなやかで、白くて。
壊れ物のように儚くて。
「……帰ったら帰ったで、これかよ」
ばしゃばしゃと湯船で顔を洗う。
どうも、最近の生活リズムがおかしかった。

96 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/07(金) 23:09:58 ID:ghF6pEOJ
***

ごろんと寝返りをうつ。
風呂から上がって日課を終え、就寝。
いつもの生活サイクルをいつも通り終えようとして、自分はまだ眠れない事に気付く。
それも今日だけでは無い。
風呂場でもそうだったが、このところこんな夜は増えている。
いや、こうなるのが生活サイクルになりつつある。
眠れないのは、頭が働くから。
働くのは、今日一日の出来事。
頭の中の日記を整理しないと、最近は眠れない。
今朝も大河起こしに行って、着替えを急がせ、大河に朝食を食べて貰う。
登校中は転ばないように注意を向け、万一転んでも助けられる位置をキープ。
昼食は向かい合うように机を並べて、昨日の残り物ばかりと怒られる。
夕方一緒に買い物に行って、タイムセールを制する。
大河が買い物に来るようになってからタイムセールの勝率が跳ね上がった。
オレンジジュースもそこでゲット。
夕食用にカレーを作成。
つまらなさそうにして大河はテレビを見ていた。
大河はその後もテレビを見て……横顔が、綺麗だった。
大河は風呂に入って……薄いピンクの唇がジュースを飲み干していた。
大河は着替えて……素足、美しかった。
大河は髪が濡れてて……色っぽかった
大河の髪を乾かして……手触りが凄く気持ちよくて、サラサラだった。
大河の髪を梳かして……一歩一本がシルクみたいで、触るのがMOTTAINAIくらいだった。
大河の……。
ごろん。
また寝返りを打つ。
……今日は一体いくつ『大河以外のこと』を考えただろうと思い……思い返すのを止めた。
そんなものはほとんど無いからからだ。
いつからか、いや、だんだんと俺は大河を見ている時間が増えていた。
最初は意識して増やしていた。
だから、少しでも長い間大河のことを見ていると、疲れたりもした。
一時間見ていたら、少し休憩が必要だった。
ところが、最近は慣れたのか休憩を挟む回数がみるみる減ってきた。
つまるところ、さっきの回想は今日は一体何回休憩を入れただろう、という疑問だ。
けど、そんなことを考えるのは不毛だと最近気付いた。
だって、大河のことを見ているのが苦じゃないんだから。
もう疲れる云々とかじゃなくて、それが普通だから。
そうしていないと、いられないから。
だから、明日はとりあえず弁当の内容は朝食とは変えよう。
そう、いつもと同じような結論+αが出る頃には、眠りに落ちていた。

***

97 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/07(金) 23:17:21 ID:ghF6pEOJ
「おっはよーたかっちゃん!!」
クラスメイトの春田が元気に挨拶してくる。
「おはよう」
今朝もアホの代名詞こと春田は元気が良い。
そのまま春田は大河の方へ挨拶に……。
「高須君、おはよ♪」
春田のそれを見届けることなく次の登校者が挨拶をしてきた。
「おぅ、おはよう川嶋」
「ね?ね?高須君?今日の亜美ちゃんどお?今日は少し念入りに髪をブラッシングしてきたんだけど?」
「へ?あ、あぁ良いんじゃねぇか?」
「なーにそれ?反応うっすーい!!高須君髪は長髪で枝毛は無い方がいいって言ってたじゃなーい」
「そりゃそうだろう。枝毛が出来るってことは髪が傷んでるってことだ。無い方がいいさ」
「なんかつまんないなー。折角パジャマも新しいの買ったけど流石に学校に着てくるワケにもいかないしー」
「パジャマ?」
「ん?もしかして見たい?そうねぇ、ウチに泊まりに来る?」
「いや、なんでそういう話しになる?そもそもパジャマって?」
「高須君に前聞いたじゃない?ファション雑誌の中で着るパジャマ候補が決まらないからどれがいいと思う?って」
「あ、ああ、あれか。何かいろいろあった奴だよな。ワンピースとかキャラクターものとか」
「そっ、でも高須君あんまり面白いの選ばなかったよねー、下はデニム風に短い奴で上は普通のボタン式の奴だもん。ワンピースのふりふりとかネコミミとか一杯あったのに」
「面白いのって……パジャマだぞ?」
そう川嶋に返しながら大河を見やると、春田が大河に何かの話題をふっているようだった。
……それにしても、何か大河に近づきすぎじゃないか、春田。
「ちょっとぉ?高須君聞いてるぅ?」
「あ、悪い」
「んもう、だから亜美ちゃんは……」
川嶋に諫められ、川嶋の話を聞こうとするが、意識はずっと大河と春田の方を向いていた。

***

「なぁ、今朝は春田と何話してたんだ?」
昼休みに、それとなく気になった今朝のことを尋ねてみた。
「くっだらないことよ」
大河は不機嫌そうに弁当箱の中身を食べていく。
今日は残り物ではなく、わざわざ一から作ってみたのだが。
「くっだらないこと?」
どうも不機嫌っぽいので聞き返してみる。
「何?いちいちアンタに説明しなきゃいけないワケ?」
「いや、そんなことねぇけどよ」
ただ、気になった。
朝は普通だったのに春田と話し終わった後急に不機嫌になった気がしたから。
それに、なんか春田が妙に大河に馴れ馴れしかったきがして……いやいつものことか?
「……ふん、ごちそうさま」
俺が悩み出したのをよそに大河はさっさと弁当を食べ終える。
「……何かお前、怒ってねぇ?」
「別に」
つーんと大河はあさっての方を向いてしまう。
何だ?朝の春田との話で何か嫌な事でもあったのか?
そう思っている矢先、大河は立ち上がった。
「ん?どっか行くのか?」
「私は三歳児のガキじゃないんだからアンタにいちいち言う義理も無いと思うけど?」
「おぅ、まぁそうだな」
「……ちっ」
何か舌打ちされた。もしかして不機嫌の原因は俺なのか?
「すぐ戻るわ」
大河は俺の顔も見ずにさっさと教室を出て行く。と、同時に、
「あ、ねぇねぇ高須君♪」
川嶋がまた雑誌らしきものを持ってきた。

***

98 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/07(金) 23:19:29 ID:ghF6pEOJ
「今度は帽子なんだけどぉ」
そう言って、目録らしきものを並べる。
そこにはたくさんの帽子の写真が写っていた。
最近川嶋は良く俺にこういった物を持ってきて意見を聞く。
「またファッション誌でお前が着るなら付けるなら、か?俺こういうセンスないぞ?大河の方がよっぽどセンスがある」
「私は高須君の好みが知りたいの♪」
「お前また人をからかって……」
「……からかってはいないんだけどな」
「ん?何か言ったか?」
「別に?それよりほら、どれがいい?」
ほらほら、と急かすように川嶋は俺に帽子の写真を見せてくる。
よくわからないが、まぁそんなに聞きたいならちゃんと真面目に考えよう。
「う〜ん」
写真を眺めて、最近はいろんな物があるんだなぁと感心する。
俺なんて帽子は機能重視でしか見ないから、こういったカジュアル系な帽子はどれが良いとかハッキリ言ってまったくわからない。
だが、その中で一つ、自分も良く知りなおかつ気に入る部類の帽子があった。
これ、いいんじゃねぇか?
「どれどれ?う〜ん麦わら帽子かぁ……最近また人気出てきてはいるけどねぇ……う〜んぶっちゃけ私に似合うかなぁ」
川嶋は少し考え出す。
「だから言ったろ?俺そういうセンス無いんだって。でもまぁ、こういうおっきい麦わら帽子かぶってると、元気で良い感じだよな」
「成る程、元気か……それが高須君の好……のね……あーだから実……ちゃん……かぁ」
「川嶋?」
「うん?なんでもないなんでもない。それじゃあね高須君」
ひらひらと手を振って川嶋は席を離れていく。
ぶつぶつと何か言っていたが、なんだったのだろう?
そう考えてるうちに、大河が戻って来た。
「おぅ、おかえり」
「………………」
だが、大河は無言で髪の毛を指でくるくると巻いている。
「大河?」
「な、何?」
「あ、いや、おかえりって言っただけなんだが」
「……そう」
明らかに落胆したように大河は顎を机に貼り付ける。
ふぁさっとふっくらした髪が舞った。
と、すぐに顔を上げ、後ろ髪をふぁさっと肩から背中に流す。
「?……何やってんだ?」
「何って……はぁ」
大河が何故か溜息を吐く。
今日は珍しく1回目だと記憶している。
「もういい」
大河は何処か諦めたように投げやりな返答をし、
「おい、何だよ一体」
「うっさい。しっしっ」
犬でも追い払うように俺を手で払いのけようとする。
カラン。
同時に、ポケットから何かを落としながら。
「っ!?」
大河が落としたのは千本櫛だった。
大河は慌ててそれを拾い、鞄にしまう。
「どうした?隠すほどのもんか、それ?」
何だか今日の大河は挙動がおかしい。
「……はぁ」
本日2回目の溜息まで吐かれるし。

***

99 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/07(金) 23:21:12 ID:ghF6pEOJ
「はぁ……」
13回目の溜息。
放課後になって帰宅の傍ら買い物に向かう途中。
転ばぬよう大河の細く伸びた足を気にしながら隣を歩き、心の中のカウントを足しておく。
頭の隅では今日は何を作って大河を喜ばせよう、あ、カレーが残ってるから……と晩飯の算段をしつつ溜息の内容を考えていた。
が、考えても当然のことながらわからない。
別段大河の機嫌を損ねるような真似をした覚えは無いし、またする予定も無い。
でもやっぱり大河の顔は不機嫌で、いつもより2割増しほど頬は膨らみ、肩は気を張ったようにピリピリしてる。
「何よ」
「おぅ、いやなんでもない」
さっきから何度もチラチラ見ていたのがバレたのか、大河はふん!とそっぽを向く。
顎をしゃくるようにして動くそのさまは、顎のシャープさをより一層際立たせ、可愛さに拍車をかける。
って待て。
可愛さって何だ?
俺は今何を考えた?
と、危ない!!
さっと大河の背中に手を回す。
「きゃっ!?……って、アレ?」
その瞬間、俺は素早く脇から大河を支え転ばぬように持ち上げ……って軽っ!?
コイツあんだけ食ってこれってどういった体してんだほんと。
「気をつけろよ」
ほいっと大河を下ろす。
「あ……うん。アリガト」
大河は少し照れたようにまた顔を背けた。
─────トクン。
はっ!?何だ今のトクンって?
いかんいかん。
今日は大河よりも俺の方がおかしいらしい。
だいたい、最近トクンなんて……昨日もあったか。
いや待てよ?一昨日もあったような……いやいや一昨昨日もあった気がしてきた……。
「竜児、ちょっとデパート寄って……竜児?」
呼ばれてはっとなり、正面を向く。
途端、少し強い風が吹いて大河の髪がなびき「きゃっ?」大河はスカートと髪を押さえながら方目を閉じる。
そんな横顔が視界に─────トクン。
……今日は『まだ』二回目、カウント確認。
そうだよ、よく考えたら一昨日は三回あったじゃないか……まだ一回の余裕がある。
ああいや、今考えることはそんなことじゃない。
「デパート?何か買うものがあるのか?」
「ん、見たいものがちょっとね。アンタは食料品買いに行ってていいわよ。今日はデパートでも大丈夫なんでしょ?」
「おぅ、問題ねぇけど……何買うんだ?」
「ん、秘密」
そう言われてから、大河の視線は俺から外され正面になる。
隣を歩き、ちらりと横顔を覗き見て見れば頬は先程ほど膨らんでおらず、いつもの桜色の柔らかそうな優しさと少し薄い唇が木漏れ日に反射して─────トクン。
……まだ、まだ三回目だ、同点ゴールだ。
俺は、ぶんぶんと顔を振り大河に続く。
と、もう一度だけ柔らかそうな唇を盗み見て、気付く。
そういや大河溜息吐かなくなったな。
まぁ溜息吐くと幸せが逃げるって言うし、良い事だ。
ウンウンと勝手に納得しているうちに、いつものデパートに着いていた。

***

100 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 23:21:36 ID:5e32ZbEQ
支援っ

101 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/07(金) 23:22:21 ID:ghF6pEOJ
キッチンに立ちながら背後の大河に話しかける。
「なぁ、何買ったんだ?」
「何でもいいでしょ」
大河はそう言って今日買った紙袋の中身を教えてくれない。
大河とはデパート内で一旦別れ、合流した時にはすでに大河は買い物を終えていた。
合流場所で柱に寄りかかって紙袋を手前に持ち、ぼーっと待っていた大河の姿は本日五回目をカウントしてしまった。
え?四回目?……聞くな。
ともかく、最近カウント数が上昇しすぎている。
だからどうなんだと言われれば、別になんでもないんだが。
まぁいい。
頭を切り替えて晩飯に集中する。
カレーはそのまま、買って来た野菜でサラダ、あとハンバーグを焼いて今日はハンバーグカレーに。
そうだ、半熟の目玉焼きも乗せるか。
うぅむ、タンパク質ばっかりだな。
メインはカレーとハンバーグだし、あ、カレー用に買ったジャガイモ残ってるから揚げてフライドポテトにでもするか。
ちょっと油っぽいメニューだから、ほうれん草のおひたしも用意、と。
「まぁこんなところか」
頭で考えつつ、既に手は動かしている。
中々の夕食になりそうだ。
と、やっぱりつい背後を振り返って見る。
これはもう、なんていうか習性になってしまっ……!?
俺は慌ててキッチンに向き直る。
今大河は、櫛で髪を梳かしていた。
いや、それ自体は不思議じゃない……いや不思議だけど。
なんでそんなことやってるかも大いに、大いに気になるけど、そんなことより。
「俺、考えてみれば今まで大河がああやって髪を梳いてるとこ見たこと無かったんだな」
それは予想以上の衝撃だった。
なんというか、色っぽい。
足を崩して、そろえてくの字に曲げ、コンパクトミラーを見ながら丹念に髪を梳いている。
サラリサラリと綺麗に櫛が通っていくその様は、ここが2DKのオンボロアパートだという事実さえ忘れさせそうだった。
こうなんか、『ズギュン!!』って胸が言った錯覚さえある。
「……っし!!枝毛無し!!」
しばらくして、そんな声が聞こえる。
そうか、枝毛取ってたのか。
そういや昨晩は女の子らしく枝毛に少しショック受けてたっけ。
ウンウンと自己完結し、料理に取り掛かる。
……取り掛かるが、時間が普段の倍かかったのは内緒だ。

***

102 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 23:24:24 ID:dY6P5XXe
新作ラッシュだぁ

103 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/07(金) 23:30:22 ID:ghF6pEOJ
食事を終えて、二人でテレビを見て。
今日も多彩なテレビの光に反射する大河の頬をちらちら見る。
ほんと不思議意だ。
大河の頬は、それだけで多彩な美貌を発揮する。
一瞬赤くなっただけで綺麗だと思わせ、青い光が当たって綺麗だと思わせ、白っぽい光が当たって綺麗だと思わせる。
ようは綺麗なんだ。
でも、それは同じ綺麗ではなく、それぞれ別の特徴を持つ綺麗さ。
ずっとその横顔を見ていたいとさえ思う。
「さて」
「おぅ!?」
「何慌ててんのよ?私お風呂入ってくる」
大河は立ち上がる。
「あ、そうそう」
「何だよ、またジュースか?」
「うん、それもだけど、ドライヤーと櫛を用意しといて。んじゃ」
「へ……?」
大河は気にした風もなく泰子の部屋に入り、着替えを持って風呂場へと向かう。
「ドライヤーと櫛?今日は自分でやるつもりなのか……?」
それはいいことだ。
いいことなんだが……寂しい。
アイツが風呂に行って寂しい。
上がった後に、あいつの髪を触れなくて寂しい。
「……何考えてんだ俺!?」
一瞬浮かんだ変な想像を振り払いテレビに無理矢理集中する。
番組は……。
『男の子の恋愛教室〜♪わーいどんどんぱふぱふ〜♪』
……チャンネル、変えようかな。
リモコンを手にとって……。
『最近、身近な女の子を見て「トクン」なんて来てるそこの君!!いないかなぁ?』
ドキッ!!
『それはもぅ、ザ・恋の始まりだよぉ!!THE KOI!!』
こ、恋……?
俺はゴクンと唾を飲み込み、リモコンを卓袱台に置いて正座する。
『もう一日に3回はトクンなんてきちゃった君、それはもぅKOIを通り越して愛!!AI!!』
あ、愛……?
『君は彼女の魅力に惹かれ、ずっと傍にいたい、ずっと見ていたい、ほっとけない!!なんておもってるんじゃな〜い?』
白衣を着たお姉さんが、まさに的確に今の俺の状態を言い当てる。
テレビ越しでだけど。
『ズギュン!!なんて来ちゃった日にゃ、もうその娘の事しか見えてないよチミ〜♪』
「え……」
ズギュン……?今日、来たよな……?
そ、そうなのか……?俺は櫛枝じゃ……ないのか?
『こういう子って前に好きだと思ってた娘が自分は好きなはずなんだ〜とか勘違いしてる子が多いんだよね〜』
なんか、あつらえたように俺に当てはまるな。
もう、なんか恐いくらいに。
それからもそのお姉さんの講義は続く。
『もしその娘が貴方のために何かしてくれたら、ソレは脈アリ!!貴方にしか見せない姿とか……』
その後もいろいろ高説し、やっと終わった頃にはもう良い時間帯になりつつ……『ガラッ』……ガラッ?
「あれ?ドライヤーは?」
頭にバスタオルをかけ、昨日と同じ正面ボタン式パジャマを着た大河が戻って来た。

104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 23:31:00 ID:iNs/uuVM
うむ乙

105 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/07(金) 23:33:21 ID:ghF6pEOJ
「お、おぅすまねぇ」
突然の事に驚き、しかし時間を見て決しておかしく無い事に気づく。
ドギマギしながらも急いでドライヤーを準備し、
「ほらよ」
と手渡
「ほらよ、じゃないわよ」
「へ?」
せなかった。
「アンタ髪弄るの下手だから練習台になってあげるわ。ほら、やりなさい」
すっと近くにすわり背中を向け……ああ、いい香りだ。
……いい香りだ、じゃねぇ!!
「い、いや、でもな大河」
「何よ?あんた昨日やってたじゃない」
「お、おぅ?」
有無を言わせない強い口調に俺は腹を括るしかないのか。
俺は昨日と同じようにドライヤーをかけ、バスタオルで髪をふき、櫛でブラッシングをする。
間が持たないので、何か話題をっ……!!
「……そういや、今日は珍しく二日連続で同じパジャマだな。それ気に入ってるのか?」
こいつは毎日のように寝巻きを変える。
しかも殆どがフリフリワンピース型。
でも、そういや最近そういうの見なくなってきたな。
「……別にそういうわけじゃない」
「じゃあたまたまか?」
思ったままのことを口にする。
「……アンタって集中力ないわよね」
「む……」
そんなことはない、こと大河に関してはそんなことはない、と言いたいがそれでは変態さんいらっしゃいだ。
ここはぐっと我慢する。
「……全然、気付かないし」
「ん?なんか言ったか?」
「なんでも」
大河はそれきり黙って頭を預けてくる。
髪触りが気持ちいい。
鼻腔をくすぐる臭いが心地いい。
少し汗編んだような素足が美しい。
はっとなる。
危なく夢の世界の住人になるところだった。
このサラサラの髪を触っているのにそれはMOTTAINAI!!
「ん……?」
そう言えば、昨日と違って今日は全く枝毛が無い。
晩飯の前にも梳いてたな、そういや。
「大河、今日は髪がいつにも増してサラサラだな」
「!!そうでしょ、ね、ね、そうでしょ!?」
大河は何が嬉しかったのか、俺のその言葉に過剰に反応する。
「おぅ、触り心地もいいし、綺麗だ」
「ん、ふふ」
自慢げに笑って、大河は力を抜き始める。
大河はそのまま、すとんと俺の胸に後頭部をうずめた。
「大河?」
「ふふん、私だって枝毛の手入れくらいできるんだから」
「おう、そうだな。飯食う前にも梳いてたもんなぁ」
「っ!?見てたの!?」
「?ああ、たまたま目に入った」
「……帰る」
「え?」
「今日はもう帰る。オヤスミ」
大河は急に不機嫌になったように立ち上がり、高須家を後にする。
「大河……?」
残された俺は、櫛を片手に意味不明な面持ちと、若干の寂寥感を抱いた。

106 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/07(金) 23:35:26 ID:ghF6pEOJ
***

部屋に戻った私は、ばふっとベッドに飛び込む。
「……鈍感犬」
そう呟いてみるが、返事は当然無い。
「……はぁ、バカみたい」
着ているパジャを脱いで、自分のクローゼットからいつものワンピースパジャマを取り出す。
「……着替えよう」
私はパジャマを着替え、ふと髪を弄る。
サラサラだ。
自分で言うのもなんだけど、きっと今は枝毛なんて無い。
「……バカ」
また呟いて視線をずらす。
そこには紙袋。
今日デパートで竜児に見つからないように買ったものだ。
それを見つめて、悩む。
これを使うべきか使わざるべきか。
使ったところでたいした効果は得られないと思う。
でも、折角買ったものだし。
それに……。
ぶんぶんと首を振って考え直す。
「なんで私が……」
ばふっと布団を被る。
「竜児の……鈍感野郎」
もう一度だけ呟いてから、目を閉じた。

***

寝返りをうつ。
今日も横になりながら一日を思い返す。
飯食ってる大河。
歩いてる大河。
風が吹いたときの大河。
柱で待ってる大河。
髪を梳かしてる大河。
風呂上がりの大河。
大河大河大河。
『それはもぅ、ザ・恋の始まりだよぉ!!THE KOI!!』
「恋、か……」
今日見たテレビのせいか、変な思考ばかりが浮かぶ。
『愛』
ぼっと顔が熱くなる。
「何考えてんだ俺……」
恥ずかしくなって顔を布団で覆う。
「………………」
静けさが、寂しさとなって自身を襲う。
「大河……」
知らないうちに、呟いていた。

***

107 : ◆QHsKY7H.TY :2009/08/07(金) 23:39:38 ID:ghF6pEOJ
とりあえずここまで。
支援感謝!
でもばいばいさるさんくらったんで奥の手使った。
途中からID違うと思うけど、トリップ見て下さい。
続きは……しばらく待ってね(汗)

108 : ◆QHsKY7H.TY :2009/08/07(金) 23:44:35 ID:ghF6pEOJ
スマソ。
ちゃんとIDも同じになってた。

>>104
サンクス!

109 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 23:45:44 ID:dY6P5XXe
夢中になって読んでた

110 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 23:49:34 ID:dY6P5XXe
>>107
2chに書き込める串がよくあったね

111 : ◆QHsKY7H.TY :2009/08/08(土) 00:06:15 ID:ghF6pEOJ
>>109

ありがとう。
実は諸事情で書くのはパソコンでやってるけど投下は携帯で投下してる。

ネタばらしすると最初はべっかんこから。
ばいばいさるさんくらったら携帯の設定でフルブラウザにして通常の書き込み。

前に試してて、その時に可能なのは気付いてたんだけど、IDが変わった気がしたから奥の手としてた。
あんまりID変えたくないし設定メンドイし。
今回ID変わんなかったのは自分でも意外。


とまぁそんなわけでしたw

112 : ◆fDszcniTtk :2009/08/08(土) 00:21:26 ID:jS0HG7yh
俺、これ投下したら寝ようって思うんだ。

113 : ◆fDszcniTtk :2009/08/08(土) 00:23:00 ID:jS0HG7yh
「ねぇ、竜児。お昼ごはんまだ?お腹すいちゃった」

居間から大河の声が聞こえる。暢気で、何の心配もしていなくて、リラックスして竜児を信じきった声。ほんの少し甘い声になっているのはここ数ヶ月のお約束。婚約以来、大河が竜児に対して取る態度はそれ以前とは激変した。

声には甘みが混ざり、目には喜びをたたえ、唇は笑みを押さえきれず、頬にはかすかに桜色が散る。それが竜児を見上げるときの大河だ。

「おう、もうすぐだ。ちょっと待ってろ」

にやり、とその辺のカラスが落ちてきそうな凶悪な笑みをたたえて竜児がこたえる。まるで、この仕上げさえ済ませれば、何も知らずに久々に遊びに来た大河を殺してやれると思っているかのようだ。実際、それに近いことを考えている。

「くく、大河のやつ、きっとぶっ倒れるぞ」

いや、死ぬかも。

そう思うと、竜児はもう、うれしくてたまらない。よくも今まで俺をひどい目に合わせてくれたな。今日と言う今日は、俺を信じきっているお前に嫌と言うほど俺がこれまで味わった思いを味あわせてやるよ。このスペシャル・ランチでな。

そう、一人ごちると、竜児は必死でにやけ顔を戻してエプロンを取る。

「さぁ、できたぞ」
「あー、お腹すいちゃった。今日のお昼はなぁに?チャーハンじゃないでしょ?匂いでわかるんだ。ケチャップの匂いしたよね」
「まぁまぁ、それは見てのお楽しみだ」

くくくっ、と笑いそうになるのを必死で抑える。駄目だ、まだ笑うな。こらえるんだ。大河がぶっ倒れてその辺に転がるまで我慢しないと。

「ぷぷぷ、何これ。竜児なにしてるの?」

これからおきる惨劇も知らずに、大河が無邪気な顔で竜児を見上げる。

「おう、テレビでよくあるだろう。高級料理を持ってきて目の前でぱかっと開けるやつ。あれやってみたかったんだ」

大きな皿の上には、金属のボウルが伏せてある。取っ手がないが、仕方ない。

「ふふふ、楽しみ。ああ、もう焦らさないで。ね、竜児、見せて?」
「おう」

ボウルに手を伸ばす。大河が竜児の顔からボウルに視線を移す。だめだ、もう、我慢できない。自分の口が喜びに凶悪な形になるのがわかった。

「さぁ、召し上がれ」
「え…」

ボウルの下から現れた料理に、大河が言葉を失う。そのまま身動きもできなくなり、やがて頬から耳たぶが真っ赤に染まる。

「どうだ、大河」

その問いかけに答えるすべもなく、大河は力を失って畳の上に倒れてしまった。にぃぃぃっと笑みが広がる。計画通り。

「りゅ、りゅうじ…」

畳に横たわったまま力なく手を伸ばしてくるが、顔を覗き込んでやると、今度は寝返って顔を覆ってしまう。


114 : ◆fDszcniTtk :2009/08/08(土) 00:23:41 ID:jS0HG7yh
「どうだ、何とか言ってみろ」
「ああ…もう、竜児ったら」

横たわったままの大河の耳元でささやく。

「ちょっと早いけどな。大河、誕生日おめでとう」

ちゃぶ台の上のお皿には、竜児特製オムライス。卵の上にはケチャップで「大河」と。ご丁寧に前と後ろにはハートマークが添えてある。おめでとう大河。おめでとうバカップル。

「ああ、もう。どうしてこんなことするのよ。恥ずかしくて死んじゃう」

そう、その言葉が聞きたかったのだ。死ぬほど喜べコンチクショー。歓喜に身もだえしやがれ。竜児がこみ上げてくる笑いをこらえきれずに、くくくと漏らす。

「大河、これは復讐だ」
「ふくしゅう?」

顔を覆っていた大河が、指の間からパッチリ目を開いて竜児を見上げる。

「そうだ。お前のおかげでこの何ヶ月もの間、俺がどんな思いをしたと思う。料理を作っているときも、飯を食っているときも、茶碗洗っているときも、授業中も大河大河大河、お前のことで頭がいっぱいだ。お前の声を聞くだけで頭がおかしくなるくらい幸せになる。
お前の笑顔を見るだけでその場にへたりそうになる。夜中に数学の問題を解いていても、お前の顔が頭に浮かぶとニヘラッとか笑っちまう。ベッドに入ってもお前のことばかり考えて眠れやしねぇ。寝ても見るのはお前の夢。
おはようからお休みまで俺の頭は大河漬けだ。幸せで死にそうだぜ。だから、お前にも同じ思いをさせてやる」

プクク、と大河が笑って身を起こす。竜児ったらもう。

「そんなこと言ってもだめなんだから」

なにが駄目なのかよくわからないが、とにかくオムライスをすすめる。

「よし、まぁ食え。暖かいうちにな」

そうそう、と口にしてオムライスに目をやった大河が、ぱっと顔を明るくする。

「竜児、これ」
「おう、知ってるだろう」

ケチャップライスの上には、薄くのばした卵ではなく、卵焼きが載っている。大河の名前がケチャップで書いてあるそれは、もちろん固焼きじゃない。

「これ、スプーンで切るんだよね」

目をきらきらさせて大河がスプーンを手に取る。

「やってみろ」

そっと、スプーンをあてて、くいっと差し込み、えいっとばかりに横一直線。すると卵の皮が切れて中から半熟とろとろの卵が流れ出す。

「うわーっ」

小さな声を上げて喜んでいる大河。油断したところを狙って、竜児が耳元でそっとささやく。

「お前のために作ったんだ」

115 : ◆fDszcniTtk :2009/08/08(土) 00:24:22 ID:jS0HG7yh
ひゃっ、と声を上げて大河が身を固くする。しかし振り向いたその目は幾分とろんとしていて、「大河はダメージを受けた」と書いているも同然。

「もう、竜児ったら。食べる邪魔しないでよね」
「馬鹿言え、邪魔なんかするもんか。ちゃんと食べさせてやるよ」

そういうと、やおら大河を抱え上げる。

「あ、ちょっと何すんのエロ犬ぅ!」

しかし、抵抗むなしくあっという間に大河は竜児のあぐらの上におろされる。後ろから抱っこの姿勢。顔は見えないが耳まで真っ赤になっているのがわかる。

「よしよし、いい子だ。約束通り食べさせてやるからな」

そう言うと、竜児はふにゃっとなっている大河からスプーンを奪い取った。卵が湯気を上げている暖かそうなところから、オムライスを一口分掬うと、

「ほら、あーん」

と、大河の口許に持って行く。が、大河は

「ちょっと、竜児止めて」

真っ赤になって拒む。よほど恥ずかしいらしい。

「そっか、じゃぁ俺が食うからいいよ」
「あ、まって!」

慌てて大河が止めるがもう遅い。大河の名前入り限定オムライスの記念すべき一口目は竜児の腹に収まってしまった。

「あぁ、うめぇ!作った自分で誉めるのもなんだが、やっぱ大河のために特別に腕を振るっただけあるな。格別だわ」

ごくり、と音がする勢いで唾を飲み込む大河をよそに、二口目を掬う。大口開けて食らおうとした時だった。

「竜児…私も」

食べたいの、と大河が小さな声で言う。

「なんだ、やっと正直になったな。じゃ、あーん」

大河は逡巡するものの、食欲にはあらがえない。

「…あーん」

おとなしく口を開いたところにオムライスが与えられる。ぱくっと一口。もぐもぐ、ごくんと呑み込むと、大きく息を吐いた。

「おいしぃ…」

ため息混じりのそれは、ほとんど恍惚のつぶやき。軽くトリップしたところを、後ろから耳元で竜児がささやく。


116 : ◆fDszcniTtk :2009/08/08(土) 00:25:47 ID:jS0HG7yh
「お前に喜んで欲しくて作ったんだ」

はうぅぅと声を漏らして大河の体から力が抜けていく。

「なによ、竜児ったら」
「嘘じゃない。本当のことさ」
「そんなこと言わないで。クラクラしちゃうよ」

本当に貧血でも起こしそうな弱弱しい言葉で抗議。どうだ、幸せすぎて苦しいだろう。だめだね。聞いてやらねぇ。

「ほら、次行くぞ、あーん」
「あーん」
ぱくっ。もぐもぐ、ごくん。
「お前の為だけに作ったんだ」
ひゃうぅぅ。

「あーん」
ぱくっ。もぐもぐ、ごくん。
「お前が喜んでくれれば、他に何もいらない」
あひゃん。

「あーん」
ぱくっ。もぐもぐ、ごくん。
「お前しか見えないんだ」
ふにゃん。

「あーん」
ぱくっ。もぐもぐ、ごくん。
「お前だけがほしい」
へふん。

「あーん」
ぱくっ。もぐもぐ、ごくん。
「俺だけを見てくれ」
ほにゃん。

30分後、大河にしてはえらくゆっくりな昼飯がようやく終わった。竜児のあぐらの上で心も体もくたっと力が抜けている大河を抱きしめてやりながら、すまねぇ、と心でわびる。

竜児が考えていることを知ったら、大河は怒るだろう。竜児が味わっているようなシアワセ漬けの生活を味あわせてやる、と思ったのは本当だ。だが、それだけではなかった。これは竜児が大河を独占する計略でもあった。

竜児はこの美しくも無邪気な婚約者が自分を裏切るなどとは、これっぽっちも考えていない。だが、誰かに奪われるのではないかと言う不安は片時も頭から離れなかった。それがどんな形でかといわれると、具体的な形などないのだが、
一方でもし大河が消えたなら確実に自分は廃人になるだろうという予感があった。

ならば、大河を縛らなければならない。竜児なしでは生きていけないような女に無理やり変えてしまわなければならない。竜児が大河なしでは生きていけないのと同じようにだ。

調教、と言う言葉を考えるのはそれだけで鳥肌が立つほど汚らわしかったが、竜児が計画していることはまさに調教そのものだった。

大河を甘ったるいラブラブ状態にどっぷり漬けた上で、うまいものを食わせながら愛の言葉をささやく。これを繰り返せば、やがて大河はおいしいものを食べる度に耳元で甘い言葉をささやく竜児のことを思い出すようになるだろう。

そうすれば、無邪気な大河が誰かにだまされてレストランあたりに連れて行かれたとしても、うまいものを食った瞬間に竜児のことを思い返してくれる。大河は一目散に竜児の下へと戻ってくるだろう。

◇ ◇ ◇ ◇ 

117 : ◆fDszcniTtk :2009/08/08(土) 00:27:00 ID:jS0HG7yh
翌週は真昼間からハンバーグだった。ホワイトハンバーグに赤いケチャップで大きなハートを描いておいた。第一ラウンドからパンチドランカー状態の大河は、あぐらの上でふらふらになりながらハンバーグを食べた。

「あーん」
ぱくっ。もぐもぐ、ごくん。
「お前以外の女なんか考えられねぇ」
あふん。

◇ ◇ ◇ ◇ 

次の週は弁財天国でも出せないような竜児特製お好み焼き。

「竜児ったらおばかさんね、いつまでも名前とかハートで私が喜ぶと思ってるのかしら」

ニコニコしながらそういった大河は、現れた相合傘を見ると顔を真っ赤にしてぶっ倒れて、表情をへにゃっと融かしたまま畳の上で身もだえした。

「あーん」
ぱくっ。もぐもぐ、ごくん。
「お前は俺の運命の女だ」
はにゃぁ。

◇ ◇ ◇ ◇ 

その次の週、大河は久しぶりに外でデートをしたいと言った。たまには映画でも見ようよ、と。

「残念だな。お前にひつまぶしを食わせてやろうと思ってウナギを買っておいたんだが。しかたねぇ。泰子と食おう」

じゅるり。

その次の週も、その次の次の週も、大河は竜児のあぐらの上で極上ランチを食べながら愛の言葉にノックアウトされ続けた。

竜児の小遣いの残高が急降下していくに連れ、大河の心の形も変わっていった。

◇ ◇ ◇ ◇ 

三ヵ月後。竜児の貯金は残高が500円を切った。計画は終了である。若干の見込み違いはあったが、竜児の思惑通りになった。

そう、見込み違いがあった。

竜児は大河を「おいしいものを食べると竜児の愛の言葉を思い出す女」にするつもりだった。しかし大河は「耳元で愛をささやかれるとお腹がすく女」になった。

まぁいい。竜児なしでは生きてはいけない女になったことには変わりはない。大河のお腹を満たし続けられるのは竜児だけだ。大河が竜児から離れていかなければそれでいいのだ。

なんとなく、大河は出会ったころからいつもお腹をすかせていたような気がするが、深く考えないことにする。なんとなく、大河は出会ったころから飢え死に寸前で、竜児なしでは生きてはいけない女だった気がするが、深く考えないことにする。

「大河、俺がお前を幸せにしてやるぞ」

フライパンとフライ返しを握り締めて、竜児は薄暗いキッチンの真ん中で誓いを新たにする。居間から大河の甘い声が聞こえる。

「ねぇ、竜児。お昼ごはんまだ?お腹すいちゃった」






(おしまい)

118 : ◆fDszcniTtk :2009/08/08(土) 00:28:15 ID:jS0HG7yh
長編投下中に書いたネタ。え?中毒ネタがかぶってるって?仕様ですよ、もはや。

119 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/08(土) 00:32:42 ID:Zr+vWQ3s
>>78 お久しぶりです、あの時はありがとうございました、大変嬉しかったです。
続きを期待して待ってます、GJ!

タイガチュウドクの作者さんも続き楽しみ待ってます。

あと竜神の作者を自分は知ってるんですけど、あの人はアレ一回限りで多分このスレも見てないですね。

120 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 00:37:02 ID:DNZlUdzY
>>118
おもしろかったけど、
竜児がヤバすぎ!!(笑)

121 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 00:38:11 ID:ARAlo6Q1
>>107
引き込まれました。簡潔な文なのに奥行きあるなー
竜児、一瞬だけ髪梳くの代わってくれないか?

>>111
ほんとだ。ID変わってない、不思議。



122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 00:51:16 ID:ARAlo6Q1
>>118
「高須君て、あぶない」
「顔とか関係なく、こわいかも?」

なるほど、こうして仕様に磨きがかかるわけですね。

123 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 00:53:34 ID:MrniPPoF
おいおい何だよこのラッシュは、寝る前に読みきれないぜ!

>>78
1話if待ってました!ご自分のペースで頑張って下さい

>>85
竜河イキイキしててGJ

>>107
こっちの中毒も面白い、続き期待してますー

>>118
ジゴロ竜児ですね、分かります。つーか飛ばしすぎだろw

124 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 01:19:03 ID:6MN5xACV
例のスレ、地雷投下あったから行くなら注意な。

125 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/08/08(土) 03:45:03 ID:Cpqmsk7q
お題 「背中」「返事」「ホラー」



「おい、大河」
 へんじがない ただのしかばねのようだ。
 もとい、卓袱台に突っ伏すように座ったまま携帯ゲームに熱中しているようだ。
「大河ー」
 近づきながら呼んでも反応が無い。
「大河ってばよ」
 肩に手を掛けると
「うひゃあぁぁぁっ!」
 たいがは てっけんを ふるった!
 りゅうじに 50のダメージ!
 りゅうじは ふっとばされた!
「……ってえ……」
「あ、あんたが悪いのよ!急に肩掴んだりするから!」
「だからって恋人をいきなりぶん殴るか普通?」
「だ、だって、びっくりしたんだもの。ゲームの状況とシンクロしてて」
「シンクロって……何のゲームやってるんだ?」
「みのりんお奨めのホラーゲーム」
「……なるほど。そいつは怖かったかもしれんな」


「おーい、大河ー」
 またもや返事が無い。
 さて、どうしたものか。
 この間のようにぶっとばされては堪らないが……
 と、不意に悪戯心が湧いた。
(どうせ驚かれるなら……)
 大河の背中にそろそろと近づき……
 がばっと抱きしめると同時に無防備な首筋めがけてキス。 
「っひいぃぃっ!」
「ふぁいふぁー」
「ちょ、ちょっと何考えてるのよ竜児!」
「ふぁっへ、ひょんふぇも、ふぇんひひへえんはもも」
「キスしたまま喋るな!舐めるなーっ!」
「むー」
「吸うなこのエロ犬ーっ!」

 この後、先日以上にボコボコにされたとか。

126 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 08:03:47 ID:XaUFyop/
>>119
竜神ってどの作品?

127 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 10:02:20 ID:9lUszEfi
最低な竜の神 竜心様
http://tigerxdragon.web.fc2.com/index/SS/523.html

128 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 10:05:25 ID:xGIGEqk1
>>127
素晴らしい 憧れる 痺れる

129 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 14:55:50 ID:0zQ3Y+E4
>>111
携帯端末番号で識別してるからIP変わらないのでIDも変わらないんじゃないの

130 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 15:14:41 ID:H64k+7rN
>>125
竜児はっちゃけすぎだw

131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 18:31:52 ID:mvDLjgbQ
「これは?」(巨乳モデルの写真を見せる)
「ダメダメだな。乳がデカすぎる」
「じゃあこれ」(平均の大きさの胸のモデルの写真)
「あー無理無理。許容範囲外だな」
「んじゃこれはどうよ」(かなり小さめな胸のモデルの写真)
「おっ、控え目な乳だな、いいんじゃないか?表情も初々しい」
「りゅ〜じぃ〜…?」
「はあ?この子のなんてかなり小さいだろ!?」
「それでもワンピースから浮き出るくらいなら充分あるわー!このおっぱい星人!顔面性器!」
「顔面性器…?てゆうかいきなり『胸の小さな子を好きになれ』なんてどう考えても無理だろ!」
「あんたがデート中にも関わらず視線泳がすからでしょ、しかも巨乳の子ばっかし!」
「うるせえ、男はデカい果実見つけると目が引き寄せられるんだよ!」
「だからおっぱい星人だっつってんでしょ!やっぱり実力行使しかないわね!」
「大河、何を!?やめてくれええええ!」


ビシバシドゴッコキンメキメキギシギシアンアン

132 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 20:12:56 ID:DNZlUdzY
>>131氏 から無理やりつづき

大河「ほ、ほんとうはこんなことしたくないのよ。
   むりやりなんて。。。」
竜児「たいが、、、」

大河「私たち、あ、あいしあってるじゃなぃ。」
竜児「お、おぅ」

大河「私、竜児のこと好きでしょ。」
竜児「お、おぅ」

大河「竜児、もちろん、私のこと好きよね?」
竜児「も、もちろんだ。全人類を敵に回しても、お前を愛してやる。」
大河「いやぁーーん☆☆」
竜児「って、泰子、はいってねぇか?、まっいいか」

大河「でもね、竜児。
    子供生まれたら、どうしよう。
    こんな小さな胸で、
    おっぱいでなかったらどうしよう。。。。」
竜児「そ、それは。。。。」
大河「あっ、」
竜児「ん?」
大河「子供できたら、大きくなるって聞いたわ!!」
竜児「なに?ほんとか?」
大河「なにかで、読んだことある。絶対よ、絶対。」
竜児「子供ってことは。。。」
大河「これで、お互い同意の上ね。」
竜児「そ、そうだな。しかたがないな。」
大河「じゃぁ」



ギシアンギシアン。


>>131氏 勝手にのっとってごめんなさい。。。


133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 21:00:24 ID:mvDLjgbQ
勝手に書きおってw

134 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 21:16:12 ID:3MVdTPro
こ、これは竜児のえっちい本!?
私というものがありながら……許せない〜!

ぱら

……っ!?

…・・・…。
……。
…。

…………どうしよう、
私のせいで竜児がロリコンになっちゃった……。

135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 21:43:26 ID:aMJDg/bY
次から4レス+αくらい投下します。

【時期・設定】原作終了後で原作準拠です。アニメからのクロスオーバーあり。

136 :コスプレ・タイガー@:2009/08/08(土) 21:45:07 ID:aMJDg/bY
「そうだ、セーラー服だよ!」

突然の竜児の叫びに、大河は一瞬表情をぎょっとさせる。

「あんた、頭おかしくなったの?」
「おう、気にするな。忘れてくれ」
「やだ。気になるじゃない。
妄想の中じゃなくて、竜児が実際に犯罪に走っちゃったら嫌じゃない。
怒らないから、ちょっと話してみなさい。」

どこをどう取れば、セーラー服と犯罪が結びつくのだろう。
いつだって大河の思考は不思議だ。

「た、多分お前は怒ると思うんだ」
「怒らないわよ、竜児のことが心配だもん」

これ以上大河に無用の心配をかけるわけにはいかない。
竜児は意を決して、自分の頭の中をさらけ出すことにする。

「ちょっと、電波を受信してだな……
ええっと、あの、その」
「早く言いなさいよ、このグズ犬」
「怒ってるじゃねぇか!」
「罵倒しただけよ。
早く言ってくれないと、拗ねるわよ?」

それは正直言って困る。
拗ねた大河をなだめるのは相当大変なのだ。色々と手を尽くさないといけないのだ。
大河のために手間をかけるのはやぶさかではないけれど、どうせなら機嫌のいい大河相手に手間をかけたいものだ、と竜児は思う。

「じゃ、じゃあ言うけどよ……
何故かは知らないけど、ふと頭の中に浮かんだんだ。
お前は教室で俺を待っていて、それだけど何故か着ているのはうちの制服じゃなくてさ。
セーラー服を着たお前はもう、反則的に可愛かったぜ」
「妄想お疲れ様。気持ち悪い」

ピシャリ、と一言で切り裂いてくださった。
さすがは手乗りタイガー、俺たちにできないことを平然とやってのける。
そこにシビれたくもないし憧れたくもないのだが、これが大河なのだ。

「だから言いたくなかったんだよ!」

137 :コスプレ・タイガーA:2009/08/08(土) 21:46:13 ID:aMJDg/bY
「大体、それはどういうことなの?
私、今の制服じゃ可愛くないの……?」
「だぁーっ、何でそういう思考にすぐ行くんだよ」

大河は少し涙目になっているようだ。
こうなったら、機嫌を直すためなら何でも言ってやる。

「昔な、お前のチャイナ服姿を想像したことがあってだな」

哀れ乳のことは当然内緒だがな。

「それももちろん反則的なまでに可愛かったさ。
お前はきっと何を着てても可愛いんだ。」
「むむむむ、昔っていつよ?」
「おう、あれは去年の文化祭の前かな」

男共で……と続けようとして竜児はやめる。
あいつらの名誉のためにも、そして何よりもあいつらの生命のためにも。
つまらないことで、大河が他人の生命を脅かすようなことがあってはいけないのだ。

「ふーん、エロ犬だとは思っていたけど、昔っからそうだったんだ……」
「何とでも言え、俺だって男なんだからそれくらいの想像はする。
それに、だ。お前は俺の彼女なんだぞ?
彼女以外の女で妄想するならともかく、俺の彼女で妄想して何が悪い!」

大河の顔がみるみるうちに紅潮する。

「かかかかか、彼女……
うん、そうだよね……私は竜児の彼女なんだもんね。
開き直っちゃうのもどうかと思うけど、まぁ妄想の中で位許してあげることにするわ
私の広い心に感謝しなさい。」

こいつはまだ慣れないのか。
赤面タイガーを目の前にして、竜児は一計を案じることにした。
何しろ今のこいつは戦闘力たったの0、ただのグニャグニャ軟体動物なのだ。

「俺は実際にお前が色々と着てくれたらもっと楽しめると思うんだが」

口元がすこしニヤリとしているかもしれない。
でもいいのだ。たまにはこいつに言い返してやらないとダメなのだ。

138 :コスプレ・タイガーB:2009/08/08(土) 21:47:28 ID:aMJDg/bY
案の定、大河はさらに慌てふためいて、

「ななななな、なに言ってんの? あんた頭、大丈夫?」

予想通りの反応。
こういう時は相変わらずわかりやすいやつだ。

「俺は至って本気だぜ。
大体、だ。俺はお前にいつも料理を振舞っているよな?
お前を楽しませるために、だ。
お前はいったい、いつも俺に何をしてくれているんだ?」
「りゅ、竜児は私と居て楽しくないの?」

質問文に質問文で返すな、と言いたいところだがここは堪えよう。

「そんなことは絶対ない。もちろん、お前と一緒に居るだけで楽しいぜ。
俺と一緒に居て楽しいのはお前も一緒だ、俺はそう信じてるけど間違いじゃないよな?」
「なななな、何恥ずかしいことを……!
うん、まぁ、私は竜児と一緒に居て……楽しいよ……」

消え入りそうな声を振り絞って、大河は答える。

「そして、俺が頑張って作った料理を食べている時はもっと楽しいはずだ。そうだろ?」
「うん、竜児の作るご飯はすっごく美味しい!」

大河は目をキラキラと輝かせて答える。
その無垢な瞳に、竜児の良心は一瞬痛みかけるが、竜児は追撃の手を緩めない。

「そう、俺はお前のために頑張っているんだ。
だから、お前だって俺のために何かしてくれたっていいんじゃないのか?
それくらいの要求をする権利くらい、俺にあったっていいじゃないか!」

大河は少し俯きながら、観念したように一言。

「わ、わかったわよ……
私だって竜児のために……コスプレショーくらいしてやるわよ……!」

勝った。通るとも思えない無茶な要求かもしれなかったが、予想以上の成果だ。

139 :コスプレ・タイガーC:2009/08/08(土) 21:48:43 ID:aMJDg/bY
竜児が勝利の余韻に浸っていると、これで形勢逆転、とばかりに大河が一言。

「ところで、あんた。私が着るものはどうやって準備するわけ?
セーラー服とか、買うと高いし、おいそれと簡単に準備できないわよ?
それに、他の服だってそうよ。どうやって準備するの?」

大河は勝ち誇ったように、胸を張ってえっへんと言い切った、が。
甘いぜ大河、人と議論をするときには二の矢、三の矢まで準備しておくものだぜ。

「セーラー服は……泰子のお古がある。
こないだ泰子の実家行ったときに確認した。」

泰子ならきっと、いやぁ〜ん、大河ちゃんのセーラー服姿、きっと可愛いでヤンス☆ とか言って協力してくれるはずだ。

「あああああ、あんたそこまでして……!?」

大河の顔から血の気がすぅーっ、と引いていく。

「そして、だ。この俺を誰だか忘れたか?」
「ど、どういうこと?」
「高校生カリスマ主夫とは俺のこと、着せる服がなければ……作ればいい!」

そうとも、一枚の布には無限の可能性が秘められているのだ。
チャイナドレスにだってなるし、ゴスロリにだってなるし、ナースにだってなるのだ。
大河はどさっ、と崩れ落ちる。

「女に二言はないよな?」
「い、遺憾だけど私の負けだわ……」
「よし、服の準備もあるから来週でどうだ?」
「今回ばかりは観念するわ……」

俺の趣味に付き合わされる大河は少しかわいそうかもしれない、が。
いつもの俺のことを考えれば、これくらいのご褒美はあったっていいだろう。
来週がすごく待ち遠しくなってきた。

140 :コスプレ・タイガー あとがき&蛇足:2009/08/08(土) 21:51:53 ID:aMJDg/bY
コスプレショーはどこで開催されるのかって?
みなさんの脳内です。

ちなみに、私の脳内はこうです。

「りゅ、竜児……」
「どうした、大河。なんか顔が赤いぞ。」
「色々と見られてたらなんだか気持ちよくなってきちゃった……」

ギシギシアンアン

さすがにこれはオチにできませんでしたw
投稿は以上になります。ありがとうございました。

141 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 21:53:11 ID:DNZlUdzY
>>140

> ギシギシアンアン
ここが重要でしょう!!

っておもしろかったです。

142 : ◆fDszcniTtk :2009/08/08(土) 21:56:28 ID:jS0HG7yh
>>140
リアルタイムで読んだ俺は人生の(ry

と思ったら要脳内補完かよ!正直、俺の脳内では竜児に死亡フラグが(w


というわけで(嘘)、書き散らし投下。Inspired by >>134

143 :きわめて原作に忠実な脱線竜児 ◆fDszcniTtk :2009/08/08(土) 21:57:14 ID:jS0HG7yh
R.1

「竜児」
「なんだ?」
「これはいったいどういうことかしら」
「って、おい!勝手にその箱開けるな!」
「黙れ。あんたのプライバシーなんか知ったこっちゃないのよ。あんたの物は私の物。私の物は私の物。で、このキモイ箱は何かしら」
「いや、その、あの…」
「いいのよ、別に言わなくても。痛い目に遭うだけなんだから。どんな風にってのは、あえて言わないけどね」
「あーっ!畜生。わかったよ。わかった。言うよ。その、お前って結構ツラがいいからさ…なんていうか…フランス人形的っていうか…そんなこと考えてるうちに、集まっちまったんだよ。フランス人形。箱一杯に」
「…」
「どうした?うつむいて」
「ちょちょちょ、タンマ。今、ニヤケ顔直すから」


R.2

「竜児」
「なんだ?」
「これはいったいどういうことかしら」
「って、おい!勝手にその箱開けるな!」
「黙れ。あんたのプライバシーなんか知ったこっちゃないのよ。あんたの物は私の物。私の物は体以外私の物。で、このキモイ箱は何かしら」
「お前めちゃめちゃ顔怖いぞ。てか、今さらっと何か言わなかったか」
「うるさい!だから、このキモオタ臭がぷんぷんする箱は何かって聞いてるのよ」
「あーっ!畜生。わかったよ。わかった。言うよ。その、お前って意外って言っちゃ悪いけどスタイルがいいからさ…なんていうか…フィギュアっぽいっていうか…そんなこと考えてるうちに、集まっちまったんだよ。美少女フィギュア。箱一杯に」
「…」
「どうした?うつむいて。震えてるのか?」
「…………全部スクール水着なのはどういう事かしら…」


R.3

「竜児」
「なんだ?」
「これはいったいどういうことかしら」
「って、おい!勝手にその箱開けるな!」
「黙れ。あんたのプライバシーなんか知ったこっちゃないのよ。私の物は私の物。あんたは一生私の物。で、このキモイ箱は何かしら」
「いつの間に終身奴隷にしてんだよ!」
「黙れ犬っころ。この盗品臭さ炸裂の箱は何だって聞いてるのよ。あんたとうとう人の物まで…」
「あーっ!畜生。わかったよ。わかった。言うよ。その、お前って顎のラインがきれいでさ…なんていうか…精緻なガラス細工っていうか…そんなこと考えてるうちに、集まっちまったんだよ。イタリア製のガラス器具。箱一杯に。
おかげでお小遣いすっからかんだぜってわーーーーーーっ!!!!止めろ!割るな!何て事してくれるんだ!MOTTAINAI!てか何故お前が泣く!?」
「うるさい!こんな物買う金があったらもっと高い肉食べさせなさいよ!」




144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 22:10:36 ID:mvDLjgbQ
>>140
展開にwktkしてたらオチがアーッ!


>>143
竜児ならフィギュアくらい自作してしまいそうだw

145 :真・コスプレ・タイガー@:2009/08/08(土) 23:31:11 ID:aMJDg/bY
>>141>>142>>144
やっぱり、本番書かないのは許されないかw
超特急で書いてみた。
推敲など一切していないので、乱文はご容赦を

ガチャリ、と玄関の開く音がした。
その音を合図に、竜児はせわしなく動いていた手を止め、玄関へと走り出す。

「こんにちは、竜児」
「おう、今日もゆっくりしていけよ」

そう言って竜児は、仕事へ戻ろうとする、が。

「ちょっと、荷物くらい持ちなさいよ。
相変わらず気が利かないんだから。」
「おうっ、悪い悪い」

慌てて踵を返し、大河から荷物を受け取る。
……やけに大きい荷物だ。何が入っているのか尋ねるまもなく、

「わ、私も色々と家にあるのを持ってきてみたのよ……」

大河はほんのり頬を赤くして答える。

「どういうことだ?」
「恥ずかしいんだからあまり説明させるな。
その、私もちょっと色々と考えたのよ。
竜児のために今までなにもしてあげてなかった、よね」

ああ、大河。なんて純真な子なんだ。
邪な自分に少し罪悪感を覚え、

「おう、先週はちょっと俺も言い過ぎちゃったなって反省してる。
お前が居てくれるだけで十分なのに、変な要求して離れられたら元も子もないからな
無理にとは、言わないぜ?」

こう言うと大河は、今日は中止!とか言うかもしれない。
ちょっと言ってから後悔する。

「わわわ、私に約束を破らせるな。もう決心はしてきたんだ。
だから、早いところ初めてさっさと終わらせたいんだ。」

大河はすぅー、と息を吸い、

「私だって、今日色々家から持ってきたんだ。
竜児が、もっと楽しんでくれたらいいな、って思って。
今日の私は竜児を楽しませることに徹する。ね?
たまにはそうさせて欲しいの」

146 :真・コスプレ・タイガーA:2009/08/08(土) 23:32:22 ID:aMJDg/bY
竜児は心の中で、大河グッジョブ、とサムアップ。
大河が自分で追加を持ってくるなんて、この展開は予想外だった。
鼻血が出そうになるのを堪えつつ、できるだけ平静を装って竜児は大河を招き入れる。

 * * *

「りゅ、竜児……やっぱり恥ずかしい……」

大河は襖の向こうに体を隠し、赤らんだ顔だけを覗かせている。
が、大河。お前はやっぱりドジだ。
泰子の部屋の鏡に、ばっちりと後姿が映っている。

「チャイナドレス、やっぱりかわいいな」

大河は急に挙動不審になり、目をパチパチさせる。

「なななな、なんでわかったの?」

竜児は、鏡を指差した。
大河は後ろに振り向き、既に見られたことを知って観念したのか竜児の前に出てくる。

「あ、あんまりジロジロ見ないでよ……」

大河はやけに開いた脇のスリットを手で押さえ、モジモジとしている。
深紅のチャイナドレスに、スリットから覗く白い脚が映える。
やばい、想像以上だ。やっぱり生身は最高だ。
竜児は思わず、デジカメを構えていた。

「ちょっと、写真はダメよ!」
「だ、ダメか……?」
「恥ずかしいの我慢して、竜児のためにやっているんだから……
竜児に見られるのはまだいいけど、他の人に見られたくないの!」
「見せるつもりはねぇけどよ」
「そ、それでもなんかイヤなの。
竜児の、頭の中だけで、いい……でしょ?」

写真に記録しておいて、後で見てニヤニヤしようと思ったのに。
大河は本当に嫌がっているようだし、それなら仕方ない。

147 :真・コスプレ・タイガーB:2009/08/08(土) 23:33:32 ID:aMJDg/bY
ならばこちらにも考えがある。

「それなら……少し、その手をどけてくれないか?」

大河は黙って俯いている。
しまった、少し調子に乗りすぎただろうか?
その心配も杞憂に終わったようで、

「わ、わかったわよ……せいぜい網膜に焼きつけなさいよ……!」

腕を胸の前で組み、ふん、と虚勢を張る。
ああもう、なんて可愛いんだ。

「そういや、これお前の家から持ってきたんだよな……?」
「……ママが買ってくれたのよ。
先週、家帰ってタンス漁ってたらね、ママに見つかっちゃって。
事情説明したら、色々買ってくれちゃった」

そう言ってピースサイン。
なんだ、意外とノリノリじゃねぇか、ってそうじゃなくて。

「事情説明したのかよ!?
お、俺が変態って思われたらどうすんだよ?」
「心配すんな、もう思われている。
大河のような女の子好きになる時点で変態だ、って」

竜児は脱力、もうお母様に合わせる顔がないな、と思いながら。

「あ、あと。着るだけならいいけど変なことには使うなって。
あんたたちにはまだ早いって」

もう敵わない。これほど怖いお母様公認があろうか。

 * * *

「りゅ、竜児……予想はしていたことなんだけど……」

こっちもお母様公認。
襖を開けて現れた大河は泰子のセーラー服に身を包んでいた。

「一部分がぶかぶかなのよ……」
「気にするな、戦闘力の差がありすぎるんだ」
「それ、全然フォローになってない……」

148 :真・コスプレ・タイガーC:2009/08/08(土) 23:34:52 ID:aMJDg/bY
「それにしても、やっぱ可愛いぜ……
俺は提案する。今からでも遅くない、大橋高校は女子制服をセーラー服にすべきだ!」
「ふーん、私がかわいいの? セーラー服がかわいいの?」

大河は少し目を細め、竜児、返答しだいでは殺すわよ、という視線を投げかける。

「もちろん、お前もかわいいんだけど、セーラー服を着たお前はもっと最高だ!
なんというか、非日常と言うかだな……」
「今日限りだもんね、せいぜいその目に焼き付けるがいいわ」
「それでなんだがな、これだけは写真に」
「却下」
「最後まで話を聞け!
泰子にこれ借りるときに、あいつも見たいって言ってたんだよ」
「やっちゃんの為なら仕方ないけど、やっちゃん他のも見たがるんじゃない?」
「それは心配するな、あいつにはセーラー服のことしか話してねぇ。
コスプレショーだとは言ってないから、セーラー服姿を見ればそれで満足なはずだ」
「ふーん、それならいいけど……」

そう言って大河は、すこし澄ましたようなポーズをとる。
何だ、意外とノリノリじゃねぇか。

「竜児、撮られるのって意外と気持ちいいのかもね?
今なら少しだけばかちーの気持ちがわかる気がするわ。
あ、でもやっぱり他のコスプレの写真はダメだからね?」

意外としっかりしていらっしゃる、釘を刺すのも忘れないとは。

 * * *

大河がその他に自宅から持ってきたのは、アオザイに浴衣。
浴衣なんて着るの難しいだろうに、着付けも一応はできるなんて一応はお嬢様、といったところか。
最後の仕上げはさすがに厳しくて、結局竜児が手伝ったのだけれど。
それにしても、チャイナドレス、アオザイ、浴衣、みんな民族衣装だ。

149 :真・コスプレ・タイガーD:2009/08/08(土) 23:36:02 ID:aMJDg/bY
「ママがね、そういうの好きなのよ。
昔からよくそういうの着せられてたの」

そして、トリをつとめるのは竜児自作の力作である。

「これって、なんか変な意図込められていない?
悪魔ってどういうことよ」

漆黒のワンピースから生えるのは尖った尻尾、そして背中には小さなコウモリの羽根。

「悪魔って言うな、小悪魔って言え」

そして竜児は、語り出した。

「お前に何が似合うか、ってすっげぇ悩んだんだ。
ゴスロリもいい、メイド服に身を包んでお帰りなさいご主人様、なんてな。
他にも、色々と候補が挙がったさ!
最初の2〜3日なんて、眠れないくらい考えたんだぜ。
そして思い出したんだ。
去年の文化祭で天使になったお前はすげぇ可愛かった。
クリスマス前のエンジェル大河様もすげぇ可愛かった。
けど俺は、お前の新たな可愛さを引き出したいと思ったんだ。
天使やエンジェルのお前はまさに真っ白、ならばその逆だ。
つまり、ちょっとブラックなお前を演出してみたい。
だから、今回のコンセプトは小悪魔タイガー、だ!」
「語りが長すぎるのよ、気持ち悪い」
「ほ、本気で悩んだんだぞ……!」

その尻尾だって大変だったんだ。
どの形がベストとか、色々研究して夜も寝られなかったり。
それを、気持ち悪いの一言で片付けた、だと……?

「まぁ、そうね。意外と楽しかったわ。
非日常、って感じで。
でも、非日常はやっぱり非日常ね。
しばらくはこりごりだけれど、気が向いたらまたやってあげられないことはないわ」

竜児はある決心をし、ごくり、と唾を飲む。
そう、今なら言える。

「実は、もう一つ準備していたものがあってだな……」

そう言って、竜児は大河にある物を渡す。

150 :真・コスプレ・タイガーE(終):2009/08/08(土) 23:38:27 ID:aMJDg/bY
「これは……エプロン? この上につければいいの?」
「そうじゃなくてだな、その、男のロマンというか……」
「??」

大河が大きなクエスチョンマークを掲げている。

「は、裸エプロンって聞いたことないか?
当然、後ろを見せてくれなんて言わない。
前からだけでいいんだ、少しだけでも」
「断る」

ニヤけていた竜児は、はっと我に帰る。
さすがにやりすぎた、と気づいたときにはもう後の祭り。

「調子に乗るんじゃないーっ!」

その日、竜児には大河が本当の悪魔に見えたという。


以上になります。
というわけで、>>142さん正解ですw
エロスを入れないと、竜児死亡でオチをつけざるを得ないのが難しいところ。
竜児死亡以外のオチも書けるように精進したいと思います。
ありがとうございました。

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 00:05:55 ID:CJpxpa/u
ブルマにルーズソックスにしなかったのに良心を感じた

152 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 00:13:23 ID:C5Hws99J
虎柄ビキニ+しっぽにしなかったのにも良心を感じた

153 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 00:42:15 ID:nQaWO4c5
全身白タイツに犬耳としっぽにしなかったのに(ry



>>143 R.2 より無理やり続き

「そ、それは……あれだ、やっぱりあの時の事が、その……頭から離れなくって」
「あの時ってどの時よ?」
「偽乳パッドをおまえの……胸に入れた時だっ!」
「なっ!? あ、ああああんなのまだ覚えてたわけ?」
「当たり前じゃねえか! あれが人生初タッチだったんだぞ?」
「ばばばばか言ってんじゃないわよ! 忘れなさい! っていうか消してやる!」
「うおう!? 待て待て! 俺だって最初はそんな覚えてるつもりじゃなかったんだよ!」
「とか言って、現に今忘れてないでしょうよ! しかもこんなたくさん集めて……あんたどんだけ……」
「すっ、すまねえ! テレビ放映時は手を入れる寸前でカットされてたんだけど、DVDになったら……なったらよぉ!」
「な、何よ……いきなりそんな事言ったって、ごまかされないんだからっ!」
「違うんだって! DVDになったら水着にモロ手を突っ込んでて、グリグリってしてて、もう……もう……うああああああぁ!」
「きゃああ!? こ、壊れた? 竜児、大丈夫?」
「俺の脳裏からどうしても離れてくんねえんだ! 助けてくれ! むしろ助けてくれよ、大河ああぁ!」
「あ……哀れね……」



というわけで、文豪氏、すんませんしたー

154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 01:03:01 ID:xZX7CH/D
やはりとらドラのDVDを集めるべきだった
今さらながら少しだけ後悔している

155 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 01:09:47 ID:CPXeKxhC
んと、正直いって、今更原作Ifが好きな自分がいます。
アフターは、ある意味やりたいほうだいだけど、作中の趣旨からIfならば、読んだ人すべてが、あ、あそこね!的に共感できるからデス。連載が終わって数ヶ月。
ここで今、もう一度原点に戻りませんか?w
あそこをこうしたら、大竜になる・・・なんて妄想を読めたら最高じゃないですか?w

156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 01:19:27 ID:bGykuv59
某パクリ氏みたいなのでなければいいんじゃね

157 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 01:58:33 ID:cYfQhHAZ
>>155
言いだしっぺの法則というものがあってだな…

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 02:52:29 ID:bk6CasIt
>>157 某スレみたいなこと言わないで、1人の意見として聞いてあげなよ。
ルールさえ守れば何でもアリなんだし、意地悪を言っちゃダメ

159 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 04:37:52 ID:cYfQhHAZ
>>158
意地悪ではなく、お決まりの
合の手を打ったつもりだったんだが…。
怒られるとは思わんかった、スマン。


160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 05:50:21 ID:1ozUQ3Lx
>>155
話の流れだけでも書いてみたら?
でも誰かに書いて下さいってのはなしな。

161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 07:01:02 ID:+feEmFEW
>>143
> 「黙れ。あんたのプライバシーなんか知ったこっちゃないのよ。あんたの物は私の物。私の物は私の物。で、このキモイ箱は何かしら」

> 「黙れ。あんたのプライバシーなんか知ったこっちゃないのよ。あんたの物は私の物。私の物は体以外私の物。で、このキモイ箱は何かしら」

> 「黙れ。あんたのプライバシーなんか知ったこっちゃないのよ。私の物は私の物。あんたは一生私の物。で、このキモイ箱は何かしら」

Toradorable!!

162 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 08:10:37 ID:XswJpfqn
やり放題とか言われちゃったよ。おまけに原点に返れとか。

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 08:59:16 ID:CPXeKxhC
>>160
私書いてるよいろいろw
だから、虎注とかおとなしいとか幼竜児とか、原作を基調な作品が見たいなって。別に、アフター嫌いなわけじゃないから、気にしないで?でも感情移入するなら・・・って話なのねw

164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 09:11:53 ID:1ozUQ3Lx
>>163
>私書いてるよいろいろw
そうだったのかスマン。
Ifものは難しいね。ネタ被りやすい。いろいろ制約が多いんだよ。書ける人は凄いと思う。
アイデアと文章盗んで書いてるのがいたけどさ。あれはひどいや。やっていいことじゃない。

165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 09:19:58 ID:CPXeKxhC
>>164
そうかなー?アイデア次第でどうとでもなると思うけどなぁ?でも了解。ごめんね変な事言って。
私はゆゆぽの書いた範疇内でやってきます。出来ないときは書けないから泣いてますけどね(笑)

166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 09:29:39 ID:+feEmFEW
アフターだろうがIfだろうが原作別キャラ視点だろうがやりたい放題には変わりない
原作基調かどうかとは別問題


ネタかぶりはしょうがないし、そこに制限を設ける権利も義務もない
二次創作のくせに盗作云々ってのも筋違い
まあ例のあれみたいに自分の文章で書くことを放棄したら顰蹙を買うのは当然だけどw

同じ内容だって書く人が違って文章が違ったら別のものだよ

167 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 09:54:01 ID:1ozUQ3Lx
>>自分の文章で書くことを放棄
顰蹙勝って当然だ罠。SSと原作本からコピー&ペーストw
途中でバカらしくなって読んでないが
切り貼り以外の部分を探すのが大変だったw

168 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 10:28:56 ID:C5Hws99J
『例の作品』ってのが自分のじゃないか心配だ…

169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 11:10:49 ID:XswJpfqn
>>168
知ってる奴等がタイトルを伏せて会話をしているのだから、知らない168が不安になるのも無理はない。
が、不安になるだけあほらしいから悩むのは止めとけ。苦労してSS書いてその結果うわさ話気にして
悩むなんて人生の無駄。もっと楽しいことに時間も神経も使うべき。
ちなみに俺もどの作品なのか知らない。



170 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 11:35:42 ID:CPXeKxhC
例のアレってなに?教えてくれないと、私も不安なんだけど・・・(汗)

171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 11:54:32 ID:hgPaIKBM
もしかして、俺のギシんアン・・・・き?!



まあ、みんなそんな気にせず、
気楽にいこうぜ!!



172 :【 - 冷たい唇 - 】:2009/08/09(日) 13:06:41 ID:nQaWO4c5

こんにちは。久々に短編投下します。

173 :【 - 冷たい唇 - 】  ◆askgvpoGB. :2009/08/09(日) 13:08:26 ID:nQaWO4c5



「な……っ」
「な、じゃないっ! 主人がおまえのためにがんばってんだ、もっと喜べ! この鈍犬野郎!」
「――よっしゃ、そんなら行けっ! 尻尾でもなんでも振ってやるっ!」

そう言って竜児が私を押し出した。
そのスピードに乗せてバタ足を再開した後ろで、鈍い音と水しぶき。
驚いて振り返った私の目に映ったのは、全身の力が一気に抜けたみたいに沈んでいく竜児の姿。

「ええっ!? りゅ、竜児ーっ!?」
「……ぶがぶぐぼご……」

プールの喧騒は一層激しく、他の誰も私たちに気づいていないのが分かる。

「うそでしょ!? 竜児! 竜児ーっ!」

咄嗟にUターンして沈みかけの竜児を掴み、腕の力だけで何とか引っ張る。
全く動かない竜児の身体に恐怖を覚えながらも、その首に腕を回して水面に引き上げようとする。

「誰かっ……ねえ誰、かっ……ぶぐぶぐ……げほっ! くそーっ!」

けれど……そもそも、ビート板なしでは泳げない私に人一人抱えられるわけもない。
竜児の顔は半分水に浸かったままで、それ以上引き上げられない。
息ができるようにしなきゃと思っても、思うようにいかないもどかしさで胸が焼けるようだ。

「ええーんっ!」

どうにもならなくて……悔しくて涙が出る。それでも竜児の首に回した腕だけは外さず、
半分沈みながらも必死に片手でビート板を掴み、水を掻き、ゴール地点を目指す。

そこに背後から、なにやらものすごい速度のもの
……イルカみたいなものがグングンスピードに乗って近づいてくる。

「なんで高須とタイガー二人乗り状態なんだ!?」
「わーっ、抜かれるっ!」
「高須てめー!」
「いけいけあみたーんっ!」

誰か……誰か気付いてよ! ばかちーの事ばっかり見てないでこっち見てよ! 助けてよ!
見えてるなら分かるでしょっ!? 余裕ないのよ! 竜児が息できないじゃないのよ!

「……ゴールッ! 正義はかーつっ!」

その声が聞こえたと同時に、

「あふっ」

――ビート板を抱えていた私の手から、最後の力が抜けた。


174 :【 - 冷たい唇 - 】  ◆askgvpoGB. :2009/08/09(日) 13:09:42 ID:nQaWO4c5

歓声が上がりかけ、……すぐに止む。誰かが呟く。

「……高須とタイガー、あれ、溺れてない?」

そんな今更な言葉に返事を返す余裕もなく、私と竜児は沈んでいく。
最後の力を振り絞って、竜児を抱えて身体ごと水面側に押しやる。
息が……苦しくて、意識が朦朧としてきた……それでも、せめて竜児を……

――どのくらい沈んだんだろう? 

水の層みたいなのがあって、身体の下半分を覆う水温が凍るほど冷たく感じる。
何かに引きずり込まれるような錯覚を覚えて、ゾクゾクとした悪寒が背筋を伝う。
まるで学校のプールじゃなくて、深い海の底みたいな感覚を、記憶を、否応なく思い出させた。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「げほ……げほげほげほげほっ!」

先生の太い腕に引き上げられた私は、何とか意識を手放さずに済んだ。
だけど、私の隣で寝かされてる竜児は、未だにピクリとも動かない。

「高須、大丈夫か!?」
「おい、これ……息してなくね!?」

――――!?

「ええ!? やばいよ、それやばいってぇ!」
「やだやだやだぁ! 高須君、大丈夫なの!?」
「何だと!? おい、おまえらそこをどけ!」
「先生! やはり高須は息をしていません! じ、人工呼吸を!」
「俺がやる! 北村、おまえは心臓マッサージだ! 胸骨圧迫! グズグズするな!」
「は、はい!!」

……呆然と……その様子を見守る。
気道を確保しようとしてる先生と、竜児の上に跨る北村君が見えるけど……
それがどういうことなのか、私の頭はまだ処理しきれていない。

……りゅう、じ? うそでしょ? うそでしょ竜児!?

「ちょっと…………」

冗談やめてよね……笑えないのよ、あんたのギャグは……ねぇ……ちょっと……

「しっかりしなさいよーっ! りゅうじいぃ!?」
「うおっ!? おい、逢坂。先生の邪魔をするな。今は非常事態だ!」
「う、うるさいっ! わ、わわわ私がやる! あんたが邪魔なのよっ!」


175 :【 - 冷たい唇 - 】  ◆askgvpoGB. :2009/08/09(日) 13:10:35 ID:nQaWO4c5

そう言いながら、先生を無理やり押しのけて竜児にすがり付く。
私は自分が何を言い始めたのか、何をやり始めたのかよく分かっていない。
ただ……見る見る顔色が変わっていく竜児を見て、勝手に身体が動いた。

「おい! 冗談じゃ済まされないんだぞ? 分かってるのか?」
「分かってるってのよ! やり方は知ってるんだから問題ないわよっ!」

耳元で喚き散らす先生と怒鳴りあいながら、腕を首の後ろに回して竜児の顎を上げる。
ちょっと……本当に息してないじゃないのよ……何なのよ……やめてよ……いやだ……

「しょうがない……逢坂が空気を送り込んでる時は、圧迫を止めるんだ。北村、分かったな?」
「はい、先生! 逢坂、準備はいいか?」

つまんだ鼻先も、髪の毛も首筋も頬も冷たくて、さっきから続いてる嫌な予感がどんどん膨らんでいく。

「……逢坂……大丈夫か?」
「うっ……うん!」

あんたにだけは分かって欲しかったけど……言うまで分かってくれなかったけど……でも、もう怒らないから……
竜児……あんた……あんた、こんなことで勝手に死ぬんじゃないわよ!?
こっ、この私がキスしてあげるってんだから、それだけで起きなかったら許さないから!

「逢坂!? おい、早くしろ! 一刻を争うんだ!」
「わ、分かったわよっ!」

すうううううっ! と思いっきり息を吸い込んで――――そして唇に触れた。




ピキン―― と、私の唇が凍りついたような錯覚を覚える。

「――っ! ――ひっ!」

喉の奥の奥で、そんな声が出た。
その……竜児の唇のあまりの冷たさに、息を吹き込む事なんか出来なかった。
何かに弾かれたみたいに後ろに仰け反って尻もちを付いてしまう。

「……あ……あ…………ぁぁ…………」
「おい、逢坂? 逢坂ぁ!? くそ、時間が無い。北村、マッサージは続けてろ! 俺がやる!」
「はいっ!」

なによ……なんであんなに冷たいの?……いやだ、いやだ……竜児……

「ちょっと! あんた顔が真っ青じゃん……しっかりしなさいよ!」
「たいがぁ!? 大丈夫? 大河だって危なかったんだから、無理しちゃダメだよ!」

ガクガクと身体が震えるのをどうしても止められない。
まるで身体の芯から全ての熱が吸い取られてしまったみたいに寒くてたまらない。
いやだ……竜児、いやだ……怖いよ、怖いこわいこわいこわい……

さっきのプールの冷たさを思い出す。今更、あんな暗い海の底になんて戻れない。
もう私は水面から顔を出してしまった。酸素を吸ってしまった。太陽の暖かさを知ってしまったんだ。
もう一度、息を潜めて生きていけるわけがない。今度あそこに戻ったらきっと窒息して死んでしまう。
あんな……誰からも光を投げかけてもらえない日々なんかいやだ、いやだ、いやだ。


176 :【 - 冷たい唇 - 】  ◆askgvpoGB. :2009/08/09(日) 13:11:49 ID:nQaWO4c5


「北村ああぁぁ! もっと強くだ! もっと強く押せ!」
「せ、先生! これが精一杯です!」
「ちくしょう! おまえたち、救急車を呼んで来い!」
「「はいっ!」」

――ハッ! なに? どうしたの? 先生と北村君どうしたの? 
竜児は……竜児の顔が……茶色というか……見たことがない色になってて……
そこまで考えた私は跳ねるように起き上がって、今度は北村君に掴み掛かった。

「わ、わわ、私がやるっ!」
「逢坂……?」
「どいて、どいて北村君!」
「いや、しかし……」
「お願いだからどいてよおおおおおおっ!!!」

私の叫びに気圧されたように、北村君が竜児の上からどいてくれる。

「よし、ここだ。ここに手を当てて……」
「うん……」

身体の震えと鳥肌が止まらない。心臓とおぼしき場所に手を当てても……何も感じない。
いやだ……いやだいやだいやだ!!

「……くっ……りゅう、じ……竜児、しっかりしてよぉ!」
「逢坂、そのまま強く押せ!俺が口を離すタイミングでだ! いくぞ!」
「ちょっと! 起きなさいよ! ほら、竜児ぃ―――っ!!!」

――私は必死に心臓マッサージを続けてて、先生の息が竜児の胸を膨らませていても、
それでも……心臓が動いてくれない。どうして……どうしてどうして!?

「逢坂ぁ! もっとだ! もっと強く!」

ほっとけるかって言ったじゃない。ずっと傍らにいるって約束したじゃない!
だめだよ竜児……このまま行っちゃだめだよ、そんなの許さない。だめ、だめ……


「だめええぇぇ―――――――っ!!!」


そんな絶叫とともに振り上げた両手を、力いっぱい心臓の辺りに叩き付けた。


「が……はぁっ! げぇっほっ! ゴホ! がっ! ゲホゲホ! ……うえっ」
「竜児っ!?」
「高須!?」
「よし、水を吐いたから……取りあえず一安心だ」

「……竜児っ! りゅうじ、りゅうじいいいいっ!」

周りの声なんか聞こえない私は必死に竜児に呼び掛ける。
息をしている。顔色はまだひどいけど、でも……手を当てると、心臓も動いてる……動いてる。
その、わずかに感じる鼓動が、二度とこの手の平から零れ落ちてしまわないように……硬く、硬く握り締めた。

「う………うぅ……………うぅぅっ!」

全身の力が抜けるくらいの安堵と、何かよく分からない感情で頭の中がぐちゃぐちゃだ。
竜児の胸の上で俯いたまま、涙も流れるまま、全く身動きが出来ない。


177 :【 - 冷たい唇 - 】  ◆askgvpoGB. :2009/08/09(日) 13:13:06 ID:nQaWO4c5

「高須ー大丈夫かいー?高須ー」
「おい、取りあえずタオルとか掛けてやらないと」
「逢坂?もう大丈夫だ、もう大丈夫だからな?」
「よし、このまま保健室に運ぼう!」

そう言った先生が竜児に近寄ってくる。他の人も竜児を取り囲んで心配してくれて……るのに、
何だろうこの怒りは……この身を焦がすような憤り?悲しみ?分からない……分からない!!!



「触るな―――っっっ!」

口を付いて出た叫びとともに両腕をめちゃくちゃに振り回す。
誰も竜児に触れるな! いまさら心配そうな顔なんかしてんじゃないよ!

「ばかばかばかばか、ばかばっかりだおまえらは――っ!」

おまえらに竜児の何が分かる! あんなに色んな事をしてくれる竜児の何が分かる!?
竜児はいい奴なんだ、私なんかとは比べものにならないくらい優しい奴なんだ!

「なんで気がつかないのなんで助けてくれないのばかばかばかばか近寄るんじゃなぁぁぁ――――いっっ!」

ごはんも作ってくれるし、胸パッドも作ってくれるし、隣にいてくれるし、ほっとけないって言ってくれるし!
そんな竜児が危ないっていうのに、何でよ!? どうしてっ!? 誰も……誰も…………くっ!

「あっちいけっ! おまえらみんな大っっ嫌いだっっ!」

竜児の事を分からないおまえらなんかいらない! どうせ私の事も竜児の事も分かってくれないに決まってる!
別に竜児の事なんかどうでもいいんでしょ? 必要じゃないんでしょ? だから気付かなかったんでしょう!?

「来るな来るな来るなばかぁぁぁぁぁ――――――っっっ!」

やっと……やっと見付けたの! 私には必要なのっ! だから……だから……っ!

「竜児は、私のだぁぁぁぁぁ――――――――――――っっっ! 
 誰も触るんじゃ、なぁぁぁぁぁ――――――――――――いっっっ!」





シン、と静まり返り、無音状態になる真夏のプールに響くのは、私の子供じみた泣き声だけ。
仰いだ空は青くて、ジリジリと照りつける日差しは暑くて……

「……ん……? ……あれ……?」

私は今……何を考えてた?
……っていうか、何を叫んだ? 何を叫んじゃったの!?!?



◇ ◇ ◇ ◇ ◇


178 :【 - 冷たい唇 - 】  ◆askgvpoGB. :2009/08/09(日) 13:13:58 ID:nQaWO4c5



「……地獄のようだわっ!」

ガン!

「……お、おい……大丈夫かよ……」

テーブルに思いっきりの頭突きをしたまま、私は両目だけを上げて竜児を睨みつける。

「大丈夫、なんかじゃ、ない、よぉ……」

けど、言葉には勢いが無い。
さすがに私が聞こえる範囲で、キスだの人工呼吸だの言う命知らずは一人もいなかったけど、
あの発言は格好のネタにされちゃってるに違いない。昨日からずっと周りの視線が痛いし……

「あららぁ?逢坂さん、大丈夫ぅ?」
「ほっとけっての……」
「おう、お早い到着だな、川嶋」

ここはいつものファミレス。これからみんなで別荘の話をしようとしているわけだけど……
まだ北村くんとみのりんの姿は見えない。このバカビキニが上機嫌なのがムカつく。

「元気ないなぁ? 亜美ちゃんしんぱぁい♪ そりゃそうだよねぇ、なんたってぇ、じんこ……」
「――っ!?」

ガシッと、顔面を片手で掴んで締め上げる。そうね……こいつがいたわね……

「ふが! ふごふご!?」

いわゆるアイアンクローだ。いや顔の下半分だからジョークロー?そんな技は無い。

「あんた、それ以上言ったら……分かってるわよね? 私は本気よ。それだけは冗談で済ませてやらないんだから……」

バカビキニがぶんぶんと顔を縦に振るので、軽く力を抜いてやると、

「ぶはっ! いったぁぁぁい!? 何すんのよ、あんたマジ信じらんないんだけど!?」
「黙れ。何度でも食らわせてやるよ? すごく痛くするよ?
 何なら竜児を殴ったのと同じくらい本気でやっちゃってもいいんだけどねぇ?」
「チッ…………」

と、本性丸出しの歪んだ顔付きでテーブルの反対側に座る。

「おい、大河……俺の胸にものすごい青アザが出来てるのは……やっぱりおまえのせいか……」
「何よ? 私が助けてやったんだから感謝しなさい?」
「そりゃそうだけど……」
「あーあ。困ったわね、竜児?」
「何がだよ?」

「私はあんたの命の恩人なわけ。分かる? どうやってこの借りを返してもらおうかしらね?」
「何だよ……今以上おまえに奉仕しろとでも言うのか?」
「あったりまえじゃない? 私がいなかったら、あんたは今頃お星様になってるっての」
「……そ、そんなに危なかったのか、俺は」


179 :【 - 冷たい唇 - 】  ◆askgvpoGB. :2009/08/09(日) 13:14:57 ID:nQaWO4c5

「そりゃーそうよ、あんなに冷たい唇しちゃってさ」
「冷たい? く、くち……?」
「わああああぁ! なななな、なん、なっ、なんでもないの。とにかく! ひっどい色しちゃってたんだからね!」
「おい……おまえ……まさ……ぐえっ!? ぐがが! ひだだだだ!」

竜児が何かとんでもない事を言い出す前にとっさに口を封じた。さっきと同じように。

「だーまーれっつってんのよ! この駄犬! あんたは私に全身全霊の感謝を捧げながら生きていけばいいのよっ!」
「うわ……えげつな……私の時より食い込んでるじゃん……」
「ふーひーひーふーはー!」
「あん? 犬はしゃべるんじゃないよ! ――――ひうっ!?」

とっさに手を離す――――手の平に触れた……それが……

「痛ってえんだよ、大河!……あつぅ……口が切れるだろ!?」
「そっそそそそそそれは、しょしょうしょうがないのよっ! だだだだまりなさい!」
「あ〜あ、真っ赤になっちゃってまぁ……ほんっと、ガキだよね、あんたって……」

……だって、それが…………あったかくて……むしろ、熱いくらいで…………

「ううう、うるうる、うるさいっ! もう一回あんたの口を塞いでやろうか?」
「おい、大河……これって川嶋と俺、間接キスしてねえか?」

――っ!? キス……違う……

「いや〜ん、高須君ってば……嬉しいんだぁ?」
「なっ!? 嬉しくなんか……ねえよ……」
「ななななにを言ってるのよ、このエロ犬っ! そっそそそんなそんなの……」
「そうだよねぇ〜うふ♪ 間接……だなんて、そんなもんじゃなかったよねぇ〜?」

違う……あんなのはキスじゃない! ちがう……違う、違う!!!

「あ、ああ、あああんなのはキスじゃなあああぁい!!!」
「あんなの?」
「あ〜らら〜テンパっちゃって、か〜わいいね〜逢坂さぁん?」
「――――――っっっ!!! こんのぉ……っ!」

テーブルに身を乗り出して、命知らずの獲物を仕留めにかかったその時、

「……いやいや、大河が元気そうで何よりですなぁ」
「全くだな。待たせて悪かった、それじゃ別荘の話をしようか」

北村くんとみのりんがやってきた。

「あぁ〜ん、二人とも遅ぉ〜い。今ね、逢坂さんがねぇ〜」
「こ、このバカビキニっ! いい加減にしやがれぇ!」

「きゃあああ!?」
「大河、おまえいい加減にしろって!」
「あっははは、逢坂は本当に元気だなぁ」
「うんうん、良きかな良きかなー」


――こうして逢坂大河の一学期は、無事終了したのであった?


end


180 : ◆askgvpoGB. :2009/08/09(日) 13:17:02 ID:nQaWO4c5

以上で終わりです、ありがとうございました。

11スレの67氏のリクエストに応える形で考えたらこうなりました。多分求めてるのとは違う方向に……
原作文ままの箇所は、そこから分岐して、その内心を自分なりの解釈で書きたかったので
敢えてそうしてます。決して面倒だからとかそんなここことはななないです……

チャーハンを作る時に高菜を入れてみた、出来上がったら旨い、けど、ちょっと味の変化がある。
本作みたいな少しだけif作品ってそんな感じだと思います。旨くなかったら……腕を磨きますってことでw

自分は原作と同時期のif系、面白い別設定のif系、スピンオフ的な補完系も好きだし、
自分でも書いてますが、成長した竜虎の2人が見れるアフターも好きですよ。
というわけで、そういうの全部楽しめばいいんだっ!

それでは、また〜

181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 13:26:32 ID:hgPaIKBM
>>180
GJでしたー!!

なつかしいねぇ。
あのとき、大河は竜児のことすきだったんだよね。
それが、2月までもちこされてしまって。。。。

ま、恋ってそんなもんかもね。


182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 14:12:00 ID:C5Hws99J
>>180
ちょwwそれリクエストしたの俺だww
人工呼吸の所でまさか?って思ったけど今頃叶うとは思わなかった…。
この展開なら竜虎が結ばれるのももっと早くなりそうだw
大河の心情、周りの情景表現の仕方が素晴らしい。
ばかちーのイジり方がうますぐる、GJでしたっ!!

183 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 14:40:46 ID:fsdu7bdN
>>180
これは結構いいねぇ

184 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 15:04:39 ID:/Pq8QaQo
>>170
気にしなくても大丈夫。例のアレってここに投下されてないから。
臆病な盗作者がリンク貼っただけだしね。

185 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 17:17:33 ID:bMbTv00h
>>180GJっす!!!!

軽く涙出そうになったwww



186 :☆つんでれ(超短篇)☆:2009/08/09(日) 19:49:49 ID:hgPaIKBM

大河「りゅーじぃー。ごはんまだぁー?」
竜児「まだだ、
べ、べつにお前のために作ってやってるんじゃないからな。」

大河「な、な、なによ!!
どうしちゃったのよ。
なにがあったわけ?
わたしが、なにかした?
やっぱり、わたしじゃだめなの?」
竜児「お、おぃ」
大河「や、やっぱり、だめなんだ。
あのバレンタインの日も、哀れみですきだなんていってくれたの?
わ、わたし、もう、いきていけない・・・・」
竜児「た、大河、ちがうんだ、ちがうんだ。」
大河「ぎゅーじー。。」
竜児「わ、わるかった。
俺が悪かった。
大河「???」
竜児「実はだな、別スレで『ゆゆぽの男ツンデレ』みたいな話があって
俺にもできるかなって、おぅ。」
大河「竜児のバカ、まぬけ、あほ、エロ犬。
わぁーーーん。」
竜児「悪かった、悪かった、今日は特別に高めの肉にするから。」
大河「ほ、ほんとう?」


竹ゆゆこスレで、そんなはなしがあったので、
竜児をツンデレに!!ってかんがえてみたんですが、
私の中の竜児はやさしすぎて、無理でした。(ちんぼーつ)


187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 20:06:09 ID:rRaMDyeS
「揺れた!揺れたわ私の胸が!」

「落ち着け大河。それは気のせいだ」

「なんですって!!!!」

「ギャー」

188 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 20:08:50 ID:XswJpfqn
結構揺れたな。つか、お前等二人ともコントやってないで火の確認しろよ。
燃えやすそうなアパートなんだから(w

189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 20:31:14 ID:nQaWO4c5
感想くれた皆さんありがとうございますー

>>181
原作ではここまで意識する事が無かったと思うし、
意識しちゃってたら182さんの言う通り展開が早くなっちゃいそう。
だから、原作くらいのピンチさ加減がやはり絶妙だったんじゃないかなって思う。

でも、原作でも無意識の内にこのくらい大切に思ってた……といいなw

>>182
お、本人さんに読んでもらえて良かったですw

190 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 20:33:36 ID:nQaWO4c5

ギシギシギシギシギシ

大家「ひいい!? おっきな地震だよお! 家の中にいたら危ないよお! 外に逃げないと!」

ガチャ
ギシギシギシギシギシ

大家「ハッ……高須さん家は大丈夫かしらね? 建付けが悪いからドアが開かないとか……」

カンカンカンカン
ドンドンドンドン

大家「泰子さん!? 大丈夫? あ、今の時間は仕事だったかしらね……?」

ギシギシ……ギシギシ……ギシ

大家「ひいいぃ!? 長い揺れね、こういうのは大きくなるのよね……怖いわ……開くのかしら、このドア?」

ガチャ
ギシギシ…ア…ン…ギシギシ…ン…ア

大家「た、高須さん!? まだ揺れてるわよ、大丈夫? 変な音がしてるけど……これ何?」

大河「りゅうじっ! りゅうじっ! もうダメっ!」
竜児「おうっ! 俺も、もうダメだっ!」

ギシギシアンアン!ギシギシアンアン!

大家「………………………………」

竜児「うおおおおおおおおぉ!」
大河「りゅうじぃ――――っ!」

ギシギシアンアングラグラ!ギシギシアンアングラグラ!

191 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 20:34:14 ID:PEHKlSyK
こらwwww
いいぞもっとやれwwwwwwwwww

192 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 20:38:04 ID:NXNdT0Ro
ギシギシともかくアンアンはおかしい

193 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 20:40:13 ID:hgPaIKBM
>>189
> 原作ではここまで意識する事が無かったと思うし、
> 意識しちゃってたら182さんの言う通り展開が早くなっちゃいそう。
> だから、原作くらいのピンチさ加減がやはり絶妙だったんじゃないかなって思う。
> でも、原作でも無意識の内にこのくらい大切に思ってた……といいなw

無意識に大河は竜児をすきだったんだろうね。
それより、原作は、竜児が(性格的に)ちょっといやらしい。
「りゅーじはわたしのだー」発言を聞いていて、
寝たふりをしていたんだからね。

また、良作をおねがいしまーーす。

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 20:55:01 ID:2trWNA8w
>>27
今さらだけど「君と二人で」完結おつです!
キャラの描き方も話の流れも、原作の文化祭に結びつけるラストも本当に魅力的でした
特にオリキャラが、とらドラの登場人物として成立してるレベルで毎度すげーと
そして、自分は原作では5巻が一番好きなのを再確認した。

『それが青春の豊かさって言うものなのよ!』

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/09(日) 21:46:52 ID:XswJpfqn
>>189
> 原作ではここまで意識する事が無かったと思うし、

失ったらどうしよう、とまでは考えてなかったろうね。だけど、雨の市民プールでの
大河の叫びは切なかったよ。自分が竜児の事をどう思っているのかわからなくて、
泣くほど混乱している。

失ったらどうなるか、知ってしまったのが夏の旅行の終わり、と。

>>193
> それより、原作は、竜児が(性格的に)ちょっといやらしい。
> 「りゅーじはわたしのだー」発言を聞いていて、
> 寝たふりをしていたんだからね。

まあまあ(w 竜児は大河に冷たく扱われて、胃潰瘍になっても仕方がない程
混乱した毎日を送ってたんだから。大河の素直な気持ちを聞いてもう少し
そうしたいと思っても、勘弁してやろうよ。

196 : ◆fDszcniTtk :2009/08/09(日) 22:54:03 ID:XswJpfqn
>>194
ありがとう!

オリキャラは賛否両論あるんでいろいろ悩んだんだけど、3年になって周りに
溶け込んでいる大河を書こうと思うと、避けて通れないんだよね。竜児と大河に
きれいな文化祭書いてやりたかったし、そうするとクラス展示は避けられなかった。
気に入ってもらえてほんと嬉しいよ。



197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 01:46:34 ID:VEX3cwpn
「…ては愛のタ〜メリック♪ハラハ〜ラ」

今日は牛肉が安いな…「なぁ大河、今晩の夕食は…」
「へっ?」
「えっ?スッ!スミマセン!間違えました」

・・・似てる!でも…アッチの方が立派だな、大河の負けだ…ガックシ

「竜児!このプリン安いんだよ、デザートに良いでしょ?」
「はぁ?良いけど… 突然居なくなるなよ!恥をかいたじゃないか」

「ハアァ?何したの」
「お前と思ってアノ子に声掛けちまったんだよ」
「……あの子って小学生じゃない?何で私を小学生と間違えるのよ!」

「似てるだろ?ホイップが」
「ホイップ?」
「ホラ、頭のホイップが」
「あぁ、くせっ毛がね…って!アンタそんなもんで私を識別してたの!!」
「だってよ〜いつも目の前をアレがウロチョロしてんだぞ!仕方ないじゃないか」
「ナニ逆ギレしてんのよ!」
「……帰ったソレ触らせてくれないか?一度触ってみたいだけどな〜」

「話しを聞けッ!!!」
「ヴホッ?!……TAIGA…外では殴っちゃ…ダ・メ」
「何をエロいこと言ってんのよ……サッサと帰るわよエロ犬!」
「ちょっと待って…まだ無理…お腹イ…タイ」
「………触りたいんでしょ?」
スタッ!「御意!姫の仰せのままに」
「ウム、帰るぞよ」

何だったんだ?あの高校生は………新手の夫婦漫才か?

198 :まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY :2009/08/10(月) 02:19:30 ID:ODYMOJr5
まとめサイト更新しました(キリッ


夏コミのとらドラサークルがたくさんあってうれしい悲鳴。
買うぜー超買うぜー

コミケ期間中はネット環境から離れるため、もし期間中にログがDAT落ちしてしまったら
また皆様のお世話になるかもしれませんが、よろしくお願いいたします…。



199 :ゆかたいが:2009/08/10(月) 02:44:31 ID:3630szoZ
いつも楽しく文豪様達の作品拝見させていただいてます。

2828とまりません。

もしも大河がおとなしい女の子だったら

1話if

大河お姉ちゃん


どれも大好きです。僕は初めてにちゃんに書き込みました。

そして、初めての処女駄文作投下さしてもらいます。

駄文ですが、どうぞ笑ってやってください。

200 :ゆかたいが:2009/08/10(月) 02:46:58 ID:3630szoZ
「ねぇ、竜児?!わたし、今日浴衣を買ってもらったの…//」太陽は容赦なく
照りつけ、アスファルトから陽炎が、セミが長い人生の中ほんの僅かな時間愛し
い相手を探すことを許される季節が来た。

一般的に高校三年の夏は天王山。大橋高校の生徒達は予備校に夏期講習を受けに
行く者、家庭教師を雇う者、それぞれ勉学に励んでいた。

竜児と大河にとっても同じく今年の夏は天王山である。明智光秀を打ち天下を取
った秀吉。受験で秀吉となるには、この夏が勝負なのである。
と言っても、高須家には予備校や家庭教師などに費やす余裕などない。
竜児は夏休みが始まって二週間、毎日朝から夕方まで図書館に通いつめていた。
と言うのも、「みんな幸せ!!」という竜児の思いと「安定した収入もない君に
大事な娘はやれない。」という大河の新しいお父さん、いや、お義父様の言葉を
しっかりと受け止めた竜児の夢への第一歩であった。
大河はと言うと、夏休み中両親が仕事から帰ってくる夕方まで弟の世話をしなが
ら自宅で勉学に励んでいた。

竜児が図書館からの帰路には大河の新しい家があり、大河を連れて高須家で夕飯
を食べる。時々ではあるが、大河の新しい家でお義父様が作ってくれた夕飯をご
馳走になることもあるのだが。

夕飯後は少し勉強しつつ、2人のゆっくりした時間も持つ。これが、ヒートアイ
ランド現象でハイテク砂漠化した今夏の2人のオアシスなのだ。

今日は大河の家で夕飯をよばれ、二階にある大河の部屋で2人だけの時間をつく
る。

竜児は机の向かいに座り、英文を訳す大河をチラチラ見てしまう。思えば、2人
は数回しかキスをしたことがない。大河は相変わらずミルクいろの肌で、唇はバ
ラの蕾のように美しく、髪はフワフワでいい香りがする。

『――――――あぁ、もうダメだ。触れたい。抱き締めたい。キスをしたい。』
竜児がペンを止め喉をゴクッとならした時だった。

英文に向かっていた大河の頭が上がった。「ねぇ、竜児?!わたし、今日浴衣を
買ってもらったの…//」大河は頬をサクラ色に染め笑顔で言う。

「ぉおう?!そうか。」竜児は少し焦ってしまった。スケベ心に花を咲かせてい
た真っ最中だったからだ。
「何よ?フィ、フィアンセに今の言われてそれだけ?」
「おう!?いや、悪い。じゃなくて、どんなの買ったのかみせてくれよ。」

サクラ色の頬がぷうっと膨らむ。
「このだ駄犬、ぜんぜんちがー『バタン!!!!』



201 :ゆかたいが:2009/08/10(月) 02:48:13 ID:3630szoZ
虎が吠え終わらないうちに、大河の部屋のドアが勢い良く開いた。


―――――「竜児君、あなたはほんっとに鈍いのねぇ。」お義母様!!!いや、
鼻血が………

「ちょちょちょっとママ、盗み聞きしてしてしてたの?何で鼻血なんかだしてん
のよ!」大河が叫んだ。


「あらやだ。少しうぶなあなた達見ていたら鼻血がでちゃったわ。」

「お義母さん、すぐにティッシュを!」竜児がティッシュのかどを丸めて渡す。
大河のお母さんはそのティッシュを鼻につめながら、「そんなことより、竜児君
。あなたほんっとに鈍いわね。泰子さんから聞いていたけど、これ程とは…。」
続けて成熟しても尚美しく、猛々しい雌虎は言い放つ。「女の子が浴衣の話をし
たら、ましてや自分のかの彼女でしょ?祭りに誘いなさい。明後日、この街の一
番大きな祭りがあるのは知ってるでしょ?この娘がね、祭りのチラシを見ていつ
も立ち止まるのよ。」

「行きたかったのか大河?」

「だだ、だからこれはそのママが勝手に買ってきた浴衣が着ないと、可哀想だか
ら。べべぼ…ぼ?じゃなくて、別にあんたと行きたい行きたいなんか思ってない
わよ。」
可愛い。反則だ。そして、浴衣姿の大河。反則だ。

よし、行こう。夜からなんだし、夕方まで勉強して行こう。と言いかけた時、大
河ママが話しだす。

「この娘ね、お買い物に行くと必ず同じ店の同じ浴衣の前で立ち止まってニヤニ
ヤしてるの。そこで祭りに浴衣でピンと来たのよ。普段この娘、文句も言わず弟
の面倒みてるじゃない?何かご褒美をってね。あと、浴衣だけど竜児君のも買っ
ておいたから。あとで見てよね。」
「そんな高価なものいただけません。せめて「あなた、私のことも幸せにしてく
れるんでしょ?あなた言ったわ。息子に初めて贈るプレゼントを受け取れないと
いうのね。」…」

「ママね、竜児のこと気に入ってるの。いっつも、竜児の話は興味もつんだよ。

あぁ、俺はなんて幸せ者なんだろう。義理の母はこんなに自分を受け止めてくれ
ていた。

「ありがとうございます。じゃぁ、喜んで貰わしていただきます。すごく、うれ
しいです。」大河ママは、もう一枚ティッシュをつめこんだ。

「わかったわ。それじゃ、後はさっきの続きを続けてちょーだい。」踵を返して
部屋から出ていってしまった。



202 :ゆかたいが:2009/08/10(月) 02:49:24 ID:3630szoZ
――――「大河、俺お前の浴衣姿見たい。お前と祭りに行きたい。恋人になって
初めての夏。お前と花火見たい。………その、一緒に行かないか??」

「竜児がそ、そこまで言うならやぶさかでもないわ。」
顔を真っ赤にして強がる大河。ダメだ。たえらんない。
「おう。大河…。その、何だ。ちょっと、こっち来いよ。」言った。言ってやっ
た。言ってしまった。

「しょ、しょーがないわね。あんたが、くっくっくっつきたいなら、そばに行っ
てやるわよ。」
「おう。くっつきてぇ。」竜児の顔も真っ赤にして言う。

大河はトコトコ竜児の元に歩いて来て、竜児と向き合うように膝の上に座った。
大河は目を点にしてフルフルと震えている。

そんな大河を竜児は優しく抱き締めた。「ひゃっ――//」
「大河、好きだ。」
「ほんとぅ?」
「あぁ、本当に大好きだ。」
「エヘヘ。――わたしも大好きだよ。竜児。」
大河も幸せそうに愛しい人を抱き締めた。



――目を閉じて抱き締め合ったまましばしの沈黙。幸せに浸る中、最初に口を開
いたのは竜児だった。

「大河、ごめんな。今年の夏は何処にも連れてってやれてない。そりゃ、大河も
何処か連れてってほしいよな。気付けなくて、ごめん。」
「違うの。竜児は何も悪くなんかない。わたしは、竜児がわたしを幸せにするた
めに、必死で勉強してくれてるの知ってる。わたしが竜児にお礼を言わなくちゃ
。ありがとう。」
「ヤバい。可愛すぎんだよお前。」竜児は言い終わった瞬間、大河のその小さな
唇に自分のそれを優しく押しつけた。

「好き。」
「俺も好きだ。」
「大好き。」
「とろけそうだ。」

しばらく、2人は愛しい唇を求めあった。


――――――「ご馳走様でした。ありがとうございました。じゃ、夜なんでここ
まででいいです。」
「あら、玄関でいいの?」
「はい。あの、浴衣ありがとうございました。」大河のお母さんが用意してくれ
た浴衣は紺色で竜児によく似合った。
「竜児、気を付けて帰りなさいよ。」
「ああ、ありがとう。じゃ、あんまり遅くなると泰子も心配するので、帰ります


さよならの挨拶をかわして竜児は自分の家に帰っていった。



203 :ゆかたいが:2009/08/10(月) 02:50:20 ID:3630szoZ
―――――帰り道。先程見た大河の浴衣姿を思い出してにやけてしまう。大河は
白い浴衣だった。竜児は創造していたのはピンクだった。意外に女の色気がでて
いた。やっぱり、大河には何を着せても似合う。絶対幸せにしてやるぅ。

そんなことを考えながら、家に帰った。



――――――ピピピ、ピピピ目覚まし時計を止めベッドの主はかばっと起き上が
る。高須竜児は目を覚ました。時間は朝の6時半。洗濯機をまわしす。その間に
部屋の掃除と朝食をこしらえる。実に手慣れた手つきで淡々と家事をこなしてい
く。今日は大河と夏祭りに行く約束をした日。まだ付き合っていない相手とのデ
ートの日のように竜児は緊張していた。今日は泰子の充電日だ。充電日とはお好
み焼き弁財天のシフトに店長である泰子の名前がない日である。店にいるもう一
人の社員に指揮を任せ、泰子は寝る。寝る。寝る。寝続けることが充電なのだ。

そんな母親に朝飯を食えと催促をする。

「竜ちゃん、ありがとう。優しい男はモテるんだから、ちゃんと大河ちゃんだけ
を見てなくちゃダメだよ。」などと、ひいき気味なセリフを吐きながら祭りでリ
ンゴ飴を買ってきてほしいとねだったりする。

竜児はわかったと承知し、洗濯物を干すことと乾いたらといれること頼み図書館
へと足を向ける。

図書館では数学を何時間かする。今日ははかどらない。はっと気付くと大河のこ
とを考えてしまう。いかんいかんと頭を振ってまた数学に取り掛かるが、はっと
気付くと大河を思いにやけてしまう。

「何をニヤけてるんだ?」「いやぁ、浴衣大河と今日は祭りデートなんだよ。」
―――――「って、おう??!!北村じゃねぇか。どうしたんだ?お前ソフト部
の合宿は「終わったんだ。」」
「今日は生徒会もないもんでな、図書館にでも勉強しに行こうかと亜美を誘って
きたわけだ。」

「おう。そうか。川嶋は?」

「向こうで勉強中だ。何でも大学もでてない芸能人など、長くは世間に受け入れ
てもらいないとかで、勉強するらしい。」
北村は続けて、「トイレに立ったら高須がなにやらニヤニヤしてるのを見つけて
しまったんだ。」笑みを浮かべて言う。
「べっ別にニヤけてなんかないぞ。」
「それより、今日は夏祭りか。今年はあまり夏らしいことをしていないからな。
高須、俺たちも同行しても構わないか?」
「ああ、みんで行った方が楽しいしいいぞ。」
「ありがとう。ある程度楽しんだら、ちゃんと2人の時間を作ってやるから。し
かし、俺も高須と高校生活の思い出を作りたいんだ。」
「北村、お前。」竜児はこんな目をした奴を良い奴だと親友だと言ってくれるそ
んな友達をもてて幸せだった。
「亜美はお前が来るとわかれば必ず行くし。あと、能登と春田なんか呼んでみよ
う。」ん?何か引っ掛かるがまぁいい。
「おう!じゃ、連絡は「任せてくれ。俺の思い付きでお前のお邪魔をさせてもら
うんだ。俺がするよ。」……おう。そうか。でも邪魔じゃないぞ。お前は俺の親
友だ。大河には俺から連絡しておくよ。」



204 :ゆかたいが:2009/08/10(月) 02:51:30 ID:3630szoZ
2人は別れ竜児は机に向かった。大河には携帯でメールを送った。『図書館で北
村に会った。今日少しだけみんなで夏祭りに行こうってなったんだ。ちゃんと後
で2人きりにしてもらう約束もしたから、いいだろ?』
大河から返信がきた『あんた。やっぱり鈍感犬よ。今日は2人で……………バカ
ッ!!まぁでもあんたと生きていくんなら、こんなことも受け入れられるような
女になってやる。ありがたく思え!!バカッ!!』

まったく大河のやつ。『鈍感じゃないさ。俺だってお前と今日は2人きりのデー
トをしようと……でもな、あいつらは、違う大学に行けば会いたい時に会えなく
なる。お前とはいつでも会えるからさ。今日は勘弁してくれ。結婚したら、ずっ
と一緒だから。』

『わかったわ。ただし、ずっとずっと寝る時もずっと一緒にいるって約束して。


『わかった。約束する。メールでこんなこと送るの初めてだけど、好きだよ大河
。』

『保護っちゃった(はーと)わかったわ、、うちで待ってる。』大河からきたメー
ルを見て恥ずかしくなる。
竜児は上がる体温を冷ますために水筒のお茶を一飲みしまた机に向かった。



――――――「高須くぅ〜ん。祐作に聞いたよ。今日はタイガーとデートじゃな
いの!?いいの?」

「あぁ、お前らも大切な存在だからな。一緒に行こうぜ。」
「ふ〜ん。まぁ亜美ちゃんには関係ないけど。高校卒業したらみんな会いにくく
なるしね。今日は素直に行くわ。そうだ麻耶と奈々子も誘っちゃお。女の子の浴
衣って男の子には刺激的だからって高須くん亜美ちゃんに惚れないでよね。」

「俺には大河がいるから充分です。」
「あらぁ、余裕だぁ。かっけぇ〜。」川嶋はつまんなそうに北村の方へ帰ってい
った。

夕方の五時になり、図書館を後にした3人は待ち合わせ場所を確認し、また後で
と別れ帰った。



205 :ゆかたいが:2009/08/10(月) 02:55:12 ID:3630szoZ
竜児は大河の家へと足を急がせた。

大河の家に着いたのは五時半。お義父さんとお義母さんに挨拶をし、大河の部屋
気付けをしてやる。

髪を後ろでアップさせてやる。泰子が夏の店のイベントを興じる時に得た竜児の特技であった。竜児は自分の浴衣を着る。大河はその間に化粧をしに一階
におりていった。

大河が再び部屋に戻ってきた時、竜児はポワッと口を開け大河の美しさ、可憐さ
、に見惚れてしまった。時間が止まってしまったことに気付くのに、数十秒をつ
いやしてしまう。
「……竜児。変じゃないかな?」
「………た…いが//変じゃない。……かわいすぎだろう。おまえ」
「……エヘヘ//竜児にがわたしを可愛いって。エヘヘ//」
「行こうか。大河。」

お義母さんが送り出してくれる。
「大河、気を付けていきなさい。竜児君、あなたも今日はきまってるんじゃない
。」

「ありがとう。ママ。行って来ます。」
「ありがとうございます。行って来ます。」


2人は祭り会場へと歩きだした

206 :ゆかたいが:2009/08/10(月) 02:59:49 ID:3630szoZ
自分で読み返しても駄文で、意味のない場面、会話も多々あり、申し訳ないのですが

僕も脳内で妄想がはち切れそうなので、まだまだ駄文を書かせてもらう予定です。

よろしくお願いします。まだ、この作品以外に三つほどあるのでWW

今日はここまでです。失礼します。

207 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 03:03:05 ID:3u67PKM9
>>206
いやいや拗ねる&照れる大河は可愛くて良いと思うぞ、続きと新作期待してるぜ!

208 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 07:54:03 ID:69OeFkU8
変わった文体やね。GJです。
竜児の鈍感でムッツリスケ平な所や純情な大河などよく書けてると思います。


ところで、他の作品や長期連載になるのならトリップを作ったほうがよいのでは?
名前の所に  # をつけて、好きなキャラや言葉でもなんでもいいから8文字入れれば
あなただけの名前のできあがり。
例 書き込み前 #手乗りタイガー 書き込み後 名前 ◆qnRwi8ruYg となる。
コピペするだけじゃ白抜きの◆になるから注意。
それと名前以外の所では反映されないから誤爆注意ね。まあトリップは任意という事で。

ttp://www.geocities.jp/mirrorhenkan/others/trip/trip.html

あと、sage厨みたいで悪いんだけど一応長期になる場合はsageておいた方がいい。
メールの所に sage と入れておくだけでいい。
続き期待していまっす。

209 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 09:16:45 ID:mfS/Jnbh
>>206
メールのやりとりがリアリティあって良かった
こういうほのぼのなの好き

210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 11:02:14 ID:mfS/Jnbh
>>197
胸の大きさでは大河の方が勝ってるよ!

って書けと逢坂さんに言われました

211 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 12:42:27 ID:GzlJJc0O
前スレで途中だった「真夏のシンデレラ」の続きです。
感想などくれた方、ありがとうございます。

では、以下投下します。


212 :真夏のシンデレラ3 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/10(月) 12:44:32 ID:GzlJJc0O
「生き返るう〜」
「生き返ったぜぇ」
シンクロする大河と竜児の声。
しきりに生き返ったと繰り返すが、ふたりともゾンビがモルグから這い出して来たのに慄いているわけではない。
その証拠に、ふたりの口調はひどくまったりしたもので、あえて言うならお風呂に入って「極楽、極楽」と言うおばあちゃんの心境に近い。
冷房の良く効いたガラガラなバスの最後尾にある座席に並んで座り、竜児も大河も15ラウンドを戦い抜いたボクサーの様に虚脱状態だった。
それでも勝利の余韻に浸れるのならまだましかもしれない。それは勝利と程遠い不毛な戦いだった・・・。

「もう、やめような、こんなこと」
竜児は息も絶え絶えに、大河に提案する。
「認めたくないけど、その意見に賛成だわ」
「汗、まだ出てるぞ」
「ハンカチ、もうぐちゃぐちゃ」
「あ、これ使えよ」
竜児は保冷バッグからウエットティッシュを大河に手渡した。
「竜児は?」
見れば、竜児も額に大粒の汗。
「俺はこれでいい」とお弁当箱を包んでいた布ナプキンを手にした。
「行儀、わる〜い」
いつも言われ放しの大河はここぞとばかりに竜児の不調法を責める。
「誰のせいでこうなったんだよ、え?」
「竜児だって乗ったじゃない」
「あれは行きががりだ」
竜児はついさっきまで繰り広げられていた真夏のデッドヒートを思い返していた。

最初のうちこそ、竜児の種明かしに注意を払ってじゃんけんの手を出していた大河だったが、勝負が進むにつれそれが怪しくなって来た。
竜児の裏を読み、一時は50メートル近くのリードを得ていた。「ま、私が本気を出せばこんなものよ」と余裕をかます大河。
でも、その後がいけなかった。あっという間に負けが続き、大河はリードを無くした。

「じゃんけーんぽん」
「俺の勝ちだな、ぐりこのおまけっと。これで逆転だ」
竜児は大河を追い越し、にやりと笑う。
「ぬぬう、前科30犯みたいな面して、笑うな」
「なにおう、俺はもともとこういう顔だ」
負けた悔しさから、大河はつい、きついことを言う。
大河の暴言に慣れているはずの竜児もついムキになる。
午後の夏の暑さがふたりをヒートアップさせていた。

213 :真夏のシンデレラ3 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/10(月) 12:46:07 ID:GzlJJc0O
「勝負よ!」
大河が挑戦的な瞳で竜児をにらむ。
「おう、望むところだ」
売り言葉に買い言葉で、勝負の内容も聞かないまま竜児は大河の挑戦を受けた。
「先に駅に着いたほうが勝ち」
そう宣言すると、竜児の同意を取り付けないまま大河は脱兎のごとく走り出した。
「ま、待て、大河」
出遅れた竜児はどんどん遠ざかる大河の後姿を見て慌てた。
「あ、あいつ、なんてやつだ」
こうしてはいられん。竜児も負けじと大河を追って駆け出す。
大河はああ見えても足は速い。わずかな遅れでも追いつくのは困難になる。まして今日の竜児は荷物を持っていると言うハンデがあった。
「ちくしょう」
既に大分、先に行ってしまった大河の後姿が小さい。
ふわふわと長い髪を後ろへ流しながら、爆走する大河の姿はまさに草原の虎。
力の続く限り、速度は緩めないと峠の走り屋も真っ青になる疾走で大河は歩道の上を駆け抜ける。
「100メートル走と勘違いしてないか、あいつ」
あの小柄な体のどこにあんなパワーが秘められているのかと竜児は大河のスタミナに舌を巻く思いだった。

大河を追いかけて1キロくらいを竜児は走っただろうか・・・。やがて意外なことに竜児は気がついた。大河の背中がだんだん近づいて来るのだ。・・・俺、追いついてる?
やがて、竜児は大河の歩幅がいつもより小さいのがその原因だと気がついた。
大河が今日、着ている服のスカートはひざ下まであり、そのせいで大河は大きなストロークがとれず、スピードが出ないでいたのだ。
「大河!待ちやがれ」
追いつける。竜児はアフターバーナー全開の戦闘機も顔負けの猛加速で大河をロックオン。
「げ、マジ。駄犬のくせに足だけは速いんだから」
振り向いた大河は猛然と追いすがる竜児に気がつき、そのまま憤怒とスカートのすそを掴んだ。
「ふん。走りにくいのよ。この服」
自分でチョイスしておいてその言い草もないが、すそを切ってしまう訳にも行かず、大河はとっさの判断で、何も躊躇もなく、スカートのすそを捲り上げる。
ひざ上を露にする大河。
「あいつ」と女の子にもあるまじき行動をする大河の行状に竜児は目を伏せたい思いだった。
かなりきわどい部分までチラ見せしつつ、大河は猛然とダッシュを決める。
走り易くなったせいか大河のペースがあがり、竜児は再び引き離され始めた。
「ええい、大河は化け物か」
敵の新型高性能戦闘ロボに遭遇した操縦士の心境で、竜児は走り続ける大河を見た。
既に竜児の限界は近い。
さっきのスパートで余力を使い切り、もはや大河に着いて行くのがやっとと言う状態に成り下がりつつある竜児。
息が少しづつあがり、呼吸が乱れる。
前を行く大河は既に勝利を予感したのか、竜児を振り返って不敵に笑う。
だが、その大河もいっぱいいっぱいな様子が既にありありと現れていた。
テンポ良く動いていた足が時折乱れて、前のめりになる。
それでも、大河はペースを緩めない。


214 :真夏のシンデレラ3 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/10(月) 12:47:47 ID:GzlJJc0O
ここで竜児に新たな心配の種が芽を出す・・・あいつ、大丈夫か?
パンツ丸見えとかそういう類の心配を竜児はしているのではなかった。
スカートのすそを押さえたままと言う不自然な姿勢で走り続ける大河に不安を感じたのだ。
稀代のドジ娘と言ってもいい大河の日常を竜児は嫌と言うほど見て来ている。
そんな大河がこのまま無事で済むとは思えなかった。
竜児は暴走する大河の安全を第一に考え、勝負の中止を大河へ提案した。
「大河・・・もういい・・・止まれ!お前の勝ち・・・で」
「何?聞こえな・・・ぎゃあ」
手遅れだった。
悪い予感は得てして当たるもの。いやこの場合は予感以前の問題か。竜児は己の目の前でお約束どおりの展開を見せてくれた大河に合掌。
追い掛けて来る竜児の方を振り向いた大河はバランスを崩し、見事に顔面からアスファルトの舗道へのダイビングを決めていた。
「た、大河!!」
駆け寄る竜児に「いたた」と表情をゆがめながら顔を上げる大河。
「鼻、打った」
赤くなった鼻の頭を抑え、痛そうに大河はゆっくりと立ち上がった。
「大丈夫か?怪我してないよな」
竜児は服に付いた汚れを払ってやりながら素早く大河を観察した。
ひざを軽く擦りむいた程度で、幸い出血も無く、最大の被害は鼻の強打のみ。
ふう、竜児は大河に聞こえない様に安堵の吐息をもらす。
「良かったじゃねえか、鼻が高いことが証明されて」
「なによ・・・他人事だと思って」
相当、痛かったらしく涙目で大河は竜児をにらんだ。
「ま、怪我がなくてなによりだ」
竜児は荷物の中からお手ふき用に持って来ていたウエットティッシュを一枚抜き取ると、大河の鼻の頭を拭いてやった。
「ひんやりする」
大河は心地良さげに目を閉じた。
「しばらく、冷やしてろ」
「うん・・・ねえ、竜児」
「何だよ?」
「ごめんね、本当は謝りたくなんかないけど、今日は何か、そんなことが言いたい気分だから」
「何を・・・謝るって?」
「いつも迷惑かけて・・・私、自分でドジだって自覚してるんだけど」
「そんなことかよ。いつもことで俺は気にしちゃいねえ」
「損した」と大河は不満顔を作る。
「いきなりなんだよ」
「竜児が気にしないなら謝ること無かった。返して」
大河は右手の手ひらを竜児へ差し出して返却を求める仕草。
「返すって?」
「さっき、私が謝った台詞」
「ごめんね・・・ほら返したぞ」
「心がこもってない!利子がついてない!!そんなに安くなんかない!!!」
階段状に声の調子を上げて大河は叫んだ。
「あのさ、大河」
「なに」
「俺は気にしてないと言ったけど、心配してないとは言ってないぞ」
「・・・心配?」
「そうだ。さっきのだって、そのくらいで済んだけど、もし顔に怪我でもしてみろ・・・傷でも残ったらどうするんだ」
「そこまでは考えなかった」
大河は両手の指を合わせ、モジモジと決まり悪そうにした。
「俺は大河がどうなってもいいなんて思ってないから・・・な」
語尾を優しくしながら、竜児は大河の頭を軽くポンと叩いた。
「さっきの・・・また返す・・・ごめんね」
「いいよ、それくらい。思いっきり迷惑掛けろよ」
「いいの?」
「ああ、お前のドジくらい面倒見てやるよ、これからもな」
大河は竜児を一度見つめ、それからうつむいた。「・・・ありがと」と消え入りそうなつぶやきと共に。

215 :真夏のシンデレラ3 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/10(月) 12:49:38 ID:GzlJJc0O
「はあ・・・走ったらのど渇いた。まだ残ってる?」
「麦茶か、ちょっと待て」
竜児が水筒を傾けると、水滴がポタポタと出るのみ。
「わりい、売り切れだ」
「竜児、何か買って来て」
「無茶言うな、こんな何にも無いところで。駅までがまんしろ」
「できない。干物になる」
「そんなに早く、干物は出来ねえ、安心しろ」
「じゃあ、焼き魚になる」
「大河焼きか、焦げ目は少な目でいいぞ」
「そう言えば、おとといのお魚、少し焦げてた」
夕食に出た魚が焦げてたと、出し忘れ証文見たいなことを大河は言い出す。
「過ぎたことをとやかく言う子は嫌いです」
竜児は取り合わない。
「苦情を申し立てるわ。苦かったのよ」
「少しくらい焦げてた方がうまいんだ。第一、人が魚、焼いてる最中に台所へ来て騒いだのは誰だ?」
「そんな人いた?」
「おまえだ」
竜児はびしっと大河を指差す。
「私?何かしたかしら?」
「俺がじっくり弱火で芯まで焼こうと火加減を調整していたというのに、出来上がりが遅いと催促しただろう」
「したかも、ね」
「で、その後 『ちまちま焼いてないで一気に焼きなさいよ。お腹ペコペコなんだから』とか言ってガスレンジの火を最強にしたのは誰でしたかね」
「過ぎたことよ」
澄まして言う大河に竜児は次の言葉が出ない。
・・・これが大河なんだよな。
ふうと息を吐いて竜児は行こうかと大河を促した。



216 :真夏のシンデレラ3 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/10(月) 12:51:50 ID:GzlJJc0O
「ねえ、駅まで後、どのくらい?」
「そうだな、かなり走ったから10分くらいで着くんじゃねえか」
「10分!・・・着くまでに溶けるう」
大河はそのままくてっと地面にへたり込んだ。
「さっきの元気はどうした」
「熱中症よ、きっと。頭がくらくらするもの」
夏の終わりとは言え30度近い気温の中、全速疾走したむくいでふたりとも汗だくだった。
流れ出る汗で服が体に張り付く。
大河は重ね着をしているので、なおさら気持ち悪そうだった。
「暑い・・・」
首下から服を掴むとパタパタと襟を動かし、大河は胸元に風を送る。
「あの・・・なあ」
一応、女の子だろう、男の前でそんなカッコするなよ・・・竜児は口まで出かかった声を止めた。
言うだけ無駄だ、淑女なんて言葉はこいつに似合わねえ。
大河は首筋からの送風だけでは不足と感じたのか、今度はスカートのすそを大きく持ち上げて体を仰ぎ始めた。
今の大河を真正面から見たら、恐らく、いや、間違いなく、今日の下着の色を暴露していることだろう。
さすがに人気がほとんど無い通りとは言え、ここは屋外。誰が見てるか分からなかった。
「そのくらいでやめとけよ」
「じゃあ、竜児が扇いで」
「こうか」
手のひらでそよそよと微風を送る。
「弱い!最強風!!」
ポチとスイッチを押す、擬音つきで大河は竜児の鼻の頭を押す。
「お、おう」
竜児は手を激しく上下させ、一個の人間扇風機と化した。
しかし、動きの割りに風は起きず極めて効率の悪い運動だった。
「ちっとも涼しくない。もういいわよ」
「そっか・・・はあはあはあ・・・」
「あんた・・・」
大河が竜児を気味悪げに見る。
「何だよ・・・はあはあ」
「そんなにはあはあして・・・とうとう本物の犬になっちゃったのね、気の毒に」
「う、うるせえ・・・息、息が切れたんだ・・・はあ、はあ」
ハイペースの大河に付いて走るだけでも、消耗したと言うのにその直後に激しい動きをしたため、竜児の心臓はもうバクバク状態。
「こっちが、もたねえ」
竜児はその場にどっかと座り込んだ。
「竜児・・・」
「・・・んだ・・よ」
息も絶え絶えで竜児は満足に返事が出来なかった。
「動かないで・・・」
竜児の首筋に当てられたレースのハンカチ。
「すごい、汗」
竜児の流れる様な汗を大河は丹念に拭き取り始めた。
「ホント、馬鹿なんだから、そこまでしなくても・・・」
・・・いいじゃないと大河は竜児の耳の後ろへ、そよ風のように息を吹き掛ける。
「・・・馬鹿なんだから」、耳元でささやかれる大河の声。
「大河・・・」
「ごめんね・・・こんな私のために・・・りゅうじぃ」
大河のちょっと鼻に掛かった声で名前を呼ばれて、竜児は思わず大河の顔を物も言えず凝視。
少し潤んだような大河の瞳が光を帯びて竜児を捕らえる。
大河の黒目の中に映る竜児の顔・・・それがはっきり見えるくらい・・・大河の顔が竜児に近づく。
「ずっと・・・私・・・竜児のこと・・・」
かろうじて聞き取れるような小さな声で大河は竜児の耳に声を吹き込む。
「た、たいが・・・」
竜児は瞬間冷凍されたみたいに身動きが取れない。


217 :真夏のシンデレラ3 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/10(月) 12:53:34 ID:GzlJJc0O
「・・・犬だと思ってる」
突然、素に立ち返り、感情を消した声で大河は付け加えた。
・・・は?
ポカンとする竜児。
「あはははは・・・あんたのその顔・・・ああ、おかしい」
大笑いを始める大河。
竜児は頭がクラクラして来た。
「・・・大河、おまえなあ・・・」
「いったい何だと思ったのよ、竜児は」
「人をからかうのもいい加減にしろよ」
「ばかちーが言ってた」
「川嶋が?」
「うん。竜児に色仕掛けで迫ると面白いって」
「あのヤロー、ろくなこと教えないな」
「あ〜、さてはばかちーにも同じことされたんだ」
「されてねえよ」
「嘘だ、されてる、絶対に」
「どんな根拠だ、まったく」
「試してみなきゃ、ばかちー、そんなこと言わないもん」
「うっ」
絶句した竜児に「ほら、やっぱりされたんだ。竜児のうそつき」と大河は情け容赦ない。
「ね、私とばかちー・・・どっちがドキドキした?」
イタズラ小僧のような顔つきで、自分のお芝居の出来具合を問う。
「どっちもだ」
「本当に?」
「ああ、本当だ」
口とは裏腹に竜児は実際のところ、今の大河の態度に相当あせったことを否定できない。
もし・・・あれが演技じゃなかったら。ふとそんなことを思ってしまう竜児がそこにいた。


「あれ?バスが止まってる」
重い足取りを引きずる様に駅に向かう大河と竜児。
そんなふたりを天が哀れんだのか、空の上からクモの糸がするすると伸びて来た。
バス停にバスが止まっているのだ。
乗らないの?と誘いをかけるように開くドア。そしてドアからは心地よい冷気がすうっと流れ出して来た。
それに引き寄せられるようにふらふらと大河の足はバスに向かっていた。
あろうことか、釣られたように竜児もそのままバスに乗り込んでしまった。


218 :真夏のシンデレラ3 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/10(月) 12:54:30 ID:GzlJJc0O
冷気大解放の車内に熱くなった体が冷やされ、クーラーのありがたみをとことん実感する大河と竜児。
ようやく汗も引いて人心地が戻った頃、新たな問題が発生しているのに竜児は気がついた。
窓の外の景色がだんだん寂しくなって来ているのだ。
「なあ、大河?」
「何?」
「このバス、どこ行きだよ」
「さあ、知らない」
「知らないって、お前確かめて乗ったんじゃねえのかよ」
「見てないわよ、竜児が見たんじゃないの」
それが何か問題?と大河は取り合わない。
実は竜児も見ていなかった。
大河が乗ったから、そのまま乗ってしまったのに過ぎない。
「なあ、大河。駅に行くならもう着いてもいいと思うんだが」
竜児に言われて大河も辺りの景色が異様に殺風景なことに気がついた。
「ここ、どこ?」
大河がきょろきょろしている間にバスはトンネルに入った。
ナトリウムネオンのオレンジ色が竜児と大河の顔を照らしては消えを繰り返し、そのままふたりは無言でトンネルを抜けた。
トンネルを出るとそこは完全な埋立地、盛り上げられた土砂がいくつも山を作り、かもめのような海鳥が飛び交っていた。
「つ、次で降りよう、竜児」
異様な景色に大河は途中下車しようと言い出した。
このまま乗っていたらどこへ連れて行かれるか分からないバスに乗り続けるのはリスキーだと竜児も思わざるを得ない。
「そ、そうだな」
降車を知らせる赤いボタンを押そうと竜児が指を掛けた時、車内アナウンスが流れた。
・・・次は終点、クリーンセンターです。


219 :真夏のシンデレラ3 ◆x6jzI2BeLw :2009/08/10(月) 12:56:02 ID:GzlJJc0O
「なんでこうなったんだろうな?」
「さあね」
アンタが悪い、いやお前だとさっきから何回も不毛ないい争いをする大河と竜児。
ふたりがたどり着いたのはごみの終末処理場だった。
巨大な工場の様な建物の前でバスはふたりを降ろして行ってしまった。回送の表示を出して・・・。
そして、竜児が慌てて時刻表を確認すると、次のバスは2時間待たないと来ないという恐ろしい事実が判明したのだ。
「どうりで、ガラガラなわけだ」
竜児はバスが空いていた理由に思い当たり、納得する。
通勤時間帯でもなければ、こんなところへ人が来るわけがなかった。
焼却炉の高い煙突が見える敷地内には人影がまったく見えず、まるでゴーストタウンのよう。
「陸の孤島ってやつだな。いやむしろ無人島かもしれないぞ」
「それじゃなに、私と竜児は無人島に流れ着いたって訳」
「・・・何だよ、その露骨に嫌そうな顔は」
「最悪よ、ロビンソンクルーソー生活があんたとふたりきりなんて」
「言っとくがな、俺以上にサバイバル生活に卓越した奴はいないぞ」
「そうなの?」
「ああ、2−Cでバトルトワイヤルをやっても俺が最後まで生き残るはずだ」
「あんた、みのりん殺れるんだ、へええ〜」
「櫛枝をか・・・ぐお〜、出来ん」
「はい、竜児の負け。ゲームオーバーよ。だいたい竜児がそんな荒っぽいことできるわけないじゃない」
「真っ先に殺られるって言うのか」
「ばかちーに狙われるから、きっと」
竜児はナイフをかざして襲って来る川嶋亜美を想像して寒気がして来た。
・・・死んで、高須くん。
いつもの調子でにっこり笑って来そうだった。
そんなの嫌過ぎると竜児は頭に浮かんだ川嶋亜美の映像を急いで消去した。

「しかし、都内で遭難するとは思わなかった」
「よっぽど不幸の星の下に生まれたんでしょ。何分経った?」
「30分だ」
「1時間半かあ・・・長いね」
「はあ〜」
大河と竜児がため息をかわりばんこにさせていると目の前に黒塗りの高級車が急に止まった。
「何、この車?」
「さあな」
スモークが掛かった後部座席の窓が音も無くゆっくり降りる。
開いた窓から身を乗り出したのは竜児たちと同い年くらいの女の子。
その子は開口一番、こう言った。
「大河じゃない、うそ、大河だあ」
・・・誰だ?大河の知り合いか?
竜児はたった今、名前を呼ばれた無人島生活の相棒を見た。
その大河は表情を硬くして、窓辺で笑う少女を見つめていた。

220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 13:01:28 ID:GzlJJc0O
とりあえず、ここまでです。
次回は1週間後くらいの予定です。
書きたいことは多々あるんですが、書くのが遅いのと時間がないのとで・・・。
たぶん、後3回くらいで終わるはずです。
最後までお付き合い下されば幸いです。

>>198
いつも乙です。
>>206
続き期待してます。



221 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 15:05:12 ID:j1WXQnTR
>>206
できれば祭の続けてほしいなww

222 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 17:57:10 ID:oq4Ma0cu
>>220
真夏のデッドヒート面白かった、次回も楽しみ

223 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 18:40:28 ID:3h7YScym
>>219
> 「あんた、みのりん殺れるんだ、へええ〜」

噴いた。

> 竜児はナイフをかざして襲って来る川嶋亜美を想像して寒気がして来た。
> ・・・死んで、高須くん。
> いつもの調子でにっこり笑って来そうだった。

朝倉かよ(w

心配過ぎかもしれんけど、極端な鬱展開は勘弁。俺はもう、大河が酷い目に遭いすぎるのに耐えられない。
ま、ちょっと辛い目に遭って竜児の手を握ったりするのはお約束なのだが。楽しみにしてるヨン様。



224 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 18:49:14 ID:y+ynsk4P
>>220
俺も朝倉想像したw
助けに来るのは大河だろうが、大河じゃ長門のような働きは無理だろうなw
もちろん、貧にゅ

あれ、背後になんか嫌な気配がするんだが。

225 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 19:04:33 ID:6jb+NGue
>>220
お疲れ&GJ! 暑さに負けず続きかいてくれ

226 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 19:14:18 ID:I6Ke8Kax
>>195
市民プールの大河もいいね。自分の感情の在りかが分からない大河と、
溺れかけた後にちょっとズルする竜児が、もう思春期真っ只中って感じで最高。

>>198
櫛枝「ほら、まとめさん、大河をやろう」

・・・うそです、いつもお疲れ様!

227 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 19:15:00 ID:I6Ke8Kax
>>206
てれてれタイガーかわいいね、これからも頑張ってー

>>220
ごめんねのキャッチボールに再起不能になるくらいやられた、GJ!

228 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 20:16:45 ID:3h7YScym
>>224
それは違うだろう。大河だって大活躍するはずだ。だって長門もチビで哀れだし。

229 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 21:14:04 ID:xxm24r0m
「乗らないの?」が気に入ったw
今日から死ぬまできっと客待ちのバス見掛ける度思い出すでしょうw


それから
まとめサイトの人乙!
おとなしい大河といつもふたりでセイブしますた!!

高校最後の学園祭の竜児
ちょっとアクが強いなあって感じました
しかしホントよく書けてますねぇ
すごいです
あれだけオリキャラのオンパレードなのにちゃんとキャラが立ってる
テラスゴスです
オイラも吉田さんが気に入りました!
かわいいなあ吉田さん♪

今日仕事時間中に読んだんだけど…読みごたえありますね
明日何とか読みきりたいです
仕事時間中に♪

230 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 23:20:20 ID:nz/pGUjm
>>36です。仕事から帰還しました。ところでほんとに軽い短編をサクサクッと書いてみました
4レス程お借りしますので。というか今のスキルではこんな物しか書けなかったです。
ニヤニヤしていただけたら嬉しいです。

231 :キスキス@:2009/08/10(月) 23:21:52 ID:nz/pGUjm
毎度毎度大河に殴られ蹴られ罵られていた竜児だったが、実はただ攻撃を受け続けていたわけではなかった。

大河の攻撃パターンを検証し、回避の方法を模索していたのだった。



大河の最初の攻撃は右手の目潰し攻撃。最初に急所を狙うとは。卑怯でもあるが戦闘においては実に有効であった。

次に右のローキック。そしてそのまま右ストレートを顔面に。

相手が揺らいだ瞬間に左のストレートをみぞおちに直撃させる。



大体の奴はこの左ストレートでKOされる。もちろん俺もだ。だがもうそうはいかない。このパターンはもう揺らぐことはない。

何故なら、3回ほどこの攻撃でKOさせられているからだ。



竜児はこのノートを大河ノートと名づけた。というか、なんで自分の彼女の攻撃パターンをこのノートに記さなければならないのかと思いながら書き続けていたのだが。



そして、ついにこのノートが役に立つときがきたのだ。たまには大河に敗北感を与えるのも悪くないのだから。





232 :キスキスA:2009/08/10(月) 23:25:05 ID:nz/pGUjm
「ふん、よくもまあそんな減らず口が叩けるもんだわ。」
「今までやられ続けてきたが、大河。もう昔の俺じゃないぜ。」
「今なら謝れば許してあげる。」
「俺が何で謝らなければならない?」

なぜ、今このような状況に陥っているのか。それは大河は肉が食べたいといい、竜児は昨日食べたから今日は鮭だといい、口論の末に・・・以下略

「そう。ここまで言っても折れる気はないみたいね。黙って夕飯は肉にしていればいいものを・・・」
「肉肉言いやがって、お前はル○ィか。海賊王にでもなりたいのか。」
「ほお・・・どうしたの?竜児。随分今日は強気じゃない。何か良い事でもあったの?」
「ふん、甘いな大河。もう俺は負けねぇ。お前に勝つために色々と策を練ってきた。」
「私に勝つ?・・・ふふ。じゃあやってみる?」

ジリジリッと徐々に間合いを詰めていく二人。そして疾風の如く大河が手をチョキにして竜児の両目めがけて飛び込んだ。
「あめぇよ大河。」
「えっ?」
見事に空振り。竜児の読み通り最初に目潰しを繰り出した大河は自分の手を眺め、次第にせせら笑う。



233 :キスキスB:2009/08/10(月) 23:26:33 ID:nz/pGUjm
「ふふふ。ふーん、やるわね竜児。私の攻撃を避けるなんて。」
「だから言ったろ?昔の俺ではないと。」
「じゃあこれならどうよっ!!」
やはり右のローキックが竜児の左足を襲うが、ジャンプ一閃ひらりと避ける事ができた。
「なっ!!」
大河の勢いよく繰り出された右のローは空を切り、その反動で大河はその場に倒れこんだ。
「どうした?大河。お前らしくもない。」
見上げるとそこには不気味な笑みを浮かべる竜児が。大河にとって初めての経験だろう。
「くっ!この!」

それから大河の攻撃は竜児には当たる事がなかった。
「なんで!?なんで当たんないの?こんな事、ありえない!」
「どうだ、大河。もう降参か?」
「こ、降参っ?誰がっ!」
「そうか、じゃあもう終わりにしような。」
そう言うと竜児は大河を正面から抱きしめた。
「んなっ!何すんのよ竜児!離せっての!」
「負けを認めるか?今日は鮭でいいか?3つ数えるから考えろ。過ぎたらこのまま・・・」



234 :キスキスC:2009/08/10(月) 23:28:37 ID:nz/pGUjm
「キスしてやる。」

「うえぇぇぇぇぇ!!??」
「はい、さーーーん。」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って!!」
「にーーーーー。」
「りゅ、竜児ってばっ!!」
「いーーーーーーーーーーーーーーーち。」
「・・・・・・・」

そして大河は目を瞑った。

「ん?」
唇に感触がない。パチリと目を開けるとそこには笑いを堪える竜児が。

「くくく・・・冗談だよ。嘘に決まってんじゃねぇか。」
「・・・・・・え?」
「よし、しょうがねぇ。買い物行くか。」
「・・・・・・ちょっと。」
「ん?どうした?」
「っ・・・・・・しなさいよ。」
「何を。」
「キス。」

キスキスホイホイ?

235 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 23:31:53 ID:nz/pGUjm
あー。orz 俺は何を書きたかったんだ?
まあ最後が書きたかっただけなので・・・ちょっとまとめサイト行って修行してきます。

236 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 23:37:32 ID:60Cf6xuG
大河「ねえ、竜児!『秋』と言えば何を思い浮かべる?」
竜児「何をいきなり…」
大河「私ね、国語の成績がいいじゃない。だから文芸部に頼まれたのよ。
   文化祭で配る広報誌に載せる俳句を一句作ってほしいって」
竜児「なるほど。そうだな…秋と言えばやはり食欲・スポーツ・読書ってイメージだよな」
大河「そうね。それから秋刀魚・松茸・栗なんかがメジャーね」
竜児「やっぱり植物の方がきれいな句が作れるんじゃないか。紅葉とかコスモスとか」
大河「秋の植物と言えば、柿・リンゴ・ブドウといったフルーツも捨てがたいわ」
竜児「インターネットで秋の季語を調べてみたらどうだ」
(数分後)
竜児「おお。いっぱい秋の季語があるな。稲妻・天の川・霧なんかが秋の季語だなんて初めて知ったぞ」
大河「ほんと、レモンやトウモロコシが秋の季語だったとは意外ね」
竜児「運動会・案山子・台風なんかも秋の季語なんだな」
大河「台風で思い出したわ!あんたが学校の裏庭で作ったサツマイモ!サツマイモも秋の季語よね?」
竜児「なあ…いい加減食べ物から離れないか」
大河「う、うるさいわね!別に食べ物の事ばかり考えてるわけじゃないわよ!
   ええと…食べ物以外では…猪・豊作・凶作・いわし雲なんてのがあるわよ」
竜児「それも微妙に食べ物と関係してるんだが…」

237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/10(月) 23:51:31 ID:60Cf6xuG
大河「ああもう。秋は良い物がたくさんありすぎて迷うわ。他の季節にしましょう」
竜児「じゃあ、冬にするか」
大河「冬と言えば、鍋・おでん・雑煮・鏡餅よね」
竜児「後ろ2つは冬というより新年の季語だな」
大河「いちいち細かいのよあんたは!じゃああんた春の季語言ってみなさいよ」
竜児「ええと、そうだな、やっぱり春と言えばひな祭りや子供の日みたいな行事じゃないか」
大河「そしてその行事とセットで付いてくるひなあられ・かしわ餅ね」
竜児「いや、そこは雛人形と鯉のぼりでいいだろ」
大河「そして春と言えば何と言ってもお花見でしょ!」
竜児「お前は俺に『花より団子』とつっこんでほしいのか?」
大河「ふんっっ!!!」
竜児「グハッ…みぞおちに…」

238 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/11(火) 00:21:42 ID:T7ug6U9q
大河「ったく…ねえ、竜児、見て。ひじき・もづく・海苔も春の季語だって。意外ね」
竜児「ゲホッゴホッ…そうだな、イソギンチャクが春の季語なんて知らんかった」
大河「ここには載ってないけど『鰆』も絶対春の季語ね。魚へんに春って書くくらいだから」
竜児「で、どの季節にするんだ」
大河「やっぱり夏がいいかしら。かき氷・スイカ・アイス…」
竜児「はあ…もう何も言うまい…」
大河「それから…水着・プール・夏休み・海水浴・肝試し・花火…」
竜児「…」
大河「ねえ、竜児、覚えてる? 私とあんたとでみのりんを怖がらせようとして…」
竜児「ああ、忘れるわけねえじゃねえか。楽しかったよな」
大河「ねえ、竜児。今思えば私、そのころからもう竜児の事が好きだったのかもしれないね。
   北村君と一緒にいる時よりも、竜児と一緒にみのりんを怖がらせたり、
   逆に怖がったり、夜に話をしてた時の方がずっと楽しかった」
竜児「…そうか」
大河「竜児、決めたわ。私、夏の句を作ることにするわ。去年の楽しい思い出を俳句にするの」
竜児「おう、出来たらぜひ教えてくれよ」
大河「あ、一句思いついた」
竜児「え?もう出来たのか?」
大河「 夏の夜 犬といっしょに カレー食う 」
竜児「結局食いもんかよ!」 

239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/11(火) 00:28:23 ID:agkAE/6g
>>235
新鮮だったし、面白かったよ、乙です

240 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/11(火) 00:37:07 ID:agkAE/6g
>>238
らしいな、これはw

大河がもっと高燃費だったら、ちゃんと育ったと思うんだ
あれ、なんか背中がゾクゾクするな

241 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/11(火) 00:41:18 ID:9V5UEaXh
一年中
虎のわがまま
休み無し

242 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/11(火) 01:17:46 ID:9V5UEaXh
>>229

ありがとう。ありがたいけど、仕事中は自粛しようぜ。お互いに(w

243 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/11(火) 01:38:05 ID:agkAE/6g
そうだ、仕事中はまずいぜ、履歴取られてたらアウトだ。
だから、今のうちに見たい作品をGoogleドキュメントかノートブックに張っておくんだ

そしてそれを会社で開くと……なんとgoogle.comの履歴しか残らない!
最悪、開いたページを辿られてもパスワードが無いと中身は見れない。

どうだ、完璧だろう?
でもまぁ、直接開くよりはマシ、くらいに考えておいて、ほどほどにな

244 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/11(火) 01:56:37 ID:9A8k68bg
>>235
おもしろかったです。GJ!!
最後はキスしてもよかったかなぁ?

>>238
おちがいいね。こちらもGJです。




245 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/08/11(火) 02:26:22 ID:rO0XND+s
お題 「感情」「大丈夫」「袋」



「はあ〜い、大河ちゃんできあがり〜」
 泰子が襖を開け、そこに立っていたのは髪を高い位置で結び、朝顔の柄の浴衣を纏った大河。
 めったに見せない恥じらいの表情に、思わず竜児は言葉を失った。
「ほらほら竜ちゃん、感想は〜?」
「お、おう……その、似合ってるぞ、大河」
 似合ってるなどというレベルではない。普段の言動が言動だけに時々忘れそうになるのだが、こうして改めて見るとやはり大河はとんでもない美少女なのであった。

 今日は商店街の夏祭り。


246 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/08/11(火) 02:29:04 ID:rO0XND+s
「ねえ、竜児は浴衣着ないの?」
「いや、俺が着るとな……想像してみろよ、ほとんど仁侠映画の登場人物だろ?」
「ぶっ!」
 噴き出す大河。
「ちょいと着崩してサラシとドスを装備すれば完璧だ」
「ちょ、やめて……ぷくく……く、苦しい……」
 どうやらツボに入ったらしい。大河は身を捩って笑い続ける。

 そうこうしているうちに、二人は商店街に辿り着いた。
「うわー……」
 ずらりと吊るされた小さな提灯に、ぽつぽつと並ぶ小さな出店に集まる人達。
 その先に見える広場には本格的な夜店が並び、ステージイベントだろうか、カラオケの音楽のようなものが聞こえてくる。
 笑顔で歩く親子連れにカップル。仲良しグループとおぼしき数人の子供達が走っていく。
 多少しょぼくはあるものの、そこには間違いなくハレの気が漂っていた。
「考えたら私、こういうお祭りって初めてだ」
「ん?去年櫛枝と来なかったのか?」
「みのりんはほら、この時期は部活が大変だし。一人じゃ来る気にならなかったし」
「そうか……それじゃ、今日は目一杯楽しまなきゃな」
「うん! あ、竜児、あそこで金魚掬いやってる!」
「おう、まずはそれからだな」

「ねえ竜児、これって紙よね。水に入れたらすぐ破れちゃうんじゃないの?」
「そこを上手く破らねえようにするのが金魚掬いの醍醐味ってやつだ」
「おや、お嬢ちゃんは初めてかい。それじゃ、ちょいとお手本を見せてあげようかね」
 金魚掬い屋のおじさんはそう言って、右手にポイを左手にお椀を。
「こうやって、そーっと……よく狙って……」
 ポイを静かに水に沈めると、ひょいひょいひょいと三匹立て続けに掬ってお椀に入れる。
「すごーい!」
「おう、流石だな……」
「ねえ、竜児もやってみせて」
「俺もずいぶん久しぶりだからな……上手くできるかどうか」
 じっくり狙いを定めながらポイを滑らせて……金魚を持ち上げたものの、お椀に移す前に紙が破れた。
「お兄ちゃんはちょ〜っと慎重すぎたな。時には思いきって行くことも大事だよ」
「それじゃ、今度は私ね」
 じゃぷん。乱暴にポイを突っ込んだものだから、即座に紙が破ける。
「大河……お前、何見てたんだよ……」
「あー、今の分はサービスってことでいいや。ほらお嬢ちゃん、もう一回」
「あ、ありがと……」
 今度は静かにポイを沈めて、狙うは大物黒出目金。
「……そりゃ!」
 掬おうとする動きが速過ぎて、その勢いで紙が破ける。
「……もう一回やるわ」
 言いながら小銭を取り出す大河。 
「はいよ、お嬢ちゃん。次はもうちょっとゆっくりやるといいよ」

「もう一回」
「今のはちょっと惜しかったもんな。次はいけるんじゃねえか?」

「もう一回!」
「お前、大物狙いすぎなんじゃねえのか?」

「……もう一回!!」
「大河、あんまり感情的になるな。落ち着いて、落ち着いてやるんだぞ」


247 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/08/11(火) 02:30:45 ID:rO0XND+s
 大河の右手にぶら下がっているのは、赤い金魚の入ったビニール袋。
「よかったじゃねえか、大河」
 あまりに失敗続きの大河がかわいそうになったのか、はたまた大河の怒りのオーラに他の客が引き始めたのを察したのか、おじさんが一匹サービスでくれたのだ。
「うん……」
 大河は袋を目の高さに掲げ、もの珍しそうに泳ぐ金魚を見つめている。
「帰ったらとりあえず大きめの空きビンかなんかに入れておいて、明日水槽か金魚鉢を買いに行かねえとな」
 ゆらゆら揺れる小さな袋の中に、小さな小さな赤い金魚が一匹。
「……やっぱりこの金魚、返してくる」
「え? せっかくおじさんがサービスしてくれたんだぞ?」
「うん、でもいいの。私は金魚掬いがしたかったんであって、金魚が欲しかったわけじゃないし」
「大河がそれでいいならいいけどよ……」
「その後は食べ物系行くわよ。目指すは全種類制覇!」
「おいおい大丈夫か?途中で腹一杯になっても知らねえぞ」
「それもそうね……それじゃ、ヤキソバとかたこ焼きとか、そーゆーのは竜児と半分こってことで」
「まあ、それならなんとか行けるかな」
「そうだ竜児、盆踊りの時は踊り方教えてね」
「おう、任せとけ!」


248 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/08/11(火) 02:37:49 ID:rO0XND+s
ストック品なのに予定の投下タイミング前後でネタや傾向が被る不思議。
前回のエロ犬竜児な流れとか今回の夏祭りとか。

249 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/11(火) 09:56:18 ID:jYJQ2f25
もうすぐうら盆だし時期的に夏祭りだからネタは被って当然さ
そして週末は世界最大の夏祭りがあるし

250 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/11(火) 13:54:27 ID:kWbYVuYg
ゆかタイガー可愛すぎだろ

251 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/11(火) 20:45:53 ID:1rRcD7MB
>>241
うまい!
季節なし、まさに竜児の心境。

252 : ◆QHsKY7H.TY :2009/08/12(水) 01:22:25 ID:NfXlOgBM
お待たせ〜。

>>104
ありがとう。

>>118
かぶり?むしろ申し訳ない……。

>>119
ありがとう。おとなし大河はすんばらしかった……。

>>121
ありがとう。俺も髪梳くの代わりたいよ。

>>123
ありがとう、がんばるっす。

>>129
多分そうだと思う。深くは気にしてないけど。

まとめ人さん、いつもお疲れさまです。

次よりタイガチュウドク>>106続きいきます。

253 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/12(水) 01:23:42 ID:NfXlOgBM
「良し、会心の出来」
今朝の目玉焼きを焼き終え、卓袱台に並べる。
卓袱台には焼き鮭、たくあん、ワカメのみそ汁、焼きベーコンがあり、どちらかというと和風よりだ。
昨日はいつの間にか眠っていた為、今朝は思ったより早く目覚めた。
おかげで泰子が起きてくるまでにはもう少し時間がありそうだ。
何となく、手持ちぶさたになる。
一人で先に朝食を摂る気にもなれない。
ちらりと窓の外を見やると、窓。
いや、カーテンのかかった窓。
いやいや、大河の部屋の窓。
カーテンはぴくりともしない。
恐らく彼女はまだ寝ているのだろう。
そう思って卓袱台の前に正座する。
が、1分もしないうちに立ち上がって窓の前に行く。
カーテンはぴくりともしない。
…………まだ寝てるはずだ。
もう一度卓袱台に正座しに戻る。
が、30秒もしないうちに立ち上がって窓の前に行く。
カーテンはぴくりともしない。
……………………まだ寝てるのかも。
もう一度卓袱台に正座しに戻る。
が、15秒もしないうちに立ち上がって窓の前に行く。
カーテンはぴくりともしない。
………………………………まだ寝てるよな。
もう一度卓袱台に正座しに戻る。
が、5秒もしないうちに立ち上がって窓の前に行く。
カーテンはぴくりともしない。
…………………………………………まだ寝てる、のか?
もう一度卓袱台に正座しに戻る。
「………………………………………………」
……………………。
…………………………………………。
………………………………………………………………。
バッ…………ガタン…………タッタッタッ…………『ピンポーン』
何故今日に限ってこうなったのだろう。
気付けば、インターホンを押していた。
……しかし、『わかっていたことながら』返事はない。
『ピンポーン』
念の為もう一回。
……やはり反応は無い。
さっとポケットから鍵を取り出す。
ガチャ。
扉の開く音と共に目の前の障害は開いた。
「……………………」
無言で歩く。
幾度と無くお邪魔した経験が寝室へと足を向ける。
チャ……。
扉を開くと、そこには天蓋の着いた豪奢なベッドが一つ。
部屋の中心に、周りと比べて不釣り合いな程のベッドはしかし、その部屋の主の睡眠を護っていた。

254 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/12(水) 01:25:05 ID:NfXlOgBM
大河、と一歩踏み出そうとして気付く。
足下に一組のパジャマが散乱している。
「あれ?これ昨日大河が着てたやつじゃ……」
不思議に思いながらパジャマを畳み大河に近づこうとして、思いとどまった。
マテ。
マテマテマテ。
ここにあるのは昨日の大河のパジャマ。
パジャマでオジャマ、ジャマジャマ。
それがここにあるって事は今の大河は……?
頭の中で得意の数学的な式が形成されていく。
パジャマを着ていた大河 − パジャマ = パジャマを着ていない大河。
この算式により、次の解答式が仮説として浮かび上がる。
「今の大河は、下着……?」
はうっ!?
前屈みになって一歩後ずさる。
今、俺は何を考えた?
そうだ、考え直せ高須竜児。
決してそんなふしだらなことは……!?!!?!?!?!?
「う……」
つい、声を漏らす。
今、見えてしまったのだ。
肌色が。
ああ、美しいなぁなんて思える脚線美が。
そこには、哀れ乳や背の小ささなんてものは微塵も介入する余地が無い。
ベッドからだらんと足が垂れて、輝いているのだ。
今だ少し遠目なので見づらいが、あれは間違いなく脚。
肌色一色。
もちろん寝る時に靴下なんてはかないからおかしな所は無い。
いやマテ。
ほんっとうに無いか?
手元には昨日の大河が着ていたパジャマ。
もう一度計算式が組み直される
昨日着てたパジャマがここにある = 大河は少なくともパジャマは着替えた、もしくは着ていない。
ここに、『生足』という決定的とも呼べる証拠が!!
……ゴクリ。
唾を飲み込む。
この解を、正しいか確認するのは罪なことでしょうか、神様。
具体的に言って、あと数歩お嬢様ベッドに歩み寄るのは犯罪でしょうか。
と、急にポケットの携帯が振動する。
「む」
これはアラームだ。
いつも大河を起こす時間、ということだ。
……天啓だ。
つまり、大河に歩み寄ってこれを起こせという神のお導きに違いない。
もう一度ゴクリとし、震える足を一歩前に出して……気付いた。
部屋の隅に、昨日大河が買った紙袋がある。
ソレがなんとなく気になった。
大河を起こす前にそれに近づき、手を触れようと……。
「……何やってんのよ」
ビクゥ!?
突如として、背後から声が聞こえた。

255 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/12(水) 01:25:55 ID:NfXlOgBM
恐る恐る振り返る。
大河はベッドから半身を起こしてこちらを睨み据えている。
「って……パジャマ?」
「……何言ってんの?」
「あ、いや……」
大河はパジャマを着ていた。
いつものワンピースでフリフリの。
その途端、頭の中で真の解答式がようやく出来る。
ああ、そうか。
寝相のせいでヒラヒラがめくれて上手いこと生足だけが見えてたのか。
よって、
昨日着てたパジャマがここにある = 大河はパジャマを着替えた。
が確定し、期待した事態では無い事の裏付けに……期待ってなんだちくしょうめ。
「で、何やってんのよ」
「あ、いやお前を起こしにきた、んだけど」
ヤヴァイ。
言葉が棘棘しい。
何かかなり怒ってる気が、する。
「ふぅん、で女の家に不法侵入、さらには、部屋の物色ってワケ?」
大河はスラリとベッドから降りて、所々跳ねた髪を気にもせず、下に伸びる素足は見えたまま、
「ふんっ!!」
俺が近づいていた紙袋を無理矢理にひっつかむ。
「昨日言ったわよね、何でもいいでしょって。アンタのような駄犬にはそれが拒絶だってのもわからないワケ?」
拒絶。
拒絶拒絶拒絶。
キョゼツキョゼツキョゼツキョゼツキョゼツ。
「お、おぅ、すまねぇ、そんなつもりじゃなかったんだ」
ふらりと、足が崩れそうになる。
危なく、転ぶところだった。
「ふん、だいたいアンタは私に干渉しすぎで……竜児?」
「おぅ、すまねぇ」
「何よ?アンタ顔色悪くない?」
「おぅ、すまねぇ」
「竜児?」
「おぅ、すまねぇ」
俺は回れ右をして背を向ける。
「……飯は出来てるから」
「ちょっ、アンタ」
それだけ言って、後は何も聞かずに大河の部屋を出る。
バタンと扉を閉めて、
『拒絶だってのもわからないワケ?』
「……すまねぇ」
誰も聞いていないところで、また謝った。

***

256 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/12(水) 01:27:20 ID:NfXlOgBM
正直に言えば、そんな意味ではないとわかってはいる。
けれども、
「ねぇ、竜児。アンタ大丈夫?」
「おぅ、すまねぇ」
「朝からそればっかり」
俺の頭には『拒絶』という大河の言葉がずっとリフレインしている。
そのせいか、大河を見ると出るのは謝罪のみ。
大河は別に「そういう意味」での拒絶をしてるわけじゃない。
わかっていても、大河に「そういう意味」での拒絶をされるのが……恐い。
大河から避けられるのが恐い。
大河が離れていくのが恐い。
大河といられないのが恐い。
恐い恐い恐い。
「すまねぇ」
恐いから、結局ここに行き着く。
だいたい、俺は今朝何を考えた?
……思い出したくも無い。
そんな俺を知ったら、大河は間違いなく俺を切り捨てるだろう。
このエロ犬、もう二度と近づくな、と。
それが恐い。
「たかっちゃーん、たーいがー♪」
そんな時、気楽に春田が話しかけてくる。
「どったのたかっちゃーん?元気ないよー?」
やや伸びた髪が邪魔そうに左右に揺れ、しかしたいして気にした風もない。
「すまねぇ」
つい、春田にも同じ言葉を返してしまう。
「?俺なんか謝られることあったっけー?」
「あ、いや、すま「うっさいわね、アホは向こう行ってなさいよ」……」
また謝ろうとして、大河が口を挟む。
ギロリと一睨みし、威嚇。
「え?え?え?俺なんかしたー?」
春田が不思議そうに首をかしげながら去っていく。
すまねぇ、春田。

***

257 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/12(水) 01:28:15 ID:NfXlOgBM
あっという間に放課後。
俺は今日、大河には「すまねぇ」としかまともに言ってない気がする。
そのせいか、大河はどことなくイラついているようだ。
すまねぇ、大河。
心の中でまた謝る。
こいつの不愉快の原因が俺だとしたら、俺は一体どうしたらいい?
俺は、俺は、俺は……「きゃっ!?」……大河!?
「いったぁ」
大河が転んだ。
俺は、助けてやれなかった。
大河を見ていてやれなかった。
ギロリと睨まれる。
大河がイラついているのがわかる。
「……ふん」
怒ったように大河は立ち上がって前を歩き出した。
一歩遅れて俺も続く。
「お、おい大丈夫か?」
「………………」
しかし返事は無い。
「……すまねぇ」
今度は肩がぴくりと動いた気がした。

***

今日の晩御飯は何にしよう。
いつもならここに立つだけですぐに浮かぶ献立が今日は浮かばない。
いや、昨日決めてはあったはずだ。
今日は豆腐祭り。
安く手に入った豆腐の消化。
豆腐は足が速いからすぐに使ってしまおうと。
そうと決まれば腕まくりをして精一杯上手い飯を作らなければ。
まずは豆腐ステーキ。
それと冷奴。
ほかにも、卵とじや麻婆豆腐。
湯豆腐はまたにしよう。
あ、揚げだし豆腐はあってもいいな。
よし、これだけあれば大河を満足させられるはず。
手早く豆腐の水を切る。
フライパンを二つ用意。
一つは油用のもの。
さて、やるとしよう。
そう思って、俺は『料理だけ』に集中した。

***

258 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/12(水) 01:29:08 ID:NfXlOgBM
「………………」
「………………」
無言の夕食。
せっかくの力作料理も大河は舌鼓を打たない。
むしろ不機嫌そうに口に豆腐を運んでいく。
食欲自体は変わらないが、どうもおもしろくない、という風体だ。
今日の豆腐は満足のいくデキではなかったのだろうか。
大河は肉が好きだし、ここは気をきかせて肉祭りにでもすべきだったか、と後悔する。
「………………」
「………………」
大河が話さないと必然的に俺も言葉を発せない。
「………………」
「………………」
無言。
そんな不毛な時間で、今日の豆腐料理は終わりを迎えてしまった。
食べ終えてからは、大河はいつも通り頬杖ついてテレビを見、だらんと体勢を崩す。
俺は食器の片づけに手を出していた。
いつもより時間をかけて丁寧に洗う。
そうでもしないと、この時間ここにいるのが耐えられそうになかった。
何かしていないと正常でいられない。
そのために長々と洗い物を続ける。
ようやく終えた頃、つい習慣でお茶を淹れてしまった。
「あ……」
湯飲みは二つ。
失敗した。
せめて一つなら大河だけに渡して自分は引っ込めるのに。
しかし棄てるなんてのはMOTTAINAI。
コトン。
やむなく大河の前にお茶を置く。
「……?……!!」
大河が驚いたように目を開く。
先程までイラついてたようだが、一瞬空気が和らいだ。
ほっとして、
「じゃあ俺、部屋にいるから」
俺は自分の分の湯のみを持って部屋……!?
ゾクリとして振り返る。
ああ……やめてくれよ。
そんな目で、俺を見ないでくれ。
そこには、不機嫌な顔をした大河がこっちを睨んでいた。
「……竜児」
「……すまねぇ」
今日、何回言ったかわからない言葉をもう一度言う。
「またそれ?いい加減聞き飽きた。……もういい、お風呂入ってくる」
大河は俺など眼中に無いように立ち上がり、風呂場へと消えていく。
俺は……嫌われたのだろうか。

***

259 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/12(水) 01:30:40 ID:NfXlOgBM
自室で机に向かい、ノートを広げ数十分。
しかし、ノートは何が書かれているわけでもなく真っ白だ。
当たり前だ。
自分でも何を書こうとしたのかわからないのだから。
「………………」
時計の針がしんしんと進んでいく中で、まるで自分だけ時が止まったように動く事が出来ない。
『拒絶だってのもわからないワケ?』
リフレインする言葉。
それを思い出すたび、胸が苦しくなる。
俺は……「ガラッ!!」……ガラッ?
目の前の襖が急に開いた。
そこには、あのボタン式のパジャマを着た大河。
「辛気臭いわね」
そう言いながら大河は俺の了承もとらず──そういやノックもなかったな──部屋に入ってきた。
頭にはバスタオルがかぶさっており、手にはドライヤーと櫛がある。
と、
「ほら、アンタの仕事よ」
唐突に、それを突き出された。
「アンタ、勝手にボイコットできるなんて思ってんじゃないでしょうね?」
ん、と強制的にそれを押し付けてくる大河は、不機嫌ながらも、先程のようなイラつきは纏っていなかった。
大河は俺に櫛とドライヤーを渡し、畳に座らせる。
だが、しかし。
「いや、俺は……」
出来ない。
大河の髪を弄る資格なんて俺には……。
「うるさい、やれ」
「でもよ、俺「いいからさっさとやれ」……」
大河はどすっと俺の部屋の畳に居座り背を向ける。
だが、俺は大河に近づけない。
今朝の事が頭から離れない。
「早くしてよね」
そんな俺を無視して大河は言葉で急かす。
「大河、俺は「アンタに拒否権なんて無いのよ」……」
俺が何かを言おうとすれば、間髪いれずに潰される。
それでも、俺には出来なかった。
そんな俺の態度に、大河はイラつき始めたのか、
「……竜児」
大河はこちらに、面と向かい合うような形で振り返った。
大河の濡れた髪が揺れ、段々とその美しい顔がこちらに露になる。

260 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/12(水) 01:31:33 ID:s56HzjKq
待ってました支援っ

261 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/12(水) 01:31:47 ID:NfXlOgBM
そうして振り返った大河の大きな瞳が、俺を射抜く。
それはまるで針のように鋭く細いもので、刺さるだけで締め付けられるように痛く、しかし俺を安心させるだけの潤いがあった。
「……?」
「アンタねぇ」
やれやれとばかりに溜息を吐き、
「この駄犬が!!」
殴られた。
「っ!?」
頭をさすりながら顔を上げると、既に大河は背を向けている。
「いい?一度しか言わないからよぉく耳の穴かっぽじって聞きなさい?」
すぅ……はぁ。
大河は深呼吸してから話し出す。
「私はね、『アンタが何を気にしてるかなんて知らない』わ。だって、『私が気にしていないんだから』」
「……?……!!」
それはつまり……。
「でもね、いい加減我慢の限界なのよ、私も」
大河はイラついたように、続ける。
「気にしてないのに謝られる、いつもならちゃんと私という主人をフォローする唯一の美点すら今日は皆無。オマケに料理中は一回もこっちに振り向かないし。……いや、まぁそれはいいんだけど」
え?あれ?毎日振り返ってるの、バレてたのか?
「私に茶を出して、ようやくいつも通りになるかと思ったら言うに事欠いて部屋に行くだぁ?何の為に私はここにいるのよ?え?言ってみなさいよ駄犬」
いや、そりゃ一人でいるかよりはマシかもしれないが、俺、一緒に居て良かったのか?
「……まぁいいわ。話が逸れたわね。とにかく、私が気にしてないことをグチグチ考えて普段のペースを崩されると迷惑なのよ。私がアンタの為に気を使わなくちゃいけなくなるじゃない」
ああ、まぁそうかも。
「すまね「黙れこの駄犬」ぶほぉっ!?」
殴られた。
今度は顔面グーパンチ。
痛い、親父にもぶたれた事ないのに。
っていうか親父なんて会ったことないけど。
「だ・か・ら!!謝んなって言ってんのよこの駄犬!!何聞いてたの?一回しか言わないって言わなかった!?」
「お、おぅすま……いや何でもねぇ」
また睨まれ、言いかけた言葉を慌てて撤回する。
「……フン、わかればいいのよ。んじゃ、さっさと私の髪頼むわね」
フン、とまた不機嫌そうに息をまいて、大河は俺に背を向ける。
「ったく、何で私が駄犬の為にこんなこと……本当にめんどくさい男なんだから……だいたい……」
ぶつぶつと何か言いながら、大河の背中と髪は「早く、早く」と俺の手を待っているようだった。
ふっと笑みがこぼれた。
『アンタが何を気にしてるかなんて知らないわ。だって、私が気にしていないんだから』
わかってのことなのかそうでないのか。
しかし、この言葉が今は深く身に染み込んでいく。
そっと髪に手を触れる。
サラリとした『大河』の触感を確かに感じる。
大河を、感じる。
そう、今日は一日大河を感じるなんてことが出来なかった。
大河が俺から離れようとしたんじゃない。
俺が大河から離れていたんだ。
手を伸ばせばいつだって、大河は俺が触れることの出来るいつもの定位置で待っていた。
それだけのこと。
「今、綺麗にしてやるから」
ようやく、俺は今日の大河に触れることが出来た。

262 :タイガチュウドク ◆QHsKY7H.TY :2009/08/12(水) 01:34:04 ID:NfXlOgBM
「ねぇねぇ、大河最近髪の手入れが行き届いてるね」
「そぅ?」
みのりんに話しかけられる。
髪のコトを褒められると、悪い気はしない。
「うん、何か枝毛なし、って感じでうらやましいよ。触るのがもったいないくらい」
「みのりんなら触ってもいいけど、出来れば止めては欲しい、かな」
「でもどうしたのさ、前までは全然気にしてなかったのに」
「え?それは……」
ちらりととある席を見ると、どうやら今は外出してるらしい。
ほっとしたような、勝手にいなくなっていて腹立たしいような。
「う〜ん、何となく、かな。何かにとか、誰かにとか、気を使うのは苦手だし」
「何となく?う〜む乙女心は難しいぜよ。何となくでこんなに綺麗になられちゃ俺っち一体どうすれば……」
そんな事を言ってみのりんは考え込む。
と、話を聞いていたのか、
「え?どれどれ?たいがーの髪って凄いの?」
アホこと春田が近寄って来た。
「おお〜、俺も髪には気を使ってるけど、これはすげぇじゃーん!!ちょっと触らせて〜」
春田が私の髪に手を伸ばしてくる。
「触るなっ!!」
ふざけるな。
「ひっ!?」
怯えたように春田は後ずさる。
全く、冗談じゃない。
「勝手に触るんじゃないわよ!!私の髪に触れていいのは……」

***

誰もいない天蓋付きのベッドのある部屋。
ベッドにはボタン式のパジャマが無造作に放り投げられていた。
ガサッ。
部屋の隅に置かれていた紙袋が倒れる。
ガササッ。
その反動で中身が袋から露になる。
露になったのは広く丸い、夏に相応しいもの。
材質は麦藁。
人はその形状を帽子と呼び、頭に被るものとしている。
今だ使われていないその麦藁帽子は、実際に被られ、ある人物に見てもらう事を目的としている。


───う〜ん、何となく、かな。何かにとか、誰かにとか、気を使うのは苦手だし───


願わくば、今度こそ一言くらい何か言ってもらいたい。

263 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/12(水) 01:44:21 ID:TCtfGmVj
しえん、、、

264 : ◆QHsKY7H.TY :2009/08/12(水) 02:04:07 ID:NfXlOgBM
これで終わりです。
最近甘甘が多かったんでちょっとアッサリにしました。


>>260
支援感謝!
おかげで奥の手使わず投下仕切れたぜぃ!

と、思ったら結局最後のこのレスだけ無理だった。
憎きばいばいさるさん。
しかも奥の手使ってもダメになってたし。(しくしく)

>>263
すまない。そういうワケでもう終わりなんです。
支援ありがとうございました。

265 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/12(水) 03:09:44 ID:JdIscnOL
>>264
おつかれっす、wktkしながら読ませてもらいます

266 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/12(水) 07:12:01 ID:YRfEHsYJ
竜児が気に病んだの何となくわかる気がする
悪い方へのスパイラル
切ないですね

如何にも大河らしい打開でした


みのりんごもっともw
春田くん間の悪いことでお気の毒w

267 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/12(水) 18:24:09 ID:oshDF+xh
>>264
これでアッサリなら、渾身の甘甘はどうなるんでしょうwktk
続き楽しみにしてます。

268 : ◆QHsKY7H.TY :2009/08/12(水) 19:25:30 ID:NfXlOgBM
>>265
ありがとう、是非読んでくれ。

>>266
ありがとう、竜児はそうだね。春田、すまねぇw

>>267
ありがとう。
いやタイガチュウドク自体がこれで終わりのつもりなんだが……。

今回はツンケンしっぱなしの大河をコンセプトにしてみたのだ。

269 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/12(水) 21:07:57 ID:YRfEHsYJ
そうそう
髪をとかせる繋がりで思い出した
この大河の心情は真紅に近い物を感じます
できればみのりんにさえ触れてほしくない
大河の竜児対する気持ちが如何ほどなのか
竜児。も少し自信を持っても良いのではw

なんて
髪に触らせてもらえる相手もいないオッサンが言ってみる

270 :びーぴー@:2009/08/12(水) 22:16:45 ID:IA7fZn61
 新作です。
趣旨:自分、タイトル考えるのは苦手です。他に考えてたタイトル案は「BUCKET来訪者」「魔少女B・P」「食物連鎖」「死なばもろともゾンビーズ」でした。…こんな無難なタイトルで、良かったのかしら?

【BUCKETPUDDING】

 バケツプリン。
 それは女の欲望番外地。

「と!ゆーわけで!
 ワタクシ櫛枝みのりん!またまたやらしていただきましたあ〜〜ん!」

 高校生にとって一日の時間割の中、最大かつ最高の安息と癒しの時間である昼休み。
 空腹をみたすべくある者は購買へ走り、ある者は学食へと出撃するが、大半は気心の知れあう友人達と共に弁当を広げる時間であり、これあるからこその学校生活といってもまず反論はないであろう。

 そんな心楽しい時間に突如降臨する、謎のぷるぷる物体。

 ぶっちゃけ名前そのまんまなバケツプリン。
 バケツで作ったバケツサイズなプリン。
 ははノンキだね♪と鼻歌交じりに笑いつつ、スルーしておきたい代物である。
 ……秘かに思いを寄せている相手の所業でなければ、是非そうしたかったのだけど。
 振られたからには応じなければならぬ。
 高須竜児は、机2個で作られたスペースに鎮座する黄色い物体にその凶悪な三白眼を向けて。

「…写真で見せてもらった時も大概だとは思ったが、実物ときたらこう……とりあえず今夜絶対、夢に見そうだな」
「おおう!お褒めに預かり恐悦至極!」

 褒めてねぇ! 俺、今夜は絶対悪夢に魘されるよって意味だよ!
 ああツッコミてぇ!ツッコミいれてえよ!

 凶悪だが愛想笑いを浮かべつつ、ちょっぴり涙ぐんでいる竜児である。
 そんな彼に『は』とアメリカンに肩をすくめつつ片眉だけ吊り上げて蔑みの冷たい視線をくださる手乗りタイガー様。
 変なところで器用ですね、逢坂さん。

「いやいや、見た目はでかいがこうみえて低カロリーなんだぜ?
 ダイエット戦士としてはいつだって甘みは人工甘味料。アスパルテームは標準装備ぜよ?ぜよぜよ?」
「いや問題はそういうとこじゃなくて…っていうか、昼飯時で腹は減っている筈なのに、見ただけで満腹というか胸焼けが…」

 本当は吐き気がする、と言いたい竜児である。
 なにせこのぷるぷる黄色物体、おおよそ食欲をそそる外見をしていない。
 机に新聞紙とビニールシートを敷いて鎮座するプリン(仮)。
 その自重であちこちが崩れ、というがグチャグチャでドロドロで、しかも内容物にむらがあったが所々ダマになっている反面、汁気もタップリで半透明の薄黄色い液体が周囲をジクジクと侵食している。
 写真で見たときには浜に打ち上げられたクラゲというかスライムという印象だったが、目の前の現物はそれにプラス、吐しゃ物然としている。
 ぶっちゃけ早朝の道端で朝の爽やかな空気を台無しにする泥酔者のゲロ。
 しかしそれはいつの間にか無くなっている。
 子供の頃はそれが不思議だった。
 でも遠いあの日、少年は見てしまった。
 電柱で囀る、あの地味だけど小さくてかわいいスズメ達が、あの愛らしくクリッとした瞳の小鳥たちが、
 …………群がって…………

 食・物・連・鎖。

「おおう……インコちゃん……俺はインコちゃんを路頭に迷わせたりなんか絶対にしないからな…!」
「どうした高須!?いきなり現実逃避なんかして!!?」
「高須君?ちょっと、帰ってきなさいよ?」
「ったく…このヘタレが…」

 うわ、むかつく。
 心配してくれる友人達の中で1人、心底蔑んだ視線をくれる大河に苛立つ竜児であった。
 というか、絞首される人間の顔マネまでして『グェエエエ』と白目剥いて舌を出すのは乙女として如何なものか。
 隣の北村が苦笑してるぞ大河。お前それでいいのか?

271 :びーぴーA:2009/08/12(水) 22:20:24 ID:IA7fZn61
「えーと、だね皆の衆。
 あれだ。ワタクシ櫛枝といたしましても誠に遺憾なのではありますが。
 日々、お腹のプニプニと戦うダイエット戦士としても、時にははじけたくなるのですよ。
 無性に甘いものが食べたくなるのですよカロリーなんか考えたくないんですよプッチーナプリィィンにジュッデーム。なのですよ?
 ♪オレがむかしプリンだったころ、オヤジは不倫でオフクロは不眠。
 オレの弟は…クリリンだった。
 わかるかな?わっかんねぇだろぉなぁ〜♪」

「オレは本気でお前がわかんねぇよ櫛枝……」
「安心なさい竜児!私だってワケわかんないから!親友だけど!」
「っていうか…本当に17歳なの実乃梨ちゃん?」
「おおっとあたりがついてるってことはあーみんはネタ理解してんな?
 バッくれてんじゃねぇぜオラオラオラオラオラ〜〜〜!!」
「なんだ水臭いぞ亜美!子供の頃はこのネタ俺達二人限定で流行ってたじゃあないか!」
「祐作がそんなだからあたしまでマニアックに染まるんだぁぁぁ!
 放せ!亜美ちゃんは普通!ノーマルなんだから!!
 ってか実乃梨ちゃんドサマギでムネさわんなってヒィィィィィィィィ!?」

 泣きながら『この巨チチがうらみやましいぃぃぃでもこのモミ応えはSUGEEEEE!』と、
とんでもない勢いでクラスメイトのチチ揉みまくりやがるソフト部長とか、
 幼馴染みを羽交い絞めにしてセクハラ魔人の生贄に捧げている生徒会副会長とか、
 その痴態と嬌声がクラス男子を前屈みに遺憾な状態に追い込んでいるモデルとかを見やって。

「竜児、今日のおかずは何肉?」
「ササミの照焼きレモン風味。ハチミツと醤油とレモンで作ったタレを絡めてサッパリ味」
「おおぅ…鳥肉久しぶり…インコちゃんいるから家では食べにくいものね」

 目をキラキラと輝かせる大河の前に、いつものように弁当箱を置いてやる竜児である。

「あっさりスルー!?そりゃないぜセニョ〜ル&セニョリ〜タ!!」
「というか、アンタがあのブサイクインコに気をつかってた方が驚きだわ!」
「ふははははは、いい放置プレイだぞ高須ぅ!」

 トリオ漫才を中断して戻ってきた友人ズに、これは無意識だろうがまるで奪われまいと弁当箱をガードするような素振りを大河は見せる。
 本能だとしても、ちょっと意地汚すぎじゃないのかこの食欲魔人め。

「…何も無いなら、俺たち弁当にしたいんだけど?」
「OH!このプリンを目の前にしてお弁当とな!?
 高須くん……今のはオイラのグラスハートにずびしゃいと傷が入ったぜ?3ミリほど」
「3ミリなのか…」
「それよりずびしゃいという表現が俺は気になるな」
「っていうか…高校生がこれだけ雁首そろえて未だスタートすら切れないって…」

 皆と少し距離を置いて、トリコロールな4コマダイエットネタ担当(青)っぽいことを呟いている亜美である。

「いやいやいや。実は女の本能と欲望のままにバケツプリン作ってみましたが、流石に1人で完食は無理かなーって。
 そこで皆にもおすそ分けを…」
「ありがとうみのりんその気持ちはとってもうれしいわ!でも折角のプリンなんだからみのりん1人で心行くまで堪能するほうが幸せだと思うから私パス」

 速攻で裏切る親友1名。

「む?いかん、今日はこれから生徒会の打ち合わせがあるのだった!そういうわけで、すまないが俺はもう行くから」

 朗らかに爽やかに嘘を吐く生徒会役員1名。

「パス。まずそうだし」

 そして全く歯に衣着せぬあーみん1名。いっそ惚れてしまいそうなくらい清々しい。

272 :びーぴーB:2009/08/12(水) 22:26:31 ID:IA7fZn61
「おおう…世間の荒波は思った以上にこの櫛枝に冷たいぜよ…。
 …パトラッシュ…もう疲れたよ…」
「あ、いや、櫛枝。俺は……………ご、ごちそうにな、なるから」

 これが惚れた弱みというやつか。
 竜児の主夫としての勘。あるいは生物としての生存本能は警鐘を鳴らしていた。
『なんかヤバくね?このプリン?』と。
 しかし、それでも。
 目の前で今、櫛枝が落ち込んでいるから。力になってやりたいから。
 それに自分は、放っておけないから。放っておきたくないから。

「…竜児」

 速攻で裏切ったくせに、それでも気遣わしげな目をした大河がふるふる、と頭をふる。

「竜児…いくらMOTTAINAIからってそんなプリンを食べなくてもいいんじゃない?
 地球の生態系だって、今、この時くらいは許してくれるよ?」
「いーや!そんな『ちょっとくらい』『自分くらい』という考えが地球を追い詰めてきたんだ!
 何より、可食物を無下に捨てるだなんて、そんな悪魔の所業は俺にはできねぇ!」
「悪魔ときやがったかこのエコ野郎」
「うわー、立派だとは思うけどなんだか失礼な気がするよー」
「何故、二人揃ってなにか痛いモノを見るような目をしやがる!?」
「うわっはっはっはー。
 でも高須きゅんは私につきあってくれるかな、って期待してたからね。
 ――ありがとう」
「お、おう」

 そう言ってスプーンを差し出す実乃梨の微笑みは、やはり素敵で。
 かわいくて、眩しくて、何度見ても、見る度に、惹きつけられて。

「わかった竜児。あんたの鳥肉と米は、私が責任もって食べてあげるから」
「お前最初から狙ってたかもしかして!?」

 思わず抗議行動に入りかける竜児をなだめるように、実乃梨はその手をとって座らせた。

「まーまー喰いねぇ喰いねぇプリン喰いねぇ」
「お、おう。いただきます」
「はい、いただきます」

 二人、向かい合わせに座って巨大なプリンにスプーンを入れる。
 多少ぎこちなく口にしてみると――意外というか、味はやはり普通にプリンだった。
 確かに取り立てておいしいわけではないし、何だか妙な匂いがするような気もするが、見かけほどに味は悪くは無かった。

「思ったよりいけるな」
「でしょ?見栄えは悪いけどね」
「あ…悪いとは思ってたんだ?」

 昼食のメニューとして、是が非でも食したいという代物ではないが、普段はどこか緊張して身構えしてしまう故のぎこちなさも感じられない。
 こんなに普通に、櫛枝と話ができる。
 そんな自分に我ながらちょっと驚きを覚えてしまう。

「あれ?なんかあの二人、いい雰囲気じゃね?」
「……(もきゅもきゅ)」

 残され者同士というか――北村は本当に生徒会へ行ってしまったので――手乗りタイガー&バカチワワというちょっと珍しいようでそうでもないような組み合わせ。
 バケツプリンの鎮座する席から1メートルも離れていないが、決して隣同士ではない微妙な距離。
 聞く耳持たぬ、とワシワシ弁当をかきこむ大河に半ばは意味ありげな視線をくれつつも、亜美は自身の好奇心もあって竜児と実乃梨にも注意を向けていた。

273 :びーぴーC:2009/08/12(水) 22:32:15 ID:IA7fZn61
「なんかさ…ああやって二人で一つのプリンつついてる姿って…まあここ教室だし食べてるのはあんなグロ物体だけど。
 これがスドバかどっかでモノがパフェとかジュースだったら、ベタなカップルの図だよね?」
「…………」
「…なんか良い空気だよねムカツクくらい?」
「…あんたさ。いつも思うんだけど、何を煽ってるわけ?」
「え?なにが?誰を?亜美ちゃん全然わっかんな〜い」

 いつものわざとらしいブリッ子フレーズに反論する気もなく、大河はササミの照焼きに集中しようとする。
 実際、久しぶりの鳥肉はおいしかった。
 竜児のせいでまた一つ、好みが増えてしまう。今度は是非、夕食に出してもらいたい。
 インコちゃんいるから難しいけど。
「……!?」
 正面からの、息を呑む気配に大河は顔を上げる。
 …目の前で、バカチワワが固まっていた。
 その視線を追って――大河も無言の世界へ突入する。

「ほーれ高須くん。あ〜んしてあ〜ん」
「え、いや、えっと!?」
「ほらほら、遠慮すんなってー。大きく口を開いてー、深呼吸のようにあ〜〜んだ〜〜〜」
「意味わかんね!っていうか、その…とにかく待て!」
「むむ?――もしかして照れているのか?
 照れているのかね高須くん!?
 〜〜〜〜〜〜〜〜っぅぅうううう…顔は怖いが可愛いじゃねぇかこの野郎!!」

 多分、最初は軽い冗談だったのだろう。
 だがその場の雰囲気や話の流れというものは、それが活発であればあるほど、時に当事者たちの思惑すら外れ予期せぬ方向に向かってしまうことも、ままあるものだ。
 今もまだ、冗談めかした態度ではあるが、実乃梨の頬は常に較べてわずかだが赤く、その瞳にはどこか緊張の光が宿っているようでもあった。

「ほ、ほほほうら高須くん!………あーん」
「く、櫛枝……」

 目の前に差し出された、スプーンの上でプリンが揺れている。
 なぜこんな流れに、と思わぬでもなかったが、今の竜児はそのスプーンに魅入られたように視線を外すことができない。
 こんなもの、ほんのじゃれあい。
 クラスメイト同士の、友人同士のふざけあいなのだから。
 だから変に意識する必要などない事。
 おどけて、ふざけて、パクリと差し出されたスプーンに食いつけばそれで…
(って俺には無理!!)
 自分が咄嗟にそんなアドリブで応じられるほど、器用ではないことを竜児は承知している。
 これが級友の春田ならばセンキュ〜、とかいいながらパクリと平らげるだろう。
 そして能登あたりにツッコミを入れられるだろう。
 だが、自分にはできない。
 相手が櫛枝だから、できない。
 眼前に迫るスプーンの向こうに、もう笑ってはいない瞳が見えた。
 何かに期待するようで、何かに怯えているような感情を湛えて。
 少しだけ震える唇が、ゆっくりと開いて――

 ぱくり。

「…なんだ。普通においしいじゃない」
「大河!?」
「おおーう大河が釣れた!大河の一本釣りだっぜー!!」

 横から割り込んでプリンを奪い取った大河は、そのまま椅子を寄せて二人の間に座ってきた。

274 :びーぴーD:2009/08/12(水) 22:36:15 ID:IA7fZn61
「みのりん、デザートで私もプリンもらってもいい?」
「おうともさ!大歓迎だぜまいはにー!」
「いや参戦してくれるのはありがたいけどな…ってお前弁当もう平らげたのか!?
 しかも俺の分まで!」
「余裕ね」

 いつものことだが、この小さな身体のどこにあれだけの量が入るのだろう。
 慣れてはいるが、この疑問というか神秘は多分永遠に解明されないような気がする竜児だった。

「あーあ。1人だけ仲間外れな感じだし。私も参戦するカニ」

 何故か変な語尾をつけて、亜美も竜児と実乃梨の間、大河の対面に自分の陣地を確保する。

「ああ…やっぱり友情パワーって素敵に無敵だねぇ。北村くんとは後で色々話し合う必要があるけど」
「そうね。まあ祐作、逃げたのは確かだけど生徒会の用事も嘘じゃないみたいよ?」

 ホントけ〜?と言いながら大河と亜美にも持参していたスプーンを手渡す実乃梨は、いつもの彼女だった。
 そのことに、竜児は安堵する。
 今、平静を取り戻してみれば、先ほどの状況はあるいは二人の距離を縮めるチャンスだったのかもしれない。
 そもそも場の流れの勢いとはいえ、…自惚れかもしれないが、彼女の方だって少しは自分にトモダチ以上の感情を持っていてくれたからでは、と。
 だけど。それでも。もう一度やりなおせるとしても、自分は…

「でもお昼がプリンだけって栄養が偏りすぎでしょ?
 ダイエット的にもアスリート的にも感心しない食事よねこれ」
「ふっふっふ…そう思うのが素人の浅はかさ」
「何の素人よ」

 亜美の批判的――というより気遣わしげな意見にチッチッ、と舌を鳴らす実乃梨嬢。
 大物量を誇ったバケツプリンも4方向からの包囲殲滅を受けて、いつしかその質量の過半を失っている。

「中心核だ…中心核を狙え、あーみん!」
「いやわけわかんねーし……っ!?」

 会話とプリン攻略を並行して続けていた亜美が止まった。
 見る間にその頬に赤みが差し――なんてレベルではなく、急速に発熱、発火……爆発する。

「NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!」
「川嶋!?」「バカチー!?」

 生ける火炎放射器となった亜美は、火を噴きながら脱兎の勢いで駆け出した。(比喩表現)
 突然の出来事に、大河はそれを唖然として見送るしかない。
 と、その横で親友がうおー、と気勢を上げる。

「キタキタキタキタキタ〜〜!特製激辛キムチ、ガッツン来まぐりやがってますよ〜!!}
「なにそれみのりん!?」
「いや、だからあーみんに指摘されたけど栄養バランスは一応考えてるよ?
 例えばダイエット戦士としてカプサイシンは抑えておきたいし」
「……あのさ、みのりん?あんまり考えたくないんだけど…。
 もしかして、このプリン、何かいろいろ仕込んでる?
 えっとこういうの何って言ったっけ?」
「中に何が入っているかわからない。闇ナベならぬ闇プリンというわけか」
「そうそうそれそれ。…ってなによ竜児、テンション低いわね?」

275 :びーぴーE:2009/08/12(水) 22:39:24 ID:IA7fZn61
「…うん。なあ、櫛枝?ちょっと質問があるんだが」
「なんだい高須くん?」
「…プリンってのは元々、デザートだよな?」
「まあ、一般的にはそうだと思うよ。甘味だしね」
「そうか。で、今、俺の口の中にある甘いあま〜い干し柿は、お前のカテゴリーでは何に入るんだ?」
「食物繊維さ!」
「…そうか。じゃあついでにもう一つ訊ねるが…その食物繊維を、辛子たっぷりの納豆で和えてプリンに混ぜるってのはどういうアイデアなんだ?」
「納豆菌は腸内の悪玉菌を駆逐してくれることを期待しております!
 それに折角いろいろ混ぜるなら、新たな分野にチャレンジしてみるのも必要かなーって……。
 ごめん。もしかして、チャレンジすぎた?」
「竜児……今、かなり遺憾な状態?」

 竜児はその問いかけに直接には応えなかった。
 ただ虚空に視線をさまよわせながら、呟く。

「…あ。この辺はゴーヤーか?」
「みのりん〜〜〜〜!今、初めてみのりんに対して抱くこの感情!?
 問い詰めたい!問い詰めたいよみのりん!
 いったい、何を、仕込んだの〜〜〜〜〜〜〜〜!!?」
「いやその…後は普通に、梅干しとか、ヒジキの煮付、プロセスチーズ、キュウリの浅漬け…」
「う〜ん…微妙にギリギリセーフかな?」
「セーフなのかよお前!?」

 未知の味覚体験に、チャクラが開きかけていた竜児が戻ってきた。
 そんな竜児に、少しバツが悪そうな顔で大河が云う。

「んー…アンタの家でご飯食べるようになる前は、かなーりジャンクな食生活だったし」
「畜生なんか悔しいぞ!?半年以上も俺のメシ食ってて…うう、大河の味覚発育は不十分だったというのか…?」
「セ、セーフってだけで好みなワケじゃないわよ!」
「いやー。ホント高須くんは良いお父さんっぷりだねぇ。
 …遠回しに私の味覚センスにケチつけられた気もするけど、この場は深く突っ込まない方向でいくね。
 あ、それと大河?昨日の残り物なんだけど、実は動物性タンパク質としてトンカツも入って」
「もらったあああああああああ!!!」

 ターボかニトロでも入ったような勢いで、大河のプリン咀嚼のスピードが加速した。
 みるみる減っていくプリンを前に、竜児と実乃梨の視線がつい、と合う。

「…俺、大河の教育を見直す必要、改めて感じてる…」
「そうだね。自分の気持ちに正直なのは大河の美点だと思うけど…。
 A地点からB地点を経由することなくC地点へ至るタイレクトっぷりは、今のうちに直しておいた方がいいかも?」
「なにふたりして(モキュモキュ)ひとのきょーいく(モニュモニュ)論じてるのよあんたらわたしの
(ちるちるちるちるちる)親かっ(ごっくん)!」
「……ああ……また俺はあのクソジジイを許せない理由が増えた気がする……
 っていうか俺も同罪だ…何か食べている時には喋っちゃいけません、くらいのことが躾けられないなんて…」
「ウ、ウチの親は関係ないでしょ!
 っていうかアンタやクソジジィごときにこの大河さまが教育されるとでも!?」
「うわスゲェ納得できるが胸張って言うことでもねぇ!」
「うるさいこの教育おばはん予備軍補欠代理補佐見習い!
 アンタのトンカツとはまた一味違うみのりんのトンカツが入っていると聞いて、これを捨て置けるわけないじゃ……って、ゲットォォォォォォォ!!」

276 :びーぴーF:2009/08/12(水) 22:41:29 ID:IA7fZn61
 あいむういなー、と掲げられた右手のスプーンには、高温の油に浸された家畜の肉片が、黄色いプルプル物質に包まれて鎮座していた。
 カカカカカー!と悪魔超人みたいな笑い声をあげつつ、あんぐりと虎は肉片(トンカツ)を口に運ぶ。
 もしゃ。もきゅ。もにゅ。

 ……………。

「ど、どうした大河?」

 そして唐突に訪れた沈黙に、竜児は思わず問いかけを発するが、大河は応えない。
 ただ、ゆっくりと竜児に顔を向ける。

「あー……、脂身のとこか、それ。お約束なやつめ」
「う、うにゅ〜…」

 モゴモゴと口中の脂肪を持て余している大河は、今にも泣き出しそうな情けない顔をしていた。

「…りゅうじぃ…」
「残すなよMOTTAINAI」
「…赤身2、衣1、あとぜんぶ脂身ってかんじで…」
「残すなよMOTTAINAI」
「ひぃぃ………」

 食に関係すること、特に食べ残しと好き嫌いについては、竜児は厳しい。
 調理人としての魂と、掃除人としての尊厳と、主夫としてのMOTTAINAI精神が三位一体となった時、
 ――竜児は天才を通り越して、家事の変態となる。
 変態はダメだ。
 なんていうか、こう、色々な意味で痛くて、いたたまれなくて、すごくダメっぽい。
 そのくせ――逆らえないのだ。変態の発する暗黒理力(ダークフォース)は、光の差さぬ闇よりも更に黒い漆黒。
 その漆黒には理解不能な“なにか”としか表現できぬ狂気のモノが潜んでいる。
 それに抗うことは、傲岸不遜をもって鳴る逢坂大河といえども、容易ではなかった。

 もきゅ。もきゅ。もきゅ。もにゅ。めちゃっ。

 だが、口の中で何とか磨り潰そうとしても、この脂肪は歯と頬肉の間で気色の悪い質感を残すばかりで一向にこなれてくれない。
 ならば、と覚悟を決めて、一気に飲み込んでしまおうとしても――喉に張り付いて容易に剥がれてくれない脂身はその生理的嫌悪感を更に高め、どうしても飲み込むことを身体が拒否してしまう。

「うう…」

 涙目でえずきながら、もう先にも後にも引けなくなっている大河をしばらく見つめ、竜児は。
 そっとポケットティッシュを取り出し、大河の口元に当てる。

「もういいよ。ほら、ペッしろペッ」
「うにゅ…」

 息も絶え絶え、という感じで吐き出された脂身を手早く包み、竜児は懐から取り出したエチケット袋にそれを入れた。

277 :びーぴーG:2009/08/12(水) 22:45:34 ID:IA7fZn61
「後で高須農場にでも埋めとくか。肥料のたしにはなるだろうから」
「おおう、あの花壇かい?そうか、大河の脂身は回りまわって来年のサツマイモになるのだねぇ。
 う〜〜〜〜ん、食物連鎖」

 うんうん、と大仰に肯いて、ニヤリと実乃梨は笑った。

「高須くん、やっぱ大河には甘いねぇ。あまあまパパさんだよ」
「そんな大したことじゃないだろ」
「そうよ。飼主にこんな苦しい思いさせるなんて、不忠の極みじゃない」

 実乃梨にそう反論して、2人はそろってパクリとスプーンを咥えた。
 そしてこの瞬間、プリンは完食された。

「…おお。いつの間に」
「あらほんと。いつの間に」

 バケツプリンをたおした!
 30,000Expの経験値をえた!
 
 …ロープレじゃあるまいし、なに考えてんだ、俺。
 自分の脳内で流れたメッセージに、竜児が思わず苦笑した、その隣で。

「ロープレじゃあるまいし、なに考えてんだ、私」
「え?」

 思わず、という感じでこぼれ出た呟きに、竜児が大河の横顔を見つめた時。

「オラ、きりきり歩けこの裏切り者!」
「おおぅ…中々に痛いぞ、亜美!」

 不意討ちの激辛キムチの名残りで、いまだにタラコ唇をした亜美が、敵前逃亡をした幼馴染みを引き立てて還ってきた。

「さあ祐作…アンタも不幸になるのよ…ってアレ?」
「おや?もう食事は終わったのか高須に逢坂?」

 一目で状況を理解した亜美と北村は、一人は落胆、一人は安堵とわかりやすい表情を見せる。
 そんな2人に、実乃梨はあっはっはー、と実に明るく笑ってみせた。
 竜児が憧れた、向日葵のような笑いと共に、机の下からバケツを取り出して。

「いやいやいや安心したまへあーみん&北村くん!
 この櫛枝は言ったネ?一人で完食は無理だと?
 流石にわたくしめの鋼鉄の胃袋をもってしても、バケツプリン1杯ならともかく2杯はちょっと」
「てめぇナニ考えてやがんだこの脳ミソ筋肉女――――!!?」
「くっ…ここにきて新たなる伏兵ッ…!高須、逢坂…って721!?既にいないッ!!?」

278 :びーぴーH:2009/08/12(水) 22:47:21 ID:IA7fZn61
 慌てて周囲を見回し、先ほどバケツプリンを退治した勇者たちがいないことに愕然とする北村。
 その追い詰められた者特有の、恐怖に満ち溢れた瞳を周囲に向けて…隣にいる、自分と全く同じ瞳と視線があう。
 亜美は、こくんと肯いた。
 北村も、やはりこくんと肯く。

「能登―――!春田――――!!」
「麻耶―――!奈々子―――!!」
「「死〜な〜ば〜も〜ろ〜と〜も〜〜〜〜〜!!」」

 そして2人は、それぞれの級友に飛び掛っていった。

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…!!

「いやああああああっ!?亜美ちゃんが異様に怖いィィィィ!!?」
「なななななんだよ大先生!?どうしちゃったのよ一体!???」
「というかなんなのこのムダに迫力溢れる効果音!!?」
「おおおおおおおおおッ!?俺はいま、恐怖しているッッ!!?」
「フフフ。
 人間の偉大さは――恐怖に絶える誇り高き姿にある――
 ギリシアの史家ブルタルコスの言葉だ」
「元凶がなに格好つけてんのよこの人喰い向日葵女!!」
「っていうかどことな〜くナチスの軍人っぽいぞ、櫛枝!!」

 そして繰り広げられる、阿鼻叫喚の地獄絵図・第二幕。

「うわははははは!ちなみにバケツプリン第2号は更なるパワーアップを果たしてるぜよ!
 言うなればグレート・バケツプリンガー!!」
「余計なことすんじゃねぇよバカじゃねえのかテメエ!ていうかバカでしょ絶対このバカ女!!」

 悲鳴と怒声が交差する、今日もそんな2−Cは、平和です。

  * * * * *

 はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……
 ぜー、ぜー、ぜー、ぜー、ぜー……

 櫛枝の机の下に、シートを被せられたバケツっぽいモノが見えた瞬間。脳が判断するより先に身体は動き出してた。
 手を伸ばし、伸ばされた手を掴み、脇目も振らず走り出し。

「…って屋上まで一気に走ってきたのか俺たち…」
「そうみたい…よく覚えてないけど…」

 固い壁に背を預け、コンクリの床に座り込んだ竜児と大河は、ようやく落ち着いてきた呼吸を整える。

「竜児…手…」
「ん?おう、すまん」

 自分が大河の小さな手をずっと握っていたことに気が付いて、竜児は慌てて大河を開放する。
 大河は別に気を悪くした風でもなく、ただ視線を少し動かし、空を見上げた。
 つられるように竜児も青空を見上げる。
 そのまましばらく、互いに口を開かない。
 けれど、別に気まずさや静寂をもてあますような雰囲気があるわけではなく。
 静謐で、穏やかな時間がゆっくりと流れていく。

279 :びーぴーI:2009/08/12(水) 22:49:32 ID:IA7fZn61
「…なんだか…春田と能登に申し訳ないような気持ちがする…」
「奇遇ね。私もなんだか、ギャル女とエロぼくろが困ってるような気が…なんとなくなんだけど」

 そんな会話で静寂を破って、しかしその後は続かず、再び沈黙が訪れる。
 しかし、心の内で2人は呟いていた。

(なんで私…みのりんと竜児の邪魔、しちゃったんだろ)
(なんで俺…大河が割って入ってくれて、ほっとしたんだろ)
(奥手の竜児にとって、みのりんに手ずからプリンを食べさせてくれる機会なんて、すごく幸運なことのはず。私は竜児の恋を応援するって約束したのに、なんで邪魔しちゃったんだろ?)
(憧れだよな。好きな女の子にあ〜んってしてもらえるのって。なのになんで俺、そのチャンスを潰されて、なんともないんだ?)

 ふと、横を見ると、自然と視線が合った。

(竜児…怒ってないの?)
(大河、何を心配してるんだ?)

 竜児はいつもと同じ、穏やかに笑っていた。
 大河は最近はあまり見せない、不安そうな顔をしている。

「どうした?もしかして、喰ってすぐ走って、脇腹でも痛くなったか?」
「別に」
「そうか?喰いすぎて腹が苦しいとか?」
「あんたは私をなんだと思ってるんだ?」
「…言わせるな。俺にも情けはある」

 無言で、大河は駄犬野郎の頬を抓った。かなり痛く。

「いだだだだだだだだだだ!すいません!頭に乗りました!」
「覚えたかこの駄犬。あんたのその容量の少ない脳味噌に、まあ3日くらいは残しとけ」

 ああ、いつもの大河だ。
 うん、これがいつもの私たちだよね。

 そう思うと、なんだか心が落ち着いた。
 この居心地のよい空気。この居心地のよい距離。
 この居心地のよい、関係。

「ずっと、このままでいたい…」
「え?なんか言ったか大河?」
「……ね。授業、さぼっちゃおうか」
「ダメだ!そんなことしていいわけねーだろ!」
「…だってかったるいんだもん」
「眠そうだなお前…たらふく喰った後は昼寝かよ。フリーダムな奴め」
「…ん…ちょっとだけ、寝かせてよ…」
「…30分な。5時限目に遅れないように、チャイム鳴る前に容赦なく叩き起こすぞ」
「うん…お願い」

 欠伸まじりの返答と共に、当たり前のように左肩に重みがかかる。
 竜児の肩に頭を預けた大河は、すぐに寝息をたてはじめた。

280 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/12(水) 22:58:16 ID:c1iaNo4V
私怨…プリンの恨み…意味なんかない…意味、なんか無い?…忌みなん?金井…あーみん、食わない?


私待つわ

281 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/12(水) 22:58:57 ID:c1iaNo4V
いや、連投支援

282 :びーぴーJ:2009/08/12(水) 23:02:50 ID:SkOoSyyW
「あきれるほど寝つきいいなコイツ…」

 安心しきって、自分にもたれかかって眠る大河は、あどけない女の子の顔をしていて。
 かわいくて、かわいくて、かわいくて。
 色々と言いたかったことはあるけれど、もうどうでもよくなってくる。
 だから、代わりに言ってやる。

「お前って本当、かわいいよな」

 大河が目を覚まさないように小さく呟いて、竜児はそっと、少しだけ乱れた髪を直してやった。
 本当は、ちゃんと聞こえていた。
 ずっとこのままでも…こうやって大河と一緒に毎日バカやってる日常は、楽しくて。
 このままでもいいなと、思う。
 少なくとも、今のこの生活を否定したり拒絶する理由なんて、まるで思いつかない。

「でもお前は、北村が好きなんだよな」

 そして自分が好きなのは、櫛枝実乃梨だから。
 そう、自分に言い聞かせる。
 でもいつからだろう。自分の心に、言い聞かせなくてはならなくなったのは。
 どうして、そんなことをしなくてはならなくなったのだろう。
 わからなかった。
 わからないけど、わからないまま、それでももう一度、呟く。

「大河…俺、」

 でもそれ以上は続けられなくて。
 竜児は優しく、眠る大河の頭を撫でる。
 今はただ、こうしていたかった。
 大河と一緒にいたいと思った。
 そっと、陽射しが眩しくないように、竜児は大河の額に手を添えて日陰を作ってやる。
 だからその手の下で、
 大河がそっと目を開けていたのを見ることはできなかった。


  <了>


 最初に考えてたオチでは、「死なばもろともゾンビーズ」は竜児と大河も含めたカルテットでした。
 でもなんか知らないうちにこんなオチにー。ほわーい?

283 :支援感謝:2009/08/12(水) 23:06:30 ID:SkOoSyyW
ありがとうございました。
弾かれたの初めてです、自分…

で、図々しいとは思いますが、今度はいつ貼れるかちょっと予想つかないんで、このまま連続させてください。
まあ、(それほど)大した量ではないので。



284 :おまけ〜1:2009/08/12(水) 23:07:50 ID:SkOoSyyW
【リップサービス・蛇足】

 前回、校内放送で大河謹製・竜児らぶらぶ音声集を流され、恥とかプライドとかズタズタになって反抗する気力も失った竜児。
 そんなズンドコ竜児に、大河は容赦なく甘々らぶらぶトーク・生をせがむのでありました。

「さあ竜児、覚悟きめてドーンときなさい!ドーン!」
「…………おう」

 右耳に手を添え、『ばっちこ〜〜い!』とカモン・カモンな大河に竜児は――ゲンナリとため息をついた。
 鼻血が出るほど濃厚な、どろり激甘ラブラブ恋人トーク。虎はそれを御所望だ。
「なんでっすか〜♪なんですか〜♪世界の〜くにから〜♪」
「みのりん…茶化さないで?」

 相変わらず実年齢にそぐわない鼻歌を呻っている親友に、大河は静かに言う。
 それは、特になんということのない風景。
 けれど、いつも頭のネジ(しかも中枢部分)が抜けてるんじゃないかと囁かれるミス脳ミソ常春日和・櫛枝実乃梨嬢が、何故か大人しく無言で引き下がった。
 ――櫛枝。お前、何を見た?
 その問いかけを、ギリギリ飲み込む竜児であります。

「さ♪竜児」

 にこやかに、さわやかに、空恐ろしい笑顔でせがまれては如何ともしがたいのです。
 竜児は覚悟を決めて、甘い言葉を口にした。

「………さ、砂糖!」

 ぱんっ!
 瞬間、衝撃波の鞭に前髪を叩かれ、竜児は軽くよろめいた。

「あらやだ。蚊」

 人間の動体視力では捉えきれないっぽい速度で、竜児の眼前にピタリと拳を寸止めした大河は、なんでもなさそうにそう言ってくる。

 ――ベタなボケには、突っ込む気にもなれないのよ?二度目は無いからね?

 耳には聞こえない言外の声は、しっかり届いていたが。

285 :おまけ〜2:2009/08/12(水) 23:09:53 ID:SkOoSyyW
「しょうがないニ。このダイエット戦士であるところのみのりんが、手本をみせてやるガニ」

 何故か変な語尾をつけて、実乃梨はう〜んマンダム、と顎を撫でながら囁いた。

「――アスパルティィム?」(巻き舌右上がり)

 …………。
 ……………………。
 …………………………………。

「さ、竜児」
「おう」
「スルーはっ!スルーは勘弁しおくれやす!ああああああっ、せめてあーみんがいてくれたら!」

 ちなみに天性のツッコミ役・あーみんは、高飛びしたきりまだ帰ってません。
 ともかく、期待に少し上気して、薄く目を閉じて自分の囁きを待っているお姫様の耳元に、凶悪ヤクザ顔な王子様は唇を寄せて。

 ………………。

「竜児ぃ?」
「…すまん大河。でも俺、やっぱこういうのは抵抗がある…っていうか、なんか違うと思うんだ」

 高速度撮影のように夢見る乙女から不機嫌猛獣般若に表情を一変させる大河に震えながら、しかし竜児は退こうとはしなかった。
 なぜならこれは、絶対に譲れないものだから。

「大河。そりゃ口先だけで好きだとか愛してるだとか、言うのは簡単なことだ。
 でも、そんなものを、本気でお前は欲しいっていうのか?」
「そ…それは…」
「俺は大河が好きだ」

 真顔で、至近距離で、真正面から、竜児はそう言い切った。

286 :おまけ〜3:2009/08/12(水) 23:11:27 ID:SkOoSyyW
「俺は大河が好きだ。大河を愛してる。この気持ちは、他の誰にも負けたりしない。
 大河が好きで、好きで、好きで、好きで、好きだ。大好きだ。
 お前が好きだ。好き過ぎて、たまらなくなる。
 俺の大河。俺だけの大河。俺の、世界で一番の宝物。
 俺の嫁。
 お前は俺のものだ。
 他の誰にも渡したりなんかしない。
 俺の人生はお前と共にある。お前と一緒に生きていく。そう決めて、そう誓った。
 俺はお前を幸せにする。一緒に幸せになる。絶対にそうなる。そうする。
 お前と結婚する。
 お前を俺の本当の嫁にして、本当の夫婦になって、そして俺達の家庭を2人で作る。
 子供が生まれて、小さくてもいいから暖かい家庭を作っていく。
 俺たちが欲しかったものを、俺たちが作っていく。そうやって、みんなで生きて、幸せになる。
 この先何年も、何十年も、そうやって一緒に生きていく。
 大河。
 大河。大河。たい、が。
 俺の大河。俺の、大河。
 お前は俺の生きる理由。俺の人生そのものだ。
 俺の最高の、たからもの。
 いつだって大河のことばかり考えてる。
 大河のことが心配で、大河のことが大事で、大河がいつも、欲しくなる。
 夜中に目が覚めて、お前が傍にいないことに気づいて、切なくなる。
 早く朝になれ。朝になればお前に会える。大河に早く会いたい。
 大河の顔が見たい。大河の声が聞きたい。お前の頭を撫でて、本当は、抱きしめてキスだっていっぱいしたい。恥ずかしくて、いつも気後れして、うまく言えないけど。
 お前はとてもかわいくて、とてもきれいで、世界で一番すてきな女の子だから。
 ぎゅっとすると、ふわふわで、やわらかくて、ちょっといい匂いがして、いつまでも抱いていたい。
 このちっちゃな女の子を、この世界一やさしい女の子を、一生守りたいって心から思う。
 この子の泣き顔を見たくない。悲しい思いをさせたくない。傷つけたくない。
 いつだって俺の傍にいて欲しい。
 そして、微笑んでいてほしい。
 そのためなら俺は何でもする。何にだってなってやる。
 大河のことを…愛してる。
 だから…だからな?
 この気持ちを、軽んじるようなことを、したくない。
 大河のこと愛してる。その気持ちに嘘なんか、絶対にない。
 だけど、大事だから軽々しく口にしたくない。
 なんだか、…この気持ちを安売りしているみたいな気になって。
 嫌なんだ。なんだか大河を貶めてるような気がして。
 この気持ちを口にする時は、それに相応しい時と場所があるはずだと思う。
 少なくとも、こんな風に言えと強要されて言うようなことじゃないと思う。
 だから大河。俺がいたらないせいで、お前にさみしい思いをさせちまったことは、本当、反省するし改善するよう努力する。
 だから……」

 カチリ、と大河の手の中で何か音がした。
 俯いて、俯いたまま、大河はぽてん、と竜児の胸に額をあてる。
 見下ろす竜児の視界の中で、長いふわふわの髪からわずかに覗く耳は、真赤になっていた。

「大河…?」
「…今日のところは…これで勘弁してあげるわ…」

 手の中のICレコーダーをポケットに忍び込ませながら、ドロドロに溶けてしまいそうになるのを堪えつつ、何とか大河はそう呟いた。

 多分、寝る前に何度も聞き返してそのまま眠り込み、朝はつけっぱなしのイヤホンから流れ続ける囁きで目を覚ますことになるであろう大河さんなのでありました。

 <エエィもういいよ終わっちまえこのバカップルつーことで了>

287 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/12(水) 23:14:16 ID:hIm4S6wT
>>270
書きたいことは何となく分かるけど、ちょっと無駄な描写が多いかな?
誰かを軸に話しを展開した方がスッキリすると思うけど?
ちょっとゴチャゴチャで話しがわかりづらいし、最後は強引に竜虎の話しに持って行ったって印象かな

288 :どうもでした〜:2009/08/12(水) 23:16:35 ID:SkOoSyyW
今日はもうオチマする。
あ…いま気づいたけどみのりん放置しっぱなしだコリャ。

289 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/12(水) 23:18:46 ID:6jZ/AP0Z
乙。
最初は「スレ違いじゃねw」とか思って読んでたけど、無事にそっちの流れに言ってよかったです。
あと、ひとつアドバイスだけど、投稿時は下げ進行したほうがいいと思うよ。

次の作品もお待ちしています。

290 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/12(水) 23:42:43 ID:s56HzjKq
>>264
完結お疲れ様、面白かったー

>痛い、親父にもぶたれた事ないのに。
ここで飲んでたビールが鼻に入った どうしてくれるっ!


びーびーは今からじっくり読ませてもらいまーす

291 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/13(木) 10:02:16 ID:utG6QGS/
>>286
竜児すきすき攻撃がすごいなぁ。
あるいみひいてしまうが、またそれがいい。

292 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/13(木) 16:46:33 ID:hcTT/efy
昼休みの教室。大河と竜児は今日も仲良く昼食を取っていた。
亜美との水泳対決を来週に控える大河に少しでも栄養を取ってもらいたい竜児。
大河のデザート代わりと称して夏みかん丸々一個を学校に持ってくる始末であった。
「夏みかん丸ごと持ってくる高校生がどこにいるのよ」
そう文句を言いつつもそれを平らげる大河。夏みかんの皮を見てふとひらめいた。
「竜児、私ね、新しい眼つぶしの方法を考えたわ」
「随分と物騒な事を…」
「こっち見て、竜児」
竜児が大河の方を向いた瞬間、大河が夏みかんの皮を指でつぶし、
ブシュッ、っと音を立ててみかんの汁が飛び出す。その汁が竜児の鼻や目にかかり、
「うおおお!目がしみる!」
「ぷくくっ!大成功だわ」
「この野郎、やりやがったな」
竜児が仕返しにみかんを汁を飛ばす。
「うげえ!犬の汁が目に!目が腐る!」
大河がまた竜児の顔へ攻撃を開始する。すかさず竜児も応戦し…

…キャッキャウフフ
教室中に柑橘系の香りを振り撒きながらふざけ合う男と女。それを見つめる友人たち。
「うん、あの二人は今日も仲がいいな」
「ったく、見てるこっちが恥ずかしいっつーの」
「これでもまだ付き合ってないと言い張るかねえ…」

293 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/13(木) 19:04:56 ID:ZIQTvxWz
>>286
相変わらずのハイテンションでブルドーザーのように
笑いを掻っ攫う感じがGJでした!次も期待してます


しかし、盆なのか帰省なのかコミケなのか・・・静かな感じがするなぁ


294 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 02:49:25 ID:lGSYvPot
大河「ふふっ…竜児のやる寝てる寝てる♪」

竜児「スー…スー…」

大河「って当たり前か。もうこんな時間だもんね」

竜児「スー…スー…」

大河「大好きだよ…竜児♪」

CHU♥

おやすみなさい

295 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 02:50:06 ID:lGSYvPot
大河「ふふっ…竜児のやつ寝てる寝てる♪」

竜児「スー…スー…」

大河「って当たり前か。もうこんな時間だもんね」

竜児「スー…スー…」

大河「大好きだよ…竜児♥」

CHU♥

おやすみなさい

296 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 02:52:46 ID:xHsezM/u
大事なことだから2発ヤりました

297 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/14(金) 03:52:58 ID:BCTWMTE3
スレが寂しいので刺激にでもなればと……『明日は休みだ!寝る前ストック投下!』


私はクラスで目立つこともなく特徴も無い、言うなれば名も無き女子A。

こんな私でも人並みに男の子を好きになったりした。
見た目は近寄り難い人だけど、本当は凄く優しい人。私だけが知ってる特権だと思ってた。

想い続けていれば、きっといつか彼は私に気づいてくれる。私の立ち位置は彼の隣に有ると思ってたのに…… 儚い夢だったな

「どうしたの?」
「えっ?あぁ、最近なんだか逢坂さんが綺麗になったなぁと思って」

「確かに前より表情も柔らかくなって話し易いしね。でも何で逢坂さんなの?」
「私って地味で目立たないじゃない?だから逢坂さんみたいにハッキリ物を言ったり、思ったことを即行動で表す人に憧れるの」
「へぇ〜そうなんだ」

結局はその『憧れの人』に『想い人』を持ってかれちゃったんだけどね。でも何だか悔しくはない、逆に2人を見ていたら清々しい気分になる。
ベクトルは違うけど、2人は私にとっての憧れの人に代わりはないんだなぁ…

298 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/14(金) 03:54:20 ID:BCTWMTE3
「あのッ!…ちょっと良いか?」
「高須君?!それに逢坂さん!…どうしたの?」

「あっ、あのさ…」
「もぅ〜!じれったいわね!私が話すから退きなさい!」

「あのね、竜児がクッキー焼いて来たの。スッゴくおいしいから食べない?」
「……ありがとう、でも何で私に?」

「…調理実習の時に言ってくれただろ?俺の作ったクッキーを見て『美味しそう!』って」
「だからね、竜児が『実習室ごときでは真の実力が見せられない』って家で作ってきたの」

「そうなんだ… じゃあ、いただきます」

口に入れると甘い香りが広がる、ホッとする味。

「美味しいでしょ?」
「うん!流石は高須君、美味しいよ」
「でしょ!竜児は料理だけは上手いのよねぇ」

まるで自分のことみたいに喜んじゃって… 可愛いな逢坂さん、やっぱり私じゃかなわない。
こんな2人が恋人じゃないって本当なの?

「……前に逢坂さんが言ってたけど、やっぱり2人は恋人同士じゃないの?」

「……プッ!!ナイ!ナイ!竜児が私の彼氏ってことでしょ?絶対ありえないよ」
「うん、無いな。間違いなく未来にもそんな歴史は無いと思うぞ」

そうなんだ… そうは見えないけどなぁ、誰が見たってお似合いの2人だと思うよ。

「残りは友達とでも食べてくれ」
「うん、ありがとう」

「竜児!早く行かないとみのりんたち待ってるよ」
「分かったから!引っ張るな」

あれで恋人じゃないって言うだもんな… 参ったな。
でも2人はお互いに惹かれ合ってるんだよね?まだ自分の気持ちに気づいてないだけだと思うな。

せっかく同じクラスに居ることだし、私が憧れた2人の恋の行く末を見守ろうじゃないの。
あの2人ならきっと退屈させない、ドラマチックな恋を私に見せてくれるでしょ!

299 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 08:09:49 ID:3tO42esb
>>298
乙です。
さりげない話ですが、「あったかも」と思わせてくれる、ほんわかエピソードですね。

投下したいが、お盆なのになんか忙しくて進められない。コミケじゃないぞ、仕事だ!
少し前まで大量投下が続いていたので、こんな間もあるかな・・・と。

300 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 09:14:31 ID:ZelEyNY3
おとなしい大河がいつも大河と竜児を見守ってる様な感じですねw
上レスの通りホント元2Cで見掛けられたろう風景です

ほんわか暖かい光景

用意されたのは大河が最初に口にしたあのクッキーかしら!?


後半出だしのクダリがイマイチイメージしづらかったので
地の文と言われる!?物が書かれてた方が良かった
なんて言ったらワガママですねぇ〜w

301 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 11:53:03 ID:zL8LeD5Z
乙です、高校の空気が感じられていいね

確かにスレが寂しいですね・・・なんか書くかな

302 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 11:54:23 ID:RlHrxfZc
原稿が終わらんとです
まあ俺はROM専なんだけど

303 :とらドラ!百物語 高須家編 その@:2009/08/14(金) 19:36:17 ID:zL8LeD5Z

というわけで、お盆に相応しい短編を書いてみました。

※※注意※※
タイトル通り怪談も入ってますので苦手な方はお気を付け下さい。
聞いたことある人も多いであろうネタを使って、かつ、
怖さはだいぶ軽減されるように書いたつもりですが・・・

怖さ ★★☆☆☆

では、次レスより投下します。

304 :とらドラ!百物語 高須家編 その@ ◆askgvpoGB. :2009/08/14(金) 19:40:38 ID:zL8LeD5Z



竜児 「よーし、大河はロウソクを立ててくれ、10本だ」
大河 「分かった。このテーブルに円を描くように立てればいいのよね?」
竜児 「おう。竜河は大河の立てたロウソクに火を付けてくれ」
ルカ 「はーい」
竜児 「誰から始める? やっぱり言い出しっぺの俺からか?」
大河 「そりゃそうよ、あんたがやろうって言い出したんじゃない。はい、電気消したわよ」
ルカ 「ロウソクの火だけだと、すっごく雰囲気出るね……ワクワクしてきた!」
竜児 「なんだ、竜河は高校でこういうのやったことねえのか? 合宿とかで……」
ルカ 「うーん……怪談話は友達とやったことあるけど、本格的なのは初めてかな」

竜児 「それじゃ、今からおまえら2人とも恐怖のどん底に突き落としてやるからな……ふふふふ」
ルカ 「……うわぁ、お父さん、その顔……」
大河 「ロウソクの火だけで見ると、まんまホラーね、あんたの顔って……それだけでもう普通の人なら恐怖のどん底だわ」
ルカ 「だよね……自分の親ながら……これは引くよ……」
大河 「ほんっと、竜河は竜児に似なくて良かったわよねぇ?」
ルカ 「うんうん。事ある毎にお母さんの遺伝子に感謝してるよ」
竜児 「おまえらなぁ…………まぁいい、話し始めたら茶々入れるんじゃねえぞ?」

「「はーい」」


竜児 「よし、これは実体験に基づく話だ。あれは何年前になるだろうな……俺が車の免許を取って割りとすぐだったな、たまたま北村が暇でさ、2人でドライブに出掛けたんだ」
大河 「あんた、取り立ての頃はしょっちゅう運転してたもんね。私は飽きたから行かなかったけど……北村君まで巻き込んでたの?」
竜児 「おう、まぁその頃の話だ。ちょっと遠出したかったが目的地が無いのも寂しいからさ、○越隧道ってところに行ってみた」
ルカ 「お父さん、隧道(ずいどう)って何?」
竜児 「ん?あぁ、トンネルだな。だけど俺が行った所は短いトンネルが連続で続いてるような場所で、トンネルとトンネルの間には普通の民家もあったりする」
ルカ 「へぇ……」

竜児 「そこの第三と第四トンネルが心霊スポットらしくてさ、その石造りで古めかしいトンネルを行ったり来たりしてたんだよ」
ルカ 「いかにもって感じだ……」
竜児 「何かが起こるんじゃねえかって期待して、トンネルを抜けた道幅が広いところでUターンして、何度も何度も同じトンネルを通ってたわけだ」
大河 「危ない事するわねぇ……対向車が来たらどうするのよ?」
竜児 「いや、それが全く車を見なかったんだ、結構な時間往復してたのによ……」
大河 「ふーん」


305 :とらドラ!百物語 高須家編 その@ ◆askgvpoGB. :2009/08/14(金) 19:43:01 ID:zL8LeD5Z

竜児 「で、しばらくすると、町の方から一台のパトカーがやってきたんだ。そして俺の車が停められた」
ルカ 「お父さん、怪しすぎたんじゃない? 死体を捨てに来た893さんに見えたとか……」
大河 「ありえるわね、それ。あははは!」
竜児 「だから茶々入れんなって。そんでさ、免許証見せたらその警官がこう言うんだ……」
竜児 「『危ないことばかりしていないで、早く帰りなさい!』ってな。ものすごい勢いで言われてさ……正直ビビった」
大河 「へ……へぇ……」
竜児 「ただ往復してただけだし、俺はスピードもそんなに出さないだろ? だから不思議に思って聞いてみたんだ」
竜児 「何がそんなに危ないんですか? ってさ、そしたら……その警官がこう言ったんだ……」
ルカ 「…………ゴク」

竜児 「『さっきこの辺に住んでる人から通報が入ったんだよ、屋根の上に人を乗せて行ったり来たりしてる車がいるって』……って」
大河 「…………ひぃ……」
竜児 「俺は北村と顔を見合わせた。2人とも車の屋根になんか登ってないからな……」
ルカ 「ま、マジで?」
竜児 「おう、マジだ……俺も北村も怖くなってな、その警官に頼んで、先導してもらって町まで帰った」
大河 「そそそそりゃそうよね……そそそそんなところに一秒たりともいたくないわっ!」

竜児 「幹線道路まで出たところで路肩に止まって、警官が降りてきたんだ」
竜児 「そして、『あんたたち、からかってるのかい? また屋根の上に登ってただろう? バックミラーに映ってたよ』……って」
ルカ 「う……わぁ…………」
大河 「……………………」
竜児 「二人とも耐えられなくなって車から降りたんだ。そんなことしてませんって言いながら、そしたらよ……」
大河 「ここここっち見るなバカ! ……竜河の方見なさいってば!」
ルカ 「いやいや、いい、いい、いいです!」

竜児 「俺のいつもピカピカにしてる車の屋根に……こう……赤黒い泥にまみれた足跡みたいなものと……手形みたいなものが……びっしり付いててよ……」
ルカ 「きゃあああああああぁ!」
大河 「ぎゃああああああああああああぁ!」
竜児 「……俺はそれを雑巾で拭き取って、逃げるように帰ってきたわけだ。 おしまい」


大河 「うぅぅ……竜児のバカ……最初は軽いのって言ってたのに……」
ルカ 「あーあ、お母さん涙目になっちゃった。後でどうなってもしーらないっと」
竜児 「おう? 軽めの話のつもりだったんだけどな……まぁいいか、ロウソク一つ消すぞ」 ――フッ
ルカ 「このロウソクを消すのって、どんな意味があるの?」
竜児 「本当は100本だけどな、今日はコンパクトに10本。それを全部消すと……恐ろしい事が起こるんだ」
ルカ 「ひえぇ……顔が……顔が怖すぎるよー!」
大河 「ふ、フン! そんなの何かの間違いよっ! わわ、わ、私はしししんじないっ!」
竜児 「その割には震えてんだけどな、大河…………だけどな?」


306 :とらドラ!百物語 高須家編 その@ ◆askgvpoGB. :2009/08/14(金) 19:44:24 ID:zL8LeD5Z

大河 「何よ? まだあるの……?」
竜児 「ああ、その汚れきった屋根を見て、俺は雷に打たれたような衝撃を受けた。一瞬で怖いって気持ちも吹っ飛んだ。俺の車が汚れてて良いわけがないだろう?」
ルカ 「あ……はは……いつも磨いてるもんね……」
竜児 「帰り道の途中、北村がこう言ったんだ……」
竜児 「『いやぁ、今日は怖い体験をしたな、高須……だが俺は……非常に言いにくいんだが、屋根を拭いてるお前の方が100倍怖かった』……と」
大河 「………………」
竜児 「ちょっと夢中になりすぎたみたいだ、ははは」
ルカ 「………………」

竜児 「そう言えば……雑巾を取り出して気合を入れた時に警官が悲鳴を上げた気がするけど……気のせいだろうな」
ルカ 「……そう……だと……いいね……」
大河 「そりゃー屋根の上の幽霊より、隣に座る狂気の男の方が100倍怖いでしょうよ……」
ルカ 「え? 今のが実話って事は、いつも乗ってるあの車でしょ? なんか怖くない?」
大河 「大丈夫よ、竜児の顔は魔除けだから……きっと拭き拭きしてる間に逃げちゃったわよ」
ルカ 「そっか!」

竜児 「………………ま、まぁ……俺の話は終わりだ。んじゃ、次は誰だ?」
? 「……はいっ!」



つづく?

307 : ◆askgvpoGB. :2009/08/14(金) 19:45:40 ID:zL8LeD5Z

以上です、ありがとうございました。
なんか見づらくなってしまってすみません。

微妙にテンプレ化して、続きがどうとでも書けるように作ったのは、
誰かがこのネタに乗っかってくれたら嬉しいなと思ったのでw

自分が持ってる怪談ネタは後2つありますが・・・
まぁスレの流れを見て大丈夫そうなら書くかもしれません。

それでは〜

308 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 20:18:59 ID:eABG+AX1
>>307
おお、夏らしい話しでよかったです。

ちょっと怖かったかなぁ。。。(うそ)

309 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 22:12:50 ID:3UOXwJm7
>>303
幻想郷の住人みたいなもんである私に怪談など!!

310 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 22:29:51 ID:1bv/MgEu
なかなか面白かったGJ
神奈川県K市とZ市の境にあるトンネルですな?

ある一家がそのトンネルの近くの別荘に滞在中、母親が歩いてそのトンネルを通ろうとしたんだが、
トンネルの噂は有名だから怖くてトンネル入り口で逡巡していた。
そこにおまわりさんが通りかかったので、怖いので一緒に歩いてもらいたいとお願いしたら、
おまわりさん快く引き受けてくれたわけ。。
それでも怖いので、おまわりさんの手につかまって目をつぶってトンネルを歩いていたら、
トンネルの中でおまわりさんが立ち止まったんだそうだ。
あれ、どうしたのかなと思って目を開けたら…壁から無数の手が出ていて、
母親はそのうちの一本の手につかまっていた

という話を思い出したよ

311 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 23:25:49 ID:3tO42esb
>>307
おおっ、GJ!っす。 面白いです。 竜児おいしすぎw
親子3人でのノリも楽しいし、続きもぜひお願いしたいところです。 

>>310
ギャー!

312 : ◆x6jzI2BeLw :2009/08/14(金) 23:41:45 ID:gNgMgOYH
>>222->>225
>>227
>>229
いろいろ感想などありがとうございます。

ある程度まとまったのを書いていると、つい脱線したくなるもので。
ネタがあれこれかぶってそうなやつですが、書きかけの物を仕上げてみました。
単に集中力が切れてるだけとも言いますが。
短めですが投下します。


313 : ◆x6jzI2BeLw :2009/08/14(金) 23:43:45 ID:gNgMgOYH
暑かった夏も終わり、新学期が始まったばかりの9月の金曜日の夜のこと。
例のごとく、自分専用と決め付けている高須家備品の座布団をふたつに折り曲げて、枕代わりに寝転んでる居候がひとり。
高須家の居間で長い髪を畳の上へ横たえ、相変わらずの美少女振りを発揮するのは逢坂大河であった。
竜児にとって既に大河が自宅の居間にいるのがすっかり見慣れた光景になっており、もはや空気のような存在。
普段は意識しないが何かあると意識してしまう。そしてそれが無くては生きていけない。
大げさかもしれないが、明日から急に大河が居なくなれば、寂しいとか、そんな簡単な言葉で表すことが出来ないくらいだ。
めったに無いことだが、たまたま大河が早く自宅に帰ったりしてしまうと、居間にポッカリ、隙間が空いてしまい、ジグソーパズルのピースが足らないようなもどかしさを竜児は感じる。
ついこの間も台所で家事仕事をしていて「大河」と声をかけ、返事が無いので後ろを振り向いた時、居間に誰も居なくて、竜児はひどく慌てた。
「眠いから帰る」
そう言って、ちょっと前に大河が帰ったのを思い出し家事仕事に戻ったのだが、心が落ち着かず竜児は居心地の悪さを翌朝まで抱え込むことになった。
それは「わかめ?、豆腐?」と、朝食の味噌汁の具を聞きながら玄関ドアを騒がしく開けて、飛び込んで来る大河を見るまで続いた。
・・・俺、どうかしてる。
夏休み以降、自分でも変だと思いながら、竜児はこのところ、毎日を過ごしていた。

「・・・くしゅん」
うたた寝していた大河がくしゃみで目を覚ます。
「う〜っ、鼻水」
鼻から水ちょうちんを垂らして起き上がり、そのまま着ていた服の袖でぬぐおうとする。
「ん、あに?」
己を見ていた竜児の視線に気が付き、袖口で拭くのをやめ、「ティッシュ」と催促。
竜児は近くのボックスから2〜3枚抜き取ると、そのまま大河の鼻を押さえ、「ほら、ちーん」と鼻をかむ様に大河をうながす。
以前なら「自分でやる」と言っていた大河だが、今日は素直にそのまま「ふん」と鼻を鳴らす。
そんな大河の鼻の下を新しいティシュで拭いた時、竜児は大河の異変に気が付いた。
「う〜」と唸る大河はだるそうで、見れば顔がかなり赤かった。
キャンバスの様に白かったはずなのに淡いピンク色の絵の具をにじませたみたくほんのり色付いる大河の頬。
「熱、あるんじゃねえのか」
「風邪、ひいたみたい」
「いい加減、クーラーつけっぱなしで寝るのはやめろよ」
「タイマーにするの忘れたの」
今朝も寝坊した大河を起こしに逢坂家にお邪魔した竜児は大河の寝室に入って驚いた。
異様にひんやりしており、見ればエアコンが全開で、冷たい空気を吐き出し続けている。
リモコンの設定温度を確認するばなんと20度で、大河は夏用の薄いパジャマ姿で寒そうに、タオルケットを体に巻きつけて寝ていたのだ。
「もう、今日は帰って、寝ろ」
大河が帰ってしまうのは辛いが、病人を引き止めるわけにはいかない。
「・・・そうする」
立ち上がろうとした大河は、立ち眩みを起こし、バランスを失った。
「あぶねえ」
そしてそのまま支えようと手を伸ばした竜児に大河は体ごと倒れこんだ。
抱きしめるような形で大河を受け止めた竜児。
思いもかけない形で大河100%祭りのような状況に追い込まれ、竜児の心拍数は跳ね上がった。
腕の中に・・・腕の中に・・・大河が・・・。

314 : ◆x6jzI2BeLw :2009/08/14(金) 23:45:01 ID:gNgMgOYH
うでのなか たいがとびこみ どうしよう

怪しげな一句が竜児の頭を駆け巡る。
季語がねえ、などとどうでもいいことに独りで突っ込みを入れながら、竜児は自分の両手をどうしようかと思案した。
このまま、大河を腕の中でぎゅっと抱き締めてしまいたい衝動が抑えきれないのだ。
もちろん、普段のときにそんなことをしようものなら、血を見るのは明らか。
だが、今なら・・・。

竜児は腕に力を入れると、そのまま自分の頭を殴りつけた。
・・・俺は馬鹿か。
竜児の胸の中で苦しげに息を吐く大河を見て、そんな不純な気持ちは消し飛んでしまった。
「大河、大丈夫か」
「目が回る・・・みたい」
「ちょっと、いいか?」
竜児はそう断ると大河のおでこに手を当てた。
熱したフライパンも顔負けの熱さで、目玉焼きが焼けるぞと竜児は思ってしまったほどだ。
「病院へ行こう」
慌てて動こうとする竜児の服のすそを大河はつかんだ。
「いい・・・行かなくて」
「だけど」
「あそこは嫌い」
そう言われて竜児もためらった。
夏休みの最中に腹痛で駆け込んでひどい目にあった場所だ。
しかし、そこ以外にこんな遅い時間に診てもらえるようなところを竜児は知らなかった。
「じゃあ、薬を・・・駄目か」
大河にアレルギーがあることを思い出したのだ。
「飲んでいい薬の種類、わかるか?買ってくるから」
「思い出せない・・・何とかが駄目って言われてるけど・・・何とかが出てこない」
熱でぼうっとしているせいか、大河のメモリーは読み出しエラーの状態。
薬も駄目、医者も駄目、どうすればいいんだと竜児が途方にくれている間に大河は全身が脱力するみたく畳に突っ伏した。
「た、大河」
もう、大河を自宅に帰してと言う段階ではない。
竜児は自分の布団を敷き、その上に大河を横たえた。

体温計はどこかのプロ野球監督の台詞そのままだった。
・・・信じられねえ。
40度近い数字に竜児は目を疑う。
とにかく冷やそうと、竜児はタオルを氷水で冷たく濡らし、大河のおでこにあてがった。
「ひんやり・・・」
「気分はどうだ?」
「なんか常夏の島で、オーバーを来て焼き肉食べてるみたい・・・カルビとか・・・焼き鳥も・・・ああ、食べたい」
異様に熱いと言うことだろう。
しかし、こんな状態でも食べ物に結びつける大河に、竜児は少し安心する。
食い意地があれば大丈夫だ。・・・とは言うもののあまりに高い熱に竜児は不安を隠せない。
早く熱を下げないと・・・もしも大河がパーにでもなったら目も当てられないことになる。
頼みの靖子は電話に出てくれず、メールにも応答が無い。
大河の息は荒く、辛そうで、何とかしてやりたいと痛切に思う。


315 : ◆x6jzI2BeLw :2009/08/14(金) 23:46:42 ID:gNgMgOYH
・・・竜ちゃんはね・・・子供の時にお熱を出したら、う〜んと汗をかいて、熱を下げたんだよ。

不意に靖子の言ったことがよみがえる。
そうか、汗をかけば熱は下がるんだ。
竜児は厚手の掛け布団を持ってくると大河に掛けた。
「・・・何・・・熱い」
布団蒸し状態にされ、大河が抗議の声を上げる。
布団を蹴って、足を出そうとする大河を竜児は押し留めた。
「がまんしてくれ、大河」
「う〜・・・後で・・・う〜・・・覚えて・・・う〜」
唸り声と呪詛の声を交互に繰り返す大河が布団を剥がさない様に、その上から竜児は力ずくで押さえ込んだ。
布団の下で暴れる大河に「わりぃ、ごめん」と繰り返し謝りながらそれでも竜児は布団の上から動かなかった。
そのうちしばらくして、大河が静かになった。
竜児が大河の顔を覗き込むと顔一面に大粒の汗・・・。
呼吸もかなり楽になった感じですうすうと心地良さげにしていた。
暴れて疲れ切ったのか、そのまま眠ってしまった大河に竜児がおでこに手を当てると、熱はかなり下がった感じで、ひとまず、ほっとすることが出来た。
とりあえず掛け布団をどかした竜児はそこで新たな問題を発見し、困惑する。
雨で濡れた様に湿っている大河のフリフリのワンピ。
・・・このまま着てて良いわけが無い。
着替えはとりあえず、俺のジャージでいいか・・・と用意したまでは良かったが、大河が目を覚まさない。
体力を一気に消耗してしまったせいなのか、かなり深い眠りに落ちている。

汗まみれの眠り姫を前に竜児は途方にくれた。
「大河、おい、起きろ。着替えねえと・・・駄目だ」
揺すったり、頬を叩いたりしても大河は起きない。
「どうする?・・・困った」
童話の眠り姫はどうやって起きたんだっけ、などと考えている竜児。
そして、すぐ目を覚ますと思った大河はなかなか起きない。時間だけが過ぎて行く。
「・・・非常事態だ。このさい・・・仕方が無い。大河、許せ」
犯罪者が犯罪に走る瞬間はこんな気持ちなんだろうか、そんな想いを抱えながら寝ている大河に竜児はそっと手を伸ばした。




「責任取ってよ、竜児」
「せ、責任って・・・何だよ?」
次の日の夕方、大河はすっかり元気になっていた。
高須家にいつものように夕食を食べにやって来たのだが、開口一番、竜児に詰め寄った。


316 : ◆x6jzI2BeLw :2009/08/14(金) 23:49:23 ID:gNgMgOYH
あれから朝方には平熱に下がり、竜児は安心して大河を自宅へ帰していた。
もちろん竜児もついて行き、おかゆなどを作ったのは当然だが。
「おかゆじゃ、足らない」
「病人はそれが一番だ」
「もう起きる」
「寝てろ」
「大丈夫」
昼過ぎになって、見る見るうちに復活した大河は起き上がることを主張して竜児を手こずらせた。
結局、夕食を「焼肉」にすると言うことで大河は納得し、おとなしくその日一日、ベッドの住人として過ごしたのだった。
もちろん、プリン持って来いだの、のど渇いただの、すっかり王侯貴族になりきって竜児をこき使ったのは疑う余地も無い。

「もう、お嫁に行けない」
「俺は・・・何もしてないぞ」
「・・・見た、でしょ・・・」
じとっと上目遣いで竜児ににじり寄る大河。
「お、俺は何も・・・見ちゃいねえ」
「・・・正直に言うなら今のうちよ」
手をぱきぽき鳴らす大河。
「正直って・・・何に正直なんだ」
「ね、どうやって、着替えたの?私」
「それは、大河が・・・自分で」
竜児の目線は大河を見れない。
「覚えが無いんだけど」

大河の追及をかわし切れない竜児はとうとう本当のことしゃべった。

「ああ、見ちまったよ、確かに」
目の前の大河は昨夜の熱がぶり返したかと言うくらい真っ赤になった。
「・・・ど、どこまで、ねね、竜児・・・どこまで・・・み、たの」
語尾をかすれさせながら、大河は恥ずかしさの余り竜児に尋ねる。
「・・・なんだ・・・大河、起きないから、ワンピは悪いけど・・・脱がせた」
「そ、それで・・・」
「だから、その・・・下に着てた、あれとかそれとか・・・」
竜児も顔を赤くしてしどろもどろ・・・。


317 : ◆x6jzI2BeLw :2009/08/14(金) 23:51:09 ID:gNgMgOYH
結局、大河のきわめてプライベートな格好を見てしまった竜児なわけであるが、大河とて女の子。
それ以上、竜児が手を触れるのを拒み、無意識の中で下着を脱ぎ、タオルで体を拭いて、用意された着替えを身にまとっていた。
その間、竜児は後ろを向いたまま、タオルやら着替えやらを大河に手渡したのだ。
ただ、手渡す瞬間にちらりと大河の背中や二の腕のミルク色の肌が見えてしまったのは仕方の無いことではあるが・・・。

「・・・うそ、ついてない?」
「本当だ、信じてくれ・・・第一、着せ替え人形じゃねえんだ、そんな簡単に着替えさせられるか」
「ま、いいわ・・・信じてあげる」
大河とて、ぼんやりとは自分で脱いだ覚えがあるのだ。
まさか、始めから竜児が脱がせたなんて思っていたわけではない。
「・・・遺憾だわ・・・ああ、もう、なんて不覚」
「そ、そんなに言うこと無いだろ」
「だって、そうじゃない・・・ああ、もうよりにもよって・・・」
「そんなに俺に見られたのが嫌なのかよ」
そこまで言われると竜児とて傷つく。
「違うわよ」
「じゃあ、何だよ」

大河の説明はこうだった。
いい加減、着古したやつだったのよ・・・一年前に買ったやつで。
・・・だから、もう分かんない?
あんな下着を着てるのを見られたのが遺憾なのよ!!

それが冒頭の責任取れと言う発言に繋がるらしい。
ようするに「ちょっと古い下着姿を竜児に見られたのが駄目」と言うことなのだ。
女心の複雑さに竜児はそんなものかと思う。
だが、待てよ・・・と竜児は考える。

「なあ、大河」
「あん」
「その、気に入らないカッコを見られたのが遺憾で、責任取れってことだよな」
「その通りよ!!」
「それって・・・俺にもう一度、見てくれってことか?大河がお気に入りをつけている姿を」

大河自身、言った言葉の意味にもう一度、赤くなる。
照れているのか、怒っているのか赤い顔のまま、エロ犬、早く焼き肉用意しろと怒鳴る大河。
そんな大河がいることに竜児は安心する。
今日も大河は家に来てくれた。明日も、あさっても来てくれよ。大河がいないと・・・何かが足らないんだ。
台所の背後にある居間で騒ぐ元気そうな大河の声を聞きながら、竜児は満ち足りた何かを感じ始めていた。


318 : ◆x6jzI2BeLw :2009/08/14(金) 23:55:27 ID:gNgMgOYH
以上です。

すいません、お馬鹿なお話でw

>>307
夏らしくていいですね。


319 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/15(土) 00:21:23 ID:sBv02pv0
>>310
こええよ・・・・・。

>>318
付き合う前の話って、どきどきがあっていいねぇ。
(そんなおいらはギシアンばかり・・・はぁ)

GJ.でした!!。


320 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/15(土) 01:45:18 ID:Iet1Fknh
甘酸っぱくていいね
照れてる大河が浮かんでニヤニヤしちまったい!

321 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/08/15(土) 02:37:34 ID:eJzyAAe1
お題 「鼓膜」「冷たい目」「絶叫」



「あのね竜児、来週の金曜からママがパパと弟と一緒に里帰りするのよ。一泊二日で」
「おう……って来週ってことは、夏季講習に被ってるじゃねえか」
「そうなの。いろんな都合でどうしてもその日にしか行けなくて。ママは一日ぐらい夏季講習を休んでもいいって言ってくれたんだけど、私が自分で言い出した以上きちんと受けたくて、だから私はお留守番なんだ」
「おう、そいつは大変だな」
「……はぁ」
「な、なんだよ、その妙に冷たい目は?」
「まったくあんたはいつまでたっても鈍犬なんだから。なんでそこで『一人じゃ心細いだろうから泊まりに行ってやるよ』とか気の利いた事が言えないの?」
「お、おう……って、泊まりってのはまずいだろう」
「何がまずいってのよ。二人で居るのなんてしょっちゅうじゃない」
「でもよ、泊まりとなると、その、意味が違ってくるだろ?」
「……このエロ犬」
「いや、ケジメとして少なくとも高校卒業するまではって思ってるけどよ、俺も一応男なわけだし、その、もし我慢できなくなっちまったら……」
「ふふ、冗談よ。そのへんは竜児を信用してるもの」
「大河が信用してくれるのは嬉しいけどよ、親がOK出さねえだろ」
「あら、ママもパパも竜児だったら安心だって言ってくれたわよ」
「お、おう、そうなのか」
「それに、万が一、その、そういうことになっても……りゅ、竜児なら、構わないし」


322 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/08/15(土) 02:39:00 ID:eJzyAAe1
 そして金曜。
 まあなんだかんだ言っても大河と一緒に居られるのは嬉しいし、二人で食事の準備とか、新婚生活の擬似体験のようで楽しいし。
 ゲームをしたりテレビを見たりとりとめもなく駄弁ったり、気づけばまた六畳間の距離感だったり。
 ただやはり、夜が更けてくるに従って竜児の心中は落ち着かなくなってくるわけで。
「お、おう……」
「竜児、どうかしたの?」
「いや、なんでもねえ」
 風呂上りの大河をまじまじと見つめている自分に気がついたりしたら。
「……こいつを使うしかねえか……」
 『そういう気分』を吹き飛ばすための最終兵器。
 すなわち――櫛枝実乃梨セレクションDVD。

「っひいぃやあぁぁぁ〜っ!」
 大河の絶叫が鼓膜を震わせる。
 竜児はといえば、恐怖のあまり声も出せずに口をぱくぱくと。

 ぜーぜー、はーはー。
「……す、すごかったね」
「ああ、流石は櫛枝だ……」
 と、気がついた。
 いつの間にか大河が左腕にしがみついてることに。
 いや、この程度のスキンシップなら普段から珍しくない。
 珍しくない、はずなのだが……
 大河は怯えの残る表情で、瞳を潤ませて、ぎゅっと身体を押しつけてきて。
 なんだかドキドキが治まらない。いや、さっきまで見てたDVDのせいもあるのだろうけど。
(ああ、だからホラー映画とかお化け屋敷とかがデートの定番になるんだな……)
 頭の片隅にそんな考えが浮かぶ。同時に吹き飛ばしたはずのモヤモヤが蘇る。
「あ……た、大河」
「……な、何?」
「その……ちょっと疲れたし、そろそろ寝ちまおうぜ。もう遅いしさ」


 正直かなり危なかったが、なんとか乗り切ることは出来た。
 まだ臍下あたりのモヤモヤは残っているが、とにかく寝てしまえば朝には落ち着いてるだろう。
 竜児は客間のベッドに潜りこみ、目を閉じる。
 ……
 …………
 ………………
「……眠れねえ……」
 大河にせがまれるままにお休みのキスとかしたのもまずかったかもしれない。
 大河の姿が、声が、匂いが、感触が、脳内で繰り返し再生されて、悶々とした気分はいや増すばかり。
 一度『処理』してしまえば落ち着くのだろうが、人の家で、しかも大河が近くに居る状況でするのも気が引ける。
「……水、飲んでくるか」
 ついでに顔でも洗えば少しはスッキリするかもしれない。そう考えながらベッドを降り、客間のドアを開ける。

 そこには大河が立っていた。

 パジャマ姿で、枕を抱えて、少し涙目で。
「……あ、あのね、竜児……その……怖くて、眠れないの……
 だから、その……傍に居ても、いい?」
「……お、おう」
 高須竜児の永い夜は、まだ終らないようだ。


323 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/15(土) 02:59:56 ID:51u8o5YM
つ、続きは!?


駄弁ったり

駅弁ったり
に見えた

素でそう読んだ俺は疲れてる
原稿おわんね

324 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/15(土) 09:40:09 ID:COHzk8dT
>>323
俺漏れも

325 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/15(土) 13:43:13 ID:4xCLDZvQ
>>323-324おれもだ

326 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/15(土) 14:48:46 ID:+YWJyWEo
>>306
誰も突っ込んでいないけど、最後に「はいっ」って返事したの、誰だよ…

まぁ、俺は恐がりだからこれは作者が「後に誰かが続けられるように」しておいたのだと好意的に解釈しておく。

327 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/15(土) 15:31:07 ID:sBv02pv0
>>326
こわかったから、つっこまなかっただよ。
こえぇよぉぉぉぉ。


328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/15(土) 16:33:32 ID:Iet1Fknh
あとがきに、どうとでも続けられるようにって書いてあった気が

329 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/15(土) 18:19:34 ID:COHzk8dT
ゆうべリアル心霊現象を体験した俺には怖い物など来月のクレジットカードの請求金額しか無い

330 : ◆fDszcniTtk :2009/08/15(土) 22:10:53 ID:+YWJyWEo
じゃ、空気読まずに続けるぞ

331 :とらドラ!百物語 高須家編 そのA ◆fDszcniTtk :2009/08/15(土) 22:14:33 ID:+YWJyWEo
「はいっ!」
「おう、竜河。よし、次行ってみろ」
「うん、あのさ、うちの高校に伝わってる話なんだけど」
「うちのって…、あんた、私達の学校の後輩じゃない。竜児、うちって怪談話あったっけ」
「いや、無かった気がするぞ。俺とお前が知らないだけかもしれないけど。竜河、俺たちが卒業した後の話か?」

竜児と大河が顔を見合わせ、そしてそろって竜河を見る。大橋高校は、そもそも脳天気すぎて怪談話なんかなさそうな気がするが。もっとも、そう言われても、竜河にはよくわからない。よくわからないから怪談話なのだ。

「うぷぷぷ、独身の怨念だったりして」
「言ってやるなよ。だいたい独身も、もう独身じゃないんだから」
「でも…ぷぷぷ」
「おう、竜河。続けろ」
「うん」

話の腰を折られていちいち怒っていては、高須家の一人娘は勤まらない。

「あのさ、随分前の話らしいんだけど」
「おう」
「ある男の子が夜中一人で寝てたらしいのね」
「何言ってるのよ、高校生にもなって親と寝てる子なんていないわよ」

薄い胸をむやみに偉そうに張って大河が混ぜ返す。

「そう言う意味じゃなくて。どうもその子は親の帰りが遅いらしくて、いつも夜は1人で寝てたらしいのね。だからその晩も遅くまで1人で勉強したあと、誰もいない家でいつものように1人で寝てたの」
「…」

混ぜ返されても動じずに低い声で話す竜河の様子に、大河はちょっと怖くなったのか口をつぐむ。

「その子はきちんとした子でさ、寝る前にちゃんと火の始末と戸締まりはしてたのね」
「…」
「で、いつものように寝たんだけど、ふと、2時過ぎに目が覚めたらしいのよ。そんなことは普段は無いんだけど。おかしいな、って思って、気がついたらしいのね」
「な、何に気がついたのかしら」
「風が入ってきてるのよ。変よね。窓はちゃんとしめたのに。その子はあれ?と、思ったのよ。閉めたはずなのに。でも、窓が開いてるの」
「な、何よ。とと戸締まりしたって、いい言ってたじゃない。変なの」

明らかにびびった声で大河が無理に笑ってみせる。ああ、きっと鳥肌立てているなと思うが、一方で竜児はいやぁな予感。

「それがね、その窓は鍵を掛けてなかったんだって。そんなところから泥棒が入ってくるはず無いから。でも窓が開いてたの。おかしいなと思って閉めたんだけどさ、後ろから見られているような気配」
「わかった!」

竜児が遮る。こめかみを押さえて苦痛の表情。

「何よ竜児。いいところなのに」

いいところ、という顔はしていないが、これからというところで話を遮られて大河がふくれている。こいつはいつもそうだ。櫛枝に借りたホラービデオは、いつも大騒ぎして目をつぶっているくせに、消すと怒りやがる。

「いや、その。これがすごく怖い話だってのはわかった。だから、もういい。怖いから。本当に怖いから」

そう言って、竜児は大河をガン見。いい加減気づけ馬鹿!と目からビームを出して鈍い大河にメッセージを送り込む。

「え、お父さんこの話知ってるの?」
「お、おう。知っているとも。大河も知ってる。な、な、大河そうだよな!あーほんと、思い出しただけで背筋が凍るぜ。死ぬほど怖い話だ。さ、さ、次行こう!竜河、ローソク消せ」
「ちぇ、つまんない」
「竜児、あんた」
「あー!わわわわわーっ!怖いな−!次、行こう、よーしっ!次の話誰か行け!」

こうして、100物語省略版高須家編その2は結末を見ないまま終わった。Nice boat.


332 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/15(土) 23:18:29 ID:COHzk8dT
>>331
あまりの恐ろしさに思わずチャーハン作っちまった

333 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/15(土) 23:35:17 ID:3QDrFquk
未完のこわい話は
nice boatだわなw

334 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/16(日) 09:43:20 ID:BPNfoE7w
>>331
木刀持ったミニサイズ妖怪、発見!

何故この話が怪談話化したのか、それが分かってからが本当の怖い話ですね、分かります。

335 : ◆askgvpoGB. :2009/08/16(日) 16:20:44 ID:NYGYqq5w

>>308>>311>>318
感想頂いた方ありがとうございます。

>>309
すません、幻想郷はあまり詳しくありません。
でも…見たかったよね、地上波でつるぺtt(ry

>>310
こっちのが怖いw
元ネタはあまり詳しく調べてないですが、多分その辺りです。

>>326-328
>>331さんのような感じで使ってもらえば良いかなと思ってました。
もしくは、バイトから帰ってきた設定の泰児でも何でもw
意図しない方向で怖かった方にはごめんなさいです。

>>331
おお、ありがとうございました。
これは確かに怖い。知った後の大河も怖いw


残りのネタは★★★★☆と★★★★★★★★な感じです。
ですので、これまでのようにとらドラ的なオチを用意しても、
スレチになるくらい怖いと思うので、そっち方面は遠慮する事にします。

336 :〜そよぎ〜 ◆askgvpoGB. :2009/08/16(日) 16:23:02 ID:NYGYqq5w

その代わりというわけじゃありませんが、
一応、【たいが】のafterで書いておいたものです。
たいしたもんじゃないのでサラッと読んで頂ければと。

では、次レスより投下します。

337 :〜そよぎ〜 ◆askgvpoGB. :2009/08/16(日) 16:23:57 ID:NYGYqq5w



「あ”〜〜づ”〜〜い”〜〜ぃぃ〜〜」
「そんなに暑くねえだろ? ほら、窓も開けたんだし、風が入ってくるじゃねえか」
「生ぬるいのよ、風が……ったく、何でエアコン切るのよー?」
「だっておまえ、ずっとエアコンでキンキンにしてたら身体が冷えちまうだろ?」
「そうだけどさぁ……あっついのよ、もう!」
「暴れんなって。余計暑くなるし、お腹に障るだろ?」
「分かったわよ……ホント細かい男なんだから……」

ぶつぶつ文句を言いながらリビングの窓際で寝そべってる私。
エアコンを切った途端に汗が出てきて、濡れ雑巾のようにぐったりしてる……
窓から風が入って来ないわけじゃないけど、エアコンとは比べるまでもない。

「おい、大河。これ掛けておけ」
「えぇ!? イヤよ、何でこんな暑いのに更にタオルケットなんか……」
「だから、冷えないようにだよ。風にずっと当たってると良くないぞ?」
「やっぱりエアコン付けない? MOTTAINAIって言うなら温度上げるから」
「だーめーだ。ほら……」

と言いながら、お腹の上だけタオルケットを掛ける竜児……

「ううぅ……」
「よし、まぁこんなもんだろ。後は慣れてくれば大丈夫だ」
「んあー! あーつーいーっ! やっぱり暑い! あついあついあついいぃ!」
「……おまえ、いい加減自覚しないとダメだぞ? これからもっと大変になるんだからさ」
「分かってるけど……暑いのよ。 それに、ちょっと気持ち悪いんだもん……」
「おう、つわりって奴か? ……そうか、もう始まる時期なのか」
「まだ軽いものだけどね。だから暑いのまで我慢できないっ! エアコン付けてっ!」
「分かった分かった。それなら扇いでやるから、ちっと待ってろ」
「え?」

のんびりした足取りで竜児が隣の部屋から戻ってきた。その手にはうちわ。

「またレトロなものを……」
「は? なに言ってんだよ、どんだけ現代っ子なんだおまえは? まさか使ったこと無いとか?」
「う、うう、うるさいわね……あるわよ、お祭りの時とか、そ、そういう時に……」
「はぁぁ……エアコンが無かったら生きていけねえな、おまえは……」
「…………」

仰向けで寝そべってる私の頭の上に胡坐をかいて竜児が座る。 

「あんまり近くに寄らないでよね、暑いんだから……」
「へいへい」

338 :〜そよぎ〜 ◆askgvpoGB. :2009/08/16(日) 16:25:47 ID:NYGYqq5w

パタ― パタ― パタ―
そんな乾いた音を出しながら風が送られてくる。でも、

「……ぬるい」
「贅沢言うな」
「あんまり変わらない……あつぅ……」

そう言いながら、真上を向いて竜児を睨みつける。

「……んじゃ、少し強くすっから」

パタパタ― パタパタ―

「んーもっと強くっ!」
「……ったく。このくらいか?」

パタパタパタパタ――

「あぁ……いいかも! 汗が引いてくわ。なかなかやるじゃない、竜児……ほら、もっともっとっ!」
「くっ……俺は逆に汗が出てきたぞ……?」

バタバタバタバタバタ!――

「ふあぁー! すーずしーい! んもっとぉ!!!」
「アホか!? これ以上やったらうちわが壊れちまうって」
「ちっ…………」

パタパタパタパタ――

「ま、こんくらいが妥当だろ、涼しくなったか?」
「……うん。 悪くないわね、うちわも……」
「普通は自分で扇ぐんだけどな……」
「うっさい」

ふっと見上げると、竜児が目を細めてこちらを見下ろしている。

「ねぇ、竜児……」
「おう?」
「静かね……」
「そうだな。テレビでも付けるか?」
「ううん、いい……そういうんじゃなくって」
「ん?」
「……明日さ……お買い物いこっ?」
「いいけど、どこ行くんだ? スーパーか?」
「ううん。駅ビル……かな。雑貨屋さん行きたい」
「分かった。何買うんだ?」


339 :〜そよぎ〜 ◆askgvpoGB. :2009/08/16(日) 16:27:17 ID:NYGYqq5w

パタパタパタパタ――

「…………んっとね、風鈴……」
「おう、これはまたレトロな……」
「前にさ、やっちゃんの実家に行ったじゃない? この子の事を、報告にさ」
「ああ」
「あの時どっかから聞こえてきたんだ。
 ああいう、高くて透き通る感じなんだけど、耳当たりが優しいのがいいな……」
「そっか……」
「ね、そしたら、もっと涼しそうじゃない?」
「そりゃそうだろ。そのためのもんだしな」
「それもそうね……」

「でも、あれだぞ? こうやって窓を開けてないとあんまり聞こえないぞ?」
「え? あぁ……うん。 あんたの言う通り、エアコンばっかりじゃ身体に良くないもんね。窓も開けるわよ」
「おお……分かってくれたか、大河」
「その代わりっ!」
「おう?」
「その時は竜児がこうやって扇いでくれなきゃイヤだからね?」
「何だ、そんな事か……お安い御用だ」
「へへ……やったね」

パタパタパタパタ――
顔に当たるうちわの風が気持ちいい。
お腹の上に両手を乗せて、竜児の言う通り冷やさないように。

「あのね、竜児。この子にも聞かせてあげたいんだ……聞こえるかな?」
「ああ、聞こえると思うぞ。これからどんどん大きくなってくるんだろ?」
「そう……ね…………あっ!?」
「ん、どうした?」

目をまん丸にして竜児を見上げる。

「いま、動いた…………」
「おうっ!? マジか!? ちょ、ちょっと俺も触っていいか?」

なんて言いながら、竜児が身を乗り出して来た。

「ぷっ……あっはははは! こんなペッタンコなのに、まだ動くわけないじゃない!」
「えっ? 何だ冗談かよ……ビックリしたぜ、マジで」
「あははっ! ちょー焦ってたわよ、あんた。もう傑作! ぷぷぷっ……」
「おいおい、ひでぇな大河……もう扇いでやんねえぞ?」

ちょっと拗ねたように口をへの字に曲げて、うちわを扇ぐのを止めようとする。

「あっ、だめだめ! そしたらまた暑くなっちゃうじゃない。ちゃんと続けてよ、竜児」
「……………………」
「もう……ごめんってば……」
「……ま、もうすぐだもんな」
「そうよ……もうちょっと待ってね」
「……おう」

340 :〜そよぎ〜 ◆askgvpoGB. :2009/08/16(日) 16:28:45 ID:NYGYqq5w

パタパタ― パタパタ―
竜児が動かすうちわの音と一緒に、かすかに虫の音も聞こえてくる。

「ね、いいね……こういうの……」
「そうだな」
「チリンチリーンって風鈴が鳴ってたら、もっといいね……」
「ここは風通しもいいからな」
「んーっ 気持ちいいね、竜児」

猫みたいに全身で伸びをしたら、竜児の足にちょっとぶつかった。
そのままの格好で両手を伸ばしたまま、ぶつかったところを撫でてやる。

「……今度は俺も扇いでくれな?」
「うん……」

パタパタ― パタパタ―

「ねぇ……手、握ってて……」
「ん?暑いんじゃなかったのか?」
「もう……平気……」
「…………」

何も言わずに、指先だけを絡めるように握ってくれる。
柔らかな風がそよそよと私の髪の毛を揺らしてて心地よい。

「ふあ…………あっ…………っふ…………」
「あーあ、でっかい口開けてまったく……」

パタ― パタ― パタ―

「……んぅ…………うる……さいって……のよ…………」

パタ― パタ―

「おい、大河?」
「……………ぅ……ん……」

パタ―

「……………………」
「……寝ちまいやがった……か……」




end

341 : ◆askgvpoGB. :2009/08/16(日) 16:29:29 ID:NYGYqq5w

以上です、ありがとうございました。
色々とシンクロしてるのは、ほら、夏だし(ry

342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/16(日) 17:01:58 ID:9s+0b4E/
>>341
いいねぇ。いいよぉ。
ほんわかしたかんじがよいです。
GJでした。!!


343 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/16(日) 20:57:22 ID:2QLhOAOB
たいがは特に好きな作品だから続き書いてくれてほんと嬉しい
ほのぼのした雰囲気が和むわぁ、GJでした!

344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/17(月) 01:16:35 ID:ORzpPaZq
最近、寝る前にここをみるのが楽しみになっちゃって。本当、みんな話の構成がうまいな〜と、感心しちゃいます。

345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/17(月) 02:10:42 ID:VzAC97ks
で、投下ないとガッカリしながら眠りにつくオイラ

346 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/17(月) 03:42:00 ID:vXv9dfp0
 竜児は浴槽に満たされた熱い湯にゆっくりと体を沈める。
「ふう……」
 思わず声が漏れる。
 風呂は命の洗濯……まったく昔の人は上手い事を言ったものだ。
 ここ数日の目の回るような忙しさで溜まった疲労が、ゆっくりと湯の中に溶けていくようだ。
 目を閉じると、そのまま意識を手放してしまいそうになる。
 と、
「竜児ー、入るわよー」
 返事をする暇もあればこそ、宣言から一瞬も待たずに突然扉が開く。
 咄嗟に視線を逸らすが,視界の端を掠めたその裸身は間違いなく――逢坂大河。
(ななな、何で大河が?)
 先程までののんびり気分は一瞬で吹き飛び、頭の中は疑問符の嵐でパニック状態。
 そんな竜児の心境を知ってか知らずか、ざばーっと湯をかかる音と「ふいー」とかのんびりした声が耳に入る。
 ……振り返ればそこには一糸纏わぬ大河がいる。
 竜児とて男だ、見たくないわけがない。
 だが、見たらその後に待っているのは間違いなく死。
 それ以前に竜児の倫理観が、恋人でもない女子の裸身を無遠慮に眺めるなどということを許さない。
「お、俺、先に上がるな!」
 どうにか股間を隠しつつ、湯船から飛び出して脱衣場へ。その途中、ちらりと見えてしまったのは真っ白な背中とその下のまろやかな曲線……

 目が覚めると、畳の上に倒れていた。
 関節をぎしぎしと軋ませながら身を起こすと、1時間程の時間が過ぎている。 
 どうやら少し体を休めるつもりで横になったまま意識を手放してしまっていたらしい。
「は、はは……なんて夢見てやがるんだ、俺は……」
 

347 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/17(月) 03:44:31 ID:vXv9dfp0
 以上、8割ぐらいたった今起こった実体験でした。

348 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/17(月) 08:28:10 ID:FhzYXcDY
よくあることだw
気にするなw

349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/17(月) 20:13:05 ID:JtNzLBGV
大河がどうやら夏風邪をひいたらしい。
「びええっくしょい!!!!」
「…女子にあるまじき豪快なくしゃみだな…」
「うるさい」
「具合でも悪いのか」
「そうなのよ。なんかだるいし、頭も痛いし。…ああ遺憾だわ」
「どれどれ」
竜児はそう言うと、自分の顔を大河の顔におもむろに近づけてゆく。
「え、ちょ、何?」
「動くなよ。じっとしてろ」
竜児が大河の両肩をつかんで顔をそっと近づける。すると、
「やめんかーーーい!!」
真っ赤になった大河が、竜児の手を振り払って竜児を足で踏みつけた。
「グハッ!な、何をいきなり…」
「ひ、人が風邪で弱ってる時に、キ、キ、キスしようとするなんて! この変態エロ駄犬!!
 ああ、なんて汚らわしい犬なの! 触れただけで足が腐れるわ!」
「ゴホッゴホッ、何を言ってるんだ大河。俺はただ熱が無いか確かめようとしただけ…」
「え?」
「ったく、いったい何考えて…」
「ふんんん!!!!!!」
「ぐあああ!!!なぜ、さっきよりも強い力で踏みつける?」
「まぎらわしい事するんじゃないわよ、このグズ駄犬!!」

350 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/17(月) 20:29:34 ID:JtNzLBGV
「でも良かったよ」
「はあ?踏みつけられて良かっただなんて、あんたドMなの?」
「そうじゃねえ!お前が元気そうで良かったって言ってんだよ。
 人を踏みつけるくらいのパワーが残ってるんだから、ひどい風邪では無いな」
ようやく静まった部屋。その数分後、大河が竜児に声をかけてきた。
「ねえ…しなくていいの?」
「ああ、そう言えばそうだったな」
竜児は思い出したように大河に近づき、自分のおデコを大河のそれにくっ付ける。
「うん、大丈夫だな。熱は出てないみたいだ。いや…でも顔は赤くなってるような気が…」
「え?竜児、しなくていいの?」
「いや、熱は無いって今言ったろ。なんなら体温計を…」
「だから…そうじゃなくて…」
「お前、顔が真っ赤だぞ。どうしたんだ」
「だから…その…キ、キス…したくないの?」
「って、そっちかよ!」

351 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/17(月) 20:58:05 ID:X32SY1f1
>>347
一昨日桜色トルネード読んでから寝たら黒猫とさくらが出てきた。
つまりはそういうことw

>>350
熱にうかされてるんですね、わかります。
(・∀・)ニヤニヤ

352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/18(火) 00:43:40 ID:XEbCJlRy
>>351
『オレンジ』のイントロが頭の中で流れた

353 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/08/18(火) 01:58:44 ID:SRUvIVbI
お題 「鞄」「ダイエット」「声」



「高須君、実乃梨ちゃん、おはよう」
「おう、おはよう川嶋」
「あーみんおっはよー!登校途中に会うなんて珍しいねえ」
「って言うか、高須君とは会うこと自体が久しぶりよね」
「まあ、クラスが違っちまうとなかなかな」
「おいこらばかちー」
「あら〜?他に誰か居るのかしら〜?
 声はすれども姿は見えず、ほんにあなたは」
「誰が屁じゃーっ!」
「あ〜ら逢坂さん。相変らず小さいんで視界に入らなかったわ、ごめんなさ〜い」
「貴様……その両の眼を節穴から風穴に変えてやろうか……!」
「落ち着け大河。川嶋もあんまり大河をからかわないでくれよ」
「はいはい。まったく高須君はタイガーに甘いんだから。
 ……ってあれ?高須君ちょっと太った?」
「ん?そうか?」
「……みのりん」
「……おうよ大河」
 コンビニ神拳、炸裂。

「……高須竜児、脂肪確認!」
「お、おう……」
「だけど珍しいわね、高須君が太るなんて。何か心当たりはない?」
「いや、まあ……ちょっとな」
「何よ竜児、はっきりしないわね。言っとくけど私、婚約者がブクブクブクブク太っていくなんて嫌だからね」
「だけど大河よ、高須君の太る原因が大河にあったとしたらどうするね?」
「ちょ、ちょっとみのりん、何言い出すのよ」
「あー、幸せ太りってやつか。けっ、お二人さんはラブラブでよろしゅうござんしたね」
「んー……まあ当たらずとも遠からずって所だ」
「りゅ、竜児!?」
「いや、大河のせいってわけじゃねえんだ。
 今、大河がうちで夕飯食うのって週に三回ぐらいなんだけどさ、そうでない日もついつい大河が居る時の感覚で量作っちまうんだよ。
 次の日や弁当に回したりもするんだけど、そう出来ない料理もあるし」
「で、その分食べすぎると、そういうわけかね」
「ああ、残すのもMOTTAINAIしさ。だからまあ、これは俺の責任だな」
「責任は高須君でも、原因はやっぱりタイガーじゃないのさ、それ。
 でもまあ、高須君ならダイエットも楽勝じゃねーの?」
「そういやそうだねえ。食事の管理は自分で出来るし、運動も苦にしないだろうし」
「……甘いわね」
「おい、大河?」
「私のせいとか言われて黙ってるわけにはいかないわ。いくわよ竜児!」
「おうっ!? い、いきなり首にしがみつくなっ!」
「ほら、さっさとおんぶしなさいよっ!」
「おんぶ!?」
「そう、これから毎日私をおんぶして登下校するのよ。いい運動になるでしょ」
「俺の両手塞がっちまうじゃねえか。鞄どうするんだよ」
「そのぐらい私が持ってあげるわよ。ほら、さっさと歩く!」
「……なあ大河、これってかなり恥ずかしいんだが……」
「ダイエットのためよ、我慢しなさい」

「……ねえあーみん、あれってさ……」
「……絶対タイガーが高須君とくっつきたいだけよね」
「さすがは大橋高校一のラブラブカップルだぜ!」
「バカップルの間違いでしょ、それ」

354 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/18(火) 02:21:18 ID:zkRYD3Ho
(*´Д`)ポワワ

355 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/18(火) 18:25:12 ID:tNP+H/QE
書き込み少ないのう

356 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/18(火) 19:24:58 ID:rpVno1jx
俺の大河と竜児

357 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/18(火) 19:25:41 ID:rpVno1jx
>>353
というか乙!GJしたっ

358 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/18(火) 19:30:41 ID:rpVno1jx
本スレにあったけどキャラデザの人が描いたっていう同人が竜児と大河ぁぁぁあン
http://218.219.144.2/~img/2/jlab-tv/s/tv1250441691964.jpg

359 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/18(火) 22:00:27 ID:3SVrFGeL ?DIA(222222)
>>358
うわぁなんかペタンコエロい

360 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/18(火) 22:12:23 ID:OPBdZSkc
「花火だ!わっしょーい!」

高校最後の夏休み、受験へ向けての準備で単調になった毎日に少し飽きていたところに櫛枝から『河原で花火しない?』との連絡を貰い、大河と2人で喜び勇んでやって来た。

「足下に気をつけないと転ぶぞ!…って全然聞いてねぇよ」

すっかり日も暮れ、河原に吹く風は涼しく花火をするには最高のロケーションだ。

「竜児!早くおいでよ!」

暫し受験ことを忘れ花火を楽しんだ。
大河にロケット花火で狙われたり、川嶋にネズミ花火を足元に投げられ、櫛枝にドラゴンを片手に追いかけられたりと……

「ハァハァ… お前ら花火の楽しみ方を間違ってるだろ!!」

「いやぁ〜勉強ばっかりで体がナマってるんじゃないかなぁと思って」
「そうだよ高須君、全然日焼けしてないし」

「危ないだろ!」
「まぁまぁそんなに怒らないで、この手持ちのおとなしい花火をあげるから、あとは大河と2人で楽しみなよ」

「…分かった。でも大河はドコに行ったんだ?さっきまでロケット花火を打ちまくってたけど」
「何か疲れたって言って土手の上の方に行ったわよ」

大河を探して土手を上がると、街灯の下にしゃがみこんでジィーっとヘビ花火を眺めて居た。

「不思議だよな、ヘビ花火って」
「うゎ?!びっくりしたぁ!急に後ろから声掛けないでよぉ」
「ゴメン、あんまり熱心に見てるからさ。ホラ、花火貰って来たぞ」

「…線香花火はある?」
「ちょっと待てよ… 有ったぞ、ホラ」

びっくりさせられたお返しに、私は少し嘘をついてみた。

「知ってる?線香花火のパチパチするオレンジ色の部分を恋人同士がくっつけて
それを彼氏が最後まで落とさずに出来たら、その彼氏は一生浮気しないんだって」
「へぇ〜 初めて聞いた、まぁ俺は浮気なんてしないから楽勝だろ」

しかし俺の予想に反して意外に難しく、最後まで成功することはなかった。
「終わった……」

うわぁ!どうしよ、すっごい落ち込んじゃった。

「コンビニに行くぞ!絶対に成功させて俺は浮気しないって大河に証明するんだ!」

「もっ、もう止めよ!十分竜児の気持ちは伝わったから、ねっ?」
「本当か?ありがとう〜 たいがぁ〜」

嘘ついてゴメンね、でも私は浮気の心配なんてしてないのになぁ。
もっとお互いに信じ合えるようにこれからも2人で仲良くしようね、竜児。

361 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/18(火) 23:17:22 ID:TD7d/Oh5
>>342
感想ありがとうございます。

>>343
そう言って頂けて嬉しいです、ありがとう。
本来のafterは筆が止まってしまってどうしたものかと。

>>360
2つ分はかなりの難易度だw

362 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/18(火) 23:18:52 ID:TD7d/Oh5
代理投稿です。

再びアク禁巻き込まれの◆eaLbsriOasです。

***

「っ! む、む、むむ むむむ、むむむむむ、むむむむむむむむー…………ん……っ」
「顎に手をあてて目つぶって唸っても、脳みそがなきゃ名案は浮かばねえんだぞ、大河」
「あら……今日はまたずいぶんと生意気につっかかってくるのねえ。
 畳に残った飼い主の私の足の匂いを嗅いでようやく安心ウレションぶっこく駄犬が」
「嗅がねえしウレションもしねえ。てかぶっこくとかも言うなよ、女の子が。
 ……どうした、大河?」
「そうかそれがいけないのねそういうのがいけないのねそうなのねなのねのねのね……」
「た、大河……?」
「ちょっと、聞きなさいよあんた!」
「聞いてるよ!? それ聞いてねえ時に言うセリフだろ!? ふつうは『聞いてよ』からだろ!?」
「っ!? むむ、むむむ、むむむむむ、むむむむむむむ、むむむむむむむむむむむ、
 むむむむむむむむむむむむむ、むむむむむむむむむむむむむむむむむ……」
「……素数、か? 素数をむの回数で表現しているのか? さっきは……フィボナッチか?
 大河、おまえはサヴァン症なのか? CUBEで生き残るクチか?」
「違うのっ!! 悩んでるの! どうしてわかってくれないのよ竜児の意地悪っ!!」
「悩んでんのはわかってるよ!? ……なあ、俺も悪かったよ。だからさ、おまえ何で悩んでんのか、
 俺に教えてくれよ。な? だからさ……泣くなよ、弱えんだよ、おまえのには、俺」
「泣いて、ないもんっ……あのね、竜児。私って、まだ、浮いてる?」
「浮いてる? 浮いてるってあれか、あの、空気読めてねえとか、悪い意味で妙に目立つとか」
「ボケるのはやめてよ!」
「ボケてねえよ!?」
「あれ? あ、う、うん。そう……ばかちーがさ、言ってたじゃんよ」
「……ああ、あれか。文化祭のプロレスショーの、練習の時の、あれか」
「そう……はっ! ひらめいたわ竜児! 私、キャラを変えればいいのね!?
 オッス! オラ悟空!」
「名前まで変えてどうすんだよ。キャラ変えるってそうじゃねえだろだいいち……」
「……じゃあどうすればいいわけ」
「そのままで、いいんじゃねえか?」
「えっ……?」
「キャラとか、べつに変えなくて……気にしなくて、いいんじゃねえかな。おまえは、そのまんまで」
「竜児……でも、それじゃ、浮いたままじゃん……」
「おまえは浮いてなんかねえよ……と、言ったら嘘になるか。まあ、目立ってんのは事実だし。
 でもさ、そう、悪い意味でもねえ。おまえは……好かれてるよ、結構、みんなに」
「ほんとう? ……みんな、って?」
「みんなってのは、みんなだよ。クラスの奴らぜんぶ。櫛枝は当然、能登や春田や男子ども、
 木原や香椎、女子たちだって、みんな……
 川嶋だって、そうだ。ほんとに嫌ってたら、相手になんかしやしねえもんだろ?」
「……それだけ? みんなって、それだけ?」
「あ、いや、もちろんクラスの奴ら以外にも、おまえを好きなのは結構、いやかなりいるはずだぞ?
 なんせほら、なんだかんだ言ってもおまえは、ほら、ミス大橋高校、に、選ばれたんじゃねえか。
 好きってか、まあ、つまり、ファンは大勢いるってことだろ?」
「……それだけ? それで、ぜんぶ?」
「……あ、そうそう! 大事な奴を忘れてたな! 忘れちゃいけねえよな! すまんすまん!
 もちろん……北村、だって……おまえのこと、好きな、はず、さ……」
「……それで、ぜんぶ?」

363 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/18(火) 23:19:33 ID:TD7d/Oh5

「えぇっ!? 違うのか!? あ、いや……まさか、今、あげたやつ全員の名前を言えって……
 いうんじゃねえ、よな……」
「うん……違う。ひとり、たんない」
「……」
「大事なの……けっこう……ちょっとだけ……少しだけ……大事なの、抜けてる」
「……俺、か?」
「……うん」
「俺か! ほんとに俺なのか! ……俺は、決まってるだろおまえ。言うまでもねえよ……
 言えっ、てのか……?」
「うん……」
「言って、ほしいのか?」
「うん……」
「す、好きだよ」
「……なに、を?」
「それ言うなら誰を、だろ……それこそ決まってるだろ? 話の流れからして! お、おま、
 おまえ、を、だよ……」
「……私を、なに?」
「あーくっそなんだそれ!? わかった、おまえ俺をからかってんだろ!? 言わせて、
 後で吹き出して! あざ笑うんだ! そうだろ!? ……そうじゃ、ねえ、のか……よ……
 泣くなよ……わかったよ。俺が悪かったよ。言うよ、ちゃんと。……大河」
「……っ!」
「おまえのことが、好きだよ……」
「っ!……」
「……ああいや、だから! 誤解すんなよ!? 大泣きすんな! 誤解だ誤解! 忘れてた、
 『俺も』だ! 主語を忘れてた、『俺も』だぞ? みんなと一緒に『俺も』だぞ? 
 変な意味じゃないぞ? 変な意味じゃ……」
「……嫌」
「……い、や? ……嫌、か? 俺に好かれるのが、嫌……じゃ、ねえ、ん、だよな……」
「うん……ちがう」
「……ひょっとして……いや待てまさか……でももう……えぇ? マジかよ……っ?
 な、なあ、大河、おまえ……ひょっとして、ひょっとしてだ、ひょっとしてだぞ?
 ……も、が、嫌なのか? 『俺も』の『も』、が、嫌なのか……?」
「……う、ん……」
「うん、って、おまえ……や、やめろよ大河。そ、そそ、そんな顔で俺を見るなよ。そんな、真っ赤で、
 そんな、涙目で、そ、そんな、まるで、そんな……」
「……言って? 竜児……も、じゃないので……言って」
「うへぇっ? ももも、も、じゃないので……?」
「うん……へ、変な意味で……言って」
「えぇ? え? えええ? ええええ? えええええええ? ええええええぇぇぇぇぇ……?
 ちょっと、ちょっと待ってくれよ、大河。なんだ? なんだ? ちょっと待て、
 おまえさっき、むむむ、って、素数で、悩んでて、浮いてて、好かれてて、なんだ?
 なんだ? なんだどこだ、ここ? 家か、俺の家だ。だから、どこだ、おまえ、俺を……
 俺を、どこへ……連れて、行く、気だ……?」


***おしまい***



364 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/18(火) 23:20:38 ID:TD7d/Oh5
タイトル入りませんでした、すみません。

・キャラチェンするの

です。

365 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/18(火) 23:44:47 ID:/ATs92lE
高校最後の夏。大河は高須家で宿題や昼食をとるのが最早日課になっていた。
「ねえ竜児、ご飯まだ?」
「あとは皿に移すだけだ。今日はチャーハンだぞ。夏バテ防止のためにニンニクも多めに入ってるぞ」
勢いよくチャーハンを食べ出した大河。
こうして二人で食事してると、まるで去年の半同居生活に戻ったみたいだ、と竜児は思った。

「はあ、食った食った! ふぁぁぁぁ…りゅうじ…おやすみ…」
「こらっ! 食べた後すぐ横になるんじゃありません!」
「うるさいわね…」
「それと、使った食器は自分で片付けなさい!」
「ったく、アンタは私の父親かっての」
そう悪態をつきながらも大河は自分の食器を片付けに行った。
やれやれ、と思いながら竜児がちゃぶ台に肘をついてテレビを見ていると
ガバッ
大河が背中に抱きついてきて、またあくびをした。竜児は顔を真っ赤にしながら大河に言った。
「お、お前、何やってんだよ」
「何って、ここで寝るのよ」
「寝るなってさっき言ったばかりだろーが」
「アンタは『横になるな』とは言ったけど、『寝るな』とは言ってないわ」
「だからってこんなところで…」
そうこうしてるうちに大河はスヤスヤと寝息を立てて寝てしまった。
「はあ…」
竜児がため息をついた。動物園のコアラが抱きついている木になったような気分だった。
でもこういうのも悪くないな、と竜児は思った。
普段なら、昼寝をしても2時間くらいで起きる大河だが、この日は夕方になるまでずっと起きなかった。


366 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/19(水) 00:39:00 ID:vouxZ4TT

大河「弾幕薄いわよ! なにやってんのよ!?」
竜児「ちっ、簡単に言ってくれるぜ・・・偉そうにふんぞり返りやがって・・・こっちだって必死なんだよ! うおおおおやってやるぜえええええ!」



ギシギシアンアン



ごめん。ホントごめん。

367 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/19(水) 01:25:52 ID:OMZiVHqm
いいねぇ、なんかほんわかするね!

368 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/19(水) 07:33:44 ID:t2XYoh5g
>>355
まとめサイトあるんだし読み直したらどうだ?どうせ斜め読みしかしてないだろう。

369 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/19(水) 08:13:46 ID:1cdBEopT
>>364
久々おつです、素数とか予想の斜め上だった。

>>365
コアラカワユス
背中にあたるんですね、分かります。


370 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/19(水) 10:10:54 ID:RBqdsNzw
>>369
大河の肋骨が竜児の背中に当たるの?

371 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/19(水) 10:23:40 ID:3Y4kHxDq
何があたるんですか

頭ですかそうですか

372 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/19(水) 12:20:28 ID:UBaBdxCG
今週の扉絵がこいつらだった件
ttp://dic.nicovideo.jp/oekaki/89047.png

373 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/19(水) 18:18:02 ID:nF4+0f0Z

最初に言っておくっ!!オチはギシアンだっ!!パート3!!

「竜児、私は今こそ立ち上がる時だと思うの」
急に大河はまじめくさったように言い出した。
「おぅ?何がだ?」
「今社会では政治手腕が問われているわ。どこの党の法案もなっちゃいない。だから私がやるのよ」
「おまっ、まさかまた『モルグに葬り去る』とか『魔契約の書』とかやるつもりか?」
「馬鹿ね、私はいたって真面目に言ってんのよこの駄犬。私は未来の事を憂いているの」
「馬鹿はお前だ。俺たちはまだ被選挙権どころか選挙権すら持っていない」
やれやれと呆れたように竜児は大河を見つめる。
「それよ!!そもそも選挙権が無いのがおかしいのよ!!」
「おいおい」
「だって高校って義務教育じゃないのよ!?だったら中学卒業と同時に成人、選挙権獲得でも良いと思わない!?」
「いや、そんなこと俺に言われたって……」
「だから私はここに宣言する!!今日より逢坂大河党を結成するわ!!」
「……参考までにマニフェストは?」
「もちろん若年層の権利の獲得よ。それに加えて私や竜児のような子供が困らないように子供を護る法案を強固にするわ」
「おぅ、意外にまともな法案だ」
「だから真面目に言ってるって言ったでしょ。まぁ中学卒業と同時に選挙権獲得は難しいかもしれないけど成人法案は通したいわね」
「言いたいことはわかるがなぁ」
「それにあれよ、少子化を防ぎ、子供を護るためにも浮気等の罰則、離婚の極刑化などを図るわ」
「お、お前いくら何でもそれは過激じゃないか?」
「いいえ!!これも未来のためよ!!」
大河は真っ直ぐに俺を見つめる。
そこには打算的なものなど感じられなかった。
本気で、真剣に考えているのだ。
「大河、お前がそこまで真剣に日本の未来を憂いていたなんて……」
「竜児、ようやく理解したようね。と言っても完全ではないようだけど」
「どういう意味だよ?」
「まぁいいわ。それより竜児、さらに少子化対策を講じようと思ってるの」
「さらにって?」
「今の法案だと子供は減らない代わりに増える要素もない。だから夫婦には小作りの義務を設けるのよ」
「はぁ?」
「いい竜児?子供が一杯出来れば労働力が生まれるわ、労働力が増えれば一人当たりの税金負担が減るの。それに歩合して税金を上げつつ子育て支援に税金を使うのよ」
「一見合理的に見えなくもないが、なんか無茶苦茶だな」
「というわけで竜児、早速この法案を施行するわ」
「は?」
「言ったわよね?『未来のため』って」
「いや、お前は日本の為に……」
「私は一言も日本なんて言ってないわ」
「中学卒業と成人、離婚の極刑、小作りの義務……完全には理解していないというのはまさか……」
「フフフ……」
「ま、待て!!法案はまず公示してから……」
「ああ、じゃあそれも変えましょうか」

ギシギシアンアン!!

374 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/19(水) 19:17:32 ID:vouxZ4TT
>>369-371

「スー スー う〜ん……むにゃむにゅ……」
「ん?暑苦しくなったのか?」
ギュウッ!

「うわ! ちょ、ちょっと大河? そんなに腕の力入れんなって、あ、あた、当たってる!」
「スー スー ……ん……」
「……おまえまさかノーブぶぶぶラ!? 押し当てんなって! ちょマジで!」
「……ぅ……るさぁい!」
ギュウウッ!

「あああ! む、むむむむ胸の肉があぁ!」
「……ぅ……お……にく……」
「密着しすぎだ! 大河起きろ! ああああ、なんか背中に、ほ……骨まで感じる……」
「…………むにゅ……ほ……ね……」
クンクン スンスン

「うおっ!? 鼻息がこそばゆい! 人のうなじの匂い嗅ぐな! コラ!」
ペロッ!

「うひゃっ!? 舐めんな! チロチロ舐めんな! うは……ゾクゾクする……い、いい加減にしろって!」
「……むぅ……んにゅ……しょ……っぱぃ……」
「当たり前だ、暑いんだから……ほれ、不味いだろ、とっととやめろ」
「んうぅ!……りゅーじー! むにゃ……」
「はいよ……っておい、寝ぼけてんのか? ……まだ起きてねえんか……」
「スー スー ……竜、児……おっきい……よ、これ……」
「んなっ!? おっきくなんて……なって、ねえよ……何言ってんだこいつ……」
「んー むー スー スー しょうが……にゃい…………」
パクッ!

「うわわわ!? ななななにしてんだ、おい、離れろ! 離れろって!」
ゴツッ!

「いてぇ!?」
「んうううう! いたぁ……いいいぃ!」
「頭突きかよ! っつーか俺が頭振り回したせいか……とりあえず口離せ! おい、大河?」
「じゅる……ふふ……私への挑戦ね……これは……やって…………やるぅわっ!」
「何だ? 何を言ってんだ? おい、おい!?」
「骨付き塩カルビ…………特大どーーーーん! にゅふー!」
「はぁ!?」
クワッ!

「いーーーっただっきまーーーーーーーーっす!」
「うわ!? うわわわわ! 止めろ、止めろ大河あああああぁ!」
ガブゥ!!!!!

「いてえええええええぇ!? 噛み付きやがった! 歯が……歯があああああああぁ!」



2度目のごめんなさい

375 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/19(水) 23:03:04 ID:Hj0qVWTW
>>373
>>374

どっちもワロスw

376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/20(木) 02:05:52 ID:W+Lvtf+y
お、新作投下されてたか
>>360,364,365,373,374の人おつー!

377 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/20(木) 02:20:20 ID:tJ6F1/zm
「静かね」
「そうだな」
「みんなどうしたのかしら?」
「きっとあれだ、ひんぬー探偵に夢中なんだ」
「あー分かった。「で」っていう所を「ど」と「え」に分割したあいつね」
「ま、仮にそうだったとしても、俺らがすることは一つ!」
「そうね!」
「よし、大河!」
「ええ、竜児!」

「「 合 体 ! 」」


ギシギシアンアン

378 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/20(木) 09:31:48 ID:B1gno0Fv
「なあ大河、そんなにギシギシアンアンばっかりで…その…痛くないのか?」

「別に平気よ。竜児の、そんなに大きくないし」

「(グサッ)おうっ…シクシク」

「ちょ、竜児どうしたのよ!?」

「…お前…男にとってそれは禁句だぞ…ウッ」

「ち、違うの!そういう意味じゃなくて…」

「…じゃあなんだよ」

「りゅ、竜児のは大き過ぎなくて、わわ私にちょうどいいって…意味だよ?」

「本当か?」

「それに、竜児は…じょ、上手だから全然痛くないっていうか気持ちいいっていうか…」

「大河ぁ!!」
ガバッ

「あっ…いやん、もう♪」


ギシギシアンアン

379 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/20(木) 11:35:10 ID:bkHEtl3/
「なぁ大河?」
「何よ?」
「ギシアンってエールだと思わないか?」
「へっ?何に対するエールなわけ?」
「色んな意味で、ってことだ」
「とか何とか言って、したいだけなんじゃないの?」
「それもある!」
「ぷぷっ、あんた正直すぎんのよ。まーいいわ、ばっちこーい!」
「おうっ!」


ギシアンギシアン



380 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/20(木) 12:27:54 ID:0xjuexE+
ギシアンの皆さま乙!
なんか、こう……落ち着くなぁ

381 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/20(木) 20:45:14 ID:NBPibUAN
竜児「朝からすげぇな。」
大河「そうね。あきもせずに、ギシアンばっかり。」
竜児「そうだよな。やっぱりギシアンは夜だよな?」
大河「え?、りゅ、りゅうじ、ちょっと・・・」

ギシアンギシアン


382 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/20(木) 21:25:09 ID:B1gno0Fv
「やっぱりギシアンばかりじゃ大河の身体がもたないと思うんだ」

「えー、別にそんなことないよ大丈夫だよ」

「でもぐったりしてる大河を見るとなんだか切なくなるんだよ」

「だって竜児がうまいんだもん」

「ま、まあ俺のテクニックはともかく試してみたいことがあるんだよ」

「へ?なにするの?」

「とりあえず始めようか」

「あっ…」

ギシ………ギシ……ギシ………ギシ…………

「あー、なんか気持ちいいかも」

「だろ?やっぱりゆっくりした方が落ち着くしリラックス出来ると思うんだ」

「んー、こうやっておしゃべりしながらするのも悪くない…かな」

「だよな」

「あー、でもやっぱり物足りない!」

「おうっ!?」

「あんたはおとなしく下になってなさい!!」

「アッ〜!!」

ギシギシアンアン


「ふふっ、竜児ったらアンアン言ってんの。かわいー」

「…男のプライドが…ううっ」

383 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/20(木) 21:47:26 ID:ICf0WvZ8
大家「毎日うるさいな」

384 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/20(木) 22:08:11 ID:tJ6F1/zm
「ふーいい風呂だったな」
「そうねえ」
「なぁ大河」
「な、何よ・・・まだやるの?」
「おう、なんか止まんねえ」
「イヤよ、また大家さんに怒られちゃうじゃない」
「大丈夫だって、今度は静かにするからさ」
「ったく、またお風呂に入るのめんどくさ」
「まぁまぁ、ほら、こっち来いよ」
「もう、バカ」


キシキシ  アンアン




「だっ、ダメだ!やっぱり我慢できねえ!」
「んもう、このバカ!!!!」


ギシギシアンアン!

385 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/20(木) 22:45:02 ID:W+Lvtf+y
まだギシアン成分がたりない!もっと!

386 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/20(木) 23:55:32 ID:jPXoSTM0
・縁日にて

「ん〜……いよっと」
パンッ
「あー、くそ!また外れたー!」
「……なんか意外だな。射的が苦手な大河って」
「うるっさい!ここまできたら絶対にあのぬいぐるみを堕とす!」キュッキュッ
「おう、そうか。頑張れよ」
「何言ってんのよ。あんたも加勢しな」
「……はいはい。じゃあおじさん、1回お願いします」
パンッ
「当たったけど落ちないしー!」
「大河、今狙った犬のぬいぐるみでいいのか?」キュッキュッ
「そうよ。ご主人様のために」
パンッ ポト
「頑張りなさ……え?」
「おう、これでいいんだろ?」
「うん、そう。ありがと……って、え?なんで?」
「なんでって言われても……」

「亜美ちゃん、あのネコ欲しいなぁ」
「おぉうっ……あぁ、なんだ。川嶋か。急に耳元で喋りやがって」
「なんだとは失礼〜。まぁいいや。アレ、狙ってみてよ高須君」
「おう、かまわねぇけど」キュッキュッ
「ん?タイガー?何ぬいぐるみ抱えてニヤけてんのよ」
「ふぇっ……あ、なんだ、ばかちーか。」
「……あんた達ってホント失礼」
パンッ ポト
「ほら、川嶋。ご指名のぬいぐるみだ」
「すごーい、一発じゃん!高須君って料理と掃除以外にも出来るコトあったんだね!」
「おう。射的は昔から得意なんだ。なんでか銃を持った瞬間に銃身の曲がりがわかるしな」
「えー凄いじゃーん!」
「(竜児、それってお父さんの方の遺伝じゃ……)」


「そんな目つきの悪い感じので良かったのか?他にももっとかわいいのあったじゃねぇか」
「いいのよこれで。こんくらいの方が愛嬌があるのよ!」
「そうか。ならいいけどよ」
「……ふふ。ね、りゅうじ」
「なんか言ったか?」
「なななん、なんも言ってないわよ!空耳よ!」

387 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/21(金) 00:11:43 ID:vvxD+4TP
「ゴルゴ、俺の依頼はあの龍のぬいぐるみだ」
「俺はゴルゴじゃねぇ」
「じゃぁ俺がゴルゴだ」
「櫛枝、自分で撃つのか?」
「あれ?まぁいいか。高須君、アレ撃って」
「はいはい。龍のぬいぐるみね」
「でも撃ち抜いちゃやだよ」
「撃ち抜けねぇよ!」
「撃つ順番は右腿、左腿、右肘、左肘、喉の順番だ」
「撃ち抜くんじゃねぇか!」

388 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/21(金) 00:12:48 ID:vvxD+4TP
ちなみに俺は>>386 じゃねぇ。勝手に続けちまった。

389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/21(金) 00:24:12 ID:G3CFAP2e
「(ハッ…竜児に包丁持たせるとすごいのも…もしかしてお父さんの遺伝?)」
「ん?どうした?」
「…まさかね。ううん、何でもない。帰ってご飯にしよっ!」
「まだ食うのかよ…」



ちなみに俺も>>386じゃねえ
夏だねぇ、夏が終わっちゃうねぇ
>>386-387GJでした。

390 :薄明 ◇eaLbsriOas:2009/08/21(金) 00:26:51 ID:G3CFAP2e
◆eaLbsriOas@避難所です。代理投稿。

***

・薄明

 夜というには何も出来ないほど遅く、朝というにはまだ闇の明ける気配も無い、曖昧でどうしようもない時間に私は起きた。
 目を開けてすぐ、出かけようと思う。なにしろ旅に出るのだ。タクシーを呼んで、駅に行かなければ。旅立つ私を待っている列車が出てしまう。
 ときめいて、起きたばかりだというのにいつになく血を上げて、私は跳ねるように上体を起こす。薄暗がりの中、大きすぎる天蓋付きのベッドのシーツの海をいそいそと端まで這いずって、フローリングの床に素足をつけて。床板に足を跳ねるほど冷やされて、私は気づいた。
 私は旅になんか出ないのだということに。
 なにも起こらない。なにも変わらない。なにもやって来はしない。駅には私を待っている列車などない。
 なにも、なにも始まりはしない。
 不意に涙があふれそうになって睨んで止める。なんで旅に出るなどと思ったのかと唇を噛む。
 きっと何か夢を見たのだ。目覚めれば憶えてさえいない、くだらない夢。それは騒ぐ血だけを残して消えたのだ。それがひときわ、いまいましい。夢め。
 くしゃみする。鼻水をすする。頭が痒くなって頭を掻く。
 スリッパを探して履いて、凍える床から足だけでも救い出す。
 ぬるい風を吐くエアコンの音。ため息をつく。
 立ち上がり、ぺたぺたと歩いて冷たいドアノブをひねって。ドアを開けて廊下の冷気に顔を洗われて、私は馬鹿かと思う。
 なんでもう一度、ベッドに戻らなかったのか。もう一度、寝ようとしなかったのか。
 けれどもう、廊下の冷えた空気が無駄に私を冴えさせて。二度寝の思いを過ぎ去るべき思いつきに変えてしまう。
 ぺたぺたとスリッパを鳴らして、洗面所に向かいながら、なんでそうするのかといまいましく思う。
 騒いでいた血がいけないのだ。
 阿呆らしい旅の予感が消えなかったのだ。
 ぜんぶ、ぜんぶ身体のこと。身体が先に動いて、いまだ寝惚けた心がのろのろと追いつく。
 どうでもいい。
 もうどうにでもなれ。と。
 馬鹿に豪勢な大きすぎる洗面台の電気をつける。途端にまぶしくて舌打ち、光を睨み返す。
 鏡の中には、ちびたみすぼらしい子。
 栗色の髪はぼさぼさで、まるでライオンのよう。
 はれぼったい上目蓋で睫毛を縮めて、大きいはずの瞳を眇めてこっちを見ている。なによ。
 なによあんた、睨むんじゃないよ。
 うざいよ、ブス。寝起き?
 哀れなやつ。
 顔、洗いなよ。顔洗ったげるよ。ブスも少しはマシになるでしょ?
 髪もひどいよ、あんた。ライオン丸。
 かわいそうだから、髪も梳かしてあげる。
 誰もいないんでしょ? 誰もしてくれないんでしょ?
 かわいそうなあんた。
 大丈夫、私があんたを綺麗にしてやる。
 ほかに誰もいないんだから、せめて私だけでもあんたを綺麗にしてやる。
 綺麗にして、やらなきゃね。
 私は顔を洗う。
 私は髪を梳く。そして。
 鏡の中には、だいぶんマシになった女の子。
 栗色の髪は艶やかにうねる雲のよう。大きな瞳はよく光を返して星ぼしの煌き。そっと小さな唇は薔薇の花びらに似て、まるでキネンシスの蕾。なのに。
 なんであんた、そんなつまんなそうな顔してるわけ。
 笑いなよ、と、私の親友の声が聞こえる。
 そうだ、笑いなよ、あんた。もったいない。
 ぎこちなく頬を引いて、私は微笑もうとするけれど。
 鏡の中の女の子は頬をぴくぴくとさせて、唇を横に引き攣らせるばかり。
 なにそれ。キモ。やめやめ。むしろ台無し。つまんなそうにぶすったれてた方がマシって。
 なにあんた、笑い方も知らないわけ?
 私……笑い方も、忘れたわけ……?
 かわいそうな……!
 湧き出る涙を睨んで殺す。
 鏡の中には歯を食いしばって私を睨む、こわい、こわい女の子。
 こわくて、かわいそうな女の子。
 朝が来る。
 高校二年生の、始業式の朝が。

391 :薄明 ◇eaLbsriOas:2009/08/21(金) 00:27:57 ID:G3CFAP2e
* * *

 私はその時の私に教えてあげたい。
 あのひとのように優しい声で、あのひとのように優しく名前を呼んで。
 大河。大河。
 大丈夫。泣かないで。
 旅に出るのよ、大河。ほんとうに、旅に。
 あなたのための列車が来るの。
 あなたのためだけの列車がちゃんと待ってるの。それは駅でなく、学校に。そして。
 すべてが始まるの。すべてが変わるの。あのひとが、あのひとがやって来るの。
 さあ、涙を拭いて。もう一度、綺麗にして。一生懸命、綺麗に。時間をかけて。そのためにあなたはびっくりするくらい早く起きたの。ちゃんと、そうなっていたの。そうして。
 綺麗にして学校に行きなさい、大河。味気ないコンビニのサンドイッチでも食べて。ぶすったれててもいいから。
 校庭に張り出された表を見て、ちゃんと新しいクラスを確認して。だけどちゃんと間違えて1年の時のクラスにお邪魔したり、広くも無い校舎をきちんと迷ったりしながら、しっかりとのらくら2−Cの教室に向かうの。
 親友や想い人と一緒のクラスになれたと知った時にはあったときめきも、そんなうち続くドジでしぼませて。どうせなにも変わりはしない、どうにもなりはしないんだって。そうして、ちゃんとふてくされて俯きながら廊下を歩くこと。
 ああ、つまんない。ああ、つまんない。ああ、つまんない。って。なんだかムカムカしてきて、ちゃんと腹を立てながら廊下を突き進むの。
 ちゃんとふてくされていてね。
 ちゃんと俯いていてね。そう、そして。だから。
 決して、けっして気づいては駄目。
 ほら、大河。運命が来る。
 こわい顔をして、驚くほど甘い運命が。
 あのひとが。
 あのひとがすべてを始めてくれるの。あのひとがすべてを変えてくれるの。
 あのひとが食べることの喜びを、甘えることの喜びを取り戻させてくれるの。
 あのひとが涙を止めてくれるの。あのひとが笑顔を取り戻させてくれるの。
 あのひとが怒りにかわる支えになるの。
 あのひとがあなたの世界のすべてになるの。そうして。
 あのひとがほんとうにひとりになることを、そしてほんとうにふたりになることを教えてくれるの。だから。
 気づいては駄目よ、大河。気づいては駄目。
 ふてくされて!
 俯いて!
 歩いて! 進んで! 突き進め!
 さあ、あのひとの。
 高須竜児の胸に飛び込め!


***おしまい***


392 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/21(金) 00:31:13 ID:jJHOh+Wv
独神「あのスナイプ精度・・・・・羨ましいわ・・・・。」

393 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/21(金) 01:48:28 ID:LGVksIEa
>>390
たまんねぇ…
GJ

394 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/21(金) 02:15:00 ID:lZloVXso
>>390


395 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/08/21(金) 02:15:53 ID:JfqmVLgi
お題 「高須くん」「強い子」「拍手」



「じゃーん!これなーんだ?」
 大河が取り出したのは、大きくてやや薄い本のようなもの。
「っ!おい大河、まさかそれ……」
「見た所アルバムのようだが……逢坂のか?」
「北村君惜しい!」
「高須君の反応からして、高須君のアルバムでしょ?」
「ばかちー正解!この間竜児んちで見つけて、やっちゃんに借りてきたの」
「ほほ〜う、ということはこの中には高須くんのご幼少のみぎりのあんな姿やこんな姿が……」
「ふっふっふ、みのりん期待してていいわよ。ホントに凄いから」
「ま、待て大河!それだけはやめてくれ!」
「問答無用!いくわよ、ご・開・帳〜!」
 竜児の制止も虚しく大河は表紙をめくり、
「……」「……」「……」
「「「ぶわはははははっ!!」」」
 一瞬の間の後、北村、実乃梨、亜美――三人揃って大爆笑。
「ね?凄いでしょ?」
「……だから嫌だったんだ」
「い、いやすまん高須。しかしこれは……ぶふっ!」
「ひー、く、苦しい……これマジ反則だっての!」
「た、高須くん……ち、ちっちゃいのに……目が、目が……」
「私も初めて見た時は本気で噴いたわ。竜児ってば赤ん坊の頃から今と目付きが変らないんだもの」
「ああもう、好きなだけ笑いやがれ……」

「うっわ、何コレ」
 亜美が指差した写真には、小学生ぐらいだろうか、痛々しく頬の腫れ上がった竜児が。
「どれどれ……『名誉の負傷☆』とか書いてあるね」
「これは……喧嘩の後か?」
「あ、それは私も気になってたのよね。やっちゃんに聞いてもいまいち要領を得ないし」
 期待に満ちた四つの視線に、不貞腐れていた竜児も身を起こす。
「おう……こいつは小学四年の時だな。ちょうどこっちに引っ越してくる前日だったんでよく覚えてる。
 荷造りとか粗方終ってさ、ヒマになったんで近所の公園で遊んでたんだよ。そしたら六年生の悪ガキグループが小さな女の子に絡んでてさ、やめさせようと割り込んだらぶん殴られた」
「それで、高須くんはやり返したのかね?」
「いや、それがさ……直後にその女の子が、俺を殴った奴の後ろからこう、思いっきり股間を蹴り上げて」
「うわ……それは……」
 思わず自分の股間を抑える北村。
「なんか信じられないぐらい強い子でさ、残りの連中もボコボコにして追い払っちまったんだよ。思わず拍手したくなるぐらいあっという間に。
 で、倒れてた俺を見下ろしながら一言、『情けない男』って」
「何よ、高須君ってばいいとこ無しじゃない」
 ケラケラと笑う亜美。
「まあそうなんだけどな。で、帰ってから泰子に話したら『竜ちゃんえらかったねぇ〜』って言われてあの写真ってわけだ」
「……ねえ竜児、その女の子ってひょっとして、その後に転ばなかった?」
「おう、そうだった。駆け寄ったら『ほっといてよ』って言われちまってさ。
 ただ、膝に怪我してたんで、頼みこんで手当てだけさせてもらった。
 といっても傷口洗って包帯代わりにハンカチ巻いただけだけどな」
「それでその子が『ハンカチ、洗って返すわよ』って言ったら、『いいよ、俺、明日引っ越しちまうから』ってそのまま帰っちゃったのよね」
「おう、そういや名前も聞かなかったな……って大河、それ知ってるってことは、まさか……」

396 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/21(金) 05:20:50 ID:Q9CAHzsC
お久しぶりです。

ttp://imepita.jp/20090821/186320
ttp://imepita.jp/20090821/187190
夏ですね!

397 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/21(金) 07:32:13 ID:vvxD+4TP
>>396
朝っぱらから破壊力強いな。大河の指のモチーフとかどこから浮かぶんだろう。
そして、竜児。和服似合いすぎ。

親父さんの遺伝だろ(w

>>391
後半部分の独白、「あのひと」を「あいつ」にするだけで大河らしさが
ぐっとあがると思うよ。

398 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/21(金) 09:47:30 ID:LSv/8Y0C
ちょっとネタに使いたいんだが、大河・竜児・櫛枝・亜美・北村の出席番号知ってる人いまいか?

399 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/21(金) 11:16:39 ID:GWCfpiVn
>>395
GJです!


>>398
大河が一番なのは確定なんだが他は知らんな

そういえば大河の席は後ろの扉辺りだけど出席番号順じゃないのかな

400 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/21(金) 11:22:52 ID:l/s32as2
>>395
今日もおっつー!新鮮だね、こういう話。

>>396
うっは、うめーw 亜高速で保存した。

>>398
出席番号はどこにも書かれてなかったような、忘れてるだけだったらスマソ

401 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/21(金) 19:16:57 ID:k6QsdZja
>>396
GJ! & 有難うございます!
浴衣のSSを読んだ時から、だれか描いてくれないかなーと思っていました。
夢がかないました。
大河のかわいさ破壊力抜群!

402 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 00:49:24 ID:LAcwfXIw
今は書く人も限られてしまって寂しい限りですなぁ

403 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 01:18:58 ID:NxfBb2Nl
ですなぁ
しかし今でも書いてくれる人がいてうれしいとも思う

404 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/22(土) 01:31:39 ID:s/3CYslK ?2BP(2828)
遅くなりましたが感想くれた方、ありがとうございました。
今回は5レス分貼らせてもらいます、ではよろしくお願いします。


川嶋家の別荘から帰ってきてから特に予定も無く、夏休み中の課題でも終わらせようと竜児と2人で協力し合ったら
アッという間に終ってしまい、これで本当に何もすることが無くなってしまった。

そんな暇を持て余した私たちに朗報が!
隣町で大きなお祭りがあるらしい、予定なんて無いから互いに目を見て頷くだけで『行くぞ!!』の合図、さっそく出掛ける準備を始めた。

ドレッサーに座り髪を解きながら考える、お祭りと言えば浴衣。でも竜児と2人で出掛けるのに着飾っても意味ないかな?ちょっとオシャレするくらいで良いや。

「竜児、準備出来た?」
「オゥ!出来てるぞ」

玄関に出て来た竜児はTシャツにジーンズ、やっぱり私も気合いを入れた格好なんてしないで正解。
浴衣なんて着ても色々と面倒なだけだしね、だけど北村君が一緒なら話しは別だけど。

電車で隣町まで向かい、会場に近づくに連れて人の波が大きくなる。

「あんまり離れるな、迷子になるぞ」
「アンタこそ、ちゃんと私に付いて来なさい!」

会場に入ると色とりどりのライトに照らされた屋台がズラリと並んでいる、この無駄に強すぎるライトの光がお祭りに来たって実感させるのよね。

「さぁ、宛も無くぶらぶらするわよ!これがお祭りの醍醐味よね」
「そうだな、でもあんまり食い過ぎるなよ」

「分かってるわよ!それよりくじ引きはダメよ、あんなの当たりなんて入って無いんだから。私は食オンリーでいくわ!」

お祭りの楽しみ方を竜児にレクチャーして今からが本番、香ばしいニオイや甘い香りにつられて自然と体が動く。
アレも美味しそう、コレも美味しそう、あぁ目移りしゃちゃう!

「竜児、それ美味しい?」
「あぁ旨いぞ、一口喰うか?」
「どれどれ…パクッ!ウンウン、なかなか美味しいわね」
「お前のソレはどうだった?」
「一つだけなら良いわよ」

お互いに最初は信頼のおける物を買うからハズレはない、でも段々とお祭りの雰囲気に呑まれて冒険したくなるから不思議。

「アレ美味しいと思う?」
「どうだろうなぁ?」

見るからに危険な物はお互いに牽制仕合い、なかなか自分からは手を出さない。こんな駆け引きも普段は味わえないお祭りならではの醍醐味だわ。

405 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/22(土) 01:33:09 ID:s/3CYslK ?2BP(2828)
「この後に花火があるんだって、当然見るでしょ?」
「う〜ん… 花火まで見ると帰りの電車がスッゴい混み合うぞ?」

「別に良いじゃんそれくらい、せっかくの夏休みなんだしさ」
「大河が良いって言うなら俺は構わないけど」

「じゃあ決まりね!花火が良く見えそうな所に移動しましょ」

いざ場所取りと思ったけど、屋台から少し離れた場所は既に人で埋まっている。
結局場所を探してさまよい歩き、辿り着いたのはお祭り会場になってるグランドの端に設置してあるフェンスの前。
ここも人で一杯だけど何とか1人分のスペースを確保した。竜児がフェンスに寄りかかって、私が竜児に身体を預ける。

「こんな間近で花火を見るのも久しぶりだな」
「私も、最後に見たのは何時だったかなぁ」

花火が夜空に咲く度にドン!と空気を揺らし、それと同時に歓声が上がる。
日頃の煩わしいことを全て忘れ、夢中で花火を見上げた。

「綺麗だったね、花火」
「なかなか良かったな」

お祭りの余韻に浸りながら駅へと向かう道。駅に向かう人達は皆黙々と歩いてる、このお祭りの後の虚脱感は何なんだろ?

「やっぱりスゲエ混みようだな」

駅は人でごった返していた、これじゃ切符を買うだけでも時間が掛かるな。

「もう人混みはウンザリだわ、歩いて帰りましょ」
「歩いてか?ここからだと1時間以上は掛かるぞ」
「良いじゃない、涼みながらでも帰りましょ。それともサウナみたいな混み合ってる電車の方が良いの?」
「それは確かに嫌だな、仕方ない歩くとするか」

駅を離れ大通りを歩くけどまだ人の波は途切れない、同じ事を考えた人や近隣に暮らす人達なんだろう。
これじゃ電車をパスした意味がない、それにこの集団と一緒に歩いてると疲れた感じがする。
みんなお祭りで魂を抜かれたみたいに黙々と歩いてるし。

「竜児、こっちの裏通りに入ろうよ」
「道知ってるのか?」

「知らないけど、方角さえ間違えなかったら大丈夫でしょ?それに知らない所を歩くのって冒険してるみたいでワクワクするじゃない」
「そうだな、人混みはもうウンザリだし悪くない提案だ」

通りを一つ変えるとそこは別世界だった、古びた商店が立ち並ぶ懐かしい感じの通り。
こんな時間じゃ開いてるお店なんて無く寂しげだけど、お祭りの賑やかさから解放されて落ち着くし涼しげな感じがして心地良い。

406 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/22(土) 01:35:07 ID:s/3CYslK ?2BP(2828)
「何だかレトロな感じの通りだな、タイムスリップしたみたいだ」
「私の言った通りでしょ?」
「あぁ、ただ歩いてる帰るより楽しいな」

それから竜児とアレが懐かしいとか子供の頃の思い出話をしながら歩いた。
でも立ちっぱなしの次は歩きっぱなしで流石に疲れたな。

「大丈夫か?次に公園でも有ったら休憩しような?」

疲れたのが顔に出てたかな?何も言わないのに竜児は疲れを察してくれた。
まぁ普段から周りを気にしてばっかりだし、今更驚くことでもないか。アンタはそんなに気ばっかり使ってたら若くしてハゲるわよ。

「あれって公園じゃない?」

公園は直ぐに見つかった、見た目は鬱蒼と樹木に覆われて少し不気味?

「表は不気味だったけど中は結構良い感じね」
「こんな所に森林公園が有ったなんて知らなかったな」

遊具などは無く周りを木々に囲まれ中央には芝生の広場、あとは所々にベンチが置いてあるシンプルな公園。

さっそく芝生の上に寝転んで体をグッと伸ばしてみる、空を見ると綺麗なお月さまが白く輝いていた。
その光は公園の木々を照らして街中とは思えない幻想的な雰囲気を演出している。

「今日は楽しかったな」
「そうね、私も楽しかったわ。でも本当は私とじゃなくてみのりんと来たかったでしょ?」

「…まぁ、そうかもな。でも今日は大河と2人だったから楽しかったのかもな」

何なの?その煮え切らない答え方は、別荘で何かあったの?

407 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/22(土) 01:37:08 ID:s/3CYslK ?2BP(2828)
「みのりんと何かあったの?」
「櫛枝とは別に何も無い。でも最近気がついたんだけどさ、俺は大河を好きみたいなんだ」

「ハァ?アンタ自分で何を言ってるか分かってんの?月夜の雰囲気に呑まれて勘違いしてんじゃない?」
「確かにそうかもな、俺は櫛枝のこと好きだし」

何を晴れやかな顔して訳が解んないこと言ってのよ、本当に大丈夫なの?

「櫛枝を好きって想う気持ちと、大河を好きって気持ちは何か違うんだよ」
「俺たちはさ、いつも一緒に居るのが当たり前の事になってるだろ?まるで家族みたいに」

「あぁ、そうゆうことね。確かに家族とか、そうゆう意味では私も竜児のことは好きよ」
「川嶋の別荘に行って思ったんだけど。櫛枝と過ごす時間より、大河と二人で居る方が俺は心地良いんだよ。
何かさ、櫛枝と二人きりだと緊張するし」

「それって別荘で北村君と二人きりになって、私がアンタに話したことそのまんまじゃない。私をからかってんの?」

「そんなつもりじゃ無い、お前の話を聞いて気づいたんだ。それに本当に分からないんだ、櫛枝のことは好きなんだけど、大河とも一緒に居たい」

「矛盾してるわよ、そんなの」
「だよな…」

「でも竜児の言ってることも分かるわ。私も北村君が好き、もしつきあうことになって竜児と一緒に居れなくなるなら素直に喜べないかなぁ」

「そうだろ?俺も同じなんだ、櫛枝と上手くいったら大河とは離れないといけないかと思うと喜べない」

気づかないうちにお互いが離れられない存在になっちゃったのか、嬉しいけど複雑な気分だな。
それにこんな曖昧な関係を続けてたら誰一人幸せにはなれないよ。

408 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/22(土) 01:39:07 ID:s/3CYslK ?2BP(2828)
「竜児、この話は止めよ。こんな中途半端じゃ全部がダメになっちゃう」
「そうだよな」

「でもね… もし竜児がみのりんに告白して想いが叶わなった時に、今と変わらず私を好きって想ってくれるなら
その時は一人の男性として竜児を見てあげるわ」

「本当か?」
「ウソよ!アンタ最低ね。そんな保険みたいなのに頼らないで、ちゃんとみのりんに告白すること!」
「スマン…」

「…でもそんなに私のこと好きなの?」

「あぁ、好きみたいだ。…ゴメンな迷惑なこと話して」
「うぅん、私も本当は凄く嬉しい… 竜児が私をこんなに想ってくれてるなんて、ありがとう」

「…そろそろ帰るか」
「うん」

気まずさは無かった。
寧ろ私の中に芽生え始めていた気持ちを竜児に伝えられてスッキリした。

「あのさ、手を繋いでも良いか?もちろん今日だけ良いからさ」
「う〜ん… じゃあね、私も今だけで良いから、私だけを好きって言って」

「大河のことが好きだ。だから、いつまでも俺の隣に居てくれ」
「…うん」

そんな迷いも無く『好き』って言われたら私はどうすれば良いのよ、まだお互いに好きな人が居るのに。
でも相変わらず感性を疑いたくなるヤツよね、竜児って。
今のは告白と言うよりプロポーズよ。

「でもそんなに想ってくれてたのによく黙ってられたね、家ではいつも2人っきりなのに」

「何でだろうな、2人で居る時は何も意識しないんだ、でも大河が他のヤツと居ると意識してしまう、ぶっちゃけヤキモチかもな」
「妹を盗られる兄の気持ち?」

「オマエ… こんだけ俺が本音で話してるのに意地悪なこと言うよな」

「嘘だよ、ウ・ソ!ゴメンね。お詫びに家に着くまでは竜児の恋人になってあげるから」

繋いだ右手を離し、竜児の左腕を抱きしめ少しだけ身体を預けて歩くと幸せな気分になれた。
本当はいけないことかもしれないけど、またこんな感じで竜児と過ごせる時間を迎えることができれば良いなと月夜の晩に願いを込めた。

409 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 01:47:27 ID:sudkIc1m
>>404-408
GJでした。
更新したら、ちょうど三レス分まで書かれている状態で「原作if」かな?
って思ったら、原作での別荘後に沿ってるとこもグットでした。
『花火』をもっと活かしてくれたら鳥肌ものだったかも…と言いつつ、自分
なんかじゃ書けないけど。

とにかくお疲れ様でした。



410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 01:58:40 ID:NxfBb2Nl
>>408
オツー!眠いところありがとう!

411 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 02:01:11 ID:uq4SJR2g
>>408
寄り添う二人がいいね、乙でした。

412 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 06:25:41 ID:/vZnAerZ
今だけなんて互いに言い訳
甘くほんのり切なさもってこんな感じ!?

413 :bell:2009/08/22(土) 12:19:28 ID:sudkIc1m
俺も皆さんに感化されて書いてみました。
全然自信はないんだけどw
書いてるうちにダラダラ長くなってしまい…
20スレくらい消費してしまうかもしれん。
一応、舞台中に出てくる場所のwikiだけ。
割と有名な場所です。行ったことねーけどw
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%81%8B%E4%BA%BA%E5%B2%AC
もう少ししたら投下します。何回かに分けると思いますが。
よろしくお願いします。

414 :bell:2009/08/22(土) 12:25:04 ID:sudkIc1m
大河の謹慎が明けて数日後、高須竜児はいつものように自分の机と前に座るクラスメート
の机をくっつけ弁当を取り出す。
「学校での楽しみは、みのりんに会うことと、これくらいね」などとぬかす大河のためだ。
生徒会長になった北村はクリスマスパーティーの企画で忙しそうで、彼のせいで新ソフト部部長になった櫛枝も昼休み中はいないことが多く、最近はこうして二人で食事をすることが多い。
もっとも、櫛枝に好意を寄せている竜児としては、最近どこかよそよそしい彼女のことが、
気に掛かり、なんとか話すきっかけが欲しいと思っていたりするのだが…。
そんなことを思いながら昼飯の準備をしていると、
「やぁ高須。今日は一緒に食べないか?」
と今全校で最も忙しいであろう北村が声をかけてくる。
「おお、いいぞ。」
と言いながら目の前にいる大河に目を向ける。
そう言えば、以前、一緒に飯を食べた時に、こいつテンパり過ぎてたんだよなーと。
「き、き、北村君も?別に私は構わないけど…生徒会忙しいんじゃないの?」
と大河が北村を見ながら話す。
「あぁ、クリスマスパーティーの企画は大体決まてな。今週は少し余裕が出来たんだ。」
と北村が言う。
「へ〜。そうなんだ。クリスマス楽しみだなぁ。」
と大河はいつになく上機嫌だ。
「た・か・すくん♪亜美ちゃんも一緒にご飯食べたいなぁ♪」
いつものように甘ったるい声で、上目遣いの亜美が近づいてくる。
「あれ?木原や香椎は?」
と竜児が聞くと、
「今日は、みんなにお誘いがあって来たんだ♪」
ふふん♪と川嶋は胸を張って言った。
「へ〜、ばかちーのことだから、どーせ大した誘いじゃないでしょうよ?
また竜児をどっかに連れ出す気なんでしょ?」
と、手乗りタイガーよろしく川嶋のことを睨む。
竜児も怪訝そうな表情を浮かべている。どうせろくなことを考えてないだろうな…と。
「あっ!来た来た。みのりちゃんこっちこっち♪」
川嶋は大きく手を振って櫛枝のほうを向く。
櫛枝は一瞬驚いたかの表情を見せたが、いつもの笑顔にすぐ戻り、
「いやいやぁ、皆の衆、お揃いのようだね。マネージャー-がなかなか放してくれなくってさ。ところで、あーみん話って一体なんなんだい?」


415 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 12:25:54 ID:CHZpuOsg
おー新人さん頑張れ!

416 :bell:2009/08/22(土) 12:27:20 ID:sudkIc1m
と、川嶋に問いかける。
「実はね、夏休みに伊豆の別荘にみんなで行ったじゃない?そこの近くに紅葉がキレイな
ところがあってさ、ちょうど今が旬らしいんだ。忙しくて最近みんな話たり出来ないし、
行ってみない?」
と、にっこり笑いながら川嶋が提案する。
川嶋の割には、まともなこと考えるじゃないか…と思っていたら、
「へ〜、ばかちーの割には面白いアイディアね。いいわ。私ものったげる。
竜児は?当然行くでしょ?」
 と、やはり同じ意見だったかと、大河を見ると、あいつは竜児を見た後すぐに視線を櫛枝にむける。
 もちろん、最近櫛枝とろくに話せていなかった竜児としては、これ以上にないチャンス
だったので、二つ返事でOKの返答をする。
 結局、櫛枝も北村も賛成し、その週の週末にかけて川嶋の別荘に行くことになった。



417 :bell:2009/08/22(土) 12:28:05 ID:sudkIc1m
どうしようか、と考えているうちにすぐに週末はやってきた。
行き先は、川嶋の別荘のある下田に、程近い河津町というところらしい。
早春に咲く「河津桜」が有名だが、それに勝るとも劣らない紅葉が見られるらしい。
電車に乗ると、久しぶりの皆での行動もあってか、みんな楽しそうに話しをしている。
川嶋が電話をしていたので、何をしているのだろうと竜児が聞くと…
「なぁに~?女の子のプライベートに興味あるんだ~?な~んてね。
クリスマスパーティーで大きなもみの木を飾ろうと思うんだ。
今その業者さんと電話で話してたとこ。」
と川嶋は言う。
「へ~。」
とみんなが頷く。
「どんなツリーか楽しみだね♪」
 大河は大はしゃぎだ。

熱海をすぎて暫くしたころ、車掌の車内アナウンスが流れた。
「ご乗車中のお客様にお知らせ申し上げます。当列車は、この先伊豆高原付近にて、
信号トラブルのため暫く停車いたします。お急ぎのお客様には大変ご迷惑をお掛け
致しますが、今暫くお待ち下さい。」

放送を聞きながら大河はおやつを食べている。


418 :bell:2009/08/22(土) 12:31:56 ID:sudkIc1m
櫛枝も、川嶋もさして気にもとめていない様子だ。
北村だけは、その放送を聞いてから熱心に携帯をいじっている。
何せ自分達は大都会東京に住んでいるのだ。列車がとまったり、遅れたりなど
日常茶飯事的にあるので、いずれ復旧するであろうと高を括っていたのだ。

しかし、どれだけ待っても一向に電車は進む気配がなく、次第にみんなが不安になってきたところに、再び放送が流れた。
「ご乗車中のお客様にお知らせ申し上げます。伊豆高原付近での信号トラブルの復旧のため、ただ今復旧作業を行っておりますが、
復旧の目処がたっておりません。現在、修繕寺方面及び下田方面へ代替輸送の準備を行っております。
お急ぎのところ大変ご迷惑をおかけしております。今しばらくお待ちください。」

さすがにみんな焦ったようだ。
「え〜、亜美ちゃん聞いてないんですけど〜どうすんのよ〜」
とか、
「ちょっと竜児、なんとかしないさいよ。」
などと言っている。
櫛枝はというと、
「まぁまぁ、仕方ないではないか。バスもあるって言ってることだしさ。
ちょっと待ってみようよ。」
と言う。さすが櫛枝だ。お姫様二人とは違う。
「でも、どこ行こうかしらね〜。バスだと下田なんて時間かかるじゃない?
近場でどこかないのかなぁ。」
と大河が言うと、
「ん〜、どうしようかねぇ。ホントは私も海を見たかったんだけどねぇ」
と櫛枝も同調する。
日も大分高いところにある。どうしたもんだかなぁと竜児が思案している時、
北村がおもむろに口を開く。
「修善寺もそれなりに有名なんだが、その先に土肥というところがあるらしい。
そこには有名な観光スポットで恋人岬というものがあるらしい。帰りにも、フェリー
があって、清水まで行けるらしい。そうすれば問題なく、帰宅することも出来ると思うが…」
さすがは北村だ。さっきから何を真剣に携帯をいじってたかと思えば、そんなことを調べていたとは。
「ね~。恋人岬って何?」
と大河が竜児に尋ねる。それを聞いてか聞かずか、


419 :bell:2009/08/22(土) 12:33:23 ID:sudkIc1m
「恋人岬という場所はだな、愛の鐘と幸せの鐘っていう二つのベルがあるらしい。愛の鐘を三回鳴らすと恋愛が成就して、幸せの鐘を鳴らすと幸せになれるってものらしい。
昔から伝わる民謡にあやかったものらしいぞ?」
と北村が得意げに話す。

「北村君まで伝説好きとは思わなかったけど…」
と大河が言う。
そう言えばそうだ…と竜児は思う。幸福の手乗りタイガー伝説に、失恋大明神、
その次は愛の鐘に幸せの鐘か…と。
ここ最近の、ぎくしゃくしている櫛枝との関係をなんとかしたいという思いも存在する。
その一方で、それと同じくらいに、大河にも幸せになって欲しい…という思いも存在する。
悪くないな…と思う。
ふと見上げると、
「でも、行くとこもないし、そんなところもいいかもね。」
と大河は言っている。
一方、川嶋は、
「え~、亜美ちゃん紅葉が良かったんですけど~、大体さぁ、
伝説とか信じるなんてバカっじゃねーの?」
と反対する。
「櫛枝は?どう思う?一応海も見えるはずなんだが。」
何を考えているんだろう…目を向けると、櫛枝は真剣に悩んでいる。
が、竜児の視線を感じたのか、さっと目を反らした。
そして、少しの沈黙の後、
「行ってみようかな…。私も伝説とかどうなのかなぁって思うけど、
興味がないわけじゃないし。」
「よし、じゃあ決まりだな。修善寺より西にもバスが出ているようだし、
早速向かおうか。」
と北村がリーダーシップをきる。
北村が「何を願うか考えとけよ~。両方の鐘を鳴らすのは効果がないらしいぞ~」
などと言うなか、真正面に座っていた大河がそっと竜児に耳打ちをした。
「ちょっと竜児、分かってるんでしょうね?恋人岬に着いたら、
二人で行って鐘を鳴らすのよ?絶対に親密度があがるから。」
おまえが北村と一緒に行きたいだけだろと竜児は思いながらも、
やはり櫛枝との距離を縮めたい竜児は、素直に頷く。


420 :bell:2009/08/22(土) 12:35:12 ID:sudkIc1m
みんなが楽しそうに願うことを考えながらいる時、
ただ一人不機嫌そうにしているのが、川嶋だった。そんな様子を察したのか北村は、
「ん?亜美はつまんなそうな感じだな?行きたいところがあるなら言ってくれても
いいんだぞ?」
 と聞く。
「そうなのか川嶋?どうした?」
と竜児も川嶋に言う。
しかし当の本人は、
「べっつに~?いいんじゃない?みんな行きたいんでしょ?」
と言いながらそっぽを向く。
そんな川嶋は誰も見ない外を向きながら、
「優作は相変わらずバカで鈍感なんだから…」
と、ぼそっと、しかしはっきりと呟いた。
誰にも聞こえていなかったのだが…


421 :bell:2009/08/22(土) 12:39:28 ID:sudkIc1m
とりあえず、一発目はこのくらいっす。
一応、アニメや原作での各々の感情に忠実に書いたつもりです。
時期的には、生徒会長選挙が終わってクリスマスの前。
12月の頭くらいなイメージです。
細々と投稿させて頂きますw
では、また後ほど。

422 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 13:05:05 ID:5U4JDH0N
お疲れ様です。
和気藹々とした雰囲気がいいな

しかし20スレも消費するのかw

423 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 13:16:12 ID:D/nv/4yH
いや、キャラクターの心情的に和気藹々とはしてないだろ
原作準拠ならしてちゃ駄目な時期だ

まあそこら辺はいいんだけど
~が読みづらい
優作……

424 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 13:25:01 ID:LAcwfXIw
>>423
そうやって出てくる芽を潰すっと
スレが終焉を迎えるよ

425 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 13:29:26 ID:D/nv/4yH
潰してるつもりはないけど……

書き手も原作に忠実に書いてるって言ってるし
ギクシャクとした雰囲気が読み取れた
というのはむしろ正当な評価でないの?

誤植の指摘はあってしかるべきだろ

426 :bell:2009/08/22(土) 13:46:48 ID:sudkIc1m
2発目を投下します。
確かに〜は読み辛いっすね。
すんません。
ではいきます。

427 :bell:2009/08/22(土) 13:49:28 ID:sudkIc1m
「へーけっこう人いるんだなぁ。こんなにいるとは思わなかったよ。」
と竜児が言う。
大河が人混みが苦手なのか次第に不機嫌になってくる。川嶋も相変わらずだ。
一方で、望みだった海が見られた櫛枝はこの上なく上機嫌だ。
「海だぜー、いぇーい♪」
と大声をあげて、はしゃいでいる。
そんな様子を見た竜児は、ほっとしつつ、しかしながら、
これから彼女を誘わなくてはいけないと思うと若干緊張していた。
「ねぇ、なんでこんな人が多いわけ?なんかあるんじゃないの?」
と川嶋がけだるそうに言う。
確かに…と思いながら、前へ進んでいく。
そして気付く。道幅が狭いのだ。
5人で歩いたら、すれ違う人と行き交うこともままならないだろう。


428 :bell:2009/08/22(土) 13:52:53 ID:sudkIc1m
ご丁寧に看板まで設置されている。
内容をよく読むと、
「一組につき3名まで。次の組は前の組から20分以上空けてから進んでください。」
と書かれている。
なるほど。人が大勢いるわけだ。

しかし、よく考えると、これはチャンスなのだ。
『大河は北村をくっつけ、櫛枝をなんとしても誘いだそう。問題は川嶋なんだが…』
と考えていると、
やはり川嶋が、
「た・か・すくん♪あたしと~二人っきりでいってみない?」
と誘ってくる。
まただ。また川嶋にからかわれていると竜児は思った。
「ねぇ~、あたしみたいな可愛い子と行けるなんて滅多にないと思うんだけどなぁ♪」
と執拗にまでに腕に手をからませながら、目は某あ○ふる犬のチワワのように潤んだ瞳
でせまってくる。
「かっ、川嶋?ちょっと放せって!」
と竜児は拒む。
だから竜児は見落としてしまったのだ。腕にあたる豊かなそれに気をとられ、
潤んだ瞳の奥底にある、必死とも懇願ともとれるその眼差しを。
「ちょっとばかちー、放しなさいよ。あんたは私と行くのよ!いい?」
大河は、さも決定事項であるかのようにそう言った。
しかしながら、全員が大河をハッとした表情で見たのだ。
驚いたのである。大河が川嶋を誘ったことに。
「はー?亜美ちゃんは高須君と行きたいんですけど?さっきから言ってるじゃん。」
と川嶋は言う。ふっと川嶋は大河を見る。そして、こう言ったのだ。、
「じゃあー、優作も一緒に行かない?ねっ?いいでしょ?逢阪さーん?」
と言っていると、
「いいわ。それで行きましょ?北村くんは?」
と答えながら、北村を見る。
「あぁ、俺は別にかまわんぞ。逢阪に亜美。たまには両手に花も悪くないな。
ハッハッハッ!高須はそれでかまわないか?」
と聞いてきた。
「俺は別に構わないけど…。」
竜児が答える。
「そうか…」

429 :bell:2009/08/22(土) 13:53:59 ID:sudkIc1m
と何かを考えるかのように親指を顎に近づけた。が、すぐに表情を変え、
「そうか。それなら、高須と櫛枝、逢阪に亜美に僕という組み合わせで行こう。」
といつものような笑顔を振りまいた。

思惑通りに進んだ、竜児と大河がほくそ笑むなか、
川嶋は竜児と行けなかったのが悔しかったのか、
しかめっ面、全身から不機嫌のオーラを出している。

竜児は、櫛枝とともに行けることに本当に喜んでいた。
だから櫛枝の複雑な表情を見落としまっていたのだ。


430 :bell:2009/08/22(土) 13:55:20 ID:sudkIc1m
人数が多く、かなりを待つだろうと予想していた行列も、わりとあっけなく過ぎ、
いよいよ次が竜児と櫛枝の番だった。
櫛枝は、「よーし、一丁行ってくるぜ」
といつもの笑顔で大河と抱き合っている。
相変わらず仲いいんだよな。この二人は…と思いながら、
大河は、どちらの鐘を鳴らし、何を願うんだろう?と一瞬考えた。
が、刹那、今は目先にある櫛枝のことを考えなくては…と思い直した。
程なくして、竜児と櫛枝の順番になる。
やはり道中はとても狭く、何人もが横に連なって歩くには向かないだろうと思う。
しかし、恋人同士で訪れることが多いであろうこの場所に、そのような広さは
必要ないのだろうなと考え直す。
今は隣りに、櫛枝がいるのだ。それが竜児の気持ちを高ぶらせ、緊張させていた。
何か話さなくては…と竜児は考えていた。
そう言えば、今日はまだ会話らしい会話もしていない。
精一杯の勇気を振り絞り、
「なっ、なぁ?櫛枝…」
竜児は呼びかけた−が返事は聞こえない。
あれ?と思い櫛枝を見る。櫛枝はまるで気付いていないようだ。
何かを考えているのだろうか?
もしかしたら、何を願うか真剣に考えているのかもしれない。
何かを考えている櫛枝の顔は、いつものように明るい表情をしていたが、
その瞳はどこか苦しげで、ギュッとグーの形をしたその拳は、少し震えていた。


431 :bell:2009/08/22(土) 13:56:00 ID:sudkIc1m
なんとなく話すきっかけを失った竜児は、色々なことを考え出す。
先日の北村の狩野会長への告白や、大河の殴り込みのこと。
だが、それは過ぎてしまったことなのだ。
北村は狩野会長に見事に振られ傷心している。
大河にとってはそれはチャンスと言えるのではないだろうかと。

ただ一方で、川嶋のことを誘った大河の気持ちの真意を竜児は計りかねてもいた。
「自分は何を願うんだろう」とふと竜児は考える。当然「櫛枝への想いが成就すること」を願うべきなのだ。
けれど…ふと先ほど歩いてきた道を振り返る。
そして、先日、大河の謹慎がとけた日に「みんながhappyなクリスマス♪」と言ってたことをふっと思い出す。
あいつは何を願うのだろう…と。



432 :bell:2009/08/22(土) 13:56:45 ID:sudkIc1m
竜児は突然走り出した。
それはもう文化祭の時の福男レースの時のような勢いで。
それに驚いたのか、櫛枝も後を追いかけてくる。

「ちょっと高須君どうしたの?」
頂上でようやく追いつき、櫛枝が肩で息をする。
櫛枝の言葉に竜児は、ハッとした。
全力疾走していたのだ。それも無自覚に。
福男レースの時のそれのように。

「着いたね。あっ!あれが例の鐘じゃない?ほら、二つある。」
櫛枝が指を指す方向に目を向ける。
確かに二つの鐘がある。
「高須君早く行こうよ。」
櫛枝に言われて歩き出す。
「へ~、二つそれぞれ音色が違うんだね。」
櫛枝は一人で鐘を鳴らし始める。
おいおい、そんなんじゃ御利益ないだろと高須は言う。
それでも櫛枝は、そんなこともお構いなしににっこり笑って、
「高須君、あのね、鐘を鳴らす時目を閉じてもらえないかなぁ?私も目を閉じて鳴らすからさ。鳴らした後は、お願いするから少し待ってて欲しいんだ。」
と言う。さきほどの笑顔はどこへやら、真剣な表情をしている。


433 :bell:2009/08/22(土) 13:58:07 ID:sudkIc1m
櫛枝の意図がよく分からない竜児ではあったが、頷き、それぞれのベルのロープを持った。
櫛枝は竜児の前に立ち、同じようにつのベルのロープを握る。

高須は、密着する櫛枝の背中と、これから起こるであろう事象に酷く緊張していた。
どうか、櫛枝も同じベルを鳴らしてくれますように。と願った。

「高須君、準備はいいかな?」
櫛枝が問いかける。
「おっ!おう!」
竜児は、慌てて返事をする。
「じゃあ、目を閉じて」
竜児は固く目を閉じた。
「じゃあ、いくよ?」

竜児の心臓は爆発しそうに鼓動する。
そして願う。
どうか、櫛枝も同じ鐘を鳴らし、同じ願いをしてくれますようにと。
藁をもすがる想いで祈ったのだ。それこそ、失恋大明神や、幸福の手乗りタイガーに。
大河には毎日触っているし、北村もともにいる。きっと願いは叶うはずだと強く信じながら。

そして、勢いよく『愛の鐘』を鳴らす。


おかしいのだ。
櫛枝の手は、『愛の鐘』を鳴らしているようには感じない。
いや、むしろ…

そんな考えを断ち切るかのように、さらに激しく『愛の鐘』を鳴らす。

やはり、おかしいのだ。

竜児が鳴らすそれとは別なものを鳴らしているように感じる。
自分があまりにも勢いよく鳴らしたために、
櫛枝がどちらを鳴らしたのか分からなくなってしまったのではなかろうか…と竜児は咄嗟に考え、勢いを弱めた。


434 :bell:2009/08/22(土) 13:58:48 ID:sudkIc1m
そして、絶望した。
櫛枝が鳴らしたそれは、自分が鳴らしたそれとは別のものであることが分かったからだ。

なぜだ?と竜児は考える。確かに、このところ、明らかに避けられている感じはあった。
だが、竜児は櫛枝に嫌われるようなことは一切していないのだ。
いや、待てよ…もしかしたら、文化祭での大河の父親の一件を根にもっているのだろうか。
でも、その後の福男レースでは見事な連携プレーで優勝し、その後のダンスでも話したのだ。
考えられない。

竜児には、分からなかった。
背中と胸が密着してとても近いはずなのに、櫛枝がとても遠くにいる人のように感じた。
それこそ、オリオン座の三つ星の各々の距離の比ではないくらいに。

そして、祈りを捧げる時間が永遠のように長く感じられた。


435 :bell:2009/08/22(土) 13:59:37 ID:sudkIc1m
よしっ!お祈り終了だべさ~♪」
櫛枝が、いつもの明るい声で、そう言った時、星のかなたの距離にあった二人の距離が、
永遠とも感じられた時間が一気に現実に引き戻された。
竜児は目を開く。
そこには、いつもの眩しい笑顔があった。そのことに竜児は少し安心したが、
同時に、『通じていない』ことに対する寂しさも感じていた。


436 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 14:25:33 ID:CHZpuOsg
規制かな?さるさんかな?

とりあえず支援

437 :bell:2009/08/22(土) 14:42:40 ID:sudkIc1m
帰り際、少し俯きながら、
「同じ鐘…じゃなかったね…」
櫛枝が言う。
行きの道で見たあの顔と同じだ。
しかし、一瞬にしていつもの笑顔を取り戻し、
「さーて帰りますかね。大河たちも待ってるしね♪」
とさきほど来た道を引き返していく。
「あっ!そうだ、高須君、どっちが速いか、競走しない?」
と櫛枝が提案する。
「競走?」
竜児が聞き返す。
「そう。競走。この前の福男レースの時さ、二人同着だったじゃない?
だから、その再戦。負けたほうが何を願ったか言うの。あっ!嘘はなしね?」

竜児は、櫛枝が何を願ったかにとても興味があった。
だから頷いた。
「よーし、じゃあゴールは…この前と同じ大河のとこね、それでいいかな?」
竜児は答えた。
「おう。いいぞ。真剣勝負な?」
言いながら、竜児は男と女だから自分が勝つだろうと踏んでいた。そして、
何を願ったのか聞きたいと思っていた。
「じゃあ、いくよ?
位置について~、よーい、ドン!」
かけ声とともに二人は走り出す。全力疾走だ。
この時ばかりは、櫛枝には負けてなるものかと本気で走った。

ところが、蓋を開けてみると、帰宅部の竜児と、
ソフト部エースの櫛枝の間には歴然とした差があったのだ。
始めのほうは竜児も善戦していた。ところが、
すぐに櫛枝との差は開きあとは広がる一方だった。
体力の差が大きすぎたのだ。これでは、もう無理だろう…
竜児の櫛枝への想いを伝えなくてはいけないのだろうか…。
だが、状況が悪い。櫛枝は『幸せの鐘』を鳴らしたのだ。
『通じていない』のだ。
竜児の想いをよそに、差は広がる一方、逆転するのはもはや絶望的だった。
その時だ。

ありえないことが起こった。
「あっ!」


438 :bell:2009/08/22(土) 14:43:21 ID:sudkIc1m
櫛枝が躓いて転んだのだ。

お笑い芸人のコントでも見ているかのように、それはもう勢いよく櫛枝は転んだ。

「くしえだーーーーーー」
大声を上げて竜児は近寄る。

「大丈夫か?立てるか?」
竜児は心底心配そうに櫛枝に問いかける。
あいたたたた…と、櫛枝は足首をなでる。
「ちょっと捻っちゃったみたい…」
歩けないことはないんだけど…と苦笑いしながら櫛枝は言う。

竜児は、櫛枝に背を向けて、屈む。
「おぶるから、乗れよ。」
と竜児は言う。竜児はこのような人間だ。困った人を放っておくなんて論外なのだ。
「歩けるよ?大丈夫さ♪」
この期に及んで櫛枝は、まだそんなことを言っている。
櫛枝は躊躇していた。さっきと同じような苦しそうな顔で。
「いいから、早く!大河や北村達が待ってるだろ?」
と竜児が急かす。
「それじゃあ、悪いねぇ…頼むよ。」
と櫛枝が言い、背中におぶさる。

少しずつゴールが近づく。
まだ見えてはいないがそんな長い距離はないだろう。
問題なくおぶっていける距離だ。
竜児はそう考えつつも、
想い人を背に乗せているのだ。冷静でいられるはずがなかった。
顔は、茹で蛸のように赤面し、心臓の音が伝わってしまいそうだった。
そして、やはり何を話していいのかよく分からなかった。


439 :bell:2009/08/22(土) 14:45:29 ID:sudkIc1m
口を開いたのは、櫛枝のほうだった。
「高須君は、やっぱり優しいね。こーゆーこと普通に出来るんだもん…。」
「いや、歩けないなら助けるのが当たり前だし、それに…」
竜児は言い淀んで顔を俯かせた。
「でもさ、それがやっぱり凄いんだと思う。こーゆーことを当たり前に出来る高須君を
私は尊敬します。」
いつもの明るい声で櫛枝が話す。
竜児は、嬉しく思った。『通じていない』という事実はあったが、
『嫌われてはいない』ことが分かったから。
そして櫛枝が続けた。
「高須君は、誰を想ってあの鐘を鳴らしたの?」
今度は、さっきとは違う。消え入りそうな声で、でも真剣に尋ねてきた。

『おまえを想って鳴らしたんだ』
と言えない竜児は、悔しくて切なかった。
そんな竜児の表情を肩越しに見た櫛枝は、あと少しで到着するであろうゴールの方を見ながら話を続ける。


440 :bell:2009/08/22(土) 14:46:25 ID:sudkIc1m
今日は行けなかったけどさ、夏にさ、あーみんの別荘に行ったじゃない?その時さ、
幽霊がどうとか、UFOがどうとか話したじゃない?覚えてる?」
竜児は、あぁ、あの事か。忘れるはずないじゃないかと思いながら、
「覚えてるよ。」
と答える。
「私ね、幽霊見るのってやっぱり怖いなぁって思ってたんだ。
最近までね、幽霊は誰にでも現れるものじゃない、
誰かのもとに現れたら、誰かの見えかけてたそれは幽霊じゃなかったって、
その誰かが幽霊の幻を見たんだって…辛くなるんじゃないかなって思ってた。
でもね、ひょんなことで、もしかしたら私も幽霊を見てもいいのかもしれないって、
思うようになってね、そんな時にね、私が見てたUFOが爆発しちゃってんだよ。
この前見た人工衛星でもなく花火でもない本物のUFO。
もう、私びっくりしたんだ。どうしよう。私本物のUFO見ちゃったよ~って。」
「よかったじゃねーか。」
と竜児は笑いながら話す。
「そだね。でも微妙なんだ。
UFOを見ちゃう一方で幽霊を見るのは怖いって気持ちもやっぱりあってさ。
そんな風に考えてたらさ、見えてたものも段々見えなくなってきちゃってさ。
もう私自爆だぁって。どうしようって…。
けっこう悩んだんだ。『愛の鐘』か『幸せの鐘』か。
ほんとに、もう寸前まで迷ってだよ?でも咄嗟に鳴らしたのは『幸せの鐘』だった。
二つ鳴らしたいなって衝動にかられたけど、北村君に言われちゃったしね…」
てへへっと笑いながら、櫛枝は言った。
「そっか。」
と竜児は頷く。
嫌われていないどころか、もしかしたらチャンスが少しは残っているのかもしれない
と思ったのだ。
「あっ!ゴールが見えてきたね。」
背中に乗った櫛枝が大きく手を振りながらみんなのいる方に手を振り叫ぶ。
「おーーーーーい!!みんなぁぁ!帰ったよぉぉぉぉ!」
と大声を上げる。
そして真顔になって竜児に耳打ちした。
「さっき言ったことはみんなには、内緒だからね♪」
と。 


441 :bell:2009/08/22(土) 14:49:28 ID:sudkIc1m
北村が櫛枝の存在に気付く。
大きく手を振り返し、
「くしえだーーーー!たかすーーーーー!」
と声は張り上げる。
ぼーーっとつまらなそうな表情をしていた大河は、その声にはっとし、
声のする方向を見る。
一瞬の間の後、
「みのりーん♪」
と大きく手を振って笑う。
川嶋は、何かを一瞥した後、それよりも大分遅れて、
「高須くーーーーん♪」
といつもの甘ったるい声を出す。
そして二人のもとに駆け寄る。
「何を願ったの?」とか、「同じベルだった?」とか。
竜児は
「さぁな。」
とはぐらかす。
櫛枝も同じだ。しかしながら、その表情はどこか苦しげなのだ。
川嶋はそんな二人を交互に見つつ、フッと大きくに一つため息をつき、
「みのりちゃん、どうしたの?けっこう擦り剥いてるみたいだけど…」
と声を掛ける。
「いや~、ドジッたのだよ。ちょっと走ったら、すっ転んじゃってさぁ。
ソフト部部長、櫛枝実乃梨、不覚だぜよ。」
と舌をペロッと出して、頭をかく。
「みのりん大丈夫?ちょっと竜児、駄犬のくせに、何してんのよ?
ご主人様の大切な友人くらい守りなさいよね!」
と大河は、竜児を罵る。
「いや~、これは、そのだなぁ…」
と竜児が口ごもっていると、
「とにかく、まずは消毒と、湿布だろう。持ってきているから早くこっちへ。」
と、さすがの北村が竜児達を誘導する。

「高須、俺たちは次の順番だから、手当を頼むな。物は準備してあるからな。」
と、北村を先頭にして大河、川嶋がとっとと進んでしまう。

大河は、北村や川嶋と楽しそうに話している。何を話しているのだろうか…。
気になることは色々あるのだが、今は手当をしなくてはいけなかった。

手当が終わりしばらくすると、三人が戻ってくる。
どうやら三人は何事もなく無事に戻ってきたらしい。


442 :bell:2009/08/22(土) 14:50:49 ID:sudkIc1m
「さーて、あとはフェリーに乗って帰るだけだな。」
北村の発言を合図にして、バスに乗りフェリー乗り場まで来た。

ほどなくしてフェリーが出航した。
竜児は一人デッキで缶コーヒーを飲む。
今日は一日色々考えたな…と思い出す。
櫛枝のこと、北村に川嶋のこと、それに、大河のこと。

そう言えば、大河のやつ、何を願ったのだろう?と思った。
大河のやつのことだ、きっと、
「はぁ~?なんで駄犬ごときに私が何を願ったかなんて教えなきゃいけないわけ?
あんた何様?それに、そーゆーのは人に言ったら御利益なくなることぐらい
知らないの?」などと言われるだろうが、大体何を願ったかなんて想像がつく。
北村との愛の成就を願ったに決まってるのだ。

そんなことを考えながらぼーっとしてると、背が高くてスタイル抜群なあいつが来た。
なぜ、あいつは俺がジュースを飲んでるとよく来るのだろうか。
川嶋が、
「よっ!」
と言いながら近づいてくる。
 「おうっ!」
っと返す。
川嶋は、お金を入れて、いつものミルクティーのボタンを押す。
「こんなとこにいたんだ?みのりちゃん、そこまでひどくなかったみたいよ?」
と、竜児に告げる。
「そっか」
竜児はほっと胸をなで下ろす。


443 :bell:2009/08/22(土) 15:14:03 ID:sudkIc1m
下を向くと、急に川嶋の顔が近づく。
竜児はびっくりして、後ろに仰け反る。
「高須君はー、どっちの鐘をついたの~??」とアイドルのスマイルを浮かべる。
その手には騙されないぞ?と竜児は顔をプイッと背ける。
「もしかして、亜美ちゃんと両思いになるようにってお願いしちゃった?」
と、戯けた表情で聞いてくる。
 「そんなわけねーだろうが!からかうのも大概にしろよな。」
と少し荒げた声で竜児は答える。
「えー?つまんなーい。」
と駄駄っ子のような表情を見せた後、真剣な表情になる。(3回目終了)
「でも、『愛の鐘』を鳴らしたのよね?」
あまりにも真剣そうに聞いてきたため、
「あぁ、そうだよ。」
と竜児は答えてしまった。目を少しの間瞑ったが、やがて竜児を見て、
「ふぅ。まぁ、分かってたんだけどねー。
因みに、誰を想って鐘を鳴らしたの?」
と更に突っ込む。
「そんなこと言える訳ないだろ?大体言ったら御利益なくなるし、
それにお前に言う必要なんてないはずだ。」
 竜児には言えるはずがないのだ。
 「はいはい。さいですねー!」
 と、おちゃらけた後、あたしには関係ないもんね…と俯く。
 「ところで−、亜美ちゃんは、何を願ったのでしょうか?
  鳴らしたのはねー『幸せの鐘』なんだけどぉー」
 やはり…と竜児は思う。川嶋のことだ。
 亜美ちゃんの可愛さにみんなが♪とか思っているに違いない。
 「ヒントを出すとー、私自身だけのことじゃないよ♪」
 えっ?と竜児は思う。あの川嶋が自分以外の幸せを願うことなんてあり得るのだろうかと。
 「でもね、きっと叶うことはないんだろうなって思い始めてるんだ。実はね…。」
 亜美が寂しそうに笑う。


444 :bell:2009/08/22(土) 15:15:21 ID:sudkIc1m
あっ!そー言えば、タイガーもね、『幸せの鐘』を鳴らしたんだよ♪」
竜児は心底ビックリしていた。
あの大河が?北村との恋愛を成就させるように願ったはずなのに。
川嶋がいたから恥ずかしがったのだろうか。
いや、待てよ、そう言えば、川嶋を誘ったのは大河だったことを思い出す。
あいつ最近わけが分からないと思いつつ竜児は、冷めたコーヒーを一気に
飲み干し、ゴミ箱に投げ捨てる。
「ほらほら、早くみのりちゃんのとこ行ってあげなよ♪」
と急かされる。
コーヒーも飲み終わっていたし、竜児は櫛枝のもとへ向かう。
ふと、竜児は考えた。
世の中分からないことだらけなのだ。
大河のことも然り、川嶋のことも然り、櫛枝のことも然り。
そう言えば全員『幸せの鐘』を鳴らしているではないか…と。
ため息をつく。どうせ考えても分からないだろうと。
だって他人の気持ちなんて分かるはずがない。
自分自身でさえ分からない気持ちを抱えているのだから。
   
   竜児が立ち去った後、亜美は満天に輝く夜空を眺めていた。
   そこには、いつか大河と竜児が話したオリオン座の三つ星が
   輝いていた。
   
(終)


445 :bell:2009/08/22(土) 15:18:47 ID:sudkIc1m
以上です。
支援ありがとうございました。
いや〜、これ緊張しますね。
書き始める前に、5人それぞれの心情をまとめるとこからやったんだけど、
みのりんが全然分からないんだわ。
あと、竜児も。
そんな中書いた物なので、「えっ?」ってとこも多かれ少なかれあるかと思いますが、
堪忍したって下さい。w
あと実際の恋人岬は車で通っただけなので分からんが、そこまで狭くなかった
んじゃなかと。
以上です。ほんとにありがとうございました。

446 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 15:23:39 ID:5U4JDH0N
ひとつ言わせてくれ

これは若干スレの方針と違うような

447 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 15:34:09 ID:vbWHUwHS
>>445
おつかれでやんした☆
はじめてにしては、いいかんじではなかったかと。


>>446
まぁまぁ、おちついて。
ギシアンばかりじゃ、ギシアンスレになっちまうZE。


大河「なんとなく、いい作品だったわね・。」
竜児「なつかしいなぁ。あの頃は全員ちょっと複雑だったよな。」
大河「そうね。
  あのころ、私はあんたのことを多分好きだったんだと思う。
  だから、幸せになってほしかった。。。。」
竜児「わかってるよ。
  でも、だから、今しあわせなんなんだろ?」
大河「い、いまって、この状態???」
竜児「お、おぅ。」

ギシアンギシアン 


これでいいですか?(>>446

448 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/22(土) 15:37:55 ID:s/3CYslK
感想くれた方々ありがとうございます、あと読んでくれた方にもありがとう。
もっと皆さんにニヤニヤして貰えるような文章が書けるように精進していきたいと思います。

bellさんお疲れ様でした、これから一緒に頑張りましょう。
あと一つだけアドバイス、レス数が多い時はハッキリと何レス分貼りますと宣言した方が良いですよ。
自分も前にダラダラ貼ってて他の作者さんに迷惑を掛けましたからね。
次回も頑張って下さい。

449 :bell:2009/08/22(土) 15:39:15 ID:sudkIc1m
>>446
確かにスレの趣旨とは違うっすよね。分かってはいたんですが…。
適当な場所が見つからず…。
お目汚し失礼しました。
>>447
そういってくれると、めっちゃ嬉しいです。
初めてってこともあるんですが、かなり緊張するんです。
人の評価を聞くのって。だから少しほっとしました。
ありがとうございました。

450 :bell:2009/08/22(土) 15:41:51 ID:sudkIc1m
>>448
ですね。次回がもしあったら気をつけます。
一緒に頑張らせて下さい!とりあえず、めっちゃ疲れました。。

451 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 16:12:44 ID:eHFyFdwP ?DIA(222222)
気付けば430KBまで到達
そろそろ次スレタイの季節です

『禁断の壷』を使っている人にスレタイ決めて欲しいので、
こちらのスレに
http://yy53.60.kg/test/read.cgi/newso9vaplus/1246592936/

!tubo と書き込んでください

【とらドラ!】大河×竜児【ニコニコ妄想】Vol15
【とらドラ!】大河×竜児【モジモジ妄想】Vol15
【とらドラ!】大河×竜児【モグモグ妄想】Vol15
【とらドラ!】大河×竜児【ハフハフ妄想】Vol15
【とらドラ!】大河×竜児【ハラハラ妄想】Vol15
【とらドラ!】大河×竜児【アマアマ妄想】Vol15
【とらドラ!】大河×竜児【キラキラ妄想】Vol15

のうちからランダムで表示されますので
それを次スレタイトルに使ってくださいませ

ちなみに『禁断の壷』を入れていないと変換されないので注意

452 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 16:18:18 ID:NxfBb2Nl
キラキラ妄想に一票

453 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 16:39:40 ID:eHFyFdwP ?DIA(222222)
>>452
いやだから投票式じゃなくておみくじ式なので
壷入れてる人にやって欲しいとお願いしてるのですよ

454 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 16:53:38 ID:D/nv/4yH
壷持ってないねん

だれもおみくじ引かなかったら
投票されたやつから決めればいいべ

アマアマってまだ無かったんだな
【アマアマ妄想】に一票

455 :まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY :2009/08/22(土) 19:06:30 ID:AHWgsfl3
まとめサイト更新しましたー

各作品の終わりにトップへ戻るリンクを付けてみたッス。
何か変なところがありましたら、避難所あたりにでもご報告をしていただけると幸いです。

各スレごとの一覧に戻るリンクも付ける予定でス。


>>445
まとめる際に、誤字と「~」をこちらで勝手に直してしまいました。
戻した方が良いのであれば、ご指摘ください。
そして
                   /;;::r‐〜-ミ、     |   ウ ェ ル カ ム
                 4~/へi::::::;/,ヘミ7     |  W E L C O M E !
                 '-l|<>|:::::|<フ1|i'    ノ  ( よ う こ そ )
                    l! '" |::::l、~`リ    へ
              /`ー、  ハー;";::i:::ヾイl! ,r'~`ヽ、 \
           ,.ィ" ri l i ト、 1:|`丶:;;;:イ' ill!7、 、 y;  ヽ、_` ー―――――
      ,. -‐''" 、 くゝソノリ~i | - 、 , -‐'7ハ ヾニト-    ~` ー- 、_
   , ィ ´      ,ゝ、_ `r'   l |  、レ // `テ三..ノく _ `       ヽ、
  /       , -' ,、  `、_)   l,i,  i //  (/  ...,,;;;;:` 、        ヽ
 ;'       '" ノ ;;;;::::      i !  : //    .....:::::;;イ、_、_\ _    _ノ
 l ..,, __,ィ"-‐´ ̄`i::::: ゙゙゙= ...,,,,,. l | ,//  - = ""::;; :/       ` '''' '"


456 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 19:13:34 ID:T7NXjszs
>>454
壷持ちの人いるよー

457 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 19:36:50 ID:xRxGJX2j
>>451
やってみました

44 名前:大橋高校の生徒さん[] 投稿日:09/08/22 19:35:59
【とらドラ!】大河×竜児【モグモグ妄想】Vol15

458 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 19:37:52 ID:xRxGJX2j
>>455
ご苦労さまでした
トップへ戻るリンクは携帯で読んでるときにはありがたいッスねー

459 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 21:01:17 ID:CHZpuOsg
>>445
初投下おつかれさま
微妙な時期設定だけどあまり不自然さは感じなかった
鐘を鳴らす竜児の描写が切なくてGJでした

>お目汚し失礼しました。
難しく考えずに、自分の好きなところに投下すればいいと思う

>>455
コミケ生還ですね、おかえりなさい&乙です

460 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 21:10:43 ID:Lr3b5h9s
>>448

> あと一つだけアドバイス、レス数が多い時はハッキリと何レス分貼りますと宣言した方が良いですよ。
> 自分も前にダラダラ貼ってて他の作者さんに迷惑を掛けましたからね。

この辺、気にしなくて良いんじゃないかな。所詮掲示板なんて作品投稿には向いていない。それを
承知の上で投稿してるんだし。正直、そこまで投稿時に気を遣いたくないってのが本音。

461 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 21:16:47 ID:CHZpuOsg
>>445
あ、微妙ってのは各キャラの心情がってことね

>>460
同意。
投下完了前に制限食らった時にもどかしいくらいだし、
それが許容できないスレじゃないと思う
だから>>448さんもあんまり気にしないでいいんじゃん

462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 21:23:15 ID:sudkIc1m
優しい人が多くてめっちゃ感動してますw

>>455
誤字訂正申し訳ないです。
北村は優作ではなく、祐作だったんですね。
ちゃんと見てなかったようです。。

違和感がないと感じて下さっている方がいることに感激中です。
それでは失礼しました。

463 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 21:32:23 ID:Lr3b5h9s
>>462
ははははは。俺は川嶋亜美を『川島』と書いていた。あと、このスレでは麻耶→摩耶の間違いは定番だね。
ま、プロと違って編集者が校正してくれるわけじゃないからある程度は仕方ないよ。

次回作期待してるよ。

464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 21:40:12 ID:XmgdQpto
>>445
投稿お疲れ様です。
やっぱりはっきりと言っておきたいんだが、やっぱりスレ違いじゃないかね?
このスレの趣旨として、「大河×竜児」が前提。
それを踏まえたうえでの他キャラとの絡みならともかく、その内容だと「実乃梨×竜児」にもとられかねないよ。
投下する場所が無い、ってのは俺もそう感じたことあるから理解できる部分はあるが。
大河×竜児見にこのスレ来る人にとっては、受け入れられない可能性もあるわけよ。
発表場所が欲しいってのは理解するが、スレの前提壊してまでやって欲しくない、と思う。

内容的にはよく書けているし、今後に期待したいからこういう厳しい意見になってしまったことを付け加えておく。
チラシの裏失礼しました。

465 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 21:56:19 ID:D/nv/4yH
内容的にはエロパロ向きなのかな

竜児との対話が実乃梨、亜美ときたから大河で締めるのかと期待してたけど……
もうちょっと大河周りの描写が多くないとこのスレの主旨には沿わないかも
まあこの時期は難しいやね


次はぜひ2828できるやつで!

466 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 22:20:16 ID:vbWHUwHS
竜児に気を使っているあの頃の大河は好きだけどな。
大河のことを思うと、何かせつなくて。。。

>>445氏はコメントもらえるってことはみんな読んでくれてる
ってことだし、次も頑張ってほしいでがんす☆


さて、わたくしも、ギシアンばかりではアレなので、
ちょっと趣向かえて書いてみました
原作で高校3年になって、竜児と再会した日の夜の設定です。
(つきあってからもドキドキするよねってことで。。。)

3レスほどですが梅になれば・・・・


467 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 22:21:26 ID:vbWHUwHS
今日は楽しかったぁ。
1ヶ月ぶりに大橋高校に戻ってきて、みんなと再会できた。
みのりんも、ばかちーも北村くんにも2-Cのみんなも喜んでくれたし、私もうれしかった。
何より竜児と久しぶりに会えたことがうれしかった。
学校への行きも帰りも、一緒に手をつないで登校し、「好き?」と聞けば、すぐに「お前が好きだ」と答えてくれたし、キスもねだってしてもらえた。竜児のやさしさや気持ちは変わっていなかった。

以前なら、これから夜まで竜児の家で夕食をたべてダラダラしていたけれど、そうもいかない。
弟の世話、ママのお手伝いをしなきゃならないし、明日のお弁当の容易だってしなきゃならない。
ママが家に帰ってきて弟のお守りが終了し、自分の部屋に戻る。引越の荷物のダンボールを開けなければならないけれど、その気になれない。
どうしたんだろう?今日は楽しかったし、明日からも楽しい毎日が待っている。竜児にも会える。いつでも「好きだ」って言ってもらえるじゃない。
不安とかじゃなく、ただただ会いたい。明日会えるというのに、ただ会いたい。

468 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 22:22:18 ID:vbWHUwHS
気がつけば竜児に電話をしている。
あれ?いつかけたっけ?

竜児「あ、大河?
  どうした?なにかあったか?明日の弁当のことか?」
大河「あ、あ、あのね。
  そ、そう。明日のお弁当。私が竜児のぶんつくるのよね。
  な、ななにがいいかしら???」
竜児「・・・・」
大河「わ、わ、私は、おにくどーんがいいのよ。
  りゅ、りゅうじはどど・・・」
竜児「急に、さみしくなったか?」

さすがフィアンセ。みごとにみすかされている。
それでも肯定するわけにはいかない。
だって、そんなこといったら、飛んできちゃうじゃない。

大河「そ、そ、そんなことないのよ。
  た、ただ、竜児声がききたかっただけなのよ。」
竜児「・・・・

   泰子ぉ。ちょっくらでかけてくる。」
泰子「えぇーー?どこいくのぉ?」
大河「いい、いいって。大丈夫だって。さびしくないって」
竜児「俺も会いたいんだよ。
  すぐいくから、ちょっとまってろ。
  ガチャ。」


結局こんなことを1週間繰り替えした大河でございましたとさ。


469 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 22:27:09 ID:vbWHUwHS
大河「あれ?、2レスじゃない。どういうことよ。」
竜児「間違えたんじゃねぇか?
  書いてる奴、会社でも数の数え間違いばっかりやってるみたいだぜ。
  誤字もおおいしな。」
大河「もぅ。ばかね。
  でも、よかったわ。」
竜児「なにがだよ?」
大河「ほら、あれできるでしょ?」
竜児「やっぱりあれか?」
大河「そう。あ・れ・よ。」





   ギ ☆ シ ☆ ギ ☆ シ ☆ ア ☆ ン ☆ ア ☆ ン 






すみません。
かぞえまちがっただけです。
ごめんね。


470 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 22:31:02 ID:vbWHUwHS
おお、しまった。肝心なことを!!


>>455
神様、仏様、まとめ人さま、
有難うございました。



471 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/22(土) 22:38:00 ID:s/3CYslK
>>460 前に自分が規制でストップ・解除されて投稿を繰り返して2〜3時間スレを占有する結果になって他の作者さんが投稿できない状態を作ってしまったので、つい書き込んでしまいました、不快に思われたならすみませんでした。

472 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 22:49:31 ID:sudkIc1m
>>464
次はスレチって言われないように頑張ります。
大河のことは…読んで下さる方に察して欲しいなぁっていう個人的な
気持ちがあったので、あえて描写を減らしました。
でも裏目に出ちゃいましたね…力不足orz

>>465
お疲れ様でした。グッジョブです!
やっぱり、2828のほうが心が和むっす。

>>471
全然大丈夫かと。お疲れ様でした。

473 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 22:52:02 ID:sudkIc1m
アンカーミス
×>>465
>>466
でした。
>>465氏もトンクスでした。

それではサラバッ!

474 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 00:42:39 ID:lB8mGQW0
>>471
別に不快に思っていないよ。

あと、書き込みが断続的だからってスレを占有したとまで考える必要はないよ。他の作者だって空気読んだり
読まなかったり、好きにしてるんだから。

スレを荒らしたくないっていう強い気持ちはよくわかる。でも、気を遣いすぎだと思う。もっと気楽にやろうよ。
とらドラ!は楽しい物語なんだから。

>>472
大河が亜美を竜児から引き離すところは切ないね。まぁ、この時点では大河は単に応援のつもりでやって
るんだが。文化祭から雪のバレンタインデーの間は、if以外のSSは中々苦しいと思う。書くのが辛い。
バレンタインデー前夜の大河の話を書いたことがあるけど、書いてて凹んだわ。

逢阪→逢坂と仮名漢字変換を調教した上で、こんどは竜児・大河カップルのアツアツな話を待ってるよ!

475 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 01:28:52 ID:eygfCQyy

なん・・・だと?甘々成分が足りてない?
そんなこたーねぇ!俺がそれを具体的に証明してやる!

476 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/23(日) 01:29:15 ID:uC1ZC1Nd
>>474 優等生発言ばっかりじゃ伝わらないんで、偶には本音でも書こうかな。
気なんか使ってないよ、アレは私も貼ろうかと待ってたけどなかなか終わってくれないから、チクッと嫌みを言っただけ。
何日も睡眠時間を削って書いたのを人の作品の間には貼りたくないからね。
あ〜ぁ、本性バレちゃったな。

477 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 01:29:36 ID:eygfCQyy

「大変、竜児!」
「おう、どうした、何があったんだ?」
「さっき知ったんだけどね、日本の夫婦ってね・・・」
「何だ?言いよどむなんて、らしくねえぞ大河?」
「う、うん。ちょっと恥ずかしいけど、言うね」
「おう」
「1年間にね・・・・・17回しかしないらしいのよ!あ、ああ、アレを!平均すると!」
「マジか!?それはいくらなんでも少なすぎじゃねえか?」
「ううん、本当なの。みんなそれで寂しくないのかな・・・?」
「全くだよな。俺たちなんか、その20倍はしてるもんな!」
「うんうん!それでも足りないくらいだもんね!」
「分かってるじゃねえか、大河ぁ!」
「当たり前よ、竜児ぃ!」


ギシギシアンアン




いやーほんと、どれだけ謝っても謝り足りないとはこの事か

478 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 01:32:10 ID:eygfCQyy
>>476
こまけぇこと気にしちゃダメさぁ!
このスレには悠久の時間が流れているのだよ

479 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 01:36:03 ID:w346jKei
>>477
60倍でも足りないくらいだな


>>476
いいからさっさと投下するのだ
容量はあと56KBもあるのだぞ

480 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/23(日) 01:45:23 ID:uC1ZC1Nd
>>479 だから苦労して書いたの『さっさと投下』とか言われて貼るわけでしょ?

本性もバレたし、暫くは謹慎しとくよ。

481 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 02:07:52 ID:eygfCQyy

「ちょっと竜児」
「なんだ?さすがに疲れたな」
「違うわよ、60倍しろって言うのよ・・・ったく、こっちの身にもなりなさいっての」
「1日に3回ベースか・・・確かに身が持たないかもな」
「やってやる!やってやるわ、竜児っ!ほらほら、かもーん!」
「おおう!?待て待て、落ち着けって。あんなの勢いで言っただけだろ?」
「そうは言うけど、期待されてるわけじゃない?だったらやってやるって言ってんのよ!」
「それはそうだけど、おまえに必要なのはクールダウンだ、な、な?」
「クールダウン?」
「俺は大河といつものようにしてえんだよ、分かるだろ?」
「ま、まぁ・・・分からなくもないわね」
「おまえと喧嘩しながらやりてえわけじゃねえんだ、優しい気持ちで・・・その・・・したいんだ」
「私だって・・・そうよ・・・竜児・・・」
「分かってくれたか、大河。それじゃ・・・」
「・・・うん」



ギシギシアンアン

482 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 02:14:47 ID:GJvBOFw8
まえちょこっと書いたやつの続き作ってみるか

483 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 02:26:41 ID:w346jKei
>>480
それは悪かった


でもちゃんと反応はあったじゃん
エロパロの話だけど投下した直後にリレー小説が始まって結局1レスも貰えなかったことあったぞw
絵でサイトもやってるけど反応なんか何も無い

でもそれでいいんだと思う
好きで書いて描いて投下してそれでお終い
あくまで好きなことを形にするのが目的だから苦労はそこで報われるわけ

自己満足でも満足なんだよ
他者からの反応は+αに過ぎない(もちろんあれば嬉しいし励みになる)
そういう気持ちで俺はやってる

まあこれは同時にがんばらない事への言い訳にもなるがなw

484 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 02:36:37 ID:lQhVvJFZ
>>455
まとめ様お疲れ様です。
あなたのおかげで今日も色々読めます。

>>445
お疲れ様でした。
そんな観光地があるなんて知りませんでした……
日本は広い!

>>480
心中お察し致します。
しかし謹慎なんて言わずに、どうかいつも通りに。

>>ギシアン各位様
GJ!
ギシアンは少子化を救う


睡眠時間を削って必死に書いても1レス分。
しかもクオリティはチラ裏。
感想レス無いのは当たり前。
こんな俺でも元気にやってます。

485 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 03:19:24 ID:TA1Bd5hO
>>480
好きにするがよろし

486 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 04:04:37 ID:iQEWI2Nh
>>480
……めんどくさ

487 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 04:46:56 ID:OKityvRq

―AM7:00―

「竜児!」チンチン
「おぅ!」トントン
「「いただきます!」」


―PM1:15―

「竜児!」カチャカチャ
「おぅ!」トクトク
「「ごちそうさま!」」


―PM11:30―

「竜児!」ポンポン
「おぅっ!?」ドキドキ

ギシギシアンアン

488 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 09:19:46 ID:UlfUNpB8
>>486
彼女はまだ10代だからね…

489 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 13:10:33 ID:LT+1rcNK
Tw氏は
ROM専のオレ的には立派な書き手さんなんであまりきつい事は言わないでほしいかな!?
なんか書かなくなりかねないふいんきな展開だし

490 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 14:21:00 ID:lB8mGQW0
>>489
「あの人の作品は好きだから特別扱いしよう」って考えならやめといたほうがいいぞ。
スレが荒れるから。

そうじゃなくて「それは厳しく言いすぎだろう」と言いたいのであれば、「立派な」云々は書かないで
ちゃんとそう言った方が良い。

ただ、俺はTw氏は少し頭を冷やした方が良いと思う。スレのルール、スレの流れ、自分の投下
タイミングを切り離して考えることが出来ないなら、なおさら。

491 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 15:00:53 ID:YwsUc5UK
そろそろTw氏の話はやめようぜ、不毛だ

492 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 16:00:29 ID:LQ55C28C
つまり大河はトゥルトゥルってことですよね!?

493 : ◆Tw0dVfiTgMyj :2009/08/23(日) 18:18:34 ID:uC1ZC1Nd
自分の力量不足なのは分かってる。
それに自分の文章を好きって言ってくれる人が居るのも分かってる。

でもね今回はスレチって自覚して長時間貼り続けるからカチンときたんです。

竜虎の話なら構わないですよ、別に自分の書いたの潰されたなんて思わないし、逆に次は感想貰えるように頑張ろうって思うから。現に感想なくても自分は週1で投稿してるからね。

とゆう訳で自分は会社で貰ったカムイ伝全21巻を読まないといけないので暫くお休みします。
次は時代劇でも書こうかな

494 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 19:39:01 ID:TA1Bd5hO
>>491
そうだね

495 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 19:46:03 ID:eygfCQyy
オブラートに包んで言っても伝わらないようだから言ってやろう

>>493の発言は誰のためのものだ?自分の怒りをぶつけたいだけとしか思えない。
黙ってればいい事を黙ってられないタイプなんだろうと思うからこそ、
何度も、何人も、あなたに落ち着け、冷静になれと言ったが、その言葉に耳は傾けたのか?

これを見ると「作者は悪い事と知りながらやった」と決め付けてると感じたので
こうして書いてるわけだが、この騒動で一番心を痛めてるのはその作者だと思う。

初めて作品を投稿する時は緊張もするし、その感想に対するレスだって緊張する。
作者は確かに「趣旨と違う」と自覚しているが、最初のコメントを見るとこのスレで感化されて書き始めたんだろう。
出来上がった結果、確かに大河の描写は少なかったが、最初の作品なんだし思い通りにならない事もあると思う。
おまけに「次はスレチと言われないように頑張る」と言っているんだから、それを暖かく見守るのが一番じゃないか?

あなたはスレの空気を悪くするのが嫌いじゃなかったか?
あなたがスレを占有して迷惑かけたと言ってたその時誰かがそれで声を荒げたか?
多少の不満は誰しも持ってるけど、このスレが好きだし荒れたくないから皆黙ってると思ったことは無いか?

カムイ伝おおいに結構。少しこの件から離れて冷静になって考えるべきだと思う。
自分が受けた優しさを後発の人にも分け与えられるようになって欲しいと願う。
そして冷静になったら戻ってきて欲しいと切に願うよ、あなたの作品はとても好きなんだ。


よーし、以下いつもの流れで頼むぜ?

496 :竜児:2009/08/23(日) 19:55:05 ID:GGFSQk4f
>>492
捏造乙!
大河のは完全にツルツルではなくほんの少しだけ産毛が生えているというのに!!



497 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 20:00:51 ID:lB8mGQW0
>>495
> 自分が受けた優しさを後発の人にも分け与えられるようになって欲しいと願う。

いい言葉だ。俺も胸に刻んでおく。ありがとう。

498 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 20:06:17 ID:vBIKfedo
>>496
ツルツルじゃないんだ、大河はトゥルトゥルなんだ。

499 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 20:08:01 ID:w346jKei
>>496
そりゃ人間掌と足の裏以外は普通産毛が生えてるってw

500 :bell:2009/08/23(日) 20:35:31 ID:eNySlP4o

2日振りに来て、俺のことでいざこざが起きているようでビックリした。

まず…Tw氏
本当にごめんなさい。
一番始めにレスをくれたのが、あなただったのでそのことが先ず嬉しかったんですよ。
どう思われていようと、Tw氏の言葉に救われたのがあったので。

ただ…、スレチと自覚しながら投稿したわけではないんすよ。
後で言われて「あぁ、やっぱりそう思われるようなぁ」って思っただけで。
僕自身の中ではあくまで、大河がメインだったので。
二度目の発言になるけど、大河の台詞や、描写を少なくしたのはワザとなんです。
技術不足だったので、分かって頂ける方が少なかったのかもしれないけど、
亜美の台詞や行動であったりとか、その他の台詞以外のところから、
推して図って欲しかったんです。
そのために下手ながら、隠喩を使ったり、伏線を張ったりしたので。

俺自身も、Tw氏を含めみなさんの作品が大好きなんです。
ゆゆぽスレを含めて一通り読んでるくらいなんで。

もう一度同じことを言うけれど、俺自身は一番始めの頂いたTw氏のレスに救われたのは事実です。
だから、これでこの件は終わりにして下さい。

Tw氏を責めるのもやめてください。

長文失礼しました。
いつも通り和気藹々とお願いします。
では、サラバッ!

501 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 20:50:35 ID:EbgH879q
オマエらスレに貢献してる人を叩いてどうするだよ

502 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 21:57:20 ID:R7vTkyEi
「見ろ大河!不景気に格差社会に衆院選にインフルエンザ流行で皆がギラギラしてるぞ!」
「あんたの目つきの方がよっぽどギラギラしてるっての。それこそ殺人鬼のごとく」
「……おう、そうか」
「それに、竜児がイラついてるときの教室の雰囲気ったらこんなもんじゃないのよ。もっと空気が淀んでんだから」
「いやいや、待てよ大河。お前がイライラしてる時の方が凄いぞ。教室の酸素がどんどん無くなっていく感じすらある」
「あんたの生まれ持った魔界の波動に叶うわけ無いじゃない。私は人間だし」
「お前こそ自然界から授けられた野獣のオーラがあるだろ」
「いーや、竜児のが凄い!」
「絶対に大河のがヤバイ!」
「……一歩も退かないのね。」
「おう、男には退けない時があるんだ」
「こうなったらアレで」
「ケリを付けるしかないな」

「いい?先にへばった方が負けよ!」
「おう!負けた方が1日召使いだぞ!忘れるな!」
「「うぉおおおおおおお!!」」

ギシギシギシアンギシギシアンギシ

結果はドローだと思うんだ、うん。

503 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 23:20:24 ID:eNySlP4o
>>502
めっちゃ時事ネタっすね。
お疲れ様です。ぐっじょぶです。

インフルエンザ流行ってるんすよね。
夏なのになぁ。

504 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/08/24(月) 00:56:25 ID:xWB/Pkgt
お題 「生徒会長」「北村」「七星」



「ねえ竜児、知ってる?北斗七星……大熊座ってのは、北極星を含む小熊座を見守るために、ずっと沈まないでいるんだって」
「おう、なんか聞いたことあるな、それ」
「なんか私みたいよね。色々あっても、結局北村君に近づくことも離れることもできないで、ちょっと離れたところをぐるぐる回ってるだけなの」
「……どっちかと言うとこの間までの北村だろ、それは。生徒会長……もう前生徒会長か、とにかく狩野の兄貴っていう北極星の近くをぐるぐると回り続けてたんだ、あいつは。
 大河は星座でいうなら……そうだな、アンドロメダだ」
「何よそれは」
「知らねえか?親のせいで海の怪物の生贄にされちまうお姫様だよ。んで俺が……その……ペ、ペルセウスだ。メデューサの首は持ってねえけどよ、自前の眼力で怪物だろうが何だろうが石にしてやるぜ」
「……」
「お、おい、大河?」
「……ぷ……くく……くぁっははははは!」
「ば、爆笑!? 何で!?」
「だって、あ、あんたがペルセウスって……似合わな過ぎで……ぷくく……」
「わ、悪かったな!……人がせっかくいい話に持っていこうと思って考えたのによ……」
「そういうのを犬の考え休むに似たりっていうのよ。照れながらカッコつけていい話も何もないもんだわ。
 大体私がおとなしく生贄になんかなるわけないでしょ。ペルセウスが来る前に自力で怪物と、ついでに親もぶっとばしてお終いよ」
「おう、そりゃそうだな」
「だいたい犬のくせにペルセウスなんてのがおこがましいのよね。あんたはせいぜい大犬座ってとこよ。犬なんだから」
「……そのまんまじゃねえか」

505 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/24(月) 01:03:42 ID:QNfuT7e6
>>502
高須棒が擦り切れるまで竜児に頑張れと申すか……

「前にあんた言ってたわよね。高須棒は擦り切れて無に帰すまで使うって」
「ま、まさか……嫌な予感しかしないんだが……」
「その通りよ。その言葉が本当かどうか証明してもらおうじゃない!」
「ひぃっ!!」


ギシギシアンアン


「た、大河……もう……やめ……」
「まだよ! まだちっとも擦り切れちゃいないわよ!」
「ぎゃあっー!」


ギシギシヒイヒイ

506 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/24(月) 01:10:50 ID:kmomGZly
大河は生派なのでコンドームつけようとすると怒りだします

507 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/24(月) 02:00:21 ID:l92AzUJ1
>>504
今日も乙でした。ところでずっと思ってたんだが、
三題やってると雑学博士になれそうじゃないか?w

>>505
こ れ は ひ ど い w

508 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/24(月) 06:37:38 ID:rXgdhoQJ
>>504

大河はおおいぬ座のアルファ星が全天で明るいことを知った上で
竜児をおおいぬ座って言ってるんじゃないか。と、にやにやしながら考える。

509 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/24(月) 17:17:59 ID:LFJCixoF
>>504
GJです。

ってか、俺も505氏に賛成ですw

コンドームをw

510 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/24(月) 17:19:18 ID:LFJCixoF
>>504

星座に準えてるとこがイイですね。
GJです♪
お疲れ様でした。

511 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/24(月) 19:13:00 ID:jIgMi8xK
http://up2.viploader.net/upphp/src/vlphp265220.jpg

512 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/24(月) 22:53:27 ID:RJbr+u+A
>>504
GJ!!

三題噺、原作片手に挑戦してみたらとんでもなく難しかったです。
ホント凄いッス

513 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/25(火) 09:58:13 ID:crMNc3X7
そろそろ次スレっスね〜。なに妄想がいいッスかね?

514 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/25(火) 11:06:12 ID:ayItUAkl
市役所職員採用試験落ちた。
面接も討論も今までで最高の出来だったのに。
高齢だしもうこの世から消えてしまいたい気分orz

515 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/25(火) 11:07:38 ID:ayItUAkl
誤爆・・・

516 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/25(火) 11:31:47 ID:c+MsSCnL
>>515
ドンマイ & 消えちゃだめよ!

517 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/25(火) 11:43:55 ID:F6SpJAM5
>>514
頑張れぃ♪
諦めたらダメだよ。

518 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/25(火) 13:32:39 ID:ootLCdm+
>>511
発情してるぞw

519 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/25(火) 13:57:38 ID:ryBXdQvR
>>513
>>457
ってことで次は【モグモグ妄想】ね。

520 : ◆askgvpoGB. :2009/08/25(火) 19:58:52 ID:NkaMeVqr

こんばんは。

どうにも寂しい感じなので、お蔵入りさせようと思ってた短編を投下します。
怖さは……このスレの住人的には恐るるに足らず、だと思います。

勝手ではありますが>>331のそのAの続きとして書かせて頂きました。
では、次レスより投下します。

521 :とらドラ!百物語 高須家番外編 ◆askgvpoGB. :2009/08/25(火) 19:59:53 ID:NkaMeVqr


ルカ「あーあ、お父さん知ってたのかーつまんなーい」
竜児「ま、まぁそう言うなって、世の中には知らない方がいい事がいっぱいあるんだぞ?」
ルカ「ふーん。まぁいいや! それじゃ次は、私が見た怖い夢の話していい?」
大河「怖い夢? 怪談じゃなくて?」
ルカ「うーん……夜中に起きた時に見た怖い事なのか、怖い夢なのか……いまひとつハッキリしないんだ」
竜児「そんなこともあるよな……それなら俺たちに途中で止められる事も無いだろうし、いいんじゃないか?」

ルカ「それじゃーいっきまーす!」
大河「はいはい、分かったわよ。ドンとこーい!」
ルカ「あれは、私がまだ小さな頃……たぶん小学校低学年あたりかな」
竜児「あの頃は可愛かったよな……大河よりちっこくって……」
大河「うるさいのよ……ったく、人が気にしてる事を……」
ルカ「あーもう! 黙って聞いてよ、そこ!」

「おう」 「はーい」

ルカ「ゴウンゴウンっていう耳鳴りがひどくって、1人でベッドで目を覚ました事があったの。
   ううん。覚ましたような気がしたのかも……それで、部屋には豆電球が付いてたんだけど、なんかね、
   周りの家具とかドアとかが迫ってくる感じで、自分がどんどん小さくなっちゃうみたいな感覚があって
   それで今も夢なのかな?って思ってるんだけど、その時おトイレに行きたくなったんだ」
竜児「……ほうほう」
ルカ「で、部屋から出て階段を降りてる間、耳鳴りがずっとしてて、むしろどんどん大きくなってく感じなの。
   なんでか知らないけど、私は電気を付けてなくって、それで階段を降りたらね……聞こえてきたんだ」
大河「…………な、何が……かしら?」
ルカ「いちま〜い……ブツブツブツ……に〜ま〜い……ボソボソ……って」
竜児「……おう」
ルカ「地の底から聞こえてくるような不気味な声だった……
   ブツブツ言ってる途中でヒッヒッヒみたいな笑い声も聞こえてきてて……」
大河「…………やだ」
ルカ「その方向を恐る恐る見てみると、そこは洗面所だったの、お風呂場のね。
   それで……そこから薄い光が漏れてて……でもその光が、いつもの白い光じゃなくって、
   赤っぽい、ピンクっぽい感じで……すっごく不気味だった。私は戻ろう戻ろうって思ってたんだけど、
   足が勝手に引き寄せられるような感じで……その中を覗いちゃったんだ……」

「「…………」」

ルカ「そして私は見たの! 見てしまったの!!!」
大河「ひ……ひ――――っ!」
竜児「大河、落ち着けって!」

522 :とらドラ!百物語 高須家番外編 ◆askgvpoGB. :2009/08/25(火) 20:01:29 ID:NkaMeVqr

ルカ「そこに耳まで裂けたような凶悪な顔をした不気味な男がいたの! にたぁぁぁって笑ってた……
   それで、それでね! その男の目がもう……怖くって怖くって……その後も何度か夢に出てきたもん!」
竜児「お、おう……どんなんだ?」
ルカ「悪魔のように邪悪そうな目ぇしてた! 人としてあり得ないくらい釣り上がってて……
   そう、白目がね、白目の部分があり得ないくらい広くって!」
竜児「ん?……どっかで聞いた……ような……」
大河「そうね……どこかで聞いた言い回しよね……」
ルカ「なんて言うんだっけ? あの目のこと……これがまた黒目が小さくてこっわーーーいの! もうマジで!」

竜児「…………三白眼……の事か、竜河?」
ルカ「そう! それそれ! でね! その悪魔みたいな男が手に赤いものとかピンク色の物体を持っててね……
   こう……洗面台のライトの前にかざしては、よんま〜い……って言って、にたぁぁぁって笑って、
   さも可笑しそうに喉の奥で笑うの……」
大河「それ……って……ねぇ、竜児?」
竜児「あ、あぁ……どう考えても……」
ルカ「きゃーーー怖い! 思い出したらホラ見て! さぶイボ! やっぱりあれは夢だったと思うんだよね、
   っていうか思いたいよ! 怖い怖い、あれは怖かった……私の人生で一番怖かったもん!」
大河「………………」
竜児「……………………」


ルカ「あれ? ちょっと2人とも、今の怖かったでしょ? なんで無反応なの?」
大河「それ……きっと…………ううん、絶対に竜児よ」
ルカ「へっ?」
竜児「あぁ……その外見的特徴といい、やってた事といい……俺だ。100%俺だ。」
ルカ「うそ……」
大河「ぷ…………ぷーっ!!! 悪魔みたいだって! 人としてあり得ないだって!」
竜児「ぐっ……さ、さすがにそこまで言われると堪えるな……竜河……」
大河「実の娘にここまで言われちゃったわねー! くっくっく……あーっはっはっははは!」
ルカ「えーっと?……あ、あは……あはは……お父さん?」
竜児「まさか娘の一番怖い記憶が……俺だとは思わなかった……」
大河「きゃーっははははははは! もう死ぬ! 笑いちんじゃうううぅ! 助けてえええぇ!」
竜児「俺は…………おれ、は…………」

ルカ「だ、だだだ、だって! あんなところで何やってたの? 何を数えてたの、お父さん?」
竜児「あぃ……赤やピンクってことは、下着だろうな……大河の下着……かな?」
ルカ「えぇ!?」
大河「……まぁそうよね、私のだわ。きっと洗濯ネットから出して、伸ばしたりしてたのかしらね?」
竜児「シワになっちまうからな。それに、ちゃんと汚れが落ちてるかチェックしてたんだ」
ルカ「お……お母さんの下着を、洗面台のライトに照らして……汚れがないかチェックしてた……の?」
竜児「おう、大事なところを守るものだからな。当たり前だろ?」
ルカ「うっわぁ…………あ、さぶイボ……さっきよりひどい」

523 :とらドラ!百物語 高須家番外編 ◆askgvpoGB. :2009/08/25(火) 20:02:54 ID:NkaMeVqr

大河「女物の下着を数えてたってのも変態的だとは思うけど……その時にブツブツと何言ってたわけ?」
竜児「ん……あぁ、あれか。『きれいになったねパンツちゃーん』とか……」
大河「………………」
ルカ「……………………」
竜児「『型崩れは大丈夫かい、ワイヤー無しブラ子ちゃーん?』とか……普通言うだろ?」

「言わないわよ!」 「言わないよ!」

竜児「うおう!? なんだ2人ともそんな勢い付いて……特に大河はだらしなかったからな……俺がいつも……」
大河「あんた……死にたいらしいわね……」
竜児「たっ、大河!? 待て待て! その木刀を床に置け、危ないから! 危ないから止めろ!」
大河「言うに事欠いて……ワイヤー無しブラ……だぁ?」
竜児「いや……それは……」
大河「えぇそうよワイヤーありませんよ悪かったわねでもあんたに迷惑掛けた掛けてないわよねっ!!!」
ルカ「うわ……こっわ……」
竜児「おおいおいおいおい、待て! いくら竜河がワイヤーあるからってそんなに怒んなって!」

ブチッ――

大河「ふうううううううん!!!」

バシィ!――

竜児「いってええぇ!? 手の平が痛てぇ!? おい、本気で振り下ろしたな、大河……」
大河「当たり前よ、あんたもう許さないわ……娘の前でこんな辱めを受けるなんて……っ!」
竜児「やめっ! っと……ダメだぜ大河。この木刀はもう離さねえぞ? なんたって俺の命が掛かってるからな」
ルカ「え?え?何でお父さんそんな事知ってるの?……って、ちょっちょちょっとお母さん!?」
大河「んー? 何よ、今いいところなんだから邪魔しないでよね、竜河……」
ルカ「わた、わ、わわわ、わわ、私の下着は!? まままままままさかお父さんが洗ってるわけじゃないよね?」
大河「大丈夫よ、最近はずっと私が洗濯してるから……この変態主夫に触らせたりしないから安心なさい?」
ルカ「あぁ……良かったぁ……ありがとうお母さん! ほんっとありがとう!」
竜児「なんだよ……俺はおまえらの事を心配してだなぁ……?」
大河「だから、それが余計なお世話だって言ってんのよ!」
ルカ「ジロジロ下着を見るなんて、お父さんもしかして変態なんじゃない!?」

524 :とらドラ!百物語 高須家番外編 ◆askgvpoGB. :2009/08/25(火) 20:04:18 ID:NkaMeVqr

竜児「ああ、そう言えば……先週末は大河いなかったから、俺が洗っておいたぞ?」
ルカ「…………ひっ」
大河「あんたねぇ……私がやるって言ったじゃない!」
竜児「だっておまえ、溜めすぎなんだよ。1回じゃ終わらなかったぞ?」
大河「う、うるさいな、いいから早いところこの手を離しなさいってば!」
ルカ「……わ、わた……私の……した…………」
竜児「おう、そうだった、竜河。言うの忘れてた、おまえの下着にシミが残って……」
ルカ「いやあああああああああぁ!!!」

スパーン!――

竜児「ぐおっ!? し、竹刀……なんか……どっから出しやがった……」
大河「いい面(メン)ね、竜河……やっぱり剣の道に進んだのは間違いなかったわね、ふふん」
ルカ「おおおおお父さん変態! エッチ! 最っ低っ!!!」

バシィ!――  バシン!――  スパーン!―― 

竜児「いて! 痛てえよ!? おまえ段持ちだろ! こっちは手が塞がってるんだか……いってぇ!?」
大河「竜児、どうあっても私の木刀……離さないわけね? いいわ、竜河に借りるから……」
竜児「え…………」
ルカ「はいっ、お母さん! パース!」

パシッ――

大河「おっけ! 片手なのが遺憾だけど、この際しょうがないわ。あ、手ぇ離したらもちろん木刀で殴るからね?」
竜児「いやいやいや……待てよ2人とも! 待てって! つーか何で予備まで部屋にあんだよ、訳わかんねえよ!」
大河「あーら知らないの? 剣の心得ってやつよ」
ルカ「お父さん! 剣道着は汗かくの! ちょっと汚れちゃってもしょうがないの!」

竜児「お、おうっ!? 俺としたことが……そいつは気付かなかった。大変じゃねえか……汗だくなんて……」
大河「は?」
ルカ「へ?」
竜児「そんなに手強い汚れがあったとは……血が騒いでしょうがねぇぜぇ! ふ、ふふふふふ……」

にたぁぁぁ――

ルカ「ひいぃ!? あの時の顔だ! 怖い! 寒い! キモイ!」
大河「こ……のっ、顔面凶器がっ! 娘にこれ以上トラウマを与えるんじゃないよ!」

竜児「任せておけ、竜河! これからは毎日俺が純白に洗い上げてやるぜ、おまえのパン……」

ルカ「い―――や―――っ!!!  お父さん信じらんない! 信じらんない信じらんなーいっ!」
大河「いい加減、黙らっしゃい! いっそ死んで! しになさぁ―――い!」

竜児「ぎゃああああああああああああああぁ!」



――――こうして高須家の百物語は終わりを告げた。




end

525 :おまけと言うかおふざけ  ◆askgvpoGB. :2009/08/25(火) 20:05:23 ID:NkaMeVqr

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

?「たっだいまー ってあれ? 電気付いてねーじゃん」
竜児「――ぎゃぁぁぁぁぁ――」
?「何だ何だ!? 今の悲鳴みたいなのは」

ドタドタドタ――

?「……ちょっ……真っ暗に………じゃ…」
?「……あぁ………ロウソク……全部……」
?「何だ?部屋の中から人の声がするけど、真っ暗じゃねーか……まさか泥棒!?」
?(やべぇ、こえぇよ、ちっくしょー! だけどこのバットで戦ってやる、戦ってやるぜ!)

ガラッ―― パチッ――

?「おらー!!! 隠れてないで出て来いやー!!!」
大河「えっ? 何なのよあんた、いきなり」
ルカ「あー康児、おかえり。バットなんて危ないもの振り回さないの」
康児「あれ? 何やってんのそこで? 部屋暗くしてよ……しかも悲鳴が聞こえてきたぜ?」

竜児「……お……俺だ……それ俺の悲鳴だよ……ヒドイ目にあった…………いてぇ……」
康児「なんだ父ちゃんかよ。つーか何やってんだよマジで?」
大河「もう終わっちゃったわ、残念ね」
ルカ「康児がいなくて良かったー いやーホント良かったー」
康児「母ちゃんも竜河姉も竹刀持って……全然人のこと言えねーんじゃね?」

竜児「あぁ、全くだ……ったく、この家の女どもは……」 クルッ

康児「うわああああああぁ!? 父ちゃんの顔がKOEEEEEEEEEEE!」
大河「手加減してやったんだから、そんなおどろく……ぎゃあああああああぁ!」
ルカ「またまたー2人して大袈裟なんだか……きゃあああああああぁ!?」

竜児「……え?……え?……」

大河「こっ……この化け物がっ! さては迷い出て来たね? 竜児の体を返しなさいよっ!」
ルカ「なに? 何が乗り移っちゃったの!? うわ、やっばい! 追い出さないと!」
康児「マジで!? そそそうだよな! あんな顔、化け物としか思えねーもん! 俺もやってやる!」

竜児「…………まさか……冗談だよな? おまえら……まさか……」

ルカ「地獄突きぃ――――っ!」
康児「かっとばせ――――っ!」
大河「竜児は私のだぁ――――っ!!!」

竜児「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」



お し ま い

526 : ◆askgvpoGB. :2009/08/25(火) 20:06:34 ID:NkaMeVqr

以上です、ありがとうございました。

あちらこちらで議論が起こってるようで、
なかなか投下しにくい感じですが
こんなひどいオチでも楽しんで頂けたのなら幸いです。

中旬あたりにだいぶ人が減ったように感じたけど、
そんな事はないのが分かって嬉しかったものです。
これで少し流れが変わるといいなと思います。

次は埋め用ギシアンでも作りますか。
それでは〜

527 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/25(火) 20:29:32 ID:s9tvQ45d
>>526
こ れ は ひ ど い w(褒め言葉

乙でした。
どんな子供が生まれても、竜児が高須家最弱はガチ。

528 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/25(火) 21:18:51 ID:YbgFN6Y8
>>526
竜児の言動に噴いたwww
これはやられて仕方ないw

GJです!

529 : ◆fDszcniTtk :2009/08/25(火) 21:37:51 ID:UpPHo7jl
>>520

竜児自重(w

「お父さんの下着と一緒に洗濯しないで!」ってのは聞くが「お父さん洗濯しないで!」ってのは…

530 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/26(水) 00:15:47 ID:Gwd7VzQT
>>526
ああ、つまに蹴られ、こどもに上に乗られ、
世の中のお父さんは、、、、









そういうふうにできている。(涙)

531 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/26(水) 02:55:31 ID:04mToG+u
おつ!2828さしてもらったぜ

532 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/26(水) 11:14:58 ID:s0269Gjg

「ちょっと竜児、あんたパソコン見ながら、何、泣いてんのよ。気持ち悪い」
「だって、これ見ろよ。タイガが死んじゃったって…」

ttp://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000000908260007

「ハァ? 何、人を勝手に殺してんのよ! しかもこの子、オスじゃない・・・」
「いや、まぁ、そうなんだけどさ、虎、タイガ、天へ、っていうだけでなんかうるうるきちゃってさ・・・」
「そういう気持ち悪い妄想犬にはお仕置きが必要ね。死んでるかどうか、身を以って思い知るがいいわ!」
「ちょ、お前、こんな話題のあとに、まさか・・・」
「問答無用! オラーッ!!」


ギシギシアンアン


竜児に気持ちを代弁してもらった。
初めてギシアンを書いてみましたが、これでいいですか?
作品進めず、何書いてんだか俺 orz

533 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/26(水) 12:27:04 ID:bJj7KxeD
ゆるす

534 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/26(水) 12:27:09 ID:qbPCxCj3
よう、俺ww
超合格点だとおも

535 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/26(水) 14:08:29 ID:VAjJrGW7
投下しにくい感じとかwww
おまえがw

536 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/26(水) 14:44:19 ID:B1fnbqHT
>>526
子供の頃に39℃ぐらいの熱出した時、周囲の誰も彼もがやたらと怖く感じてトイレに篭ったことがあるが……
竜河の場合はリアルに怖いモノを見ちゃったんだなw


>>534
虎(特に子虎)関連のニュース見る度に大河を思い出すのはデフォルトだよなw

537 :解決◇eaLbsriOas:2009/08/26(水) 14:55:28 ID:B1fnbqHT
◆eaLbsriOas@避難所です。代理投稿

***

・解決

「おう、どした大河。なんでそんな、どん暗い顔してファッション誌見てんだ」
「なんだ駄犬か。はぁ……やっぱ私、もうちょっと背、欲しかったな……」
「最短罵倒来たな……おう、そうか。お、俺はおまえの背、伸びたら嫌だけどな」
「え、なに……はあ!? あ、あんたの好みなんか、かっ、関係ないっての!」
「おう……まあ、そう。そう、だわな……」
「そうよ、ったく……はぁ……せめてもうちょっと胸、あったらな……」
「……俺、おまえの、むっ、胸、それよかデカくなったら嫌だけどな」
「っだからあんたの好みなんか聞いてない! てかひとの呟きまで聞いてんじゃないっ!」
「おう、そうか……すまん」
「すまん、じゃないわよ。なによ、ぼーっとして……ん? んん? ねぇ、竜児」
「な、なんだ? 大河」
「あんた、私の背、伸びたら嫌なの?」
「おう」
「……んで、えと……私の、む、胸、このまんまがいいの……?」
「お、おう」
「そ、そう……なら、しっ、仕方ないわね……が、我慢してやっても、いい……」
「……あー、その。な、なにがだ?」
「っ!? な、なにがだじゃないこの……っひ、秘密だボケぇっ!!」
「わあおまえ、雑誌投げんな!? 殴るな蹴るな!? な、なんなんだ、なんなんだ!?
 おまえ、満面の笑みで怒るってなんの芸だ!?」


***おしまい***

538 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/26(水) 17:56:02 ID:qbPCxCj3
ニヤニヤw

539 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/26(水) 23:25:57 ID:B1fnbqHT
ちょっと早いけどもうすぐ480KBだしスレ立てチャレンジしてくる。

540 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/26(水) 23:32:05 ID:B1fnbqHT
立ちました。

【とらドラ!】大河×竜児【モグモグ妄想】Vol15
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1251296860/


541 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/26(水) 23:56:57 ID:04mToG+u
>>540
おつっすー!

542 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/26(水) 23:59:54 ID:Gwd7VzQT
>>540
大河「りゅーじぃーーー!!」
竜児「おぅ、なんだ。」
大河「次たったらしいよ」
竜児「おぅ。これは超乙だな。」
大河「足りないんじゃない?」
竜児「じゃぁ。
   ちょーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
   乙乙乙乙乙乙乙乙乙」
大河「もういっっちょ!!」
竜児「ちょーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
   乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙

・・・ はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

大河「だめよ。そんなに体力使っちゃ。」
竜児「お前がやれって言ったんだろ?」
大河「そんなにつかれてちゃ、いつものあれできないじゃない。」
竜児「おぅ。わかってるよ。」




そぅりゃ、ぎしあんぎしあん


543 : ◆askgvpoGB. :2009/08/27(木) 00:17:33 ID:jQ03Ptxh

>>527>>528>>529>>531>>536
感想どうもありがとうございまーす。
今朝「ルカは何カップなの?」と聞かれる夢を見た
自分はもう戻れないってことですよね、そうですよね。

>>530
これはお父さんガンバレとしかw

544 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 00:18:15 ID:jQ03Ptxh
>>540
乙です。

代理投稿しようと思ったんですが、埋まるまで待つのもあれだし、
途中で切れるかもしれないので新スレの方に投稿します。

545 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/08/27(木) 00:31:41 ID:8Hu5B99g
お題 「CD」「借家」「プルトップ」



「お帰りなさい、竜児♪」
「お、おう……」
 借家のドアを開けた途端に満面の笑みで迎えられ、竜児は一瞬固まった。
「疲れたでしょ。ごはんにする?お風呂にする?それとも……」
「お、おい、大河?」
「うふふ、冗談よじょーだん」
 大河の機嫌がいいのはいいことだが、その理由がわからないというのが気になる。
 学校で『久しぶりに能登とCD屋に行くんで先に帰っててくれ』と言った時には、むしろ不機嫌だったのに。

「はい竜児、のど乾いたでしょ」
 荷物を置いて居間に戻ると、大河がコーラの缶を手渡してきた。
「おう、サンキュ」
 大河は相変らずニコニコと微笑みながらこちらを見つめている。
 ……原因が気にはなるが、まあ機嫌が悪いよりはずっといい。
 話を切り出す前にどうやって大河を宥めるかを考える必要も無くなったわけだし。
 そんなことを思いながらプルトップを開けると、
 ぶしゅぅぅぅっ!「うぶっ!」
 猛烈な勢いで噴き出した炭酸が顔を直撃する。
 慌てて缶を台所に置き、床と卓袱台を拭く。
「うっきゃきゃきゃきゃ!ひっかかったひっかかった!」
 憮然とした表情で顔を拭く竜児を指差してケタケタと笑う大河。
 ……ずっとニコニコしてたのはこのためか。
 なんか、さっきからの大河の態度がものすごく納得できてしまった。
「婚約者を放っておいたりするから天罰が当たったのよ」
「天罰ってなあ……明らかにお前の仕込みじゃねえか」
「ふふん♪ 負け犬の遠吠えね」
 得意げな笑みを浮かべながら大河は自分の缶を開け、
 ぶしゅぅぅぅっ!「うひゃぅっ!」
 ……さては自分の缶も一緒に振ってたな。ドジめ。
「い、痛っ!目に入ったーっ!」
「ああもう、落ち着け!今拭いてやるから!」

546 :とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero :2009/08/27(木) 00:32:29 ID:8Hu5B99g
「天罰だな」
 大河の顔に残ったベタベタをウェットティッシュで丁寧に拭いながら竜児。 
「……竜児のせいよ」
 ぷうっと頬を膨らませている大河。
「何でだよ。イタズラ仕掛けたのもそれで自爆したのもお前じゃねえか」
「あんたが先に帰れとか言うからじゃないの」
「用事があったんだから仕方ねえじゃねえか。そりゃ俺だって出来るだけ大河の傍に居たいけどよ、24時間ずっとってわけにはいかねえだろ」
「そのぐらいわかってるわよ。だけど、よりにもよって今日という日に……」
「……大河、お前、ひょっとして……覚えてたのか」
 え?と顔を上げた大河に、竜児はそっと唇を重ねる。
「……キ、キスで誤魔化そうとしたって駄目なんだからね!」
「そうじゃねえよ。その、嬉しくて、つい……さ」
「忘れるわけないじゃない。丁度一年前、あんたが、竜児が……私は虎で、あんたは竜だからって」
「おう、お前の傍らに居続けるって言ったんだ」
「……あんた、覚えてたのに私を放っておいたわけ?それはいっそう罪深いわね」
「違うんだ大河。その……CD屋行くってのは嘘でさ、本当はこいつを買いに行ったんだよ」
 そう言って竜児が取り出したのは小さな箱。
 開けてみればその中には銀色の指輪が二つ。
「……! これって……」
「まあ、安物だけどよ。やっぱり渡すなら今日かなって……」
 言いながら竜児は大河の左手を取り、薬指に指輪を嵌める。
「だけど、よくサイズがわかったわね?」
「お前、泰子の指輪嵌めてみたことあったじゃねえか。指のサイズなんてそうそう変わるもんじゃねえだろ」
「そんな前の事覚えてたわけ? 感心すべきか呆れるべきか悩む所ね」
 今度は大河が竜児の左手薬指に。
「……ねえ竜児、もう一度キスしてくれる?」
「……おう」
 ゆっくりと重なる唇。
「……甘いね」
「おう。まだちょっとコーラが残ってたかな?」
「そういうことじゃないわよ、この鈍犬」
「お、おう、すまねえ」
「駄目。許してほしかったらもう一回」
「おう……」

547 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 00:37:01 ID:LCBEtf5R
>>546
こ、これは、俺のハートに会心の一撃!!

548 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 00:51:49 ID:QAkqthDt
>>546
内容的には終わりっぽい…んすかね?
GJです。
お疲れ様でした。
しかし、ここ数日どのスレも過疎ってますなぁ。



549 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 01:24:05 ID:/hmmHkVb
>>546
お疲れさまです!

550 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 02:29:37 ID:WoWy5Xaq
>>521-524
年頃の娘のパンツを40のおっさんが洗っちゃあいけないぜよw

551 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 08:36:29 ID:IaxrA+yI
大河が死んだ・・・

552 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 19:31:02 ID:cCsS3C2E
続きを投下しようと思うが、残容量が足りなさそうなので、新スレへ投下します。

>>546
GJでした。

553 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 23:22:18 ID:6AOA6etH
>>546
GJ!
とろけそうだ……

554 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/27(木) 23:44:57 ID:GldgnjtS
残り16KB

555 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 00:16:37 ID:NKiqUUj+


ブーッ! ブーッ! ブーッ!

大家「なんだいなんだい?せっかく寝たのに起きちゃったじゃないのさ」

ブーッ! ブーッ! ブーッ!

大家「また緊急地震速報かい?やだねぇ、この前外れたばっかりじゃないのさ、今度も誤報なんじゃないの?」

ギシギシ…………ギシギシ…………

大家「おっと、揺れてきたね。でも、大きな揺れってほどじゃ……」

ギシギシギシギシ! ギシギシギシギシ!

大家「わ! うわわ! 大きい! これは大きいよ、窓から庭に出て逃げようかね!?」


ガラッー―


竜児「――おうっ!――たいがっ!――はっ、はげしっ!――」
大河「――ここかっ!――ここがええのんかっ!?――ほらほら――っ!――」

大家「…………また……あんたらかい……」

竜児「――もうだめえぇぇぇぇ!――」
大河「――うぉぉぉぉりゃぁぁぁぁ!――」



ギシギシアンアングラグラ! ギシギシアンアングラグラ!



――――信じれば救われます!あなたの街の地震速報!

556 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 00:29:57 ID:BgJdDdA5
大河「ねぇ、竜児。
  16KBってどのぐらい?」
竜児「そうだなぁ。
  "ギシアン"だったら、8Byteだから、ギシアンを2000回ぐらい
   かけるんじゃねぇの?」
大河「な、なんで、ギシアンになるのよ。
   も、もっとあるでしょ。
   なんていうか、その、フィ、フィアンセに言う言葉が。」
竜児「ま、そうだけどな。
   せっかく、梅なんだからとおもって、ギシアンにしただけだ。」
大河「いいけど。」



大河「ねぇ、竜児。」
竜児「どうした大河?
   良い子はもうねる時間だぞ」
大河「もう、バカにしないで。




大河「ねぇ、」
竜児「ん?まだねれねぇのか?
  トントンしてやろうか?」
大河「やめてよ、子供じゃないんだから、
  そうじゃなくて、その、
  さっきの、」
竜児「ギシアンか?」
大河「そ、そうじゃなくて、そうじゃないのよ。」
竜児「じゃ、なんだよ?」
大河「そうじゃなくて、フィ、フィアンセにいう言葉があるでしょ。」

竜児「おぅ、すまねぇ。
  あ、あいしているぜ、おやすみ。」
大河「ふふふ、おやすみ、竜児」



557 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 00:35:48 ID:9wdC1hQ7
「おう、大河。ちょっと手伝ってくれ」
「こんな時間から一体何すんのよ」
「埋めるのを、だ」
「……え?ちょっと……やだ……ダメに決まってるじゃない!」
「おう!?」
「あんた、遂に人の道を外れちゃったの!?そりゃあ、病的な殺人犯みたいな目つきだけど、何も本当にそんなこと……」
「いや、大河?」
「私も行くから自首して!お願い!」
「へ?いや、俺は何もしてない」
「……竜児のえぐっ……お勤めが終わるまで……ひっく……ずっど、待っでるがら」
「おう……何故か何もしてないのに、こんなにも罪悪感が……。よーし、大河、落ち着け」ギュッ
「……うぅ……すんっ……」
「いいか、良く聞けよ。とりあえず、俺が埋めようとしてるのは死体じゃねぇ」
「……ふぇ?違うの?」
「当たり前だ。」
「じゃあ一体何を……?」
「このスレを埋めるんだ」
「埋めちゃうの?せっかくここまできたのに」
「埋めるっていう言葉だが、決して闇に葬るためじゃないんだ。
俺とお前と職人さんとスレ住人さん、みんなで育てたスレッドを成仏させてやるために、みんなで埋めるんだ」
「それって……なんか……寂しいね」
「おう。だから埋めるために書き下ろした文章でもって、最期を迎えさせてやるんだ。今までありがとう、って」
「ふーん……。そっか、そうなんだ」
「ほら、涙拭け。どうせなら笑顔でな!」
「……うん!」

「「ありがとう!」」


寝ぼけて書いた。後悔はしてる。反省はしてない。

558 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 00:36:52 ID:h7w9Ws2j
>>555
お前らの辞書には自重という言葉はないのかwwwww

>>556
謝れ、ギシアンを期待した俺に謝れ。

ごめんなさい、嘘つきました。
こういう2828もいいね。

コメディもいける、シリアスもいける、ギシアンもいける、2828もいける。
まさに万能カップルだよなぁ。

559 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 01:05:30 ID:BgJdDdA5
>>558
> 謝れ、ギシアンを期待した俺に謝れ。
そんなあなたのために書きました(嘘)


大河「頑張るぞー!!」
櫛枝「お、大河、やる気だねぇ。」
大河「当然じゃん。
   職人の方や、プロギシアン先生が一杯かいてくださったスレだもの。
   しっかり埋めなきゃね。」
亜美「あーあ、かったりー、ほっときゃいいのに。」
大河「あ、そんなこといっていのかなぁ?
   サンタさん、来てくれないよ?!」
亜美「はぁ?
   サンタって何ヶ月先のはなししてるの?
   去年すてきなすてきなサンタ王子さまがきてくれたからって、
   ちょっとうかれてるんじゃない?」
大河「う、、、、、」
櫛枝「お!!ほっぺを真っ赤にしたサンタさん、ここにはっけーーーん」
大河「・・・」


竜児「おーい、大河ー。そろそろ帰るぞぉ。」
大河「あぁん、りゅうじぃ。すぐいくよぉ
   じゃ、みのりんと、ばかちーばいばーい」(そそくさそそくさ)
竜児「どうした大河?顔赤いじゃねぇか?熱でもあるんじゃねぇ」
大河「う、うるさーーーい。
   さわるなぁ!!!、ここではさわるなぁ!!!」




櫛枝「ほんとのサンタさんがきちゃったよ。
   さーーて、われわれも退散するとしますかねぇ。」
亜美「あの、、、クリスマスまださきなんですけどぉ。。。。。。」




560 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 01:13:02 ID:0+cKDak1
「突然で恐縮だが『埋めネタ』という言葉をご存知だろうか。この文章の読者層に通じるかどうか不明ではあるが『寂しい草原に埋めてくれるな』という某映画の挿入曲のぱくりをしようというわけではない。
はたまた、毎年判で付いたように小学1年生が鉢に植えている朝顔の種でもない。かといって、はやりの山中死体投棄について語ろうというわけでもない。
埋めネタとは、一般的には某巨大掲示板などと呼ばれる電子ネットワークの某所において、同じテーマで語られるスレッドが一杯になってきたときに使われる言葉である。スレッドが一杯になってきたら、書き込み禁止になる前に次のスレッドを作る必要がある。
作ったら作ったで、今度は古いスレッドをちゃんと埋めるのがマナーである。しかし、新しいスレッドがあるならばそちらを使いたいのが人の常。そこで、有ってもなくてもいいような、あるいは読んでも読まなくてもいいような心底何の役に立たない、
今風の言葉で言うならば『誰得』、そんな何の価値もない文章を書き込んで古いスレッドを埋めるのである。これがいわゆる埋め立てであり、埋め立てに使う文章のアイデアが埋めネタである。
というようなことを考えながら、夏休みも押し詰まってきたある日、俺はじりじりと焼き付けるような日差しを避けて日当たりの悪いアパートの一室に閉じこもったまま日が落ちるまで活動停止を決め込んでいたのであるが、もちろんというかなんというか、
神様はこういう時に決して俺を見逃してくれない。どうやら俺にとって安寧を望むというのはとてつもなく身の程知らずな望みであるらしく、というのはつまり、俺の後ろにいる奴がこんな事を言っているのである」
「ちょっと!何ひとりでぶつぶつ言ってるの!私が発言しているときにはちゃんと私の方を向いて敬意をもって聞きなさいよ!それがあんたに課せられた義務よ!」
「………」
「………」
「出だし、しくじったな」
「そうね、すごく遺憾な感じよね」

561 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 01:14:26 ID:0+cKDak1
「おう、ということで気を取り直して埋めネタ行こうぜ。次スレも立ったしな」
「そうね、前回は長編投下中だったし、すごい勢いで作品が投下されてて………って、竜児、ちょっとタイミング早すぎない?」
「そうか?次スレが立って、事実上書き込みが始まってるんだし、ここは埋め立てようぜ」
「そうじゃなくってさ、あと10KBでしょ。5千文字じゃない。私達の手持ち、数えたら4千文字しかないわよ」
「…………気づいたか」
「なによそれ」
「大河、よくきけ。あきらめろ」
「え?」
「いいか、よく見て見ろ」
>>526
> 次は埋め用ギシアンでも作りますか。
> それでは〜
「ちょ、何よこれ」
「何よこれじゃねぇ。埋めネタのギシアンを作ってる作者が居るんだ」
「嫌よ!ギシアンだらけになるのが嫌だから必死でネタ考えてるのに」
「まぁ、お前の気持ちもわかるが、スレとしてギシアンは大歓迎だし、そもそも、これを書いている本人も嫌いじゃない」
「へぇ?」
「これを書いてる奴の書くお前が嫌ってるだけだ」
「なによその変な設定」
「変も何も、そう言うわけだ。このスレの途中でネタは弾切れになるあきらめろ」
「ちっ」


562 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 01:15:58 ID:0+cKDak1
「まぁ、しょうがないわね。文句言っても仕方がないわ」
「おぅ、珍しく前向きだな」
「あら、私はいつも前向きよ。ということで、そう言う展開なら私にも水増しの用意が必要ね」
「……って、おい、なんだよそれ」
「あらやだ。忘れたの?竜児ったら若いのに物忘れが激しいのかしら。私達二人のなれそめじゃない」
「俺が聞いてるのはそう言うことじゃねぇ。なんで、木刀なんか持ってくるんだって言ってるんだよ!」
「それは…ねぇ」
「うわっ!いきなり突いてくんな!」
「黙れ。竜児、あんた謝んなきゃいけないことがあるでしょ。埋めネタないならここでさっさとやっちゃいなさいよ」
「え、謝るって…俺は何一つやましいことはしてないぞ」
「そうね、私に謝る事なんか無いわよね。あんたは私みたいな女を全力で愛してくれてる。それはとっても幸せなことよ。でもね。これとそれは別。私に謝ることはなくても、読者様にあやまることはあるでしょ」
「読者様…?」
「どうしてもしらを切るのね。仕方ないわ。これ読めば思い出すでしょうよ http://tigerxdragon.web.fc2.com/kako/kako07.html#R493
「こ、これは……」
「どう?わかったでしょ」
「いや、ちょっと待て、これ俺が言ってることになってるけど書いたのは」
「うるさい!あんたが言ってるんだからあんたが謝れ!」
いや、お恥ずかしい限りです。『そう。あの時、俺はお前の袖を引っ張ってる。元気付けてやりたいけど、手までは握れないんだ』とか書いていますが、まさにそのシーンこそ原作で初めて二人が心を込めて手を握り合うシーンです。
ちゃんと確認して書け、馬鹿、と言われても仕方有りません。すみません。
「おう、どうやら俺が謝る必要はないようだな」
「ちっ」
「何で残念そうなんだよ!」
「だってこれ書いた奴が謝っても、私ぶっ殺せないじゃない」
「だからって俺をぶっ殺すな!」
「まあいいわ。それにしても、ちょっとはいい話っぽかったのに台無しよ。イラストまで描いてもらえたってのに」
「おう、あのイラストよかったな」
「絵を描ける人がうらやましいわよね」
「虎注のひとだな」
「続き楽しみだわ」
「気長に待ってようぜ」

563 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 01:16:58 ID:0+cKDak1
「ねぇ、もう作品について語ってよ。でないとまたAA貼るわよ」
「でも作品語りって痛いだろ」
「仕方ないじゃない、またギシアン書かれちゃうわよ」
「わかったよ。えーと、何について話そう」
「何でもいいけど、痛くない話」
「くっ。あ、作品について語るのお前の役割じゃん」
「ぴーぴー」
「下手な口笛吹きやがって」
「仕方ないわね。ギシアン期待している読者には申し訳ないけど、私達の尊厳を守るために前の前の前のスレの続きをやるわ」
「尊厳…まあいいか。続きってなんだっけ」
「竜児が鈍感犬って話」
「う、頭痛が」

564 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 01:17:46 ID:0+cKDak1
「何の話から始める?」
「なぁ、大河。この、シュークリーム食べないか?」
「うわぁ、おいしそう!ね、竜児。これ食べながら竜児が鈍感犬って話しよ!」
「くっ、やはりごまかしきれなかったか」
「前の前の前のスレの終わりって何の話だっけ…あ、糸の比喩か」
「暗喩って言わなかったか」
「それ、これ書いてる奴の間違い。書いてる奴はわかってたけど、ついうっかりってとこね。とらドラ!は暗喩と比喩が入り乱れていて面倒なのよ」
「たとえば?」
「4巻でみのりんが話す幽霊の話は比喩、5巻でたこ焼き食べるシーンの染みの話は暗喩ね」
「比喩と暗喩はどうちがうんだっけ」
「意識して、はっきりと何かのたとえにされるのが比喩よ。4巻ではみのりんが恋の相手のたとえとして幽霊を使っているわよね。恋の相手というより、運命の相手と出会えるか、運命の相手が現れるかって意味だけど」
「そうだな」
「実はこのあとのUFOの話もあとで重要になるんだけど、話が長いからやめとくわ」
「お、おう。難しいな」
「で、暗喩は違うの。なにかの予兆を匂わせるだけ。登場人物が自発的に使ってるわけじゃない」
「ちょっと待て5巻のたこ焼き…ああ、兄貴のクラスで北村と3人で食った話か…これ、単にお前がドジやって汚したって話だろ」
「………」
「おい、どうした」
「ごめん、竜児。頭が痛い」
「大丈夫か、薬持ってこようか」
「あ・ん・た・が・ば・か・す・ぎ・て・痛いのよ!」
「ててて!こめかみがへこむ!やめろっ!急所だろ」
「殺してやろうかしら。竜児、死んでもちゃんと私の側に居るのよ」
「お前はロマンチックなのかアホなのかわかりずらいな」
「いい?とらドラ!は5巻からは恋愛小説だけどラブコメも薄いなりにあるの。ぼけたら突っ込むの。私がドジったらあんたが救うの」
「あ」
「それがなされてないって事は、意味があるでしょ」
「なーるほど」
「まったくもう。5巻の213ページから引用するからその目かっぽじってよく見なさい」
「目をかっぽじったら見えねぇだろうが」
「うるさぃ!
『実乃梨の件で悩んでいたとはいえ、それはあまりにも不覚だった
ソースは大河のシャツの襟にも垂れていた、だけどその汚れに気づく者はおらず、竜児もまったく気がつかず、そのシミは随分時間が経ってから、ようやく発見されたのだ。
見つかったときには、二度と消えない、竜児にも消せないシミに、なってしまっていた』
どう?なにか感じない?」
「えーと、これはだからドジ…待て待て早まるな。暗示してるんだよな。たとえだよな」
「それで?何を暗示してると思う?」
「えーと。心のシミ?」
「そんなところね」
「どんなシミなんだ?」

565 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/28(金) 01:18:28 ID:0+cKDak1
「それははっきりとはわからないわ。暗示しているだけだもの。考え方としては二つあって、短期的な暗喩と長期的な暗喩。短期的な暗喩なら、ここで言うシミはくそオヤジに私が傷つけられるって話よ」
「おう、なるほど」
「長期的な暗喩なら、もっとぼやけた物になるわ。つまりこの傷から始まって、私がずっと苦しむだろうってこと」
「なんだか頼りないな。それなら短期的な暗喩だろ」
「ところが、これはたぶん長期的なものよ」
「なぜ」
「5巻の傷は5巻の中で閉じないからよ」
「え?でも5巻でお前北村と踊ってたろ」
「はぁ、竜児の鈍感加減にはあきれるのを通り過ぎて殺してやろうかと思うわ」
「わかったわかった、教えてくれよ」
「278ページ
『その手は震えていない、その足も震えていない。両目を明けてしっかりと、二人の顔を刻み込む。それでも波打ちそうになる心の地平を力一杯踏みしめて思う。ただ一言、大丈夫、と。』
これ、あんたとみのりんが私の為にゴールしてくれたシーンの心象風景としては、あまりにも寂しすぎない?」
「…なんだか別れの風景みたいだな」
「その通り。次に291ページ
『私ならだいじょうぶなのに、と』
これ、北村君と踊るシーンよ。おかしいでしょ?」
「あきらめてるな」
「そ。わかった?」
「…………お前、このときから『ずっと一人で生きる』って思ってたのかよ」
「それは違うわね。でも、そうなるかもしれないって強く思ってるわ。北村君の事は、たぶんこの頃から恋が叶って欲しいという気持ちと、どうせ願いは叶わないって気持ちの間で揺れてる。好きだって事は変わらないんだけどね」
「………」
「そういうことなのよ。4巻まではドタバタなのに、4巻の終わりで急に私は竜児が離れて行くってことを意識する。そして5巻のイベントは、私に心の傷を刻み込む。それは新しい傷口じゃなくて、あんたにあって少しずつ癒えていた古くて深い傷口なのね。
竜児は私の為に走ってくれたけど、結果的にみのりんと一緒にゴールする。私は二人の仲直りを喜びながら、却って竜児との別離を強く確信してしまう。やっぱり、何一つこの手ではつかめないかもしれないって思うようになる。
そして傷口は開きっぱなしになるんだけど、竜児は気づかない。傷口が開いているのに竜児が気づくのはずっと後。それを暗喩しているのがさっきのシミよ」
「………」
「だから、さっきのシミの話を一言でまとめると、こうなるわ。『竜児の鈍感犬』」
「面目ねぇ」
「竜児、しっかりしてよね」
「ああ。なあ、大河。このシリーズやめないか?」
「どうして」
「正直、聞いているのがつらい」
「そうねぇ。じゃぁ、次回から竜児がネタを考えて。ネタが無いときにはこれ続けるかも」
「うう、なんとかするわ」
「それじゃぁ、皆さん、機会があったら会いましょう」
「だれにいってるんだ?」
「バイバーイ!また見てね!」
「こりゃまた古い」


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