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リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル9

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:46:48 ID:UdAZtgof
当スレッドは「魔法少女リリカルなのはクロスSSスレ」から派生したバトルロワイアル企画スレです。

注意点として、「登場人物は二次創作作品からの参戦する」という企画の性質上、原作とは異なった設定などが多々含まれています。
また、バトルロワイアルという性質上、登場人物が死亡・敗北する、または残酷な描写や表現を用いた要素が含まれています。
閲覧の際は、その点をご理解の上でよろしくお願いします。

企画の性質を鑑み、このスレは基本的にsage進行でよろしくお願いします。
参戦元のクロス作品に関する雑談などは「クロスSSスレ 避難所」でどうぞ。
この企画に関する雑談、運営・その他は「なのはクロスロワ専用したらば掲示板」でどうぞ。

・前スレ
リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルスレ8
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1229935589/
・まとめサイト
リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルまとめwiki
ttp://www5.atwiki.jp/nanoharow/
・クロスSS倉庫
ttp://www38.atwiki.jp/nanohass/
・避難所
なのはクロスロワ専用したらば掲示板(雑談・議論・予約等にどうぞ)
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/10906/
リリカルなのはクロスSSスレ 避難所(参戦元クロス作品に関する雑談にどうぞ)
ttp://jbbs.livedoor.jp/anime/6053/
・2chパロロワ事典@wiki
ttp://www11.atwiki.jp/row/

2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:49:04 ID:UdAZtgof
【基本ルール】
 参加者全員で殺し合いをして、最後まで生き残った者のみが元の世界に帰れる。
 参加者の所持品は基本的に全て没収され、その一部は支給品として流用される。
 ただし義肢などの身体と一体化した武器や装置、小さな雑貨品は免除される。
 主催者に敵対行動を取ると殺されるが、参加者同士のやりとりは反則にならない。
 参加者全員が死亡した場合、ゲームオーバーとなる。
 バトロワ開始時、全参加者はマップ各地に転送される。
 マップとなるのは「各クロス作品の建造物が配置されたアルハザード」という設定。
 バトルロワイアルの主催者はプレシア・テスタロッサ。
 バトロワの主催目的は未定です。それはバトロワの今後の発展次第で決定されます。

【支給品】
 参加者はバトロワ開始時、以下の物品を支給される。
 ・デイパック(小さなリュック。どんな質量も収納して持ち運べる素敵な機能有り)
 ・地図(アルハザードの地形が9×9マスで区分されて描かれている)
 ・名簿(参加者の名前のみが掲載されたファイル)
 ・水と食料(1日3食で3日分、都合9人分の水と食品が入っている)
 ・時計(ごく普通のアナログ時計。現在時刻を把握出来る)
 ・ランタン(暗闇を照らし、視界を確保出来る)
 ・筆記用具(ごく普通の鉛筆とノート)
 ・コンパス(ごく普通の方位磁石。東西南北を把握出来る)
 ・ランダム支給品1〜3個(現実・原作・クロス作品に登場する物品限定。参加者の能力を均一化出来る選択が必要)
 尚「地図」〜「ランダム支給品」はデイバックに収められている。

【支給品の制限】
1.デバイス系
 ・デバイス類は、起動だけならどの参加者でも可能
 ・カートリッジがあれば魔力の無い参加キャラでも、簡易なものなら回数制限付きで魔法使用可能

2.ライダーベルト系
 ※全般
  ・仮面ライダー関係の変身アイテムはこれ以上(33話時点)登場させる事を禁止する。登場した場合大方NG、書き直しで済む場合は書き直しで済ませる
  ・変身アイテムによる変身時間は無制限。ただし一度変身を解くと1時間経過するまで変身不可
 ※龍騎系ライダーベルトについて
  ・12時間に1人、契約モンスターに「生きた参加者」を喰わせないと所有者が襲われるようになる
  ・参加者を1人喰わせると猶予が12時間に補充される。猶予は12時間より増えない
  ・変身や契約モンスターの命令を1分継続させる毎に10分の猶予を消費する
  ・猶予を使い切ると変身や命令は解除され、契約モンスターに襲われるようになる
  ・所有者が自らの意識でカードデッキを捨てると契約モンスターに襲われる。無意識、譲渡、強奪は適用外
 ※カブト系ライダーベルトについて
  ・ベルトのみ支給品指定。ゼクターは変身時のみ、どこからともなく飛来する。
  ・ゼクターに認められなければ変身出来ない。各ゼクターの資格条件は、以下のものを精神的に満たしている事。
   ・カブト……自信
   ・ホッパー……絶望
  ・クロックアップはごく短時間のみ。使用後には疲労有り
 ※555系ベルト(デルタ)と剣系ベルト(カリス)のついてはそれぞれの支給品欄参照

3.火竜@FLAME OF SHADOW STS
  ・デバイスの中に“力の塊”として封印され、参加者に触れられるまで一切の行動が不能(虚空は例外)
  ・参加者が触れると火竜が体内に宿り、使用可能となる。その際、腕に火竜の頭文字が刻まれる
  ・宿っている参加者が死亡すると“力の塊”状態となって体外に出る。火龍の記憶は維持される
  ・能力を使うには火竜の頭文字を描く事が必要
  ・能力を使用する度に体力と精神力を消耗する。度合いは発動した能力の規模に比例

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:50:33 ID:UdAZtgof
4.巫器(アバター)@.hack//Lightning
  ・通常、名称以外の情報や能力を確認・使用する事は出来ません。
  ・所有者が精神的に喪失を抱え、それに伴って強靭な意志を発揮した場合のみ(それ以降は何時でも)使用可能です。
  ・所有者が死亡すると、再び全機能の確認・使用が不能になります。。
  ・デバイスモードの巫器が近くにある時、その存在を「鼓動」によって察知できます。
  ・術式が既存の系統とは異なる為、AMFの影響を受けません。
  ・各巫器はそれぞれ専用スキルを持ちますが、「データドレイン」は全巫器が共通して使用出来ます。
  ・データドレインとは、魔力結合の術式に干渉・改竄することができる魔力弾を放つ能力の事です。
  ・魔法やAIDAを変質・削除させる事が出来ます。
  ・人間に命中した場合、その人物のリンカーコアに干渉・改変させる事が出来ます。
  ・それそのものは攻撃力が無い為、一般人には無意味ですが、 魔導師には一撃必殺の効果を発揮します。
  ・ただし膨大な魔力を消費する為、一度の戦闘では1発撃つのが限界です。
  ・データドレインの名称は、各巫器ごとに異なります。

5.カード系の支給品(遊戯王、アドベントカード@仮面ライダー龍騎、ラウズカード@仮面ライダー剣)
  ・カード単体でも使用可能、ただし使用後に消滅。専用アイテムを使えば威力増大で何度でも使用可。

6.制限が必要そうだが制限が決定していない物品を登場させたい場合は、事前の申請・議論が必要。

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:52:02 ID:UdAZtgof
【時間】
 ・深夜:0〜2時
 ・黎明:2〜4時
 ・早朝:4〜6時
 ・朝:6〜8時
 ・午前:8〜10時
 ・昼:10〜12時
 ・日中:12〜14時
 ・午後:14〜16時
 ・夕方:16〜18時
 ・夜:18〜20時
 ・夜中:20〜22時
 ・真夜中:22〜24時

【放送】
 以下の時間に「死亡者」「残り人数」「侵入禁止エリア」を生き残りの参加者に伝える。
 ・深夜になった直後(00:00)
 ・朝になった直後(06:00)
 ・日中になった直後(12:00)
 ・夜になった直後(18:00)

【地図】
ttp://www5.atwiki.jp/nanoharow/pages/126.html

【禁止区域】
 侵入し続けると1分後に首輪が爆発するエリア。「放送」の度に3エリアずつ(放送から1時間後、3時間後、5時間後に一つずつ)増える。
 侵入禁止はバトロワ終了まで解除されない。

【首輪】
 参加者全員の首(もしくは絶対に致死する部位)に装着された鉄製の輪の事です。
 これにより参加者各人の「生死の判断」「位置の把握」「盗聴」「爆破」が行われ、「爆破」以外は常に作動しています。
 「爆破」が発動する要因は以下の4通りです。
 ・主催者が起動させた場合
 ・無理に首輪を外そうとした場合
 ・主催者へ一定以上の敵対行動を取った場合
 ・禁止区域に一定時間滞在していた場合(尚、警告メッセージが入る)

5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:53:33 ID:UdAZtgof
【避難所内でのスレの分け方】
 ・予約専用スレ(作品制作の為、使用したい参加者を申請する為のスレです)
 ・議論専用スレ(バトロワ上の問題、矛盾点、制限などを話し合う為のスレです)
 ・一時投下&修正用スレ(周囲の判断が必要な作品、または問題点を修正した作品を投下する為のスレです)
 ・情報まとめスレ(現時点での参加者やマップの状況、死亡者、予約状況などをまとめる為のスレです)
 ・雑談専用スレ(このバトロワに関わる方々が雑談する為のスレです)
 ・死者追悼スレ(このバトロワで死亡したキャラ達があの世に行った後の話を投下する為のスレです)
 ・要望スレ(新しいスレなど、新要素が必要になった時にそれを申請する為のスレです)
 ・毒吐きスレ(このバトロワ作品において毒と判断出来る意見を書く為のスレです)

【書き手のルール】
 バトロワ作品を作る上で、書き手に求められる規則。
 ・トリップをつける
 ・本スレでも連載中の書き手は、あくまでもこちらが副次的なものである事を念頭において執筆しましょう
 ・残虐描写、性描写は基本的に作者の裁量に任されます。ただし後者を詳細に書く事は厳禁
 ・リレー小説という特性上、関係者全員で協力する事を心掛けましょう
 ・キャラやアイテムの設定において解らない所があったら、積極的に調べ、質問しましょう
 ・完結に向けて諦めない
 ・無理をして身体を壊さない

【予約について】
 他の書き手とのかぶりを防止する為、使用したいキャラを前もって申請する行為。
 希望者は自身のトリップと共に、予約専用スレで明言する事。
 予約期間は1週間(168時間)。それ以内に作品が投下されなかった場合、予約は解除される。
 ただし諸事情により延長を希望する場合は、予約スレにて申請すれば3日間の延長が可能である。
 自己リレー(同一の書き手が連続して同じキャラを予約する事)は2週間全く予約がなかった場合に限り許可する。ただし放送を挟む場合は1週間とする。
 書き手は前作の投下から24時間経過で新しい予約が可能になる。ただし修正版を投下した場合は修正版を投下終了してから24時間後とする。
 作品に登場したキャラはその作品が投下終了してから24時間後に予約可能になる。ただし修正版が投下された場合は修正版を投下終了してから24時間後とする。

【状態表のテンプレ】
 バトロワ作品に登場したキャラの、作品終了時点での状況を明白に記す箇条書きです

【○日目 現時刻(上記の時間参照)】
【現在地 ○ー○(このキャラがいるエリア名) ○○(このキャラがいる場所の詳細)】
【○○○○(キャラ名)@○○○○(参加作品名)】
【状態】○○(このキャラの体調、精神状態などを書いて下さい)
【装備】○○○○(このキャラが現在身に付けているアイテムを書いて下さい)
【道具】○○○(このキャラが現在所持しているアイテムを書いて下さい)
【思考】
 基本 ○○○(このキャラが現在、大前提としている目的を書いて下さい)
 1.○○(このキャラが考えている事を、優先順で書いて下さい)
 2.○○
 3.○○
【備考】
 ○○○(このキャラが把握していない事実や状況など、上記に分類出来ない特記事項を書いて下さい)

 以下は、バトロワ作品の参加キャラ数人以上が、特定の目的を果たすべく徒党を組んだ際に書くテンプレです

【チーム:○○○○○(この集団の名前を書いてください)】
【共通思考】
 基本 ○○○(この集団が共有している最大の目的を書いてください)
 1.○○(この集団に共有している思考を、優先順で書いてください)
 2.○○
 3.○○
【備考】
 ○○○(この集団が把握していない事実や状況など、上記に分類出来ない特記事項を書いてください)

6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 20:55:11 ID:UdAZtgof
【参加者名簿】

【主催者】
○プレシア・テスタロッサ

【魔法少女リリカルなのはStrikerS】 8/10
○高町なのは(StS) ○シャマル ●ザフィーラ ○スバル・ナカジマ ○キャロ・ル・ルシエ ○ルーテシア・アルピーノ ○ヴィヴィオ ○クアットロ ○チンク ●ディエチ
【魔法少女リリカルなのはA's】 2/4
●高町なのは(A's) ○フェイト・T・ハラオウン(A's) ●シグナム ○ヴィータ

【リリカル遊戯王GX】 4/5
●ティアナ・ランスター ○遊城十代 ○早乙女レイ ○万丈目準 ○天上院明日香
【NANOSING】 4/4
○アーカード ○アレクサンド・アンデルセン ○インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング ○シェルビー・M・ペンウッド
【コードギアス 反目のスバル】3/4
○ルルーシュ・ランペルージ ○C.C. ●カレン・シュタットフェルト ○シャーリー・フェネット
【魔法少女リリカルなのは マスカレード】4/4
○天道総司 ○相川始 ○キング ○金居
【仮面ライダーリリカル龍騎】 1/3
●八神はやて(A's) ○浅倉威 ●神崎優衣
【デジモン・ザ・リリカルS&F】 0/3
●エリオ・モンディアル ●アグモン ●ギルモン
【リリカルTRIGUNA's】 1/3
●クロノ・ハラオウン ○ヴァッシュ・ザ・スタンピード ●ミリオンズ・ナイブズ
【なの☆すた nanoha☆stars】 3/3
○泉こなた ○柊かがみ ○柊つかさ
【なのは×終わクロ】2/2
○新庄・運切 ○ブレンヒルト・シルト
【リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】 2/2
○セフィロス ○アンジール・ヒューレー
【魔法妖怪リリカル殺生丸】 1/2
○ギンガ・ナカジマ ●殺生丸
【L change the world after story】 2/2
○ユーノ・スクライア ○L
【ARMSクロス『シルバー』】 2/2
○アレックス ○キース・レッド
【仮面ライダーカブト】 0/2
●フェイト・T・ハラオウン(StS) ●矢車想
【ゲッターロボ昴】 1/1
○武蔵坊弁慶
【魔法少女リリカルなのは 闇の王女】 1/1
○ゼスト・グランガイツ
【小話メドレー】 1/1
○エネル
【ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは】 1/1
○ヒビノ・ミライ
【魔法少女リリカルなのはFINAL WARS】 1/1
○八神はやて(StS)

現在:44/60

7 : ◆7pf62HiyTE :2009/02/06(金) 21:00:26 ID:tjPBVENK
前スレの続きを投下します。

8 :渇いた叫び ◆7pf62HiyTE :2009/02/06(金) 21:02:15 ID:tjPBVENK

結論から言えば、元々の世界ではそんな事はない。餌にすべきなのはモンスターを倒した時に出るエネルギーの塊で良いのだ。生きた人間を餌にする必要は全くない(餌にしていた仮面ライダーはいたが)。
更に言えば確かに餌を食べさせなければ襲われる様にはなるが、12時間という短い時間という事は無い。個体差はあるだろうが数日程度は耐えられるはずだ。
もはやそれが叶う事はないが、はやて、優衣がカードデッキの説明書を見ればその矛盾点に気付いてくれただろう(浅倉は別に気にせず殺し合いをするから関係ない。)。

では何故この場ではシビアな制限がかけられたのだろうか?主催者としては殺し合いを促進させる為にその制限をかけたのだろう。
そして、本来は無効であるはずの譲渡等を有効にした理由は制限を掛けた際の副産物か、手数を増やして殺し合いの駆け引きを盛り上げる為かだろう。勿論、断言は出来ないが。

何にせよ、カードデッキの制限により万丈目は追いつめられてしまったが、同時にカードデッキの制限が万丈目を救ったという事である。



   ★   ★   ★



ただひたすらに万丈目は走っていた。出来るだけ速くそして遠くまで逃げなければバクラによる追撃が来る可能性が高いからだ。
恐らく、既に万丈目の策には気付かれている。後はどれだけ遠くまで逃げるかの問題だ。

だが、かがみが負傷している以上、そこまで遠くまで逃げる必然性は無い。しかし、万丈目の足は止まる事は無かった。

何故、万丈目はそこまでして走り続けているのだろうか?それはきっと、バクラの追撃から逃げる為だけではないのだろう。
万丈目の心には強い罪悪感が占めていた。きっと、今の万丈目はその罪から逃げる様に走り続けているのだろう。

この策が上手くいけば確かに万丈目の命は助かるしカードデッキからも解放される。更に言えば持て余していた千年リングとバクラからも解放される。全てが万丈目の思い通りだ。
だが、その代わりにそれら全てをかがみに押しつけてしまう事になった。

この後どうなるかなど考えるまでもない。カードデッキの時間制限が来てかがみ自身が喰われる可能性が非常に高い。
勿論制限時間で喰われてしまえばカードデッキだけがその場に残る為、誰かが拾わない限りは二度とカードデッキが使われる事は無くなる。
それでも、かがみを犠牲にしてしまう事実にはなんら変わりがない。
仮にかがみが助かったとしても、状況的に他の参加者を喰うしかそれは起こりえない。つまりかがみによって他の参加者が殺される事を意味している。
万丈目が考える様にカードデッキを破壊してくれる事を期待したいが、状況的にその可能性は非常に低いだろう。

つまり、万丈目の行動により誰かしら参加者を死なせてしまうという事だ。いや……もっとわかりやすい言葉で言おうか。
万丈目は自分が助かりたい為に人殺しをしたという事だ。

勿論、その事がわからない万丈目ではない。

「すまない……かがみ君……」

万丈目はかがみに謝罪をしながら走り続ける。恐らくかがみは自分を裏切った万丈目を恨んでいるだろう。
願わくば運良く助かる事を願いたかった……いや、それすらも罪からの逃避だと万丈目は思った。

「恐らくかがみ君は死ぬだろう……いや……俺がかがみ君を殺した……」

万丈目は自身の罪を認識していた。確かにこの手段に出たのは状況に追い込まれていたからである。だが、この手段を最後に選んだのは他でも無い万丈目だ。

「何でこんなに苦しいんだ……!」

万丈目は罪悪感に押し潰されそうだった。2年前の万丈目だったらこんな風に苦しんだりはしなかっただろう。万丈目は何故ここまで変わってしまったのだろうか?
そんな万丈目の脳裏に浮かぶのは想い人の天上院明日香……ではなく、赤い制服を来た少年遊城十代だった。

9 :渇いた叫び ◆7pf62HiyTE :2009/02/06(金) 21:05:02 ID:tjPBVENK

「何故だ……」

万丈目は浮かんだ十代の姿を振り払い走り続ける。しかし不思議な事に再び十代の姿が浮かんでくる。

「あの時もそうだったが……何故お前の姿が!!」

ノース校に流れ着いた時も、万丈目は何度と無く十代の幻を見てそして声も聞いた。万丈目はその時の事を思い出していた。

「五月蠅い!消えろ!!」

万丈目は十代の幻を振り払い走り続けた。万丈目は危険人物と思われるLのいる南へは向かわず、ただひたすらに北を目指して走っていた。目的地については考えていない。
もしかしたら近くに他の参加者がいて、その人物と遭遇する可能性はあっただろう。だが、幸か不幸か他の参加者に遭遇する事はなくそのまま走り続け既にC-2横断しB-2に差し掛かろうとしていた。
それでも万丈目は走り続ける。ただひたすらに北へと……少なくとも今この時だけは誰とも会いたくはないと万丈目は考えていた……

では、これから万丈目はどうするのだろうか……今の万丈目はそれについては考えられない状態だ。だが、誰にも出せない答えは既に万丈目の中にあるだろう。

「プレシアめ……今に見てろよ、このままじゃ終わらないからな……」

【1日目 午前】
【現在地 B-2とC-2の境界】
【万丈目準@リリカル遊戯王GX】
【状態】疲労(中)、かがみに対する強い罪悪感
【装備】なし
【道具】支給品一式、ルーテシアのカレー@魔法少女リリカルなのは 闇の王女、考察を書いたノート
【思考】
 基本:殺し合いには乗りたくない。仲間達と合流し、プレシアに報復する。
 1.北へと走り続ける。
 2.かがみ君……すまない……。
 3.今だけは誰とも会いたくない。
 4.十代……。
 5.余裕があればおじゃま達を探したい。
【備考】
※チンク(名前は知らない)を警戒しており、彼女には仲間がいると思っています。
※エリアの端と端が繋がっている事に気が付きました。
※デスベルトが無い事に疑問を感じています。
※パラレルワールドの可能性に気づきました。
※柊かがみはLという危険人物から逃げてきたと思っています。
※かがみとつかさは他人だと思っています。
※かがみが生き残る可能性は非常に低いと考えています。



   ★   ★   ★



万丈目もかがみも本来であれば誰かを犠牲にする様な人間ではない。
しかし、万丈目は自らの身を守る為かがみを犠牲にしようとしたし、かがみは自身の罪を一切認めず周囲への憎悪から殺し合いに乗った。
恐らくこの後も各所で悲劇は止まらないだろう。

だが……参加者達は諦めたりはしないだろう。彼等はきっと答えを出してくれる筈だ……誰にも出せない答えを……

人生は続いていく――

10 : ◆7pf62HiyTE :2009/02/06(金) 21:06:39 ID:tjPBVENK
投下完了です。

なお、今回の容量は約55KBと間違いなく分割の必要が出てくると思いますのでここで分割点の指定を。
前スレ>>257までが前編(約29KB)で>>258以降が後編(約26KB)となります。
……ていうか、今回も長文になってしまったな……大したことしていないはずなのに……

今回のサブタイトルの元ネタはテレ朝版遊戯王OP『乾いた叫び』です。
何処かでサブタイトルとして使いたいと考えていた為、それが出来て自分的には満足です。

……はぁ……ついにかがみんマーダーか……(遠い目)

11 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 22:34:54 ID:/lK5rzCy


12 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 22:56:22 ID:BA0Nzjia
投下乙
あ〜あ、かがみんがマーダーか
確かにどちらに転んでもおかしくなかったが自分以外は敵は疑心暗鬼フラグだ
しかもわずかに心許せる相手がバクラかよw
とりあえずかがみんがんばれw

13 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 23:16:25 ID:UdAZtgof
投下乙です。
万丈目ェェェ逃げやがった!!!
その気持ちはよく分かるが完全に背中を押す形になっているよw
でも改めて言われるとかがみへの仕打ちが半端じゃなかった

14 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 03:20:02 ID:2UP/4+cR
それでもこなたなら・・・
こなたならきっとかがみんを救ってくれると信じてる

15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 00:07:03 ID:Yozbngz6
予約来てるが予約されたキャラの面子が怖いな
詳しくは言わないがマーダー込みの面々は誰が死ぬかわからん

16 : ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 18:44:47 ID:zvNLeQJD
ヴィータ、セフィロス、アーカード分を投下します

17 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 18:46:22 ID:zvNLeQJD
 ――ざくり。
 地を掘り返す音がする。
 ざくり、ざくりと音は続く。
 全てが灰色に染められた、コンクリートの街の中、しかし土を掘る音が鳴り響く。
 ざくり、ざくり、ざくり。
 1人の男が土を掘り、1つの人型を穴へと横たえた。
 いかに路地裏と言えども、アスファルトで舗装されたその場所に、土など残されているはずもない。
 否、しかし。
 そこには確かに大地があった。
 そこにあるべき灰色の床は。
 既に粉々に打ち砕かれていた。
 さながら隕石の衝突のような、激烈な破壊による傷痕。
 砕け、潰れ、貫かれ、街中でもその場所だけが、茶色い大地をさらしていた。
「……許しを請おうとは思わん」
 静かな男の声が、呟く。
 爆砕された墓穴の、その真ん中で眠る少女へと。
 哀惜の色に染まる瞳が、茶髪の華奢な娘を見下ろす。
 堕ちた英雄――セフィロスが、守り切れなかった娘の姿だ。
 ここは八神はやてのための墓地だった。
「私はこれから、お前の意志に背く道を往く」
 既にこの身には何もない。
 身体は人のものでない。人間の親の顔は知らない。親友達は立ち去った。
 ようやく手に入れたはずの故郷。その場所を与えてくれた娘。
 彼が掴んだ最後の希望は、しかし脆くも崩れ去った。
 許せることでは、ない。
「私は己の憎しみのために、全ての命を無へと還す」
 それをはやては望まぬだろう。
 誰一人として苦しませず、共にこの狂宴の舞台を脱する。
 セフィロスが選ぶ殺戮者の道とは、決して相容れぬ彼女の意志。
 そんなことをさせるために、自分はセフィロスさんを庇ったのではない。
 今でも彼女のそうした言葉が、耳に響いてくるかのようだ。
「だが……」
 だが、しかし。
 響いてくることは、決してない。
 既にはやては死んだのだ。命がライフストリームへと還り、輪廻転生する“星”とは違う。
 もはや彼女の意志は消え去り、彼女の言葉は語られぬことなく、彼女の目は閉じられたまま。
 死人に口なし。
 セフィロスが従うべき意志は、もうこの地には存在しないのだ。
 故に――
「――おい、てめぇっ!」
 と。
 不意に、背後から声がかけられた。
 この戦場には似つかわしくない、幼い少女の叫び声。恐らくはやてよりもなお幼い。
 しかし。
 彼はこの声を知っている。
 幼き姿を持ちながら、幾世紀もの年月を戦場で生き、勇猛果敢に戦う娘を知っている。
 ああ、そうだ。
 彼女こそは鉄槌の騎士。
 今この地で眠らんとする、夜天の主を守護する者。
 振り返ったその先には。
「そこで何やってんだ……はやてに何しやがった!」
 燃える赤髪を三つ編みにした、1人の少女が立っていた。

18 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 18:48:09 ID:zvNLeQJD


 数十分前のことだ。
 武装錬金・ヘルメスドライブ。
 転送装置を兼ねたレーダーを、鉄槌の騎士・ヴィータは、じっと食い入るようにして見つめていた。
 表示された名前は3つ。
 己が守るべき主、八神はやて。
 守護騎士の一員、ザフィーラ。
 既に死亡した仲間、シグナム。
 烈火の将は先述通り、既に死亡が確認されている。彼女の方は除外してもいいだろう。
 残るは2人。では、どちらの方へと向かうか。
 普通に考えるならば、迷うことはないはずだ。はやての方へと行けばいい。
 ザフィーラは単独でも戦える。だが車椅子の主君には、戦う力など存在しない。
 そもそもそれを差し引いても、はやてを守ることこそが、ヴォルケンリッターの存在意義だ。
 だが、ここに1つの問題が発生する。
(このはやて……一体、どっちのはやてなんだ……?)
 既にヴィータはこの会場に、2人のはやてがいる可能性に気付いていた。
 そもそも彼女はつい先ほど、片方のはやてと遭遇している。
 どう見ても自分の知る彼女よりも、10歳近くは歳上の容姿。
 声音や気配は同じでも、自分を助けてくれたギルモンを、ためらうことなく抹殺した。
 すなわち、はやての名と姿を騙る偽物。
 今そこにいるはやては、この偽物の方かもしれないのだ。
 不用意に彼女の元へとワープし、おまけに予感まで的中していたのなら、そのまま襲撃されかねない。
 それこそが、幼き姿をした騎士を、延々と悩ませている理由。
 そして、ヴィータの下した結論は。
「……悪ぃ、はやて」
 南の方を、向く。
 そこにいるのは盾の守護獣。
 彼女が選んだのは夜天の主ではなく、ザフィーラ。
(少しだけ待っててくれ)
 はやてが偽物であった場合を考慮し、一旦彼と合流して戦力を整え、その上で彼女の元へと向かう。
 これが彼女の下した判断。
 少々離れることになるが、エリアは目と鼻の先。
 すぐにここまで戻ってくれば、また捕捉し直すこともできるだろう。
 踵を返し、南方を向き、レーダーで守護獣の位置を確認。
 そのまま一歩を踏み出し、道を歩き出そうとした瞬間。
「っ!」
 点灯。
 小さな光。
 ヘルメスドライブの画面に灯る、新たな未知のポインター。
 はやて以外に誰もいない、そのはずのE-4エリアに、いきなり何者かが姿を現した。
 どういうことだ。何故何の前触れもなく、そこに現れることができる。
 驚き焦る心を必死に抑え、表示された名前を確認。
「シャマル!?」
 そこに風の癒し手の名を見出した瞬間、いよいよヴィータは驚愕に目を見開いた。
 突如、瞬間移動したかのように出現したのは、これまで確認できなかった、最後の守護騎士だったのだ。
 そしてこの時、ヴィータは図らずとも、シグナム以外の守護騎士全員の安否を確認したことになる。
 だが、そんなことはどうだっていい。
 問題は彼女が今、はやてのすぐ近くにいるということ。いいや位置関係からして、これは完全に合流している。
 既にザフィーラの存在は、頭から完全に弾き出されていた。
 何故だ。何故シャマルがそこに現れた。転送魔法は使用不可能のはずだ。
 考えても答えが見つからない。みるみるうちに冷静さが削ぎ取られていく。

19 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 18:50:25 ID:zvNLeQJD
 そして、次の瞬間。
 決定的な事態が起こった。
「なっ……!」
 突如、2つの点が移動を始めたのだ。
 目指すは北東。ヴィータの位置とは完全に真逆。
 これが決定打となってしまった。
「まっ……待って! はやて! シャマルッ!」
 遂に彼女はパニックに陥った。
 もはや当初の目的を忘れ、合流すべきザフィーラを完全に無視し、はやて達の後を追う。
 ヘルメスドライブを持ったまま、脇目もふらさぬ全力疾走。
 同じく西側へと移動を始めた、青き狼の光点など、既に眼中には存在しない。
 このまま行かせては駄目だ。
 このままはぐれてしまっては、恐らく二度と会えなくなる。
 何故かそんな観念に囚われ、その一心に脅迫されるかのように、必死にヴィータは走り続けた。
「待ってくれ! 行かないでくれよぉっ!」
 遠ざかる2つのポイント。恐らく移動は徒歩なのだろう。速度はこちらの方が僅かに速い。
 だが、距離が距離だ。一向に近づく気配が見えない。
 一瞬たりとも気は抜けなかった。少しでも速度を緩めれば、そのまま見失ってしまう。
 ようやくはやて達のいた、E-4へと辿り着いた時、既に2人はD-5にいた。
 だがその頃には、両者の距離は、ようやく半分ほどに縮まっていた。
 もう一息だ。このペースで行けば、D-5かあるいは次のエリアで合流できる。
 後はペースを維持し続けるだけ。
 一切の気を抜かず、一切の脚力を緩めず、全速力で駆け抜けるだけのこと。
 だが。
 その時。
「何っ!?」
 ここに来てまた、新たな反応が姿を現したのだ。
 示された名前は八神はやて。2人目の夜天の主の名前。
 こうなる可能性は、決して読み切れないものではなかった。
 2人のはやてがいるのなら、その2人共が偶然に接近し、同時にレーダーに映り込むことも。
 ありえない話では、なかった。
 そもそも何故今まで気付かなかったのだ。彼女の現在地は、今自分がいるのと同じエリアではないか。
 しかし錯乱しかけた彼女には、そこまで考えを回す余裕はない。
 故に、推測し得た現象は、完全なイレギュラーへと変わる。
 そして、2つのはやての名前から、ヴィータが導き出した結論は。
「やっぱり、あっちのはやては偽物……?」
 根拠などはなかった。
 何となく、だ。
 だが彼女はここに来てから、まだ本物のはやてを見ていない。先に見たのは偽物の方。
 故に、先にレーダーに映っていた、シャマルと合流した方のはやてを、先に見た方と同一と見なしていたのだ。
 敢えて根拠をつけるなら、先入観。
 信ずるには値しない、分析からは避けるべき感情論。
 それでも、今のヴィータは、それにすがるしかない。
 こちらのはやての現在地が、自分の居場所からさほど遠くないと来れば、なおさらだ。
 進路変更。新たに現れた方のはやての元へと、走る。
 シャマルを見捨てたことへの罪悪感すら、既に彼女の中にはなかった。
 大通りを突っ走り、エリアの北端にまで迫り、見つけた路地裏へと飛び込む。
「……っ!」
 そして、息を呑んだ。
 そこで見たものは。
「――私は己の憎しみのために、全ての命を無へと還す」
 裾の長い漆黒のコートを身に纏った、銀の長髪を持つ男の背中。
 そしてその男の視線の先で。
 砕けたコンクリートの上に、あたかも叩きつけられたかのように。
「だが……」
 横たわる幼き主――八神はやての眠る姿。

20 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 18:53:06 ID:zvNLeQJD
「おい、てめぇっ!」
 反射的に、叫ぶ。
 怒りの色をその目に宿し、黒き背中を睨みつけながら。
 男は悠然とした動作で振り返る。眩い銀の長髪が揺れる。
 こちらを嘲うかのように。それがなおのこと不愉快だった。不愉快で仕方がなかった。
 やがて男は、こちらへその顔を向けた。
 見とれるような美形の顔立ちだ。妖しく光る青き瞳が、一種妖艶な魅力を醸し出す。
 しかしその身に纏うのは、並々ならぬ不気味な気配。
 相当な実力者だ。一目で見て理解できる。まるで底の見えない、宇宙の闇のごとき存在感。
 であれば、危険だ。
「そこで何やってんだ……はやてに何しやがった!」
 故に、問いただす。
 詰問する。
 どう考えてもこの状況は、奴が作り出したようにしか見えない。
 つまり目の前の男が、本物のはやてを、こんな目に遭わせたということ。
「やはりお前か」
 ふ、と。
 視線の先で、男が笑む。
 こちらを小馬鹿にしたような、余裕たっぷりに放たれた冷笑。
 自分のことを知っているということは、こいつも並行世界から来た人間なのだろうか。
 少なくとも、自分の記憶にはない。故に、手元のヘルメスドライブへと視線を落とす。
 レーダーに新たに表示された名は――セフィロス。
「てめぇ、何もんだ。はやてに一体何しやがった」
 怒りと敵意を声に滲ませ、獣が唸るかのように問いかけた。
「お前もシグナム同様、私を知らないようだな」
「シグナムにまで会ったのか……じゃあ、殺ったのはてめぇか?」
 ヴィータの目が細められる。
 シグナムの名が読み上げられたのは、先ほどの第一放送時。すなわち、ゲーム序盤。
 そんなタイミングで会える人数など、たかが知れているだろう。
 自分のように、5人以上もの参加者に遭遇しているのは、特例中の特例のはずだ。
 であればシグナム殺人の容疑者も、おのずと少なくなる。目の前の男が犯人でも、決しておかしな話ではない。
「……そうだな」
 ややあって、眼前のセフィロスが呟く。
「全ての死は、私の引き起こしたものだ。私の目の前でシグナムは死に……」
 その腹立たしい笑顔のまま。一切の余裕を消し去ることなく。

「――八神はやてもまた、息絶えた」

 平然と。
 驚くほどに。
 平然と、言ってのけた。

21 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 18:55:22 ID:zvNLeQJD
「……な……に……?」
 時が止まる。
 思考はゆるやかに停止する。
 瞳は大きく見開かれ、放つ闘志は消失し、ただ阿呆のように棒立ちとなる。
 全ての感覚は一瞬死に絶え、我知らず一歩後ずさりした態勢のまま、生きながらにして虚無へと至る。
 のろまになった脳髄が、ようやく動き出したのは、それからたっぷり5秒後のこと。
 今、奴は一体何と言った。
 はやてが死んだ? 奴のせいで?
 奴は今その口で、目の前に横たわる己の主が、既に死んでいると言ったのか?
 予想できないはずもなかった。
 あれほどまでに見事なクレーターだ。その中心にいるはやてが、無事でいられる保障はない。
 それでも、信じたくはなかった。
 はやては絶対に生きている。
 あたしの大切なマスターは、ちゃんとそこで生きている。
 事実を突きつけられるまで、そう信じていたかった。
 ふらふら、ふらふらと、破壊の痕へと歩み寄る。
 壮絶な状態だ。舗装されたアスファルトは粉々に砕け散り、下の大地が露出するほど。
 そしてその中心にいながら、はやての身体は綺麗だった。
 驚くほどに、綺麗なのだ。
 その身を預けている道路が、これほどの衝撃を受けているにもかかわらず、はやては五体満足だった。
 明らかにアスファルトよりも脆い身体が、ほとんど目立った外傷もなく、そこに横たわっていたのだ。
 それこそ傍目にも見れば、ただ眠っているだけのようにさえ。
 しかし。
 傷はほとんどないだけだ。
 完全にないわけではないのだ。
「あ……あぁぁぁぁぁ……!」
 彼女のセーターの左胸には、真紅の花が咲いていた。
 赤黒い血液が、確かに衣服に染み出ていたのだ。
 心臓をやられている。
 明らかに、致命傷。
 クレーターの円周で、ヴィータは力なくへたり込む。
 その内側に入ることさえ、できなかった。
 認めたくない。これ以上はやてに近づけば、その冷たい身体に触れてしまう。
 この期に及んで自分の頭は、なおも「嘘だ」と叫び続けている。
 違う。そんなはずはない。こんなのは嘘だ。
 はやてが死んでいるわけがない。
 嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘だ。
(嘘だ嘘だ嘘だ嘘だッ! 信じてたまるかそんなこと! はやてが死ぬはずなんてねぇんだっ!)
 ぽたぽた、ぽたぽたと。
 コンクリートの色が変色する。
 熱を帯びた雫の湿気が、灰色の黒を色濃く変える。
(畜生! 畜生! 畜生! 何であたしは泣いてんだよ! 何で真に受けてるんだよ!
 もっとよく考えてみろよ! はやてがこんな所で死ぬわけねぇだろ!)
 本当は分かっていた。
 もう、はやては戻らない。
 どれだけ取り繕おうとも、彼女の命はその入れ物にはない。
(はやてが……)
 たとえどれだけ手を尽くそうと。
 たとえどれだけ目を背けようと。
 たとえどれだけ願いを込めようと。
(はやてが……!)
 もう彼女に未来はない。
 もうこの声は届かない。
 もう笑ってくれはしない。
(はやてがその足で立って歩くまで……死ぬわけなんかねぇだろうがよぉッ!!)
 もう、彼女が歩くことは、ない。

22 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 18:56:33 ID:zvNLeQJD
 がん、と。
 握り締めた右拳を、砕けたアスファルトへと叩きつける。
 痛い。
 素手で道路を殴ったのだ。拳より硬いものを殴ったのだ。痛く感じないはずがない。
 だが、それでも。はやてが受けた痛みや苦しみは、こんなちっぽけなものではない。
 この拳なんて痛いだけ。傷一つ負っていないのだ。
 はやては傷を受けるどころか、その命までなくしている。比べ物にすらなるはずがない。
 何故だ。
 どうしてだ。
 何故その痛みを分かち合えない。
 何故分かち合えないほどの痛みを、はやてが受けなければならなかった。
 何故戦いとは無縁のはやてが、こんな理不尽な殺し合いで、その未来を奪われなければならなかった。
 痛い。
 拳だけではない。
 この胸が引き裂けるように痛くて苦しい。
 こんな経験は初めてだ。
 こんなに悲しんだことはなかった。こんなにつらかったことはなかった。
 人が1人死んだだけで、こんなに苦しく思うことはなかった。
 兵器として生きてきた自分に、この悲しみを教えてくれたのは、やはりそこで眠るはやてだ。
 悲しみだけではない。
 楽しいことや、嬉しいこと。それに喜びを見出す心も、すべてはやてが教えてくれた。
 1人の人間として生きることを、はやては身をもって教えてくれた。
 だから、はやては自分の全てだった。
 それでも。
 そのはやては、もういない。
「……うああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――ッ!!!」
 絶叫。
 跳躍、そして突撃。
 デイパックから槍を引き抜き、ヘルメスドライブをポケットに突っ込み、叫びと共に飛びかかる。
 セフィロスへと。忌まわしき殺人鬼へと。
 お前のせいではやてが死んだ。
 お前がはやてを殺したんだ。
 はやてはまだまだ生きられたのに。やり残したことがたくさんあったのに。
 まだはやてには、立って歩くことで見える世界を、見せられていなかったのに。
 憎い。
 許せない。
 お前を生かしておくわけにはいかない。
 はやてがこんな所で死んだというのに、何故お前のような奴が、のうのうと生きていることを許せる。
 その命をもって償え。
 お前の命も同じように、この私が奪ってやる。
 そう。
 私が。
(ぶっ殺してやる――――――――――――――――――――――!)

23 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 18:57:39 ID:zvNLeQJD


 嘘を言ったつもりはない。
 真実だ。
 事実として、自分がもっと早く行動していれば、シグナムを救うことはできた。
 自分があの場で動くことができれば、はやてが犠牲になることもなかった。
 直接殺してはいない。だが、死の原因は自分にもある。
 故に、それを口にしただけのこと。
 恨まれようと構わない。憎まれようと知ったことではない。
 どの道全て、殺すのだから。
「らあぁぁっ!」
 きん。
 鳴り響く金属音。
 振り下ろされた槍の一撃を、左手の憑神刀(マハ)をもって受け止める。
 それだけにはとどまらない。
 きん、きん、きん。
 連続して殺到する鋼の穂先。その都度紫の切っ先が、迫りくる殺意の突撃をいなす。
「殺してやる! 殺してやる! 殺してやる!」
 びゅん、びゅん、びゅん。
 鋭く唸るは憎悪の矛先。雄たけびを上げるは怨嗟の絶叫。
 涙に濡れたヴィータの瞳が、真っ向からセフィロスを睨みつける。
 暗黒の炎の宿された、怒りと憎しみに狂ったかのような眼光。
「死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ねぇぇぇっ!」
 一撃一撃は確かに鋭い。どれもが相当な破壊力を伴い、その首を突き落とさんと襲いかかってくる。
 さすがに守護騎士ヴォルケンリッターの中でも、随一の攻撃力を持つだけはあるということか。
 常人から見れば、少なくとも彼女を知らぬ者から見れば、それら全てが一撃必殺。
 だが。
「槍の使いこなせぬお前に、剣を持った私が倒せると思ったか」
 所詮はそこまで。
 ヴィータが本来得意とするのは、鋼鉄のハンマー・グラーフアイゼン。
 斬る武器でもない。突く武器でもない。殴るための武器こそが、彼女の本領を発揮する形。
 足りないのだ。この程度では足りないのだ。
 彼女が槍を振るおうと、あるいは剣を振るったとしても、所詮はその程度でしかない。
 突き方も知らぬ。斬り方も知らぬ。ただ闇雲に振り回しているだけ。
 こんなものはヴィータの全力などではない。故に、下すことなどたやすい。
「ぐぅっ!」
 ガードから力点をいなし、受け流す。勢いのついた身体は地に落ちる。
 攻撃をかわされたヴィータの華奢な身体が、ごろごろと無様にアスファルトを転がった。
 あまりにもあっけない決着。
 怒れる騎士が気づいた時には、既に刃は喉元に。
 頭を持ち上げたところへと、憑神刀の切っ先が突きつけられていた。
 冷やかな感触。少しでも手首を動かせば、即座に命を奪う殺意の刃。
 これで終わりか。全て終わりか。
 畜生。畜生。畜生。
 憎悪の瞳でこちらを睨むヴィータの視線が、彼女の胸中を、何よりも雄弁に物語っていた。
(許しを乞うつもりはない)
 同じ言葉を、胸の内で反芻する。
 はやてを喪って最初に殺す相手が、まさか身内だったとは。
 もう戻れない。この鉄槌の騎士を首を落とせば、自分は引き返すべき道を失う。
 仲間殺しの大罪人が、あの地で受け入れられるはずもない。ミッドチルダの仲間の元には戻れない。
 何より、はやてがそれを許さない。
 それでも。
 許しを乞うべき相手は死んだ。彼女のいないあの場所に、一体どれほどの価値がある。
 引き返す道などいらない。
 故に。
 ただ、首を。

24 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 18:57:56 ID:+py03s43
 

25 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 18:58:46 ID:+py03s43
 

26 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 18:59:02 ID:zvNLeQJD
 
「――っははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」

 この瞬間だった。
 南方から響くそれを、セフィロスの耳が捉えたのは。
「なっ!?」
 いいや、セフィロスだけではない。
 怒りと憎しみと悲しみに揺れる、ヴィータの青い瞳もまた、笑い声の方を向く。
 馬鹿のような高笑い。
 しかし、馬鹿のそれではない。
 馬鹿の下品さは存在しない。
 であれば今まさに響くこれは、真性の狂人の放つ咆哮だ。
 襲い来る、声。音量を増す、声。
 次々と破砕音を掻き鳴らし、笑い声がみるみるうちに迫ってくる。
 ああ、だが自分はこの声すらも知っている。
 馬鹿や下衆ではないものの、決して相容れぬ狂人の声だ。
 八神はやてとセフィロスの、最後の共同戦線の相手だ。
 赤いコートが蘇る。白い十字架が蘇る。狂喜の瞳が蘇る。狂気の不死が蘇る。
 瞬間。
 セフィロスが見たものは。
「来たか……アーカード」
 建物の壁をぶち破り、轟音と共に現れる、1人の吸血鬼の姿だった。



(見つけた……!)
 最強の化物(フリーク)アーカードは、その時1人市街地を疾走していた。
 走る。走る。疾る。
 己の不死性を頼りにし、相手の反応を楽しむために。
 自ら素早く動くことをしない彼には、珍しいとさえ思える全速力。
 己の身体機能の全てを、走るという行動一点に集中させ、尋常ならざる速度で駆け抜ける。
 ただ一直線に。
 道を遮る壁は壊して進んだ。道を遮る川は飛び越えて進んだ。
(見つけたぞ! 私はお前を見つけたぞ、兵士(ソルジャー)!)
 こうも素早く見つかるとは思わなかった。
 ゲームの最初では、長らく獲物に恵まれなかっただけに、この発見は青天の霹靂に等しかった。
 長大なる正宗を携え、銀髪の剣士を捜していた時、ふと何の気なしに見上げた頭上の蒼天。
 そこに、いたのだ。
 漆黒のコートをたなびかせるあの男が。背中から翼を一枚だけ生やすという、何とも奇妙な飛び方で。
 捜し求めたセフィロスを、いとも簡単に見つけてしまったのだ。
 ぼやぼやしてはいられなかった。一分一秒が惜しかった。
 あの男が着地した場所を目指し、持てる最高の速度で駆け抜ける。
「――死ね! 死ね! 死ね! 死ねぇぇぇっ!」
 微かに、子供の声が聞こえた。
 学校で会ったヴィータのものだ。どうやらその先にいるらしい。
 叫びに込められたのは殺意。殺意には向けるべき対象が必要。
 直感的に理解する。悠久の年月によって育まれた、戦闘狂の持つ直感で。
 この先にいる。
 この先であの男が戦っている。
 この建物の壁を壊した先に、あの男が自分を待っている。
「っははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」
 大笑した。
 満面の笑みを浮かべた。
 狂喜の叫びを上げながら、遂に最後の壁へと拳をぶつける。瞬く間に破壊されるコンクリート。
 ぱらぱらと崩れ去る破片。もうもうと立ち込める粉塵。
 視界を覆う灰色のカーテンの先で、アーカードを待っていたのは。
「来たか……アーカード」
 奇妙な紫の剣を携え、絹の銀糸を衝撃波に舞わせる、セフィロスの姿だった。

27 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 19:00:16 ID:zvNLeQJD
 最強の吸血鬼、アーカード。
 最凶の堕天使、セフィロス。
 幾世紀もの時の中、常に闘争の中にその身を置き、無限の屍を食い殺してきた不死者の王。
 幾光年もの彼方から、降り注いだ遺伝子の元に、恐怖の支配者となることを渇望した英雄。
 両雄はここに再び相まみえ、再びその闘争の火蓋を切って落とす。
 これはその直前の沈黙。
 嵐の前の静寂。
 両者は驚くほど静かに、お互いの姿を認め合っていた。
「傷は治ったようだな」
「ああ」
 両者は驚くほど静かに、言葉を交し合っていた。
「そうか……だが、残念だ」
 ふ、と。
 不意に、アーカードの顔から笑みが消える。
 傍から見ているだけで気が触れそうな、狂気そのものを体現した、彼特有の笑顔が消失する。
 そこに宿された感情は、怒りでも悲しみでもなければ、ましてや無感動ですらない。
「お前なら私を殺せるかもしれないとばかり思っていたが……まさか、お前も私と同じ化物(フリーク)だったとは」
 それは無念。
 残念だ、と語る真紅の視線。
 もちろんいかに不死王(ノスフェラトゥ)といえど、仙豆の存在などは知るはずもない。
 故にその再生能力を、自分達と同じ人外の業と認識する。
 いいや、それだけならまだよかった。それならかのアレクサンド・アンデルセンも、後天的に身に着けていた。
 問題は、もうひとつだ。
 その翼。天に舞う漆黒の片翼。
 背中から羽を生やす人間など、この世に存在するはずもない。でなければ、これを化物と呼ばずに何と呼ぶ。
「これでお前に殺されるわけにはいかなくなった。
 化物を……私のような真の化物を殺せるのは、いつの時代も人間だ。人間でなければならないのだ」
 お前に殺されるわけにはいかない。
 これから繰り広げる戦いには、自分の命は賭けられない。
 待ち望んでいた殺し合いから、「合い」の二文字が消滅し、一方的な殺しへと変わる。
 自らを安全地帯に置く余興となれば、得られる愉悦は半減する。
 命の取り合いという至高の喜びは、もはや果たせなくなったのだ。
「化物か……神が恐怖の象徴だというのならば、確かに私は化物だな」
「神、か。ククッ……アンデルセンが聞けば、顔を真っ赤にして怒るに違いない」
 2人の男が、再び微笑を向き合わせた。
 神。
 それこそがセフィロスの欲するもの。
 星にはびこる人間を抹殺し、恐怖と力によって支配すること。それこそが彼とジェノバの悲願。
 人が化けた魔物ごときが、偉大な神の玉座を奪おうなどとは、確かにあの狂信者には、到底受け入れられるものではあるまい。
「だが、アーカード。お前は1つ見落としている」
「?」
 冷ややかな声。
 不可解な言葉。
 こうした話の最中に、そんな言葉をかける者は初めてだった。
 故に最強の吸血鬼は、珍しく怪訝そうな表情を浮かべる。
 そして、その先を、聞いた。

「――お前は本当に化物なのか?」

28 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 19:00:20 ID:+py03s43


29 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 19:02:04 ID:zvNLeQJD
 一瞬、何を言ったのか理解できなかった。
 冷たい氷のような言の葉が、己が鼓膜を揺さぶった時、彼の思考は一瞬停止した。
 理解不能。一瞬前の言葉よりも、遥かに理解に苦しむ言葉。
「自分が生態系の頂点にでも立ったつもりか? 信念も理想もないお前が、崇高なる存在にでもなったつもりか?」
 こいつは何を言っているのだ。私が化物でないとでも言うのか。
 何を愚かしいことを。
 この身を見ろ。
 無駄に強靭すぎるこの筋肉。無駄に死ににくいこの再生能力。
 どれだけ終焉を渇望しようとも、決して終わることのできぬこの身体。
 何物からも死を受けられず、無駄に生きてきたこの私を、化物と言わず何と言うのか。
「そもそも、お前の論理を誰が保障できる? この先人間以外の存在が、お前を殺すことがないと、一体誰が断言できる?」
 何も知らぬ若造が。
 傲慢に振る舞う青二才めが。
 お前に一体何が分かる。
 全てを知った気になって、超越者を気取った気になって、他者を見下すだけのお前が。
 ただへらへらと笑っているお前に、不死を押しつけられた私の、一体何が分かるのか。
「あるいは――私がお前を殺した瞬間、即座に破綻しても仕方がない、脆く危うい論理だぞ?」
 ――びゅん、と。
 瞬間、殺到。
 向かいの壁が砕ける音。
 セフィロスの顔面のすぐ真横に、突き立てられたのは正宗。
 かの殺し合いの果てに手に入れた、鋭く長大な日本刀。
 彼の顔面すれすれへと、吸い込まれるように投げつけられた、刃の先の表情は――
「――面白いことを言う」
 しかし、笑っていた。
 これほど愚弄されてもなお、アーカードは笑っていたのだ。
「では、お前はこう言いたいのだな?
 私がお前という化物に倒されれば、私は化物ですらなく、ただの狗と変わらない、卑小な存在へと成り果てると」
「お前が私を殺せたのなら、お前は化物でい続けることができる。その時には私が狗となろう」
 面白い。
 不思議なまでに面白い。
 既に怒りも憎しみも、どこか彼方へと吹き飛んでいた。
「ククク……初めてだぞ、兵士(ソルジャー)。よりにもよって、この私を狗扱いした男は」
 こんな経験は初めてだ。
 これまで会ってきた連中は、自分を恐れることしかしなかった。
 どれほどの力を持った狗も、どれほど自分を過小評価した狗も、最期は例外なく恐怖と共に果てた。
 だが、この男だけは違う。
 こいつは自分の身体が持つ、圧倒的な力を知っている。
 それでもなお微塵も恐れることなく、自分を狗と罵ったのだ。
 明らかに格下として見下したのだ。
「その自信……この私の手で、どうしてもへし折りたくなった」
 こんな感情は初めてだった。
 自分は相手を倒すという行為を、今猛烈に求めている。
 殺し合いたいのではない。殺されるわけにいかないという、その想いだけはそのままだ。
 だが何故だろう。
 自分はこれまでにないほどに、相手を叩きのめすだけの行為を、これ以上ないほどに渇望している。
 命のやりとりではないのに。
 自分の敗北という結末を、期待できる戦いではないのに。
 ただひたすらに、この男をぶちのめしたい。
 倒すだけという行為。自分より格下の弱者共を、ただなぶるだけのつまらぬ行為。
 だがこの男相手ならば。この男のその微笑を、木端微塵に砕けるのなら。

30 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 19:03:20 ID:+py03s43


31 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 19:04:07 ID:zvNLeQJD
「いいだろう。その剣を取れ。お前の持てる力の全てを、この私直々に砕いてやろう」
 嗚呼、今日は本当によき日だ。
 ただ忌むべき化物の名を、その名を否定されることを、こんなに惜しいと思う日が来るとは。
 望みどおり、見せてやろう。
 誰よりも死ににくい力を。誰よりも死ににくい身体を。
 私がこれまで辿ってきた、幾星霜もの年月が、決して間違いではなかったことを、お前の死をもって証明しよう。
「言われずとも、そのつもりだ」
 かちゃり、と。
 セメントに刺さった剣が鳴る。
 セフィロスの手によって抜かれた正宗が、そのまま構えられることなく、デイパックへと収められる。
 代わりに構えたのは左手の剣。
 何やら奇妙な形を持った、妖しき紫の光を纏った、薔薇のごとき装飾の剣。
 何故そのようなものを使う。
 何故使い慣れた得物でなく、遥かに短いその剣を使う。
 どこかで見覚えがあったような気がするが、それはお前の得物ではないはずだ。
「あいつを殺したのはお前達だからな」

 “妖艶なる紅旋風”!

 疑問は一瞬にして氷解した。
 その剣の意味を知ったから。
 その剣の力を味わったから。
 刹那の瞬きの間に襲いかかったのは、激烈な突風と斬撃だ。
 身体が吹き飛ばされている。身体が切り刻まれている。
 極大の風圧と切れ味の中、身体が破壊されている。
 視界に飛び込んできたものは、唸りを上げる竜巻と、鋭利な刃と化した花弁。
 その視界もまた闇へと溶けた。目に入った真紅の断片が、その眼球を切り裂いた。
 粉砕の音。聴覚もほどなくして消える。残されたのは激烈な痛覚。
 セメントの壁が砕けている。背中が壁を砕いている。4つは壁をぶち破ったか。
 なんという破壊力。なんという殺傷力。
 ようやく身体が静止した時、ようやく視力が戻った時、セフィロスは遥か彼方に立っていた。
「……ふ……ふはっ、ふひゃははははははへはぁ」
 繋がりかけの口を動かし、下品に歪んだ笑いを上げる。
 面白い。
 こうでなければつまらない。
 あいつは手に入れたのだ。どこで手にしたかは知らないが、より強力な力を手にしたのだ。
 この手に握った十字の武器と、不死性のハンデを埋めるほどの力を手にし、ようやく自分と並んだのだ。
「どこまでも面白い奴だ。この十字架の拘束を、まさかお前が最初に解くとは」
 がしゃん。
 純白の十字架を変形させる。その先端を開かせる。
「これでようやく対等だ。互いの火力はようやく並んだ」
 身体は確実に再生している。
 己の身体を佇立させ、パニッシャーの銃口を開かせ、構えさせるにはちょうどいいほどに。
「楽に勝てるとは思うなよ。お前のその魔剣と同じように、私のこの銃口もまた、狗を殺すには過ぎた力だ」
 狙いはひとつ。
 一点へと定める。
 もはや臆病者の娘など、視界の中にすら入らない。
「お前は死ぬ気で凌げ」

32 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 19:05:15 ID:+py03s43


33 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 19:06:02 ID:zvNLeQJD
 かちん。
 引き金が、引かれた。
 刹那、鳴り響くのは獰猛な咆哮。
 その身に魔性を秘めた十字架が、獣の唸りと共に銃弾を吐き出す。
 最強の個人兵装、パニッシャー。
 その名に誇張も偽りもなく。
 遂にその機能が解放された。硝煙たなびかせる狼が、セフィロス目掛けて殺到する。
 重厚な撃音を掻き鳴らしながら、撃ち出されたガトリングの弾丸が、男を蜂の巣へと変えるその瞬間。
 羽ばたく翼。
 ちらつく漆黒。
 そこにセフィロスの姿はなかった。
 十字架の放つ殺戮の魔弾は、背後の壁を粉砕こそすれど、ターゲットへと浴びせられはいない。
 いかに堅牢なる外壁を、紙屑のように貫けど、目標を殺せなければ意味がない。
 視線を上げた。奴はそこにいた。
 暗黒の片翼を羽ばたかせ、銀髪翻す堕天使が、空よりこちらを狙っている。
 びゅん、と。
 パニッシャーが放つのが弾丸ならば、奴の速さもまた弾丸。
 天空からの間合いを一気に詰め、その切っ先を叩き落とす。
 飛び退り、回避。粉砕されたのはアスファルト。
 さながら宇宙より飛来する隕石が、クレーターを穿ったかのような衝撃。
「ッフフフ……」
「クククク……」
 視線の先であいつが微笑む。
 視線を向けられた私が微笑む。
 改めて認識した。
 この勝負、決して楽には勝てないようだ。



 そこから先の激戦は、まさしく筆舌にしがたいものだった。
 奴らの常識外れの戦いの中で、倒壊させられた建物は、既に十軒に迫ろうとしている。
「何だよ、これ……」
 それだけしか呟けなかった。
 歴戦の勇士たるヴィータですらも、そんな頭の悪い感想を、一言漏らすので精いっぱいだった。
 セフィロスが紫の剣を振るえば、アーカードが白の十字架で受け止める。
 アーカードが銃弾を解き放てば、セフィロスの疾風が叩き落とす。
 人間の戦いではない。
 たとえ自分にグラーフアイゼンがあって、あそこに飛び込んでいったとしても。
 生き残れる自信が、ない。
 轟音が鳴り響いた。
 3階建てほどの小さなビルが、ずぶずぶと地面へと沈んでいった。ああ、とうとうこれで十軒目だ。
 もはや人のなせる業ではない。
 常識も理性も何もかも、決して追いつかぬ激戦が、目の前で展開されている。
 果たして奴らと同じように、制限下にあるこの身体で、これほどの戦いができるだろうか。
 確かなことがひとつある。
 こいつらは生かしておいてはならない。
 たとえ決着がついたとしても、どちらか一方でも生き残った瞬間、奴らはこの地の全てを殺す。
 この場に呼び寄せられた全員が、この圧倒的な力の前に、成す術もなく蹂躙されてしまう。
 ミライも、シャマルも、ザフィーラも。

34 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 19:07:09 ID:+py03s43


35 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 19:08:05 ID:zvNLeQJD
「!」
 視線の先を漆黒が駆けた。
 灰色の壁を突き破り、弾きだされたセフィロスの身体が、眼前の虚空を通り過ぎた。
 くるりと空中で回転し、その衝撃を押し殺し、ブーツをアスファルトへとつける。
 がりがり、がりがりと。硬質の大地を削るかのように、ブレーキをかける両の脚。
 迫るものがあった。
 真紅が彼方より飛びかかった。
 ぐちゃりぐちゃりと音を立て、引き裂けた皮膚を修復しながら、あのアーカードが飛びかかる。
「お前と戦ったことで、分かったことが一つある」
 言葉と共に、繰り出されたのは紫の刃。
 憑神刀の魔性の一太刀が、パニッシャーの直接打撃を、真っ向から受け止めた。
「お前は不死を謳っていながら、その身のたった一ヶ所だけを、頑なに守り続けている」
 瞬間、刃が滑らされた。
 十字架が虚しく空を突いた。
 勢いを巧みに受け流され、アーカードの身体が無様によろめく。
 突き出されるセフィロスの剣。
 地に落ちかけた背中へと。真紅のコートの左胸へと。
 ――きん。
「心臓だな。お前の弱点は」
 受け止めていた。
 白き十字架が。
 何の変哲もない一突きを。即座に修復できるはずのダメージを。
 防いだのだ。
 身体を強引によじり、両脚を強引にふんばってまでして、わざわざその攻撃を止めたのだ。
「……その条件まで対等にするとはな」
 にぃ、と。
 アーカードの口元が歪められた。
 気が触れたかのような狂気の笑みは、それすなわち肯定の証。
 何ということだ。
 この銀髪と片翼の剣士は、あれほどの壮絶な戦闘の中で、たったそれだけの違和感を見抜いていたのか。
 ごくり、と。ヴィータの喉が鳴る。
 こんなもの、人間でどうこうできる領域ではない。
 改めて思い知らされる。今ここに立っている両者が、人外の魔物であることを。
「ならば射止めてみせろ! 私のこの心臓を!」
 ぐわん、と。
 豪快に鉄塊が振り抜かれた。
 鋼鉄のパニッシャーが唸りを上げ、セフィロスの身体を吹き飛ばす。
 先ほどのように、地面に水平にではなく、垂直に上空へと弾かれる。
 跳躍。
 翻る血の色。
 打ち上げられたセフィロスへと、追いすがるアーカードの姿。
「許しを乞う姿を見せてくれ」
 追撃をかける吸血鬼へと、堕天使の刃が襲いかかる。
「跪く姿など見せてくれるな」
 剣をかわした吸血鬼が、堕天使へと十字架を振り上げる。
「もはや嘆いても遅い」
 堕天使の背後に咲いた薔薇が、殺意の銃弾を解き放つ。
「命乞いをする時間は過ぎた」
 吸血鬼の放つ爆弾が、かわされ眼下を吹き飛ばす。

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 19:09:01 ID:+py03s43


37 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 19:10:17 ID:zvNLeQJD
 びゅん。
 突如、アーカードを襲う衝撃。
 両腕が動かない。何故だか縛られたように動かない。
 かけられた勢いに従い、みるみるうちに身体が落下する。
 コンクリートの大地へと、打ちつけられるその瞬間、ようやくその目はしかと見た。
 右手より伸びるのは見覚えのない槍。
 左手より伸びるのもまた同じ赤き槍。
 デイパックへと収められた、セフィロスの――否、シグナムの支給品が投げつけられ、彼の両腕を貫いたのだ。
 激突。地に縫いつけられる身体。
 一瞬にして距離が詰まる。
 さながら馬乗りになったかのように、男がゼロ距離へと迫る。
 直撃コース。心臓を一突き。
 その左手に携えた憑神刀を、高々と振りかざさんとする。
 その、直前。
「っ!」
 セフィロスの身体が吹き飛んだ。
 不意打ちに表情を歪ませながら、アスファルトの大地を転げ回った。
 彼の顔面へと襲いかかったのは、アーカードの放つ強烈な――頭突き。
 ただ額が激突しただけで、これだけの破壊力。
 ふらつく頭を振りながら。忌々しい穂先を抜きながら。
 両者が再び立ち上がり、互いに向かい合ったのは、それから僅か3秒後のこと。
 しかし、この者達の死闘の中では、それすらも長すぎるほどのタイムラグ。
「……そうだな」
 不意に、アーカードが呟いた。
「ここまで辿り着いたのだ。どうせなら、残された最後の条件も対等にしてもらおうか」
 全ての条件は対等だ。
 人外の身体能力は並んでいる。
 オーバーキルの火力も並んだ。
 不死性の秘密も見破られた。
 ただ、あと、1つだけ。
「お前の名前を聞かせてもらおう、兵士(ソルジャー)」
 それだけがまだ、対等ではなかった。
 吸血鬼アーカードの名前は、自らの演説によって知られている。
 だがこの片翼の天使だけが、未だその名を名乗っていなかった。
 セフィロスが相手の名を知っていながら、しかしアーカードだけが、相手の名を知らなかった。
 兵士(ソルジャー)とアーカードでは、示しが付かない。
 この最強同士の戦いでは。
「……いいだろう」
 剣の堕天使は不敵に笑む。
「その胸に刻め。私の名を――セフィロスの名を」
 驚くほどの静寂だった。
 あたかもこの一瞬だけは、全ての闘争を忘れたかのように。
 セフィロスも、アーカードもまた、一切の構えを解きながら。
「お前のその生涯の中で、最期に耳にする名前として」
 互いに対等と認め合った者同士の、闘争の儀式の瞬間だった。

「……らああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!」

38 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 19:10:44 ID:+py03s43


39 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 19:12:04 ID:zvNLeQJD
 叫びが間に割って入る。
 儀式が終焉の時を迎え、再び闘争が始まるその瞬間、間に割って入る者がいる。
 ヴィータだ。鉄槌の騎士だ。
 無銘の槍を輝かせ、轟然と雄たけびを上げながら、ヴォルケンリッターの突撃娘が突っ込んでくる。
 今しかなかった。
 この人外の化物共相手に付け入る隙など、この瞬間以外に見つからなかった。
 こいつらはここで殺さなければ、いずれ多くの災いを振りまく。
 守るべき者達がいなくなれば、ミライとの約束も果たせなくなる。
 ここで、仕留めるしか、ない。
「があぁぁ……ッ!」
 しかし。
 小さな身体は、虚しく道路を転がった。
 憎き仇のセフィロスへと、その槍を突き立てようとした瞬間、あっさりと反撃を受けてしまったのだ。
 その破壊力には抗えない。
 慣れた武器でない以上、慣れた武器にかなわない。
 使ったこともない槍で、セフィロスの得意とする剣に、真っ向から勝てるはずもない。
 ましてや、恐怖と怒りと憎しみに囚われ、震える槍で挑んだのならば。
 ごろごろ、ごろごろと。
 盛大に大地を転がるヴィータ。
 やがてその身も静止する。視界の片隅には川が見えた。
 随分と身体を打ってしまった。意識は朦朧としかけている。
 と、その時。
「ぐぅっ!」
 息が詰まった。
 喉が勢いよく締め上げられた。
 追いついたセフィロスの右腕が、ヴィータの首を絞め持ち上げたのだ。
 ぎりぎり、ぎりぎり。握力を増していく堕天使の筋肉。視線の先でちらつくのは紫の剣。
「そうだな……お前から先に殺しておくべきだった」
 殺される。
 このままでは確実に殺される。
 先刻の恐怖がフラッシュバックする。
「皮肉なものだな。私が最初に殺す相手が、お前だったとは」
 その笑顔はまずい。
 こいつは人の命を奪うことに、何の感慨も持っていない。
 このまま虫けらを踏みにじるように、自分を平然と殺すだろう。
 嫌だ。死にたくない。
 こんなところで死にたくない。
 せっかくはやてに出会えたのに。
 数百年もの間続けてきた、闘争の歴史から解放され、人間らしい生き方を知ったのに。
 そのはやてが死んでしまったとしても、この身に宿った価値ある生に変わりはない。
 生きたい。
 この命を生き続けたい。
 やりのこしたことがたくさんあるのに。
 誰でもいい。助けてくれ。
 かっこ悪くたって構わない。生きていられるのならそれでいい。
 だから、頼む。
 どうか助けてくれ。
 誰か。



 ――はやてえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――――――ッ!!!




40 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 19:12:16 ID:+py03s43


41 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 19:13:49 ID:+py03s43


42 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 19:14:07 ID:zvNLeQJD
 ――それは偶然の産物と言ってよかった。

 川を隔てた、E-4の北半分で繰り広げられていた、セフィロスとアーカードの死闘。
 当然それだけの激戦が展開されれば、戦闘中の移動もまた、大胆なものになるのは間違いない。
 この時両者は、エリアの壁を1つ越えて、気付かぬままにD-4の南端へと侵入していたのだ。

 更に吹き飛ばされたヴィータは、更にもう1つの境界線を突破し、D-5の片隅へと入っていた。

 そして、ここで、最後の偶然。
 自らの命が失われようとしているその瞬間、彼女は無我夢中で懐へと手を伸ばした。
 無意識に。がむしゃらに。
 たとえ自分の知るはやてが、既に命を落としていたとしても。
 たとえこのエリアにいるはやてが、あの忌まわしき偽物だとしても。
 そのスイッチを入れた。

 あの時、咄嗟に懐に入れていたヘルメスドライブは。

 未だ機動状態のままだったのである。


【1日目 午前】
【現在地 D-5南西端】
【ヴィータ@魔法少女リリカルなのはA's】
【状態】転移中、疲労(小)、左肩に大きな切り傷 、全身に擦り傷(小)、セフィロスへの恐怖、強い後悔
【装備】ゼストの槍@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ヘルメスドライブ@なのは×錬金
【道具】支給品一式×1、デジヴァイスic@デジモン・ザ・リリカルS&F
【思考】
 基本 ???
 1.助けて! はやて……はやてぇぇぇっ!
 2.ザフィーラ、シャマルとの合流
 3.そして彼らに偽者の八神はやてがいて、殺し合いに乗っていることを伝える
 4.ヴィヴィオを見付けた場合は、ギルモンの代わりに守ってやる
 5.セフィロスとアーカードはぶっ殺す。
 6.シグナムを殺した人物を見つけた場合は、仇を討つ
【備考】
 ※はやて(StS)を、はやて(A's)の偽物だと思っています
 ※デジヴァイスには、一時的に仮パートナーとして選ばれたのかも知れません
 ※なのは達のデバイスが強化されたあたりからの参戦です
 ※放送についてはシグナムからナイブズの間に呼ばれていた名前を聞き逃しました
 ※ヘルメスドライブの使用者として登録されました
 ※はやて(A's)の死亡を確認しました。また、殺したのはセフィロスだと思っています
 ※D-5のはやて(StS)の元へと、ヘルメスドライブを使ってワープしました。
  無我夢中の状況であったため、自分が使用したことは認識していません

43 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 19:16:14 ID:zvNLeQJD
【セフィロス@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】
【状態】転送中、疲労(中)、顔面・腹部に小規模の傷、額に打撲、全身にダメージ(中)、ジェノバ覚醒、片翼展開
【装備】憑神刀(マハ)@.hack//Lightning
【道具】支給品一式×3、デュエルディスク@リリカル遊戯王GX、トライアクセラー@マスカレード、
    正宗@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、ランダム支給品0〜3個
【思考】
 基本:全ての参加者をを皆殺しにする
 1.何っ……?
 2.アンジールは、今はまだ殺さない。ぎりぎりまで生かし、最高の痛みと苦しみを味わわせる。
 3.アーカード、仮面ライダーの娘(=かがみ)、アレックスは優先的に殺す
【備考】
 ※身体にかかった制限を把握しました
 ※アレックスが制限を受けていることを把握しました。また、アレックスはゲームにのってないと判断しました 
 ※参加者同士の記憶の食い違いがあることは把握していますが、特に気にしていません
 ※トライアクセラーで起動するバイク(トライチェイサー@マスカレード)は、立体駐車場に埋もれていると思っています。
  とはいえ、運転はできないので、無理に探すつもりはありません。
 ※「リリカル龍騎」における仮面ライダーの情報を得ました
 ※デスゲームと仮面ライダーの殺し合いに関係があるのではないかと思っています
 ※全ての思考を「ジェノバとしての思考」に切り替えました。
 ※憑神刀のリミッターは外れました。
 ※アーカードの弱点が心臓であることを見破りました
 ※ヴィータのワープに巻き込まれました


 不可解な現象が起こった。
 セフィロスがヴィータを殺すべく、その首を絞め上げた瞬間、彼らを眩い光が包んだのだ。
 そして光が消えた時には、既にアーカードの視界の中には、2人の姿はどこにもなかった。
 壮絶な激戦は唐突に終わりを告げ、今は吸血鬼がただ独り。
 ひらひらと舞う一枚の紙切れを、白い手袋がキャッチする。
 手にしたのは、ヘルメスドライブなるものの説明書。
 どうやらあの転移のからくりらしい。恐らくヴィータが取り出した際に、偶然零れ落ちたのだろう。
 いずれにせよ、奴らはまだ、このエリアの中にいるらしい。
 まだまだ追いつける機会はいくらでもある。
 そう思うと。
「……ふ……ふはっ、ははははははははははははははっ!」
 愉快でたまらなかった。
 笑いが止まらなかった。
「はははははっ! あっはははははは! ははっ、ははははは! ひぁはははははははははははぁ!」
 昂ぶる。
 どうしようもなく興奮する。
 奴を殺すのは楽しい。
 命を賭けて戦うのではなく、ただ相手を殺すだけのこと。
 叩き潰すだけの行為が、信じられないほどに愉しくて仕方がない。
 幾世紀もの時の中、最強の生命として君臨してきたアーカードは、遂にその感情の正体に気付かなかった。
 それはすなわち対抗心。
 あいつだけには負けられないというライバル意識。
 格下を屠るだけだった吸血鬼が、気の遠くなる年月の中で、いつしか忘れてしまったもの。
 あの美しくも狂おしき堕天使は、かつて彼が人間であった頃の、その感情を揺り起こしたのだ。
 それだけの念を抱くに値する、生涯最強の宿敵として。
 その一方で、分かってきたことがある。
 あの魔剣の正体だ。
 よくよく考えてみればあれは、彼が共に行動していた、茶髪の少女の武器ではなかったか。
 あの時のセフィロスはまだ、化物の力も翼も使わず、人間として戦おうとしていた。
 そして今、魔物に化身したかのようなセフィロスの傍には、あの娘がいない。

44 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 19:16:15 ID:+py03s43


45 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 19:17:52 ID:+py03s43


46 :Kinght of the Rose ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 19:18:04 ID:zvNLeQJD
「ふはははははっ! そうか、死んでしまったか! 可愛い可愛いお嬢ちゃん(フロイライン)が!」
 理解する。
 既にあの娘はいない。
 身体を震わす恐怖をこらえ、勇敢にも立ちはだかってきた、あの娘はもう生きていない。
 思えば先ほどセフィロス自身も、それを指し示すようなことを言っていた。
「そうか、お前は死んだ女のために戦うか! お前を突き動かしたのはあの娘か!」
 彼女が彼の枷だったのだ。
 彼女の命が奪われたことで、兵士は化物へと姿を変え、復讐の刃を振り上げたのだ。
「化物兵士(セフィロス)! 片翼の天使(セフィロス)!! 復讐の虜囚(セフィロス)!!!」
 叫ぶ。
 叫ぶ。
 その名を叫ぶ。
 胸にしかと刻み込むように。
 己をなじった最悪の無礼者として。己に御しうる最高の標的として。
「いいだろう! 屍姫の薔薇の騎士(ナイトオブローズ)よ!
 お前をあのアンデルセンと同等の、殺人(マーダー)の対象として認めてやる!
 たとえ地の果てであろうとも、お前の元へとたどり着き、お前をくびり殺してやろう!! あっはははははははは!!!」


【1日目 午前】
【現在地 D-5南西端】
【アーカード@NANOSING】
【状況】疲労(中)、全身にダメージ(小・回復中)、昂ぶり、セフィロスへの対抗心
【装備】パニッシャー(重機関銃残弾70%/ロケットランチャー残弾60%)@リリカルニコラス
【道具】基本支給品一式、拡声器@現実、首輪(アグモン)、ヘルメスドライブの説明書
【思考】
 基本:インテグラルを探しつつ、闘争を楽しむ。
 1.セフィロスは自分の手で殺す
 2.アンデルセン、スバル達に期待
 3.首輪解除の手段(人員や施設)を潰しておいた方がいいのか?
【備考】
 ※スバルやヴィータが自分の知る二人とは別人である事に気付きました。
 ※パニッシャーが銃器だという事に気付きましたが、
  憑神刀(マハ)を持ったセフィロスのような、相当な強者にしか使用するつもりはありません。
 ※放送を聞き逃しました。
 ※ヘルメスドライブに関する情報を把握しました。
 ※セフィロスを自分とほぼ同列の化物と認識しました。
 ※はやて(A's)が死亡したことに気付きました。
 ※アーカードの現在地(ヘルメスドライブの起動した場所)は、はやて(StS)達の位置からは、建物の影に隠れて確認できません。
  逆に言えば、アーカードにも肉眼でははやて(StS)達や、転移したヴィータ達は見えないということになります。

【全体の備考】
 ※E-4のどこかの路地裏に、はやて(A's)の死体が放置されています
 ※E-4の川を隔てた北半分は、半ば壊滅状態にあります。少なくとも、十軒以上の建築物が崩壊しています。
 ※D-4の南端のどこかに、朱羅@魔法少女リリカルBASARAStS 〜その地に降り立つは戦国の鉄の城〜が放置されています。

47 : ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 19:22:26 ID:zvNLeQJD
投下終了。
ヴィータ達の転移した先のはやて達まで書いた方が、後々の方が書きやすかったかもしれませんが、
自己リレーになってしまうのでそれは自粛。
タイトルの元ネタは、Sound Horizonの楽曲「薔薇の騎士団」です。
あー……今回のバトルシーン、ディシディア買った影響がモロに出てるなぁ……
セフィロスとアーカードの空中でのやりとりなんか、まんま×ボタン追撃時の攻防だし。

今回、容量が43KBとなっているので、
//////////////////////////
 この勝負、決して楽には勝てないようだ。



 そこから先の激戦は、まさしく筆舌にしがたいものだった。
//////////////////////////
この「◆」のところで区切ってください。

48 : ◆9L.gxDzakI :2009/02/19(木) 19:33:12 ID:pPZL+UIb
誤記orz
Kinghtではなく、Knightです、タイトル

49 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 19:49:11 ID:nLDJDdeh
投下乙です
ヴィータ、とうとうはやての死亡を知ってしまったのか
しかし皮肉にも偽物と思い込んでるもう一人のはやてのおかげで救われたか
そしてセフィロスもはやての死亡で修羅になったばかりなのにもう一人のはやての所へ移動か
あのはやて見たらどう思うんだろう・・・・・
そしてセフィロスを強敵と認めた旦那は更にノリノリにw

50 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:36:14 ID:PwLjk9Vy
投下乙
×(追い討ち開始)!○!×!□(爆弾)!!!

こんな感じでしょうか?


51 : ◆7pf62HiyTE :2009/02/20(金) 23:49:07 ID:SHh9X5aJ
チンク分投下します。

52 :せめて哀しみとともに ◆7pf62HiyTE :2009/02/20(金) 23:51:52 ID:SHh9X5aJ



「なぁディエチ……お前はどうしてそんなに安らかな顔で死ねたんだ……?」

H-6の病院跡地、瓦礫の上で戦闘機人ナンバーズXチンクは今は亡き妹であるディエチの死に顔を思い出していた。その手には大剣・大百足……その柄の部分だけが握られている……。
チンクは病院に反応のあったレリックの確保、そして姉妹であるクアットロとディエチとの合流の為に病院に向かった。
しかし、そこで彼女を待っていたのは既に物言わぬ骸と化したディエチであった。そしてその後、巨大な光が発せられそれにより病院は崩壊しディエチの亡骸は瓦礫の奥へ深く沈んでいった。
この状況で掘り起こすのは困難、仮に掘り起こしたとしてもまともな状態ではないだろう、最早ディエチの死に顔を確かめる事はまず不可能という事だ……。

チンクは最後に見たディエチの顔をもう一度思い出していた。その顔は何かをやり遂げていたかの様な満足そうな顔をしていた。
だが、チンクにはそれがどうしても不思議に思えたのだ。

「もう少しという所だったんだぞ……それなのに……」

チンクはディエチ達と合流する為に、スカリエッティのアジトで確保したガジェットドローンT型を利用した。
チンクが見つけたガジェットの内利用出来たのは3体、その内の2体には『朝までに病院へ集合。生きて会おう姉と妹よ by 5姉』と記すと共にチンクのISであるランブルデトネイターを仕掛けた。
そして、戦闘機人を見つければメッセージを見せる様に、生命体を見つければ体当たりしてランブルデトネイターによる自爆を仕掛ける様にし向けたのだ。
つまり、これを利用してクアットロとディエチに病院に向かわせる様にし向けさせ、同時に参加者を減らす事を目論んだのである。
なお、病院を集合場所にしたのはそこにレリックの反応があったからである。

しかし、今にして思えばそれは悪手だったとチンクは思っていた。

そもそも、チンクはクアットロとディエチ以外の参加者にはメッセージを見せるつもりは無い。
だが、ガジェットに対しては戦闘機人か生命体の条件設定しか行っていなかった。つまり、戦闘機人であれば誰であっても体当たりをし向けずメッセージを見せる可能性があるということだ。
そしてこの場には戦闘機人が他に2人いる。タイプ・ゼロと呼ばれるチンク達のプロトタイプであるスバル・ナカジマとギンガ・ナカジマだ。彼女達2名に対しても体当たりではなくメッセージを見せる可能性は高い。
ギンガについては自分達が確保した後のはずだから恐らく問題はないだろうが、問題となるのはスバルの方だ。
スバルがメッセージを確認した場合、チンク達の行動を妨害する為に病院に向かう可能性は高い。チンク自身スバルのIS振動破砕によって負傷させられていることもあり、無視して良い相手ではないといえる。

また、仮に戦闘機人では無かったとしてもメッセージ自体はガジェットに鉛筆で記したものでしか無い以上、その気になればメッセージを見られる可能性は十分に考えられる。
つまり、ガジェットを飛ばした事で無用に人を集めてしまうという事だ。

もう1つ問題はある。それは目的地を病院にしてしまったという事だ。
先程も触れたがチンクが病院を目的地にしたのはレリックの反応があったからだ。だが、そもそも病院というのはどういう所なのだろうか?
無論、医薬品が多数置かれている場所であり負傷者や病人の治療を行う場所である。チンク達戦闘機人にとっては無用の場所ではあるが、普通の人間にとっては重要な場所である。
となれば当然の事ながら病院を目的地にして参加者が数多く集まる事に不思議は全くない。
そして、殺し合いに乗った参加者も参加者を一網打尽にする為にそこを目指すのも不思議はない。当然、その場所は戦場になる可能性は高い。

つまり、病院という多くの参加者が集まる可能性の高い場所にクアットロとディエチを向かわせ、更に多くの参加者を引き込んでしまったという事だ。
真面目な話クアットロとディエチを守る為の行動としては悪手としか言いようがない。

とはいえ、ガジェットへのメッセージの仕込み方についてはある種仕方ないだろう。細かい条件設定するほどの技術力がチンクには無かったのだから。
だが、集合場所の方はもう少しやりようがあったかも知れない。例えばH-7にある橋にするという風に……ガジェットがあればレリックの位置は把握できるのでそれでも良かったはずだ。

53 :せめて哀しみとともに ◆7pf62HiyTE :2009/02/20(金) 23:53:34 ID:SHh9X5aJ

しかし今となっては後の祭りでしかない。チンクが自らの失敗に気が付いたのは病院の惨状を見た時だ。それを見るまではその過ちには気づけなかったのだ。

「恐らく姉のメッセージを見て向かったのだろうがな……」

チンクはディエチの行動を推測する……ディエチはチンクからのメッセージを受け取った後、すぐさま病院に向かった。だが、そこで戦いに巻き込まれて命を落としたと……。

「すまない……お前の死は姉である私のせいだ……」

チンクは今一度ディエチに謝罪する。だが、やはりチンクの頭には引っかかる事があった。

考えても見て欲しい、後少しで合流出来たところで戦いに巻き込まれて命を落とす。普通に考えれば悔しさが残るはずだ。安らかな死に顔であるはずがない。
にも関わらずディエチの死に顔は穏やかなものであった。これは明らかに奇妙な事である。

「ディエチ……お前は最期に何を思ったんだ……」

チンクは何度もディエチの最期の姿を思い出す……そして、ある事を思い出した。

「そういえば……ディエチの耳に何か付いていたな……」

それはディエチの耳には何かのインカムが付けられていた事だ。インカムというものがどういう物かはチンクも知っている。離れた相手と通信する為の物である。
そのインカムをディエチが身に付けていた、その事実が意味する事は……。

「ディエチにはこの場で得た同志がいたということか……?」

インカムを身に付けていたという事はそれを使用していたという事である。つまり、誰か通信相手がいたという事を意味している。
思い出してみればディエチの遺体には他にも奇妙な点がいくつかあった。
髪を結んでいたはずのリボンが何故か右手に巻かれていたのもその1つだ。普段からディエチは髪を黄色いリボンで結んでいた。だが、チンクが見たディエチの遺体の髪は降り乱れていた。
これだけならば戦いの最中でリボンも切られたと考えられるが、それならば右手にリボンが巻かれていた事に説明が付かない。だが、戦いの前に何かしらの理由でリボンを取って右手に巻いたとするならば説明が付けられる。
しかし、ディエチが1人でそれを思いついて実践するだろうか?少なくともするとは思えなかった。チンクから見て、その理由が考えつかなかったからだ……もしかしたら何か意味があったかも知れないが。
つまり、外した方が良いとアドバイスした人物がいた可能性があるという事だ。

奇妙な点は他にもある。それはディエチが自身の固有武装であるイノーメンスキャノンを所持していた事だ。
チンクも自身の固有武装であるスティンガーや自身の防護服であるシェルコートは没収されており支給されていなかった。
なお、今現在チンクはシェルコートを身につけているが、それは元々ユーノ・スクライアに支給されていてルーテシア・アルピーノが身に付けているものを返してもらったものである。
閑話休題、つまり参加者に自身が本来使っていた道具が支給される可能性は低いという事だ。ディエチにイノーメンスキャノンが支給されている可能性も低いだろう。
勿論、ある程度時間が進めばディエチが運良くイノーメンスキャノンを入手する可能性は十分にあるが、殺し合いが始まってから6時間弱という段階では難しいだろう。
にもかかわらず、ディエチがイノーメンスキャノンを殺し合いが始まってから早い段階で所持していたという事は……
チンクがシェルコートを返してもらったのと同様に、ディエチも他の参加者からイノーメンスキャノンを返してもらった可能性が高いということだろう。
当然、わざわざディエチに本来の武器を返すという事はその相手はディエチにとって同志という可能性が高いことになる。

以上の事を踏まえ、ある1つの事実が浮き彫りになる。それは、ディエチには目的の為の同志がいたということである。その事にチンクは気が付いたのだ。
ちなみに、チンクから見てもそれは十分に考えられる話だった。
チンク自身も(利用するつもりだったとはいえ)天上院明日香という協力者を得ていたわけだし、遠距離からの砲撃が取り柄であるはずのディエチに銃器が支給されなければ戦闘機人とはいえ生き残るのは厳しい、
この場を切り抜ける為に他の参加者と共闘するのはなんら不思議ではない。

「流石に管理局の連中という事はないだろうがな」

とはいえ、幾ら何でも自分達と敵対している管理局の人間と組むという可能性は無いと考えていた。

54 :せめて哀しみとともに ◆7pf62HiyTE :2009/02/20(金) 23:55:33 ID:SHh9X5aJ

では、ディエチの協力者は一体何者でどうなったのだろうか?チンクはその事について考える。もしかしたらそれがディエチの安らかな死に顔に関係していたかも知れないからだ。
しかし、ディエチの状況からだけではその人物像がつかめない。そこでチンクは少し視点を変える事にした。それは病院で一体何が起こったかということだ。

チンクは考えながら瓦礫の近くを歩く。そしてあるものを見つけた。それは右腕である、鋭利な刃物で切断されたらしい右腕が落ちていた。
幸か不幸か病院の崩壊に巻き込まれる事無く、右腕は瓦礫の近くにあったのだ。チンクはそれを手に取り拾いデイパックに入れる。
少々悪趣味だというのは自覚しているが数少ない手がかりだ、ひとまず持っていても問題は無いと考えたのだ。

では、右腕は一体誰のものだったのだろうか?そして病院では何が起こったのだろうか?

順を追って整理しよう、まず病院では何人が死んだだろうか?チンクがここまでに確認したのは5名、

全身がボロボロで右腕を失っていた男性、
首と胴が切断されて首輪を失っていた女性、
全身を切り刻まれたものの安らかな死に顔だったディエチ、
同じ様に首と動が切断されてやはり首輪を失っていた高町なのはのクローン、
そして頭部以外は見るも無惨なバラバラとなっていたフェイト・T・ハラオウン、

これだけでも相当な数であるが、チンクが確認してはいないものの他にも死者がいる可能性がある。
いや、チンクから見てもう1人病院で死者がいるのは確実だろう。

それはチンクがなのはのクローンと遭遇した時に一緒にいた少女であるカレン・シュタットフェルトである。
彼女はチンクのランブルデトネイターによって左手を失うほどの重傷を負った。
クローンとは言えなのはが彼女を放置する事などまずあり得ないだろう、なのはは彼女の治療をする為に病院へ向かったのは確実だ。
だが、不幸にもそこで戦いに巻き込まれカレンもなのはも命を落とした……チンクはそう考えたのだ。

つまり、病院での死者は少なくても6名という事になる。これを踏まえて病院で何が起こったのかを考えていく。

まず確認しておきたいのはフェイトが死んだタイミングは他の5人とは違うという事だ。
何故なら、最初の放送時にはフェイトの名前は呼ばれてはいない。つまり、チンクが病院に到着した後でフェイトが死亡したという事だ。
チンクが到着した後は目立った戦闘の様子は察知出来なかった……ある1点を除いては。
それは、病院を崩壊させ瓦礫と化した光である。恐らくフェイトはその光に巻き込まれたのだろう。

さて、ここからが問題である。
ここで女性となのはの死体について考えてみよう。この両者の死体には共通点がある。
それは共に首が鋭利な刃物で切断されていて首輪が無くなっている他は殆ど外傷が無かった事である。
つまり、鋭利な刃物による一撃で仕留められたという事である。両者共に完全な不意打ちで斬られたと見るべきだろう。
完全な奇襲であるならば幾らなのは(この場にいたのはクローンだが実力自体は相当なもののでそれについては考えない)でも殺される事に不思議はない。
そして、同じ様な手口であった事から考えて、2人を仕留めた人物は同一人物の可能性が高い。首輪の方は首輪解除の事を考えその人物が確保したのだろう。

ところで、なのはがカレンを連れていた可能性が高いはずだったが、カレンの遺体は見つかっていない。これはどういう事だろうか?
恐らくは2人は別の場所で殺されたという事だろうが、果たしてそんな事が起こりえるだろうか?

考えられる可能性は2つ、1つは2人が一緒にいる所を奇襲によりまずなのはが仕留められ、カレンは逃げたが逃げ切れず殺された可能性。
もう1つはなのはが一時的にカレンと別行動を取り、それぞれ別の場所で殺された可能性。なのは1人で医薬品を探す為に安全な場所にカレンを一旦置いたという事は考えられるので可能性はあるだろう。
残念ながらカレンの遺体が見つからなかった為、これ以上の事はわからない。誰が殺したのかすらも……。

55 :せめて哀しみとともに ◆7pf62HiyTE :2009/02/20(金) 23:57:51 ID:SHh9X5aJ

さて、チンクが先程手に入れた右腕について考えてみる。鋭利な刃物で切断されたという共通点から恐らくなのは達を殺した人物と同じ人物による可能性が高い。
その人物に対しては完全な奇襲を仕掛ける事が出来なかったのだろう。
では右腕を斬り落とされた人物は誰なのか?女性となのは、ディエチは共に右腕があった為除外される。フェイトに関しては位置関係からその可能性が低い。
右腕を失っていた男性については体格が違う事から除外される。つまり、ここまでに見つけた5人のものではない可能性が高いという事だ。

可能性があるのは死体の見つからなかったカレンのものという事になるが……これも残念ながら断定する事は出来ない。他の人物の可能性だってあるだろう。

続いて右腕を失った男性について考えてみる。既にボロボロだった事から考え、激しい戦いの末に敗れ去ったと考えるべきだろう。なお、殺した人物については全く不明。
なのは達を仕留めた人物かもしれないし全く別の人物の可能性もある。

さて、ここでいよいよディエチの話になる。ディエチの身体には全身に渡って斬り傷が刻まれていた。
恐らくは奇襲によるものではなく、実際に戦闘をした上での負傷だろう。つまり、殺し合いに乗った参加者と交戦し敗れ去ったと……。
そしてその相手の使った武器から考えてその人物は鋭利な刃物を持っている……つまり、なのは達と殺した相手の可能性が高いという事だ。

「ディエチ……もしやお前はそいつを仕留めたのか……いや……」

チンクはディエチの穏やかな死に顔からディエチを殺した相手と相打ちになった可能性を考えたがすぐさまその可能性を否定した。
何故なら、ディエチの近くにその人物の遺体が無かったからだ。相打ちとなったなら、近くにその人物の遺体がなければおかしい。
つまり、ディエチはその相手に敗北したという事だ。では、何故敗北したにも拘わらず穏やかな顔をしていたのだろうか?

ここで、改めてディエチの同行者について考えてみる。その人物はこの状況においてどうなっただろうか?いや、そもそもディエチ達はこの病院に到着してから何が起こっただろうか?
メッセージを元に病院に来たディエチ達はそこでなのは達を殺した参加者に遭遇した可能性が非常に高い。そしてその相手と交戦したが敗れ去って殺されたといった所だろう。

「同志もディエチと共に殺されたのか?」

問題は同行者がどうなったのか?ディエチ共々殺された可能性は十分にあり得るしそれで納得してもよかった。だが、どうしてもディエチの死に顔が引っかかるのだ。

「何故だ……ディエチ……姉達に会えなかったというのに何故そんなに……姉達に会いたくなかったのか……?」

チンクは考える、ディエチの目的も恐らくは自分と同じく姉妹と合流して共に脱出する事だったはずだ、ならばその目的が達成出来なければ無念だけが残るはずだ、安らかな顔など出来る筈がない。
特にもうすぐ姉達と合流出来たのであれば尚のことだ。

「いや……ディエチは既に目的を達成していたとしたら……」

ここでチンクは考え方を変えてみる。もし、姉妹の集合場所であった病院に殺し合いに乗った参加者がいたならばどうなるのか?無論、チンクやクアットロも危険な目に遭うに決まっている。
それをディエチがわかっていたとしたらどうするのだろうか?当然、チンク達を脅かす危険を回避しようとするはずだ。
つまり、その参加者をディエチ自身の手で仕留めるというものだ。だが、少なくともディエチが仕留めたという事はない。となれば、ディエチは何を達成したのだろうか?

「もしや……同志に全てを託したというのか?姉達を助ける為に……」

ディエチの目的……それは同行者にチンクやクアットロを託したという事……チンクはそう考えた。
つまり、同行者の命を守る為にディエチは命を投げ出したという事だ……同行者がチンク達を守ってくれると信じて……。
そして、同行者の安全が確保出来たと確信したディエチは死んでしまうにも拘わらず穏やかで満ち足りた顔をしていたのだと……。
なお、同行者が病院に向かっていたチンクと遭遇しなかったのは単純に行き違いになっただけだとチンクは考えていた。

56 :せめて哀しみとともに ◆7pf62HiyTE :2009/02/20(金) 23:59:08 ID:SHh9X5aJ

では、その同行者はどういう人物なのだろうか?少なくともディエチが自分の命を投げ出す程の人物である以上、高い能力を持った人物なのは確かだ。そうでなければディエチの死が無駄になってしまう。
となると、どの様に高い能力を持っていたのだろうか?

格闘能力に秀でた人物?まずあり得ない、ならばその者が先頭に立って戦えばいい話だ、ディエチが代わりに戦闘に立って戦い命を散らす必要はない。
砲戦能力に長けた人物?これもあり得ない、イノーメンスキャノンを持ったディエチ以上に砲戦に長けた人物などこの状況では殆どあり得ないだろう。
となれば考えられる可能性は……

「ウーノ姉様かクアットロの様なタイプの人物だというのか……?」

チンクはその人物を指揮能力に長けたウーノや知略に長けたクアットロと同じタイプの人物だと考えた。そしてその人物は自身が直接戦う事自体は不得意だと判断した。

「ディエチ……そうなのか……ならば姉は……」



★   ★   ★



さて、チンクはつい先程大百足に向けてナイフを放った。大百足は先程の光によりボロボロとなっており今にも壊れそうな状態であった。
チンクは自身の今後を亡きディエチに決めてもらおうとしたのだ……ナイフによって大百足が壊れるかどうかで……
壊れた時は殺し合いに乗り(クアットロ達を殺しても優勝の褒美で生き返らせればいい)、壊れなかった時は殺し合いに乗らないと……

結論から言えば、ナイフは大百足に命中した。だが、大百足が壊れる事は無かった。

そしてチンクが大百足を再び手にしたが……その時に柄の部分で折れたのである。

「そうか……それがディエチの答えか……」

大百足は既に限界を超えていた。真面目な話一撃すら耐えられる筈はなかったのだ。
だが、当たり所が良かったのか、ディエチの想いが最後の一撃に耐えさせてくれたのか、もしかしたら心の何処かでは手加減をしてしまったのか、今となってはもうわからないが大百足は耐えきったのだ。

大百足は壊れなかった……つまり……

「わかった……姉はクアットロと共にこの殺し合いから脱出する……」

それが、チンクそしてディエチの出した答えである。



★   ★   ★



チンクの目的は決まった……クアットロと共に生きてこの殺し合いから脱出すると……。
その為にチンクはまずクアットロとの合流の為、今暫く病院で待つ事にしていたのだ。そしてその時間を利用してこれまでディエチの事を考えていたのである。

「クアットロ……もしやメッセージが届かなかったか……危険を察知してあえて従わなかったか……」

今現在もクアットロが来る気配はない。単純に到着が遅れている可能性もあるが、メッセージが届かない可能性や、病院に向かう事が危険だと判断して向かわない可能性も考えた。

「まあいい……もう少し待つか……」

ひとまずもう2〜3時間は待とうとチンクは考えていた。

57 :せめて哀しみとともに ◆7pf62HiyTE :2009/02/21(土) 00:01:55 ID:iGXVaipA

「それにしてもお嬢様達は遅いな……何をやっているんだ……?」

その最中、遅れて病院に向かっているはずのルーテシア、ユーノ、明日香の到着が遅れている事が気になった。

「先程の光に巻き込まれたか……もしくは3人の内の誰かが殺し合いに乗ったか……」

遅れている理由は、先程の光に巻き込まれた可能性と、誰かが殺し合いに乗った可能性を考えた。
先程の光に巻き込まれれば3人とも只では済まないのは間違いないし、それが無くても放送の後で3人の内の誰かが殺し合いに乗り残る2人を襲ったという可能性は十分に考えられた。

「お嬢様にユーノ……どちらが乗ってもおかしくはないな……」

ルーテシアはある目的があってスカリエッティに協力している……その目的を叶える為に殺し合いに乗る事は十分に考えられた。
ユーノとなのはの付き合いは長い……なのはの死を知ればユーノがなのはを生き返らせる為に殺し合いに乗る可能性はあり得る話だ。
明日香に関してはわからないが、彼女の仲間が死ねば生き返らせる為殺し合いに乗る可能性は考えられない話ではない。

「もう少し明日香と情報交換しておくべきだったかも知れんな……後の祭りだが……」

チンクと明日香の付き合い自体は(ほんの数時間ではあったが)それなりにあった。だが、そもそも利用するつもりだったという事もあり仲間についてなどの情報は全く聞いていなかったのだ。
これはやはり手痛いミスだと言えるだろう。明日香が全ての情報を明かさなかったとしても何かこの場に置いて役に立つ情報があったかもしれないのだ。
考えても見ればユーノともまともに情報交換していない(ルーテシアとの情報交換は行っていたとチンクは考えている)。
あまり大きな収穫は得られなかったかもしれないが何かのヒントは得られたかも知れないと少々口惜しい気も思う。

「まあいい、もう少し待てばその内やってくるかも知れないし、仮に立ち向かって来るとしても迎え撃てばいいだけだ……」

とはいえ、ルーテシアが殺し合いに乗った場合の対処については正直悩むチンクであった。

「合流した後は……ディエチの同志を探すか……」

クアットロ達との合流後の行動についても考えていた。
チンクの当初の予定ではレリックと聖王の器ヴィヴィオを確保した後に聖王のゆりかごを起動させ脱出を考えていた。
だが、明日香達に何かあった場合はガジェットも失う可能性もあり、レリック探しについて暗礁に乗り上げる可能性はある。更にヴィヴィオに至っては未だ手がかりを掴めない。
勿論、捜索そのものを諦めるつもりは全く無いが、正直な所手駒が少なすぎる。
戦闘面に関しても病院の惨状を考える限り、現状では心許ないのも確かだ。やはり、使える手駒が数名必要となるだろう。

最悪の場合は管理局の連中と組む事も視野に入れなければならないだろうとチンクは考えていた。

さて、その最中クアットロ以外で真っ先に合流しておきたい人物がいる。それは、ディエチがこの場で出会い共闘したと思われる参加者だ。
ディエチが命を懸けた理由がその参加者にチンクとクアットロを託したのだとすれば、その人物はチンクやクアットロにとって大きな力となる可能性は高い。
その人物と合流する事が出来れば脱出へ向けて大きな進歩になるだろう。

「手がかりは……インカムとこれか……」

だが、手がかりは少ない。まずその人物がインカムの類を持っている事、ディエチがインカムを付けていたという事はその人物も連絡を取る為にインカムの類を持っているはずだ。
次にその人物は体力的には一般人ではあるが知略に秀でているという事、とはいえこれについては実際に会わなければわからない。
そして……右腕を喪失している可能性が高いという事である。病院での戦闘に巻き込まれたのであればその際に負傷した可能性が高い、今現在チンクが持っている右腕はその人物のものの可能性はある。
とはいえ、全く違う人物のものという事も十分にあり得るわけだが……だが、実際に右腕を失った人物に遭遇したなら確認する価値はあるだろう。

58 :せめて哀しみとともに ◆7pf62HiyTE :2009/02/21(土) 00:03:55 ID:iGXVaipA

さて、ディエチはその人物を信頼していたのは間違いない。だが、もしかしたらその人物から見た場合ディエチを只の手駒としてしか考えていないという可能性はある。
正直な話、チンクとしてはディエチが信じた人物を信じたいという気持ちはあるが、無条件に信用するのは危険なのは言うまでもない。
故に、仮にその人物に会えたとしてもまずはその人物に対する見極めを行わなければならない。信頼に足る人物ならディエチの願い通り共闘すれば良いが、仮にそうでなければ……

「ディエチの想いを踏みにじるならば……姉としてそいつを殺す……」

チンクはその人物を許さず、殺す事を考えていた。

とはいえ、まず優先すべきはクアットロ達の到着を待つ事だ。その後の事はクアットロ達と相談してからでも遅くはない。
さて、チンクの手にはフェイトの頭部の側から幾つか回収していた物がある。1つはフェイトのデイパックだ。フェイトの頭部より少し離れた所に落ちていたものだ。

「あれだけの攻撃に耐えうるとはな……随分と頑丈なものだな」

もう1つは首輪……これもフェイトの頭部の近くに落ちていたものを確保したものだ。
なお、回収した首輪は2つ……裏側を確認した所それぞれ「No.49-フェイト・T・ハラオウン」、「No.52-ミリオンズ・ナイブズ」とあったのでフェイトとミリオンズ・ナイブズの首輪だという事がわかる。
フェイトに関しては近くに頭部があるので首輪があることに疑問を挟む余地はない。
ナイブズに関しては何故首輪だけが残っていたのかが引っかかるが、先程の光に巻き込まれて首輪だけが上手く残ったとチンクはとりあえず解釈することにした。

「クアットロに渡せば解析してくれる筈だ……上手くいけば私達の首輪も外す事も出来るかも知れないな」

首輪の解除はチンク自身望む事だった事もありこの場で首輪を手に入れる事が出来たのは幸運だった。
そして、チンクはフェイトのデイパックの中身を確認する。とはいえ中身については地図や名簿といったものばかりで目新しいものは何もない。
しかし何かしらのヒントがあるかと考えフェイトの地図を名簿を確かめてみる。とはいえ、目新しい情報は何も無かった。

「まあ、過度な期待はしていなかったが……」

と、しまおうと折りたたもうとしたがその時に名簿の裏を見る。

「これは……?」

フェイトはこの場に来てから名簿を見て自身の知り合いについて確認をしていた。
そして名簿の裏に、知り合い及び出会った人物をグループ分けしてまとめていたのだ。他の参加者に出会った時に迅速に説明を進める為に……

グループは3つ……協力者のグループ、保護対象のグループ、そして要注意人物のグループ……

協力者のグループに該当するのは高町なのは、シグナム、八神はやて、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、クロノ・ハラオウン、ユーノ・スクライア、矢車想
保護対象のグループに該当するのはエリオ・モンディアル、キャロ・ル・ルシエ、柊つかさ、柊かがみ、泉こなた

と、ここまで確認したチンクの頭に疑問符が浮かぶ。

「……これはフェイト・T・ハラオウンの仲間ということなのだろうが……何故タイプゼロが入っていないんだ?それにエリオ・モンディアルとキャロ・ル・ルシエが協力者ではなく保護対象なのはどういう事だ?」

本来あるべき筈の名前が書かれていなかったり、協力者にすべき人物を保護対象にしていたりと幾つかの疑問があったのだ。

「このフェイトはクローンの方なのか?だが見た限りこのフェイトは本物だと思ったが……どういう事だ?」

疑問はあるもののひとまずそれについては深くは考えない事にした。チンクにとって重要にすべきはむしろその後に書かれた要注意人物のグループである。
フェイトが要注意人物としたという事は、管理局と敵対しているか殺し合いに乗っているという事だ。
後者の場合はチンクの側から見ても危険人物だが、前者であるならば同じ管理局の敵同士共闘出来る可能性はある。無論、接触してみなければわからない話だが。

だが、要注意人物のグループに書かれたのは1名しかいなかった。自分やクアットロの名前すら無かったことが正直気になったが、まだ名前が知られていなかったという事でとりあえず納得する事にした。
さて、そのグループに描かれている人物は……

「遊城十代か……果たして私達にとって味方なのかな……」

59 :せめて哀しみとともに ◆7pf62HiyTE :2009/02/21(土) 00:15:28 ID:iGXVaipA

【1日目 朝】
【現在地 H-6 病院跡地】
【チンク@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】健康、疲労(中)、ディエチの死に対する悔恨
【装備】バニースーツ@魔法少女リリカルなのはStrikers−砂塵の鎖−、シェルコート@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【道具】支給品一式×2、料理セット@オリジナル、翠屋のシュークリーム@魔法少女リリカルなのはA's、被験者服@魔法少女リリカルなのはStrikerS、首輪×2(フェイト(StS)、ナイブズ)、
    大剣・大百足(柄だけ)@魔法少女リリカルなのはsts//音が聞こえる、ルルーシュの右腕
【思考】
 基本:姉妹と一緒に元の世界に帰る。
 1.クアットロの到着を待つ。
 2.クアットロと合流した後に、レリックを持っている人間を追う。
 3.姉妹に危険が及ぶ存在の排除、及び聖王の器と“聖王のゆりかご”の確保。
 4.ディエチと共闘した者(ルルーシュ)との接触、信頼に足る人物なら共闘、そうでないならば殺害する。
 5.クアットロと合流し、制限の確認、出来れば首輪の解除。
 6.十代に多少の興味。
 7.他に利用出来そうな手駒の確保、最悪の場合管理局と組むことも……。
 8.Fの遺産とタイプ・ゼロの捕獲。
 9.天上院を手駒とする。
【備考】
※制限に気付きました。
※高町なのは(A’s)がクローンであり、この会場にフェイトと八神はやてのクローンがいると認識しました。
※ベルデに変身した万丈目(バクラ)を危険と認識しました。
※大剣・大百足は柄の部分で折れ、刃の部分は病院跡地に放置されています。
※なのは(A’s)と優衣(名前は知らない)とディエチを殺した人物と右腕の持ち主(ルルーシュ)を斬った人物は皆同一人物の可能性が高いと考えています。
※ディエチと組んだ人物は知略に富んでいて、今現在右腕を失っている可能性が高いと考えています。
※フェイト(StS)の名簿の裏に知り合いと出会った人物が以下の3つにグループ分けされて書かれています。
 協力者……なのは、シグナム、はやて、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、クロノ、ユーノ、矢車
 保護対象……エリオ、キャロ、つかさ、かがみ、こなた
 要注意人物……十代
※フェイト(StS)の知り合いについて若干の違和感を覚えています。また、クローンか本物かも判断出来ていません。

60 : ◆7pf62HiyTE :2009/02/21(土) 00:17:44 ID:iGXVaipA
投下完了しました。病院で回収できそうなもの(情報、首輪、支給品、右腕)をチンクに回収させてみました。
何とかしてルルーシュの情報をチンクに握らせたかったので……だってあのままじゃ、ディエチの願いが無駄に終わりそうだし。
で、今回の元ネタは『コードギアス』STAGE23『せめて哀しみとともに』です。
ちなみに本放送では実際STAGE23で一区切りになった話だったりします(STAGE24&25は数ヶ月後放送された)。

そして奇しくも今回の話が本ロワ100話に。ここまでこのサブタイがはまるとは……

誤解の無いように言いますが自分狙っていたわけではありません……というかこの話が100話でいいのだろうか……?

感想、疑問点、問題点、矛盾点等々ありましたらよろしくお願いします。

61 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/21(土) 01:18:24 ID:uaf1WiKL
投下乙です。
チンクは乗らないか、ここのディエチからしたらそういう風に願いそうだもんなあ
右腕ない人を探すのは案外楽そうだなあ――当の本人はスバルにゾッコンだが、どうでるか。
チンクも複雑な感じみたいかな

一つ質問。
フェイトのグループ分けってどの話に出てきていましたっけ

62 : ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 03:26:45 ID:6O2EgvQT
投下乙&GJです。
チンクはディエチの意思を継いで対主催に回るか……。
ルルと邂逅する事が出来るのか、非常に続きが気になる展開でした。


それでは自分も、かがみ、ミライ分を投下致します。

63 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 03:29:36 ID:6O2EgvQT
本来は、とある街の商店街に存在していた筈の喫茶店――翠屋。
殺し合いとは大凡無縁である筈のこの喫茶店が、ここに存在する理由は誰にもわからない。
確かなのは、このデスゲームが始まってから、既にこの場所には何人もの参加者が立ち寄っているという事。
そして、その一人が彼――ヒビノ・ミライだということ。

「誰もいない……か」

言葉の通り、この喫茶店には誰もいない。
ミライは、なのはやユーノといった、この殺し合いに反発する仲間を求めてこの場所へと訪れたのだ。
しかし、結果は見ての通り。この場所には誰も居ないし、誰かが伝言を残した形跡も無い。
この翠屋の家の子であるなのはか、もしくは翠屋を知っているフェイトのような存在ならば、ここへ来てくれるかと淡い期待を抱いていたのだが、どうやらその当ては外れたらしい。
強いて誰かが来た形跡を挙げるならば、この店の角砂糖が袋ごとごっそり無くなっている程度。
だが、最初から砂糖など眼中にもなかったミライがそれを知る由も無く。

これからどうしようかと、ミライは傍に備え付けられていた椅子へと腰掛けた。
デイバッグから地図を取り出し、テーブルに広げる。そして広げた地図を眺めて、次の行動を思考する。
近くにもっとパッとした施設があればいいが、生憎と翠屋の最寄りの施設は立体駐車場とスーパーのみ。
立体駐車場なんてどこにでも有り触れた建物をわざわざ地図に書き入れる意味がミライにはわからなかったし、
恐らく自分から好き好んで立体駐車場へと向かう参加者はそうはいないだろう。
ならばここから一番最初に向かえて、誰かと出会う可能性があるのは、スーパーだろうか。
おまけにその少し北に向かえば、商店街まで存在する。
ミライが興味を引かれたのは、聞き慣れない施設の多い中心部よりも、一般的に聞きなれたスーパーや商店街といった施設だった。
それは本来ウルトラマンである自分が守るべき街の一部であるし、何よりもミライと同じような思考を持った一般人ならば、ここへ集まると思ったからだ。

そうと決まれば、善は急げだ。
ミライはすぐに荷物を纏めて、翠屋の扉から一歩、外へ出た。
最後に一度だけ、ミライは翠屋店内を見渡した。平和な世界で、平和に過ごす人々の為に造られたこの場所を。
絶対に、生き残った人々と協力して、このゲームから脱出すると誓って。
そして、散っていった者たちの思いは、絶対に無駄にしないと、心に誓って。
その信念を胸に、ミライは長く続く一本道を歩き始めた。
長く続くこの道の先から、狂気に駆られた一人の少女が向かってくるとも知らずに。

64 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 03:35:35 ID:6O2EgvQT
 




長い長い一本道を、ひたすらに走る少女がいた。
ただ真っ直ぐに、目的の場所へと向かって。
その姿は、何かから逃げようとしているようにも思えた。

『オイ宿主サマぁ……本当にこっちで良かったのかよ?』
「うるさい! 南に向かえば、Lがいるのよ!」
『そりゃそうだがよぉ、宿主サマァ……Lがずっと同じ場所にいるとも限らねぇぜ?』

頭の中で響く声に軽い苛立ちを覚えながら、少女は――柊かがみは、奥歯を噛みしめた。
かがみがひたすらに走り続ける理由。それは至って簡単な事。
単純に、“時間切れ間近のモンスターに与える餌を探すため”だ。
かがみの持つカードデッキに与えられた猶予時間は切れかけている。
そして今の自分が生き残る方法は―――
一つ、ミラーモンスターと戦ってこれを打ち倒す。
一つ、とにかく餌となる参加者を探し出して、モンスターに与える。
一つ、誰かにデッキを押しつけてしまう。
つい先程、万丈目にやられたばかりの手段を含めた、三通りのパターンしか今のかがみには思いつかなかった。
そして、このゲームに乗り、全ての参加者を殺して元の世界へ帰ると決めたかがみが取る行動は、素直に餌となる参加者を見つけ出し、モンスターに差し出す事だ。
そうすればベルデの力は引き続き使えるし、自分の命も助かる。一石二鳥だ。
しかし、その為に何処に逃げたか解らない万丈目を追うのは時間の無駄だし、同様に何処にいるかも解らない参加者を探し出すという行動もまた、時間の無駄。
しかし一人だけ例外がいる。唯一かがみが居場所を把握している人物―――

『まぁ、確かにLって奴は自分からあまり動きまわる奴だとは思えねぇけどよ……
 それで目当てのLにも会えず、このままモンスターに食われてお陀仏……なんてマジで勘弁だぜ?』
「あぁもう……うるさいってば! いいから黙ってなさいよ!」

緊張感の欠片も無さそうなバクラの言葉に、かがみは行く宛ての無い怒りをぶつけるように怒鳴り散らした。
最早、頭の中で口出しを続けるバクラに何も言い返せないのだ。
Lがまだ同じ場所にいるという保証は何処にもない。が、しかし今はもうそれに掛けるしか無いのだ。
その為に、時間が切れるまで全力で走り続ける。最早バクラに何を言われても、それは頭に入らず―――
かがみはただひたすらに、走る。走れば走るほどに、聞こえる耳鳴りも強まっていく。
ふと横に視線を向ければ、周囲の建物のガラスから、自分を狙う緑色のカメレオンの姿が見えた。
ベルデのカードデッキの契約モンスター―――バイオグリーザだ。
バイオグリーザは、デッキの猶予が切れるのを、腹を空かせて待っているのだ。
猶予期限までの数分間、こうしてかがみを付け狙い、猶予が切れた瞬間に鏡の世界から飛び出す。
そのままかがみを鏡の世界に引き込み、捕食するつもりなのだ。別に洒落のつもりではないが。
その時がやってくるまでバイオグリーザは、逃げ惑うかがみを見て楽しんでいるかのようにも見えた。
そんなバイオグリーザの影を振り払うように、かがみはただ走り続ける。
その行く先は、奇しくもかがみと同様に逃げるように走り続けた万丈目とは、正反対の方向であった。

65 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 03:40:33 ID:6O2EgvQT
 




(チッ……こりゃちょっとマズイかもしんねぇなぁ……)

かがみの中に潜む闇――盗賊王バクラは、誰にも気取られること無く毒づいた。
かがみはこっちに向かえばLは居ると言うが、それは何の根拠もない。ただその可能性にすがっているだけだという事が、バクラには手に取るように解っているからだ。
バクラにも間違いなく解るのは、Lは頭脳派の参加者であるという事のみ。
今もあの場所に留まっている可能性も無くはないが――その可能性は低いだろうというのがバクラの本音だ。
かがみの境遇を考えるに、この殺し合いでは何が起こっても不思議では無い。突然の事態にLが移動したという可能性も大いにあるのだ。
いや、仮にLが移動していないにしろ、そこまでたどり着けるのかという問題もある。
現に、既にカードデッキの猶予期限は切れかかっているのだから。
それはかがみの周囲のガラスからこちらの様子を窺うモンスターの存在からも一目瞭然。

(あの野郎……今からもう宿主サマを狙ってやがる)

バクラの視線が、バイオグリーザへと注がれる。
バイオグリーザの目はまさしく、虎視眈々と獲物を狙う狩人の目。盗賊時代の自分と同じように。
だからこそ、もうあまり時間がないのだという事はバクラにも伝わっていた。

(どうすっかなぁ……最悪の場合、今の宿主サマを捨てるのもありだが……)

そう、バクラが思考する通り、かがみを捨て置くという手段もあるにはある。
モンスターに食われる直前に、バクラがかがみのからだを乗っ取り、千年リングをどこかへと投げてしまえばいい話なのだ。
しかしそれをすれば、最悪の場合自分は二度と誰にも拾って貰えずに永遠誰かを待ち続ける羽目になる可能性もあるし、
また万丈目のような正義面した参加者に拾われる可能性もあるのだ。故にそれは最悪の場合として、視野に入れておく。
バイオグリーザの影を振り払うように走り続けるかがみの姿を見れば見るほど、言いようのない焦りがバクラに募っていく。

と、その時であった。
がむしゃらに道路を走り続けるかがみの行く先に、一人の男が見えたのは。
青いジャケットを着た男が、視界のずっと先でこちらに向かって走っているのだ。
――男を見つけるや否や、バクラの表情から不安の色は消えていた。

『おい、停まれ! 停まれ宿主サマッ!!』
「何なのよ!? もう時間が――」
『いいからこの先を良く見てみろ』
「え……?」

突然停まったせいか、全身から汗を吹きだしながら、かがみはぜえぜえと息を切らす。
それでもかがみは、バクラが視線を送る先を見上げ―――

「あ……あれは……!」
『そうだ宿主サマぁ! やっと見付けた獲物だ! やるこたぁわかってんだろうなぁ!?』
「わ……解ってるわよ……! もう万丈目の時みたいなミスは犯さない……」
『よぉし、じゃあ早速朝食を食わせてやろうじゃねぇか、腹を空かしたモンスターによぉ!』

青年を見つけたのは、バクラにとっては幸運以外の何者でも無かった。
あの男を食わせてしまえば、目下の問題は解決、おまけにベルデの力も補充できる。
さらに好都合な事に、あの男はまだこちらの存在に気付いてはいない。
たとえ残りの猶予時間であの男を食えと命令したとしても、まだギリギリ時間は間に合う筈だ。
最悪時間切れを起こしたとしても、あの男を食って猶予が再チャージされるなら問題はない。

「悪いけど……ここで死んでもらうわよ……」
(そうだ、それでいい! あの男を食って、お前も立派な殺人鬼の仲間入りだ!)

バクラの思い通り、かがみは視線の先の男を指差していた。
バイオグリーザとしても、ちゃんと餌が与えられるのであれば主人を襲うつもりはない。
すぐに標的を男へと変え――鏡の中へと潜んで行った。

66 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 03:45:51 ID:6O2EgvQT
 




翠屋を出たミライは、まっすぐにスーパーへと続く道を前進していた。
どうやらこの空間にいる限り、通常時のミライの体力は普通の人間並になってしまうらしい。
だがそれでも、ミライは自分に出来る限りの全速力で駆ける。
一刻も早く、このゲームから脱出しようとする仲間と出会うために。
だが、皮肉なことにミライが翠屋を出て最初に遭遇するのは、そういった所謂“対主催参加者”では無く――

それは、ようやく翠屋が見えなくなってくるかという程の距離を走ったミライを襲った出来事であった。
真っ直ぐに走り続けるミライの身体に向かって伸びるのは―――真っ赤な、舌。

「……ッ!?」

ミライが気付いた時には、反対側の歩道――その建物のガラス窓の中から、真っ赤な舌が飛び出していた。
凄まじい速度で飛んでくる舌を、しかしミライは咄嗟に飛びのく事で回避。
寸での所で回避には成功するが、咄嗟の事に思考が追いつかない。

「一体、何なんだ……」

それが、この事態に陥ってからミライが発した最初の言葉だった。
ミライが混乱している間にも、赤い舌は先程と同じく高速でガラスの中へと戻っていく。
舌が完全にガラスの中に入る頃には、敵の気配も完全に消える。だが―――
次の瞬間には、ミライの真後ろに位置するガラスから、緑のモンスターが飛び出していた。
モンスターに組みつかれたミライは、咄嗟に態勢を崩し―――
そのまま一回転、二回転と地面を転がり、そのままの勢いで突進してきたモンスターを投げ飛ばした。

「お前は何者だ!?」

問うが、モンスターは答えない。
ミライに投げ飛ばされたモンスター。その外観から、どうやらカメレオンに似た生物なのだろうと判断。
モンスターはそのまま起き上がり様に、口から長い舌を飛ばす。
が、同じ手を二度も食らうミライではない。眼前の敵に応戦する為、左腕を翳す。
炎を纏い、現れたのはメビウスブレス。ミライを光の戦士へと変化させるブレスレットだ。
そのまま両腕を前方に突き出す事で、モンスターの舌を弾き返す防護壁を形成。
ウルトラマンメビウスの技の一つ――メビウスディフェンサークルだ。
弾き返された舌は、そのままモンスターの元へと戻っていく。
同時に左手のメビウスブレスに右手を翳し―――その腕をモンスターへと突き出した。
メビウスブレスの中心――クリスタルサークルで集束されたエネルギーが、光弾となってモンスターを襲う。
光弾が命中したモンスターは、体を爆ぜさせながら大きくのけ反った。
人間の姿を借りた、地球人として生活していたこの姿でも、ミライは数々の宇宙人と戦ってきたのだ。
そんなミライが今更、碌な知能も持たないミラーモンスターとの戦いで遅れをとることなど、考えられなかった。

「答えろ! お前は一体何者なんだ!」
『………………ッ!』

再度問うが、答えは返っては来ない。
ただ己へと向けられる殺気でもって、威嚇を続けるのみだ。
この反応から、恐らくこのモンスターは参加者では無いのだろう。そう、ミライは判断した。
恐らくは――クロノが使っていたあの赤い龍のような存在。主人に仕える、怪獣の一種だろう。
だとすれば、何処かにこのモンスターを扱う主人が居る筈だ。
ミライはモンスターを視界から外さないように注意しながら、周囲を見回した。
すると、翠屋とは反対方向の道路から、とぼとぼと歩いてくる一人の少女が目に入った。
胸にはやたらと目立つ金色の首飾り。長い紫髪をツインテールに結んだ、学生服の少女だ。

67 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 03:52:05 ID:6O2EgvQT
 
「君は……――」
「何で……私の思い通りに行かないのよ……どいつも、こいつも……ッ!」

少女の声は、ミライにも解るほどに、怒りに震えていた。
そんな少女の怒りに呼応するかのように、緑のモンスターが再び舌を飛す。
が、今度はミライに向かって飛ばした訳では無い。狙ったのは―――上空の電線だ。
電線を舌で掴んだモンスターは、そのまま宙に浮かびあがり、少女とミライの間に立ち塞がった。
まるで、少女を守るかのように。間違いない。この怪獣は、この女の子と何らかの関係がある。ミライがそう判断する。
次に少女がポケットから取り出したのは、少女の手より少しばかり大きな、長方形の箱。

刹那、ミライの脳裏に、一人の少年の姿が思い浮かぶ。
何処か、何処かであれと似たものを見なかったか? 聞くまでもない、今もまだ、ミライの記憶に焼き付いて離れない記憶がある。
そうだ。自分たちの――皆の命を守るため、最後の最後まで勇敢に戦ったあの少年と、同じ箱ではないか。
その少年は――クロノは、今の少女と同様に長方形の箱を取り出し―――
それを、クロノはどうした? 確か、箱を小さな手鏡に翳して―――
ミライがそれを思い出すのとほぼ同時。少女は、緑の箱を真横の窓ガラスに翳した。
ここまで、あの時のクロノとほとんど同じ動作。つまり、次に起こる出来事は―――変身だ。

――一緒だ。あの時と……クロノくんの時と……!

ミライがそれを理解するのに、そう時間はかからなかった。
少女の腰に巻かれたのは、やけに大きな銀色のベルト――Vバックル。

「ちょ、ちょっと待って……!」
「――変身」

ミライが制止の声を発するが、既に遅かった。
少女は手に持った箱を、ベルトに装填し―――その姿は、いくつもの虚像が重なり。
ミライが言葉を言い終える頃には、既に少女は少女では無くなっていた。
そこに居たのは、何処かカメレオンのような装甲を纏った緑の仮面ライダー―――ベルデだ。

「残った時間、全部を使ってでも――あんたを殺す!」

死にたくない。こんなところで、死にたくない。
低く唸るような少女の声が、ミライには生き残るために必死な、一人の人間の声に聞こえた。
ある意味では被害者とも言えるであろう少女に、ミライは―――





バイオグリーザであの男に奇襲を掛ける。
あの男に気取られる前に、一撃で仕留めて、カードデッキの残り時間を補充する。
仮に一撃で仕留められなかったにしろ、自分達がこれほどまでに恐れたモンスターからの襲撃に、耐えられる人間などいる筈がない。
それが柊かがみと、バクラの完璧な筈の作戦であった。勿論、この作戦が間違っているとも思えない。
しかし、状況はかがみの思い通りにばかり行く訳もなく。
あろうことか、男はバイオグリーザの攻撃を回避し、反撃に打って出たのだ。
ただでさえ切羽詰まったこの状況で、こんな予想外の抵抗を受ける。流石の二人も焦らずにはいられなかった。

68 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 03:56:35 ID:6O2EgvQT
 
「何なのよ、アレは一体……!」
『チッ……どうやらアイツも妙な力を使う参加者らしいぜ、どうする宿主サマ』

バクラの問いに、かがみは俯き――思考する。
どうすればいい? このままでは、バイオグリーザだけでは、あの男を時間内に仕留められる保証はない。
寧ろ残った数分では、あの男との決着を付けられないかもしれない。いや、寧ろその可能性の方が高いだろう。
それでは困るのだ。もしも決着が付かぬまま時間が切れてしまえば―――自分は間違いなく喰われる!
それだけは、その結末だけは絶対に避けたい。
ならばどうすればいい? どうすればあの男を倒せる?
それを考えた結果、かがみが出した答えは―――

『オイオイ……本気かよ宿主サマぁ!?』
「問題ないわよ。残った時間で、アイツを殺せればそれでいいんだから」

バクラの視線の先、かがみがポケットから取り出したのは、ベルデのカードデッキ。
このカードデッキを使って、バイオグリーザと共に闘い―――あの男を殺す。
本来デッキの契約モンスターと共に闘うのが、デッキを渡された仮面ライダーの戦闘スタイルでもあるのだから。
どのみちもう迷ってる暇は無かった。
どういう訳か、バクラの表情も何処か嬉しそうに歪んでいる気がしたが、もうそんなことはどうでもいい。
今のかがみを突き動かすのは、生き残るための手段―――あの男への殺意だけだった。
故に、もうバクラの声も、あの男の声も頭には入らない。
ただ殺意という感情に突き動かされるままに、あの男の眼前へと歩み出る。

「――変身」

カードデッキを装填することで、いくつもの虚像がオーバーラップし、仮面ライダーの鎧を形作る。
目の前の男は驚愕に表情を歪ませている。悪いが、今のうちに仕留めさせて貰う。
否―――悪いが、等という感情は最早存在しない。それが当たり前のように、柊かがみは男を殺すつもりであった。
そうだ。これは自分が生き残るための手段。“自分が悪い”のではなく、“こうするしか方法は無い”のだ。
バイオバイザーからカードキャッチャーを伸ばしたベルデは、一枚のカードをベントインした。

――HOLD VENT――

聞こえる電子音声と共に、手に握られるヨーヨー状の武器。
これがベルデの専用武器――バイオワインダーだ。
かがみはベルデの能力を知っていた訳では無い。ただ、武器になるものをと望んだ結果、引いたカードがこれだったのだ。
刹那、かがみはヨーヨーを男に向けて飛ばす。
男は例の如く光のバリアでそれを防ぐ。そんな事は予想通りだ。
男がバリアでヨーヨーを弾き返した瞬間、男の真後ろに回り込んだバイオグリーザが、その舌を飛ばす。

「ぐあ……っ!」

凄まじい速度で迫る舌は、男が何らかの反応を取る前に、男の背後を直撃した。
苦痛に表情を歪めた男を、今度は前方からバイオワインダーで攻める。
男は咄嗟に、右腕で左腕のブレスを擦り、光弾を発射。バイオワインダーにぶつける事で弾き返す。

「……どうして、こんな事をするんだ! その力で、誰かを救うことだって出来る筈なのに!」

男がよろめきながらも、問いかけてくる。
勿論そんな戯言に付き合うつもりは無いし、ここで殺すつもりの男とまともに話をするつもりもない。
ベルデは無言のまま、再びワインダーで男を攻める。
しかし今度は、飛び退いて回避する。どうやら、普通の人間よりも運動能力が高いらしい。

「やめてくれ! 僕は君と戦うつもりはない!」
「なら、死んでよ……!」

それだけ言うと、再びベルデはヨーヨーでの攻撃を再開。
契約猶予時間限界ギリギリにまで迫ったバイオグリーザも、隙を見付けては男に攻撃を仕掛ける。

69 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 04:06:11 ID:6O2EgvQT
半分以上の攻撃は光のバリアと、あの腕から出す光弾で叩き落としてはいる。が、やはり生身の男と仮面ライダーとでは、力の差は歴然。
徐々に男へのダメージは蓄積されていき、勝利が近づいているのが目に見えるようだった。
最初の一撃で食う事が出来なかったこの男を餌にするには、弱らせて食らわせるしかない。
その一心でかがみは、男を蹂躙する。このまま行けば、自分は助かる。生き延びることが出来る。
そんな考えの元に、残虐な子供のように男を傷付け続ける。タイムリミットが、すぐ目前へと迫っている事にも気付かずに。





―――僕はどうすればいいんだ。
ミライは、ベルデの攻撃を受け続けながら、思考していた。
あの少女もまた、プレシアに殺し合いを強要され、無理に戦わされている参加者の一人なのだろう。
それは彼女の悲痛な声を聞けば、痛いほどに良くわかる。ミライにはあの叫びが、少女の心の涙としか思えなかったのだ。
こんな事をしなくたって、助け合えば絶対に脱出出来る筈なのに。それなのに、彼女にミライの声は届かない。
皆の命を救うために――誰かの為に、自分の身を投げ出してまで勇敢に戦ったクロノと、同じ力を使っているという事は一目見ただけで解る。
それなのに、その力の矛先は正反対。誰かの為に使う力と、自分の為だけに使う力。
自分のことしか考えていない――それを言ってしまえば、今のかがみはあのジャーナリスト、ヒルカワと同じだ。
己の利益の為だけに、ミライを、そしてCREW GUYSの仲間たちを貶めるような記事を書いたあのヒルカワと、何も変わらない。
何も変わらない筈なのだが―――生き残るために必死に戦っているかがみとでは、何処かが、何かが違う気がした。
それが解っているから、ミライにはどうしていいのかが解らないのだ。

「話を聞いてくれ! 僕たち皆が助け合えば、こんなゲームだってすぐに終わらせることが出来る筈だ!」
「うるさい、私にはもう時間がないのよ……あんたを殺さない限り、私はここで死んじゃうのよ!」
「どうしてなんだ! そうじゃないだろう!」

怒鳴るように言うと、ミライは再びメビュームスラッシュを発射。ミライが放った光弾は、見事緑の鎧に命中。
ベルデの装甲に命中したメビュームスラッシュは、ベルデの動きを止めるには十分だった。
今だとばかりに、ミライは態勢を立て直し、大きく息を吸いこんだ。

「どうしてちゃんと話し合おうとしないんだ! 僕なら、他の皆なら、何か力になれるかもしれないのに!
 君がそんなに必死に誰かを殺そうとするのは、何か理由があるからじゃないのか!?」
「力になる? 無理よ。諦めて殺されなさい!」
「く……ッ」

しかし、ミライの声は届かない。
ベルデは声色一つ変えずに、ヨーヨーを飛ばす。
しかし、それを回避はしない。ミライはそれを出来る限り弾きながら、前へと進む。
だが、それでも落とし切れなかった数発はミライの身体を打ち付ける。
一撃、一撃と。受けるたびにミライは地にひれ伏しそうになる。が、ミライはくじけない。
もしもミライがただの人間ならば、とうの昔にくじけていたことだろう。
だが、ミライはウルトラマンだ。ウルトラマンは、どんな状況でも、絶対に諦めはしない。
最後まで希望を捨てず、信じる心の強さが不可能を可能にする。それがウルトラマンなのだ。
ミライはそれを、立派な兄弟たちと、共に闘う仲間たちから教わったのだ。
故に、ここで負ける訳には行かない。この少女を救う、その為に、ミライは前進を続ける。

「君を、必ず救ってみせる……! だから、僕を信じてくれ!」
「しつこいのよ……いい加減に、しなさい!」

ミライが、ベルデの眼前に迫る。
しかし、凍てついた少女の心に―――ミライの声が届く事は無かった。
既にダメージが蓄積されたこの身体に、重い一撃を受ければどうなるか。それは想像に難くない。
言葉とともに、至近距離まで迫ったミライの身体に打ち込まれたのは、10トン以上にも及ぶ強烈なパンチ。

「が……ぁ……ッ」
「……さよなら」

さよなら、と。それがミライが最後に聞いた言葉だった。
薄れていく視界の中で、ベルデの隣にバイオグリーザが並び立つのが見える。
だが、ミライに、それと戦う力はもう残されてはいなかった。

70 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 04:11:15 ID:6O2EgvQT
 




『ヒャハハハハハ! やるじゃねぇか宿主サマァ! とっととコイツを食わせて、次の獲物を探しに行こうぜ!』
「言われなくてもわかってるわよ……ほら、とっとと食いなさい」

かがみは冷たく言い放つ。
最初は何の変哲もないただの少女だったのに、この数時間でついに自力で殺人まで犯した。
その事実に、バクラは心底笑わずにはいられなかった。これで自分が助かると思えば、それは尚更の事。
ベルデの言葉に釣られるように、バイオグリーザがミライの傍に立つ。
これでようやく食事にありつける、と。バイオグリーザは嬉しそうにミライへと手を伸ばした。
――その時であった。

「……何やってんのよ、早くそいつを食べなさいよ!」
『オイ……何か様子がおかしくねぇか?』

ミライに手を伸ばそうとしたバイオグリーザが、その動きを止めたのだ。
何が起こったのか、疑問に思いながらも二人はバイオグリーザに視線を集中させる。
否―――もう何が起こったのか、頭では理解しているのだ。ただ、それを理解してしまうのが嫌だった。
ここまで敵を追い詰めて、餌まで用意して、ようやく助かった。そう思ったのに。

『まさか……! ここまで来て時間切れだと!?』
「そんな、冗談じゃないわよ! 餌は目の前にあるのに、何で!」

かがみが言うと同時に、バイオグリーザはベルデへと向かって長い舌を発射する。
咄嗟にバイオワインダーでそれを受ける。ベルデが構えたバイオワインダーはその舌に巻かれ―――
大きく開かれたモンスターの口内へと、消えていった。
それを見たかがみの思考が、一気に凍りつく。自分もこんな風に食われてしまうのか?

「い、いや……死にたくない……こんな、ここまで来て……!」
『チッ……こうなったら戦うぞ、何としても生き延びろ!』
「わ、わかってるわよ! 絶対死なない! 絶対生き延びるんだ!」

強い口調で怒鳴るバクラ。かがみは必死にそう応え、デッキから一枚のカードを取り出した。
例の如くそれをバイザーに装填し、電子音声がカードの名前を読み上げる。

――CLEAR VENT――

電子音声が鳴り終わる頃には、ベルデの姿は不可視のものとなっていた。
これで奴の目を欺いて、逃げる。とにかく逃げる。
それがかがみの講じた作戦。だが、バクラには一つの懸念が存在した。

(悪くはねぇ……悪くはねぇけどよ……)

それは至って単純な問題。少し考えれば解ること。
“そもそもカメレオン相手に不可視が通用するのか”というもの。
ましてや、この仮面ライダーの力はバイオグリーザから借りているものなのだ。
モンスターの力を借りて戦うライダーが、そのモンスター相手に戦えるのか?
――というのがそもそもの疑問。
今こうしている間にも、ベルデはひたすらに走り続ける。
バイオグリーザとの距離はどんどん開いて行くが―――

71 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 04:19:00 ID:6O2EgvQT
 
「う……っ!?」

必死に走って、ようやく100メートル近くの距離を駆けたところで――かがみの、声にならない嗚咽が漏れた。
見れば、ずっと後方から続く真っ赤な舌が、ベルデの首に巻きついていたのだ。
バイオグリーザの舌の長さは、距離にして600メートル。たかだか100メートル近く逃げたところで、それはほとんど意味を成さなかった。
舌に掴まれたベルデは必死に逃げようともがくも、モンスターの力は凄まじく、だんだんと元居た場所へと引きずられて行く。

『ったく、なんて長さしてやがんだ……化け物が!』
「バ、バクラ……このままじゃ、私……食べられちゃうよ……!」
『冗談じゃねぇ! 宿主サマが食われちまったらお終いじゃねぇかよ!』

バクラの言うとおり、この状況でベルデの鎧をまとったかがみが食われれば――。
千年リングを外す事もままならないまま、かがみと一緒に仲良くお陀仏だ。
かといってここでバクラがかがみを乗っ取っても、何も出来ることはない。
ベルデの鎧に包まれている限り千年リングは外せないし、仮に変身を解除したとしても、恐らく助かりはしないだろう。
バイオグリーザの怪力に引かれながら、こうして踏ん張っているのは、ベルデの仮面ライダーとしての力が大きいからだ。
もしもここで変身を解除すれば、千年リングを外す間もなくかがみは一瞬で食われることだろう。

気付けばベルデは、成す術も無いままに、バイオグリーザの眼前にまで引きずり寄せられていた。
ベルデをすぐ目の前にまで引きずり出したバイオグリーザが、ベルデの体をがっしりと掴む。
そんなモンスターから逃れるため、ただ生き残るため、ベルデは我武者羅に手足をじたばたさせる。
だがそんなかがみの行動も無駄の一言に尽きる。モンスターに首を掴まれ、後ろ向きに引っ張られているという状況で、何も出来ることが見当たらないからだ。
バクラも何か助かる手段はと、思考をフル回転させるが、こんな時に限って案は思いつかない。
そしてついに―――ベルデの身体に、バイオグリーザがかじりついた。

「バクラ……助けて、バクラ……!」
『チッ……』
「嫌……死にたくない……バクラぁ……助けて……!」

かがみが、弱々しい声で言葉を紡ぐ。
しかしバクラにどうにか出来る問題では無く。
ベルデの仮面の下、かがみが一滴の涙を流した―――その刹那。

諦めかけたかがみとバクラの視界に広がったのは、光。
眩いばかりの輝きを放ちながら、“∞”の形をした光が広がっていくのが、かがみにも確認出来た。
何が起こったのかも分からずに、ただ光を見つめるだけしか出来ないかがみが、ぽつりと呟く。

「メビウスの……輪……」

どういう訳か、∞の光を見たかがみの口から最初に出た言葉が、これであった。

72 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 04:28:42 ID:6O2EgvQT
 




――力が、入らない。
真っ暗な闇の中で、ミライはそう感じた。
自分はこれまで何をしていた? そうだ、あの可哀想な女の子を救おうとして、やられたんだ。
だけど、それが間違いだったとは思わない。どう考えたって、自分の行動が間違っていたとは思えないのだ。
自分は誰かの為に行動した。誰かを救うために、戦った。
そんな自分に、間違いなどあってたまるものかと。心でそう言い聞かせる。
だが、ひとつ心残りがあるとすれば、あの少女を救えないままにこんなところへ来てしまったこと。
出来る事なら、あの少女を――いや、このゲームで苦しんでいる全ての参加者を救いたかった。
と、そこまで考えたところで、ミライは一つの疑問点に気付いた。

――ここは、どこだ?

そもそも自分は死んだのか? 何故さっきまで街中にいた自分が、こんな場所に居るんだ。
前後左右真っ暗闇の暗闇で、自分は唯眠っているように横たえている感覚。
自分はまさか、夢をみているのか? と、そんな気さえした。

「おいミライ! お前、こんなとこで何してんだ?」

ふと、声が聞こえた。この声には聞き覚えのある、大切な仲間の声だ。
そうだ。この声は、CREW GUYSの仲間の一人―――

――リュウさん!? リュウさんなんですか!?

間違いない。この声は、共に怪獣たちと戦った大切な仲間、アイハラ・リュウの声だ。
自分がウルトラマンだと知っても、変わらず接してくれた、大切な大切な仲間の一人だ。
ミライは久々に会えた喜びから、嬉しそうにリュウに答える。

「ミライ……俺はそんなことは聞いちゃいねぇ。お前は、なんでこんなとこにいるのかって聞いてんだよ!
 お前はウルトラマンで、皆を守るんじゃあなかったのかよ! お前の……俺達の心の炎はそんなもんだったのかよ!」

その言葉に、ミライはただただ驚きを隠せなかった。
相変わらずのガラの悪い喋り方に、何処か安心してしまう自分にも驚いているのだが。
しかし、リュウの熱い心は、ミライにも伝わってくる。自分はまだ、やり残したことがある。
そうだ。ミライには、救いたい人間がいる。護りたい仲間がいる。
それをやり残して、何がウルトラマンだ。何が光の戦士だ。
次に聞こえてきた声は、まだつい先ほどまで聞いていた覚えのある声だった。

「ミライ……君はまだ戦える筈だ。こんなところで終わりじゃない。そうだろう?」

――クロノ君……君も、いるんだね?

この声は、クロノだ。
自分と、ヴィータを守るために、勇敢に戦った少年、クロノ。
自分の命を賭してまで、誰かを護ろうとするその姿が、ミライの記憶にはまだ新しい。
クロノの勇姿は、今も強くミライの心に焼き付いている。
それはまさに、かつて家族を救うため、己が命を投げ出した青年――バン・ヒロトのように。

73 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 04:37:21 ID:6O2EgvQT
彼も、クロノもまた、自分を投げ出して戦い、そして散って行った。
否――それは少し、違う。クロノはただ散って行った訳では無い。
あの勇敢な魂は、死んでしまった訳ではないのだ。今もこうして、自分の中で輝き続けている。
そうだ。クロノは今も、ミライの胸の中で生き続けている。こうして、ミライを突き動かす原動力になっているのだ。
それを思い出した時、再び力が沸いてくるような気さえした。
心に、そして拳に。やがてミライの身体に、力がみなぎる。

――そうだ……僕は、ウルトラマン……ウルトラマン、メビウスだ!
――最後の最後まで、絶対に諦めない!

ミライが決意した、その刹那――ミライの周囲に、再び光が戻った。
頬に当たるのは、冷たいアスファルト。腹部への痛みと、全身へのダメージが、現実に戻って来た事を痛感させる。
これまでの記憶もはっきりと残っている。自分はあの緑の戦士との戦いで、ここで一度気絶してしまったのだ。
しかし、このまま大人しく眠っている訳には行かない。

「――助けて……!」

声が聞こえた。助けを求める、誰かの声だ。
今にも消えてしまいそうな、か弱いその声の主は、さっきの女の子なのだろうと判断するのに時間は掛らなかった。
すっくと立ち上がり、緑の怪獣に襲われている女の子――ベルデを視界に捉える。
同時に、何となく状況を理解した。きっとあの少女は、あの緑の怪獣に怯えていたのだろう。
ならば、ミライの――いや、ウルトラマンメビウスのする事はただ一つだ。
助けを求める声に突き動かされるように立ち上がったミライは、勢いよく左腕を翳した。
左腕のメビウスブレスは、ミライの意志に呼応するかのように、光を放出する。

――助けるんだ、絶対に……あの女の子は、僕が助けてみせる!

頭上から大きく右手を回し、左腕に装着されたブレスに当てる。
そのまま右手を下方向へと一気に下ろす事で、輝きを放つメビウスブレスに、熱い勇気の炎が灯る。
そして眩い光を放つメビウスブレスを、一気に天へと掲げ―――ミライは高らかに、その名を宣言した。

「―――メビゥゥゥゥゥスッ!!!」

刹那、∞の光を輝かせ、ミライの身体が変わっていく。
それは、街を、人を、皆の命を守る正義のヒーローの姿。
炎のような赤を基調に、光を反射し煌めく銀の身体。
胸元に輝く青い光は、ウルトラマンの命の証――カラータイマー。
どんな状況でも、絶対に諦めはしない。どんなに闇が広がろうと、希望という名の光で闇を切り裂く。
そして、そんな人々の希望や、信じる心を力に変えて、悪と戦う。
それが光の国の戦士であるウルトラマン―――ウルトラマンメビウスの使命だ。

74 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 04:46:48 ID:6O2EgvQT
 




ベルデがバイオグリーザに食われようとした刹那。バイオグリーザを中心とし、周囲は眩い光に包まれた。
それは光が止むとほぼ同刻。一瞬目を眩ましたバイオグリーザの舌を、激痛が襲う。
周囲が光に包まれたほんの一瞬の間に、バイオグリーザの舌から先が無くなっていたのだ。
何が起こったのかと混乱するバイオグリーザの前方で。
赤いウルトラマン――メビウスが、ベルデを抱えてしゃがみ込んでいた。
あいつか、と。ろくな知能を持たないバイオグリーザは、ただ目の前に現れた敵に激しい怒りの感情を向ける。
自分の舌を切断した、憎き敵。それがバイオグリーザの、メビウスに対する認識だった。
対するメビウスは、ベルデを寝かせるようにアスファルトに横たえると、すぐに立ち上がり、バイオグリーザへと視線を向ける。
しかし―――

(いない!?)

バイオグリーザが、何処にも居ないのだ。
カメレオンに似た外観通り、不可視となる能力まで持っていたらしい。
何処にいるかも解らない敵相手に、メビウスはいつも通りの戦闘スタイルで構えを取る。
構えたまま前後左右を確認する。だが、バイオグリーザはどの方向にも存在していなかった。
そう。バイオグリーザは、不可視となって上空に跳躍、真上からメビウスを狙っていたのだ。

「ジュアァッ!?」

突然の奇襲。上空から舞い降りたバイオグリーザの打撃攻撃を、メビウスは背中で受ける。
背後へのダメージに、メビウスは慌てて振り向くが、やはりそこには何も居ない。
そんな行動からも、どうやら、バイオグリーザは最早かがみには興味がないらしい。
それよりも己が舌を奪ったメビウスを倒す事に執着しているらしく、黙って見ているしか出来ないベルデは既に放置している。
メビウスを倒し次第、このゲームのルールに乗っ取ってかがみを襲うつもりなのだろう。
だが、メビウスはそれをさせるつもりはない。
ここであの怪獣――バイオグリーザを倒し、その呪縛からあの少女を解き放つ。
その為に、まずはこの敵の不可視能力をなんとかしなければならないのだが―――。
かつて初代ウルトラマンが、バルタン星人との戦いで使用したという透視能力。
それならばバイオグリーザの居場所を見破る事が出来るかも知れない。
その考えに至ったメビウスは、その銀色の目で敵の居場所を見破るべく、精神を集中させる。
だが、そんな隙をバイオグリーザが与えてくれる筈もなかった。意識を集中させようとした次の瞬間には、バイオグリーザの打撃がヒットしていた。
この制限された空間の中でそんな超感覚を使用するには、どうやら相当に意識を集中させなければならないらしい。
そのチャンスを掴み、バイオグリーザを倒すためにも、メビウスは五感を尖らせる。

さて、メビウスがバイオグリーザの攻撃を受けている一方で、密かに思考を巡らす人物が一人――否、二人。

『さぁて、どうする? 宿主サマ。あの赤い奴、いまなら倒せるかもしれないぜぇ?』
「え……で、でもこのまま逃げた方がいいんじゃ……」
『よく状況を見てみな。あのモンスターは今はあの赤い奴で頭がいっぱいだ。
 今奴を倒せば、間違いなくあのモンスターは赤いのを食ってくれるだろうよ』

バクラの言葉に、かがみはベルデの仮面の下でなるほど、と頷いた。
確かに、今なら問題なくバイオグリーザに餌を与えることが出来るだろう。
そうすれば、参加者を一人減らし、更にベルデの力を断続して使用することもできる。
だが、それには問題が一つ。

「でももう、武器と言える武器は残ってないのに、どうやって“メビウス”と戦うのよ?」
『それなら、俺様に任せな……いい方法があるぜぇ』

バクラがにぃ、と微笑んだ。いや、微笑みというにはあまりに禍々しい笑いか。
それを見たかがみは、わかったわと一言。メビウスに関しては、バクラに任せることにした。
一瞬の出来事で、ベルデの身体を支配する精神が、かがみからバクラへと入れ替わる。
やがて体の支配権が変わったベルデが引き抜いたのは、一枚のカード。
ベルデが持つカードの内の一枚―――「COPY VENT」と書かれたカードだった。

75 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 04:52:07 ID:6O2EgvQT
 




バイオグリーザの位置を把握しようと集中するメビウス。
そんなメビウスに、バイオグリーザと共に迫るもう一つの影。
それは音もなく忍び寄り、メビウスに向けて光弾を放った。

「デュアァッ!?」

突然の奇襲に、叫び声を上げるメビウス。
何が起こったのかと周囲を見渡すメビウスの目に映ったのは、信じられない光景だった。
それは、そこに居る筈の無い存在。あり得る筈のない光景。
メビウスの目の前で右腕を突き出していたのは―――

(そんな……! 僕が、もう一人!?)

そう。そこにいるのは、銀と赤の身体を持ったウルトラマン――ウルトラマンメビウス。
姿形に些かの違いも見受けられない、自分とまったく同じ姿のウルトラマンメビウスだ。
メビウスは思考する。以前にもウルトラマンに変装する宇宙人が居たが、それは全て倒した筈だ。
かつて自分に化けて街を破壊したザラブ星人も。
かつてツルギに化けて皆を騙そうとしたババルウ星人も。
勿論、そんな宇宙人が他に居ないという保証はどこにも無いが、少なくともこの空間には居ないだろう。そう思っていたのだ。
しかし、事実は違った。この会場には、モンスターを操る戦士どころか、他人の姿に化けることまで出来る者がいる。

やがてもう一人のメビウスは、一気にメビウスとの距離を詰めると、一瞬の驚愕に油断したメビウスの首をがっしりと掴んだ。
ぎりぎりと締め上げるその力は、まさにウルトラマンにも匹敵する程――否、ウルトラマンそのものと言える程の、怪力。

「お前は一体、何者だ! 正体を現せ!」
「ヒャハハハハハ! 何だっていいだろぉそんなもん、知ったって何にもなんねぇよ!」

ふざけるな、と。そう大声で言いたかったが、ニセメビウスの怪力に言葉は遮られた。
そのままの力で、メビウスの身体はすぐ近くのビルへと投げつけられた。
ビルの壁には人型のクレーターが残り、そこからメビウスが力無く崩れ落ちる。
しかし、追撃はそれだけでは終わらない。崩れ落ちる直前に、姿を現したバイオグリーザが、メビウスに掴みかかって来たのだ。
バイオグリーザはその怪力でメビウスを再び立ち上がらせると、今度はクレーターが出来たばかりのビルに、メビウスの身体を叩きつけた。

「デュァ……ッ!」
「オイオイ、そんなもんかよ……あんまりがっかりさせんなよ、メビウスさんよぉ?」
「何故……お前が僕の名を……――」
「さ〜ぁ、何でだろうなぁ?」

嫌な笑い方で、ニセメビウスがそう告げた。

76 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 05:03:22 ID:6O2EgvQT
同時に、メビウスの胸のカラータイマーが赤く点滅を始めた。
どうやらウルトラマンは、この空間においても3分間しか戦えないらしい。
その3分間の戦闘と、必要以上に受けてしまったダメージから、ウルトラマンの命の危険を表す器官――カラータイマーが作動したのだ。
これ以上の戦いは出来る事なら避けたい。が、バイオグリーザはそんなメビウスの事情に付き合ってくれる程優しい筈もなく。
バイオグリーザは、今にも壁に押さえつけたメビウスに食らいつこうと、大口を開いていた。
このままでは、やられる。そう、このままでは―――

(今しか……ない!)

チャンスは今しかない。
刹那―――メビウスの前蹴りが、バイオグリーザに直撃。
予想外の反撃に戸惑いながらも、バイオグリーザはメビウスから数歩後ろに後退。
今だとばかりに、メビウスはメビウスブレスのクリスタルサークルに触れ―――そこから、光輝く黄金の剣を顕在させた。
その名はメビュームブレード――ウルトラマンヒカリと同じ、メビウスに与えられた光の剣だ。
それを大きく振りかぶり―――駆け出した。

「――ハァッ!」

全ては一瞬。恐らくはバクラも何が起こったか理解出来なかったのではないだろうか。
メビウスが突然バイオグリーザを蹴り飛ばし、走りだしたと思ったら、既にバイオグリーザの背後に立っていたのだ。
それっきり動きを止めたバイオグリーザに見られる、先ほどまでとの目立った異変はただ一つ。
今まさに振り抜いたとばかりに剣を構えるメビウスの背後、バイオグリーザの肩から腰に掛けて、一本の線が入っていた。
黄金に輝く線からはやがて、“∞”の形に輝く光が溢れ出し―――そして、バイオグリーザの身体が、ズレた。
刹那、爆発。メビウスの背後にいた筈のバイオグリーザが、跡形もなく爆散したのだ。
爆発の轟音が鳴り止み、全てが静止したかにも思えるこの世界で、聞こえる音はただ一つ。
ピコン、ピコンと鳴り響く、カラータイマーの音声のみ。

「もう、終わりだ!」
「あぁ? 何腑抜けたこと言ってやがんだ! まだゲームは終わってねぇだろぉ!?」

ぜえぜえと息を切らしながら告げるメビウスに、ニセメビウスが大笑いする。
しかし、その笑いは長くは続かない。
ニセメビウスの姿を形造っていた虚像が、まるでガラスが割れるかのように消滅したからだ。
結果、そこに残ったのは、黒い仮面ライダー――ベルデ・ブランク体。
ベルデは何が起こったのかとばかりに、自分の身体を眺めていた。
メビウスは振り向き、メビュームブレードを黒く変色したベルデへと突き付け、告げる。

「これ以上戦っても無駄だ! お前に戦う力は残っていない筈だ!」
「チッ……もう時間切れか。だがよぉ、戦う力が残ってないのはテメェも同じなんじゃねぇのかぁ!?」

メビウスは、ゆっくりとピコンピコンと点滅を続けるカラータイマーに視線を向ける。
このカラータイマーの点滅は、誰がどう見たって時間切れか何かを現しているのだろうということは一目瞭然。
それ故に、確かにこのまま戦い続けるのは得策では無い。だが、目の前の悪を野放しにする訳にも行かないのだ。
だから、今出来る事をする。その一心で、メビウスは、メビュームブレードを構え、再び駆け出した。
結果は先程と同じ。ベルデが何らかの行動を起こす前に、メビウスがベルデの背後へと駆け抜けた。
この仮面ライダーを殺すつもりはない。装甲だけを切り裂き、戦いを終わらせる。
それが、メビウスの思惑だった。

「これで本当に、君に戦う力はない筈だ」

言うが早いか、黒いベルデの装甲には、メビュームブレードで切り裂かれた亀裂が入り―――。
変身時とは真逆、重なり合った虚像が剥がれて行くように――消滅した。
ベルデの装甲の中から現れたのは、紫の髪の少女。足元に落ちるのは紋章の消えた緑の箱。
少女――いや、バクラはやれやれとばかりにカードデッキを拾い上げた。

77 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 05:11:31 ID:6O2EgvQT
 
「――ケッ……つまんねぇ野郎だ」
「もう一度聞く……お前は何者だ! 何故その女の子の身体を使っている!」
「バァ〜カ、俺様がそんな質問に応えるとでも思ってんのかよ!?」

それだけ言うと、バクラはメビウスに向き直った。
対するメビウスも、変身を解除し、人間としてのヒビノ・ミライの姿に変化する。
ミライの鋭い眼光が、バクラを睨みつける。バクラの目つきを見れば、少女の人格がさっきまでと違う事は一目瞭然だ。
それはもう、天然なミライなら、こんな状況でさえなければ、顔芸でもやっているのですかと聞きたくなってしまうくらいの差。
恐らくは、かつてヤプールがアイハラ・リュウの身体を奪った時と同様に、この少女も身体を利用されているのだろう。
正確にはバクラと少女は協力関係にあるのだが、そんなことは今初めて少女と出会ったミライが知る訳も無い。

「お前は、このゲームに乗っているのか!?」
「あぁん? 当たりまえだろぉ、こんなに面白いゲーム、他にねぇからなぁ!」

悪びれる様子無く、楽しそうにバクラは告げる。
そんなバクラの言葉に、言動に、ミライは言いようの無い怒りを感じた。その感情を隠す事もせず、ミライは強く拳を握り締める。
沸き上がってくるのは、単純な怒りの感情。本当なら楽しく笑っていられた筈の人達を殺し合わせるこんなゲームを、バクラは楽しいと言った。
それがミライには、どうにも許す事が出来ない。平和に暮らせる筈の人々の命を奪う悪を、ミライは絶対に許しはしない。
しかし、ミライが次の言葉を繋ぐ前に、バクラがゆっくりと後方へと後退して行き―――

「けどよぉ、こっちも困ってたんだ。このままじゃモンスターに食われちまいそうだったんでなぁ……
 その点に関してだけは、感謝してやるよ。じゃあ、な……メビウスさんよぉ!」

ゆっくりと後退して行った先に待っていたのは、どんな街中にもありふれた路地裏。
バクラはそれだけ言うと、踵を返して、一気に路地裏の奥へと走り抜けていったのだ。
咄嗟に「待て!」と一言。ミライもすぐにバクラの後を追いかける。
だが、入り組んだ路地裏の角を一つ曲がれば、既にバクラの姿は消えていた。



誰も居なくなった路地裏で、ミライはキッと表情を強める。
どうやら、今までの自分が甘かったらしい。基本的に平和主義なミライは、参加者を殺して回るような奴がそこまで沢山いるとは思っていなかったのだ。
あの赤コートを着た男のような悪人が、そんなに沢山居てたまるものかと、そう思っていたのだ。
しかし、現実はそう甘くはない。怪獣のようなモンスターや、それを使う鏡の騎士。
おまけに人の人格まで乗っ取ってしまう悪魔のような参加者が居ることが、この戦いで解った。

「こうしてはいられない……」

このデスゲームは、ミライが思っていたよりももっとハイペースで進んでいるのかもしれない。
そう思った瞬間、ミライは居ても立ってもいられなくなった。
今こうしている間に、誰かの命が無くなってしまうなら、自分は一刻も早く他の参加者と合流しなければならない。
そしてウルトラマンとして、救える命はすべて救う。その決意を胸に、ミライは駆け出した。
今度こそ、クロノのような犠牲を二度と出さないと、胸に誓って。

78 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 05:14:30 ID:6O2EgvQT
 


【1日目 午前】
【現在地 E-2】

【ヒビノ・ミライ@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは】
【状態】疲労(大)、強い決意 、一時間変身不可(メビウス)
【装備】メビウスブレス@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは
【道具】基本支給品一式、『コンファインベント』@仮面ライダーリリカル龍騎、『おジャマイエロー』&『おジャマブラック』&『おジャマグリーン』@リリカル遊戯王GX
【思考】
 基本:仲間と力を合わせて殺し合いを止める。
 1.一刻も早く他の参加者と合流して、殺し合いを止める策を考える。
 2.助けを求める全ての参加者を助ける。
 3.まずは北に向かい、スーパーや商店街と言った人が集まりそうな施設を巡る。
 4.なのは、フェイト、ユーノ、キャロと合流したい。
 5.ヴィータが心配。
 6.メビウスに変身出来なかった理由を確かめたい。
 7.アグモンを襲った大男(弁慶)と赤いコートの男(アーカード)を警戒。
 8.紫髪の少女(かがみ)を乗っ取った敵(バクラ)や、その他の未知の敵たちを警戒。
 9.自分の為に他の人間の命を奪う者達(主にマーダー)に対する怒り。
【備考】
 ※メビウスブレスは没収不可だったので、その分、ランダム支給品から引かれています。
 ※制限に気付いてません。
 ※デジタルワールドについて説明を受けましたが、説明したのがアグモンなので完璧には理解していません。
 ※参加者は異なる並行世界及び異なる時間軸から連れて来られた可能性がある事に気付きました。
 ※支給品の中にカードがある事に気付いていません。

79 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 05:22:44 ID:6O2EgvQT
 



海鳴りの音が聞こえる浜辺で、柊かがみは力なくへたり込んだ。
ここまで、ほぼ1エリア分に相当する距離を走り続けて疲れたのだろう。

「はぁ……はぁ……ここまで来れば、もう大丈夫でしょ」
『あぁ、もうメビウスは追いかけてきてねぇぜ』

かがみの呟きに、いつの間にか交代していたバクラが答えた。
もう後ろを振り向いても、追ってくる影は見えないし、それどころか付近に人影すら見えない。
モンスターに襲われる心配も無くなった安堵からか、かがみの表情からは緊張が一気に抜けていた。

『それにしても宿主サマ、おかしいとは思わねぇか?』
「何がよ?」
『宿主サマは、あのメビウスって奴の事も実は知ってたんじゃねぇか?』
「知らないわよ……あんな変な宇宙人みたいな奴」

かがみの台詞に、バクラは興味なさげにそうかい、と一言。
まぁ、この質問をしてもかがみがこう答える事は解っていた為に、今更驚くことでもないが。
しかしバクラが気になるのは、バクラが見たかがみの記憶の中に、確かにあのメビウスとかいう赤い戦士と似たような姿をした奴らの記憶があった事だ。
おまけに、かがみは自分でも気付いてはいないのだろうが、確かにあの赤い戦士の事を「メビウス」と呼んだのだ。それも、誰よりも最初に。
かがみがバイオグリーザに食われそうになった瞬間に見た光が「メビウスの輪」の形をしていたから、奴の名前は「メビウス」と
決め付けてしまうのは簡単だが、それにしたって初めて見る相手をさも普通にメビウス、なんて呼んだりするのはおかしいだろう。
恐らく先程メビウスの輪も見た際に、「メビウス」という先入観を植え付けられてしまったかがみは、
あの赤い奴をメビウスと呼ぶことに何の躊躇いも疑念も抱かないのだろうが。
しかし、だからこそ可笑しい。その不自然なまでの自然さが、バクラには妙に腑に落ちなかった。

「あれ……何かしら」

ふと、かがみの言葉にバクラの思考は中断する。
かがみの視線の先にあるのは、2つのデイバッグ。きっと何者かが落としたのだろう。
その周囲に落ちているものは、大きな杖にも似た何かと、紫の箱。
刹那、かがみの思考がストップした。

『おい、あのデッキってまさか……』
「で、でも……そんな、Lは……!?」

そう。あの紫の箱は、紛れもなく自分に支給されていた王蛇のカードデッキだ。

80 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 05:35:31 ID:6O2EgvQT
エリオを食った忌々しい蛇が契約されている、自分にとってトラウマとも言えるデッキ。
しかし、それを現在持っていたのはLの筈だ。何故Lが居ないのに、デッキだけがこの場所に放置されているのか?
バクラがその答えを導き出すのに、それほどの時間は必要としなかった。

『ハ、ハハ……ヒャハハハハハハァ! なるほど、そういうことか!
 やったぜ宿主サマ、Lの野郎……あのデッキのモンスターに食われやがったんだ!』
「あ……そ、そっか……確かに、エリオを食べてからあのデッキは使いっ放し、誰も餌を与えてなかったから……」

そう考えれば全ては納得できる。ここにLが居ない理由も、あのデッキと、デイバッグがここに散らばっている理由も。
そういえば、ここにあるデイバッグも、最初にLと出会ったトレーラーで見たものと同じような気がする。
つまり、Lは愚かにも、モンスターの契約猶予期限をオーバーし、あの蛇と犀に食われたのだ。
たったこれだけの手がかりでは、そう思うのも無理はない。かがみもバクラも、そう信じて疑わなかった。

『そうと決まれば、決まってるよなぁ宿主サマ?』
「えぇ、残りの猶予期限は12時間。時間さえあれば……餌を取ることくらい、私にも出来る。私はもう、迷わない!」
『ヒャハハハハハハハハハ! いい顔になったじゃねぇか宿主サマァ!』

バクラが高らかに笑う中、かがみは紫のデッキへと歩み寄った。
それを拾い上げ、まじまじと見つめる。自分の元へと戻ってきた力を。
これは、元々自分に支給されていた力。これの所為でエリオは死んでしまった。
そういう意味では、嫌な思い出しか残っていない。が、それを使いこなしてこそ、かがみは後戻りが出来ないところまで突っ走る事が出来る。
幸か不幸か―バクラには不幸か―、ベルデのデッキからの制限から解き放たれたはいいが、結局のところかがみはまだ自分の意思で殺人を犯していない。
しかし、この力を手にした事で、かがみが闇へと落ちる新たなお膳立ては整った。
つい先ほどまでとは一転、この事態に、バクラは喜びを隠せなかった。

――さて、ここで一つだけ。二人にはまだ気付いていない事実がある。
バイオグリーザが破壊された時点で、ベルデのカードデッキは未契約の状態――即ちブランク体となった。
それはつまり、「ADVENT」のカードの消失。同時に、「CONTRACT―契約―」と「SEAL―封印―」のカードが現れたということ。
王蛇のような例外を除いて、本来一つのデッキで契約できるモンスターは一体と決まっている。
そんなモンスター達と契約する為に必要なカードが、契約のカード――CONTRACTだ。
そして、モンスターと契約するまでの間、モンスターに襲われなくなるという便利なカードが存在する。
それが封印のカード――SEALだ。これはベルデのデッキの契約が途切れたことにより、再び姿を現したカード。
ベルデのデッキに用意された契約のカードは元々一枚のみ。その契約が途切れ、“未契約”とみなされたことにより、このカードは現れたのだ。
契約すると同時にこのカードは消滅してしまうが、デッキがブランク体である限り、このカードは存在し続ける。

それはどういうことか?
つまりは、このカードを持っている限り、ミラーモンスターは現実世界に存在するカードの持ち主――柊かがみを襲う事は不可能となるのだ。
即ち――柊かがみはこの瞬間、プレシアが定めたカードデッキのルールから、解放されたという事になる。
何のリスクも無しにデッキを使い続けられるというだけでかなりのアドバンテージとなる事はまず間違いないだろう。
強いてリスクを挙げるとすれば、モンスターはカードの所有者に手出しができなくなる反面、
このカードを手放した隙を狙って襲おうと、執拗に所有者をつけ狙う可能性が高くなる事。
と言っても、12時間の猶予時間が経過するまで、それは考えなくてもいいことなのだが。

新たな決意と共に、力を取り戻した柊かがみは、これからももっと多くの参加者を襲うだろう。
そうだ。その先に待つ“元の世界への帰還”を求めて、かがみは殺人を繰り返す。
しかし、本当にそんな事を続けて、この輪の中から抜け出せるのか―――
それは、今はまだ、誰にも解らない事だ。

81 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 05:41:15 ID:6O2EgvQT
 
 

【現在地 F-1 浜辺】
【柊かがみ@なの☆すた】
【状態】疲労(中)、肋骨数本骨折 、六時間憑依不可(バクラ)
【装備】ストラーダ(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、千年リング@キャロが千年リングを見つけたそうです、
    カードデッキ(王蛇)@仮面ライダーリリカル龍騎、サバイブ“烈火”(王蛇のデッキに収納)@仮面ライダーリリカル龍騎、スーパーの制服
【道具】支給品一式×2、ランダム支給品(エリオ1〜3)、柊かがみの制服(ボロボロ)、Ex-st@なのは×終わクロ、カードデッキ(ベルデ・ブランク体)@仮面ライダーリリカル龍騎
【思考】
 基本:死にたくない。なにがなんでも生き残りたい。
 1.もう誰も信じない。バクラだけは少し信用。
 2.参加者を皆殺しにする。
 3.万丈目に対する強い憎悪。万丈目を見つけたら絶対に殺す。
 4.同じミスは犯さないためにも、12時間という猶予時間の間に、積極的に参加者を餌にして行く。
 5.メビウス(ヒビノ・ミライ)を警戒。
【備考】
※デルタギアを装着した事により、電気を放つ能力を得ました。
※地図、デイパッグの中身は一切確認していません。名簿は確認しましたがこなたやつかさであっても信じられる相手とは思っていません。
※一部の参加者やそれに関する知識が消されています。ただし、何かのきっかけで思い出すかもしれません。
※「自分は間違っていない」という強い自己暗示のよって怪我の痛みや身体の疲労をある程度感じていません。
※周りのせいで自分が辛い目に遭っていると思っています。
※Lは相手を縛りあげて監禁する危険な人物だと認識しています。
※第一放送を聞き逃しました。
※万丈目の知り合いについて聞いてはいますが、どれぐらい頭に入っているかは不明です。
※Lはモンスターに食われて死んだと思っています。
※王蛇のカードデッキには、未契約カードがあと一枚入っています。
※ベルデのカードデッキには、未契約のカードと「封印」のカードが1枚ずつ入っています。
※「封印」のカードを持っている限り、ミラーモンスターはこの所有者を襲う事は出来ません。
※千年リングを装備した事でバクラの人格が目覚めました。以下【バクラ@キャロが千年リングを見つけたそうです】の簡易状態表。
【思考】
 基本:このデスゲームを思いっきり楽しむ。
 1.かがみをサポート及び誘導する。
 2.万丈目に対して……?(恨んではいない)
 3.こなたに興味。
 4.可能ならばキャロを探したいが、自分の知るキャロと同一人物かどうかは若干の疑問。自分の知らないキャロなら……
 5.メビウス(ヒビノ・ミライ)は、万丈目と同じくこのデスゲームにおいては邪魔な存在。
【備考】
※千年リングの制限について大まかに気付きましたが、再憑依に必要な正確な時間は分かっていません。
※キャロが自分の知るキャロと別人である可能性に気が付きました。
※千年リングは『キャロとバクラが勝ち逃げを考えているようです』以降からの参戦です
※かがみのいる世界が参加者に関係するものが大量に存在する世界だと考えています。
※並行世界の話を今の所かがみにするつもりはありません。
※かがみの悪い事を全て周りのせいにする考え方を気に入っていません。

【CONTRACT(コントラクト)のカード@仮面ライダーリリカル龍騎】
 ブランク体のデッキに入っている、未契約のアドベントカード。
 このカードでミラーモンスターと契約することが出来る。契約後は消滅する。

【SEAL(封印)のカード@仮面ライダーリリカル龍騎】
 ブランク体のデッキに入っているカード。
 ミラーモンスターはこのカードを持っている人物を襲う事が出来ない。契約後に消滅する。

82 :メビウスの輪から抜け出せなくて ◆gFOqjEuBs6 :2009/02/21(土) 05:47:15 ID:6O2EgvQT
投下終了です。
タイトル元ネタは、機動戦士ガンダム逆襲のシャア主題歌「BEYOND THE TIME」の歌詞。
ウルトラマンメビウスに関するタイトルにしようと思っていたのですが、まぁ結局これになっちゃいました。
とりあえずこのロワに参加してからまだあまり活躍してなかったメビウスを活躍させたかったってのがコレ書いた理由です(ぇ
あとはかがみの武器補充ですが……封印のカードみたいなルール介入型の支給品は良かったのかとちょっと迷ったのですが、
こんな便利というか美味しい設定を使わない手はないなという勝手な判断で出してしまいました。
それでは指摘などあればよろしくお願いします。

83 : ◆7pf62HiyTE :2009/02/21(土) 10:09:25 ID:IisBpK9Z
投下乙です。
正直、ミライ退場しか予想出来ませんでしたが予想外にもミライ大活躍(失礼)。

それにしても仮面ライダーかがみん(コピーするベルデ的な意味で)終了か……
でも王蛇のデッキを再GETしたので仮面ライダーかがみん(鏡で変身するライダー的な意味で)復活……
しかも本人が気付かない所でもうモンスターに襲われない状態……

嗚呼……かがみん無敵マーダー化か……(遠い目)

それよりもミライ支給品再確認しろー!

封印カードについては問題ないと思います。主催者も把握しきれないイレギュラーと考えることも出来ますから。
結局、封印カード持っているのはマーダーかがみんなので影響は少ないし、当面は気付く様子も無いから大丈夫だと思います。


>一つ質問。
>フェイトのグループ分けってどの話に出てきていましたっけ

確かにフェイトが登場している話では何処にも出てません。が、

『実は予めグループ分けをしていました。が、それを語る機会がありませんでした。』

というわけで今回そういうシーンを入れたわけです……
とはいえ、表現的にわかりづらかったというのも否めないので


*****

フェイトはこの場に来てから名簿を見て自身の知り合いについて確認をしていた。
そして名簿の裏に、知り合い及び出会った人物をグループ分けしてまとめていたのだ。他の参加者に出会った時に迅速に説明を進める為に……

*****


ここの部分を


*****

フェイトはこの場に来てから名簿を見て自身の知り合いについて確認を行っていた。
そして確認するだけではなく、実は名簿の裏に知り合い及び出会った人物をグループ分けしてまとめていたのだ。他の参加者に出会った時に迅速に説明を進める為に……
もっとも、不幸にもフェイトが情報交換を行えた人物は1名だけだったこともあり、それが利用される事は無かったが……

*****


という風に修正しようと考えています。これで問題なければ該当部分を後ほど修正スレに投下致します。ちなみ名簿のグループ分けを入れた理由は、

1.十代危険人物フラグを一応残しておく(十代を危険人物だと認識していたのはつかさとフェイトだけだが、つかさに関しては誤解解消済みなので)。
2.フェイトの人間関係からチンクに疑問を持たせる。

という意味合いで入れました。他にも問題あればよろしくお願いします。

84 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/21(土) 23:40:56 ID:uaf1WiKL
投下乙です。
おお、こういうふうになったのか。
つうかかがみがますますやばくなっているwww

>>83
なるほど、そうでしたか

85 : ◆HlLdWe.oBM :2009/02/22(日) 21:59:40 ID:ZqFs4CvT
浅倉威、シャーリー・フェネット、ヴィヴィオで投下します。

86 : ◆HlLdWe.oBM :2009/02/22(日) 22:00:39 ID:ZqFs4CvT
合ったり合わなかったりと、共にある事とは、なんとも複雑な束縛の事らしい。


     ▼     ▼     ▼


「ああ!! イライラするんだよ……」

浅倉威はイラついていた。
使い込まれた蛇柄ジャケットを身に纏った獰猛そうな青年がイラついている理由はいくつかある。

一つ目は今に至るまで満足に戦えていない事――つまり浅倉がいつもイラついている理由である。
プレシアによってここに連れて来られた時、浅倉は心の底から湧き上がる歓喜という感情で満ちていた。。
元の世界で起こした事件は数知れず、常に何かを殴っていないと落ち着かないというクレイジー極まりない性格。
そんな浅倉にしてみればこの状況はまさしく地上の極楽とも言うべき場所であった。
元々13人の仮面ライダーによる戦いを行っていた事もあって、開始早々に喜々としてデスゲームに乗る事を決意したのだった。
しかしここに来てから浅倉が関わった戦闘と言えば数時間前に矢車とエネルと小競り合いをした程度。
この程度では浅倉の戦いへの渇きを癒すには全然足りない。

「――ぁ!?」
「ヴィ、ヴィヴィオちゃん!」

二つ目は後ろから必死に付いて来ている女子供、シャーリーとヴィヴィオである。
浅倉にとって後ろから勝手に付いて来る二人は正直なところどうでもよくて、戦いの邪魔にならない限りは放っておくつもりだ。
この時不意にシャーリーとヴィヴィオの声が聞こえたために振り返ってみると、二人は立ち止まっていた。
どうやらヴィヴィオが転んで顔に涙を浮かべ、シャーリーがそれを慰めている様子だった。
幸いこの辺りの地面は比較的柔らかい草で覆われていたためにヴィヴィオに大きな怪我はない。
心配そうにしているシャーリーは泣いているヴィヴィオを優しく抱きしめて宥めていた。
それは見る人が見れば母性本能をくすぐられるような微笑ましい光景だが、浅倉にとってはイラつきを増長させる光景でしかなかった。
明らかな不機嫌そうな表情を顔に浮かべながら浅倉は立ち止まっている二人の方へ戻り始めた。

「あ、すいません。ちょっとヴィヴィオちゃんが転んで――ッタ!!」
「ヒッ――」

そして二人の傍に近づくと、いきなりシャーリーに殴りかかった。
殴り飛ばされたシャーリーはまともに受け身も取れないまま少し離れた場所で倒れ伏す結果となった。
ヴィヴィオは浅倉のいきなりの凶行に驚きを隠せず、ただただその場で呆然としているしかできなかった。
今の浅倉は一触即発とも言うべき状態にまでイラついていた。
いつまでも戦いにありつけない事と余計な女子供に足を止められた事。
その二つだけでも浅倉をイラつかせる条件を十分満たしている。

「な、なにをしてい――」
「五月蠅い」

浅倉はやっとの思いで絞り出したヴィヴィオの問いを一蹴して、次いで邪魔だとばかりに払いのけた。
凶悪殺人犯の力を受け止める事など幼いヴィヴィオにできるはずもなく、シャーリーと同様に地面に転がる羽目になった。
そんな事など一切眼中に無いと言わんばかりに浅倉は足元に転がっていたシャーリーとヴィヴィオのデイパックを漁り始めた。
デイパックの中に突っ込んだ手に触れた物を逐一外に出して確認する作業を続ける事10数分。
程なくして漁り終わった浅倉の手にあったのは二つのプレートがリングに通された形をした待機状態のデバイス、ヴィンデルシャフト。
もう一つが黒いボディーに白銀の銃口と剣を兼ね備えた対ワーム用の武器、マシンガンブレード。

「変身できない以上、今はこれで我慢するか」

そして浅倉がイラつく三つ目の理由。
それはキングから貰い受けたベルトが使えない事。
当初浅倉はカブトのベルトに何か嵌め込む箇所があったために自分達が使っているベルトと大差ないものだと思っていた。
だが、すぐにその考えは頓挫する事になる。
キングから受け取ったのはベルトのみ、つまり嵌め込む物がなかったのだ。
ベルトだけ渡されたのでこれだけで変身できるのかと試してみたが、全く変身できる気配はなかった。
ここに至って浅倉は確信した。

87 : ◆HlLdWe.oBM :2009/02/22(日) 22:03:39 ID:ZqFs4CvT

キングに一杯喰わされた、と。

だが既にキングと別れて時間が経っている以上、居場所不明のキングよりもある程度場所が分かっている奴の方が探しやすい。
そう考えて浅倉は内心苛立ちながらキングの示した南の方角へ向かっていたのだ。
だが変身できない以上自分の武器は生身の身体だけになる。
別にそれでも構わないが、何か武器があった方がいいのに越した事はない。
そこでシャーリーとヴィヴィオのデイパックの中に何か使えそうなものはないかと探っていたのだ。
二つのデイパックの中にはいくつか道具があったが、浅倉が使えそうな物はヴィンデルシャフトとマシンガンブレードの二つだけだった。
あとは自分にも配られていた食料や地図などの支給品、そして鍵やアクセサリー、使い慣れないローラーブレードだった。
ヴィンデルシャフトはまだそのまま叩きつけるというシンプルな使い方ができるので、無駄に素手を傷つけないで殴る事ができる。
そして新しく見つけたマシンガンブレードは重さも中々で浅倉でも十分取り回せる事ができるものだった。

浅倉は新たな牙を手に入れると地面に倒れている二人は無視して南へと向かって行った。
その顔には殴った事によって幾らかイラつきが発散されたのか、久方ぶりに笑みが浮かんでいた。


     ▼     ▼     ▼


「ぅう、お兄さん……」

ヴィヴィオは悲しんでいた。
灰色の質素な被験者服を身に纏ったあどけなさが残る純真そうな幼女が悲しんでいる理由はいくつかある。

一つ目の理由は浅倉の豹変。
今まで全く愛想はなかったが自分と一緒にいてくれた浅倉がいきなり殴りかかってきたのだ。
ヴィヴィオにしてみれば訳が分からなくて当然の事態であり、また今まで信じていた分ショックも大きいものだった。

「……ママ、なのはママ……ぅ……ぁあ……」

そしてヴィヴィオが悲しむ二つ目の理由。
それは高町なのはの死である。
ヴィヴィオは以前にも転んで泣いた事がある。
その時は近くにいたなのはとフェイトの二人の母親と機動六課の面々が見守っていてくれていた。
だがもう高町なのははいない。
先程の放送で死んだ事が判明したからだ。

ヴィヴィオは知ってしまった。
もう二度となのはママには会えない事を。
もう二度とあの優しい声を聞く事はない事を。
もう二度とあの温もりが自分を包む事はない事を。

それが分かった瞬間、ヴィヴィオの世界は闇に包まれた。
まるで皆と出会う前に排水溝を彷徨っていた頃に戻ったような錯覚を覚えた。
だがしばらくは浅倉やシャーリーに迷惑をかけないようにと平気な振りをしていた。
「強くなると約束した」から強くあらなくてはいけない。
そうヴィヴィオは心の中で必死に強くなろうとしていた。
だがそれも信頼していた浅倉に張り飛ばされたと同時に呆気なく吹き飛ばされてしまった。
もう倒れた身体を起き上がらせる気も起きなかった。
結局自分は強くない、弱いままのヴィヴィオなのだと思い知らされた気がしたから。
弱いヴィヴィオは守られるだけで何もできないちっぽけな存在。
何もかも諦めてしまおうかとヴィヴィオの心はそこまで落ち込んでいた。

「……ん?」

そのまま倒れた状態のヴィヴィオだったが、ふと目の前に誰かいる気配を感じた。
頭を持ち上げる事でさえ億劫だったが、なんとなく誰がいるのか気になって顔を上げてみる。

「え」

88 : ◆HlLdWe.oBM :2009/02/22(日) 22:06:37 ID:ZqFs4CvT

そこにいたのは蒼い狼だった。
首周り、そして足と尾の付け根の白以外の全身は映えるような蒼色。
一見すると勇猛な印象を抱くが、その赤い瞳がいつも自分を見守っていてくれていた事をヴィヴィオは知っている。

「ザッフィー?」

倒れたヴィヴィオの前に座している蒼い狼は紛れもなく盾の守護獣ザフィーラだった。
だがその姿は霞が掛かっているかのように不自然にぼんやりしていた。
それでもヴィヴィオは目の前にいるのが正真正銘のザフィーラだと思えた。
そのザフィーラはいつも通り寡黙のままにヴィヴィオを見ていた。
ヴィヴィオにとってザフィーラはなのはとフェイトの二人の母親を除けば寮母のアイナに次いで側にいた時間が長い
特定の役職に就いていないザフィーラがヴィヴィオの護衛役になっていたからだ。
ザフィーラはヴィヴィオの側にいても寡黙の姿勢を崩す事はなかった。
いつでも黙って側にいて見守ってくれている存在。
それがヴィヴィオから見たザフィーラの一面だった。

「……ザッフィー?」

そのザフィーラが目の前にいる。
相変わらず寡黙なままで赤い瞳をこちらに向けている。
そしてその瞳は何か訴えているように見える。

「ザッフィー……?」

相変わらずザフィーラは黙ったままだ。
だがヴィヴィオにはザフィーラが何を言いたいのか分かる気がした。

「うん、わかった。ヴィヴィオ、がんばるよ」

ザフィーラは何も言わない。
寡黙なままで何かを伝えようとしている。
それはヴィヴィオにもきちんと伝わっていた。
だからヴィヴィオは一度諦めかけた心を奮い立たせて、足に、手に、身体中に、力を入れる。

「見ていてね」

生まれたての動物が初めて立ちあがる時のようにぎこちないながらもヴィヴィオは懸命になっていた。
一度は諦めかけていた事だが、まだ諦めた訳ではない。
今はまだ何もできない弱いままの存在かもしれない。
でも、これからずっと弱いままかどうかは分からない。

だから今は一歩ずつ進む。

「――っはぁ」

そして、ヴィヴィオは立ち上がった。
だが不思議な事に既にザフィーラの姿はどこにも見当たらなかった。

ヴィヴィオは気付いていない。
いつのまにか右手には浅倉によって散らかされていた道具の一つ、三日月型の飾りを持つチョーカーが握られていた事に。
それの名前は1st-Gのデバイス鎮魂の曲刃レークイヴェムゼンゼ。
ヴィヴィオは知らない。
ザフィーラが既に死んでいる事を。
先程見たザフィーラが冥府の向こうからほんの少し出てきていた事に。

レークイヴェムゼンゼの能力、それは冥界との境を開いて魂の協力を得るというもの。
それは小さな偶然が生んだちょっとした奇跡だった。

89 : ◆HlLdWe.oBM :2009/02/22(日) 22:08:00 ID:ZqFs4CvT


     ▼     ▼     ▼


「どうしよう、これから」

シャーリーは戸惑っていた。
涼しげな印象を与える浴衣を身に纏った少女が戸惑っている理由は今後を思っての事だった。。

シャーリーにとって浅倉がいきなり殴って来た事はそれほどショックではない。
元より危ない感じを周囲に放っていたのでこうなる事も半ば予想していた。
もっともあれほど脈絡もなく強く殴られるとは思ってもみなかったが。
何はともあれシャーリーが起き上がった時には既に浅倉はどこかへ立ち去った後だった。
追いかけるという選択肢もあったが、少し離れたところでヴィヴィオが蹲っているのを発見した事でその選択肢は放棄した。
元々浅倉に付いて行ったのはゼロを追いかけるという目的からだ。
ゼロの居場所が分かった以上一緒にいる理由も希薄になる。

(そういえば、さっきキングって言う人はゼロの事を『天道』って言っていたわね)

名簿を確認してみると確かに『天道総司』というイレブンの名前があった。
ブリタニアに反旗を翻す黒の騎士団のリーダーがイレブンである事は自然な事だ。
これで間違いない、ゼロの正体は天道総司というイレブンだったのだ。
シャーリーは憎きゼロの本名を知って少し気持ちが楽になった。
得体のしれなかった者のベールが少しだけ剥がれたような気がしたからだ。

「シャーリーお姉ちゃん」

そこでシャーリーは目の前に立っているヴィヴィオに気付いた。
どうやら考え事をしている間にヴィヴィオは自力で立ち上がっていたようだ。
まだ涙を流した後が見られるが、もう大丈夫そうだった。

「ヴィヴィオちゃん、怪我はない?」
「うん、だいじょうぶ。あ、ザッフィー見なかった?」
「え……ザフィーラ? ううん、見なかったけど」

シャーリーはザッフィーと言われて、少ししてからそれがヴィヴィオが話していた大型犬ザフィーラの事だと分かった。
だがいくらなんでもそんな犬が近付いてきたら気づくはずだ。
とは言うものの今さっき考え事をしていてヴィヴィオの接近に気付かなかった例もある。
だが本当にザフィーラが近くにいたのなら今頃ヴィヴィオと一緒にいるはずだ。
ヴィヴィオの話からするとザフィーラは人並みに知識があるらしい。
もしかしてヴィヴィオの側にいられない理由でもあるのだろうか。

(待って、もしかしてザフィーラがデスゲームに乗っていたとしたら? 後ろめたい気持ちから会えないって説明が付く。
 近くまで来たのはヴィヴィオの泣き声を聞いたからで、いなくなったのは無事を確認したからじゃ)

だがこれは根拠もないただの妄想でしかない。
しかし本当ではないとも言い切れない。
実際に会って確かめれば一番だが、もし推測が正しければ追い付く事は難しいだろう。
結局真相は分からずじまいだ。

「ん、どうしたの?」
「え、あ、ちょっと考え事を……これからどうしようかって」

こんな事はヴィヴィオに話せない。
高町なのはという母を失ったと思っている上にこんな残酷な推測を聞かせる事などできるはずなかった。
これは確信が持てるまで自分の胸に留めておこう。
シャーリーはザフィーラの問題を一旦保留にする事にした。

90 : ◆HlLdWe.oBM :2009/02/22(日) 22:11:42 ID:ZqFs4CvT

「お兄さんを追いかけないの?」
「んー、どこに行ったかも分からないから追いかける事は出来なさそう、ごめんね」

それを聞いたヴィヴィオは複雑そうな表情を浮かべていた。
それも当然だろう。
慕っていた相手がいきなり殴ってきて立ち去ったとあれば会うのは気不味くなる。

「とりあえず怪我していた天道って人の治療に役立つ物や私達の知り合いを探そうか」
「天道さんって、あの怪我のお兄さん? うん、そうする!」

シャーリーがこう提案したのは何も善意からではない。
キングは温泉に行くと言っていたが、既にあそこには治療に使える物は取り立てて無い事をシャーリーは知っていた。
もちろんキングが治療に関する道具を持っている可能性はあるが、もし無かったらゼロは手遅れで死ぬ可能性がある。
そんな最期はシャーリーにとって許せるものではなかった。
ゼロは今までしてきた事を悔いて苦しんで死ぬべきだ。
そうなるべきだとシャーリーは強く思っていた。

「じゃあ一応の予定として駅、ガソリンスタンド、ホテル、映画館、デュエルアカデミア、病院の順番で行こうか。
 名前のある場所に行けば他の人に出会える可能性もあるし、じゃあ頑張ろっか」
「うん、ヴィヴィオもがんばる!」

辺りに散らばった道具を拾い集め終わると、シャーリーとヴィヴィオの二人は決意を新たに歩み始める。
一方は暗い感情から、一方は明るい感情から。

――共にある事とは、なんとも複雑な束縛の事らしい。


【1日目 午前/D-7】

91 : ◆HlLdWe.oBM :2009/02/22(日) 22:12:43 ID:ZqFs4CvT

【シャーリー・フェネット@コードギアス 反目のスバル】
【状態】健康、悲しみ
【装備】浴衣、クラールヴィント@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ゼロの銃(10/10)@コードギアス 反目のスバル
【道具】支給品一式、デュエルアカデミア売店の鍵@リリカル遊戯王GX、
【思考】
 基本:ルルーシュ達と一緒に帰りたい。
 1.治療の道具や知り合いを探すために駅、ガソリンスタンド、ホテル、映画館、デュエルアカデミア、病院の順で巡る。
 2.ルルやスバルや六課の人(中でもヴィヴィオの為に優先的にフェイト)を探す。
 3.もう1人いるなのはを探し、ヴィヴィオのママかどうかを確かめる。
 4.ヴィヴィオを守る。
【備考】
 ※ゼロ=天道総司だと思っています。
 ※六課がブリタニア軍の特殊部隊で、スバルはその一員だと考えています。ザフィーラを大型犬だと思っています。
 ※プレシアはブリタニアの偉い人で、この殺し合いを開いたのは六課や日本人及びその関係者を抹殺する為だと考えています。
 ※ヴィヴィオの境遇を自分と重ねています。
 ※ここには同姓同名の別人がいると思っており、放送で呼ばれたなのはが別人の可能性があると考えています。
 ※デュエルアカデミアを決闘の学校で物騒な所だと思っています
 ※ゼロは苦しんで死ぬべきだと思っています。
 ※ザフィーラが殺し合いに乗っているかもしれないと思っています。


【ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】健康、悲しみ、決意、浅倉に対する複雑な感情
【装備】ヴィヴィオのぬいぐるみ@魔法少女リリカルなのはStrikerS、レークイヴェムゼンゼ@なのは×終わクロ
【道具】支給品一式、ジェットエッジ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
 基本:フェイトママや六課の皆と一緒に脱出する。
 1.ヴィヴィオがんばる!
 2.天道お兄さんを助けたいけど、浅倉お兄さんは……?
 3.フェイトママを探す。
 3.ザフィーラ、どこに行ったんだろう?
【備考】
 ※浅倉の事は、襲い掛かって来た矢車(名前は知らない)から自分を救ってくれたヒーローだと思っています。
 ※浅倉を信頼(?)しており、矢車とエネル(名前は知らない)を危険視しています。
 ※キングのことは天道を助けてくれるいい人だと思っています。
 ※この場にもう1人なのはがいる事に気付いていません。


     ▼     ▼     ▼

92 : ◆HlLdWe.oBM :2009/02/22(日) 22:14:43 ID:ZqFs4CvT


「ちっ、いないか」

浅倉はあれから急いで南下したが、結局それらしき人物と会う事は出来なかった。
どうやらもうどこかへ移動した後らしい。
では、その人物はどこへ向かったのだろうか。

「ふっ、決まっているだろ。人を殺そうとしているんだ、人が集まりそうな場所にいるはずだ」

浅倉の目にはビルがいくつも立ち並ぶ密集地帯が映っていた。
殺人犯の鋭敏な嗅覚は確かに視線の方角に血の匂いがある事を察知していた。

――それは合ったり合わなかったり。


【1日目 午前/E-7】
【浅倉威@仮面ライダーリリカル龍騎】
【状態】右手に火傷
【装備】ライダーベルト(カブト)@魔法少女リリカルなのは マスカレード、マシンガンブレード@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、ヴィンデルシャフト@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
 基本:戦いを楽しむ。戦える奴は全員獲物。
 1.市街地で鎌を持った奴(キャロ)及び戦える者と戦う。
 2.ついでに市街地にある施設に向かってみる。
 3.回復した天道、キングと戦う。
【備考】
 ※プレシアは殺し合いを監視しており、参加者の動向を暗に放送で伝えていると考えています。
 ※ヴィンデルシャフトのカートリッジシステムには気付いていません。
 ※カブトに変身できる資格があるかどうかは分かりません。

【マシンガンブレード@仮面ライダーカブト】
ゼクトルーパーの主要武器。装弾数3000発のホローポイント弾を内装するマズル銃。右腕に装着して使用する。
トリガーを引く際に任意で発射弾数を変える可変バースト機能を備えており、通常の発射速度は600発/分。
最大射程は2000mを誇り、徹甲・炸薬・焼夷弾を装填選択することも可能。
白兵戦時には、先端に内蔵されたウーツ鋼鉄製・格闘専用ブレードを展開する。

【レークイヴェムゼンゼ@なのは×終わクロ】
1st-Gの魔女ブレンヒルト・シルトのデバイス(概念兵器)。意思はある。
普段は待機形態で三日月型の飾りがついたチョーカー、他に戦闘用の大鎌形態と飛行用の箒形態がある。
冥界との境を開いて死者と話せたり、一時的に実体化させる機能がある(ここで呼び出せる死者は元々の1st-Gの住人+この地で死んだ者)。

93 : ◆HlLdWe.oBM :2009/02/22(日) 22:19:03 ID:ZqFs4CvT
投下終了です。
誤字・脱字、矛盾、疑問などありましたら指摘して下さい

94 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/22(日) 22:52:03 ID:/ek1EZJl
投下乙です。

……ところで、作品のタイトルは?

95 : ◆HlLdWe.oBM :2009/02/22(日) 22:58:56 ID:ZqFs4CvT
すいません、タイトルは「三人の印象」です。
元ネタは終わりのクロニクル@上の第6章『二人の印象』から。

96 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 17:31:56 ID:n6aKll6f
age

97 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 20:34:00 ID:sRyxojmB
しばらく見ない内にどんどん投下されてる
まとめ読みしよっと

98 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/04(水) 00:43:26 ID:uuUANkZR
 

99 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/10(火) 20:26:21 ID:OttL9xD3
予約スレに予約キター

100 : ◆7pf62HiyTE :2009/03/12(木) 17:55:52 ID:S4WyROuK
浅倉威分投下します。

101 :王蛇のブランチ ◆7pf62HiyTE :2009/03/12(木) 17:56:53 ID:S4WyROuK



仮面ライダー浅倉威は犯罪者である。彼にデッキを与えた神崎士郎はある目的を企む神崎優衣の兄である。仮面ライダーは己の願いのために他のライダーと戦うのだ。



浅倉威は戦いを求めている。その為、浅倉は戦う相手となる人物を捜して市街地に向かっていた。
何故市街地に向かうのか?一番の理由は数時間前に出会ったキングからもたらされた鎌を持った参加者、浅倉は名前を知らないがキャロ・ル・ルシエを追う為である。
彼女に追いつく事自体は出来なかったが、市街地に向かったことは容易に想像出来た。それ故に浅倉は市街地に向かっていた。

とはいえ、実の所キングからの情報が無くても市街地には向かうつもりではあったのだ。
そもそも浅倉は天道総司と戦う為に彼を追っていたが、彼に追いついた後は他の参加者がいるであろう市街地の施設に向かおうと考えていたのだ。
なお、天道自体はキングが抱えていたが、浅倉は彼が負傷していたという事もありその場では見逃している。

さて、『戦いを求める』という願いを持つ仮面ライダー王蛇浅倉威は今現在……



「焼けたか」

と、焼き上がった肉にかぶりついた。十分に焼かれた肉は肉汁がしたたり誰が見ても旨そうに見える。

「熱ぃ」

焼きたての肉は熱く舌を火傷しそうになる。

そう、浅倉はF-6のレストランで肉を食べていたのだ。何故、戦いを求めていたはずの浅倉がレストランにいたのだろうか?ここで時間を少々遡ってみよう。



   ★   ★   ★



E-6に入った浅倉が見たのは倒壊したビル街である。エリアが崩壊した理由は数時間前に行われた相川始とエネルによる戦闘……正確にはエネルの雷による攻撃によるものだ。
とはいえ、浅倉にしてみれば誰が行ったかなど特別問題ではなく、その場所で戦いが起こったことの方が重要である。

「随分時間が過ぎているようだな」

崩壊したビルから出てくる煙等から判断して、その戦いが行われてから既に数時間経っているものだと浅倉は判断した。

「流石にこの辺りにはいないだろうな……」

既に戦いを行った者はこのエリアには居ないと浅倉は結論付けた。もしかしたらこのエリアを散策すればもしかすれば負傷し動けない参加者がいるかもしれない。
だが、戦いを求めている浅倉にとっては戦えなさそうな参加者になど興味はない。浅倉が求めているのは自分と戦える参加者なのだ、故に浅倉は早々にこのエリアから移動しようと考えた。
さて、浅倉の表情には笑みが浮かんでいる。何しろエリア1つを崩壊させる程の参加者なのだ、それだけの参加者と戦えるのは浅倉にとって至上の喜びである。

だが、出会えないのであれば現状でそれに固着する必要はない。あれだけの参加者だ、そうそう簡単に死ぬことも無いだろう。ひとまず浅倉は移動を始めようと……

102 :王蛇のブランチ ◆7pf62HiyTE :2009/03/12(木) 17:57:54 ID:S4WyROuK

その時、浅倉の身体から音が響いた。

「腹減ったなぁ……」

それは浅倉の空腹を告げる音である。考えても見ればこの殺し合いが始まってから既に10時間弱、それまでに浅倉は何一つ食べていない。
元々浅倉はそれ程食事には恵まれていなかったので多少の空腹など問題にはならない。その為、これまでは食事よりも戦いのことを優先していた。
また、つい先程まで同行していたヴィヴィオとシャーリー・フェネットも殺し合いという異常な状況、放送による母親や友人の死のショック等で食事をしよう等とは言わなかった。
故に浅倉はこれまで食事を一切行っていなかったのである。

とはいえ何時までも空腹でいるわけにはいかないだろう。浅倉自身も本能的に空腹では戦えないことはわかっている。だからこそ浅倉は何か食べようとデイパックを開けた。
そして中からパンを出しそれをほおばる浅倉であった。その浅倉が思うことは……

「肉が食いてぇなぁ……」

浅倉は肉を食べたかったのだ。
ここで参加者に支給された食料を簡単に説明しよう。各々のデイパックの中には丁度9食分の水と食料が入っている。つまり、主催者としては約3日間の期間を想定した上で殺し合いを行っているという事である。
さて、その中身だが何処でも食べられるように調理の必要が無い、もしくは簡単な調理で済むものばかりである。つまり、パンや缶詰及びレトルト食品等といったものばかりなのだ。

なお、余談ではあるが各種施設には食料が置かれている所もある。仮に食料が無くなればそちらで補充する手段もあるだろう。しかしそうそう甘い話などあるはずがない。

現実としてスーパーにも食料が置かれていたがどれも生の物ばかりでレトルト食品の類は見付けられなかった。
またデパートにも食料が置かれていたがやはりすぐに食べられそうな物は野菜かパンばかりでだった。
恐らくは他の施設でも調理の必要が無い物はせいぜいパンかおにぎり、野菜ぐらいしか見付けられないだろう。

閑話休題、先程も述べた通り支給された食料はパンや缶詰といった物ばかり。空腹を満たすだけならば十分に事足りる。
しかし、浅倉はそれだけで満足出来なかった。浅倉の中は肉汁の滴る肉を食いたいという欲求が湧き上がっていた。
勿論、食料の中に肉の類が無いことも無いが、保存食に適した缶詰の肉等で浅倉の欲求が満たされるわけもない。

その浅倉は周囲を見回す。その理由はその辺にいるトカゲ等の動物を探す為である。浅倉は非情に悪食でトカゲも平然と食するし、ムール貝も殻毎食べようともする。仕舞には泥すらも喰う人物だ。
つまり、浅倉はトカゲを見付けそれを食しようと考えたのである。しかし、市街地にトカゲなどいるわけがない。

そんな中、浅倉はある事を思い出す。

「待て……そういえばここに来てから虫も動物も見てねぇな……」

それは、参加者以外の動物や虫を一切見かけていないという事である。市街地であればともかくこれまで浅倉のいた森の中でも動物や虫の類を見かけないというのは奇妙な話である。
特に空腹時にトカゲ等を捕らえて食していた浅倉から見ればある意味異常だろう。なお、これまで気に留めなかったのは戦いを求めていた為気にしなかったからというのは言うまでもない。

「まぁいい……」

が、別に狩りをしたいというわけではない為その事については深く考えないことにした。無い物をねだっても仕方がないと考え、パンを頬張りながら次の目的地をどうするか考える為地図を広げる。

「ん、これは……」

そして、今の自分の目的が果たせる場所が近くにあるのを見付けたのだ。

103 :王蛇のブランチ ◆7pf62HiyTE :2009/03/12(木) 17:58:55 ID:S4WyROuK



   ★   ★   ★



その場所こそがF-6にあるレストランだったのだ。言うまでもないがレストランは食事を行う所だ。つまり、中には食料……肉がある可能性は高い。
肉を食べたい浅倉はすぐさまそこへ向かったのだ。仮に他の参加者がいるのであればそれはそれで好都合、一応パンを食していることで空腹は満たされている為戦うことには支障は無い。
参加者がいなければそこでゆっくり肉を食えばいい、浅倉はそう考えレストランに向かったのだ。

幸か不幸か今までにレストランには他の参加者は一切来ていなかった。つまり、全く手つかずの状態で置かれていたのだ。
戦いが出来ないことについては正直残念ではあったが、今の目的は肉……浅倉はすぐさま厨房に入り肉類や魚介類、野菜類といった食料を見付けた。
そして見付けた肉を使ってレストランの調理道具を使いすぐさま調理を始めたのだ。そして見事に焼き上がった肉を食していたのである。

「ふぅ……」

食事を終えて満腹となった浅倉は少し休むことにした。ちなみにレストランで見付けた他の食料や、包丁やナイフ、フライパンといった調理器具はデイパックに収められている。
また肉を食いたいと考えていたというのもあるし、包丁等は武器として使えると考えたのだ。

当初はある程度絞ろうかと考えたが、物を入れていく内に質量と体積を無視している事に気が付いた浅倉は使えそうな道具はある程度多めに持っていくことにしたのだ。
自身の持っている仮面ライダー王蛇のカードデッキがあるならば武器に固着する必要は無かったが、手元にそれが無い以上はどうしても他の武器が必要なのだ。

手元にはヴィンデルシャフトとマシンガンブレードがあるにはあるが、使い慣れていない武器で戦えるかは正直微妙、アテにはしきれない。故に武器として使えそうな物を確保したのだ。

そして浅倉は手持ちの武器を眺めながらこれからの事を考える。

「こいつはどうしたものかな……」

浅倉はデイパックから出したベルトを見つめていた。キングから渡された仮面ライダーカブトの変身ベルトである。実の所、キングから受け取った時はこれで仮面ライダーに変身出来ると驚喜してはいた。
しかしすぐさまそれは頓挫する。何故ならベルトには何かを填め込む所があるが、そこに填め込むべき物がなかったのだ。これでは仮面ライダーに変身出来ないことは浅倉にも明白だ。
ちなみに浅倉達が使うカードデッキの場合は変身する際にVバックルというベルトが出現する為、カードデッキさえあればすぐさま変身出来る。
だが、カブトのベルトはそうはいかない。変身しようと思っても都合よくはめ込む物が現れるという事は無いのだ。お陰で浅倉の苛立ちは頂点に達したのである。
だが、口うるさいヴィヴィオやシャーリーと別れ、空腹も満たされ、武器の補充も完了した今の浅倉は冷静だ。

「無いなら探せばいいんだろう?」

填め込むべき物を探せば良いと考え、これから戦う相手を捜すついでに探せばよいと結論付けた。

但し、浅倉は気付いていないが実の所そんな必要は無いのが現実だ。カブトのベルトで変身する為には浅倉の推測通り、カブトゼクターと呼ばれる物が必要だ。
しかし、そのカブトゼクターについては実は参加者には支給されていない。支給されているのはカブトの力を強化する為のハイパーゼクターやパーフェクトゼクターで変身する為のゼクターは支給されていないのだ。

では、どうしたらカブトゼクターを入手する事が出来るのだろうか?

答えは簡単だ、カブトゼクターは変身する時において何処かから飛来してくるのだ。それを使えば変身することが出来る。
但し、その為には条件がある。それはカブトゼクターに認められなければならないということだ。カブトゼクターが認める為の条件……それは『自信』である。精神的にそれが満たされていればゼクターは変身者の元へと飛んでくるのだ。

104 :王蛇のブランチ ◆7pf62HiyTE :2009/03/12(木) 17:59:57 ID:S4WyROuK

ちなみにこのカブトのベルトが支給されたのはキングである。しかし、カブトゼクターはキングを認めなかった。故にキングはカブトへと変身することは出来なかったのだ。
もっとも、キングにしてみれば本来の持ち主である天道がベルトを所持していないことで変身出来ない事の方が重要だった為、全く気にしていなかったが。

さて、ベルトの本来の持ち主は天道である。天道はその名が示す通り自信に満ちあふれており当然のことながらカブトに変身する資格を満たしている。では、他の参加者の中にその資格を満たす人物はどれだけいるだろうか?

雷となりて自らを神と名乗る男、
赤いコートを着て闘争を求める吸血鬼、
偉大な妖怪を父に持つ妖怪、
愛と平和を訴える男の兄で人間を抹殺しようと目論む男、
元の世界にて人類抹殺を行おうとする片翼の天使、
帝国を破壊しようと目論む漆黒の皇子、

既に死亡している者もいるが彼等ならばカブトゼクターも認める可能性はあるかもしれない……では、浅倉をカブトゼクターは認めるのだろうか?
今はまだ何処かで浅倉を見定めているのかもしれない、浅倉を認めるかどうか……それはまだカブトゼクターにしかわからない話である。

そんなカブトゼクターの思惑を余所に、浅倉の中には別の思惑もあった。

「天道だったか?今度奴に会ったらコイツを返してやってもいいな」

それは、次に天道と会った時にカブトのベルトを返すというものである。
カブトのベルトが天道の物だという話は既にキングからも聞いている。しかし負傷している天道ではベルトを使えないということでキングはベルトを浅倉に渡したのだ。
となればだ、仮に天道の怪我が回復し戦える状態になったならばベルトを返すというのも良いと考えたのだ。
勿論その理由はその後で自分と戦ってもらう為である。もっとも、填める物の無いベルトが使えるとは思えないとも浅倉は考えていたが。

その最中、浅倉は残る2つの武器を見つめる。マシンガンブレードに関しては深く考えることはない。普通にマシンガンとして使える武器だと考えた。とはいえどうせならば剣とかの方が良いと浅倉自身は考えていたが。
続いて、ヴィンデルシャフトを起動して改めて回してみる。トンファー型ということで、浅倉にしてみれば少々使いにくい武器というのは言うまでもない。とはいえ、他に使えそうな武器が無い以上は仕方がないと考えていた。

と、暫くヴィンデルシャフトを回したり調べている内にあるものを見付けた。

「何だこれは……?」

それはヴィンデルシャフトの柄の所に存在するカートリッジシステムである。最初は何の事かわからない浅倉だったが眺めていく内にあることを思い出した。

「そうか、こいつはあいつらが使う武器と同じ……」

それはこの殺し合いに呼ばれる前での話だ。浅倉達仮面ライダーの戦いを妨害する者が自分達の前に現れたのだ。
浅倉は仮面ライダーになる際に士郎よりその人物達の事を大まかに聞かされていたのだ。

そう、その人物こそが高町なのは達なのだ。浅倉が実際に彼女達と遭遇したのは一度しかないが、ヴィンデルシャフトは彼女達の使う武器と系統が近かった。

「コイツを使えば連中と同じ事が出来るというわけか……どうやら、考えていたよりは使えそうな武器らしいな」

確かにデバイスを使えば浅倉でもある程度の魔法を使うことが出来るだろう。真面目な話、浅倉が魔力を扱えるかどうかは不明だがカートリッジを使えば純粋に攻撃力を強化することが出来る。
事実として魔力を扱えない少女でもある吸血鬼の両腕を切断した上で更に身体を切り裂いた事が出来た事からもそれは明らかだ。その事を知らない浅倉ではあったが、カートリッジシステムは十分に使える物だと考えていた。

105 :王蛇のブランチ ◆7pf62HiyTE :2009/03/12(木) 18:03:09 ID:S4WyROuK

「待てよ、確かあのガキのママって奴の名前は……」

その最中、浅倉はヴィヴィオが話していた『高町なのは』の事を思い出す。ヴィヴィオの話など殆どまともに聞いていない浅倉ではあったがなのはの事ばかり話していた事もありその事は覚えていたのだ。
ヴィヴィオによるとなのはは優しくて強いという話であった。とはいえ、子供の言う『強い』など殆どアテにしていなかった為、その事については殆ど気に留めていなかった。
浅倉にとって重要だったのはヴィヴィオを餌にして他の参加者をおびき寄せる事でしかなかった為、ヴィヴィオの話など殆ど聞き流していた。

だが『高町なのは』という名前を冷静に思い出した浅倉にとってこれは重要な意味を持つ。

「奴のママも『高町なのは』だったな……あのガキの名前も『高町なのは』……どういう事だ?」

そう、先程も述べた通り浅倉はこの殺し合いに呼ばれる前にもなのはと遭遇しているし、彼女についての話も士郎から聞いている。
だが、その情報には大きな差異が見られる。

士郎から聞いた『高町なのは』は9歳の子供、ヴィヴィオから聞いた『高町なのは』は大人の女性でヴィヴィオのママ、
同じ名前でありながらその人物像には大きな差異が見られる。

「確か名前が2つあったな」

浅倉は改めて名簿を確認する。
実の所、名簿自体は来た時点……ヴィヴィオと遭遇する前にも一度確認はしている。だが、知り合いや仲間、守るべき者のいない浅倉にとって名簿確認は自分と戦うべき強者を確認する為のものでしかない。
さて、名簿を見た限り元の世界にいた仮面ライダーの名前は誰一人としていなかった。士郎と同じ姓を持つ優衣の名前が気になった物の2人の関係に興味など無い浅倉にしてみればどうでもいい話だった。
しかし、名簿の中には士郎から聞かされた仮面ライダーの戦いを妨害する者達の名前があったのだ。

高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやて、シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、クロノ・ハラオウン、ユーノ・スクライア

仮面ライダーの戦いを妨害する者である彼女達の名前を確認した浅倉はその存在をマークしていたのだ。ちなみになのは、フェイト、はやての名前が2つあったもののその時の浅倉は特に気に留めてはいなかった。
ちなみに浅倉が実際に遭遇したのはなのは、はやて、シャマルの3人しかいない為、彼女達以外の実力については知らないが、彼女達の実力を踏まえて相当な物だということは予想出来ていた。

その為、先程の放送でなのは、シグナム、クロノの死亡が知らされた時には戦える相手が減ったことで僅かながらも悔しさがあった。もっとも、他の奴を探せばいいと特に引きずる事もなかったが。

さて、これまで浅倉はずっと『高町なのは』を9歳の少女だと思っており、名簿にでている『高町なのは』は彼女の物だと思っていた。
だが、ヴィヴィオの話では『高町なのは』は大人の女性とある。そうなれば名簿にでている『高町なのは』は彼女の物の可能性があるという事にはならないだろうか?
そして、名簿には何故かなのは、フェイト、はやての名前が2つずつ存在する。もし、これに意味があるとしたらそれは何だろうか?

だが、浅倉はその事について深くは考えず、シンプルな結論を出した。

それは、言葉通りなのは、フェイト、はやては2人ずついるというものである。そして、彼女達の片方が浅倉の知る9歳の彼女達で、もう片方がヴィヴィオの話していた大人の彼女達だと結論付けた。
ちなみに、大人のフェイトがいる事についてはヴィヴィオとシャーリーの会話が耳に入った時に彼女の名前が出ていたことからの判断で、大人のはやてについては大人の2人がいることからの推測である。

無論、どうして同じ名前で年齢の違う2人がいるのかは引っかかるが、浅倉はそれについては特に考えていない。何度も書くが浅倉の目的は戦うことでしかないからだ。

となれば、この後なのは達を探すというのも良いだろうと浅倉は考えた。
既に死亡しているなのはがどちらなのかは分からないが、9歳のなのはの実力は確かな物だし、大人のなのはにしてもヴィヴィオの言葉を信じるなら強い相手という事になるのでどちらにしても相手としては相応しいだろう。
更に、大人のなのはに遭遇したならばヴィヴィオの名前を出せば戦いに応じる可能性は高い。探す意味はあるだろう。

106 :王蛇のブランチ ◆7pf62HiyTE :2009/03/12(木) 18:04:11 ID:S4WyROuK

その一方、浅倉は自身が持っていたカードデッキの事を考えていた。ある程度の武器が揃った為、戦う分には困らない。だが、浅倉は仮面ライダーだ。
出来うるなら仮面ライダーとして戦いたいのが本音である。果たして、自身の持っていた王蛇のカードデッキは何処に行ったのだろうか?

「……他の誰かに支給されたんだろう、ならばそいつから取り返すだけだ」

結論はすぐに出た。
浅倉の支給品を思い出して欲しい、浅倉に支給されたのは鉄パイプ、クラールヴィント、ぬいぐるみである。この内、クラールヴィントとぬいぐるみについて考えてみよう。
浅倉はぬいぐるみを見てイライラしたため投げ捨てたが、その後のシャーリーとヴィヴィオのやり取りからぬいぐるみがヴィヴィオの物であることを聞いていた。
そして、ぬいぐるみと一緒に投げ捨てたクラールヴィントをシャーリーが起動しているのを浅倉は確認している。
浅倉自身、その時はヴィンデルシャフトに夢中で気にも留めなかったが、よく見たらクラールヴィントをシャマルが所持していたのをなのは達と遭遇した時に見たことがある。
つまり、本来はヴィヴィオの持ち物であるぬいぐるみ、シャマルのデバイスであるクラールヴィントが他の参加者である浅倉に支給されていたということである。

それから察するに、自身の武器ともいうべき王蛇のカードデッキも他の参加者に支給されているのは想像に難くない。その人物を探し出して取り返せばいい、浅倉はそう結論付けた。

そして浅倉は首に手を当てる。そこにはプレシアによって嵌められた首輪が着けられている。

「この首輪……イライラさせる……」

首輪はこの殺し合いを嫌がる参加者に強要させる、プレシアに刃向かうのを阻止する為の物だ。
殺し合いからの脱出を目論む参加者については邪魔な物でしかないが、殺し合いに乗った参加者については別に邪魔な物ではない。
また、殺し合いに乗っていても最終的にプレシアも殺すつもりの参加者にとっては邪魔だが、そういった意志がなく放送で言っていた願い事を叶えるつもりの参加者ならば邪魔ではない。
さて、浅倉にしてみればどうだろう?浅倉は殺し合いに乗っていて、なおかつ現状プレシアを殺そうと考えてはいない。願い事については現状考えていないが、せいぜい『戦いの続行』といった所だろう。

しかし、浅倉にとっても首輪は邪魔な物だった。

何て事はない、首輪をさせられているのが気に入らない、イライラするといった単純な理由だ。
だが、その単純な理由であっても浅倉は機会さえあれば首輪を外したいとは思っていた。とはいえ、機会があれば程度でそれに固着するつもりもなかったが。

107 :王蛇のブランチ ◆7pf62HiyTE :2009/03/12(木) 18:15:29 ID:S4WyROuK


さて、これから浅倉はどうするのだろうか?このまま戦いを求め他の参加者を捜しても良いがもう少し休んでもいいだろうと考えていた。
それに時計を確認した所11時を過ぎている。12時になれば放送が流れる、放送となれば新たな死亡者、禁止エリア等といった新たな情報が入る、今後の戦いの為にも放送は聞いておきたいと考えていた。
勿論、それまでにレストランの食料目当て等で他の参加者が来たのであればその人物と戦うつもりではある。

では、放送が終わり情報がまとまった後はどうするか?放送の内容にもよるが、戦える参加者を求めて市街地にある人が集まりそうな施設に向かうのも良いだろう。

しかし、ここで浅倉の脳裏にある手段が浮かぶ。

別にこっちから参加者を探しに行くばかりが能ではない。逆に向こうからやって来るのを待ちかまえるというのも1つの手である。そう、何かしらの手段で他の参加者を誘き寄せ、彼等を迎え撃つという手段だ。

問題はどうやって参加者を誘き寄せるか……浅倉はレストランの厨房のコンロを思い出し……

「燃やしてみるか?」

【1日目 昼】
【現在地 F-6】
【浅倉威@仮面ライダーリリカル龍騎】
【状態】右手に火傷、満腹
【装備】ライダーベルト(カブト)@魔法少女リリカルなのは マスカレード、マシンガンブレード@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、ヴィンデルシャフト@魔法少女リリカルなのはStrikerS、肉×10kg、魚×10kg、包丁×3、フライパン×2、食事用ナイフ×12、フォーク×12
【思考】
 基本:戦いを楽しむ。戦える奴は全員獲物。
 1.放送まで休む。但し、放送前に誰かが来た場合はそいつと戦う。
 2.放送後、戦える者を探す為市街地にある施設に向かうか?もしくはレストランを燃やし他の参加者を誘き寄せようか?
 3.王蛇のカードデッキ、及びカブトのベルトに填める物(カブトゼクター)を探す。
 4.回復した天道と戦う時にはベルトを返した上で戦う。
 5.なのは(sts)と遭遇した時にはヴィヴィオの名前を出してでも戦ってもらう。
 6.キング、鎌を持った奴(キャロ)、なのは、フェイト、はやて、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、ユーノと戦う。
 7.首輪にイライラ、外したい
【備考】
 ※プレシアは殺し合いを監視しており、参加者の動向を暗に放送で伝えていると考えています。
 ※ヴィンデルシャフトのカートリッジシステムに気付きました。
 ※カブトに変身できる資格があるかどうかは分かりません。
 ※なのは、フェイト、はやては自分の知る9歳の彼女達(A's)とヴィヴィオの言っていた大人の彼女達(StS)の2人がいると考えています。

108 : ◆7pf62HiyTE :2009/03/12(木) 18:16:46 ID:S4WyROuK
投下完了致しました。

今回のサブタイトルの元ネタは毎週土曜日に放送されている超大型情報バラエティ番組『王様のブランチ』です。

……普通に肉が食いたくてレストランに行く浅倉ってどう?

109 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 21:07:57 ID:SDD9CehJ
投下乙です。
肉が食いたいからってレストランに行くなんて浅倉www
そして何気に最後物騒なこと言ってんじゃねえw
これ以上会場の施設を粗末にするなよ

一つ指摘
OPの時にプレシアが元々の道具は全部没収して皆に配ったと言っているので
>>106のように回りくどい事考えないと思います。

110 : ◆7pf62HiyTE :2009/03/13(金) 09:46:57 ID:WFQlVG6c
感想ありがとうございます。まあ、最後の物騒な発言についてはまだ確定ではないのでその辺は次の書き手次第と……

で、指摘についてですが言われてみれば浅倉ならばOPのプレシアの発言を聞き逃すわけもないので、
そこまで回りくどくは考えないですね。

その辺の部分を修正して後ほど該当部分の修正版を修正用スレに投下します。

でも、参加者の中にはそのOPの発言を忘れて勘違いしている参加者もいるんですよね……(誰とは言わないけど。)

111 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 12:18:30 ID:8SLmAJ8O
投下乙です
浅倉はマーダーなのか危険対主催なのかわからん
だがそれがいいw
次の書き手次第だけど燃やしたらどうなるやらw
もう施設とか壊すだけ壊せw


112 :暇をもてあました神々の遊び ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/13(金) 13:10:55 ID:6XHtJpb9
代理投下行きます

////////////////////

 ばちっ、と。
 光と共に鳴り響く烈音。
 木々の間より漏れる光は、さながら地上の太陽のごとく。
 否、それは太陽ではない。晴天に煌く恒星ではない。
 轟々と降りしきる雨空の中、暗闇の中で吼える雷光だ。
 揺らめく輝き。迸る電圧。1人の男が雷となり、その身をぐねぐねとよじらせている。
 ばちっと電流が地を駆けた。木の葉が煽られ宙に舞った。そのまま瞬時に消し炭と化した。
 どれほどそれが続いただろう。
 光と音は姿を消し、急速にその実態が露わとなっていく。
 屈強な筋肉を纏った上半身。背中に負うのは雷神の太鼓。顔から垂れる異様な耳朶。
「ウ〜ム……」
 首をぐりぐりと回しながら、半裸の男――エネルが不満げに呟いた。
 あの漆黒の闘士・仮面ライダーカリスと戦う直前、北西へ向かうと決めたエネルが、何故こちらの北東側にいるのか。
 理由は簡単。今は北西へ行くとは言っていないから。
 そもそもそこから更に時間を進めていき、カリスを倒した直後を見てみると、彼は「北へ行く」と決断している。
 北西ではない。
 北なのだ。
 もはや北東でも北西でもどっちでもよかったのだ。
 戦いに集中するあまり、エネルの記憶の中からは、「西」という意識がすっぽりと抜け落ちていた。
 微妙に間が抜けているのは、彼らしいと言うか、何と言うか。
「やはりそう簡単には外れんか」
 首に巻かれた冷ややかな感触を、なぞる。
 先ほど彼が上半身を雷化させていたのは、この爆弾首輪の拘束を解こうとしていたからだ。
 自然(ロギア)系に分類される悪魔の実の能力は、能力発現に伴い変化した身体を、自在に動かすことができる。
 例えば、雷と化した両腕を伸ばし攻撃する、などといった具合だ。
 ふと、それを利用すれば、この忌々しい首輪を外せるのではないかと思ったのだが、どうにもそうはいかないらしい。
 雷化させた腕を滑り込ませて、内側から押し広げようとしても、隙間に入ることすらなかった。
 首を雷化させて縮めてみようかとも思ったが、どうやら手足以外は生身のままのようだ。
 絶対神たるこの自分が、こうした現状に甘んじるのは決して面白いことではない。
 そして今更この男が、何故そんなことにまで意識を向けているのかというと。
「いつになったら、次の獲物にありつけるのだ……」
 簡単なことだ。
 暇だったから。
 カリスを叩きのめしたエネルだったが、その後は他の参加者と、全く遭遇していない。
 心網にも一向に引っかかる気配もない。
 ここに来るまでにあった広大な平野ならば、誰かを見つけられてもいいようなものなのだが。
 先の戦いはそれなりに楽しめたが、その余韻も時が移れば薄れてくる。
 今あるのは不満と退屈の2つのみ。
 この先こうしたことが続かないとも思えない。何度も何度も同じ不快感を覚えていてはたまらない。
 このまま北へ行くにしても、こう苛立っていてはたまらない。
「……仕方がない」
 何かを決心したように、呟く。
 そして太鼓に重ねるようにして背負っていた、デイパックを地へと下ろした。
 ファスナーを開け、口を開く。
 エネルが探すものは地図。
 参加者の集まりやすい施設を探し、そこに向かって弱者を嬲る。その位置特定のための手段。
 神たるもの、あまりこうした便利アイテムには頼りたくなかったが、そうこう言っていても仕方がない。
 これだけ広いフィールドだ。
 殺し合いを円滑に進めるためにも、地図くらい配られていて然るべきだろう。そうした思考の元の判断。
 がさごそと鞄の中を漁ると、手のひらがある感触を訴える。
 薄い形状。紙の質感。
 やはりあった。これが地図だ。
 そう思い、それをさっと抜き出したのだが、

113 :暇をもてあました神々の遊び ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/13(金) 13:12:04 ID:6XHtJpb9
「何だ、これは」
 それは地図ではなかった。
 基本支給品という点では、同じなのだが。
 白地の紙に、びっしりと埋め尽くされた人名の数々。ぱっと見では何かの名簿のようだ。
 程なくして、自分の名前を見つける。
 エネルの名の頭文字はア行だ。五十音順では見つかるのも早い。
 自分の名が書かれていたことから、これはこのデスゲームの参加者名簿なのだと判断。
「……いらんな」
 途端に興味をなくしたように、そのまま鞄へと戻した。
 ここに書かれている者はみな獲物。どうせ皆殺しにする存在。
 そんな連中の名前など、いちいち知る必要もないだろう。
 そしてまた手を突っ込むと、名簿を避け、がさごそと中身を探り出す。
 鞄の中を漁ると、手のひらがまたある感触を訴えた。
 薄い形状。紙の質感。
 やはりあった。今度こそ地図だ。
 そう思い、それをさっと抜き出したのだが、
「何だ、これは」
 それも地図ではなかった。
 しかも今度は、基本支給品ですらない。全く見覚えのない代物だ。
 そこにあるのは、顔。
 紙一面の顔、顔、顔。
 きっかり60枚の顔写真が、びっしりと一面に貼り付けられている。
 先ほどの名簿のナンバリングが1から60までだったことを考えると、これは参加者の顔写真表なのだろうか。
 よくよく見ると、これまでに遭遇した青海人達の顔写真も貼ってある。
 1人だけ、それとはまた別の場所で見たような顔もあった。
 確か自分に刃向かってきた不届きな女のはずだが、どのタイミングで会ったかは覚えてない。
 神にとって、反逆者を屠ることなど日常茶飯事なのだから。
 だが、参加者の写真表にしては不親切な作りだ。
 ただ写真が貼ってあるだけで、それが誰なのかを示す名前がない。
 名を知らぬエネルにとっては知る由もないが、並ぶ順番も五十音順とは関係ない。名簿と照らし合わせても分からないということだ。
「……いちいちいらぬ物ばかり」
 そしてまたしても、興味なさげに鞄へと戻す。
 先ほど思ったばかりではないか。狩られる獲物の素性になど興味はない、と。
 故にこの写真表も、とりわけ何かに使うこともなく、そのままお蔵入りとした。
 もっとも、エネルはある事実に気付いていない。
 ただ無関心にぼんやりと眺めていたが故に、その事実に気付こうともしていない。
 茶髪のサイドポニーとショートヘア、それから金髪のロングヘアー――高町なのは、八神はやて、フェイト・T・ハラオウン。
 それら3人娘の顔と瓜二つの、それも10歳は年下の顔が、それぞれ1人ずつ載っていることに。
 彼女らを詳しく知る人間ならば気付くだろう。
 なのは達はそれぞれ、このフィールドに2人ずついると。
 10歳と19歳の彼女らが、同じ世界の同じ場所へと連れ込まれたのだ、と。
 だが、所詮は人間の事情。神にとってはどうでもいいことだった。
 そして三度バッグを漁り、今度こそ地図を見つけ出す。
 付属のコンパスと共に位置確認。川伝いにここまで来たことを考えると、現在地はC-7といったところか。
 現在地よりも北に位置する施設は4つ。
 温泉、墓地、神社、工場だ。
 工場に行けば首輪を外す機材も手に入るかもしれないが、これは諦めた方がいいだろう。
 自分は神だが全能ではない。
 機械弄りなどの細かい作業の知識はない。どうでもいい知識は持ち合わせていないのだ。
 その線を除外し、再度思考。さて、どこへ行くべきか。

114 :暇をもてあました神々の遊び ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/13(金) 13:12:59 ID:6XHtJpb9
「……神社……“神”の社か。よし、気に入った」
 悩むまでもなかった。
 即断し、エネルはデイパックを背負い直す。
 目指すは神社。川を越えたその先の施設。
 実際に神社を見たことはない。どんな場所かは分からない。人が集まるかどうかは分からない。
 されど名前が気に入った。その名の響きが気に入った。
 そこが神の社ならば、神である自分が行かぬ道理はない。
 こうなると残された問題は1つだ。
 視線を西に傾けると、そこには川が1つある。
「ふぅむ……」
 さて、これをどうやって乗り越えようか。
 ゴロゴロの身の能力で積乱雲を作り、それに乗って通るのが一番の良策。だがそれだけではつまらない。
 自分の身体能力に任せ、助走をつけて思いっきりジャンプ。だがそんな力技はただの馬鹿。
 先ほどのように電撃を行使し、川の水を蒸発させる。だが繰り返しでは芸がない。
 何せ今の自分は退屈しているのだ。
 普段なら無難な手段でも我慢しよう。だが、今は何かしらの遊び心が欲しい。
 何かないか。何かないか。
 何か面白いアイデアはないものか。
 そう思いながら、何の気なしに周囲を見渡す。
 と、その時。
「……そうだ」
 ばちっ、と。
 再び響き渡る音。
 再び煌く眩い光。
 視線の先に映ったものへと、エネルの雷が一直線に伸びる。
 どしん、と。
 続いて鳴り響くのは、鈍い音。
 何かが勢いよく倒壊する音。
 落ちてきたそれの元へ歩み寄り、軽々とキャッチ。
 そのまま悠然と歩いていき、川に向かって勢いよく下ろす。
 落ちてきたそれが、川の対岸へと届けば、
「ヤハハ、いい具合だ」
 ――即席丸木橋の出来上がり。
 足をかける。木の上へと立つ。
 自らが倒した大木の上を、のっしのっしと歩いていく。
 成る程、これはこれで面白い。何より自分でこの木を倒したという征服感。
 神の遊戯にはちょうどいい。
「ヤッハハハハハハハ……」
 随分とご満悦といった表情を浮かべながら、エネルは橋を渡っていった。


【1日目 午前】

【現在地 C-7 川の西側】
【エネル@小話メドレー】
【状態】疲労(中)、胸に大きな打撲痕
【装備】ジェネシスの剣@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使
【道具】支給品一式、顔写真一覧表@オリジナル、ランダム支給品0〜2
【思考】
 基本:主催者も含めて皆殺し。この世界を支配する。
 1:神社に向かい、狩りを楽しむ
【備考】
 ※心網の策敵可能範囲がおよそ1エリア分であることに気付きました。
 ※漆黒の鎧を纏った戦士(カリス)及び相川始を殺したと思っています。
 ※ゴロゴロの実の能力を駆使しても首輪を外せないことに気付きました。
 ※制限に気付きました。
 ※なのは(StS)のことは覚えていますが、彼女と会ったのがいつどこでなのかは覚えていません。
 ※なのは・フェイト・はやての3人が、それぞれ2人ずついることに気付いていません。

115 :暇をもてあました神々の遊び ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/13(金) 13:13:51 ID:6XHtJpb9
 海鳴温泉。
 かのエース・オブ・エース――高町なのはの地元海鳴市の、郊外の山林に位置する温泉施設だ。
 つい先刻、1人のブリタニア人の少女が、1人の男を見つけた場所。
 そして今、その時と全く同じ男を、1人の少年が連れ込んでいる。
 がらっ、と。
 ガラス戸の開く音。
 ひた、ひた、ひた。床を打つのは、湿気を含んだ素足の音だ。
 わしゃわしゃとタオルが擦れる。濡れた茶髪を拭う音。温かな水分を吸い込んでいく布。
 スマートに引き締まった男性の裸体を、タオルが余すことなくなぞっていく。
 首筋を。胸板を。両腕を。腹を。腰周りを。太腿を。足の先まで。
 そうして全身の湿気を拭き取った後、己が衣服へと手を伸ばす。
 下着を身に着け、ズボンを穿き、黒いシャツの上に赤いジャケットを羽織り。
「……ふぅ、いいお湯だった」
 そう。この少年――キングは、今の今まで入浴中だった。
 殺し合いの最中に呑気なことを、とも思うかもしれないが、これが彼の地なのだから仕方がない。
 呑気な振る舞いは自信の証。アンデット最上位種・カテゴリーキングの矜持の印。
 もっともその割には、キングの言動にはいささか威厳がないようにも思えるが。
「キース・レッドのARMSは、高出力の振動兵器、っと……よし、これで全部」
 ぱちん、と。
 言いながら、手にしていた携帯電話を閉じる。
 呆れたことにこの男は、風呂の中でもそれを弄っていたようだ。防水加工も施されていないというのに、だ。
 だが、何も目的もなく操作していたわけではない。
 おかげで「CROSS-NANOHA」に登場する人物の特徴を、大体把握することができた。
 具体的には、性格と、大まかな戦闘スタイル。
 彼自身でたとえるならば、「飄々泰然としたアンデットで、剣と盾が武器」といったところ。
 そして、得られたものはそれだけではない。
(それにしても……まさかゼロの正体まで載ってるとはねぇ)
 にやり。
 邪悪に歪む少年の顔。
 つい先ほど出会った、オレンジ色の髪の少女――シャーリー・フェネットの言っていたテロリスト。
 ゼロとかいう男の正体が、このサイトには記載されていたのだ。
 その名はルルーシュ・ランペルージ。名簿の中でも、一番後ろに名前が載っていた男。
 なんと皮肉なことか。あの少女の憎むべき相手は、同じ学校の生徒だった。
 なんと滑稽なことか。あの少女の殺すべき相手は、生徒会の仲間だったのだ。
(これは何としても教えてあげなくちゃ)
 ああ、あの娘はどんな反応をするのだろう。
 仇敵の正体が友だと知った瞬間、彼女はどんな顔を見せてくれるのだろう。
 信じていた者の裏切り。無実の者を敵視し見捨てた罪悪。
 彼女の心はどんな音を立て、どんな形の破片をばら撒いて砕け散るのだろうか。
 考えるだけでもゾクゾクする。想像するだけでワクワクする。
 さぁ、そうと決まれば天道を叩き起こし、早くシャーリーを追いかけなければ。
 あの方角にはキャロがいるが、浅倉がいい具合に引き付けてくれているだろう。
 自分の楽しみ、そして同時に、天道の無実を証明するためにも、早いところ合流しなければならない。
 あいつには生きていてもらわなければ困るのだ。冤罪で殺されてはたまらない。
 そんなことを考えながら廊下を歩き、がちゃりと扉を1つ開け、同行者を寝かせていた部屋を覗き込んだ瞬間、
「……あれ?」
 いるべき人間がいないことに気がついた。
 あるべき姿がないことに気がついた。
 天道がいない。
 畳の上に無造作に寝かせ、適当にシーツをかけていたあいつが、その床に転がっていない。
 これは一体どういうことだ。
 あいつはどこに消えたんだ。
 一歩、部屋の中へと踏み込む。

116 :暇をもてあました神々の遊び ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/13(金) 13:15:35 ID:6XHtJpb9
「――お前か。俺をここに連れ戻したのは」
 と。
 声は、すぐ左から響いた。
 首を傾けると。
「何だ、もう起きてたのか」
 あの天然パーマの青年が、戸口の真横に立っていた。
 顔色は悪くない。キャロの治療は完璧なようだ。少なくとも、応急措置程度には。
 その手に握るのは刀の鞘。確か天道の支給品にあったものだ。どうやら警戒されているらしい。
「その通りだよ。……ほら、そんな怖い顔しない」
 肩を竦めながら、部屋の中へと踏み入る。
 机のところにあった座布団へと、どっかと胡坐をかいて座り込んだ。
 そしてキングは、視線で天道を向かいへと促す。机を挟んだ反対側に、彼も同じように腰を預けた。
「はじめまして、天道総司。僕の名前はキング」
「何故俺の名を知っている」
「首輪を見たのさ。自分では見えないけど、後ろの方に書いてあった」
 証拠として、後ろを向き、自分の首筋に刻まれた名前を見せた。
 これは天道をここへと運んだ時に気づいたことだが、どうやらこの首輪は名札としての役割も担っているらしい。
 その首輪をつけた人間の名前が、ナンバーと共に裏側に記載されているのだ。
 他人の名前を騙って好き放題する、いわゆるなりすましができないのは残念だったが、これは諦めるしかない。
「俺は何故ここにいる。一緒にいた、桃色の髪の子供はどうした」
「君が1人で倒れてたから、僕がバイクでここまで運んだんだよ。それっぽい子は見てないなぁ」
 これは嘘だ。
 実際、該当する少女とは、先刻濃密に関わっている。
 何せ他ならぬキング自身が、彼女の心を破壊してやったのだ。
 気弱なキャロ・ル・ルシエの心をへし折り、殺人鬼へと変貌させてやった。
 もちろん、それを馬鹿正直に語るわけにはいかない。それでは敵と見なされる。
 誰かにさらわれただの何だのといった、細かな嘘でだますのも駄目だ。
 余計な設定を付け加えようものなら、後々で矛盾が生じる可能性だってある。
「………」
 天道は特に何も応えない。
 自分はまだ疑われているのだろうか。まぁ、こうして会話することに支障がないのだから、そのあたりは目をつぶろう。
「……放送があったはずだが、誰か殺された奴はいるのか?」
 と、ややあって、次の問いがかけられる。
「ああ、いるよ。
 アグモンにエリオ・モンディアルにカレン・シュタットフェルト、神崎優衣、ギルモン、クロノ・ハラオウン。
 シグナムに殺生丸と、それから高町なのはにティアナ・ランスター、ディエチと、あとは、ミリオンズ・ナイブズと矢車想だったかな」
「13人か……あまりに多すぎる」
 これまで無表情だった天道の顔に、微かな揺らぎが生じていた。
 苛立ちと無念。
 つらいだろう。苦しいだろう。
 お前が眠っている間に、13人の人間が死んだのだ。正義漢には厳しい現実だろう。内心で、ひっそりとほくそ笑む。
 ここで教えておくべきことは、大体これくらいだろうか。
 さて、では用件を切り出そう。シャーリーを追いかけることを提案しよう。
 そうしようとした、その時。

 ――ごろごろ、ごろごろ。

 と。
「?」
 遠くより、音が響いた。
 奇妙な音が。遠雷のような轟音が。

117 :暇をもてあました神々の遊び ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/13(金) 13:16:39 ID:6XHtJpb9
「今の音は?」
 どうやらそれには天道も気づいたらしい。無論、その異常性にも。
 窓外を見れば、今この会場の天気が快晴であることは、誰でも理解することができる。
 無論、そんな天候で雷鳴が聞こえるはずがないのだ。それでも音が聞こえたのだ。
 普通の電撃とは違う、本当に雷のような音。誰かが攻撃でもしたのだろうか。
 記憶の中に、該当する人物は――
「……多分、エネルって奴だと思う」
 1人だけ、存在した。
 神(ゴッド)・エネル。
 数多の雷鳴を自在に操り、自ら神を名乗る傲慢な男。大体そんな感じの印象。
 電撃使いならばフェイト・T・ハラオウンもいたが、こちらは雷撃とはまた違うだろう。
「このゲームが始まった頃に会って、襲われたんだ。何とか逃げ切れたんだけど」
 これも嘘だ。
 そんな奴とは一度も会っていない。
 だが、こうでも言い訳しなければ、エネルを知っていることの理由づけができやしない。
 ならば最初から伏せておいた方がいいではないか。そう思うかもしれないが、生憎とそういうわけにはいかないのだ。
「物凄く危険な奴だから、係わり合いにならない方がいいと思うけど……」
 これは本当。
 そしてこれこそが、彼が嘘をついてまで、自称神の名を持ち出した理由。
 相手の正確な実力は分からない。だが確かなことが1つある。奴は無数の雷を操るような敵なのだ。
 悔しいが恐らく奴の実力は、コーカサスの姿を晒した自分以上。天変地異を支配する敵に、そうそう勝てるはずもない。
 武器に乏しく天道が生身の現状では、到底勝ち目があるとは思えない。
 故に、今は避けなければならないのだ。こいつを殺されるわけにも、もちろん自分が死ぬわけにもいかないから。
 だが、しかし。
 天道は、
「……いや、ここは攻めるべきだ」
 あっさりと。
 驚くほどに平然と。
 そう言ってのけた。
「はぁ!? 何でそうなるのさ!?」
 理解不能。意味不明。
 さっぱりわけが分からないといった様子で、素っ頓狂な声を上げる。
 普段のキングらしからぬ、余裕のかけらもない反応だ。
 だが、無理もない。普段のキングでいられるはずもない。返ってきた返事が普通でないから。
 今の流れなら、戦いは避けるべきだと分かるだろう。常識的に考えて。
「危険な奴なら、なおさら放っておくわけにはいかない。放逐すれば、大勢の命を奪うことにもなりかねん。
 それに、あの子供のこともある……位置や時間を考えれば、奴に襲われているのがアイツだとしても、おかしくはない」
 さらり、さらりと言ってのける天道。
 全く、こいつは自分が何を言っているのか、本当に分かっているのだろうか。
 要するにこういうことだ。
 これ以上犠牲を出すわけにはいかないから、危険な奴は今のうちに抑えておきます。
 今から雷を操る化け物に、刀を持っているだけの人間たった2人で挑みに行きます。
「……バカ? そんなの自殺行為じゃん」
 考えるまでもない。
 そんなこと、現実的にできるわけがない。
 正確には自分も化け物なのだが、丸腰の天道を守りきれるかどうかと問われると、正直微妙なところだ。
 リスクが大きすぎる。できるわけがない。

118 :暇をもてあました神々の遊び ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/13(金) 13:18:07 ID:6XHtJpb9
 それでも。
「俺が死ぬわけがない。天が俺に味方する限り、俺が天を信じる限り、俺は何者にも負けはしない」
 そうはっきりと言い切りながら、天道は席を立つのだった。
 そのまますたすたと畳を進み、戸口の外へと歩いていく。
 本当に、何なのだこいつは。
 ライダーのベルトも持っていないのに、何故こんなにも自信たっぷりでいられるのだ。
 ここまでくると、もはや妄信か何かじゃないんだろうか。
(……正直、ここまでわがままな奴だとは思ってなかったよ……)
 どうやら自分は、この天道総司という男を侮っていたようだ。
 中途半端なナルシストではない。こいつは本物の馬鹿だった。
 それこそ、救いようのないほどに。
「はぁ……」
 1つ、ため息をついた。



 ――死にすぎだ。
 エンジン音を耳にしながら、天道総司は思考する。
 自分が無様に眠っている間に、13人もの命が喪われてしまった。
 全体の参加者は60人。既に5分の1以上が死んでいる。いいや、更に見せしめになった娘も1人。
 死なせないつもりだった。奪わせないつもりだった。
 自分がここにいる限り、誰一人として喪わせず、守り抜こうと決意していた。
 だが、現実は無情極まりない。自分があのライダーの攻撃に倒れた結果、犠牲はゼロから12になった。
 矢車想はもういない。恐らく自分と同じ目的の下に動くであろう、同じ仮面ライダーの命はここにはない。
 高町なのはももういない。未来ある子供の命さえ、無惨に砕け散ってしまった。
 クロノ・ハラオウンももういない。子供に括るにはやや年上な印象ではあったが、散っていい命ではないはずだ。
 その他10人の命もまた、自分が不甲斐ないがために命を散らした。
 そもそも見せしめを含めれば、最初からゼロですらなかったではないか。
(これ以上は死なせない)
 強く、強く。
(総てこの俺が救い出す)
 決意を固める。
(俺は天道総司。天の道を往き、総てを司る男……)
 おばあちゃんが言っていた。
(俺にはその力がある)
 ならばこそ。
(力の責任は、俺が果たす)
 総てを司る男には、その総てを守る義務がある。
 微かな振動に揺られながら、揺ぎない信念をその胸に抱いた。

119 :暇をもてあました神々の遊び ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/13(金) 13:19:00 ID:6XHtJpb9
 さて、その天道だが、今はバイクの上に乗っている。
 彼の赤き鋼の愛馬・カブトエクステンダー。その体躯に身を預け、雷鳴の元へと移動している。
 正確には、乗っている場所は運転手の背後だ。
 今このバイクのハンドルを握っているのは、赤いジャケットを羽織ったキング。
 では何故、天道がそのハンドルを許したのか。
 当然カブトエクステンダーは彼の持ち物だ。他人が我が物顔で乗り回すなど、到底許せた話ではない。
 キングは「怪我人には任せておけない」と言ったが、普段の彼ならその程度では引き下がらない。
 だが、しかし。
 今回は話が別だった。
 そのキングに問題があったのだ。
(こいつは信用できん)
 案の定、天道はこの少年を未だ警戒している。
 確たる証拠があるわけではない。だが何となく、この少年の纏う気配が、こいつを信用してはいけないと訴えているのだ。
 強いて言うならば、その感性こそが最大の証拠。
 この俺が怪しいと言っているのだ。それが間違っているはずなどない。
 故に、こいつから目を離すわけにはいかなかった。
 あの場でごねていたのなら、キングはうんざりして別行動を提案するだろう。
 それを許すわけにはいかない。こいつも野放しにしていては危険だ。
 そう判断し、ここは折れることにした。それくらいの心の広さも、天の道を往く男には必要だ。
 と。
「うわ」
 きぃ、と音を立て、カブトエクステンダーが停止する。
 視界に移りこむのは川のせせらぎ。ブレーキの理由はそこにある物。
 大木だ。
 大きな木が根元から切り倒され、川に橋のようにして渡されている。
 切断面を見てみれば、真っ黒に焼け焦げた跡があった。先ほどの雷撃は、ここに命中していたのだろうか。
「野郎、この橋を渡ってったのか……」
 うんざりしたように、キングが呟く。
 これはさすがにバイクでは渡れない。
 円柱形の足場は不安定だ。気をつけていなければ、徒歩でも足を取られる。
 まして、それを乗り物で移動するならばなおさらだ。乗った途端に即落下。
 さてどうするか。このままバイクを降りて渡るか。だがバイクを失うのは惜しい。
 そう思っているのだろう。
「運転を代われ。俺が走る」
 問題外だ。
 この程度の障害物、やる前に諦めてなどいられない。
 こんな足場を渡るくらい、自分ならば造作もない。自分にはそれだけの力量がある。
「はぁ? 何言ってんのさ。こんな足場、物理的に渡れるわけが――」
「お前にはできない。俺にはできる。俺に不可能などありえない」
「……はいはい分かりました。どうなっても知らないよ、ったく……」
 きっぱりと言い切った天道を前に、キングもやれやれといった様子で了承した。

120 :暇をもてあました神々の遊び ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/13(金) 13:20:58 ID:6XHtJpb9
 













 十数秒後。

 向こう岸には。

 さながら平地を走るように、見事に丸木橋を渡りきった、真紅のバイクの姿があったそうな。

 これもまた、神々に愛された者にのみ許される遊戯……














 ……なの、だろうか?



「だから言っただろう。行くぞ。ぐずぐずしている暇はない」
(……もう嫌だ、コイツ……)

121 :暇をもてあました神々の遊び ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/13(金) 13:22:10 ID:6XHtJpb9
【1日目 午前】
【現在地 C-7 川の西側】

【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】
【状態】右脇腹負傷(身体を動かすことはできるレベル)
【装備】カブトエクステンダー@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【道具】支給品一式、爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸、ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル
【思考】
 基本:出来る限り全ての命を救い、帰還する。
 1.天の道を往く者として、ゲームに反発する参加者達の未来を切り拓く。
 2.エネルを捜し、他の参加者に危害を加える前に止める。
 3.カブトゼクターとハイパーゼクターを取り戻してみせる。
 4.俺が望みさえすれば、運命は絶えず俺に味方する。
 5.キングは信用できない。常に警戒し、見張っておく。
【備考】
 ※参戦時期はACT.10冒頭。クロックアップでフェイト達の前から立ち去った直後。
 ※なのは、フェイト、はやて、クロノは一応信用、矢車は保留、浅倉は警戒しています。
 ※身体がいつものように動かない事を知りました。
 ※首輪に名前が書かれていると知りました。
 ※キャロがエネルと共にいて、かつ危険な状態に置かれている可能性が高いと踏んでいます。
 ※既にエネルは、目視では確認できない位置まで移動しています。

【キング@魔法少女リリカルなのはマスカレード】
【状態】健康、うんざり
【装備】なし
【道具】キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【思考】
 基本 この戦いを全て滅茶苦茶にする
 1.エネルを追いかける
 2.天道で遊ぶ
 3.こいつ、思った以上にやりづらい……
 4.浅倉とキャロに期待
 5.はやてとの合流は後ででも良いかな
 6.はやてとヴィータの決着が着いたら、残ったほうに真実を伝えて、その反応を楽しむ
 7.シャーリーに会ったらゼロがルルーシュだと教える
 8.とにかく面白いことを探す
【備考】
 ※制限が掛けられている事に気がつきました
 ※ゴジラにも少し興味を持っています
 ※携帯電話は没収漏れです。写メ・ムービー以外の全ての機能は停止しています。
 ※携帯には相川始がカリスに変身する瞬間の動画等が保存されています。
 ※キングの携帯に外部から連絡出来るのは主催側のみです。
 ※カブトの資格は持っていません
 ※キングの携帯のお気に入りフォルダに『CROSS-NANOHA』へのリンクが存在します。
 ※首輪に名前が書かれていると知りました。
 ※全ての参加者の性格と、おおまかな戦闘スタイルを把握しました。特に天道に関しては、念入りに調べてあります。
 ※ゼロの正体がルルーシュだと知りました。


【顔写真一覧表@オリジナル】
 参加者の顔写真が貼られた紙。順番はランダムであり、名前も書かれていない。

////////////////////

代理投下終了

122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/13(金) 14:50:08 ID:6XHtJpb9
投下乙です。
エネルは相変わらず奔放な性格しているなあw
そして流石のキングも唯我独尊天道調には若干戸惑い気味か
あとどことなく神社ヤベェェェ

123 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/14(土) 00:28:01 ID:EbHe6B1I
投下乙です
確かにエネルは奔放でロワ満喫してるなw
うわ、神社に居る奴が危ないwww
そしてあのキングが引いてるなんてすごいぞ
面白くなってきましたw

124 : ◆HlLdWe.oBM :2009/03/16(月) 23:02:58 ID:MP68caGQ
八神はやて(StS)、シャマル、クアットロ、ヴィータ、セフィロス、エネルで投下します

125 :未知あるいは既知との遭遇 ◆HlLdWe.oBM :2009/03/16(月) 23:04:02 ID:MP68caGQ
D-5を流れる川に架かっている一本の橋。
現在その橋のすぐ傍にいる八神はやての目の前では何とも珍妙な光景が繰り広げられていた。
それはあちこち破けた制服のせいで素肌が所々曝け出されたクアットロがシャマルに抱きついているという光景。
どう考えてもはやてが元いた世界では到底ありえない光景だ。
しかもクアットロは何かに怯えたように泣き喚きながら色々と丸出しという状態。
詳しく言うと左胸とか太腿とかお尻とか――補足説明すると下着を付けていないのでアソコもばっちり見えている状態だ。
はっきり言って色々と不味い。
この場にいるのがはやてとシャマルとクアットロの女性3人だけだとしても流石に不味い。
殺し合いの場でいろいろ露出するとは無防備もいいところ、そうでなくても精神上どうかと思われる状態だった。

「え、あぁ、クアットロ。シャマルから色々と話は聞いているけど……その、なんや、まずは着替えよっか」
「……そ、そうですね! ではお言葉に甘えて――」

さすがのクアットロも今の格好の不味さを感じて、慌てて座り込んで自分のデイパックからナンバーズスーツを取り出そうとした。
その様子はとてもあの冷酷な策士であったクアットロとは思えないほど拍子抜けするものだった。
クアットロの傍で様子を見ているシャマルは勿論の事、はやてでさえクアットロに対する警戒心を僅かながら緩めてしまう。

だが、それこそがクアットロの狙いだという事にはやてもシャマルも気付けなかった。

二人は「わざと無様な姿を晒して二人の警戒心を解く」というクアットロの策に見事に嵌っていた。
策士クアットロは心中で自分の迫真の演技を褒めつつ、騙されている二人に侮蔑の言葉を投げかけるのだった。
だが実際は演技ではなくキャロへの恐怖から来るものが多分に含まれていた事にこの時クアットロは気付く由もなかった。
寧ろ気付かないふりをしていたと言う方が正しい。
それを認めてしまえば自身のプライドに傷が付く事を無意識の内に察していたからだ。

そんな事は露知らず、ふとシャマルはある事を思い出してクアットロに声をかけた。

「あ、クアットロ。確かはやてちゃんの支給品の中に服があったけど」
「え、そうなんですか?」
「ん? あ、そういや入っていたなあ。でも一つはスモーカー大佐のジャケットやし、着るとしたらもう一つの方やけど……」

もう既に半ばナンバーズスーツを取り出していたクアットロだったが、その申し出は有難かった。
はやては知らないが、今クアットロが陵桜学園の制服に身を包んでいるのは要らぬ諍いを生まないためだ。
だからクアットロははやての持っているという服に興味を持ったように見せかけるために、とりあえず気になった事を聞いてみた。

「誰ですか、そのスモーカー大佐って?」
「さあ、知らん。オプションで煙草と海楼石付き十手が付いているから、どこかの軍人さんかも――」


「女、今『海楼石』と言ったか?」


それは突然の乱入者だった。
声が聞こえた方に視線を向けると、そこには一人の男が立っていた。
しかしその格好は上半身裸で雷様のような太鼓を背負い、おまけに耳が異様に長くて頭にはターバンを巻いている。

(なんや、あの変な格好の人? 自分の姿を何とも思ってないんか)

絶賛半裸状態のクアットロを横目に見つつ、はやてが抱いた第一印象はそれだった。
突然の乱入者に唖然とするばかりだったが、ようやく質問されたのはどうやら自分らしいという事に一泊遅れて気付く。
クアットロを早く着替えさせないと色々と不味いが、はやての中のクアットロは未だに要注意人物のレッテルが健在。
だからこの状態が続いてもあまり気の毒には思わなかった。
とりあえず無言の状態が続く事はあまり好ましくないようなので無難に答えを返しておく。

「ええ、確かに海楼石を持っていますが? えっと、私は八神はやてって言うんですけど、あなたの名前は?」
「神・エネルだ。冥土の土産に刻んでおけ」
「それってどういう意味――ッ!!」

126 :未知あるいは既知との遭遇 ◆HlLdWe.oBM :2009/03/16(月) 23:05:04 ID:MP68caGQ

はやての質問が最後まで言い終わらぬうちにエネルの答えは出ていた。
その答えは神の裁き≪エール・トール≫。
エネルの手が光輝いて放電し始めたと思ったら既にこちらに向かって雷が走っていた。

(ちょっ、こんな攻撃ありかいな!?)

エネルの理不尽な雷撃への愚痴も虚しく、はやて達はあまりにも突然の危機を回避する術を持っていなかった。
このままではまず確実に雷の直撃で重傷、最悪感電死という結末が容易に想像できる。
迫りくる脅威に対して否定するかのように顔を伏せて目を閉じてみるが、そんな事で状況が変わる訳がない。
光の速さで襲いかかる攻撃に対抗策を考える時間も与えられないまま、無情にも雷ははやて達に――

「――はやて!?」

ふと自分の名前が呼ばれた事に気付いてはやては伏せていた顔を上げて、恐る恐る目を見開いてみた。
そこにいたのは一人の男性。
銀の胸当てと黒のロングコートを身に付けて右肩には漆黒の片翼。
そしてリインフォースのように綺麗な銀髪。

「…………」

はやては目の前の男に対して言葉を返そうとして――

「てめえ、覚悟しろ!!!」

聞き慣れた鉄槌の騎士の叫びも虚しく――

――全ては光の中へ消えていった。


     ▼     ▼     ▼


それは偶然だった。

もしもはやて達のいた場所が川辺でなかったら。
もしもはやてが海楼石という言葉を口にしなかったら。
もしもはやてがエネルの異常性を考慮した受け答えをしていたなら。
もしもエネルのエール・トールを放つタイミングがずれていたなら。
もしもヘルメスドライブの転移先がここではなかったら。
もしも転移してきたのがセフィロスとヴィータでなかったら。

結果は自ずと違うものになっていただろう。
だが起こってしまった事象を覆す事は出来ない。

この一瞬の邂逅がそれぞれに与える影響は大なり小なりある。
それがどうなるかはこれからの行動次第だろう。


     ▼     ▼     ▼

127 :未知あるいは既知との遭遇 ◆HlLdWe.oBM :2009/03/16(月) 23:06:55 ID:MP68caGQ


「あれで死んだか。死体は残すつもりだったがな」

そう呟くのは先程はやて達にエール・トールを放った神・エネルだ。
当初エネルは神社へ向かおうと考えていたが、地図を見ると神社へ行く方向から少し離れると別の施設がある事に気付いたのだ。
その施設はHELLSING本部という名前であり、何らかの組織の本部である事は容易に理解できた。
それならば人が集まっているのではないかと期待して寄り道するべくエネルは一旦HELLSING本部へ向かったのだ。
だが外から心網を使った結果、予想に反して本部には誰もいない事がすぐに分かった。
無駄な寄り道だったと軽く失望して当初の予定通り神社へ向かおうとした時、エネルの心網がはやて達三人を捉えた。
これは幸いとばかりに向かってみると、気になる単語が茶色の服を着た青海人の女から聞こえてきた。

――『海楼石』、と。

海楼石とは某世界に存在する鉱物の一種である。
どうやら固形化した海と言われているが、詳しい事は杳として知れていないが、海楼石にはある特性がある。
それは「悪魔の実」の能力者の力を一時的に奪うというものだ。
以前エネルは海楼石のせいで不意を突かれて仮死状態に追い込まれた経験がある。
さすがに同じ轍を踏む気はないが、そのような神を蔑ろにする存在をエネルは許す気はなかった。
だから海楼石を持っていたはやてを抹殺しようとしたのだ。
死亡を確認するために死体は残る程度に手加減したつもりだったが、どうも手違いで川に落ちていったらしい。
エール・トールが直撃する寸前に何か不自然な爆発が起こったような気もするが、今となっては確かめる術もない。
だがあの距離で自分の雷撃を受けた上に川に落ちればまず生存する事はない。
そうエネルは判断して、一路予定通り神社へと向かうのだった。


【1日目 昼】
【現在地 C-5】
【エネル@小話メドレー】
【状態】疲労(中)、胸に大きな打撲痕
【装備】ジェネシスの剣@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使
【道具】支給品一式、顔写真一覧表@オリジナル、ランダム支給品0〜2
【思考】
 基本:主催者も含めて皆殺し。この世界を支配する。
 1.神社に向かい、狩りを楽しむ。
【備考】
※心網の索敵可能範囲がおよそ1エリア分である事に気付きました。
※漆黒の鎧を纏った戦士(=相川始)、はやてと女二人(=シャマルとクアットロ)を殺したと思っています。
※身体に掛けられた制限及びゴロゴロの実の能力を駆使しても首輪を外せない事に気付きました。
※なのは(StS)の事は覚えていますが、彼女と会ったのが何時何処でなのかは覚えていません。
※なのは・フェイト・はやての3人が、それぞれ2人ずついる事に気付いていません。


     ▼     ▼     ▼

128 :未知あるいは既知との遭遇 ◆HlLdWe.oBM :2009/03/16(月) 23:08:36 ID:MP68caGQ


E-4を東西に流れる川のすぐ傍の民家で一人の戦士が一時の休息に身を休めていた。
銀髪で黒ずくめの戦士の名はセフィロス。
そして彼の右腕に装着されているデュエルディスクには現在1枚のカードがセットされている。
『治療の神 ディアン・ケト』
それは「自分は1000ライフポイント回復する」という効果の魔法カードであった。
この会場内ではデュエルモンスターズのカードはデュエルディスク無しで使用する事ができるが、一度使用するとそのカードは消えてしまうようになっている。
だがデュエルディスクにセットして使えば何度でも使用する事は可能である。
もちろんセフィロスがそんな事を知っているはずがない。
このカードも元々はシグナムの物であったが、今の今までメモ帳の隙間に挟まっていてデイパックの中に眠っていたものだ。
セフィロスもはやてもまさかそんな所に挟まっていたとは知らずに今まで発見されなかった。
川に落ちた時にデイパックを一つ失くしたので中身を確認するために探ってたまたま発見されたのだった。
とりあえず調べた結果、流されたデイパックはセフィロス自身の物だと判明した。

だがそんな事は今のセフィロスには些細な事だった。

「そんなバカな……『はやて』は死んだはず……」

復讐鬼となったセフィロスは現状を理解できないでいた。
確か自分はついさっきまでアーカードとの死闘に明け暮れて、そこに横槍を入れてきたヴィータを殺そうとしていたはずだ。
だが次の瞬間には視界が一変して川辺にいた。
しかも目の前には死んだはずの八神はやての姿があった。

(いや、あの『はやて』こそ本当の『はやて』か――だが、私が死を見届けた『はやて』も『はやて』――)

セフィロスは混乱した。
『はやて』は『はやて』ででも『はやて』ではなくてやはり『はやて』で……
セフィロスにとっては死んだ『はやて』も『はやて』、先程出会った『はやて』も『はやて』、ミッドチルダで共にいた『はやて』もまた『はやて』であった。
どの『はやて』が本当なのか咄嗟に判断できないでいた。

だが一つだけ確かな事がある。
あの時、セフィロスは迫り来るエール・トールに対して反射的に妖艶なる紅旋風を放って相殺を図った。
無論自身に迫る攻撃への対処という理由もあったが、それにも増してセフィロスの中にあった感情は単純だった。

『はやてを守りたい』

既にジェノバの思考に移行したセフィロスにとってそれはあり得るはずもない感情だ。
だがセフィロスは知らず知らずの内にそう思っていた。
結果として攻撃が相殺された余波で川辺にいた者達は全員川に投げ出されたが、重傷にはなっていないはずだ。
そんな事を考えて少し安心している自分に気付き、セフィロスはまた混乱する。
今のセフィロスは片翼の展開と幾度となく魔力を消費してきたせいか身体は限界に近かった。
回復中とは言うものの、すぐに動く事は難しいだろう。

幸か不幸か片翼の天使にはどうやら気持ちを整理する時間が必要のようだ。


【1日目 昼】
【現在地 E-4 川の近くの民家】
【セフィロス@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】
【状態】回復中、疲労大、魔力消費大、顔面・腹部負傷小、額に打撲、全身にダメージ(中)、全身ずぶ濡れ、ジェノバ覚醒(ジェノバとしての思考)、困惑
【装備】憑神刀(マハ)@.hack//Lightning、デュエルディスク@リリカル遊戯王GX、治療の神 ディアン・ケト(ディスクにセットした状態)@リリカル遊戯王GX
【道具】支給品一式×2、トライアクセラー@魔法少女リリカルなのは マスカレード、正宗@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使
【思考】
 基本:全ての参加者を皆殺しにする。
 1.あの『はやて』はいったい――?
 2.今はまだアンジールは殺さない。ぎりぎりまで生かし、最高の痛みと苦しみを味わわせる。
 3.アーカード、仮面ライダーの娘(=柊かがみ)、アレックスは優先的に殺す。

129 :未知あるいは既知との遭遇 ◆HlLdWe.oBM :2009/03/16(月) 23:11:35 ID:MP68caGQ
【備考】
※身体にかかった制限を把握しました。
※アレックス(殺し合いには乗っていないと判断)が制限を受けている事を把握しました。
※参加者同士の記憶の食い違いがある事は把握していますが、特に気にしていません。
※トライアクセラーで起動するバイク(トライチェイサー@魔法少女リリカルなのは マスカレード)は立体駐車場に埋もれていると思っていますが、運転はできないので無理に探すつもりはありません。
※「仮面ライダーリリカル龍騎」における仮面ライダーの情報を得ました。
※デスゲームと仮面ライダーの殺し合いに関係があるのではないかと思っています。
※アーカードの弱点が心臓である事を見破りました。


     ▼     ▼     ▼


「……ん、ここは?」

まず目に飛び込んできた景色は四角い天井。
それが目覚めたシャマルの最初に目にした光景だった。
そして次に自分がベッドに寝かされている事に気付かされる。

「私は、確か……」
「シャマル! よかった、気が付いたんやな」
「は、はやてちゃん!?」

起きたばかりのシャマルに真っ先に声をかけたのは彼女の主である八神はやてであった。
だがその姿はシャマルが見慣れた機動六課の茶色の陸士制服ではなかった。
今のはやてが着ている服装は聖王教会のカリムが着ている漆黒の教会服だった。

(なんではやてちゃんの服が――確か、私達はエネルとか言う人に……)

はやての無事を確認したシャマルの脳裏に徐々に記憶が蘇ってきた。
エネルという自称神が雷撃をこちらに放ったあの時。
シャマルは自らの身を顧みずにはやての盾となるべく、死を運ぶ雷撃の前に飛び込もうとしていた。
だがエネルの攻撃はあまりにも唐突に行われたものでシャマルがどう頑張っても間に合う可能性はゼロに近かった。
それでもシャマルは一縷の可能性に賭けて懸命に足を動かして全速力で走った。

予想外な事が起こったのはその時だった。

突然周囲の空間が歪んだと思ったら見知らぬ人と見知った人が一人ずつ現れたのだ。
見知らぬ人は銀髪の男で、見知った人は意外にもヴィータであった。
そして銀髪の男は雷撃を防ごうとして、ヴィータは「てめえ、覚悟しろ!!!」と言いながらこちらに向かってきた。
もしかして後ろにいたクアットロの存在に気付いて斬りかかろうとしたのか。
そんな事を頭の片隅で認識しながらはやてに飛び付いたところでシャマルの記憶は途切れる。

「はやてちゃん、ここはいったい、それにその服は?」
「ああ、ここはなのはちゃんの実家の翠屋。で、この服は私の支給品や。ほらシャマルにも見せたやろ」

はやての説明によると、ここはF-2にある翠屋2階に位置するなのはの部屋。
あの時自分達は爆発の影響で川に投げ出されて下流に流されてしまったらしい。
自分とはやてとクアットロは幸運にも流れ着いた場所がほぼ同じ場所ですぐに合流できたのだ。
しかもどうやら自分ははやてに抱きついて入水の衝撃を一身に受けたために今まで気絶していたようだ。
はやて達はひとまずどこか近くに休む場所がないか探したところ、この翠屋に白羽の矢が立って今に至る。
はやての服が変わっているのは川に落ちたせいで服装一式がずぶ濡れになったためだった。
因みにカリムのパンティーが想像よりも大きくて驚いた事ははやてだけの秘密にしている。
そしてそれは自分も同様で自らの服装を改めて見ると、ややサイズの大きなワイシャツに紺のズボンという服装だった。
胸元が若干肌蹴ているのは気のせいか、あるいは目の前の主の性癖か。

「ちょっと気絶している間に着替えさせてもらったで。ふふん、相変わらずシャマルのプロモーションは惚れ惚れしたわ〜」
「え、はやてちゃん!? からかわないでください!!」

130 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/16(月) 23:11:40 ID:YX8I+uqg
 

131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/16(月) 23:11:57 ID:+JhQDtox


132 :未知あるいは既知との遭遇 ◆HlLdWe.oBM :2009/03/16(月) 23:12:49 ID:MP68caGQ

更に詳しく聞くと自分が着ている服は高町士郎の物らしく、どうも急いでいて間違えて着せてしまったという事だった。
元々着ていた服は現在1階で乾燥機にかけていて、クアットロはその見張り兼引き続き家捜しの最中と聞かされた。

「でもホンマ目が覚めて良かったわ。うぅ、良かった……」
「もしかして、はやてちゃん……ずっと私に付きっきりで――」
「当たり前やん。元いた世界が違っても私達が家族って事に変わりないよ」
「……はやてちゃん」

主の目にひっそりと浮かぶ涙を見てシャマルは何も言えなかった。
その胸の中にははやてへの感謝とはやてと巡り合えた事への感謝で満ち溢れていた。


     ▼     ▼     ▼


さて、これで万が一にでもシャマルが私を疑う事はないやろ。

で、問題はこれからどう動くかやな。
ヴィータ、銀髪の男、あとはエネルとか言う変人と海楼石の関係と考えなあかん事多いな
あんだけ問答無用とばかりに攻撃してくるって事は海楼石を恐れているんやろか。
ま、いざとなればシャマルやクアットロにも考えるの手伝ってもらうか。
それくらいは役に立つやろ。
まあ、余計な詮索されんように私のとこの守護騎士達と妖星ゴラスの関係は話さん方がいいか。
とりあえずその辺りは上手く誤魔化しとこう。

それにしても「当たり前やん。元いた世界が違っても私達が家族って事に変わりないよ」って我ながら白々しいなあ。
ま、精々勝手に勘違いしといてくれたらいいわ。
実のところ私はそんな事これっぽちも考えていないんよ。
ここに私の本当の家族も仲間もいない。
だから皆を利用してプレシアの技術を手に入れて元の世界に帰る。
守護騎士の皆も、なのはちゃん達も、あの銀髪の男も、徹底的に利用する。
そして、私が助けてみせる、私の家族を、この手で、きっと――

――だから皆覚悟してな。散々使い倒して、ボロ雑巾のように捨てたるから。


【1日目 昼】
【現在地 F-2 翠屋2階なのはの部屋】

【八神はやて(StS)@魔法少女リリカルなのはFINAL WARS】
【状態】健康
【装備】カリムの教会服とパンティー@リリカルニコラス、ツインブレイズ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【道具】支給品一式×2、スモーカー大佐のジャケット@小話メドレー、主要施設電話番号&アドレスメモ@オリジナル、医務室で手に入れた薬品(消毒薬、鎮痛剤、解熱剤、包帯等)
【思考】
 基本:プレシアの持っている技術を手に入れる。
 1.一段落付いたらクアットロから事情を聞き、銀髪の男やヴィータの事も含めてこれからどうするか考える。
 2.ある程度時間が経ったらメールの返信を確かめる。
 3.もう1人の「八神はやて」を探し、その後他の守護騎士を戦力に加える。
 4.クアットロを利用する(おかしな行動は絶対にさせない)。
 5.キングの危険性を他の参加者に伝え彼を排除する。もし自分が再会したならば確実に殺す。
 6.首輪を解除出来る人&プレシア達に対抗する戦力の確保。
 7.以上の道のりを邪魔する存在の排除。

133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/16(月) 23:13:16 ID:+JhQDtox


134 :未知あるいは既知との遭遇 ◆HlLdWe.oBM :2009/03/16(月) 23:14:22 ID:MP68caGQ
【備考】
※プレシアの持つ技術が時間と平行世界に干渉できるものだと考えています。
※ヴィータ達守護騎士に優しくするのは自分の本当の家族に対する裏切りだと思っています。
※キングはプレシアから殺し合いを促進させる役割を与えられていると考えています(同時に携帯にも何かあると思っています)。
※ヴィータと戦う事になったのはキングが原因だと断定しました(その事を許すつもりはありません)。
※転移装置は「参加者を分散させる為の罠」だと思っています。
※自分の知り合いの殆どは違う世界から呼び出されていると考えています。
※放送でのアリサ復活は嘘だと判断しました(現状プレシアに蘇生させる力はないと考えています)。
※プレシアの目的はアリシア復活で、その為には普通の死ではなく殺し合いによる死が必要だと考えています。
※プレシアには他にも協力者がいると考えています。具体的には並行世界を含めて闇の書事件やJS事件関係者がいると考えています。
※施設には何かしらの仕掛けが施されている可能性があると考えています。
※キングのデイパックの中身を全て自分のデイパックに移して、キングのデイパックも折り畳んで自分のデイパックに入れています。
※図書館のメールアドレスを把握しました。
※図書館にてシャマルと簡単な情報交換を行いました。
※クアットロは善人のふりをしてシャマルを騙していると思っています(多少は信頼しかけている)。
※エネルは海楼石を恐れていると思っています。


【シャマル@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状況】健康、はやてへの感謝の念
【装備】高町士郎のワイシャツとズボン@魔法少女リリカルなのは
【道具】支給品一式、白衣(若干血で汚れてる)、ガ・ボウ@ARMSクロス『シルバー』
【思考】
 基本:はやてを含めた、全ての仲間を守り抜く。
 1.はやてちゃん、ありがとう。
 2.落ち着いたらクアットロから事情を聞く。
 3.はやて(A's)と合流したなら全力で守り抜く。機動六課の仲間達とも合流したい。
 4.十代のことが心配。
 5.そういえばヴィータちゃんと一緒にいた男の人はいったい?
【備考】
※クアットロが別世界(JS事件後に更生した世界)から連れて来られたと思っています。
※参加者が別々の世界・時間から連れて来られている可能性に至りました。
※この場にいる2人のなのは、フェイト、はやての片方が19歳(StS)の彼女達でもう片方は9歳(A's)の彼女達だと思っており、はやて(A's)は歩けないものだと思っています。
※クアットロを信用するようになりました。
※エリオと万丈目がデュエルゾンビになっている可能性はあると思っています。
※この殺し合いがデス・デュエルと似たもので、殺し合いの中で起こる戦いを通じ、首輪を介して何かを蒐集していると考えています。
※図書館ではやてと簡単な情報交換を行いました。
※川辺でヴィータが斬りかかろうとした相手はクアットロだと思っています。


     ▼     ▼     ▼

135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/16(月) 23:15:03 ID:YX8I+uqg
  

136 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/16(月) 23:15:16 ID:+JhQDtox


137 :未知あるいは既知との遭遇 ◆HlLdWe.oBM :2009/03/16(月) 23:15:56 ID:MP68caGQ


(……さて、これからどうしましょうかね。一応気絶していたから包丁は私が拾ってきましたけど、それだけでは少し心許ないですね)

翠屋1階でクアットロはそんな事を考えつつも使える物がないか家捜しをしていた。
家捜しとは言うものの、翠屋の中は既に誰か来たのか使える物はほとんど残っていなかった。

(全く災難でしたわ。制服は使い物にならないわ、ナンバーズスーツは流されてしまうわで、最悪〜)

実は今クアットロは高良みゆきの制服を着ていない。
それもそのはずで、件の制服は川を流れる間に破れ目が酷くなって最早身体を隠すという衣服の役目を果たさなくなっていたのだ。
しかも元々着ていたナンバーズスーツは川に落ちた衝撃で手放してしまって行方知れずという始末。
だから今着ている服と下着は辛うじて翠屋に残っていた代物である。
それは高町なのはの姉、高町美由希が通う私立風芽丘学園の制服だ。
胸元の黄色のリボンと白い襟が映える葡萄色のブレザーに茜色のスカートといった中々シャレたデザインの制服だった。
実際着られそうな衣服はこれと一般的なワイシャツと紺のズボンぐらいしか残っていなかった。
食料の方はもっと悲惨で、結論から言うと小麦粉ぐらいしか残っていなかった。

結局翠屋で手に入った物は僅かな衣服と大量の小麦粉ぐらいだった。
喫茶店にもかかわらず砂糖の類が皆無だった事もクアットロに疑問を抱かせる一因になっていた。

(まあ当然と言えば当然の処置ですね。地上本部にも使えそうな物はありませんでしたから。
 でもこの中途半端な残り様は奇妙ですね、小麦粉は料理以外にも色々と使えそうだから助かりますけど。
 もしかして先に来た参加者が持って行った?)

実はその可能性を示唆する物をクアットロは握っていた。
それは先立って翠屋内に危険がないか一足早く翠屋に入った時の事。
気絶したシャマルを寝かせる場所として八神はやてが希望した場所は二階にある高町なのはの部屋。
理由は小学生の頃からよく遊びに行って勝手知ったる部屋だからという。
だからクアットロも翠屋に着くとまずは二階の高町なのはの部屋を調べた。
着いた部屋には誰かいた痕跡はあったが、少なくとも今は無人になっている事が調べで分かった。
だから程なく外で待機していたはやてを招き入れる事ができたのだ。
だが後から翠屋に入ったはやては気付く事はなかった。
クアットロが高町なのはの部屋にあったメモを回収していた事に。
そこにはミッド語で『しばらく外に出る。俺が戻るまで、そこでじっと身を隠していろ』と書かれていた。
そしてはやては焦って気づかなかったが、裏にも『セフィロス』という文字が書かれていた。

(セフィロス!?)

クアットロは元々セフィロスと面識はなかったが、ついさっき出会っている。
川に落ちる直前に現れた二人はセフィロスとヴィータだった。
セフィロスの方は実際に見た事はなかったが、アンジールから話は聞いていたので分かったのだ。
どちらも自分達スカリエッティ側と対立する立場だ。
現にヴィータは「てめえ、覚悟しろ!!!」と叫びながら問答無用に斬りかかりに来ようとしていた。
セフィロスも話によれば容赦など微塵もない恐ろしい人物らしい。
ここは是が非でも八神はやての信用を得て仲介役を頼みたいところだ。

(――とは言うものの、そこが問題なんですよね)

八神はやてと出会ってあまり時間は経っていないが、クアットロは気付いた事があった。
それは八神はやてが自分の事を疑っている事だ。
自分への疑いは向けられる視線だったり、話ぶりだったり、態度だったり、随所で滲み出ていた。
はやて自身はそれを隠しているつもりだろうが、完全に隠し通す事はできていない。
自分と同類だから分かるのだろうかともクアットロはふと思っていた。
それはさておき今の状況が続く事はクアットロにとって望むところではない。
なんとか状況を変えなければ思うように動く事もままならない。

138 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/16(月) 23:16:35 ID:+JhQDtox


139 :未知あるいは既知との遭遇 ◆HlLdWe.oBM :2009/03/16(月) 23:17:16 ID:MP68caGQ

(でも、なにか違和感があるんですよね、特にシャマルへの対応が。あとで探りでも入れてみましょうか)

もしこの違和感を上手く利用できれば状況を変える事ができるかもしれない。
そんな思いを抱きつつクアットロの家捜しは続くのだった。


【1日目 昼】
【現在地 F-2 翠屋1階】
【クアットロ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】左腕負傷(簡単な処置済み)、脇腹に裂傷(掠り傷程度)、眼鏡無し、髪を下ろしている、キャロへの恐怖と屈辱
【装備】私立風芽丘学園の制服@魔法少女リリカルなのは、ウォルターの手袋@NANOSING、血塗れの包丁@L change the world after story
【道具】支給品一式、クアットロの眼鏡、大量の小麦粉、セフィロスのメモ
【思考】
 基本:この場から脱出する。
 1.これからどうするか考える(特にはやてへの対応やキャロの事)。
 2.その後は北方向で大人しくするか、南方の施設や病院に向かうか。
 3.十代、シャマル、はやての信頼を固めて、とことん利用し尽くす。
 4.首輪や聖王の器の確保。
 5.チンクともコンタクトをとりたいが……
 6.フェイト(StS)との接触は避ける。
【備考】
※参加者は別々の世界・時間から連れて来られている可能性に至りました。
※アンジールからアンジール及び彼が知り得る全ての情報を入手しました(ただし役に立ちそうもない情報は気に留めていません)。
※アンジールの前では『アンジールの世界のクアットロ』のように振る舞う(本質的に変わりなし)。
※基本的に改心した振りをする(だが時と場合によれば本性で対応する気です)。
※デュエルゾンビの話は信じていますが、可能性の1つ程度にしか考えていません。
※この殺し合いがデス・デュエルと似たもので、殺し合いの中で起こる戦いを通じ、首輪を介して何かを蒐集していると考えています。
※デュエルモンスターズのカードとデュエルディスクがあればモンスターが召喚出来ると考えています。
※地上本部地下にあるパソコンに気づいていません。
※制限を大体把握しました。制限を発生させている装置は首輪か舞台内の何処かにあると考えています。
※主催者の中にスカリエッティや邪悪な精霊(=ユベル)もいると考えており、他にも誰かいる可能性があると考えています。
※優勝者への御褒美についての話は嘘、もしくは可能性は非常に低いと考えています。
※キャロは味方に引き込めないと思っています。


     ▼     ▼     ▼

140 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/16(月) 23:19:11 ID:+JhQDtox


141 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/16(月) 23:20:35 ID:+JhQDtox


142 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/16(月) 23:21:51 ID:+JhQDtox


143 :未知あるいは既知との遭遇 ◆HlLdWe.oBM :2009/03/16(月) 23:22:57 ID:MP68caGQ


現在崩壊したF-3の橋の場所には代わりの橋が架かっている。
それは半壊した列車。
しかもただの列車ではなく護送用に三層構造の装甲を装備した特別製の列車だ。
だがそんな頑丈だと思われる列車には所々穴が開いていて、まともに動くのか疑問を抱いてしまう。
一応それなりの長さはあるので川に渡す橋の代わりには十分なっている。
それをヴィータは呆然と眺めていた。

ヴィータは知る由もないが、これを橋代わりに置いたのは少し前にここに流れ着いたはやて達だった。
川から上がって馴染みのある翠屋に行こうと地図と方位磁石で現在地を調べたところ、そこは川の東側であった。
翠屋は西にあるのでどうにか川を渡る必要があったが、幸いはやての支給品の中にこの列車があったので橋代わりに架けたのだ。
余談だがはやてに与えられた支給品はこの列車とカリムの教会服、それにスモーカー大佐のジャケットであった。
見る人が見ればスモーカー大佐のジャケットについている十手が武器にならない事もない。
だがはやてのとって大きな十手など邪魔なだけであり、結果はやては武器が無いと判断していたのだ。

だがそんな事は今のヴィータには些細な事だった。

自分の身に何が起こったのかヴィータは何となく勘付いていた。
おそらく無意識の内にヘルメスドライブを使って偽者の『はやて』の元に転移したのは間違いないだろう。
だから突然の転移で一瞬セフィロスの手が緩んだ事で抜け出せた事も、目の前に偽者の『はやて』がいた事も納得がいく。
あと近くにはシャマルと見知らぬ女性もいた事も薄らとだが覚えている。
その時は頭が真っ白になって偽者の『はやて』に斬りかかろうとしたが、いきなり横から凄まじい爆発が起きた。
それはエール・トールと妖艶なる紅旋風の激突によるものだったが、咄嗟にヘルメスドライブを盾にして重傷は運良く避けられた。
しかしヘルメスドライブが無事かどうかは分からない。
もしかしたら攻撃を受けて破損した可能性もある。

だがこんな事も今のヴィータには些細な事だった。

(なんで、なんで偽者の『はやて』が生きていて、本物の『はやて』が死んでいるんだよ!!!)

今のヴィータの胸の内にあるのは失望だけ。
なぜならつい先程自らの主である『八神はやて』の死体を確認して、直後に偽りと断じている『八神はやて』を確認したのだから。
ヴィータの心の内は千々に乱れていた。
主と慕う本物の『はやて』が知らぬ間に死んで、姿を似せた偽者の『はやて』がのうのうと生きている。
それはヴィータにとってこの上なく理不尽に思える事であり、頭で分かっていても認めたくない事でもあった。

『八神はやて』はヴィータ達ヴォルケンリッターのとって特別な主だった。
今までの主は闇の書が齎す力を欲してページの収集を求める者が大半だった。
きちんと覚えていないが、たぶんそんな感じだったと薄らと記憶している。
だが『八神はやて』は違った。
人に迷惑をかける事を嫌ってページの収集を行う事を許さないばかりか、自分達を家族として迎え入れ、幸せな日々を与えてくれた。

そうヴィータ達はただあの幸せな日々を守りたいだけだった。

「それなのに、こんな結末って、ありかよ!!!」

思わず声を上げてしまうほど今のヴィータは湧き上がる感情を抑える事が出来なかった。
周囲に誰かいれば気付きそうな程の叫びだったが、幸いにも周囲に人影はない。

「これから、どうすればいいんだよ……はやてが死んで、あたし達――!?」

そこでヴィータはある事に気付いた。
それは自身の身体に関する事だ。
ヴィータの身体には今のところ何の変化もない。
だが、それこそが今のヴィータにとっておかしな事なのだ。

「なんで、消えないんだ?」

144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/16(月) 23:24:44 ID:xtSnQifP
支援

145 :未知あるいは既知との遭遇 ◆HlLdWe.oBM :2009/03/16(月) 23:25:16 ID:MP68caGQ

『八神はやて』つまり現在の闇の書の主が死んだという事は、次の主を求めて闇の書が転移する事に繋がる。
だが『はやて』が死んで2時間ほど経つと思われるのにヴィータの身体は消える兆候さえない。
試しに槍を指輪に戻したりバリアジャケットを生成してみたが、別に急激に身体に変化がある訳ではない。

そこまでやってみてヴィータはある結論に至った。

「そうか、そうなんだ。あの時死んでいた『はやて』も偽者だったんだ。本当のあたし達の『はやて』はまだ生きているんだ!!!」

つまり元々ヴィータの主である『はやて』はここに呼ばれていなかったのだ。
おそらく今もあの家で皆の自分達の帰りを待っているはずだ。
それがヴィータの辿り着いた結論だった。

それはもしかしたら逃避なのかもしれない。
だが『はやて』が死んだと認めたくないヴィータにはこれこそが真実だと思えたのだ。

「だったら、こんなとこ早くおさらばして――あ、そういえば……」

そこでヴィータはデイパックを一つ余計に持っている事を思い出した。
そのデイパックは川から上がる時に見つけて拾ってきた物だった。
今までいろいろ考え込んでいてまだ中身は確認していない。

「これって何が入って……って、なんだこれ? 確か船に付いている碇だっけ?」

まず現れた物はイカリクラッシャーというハンマー……どう見ても碇本体にしか見えない。
だが槍よりもグラーフアイゼンに近い役割の武器でヴィータはそこそこ満足していた。
そして期待に胸膨らませつつ続いて取り出したのは――

「こらぁ! 離せ!」
「融合騎!?」

――やたら騒がしく暴れ回る烈火の剣精アギトだった。


【1日目 昼】
【現在地 F-3 橋付近】
【ヴィータ@魔法少女リリカルなのはA's】
【状態】バリアジャケット展開中、疲労(中)、左肩に大きな切り傷、全身に擦り傷小、セフィロスへの恐怖
【装備】イカリクラッシャー@魔法少女リリカルなのは STS OF HUNTER、ゼストの槍(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、アギト@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【道具】支給品一式×2、デジヴァイスic@デジモン・ザ・リリカルS&F、ヘルメスドライブ(約5時間使用不可)@なのは×錬金
【思考】
 基本:はやての元へ帰る。
 1.融合騎か……
 2.はやての元へ帰るために――
 3.ザフィーラ、シャマルと合流して、殺し合いに乗っている偽者の八神はやてがいる事を伝える。
 4.ヴィヴィオを見付けた場合は、ギルモンの代わりに守ってやる。
 5.セフィロスとアーカードはぶっ殺す。
 6.シグナムを殺した人物を見つけた場合は、仇を討つ。
【備考】
※ここにいる『はやて』は全て偽者だと思っています。
※デジヴァイスには一時的に仮パートナーとして選ばれたのかも知れません。
※放送についてはシグナムからナイブズの間に呼ばれていた名前を聞き逃しました。
※ヘルメスドライブの使用者として登録されました。
※はやての元へ帰るためにどうするかまだ具体的には考えていません。
※ヘルメスドライブはエール・トールと妖艶の紅旋風に対する盾として使った際に破損した可能性があります。
※アギトの参戦時期は次の書き手にお任せします。

146 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/16(月) 23:26:43 ID:+JhQDtox


147 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/16(月) 23:27:44 ID:+JhQDtox


148 :未知あるいは既知との遭遇 ◆HlLdWe.oBM :2009/03/16(月) 23:28:02 ID:MP68caGQ


【全体備考】
※【F-3 崩壊した橋】の場所に半壊した護送列車が橋代わりに架かっています。
※八神はやて、シャマル、クアットロの3人は「きちんと」下着を拝借して着用しています。
※現在はやてとシャマルの服装一式は乾燥機にかけています。しばらくしたら使えるようです。
※高良みゆきの制服(あちこち破けて服としての使えない状態)は【F-2 翠屋1階】に放棄しました。
※ナンバーズスーツ(クアットロ)は川に流されました。

【半壊した護送列車@ARMSクロス『シルバー』】
レリックなどを含むロストロギア運送のための特別列車。
三層構造の装甲で上部での格闘も可能となっている。
但し所々破壊されて穴が開いていたりするので運行するのは無理と思われる。

【カリムの教会服とパンティー@リリカルニコラス】
聖王教会所属のカリム・グラシアが着ている黒の教会服とパンティー(補足すると洗濯したての状態)。
以下パンティーを拾った某牧師の感想。
『いやぁ、このでかさ、こりゃ穿いとるのは相当なデカ尻やな。しかも色が白や! 色気ないにも程があるで〜』

【スモーカー大佐のジャケット】
海軍本部所属のスモーカー大佐の着ているジャケット。
オプションとして大量の葉巻と先端に海楼石を仕込んだ七尺十手が付いている。

【治療の神 ディアン・ケト@リリカル遊戯王GX】
遊戯王カードの一種。「自分は1000ライフポイント回復する」という効果の魔法カード。



投下終了です。支援ありがとうございました。
誤字・脱字、矛盾、疑問点などありましたら指摘して下さい。

よし、まともな服装だ

149 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/17(火) 10:37:19 ID:dYtJ7XHd
投下乙であります。心配された夜天組全滅は避けられたようで何よりです。

相変わらずチート過ぎるエネル
もう1人のはやてとの遭遇に困惑するセフィロス、
参加させられているはやては2人とも偽物と(まあ、当たらずとも完全に間違っているわけではない)結論付けたヴィータ、
何処かで聞いたことあるような台詞を吐いちゃった真っ黒はやて、
どう考えても騙されていますなシャマル、
ようやく下着付の服に着替える事の出来たクアットロ、
そしてようやく登場出来たアギトと、色々期待出来そうな話でした。

で、1つ気になる所があったので質問、
話を見る限りアギトはセフィロスに支給されたのだと思いますが、
セフィロスが何故今までアギトに気が付かなかったのかが疑問なんですけど……
気付かなかったとするには意志持ち支給品のアギトにセフィロスが気付かないとは思えないし(面識あったよね?)……

150 : ◆HlLdWe.oBM :2009/03/17(火) 18:15:00 ID:WH4MIHxc
ではアギト関連の箇所を以下に差し替え対応します。

「こらぁ! 離せ!」
「融合騎!?」

――やたら騒がしく暴れ回る烈火の剣精アギトだった。

 ↓

「……見つかったか」
「お前、融合騎か?」

――今まで様子見を決め込んでデイパックの中に隠れ潜んでいた烈火の剣精アギトだった。



※アギトの参戦時期は次の書き手にお任せします。

 ↓

※アギトの参戦時期はヴィータを知っている頃〜ゼストが死ぬまでのどこかです。

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/17(火) 20:26:49 ID:iptxaSKS
投下乙です
ああ、はやてと守護騎士達の心はバラバラのまま、神視点で見てると悲しくなる
さて、セフィロスももう一人のはやてと遭遇して揺らぐしクアットロもはやてに警戒し出した
火種は尽きないままロワは進んでいく
お疲れ様です

152 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/18(水) 00:02:18 ID:WvgceuQs
投下乙です。
なんというニアミスw
続きがどうなるのか期待w

ところで橋の近くにかがみのデイパックが落ちているのですが気付かなかったのでしょうか

153 : ◆HlLdWe.oBM :2009/03/18(水) 00:04:36 ID:K4V5wSil
>>152
拾う描写入れて一時投下しておきます

154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 09:51:41 ID:sHp7vUwi
代理投下します。

155 :Road to Reunion ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/25(水) 09:53:49 ID:sHp7vUwi
 片翼の天使は思考する。
 最強最悪の破壊者は、今はその翼を内に秘め、思考の海へとその意識を落とす。
 幾度となく脳裏をよぎるのは、あの八神はやての顔だ。
 自分の目の前で死んだはずの娘。
 自分を庇って命を落としたはずの少女。
 故に、その存在は既にここにはなく。故に、その存在が己を揺るがすことはないと思われていた者。
 だが、あれは一体何なのだ。
 あの時転移した先にいた、あの八神はやての姿をした者は何なのだ。
 はやてを騙る偽者だろうか。変身魔法の存在を考えれば、ありえない話ではない。
 その姿となる理由もある。
 あの時あの場所にはシャマルがいたのだ。夜天の主の守護者を手なずけるならば、その主の姿になるのが手っ取り早い。
 もっとも、何故かつての敵であるクアットロまでいたのかは不明なのだが。
 ともあれその線を取るならば、あの場のはやては偽物であり、先ほど命を落としたはやてが本物となる。
(だが……)
 それで本当にいいのだろうか。
 その判断は本当に正しいものなのだろうか。
 どうしても、嫌な予感が拭い去れない。
 そもそも姿だけを見てみれば、後から会ったはやての方が、よほどオリジナルに近いのである。
 恐らく自分が機動六課で共に過ごしてきた彼女と、そう年齢も変わらないだろう。
 それにひきかえ先に会った方のはやては、自分の知る姿よりも10歳近く幼かった。
 どちらがより本物らしいかは、言うまでもない。
 しかし。
(それでも、あれは紛れもなくはやてだった)
 内面を見てみれば、どうだ。
 自分は後に会った方のはやてとは、未だ一言も言葉を交わしていない。よってこちらは今は考慮しないこととする。
 そうなると、先に会った方のはやてはどうだった。
 断言していい。
 確かに姿形こそ違っていたが、あれは間違いなく、「八神はやて」そのものだった。
 その穏やかな笑顔も。
 その独特な関西弁も。
 その己の道を突き進む意固地さも。
 何より、人の痛みや苦しみを悲しむことのできる、その優しき精神も。
 全てが自分の記憶の中にある、八神はやてのものだった。
 だから自分は狂ったのだ。
 紛れもなく本物である彼女の死によって。
 孤独に戦い続けた自分に、帰るべき場所を与えてくれた彼女の命が、永久に喪われたことによって。
 あれを偽物と言えるだろうか。まさしくあれこそが本物のはずだ。
 そもそもあのシグナムも、はやてに対して全く違和感なく、本物として接していたではないか。
 ならば、後から出会った方のはやてが偽者なのか。
 いいやそもそも、本当に偽物などいるのだろうか。
 この場に降り立ったどちらもが、全く同じ性質を持つ、本物の八神はやてなのではないか。
 あるいはそのどちらともが、オリジナルと同じ性質を与えられたコピー――どちらも偽物なのではないか。
 何が何だか分からない。
 何が正しいのか見当もつかない。
 濡れた額へと手を当て、微かに唸るような声を漏らす。
 ――は、と。
 次の瞬間、しかしセフィロスの両の瞳は、軽く見開かれていた。
「……ヴィータ」

156 :Road to Reunion ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/25(水) 09:54:38 ID:sHp7vUwi
 ぼそ、と呟く。
 そうだ。あの時自分は、自分よりもはやてを知っている人間と行動を共にしていたではないか。
 鉄槌の騎士、ヴィータ。
 闇の書の守護騎士ヴォルケンリッターの一角として、彼女と10年間連れ添った娘。
 思い出せ。あの時の光景を。彼女が示した反応を。
 あの時自分の腕から逃げ出したヴィータは、自分と全く同じ状況に立たされていたはずだ。
 死んだと思われていた女の目の前に、唐突に立たされていた自分と。
 ただ目の前の事実に驚愕し、思わず名前を叫んでいた自分と。
 あの時ヴィータは何をしていた。あの時主の前に立たされた騎士は、一体どんな反応を示していた。

 ――『てめえ、覚悟しろ!!!』

 怒声だ。
 第一声がそれだった。
 声をかけるべき対象に、明らかな敵意と殺意を込め、憎しみと共に放たれた咆哮。
 守るべき主人の姿を前に、あろうことかあの時のヴィータは、怒声を返していたではないか。
 あまり詳しく思い出すことはできない。
 セフィロスはヴィータの声を聞いただけで、実際に自分の拘束から脱した彼女を見ていたわけではない。
 だがそれでも、あの時の第一声としては、これは明らかに異常だということは分かる。
 普通に考えてもみれば、これはクアットロにかけられたものと見なしてもいい。
 彼女は既にどこかであの眼鏡女と遭遇しており、取り逃がした末に再会した。ありえない話ではないだろう。
 これならはやて達を守るべく、クアットロへと襲い掛かったと考えれば全てが繋がる。
 だが、この仮説は成立しない。
 決定的な問題がある。
 この論理は仮定された時点で、既に大いなる矛盾をその中に抱えていたのだ。
 そしてそれは、同じ状況にあったセフィロスだからこそ分かること。
(気付けるわけがない)
 そもそもの第一段階が成り立たないのだ。
 同じようにはやてを見ていたセフィロスは、彼女を目撃した時点で、一瞬全ての思考を停止させている。
 シャマルやクアットロの存在など、後からようやく思い出したものだ。そういえば傍にいたな、と。
 ならば同じ状況に立たされたヴィータも、同じ心理状況に陥っていたはず。
 愛すべき主と瓜二つな姿をした女を前にして、他の連中が視界に入るはずがない。
 所詮第三者に過ぎないクアットロに、反応できるはずがない。
 つまり。
(敵意の対象はあのはやて……か)
 あの声ははやてへと向けられていた。
 今より以前に鉄槌の騎士が遭遇し、敵対者と判断し、あえなく取り逃がしたのは、クアットロではなくはやてだった。
 当然、それが本物の八神はやてだとしたら、そんなことはありえない。
 本物だとしたら、だ。
 であれば、やはりあのはやては偽物。
 ヴィータはそれを知っていた。
 だからこそ、自分の主を騙る不届き者に対し、あれほどの怒りを向けていた。
 これまでの情報を統計すれば、その可能性が最も高い。
 本物のはやてが幼児化していた理由はともかくとして、もう1人のはやてに対する疑問は、それで全て氷解する。
 これだけの材料が揃っているのだ。
 あれを偽物と断定し、憎むことは容易いだろう。

157 :Road to Reunion ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/25(水) 09:55:31 ID:sHp7vUwi
(だが……)
 しかし。
 それでも。
(この胸の苦しみは何だ)
 何故自分は苦しんでいる。
(あのはやてを偽物と切り捨てることを、こうも拒んでいる私は何だ)
 むき出しになった胸板を掴んだ。
 何故自分はあれを否定することを、こんなにも心苦しく思っている。
 脳裏に蘇るのは記憶。
 あの暖かな場所で過ごした日々の追憶。その中心にあるのはあいつの笑顔。
 何故だ。
 もう戻らないと誓ったはずだ。まだ未練が残されているというのか。
 あのはやては偽物なんだ。本物のはやてはもういないんだ。あの日常は二度と帰っては来ないんだ。
 なのに、なのに。
 何故そんなにあれを否定することを嫌がる。
 はやての姿を否定することが、はやてそのものを否定することに繋がるからか。
 痛く、苦しい。
 五体が粉々に張り裂けそうな苦痛。
 そんなにあの日々が恋しいか。
 人間でいられた日々が恋しいのか。
 「私」が「俺」でいられた場所が、そんなにも恋しいというのか。
 あの日々よりもなお遠き、ジェノバの宿命すらも知らなかった頃から、求めてやまぬ幸福な日々。
 富や名声こそなかったとしても、多くの仲間達に囲まれていた。
 いくつものぬくもりに支えられた。それだけで幸せだと思えた。
 はやてそのものを否定することは、その幸福すらも否定するということか。
 故に、自分はこうも苦しむのか。
 自分の中の人間が。「私」の中に残された「俺」が。
(……何にせよ……もう一度会わねば始まらない、か)
 未だ心を苛む思考を一旦打ち切り、ゆっくりとセフィロスはその身を起こす。
 先ほどまで左手で輝いていたカードは、既に光を失っていた。要するに、ひとまず効果を発揮し終えたということだろう。
 であれば、ここに留まる理由などなかった。
 会わなければ分からない。言葉を交わさなければ理解できない。
 奴がいかなる存在なのか。
 あのはやてが、「八神はやて」であると断定するに相応しい存在なのか。
 最後の決め手となるのは生きた情報だ。
 彼女自身を見定めなければ、否定も肯定も出来はしない。
 そう己へと言い聞かせ、セフィロスは民家の床を踏みしめる。
 答えを探すために。
 真実を確かめるために。

158 :Road to Reunion ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/25(水) 09:56:37 ID:sHp7vUwi


 ウルトラマンメビウスことヒビノ・ミライが、この時E-3のマスを歩いていたのは、ほんの偶然と言ってもよかった。
 今から数時間前に、E-2以北の施設を調べると決めた彼が、何ゆえ東に立っていたのか。
 それを説明するためには、今より少々時間を遡らねばなるまい。

「……すれ違っちゃったか」
 ぽつり、と。
 無人の施設の中で、呟く。
 かがみを見失ってからしばらくの後、ミライは最初の目的地であるスーパーマーケットへとたどり着いていた。
 簡単に内部を探ってみたところ、店内に物色の跡が見られる。
 今ここに誰かが来ているのか、それとも既に出て行ってしまったのか。
 いずれにせよ、人がいた気配を感じ取り、より入念に調べてみたものの、どうやら後者だったらしい。
 今やこのスーパーは、人っ子一人いないもぬけの殻と化していた。
(漁った形跡が見られたのは、食料品売り場と、それから店員の制服置き場……か)
 しばし、ここまでに得られた情報を分析する。
 侵入者がここより持ち去ったと思われるものは、正確な量は分からないものの、いくつかのおにぎりと何らかの調味料。
 ここより持ち去ったと断定できるのは、ここの女性店員が身に着ける制服。
 ここで消費したと断定できるのは、食い散らかしが放置されていた弁当。
 他の食品にも触った跡は見られたが、特に量が減っていたようには見えなかった。
(制服を持っていったのは彼女だな)
 数時間前の戦闘を追想。
 二重人格――というより、邪悪な人格に取り憑かれた少女が、確かここの制服と同じものを着ていたはずだ。
 そういえばあの時、彼女はこのスーパーがある北側から攻めてきていた。
 であればやはり、あの少女もあの時の戦闘より前に、ここに立ち寄っていたということになる。
 となると、食糧の数々も彼女が持ち去ったのだろうか。
 答えは否。
 何となく、そうではないような気がする。
(だって、あの子も女の子だしなぁ……)
 違和感を訴えるのは弁当だ。
 床に放置されていたそれらの容器は、お世辞にも綺麗に食べられた跡とは言えない。
 もっと粗野な男が、それこそガツガツと食い荒らしたような。年頃の少女の食事跡ではないだろう。
 バクラとかいう人格が食べたのならばあり得るが、見たところ主導権は未だ少女本人にあるようだ。
 まさか食べ物を食べるために、わざわざ交代するとは思えない。
 となると、そこから導き出される結論は単純。
 少なくとももう1人、誰かがここに来ていたことになる。
 果たしてその何者かは、この殺し合いに乗っていたのだろうか。
(武器になりそうなものに手をつけてないとなると……積極的に殺し合うつもりはない?)
 実はここの魚売り場には、何故か巨大なカジキマグロが置かれていた。
 プレシアの意図を考えると、現地調達の武器として扱わせるためだろうか。まさか洒落のつもりではあるまい。
 それはともかく、ここにはそうした武器に使えそうな物の類も、ある程度は置かれている。
 にもかかわらず、それらには持ち去られた痕跡が一切ない。
 つまりここに来たものは、武器を使うつもりがない――相手を殺す意志がないと見ていいだろう。
 今更武器など補充せずとも、それこそ素手でも戦えるような超人が来た線もあるかもしれないが、これは多分除外していい。
 そもそもこうした施設を物色するのは、長期に渡って生き残る手段を手にするという目的があっての行動。
 既に生存が約束されている(と思っている)強者達は、わざわざこんな所で物を補充したりはしない。
 むしろ素早く他者を殺すことを優先するだろう。戦闘の跡がないということも、彼らが暴れていないという証拠。

159 :Road to Reunion ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/25(水) 09:57:33 ID:sHp7vUwi
(なら、合流できるに越したことはないけど……まだ近くにいるだろうか?)
 そこで、デイパックの口を開き、中から地図を取り出す。
 まず現在地たるスーパーに着目すると、その周囲へと視線を回した。
 ここから一番近い北側の施設は商店街。ベストなのは、その道のりの途中で、スーパーを出た人間と合流できること。
 そして、その可能性を高める最適のルートは。
「……大通りだな」
 地図上に刻まれた道筋を見つめながら、呟いた。
 見たところ、それら人が集まりそうな施設は、この大通りに面しているものが多いらしい。
 何より開けた場所なら見晴らしが利く。自分が見つかりやすいという欠点もあるが、誰かを見つけやすいという利点もある。
 そこで彼は、この大通りに沿って移動することを決定し、スーパーマーケットを後にした。

 そうした結果、本来ならばかすりもしなかったであろう、E-3へと移動していたのだ。

 そしてこの判断が、同時にミライの運命をも大きく変えていたのは、皮肉としか言い様がない。

「……ん?」
 最初に感じたのは気配だった。
 何者かが近くにいる。自分のいるこのエリアの、それもそう距離の離れていない場所に誰かがいる。
 それはぼんやりとではあったが、確かに他者の存在を訴えていた。
 地球人を大きく凌駕した力を持つ、戦士ウルトラマンであるが故の感性か。
 あるいは疲弊しきった今だからこそ、周囲の気配に敏感になっているのかもしれない。
 ともあれ、そのまま無視するわけにもいかなかった。周囲をぐるりと見回し、気配の持ち主を探る。
 そして、いた。
 発見したのだ。
 視界の右側の片隅に、小さく映りこんだ銀髪を。
 銀色の髪を持った人間とは、まだここでは遭遇していない。何者なのかは定かではない。
 すなわちそれは、敵か味方か分からないということ。絶対に無視できない存在だということだ。
 疲れきった身体に鞭を打ち、人影の方へと駆け寄っていく。
 程なくして遭遇したのは、1人の長身の男だった。
 自分の外見年齢よりも、10歳前後は上だろうか。銀色の髪を腰まで伸ばし、ロングコートと共に風にたなびかせている。
 妖しく輝く両の瞳と、美形と言っていい端整な顔立ちは、一種妖艶な魅力を演出していた。
 東から来ていることを考えると、スーパーからやって来た人間ではないらしい。
 というか、そうだとしたらむしろ、困る。こんな美形があんな食べ方をしていたと考えたくはない。
 だが、その思考も掻き消える。
(何なんだ? この人は……)
 肌に感じるのは危険な気配。
 男は自分の存在など、まるで目に入っていないかのように、ただふらふらと歩み寄ってくる。
 誰かに呼ばれているかのように。何かに引きずられているかのように。
 油断はできない。
 この男の放つ雰囲気は、正直言って異常だ。
 ただの人間でありながら、大怪獣にも匹敵する危険な存在感。それも巨大なウルトラマンの姿ではなく、人の姿で味わうそれだ。
 まるであの時襲い掛かってきた、あの赤いコートの男のようだ。
 似ても似つかぬ態度だというのに、どうしてもあのクロノの仇を連想してしまう。
 それほどまでに、異質。
「すいません、そこの人!」
 幽鬼のごとき男へと、ミライは声をかけていた。
 返事はない。焦点すらもこちらに合わない。未だ気付いていないとでもいうのか。
 何にせよ、気付いてもらわないことには始まらない。素通りさせるわけにはいかない。
「僕はヒビノ・ミライです! 貴方は殺し合いに乗っているんですか!?」
 より大きく声を張り上げ、問いかけた。ここまで来ると、まるで怒鳴っているかのようだ。
 それでようやく、男の顔が持ち上げられる。視線がミライの方へと向かう。

160 :Road to Reunion ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/25(水) 09:58:27 ID:sHp7vUwi
「邪魔をするな。私は八神はやてに会いに行く」
 返ってきたのはうわ言のような声だった。
 距離にして、既に5メートルほど。ほとんど至近距離と言っていい。
 それでもなお、男は歩みを止めようとしない。返事をしながらも、着実に足を進めている。
「はやてちゃん?」
 そして、その名前はミライにも聞き覚えがあった。
 確かあの時ヴィータが言っていた、守るべき人の名前だったはずだ。
 どうやらこの人は彼女を知っているらしい。移動中ということは、その場所も知っているのだろうか。
 であれば、詳しく話を聞かなければならない。
 話を聞いた限りでは、彼女は殺し合いを生き延びられる人間ではないようだ。
 何としても、自分の手で保護する必要がある。それが、彼女と約束を交わした自分の責任だ。
 あの時ヴィータは約束してくれたのだから。
 殺し合いに乗った奴としか、戦わないと誓ってくれたのだから。
 ならば自分も、彼女のために動くべきだ。
「八神はやてちゃんを知っているんですか!?」
 言いながら、ミライが男の元へと駆け寄る。
 肩で息をしているような体力だ。答えを焦るのも無理もなかった。
 あるいは肉体的ではなく、精神的な焦りだったのかもしれない。
 これ以上犠牲を出すわけにはいかない。ここは決して甘い戦場ではないのだ。
 多くの殺し屋のいるこの場所で、何もできずに震えている人々を、一刻も早く救わなければならない。
 そこに、恐らくは保護すべき対象であろう人間を、知っているという男が現れた。わらにもすがる思い、というやつだ。
 あるいは油断があったのかもしれない。
 見たところ悪い人間ではないヴィータが、あれほどまでに慕ったはやての知り合いだ。
 彼女も同じく悪い人間ではないのだろう。そのはやてと同行している人間が、無闇に人を殺すことはしないはずだ、と。
 それらのうちのいずれか、もしくは全てが影響し、彼の行動を早まらせた。
 そのままゼロ距離にまで接近し、鉄色のアーマーで覆われた肩を掴む。
「答えてください!」
 そして、その焦りが――彼の運命を決定づけていた。
「貴方は――」
 ミライの口は、その先の言葉を発することはなかった。



 かつ、かつ、かつ、と。
 アスファルトを叩く靴音と共に。
 さながらかつてのコピー達が、彼の元を目指したかのように。
 片翼の天使は歩みを進める。八神はやてのいる場所へと。
 何の手がかりもないというのに。ただ川下にいるかもしれないという推論だけで。
 恐ろしく正確な道のりで、着実に南西へと向かっている。
 何か強烈な呪いのような、禍々しい力でも作用しているかのような錯覚さえ。
 その手に既にデュエルディスクはない。鬱陶しい円盤は外されている。
 代わりに握られているのは憑神刀(マハ)の切っ先。
 鮮血に濡れた紫の刃だ。
 そして、今や銀色のディスクは、1人の男と共にあった。

 カードのセットされたデュエルディスクと共に、ヒビノ・ミライが倒れていた。

161 :Road to Reunion ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/25(水) 09:59:26 ID:sHp7vUwi
【1日目 昼(放送直前)】

【現在地 E-3 大通りの近く】
【セフィロス@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】
【状態】疲労(中)、魔力消費大、全身にダメージ(小)、全身ずぶ濡れ、ジェノバ覚醒(ジェノバとしての思考)、困惑
【装備】憑神刀(マハ)@.hack//Lightning
【道具】支給品一式×2、トライアクセラー@魔法少女リリカルなのは マスカレード、
    正宗@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使
【思考】
 基本:全ての参加者を皆殺しにする。
 1.はやて(StS)に会い、彼女の正体を見極める
 2.今はまだアンジールは殺さない。ぎりぎりまで生かし、最高の痛みと苦しみを味わわせる。
 3.アーカード、仮面ライダーの娘(=柊かがみ)、アレックスは優先的に殺す。
【備考】
※身体にかかった制限を把握しました。
※アレックス(殺し合いには乗っていないと判断)が制限を受けている事を把握しました。
※参加者同士の記憶の食い違いがある事は把握していますが、特に気にしていません。
※トライアクセラーで起動するバイク(トライチェイサー@魔法少女リリカルなのは マスカレード)は
 立体駐車場に埋もれていると思っていますが、運転はできないので無理に探すつもりはありません。
※「仮面ライダーリリカル龍騎」における仮面ライダーの情報を得ました。
※デスゲームと仮面ライダーの殺し合いに関係があるのではないかと思っています。
※アーカードの弱点が心臓である事を見破りました。
※ヴィータははやて(StS)を偽物のはやてと見なしている可能性が高いと思っています。
※遊戯王カードを使い捨てのアイテムだと思っています。デュエルディスクを捨てたのはそのためです。


「……くっ」
 呻きと共に、男が己が身体をよじる。
 一瞬飛んでいた意識が、痛みと共に覚醒。
 血に染まり始めたアスファルトの上で、倒れたミライの身体が蠢く。
「油断したな……」
 己の軽率な行動を呪った。
 救いを急ぎすぎたが故に、答えを急ぎすぎてしまった。自分の決意を仇としてしまったのだ。
 もしも攻撃されたとしても、紙一重ぐらいでならかわせると思っていたのだが、どうやら目測が甘かったらしい。
 あのアーカードの攻撃よりも、奴の攻撃はリーチが長く、スピードもわずかに速かった。
 その結果、首を飛ばされることは免れたものの、胸元を勢いよく切り裂かれてしまった。
 そも、肉体の疲労を言い訳にし、行動を早めたのもよくなかったのだ。
 本当に身体を労わるつもりがあるのなら、あそこでそんなギャンブルに出ず、距離を置く安全策を取るべきだったではないか。
 何にせよ、おかげで分かったことがある。
 どうやらあの男、八神はやてとは友好的な関係にあるわけではないらしい。
 少なくとも、ミライ自身が思い描くはやて像と親しい関係にあるのなら、無差別な殺戮を犯すはずがない。
 であれば、そんな人物がはやてを求める理由は1つ。
(……はやてちゃんが危ない!)
 あの男は彼女を殺そうとしている。
 恐らく取り逃がしでもしたのだろう。その彼女を、再び殺すべく行動しているに違いない。
 そんなことは絶対にさせるか。
 自分のミスは自分で取り戻す。
 疲労と痛みに悲鳴を上げる身体に鞭を打ち、ぐっと己が身体を起こす。
「メビ……ウス……ッ!」
 普段よりも苦しげな声でも。
 突き上げる拳が弱々しくても。
 正義と平和の戦士ウルトラマンは、決して戦場から逃げることはしない。

162 :Road to Reunion ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/25(水) 10:00:49 ID:sHp7vUwi
 全身を包む眩い光。
 ∞を描く極光の中、現れるのは銀色の戦士。
 ウルトラマンメビウス、その三回目の変身だ。
 人間の姿よりも遥かに強靭となった肉体で、痛みを押し殺しながら大地を蹴る。
 これなら傷を負った身体でも、ある程度のスピードは覚悟できるはずだ。
 3分間の制約や変身制限を考えると、あまり効率のいい使い方ではないかもしれない。
 それでも、目の前で消えかけている命を、見逃すことなど出来はしない。
「待っていてくれ……はやてちゃん……!」
 決意の込められた声と共に、ウルトラマンは駆け抜ける。
 西の方へと消えていった、あの銀髪の男の背中を追って。
 奇しくもセフィロスの影を追いかけた、金色の髪の剣士のように。

 1人の女を求める天使。
 1人の天使を追う英雄。
 ここに再現されたリユニオンの構図。

 果て無き道は、未だ続く。


【1日目 昼(放送直前)】

【現在地 E-3 大通りの近く】
【ヒビノ・ミライ@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは】
【状態】疲労(中)、胸に切り傷(そこそこの重傷)、強い決意、メビウス変身中
【装備】メビウスブレス@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは
【道具】基本支給品一式、『コンファインベント』@仮面ライダーリリカル龍騎、
    『おジャマイエロー』&『おジャマブラック』&『おジャマグリーン』@リリカル遊戯王GX
【思考】
 基本:仲間と力を合わせて殺し合いを止める。
 1.銀髪の男(=セフィロス)からはやてを守る。
 2.一刻も早く他の参加者と合流して、殺し合いを止める策を考える。
 3.助けを求める全ての参加者を助ける。
 4.1が解決した後は大通り沿いに北に向かい、商店街などの人が集まりそうな施設を巡る。
 5.なのは、フェイト、ユーノ、はやて、キャロと合流したい。
 6.ヴィータが心配。
 7.メビウスに変身出来なかった理由を確かめたい。
 8.アグモンを襲った大男(弁慶)と赤いコートの男(アーカード)を警戒。
 9.紫髪の少女(かがみ)を乗っ取った敵(バクラ)や、その他の未知の敵たちを警戒。
 10.自分の為に他の人間の命を奪う者達(主にマーダー)に対する怒り。
【備考】
 ※メビウスブレスは没収不可だったので、その分、ランダム支給品から引かれています。
 ※制限に気付いてません。
 ※デジタルワールドについて説明を受けましたが、説明したのがアグモンなので完璧には理解していません。
 ※参加者は異なる並行世界及び異なる時間軸から連れて来られた可能性がある事に気付きました。
 ※支給品の中にカードがある事に気付いていません。
 ※スーパーにかがみが来ていたことに気付きました。
  また、少なくとももう1人立ち寄っており、その人間が殺し合いに乗っている可能性は低いと思っています。
 ※彼が倒れていたすぐ近くに、デュエルディスク@リリカル遊戯王GX、
  治療の神 ディアン・ケト(ディスクにセットした状態)@リリカル遊戯王GXが放置されています。
  また、ミライはその存在に気付いていません。

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 10:04:28 ID:sHp7vUwi
代理投下完了致しました。

164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 14:52:51 ID:OvkYTH8I
投下乙であります。

セフィロス、怖ぇって!そっちには確かにはやているけど……はやてセンサーもっているんかい!!
それとミライ、気持ちはわかるけどその怪我でセフィロスと戦うのは無理だー!!(しかもそのタイミングで変身したら戦う時にはもう戦う時には戻っている可能性が……)

しかも、確かはやては仮面ライダーデルタのベルト持ち……

今度は翠屋を破壊するの?

165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 16:45:15 ID:ndwu77IQ
投下乙です。
まるで幽鬼のようなセフィロス…果たしてはやてに会えるんだろうか。
まだ会わない方がなんか幸せそうだけど。
あとミライ。そのまま治療しなかったら変身解けた瞬間死にそうだぞ、そっちの心配しろw

166 : ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 16:47:28 ID:Lnxa32nF
ヴィータ、柊かがみ分本投下します。

167 :烈火(Side K) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 16:49:22 ID:Lnxa32nF



「やっぱり無いわね」

F-1の浜辺にて柊かがみは支給品の確認を行っていた。
かがみはスーパーで万丈目準に仮面ライダーに変身する力を持つベルデのカードデッキを押しつけられた。
カードデッキは仮面ライダーへと変身する力を与える代わりに制限として12時間に1人生きた参加者を餌にしなければならないが、ベルデのカードデッキはこれまで1度も参加者を喰わせていない為、制限時間が迫っていたのだ。
ちなみに変身等カードデッキの力を行使すれば猶予時間を大量に消費することになりその時間は1分につき10分だ。
なお、万丈目にはカードデッキの他にも盗賊王の魂バクラが宿った千年リングも支給されていた。
バクラはカードデッキに参加者を喰わせようとしない万丈目に見切りを付け、万丈目に千年リングとかがみに渡すようにし向け、かがみに万丈目をカードデッキへの餌にする様にし向けさせようと目論んだ。
だが、その目論見は万丈目に先に察知され、万丈目はこの場を切り抜ける為にカードデッキをかがみに押しつける様にスーパーから逃げ出したのだ。

その後、参加者の1人であるLがいるであろう南へ走っていたら運良く参加者の1人であるヒビノ・ミライを発見した。
かがみは彼を餌にする為に襲ったものの時間切れとなり、カードデッキの契約モンスターであるバイオグリーザに襲われたがミライがウルトラマンメビウスに変身しバイオグリーザと戦い打ち倒した。
なお、その時にバクラがメビウスを餌にする為にかがみの身体を借り、メビウスに攻撃を仕掛けている。前述の通りバイオグリーザは倒され目論見は失敗に終わったが、何とかメビウスから元に戻ったミライから逃げ出す事には成功した。

そして身体を返してもらったかがみとバクラはF-1の浜辺に到着し、2つのデイパックと幾つかの道具を見付けたのだ。
そこにかがみ自身に支給されたもののLに奪われた王蛇のカードデッキを見付けたのである。
最初はどういう事かわからなかったが、参加者の1人であるエリオ・モンディアルを事故ではあったものの喰わせた後は誰も喰わせてなく、かつ何度も使用していたことから時間切れが来てLは喰われた物だと2人は結論付けた。
だが、それにしては奇妙な話である。

そもそもかがみはLに捕まる前……セフィロスとシグナムと戦った時にはデイパックを3つ……自分、エリオ、高町なのは計3人分所持していた。
そして、Lに捕まったわけだが当然Lにもデイパックは支給されているはずだからLが喰われたとするならばこの場には4つのデイパックが無ければおかしい事になる。
しかしこの場にはデイパックは2つだけしかない。仮にLがデイパックを持っていなかったとしても1つ少ない。
残念ながらかがみは支給品を殆ど把握していないが少なくても『あるもの』が無くなっている事だけはわかっている。
それはなのはに支給されていた仮面ライダーデルタのベルトである。かがみはそれを使い何度かデルタへと変身していた。だが、問題のベルトがこの場には無いのだ。

「どういう事なのかしら……?」
『別にいいだろ宿主サマ、それとももしかしてあのベルトの方が良かったのか?』
「そんなわけ無いわよ!アレ使ったら何か頭がおかしくなったし……二度と使いたくないわ」

デルタのベルトにはデモンズスレートと言われるシステムが搭載されており、それによりかがみは凶暴化しその状態のまま戦い続けシグナムを殺し、自身も傷ついたのだ。いくら力を得られるといってもあんな物を二度と使いたくはないのが本音だ。

『じゃあ、気にするなよ、それに武器だったら他にも使える武器があんだろ』

と、かがみに他の支給品確認をさせる。

「そうね……これなんか使えそうよ」
『何だ、その杖は?』
「説明書を見た所Ex-stっていう『概念』の武器みたいね」
『で、その『概念』っていうのは?』
「何だったかしら……確か何かのラノベに出ていたと思うんだけど……『概念』なんて出ているラノベなんてそんなに無いはずなんだけどね……確か分厚かったとは思うけど……」

かがみの反応を余所に、

『この際『概念』が何でも構わねぇよ、結局の所使えるのかその杖はよ』

バクラは意味の分からない『概念』の事は置いておいて、使えるかどうかの確認をすることにした。

「使えると思うわよ、威力の方は私の意志で変えられるみたいだし」
『なあ、何か詳しいみてぇだがどっかで使ったことあるのかよ?』
「さっきも言ったけど何かのラノベで読んだ気がするのよね……何かまでは思い出せないけど……」
『ちなみに、こなたって奴とはそのラノベについて話したのか?』

168 :烈火(Side K) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 16:50:23 ID:Lnxa32nF

バクラはその事についてかがみの友人である泉こなたと話しているかどうかが気になった為、試しに聞いてみた。

「アイツはラノベなんて読まないわよ、まあCDドラマかアニメになっているなら知っているかも知れないけど……どうだったかしら……?」
『そうかい』

何はともあれ、Ex-stが使えるとわかったかがみはそれをひとまずデイパックにしまう。そして、エリオの(といってもかがみは誰のデイパックかはわかっていないが)デイパックの中に入っている支給品も確認をし時間は過ぎていった。

『とりあえず、これだけあれば変身出来なくても戦いには困らねぇな』
「そうね、仮面ライダーが強いからって下手に使ったらすぐに時間切れになってしまうものね」
『そうだ宿主サマ、まだ確認してない所があったな』
「? 道具なら全部確認したわよ、名簿も地図も含めて……後、何を確認するのよ?」
『そのカードデッキの中身だ』

バクラが言っているのはカードデッキの中身の事である。

「この中身?」
『ああ、中にどんなカードが入っているか分からなきゃ戦い様がねぇだろ? それに、デッキ毎に中身は違うみてぇだからな、確認しておいた方がいいだろ?』
「確かにそうね……」

かがみは王蛇のカードデッキの中に入っているカードを確かめる。
まず発見したのがモンスターの描かれた2枚のカードである。それぞれベノスネーカーとメタルゲラスが描かれている。この2枚は「ADVENT」のカードである。
続いて取り出したのは2枚の「FINAL VENT」のカードである。

「確かこれを使うと必殺技が使えるのよね……」

事実として、王蛇と変身したかがみがそのファイナルベントベノクラッシュでシグナムを仕留めている。

『確か万丈目に支給されたデッキにはモンスターのカードも「FINAL VENT」のカードも1枚しか無かったな……モンスターの数だけ使えるって事か……待てよ……』

バクラは万丈目にカードデッキの使い方を教える際にベルデのカードデッキの中身を確認しており、バイオグリーザの描かれた「ADVENT」のカードも「FINAL VENT」のカードも1枚ずつしかないのを確認している。そんな中、バクラが何かに気付くが、

「どうしたのよ?」
『いや、とりあえず続けてくれ』

続いて「SWORD VENT」と「STRIKE VENT」のカードを確認する。調べた所武器を出すカードの様だ。続いて取り出したのは「STEAL VENT」のカードである。

『コイツはいいぜ』
「STEAL……盗みのカードね、確かにアンタにぴったりのカードよね」

言葉通り、相手の武器を盗む力を持つカードだろう。

「それにしてもこんなカードもあったのね……」
『なんだ宿主サマ知らなかったのかよ。ま、確かめといて正解ってこったな』

次に取り出したのは「CONTRACT」のカード。

『契約って意味だな……』
「何と契約しろっていうのよ……」

そして次に取り出したカードは「SURVIVE」と書かれたカードである。

『サバイブ……生き残るって意味だろうが……何の事だ?』
「ちょっと待って……なんでこのカードがここにあるのよ……」

そのカードを見てかがみは驚いている。

169 :烈火(Side K) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 16:51:19 ID:Lnxa32nF

『ん、何か知ってんのか?』
「多分このカードを使えばパワーアップ出来ると思うんだけど……」
『だけど?』
「でもこんなカード何て無かったはずよ」
『何だと……いや、確かにそうだな』

言われてみれば、凶暴化していたとしても「STEAL VENT」という補助的なカードならばともかくパワーアップすることの出来る「SURVIVE」のカードを使わない理由は何処にもない。あるならばシグナムやセフィロスと戦う時に既に使っている筈だ。

『大方Lの支給品に入っていて、Lが使えると思っていれたんじゃねえか?カード単体じゃ役に立たねえみたいだしな』
「そうかも知れないわね……」

とりあえず「SURVIVE」のカードはLが王蛇のデッキに入れた物だと解釈することにした。

『まあ、パワーアップ出来るんだったらむしろ好都合だろ』
「それもそうね」

カードデッキの中身の確認を終え、一旦それらをデッキに戻す。その一方、

「……? 何かしら?」

かがみは海上に何かが浮かんでいるのを見付ける。バクラもそれを確認し、

『おい……宿主サマ、アレを回収しろよ』
「海の上なんてどうやって回収するのよ?」
『モンスターを出せばいいだろ?』
「時間の方は大丈夫なの?」
『数秒で済ませりゃ1,2分の消費で済む、早くしろ!』
「わかったわよ……」

と、海面からベノスネーカーを呼び出し海上に浮かんでいた物を拾い上げすぐさま自分達のいる浜辺まで持ってこさせ、用事を済ませれば再び海面に引っ込ませた、その間十数秒。

「で、これは一体なの?」
『こいつは眼帯女の……』

それはバクラと万丈目が出会った眼帯付けた少女が身に付けていたのと同じ様なスーツであった。その事を話すバクラだが、

「じゃあ、この服は彼女の?」
『いや、違うな……綺麗すぎる……』

バクラによると眼帯の少女のスーツは万丈目の攻撃により(正確にはバクラによるものだがかがみには万丈目が行ったと説明している。)ボロボロになってなければおかしい筈なのだ。しかし、スーツを見た所左腕部分以外は殆ど損傷がない。

『それに、サイズが全然違う。眼帯女のだったらもう少し小さいはずだ』
「ああそう」

それそのはず、そのスーツは眼帯女ことチンクのものではない。そのスーツはチンクと同じ戦闘機人ナンバーズクアットロのスーツなのだ。
クアットロは無用な争いを避ける為にかがみの友人である高良みゆきの制服を着ていたがその服はボロボロになってしまったのだ。
そして着替えようとスーツをデイパックから取り出した際にエネルとセフィロスの攻撃による爆発が起こり川に落ちスーツを手放してしまったのだ。
そしてスーツは流され海へと流れ着いたのである。もっとも、その事実をかがみ達が知るわけがない。

『丁度良い、コイツに着替えようぜ』
「って何考えてんのよ!?」
『少なくとも宿主サマが今着ている服よりも動きやすい服だとは思うぜ?』

確かにかがみが今着ているスーパーの制服よりナンバーズスーツの方が戦いに適しているのは明白だ。

170 :烈火(Side K) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 16:52:11 ID:Lnxa32nF

「でも、こんなスタイルがハッキリ出そうな服なんてあんまり着たくは無いけど……」
『自信がねぇのか?』
「もうわかったわよ! でも着るのは乾いてからよ! こんな濡れてびしょびしょの服なんて着られないし!」
『まあいいか、じゃあ乾いたら着るってことでいいんだな?』
「はいはい……というかバクラが着させたいだけじゃないの……?」

とりあえず、スーツを浜辺に広げる。晴れた砂浜であれば、服が乾くまでにそう時間はかからない。

『そうだ、宿主サマ。カードの確認しようぜ?』
「さっきしたでしょ?」
『そっちじゃねえよ、もう1つのデッキだ』
「っていうか、バクラ一度確認しているんでしょ? 確認する必要なんて……」
『いや、気になることがあるからな……』
「何よ……」

といいつつ今度はベルデのカードデッキの中身を確認する。

「で、どうなの?」
『気付かねえか宿主サマ、デッキの中身が変わっているぜ』
「!!」

そう、ベルデのカードデッキには先程まであった筈のカードが無くなっているのだ。「ADVENT」(バイオグリーザの描かれたカード)、「COPY VENT」、「CLEAR VENT」、「HOLD VENT」、「FINAL VENT」のカードが無くなっている。
同時に、これまでにはなかった、「CONTRACT」、「SEAL」のカードがデッキには入っている。

「どういうことなのかしら……?」
『モンスターが倒されたからだろうな』

バクラによると「COPY VENT」、「CLEAR VENT」、「HOLD VENT」のカードは何れもバイオグリーザの力を借りる事によって発動する技である。
王蛇のカードデッキを踏まえても「ADVENT」、「FINAL VENT」のカードもバイオグリーザが存在する事で存在するカードと考えて間違いない。
だが、先程メビウスによってバイオグリーザが倒されたことによりベルデはバイオグリーザの力を失いブランク体となった。
それ故にバイオグリーザの力を借りたカードが消失しその代わりに「CONTRACT」、「SEAL」のカードが現れたのだろう。

「それにしてもこっちのデッキにも契約のカードがあったけど、これって一体何と契約するものかしら?」
『それについては見当が付いたぜ』

バクラはその事について説明する。

『モンスターが倒された事でモンスターの力を使ったカードが無くなり、その代わりにその2枚のカードが現れたってことだろ? つまり、コイツはモンスターを失ったから現れたって事だな』
「それはわかるわ、だからそれがどういう事なの?」
『簡単な事だ、コイツはモンスターと契約する為の物だ』

「CONTRACT」はバイオグリーザやベノスネーカーの様なモンスターと契約し新たにライダーとしての力を得る為のカードだと説明した。

「じゃあ、これを使ってモンスターと契約すれば……」
『コイツもまた使える様になるってこった』
「それじゃこっちのカードは?」
『ソイツはモンスターを封印……黙らせる為のカードだろうな』

「SEAL」は襲ってくるモンスターを封印することで脅威から身を守る為のカードだと説明した。

「じゃあ、これからモンスターに襲われるとしても2度は身を守れるってこと?」
『いや、多分1度だけだな。考えてもみろよ、モンスターが1体消えて2枚のカードが現れたって事はどちらか片方を1体のモンスターに使えばもう片方も消えると考えた方が自然じゃねえか?』

バクラは2枚のカードの内片方使えばもう片方も消えてしまうだろうと説明した。つまりモンスターに対して契約か封印しか行えないという事だ。

「でも、肝心のモンスターがいなければ使えないでしょ?」
『そりゃそうだ、まあ出てきた時にでも考えればいいだろ。』

171 :烈火(Side K) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 16:53:18 ID:Lnxa32nF

と答えた物の、実はバクラの脳裏には手っ取り早く使う方法は浮かんでいた。それは王蛇のデッキにある2枚の「ADVENT」カードの内片方を破ることだ。
カードを破る事でモンスターを解放し、そのモンスターと契約を行えば使えるという寸法だ。そうすることで仮に戦闘中に元に戻ってももう1度変身出来る為、戦闘で優位に立てるのは明白だ。
もっとも、この案をかがみに話すつもりはない。バクラ自身もその手段を取るつもりは全く無いし、かがみが思いついたとしても止めるつもりではある。

理由は2つある。1つはモンスターと契約したカードデッキを2つ所持することでモンスターに喰わせなければならない生きた参加者も増加するからだ。
幾ら手数が増えるといってもリスクが大き過ぎると考えていた。何しろ都合良く他の参加者に会えるとは限らないのだ。
もう1つは王蛇は複数のモンスターと契約してこそ真の力を発揮すると考えたからである。

なお、バクラもかがみも気付いていないものの「CONTRACT」、「SEAL」は使わずに所持した方が実は都合が良い。
その理由は簡単なことだ、モンスターは「SEAL」を持っている者を襲うことが出来ないからだ。仮に猶予時間を使い切ったとしてもだ。
つまり、今のかがみがモンスターに襲われる事は無いという事である。とはいえ、現状のかがみもバクラもその事に気付く事は無いだろうが……

さて、ベルデのカードの確認を終えデッキに戻したかがみは、

「そういえばこっちのデッキにはもう1枚契約のカードがあったわよね、でもこのデッキにはもう2体もモンスターいるでしょ? どういうことなの?」
『それがそのデッキの特徴って事だろ?』
「特徴?」

バクラはその事について説明する。ベルデのデッキには「COPY VENT」、「CLEAR VENT」といった相手の姿を借りたり姿を消したりといったトリッキーな戦い方をする為のカードがある。
つまり、ベルデのデッキは力押しで戦うよりも相手を翻弄して戦うのに長けているという事である。

『まあデッキというよりモンスターの影響だろうけどな』
「ふーん……それじゃあこっちは?」

王蛇のデッキには既に「ADVENT」、「FINAL VENT」のカードが2枚ずつ入っており、更に「CONTRACT」のカードがもう1枚入っている。

『簡単なことだ、もう1体のモンスターと契約したらどうなるかわかるよな?』
「モンスターのカードと、「FINAL VENT」のカードがもう1枚増えるって事じゃ……待って、それはつまり……」
『ああ、必殺技を3回も使えるって事だ』

仮面ライダーのカードアドベントカードは1度の変身に付き1度しか使えない。故に通常1枚しかない「FINAL VENT」は1度の変身で1度しか使えない。
だが、複数「FINAL VENT」のカードを所持しているならば話は別、その枚数分「FINAL VENT」を使用する事ができるのだ。
「FINAL VENT」の威力は絶大……それが何度も使えるならば優位に立てるのは明白である。
通常カードデッキと契約しているモンスターは1体だけ、当然「FINAL VENT」のカードも1枚しかない。
但し、王蛇のカードデッキには「CONTRACT」が他に2枚入っている(既に1枚使っている為、残り1枚だが)。
つまり、「CONTRACT」を使ってモンスターと契約すれば最大3体と契約する事になり、必然的に「FINAL VENT」の枚数も最大3枚まで増えるという事である。
複数回必殺技を使える王蛇のデッキは下手な小細工よりも純粋な力押しで戦うのに向いていると言えよう。故に、バクラは王蛇の力を引き出す為「ADVENT」のカードを破かずにそのままにしておくつもりだったのだ。

「その割に「STEAL VENT」なんて姑息なカードがあるのはどういう事なのかしら?」
『俺様は別に構わねぇけどな。それよりもここからは俺様の推測なんだが……このデッキは3体のモンスターと契約してこそ真の力を発揮すると思っている』
「まあ、中身を見る限りそうしろって感じだろうけど……」
『例えばな……3体モンスターが揃って初めて使えるカードが現れたりするかも知れねえな』

ちなみに、バクラはカードゲームデュエルモンスターズの経験が豊富な事もある為、仮面ライダーのカードデッキについても早い段階から見ていた為把握出来ていた。
そしてバクラの今の発言もデュエルモンスターズの経験による発言である。実際に、デュエルモンスターズでは複数のモンスターがいることで使える特殊なカードが存在する。

「どんなカードよ……」
『3体のモンスターを生贄に捧げてより強力なモンスターを召喚するカードとか、3体を融合させるカードとかな』
「融合はありそうな気はするけど」

172 :烈火(Side K) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 16:54:10 ID:Lnxa32nF

実際、仮に3体のモンスターと契約した王蛇は「UNITE VENT」と呼ばれるカードを使うことで3体のモンスターを合体させ1体の強大なモンスターを出現させる事が出来る。3体のモンスターが合体したモンスター……その強さは想像に難くないだろう。
とはいえ、2体しか契約していない現状のデッキには「UNITE VENT」のカードはない。恐らく3体契約した時にそのカードが現れるのだろう。その時が訪れるかまでは不明だが……

「……そういえば気になったんだけど、このデッキって2体のモンスターと契約しているのよね?」
『ああ、それがどうかしたのか?』
「いや……餌にしなきゃいけない数って増えたりしないのかなって思って……」
『言われてみりゃそうだな……』

先程も述べた通り、王蛇のカードデッキはベノスネーカーとメタルゲラスの2体と契約している。普通に考えるならば、2体のモンスターそれぞれに対して餌を与えなければならないはずである。
実を言えばこれは重要な問題と言えよう。

かがみ達はLがモンスターに喰われたと考えたが、Lだけを喰った場合片方しか空腹は満たされないはずである。つまり、もう片方は依然として餌を与えられていない可能性が高いということだ。
ちなみに最初に王蛇のカードデッキへの餌として喰われたのはエリオではあるが、エリオが喰われたのはこの場に来てすぐの事なので猶予時間には殆ど差が無いはずなのでその事については特に考える必要は無いだろう。
さて、もし仮説通り片方に餌が与えられていないならばもう片方がかがみを襲っても不思議はない。

「大丈夫なのかしら……」
『宿主サマ、一瞬でいいから犀の方を出してくれ』
「ええ……」

かがみはバクラの言う通りメタルゲラスを海面から呼び出し、すぐさま引っ込めた(その間数秒)。メタルゲラスはかがみの指示通り動いた。

「ちゃんと言うことを聞いたわね」
『時間切れになっていたら言うことを聞かねえはずだな……』

かがみとバクラは考える。

「あの場にはL以外にも参加者がいてそいつも喰ったとか?でも確かLしかいなかったけど……」

かがみ達は知らないがLが喰われそうになった時にザフィーラとアレックスが戻って来ていた。但し、ザフィーラが王蛇のデッキを持って浜辺まで走った為、喰われたのはザフィーラ1人だけであるが。

『もしかしたら……餌にしなけりゃならねえのはデッキ毎に1人かも知れねえな。その代わり片方猶予切れになったらもう片方も襲うようになる風にしたんだろう』
「それって2体とか3体とか契約していても1体扱いって事?」
『まあ、想像だが……考えられない話じゃねえだろ?』

とはいえ考えられない話ではない。いや、むしろその仮説は正しいと言えよう。ここで順を追って整理してみよう。
まず、最初にデッキの生贄としてベノスネーカーに喰われたのはエリオだがこの時点ではこの場に来てからさほど時間が経っていない為猶予時間には殆ど差がない。
その後かがみは度々モンスターの力を行使したり変身したりしていたが、どちらのモンスターもまんべんなく利用していた為やはり猶予時間には差は無い筈である。あってもせいぜい1時間程度だろう。
ところがここからが問題である。王蛇のデッキはLが回収したがLはメタルゲラスに逃げたかがみを追わせる様に命令した。なお、この時ベノスネーカーの力を借りて川越を行っているがごく短時間……2,3分といった所だろう。
だが、一方のメタルゲラスは延々とかがみを追い掛けていった。
ここで思い出して欲しい、モンスターの力を行使した場合は1分につき猶予時間を10分消費する事を。つまり、仮に1時間もの猶予時間の差があったとしても6分でひっくり返される事になり、先にメタルゲラスの猶予時間切れとなるだろう。
となればメタルゲラスはLを襲うはずだが、この時点ではベノスネーカーの猶予時間は残っている筈なのでベノスネーカーがLを守ってくれるはずである。
だが、実際にはそうはならずメタルゲラスの猶予切れと同じタイミングでベノスネーカーはLを襲った。猶予時間がモンスター毎ならこうはならないはずである。
以上の事から考え猶予時間はモンスター毎ではなく、カードデッキ毎に設定されていると考えられる。

これらの事はかがみもバクラも知り得ないが2人は猶予時間はカードデッキ毎に設定されていると結論付けることにした。この説が間違っている可能性はあるが下手に考えるよりも一刻も早く他の参加者を餌にすればいいだろうと考えることにした。

「それにしても……あの2体のモンスターで仲良く食べているとしたら変な光景よね……」
『深く考えるなよ、宿主サマ』

173 :烈火(Side K) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 16:55:17 ID:Lnxa32nF

支給品の整理を終え、少し休みスーツが乾いた頃かがみ達は歩き出した。

「うう……海の匂いがする……」

今現在かがみは服を着替え乾いたばかりのスーツを着用している。かがみが着ていた服はデイパックの中にしまってある。

『だが動きやすくはなっただろ?』
「あんたが着せたかっただけとしか思えないけど」
『しかしよ……やっぱりパンツとかは脱いだ方が良かったんじゃねえか?』
「それは絶対に嫌! (確かに下着のラインが気になるけど……)」
『やっぱり気になるんじゃねえか』
「人の考えを読むな!!」

なお、下着については外した方が良いというバクラにかがみは最後まで反論し、最終的にバクラが仕方なく折れ、下着は着用したままである。とはいえかがみ自身も正直下着のラインが気になっているが

「つか、一体どんな奴がこれ着ているのよ……」
『そうだ、宿主サマ。ちょっと変身してくれるか?』
「ちょっとコンビニまでみたいに言うな! 時間がなくなるでしょうが!」
『いや、さっき拾った方じゃなく万丈目に押しつけられた方だ』
「? でも、これモンスターいないから何も出来ないわよ」
『後で説明するから早く変身しろよ』
「はいはい……――変身」

カードデッキを装填し黒いベルデの装甲を身に纏う。

「で」
『よし、元に戻っていいぜ』
「は!?」

苛立ちつつかがみは変身を解除した。

「一体何をさせたかったのよ……」
『ああ、制限の確認だ』

バクラによると1度変身した後は暫くの間変身が出来なくなるという話だった。実際、その事についてはかがみ自身も身に覚えがあるためその事については理解している(というより、バクラもかがみの体験からそれを知ったわけだが)。
そこで、バクラはベルデのデッキを利用してどれぐらいの時間変身が出来なくなるのかを確かめたのである。幸いベルデのカードデッキはモンスターと契約していない為、猶予時間を消費する心配は全く無い。

『さっき変身が解けてから1時間半弱って所だな』
「じゃあそれぐらいでまた変身出来る様になるってことね」
『そんなとこだろうな』

再変身までの時間を把握したかがみ達は再び歩き出す。

「ところで、何処へ向かうつもり?」

かがみはバクラの指示している方向に歩いている為、目的地を把握していない。

『ああ、デュエルアカデミアに向かおうと思ってんだ』

バクラによるとデュエルアカデミアはカードゲームデュエルモンスターズの学校であり、万丈目、遊城十代、天上院明日香、早乙女レイがその学校の生徒だという話だ。

174 :烈火(Side K) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 16:56:07 ID:Lnxa32nF

「つまり奴らがそこに集まるって事?」
『それもあるが、カードがあるなら探したいと思ってな』
「……カードゲームのカードなんて何に使うのよ?」
『それはだな……』

バクラは万丈目のいた世界ではデュエルモンスターズのモンスターカードが実体化していた事をかがみに話した。

「それ本当なの?」
『ああ、万丈目に聞いた話じゃそうだったみたいだぜ』

それはバクラの嘘である。少なくともバクラは万丈目からその話は聞いていない。バクラは万丈目の記憶を見てそれを知っていたのだ。もっとも、バクラにしてみれば万丈目から話を聞いていなくてもカードは使えると考えていただろうが。

「でもそれがここでも使えるとは限らないんじゃ……」
『わからねぇぜ、万丈目の奴自分のデッキが没収されているって言っていたからな、何の効果もないカードを没収する理由なんて無いだろ?』
「言われてみればそうだろうけど……」
『まあ、仮に無駄骨でも人が集まっている可能性はあるだろう。行ってみる意味はあるんじゃねえか?』
「それもそうね、でも地図を見たけど結構距離あるわよ。他の施設に行った方が……」
『いや、そうでもねえよ』

と、気が付くと周囲の景色が砂浜から森林に変わっていた。

「あれ……何時の間に移動したの?」
『よくはわからねえけど、地図の端と端が繋がっているみてぇなんだ』
「ということは……」

かがみは地図を確認する。自分達がいたのはF-1の砂浜だ、そして少し移動して森林にたどり着いたと言うことは……

「ここはF-9!?」

西端から東端へとワープしF-9の森林にたどり着いたということだ。

「ここからデュエルアカデミアは……そんなに離れてないわね」
『な、悪くないだろ』
「そうね……他にもホテルとか映画館、レストランにいるかも知れないし……ねえ、デュエルアカデミア行く前にホテルや映画館に行ってもいいかしら?」
『そうだな、そこに集まっている可能性はあるからな』

かがみはバクラの助言通りデュエルアカデミアに行く前に、ホテルや映画館に行こうと考えた。無論、そこに集まっているであろう参加者を王蛇のカードデッキへの餌にする為である。いくら時間があるとはいえ早めに行動した方が良いのは明白だからだ。
勿論、バクラとしてもそれに反対する理由はない為それに賛同する。バクラの目的であるデスゲームを楽しむ事が出来るからだ。

『じゃあ、急ごうぜ。黙っていたって時間の無駄だからな』
「わかったわバクラ」

175 :烈火(Side K) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 16:57:44 ID:Lnxa32nF

【1日目 昼】
【現在地 F-9 森林】
【柊かがみ@なの☆すた】
【状態】疲労(小)、肋骨数本骨折 、4時間30分憑依不可(バクラ)、1時間変身不能(ベルデ)
【装備】ストラーダ(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、千年リング@キャロが千年リングを見つけたそうです、Ex-st@なのは×終わクロ、
    カードデッキ(王蛇)@仮面ライダーリリカル龍騎、サバイブ“烈火”(王蛇のデッキに収納)@仮面ライダーリリカル龍騎、ナンバーズスーツ(クアットロ)
【道具】支給品一式×2、ランダム支給品(エリオ1〜3)、カードデッキ(ベルデ・ブランク体)@仮面ライダーリリカル龍騎、柊かがみの制服(ボロボロ)、スーパーの制服
【思考】
 基本:死にたくない。なにがなんでも生き残りたい。
 1.もう誰も信じない(こなたやつかさも)。バクラだけは少し信用。
 2.ホテル、映画館に向かってからデュエルアカデミアに向かう。
 3.参加者を皆殺しにする。
 4.万丈目に対する強い憎悪。万丈目を見つけたら絶対に殺す。
 5.同じミスは犯さないためにも、12時間という猶予時間の間に、積極的に参加者を餌にして行く。
 6.メビウス(ヒビノ・ミライ)を警戒。
【備考】
※デルタギアを装着した事により、電気を放つ能力を得ました。
※一部の参加者やそれに関する知識が消されています。ただし、何かのきっかけで思い出すかもしれません。
※「自分は間違っていない」という強い自己暗示のよって怪我の痛みや身体の疲労をある程度感じていません。
※周りのせいで自分が辛い目に遭っていると思っています。
※Lは相手を縛りあげて監禁する危険な人物だと認識しています。
※第一放送を聞き逃しました。
※万丈目の知り合いについて聞いてはいますが、どれぐらい頭に入っているかは不明です。
※Lはモンスターに食われて死んだと思っています。
※王蛇のカードデッキには、未契約カードがあと一枚入っています。
※ベルデのカードデッキには、未契約のカードと「封印」のカードが1枚ずつ入っています。
※「封印」のカードを持っている限り、ミラーモンスターはこの所有者を襲う事は出来ません。
※変身時間の制限にある程度気付きました(1時間〜1時間30分程時間を空ける必要があることまで把握)
※エリアの端と端が繋がっている事に気が付きました。
※千年リングを装備した事でバクラの人格が目覚めました。以下【バクラ@キャロが千年リングを見つけたそうです】の簡易状態表。
【思考】
 基本:このデスゲームを思いっきり楽しむ。
 1.かがみをサポート及び誘導する。
 2.デュエルアカデミアに行ってカードを探したい。もっとも、過度な期待はしていない。
 3.万丈目に対して……?(恨んではいない)
 4.こなたに興味。
 5.可能ならばキャロを探したいが、自分の知るキャロと同一人物かどうかは若干の疑問。自分の知らないキャロなら……
 6.メビウス(ヒビノ・ミライ)は、万丈目と同じくこのデスゲームにおいては邪魔な存在。
【備考】
※千年リングの制限について大まかに気付きましたが、再憑依に必要な正確な時間は分かっていません。
※キャロが自分の知るキャロと別人である可能性に気が付きました。
※千年リングは『キャロとバクラが勝ち逃げを考えているようです』以降からの参戦です
※かがみのいる世界が参加者に関係するものが大量に存在する世界だと考えています。
※並行世界の話を今の所かがみにするつもりはありません。
※かがみの悪い事を全て周りのせいにする考え方を気に入っていません。

176 :烈火(Side K) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 17:01:42 ID:Lnxa32nF



   ★   ★   ★



本来であればかがみは殺し合いに乗るような少女ではないし、同時に彼女が自身の命を狙われる理由はないはずであった。
だが、殺し合いの場に放り込まれ精神的に不安定になった事でエリオを死なせてしまったり、デルタのベルトの副作用で凶暴化し多くの参加者を傷付け自身の身体も傷付けてしまった。
幸い凶暴化自体は解けたものの、その後もLに拘束されたりモンスターに追いかけ回されたり、万丈目に猶予時間切れの近いカードデッキを押しつけられたりと彼女は災難に見舞われ続けた。
実際の所はLは保護しようとしていただけだし、万丈目はバクラが自分を喰わせようとしている事に気付いた為自身の身を守る為に仕方なくかがみにデッキを押しつけただけなので、
彼女を苦しめる意図はないわけだが、かがみにとってそれは知りようの無いことだ。
何にせよ彼女はそれらの事により周囲全てに憎しみを抱き殺し合いに乗った。
誤解の無い様に書くがかがみは別に殺し合いがしたいわけではない。単純に自分が生き残りたいだけだ。
だが、『何故』か周囲の人が自分を苦しめるからそれに対する為に殺すだけである。少なくとも彼女は今も自分は命を狙われる理由は『全く無い』と考えている。
確かにこの場に連れて来られた時はそうだったかもしれない。しかし今はそうではない。彼女のしでかした行為は故意にせよ不幸な偶然にせよ多くの不幸を呼んだ。
同時に、彼女に対し憎しみを抱き殺そうと考えている者も何人かいるが、かがみはそんな事には全く気付いていない。
そう、ある参加者はシグナムの死を知った時に仇討ちの為彼女を殺した人物を殺そうと考えていた。
ここから先はその参加者の話をしよう。



   ★   ★   ★

177 :烈火(Side V) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 17:03:49 ID:Lnxa32nF



「お前、アギトっていうのか」
「ああ。で、あんたは……」
「ああ、あたしはヴィータだ」

F-3を横切る川には半壊した列車がかけられている。その近くにてヴィータは先程手に入れたデイパックから出てきた融合騎(ユニゾンデバイス)アギトと互いに自己紹介をしていた。
アギトの話では知らない相手に利用されたくはなかった為、今まで様子見を決め込んでデイパックの中で隠れ潜んでいたが、先程の騒ぎが収まり気が緩んだ所でヴィータに発見されたとの事だった。
ちなみに、時々気付かれない様に外の様子を伺っていた為、今殺し合いが行われているという事は把握しているとアギトは語った。大まかな話を聞いたヴィータは、

「なあ、アギトの入っていたこのデイパックの持ち主って誰のだ?」

ヴィータはつい先程、セフィロスとアーカードとの戦いの最中、セフィロスによって止めを刺されそうになった。その際に自身が所持していたヘルメスドライブを無意識の内に起動し、ある場所へセフィロスと共に転移したのだ。
ヘルメスドライブには所有者の知り合いへの場所へ転移出来るという機能があったのだ。
そして、転移した先では八神はやて……ヴィータは偽物だと思っている彼女、ヴィータ同様ヴォルケンリッターの1人であるシャマル、そして知らない女性がいたのだ。なお、実際にはその場には他にもう1人いたがヴィータは気付いていない。
その際にヴィータはセフィロスから抜けだし偽物の八神はやてに斬りかかろうとしたが、大きな爆発が起こり、川に落ちここまで流され流され川から上がる際にデイパックを見付けて拾ったのである。
つまり、ヴィータが拾ったデイパックはあの場にいた誰かの物である可能性があったのだ。その為、ヴィータはまずはデイパックが誰のものかを確認したのだ。

「ああ、銀髪の奴……確かセフィロスって奴だ」

その事を聞きヴィータの表情が強ばる。

「セフィロス、アイツか……」

と、ヴィータの脳裏に、

『全ての死は、私の引き起こしたものだ。私の目の前でシグナムは死に……』
『――八神はやてもまた、息絶えた 』

セフィロスの言った言葉がよぎる。

「アギト……お前はアイツに力を貸していないんだよな?」
「ああ、多分アイツはあたしがいたことにも気付いていないと思うぜ」
「で、様子を伺っていたんだよな?」
「時々覗いたぐらいだから全部見ていたわけじゃねぇけど……」
「じゃあ教えてくれ! シグナムやはやてはどうして死んだんだ!? 見ていたんならわかるはずだろ!?」

ヴィータは知りたかったのだ、あのシグナムやはやてがどのようにして死んでしまったのかを……

「その前にあたしの質問に答えてくれよ」
「何だよ?」
「この殺し合いにあたしの仲間も巻き込まれてるかもしれねえんだ、ゼストの旦那とルールーなんだけど……」
「ちょっと待てよ」

ヴィータは名簿を取り出し、2人は確認する。

「どれだ……?」
「これとこれ……やっぱりいたか……」

そして、ゼスト・グランガイツとルーテシア・アルピーノ、2人の名前があるのを確認した。

178 :烈火(Side V) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 17:14:27 ID:Lnxa32nF

「この2人がアギトの仲間なんだよな?」
「ああ、あんたが持ってるのが旦那の槍なんだ」
「そうか、これが……」

ヴィータは指輪を見た。

「で、ヴィータ……もう1つ聞かせろ……あんたは殺し合いに乗っているのかよ?」
「何……?」
「あたしとしては旦那とルールーに会いたい。もし、あんたが殺し合いに乗っていて旦那やルールーも殺すつもりならあたしは協力してやらねえし、これ以上は何も喋らない。その辺の所どうなんだよ?」
「それは……」

ヴィータは考える。この場にいるはやてが全て偽物であり、本物のはやてがこの場にいないのであればすぐにでも元の世界に戻るべきなのは明白だ。その為の一番の近道は殺し合いに乗り、早々に最後の1人となることだろう。だが……

「(ザフィーラやシャマルも殺してか?)」

最後の1人になる為には同じヴォルケンリッターであるシャマルやザフィーラとも殺し合いをしなければならない。さらに、

「(あたし達の誰かが生き残ったとしてもそれじゃ1人しか戻れないじゃねえかよ)」

仮に殺し合いをした場合、最後に生き残るのは1人である以上、元の世界に戻れるのは1人だけ、他の2人は戻ることが出来ないのだ。

「(はやてとあたし達の内の誰か1人だけじゃはやてが寂しい思いをするに決まっているだろ! そんな事出来るわけねえだろ! それに……)」

ヴィータの脳裏には2つの約束があった。

『……ヴィヴィ……ちゃ……を……お願…………―――』

最初に出会った参加者ギルモンから託されたヴィヴィオの保護と、

『約束する! 殺し合いにのった奴としか戦わない! それは約束するよ!』

図書館で別れた参加者ミライと交わした殺し合いに乗った人以外とは戦わない約束だ。

実の所、放送で優勝者への御褒美の話を聞かされ、もしもはやてが死んだとしたならば彼女を生き返らせる為に2つの約束を守れなくなる可能性はあった。だが、この場にいるはやてが全て偽物ならばその為に殺し合いに乗る必要はない。

「(やっぱり、約束は破れねえよな……それにはやてだって殺し合いを望むわけないよな……)」

恐らくはやては皆殺しにしてまで帰ってくる事を望みはしないだろうとヴィータは考えた。

「(すまねぇはやて、少し遅くなるかも知れねぇけど待っててくれよ……)」

ヴィータは内心で帰りを待っているであろうはやてに謝罪し、

「……いや、あたしは殺し合いの乗った奴とだけ戦うつもりだ。で、旦那とルールーの方は殺し合いには……」
「旦那やルールーがこんな殺し合いに乗るわけ無いに決まってるだろ。じゃあ、旦那達と戦うつもりは無いんだな?」
「ああ、だから教えてくれよ。アギト……お前が見たことを……」
「わかった……さっきも言ったけど全部見たわけじゃないからな」

アギトは語る……自分がこの場に連れて来られてから自分が見て聞いたことを……



「気が付くとあたしは暗く狭い所……そのデイパックの中にいた。で、デイパックが開いたらアイツが覗いていたんだ」
「セフィロスだな……」

アギトはセフィロスに見つからないように気配を殺し様子を伺った。セフィロスはストラーダとイカリクラッシャーを見付け、ストラーダの方を取り出したのだった。

179 :烈火(Side V) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 17:20:22 ID:Lnxa32nF

「ちょっと待て、ストラーダって何だよ?そんな物無かったぞ?」
「旦那の槍同様、槍に変形するデバイスだよ。その辺の話もするから黙って聞いてろよ」

その後、アギトはセフィロスに気付かれないように時々外の様子を伺った。そして、セフィロスが1人の少女と出会ったのを見たのだ。

「それがはやてか!? じゃあはやては……」
「いや、アイツはどういうわけか手を出さなかったんだ」
「本当かよ!? 嘘じゃねえんだろうな!?」
「黙って聞けよ、話すの止めるぞ」
「あ……すまねえ……」

その後、セフィロスははやてと共に何処かの店に入っていく。なお、その間にもセフィロスとはやては色々話していたらしいが詳しい内容までは聞いていないとアギトは語った。
そして、セフィロスは1人外へ出てある場所へと向かっていったのだ。

「それが丁度この近くなんだけどよ」

セフィロスは1人の女性と男性が戦っているその場所に舞い降りたのだ。ちなみにその場には既に1人の少女が殺されていた事も語った。

「待てよ、その戦っていた女って……」
「ああ、シグナムだ」
「じゃあセフィロスはそこでシグナムを……」
「ところがそういうわけじゃねえんだよ」

セフィロスはシグナムと男……アレックスと戦いだした、ちなみに戦いの様子については下手に顔を出せない為詳しくはわからないとアギトは語った。
セフィロスが強いという事ぐらいしかわからないと語った(が、ヴィータもそれはわかっているので気にしてはいない。)そして、その場にはやてが乗り込んできたと語った。

「それ本当か!?」

ある理由からヴィータにはそれが信じられなかった。

「いいから聞けよ」

アギトは構わず話を続ける。はやてが駆けつけたことで戦いは中断され、4人は情報交換に……とならず、突如アレックスがはやてを浚っていったのだ。

「はやてが!?」
「うるさーい!」

ヴィータの叫びを少々鬱陶しく思いつつアギトは話を続ける。
セフィロスとシグナムは急いでアレックスを追い掛けようとしたがそこに紫髪の少女が現れたのだ。
少女は何処かから巨大な蛇を呼び出し物言わぬ死体となっていた少女を喰わせ突如漆黒の鎧を身に纏ったのだ。
そしてセフィロスとシグナムはその少女と戦い少女を退けた。その後、その場に現れたのがはやてだったのだ。

「? なあ、自力で戻ってきたのかよ?」
「多分な」

その後、はやてはシグナムに説教をする。

「詳しい事はよくわからねえんだけど、聞いた限りじゃどうやらシグナムがティアナって奴を殺したらしいんだ」
「そうか……」

ヴィータにとってシグナムが殺し合いに乗っていた事については別段疑問はない。はやてを優勝させる為にに他の参加者を殺すという事は十分考えられたからだ。

「ところで、ティアナって奴知っているか?」
「いや、知らねえ奴だけどどうかしたのか?」
「いや、知らねえんだったら別に良いんだ」

180 :烈火(Side V) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 17:22:44 ID:Lnxa32nF

その後、話が綺麗にまとまったと思いきやそこに紫の鎧を身に纏った者が襲いかかってきたのだ。

「多分、さっきの女だと思う……確かはやてって奴が『仮面ライダー』って言っていたと思うけど……」
「はやてが?」

そしてその戦いによってシグナムは命を落としたのだった。

「つまり、シグナムを殺したのは……」
「ああ、その『仮面ライダー』……女だと思うぜ」
「……それでその後どうなったんだ」
「それが……」

アギト自身も全てを見たわけではない。だが、どうやら突如として強風が巻き起こり戦いは終わりを迎えたのだ。ちなみにストラーダはその時に紛失したらしい事も語った。

「じゃあ、はやてはそれで……」
「いや、無事だったんだ。アイツもはやても……何で無事だったかまではそこまで見てねえからわからねえけど」
「その後はどうなったんだ?」

その後セフィロスとはやては暫く休んでいたが、その後セフィロスははやてに仮面ライダーの事を聞いたのだ。
はやてによると自分のいた世界では仮面ライダー同士で殺し合いが行われており、はやて達管理局はそれを止めようとしていたらしいのだ。

「はやてが管理局?」
「ああ、確かそんな話だったぜ」

その後暫くして、ある男の声が響いてきたのだ。セフィロスとはやてはその男のいる場所に向かったのだ。
そしてその男……赤いコートの男と戦いを始めたのだ。

「ちょっと待てよ! その男ってまさか!?」

赤いコートの男と聞き、ヴィータの脳裏にある男が浮かぶ。その男は学校でアグモンを殺し、自分とミライを生かす為に残ったクロノ・ハラオウンを殺したであろう人物だ。

「いや、ヴィータが会った男と同じかどうかまではわからねえって」

構わずアギトは話を続ける。セフィロスは赤いコートの男と戦ったが敗れ去ったのだ。

「ちょっと待てよ、アイツが負けたって事ははやては……」
「いや、そこに現れたんだ……あんたの……いや、巨大なハンマーを持った奴が」
「それってアイゼンのことか!?」
「多分な」
「ぜってぇ取り返してやる……」

その後、グラーフアイゼンを持つ男が現れ赤いコートの男と戦いだした事ではやては無事にその場から離脱出来たがその後、突如として光がその場を覆い尽くしたのだ。しかし、それでもセフィロスもはやては無事だったという。

「……なあ、アギトの話を疑うワケじゃねえんだけどさ……どうもあたしがさっき出会った奴と同一人物とは思えねえんだけど」
「やっぱりそう思うよな、あたしもそう思う」

ここまで話を聞いて、ヴィータは話に出ているセフィロスと先程出会ったセフィロスが同じ人物とは思えなくなっていた。実際、語っているアギト自身も同じ事を思っている。

「それに、話を聞いた限りじゃそのセフィロスがはやてを殺すとは思えねえんだよな……」
「実際そうなんだよな……だけど……」

その後、セフィロスの知り合いらしいアンジールが2人の前に現れたのだ。はやてはアンジールを説得しようとした様だがアンジールはそれを聞かず……

「まさか……」
「ああ、そのアンジールが殺したんだ」
「くっ……!」

181 :烈火(Side V) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 17:28:28 ID:Lnxa32nF

その事実を聞き、ヴィータの顔が強張る。

「で、その後なんだ。アイツが豹変したのは……アイツはそのアンジールって奴に言ったんだ」

『お前が、俺のはやてを殺したんだ』

「なあアギト……」
「何だよヴィータ……」
「……本当にそんな事言ったのか?」
「確かに言った」
「いやいや、アイツのものじゃねえだろはやては……」
「で、アイツが殺し合いに乗ったのははやてって奴が死んだのが原因だと思う」

その後、セフィロスはアンジールを退け移動した後はやてを埋葬しようとし……

「そこにお前が現れたんだ。その後の事はヴィータもわかるよな。さっきの赤いコートの男も現れて……」
「……ってことは、やっぱりあたしが出会った奴で合ってるじゃねえか、アイツの名前は……確かアーカードって呼ばれていたな」

ともかく、その後の事はヴィータ自身もわかっている。セフィロスと赤いコートの男アーカードが戦っている所に入っていったがあっさりとあしらわられ、セフィロスに止めを刺されそうになったがヘルメスドライブを起動しもう1人のはやての所に転移した。
そしてその場で起こった爆発で吹っ飛ばされ川に落ち今に至ったのである。


「とりあえず、今までに起こった事はこれで全部だ」
「そうか……なあ、もう1つだけ確認して良いか?」
「何だよ?」
「……はやては……普通に立って歩いていたのか?」
「? ああ、普通に立って歩いていたけどそれがどうかしたのか?」
「いや、やっぱり『本物』のはやてじゃないなって思ってさ」
「? どういうことだよ?」
「はやてが立って歩けるはずが無いんだ。それに、はやてが管理局にいるはずもないし……何より、もし本物のはやてが死んだとしたらあたし達も消滅しているはずなんだ。」

ヴィータは本物のはやての足が不自由であり、自分達の主であるはやてが死ねば自分達は消滅する事等を語った。その為、セフィロスと一緒にいたはやては偽物だと説明したのだ。

「確か名簿にはもう1人いたような……そっちが本……」
「もう1人の方は間違いなく偽物だ、アイツが『本物』のはずがねぇ!」

ヴィータはもう1人のはやても年齢や行動等から偽物である事を語った。そして、この場には『本物』のはやては連れてこられていない事を説明した。アギト自身は納得はいっていない様だったが、

「まぁいいけどよ……」
「ちょっと待てよ! 確かシャマルは……」

ここでヴィータはシャマルがもう1人の『偽物』のはやてと一緒にいたのを思い出した。

「まずい、まだ近くにいるはずだよな!!」

と、すぐさまヘルメスドライブのレーダーで確認するが全く反応がない。

「あれ? どういうことだ? もう近くにはいないのか?」

よく見るとヘルメスドライブにはヒビが入っている。

「さっきので壊れたのかな……」

ヴィータはヘルメスドライブを元の核鉄に戻す。

「そうだ、確か核鉄状態だったら傷を治せるってあったよな……」

182 :烈火(Side V) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 17:38:13 ID:Lnxa32nF

ヘルメスドライブが治療にも使えることを思い出し、核鉄を切り傷のある左肩に当てる。効果があるかは半信半疑だったがひとまず使ってみることにした。

「で、これからどうするんだよ?」
「そうだな……とりあえず仲間を捜す」
「仲間って誰がいるんだよ」
「シャマルにザフィーラ、後はミライとヴィヴィオだ」
「……ちょっと待てよ、それだけかよ?」
「ああ、それだけだけど……どうかしたのか?」
「いや……何でもねえ……」
「変な奴」
「変って言うな!」

そしてヴィータは仲間との合流を目指して歩き出す。この場にいるはやてが全て偽物である以上長居は無用、元の世界で1人寂しく待っているはやての為にも、仲間達と共にこの殺し合いを止めることで終わらせるのだ。
プレシアの言葉になど乗るつもりは全く無い、最後の1人になって死んだシグナム達を生き返らせる事が出来るとしてもそんなことをはやてが望むわけがない。
だが、アグモンやクロノを殺したアーカードやシグナムを殺した紫髪の少女、そしてはやてを殺したアンジールだけは別だ、彼等を許すつもりは全く無い。何とかして仇を討ちたいと考えていた。
その一方セフィロスについては……。

「(アイツ……セフィロスが殺し合いに乗った原因はどうかんがえてもはやてが死んだからだよな……)」

アギトの話ではどうもセフィロスにとってはやては自分達にとってと同じぐらい大事な人物らしい。セフィロスが殺し合いに乗るきっかけがはやてが殺された事なのは明白だ。だが、

「(そんなこと、はやてが望むわけねぇに決まってるだろ……)」

はやての意志を裏切ろうとするセフィロスを止めたいと考えていた。とはいえ、あのセフィロスを止められるかについては正直自身が無かった。
当然である、あのセフィロスに手も足も出なかったし、ヘルメスドライブを起動しなければ間違いなく殺されていたからだ。その時の恐怖がヴィータを締め付けていた。
それでもヴィータは足を止めない、はやてやギルモン、ミライの為にも何とか殺し合いを止めたいと足を進めていたのだ。目的地は考えてはいないものの人が集まりそうなビルが数多くある東の方に足は向いていた。


ところで、ヴィータはこの場にいる2人のはやてを両方とも『偽物』だと断定していた。その理由について片方は年齢と性格から、もう片方は立って歩いていた事と死んでも自分が消滅しなかった事等からだ。
それ故、『本物』のはやてはこの場にはなく、元の世界で自分達の帰りを待っていると結論付けたのだ。
確かにその説の半分は当たっていると言えよう。ヴィータが元の世界に戻ればヴィータの言う『本物』のはやてが待っている可能性は高い。だが、この場にいる2人のはやてを『偽物』とは言えないだろう。

その最大の理由はヴィータ自身は気付いていないが参加者は異なる時間軸、並行世界から連れて来られている事である。
まずは時間について見てみよう。ヴィータは闇の書によって蝕まれているはやてを助ける為に闇の書を完成させようとページを収集していた所から連れて来られている。
一方、アンジールに殺されたはやてはその数ヶ月後から連れて来られている。ヴィータ達が関わっていた闇の書の事件は既に解決しておりはやての足は完治していて普通に歩けるようになっている。
そしてヴィータが最初に遭遇したはやてに至ってはその10年後から連れて来られている。彼女は妖星ゴラスの媒体となって犠牲になったヴィータ達を助け出す為、家族への想いこそ変わらないものの当時からは考えられないくらい非情な性格となっている。
以上の事から3人がそれぞれ違う時間から連れて来られたという事がわかる。
続いて並行世界についてはどうだろうか? 少なくとも2人のはやてが異なる並行世界から連れて来られたのは確かだろう。
何故なら、ギルモンを殺した方のはやてはアンジールに殺されたはやてが知っていた『仮面ライダー』の言葉を知らなかったのだ。彼女が『仮面ライダー』の言葉を知ったのはこの場で出会ったキングからその事について聞かされた時だ。
なお、ヴィータと2人のはやてそれぞれとが同じ世界から連れて来られたか、違う並行世界から連れて来られたかを断定する事は出来ない。仮面ライダーの一件もヴィータ達が妖星ゴラスの媒体になる一件もこれから先で起こる可能性があるからだ。
何にせよ、異なる時間軸、並行世界から連れて来られている事や、それぞれのはやてに起こった事をヴィータが知れば、もしかしたら彼女達も『本物』だと思う可能性はあるが、先程も述べた通り今のヴィータにとってそれは知り得ない話である。

183 :烈火(Side V) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 17:43:34 ID:Lnxa32nF

閑話休題、
同じ事を何度も書くが少なくとも今のヴィータはこの場にいるはやては2人とも『偽物』で本物のはやてはこの場には連れて来られず元の世界で自分達の帰りを待っていると考えていた。
だからこそ、この状況でも何とか殺し合いに乗らずギルモンやミライとの約束を守るという行動を取り、アギトが語ったセフィロスの動向やはやてとシグナムの死についても(多少の動揺はあったが)比較的落ち着いて聞くことが出来た。
もし、死んだはやてを『本物』だと思っているなら、はやてを生き返らせる為に殺し合いに乗っていた可能性はあるし、アギトの話だって冷静に聞くことは出来なかっただろう。
だが、ヴィータ自身も気付いてはいないが完全に『偽物』だと割り切れてはいないだろう。

何故ヘルメスドライブでギルモンを殺した『偽物』の彼女の場所に転移したのか?
何故死んだはずの『偽物』の彼女の動向が気になったのか?
何故『偽物』の彼女の仇討ちの為にアンジールを殺そうと考えたのか?
何故その一方でギルモンの仇討ちの為に『偽物』の彼女を殺そうとは考えなかったのか?
何故『偽物』の彼女であるにも関わらず彼女を裏切り殺し合いに乗ったセフィロスを止めようと考えたのか?

きっと、心の何処かでは『本物』のはやてだと思っているのだろう。もっとも、仮にそれを指摘した所で、ヴィータはそれを認めはしないだろうが。


その一方、

「(やっぱり、ヴィータもあたしの知っているヴィータとは違うみたいだな……)」

アギトはヴィータが自身の知る彼女と何処か違うのを感じていた。いや、それだけではない。これまでに出会った参加者の言動について引っかかる事が数多くあったのだ。

そもそもアギトはジェイル・スカリエッティにある理由から協力しているゼストと共に行動していた。
スカリエッティはロストロギアであるレリックの回収、管理局地上本部や六課隊舎の襲撃、聖王のゆりかごを起動等を行っており、それを阻止する為、機動六課が動いていた。
ちなみに機動六課にはシグナムやヴィータがおり、アギト自身既に彼女達との面識があり数度交戦もしている。

さて、ゆりかごの起動後、ゼストはアギトと共に地上本部へ向かった。途中でシグナムとリインフォースUが立ちはだかって来たが、戦いの末に2人を振り切り地上本部へと向かう事が出来た。
その後、ゼストを友人であるレジアス・ゲイズの元へ行かせ自分は結界を張って邪魔者が来ない様に待ちかまえていた。もっとも、その結界は駆けつけたシグナムとリインフォースUによってあっさりと破られたが……
だが、シグナム自身はゼストの話を聞くということでアギトはシグナムと共にレジアスの所に向かった……

ところが気が付いた時にはアギトは暗闇の中にいたのだ。何が起こったのかは最初はわからなかったがどうやら何かの袋の中にいることはわかった。
その後見つからないように様子を伺い自身の入った袋デイパックの持ち主であるセフィロスやはやてのやり取りから、この場が殺し合いの場で、融合騎である自分が武器としてセフィロスに支給された事を察したのである。
アギト自身見知らぬ人物であるセフィロスに利用されるつもりは全く無い。アギトとしてはいち早くゼストやルーテシアを探し出し彼等と合流したかった。
だが、下手に動いて見つかれば利用されるのは明白、その為ずっと様子見を決め込んでいたのである。

そして暫く様子を探っていたアギトであったが、幸いにも早い段階で知っている人物を見付ける事が出来た。その人物こそシグナムであった。
しかし、ここでアギトにとって思いも寄らない事実が判明した。

まず、既にティアナがシグナムによって殺されていたという事実。ティアナも機動六課の仲間である事を知っているアギトは仲間を殺したシグナムに違和感を覚えたのだ。

「(どういう事だ? 仲間じゃなかったのかよ)」

次にセフィロスとアレックスが機動六課の人間だと語ったことだ。六課に彼等がいたという話など聞いたこと無いアギトはやはり驚きを隠せないでいた。

「(ちょっと待てよ、あいつらの仲間にこんな奴がいるなんて聞いてねえぞ!? どういう事なんだ!?)」

衝撃的な事実に困惑するアギトだったが、ひとまず隠れて様子を伺う事にした。その後の様々なやりとりがあったがはやてによって説得されるシグナムを見て、性格は自分が知る彼女とほぼ同じだと感じたアギトだった。

「(でも、何で仲間を殺したんだ……いや、そもそもみんな仲間だよな? 何で仲間同士で戦ってんだ?)」

184 :烈火(Side V) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 17:51:35 ID:Lnxa32nF

どうしても、その事が引っかかるアギトだった。その後、紫髪の少女の攻撃からはやてを守る為に死んでしまうシグナムを見て。アギトの目から不思議と涙が零れていた。アギトはゼストと共に地上本部に向かう途中ゼストからこう言われていたのだ。

『シグナムとか言ったな、あれは良い騎士だな。あの剣精に炎熱能力、お前が言っていた理想のロードに丁度適合するな』

アギト自身はその時はゼストの事を優先していた為、ゼストには自分の事なんて考えなくていいと答えてはいた。だが、その後のシグナムとのやり取りもあり彼女の事が気になっていたのだ。

閑話休題、その後戦いが終わり、セフィロスとはやてが身を休める中アギトは考えていた。

「(……もしかして、あたしの知ってる連中とは違うのか?)」

これまでの事についての違和感から同じ人物、組織であっても自分の知るそれらとは違うのではないかと考えたのだ。

「(ちょっと待てよ、だとしたら旦那やルールーはどうなんだよ?)」

ちなみにこの時点ではアギトは名簿を見ていない為ゼスト達がいるかどうかを把握していない。しかし、シグナムやティアナがいる以上、連れて来られている可能性は高いと考えていた。
当然、2人とも無事である保証は無い為出来ればすぐにでも合流したかった。
ゼストとも渡り合ったシグナムが殺される状況なのだ、ルーテシアは勿論、ゼストも無事である保証はない。それでなくてもゼストの身体は限界が近いのだ、いち早く合流したかった。
しかし、2人がアギトの知る彼等である保証は全く無い。もしかしたら自分を知らない彼等である可能性は十分に考えられる。

「(あーもうわけわかんねぇ、一体どうすりゃいいんだ!)」

セフィロスとはやてが静かに平和に話している中アギトは1人デイパックの中で苛立っていた。
その後、セフィロスははやてと共にアーカードの所へ行き彼と戦い敗北したが、その時に死者と禁止エリアを告げる放送が流れた。
ちなみに、この放送についてはセフィロスもはやても殆ど聞いてはいないがアギトはデイパックの中で放送を聞いていた。
もっとも、誰が参加しているかも把握していないアギトにとってはゼストとルーテシアが呼ばれなかったことから2人が無事だろうということしか把握出来なかったが。

さて、セフィロスが敗北する中、アギトはこのまま大人しくして良いのかと考えていた。

「(このままこんな狭い所にいたって旦那達には会えねえしな……どうやらこいつらは殺し合いに乗ってないみたいだし事情を話して旦那達を探してもらおうかな……)」

と、デイパックから出て2人の事情を話そうかと考えたがその時にアンジールが2人の前に姿を現したのだ。アギトは出るのを止めデイパックの中で3人の様子を伺った。
そして、セフィロスとアンジールが知り合いであることを把握したが2人の話が何処か食い違っているのを聞いたのだ。セフィロスはアンジールを殺したらしいが、アンジールはセフィロスに殺された覚えはないと言っていたのだ。

「(やっぱりどっか話が合ってねえ……)」

185 :烈火(Side V) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 17:53:31 ID:Lnxa32nF

そして、アンジールがはやてを殺したわけだが、その時にセフィロスが豹変したのだ。

『お前が、俺のはやてを殺したんだ』

「(いや、何時お前のになったんだよ!?)」

と思いつつも、デイパックの中にいるアギトもセフィロスのオーラを感じその危険性を感じている。そして、察したのだ。

「(コイツを放っておいたら旦那やルールーも危ない!)」

セフィロスをこのままにすれば、ゼスト達にも危険が及ぶと……同時に、自分がデイパックから出るわけにはいかない事も感じたのだ。
当然だ、下手に出て融合騎である自分を利用されればかえってゼスト達を危険に晒すのは明白だからだ。幸いまだ気付かれていない為このままデイパックの中で大人しく隠れて様子を伺う事にしたのだ。

その後は、セフィロスの前にヴィータが現れ、

「(何で旦那の槍を持ってんだよ!)」

と思いつつ、更にアーカードも現れ戦いを繰り広げ、気が付けば自分の入ったデイパックはセフィロスの所を離れ安心した所をヴィータに発見されたのである。とは言え何とか話が通じそうだとは思ったが、

『お前、融合騎か?』

先程も述べた通り、アギトは過去にヴィータと会っている。だが、どうもヴィータの反応を見る限り自分の事を知らない様だったのだ。

「(はぁ……お前もか……)」

とはいえ、これまでの話からそれは予想出来た事だった。ひとまず、アギトはこの場に連れて来られる前に会っている事を伏せた上でこれまでの事を話したのである。
そして、ヴィータの話からやはり自分の知るヴィータとは何処か違うことを察したのである。
もっとも、ヴィータが自分の知る彼女と違うとはいえ、アギトにしてみればそれは大して重要ではない。少なくとも殺し合いに乗っていないみたいだったから、ゼストとルーテシアとの合流するのに協力してくれればいいと考えた。
だが、むしろ重要なのは別にある。ヴィータと出会う前から感じてはいたが、ヴィータの話からやはり参加者の状況が自分の知るそれと違う事が確実となったのだ。
つまり、ゼストやルーテシアも自分の知る彼等と違う可能性があるという事だ。自分を知らないという程度の物かもしれないし、どういう理由がシグナム同様仲間を殺そうとする様になっている可能性だってある。
ヴィータに語った通り、アギト自身ゼストとルーテシアが殺し合いに乗るとは思ってはいない。だが、自分の知る彼等と違うならば殺し合いに乗っている可能性はあるとは考えていた。
それで無くても自分を知らない可能性がある以上、2人に会いたいとは強くは言えないでいたのだ。

「(でも放っておけるわけもねえしなぁ……)」

が、あくまでもそれは可能性の話でしかない。とりあえず、アギトはヴィータと共に仲間捜しをする事にしたのだ。
なお、アギトが感じている仲間達が自分達の知る彼等とは違うという可能性については今の所はヴィータに話すつもりはない。
理由としてはヴィータを完全に信頼しているというわけではないからと、アギト自身もまだ何が何だか分かっていないからだ。故に現状はもう少し様子を見ようと考えたのだ。
ちなみにヴィータが言っていたこの場にいた2人のはやてが『偽物』という事については口にはしなかったものの否定的である。
出会っていないギルモンを殺したはやてについてはともかく、アンジールに殺されたはやてが『偽物』だとは思いたくなかったのだ。
仮にそのはやてが『偽物』だとしたらシグナムの死が無駄になってしまう……

「(そんなの辛すぎるだろ……)」

そんな事をアギトは考えていた。

「ん、どうしたんだ?」
「なんでもねえよ……そうだ、もう1つ聞いていいか?」
「何だ?」
「バッテンチビって知ってるか? あたしと同じぐらいの大きさでバッテン付けた……」
「友達か何かか?」
「そんなんじゃねえよ!」

186 :烈火(Side V) ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 18:01:29 ID:Lnxa32nF

【1日目 昼】
【現在地 F-3】
【ヴィータ@魔法少女リリカルなのはA's】
【状態】バリアジャケット展開中、疲労(中)、左肩に大きな切り傷、全身に擦り傷小、セフィロスへの恐怖
【装備】イカリクラッシャー@魔法少女リリカルなのは STS OF HUNTER、ゼストの槍(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、アギト@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【道具】支給品一式×2、デジヴァイスic@デジモン・ザ・リリカルS&F、ヘルメスドライブ(約4時間30分使用不可、レーダー破損中、核鉄状態)@なのは×錬金
【思考】
 基本:はやての元へ帰る。とりあえず殺し合いに乗った奴以外とは戦わない。
 1.とりあえず人がいそうな東に向かう。
 2.ザフィーラ、シャマルと合流して、殺し合いに乗っている偽者の八神はやてがいる事を伝える。
 3.ミライ、ゼスト、ルーテシアを探す。
 4.ヴィヴィオを見付けた場合は、ギルモンの代わりに守ってやる。
 5.アーカード、アンジール、紫髪の少女(かがみ)はぶっ殺す。
 6.出来ればセフィロスを止めたいが……。
 7.アンデルセン(名前は知らない)からグラーフアイゼンを取り返す。
【備考】
※ここにいる『はやて』は全て偽者だと思っています。
※デジヴァイスには一時的に仮パートナーとして選ばれたのかも知れません。
※放送についてはシグナムからナイブズの間に呼ばれていた名前を聞き逃しました。
※ヘルメスドライブの使用者として登録されました。
※ヘルメスドライブはエール・トールと妖艶の紅旋風に対する盾として使った際に破損し、一時的にレーダー機能も使用不能になっています。少なくても数時間は使えません。
※セフィロスと出会う前のセフィロスの動向をある程度把握しました。
※アギトの参戦時期はシグナムと共にゼストの所に向かう途中(第23話)からです。以下、【アギト@魔法少女リリカルなのはStrikerS】の簡易状態表。
【思考】
 基本:ゼストとルーテシアと合流し2人を助ける。
 1.とりあえずヴィータに協力。
 2.ゼストとルーテシアが自分の知る2人か疑問。
 3.もう少し様子を伺う。
【備考】
※参加者の状況が自分の知る彼等と異なる事に気付いており、ゼストとルーテシアも自分の知る彼等と異なる可能性に気付いています。但し具体的な事は分かっていない為、今の所他の参加者に話すつもりはありません。
※デイパックの中で様子を伺っていた為、ヴィータに発見されるまでのセフィロスの動向をある程度把握しています。
※ヴィータの言ったはやてが『偽物』である事については否定的です。

187 : ◆7pf62HiyTE :2009/03/25(水) 18:03:36 ID:Lnxa32nF
投下完了致しました。

今回の容量は約55KBと分割の必要があるのでここで分割点の指定を、
>>176までがSide K(約27KB)で>>177以降がSide V(約28KB)となります。(要するにかがみパートがSide KでヴィータパートがSide V)
前後編としなかったのは、完全に分かれて展開しているからによるものです。

サブタイトルの『烈火』は
烈火の将シグナム、サバイブ“烈火”、烈火の剣精アギトから…要するにシグナム殺したかがみ、烈火のサバイブカード、シグナムの仲間ヴィータ、烈火の剣精アギトと『烈火』絡みばかりなのでこのサブタイトルになりました。

ちなみに、かがみんにナンバーズスーツネタは最初から考えていました。当初はエリオの支給品からギンガのナンバーズスーツ(原作出展)を出すつもりだったけど、丁度良いタイミングでクアットロのナンバーズスーツが流れてきたので拾わせて着せた次第。

……所で、ナンバーズスーツ着る時に下着着たら下着のラインが出ると思うけど……下着着たままでいいのかな……?

188 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/25(水) 21:17:13 ID:ndwu77IQ
投下乙です。
かがみはいつのまにか思いっきり荒んでいるなあ。
まあ今までの巡り合わせが…バクラがDMカードと龍騎のカードを比較して考えている所に成程!
一方ヴィータは殺し合いに乗る事は止まってくれたかあ。
こっちはかがみと逆で今までの積み重ねてきた出来事がいい方向に働いたんだな。
あと下着は付けていていいと思います、だって下着外すと上や下のあそこがスーツに浮き出て…


189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/26(木) 13:10:59 ID:2eUmV06a
投下乙です
バクラは邪悪なのを除けば名参謀だな
良くも悪くもかがみのサポートとしては最適……?
ヴィータは殺し合いに乗らないと決めたか
今まで不安定だったが1度目標決めた彼女は強いから安心だ。はやてを偽物と誤解してるのを除けば

下着はいいと思います、て言うかかがみが嫌がるから下着無しは無理
しかしスカ博士がこのスーツを作成したのならやっぱり変態かなw


190 : ◆HlLdWe.oBM :2009/03/29(日) 23:23:23 ID:U/dBS5Rb
遊城十代、柊つかさで投下します。

191 :Tearrop ◆HlLdWe.oBM :2009/03/29(日) 23:24:27 ID:U/dBS5Rb
『世界は、いつだって……こんなはずじゃないことばっかりだよ!!
 ずっと昔から、いつだって、誰だってそうなんだ!!
 こんなはずじゃない現実から逃げるか、それとも立ち向かうかは、個人の自由だ!』

ある少年はそう主張した。
その少年の人生は不幸ではなかったが、決して幸福と言えるものではなかった。
少年の人生を左右したのは父親が担当していた忌まわしい事件。
その時の事故で父を亡くした少年は不器用な決意を持って父のようになるべく日々を犠牲にした。
全ては「こんなはずじゃないこと」を少しでも減らせるように。
そして日々の努力の末に少年の願いは実を結び、ついに父と同じ立場にまで成長した。
少年はそれからも自分のような悲しみをなくすために行動して――

――死んだ。

これで『ある世界の少年』の話は終わるが、『別の世界の少年』の話はこれからも続いていく。

これから始まるのは『少年』の義妹と関わりのあった二人の少年少女の悲しい物語。


     ▼     ▼     ▼


まだ僅かに東寄りにある太陽から眩しい光が3階の床に差し込んでいる。
一応デパートだけあって本来は綺麗に磨かれていたと思われる床は、今では埃と罅まみれのみすぼらしい床に成り果てていた。
さらにそこに大小の瓦礫が無数に散らばっているとなると、もう開店当時の面影は見る事は出来ない。
それは特に日が差し込んでいる場所でこそ顕著に見られる傾向だった。
そこからは外の景色が一望できたが、不思議な事にそこには外を見るための窓やガラス戸は一切見当たらない。
寧ろデパートを形作る壁そのものすらポッカリなくなっている状態だ。
デスゲームの会場の南に位置するH-5にあるデパート、その3階フロア。
ここも他の施設に倣ってか破壊の跡が見つけられる。
地面にも散らばる大小の瓦礫の真上、外と内を隔てる3階フロア東側の壁は見事に破壊されていた。

「……ぅ……ぇあ……わ、私ぃ……――」

その破壊された壁から少し離れた場所に一人の少女が蹲っている。
頭に被っている羽飾り付きの真紅のベレー帽の下から覗く薄い紫の髪に黄色のリボン。
赤茶けたマントの下には中世風の白い衣服の上に胸元のブレストプレート。
彼女は陵桜学園3年B組所属の女子高生、柊つかさ。

現在進行形でつかさが床に蹲って嗚咽を漏らしながらすすり泣いているのには訳がある。

――フェイト・T・ハラオウンを殺してしまった事。

だがつかさ自らの手でフェイトの命を奪った訳ではない。
フェイトを直接殺したのはつかさが召喚した青眼の白龍だ。
しかしその青眼の白龍を召喚したのは紛れもなくつかさ自身に他ならない。
間接的とはいえ誰かを殺してしまったという事実がつかさを容赦なく蝕んでいた。
あれからずっとつかさは自分で自分を果てしなく責め苛んでいた。

だが、つかさは知らなかった。
まだフェイトが生きている事に。
青眼の白龍は誰も殺していない事に。

そして、その事実はこのフロアにいるもう一人でさえも知らない事だった。

「……つかささん」

192 :Teardrop ◆HlLdWe.oBM :2009/03/29(日) 23:28:02 ID:U/dBS5Rb

汚れた床に蹲るつかさを少し離れた場所から一人の少年が机越しに見ている。
茶色がかった髪、そして赤いジャケットに薄青色のズボン。
デュエル・アカデミア下級クラスオシリスレッド所属のデュエリスト、遊城十代。

十代がつかさから離れているのは別に十代が冷たい性格という訳ではない。

最初は十代もつかさを立ち直らせようと色々声を掛けてみた。
だが何度声を掛けても一向につかさが反応する様子はなかった。
周囲の声が聞こえない程ショックが大きいと察した十代はしばらく静かにそっとしておく事にしたのだ。
そしてその間に今までに分かった事や考えた事をメモにまとめる作業に取り掛かった。
時々今のようにつかさの事を心配して小声で呟くが、それっきりだ。

(まずは、名簿に印でも付けるか)

これに際して使用する印は「○」「×」「△」「――」の4種類。
名前の前に付ける「○」「×」「△」はそれぞれ「友好」「危険」「不安」を、名前の上に付ける「――」は死亡を表すつもりで付けた。
その結果「○」印を付けたのは「泉こなた」「ヴィータ」「ヴィヴィオ」「キャロ・ル・ルシエ」「ギンガ・ナカジマ」「クアットロ」「クロノ・ハラオウン」
「ザフィーラ」「早乙女レイ」「シグナム」「シャマル」「スバル・ナカジマ」「高町なのは」「高町なのは」「チンク」「ティアナ・ランスター」「ディエチ」
「天上院明日香」「柊かがみ」「柊つかさ」「フェイト・T・ハラオウン」「八神はやて」「八神はやて」「遊城十代」「ユーノ・スクライア」「ルーテシア・アルピーノ」の合計26人。
但しこのうち「クロノ・ハラオウン」「シグナム」「高町なのは」「ティアナ・ランスター」「ディエチ」の5人には死亡を表す「――」印を上に引いた。
「×」印を付けたのは「フェイト・T・ハラオウン」だけで、当然「――」印を引いた。
「△」印を付けたのは「エリオ・モンディアル」「万丈目準」の2人で、「エリオ・モンディアル」には「――」印を引いた。

これらは今まで十代がシャマル、クアットロ、つかさと話して得た情報に基づいて判断したものだ。
だがシャマルとクアットロとの会話では十代の世界の話題が主だったために十代はJS事件の事はよく知らないままだった。
だから呼ばれた時期によっては殺し合いに乗る可能性のある「シグナム」「ヴィータ」「ザフィーラ」「チンク」「ディエチ」も迷わずシャマルとクアットロの知り合いという事で「○」印を付けたのだ。
今回「×」と「△」の印を付けたのは自らの目で確かめた「フェイト・T・ハラオウン」とデュエルゾンビになっている可能性のある「エリオ・モンディアル」と「万丈目準」の合計3人なのはそのためだ。

(それから考えておかないといけないのは『月村すずかの友人』からのメールか)

『月村すずかの友人』からのメールの主な内容は以下の4つだ。
つまり『各施設の仕掛けの調査』『地上本部の罠』『キングへの警戒』『放送内容の反覆』である。

まずこのメールの信憑性だが、とりあえず十代はこのメールの内容を信じる方向で考える事にした。
わざわざ誰か分からない名前を使ってまでメールをしている事が信じた理由の一つ。
もしも偽の情報を流すなら信頼させるためにも最低限名簿にある名前を使ったほうが手っ取り早いと思ったからだ。
だが十代の考えが及んだのはその辺りまでだった。
逆にそこまで考えて『月村すずかの友人』という名前を悪人が使っているとは全く考えていなかった。
実際今回のメールの主は打倒プレシアを目的とする八神はやてだったが、一概にはやてが安全とは言い切れない。

4つの内容のうち『各施設の仕掛けの調査』については1時間ほど前にデパートを隅々まで調べた事で達成した。
これといって仕掛けは見つからなかったが、特別な道具として「リビングデッドの呼び声」のカードを発見している。
おそらくこれがデパートの仕掛けに相当する物だろうかと半信半疑ながらも、とりあえず十代は結論を出した。

次に『地上本部の罠』について。
この『月村すずかの友人』は屋上の装置を使用して仲間と散り散りになったらしいが、十代はその装置のおかげでつかさと再会できた。
もしも『月村すずかの友人』と仲間が自分とシャマルのように別々の行き先を望んで散り散りになったとしても、『月村すずかの友人』は自分のように望んだ場所に転移したはずだ。
つまり『月村すずかの友人』は望んだ場所に転移する事は出来なくて、ただ仲間と散り散りにされただけという事になる。
このメールの内容がそう物語っている。

193 :Teardrop ◆HlLdWe.oBM :2009/03/29(日) 23:32:55 ID:U/dBS5Rb
つまりあの装置は場合によって思い通りにいったりいかなかったりするランダム性を持っていると考えられる。
あのような便利な装置をプレシアがただ単に置いている理由もこれなら説明が付く。
地上本部屋上の転移装置はプレシアが参加者間の情報を混乱させる目的で設置したと、十代はそう結論づけた。

それから『キングへの警戒』について。
これは判断材料がこのメールのみだが、十代はメールの送り主を信用しているため以後キングには気を付けるようにするつもりだ。

最後に『放送内容の反覆』について。
なぜわざわざ放送の事を持ち出すのか理由は分からなかったが、もしかしたらそこに重大な何かがあったのかもしれない。
十代は必死になってあの忌まわしい放送の内容を思い出し始めた。

(確か最初にどんな事をしても生き残れとか言っていたような……で、次に禁止エリア。
 7時からB-1、9時からD-3、11時からH-4か。ふぅ、書き留めておいてよかったぜ。
 それから……死者の名前が発表されたんだよな、13人も……ちくしょう!
 確か呼ばれた順番は名簿に沿って五十音だったはず……放送聞きながら禁止エリアと死者の名前は3人でチェックしていたからな。
 その後デスゲームが予想以上に進んでいるとかで褒美として優勝者の願いは何でも叶えるって言ったんだっけ。
 で、その実演も兼ねて――アリサさんの死者蘇生を行った)

そこまでの内容をメモに書いてから十代は改めてプレシアへの怒りを再確認していた。
一応シャマルと話した結果あれはトリックだと結論付けたが、今思い返してみるとその映像が生半可じゃないと分かる。
今でもアリサの死者蘇生劇は思い出すだけで背筋がぞっとしてくるのだ。
首から下を赤に染め、首から上が無いアリサの物言わぬ死体の寂しい様。
突然無くなっていたはずの首が元通りになって生き返る様。
生き返ったアリサが再び前触れもなくあっさりと首を吹き飛ばされる様。
血を噴水のように噴き出しながらも椅子に座っているアリサの首無し死体の様。
その一部始終を十代は未だに鮮明に思い出す事ができた。
それだけ衝撃的な映像だった証拠だろう。

(あれって本当にトリックだったのか?
 これだけの事が出来るんだ、もしも本当だったらあの力でさっき死んでしまったフェイトさんを――って、何考えているんだ!?)

一瞬頭に浮かんだ考えが何か気付いて十代は思わず自分の考えを恥じていた。
プレシアの力でフェイトを生き返らせるという事はデスゲームで優勝する事に他ならない。
それはつまりこの場にいる参加者全員を皆殺しにする事を意味している。
もちろん十代は断じてそんな事は望んではいない。
相手が襲ってくれば、生きるため、つかさを守るために戦うかもしれない。
だが基本はそんな物騒な事にならずに皆でここから脱出する事を望んでいる。
フェイトを生き返らせる事はその方針を放棄して殺し合いを認めるという事だ。
そんな事を一瞬でも考えてしまった自分が情けない。
もうこれ以上犠牲は出したくない。
十代は決意を新たにして気持ちを奮い立たせようとしたが――

(……やっぱり、このカードを使うべきなのか?)

――はっきり言って不安だった。
十代は特に武術に秀でた訳でもなく運動神経もそこそこ良い方な程度、敢えて特技と言えばデュエルの腕ぐらい。
いくら崇高な目標を掲げてもこれでは肝心な時には何の役には立たない事は明白だった。
この時ばかりは十代も純粋に殺し合いに乗った者に対する力が欲しいと心の底で思った。
そして、今その力の一端は十代の手元にある。
それがデュエルモンスターズカード「リビングデッドの呼び声」だ。
このカードの効果は『自分の墓地からモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する』というものだ。
つまり消費してしまったモンスターカードを復活させ、再度攻撃命令を下せるという事だ。
だがこれは単体では使えない魔法カード、正しく使用するためには使用済みのモンスターカードの存在が必要である。
そして今この場でそれに該当するモンスターカードは唯一つ。

――「青眼の白龍≪ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン≫」

194 :Teardrop ◆HlLdWe.oBM :2009/03/29(日) 23:37:21 ID:U/dBS5Rb

攻撃力3000守備力2500を誇るドラゴン族のモンスター。
その力の程は先程目の前で披露されて記憶にも新しい。
現に青眼の白龍の攻撃をまともに食らったフェイトは必死の抵抗も虚しく強大な力の前に撃沈させられている。
そして今頃はこの会場のどこかで上空から地上に落ちた衝撃で死んで原形を留めない肉塊に成り果てているに違いない。
その悲惨な状況を作り出したのは他でもない青眼の白龍であり、召喚したつかさ、そして十代自身である。

だが力を恐れていて結果的に殺されては本末転倒だ。

(そうだ、こんなところで立ち止まっていても何も変わらない。
 このままじゃ問題を先延ばしにするだけ、つかささんもいつかはきちんと向き合わないといけないはず。
 大丈夫、今度は上手くやってみせる!)

十代は決心した。
もう二度とこんな悲しい出来事は起こさないと。
こんなはずじゃない事に立ち向かうために。
ふと視線を向けるとつかさはまだ蹲ってすすり泣いている。
それを確認すると十代はつかさの方にゆっくりと歩み寄って行った。
だがバヨネットやエアガンなどの武器は元いたテーブルの上にデイパックと一緒に置いている。
以前十代は武器を持ったままつかさと接触した事が原因でつかさを恐怖させて、フェイトとの間に誤解が生じさせてしまっている。
今回はその時の轍を踏まないようにつかさを怖がらせる物は予め身に付けないようにしているのだ。
今十代が持っている物は「リビングデッドの呼び声」のカードだけだ。

「つかささん」

当然ながらつかさからの返事はない。
フェイトが撃墜してしまったと実感した時からずっとこの調子だ。
身も心も赤茶色のバリアジャケットの下に閉じ込めたまま床に蹲っている。
今までもたびたび声をかけてきたが、今回も今までと同様で十代の声が全く聞こえていないかのように一行に反応しない。
ただ俯いて嗚咽を漏らす音が返ってくるのみ。
今までの十代なら静かにしておこうと思って、そこで声をかける事を止めていた。

「つかささん、聞いてくれ」

だが今回はそれで引く十代ではなかった。
なぜなら十代はこれ以上あんな悲しい出来事を起こしたくないと決めたからだ。
その決心の下でまずやるべき事は目の前で塞ぎ込んでいるつかさを元気づける事。
そして立ち直ったつかさと共に今度こそ青眼の白龍を制御して皆の役に立つ事。

「フェイトさんの事でショックなのはよく分かるよ、俺もずっと考えていたから……
 こんな、こんなはずじゃなかったって! ずっと後悔していたんだ!」

確かに今つかさにこの話をする事は酷なのかもしれない。
だがこのデスゲームという状況が十代達に悠長な時間を与えてくれない。
あれだけの爆発があった事で今すぐにでもここに危険人物が乗り込んでくるかもしれない。
今そんな事になれば十代もつかさも呆気なく殺されてしまう事は容易に想像できる。
十代が崇高な決意を抱こうと二人が足掻いたところで精々死期を数秒伸ばす程度だろう。
それでは意味がない。

「でもいつまでもそうしている訳にはいかないんだ! ここは危険な場所だから俺達が生きるためには力が必要なんだ。
 だから、つかささん。お願いだ、このカードを、「リビングデッドの呼び声」のカードを受け取ってくれ!
 そして、もしも危険な人物に襲われた時にはこれでブルーアイズを復活させてほしいんだ」

今この場で「リビングデッドの呼び声」を使う事ができるのは先程青眼の白龍を召喚した柊つかさしかいない。
モンスターを召喚していない十代ではこのカードを使う事が出来ない。

「つかささん!!」

195 :Teardrop ◆HlLdWe.oBM :2009/03/29(日) 23:43:25 ID:U/dBS5Rb

十代は懸命につかさに声をかけ続けた。
自分の想いをぶつけるようにつかさの心に届くように。
何度も何度も呼びかける。

そして――


     ▼     ▼     ▼


ふと背後から風を感じて振り返ってみる。
あ、壁の向こうに青い空が見える。
さっきブルーアイズが壊していったんだっけ。
うん、風が気持ちいい。

ああ、そうだ、小さいフェイトちゃんはもういない。

殺しちゃった、ころしちゃった、コロシチャッタ――
私が、わたしが、ワタシガ――
殺しちゃった、ころしちゃった、コロシチャッタ――
フェイトちゃんを、ふぇいとちゃんを、フェイトチャンヲ――
殺しちゃった、ころしちゃった、コロシチャッタ――
この手で、しょうかんした、ブルーアイズデ――

こんなはずじゃなかった。
こんな結果なんて望んでいなかった。
こんな事になるなんて思ってもいなかった。

なんでこんな事になったんだろう。
私がブルーアイズを召喚したせい?
私が生きたいって思ったから?

それとも十代君のせい?
それともフェイトちゃんのせい?

……違う。
十代君は全然悪くない。
フェイトちゃんは――分からない。
でも、あの時はああするしかなかった。
あの時ブルーアイズがいなかったら私も十代君もたぶんフェイトちゃんに殺されていたと思う。
だから……だから……仕方なかった?
フェイトちゃんが死んだ事は仕方のない事なのかな?

……違う。
あのフェイトちゃんは襲って来たけど、だからと言って死んでいいはずがない。
フェイトちゃんが襲ってきたのにも理由があったはず。
もしも話し合いができたら違う結末になっていたかもしれない。
じゃあ悪いのは私?
こんなはずじゃない状況を作り出したのは私?

もう嫌だよ。
こんな世界いたくない。
こんなはずじゃない事ばかりの世界なんてもういたくない。

「つかささん」

196 :Teardrop ◆HlLdWe.oBM :2009/03/29(日) 23:47:51 ID:U/dBS5Rb

不意に十代君の声が聞こえる。
さっきから何度も何度もかけられる声。
でも今はそれに応える気が起こらない。
だからまた黙ったままでいる。
そうすればそのうち十代君も黙ってくれる。

「つかささん、聞いてくれ」

でも、今回の十代君は違った。
いつもなら引き下がるはずなのに今回は引き下がらなかった。
なんとなく十代君の熱意が伝わってくる。
だけど、やっぱり応える気にはなれない。

「フェイトさんの事でショックなのはよく分かるよ、俺もずっと考えていたから……
 こんな、こんなはずじゃなかったって! ずっと後悔していたんだ!」

あ、十代君も私と同じ気持ちなんだ。
じゃあさ、分かるよね。
私が今どんな気持ちでいるのか。
分かるんだったら放っておいてほしい。
今は静かにさせて話しかけないで。

「でもいつまでもそうしている訳にはいかないんだ! ここは危険な場所だから俺達が生きるためには力が必要なんだ。
 だから、つかささん。お願いだ、このカードを、「リビングデッドの呼び声」のカードを受け取ってくれ!
 そして、もしも危険な人物に襲われた時にはこれでブルーアイズを復活させてほしいんだ」

え、今、なんて――
今、十代君、言ったよね?

「リビングデッドの呼び声」を使って「青眼の白龍」を復活させてくれ――そう言ったよね?

なんでそんなこと言うの?
十代君も見ていたはずだよ。
私が召喚したブルーアイズが、私の命令を受けて、私に攻撃してきたフェイトちゃんを殺す光景を。
私と一緒に見ていたよね、ただ見ていたよね、何もできないままフェイトちゃんが殺される様子を見ていたよね?

なんで? なんで? なんで? なんで? なんで? なんで? なんで? なんで? なんで? なんで?

なんでそんな酷いこと言うの!?
そんなに私に人を殺してほしいの!?
私にまたフェイトちゃんみたいな人を殺してほしいの!?

そんな事……したくないよ。
もう誰かを殺すとか殺さないとかたくさん。
こんな世界なんて嫌だ。
もうこんな世界になんていたくない。

――また私みたいに誰かを殺すの?

一瞬フェイトちゃんの声が聞こえたような気がする。
志半ばに死んでいったフェイトちゃんの恨みが籠ったドス黒い声が。
当然だがフェイトちゃんがここにいるはずがない。
だから今聞こえた声も空耳のはずだ。
フェイトちゃんの事を考えてばかりいる私の幻聴に過ぎない。

だけど、そう思えなかった。

今の声はまるで私を咎めるような声だった。

197 :Teardrop ◆HlLdWe.oBM :2009/03/29(日) 23:51:09 ID:U/dBS5Rb

「つかささん!!」

もうこんな所にいるのは嫌だ。

だから私は立ち上がった。
そして、背後を振り返って青い空を見る。

私は空に向かって一気に走りだした!!!


     ▼     ▼     ▼


十代の誤算はつかさに対して性急に対応してしまった事だ。
確かにこのデパート及び付近で起きた青眼の白龍とフェイトの戦闘を目撃した者が興味を抱いて来訪する可能性は十分にある。
しかも来訪者が危険人物であれば十代もつかさも抵抗虚しく殺されてしまう事は火を見るよりも明らかだった。
だからこそ抑止力として「リビングデッドの呼び声」を使って青眼の白龍を復活させようとする十代の考えは不自然ではない。
だが今のつかさはフェイトを殺した事への強い自責の念で満ち溢れていた。
そんな状態の時にこの話を持ちかけた事は完全に裏目に出た上に、つかさの精神は限界に近い状態になっていた。

「つ、つかささん!?」

それに加えて二人の位置関係も問題だった。
十代はつかさの真正面にしゃがみこむような形で話していたので、壁の穴に近いのはつかさの方だった。
これが逆なら横を通り過ぎようとするつかさの腕を掴む事ができたのだが、これではそれも無理だ。
つかさが立ち上がったのも自分の言葉に前向きに反応してくれた結果だという十代の思い込みもあった。
だからこそ咄嗟につかさへの対処が追いつかなかった。

その結果、十代はつかさが壁の穴に向かって走り出す事を阻止できなかった。

「くそっ!」

まさか十代もつかさが投身自殺という最悪の手段に打って出るなど予想していなかった。
それほどつかさは追い詰められていたのだが、結局十代は認識不足からそこまで察する事が出来なかった。
その結果がこの一瞬の対応の遅れだ。

「――ッ! 追いついた!」
「やめて、離して十代君!」

だが如何に一瞬反応が遅れたからと言っても元々の運動能力の差は覆せない。
壁の穴までの距離が少々あった事が幸いだった。
何とか後50cm程の所で十代はつかさの腕を掴む事に成功したのだった。

「ダメだ、自殺なんて!」
「そんな、そんな口先だけの言葉なんか――」

だがつかさの必死の抵抗は十代では完全に抑えられるものではなかった。
今のつかさには十代の言葉はまるで届いていなかった。

「落ち着いてくれ! つかささん、俺は――」
「十代君……十代君は勝手すぎるよ!」
「え?」

それは十代にとっては思いもかけない言葉だった。

「いろいろあったけど、十代君は他人を元気にしてくれる、太陽みたいな存在なのかなって……」

つかさの言葉を十代はただ黙って聞いているしかできなかった。

198 :Teardrop ◆HlLdWe.oBM :2009/03/29(日) 23:54:03 ID:U/dBS5Rb

「でも、それは思い違いだったのかな。十代君は自分が良ければそれでいいんだ!」
「え、俺はそんな事は――」
「じゃあ、なんであの龍を復活させようとするの? また私に誰かを殺してほしいの?」
「そうじゃない。でも、もしまた危険な奴が来た時のために……」
「やっぱりそうなんだ。誰が犠牲になろうが目的のためならどうだっていいんだ!」
「待ってくれ、俺の話を――」

それは単なるつかさの勘違いに過ぎない。
十代はそんなつもりでつかさに「リビングデッドの呼び声」を渡そうとしたのではない。
だが精神的に追い詰められているつかさにはそんな事は分からない。
一方の十代も上手く言葉を返せないでいた。
それは心のどこかでつかさに言われた事を考えていたかもしれないと思っていたせいだ。

その心の動きは身体にも現れている。
相変わらず必死に飛び降りようと壁の穴に向かって進むつかさと、それを止めようとする十代。
当初は十代の方が優勢だった状況はつかさの糾弾とも言うべき言葉の応酬によって僅かにひっくり返されていた。
もう既に床の続きは残り少ない所まで二人は来ていた。

つかさと十代。
二人の想いは平行線を辿り、お互いに一歩も譲らない。
傍らから見たら二人の動きはワルツに見えたのかもしれない。
剥き出しの想いをぶつけあいながら生と死の狭間で繰り広げられる不器用な踊り。
クルクルと、くるくると、狂狂と、二人の危険なワルツは披露される。
一歩足を踏み間違えればその瞬間に生が終わり死が始まる不思議なワルツ。
だがワルツの踊り手達はそんな事は気にしない。
当人にとってこれはワルツなどという優雅なものではない。

だからこそ形式に囚われる事なく唐突な終わりもあり得る。

「離してよ!」

トンと胸を押す軽い音が響く。

「――え?」

そして終わりを理解できない拍子抜けた声が口から出る。

ここでワルツは終了。

あとはもう一滴の涙のように落ちるだけ。


     ▼     ▼     ▼


俺は間違っていたと言うのか

こんなはずじゃなかった。
こんな結果なんて望んでいなかった。
こんな事になるなんて思ってもいなかった。

なんでこんな事になったんだろう。
つかささんの気持ちをよく考えないまま話しかけたから?
心の底でつかささんの言った事を思っていたから?

力を求めた事が間違いだったのか。
「リビングデッドの呼び声」を見つけた事が間違いだったのか。
転移装置を使った事が間違いだったのか。
一旦仲間を集めると決めてつかささんとフェイトさんから逃げた事が間違いだったのか。

199 :Teardrop ◆HlLdWe.oBM :2009/03/29(日) 23:56:43 ID:U/dBS5Rb

ダメだ、今までやってきたデュエルの時よりも頭は冴えている気がするのに何も分からない。

あぁ、もう疲れた、ちょっと休みたいぜ。
結局、俺はヒーローにはなれなかったな。

今頃みんなはどうしているんだろう。
万丈目や明日香、それにレイ、ここにいる知り合い。
なのはさんにフェイトさん、それにシャマルさんやクアットロさん、時空管理局の人々。
翔、剣山、ヨハン、ジム、オブライエン、学園のみんな。

そして俺の相棒であるハネクリボー。
今まで一緒に戦ってきた唯一無二の相棒。
もしかしたら誰かに配られているのか。

ん、なんだ相棒、そんな所にいたのか。
今までどこに行っていたんだよ。
まあいいや。
ほら、来いよ。




――バリン




え、嘘だろ?
相棒が砕けた?
手を伸ばしただけで?
ガラスみたいにバラバラに?

嘘だ。
これは幻だ。
前にも一度あった。
エドに負けた直後にも見た奴だ。
だから心配ないはず。
いつものようにすれば相棒は戻ってくる。
そうだ、きっとそうだ。

「……いくぜ……ガッチャ」




グチャ




【遊城十代@リリカル遊戯王GX  死亡確認】


     ▼     ▼     ▼

200 :Teardrop ◆HlLdWe.oBM :2009/03/30(月) 00:00:34 ID:+iy1kmif


デパートの3階から地上に落ちていく十代をつかさは呆然と眺めていた。
全ては不幸な偶然だった。
空と床が接する境目で縺れ合ったままつかさと十代はお互いに譲らなかった。
つかさは十代を振り払ってデパートから飛び降りようとしていて、十代はそれを止めようとつかさを離そうとしなかった。
だが二人の均衡が破られた時、事態は一変した。
つかさの言葉に気を取られた十代がつかさを掴む手を緩めた時間は精々数秒。
だが十代の手の掴む力が緩んだ瞬間、つかさは思いっきり十代の胸の辺りを両手で押した。
そうすれば十代から解放されて当初の予定通り穴が開いた所から地上に落ちていくはずだった。
そして刹那の滞空の後に地面に激突して痛みも感じないままに死ぬ。
本当ならそうなるはずだった。

だが運命の悪戯か、つかさの思い通りにはいかなかった。

デパートから落ちていったのは十代の方だった。
理由はいくつかある。
お互いにもみ合っていたせいで最初と位置関係が変わっていた事。
反射的に十代がつかさを助けようと位置を変えた事。
他にも理由はいろいろあるのかもしれない。
だがそこにある事実は唯一つ。

――遊城十代は柊つかさの身代わりとなって転落死した。

これがここで起こった出来事の全て。
全てはこの一文で表す事ができる。
だが一人残されたつかさにとって今目の前で起こった出来事はそんな一文で表す事ができるほど単純なものではなかった。
つかさは再び静かに思った――こんなはずじゃない、と。

(こ、こんな……こんなはずじゃ、なかったのに……なんで、なんで――)

フェイトの時も十代の時もつかさに明確な殺意があった訳ではない。
前者は正当防衛のような形で、後者は不幸な事故のような形で。
それぞれ起きてしまった事象だと言える。
だが当事者のつかさにとってはそんな事実はただ慰めにしか過ぎなかった。
直接的にしろ間接的にしろその手にはしっかりと誰かを殺してしまったという事実が刻まれている。

(もう嫌だよ、こんな世界……もういたくない……)

つかさは今ようやく理解したような気がした。
ここには希望など存在しない。
ここにあるのは絶望だけ。
希望のようなものが見えても最後には絶望に変わる。
ここはそういう世界なんだと若干麻痺しかけている頭で理解していた。

(もうここには私の邪魔をする人はいない。やっと、この世界にいなくなれるんだ)

つかさは心底ほっとしていた。
ここから早く消えたいというのが今のつかさの偽らざる思いだった。
もう既につかさの愚行を止める十代はいない。
つかさは何の気兼ねも無く再び壁の穴に向かって歩き始めた。

「ん、なにこれ?」

ふとつかさは進行上に一枚の白い紙が落ちている事に気付いた。
床の上は瓦礫と埃と罅で汚れていたために白い紙は思いの外に目立って見える。
だからなんとなく気になって拾ってみた。

「なんだろう、えっと…………………………え、ウソ、これ……本当なの――十代君?」

201 :Teardrop ◆HlLdWe.oBM :2009/03/30(月) 00:01:52 ID:U/dBS5Rb

それは先程十代が今まで考えた事や分かった事を纏め書きしたものだ。
主な内容は『月村すずかの友人』からのメールに関してのものだが、特につかさの目を引いた内容があった。
それは放送で「アリサ・バニングスが復活した」という内容だった。

「そうだ、確か禁止エリアと死亡者の発表の後にそんな事があったような――」

今まで目まぐるしく状況が変わっていたせいで忘れていたが、そんな事があったなとつかさは朧気に思い出していた。
このデスゲームで最後の一人になれば願いを一つ叶えてくれる。
それが本当なら死んだなのはもフェイトも十代も生き返ってくる。
だがつかさには一抹の不安があった。

(でも、生き返ってもここにはいたくないし……どうしよう……私は皆と元通りの生活を――!?
 そうだ、これだ。プレシアさんに頼んで全部元通りにしてもらおう!)

つかさが辿り着いた結論。
それはプレシアに頼んで『全部元通りにしてもらう』事だった。
死んだ人もみんな生き返って元いた世界に戻してもらうのだ
こうすればみんなが元いた世界で今まで通り平和に暮らす事ができる。
最初は不安でいたが、徐々につかさはこれこそ最善の希望だと心から思えてきた。

つかさ自身は気付いていないが、いつのまにかつかさの中には自殺しようという気はほとんど残っていなかった。
もちろん原因は十代が残したメモだ。
自身の中に眠っていたアリサの復活の記憶と共に照らし合わせた結果、そこに一縷の希望を見出したのだ。
今のつかさはその真偽も碌に確かめずに藁にも縋る思いであやふやな希望に望みを託している状態だ。
だがそうでもしないと自分がしてきたことの重みに耐えられずにつかさは自らの手で自分の命を絶っていただろう。
今のつかさは現実から目を背けて逃げて自身を守っていると言えるだろう。

そして皮肉にも結果的に十代のおかげでつかさの自殺は食い止められた事になる。
これが十代の望んだ結果かどうかは当人が死んだ今となっては知る術がない。

(とりあえずフェイトさんが帰ってくるのを待っていよう。で、小さいフェイトちゃんや十代君の事は正直に話して守ってもらおう)

だがみんなを元通りにすると決心してもつかさ自身の戦力は甚だ心許ない。
一応十代の荷物やもみ合いの最中に落ちた「リビングデッドの呼び声」、フェイトが落としていったマスクを拾ってもそれは同じだった。
そこでつかさが考えた作戦は誰か頼りになる人に保護してもらうというものだった。
実際もうすぐ機動六課に行っているフェイトが戻ってくる時間である(当然だがこのフェイトはつかさが殺したと思い込んでいるフェイトとは別人である)。
つかさはフェイトが戻ってくれば今までにあった事は全て正直に話すつもりだ。
単に隠し通す事が無理そうだと判断したからだが、どこかで素直に罪を認めて白状したら同情してくれるという考えもあったかもしれない。

しかし不測の事態が起きて時間通りフェイトが帰ってこないという可能性も考えられる。
最悪どこかで死んでしまった可能性だってある。
それを考えただけでつかさの身体はしばらく震えていた。

(フェイトさんが帰ってこなかったら……まずはここから出よう。
 そして危険な人に見つからないように隠れて続けて、その間に誰か守ってくれそうな人を探そう)

それが今のつかさに考えられる対策だった。
基本的に危険な人からは隠れて逃げて、頼りになりそうな人に守ってもらうというものだ。
デパートが危険だと判断した理由は奇しくも十代と同じものであった。
つまり青眼の白龍とフェイトの戦闘を目撃して危険人物が来る危険性からだ。

202 :Teardrop ◆HlLdWe.oBM :2009/03/30(月) 00:03:17 ID:+iy1kmif

(そして残りが私達だけになったら、これを使って――)

そしてその後は守られながらつかさはじっと待ち続けるつもりだ。
デスゲームで生き残っている者が自分の周りにいる者だけになった瞬間を。
その時につかさは使うつもりでいる。
「リビングデッドの呼び声」で呼び出される青眼の白龍を、彼の龍が放つ滅びの爆裂疾風弾≪滅びのバースト・ストリーム≫を。
全てはこんなはずじゃない世界を元通りにするために。
つかさはようやく全てが元通りになる兆しが見つけられたと思うと、その顔に微笑みを浮かべるのだった。

だがつかさは気付かなかった。
少し俯いて微笑むその頬を伝う一滴の涙に。


【1日目 昼】
【現在地 H-5 デパート3階】
【柊つかさ@なの☆すた】
【状態】健康、なんだかすっきり
【装備】パピヨンマスク@なのは×錬金、シーナのバリアジャケット@SHINING WIND CROSS LYRICAL
【道具】支給品一式×2、電話帳@オリジナル、バヨネット@NANOSING、んまい棒×4@なの魂、ヴァイスのバイク@魔法少女リリカルなのはStrikerS、
    リビングデッドの呼び声@リリカル遊戯王GX、木製バット、エアガン、パン×6、プチトマトのパック×2、キャベツ、レタス、じゃがいも×3、十代のメモ
【思考】
 基本:プレシアに頼んで『みんな元通りにしてもらう』。
 1.フェイト(StS)を待つ。
 2.フェイト(StS)が戻って来なかったらデパートを出て誰か自分を守ってくれそうな人を探す。
 3:デパートであった出来事は信用できそうな人になら話してもいい。
 4.メールを返信しようかな、どうしよう。
 5.家族や友達に会いたい。
【備考】
※放送の内容は十代のメモを読んで知りました。
※メールの差出人と内容を信用しています。キングを警戒する事にしました。
※フェイト(A's)は死んだと思っています。
※十代のメモの主な内容は『月村すずかの友人』からのメールに関する考察です。詳しい内容は[[Teardrop]]本文参照。


     ▼     ▼     ▼


少年の言葉には続きがある。

『だけど、自分の勝手な悲しみに、無関係な人間を巻き込んでいい権利は、どこの誰にもありはしない!!』

少年の名前はクロノ・ハラオウン、その義妹の名前はフェイト・T・ハラオウン。

これは『クロノ』の義妹フェイト・T・ハラオウンと関わりのあった二人の少年少女の悲しい物語。

203 : ◆HlLdWe.oBM :2009/03/30(月) 00:06:02 ID:+iy1kmif
投下終了です。
誤字・脱字、矛盾、疑問などありましたら指摘して下さい。
ちょっとミスしましたがタイトルは「Teardrop」です。
元ネタはアニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX』の第3期OPより。

204 : ◆HlLdWe.oBM :2009/03/30(月) 09:24:51 ID:+iy1kmif
少しミスがあったのでつかさの状態表を以下のように修正します。

【1日目 昼】
【現在地 H-5 デパート3階】
【柊つかさ@なの☆すた】
【状態】健康、なんだかすっきり
【装備】パピヨンマスク@なのは×錬金、シーナのバリアジャケット@SHINING WIND CROSS LYRICAL
【道具】支給品一式×2、電話帳@オリジナル、バヨネット@NANOSING、んまい棒×4@なの魂、ヴァイスのバイク@魔法少女リリカルなのはStrikerS、
    リビングデッドの呼び声@リリカル遊戯王GX、木製バット、エアガン、パン×6、プチトマトのパック×2、キャベツ、レタス、じゃがいも×3、十代のメモ
【思考】
 基本:プレシアに頼んで『みんな元通りにしてもらう』。
 0.生き残りが自分の周りにいる者だけになった時、リビングデッドの呼び声で青眼の白龍を復活させて優勝する。
 1.正午までフェイト(StS)を待つが、戻って来なかったらデパートを出て誰か自分を守ってくれそうな人を探す。
 3.デパートであった出来事は信用できそうな人になら話してもいい。
 4.メールを返信しようかな、どうしよう。
 5.家族や友達に会いたい。
【備考】
※放送の内容は十代のメモを読んで知りました。
※メールの差出人『月村すずかの友人』と内容を信用しています。キングを警戒する事にしました。
※フェイト(A's)は死んだと思っています。
※十代のメモの主な内容は『月村すずかの友人』からのメールに関する考察です。詳しい内容は[[Teardrop]]本文参照。

205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/30(月) 12:57:16 ID:LbW+fC4p
投下乙でございます

十代ー!!
助けようとして転落して退場ってあまりにも報われなさすぎる……
これだったらマーダーに殺されての方がまだ救われていた様な……

というかGX組初(クロスキャラのティアナ以外で)の退場がまさか主役とは……
何にせよ次の放送で万丈目、明日香、レイがヤバイ事は確定か……というかレイは間違いなく優勝狙いに切り替えそうだよな……

で、更にヤバイのはつかさ……というか、メールの差出人や十代の行動が完全に裏目裏目に出ているー!!
優勝して元通りってやっていることは幼フェイトと殆ど一緒ですからー!!

あと、本当にどうでもいいけど何でらきすた組(というより柊姉妹)ってこんな扱いばっかりされるの?

206 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/30(月) 19:40:24 ID:AqsgRMsH
投下乙です

うわ!、つかさが壊れた!、十代がこんな形で死ぬなんて……
これこそロワみたいな展開は大好物です!、GJ!
これでらきすた組で対主催はこなただけになったな。こなたは彼女たちを助けられるのか?

まぁ、らきすたのようなほのぼの系がロワで壊れて原作にない展開になるのはロワの美味しい所ですから俺は好きですよ
気にせずにどんどん書いてくださいw

207 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 17:25:22 ID:x2gB/sM5
代理投下します

208 :守りたいもの ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 17:27:41 ID:x2gB/sM5
 廃墟を歩む影が1つ。
 目にも鮮やかなオレンジの髪を、一部ポニーテールにした少女。
 西洋人の白い肌。身に纏うのは東洋の浴衣。
 アッシュフォード学園高等部2年生、シャーリー・フェネット。それが彼女の名前だった。
 さてそのシャーリーだが、本来彼女は1人ではなく、ある同行者と行動を共にしていたはずだ。
 にもかかわらず、こうして道路を歩いている人影は1つしかない。
 何故か。
 答えは簡単だ。
 同行者は今、歩いてはいないのだから。
(困ったな……)
 声に出さず、内心で呟く。
 彼女と共に行動する小さな娘――ヴィヴィオは、大地に両足をつけてはいない。
 どこかぐったりとした様子で、シャーリーの背中に負われているのだ。
 そもそも彼女らは本来、駅、ガソリンスタンド、ホテル、映画館、デュエルアカデミア、病院の順に、各種施設を回るつもりだった。
 事実として、駅の調査は済ませている。
 もっともその駅の様子はひどい有様で、有力な情報など一切手に入らなかったのだが。
 一箇所だけ扉の閉まった車庫があり、残り人数15人になることでようやく開くという条件が記載されていた。
 だがこれも、決して頼っていいものではないだろう。
 現在の残り人数はまだまだ40は超えているはずだ。
 そしてそもそも、彼女の望みは殺し合いからの脱出であり、促進ではない。中身を確かめるために殺しをしようとは思えなかった。
 これらのことから、駅には特に何もなかったと判断し、そのまま南下を始めたのだが、そこで思わぬ壁にぶち当たる。
 同行していたヴィヴィオの体力が、F-7の目前に迫った辺りで底をついてしまったのだ。
 彼女とてまだ10にも満たぬ子供である。
 この殺し合いから皆で脱出するために頑張るとは誓ったものの、身体がその精神に追いつかなかった。
 そうした結果、どこか休める場所にたどり着くまで、シャーリーが彼女を背負っていくことにしたのだ。
 そしてシャーリーは今、当初の予定を変更し、真っ直ぐ南へと向かっている。
 F-7から最短コースでたどり着けるのは、東のガソリンスタンドと南のデュエルアカデミア。
 どちらがヴィヴィオを休ませるのに適しているかは言うまでもない。
 南にあるのがアカデミア(=学校)である以上、保健室などのような、ベッドのある施設があって然るべきなのだから。
 予定通りガソリンスタンドを経由し、ホテル・アグスタで休ませるという手もあったが、
 そちらに行くにはこのルート以上の長距離を歩くことになる。
 ヴィヴィオという重りを背負っていることを考えると、あまり得策とは言えなかった。
 道中でシャーリー自身も疲れきってしまっては、仮に何者かが襲ってきた場合、誰が彼女を守るというのか。
 こして彼女は進路を変更し、デュエルアカデミアへと向かうことになったのだ。
 ひび割れた道路もそれなりに不安定ではあるものの、エリア2つ分も地面を歩いていくよりはマシだろう。
 他の施設を回れなかったのは残念だが、ヴィヴィオをベッドで休ませている間にでも、今後のルートを考えればいい。
(あまり危ない人がいないといいけど)
 胸中で祈りながら、1つ、1つと歩を進めていく。
 自分達がたどり着いた時、駅は既にもぬけの殻だった。
 これから行くデュエルアカデミアにも、危険人物がいないと信じたい。
 もちろん、誰もいないことは最善ではない。味方がいるに越したことはないのだ。
(次に会う人はいい人の方がいいな)
 出会いが待っているのならば、それがよき出会いであるように、と。
 祈り、願い、少女は歩む。
(たとえば……ルルとか)



 だが、シャーリー・フェネットは未だ知らない。



 最も望んだ少年との出会いが、彼女にとって最悪の遭遇となることを。

209 :守りたいもの ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 17:34:57 ID:x2gB/sM5


「――月村すずかの友人、か」
「多分、なのはさんかフェイトさん……あとは、八神部隊長のうちの誰かだと思う」
 照明の灯らぬ、薄暗いコンピュータールーム。
 無数に並んだパソコンのうち、たった1台のモニターのみが、淡い光を放っている。
 一組の男女が発した声は、そのすぐ前から響いていた。
 シャーリーの待ち人――ルルーシュ・ランペルージその人と、スバル・ナカジマの2名だ。
 彼らがいるということは、当然泉こなたと早乙女レイも、同様にモニターを覗いていることになる。
 パソコンのインターネットを用い、何か情報は得られないかとここまで足を運んだ4人だったが、肝心のその機能は使用不能だった。
 だがメールのアプリケーションを見てみると、そこに一通のメールが届いていることに気付く。
 そこで、こうして届いたメッセージを確認していたのだ。
 月村すずかには、スバルは1度だけ実際に会っている。
 海鳴での任務に赴いた際に知り合った人で、確かなのは達の友人だったはずだ。
 もう一人の友人・アリサが、このフィールドに飛ばされることなく死亡したのを考えると、送り主は彼女ら3人のうちの誰かだろう。
「絞り込めるか?」
 ルルーシュがスバルへと問いかけた。
 彼もなのはのことは以前、彼自身の世界のスバルに聞かされていたのだが、実際に会ったことはない。
 ましてや、残り2人に関してはなおさらだ。
 ここは同じ機動六課に所属していた、スバルの判断を仰ぐしかない。
「可能性があるとしたら、フェイトさんか八神部隊長……多分、なのはさんじゃない」
「根拠は?」
「職種。なのはさんは前線一筋だけど、フェイトさんや部隊長は、多分情報戦にも詳しいだろうから」
 率直な感想だ。
 スターズ01・なのはの所属は戦技教導隊。新兵の教育や戦術研究など、戦闘行為に関する業務が主となる役職だ。
 ライトニング01・フェイトの立場は執務官。事件捜査や各種調査を担当する。地球で言えば警察の警部クラスだろうか。
 ロングアーチトップ・はやてはもちろん部隊長。機動六課の全業務・全情報を統括するポジションである。
 これらの立場をまとめてみると、こうした情報の使い方は、なのはよりも後者2人の方が圧倒的に上手いに違いない。
 もっとも、スバルはそのなのは以下の新米なので、こうしたことは今まで考えたことすらなかったのだが。
「2人の意見は?」
 椅子をくるりと背後へ回し、ルルーシュがこなた達へと問いかける。
「あたしの世界のなのはさん達は普通の学生だったから、よく分からないけど」
「私も、2人の戦ってる姿しか見たことなかったし……はやてさんには会ったこともないですから」
 少年の肩が軽く竦められた。
 当然と言えば当然の返答。やはりここは、3人の中でも最もなのは達に近い、スバルの意見が一番信頼できるということか。
「さて……ではそろそろ、本格的な情報交換に入ろうと思う」
 であれば、今優先すべきはそれだ。
 メールの送り主に関する情報は、今挙がったものが全てと見ていい。
 ならばここで話題を切り替え、本題である情報交換に移った方がいいだろう。メールに記された内容の話も含めて、だ。
「誰か、メモを取ってくれないか?」
 今や半分以下の長さとなった右腕を持ち上げ、尋ねた。
 ルルーシュはナイブズの手によって、利き腕を切断されている。
 左手では、議論の内容をスムーズにまとめることは難しい。そこで、誰かにその役割を頼むことにしたのだが、
「あたしの字は汚いよー」
「あたしも、書類仕事はちょっと苦手で……あはは、はは……」
「……仕方ない。レイがやってくれ」
 苦笑する使えない青髪2人に対し、苦い表情を浮かべながら、ルルーシュがレイへと要求した。
 ややあって、レイがデイパックからメモ用紙と筆記具を取り出す。
 ルルーシュもまたそれに合わせ、パソコンのメモ帳機能を呼び出した。
 わざわざそのウィンドウをメール画面と並べたということは、一部筆談が必要になるということなのだろう。

210 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 17:36:20 ID:TLWXwe3h
しえん

211 :守りたいもの ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 17:37:25 ID:x2gB/sM5
「まずは、俺達の今後の方針の確認だ。最大の目標はこの殺し合いからの脱出」
【そのためにも首輪を外すことと、ハイパーゼクター用のベルトを入手することが必要だ】
 ルルーシュの言葉に合わせるようにして、パソコンの画面に文字が打ち込まれる。
 時空間をワープする能力を持った機械――ハイパーゼクターの名称は、未だ口に出してはいない。
 説明書を他の人間にも見せたは見せたが、その事実を言葉にすることは避けさせた。
 参加者達の管理のために、主催者はこの首輪に盗聴器を仕込んでいる可能性が高い。
 そこでこうした手法を取ることで、脱出の切り札となるこのアイテムが、自分達の手にあると判断されるリスクを削ったというわけだ。
 下手に使用しようとでもすれば、首輪を爆発させられる恐れもある。それを防ぐための隠蔽工作。
【プレシアに聞かれるとまずい。今後もこのハイパーゼクターに関しては、極力口に出さないように】
 画面に表示された文章に、残る3人が無言で頷いた。
【スバル。この市街地で、首輪の解析が出来そうな場所に心当たりは?】
 続いてスバルへと話題を振る。
 要するに、管理局の知識が欲しいということだ。工場が使えるかもしれないということくらい、ルルーシュだって分かっている。
 そして今度の筆談だが、別に首輪を外そうとしていることそのものは、隠す必要もないだろう。
 企てるだけで行動に移さないのならば、わざわざプレシアも爆破することはないはずだ。
 ただ外しにかかる場所とタイミングさえ分かればいい。そのための筆談だった。
 その意図を汲み取ると、スバルもまた、自分のデイパックから筆記具を取り出す。
【設備が整ってるのは機動六課。あまり詳しくは知らないけど、地上本部にも、研究施設ぐらいはあるかもしれない】
【では解析用の首輪を手に入れた後は、その2つの施設に寄ることにしよう。メールに記された罠には注意すること】
 取り出したメモ帳をパソコンデスクに置き、さらさらと鉛筆を走らせた。ルルーシュもそれに続き、キーボードを打つ。
 魔導師のデバイスは精密機械だ。
 管理局の各種施設には、その整備や開発を行うための、デバイルスームが設置されていることが多い。
 恐らく地上本部にも、そうした設備があって然るべきだろう。首輪の解析に使える可能性があるなら、調べておいて損はない。
「続いて、人物関係の確認」
 これに関しては、ある程度スムーズに進めることができた。
 既にディエチと合流していたルルーシュは、彼女から管理局の人間について話を聞いている。
 更に、スバルはゲームが始まった頃からこなたと合流していたので、今さら聞くこともない。
 となると、残るはレイの話だけ。
「遊城十代、万丈目準、天上院明日香の3人です。万丈目は怪しいかもしれませんが、残り2人は殺し合いに乗ってないと断言できます。
 それから……フェイトさんが私の世界から来ていた場合、敵の洗脳を受けている可能性があるので、気をつけて」
 これが彼女の証言だ。
 顔色から察するに、嘘はついていないと判断。
 別世界のフェイトが敵に洗脳されているような事態に陥っていたと聞き、スバルは僅かに驚愕していたのだが。
 ともあれ、これらの情報をパソコンのテキストにまとめる。

 要救助者:シャーリー、ヴィヴィオ、十代、万丈目、明日香
      (ただし、万丈目には注意が必要)
 合流すべき戦力:なのは、フェイト、はやて、キャロ、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、ユーノ、クアットロ、チンク、C.C.
         (ただし、フェイト及びクアットロには注意が必要)
 危険人物:赤いコートとサングラスの男(名前不明)、金髪で右腕が腐った男(名前不明)

 ひとまず、現状で把握できているのは以上の面々だ。
 それぞれの参加者名簿へと、各々が分かりやすい形で情報を書き込んでおく。

212 :守りたいもの ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 17:38:59 ID:x2gB/sM5
「次は各自の持ち物だな。使える手札は確認しておきたい」
 ルルーシュが話題を切り替えた。
 手札というのはデュエルモンスターズのことではなく、武器や道具の彼なりのたとえである。
 もちろん、そんなことは分かりきっているので、それをツッコむ者はいない。
 まずはルルーシュ自身がデイパックの口を開き、自らの持ち物を公開する。
 爆弾、木刀、インカム、病院で手に入れてきた物品一式、クラブのKの意匠のカード、ハイパーゼクター。
 改めて見ると、かなりの大荷物だ。
 体力に乏しいルルーシュでも、これだけのものを持ち運べるのは、このデイパックの賜物といったところだろう。
「じゃあ、次はあたし」
 対して、二番手のスバルの持ち物は少ない。
 銃が2挺と、何の変哲もない指輪が1つ。しかも銃のうちの片方は、元々レイが持っていたピストルだ。
 もっともこの場合、ルルーシュが異常に多くの物品を手元に納めていた、というのもあるのだが。
「あたしはみんなが知ってるの以外、あまり真新しいものはないけど……」
 続いて、こなた。
 こちらも持ち物は少なく、バスター・ブレイダーのカードに投げナイフ。
 それから首にかけられた、小さな剣の形を模したペンダント。待機状態のレヴァンティンだ。
「それは?」
 ルルーシュがそこに着目する。
 無理もない。彼はスバル以外の魔導師が、戦っている姿を見たことがない。
「レヴァンティンっていうデバイス。スバルから渡されたんだ」
「デバイスというと、魔法を使うための機械だったか……何故スバルが持っていないんだ」
 紫の瞳が細められた。
 冷ややかな視線と声音に込められるのは、誰の目にも明らかな非難。
 魔導師がデバイスを装備せず、貴重な武器を一般人に割り振る。
 ルルーシュほどの知恵者が、その矛盾に気付かぬはずがない。
 一方、非難の視線を向けられたスバルはというと、びくりと肩を震わせ僅かにうろたえる。
「あ、えっと……剣型のレヴァンティンなら、万一攻撃されても盾に使えるだろうし……
 そもそも、こなたを戦わせたくなかったから、こっちの銃を渡さなかったわけで……」
「――違うな」
 ぴしゃり。
 まさにそんな擬音が相応しい。
 よく通る、低い声が割って入った。
「間違っているぞ」
 スバルの弁明を遮る声。冷たい氷のようなルルーシュの声。
 その鋭き紫の双眸は、真っ向から少女の瞳を睨みつけている。
 視線という名の極寒の刃を、両の目に突きつけられたかのような感触。
 ごくり、と。
 思わず、スバルの喉が鳴った。
 ――たとえ一般人のこなただろうと、戦わないことは許されない。
 これまでの流れから察するに、ルルーシュが次に言うであろう言葉はこれだ。
 恐らく彼はアサルトライフルを、こなたに渡すように指示するだろう。
 そんなことはさせない。
 尻込みするのをぐっと堪え、来たるべき言葉へと身構える。
 こなたは絶対に戦わせない。そう決めたのは自分だから。
 戦うべきは自らの意志で、戦う力を手に取ったもの。流されるままに戦うなんてことを、彼女にさせるわけにはいかない。
 次の瞬間。
 発せられたのは。

213 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 17:39:22 ID:TLWXwe3h
支援

214 :守りたいもの ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 17:40:14 ID:x2gB/sM5
「――本当にこなたを戦わせたくないのなら、何故守りきれなかった場合を想定する?」
 しかし。
 そんな、言葉。
「………、え?」
 それだけを、口にする。
 それだけしか返すことができなかった。
 鳩が豆鉄砲を食らったような、呆けた顔を浮かべているスバルには。
 ただそれを返すだけにも、数瞬の間を置いていた。
「守るのならば攻めさせない。
 持てる力を最大限に発揮し、何人たりとも触れさせはしない。
 敵の魔の手が届くより先に、全力で敵を叩き潰す。……守ると決意するということは、そういうことだろう」
 正直、意外だった。
 脇に立っていたこなたとレイも、同じような感想を浮かべていたに違いない。
「10の力を持つお前が、1しか持たない者を守る……それを願うなら、相手に自分の力を分け、わざわざ7まで落ちることをするな。
 たとえ相手が1だとしても、ましてやゼロだったとしても、10の力で守り抜いてみせろ。
 決して通すな。決して死ぬな。最後の最後まで生き抜いて、降りかかる火の粉を薙ぎ払え」
 この男が求めているのは、戦う意志のない人間に、戦闘を強要することではなかった。
 戦える人間が――戦えない者を守りたいと願う人間が、その分必死で戦い抜くこと。
「決意も、行動も……お前が“スバル・ナカジマ”なら、できるはずだ」
 信じているから。
 スバルにはそれができるのだと。
 誰かを思いやることのできる優しさ。誰かを励ますことのできる笑顔。
 そして、時に優しき少女が発揮する、誰かを守るための強さ。
 一緒にいた時間は短くても、ルルーシュにはそれが分かっていた。
 たとえ別世界の彼女だとしても、その本質は変わらないと信じていた。
「……すまなかったな、言い方がきつくて」
 ふ、と表情を緩ませる。
 整った顔に笑顔を浮かべ、少年の伸ばした右腕が、くしゃっとスバルの髪を撫でた。
「あ、うん……いや……別に、そんなに気にしてないけど……」
 この人のこういう表情を見るのは、どうにもむず痒い。
 今日会ったばかりの人だというのに、何もかも見透かされているかのような。
 否、実際に見透かされているのだろう。
 こことは別の並行世界の、ほとんど自分と遜色ないであろう自分と、触れ合ってきているのだから。
 そのくせ自分だけが、この人のことを全く知らないのだ。もどかしいと思うのも無理はなかった。
 照れくさいやら何やら、複雑としか言いようのない表情で、ほんのりと頬を朱色に染める。
「いやぁ、何だかんだ言っていいコンビだよねぇ」
「ちっ、ちちち違うよっ! そんなんじゃないから! こなたが思ってるようなんじゃないから!
 あーもうニヤニヤするの禁止ぃーっ!」
 案の定にやついた顔を浮かべるこなたに対し、両手をぶんぶんと振り回しながら反論した。
 ふぅ、と。
 一方で、ルルーシュはやや呆れたような表情でため息をつく。もちろん、スバルの頭を解放してやることは忘れない。
 こうして見ると、学校の休み時間での他愛ない会話そのものだ。ここが殺し合いの場だとは思えない。
 余裕があることはいいことだ。切り替えのできる奴だということも分かっている。特にスバルは。
 自分は何度か目にしている。
 戦いの場へと降り立った瞬間、このやかましい少女の顔が、真剣な戦士の顔へと激変することを。
 逆に自分は、気の休め方を知らないのかもしれないな。
 そう思って、何だかむしろ自分が未熟なように見えて、こうしてため息を漏らしていたのだった。

215 :守りたいもの ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 17:41:41 ID:x2gB/sM5
「あのー……次、私の番なんですけど」
 どこかうんざりとしたような表情と共に、おずおずとレイの手が挙がる。
 それを聞いて、青髪とアホ毛の2人組は、水を打ったように静まり返った。
 はぁ、と吐き出されるため息。どうやら結局レイもまた、ルルーシュと同じ穴のむじなだったらしい。
 互いに警戒し合い、利用する隙を探り合う2人が似たもの同士というのも、奇妙な光景ではあった。
「私もこなたさんと同じで、大体のものはもうみんなに見せてます」
 言いながら、ポケットへと手を突っ込む。
 取り出したのは3枚のカード。2枚は元から持ち歩いていたもので、1枚は売店での戦利品だ。
 これにスバルの預かった拳銃を加えたものが、既に知られている彼女の持ち物。
「あと……この中に人形が1つだけ」
 つまりこれから取り出すものが、その大体に含まれていないもの。
 スバルの身体検査は簡単なもので、すぐには取り出せないであろうデイパックの中身は、未だ確認していなかった。
 デイパックをがさごそとあさり、取り出したのは1つの鞄。
 鞄の中に鞄が入っているというのも奇妙な話だが、これとその人形とで、セットで支給されたのだという。
「正直、あまり役に立つとは思えないんですけど……、って、どうしましたスバルさん?」
 しかし、その時。
 レイが説明をしていたまさにその時。
 唯一スバルの表情だけが、思いっきり凍りついていた。
 怪訝そうな顔を浮かべる残りの面子。若きフロントアタッカーの肩がわなわなと震える。
 いや、知ってるし、これ。
 この色といい形といい、すっごく見覚えのある鞄だし。
 これの中に入ってる人形とか、もう“あの人”しか思い浮かばないし。
「ちょ、スバルさんっ!?」
 次の瞬間、スバルの手が、がばっとバッグを引ったくっていた。
 困惑するレイの手から強引に鞄をもぎ取ると、その口を勢いよく開く。
 ああ、案の定だ。
 やっぱり“この人”が入ってやがった。
 自分達とお揃いの茶色い制服着た、水色っぽい銀髪の人形が転がってやがる。
 人形みたいなサイズの身体の、小さな小さな上司が眠ってやがる。
 何でこんな人までここにいるの。見せしめ含めて61人じゃなかったの。というか、何呑気に寝てるのこの人。
 色々と言いたいことはあったが、今彼女が取るべき行動は一つ。
 バッグの中身へと手を伸ばし、その身体を引っつかみ。
「リイン曹長! 起きてください、リイン曹長っ!」
 思いっきり叫びながら揺さぶった。



「……なるほどです。つまりみんなは、リインとは別のパラレルワールドから集まったんですねー」
 間延びした少女の高い声が、コンピューター室に響いていた。
 先ほど鞄の中にあった人形が、ふわふわと空中に浮いている。
 それどころの騒ぎではない。閉じられていた瞳がまばたきし、その口から言葉を発していた。
 作り物、という意味では正しいかもしれないが、彼女はただの人形ではない。
 レイに支給された最後のアイテムは――人格搭載型のデバイスだ。
 その名も、リインフォースU(ツヴァイ)。
 かの闇の書の人格プログラム・リインフォースの力を受け継ぐ、八神はやて直属のユニゾンデバイスである。
 単独でもAランク魔導師級の戦闘力を持ち、おまけにスバルよりも階級が上だ。
 にもかかわらず、あまり威厳のない子供っぽい性格が、玉に瑕でもチャームポイントでもあるのだが。

216 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 17:41:52 ID:TLWXwe3h
シエン

217 :守りたいもの ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 17:42:46 ID:x2gB/sM5
「……モンスターと触れ合ってたレイはともかく……何でアンタまで、そんなに冷静なんだ……?」
 引きつった顔で、ルルーシュがこなたへと問いかけた。
 正直彼は、この状況にまるでついていけていない。
 まるで人形のようなサイズの小人が、突然あくびを上げて目を覚まし、挙句ふよふよと空を飛び始めたのだ。
 魔法とも精霊ともまるで無縁な、一般人には何をどうリアクションしていいか分からない。
 自分の世界も思いっきりSFしてるくせにか、ということは、この際置いておくことにする。
「そりゃまあ、ちっちゃいマスコットは魔法少女モノの基本だし?」
 しかし当のこなたはというと、さらりとそう言ってのけた。
 おまけにそう言いながら、呑気にも上半身をぐっと屈めて、下方から覗き込むようにリインを見上げている。
「ちょ、ちょっとぉ! じろじろとぱんつ覗かないでくださいー!」
「ほうほう、こりゃまた精巧にできてらっしゃる」
「……はぁ」
 図太いというか、何というか。
 一応心を許したものの、こいつの心の方はさっぱり分からない。
 そう言わんばかりの表情で、額を抑えながら、ルルーシュがまた1つため息をついた。
「ま、まぁそれはともかく……リイン曹長も、ここに連れて来られた時のこと、やっぱり分からないんですか?」
 そこへスバルが問いかける。
 確かにここらで打ち切っておかねば、話を進めるタイミングを見失ってしまうに違いない。
 おまけに、「太ももの質感が」だとか「やはり下も水色か」だとか口走ってるこなたである。
 このまま放置しようものなら、遠からずお触りタイムへ突入してしまうだろう。
 部下たるもの、上司がピンチの時は助けるのが務め。たとえちっこく可愛いマスコットでも、上司は上司だ。
「それがさっぱりなのですよ。スバル達と同じように、リインも気が付いたらここにいたのです」
「やはり支給品扱いでも待遇は同じか……」
 先ほどとはまた別のため息と共に、ルルーシュが呟く。
 もしもリインが、自分達とはまた別の形でプレシアに呼び出されていたのなら、そこから反撃の糸口が見つけられたかもしれない。
 だが、それも望めないらしい。
 首輪がついていないだけで、他は普通の参加者と何も変わりがないようだ。
「……まぁ、それはいいだろう」
 分からないことは仕方ない。
 リインの元いた世界の情報も聞き出せたことだ。彼女の件は保留としておく。
 今あれこれと騒いだとしても、これ以上の情報は出ないに違いない。であれば、そこにこだわるのは愚かなことだ。
「さて、これからメールの送り主に従い、アカデミアを調べ直すわけだが……その前に、聞いておいてほしいことがある」
 切り出した、その瞬間。
 発光。
 赤く、煌く。
 紫色の瞳の中に、炎のごとき赤が宿った。
 澄んだ瞳のその奥で、灼熱の不死鳥が羽ばたいた。
 ルルーシュの左目の中に浮かぶ、翼のような赤いマーク。
「おおっ」
 これにはこなたも驚いたようだ。他の連中も、大体似たような反応を返している。
 瞳の色が変わるならまだしも、瞳に模様が浮かぶというのは、そうそうある話でもないだろう。
 その辺りを考えるなら、無難な反応だ。
「ギアス。俺の持っている能力だ」
 言いながら、目の中の真紅を引っ込める。
 王の力の証たる紋様を、一瞬にして消滅させる。
「こなたにはさっき話したが……この力を使えば、視線を合わせた相手を一度だけ、あらゆる命令に従わせることができる」
「一種の催眠術のようなものですねー」
 ルルーシュはリインの言葉に頷いた。
 一般人には持ち得ない、得体の知れない力という点では、ギアスも魔法も親戚のようなものである。
 その点やはり魔導師は、理解も飲み込みも早いらしい。

218 :守りたいもの ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 17:44:39 ID:x2gB/sM5
「本来この力は、自在にオン・オフができるものではないんだが、見ての通りそれが可能になっている。
 強者の能力に制限がかけられている状況だ……こいつも弱体化していてもおかしくない。……そこで」
 す、と。
 その紫色の眼差しが、こなたの方へと向けられた。
「こなたの一人称は、確か『あたし』だったな」
「うん、そうだけど?」
 きょとん、とした表情で返すこなた。
 だが次の瞬間。
「“その一人称を『ボク』に変えろ”」
 視界は赤く染まっていた。
 顕現。
 再び飛び立つフェニックス。
 熱く燃え盛る炎のごとく、艶やかに輝く鮮血のごとく。
 王者の力が真紅となり、魔王の言霊を乗せて放たれる。
 ギアス発動。
 宿された力は絶対遵守。
 あらゆる者であろうとも、それが人間である限り、何人たりとも逆らえぬ号令。
 招く結果は。
「『ボク』に変えろって言われても……ボクだって現実の人間なんだし、そんなギャルゲか何かみたいな展開が都合よく……」
 命令の遂行。
 全ての単語は摩り替わる。
 あたしは、ボクへと。
「……あ」
「ホントだ……」
「実際に見てみるとすっごいですねー」
 まさに奇跡に立ち会った瞬間だ。
 こなたは我が身に起こった事象に微かに驚愕、ギャラリーの表情も感嘆に染まる。
 あらゆる命令を遂行させる力、ギアス。
 そこには誇張も虚偽もなく、見事にその効力を発揮してみせたのだ。
「これで、周りにも変化が分かりやすいだろう……
 これから同行する、曹長殿は……今から何時間後にそれが解けるか、調べておいてくれ」
「りょーかいですっ」
 左目を押さえるルルーシュの言葉に、リインが敬礼と共に答えた。曹長殿、というのは彼なりの遊び心か。
 少年の顔には、微かに苦悶の色が浮かぶ。頬を伝うのは一筋の汗。
 耐えられないレベルではないが、やはりきついものがある。
 瞳の疼きに耐えながら浮かべた、率直な感想だ。
 命令実行に伴う痛覚と脱力感。これが現在判明している、ギアスに課せられた制限だった。
 とはいえ、これだけとも限らない。回数制限があるかもしれないし、時間制限があるかもしれない。
 そして現在実行したのは、時間制限を計るテスト。
 頻繁に用いる一人称なら、変化も分かりやすいだろう。
 恩人のこなたにギアスをかけるのは気が引けたが、これくらいの命令なら、彼女もさほど気にすることはあるまい。
 ふう、と一息つきながら、額に浮かんだ汗を拭う。痛みもだんだん引いてきたようだ。
「私にこの力を教えたってことは……信用してくれた、ってことですか?」
 と。
 そこへ。
 レイが問いかけてきた。
 未だ僅かに興奮している面々の中、たった1人冷めた視線を取り戻した娘が。
 そもそもこのタイミングでのギアス披露が、彼女には不自然に思えて仕方ないのだ。
 いかに制限があるといえど、強力無比な力であることに変わりはない。
 たとえ自分が裏切ったとしても、この力を前にすれば、一瞬で無力化されてもおかしくない。
 ならばだからこそ、未だ信用されていないであろう、自分には伏せるべきではなかったのではないか。
 何らかの対策を講じられるよりも、不意討ちのように発動した方が、彼にとっては楽ではなかったのか。

219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 17:44:47 ID:TLWXwe3h
SHIEN

220 :守りたいもの ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 17:45:52 ID:x2gB/sM5
「まさか」
 しかし。
 ふ、と。ルルーシュの口元には、不敵な笑み。
「抑止だよ。額に銃口が向いてると知ってて、刃向かうような馬鹿じゃないだろう?」
 それが答えだ。
「……そうですか」
 やられた、と思った。
 迂闊に口を滑らせたのではない。決して裏切らぬよう、強固に念を押されていたのだ。
 確かに今まで通りの彼なら、嘘でごまかせるような時は、ごまかし通してやろうとも思った。
 だが、今は違う。どんなに嘘をついたとしても、全てが無駄だと分かっている。
 不穏な空気を漂わせたが最後、ギアスで本音を暴かれて、そのまま殺されてしまうだろう。
 そう思ってしまった。反逆する気を削がれてしまった。
 ついでに言うならば、今の質問もよくなかった。
 口を滑らせたのは自分の方だ。結果余計な念押しをされ、付け込む隙を与えてしまったのだ。
 逆らうことはできない。上位にいるのはルルーシュだ。それが明確になってしまった。
 恐らく今後この男は、自分のことについて今まで以上に詮索してくるだろう。反発できない空気を作ったのをいいことに、だ。
(こいつ……今まで会った誰よりも悪知恵が回る)
 改めて、そう認識せざるを得なかった。
 下唇を噛み締めて、握る拳を震わせるしかなかった。
「……では先ほど割り振った通り、この施設を調べていくことにしよう。
 自分のエリアが終わり次第、速やかに入り口で合流すること。……では、解散」


【1日目 昼】
【現在地 G-7 デュエルアカデミア】

【早乙女レイ@リリカル遊戯王GX】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式×2、『フリーズベント』@リリカル龍騎、『光の護封剣』@リリカル遊戯王GX、
    『レッド・デーモンズ・ドラゴン』@遊戯王5D's ―LYRICAL KING―、
    リインフォースUのお出かけバッグ@魔法少女リリカルなのはFINAL WARS、情報交換のまとめメモ
【思考】
 基本:十代を守る。
 1.デュエルアカデミアの未確認部分を調査する。終わり次第、入り口で仲間達と合流
 2.各施設を回りカードとデュエルディスクを手に入れる。できればチューナーを手に入れたい。
 3.ルルーシュは使えるかもしれない。今後の動向を伺う。
 4.殺し合いに乗っている者を殺害する。
 5.レッド・デーモンズ・ドラゴン……使えるかな?
 6.スバル達と方針が合わなかった場合は離脱。ただし、逃げられるかどうか……?
 7.フェイト(StS)、万丈目を強く警戒。
【備考】
 ・リリカル遊戯王GX10話から参戦です。
 ・フェイト(A's)が過去から来たフェイトだと思っています。
 ・フェイト(StS)、万丈目がデュエルゾンビになっていると思っています。
  スバル達には、「自分の世界のフェイトは、敵に洗脳されているかもしれない」と説明しました。
 ・ここではカードはデュエルディスクなしで効果が発動すると知りました。
 ・デュエルデュスクを使えばカードの効果をより引き出せると思っています。
 ・カードとデュエルディスクは支給品以外にも各施設に置かれていて、それを巡って殺し合いが起こると考えています。
 ・デュエルアカデミアの3分の2を調べました、どの場所を調べたかについては次の書き手さんにお任せします。
 ・レッド・デーモンズ・ドラゴンが未来の世界のカードだと考えています。
 ・シンクロ召喚の方法がわかっていません、
  チューナーとチューナー以外のモンスターが必要という事は把握済みですがレベルの事はわかっていません。
 ・正しい召喚手順を踏まなければレッド・デーモンズ・ドラゴンを召喚出来ないかどうかは不明です。
 ・リインフォースUの参戦時期及び制限は次の書き手にお任せします。
 ・ギアスの能力を知ったことで、ルルーシュに逆らうことができるかどうかと、若干の不安を抱えています。
 ・「月村すずかの友人」からのメールを読みました。送り主はフェイトかはやてのどちらかだと思っています。

221 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 17:49:08 ID:TLWXwe3h
しえん

222 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 17:50:17 ID:TLWXwe3h
シエン

223 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 17:51:46 ID:TLWXwe3h
支援

224 :守りたいもの ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 18:01:09 ID:x2gB/sM5
【泉こなた@なの☆すた】
【状態】健康、ギアス
【装備】なし
【道具】支給品一式、投げナイフ(9/10)@リリカル・パニック、バスターブレイダー@リリカル遊戯王GX、
    リインフォースU@魔法少女リリカルなのはFINAL WARS
【思考】
 基本 かがみん、つかさ、フェイトに会いたい
 0.ギアスによる命令:自分の一人称を『ボク』に変えろ
 1.リインと共に、デュエルアカデミアの未確認部分を調査する。終わり次第、入り口で仲間達と合流
 2.アーカード(名前は知らない)を警戒
 3.自分にかけられたギアスの持続時間を計測する
 4.かがみん達は……友達だよ
 5.あのおばさん(プレシア)何考えてるんだろう……
【備考】
 ・参加者に関するこなたのオタク知識が消されています。ただし何らかのきっかけで思い出すかもしれません。
  なお、オタク知識については思い出してはいないものの消されているという事実には気が付きました。
  しかしそれをスバル達に話すつもりはありません。
 ・パラレルワールドの可能性に行き当たり、かがみ達が自分を知らない可能性に気が付きましたが、
  彼女達も変わらない友達だと考える事にしました。
 ・参加者達が異なる時間軸から呼び出されている可能性に気付いていません。
 ・ルルーシュの世界に関する情報を知りました。
 ・この場所には様々なアニメやマンガ等に出てくる様な世界の人物や物が集まっていると考えています。
 ・ギアスの持続時間は後続の書き手さんにお任せします。
 ・「月村すずかの友人」からのメールを読みました。送り主はフェイトかはやてのどちらかだと思っています。
【リインフォースU思考】
 基本 スバル達と協力し、この殺し合いから脱出する
 1.はやて(StS)や他の世界の守護騎士達と合流したい
 2.こなたと共に、デュエルアカデミアの未確認部分を調査する。終わり次第、入り口で仲間達と合流
 3.こなたにかけられたギアスの持続時間を計測する
 4.はやて(StS)が心配
 ※スバル達が自分とは違う世界から来ていることに気付きました。

225 :守れないひと ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 18:07:22 ID:x2gB/sM5
 我ながらよく言ったものだ。
 んっ、と軽く身体を伸ばしながら、ルルーシュは自嘲気味に思考する。
 ただの学生に過ぎないはずの自分が、随分とリーダー役が板についたものだ、と。
 ありもしないカリスマを演出し、口八丁で人心を掌握。ゼロとなった自分の常套手段。
 実際のところ、スバルに語ったあの言葉も、所詮はもっともらしく聞こえるようにしているだけのこと。
 本気でそう思っているのなら、バスター・ブレイダーも投げナイフも、全て自分とスバルに割り振っていた。
 いいやそもそもそれ以前に、スバルの武器だって没収し、自分が守る立場に立たなければ説明がつかない。
 結局は戦力バランスを整えるために、彼女にレヴァンティンを与えたかっただけなのだ。
 結果として炎の魔剣はスバルへと渡り、彼女の使わなくなった拳銃を、ルルーシュが受け取っている。
 手のひらに感じる冷たさと共に、自分の冷ややかさを認識した。
 彼が今立っているのは、合流場所に指定したエントランス。
 デュエルアカデミアの未確認箇所の調査は、それらを縦に3区画に区切り、以下のように割り振っている。
 上層部が、カードの扱いに長け、かつ内部構造を把握しているレイ。
 下層部が、単体での高い戦闘能力を持つ、再びデバイスを手にしたスバル。
 その中間が、派手な戦闘能力こそないものの、護衛にリインをつけたこなた。
 残るルルーシュはというと、何者かがこのアカデミアに侵入してきた時のために、1人見張りを行っていた。
 これはスバルの進言によるものだ。
 腕を断ち切られたばかりでバランスも悪く、輸血もままならなかったルルーシュに、無理をさせてはいけない、と。
 結果こうして、1人身体を休めながら、肉体労働もない楽な仕事についている。
 とはいえ、別に怠けるつもりはない。
 身体を動かさずとも頭は働く。
 今のうちに現状について、更なる考察を進めておくか。
 そう考えた、その矢先。
「!」
 うぃん、と。
 音が鳴った。
 静かに。自動ドアの開く音が。
 その音の意味することは1つ。侵入者がこのデュエルアカデミアにやって来た。
 何者か。果たして自分に対応できるのか。そもそも殺し合いに乗っているのか。
 ギアスも制限されており、右腕も失っている現状。
 普段以上の緊張感と共に、今いる物陰から来客を覗く。
 そして。
 そこにいたのは。
「シャーリー!」
 理解するや否や、ルルーシュは駆け出していた。
 羽織ったマントをたなびかせ、侵入者の目の前へと一直線。
「ルル!?」
 思わぬ学友の姿に驚いたのは、シャーリー・フェネットその人だった。
 アッシュフォードのクラスメイトにして、同じ生徒会に所属する仲間。
 ゼロとしての戦いに巻き込んでしまい、傷つけ記憶を奪った罪の証。
 オレンジ色の髪の少女が、背中に小さな子供を背負い、今自分の目の前に立っている。
「無事でよかった」
 本心だ。
 スバルにそう語った時と変わらない、偽りのない彼の言葉だ。
 何の戦う力も持たない彼女が、こうして生き延びていた。最も生存確率の低かった彼女が、こうして無傷で生きている。
 このデスゲームに巻き込まれた最中、初めてと言っていい純粋な安堵。
 対するシャーリーもまた、安心したような表情を浮かべている。
「……立ち話もなんだ、場所を変えよう」
 そう言って、その身を翻すルルーシュ。
 聞きたいことが山ほどあった。共に生き延びるためにも、少しでも情報が欲しかった。
 どこか保健室にでも案内して、落ち着いて話を聞くことにしよう。
 漆黒の装束を揺らし、移動しようとしたその瞬間。

226 :守れないひと ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 18:15:23 ID:x2gB/sM5
「……ルル……?」
 聞こえなかった。
 シャーリーの靴音が。
 震えていた。
 シャーリーの声が。
 その場で彼女が立ち止まり、何故か身体を震わせていることに気が付いた。
「どうしたんだ、シャーリー?」
 怪訝そうな表情と共に、ルルーシュがそのまま振り返る。
 再び見つめた学友の顔は、何故か驚愕の一色に染まっていた。
 口を阿呆のように半開きにし、瞳は大きく見開かれていた。子供を背負うその背中が、がたがたと震えているのが分かる。
「お姉さん……?」
 奇妙に感じているのは、背中の少女も同じらしい。
 緑と赤のオッドアイは、確かスバルの言っていたヴィヴィオだったか。
 ともかくも今その少女が、自分を背負っているシャーリーの顔を、心配そうに覗き込んでいる。
 だが、彼女は応えない。
 幼い娘が聞こえないかのように、ルルーシュをじっと見つめている。
「……ああ、これか」
 そこでようやく見当がついた。
 原因は恐らく、自分のこの右腕だ。
 傷口を覆うはちまきへと、視線を落とす。
 シャーリーはまだ知らなかったのだ。ルルーシュの腕が落とされたことを。そうして驚くのも無理はない。
「今はもう大丈夫だ。応急措置もされてるし……」
「――そうじゃない!」
 だが。
 しかし。
 大声で発せられたのは、否定。
 シャーリーの口を突いた声に、いよいよルルーシュは驚かされた。
 どういうことだ。この腕が原因ではないのか。
 ならば何故、彼女はこうも震えている。
 一体何がそれほどまでに、シャーリーに衝撃を与えている。
 彼女の思考が読みきれない。理由が全く分からない。どうして自分がそんな目を向けられる。
 クイズの答えは。
「どうして、ルルが……」
 すぐに発表された。
「ゼロの……お父さんの仇の、格好を……」
「!!」
 その時だ。
 ようやくルルーシュが気付いたのは。
 シャーリーが震えている理由も。
 彼女が自分のことを、かつての愛称である「ルル」という名で読んでいることも。
 全ての疑問は氷解した。
 そこに突きつけられたのは、想定しうる最悪の答え。
 シャーリーの記憶が失われていない。おまけにゼロの正体を知らない。
「あ……」
 彼女はナリタでの戦闘で、最愛の父を喪った、その直後からやって来ていたのだ。
 これまで関心の薄かったゼロへの憎悪が、最も深く募っていたその瞬間。
 そしてそのシャーリーの前に、よりにもよってゼロの服を着たルルーシュが現れた。
 彼女が何を思うのか。その理解に、ルルーシュのような知恵はいらない。スバルやこなたでも一発で分かる。
「どうして……まさか、ルルが……本当に……」
 憎むべき仇をようやく見つけた。
 ここは殺し合いのフィールドだ。殺すための武器は持っている。
 しかし、その正体はルルーシュだった。
 友達であったはずの少年が、最悪の虐殺者の正体だったのだ。
 思考のバランスが保てない。視線は右往左往と宙を泳ぐ。
 もはやヴィヴィオを支えるその両手も、保つのがやっとというほどに。
 あらゆる感情が混ざり合い、ごちゃごちゃとなって混沌を生む。
 ルルーシュが取った反応は。
 彼女の心を打ち砕いた、罪人の選んだ行動は。

227 :守れないひと ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 18:19:58 ID:x2gB/sM5
「……フ……クク……」
 吐息のような。
 微かに漏れる。
 抑えられた、笑い声。
 そして。
 すぐに。
 それも。
「ファハハハハハハハハハハ……!」
 大笑へと、変わる。
 これ以上ないほどに丸くなったはずの、シャーリーの目が更に開く。
 突如として上がった笑い声。これまで聞いたことのない、学友の放つ不気味な咆哮。
 彼を取り巻く空気が変わる。
 斜に構えていながらも、どこかに優しさを持った少年の、その気配が冷たくなっていく。
 そこに立っているのはルルーシュではなかった。
 彼女の知っていた彼ではなかった。
 そこにあったのは。
 かつてない、未知の。

「そうだ――私がゼロだ」

 邪悪そのものの、笑顔。
「!」
 彼女の知らないその声音。
 彼女の知らないその表情。
 遂にシャーリーは絶句する。
 カオスを描いたその思考は、一瞬にして打ち砕かれる。
 そうだ。その顔だ。
 そう嘲笑うかのように。
 ルルーシュはそこにあるはずもない、ゼロの仮面を顔へと被る。
 学生としての自分を封印し、敢えて仮面の革命家へと変貌する。
 弱者を虐げる強者への断罪のため。日本人を支配するブリタニアを叩き潰すため。
 エリア11へと颯爽と舞い降りた、漆黒の魔王がそこにいた。
「ゼロ……」
「そうだとも。偶然巻き込まれたとはいえ、君のお父上――ジョセフ・フェネット氏の命を奪ったゼロだよ」
「……!」
 遂に涙腺は決壊する。
 緑色のその瞳が、熱い雫を孕んでいく。
 零れ落ちる湿気。変色する足元。頬を真っ直ぐに伝う涙。
「お父さんの、仇……!」
「殺すか? それでもいいだろう」
 されど、ルルーシュは不敵に笑む。
 低くよく通る邪悪な声で。悪魔のごとき邪悪な顔で。
 人でありながら、人でない。伝承のデーモンが降臨したかのような、凄絶にして残虐にして非情な笑み。
 身にまとう絶対零度の雰囲気は、学友の涙にも怯みはしない。
 微かに混ざり始めた敵意にも、その態度を決して崩さない。
 そして。
「だが殺せるかな……君に?」
 遂に。
 とどめを刺す。
 言葉の剣を、心臓目掛けて。
 何の実体もない不確かなもの。しかし、時に武力以上の揺さぶりとなるもの。
 ゼロの持つ最大最強の武器を、その急所目掛けて一直線に。
「っ!!」

228 :守れないひと ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 18:23:24 ID:x2gB/sM5
 返す言葉などなかった。
 シャーリーに返せるはずもなかった。
 相手は父を殺したゼロであり。
 しかし、最も愛した少年でもあるのだから。
「ククッ……そう、君には殺せない。私はルルーシュ・ランペルージなのだからな」
 お前にルルーシュが殺せるはずもない。
 ずっと想い続けていた相手が、簡単に殺せるわけがない。
 遥かな高みより見下ろすような。眼下の愚者を嘲笑うかのような。
 卑劣な言葉の猛毒が、シャーリーの思考を焼き殺していく。
 その声で打ち砕くのは幻想。
 初恋の少年への純粋な想いを、憎悪を上塗りして粉砕していく。
「それでも私を殺すというのなら、その時は相手になってやろう。全てが終わったその時に」
 その言葉をかけられた彼女が、これ以上ここに留まれるはずもなかった。
 だっ、と。
 大粒の涙の雫を振りまき。
 オレンジの髪を虚空に舞わせ。
 踵を返したシャーリーが、外へと真っ直ぐに駆け出して行く。
 もうここにはいられない。
 それ以上その声を聞くことはできない。
 それ以上その顔を見ることはできない。
 ルルと向き合うことが、つらい。
 閉じる自動扉の音と共に、子供を背負った少女の姿は、街並みの灰色へと溶けていった。
 悪魔の微笑をたたえるゼロだけが、その後姿を見送っていた。
 静寂。
 シャーリーが消え、1人になって。
 ルルーシュを包むのは、完全なる沈黙。
 ただ静かに、たった1人で。
 誰もいないその場所に、佇む。
「――ルルーシュ!」
 ややあって、上から聞こえてくる少女の声。
 かつかつかつ、と足早に響く靴音。
 上の階を調べていたスバルが、騒ぎを聞きつけ降りてきたのだろう。
「さっきの大声、女の子がいたみたいだったけど……!?」
 近づいてくる声には答えない。
 振り返ることすらもしない。
 代わりに、ぽつりと呟く。
 独り言のような言葉を。
「……あの時から、俺はずっと探していた」
 そこにゼロの面影はなく。
「行動の責任を果たす、その術を」
 元のルルーシュの声があった。
 学生ルルーシュ・ランペルージの顔があった。
「ようやく見つけられたのかもしれない」
 沈痛な表情を浮かべながら。
 消え入るようなその声音で。
 ここにはいないシャーリーへと、囁く。
「君が俺に銃を向けるのなら……」
 これでよかったのだ。
 自分は彼女の心を破壊した。
 数多の人々の命を奪い、数多の憎しみをその身に受けた、仮面の魔王のやり方で。
 ルルーシュ・ランペルージに抱いた幻想を砕き、ゼロへの憎しみを募らせた。
 全てがはっきりとするように。

229 :守れないひと ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 18:25:06 ID:x2gB/sM5
「俺はそれを受け入れよう」
 世界の決断を委ねるために。
 今市街地のどこかへと消えた彼女は、ゼロの被害者の象徴とでも言うべき存在となった。
 ゼロによって殺された者。ゼロへ憎悪を抱く者。
 漆黒の仮面の革命家の犠牲となった、あらゆる人々の意志の代弁者へと変えた。
 この殺し合いが終わったその瞬間。
 守るべき者達を守り通し、平和な日常へと回帰した時、自分は彼女の決断を受け入れよう。
 彼女がゼロへの憎悪を選ぶのなら、自分はその銃弾の倒れよう。
 彼女がそれでもルルを許すのなら、自分は戦い続けるとしよう。
 シャーリーが目の前に立ちはだかった時、これが運命なのだと感じた。
 世界が彼女の姿を借りて、このルルーシュへ判決を下そうとしているのだと。
 ならば、君の答えは世界の答え。
 世界に受け入れられるか、弾き出されるか。
 どちらの答えであろうとも、俺は君の答えに従おう。
 故に。

「……君を守ることは、できない……」

 悲しげに呟いたその顔は、友の喪失への悲哀を宿す、1人の少年の顔だった。


【1日目 昼】
【現在地 G-7 デュエルアカデミア1階】

【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス 反目のスバル】
【状況】左腕に裂傷、右腕欠損、疲労(大)、強い決意、深い悲しみ
【装備】SIG P220(9/9)@リリカル・パニック、ブリタニア軍特派のインカム@コードギアス 反目のスバル、スバルのはちまき
【道具】洞爺湖@なの魂、支給品一式、小タル爆弾×2@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER、
    インテグラのライター@NANOSING、 救急箱、医薬品一式、メス×3、医療用鋏、ガムテープ、紐、おにぎり×3、
    ペットボトルの水、火炎瓶×4、ラウズカード(クラブのK)@魔法少女リリカルなのは マスカレード、
    ハイパーゼクター@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【思考】
 基本:守りたい者、守るべき者を全力で守り抜く
 1.このデスゲームから脱出した後で、シャーリーに自らの命の決断を仰ぎ、それに従う。
 2.シャーリー……俺は、君と一緒にはいられない……
 3.スバルを守るために、たとえ汚れ役を買って出てでも、スバルにとって最善と判断した行動を取る
 4.ディエチやカレンの犠牲は、絶対に無駄してはならない
 5.皆は反対するだろうが、もしもの時は相手を殺すことも辞さない。それだけは譲れない
 6.ギアスの制限を確かめたい
 7.戦力の確保及びプレシアの関係者を探す
 8.何処かで首輪を手に入れておきたい。
 9.C.C.、クアットロ、チンクと合流したい
 10.ゲーム終了時にはプレシアに報復する
 11.レイ、左腕が刃の男(=ナイブズ)、赤いコートの男(=アーカード)、殺し合いに乗った頭の切れる参加者を警戒
【備考】
 ・ギアスに何らかの制限がかかっている可能性に気付きました。また、ギアスのオンオフは可能になっています。
 ・ギアスの発動には、左目の強烈な痛みと脱力感が伴います。
 ・プラント自立種にはギアスが効かないことが確認されました。
 ・ギアスを使った際の疲労は命令の強さに比例すると考えています、同時にギアスが効かない参加者が他にも考えています。
 ・ブリタニア軍特派のインカムはディエチからもらった物です。
 ・こなたの世界に関する情報を知りました。もっとも、この殺し合いにおいて有益と思われる情報はありません。
 ・「左腕が刃の男」が、既に死亡したナイブズであることに気付いていません。
 ・ここにいるスバルを、“本物のスバル・ナカジマ”であると認めました。
 ・レッド・デーモンズ・ドラゴンは現状では使えない可能性が高いと考えています。
 ・「月村すずかの友人」からのメールを読みました。ご褒美の話をどう捉えているかは、後続の書き手さんにお任せします。
 ・「月村すずかの友人」は、フェイトかはやてのどちらかだと思っています。
 ・シャーリーが父の死を聞いた直後から来ていることに気付きました。

230 :守れないひと ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 18:28:03 ID:x2gB/sM5
【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】健康、若干の不安
【装備】レヴァンティン(待機形態)@魔法少女リリカルなのはA's、バリアジャケット(はちまきなし)
【道具】支給品一式、レギオンのアサルトライフル(100/100)@アンリミテッド・エンドライン、
    スバルの指環@コードギアス 反目のスバル
【思考】
 基本 殺し合いを止める、できる限り相手を殺さない、ルルーシュを守る
 1.ルルーシュ……何があったんだろう……
 2.ルルーシュに無茶はさせない、その為ならば……
 3.こなたを守る。こなたには絶対に戦闘をさせない
 4.アーカード(名前は知らない)を警戒、レイにも注意を払う
 5.六課のメンバーとの合流、かがみとつかさの保護、しかし自分やこなたの知る彼女達かどうかについては若干の疑問。
 6.もしも仲間が殺し合いに乗っていたとしたら……
【備考】
 ・こなたが高校生である事を知りました。
 ・質量兵器を使うことに不安を抱いています。
 ・パラレルワールドの可能性に行き当たり、自分は知らない自分を知る者達がいる事に気が付き、
  同時に自分が知る自分の知らない者達がいる可能性に気が付きました。
 ・参加者達が異なる時間軸から呼び出されている可能性に気付いていません。
 ・この場にいる2人のなのは、フェイト、はやての内片方、もしくは両方は並行世界の19歳(sts)のなのは達だと思っています。
  9歳(A's)のなのは達がいる可能性には気付いていません。
 ・仲間(特にキャロやフェイト)がご褒美に乗って殺し合いにのる可能性に気が付きました。
 ・自分の存在が、ルルーシュを心を傷付けているのではないかと思っています。
 ・ルルーシュが自分を守る為に人殺しも辞さない、及び命を捨てるつもりである事に気付いていますが、
  それを止める事は出来ないと考えています。 また、自分が死ねばルルーシュは殺し合いに乗ると思っています。
 ・「月村すずかの友人」からのメールを読みました。送り主はフェイトかはやてのどちらかだと思っています。
 ・シャーリーの大声を聞きましたが、それがシャーリーのものであることには気付いていません。
 ・自分に割り振られた調査エリアを調べ終えました。何かを見つけたか否かは、後続の書き手さんにお任せします。


【チーム:黒の騎士団】
【共通思考】
 基本:このゲームから脱出する。
 1.デュエルアカデミア内部を調べる。
 2.首輪解除の手段と、ハイパーゼクターを使用するためのベルトを探す。
 3.首輪を見つけた時には、機動六課か地上本部で解析する。
 3.それぞれの仲間と合流する。
【備考】
 ※それぞれが違う世界の出身であると気付きました。
 ※デュエルモンスターズのカードが武器として扱えることに気付きました。
 ※デュエルアカデミアにて情報交換を行いました。内容は[[守りたいもの]]本文参照。
 ※チーム内で、以下のの共通見解が生まれました。
 要救助者:シャーリー、ヴィヴィオ、十代、万丈目、明日香
      (ただし、万丈目には注意が必要)
 合流すべき戦力:なのは、フェイト、はやて、キャロ、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、ユーノ、クアットロ、チンク、C.C.
         (ただし、フェイト及びクアットロには注意が必要)
 危険人物:赤いコートとサングラスの男(=アーカード)、金髪で右腕が腐った男(=ナイブズ)
 以上の見解がそれぞれの名簿に、各々が分かるような形で書き込まれています。

231 :守れないひと ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 18:30:36 ID:x2gB/sM5
 ――何故、あんなことを言ったのだろう。
 何故、ルルは否定してくれなかったんだろう。
 何故、ルルは嘘だと言ってくれなかったんだろう。
 自分はゼロじゃないと。自分は君のお父さんを殺していないと。
 でも、ルルはそう言ってくれなかった。
 自分はゼロだと認めていた。
 あのゼロそのものの恐ろしい声で、あのゼロを思わせる恐ろしい笑顔で。
 自分が君のお父上を殺した、ゼロの正体なんだと言っていた。
 卑怯な言葉で嘲笑って。私の心をかき乱して。
 そうして、私はあそこから逃げ出した。
 ルルの顔を見ていられなかった。ルルの声を聞いていられなかった。
 ルルをゼロだと認めたくなかった。

 ねぇ、どうして?
 どうしてルルはあんなことを言ったの?
 いつもクールを気取ってるくせに、本当は妹思いの優しいお兄ちゃん。そんなルルはどこに行ってしまったの?
 私の初恋の男の子は、どこに消えてしまったの?

 分からない。
 分からないよ。

 ルルは今もそこにいるの?
 どこかに行ってしまったの?
 それとも最初からいなかったの?

 私は――ルルを憎んでいいの?

 このまま一番大好きな人を、憎いゼロだと認めていいの?

 このまま一番大事な人を、ゼロだと認めて殺していいの?

 ルルを憎みたくない。嫌いになりたくなんてない。
 でも私の心が、ゼロが憎いと叫んでる。ゼロが嫌いだと叫んでる。

 私は――

「……どうしたらいいの……ルル……!?」

232 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 18:34:01 ID:jz7cne2R


233 :守れないひと ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 18:34:04 ID:x2gB/sM5
【1日目 昼】
【現在地 G-7】

【シャーリー・フェネット@コードギアス 反目のスバル】
【状態】健康、深い悲しみと激しい混乱、ヴィヴィオを背負っている
【装備】浴衣、クラールヴィント@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ゼロの銃(10/10)@コードギアス 反目のスバル
【道具】支給品一式、デュエルアカデミア売店の鍵@リリカル遊戯王GX、ジェットエッジ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
 基本:みんなと一緒に帰りたい。
 1.ルルを――
 2.ルルやスバルや六課の人(中でもヴィヴィオの為に優先的にフェイト)を探す。
 3.もう1人いるなのはを探し、ヴィヴィオのママかどうかを確かめる。
 4.ヴィヴィオを守る。
【備考】
 ※六課がブリタニア軍の特殊部隊で、スバルはその一員だと考えています。ザフィーラを大型犬だと思っています。
 ※プレシアはブリタニアの偉い人で、この殺し合いを開いたのは六課や日本人及びその関係者を抹殺する為だと考えています。
 ※ヴィヴィオの境遇を自分と重ねています。
 ※ここには同姓同名の別人がいると思っており、放送で呼ばれたなのはが別人の可能性があると考えています。
 ※デュエルアカデミアを決闘の学校で物騒な所だと思っています
 ※ザフィーラが殺し合いに乗っているかもしれないと思っています。
 ※駅を調べ終えました。
  ガソリンスタンド、ホテル、映画館、デュエルアカデミア、病院をどのような道のりで調べるかは、まだ考えていません。
 ※ルルーシュ=ゼロだと気付きました。
 ※ルルーシュを殺すか許すかは、後続の書き手の方にお任せします。

【ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】疲労(大)、シャーリーへの心配、悲しみ、決意、浅倉に対する複雑な感情、シャーリーに背負われている
【装備】ヴィヴィオのぬいぐるみ@魔法少女リリカルなのはStrikerS、レークイヴェムゼンゼ@なのは×終わクロ
【道具】支給品一式
【思考】
 基本:フェイトママや六課の皆と一緒に脱出する。
 1.お姉さん……
 2.ヴィヴィオがんばる!
 3.天道お兄さんを助けたいけど、浅倉お兄さんは……?
 4.フェイトママを探す。
 5.ザフィーラ、どこに行ったんだろう?
【備考】
 ※浅倉の事は、襲い掛かって来た矢車(名前は知らない)から自分を救ってくれたヒーローだと思っています。
 ※浅倉を信頼(?)しており、矢車とエネル(名前は知らない)を危険視しています。
 ※キングのことは天道を助けてくれるいい人だと思っています。
 ※この場にもう1人なのはがいる事に気付いていません。

234 :守れないひと ◇9L.gxDzakI(代理投下):2009/03/31(火) 18:36:58 ID:x2gB/sM5
投下は以上です。どなたか代理投下よろしくお願いします。
なお、今回のSSですが、容量が48KBとなっているので、
Wiki編集の際には、「守りたいもの」を前編、「守れないひと」を後編としてください。



##########################################



代理投下完了致しました。

235 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 18:37:02 ID:jz7cne2R
 

236 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 20:45:23 ID:o3nsxX6i
投下乙でございます。
前編での黒の騎士団の戦力の安定化(レヴァンティンをスバルに持たせる&リインようやく登場)といい考察といい安定した流れで何よりです。
一方、後編でのシャーリーとの再会はある意味悲しい物でした……シャーリーはどうするんだろう……原作と違って誰かを撃ったわけじゃないから原作そのままの展開にはなるわけじゃないし……もしかするとルルマーダーになる可能性も……
それは良いがとりあえず後で天道には謝罪しとけよシャーリー、否定したにも拘わらず散々ゼロ扱いしやがったんだから……

それにしても、ある意味キングとしては涙目な展開だな(折角調べて壊そうとしたのに、その前に鉢合わせして壊れる(?)から)……いや、キング的にはこれもアリか


……と、安定して纏まっているけど次の放送で十代の名前呼ばれるんだよな……
レイの性格上優勝狙いに切り替え……いや、あのグループを下手に壊したりはしないし、ルルも警戒しているから大丈夫……じゃないな……

237 : ◆7pf62HiyTE :2009/03/31(火) 21:45:38 ID:hG7lbPme
天上院明日香分投下します。


238 :湯けむり旅情!夜天の書 ◆7pf62HiyTE :2009/03/31(火) 21:47:44 ID:hG7lbPme



B-7にある海鳴温泉、そこに天上院明日香が近付いていく。
彼女はチンク、ルーテシア・アルピーノ、ユーノ・スクライアと共にH-6にある病院に向かっていたが、ルーテシアと明日香の体力を考慮しチンクだけが先行する事になった。
その後、3人は後を追う形で病院に向かったものの突如光と風の暴流が襲ってきたのだ。幸い暴流についてはユーノがフェレットから突如人間の姿に変わり防御魔法を展開したことで防ぐことは出来た。
だがその後が問題だった。突如ルーテシアがユーノを刺し、明日香すらも襲おうとしたのだ。
明日香にとって最大の問題は人を殺そうとするにしてはルーテシアの感情が全く無かったことだ。
過去に明日香は危機的な状況に追い込まれた事が無いわけではない。だが、その相手は何れも何かしらの感情が存在していた……しかし、ルーテシアにはそれが無かったのだ。
勿論、それにはちゃんと理由はあるものの明日香にはそれは知り得ない事であり、またそれは問題ではない。その事は明日香を恐怖に陥れるには十分すぎた。故に彼女は逃げた。自身の命を守る為に……
そして走り続けてたどり着いた場所がB-7だったのだ。明日香はそこで逃げる時に持ち出した3つのデイパックの中身を確認した。
真っ先に目に付いたのはジュエルシードと夜天の書、長い間その2つを調べ続け、その後にバリアのマテリア等の残りの道具を確認し時間は過ぎていった。
普通に考えれば何時間もかかるものではない。しかし、先程の恐怖から落ち着くのには時間がかかったし、何故か明日香はジュエルシードと夜天の書からはなかなか目を離さなかったのだ。

そして、彼女は一度道具をデイパックに戻し地図を確認しながら温泉へと向かったのだ。

「随分遠くまで来てしまったわね……」

そんな明日香の耳に雷の音が聞こえてくる。

「こんなに晴れているのに……一雨来るのかしら……?」

なお、この雷はC-7にいた参加者の1人神・エネルによるものだがその事を明日香には知りようがない。そして明日香は温泉に辿り着き中へと入っていく。まず目に付いたのは玄関にあった血の痕だ。

「血……もしかして……」

その血を見て明日香の脳裏に先程の恐怖が蘇る。そしてこの温泉、もしくはこの近くでも殺し合いがあったのかと考え警戒しながらも明日香は中を探り始める。

ところで、温泉は中央から離れたB-7の森林の中という殺し合いを行うにしては人が集まりにくい位置に存在しているが約9時間経過した状況で既に数人の参加者が訪れている。

最初にここを訪れたのはシャーリー・フェネット、彼女はある理由でどうしても着替えをしなければならない事態に遭遇しここに訪れている。
次に訪れたのは天道総司、彼はある参加者に襲われ重傷を負いここに辿り着いた。明日香が先程見付けた血痕は彼のものである。
それから数時間後に訪れたのが浅倉威とヴィヴィオの2人、浅倉は戦いを求めてここを訪れ、ヴィヴィオは何故か彼をヒーローだと思って付いてきたのだ。
と、4人の参加者が集結したもののまず天道が温泉を去り、その後残る3人も天道を追い掛け温泉を去っていった。
それからまたも少し時間が経過し温泉を訪れたのはキングと気絶した天道。天道は温泉から移動した後気絶し、その天道をキングが拾ったのだ。なお、キングが温泉を訪れた理由は……

『……やっぱり、日本人といったら温泉だよね』

……念のために触れておくが、キングは日本人ではない。というより人間ですらない事をここで断っておく。
そんなキングと天道も明日香が訪れるほんの数分前に温泉を去っている。故に、今現在温泉にいるのは明日香だけである。
明日香は気付いていないがある意味ではこれは幸運と言えよう。
前述のキングの目的は『壊す』事である。それは仮面ライダーでもあり、この殺し合いでもあり、参加者の心でもある。
実際問題、参加者の1人であるキャロ・ル・ルシエが彼によって壊され殺し合いに乗ってしまった(他にも要因はあったが)。
厄介な事に彼の手には参加者の足跡を物語という形で収めてある『CROSS-NANOHA』へのリンクがある携帯電話がある。
つまり、これを駆使すれば幾らでも参加者を壊すことが出来るのだ。キングにとってはありがたい代物である。
が、結果として殺し合いを壊すどころか促進させる結果になっている為笑えない話となっているが。
ともかく、キングと遭遇したならば(近くにいる天道次第で避けられる可能性はあるが)明日香の精神も壊される可能性は十分にあった。故に彼と遭遇しなかったことは幸運であったと言えるのだ。
さて、明日香は中を慎重に探ったものの人がいる気配はない。

239 :湯けむり旅情!夜天の書 ◆7pf62HiyTE :2009/03/31(火) 21:48:48 ID:hG7lbPme

「誰かが調べたのは確かみたいだけど……」

だが、何者かが温泉施設を色々調べた痕跡は見付けられた。そして見付けたのが救急箱と血塗れのタオルである。中を調べると救急箱の中身が幾らか減っているのがわかる。

「多分、ここで応急処置をしたのね」

明日香の推測は当たっている。シャーリーが負傷した天道を見付けた後、彼女は医務室を探したが施設を探して見付けたのは救急箱だけで、その中身と温泉のタオルを使って天道の応急処置をしたのだ。
明日香は地図を広げる。温泉の近くには他に治療に使えそうな施設は全く無い。工場、スカリエッティのアジト、廃墟、駅、墓地、何れも治療には向かない施設だ。
なお、アジトなら治療は出来るだろうというのは実際に行った明日香自身わかるが、普通の参加者がそこで治療ができるとは考えないだろう。
良くて病院、保健室のある学校もしくはデュエルアカデミア、最低でも市街地まで行かなければ満足な処置は出来ないだろう。

「この怪我の様子から考えると下手に動かすとは思えないけど……」

応急処置の痕跡から負傷者の傷が深いのはわかる。となれば他に治療に使えそうな施設が近くにない以上、ここから移動する可能性は低い。にも関わらず、中には誰もいない。

「もしかしたら温泉に入っているのかしら? 入れると状態だとは思えないけど……」

明日香は救急箱を回収してまだ調べていない温泉の方へ向かった。まず調べるのは女湯、脱衣所を調べると1人分の服が置かれているのを見付ける。

「やっぱり誰かが……すみません、誰かいませんか?」

明日香は警戒しながらも風呂のドアを開ける。しかし誰1人いなかった。

「変ねえ……服があるから誰かいると思ったんだけど……」

再度脱衣所に戻り服を調べてみる。

「見た事の無い制服……何処の学校かしら?」

明日香が調べている制服はシャーリーのものである。なお、そこに置かれているのは制服だけではない。そう……

「これは……」

明日香は制服以外に置かれている下着を確認し、何故服だけが置かれているのかを理解した。なお、そこに何があったのかはシャーリーの尊厳に配慮し敢えてここでは語らない。

「相当に怖い思いをしたのね……」

そして、制服の持ち主である見知らぬ少女の心情を察した。

「洗濯してあげたほうがいいわね」

明日香は彼女の服を洗濯機に入れスイッチを入れた。正午ぐらいには乾くだろう。その後、(抵抗はあったが)男湯も調べたもののやはり誰かが入っている様子は無かった。

240 :湯けむり旅情!夜天の書 ◆7pf62HiyTE :2009/03/31(火) 21:49:49 ID:hG7lbPme



結局、温泉施設内に人を見付ける事は出来なかった。制服の持主が気になるものの浴衣を着ていったのだろうと考えることにした。
さて、一通り調べ終えた明日香は事務室に入る。ちなみに温泉といえば入浴する所ではあるが、今の明日香に入浴する余裕は全く無い為入浴する考えは至らない。
とはいえそれは当然の話だ、入浴するとなれば服を脱ぐ為無防備となる。この殺し合いの場に置いてそれが無謀なのはいうまでもない。大丈夫という確証があるか、そうしなければならない理由が無ければ普通は入らないだろう。
なお、明日香が他の客室等ではなく事務員室に入ったのには理由がある。人がいるかどうかを調べる時にも一度事務室を調べあるものを見付けたのだ。そして、全体を調べて安全がほぼ確認されてから詳しく調べようと考えたのだ。
それはパソコンである。パソコンの中に何か手がかりがあるのではないかと考えたのだ。
普通に考えれば温泉に何かあるという考えには至らない。明日香がこういう考えに至れたのはスカリエッティのアジトで探索した経験があったからだ。実際明日香もその時にもあるものを見付けている。
そして問題のパソコンを調べ始める。ちなみに過去にここを訪れた参加者は誰1人としてパソコンを調べてはいない。
シャーリーは天道を手当する事に夢中になっていたし、浅倉とヴィヴィオも事務室には行っていない。
天道については最初に来た時は重傷を負っていて更に浅倉も現れた為、調べられる状況ではなかったし、
二度目の時は目を覚ました後キングを待っていて、キングとの合流後すぐさま雷の主であるエネルを追う為に温泉を出た為やはり調べてはいない。
キングに至っては、まずは温泉を満喫し天道の所に戻った後は天道と共にエネルを追う為に温泉出た為これまた調べてはいない。
故に、明日香によって初めてパソコンの中身を調べられるのだ。
調べた所、メールの受信を示すアイコンが出ていた為、明日香はそれをクリックする。するとメールソフトが立ち上がり受信したメールが映し出される。

「受信時刻は6時半を過ぎたぐらいね……」

そのメールは八神はやてが6時半頃に図書館のパソコンを使って主要施設全てに送信されたメールである。もっとも、差出人は『月村すずかの友人』となっており、これだけでは誰が送ったのかはわからない。
勿論、『月村すずか』の人間関係を把握していればそれが『月村すずか』を知る者が送ったという事はわかるが、当然の事ながら明日香は『月村すずか』という人物を知らない為それがわかるわけがない。

「多分、仲間に伝わる様にメッセージを送ったんでしょうね」

だが、明日香は『月村すずかの友人』と名乗ったのは差出人がメールを見た仲間へ確実に情報を伝える為だと考えた。
本名(というより名簿に出ている名前)では名簿がある以上本物だとはわからないし、下手をすれば自分の位置が割れる可能性がある。
その為、自身の素性を味方だけに伝えるには仲間だけが知っているこの場ではさほど『重要ではない情報』を記す必要がある。
『重要ではない情報』というのは殺し合いの状況下においてはまず知らない者がそれを知る事はないからだ。故に仲間だけが知る情報と言えよう。
そして『月村すずか』は参加者の一部にとっては友人であったり、主の友人という風に重要な意味を持つ。しかし、その他の参加者にとっては知り得ない事だ。当然である、参加者でもない人物を詳しく知る必要など全く無い。
故に仲間内だけが知る情報が記されたメールは仲間へ確実に情報を伝える為に出されたと言えるのだ。
さて、前述の通り明日香は『月村すずかの友人』がどういう人物かを知らない。だが、仮に仲間に伝える事が目的をするならば何かしらの意味はあると明日香は考えた。故にその中身を確認する。
書かれている内容を要約すると『各施設仕掛け調査』、『地上本部の罠』、『キングへの警戒』、『放送内容の反覆』の4つだ。明日香はその真偽を1つ1つ確認する。

241 :湯けむり旅情!夜天の書 ◆7pf62HiyTE :2009/03/31(火) 21:51:48 ID:hG7lbPme
まず、『各施設の仕掛け調査』だ。要するに施設には何かしらの仕掛けがあるから調べてくれという事だがこれはまず信用出来る情報だろう。
何故なら、前述の通り明日香はスカリエッティのアジトを調べゾハナカプセルを発見した。つまり仕掛けもしくは何かしらの武器か道具を見付ける事の出来る可能性はあることを身をもって経験しているのだ。
もっとも、温泉の方には何も見付けられなかったが既に回収されたか無い施設もあるという程度の事だろう。
続いて『地上本部の罠』だか、地上本部には仲間を散り散りにさせる罠があると具体的に書いているという事から、差出人はその罠を実際に受けたのだろう。嘘にしてはあまりにも具体的過ぎるしわざわざ書いたりはしないのでこれも信用出来るだろう。
仮に嘘だとしても施設には罠があると警戒して困る事は無い為大した問題にはならないだろう。
『キングへの警戒』についてはこれまでの2つを踏まえて信用に値する情報だろう。キングがどういう人物かは明日香には知り得ないがこれも警戒するにこしたことはないと明日香は考えていた。
そして『放送内容の反復』である。要するに放送内容を思い出せというだけの話なので、信用する信用しないは最早関係ない話である。意図についてはわからないもののひとまずそれについて考えてみる。

「放送……まずは禁止エリアね」

明日香は地図を見て確認する。放送で指示された場所はB-1、D-3、H-4である。

「上手い具合に施設を避けているわね……ということは施設にはやはり何かあるということかしら?」

禁止エリアの配置から、メールにも出ていた施設にある仕掛けの存在の可能性が改めて裏付けられた事になる。

「今度は死んだ人の名前……」

続いて名簿を確認しながら死亡者を再確認する。といっても、それが何を意味しているかはわからないので深く考えても仕方ないので次に進む。

「後は……」

そして優勝者への御褒美の話だ。御丁寧に最初に首輪を爆破されて殺されたアリサ・バニングス復活劇を行った上で死者蘇生も出来ると示した上でだ。
御褒美の話によって先程まで同行していたルーテシアは自分達に襲いかかった。これまでは殺し合いに乗っていなかったにも拘わらずだ。
となれば、同じ様に殺し合いに乗る人物がいたっておかしくはない。何しろ既に13人もの死者がいる、その中には友人や仲間、家族だっているだろう。彼等を生き返らせる為に殺し合いに乗る可能性はある。
もしかしたら先程まで同行していたチンクも殺し合いに乗るかも知れない、死者の中には彼女の妹であるディエチがいたのだから。
もしかしたらフェイト達の中にも殺し合いに乗る者かいるかも知れない、死者の中にはなのはを含め彼女達の仲間がいたのだから。
もしかしたら未だ出会っていない参加者の中にもそういう人がいるかも知れない、ルーテシア同様叶えたい願いがある可能性はあるのだから。
ここまで考えて、放送を聞いた時の自分がいかに甘かったかを認識させられる。遊城十代、万丈目準、早乙女レイといった仲間が無事だったから安堵していたが、それで安堵していい話ではないのだ。
事実として少なくてもチンクの妹であるディエチは死んでいたし、ユーノの落ち込み様から考えユーノの仲間が死んだのは確実だ。それによって何かしらの影響が出ると考えて当然なのだ。変な話だが、ルーテシアのお陰でそれに気付けたのは皮肉な話と言えよう。

「……ちょっと待って、どうしてわざわざ思い出して考えさせる様に言ったのかしら?」

だが、ここで明日香の脳裏に疑問が浮かぶ、メールには放送内容を思い出して考えろとあった。つまり、放送内容を思い出すだけではなく何か考えろということを意味している。
つまり、放送内容から何かを考える事こそが重要では無いだろうか?だが、何故わざわざ考えさせるのか?

「あの放送には何かあるというの……?」

明日香は重要なのは御褒美の話だと考えた。御褒美の話が殺し合いを促進させる為のものであるのはすぐに解る、問題はその先だ。
普通は御褒美の話を鵜呑みにし、憤りを感じるか、甘い話に乗って殺し合いに乗るか、それでも殺し合いに乗らないかだろう、すぐさまそこについて考えたりはしない。だが、そこで敢えて考えろという事は何かあるという事なのだ。

「やっぱりあれかしら……」

242 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 21:51:49 ID:jz7cne2R
 

243 :湯けむり旅情!夜天の書 ◆7pf62HiyTE :2009/03/31(火) 21:52:50 ID:hG7lbPme

明日香が気にしたのはアリサの復活劇である。ちなみに明日香自身は放送の時はソリッド・ビジョンという立体映像技術を使ったトリックだと早々に結論付けている。
なお、ソリッド・ビジョンというのは明日香達の世界においてカードゲームデュエルモンスターズの決闘時にデュエルディスクを通じてモンスター等を映し出す技術である。当然、明日香達の世界の人々にとっては常識とも言える技術だ。
勿論、デュエルモンスターズをよく知らないなのは達が見ればトリックに気付かず復活劇を鵜呑みにしても不思議はない。

「待って……」

ここで明日香はある事に気が付く。それはあの復活劇が本当にソリッド・ビジョンだったのかという問題である。
誤解しないで欲しいのは明日香はソリッド・ビジョンである事を否定したわけではない。重要なのは別の可能性があるのではないかという事だ。
明日香の脳裏にこの殺し合いに連れて来られる前の事がよぎる……そもそも、明日香は殺し合いに連れて来られる前から超常現象に遭遇していた。
明日香達のいた異世界ではデュエルモンスターズのモンスターや精霊が実体化していた。勿論ソリッド・ビジョンではないのは明日香自身もわかっている。
つまり、あの復活劇もソリッド・ビジョンではなく現実に復活した可能性があるということだ。

「じゃああれは本物なのかしら……あれ、確か……」

明日香は重要な事を思いだした。今回の一件のきっかけとなった時の事だ。
明日香達は異世界に飛ばされる前、プロフェッサー・コブラによってデス・デュエルを強要されていた。そのデス・デュエルによってアカデミアの生徒達が倒れるという異常事態が発生した。
十代達はデス・デュエルを止める為にコブラの所に向かった。そしてそこでコブラがデス・デュエルで集めた闘気等で邪悪な精霊の力を借り彼の亡くした子供を生き返らせようとしているのを知った。

「でも確か……」

結論から言えば邪悪な精霊はコブラの子供を生き返らせはしなかった。コブラには何かの幻を見せてコブラはそのまま下に落ち行方不明となった。そしてそのままアカデミア毎十代達も異世界に飛ばされたのである。

「つまり……仮にそれが本当だとしても……」

その時の事を踏まえれば仮に復活劇が本物であっても必ずしも願いを叶えるとは限らないということである。
と、ここで今更ながらにデスベルトが無くなっている事に気が付く。デスベルトはデス・デュエルの時に付けられた物でデュエルを通じデュエリストから体力や闘気を吸い取る物だ。
ちなみに異世界に飛ばされても外れる事は無かった為、明日香達を悩ませた代物である。

「似ているわ。あの時と状況が……」

そして気付く、この殺し合いとデス・デュエルが似ている事に。デス・ベルトと首輪が同じ様な役割をしていると考えられるからだ。首輪が殺し合いを通じて何かを蒐集している可能性はあると言えよう。

「だとしたらプレシアの目的は……誰かを生き返らせる事?」

となれば、主催者であるプレシア・テスタロッサの目的も見えてくる。
デス・デュエルと似ているのであればコブラに当たるのがプレシアであり、コブラの目的を踏まえればプレシアの目的も似たものである可能性はある。恐らく優勝者への御褒美はその副産物といった所だろう。
そうなると、プレシアの背後にはもしかしたらコブラ同様邪悪な精霊、もしくはそれに準ずる者がいる可能性は多分にある。

「でも待って、それならあの復活は何かのトリックじゃないのかしら?」

だが、仮に誰か復活が目的ならば放送時点での復活は嘘となる。何しろ復活出来るのならば、パフォーマンスの為にわざわざに使わず普通にプレシアの生き返らせたい人を生き返らせればいい。
とはいえ、現時点ではプレシアの目的も仮説に過ぎず、背後に誰かいるのも可能性程度の事で、復活劇がトリックかどうかも不明なので、何一つ断定する事は出来ない為これ以上はひとまず考えない。

244 :湯けむり旅情!夜天の書 ◆7pf62HiyTE :2009/03/31(火) 21:54:06 ID:hG7lbPme

ここまでの事を纏めると以下の様になる。

●復活劇……トリックの可能性はあるが本物の可能性もある。但しプレシアの目的が誰かの復活なら復活劇は嘘。
●プレシアの目的……誰かの復活、だがこれも可能性に過ぎない。しかし復活が目的なら放送での復活劇は嘘。
●この殺し合い……デス・デュエルに似ている。似ているだけかもしれないし、関係があるかも知れない。
●プレシアの背後……コブラ同様邪悪な精霊がいる可能性がある。だが、実際にいてそいつの力を借りる事が目的ならプレシアの願いや優勝者の願いも叶わない可能性がある。勿論、何もいない可能性もある。

「結局、はっきりした事は何もわからないわね……」

ここで明日香はメールの差出人の視点から考えてみる。メールの差出人はわざわざ放送内容から考察する様にし向けたという事はメールの差出人も放送から何かを考えたのだろう。
だが、その内容を記さなかったのはどういう事だろうか?重要な事が解ったのならば仲間に伝えるべきでは無かったのか?
考えられる可能性は2つ、考えたけど答えは出なかったか……

「答えは出たけど、伝えられない理由……!」

明日香はその理由に気付いた。幾ら仲間に伝わる様にし向けているとは言え、誰が見るかわからないメール、更に言えばもしかしたらプレシアに監視されている可能性もあるだろう。その状況で重要なヒントを安易送るのは危険極まりないのは明白だ。

「もしかしたら、メールを出した人は何かを掴んでいるのかも知れないわね」

やはり断言出来ないがメールの差出人も放送から何か重要な事実に気付いた可能性はある。

「待って、メールを出した人がコブラの事を知っているとは限らないわ……だとしたら」

明日香の出した仮説はデス・デュエルやデュエルモンスターズの経験から導き出されたものだ。だが、メールの差出人がその事を知っているとは限らない。となれば、違う視点から何かを考えたという事だろう。
勿論、明日香の出した仮説が間違っているとは限らないが、メールの差出人の仮説の方がが正しい可能性はある。どちらにせよ、真相を掴む為にはメールの差出人と接触した方が良いだろうと考えた。
放送についての考えを纏めた明日香は地図を広げる。放送の事とは別に気になった事があったのだ。

「どうしてここにデュエルアカデミアがあるのかしら……」

それは舞台にデュエルアカデミアが混在している事だ。そしてデュエルアカデミアは明日香達デュエリストの学校である。
しかし、デュエルアカデミアは元々小さな島の上に建っており市街地の真っ直中に建っているはずがない。それ以前に、今現在は異世界の砂漠に転移しているはずなのでそこから考えてもこの場所にあるのはおかしいことになる。
とはいえ、それ自体はプレシアが自分達同様転移させたと考えれば納得出来る事なのでそれは大した問題ではない。

「もしかして……色々な所から色々な施設を持ってきたのかしら……何の為に?」

気になったのは聞き慣れない施設である黒の騎士団専用車両やHELLSING本部、そして聖王のゆりかご等が9km四方のエリアに集中している事である。
さして広くもないエリアにこれだけの異質な施設が集中しているのはどう考えても妙だろう(他の参加者から見ればデュエルアカデミアも十分異質なのだが明日香はそれには気付いていない)。
となると、これらの施設もプレシアが転移させたと考えた方が良い。しかしそうなるとやはり奇妙である。

「どうしてわざわざ脱出に使えそうな施設まで持ってきたのかしら?」

チンクから聞いた所、聖王のゆりかごは脱出に使えるという話だった。だが、プレシアが殺し合いを望んでいるのならば何故わざわざ殺し合いを瓦解させる可能性のある施設を持ってくるのは不自然だろう。
とはいえ、これもはっきりとした理由は解らない為、ひとまず頭に置いておくだけでいいだろう。

245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 21:54:14 ID:jz7cne2R
 

246 :湯けむり旅情!夜天の書 ◆7pf62HiyTE :2009/03/31(火) 21:54:56 ID:hG7lbPme
ところで、明日香本人は気付いていない物の実はもう1つ奇妙な事態がある。
明日香はルーテシアから逃げる際南方向へ逃げている。しかし、今現在いる場所はその場所より北の場所である。そう、南端から北端へワープした上で温泉近くまで逃げたのだ。
だが、前述の通り明日香はルーテシアへの恐怖があった為逃げた方向、逃げる途中に見た詳しい施設、更には走った距離等殆ど解らない。その為、普通に北方向に逃げて温泉の近くまで来たと思っている。
とはいえそれは仕方ないだろう。北ルートも南ルートも距離は違うがどちらも市街地を通り森林を経由して温泉にたどり着くのだから。
恐怖により冷静な判断の出来なかった明日香がそれに気が付かないのも不思議はない。
だが、仮にそれに気付いていたならば今後の行動についての重要なヒントになり得たかもしれなかっただろうが……。



そして、この後どうするかを考える。とりあえずもう少し休んでおきたいし洗濯中の制服もあるし、制服の持ち主が戻ってくる可能性もあるのでこのまま次の放送までは温泉に留まってもいいだろう。
なお、制服については持ち主が困っている可能性があるので出来れば渡したいが、持っていくか温泉に置いておくかは正直決めかねている。
問題はその後だ、やるべき事は幾つかある。1つはメールの差出人である『月村すずかの友人』との接触である。その人物と情報交換を行えば殺し合いを止める手だてが見えてくるはずだ。
ちなみにメールへの返信を行うつもりは全く無い。差出人が同じ所にいる保証がない為確実に届くとは限らないし、他の参加者に見られる可能性がある以上下手にこちらの手の内を明かすのは危険だからだ。
もう1つは聖王のゆりかごの確保……情報源がチンクであるため過度な信頼こそしていないものの、現状では唯一脱出に使えそうな手段という事もあり全く無視して良い話ではない。
とはいえ、メールの差出人が何処にいるのかわからないし、聖王のゆりかごについても遠い場所にあり、チンクの話ではヴィヴィオとレリックが必要なので現状では優先する必要は無いだろう。
明日香が考えたのは比較的近くのB-8にある工場の探索である。場所的にも市街地からだいぶ離れており舞台の端にある為参加者の寄りつかない場所だろう。となれば、未だ手つかずの可能性が高い、中の調査をしておきたい所である。

その一方、彼女自身の仲間である十代、万丈目、レイとの合流については……正直、明日香自身迷っていた。結論から言おう、今の明日香は万丈目とレイが絶対に殺し合いに乗らないと信じ切れないでいる。
少なくともルーテシアに襲われる前までは絶対に2人とも殺し合いには乗らないと思っていた。だが、ルーテシアに襲われた事により恐怖し、更に自分の認識の甘さを思い知った今の明日香はそう思えないでいる。
レイについて見てみよう。レイは十代に好意を持っているはずだ。だが、もしこの殺し合いの現状を知ったらレイはどう動く? 恐らく十代を守る為に十代を優勝させる為他の参加者を殺す可能性はある。
もしかしたら既に参加者の誰かがレイによって殺されているかも知れない。可能性にしか過ぎないが、本当にそうだとしたら合流するというわけにはいかないだろう。正直な話十代への強い想いがあるレイを止められる自信はない。
万丈目についてはどうだろう? 万丈目の場合は昔はともかく今の彼が殺し合いに乗るとは思っていない。それ故、当初はチンクの話を全く信じていなかった。
だが、冷静に考えてみればチンクの話が嘘や間違いだという何故断言出来る? 実際チンクは重傷を負っていたわけだから襲われた事が嘘や間違いという事は無いはずだ。
では、その人物像についてはどうだろうか?チンクは明日香にはこう説明している。

『黒い、コートに……黒髪の……おと、こ……――』

おわかりだろうか? 外見の特徴しか話していないし万丈目の名前すら出ていない。チンクは万丈目の名前すら知らないのだから当然の事だ。

247 :湯けむり旅情!夜天の書 ◆7pf62HiyTE :2009/03/31(火) 21:55:48 ID:hG7lbPme
更に言えばチンクはこの時点では明日香の人間関係を一切把握していない。ちなみに明日香はチンクを信用していない為、今現在もチンクは明日香の人間関係は知らないはずなのだ。当然、万丈目の名前や外見も聞かされていない。
冷静に考えてみよう、チンクは実際に負傷しており下手をすれば死ぬ危険もある状況だった。
そんな彼女が初めて出会った人物に危険人物の特徴を教える際に、嘘を吐く必要が何処にある?見間違いはあっても嘘を吐くメリットなど殆ど無いだろう。
例えば、出会った相手が万丈目の知り合いだと解っている。もしくはチンクと敵対している人物ならば信用させる為に多少の嘘を仕込む必要はあるだろうが、詳しい事のわからない一般人に対しわざわざ嘘を吐く必要は全く無い。
だが現実には明日香自身チンクの言葉ですぐさまその人物が万丈目だと連想してしまった為、万丈目がそんな事をするはずないとチンクの言葉を嘘か間違いだと決めつけてしまったのだ。
では、今はどうだろう?確かに今の時点でも間違いや嘘の可能性はあるが断定は出来ない。そう……明日香は万丈目がチンクを襲った可能性があると考えているのだ。
ここで少し話は脱線するが仮にチンクが出会ったのが明日香ではなく十代やレイだったらどういう反応しただろうか? 結論から言えば2人ともチンクの言葉を信用した可能性は非情に高い。万丈目の性格を知っていたとしてもだ。
実は明日香達がいた異世界では厄介な事態が発生していた。それは正気を失いデュエルもしくは戦いだけを求めるデュエルゾンビが現れた事だ。
そして万丈目、フェイト・T・ハラオウン、エリオ・モンディアルもまたそのデュエルゾンビになったのだ。つまり、十代とレイならばこの3人が他の参加者を襲ったと言われても何の疑問も持たないのである。
では、何故明日香は万丈目をデュエルゾンビになっているとは考えなかったのか?
理由は至極単純である。明日香はデュエルゾンビが発生する前から連れて、十代とレイはデュエルゾンビが発生した後から連れて来られたからだ。
ちなみに万丈目についてもこれまでデュエルゾンビについて一切言及していない為、これまたデュエルゾンビが発生する前から連れて来られていることがわかる。
デュエルゾンビを知らなければ当然デュエルゾンビになっていると考えるわけがない。故に明日香は万丈目が襲った事については信じていなかったのである。
本題に戻ろう、デュエルゾンビの存在は知らないものの先程も述べた通り今の明日香は万丈目がチンクを襲った可能性があると考えている。考えられる状況は2つ。
1つはチンクに襲われた万丈目は自分の身を守る為にチンクを返り討ちにした。チンクが危険人物である可能性があると考えている明日香にしてみればそれは十分にあり得る事だ。
もう1つは万丈目は何故か正気を失いチンクを襲って重傷を負わせた。こちらの方は今まで全く考えていなかったが、今はその可能性も考えている。
その仮説を現実のものとするのが支給品だ。明日香自身ユーノから危険な支給品の存在を聞かされている。仮にそれが万丈目に支給されていたならば可能性は十分に出てくる。
できればそうでないと信じたかったが、今の明日香にはそれを信じ切る事が出来ない。故に万丈目とレイすらも完全に信用出来る相手ではなくなったのだ。
勿論、フェイト達についても同じ事が言える。御褒美の甘い言葉に釣られて殺し合いに乗った可能性がある以上信用する事は出来ないだろう。
恐らく信用出来る相手は放送後にメールを送った『月村すずかの友人』と名乗った人物と制服の持ち主ぐらいだろう。その人物は恐らく殺し合いには乗っていないはずだ。
いや、もう1人いた。明日香は十代に関してはどんな状況に陥っても殺し合いには乗らないと確信していた。きっと十代なら大丈夫だと心の何処かで思っていたのだろう。



明日香はデイパックから道具を取り出し今一度確認する。
まず取り出したのはゾハナカプセル、ゾハナが何を意味しているのかは未だに解らないが毒薬の類だと解釈する事にした。とはいえ、殺し合いに乗るつもりのない明日香にしてみれば現状必要の無いものだ。
続いてバリアのマテリア、説明書によると全ての魔法を反射するらしいが使えるかどうかもわからないし使えたとしても何処までアテにできるかはわからない。
そして問題となるのは夜天の書とジュエルシードである。ユーノから聞いた話ではどちらも強大な力を持つ反面、非情に危険な物だと聞かされている。普通に考えればこれも明日香が使うべき道具ではない。

248 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 21:55:53 ID:jz7cne2R
 

249 :湯けむり旅情!夜天の書 ◆7pf62HiyTE :2009/03/31(火) 21:57:19 ID:hG7lbPme

だが、明日香はジュエルシードと夜天の書を使おうかと考えている。

先に述べた通り、ジュエルシードと夜天の書を長い間見ていて温泉への到着が遅れた事からもそれは明らかだ。
何故か? 非情に簡単な理由である。力が無ければルーテシアの様な危険人物から仲間や自分を守る事は出来ないからだ。仲間と合流出来ればまだいいが、フェイト達や万丈目達が殺し合いに乗っている可能性がある以上それを信じ切る事は出来ない。
当然、そんな彼女達に2つの道具を渡すわけにはいかない。ならば、明日香自身がやるしかないだろう。
しかし、正直な所迷っているのも本音だ。迷う理由は彼女がデュエリストだからだろう。強力なカードを手に入れれば必ずしも強くなるわけではない。その事を理解している明日香が安易に強力な2つの道具を使ったりはしないのは当然の事だ。
温泉に行く前にずっと2つの道具を見たり調べたりするだけで使おうとはしなかったのもそういう理由からだ。勿論、近くに危険な参加者がいなかったからというのもあるが。
とはいえ、完全に信用出来る仲間が無く、危険人物がひしめく状況だ。何かのきっかけがあれば使ってしまう可能性は多分にある。例えば、今ここにルーテシアの様な危険人物が現れればきっと使ってしまうだろう。
上手く暴走しなければそれでもいいが、暴走したら取り返しがつかなくなるのは明白だ。何が起こるのかは誰にも予想する事は出来ない。

「どうしたらいいのかしら……」

気が付けば時刻は10時を過ぎていた。明日香が温泉近くでジュエルシードと夜天の書を眺め始めたから3時間以上経過したが未だ明日香は迷っていた。





さて、温泉といえば過去に十代はセブンスターズとの過酷な戦いで精神的に追いつめられた事があった。しかし温泉に行った時にカイバーマンと出会い、彼と決闘をした事で決闘の楽しさを取り戻した。
だがそんな都合の良い話など早々起こりえない。明日香は温泉にいてもなお迷いを断ち切れないでいた。





ところで、今現在十代達はどうしているのだろうか?
当然明日香は知らないものの『この時点では』十代はある少女と行動を共にしてい『た』。ちなみにその少女には奇しくもカイバーマンの持つ『青眼の白龍』が支給されていた。
その一方、レイはデュエルアカデミアにて今現在その少女の友人と行動を共にしている。
そして、万丈目は『少し前までは』その少女の双子の姉と行動を共にしていた。
全くの偶然ではあったが、明日香を除くデュエルアカデミアの仲間はそれぞれ少女、その姉や友人と遭遇していたのである。





そして、残酷な現実が待ち受けている事を明日香達は知らない。





今より1時間と少し後、その十代が命を落とす事になる。

250 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 21:57:48 ID:jz7cne2R
 

251 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 21:59:55 ID:jz7cne2R
 

252 :湯けむり旅情!夜天の書 ◆7pf62HiyTE :2009/03/31(火) 22:03:21 ID:hG7lbPme





十代が死んだ原因は飛び降り自殺しようとした少女を止める際の事故によるものだ、ある意味ではその少女が殺したと言えよう。
実は十代も明日香と同じ様にメールを確認し彼なりに情報を纏めていた。しかし、十代の死後その少女はその情報から安易に御褒美の為に優勝しようと考えてしまったのだ。完全に十代の行動は裏目に出てしまったと言える。
これだけでも十分残酷な話だがまだ終わりではない。
今よりほんの30分ぐらい前、万丈目がその少女の姉を不本意ながらも死に追い込ませようとした事があった。少女の姉はそれがきっかけとなり殺し合いに乗り、万丈目は罪悪感から逃げ出した。
そして今現在もレイと少女の友人がデュエルアカデミアで行動を共にしている。少なくとも今の所不穏な動きは見られないが……





十代の死、そして実質的に殺したのがその少女だと知れば一体彼女達はどうなってしまうのだろうか?





十代を守ろうとしていたレイはどうするのか?
逃げる際に十代の声が聞こえたと感じた万丈目は再び立ち上がれるのだろうか?
少女が人を殺したとしたら少女の友達はどう思うのだろうか?





そして、明日香が十代の死を知り、レイや万丈目が十代の死等で豹変しても尚も冷静で居続けられるだろうか?それは誰にもわからない。だが……





少なくても、次の放送で十代の名前が呼ばれる事だけは確定している。





―――その瞬間まで後2時間弱―――

253 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 22:06:56 ID:jz7cne2R
 

254 :湯けむり旅情!夜天の書 ◆7pf62HiyTE :2009/03/31(火) 22:09:30 ID:hG7lbPme





【1日目 昼】
【現在地 B-7 温泉(海鳴温泉)事務室】
【天上院明日香@リリカル遊戯王GX】
【状態】健康、疲労(小)、チンクへの疑念、ルーテシアへの恐怖心、仲間に対する不信感
【装備】ガオーブレス(ウィルナイフ無し)@フェレットゾンダー出現!
【道具】支給品一式×3、ジュエルシード@魔法少女リリカルなのは、夜天の書@魔法少女リリカルなのはStrikerS、
    バリアのマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、トバルカインのトランプ@NANOSING、ゾナハカプセル@なのは×錬金、救急箱
【思考】
 基本:殺し合いには乗らない。仲間達と合流してプレシアを打倒する。
 1.放送まで休む
 2.放送後、工場に向かう。
 3.『月村すずかの友人』と名乗る人物との接触及び情報交換。
 4.制服(シャーリー)はどうしよう、置いておくべきか、直接持っていって渡すべきか?
 5.仲間達と合流したいが……
 6.ジュエルシードは――
 7.ルーテシアには会いたくない。
 8.ゾナハ……って毒薬?
【備考】
※参戦時期は少なくてもデュエルゾンビが出現する前、つまり第五話冒頭より前からです。
※転移魔法が制限されている可能性に気付きました。
※万丈目にバクラが取り憑いている事を知りません。
※チンクの「万丈目に襲われた」という情報を完全に信用しているわけではありませんが真実の可能性もあると考えています。
※十代以外の仲間は殺し合いに乗る可能性があると考えています。完全に信頼出来る参加者は十代、『月村すずかの友人』(はやて(sts))、制服の持ち主(シャーリー)だけだと考えています。
※トバルカインのトランプが武器として使える事に気付いていません。
※ユーノの本当の姿はフェレットであり、ルーテシアに殺されたと思っています。
※I-7からA-7にループした事に気付いていません。
※明日香がジュエルシードをどうするかは後続の書き手にお任せします。
※この殺し合いがデス・デュエルに酷似しており、首輪を介して何かを蒐集している可能性があると考えています。
※プレシアの目的が誰かの復活である可能性があると考えています。仮にそうなら放送での復活劇は嘘だと考えています。そうでなければどちらの可能性もあると思っています。
※プレシアの背後にコブラ同様邪悪な精霊(=ユベル)がいる可能性を考えています。但し、実際にいるならばプレシアや優勝者の願いが叶わない可能性がいると考えています。

【全体備考】
※シャーリーの制服と下着は現在洗濯中です、正午頃には使えます。

255 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 22:09:52 ID:jz7cne2R
 

256 : ◆7pf62HiyTE :2009/03/31(火) 22:11:20 ID:hG7lbPme
投下完了致しました。今回のサブタイトルの元ネタはTURN-34『湯けむり旅情!青眼の白龍』からです。

うん、サブタイトルの割に思いっきり暗い話です。ちなみに、基本的な話自体は例の十代退場回投下前から出来ていました、読めば解るけどメインは別の所にありますからね。
……というか十代の退場で本当に明日香もヤバイくなるなぁ……本当にジュエルシード暴走させかねないぞ(遠い目)

つか、明日香が信頼出来そうな人間みんなOUTじゃん。

十代→退場致しました。
『月村すずかの友人』ことはやて(sts)→真っ黒でしかも最重要危険人物セフィロス接近中。
制服の持ち主ことシャーリー→ルル=ゼロ知って精神的にヤバイ

……最悪だ。

257 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 23:02:51 ID:5Se0VQXs
投下乙です
ルルーシュとシャーリーが見ていて辛い。スバルはこのことを知らないが何時か知ることになるのか?
こなたは良くも悪くもマイペースだがレイは……

明日香は明日香で考察が進んだと思ったら不信状態で仲間といえる存在が死んだり黒かったりどうしようもないなw
プレシアが生き返らせられない可能性や夜天の書がキーになりそうだけど本人がこれでは

お二人ともGJです

258 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 23:25:26 ID:jz7cne2R
お二方投下乙です

>守りたいもの/守れないひと
うわあ、とうとうシャーリーがルルーシュの正体を知ってしまった!!!
シャーリーもわざわざ前倒しにしてアカデミアに来たばっかりに…でもいつかは知る事だからなあ、今知って幸せか不幸か。
あ、スバルwいくらなんでもなのはさんのこと低く見過ぎていないかw
それとリインwwwアギトは起きて色々様子見していたのにお前と来たらwww

>湯けむり旅情!夜天の書
お、明日香は落ち着いた…とは言い難いが、まあ前話の引きから見たら遥かにマシな状態か?
こちらもメールをチャックしたが、今の時点で分かる事ってこれぐらいだよなあ。
なんか人間不信が進んでいるような…マジで放送後が心配だ、近くに誰もいねえ。
改めて見るとGXメンバーとらきすたメンバーって浅からぬ縁でもあるのか?

259 :sage:2009/03/31(火) 23:32:11 ID:WgchNhcT
大丈夫だユーノが役得にあいながら生きている。お仕置き中だけどな。

260 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/01(水) 01:55:19 ID:0237WEsc
しかし、ギアスが無駄に使われたな
こなたに『忘れたことを思い出せ』って命令してれば、一気に優位に立てた可能性もあるのに

261 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/01(水) 09:31:55 ID:ZncRKOYk
というか、こなたのギアスは柊姉妹に偽者扱いされる伏線なのか

262 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/01(水) 11:40:54 ID:KRczqUF1
>>260
本人に実現不可能な命令は無効になるんだぞ?
さすがにプレシアの制限掻い潜って、全部思い出すのは無理だと思うが

263 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/01(水) 15:08:28 ID:Anuzv+CB
>>260
そうか?本編の壁に毎日傷を刻めって言うギアスと同じ
実験用のギアスだと思うけど

264 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/01(水) 22:58:55 ID:0237WEsc
>>262-263
こなたのオタ知識封印は、解除される可能性のある制限だし
現時点で緊急に必要というわけではなく、こなたである必然もない実験よりは、やる価値はあったと思うが
まあ既に終わってしまったことだが

265 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/02(木) 16:35:03 ID:E1bcgmcU
とりあえずそれやるならこなたがルルーシュにオタ知識話してること前提だから無理だろ

266 :R-0109 ◆eVB8arcato :2009/04/05(日) 23:49:47 ID:tVG8cN45
どうも、こんばんは。
「バトルロワイアルパロディ企画スレ交流雑談所(以下交流所)」の方でラジオをしているR-0109と申します。
現在、交流所のほうで「第二回パロロワ企画巡回ラジオツアー」というのをやっていまして。
そこで来る4/11(土)の21:00から、ここを題材にラジオをさせて頂きたいのですが宜しいでしょうか?

ラジオのアドレスと実況スレッドのアドレスは当日にこのスレに貼らせて頂きます。

交流所を知らない人のために交流所のアドレスも張っておきます。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8882/1229832704/ (したらば)
ttp://www11.atwiki.jp/row/pages/49.html (日程表等)

267 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/05(日) 23:56:58 ID:Df5Jk2lv
おお、ラジオとな!
来週か、期待して待機だw

268 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/08(水) 22:53:21 ID:JarmLCrs
日陰スレ乙

269 : ◆HlLdWe.oBM :2009/04/11(土) 00:06:52 ID:XQ/LKbQy
キャロ・ル・ルシエ、フェイト・T・ハラオウン(A's)で投下します。

270 :今は小さく頼りないこの手も ◆HlLdWe.oBM :2009/04/11(土) 00:08:05 ID:XQ/LKbQy
時空管理局地上本部という建物は元々時空管理局内に置いてミッドチルダの地上を担当する部隊の本部である。
中央の超高層タワーとその周囲のやや低い数本のタワーから成る建築構造をしていて、中央タワーの最上階は展望台にもなっている。
防御システムも万全であり、まさに陸の総本山と言っても過言ではない立派な建物である。
そのミッドチルダにあるはずの地上本部がなぜ何処とも知れないこの場所にあるのかは定かではない。
どこかの世界から建物ごと転移させてきたのか、あるいは地上本部そのものをコピーした物なのか。
今はまだ誰も知る事はない。

そして今その最上階の展望台には一人の少女がいる。

春の麗らかな桜を思わせる桃色の髪にまだあどけなさが残る幼く可愛らしい顔立ち。
少女の性格を表すような控え目な胸や尻などといった未だ発育途中だが将来を期待させる女性としての身体。
それを包むのはこの地上本部の精鋭に相応しい茶色を基調とした陸士制服。
だが陸士制服に身を包んでいるが、この少女の所属はミッドチルダの地上を守る誇り高い『陸』の部隊ではない。
彼女――キャロ・ル・ルシエの所属は古代遺物管理部機動六課という新設の実験的な地上部隊である。
ちなみに先程まで持っていた大鎌スケィスは目立つと思って待機モードの宝玉にしている。

ちなみにキャロはこの地上本部は偽物だと思っている。
キャロがそう思った理由は最上階に来る途中で立ち寄った一室。
その部屋に掲げられていたプレートに刻まれていた名前が判断材料だった。
そこに刻まれていた名前は「レジアス・ゲイズ」、そしてその部屋の内装は実に綺麗なものだった。
キャロが知る限りレジアスはゆりかご攻防戦の折にスカリエッティのスパイによって殺されている。
しかもその際に部屋では小規模な戦闘が起きて内装がいささか乱れたらしい。
だが立ち寄った部屋はまるでレジアス殺害などなかったかのような様子だった。
だからキャロはこの地上本部は偽物だと思うようになったのだ。

寧ろここにある施設は全て偽物だとさえキャロは考えていた。

そもそもこの会場は少々不自然である。
この地上本部以外にも機動六課隊舎やホテル・アグスタなどのキャロ自身と馴染みのある場所。
さらにDevil May CryやデュエルアカデミアやHELLSING本部などの未知の特殊な施設。
それに病院や工場や学校などの一般的な施設。
本来ならこのような地域にこれらの施設が全て集まっている事などありえない。
どうも様々な施設を雑多に詰め込んでいるといった印象を受ける場所だった。
なぜプレシアがわざわざこの場所に様々な施設を集めたのかは定かではない。

どれだけ考えても答えは出そうになかったので既にキャロはこの疑問について考えるのをやめている。
その代わり、今キャロは新たな発見に頭を悩ませていた。

「うーん、『魔力を込めれば対象者の望んだ場所にワープできます』か」

それは床に描かれた転移魔法と思しき魔法陣の存在であった。

発端はクアットロが逃げた事でしばらく休憩しようとしたところに遡る。
キャロが休憩の場所として選んだのは周囲の様子が一望できる最上階の展望台だった。
最上階の途中で一階のロビーで確認しておいたレジアスの部屋に立ち寄ったが、先の通り綺麗なままの状態だった。
そこに立ち寄った理由はおそらくここで最も偉い人物の部屋なら何かあると考えたからだ。
だが結果的には特に役に立つような物を見つけられないまま、最上階に辿り着いたのだった。

そしてエレベーターから出てからまず目に付いたのが先の転移魔法陣なる存在だった。

(どう見ても怪しいよね、罠かな? でもなんでわざわざこんな場所に? 罠だったら1階の出入り口付近に設置したらいいのに)

しばらく様々な考えを巡らせていたが、結局はっきりした事は何一つ分からなかった。
これ以上考えていても埒は明かないと悟ったところでキャロはひとまず周囲の様子を観察してみる事にした。

まず北は、特に変わった物は見られなかった。
次に東は、すぐ隣のE-6エリアとその斜め向こうのエリアが壊滅状態になっているのが見られた。
そして南は、ビルが密集していて詳しい様子は分からなかったが、どうやら南でも立ち上る煙なら何かあった事は予想できた。
最後に西は、斜め向こうのエリアが壊滅状態になっているのが見られた。

271 :今は小さく頼りないこの手も ◆HlLdWe.oBM :2009/04/11(土) 00:10:24 ID:XQ/LKbQy

ここからキャロはある結論に至った。
すなわちこの会場内には制限をかけられているにもかかわらず短時間でエリア一つを壊滅状態にしてしまう程の力を持った参加者が複数いるのだ。
そのような力を持つ参加者が複数いるとは思いたくないが、複数のエリアがこの10時間程で壊滅している以上そう考えるのが妥当だ。
どう考えてもこの何かしら制限が掛かっている状況の中、一人で方々を回ってエリアを壊滅させるなど無理に思えたからだ。

だがその結論はどうしようもなくキャロを不安にさせるものだった。
まずそのような参加者と戦っても勝てる見込みは少ないと思ったからだ。

(……やっぱり私一人じゃ無理なのかな)

キャロが己の非力を不安視する理由はもう一つある。
それは今までの自分が行ってきた戦績というべきものだ。
キャロはエリオのために殺し合いになる決意をしてからキングとクアットロの二人の参加者を襲ってきた。
だが結果はどちらも殺すに至らず逃げられてしまう始末。
キングは手負いの天道と一緒で、クアットロは当初は優位に立っていたにもかかわらずだ。
そんな二人でさえ仕留める事がキャロにはできなかった。
新たな力、エリオの息吹を感じるスケィスを以てしても、ハンデのある人物さえ殺せない。

結論から言えばこのままではキャロがこのデスゲームで生き残れる確率は極めて低い。
キャロ自身はそんな事は認めたくなかったが、現実から目を背けずに冷静になってみればそれは認めざるを得ない事実に近い。
それくらいはキャロでも理解できる。

この時点でキャロがこのデスゲームで優勝するにはいくつかの手段がある。

まずは己の力で参加者を皆殺しにして最後の一人になる手段。
だがこれは先程考えた通り実現するのは果てしなく困難である。
仮に本来のデバイスであるケリュケイオンを加えたとしても精々エリアを壊滅させる参加者と並べるとは思えない。
召喚術も当然制限されていると予想される上に、近接戦闘が不得手ではスケィスも満足に扱えるかどうか。
こちらが不利なのは火を見るよりも明らかだった。

次に他の参加者の潰し合いを狙う手段。
だがこれも問題がある。
プレシアは放送で殺し合いを止めようとしている者が何人かいると言っていた。
実際キャロもエリオの死を聞くまではそうだったし、知り合いのほとんどはその立場にあると思っている。
そのような人達はこの場でどのような行動を取るか。
おそらく以前自分もしたように仲間との合流を目指すだろう。
そして殺し合いを望まない者は彼ら以外にもいると思われる。
もしもそのような信念を持った人達が集まり協力すれば、如何に強大な力の持ち主でさえ返り討ちにされてしまう。
そして時間と共にこの会場には殺し合いを望まない者で溢れる結果となる。

だがこれらの手段の不安要素を軽減する手段もある。

まずはキャロ自身の戦力のアップ、それも自分に合った力の向上が望ましい。
正直に言って前線向きでないキャロが近接戦闘に有利な力を手に入れても上手く扱えない。
召喚術と補助魔法(特にブースト魔法)、敢えて言うなら射撃魔法。
キャロとしてはその方面の力を強化したいと考えている。
しかしこのうち射撃魔法はスケィスを使用する事である程度は連射が可能だが、それでも一撃一撃の威力は低い。
さらに残りの二つも期待はあまりできそうではない。
召喚術はそもそもこの場所で出来るか未知数であり、補助魔法は回復魔法を別としてブースト魔法は対象がいて初めて真価を発揮する。
だから結局のところ、キャロ一人で出来る事は限られている。

そこで次に考えられる手は協力者の確保。
つまり殺し合いを否定する人達の集団に対してこちらも人数を増やすのだ。
それならキャロの補助魔法も生かせるはずだ。
だがこれにも問題はある。
この協力関係が最後まで続く事はないという事である。
プレシアによって願いを叶えられる者はデスゲームで最後まで生き残った一人だけ。
結局はどこかで対決しなくてはいけない事になる。

272 :今は小さく頼りないこの手も ◆HlLdWe.oBM :2009/04/11(土) 00:12:47 ID:XQ/LKbQy

「でも、それまでは……」

だがその時が来るまではこの方法は有効的に思える。

「南には聖王のゆりかごがあるけど、これって誰でも動かせるのかな?」

そもそも聖王のゆりかごを動かす事が出来るのは聖王であるヴィヴィオ唯一人だけだ。
他の人にとっては何の役にも立たないただの建造物でしかない。
だがこの会場にゆりかごを置いた人物がプレシアである以上その定義は絶対ではないかもしれない。
少なくともキャロはこの会場内の施設は偽物だと思っている。
だから偽物のゆりかごは誰でも動かせるようになっているのではと淡い期待を抱いたのだ。
それに未だにクアットロが戻ってくる気配はまるでない。

「……試してみようかな」

数分後、屋上からキャロの姿は消えていた。


     ▼     ▼     ▼


(これは、ロストロギアなのかな?)

南方のI-5に広がる青い海と白い砂浜。
そんな平和を思わせる場所に無粋にも鎮座する建造物がある。
古代ベルカの戦船、数多の世界を席巻して破壊してきた空中戦艦、聖王のゆりかご。
現在その入口付近には一人の少女が腰を下ろしていた。
若干湿った金髪をツインテール結んだ髪形をしている少女の名はフェイト・T・ハラオウン。
本人曰く、今はハラオウン姓を返上して旧名のフェイト・テスタロッサである。

そもそもフェイトがここに辿り着いたのは偶然であった。
デパート上空での全力を出し切った戦闘の結果、力及ばず敗北して魔力が枯渇した事で地上へと落下して死ぬはずだった。
だがそれを阻んだ存在は市街地を滔々と流れる一筋の川だった。
運良く川に落ちる事ができたフェイトは流されるままに流され数十分前にここI-5の砂浜に流れ着いていた。
そこで気が付いて最初に目にした建造物がこの聖王のゆりかごであった。
最初こそ砂浜に不釣り合いな巨大な戦艦に唖然としていたが、身体を休めるために中へ入ったのだ。

(もうすぐ放送の時間かな。最低でも二人は呼ばれるはず、新庄さんと、それから……)

そこでふとフェイトは意識が落ちる前の光景を脳内より呼び起こしていた。
青眼の白龍の圧倒的なまでの力に競り負けて落下する自分。
その途中で目にしたもう一人のフェイト・T・ハラオウンを知る少女と少年。
デパートの3階に佇んだままこちらに目を向けていた二人にフェイトは最後の力を振り絞って魔力弾を放った。
そして臙脂色の制服を着た紫の髪の少女を狙って放った魔力弾が着弾した辺りで自分の意識は途切れている。
あれなら少女か少年は確実に直撃したはずだ。

(確かあの人は『つかささん』って呼んでいたっけ)

あの時の事を思い返してみると赤いジャケットを着た茶髪の少年が少女の事をそう呼んでいた。
名簿を確認してみると確かに『柊つかさ』という名前があった。
だが一方の少年の名前は記憶にはなかった。
あの時は相手の事など気にも掛けていなかったから当然と言えば当然だ。
寧ろ『柊つかさ』の名前が分かった事だけで十分であった。

(でも、あの赤いジャケット、どこかで――ッ!! そうだ! あの服はレイと一緒……もしかしてあの人が遊城十代じゃ――)
「フェイトさん!?」

273 :今は小さく頼りないこの手も ◆HlLdWe.oBM :2009/04/11(土) 00:14:43 ID:XQ/LKbQy

突然自らにかけられた言葉によってフェイトの思考はそこで中断を余儀なくされた。
声がした方を見てみると、そこにはピンクと白を基調としたバリアジャケットを身に纏った少女がいた。
しかも手には身丈を凌駕するほどの大鎌を構えていて、なぜかひどく驚いた表情でこちらを見ていた。

彼女の名はキャロ・ル・ルシエ。
フェイト・T・ハラオウンが保護した少女。
だがそれはこのフェイトからしてみれば未来の話だ。
今のフェイトにキャロとの面識など勿論の事だが全く無い。

9歳のフェイト・T・ハラオウンと10歳のキャロ・ル・ルシエ。

それは本来ならあり得るはずのない邂逅。


     ▼     ▼     ▼


時間は少し巻き戻る。

目的地を思い浮かべ一瞬眩い光で視界が塞がれたと思った次の瞬間には既にキャロは転移し終わっていた。
一瞬で目の前に広がる光景は屋上から見えるビル群ではなく、白い砂浜に変貌していた。
だがここが本当に聖王のゆりかごがある場所とはまだ判断できない。
確かにゆりかごは砂浜のエリアにあるが、地図上に砂浜は2つ存在している。
キャロはさっそく周囲の様子を窺いつつゆりかごがないか探し始めた。

「ん、あれって……」

川の近くで黒い柄みたいな物を拾った以外は特に変わった物はない中で、程なくして目的の物は発見できた。
紫紺と金色で彩られた古代ベルカの超大型質量兵器。
砂浜の白とは対照的に鮮やかで壮大な戦艦は遠目からでもすぐに見つける事ができた。

(ああ、やっぱりこれも偽物かな。本物ならもっと大きかったはず)

配られた地図によるとこの会場の広さは9km×9mで、それを1平方km毎に区切って1エリアにしている。
つまり1エリアは1km×1kmという事になる。
だがそれに対して聖王のゆりかごは全長1kmを優に超える大きさのはずだ。
それがこうして1エリアにすっぽり収まっているという事はゆりかごが精巧にできた偽物だという証拠になる。
先程までいた地上本部と合わせて考えてみても「この会場内の建造物は全て偽物」という説はかなり信憑性を増してくる。

(あ、誰かいたら、どうしよう)

現状キャロはスケィスも起動済みの状態で、身体はどちらかと言うと健康と言っても差支えない状態である。
ここに転移してくる前に屋上で脇腹と左太腿の負傷をかいふくのマテリアで治療済みだ。
もう傷痕は綺麗に消え去って、いつも通りとまではいかないが、キングやクアットロを襲った時よりは動けるはずだ。

(でも、実際に会ったらどうしよう。協力しようって言っても拒まれる事もあるだろうし……)

協力を打診するか、それとも有無を言わさずに殺してしまうか。
キャロは迷っていたのだ。
本当にこの方法でエリオを蘇らせる事ができるのかと。
心の内の不安は否応なく精神を揺さぶり、そして目の前に現れた人物に対して迂闊な行動を取ってしまった。

「フェイトさん!?」

まず目に付いたのは金髪のツインテール、そしてまだ幼いと分かる身体と年相応の服装。
キャロにとっては見覚えのあるようで初めて見る人物。

幼き頃のフェイト・T・ハラオウン。

274 :今は小さく頼りないこの手も ◆HlLdWe.oBM :2009/04/11(土) 00:15:42 ID:XQ/LKbQy

それが今キャロの目の前にいる人物であった。

「誰かは知らないけど、ごめん。あとで生き返らせてあげるから死んでくれ」
「え、あとで生き返らせる……?」

キャロは目の前に現れた幼いフェイトの言葉に一瞬戸惑ってしまった。
死んだ者を生き返らせる行為自体はキャロも考えている事だ。
だが目の前のフェイトは「あとで生き返らせるから今は死んでくれ」と言う。
つまりキャロにとって生き返りの対象がエリオであるように、目の前のフェイトの生き返りの対象が自分という事なんだろうか。

「言葉の通りだよ。私はこのデスゲームで最後の一人になる。そして、なのはを、皆を生き返らせるんだ!!」

一方のフェイトにしてみれば、この遭遇は予想外の出来事であった。
こんな端のエリアにわざわざ来る参加者がそうそういないと考えていたからだ。
だが現実にこうして新たな参加者と遭遇してしまっている。
まだ体力も魔力も完全に回復していない状態でこの状況は非常に不味いものである。
だからこその時間と隙を作るための会話。
デパートでの戦闘からある程度時間が経過しているのでいくらか魔力は回復している。
適当な会話で隙を作ってプラズマランサーを放ち、短時間で倒すつもりだ。

だがそもそも隙を作りたいなら味方の振りをして同情を誘う方がいいのかもしれない。
しかし今のフェイトはそこまで考えが回らなかった。
青眼の白龍に敗北し、その傷が癒えない内に誰かに見つかってしまった事でフェイトは追い込まれていた。
つまり今のフェイトに余裕はなく、焦っていたのだ。

だが幸か不幸かその会話がキャロにとって大きな影響を及ぼす事になった。

(皆を殺した後で皆を生き返らせる……そうか、そうすれば、エリオ君も生き返るし、他の人とも協力できる!)

フェイトの言葉はキャロにはまさに天啓の如く聞こえた。
つまりもし最後に生き残りが自分と協力者になったとしても、残った一人の願いが死んだ人を全員生き返らせる事なら。
それは自分の願いが叶う事にもなる。
もし自分が死んでも結局はエリオも自分も最後には生き返る事になるからだ。

「フェイトさん、私と手を組みませんか?」

今は小さく頼りないこの手も、力を合わせれば、きっと――

275 :今は小さく頼りないこの手も ◆HlLdWe.oBM :2009/04/11(土) 00:17:01 ID:XQ/LKbQy
【1日目 昼】
【現在地 I-5 聖王のゆりかご入口付近】

【キャロ・ル・ルシエ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】疲労小、魔力消費小、歪んだ決意
【装備】憑神鎌(スケィス)@.hack//Lightning
【道具】支給品一式×2、かいふくのマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、葉巻のケース@NANOSING、オーバーフラッグの仕込み刀@魔法妖怪リリカル殺生丸
【思考】
 基本:エリオ(みんな)を蘇らせるため、この殺し合いに優勝する。
 1.目の前のフェイトに協力を打診する。
 2.相手が機動六課の仲間であろうとも容赦はしない(ただし、フェイトが相手の場合は微妙なところ)
 3.次にキング、クアットロと会った時は、絶対に逃がさない。
【備考】
※別の世界からきている仲間がいる事に気付いていません。
※憑神鎌(スケィス)のプロテクトは外れました。
※自分の決断が正しいと信じて疑っていません。
※この会場内の施設は全て偽物だと思っています。


【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはA's】
【状態】疲労大、魔力消費大、全身にダメージ大、左腕に軽い切傷(治療済み、包帯代わりにシーツが巻かれている)、強い歪んだ決意
【装備】オーバーフラッグ(仕込み刀なし・カートリッジ残量0)@魔法妖怪リリカル殺生丸
【道具】支給品一式、医療品(消毒液、包帯など)、パピヨンスーツ@なのは×錬金
【思考】
 基本:皆で一緒に帰る。
 1.え、協力?
 2.皆を殺して最後の一人になる。そして皆を生き返らせる。
【備考】
※もう一人のフェイトを、自分と同じアリシアのクローン体だと思っています。
※なのはとはやても一人はクローンなのではと思っています(激しい感情によって忘却中)。
※新庄とつかさor十代は死んだと思っています。
※激しい感情から小さな矛盾は考えないようにしています。追及されるとどうなるか不明。
※なのはが一番強いと思っています。
※トライデントスマッシャーを修得しました。

276 : ◆HlLdWe.oBM :2009/04/11(土) 00:19:10 ID:XQ/LKbQy
投下終了です。
誤字・脱字、矛盾、疑問などありましたら指摘して下さい。

タイトルの元ネタはキャロのキャラソン「いつの日か」の歌詞の一部から

277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/11(土) 00:30:36 ID:XQ/LKbQy
容量がもうそろそろ限界なので新スレ立てておきました

リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル10
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1239377043/

278 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/11(土) 10:39:26 ID:VqZdkY94
とりあえず誤字報告
>>273の会場の広さの説明が9km×9『m』になってます

279 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/11(土) 19:03:44 ID:RrXwh+yY
投下乙です
確かにそれだと組むことが出来るがそれは狂人の論理に近いぞ!
死者復活が本当なら前提の理論だと気づくには何時か

280 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/11(土) 20:06:06 ID:riRDYrwQ
投下乙でございます。

うわぁーマーダーグループ誕生かよぉー!!(注.まだ誕生してません)

いやいやいやいや、確かにボロボロのフェイト、攻撃向けではないキャロ、どちらも現状で勝ち抜くのは辛いのはわかるが……

これ色々な意味で対主催涙目じゃないか……それにそもそも、殺し合いやっていて殺し合いに参加した人全員生き返るなんて普通あり得ないって冷静に考えればわかりそうなものだけどなぁ……
しかもこいつら最早マトモな思考放棄しているからなぁ……話聞く気も無さそうだし……なんか狂人というよりワガママなガキの理論にしか見えないなぁ。少し頭冷やせって……

一方、施設が偽物という理論は『いやいや、そんなわけないだろ』と思う一方、巨大なゆりかごがエリア内に収まっている視点から偽物という解釈というのは成る程と思いました。

281 : ◆HlLdWe.oBM :2009/04/11(土) 20:54:26 ID:XQ/LKbQy
>>278
wiki収録時に「9km×9km」に修正しておきます。

282 :R-0109 ◆eVB8arcato :2009/04/11(土) 21:01:02 ID:9NXQDprp
http://r-0109.ddo.jp:8000/ (ラジオアドレス)
ttp://cgi33.plala.or.jp/~kroko_ff/mailf/radio.htm (聞き方)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5008/1239449210/ (実況アドレス)

です

283 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/12(日) 09:49:03 ID:yzsNqonX
                 / / //    `ヾヽヽ          ,. -―_..ニ=-
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               /  / / /                  //
                  i  l / /                //
             ト、 |   |/ /      r'ヽ、            //
             ヽヽ ! r'  l ,二ニヽ |⌒゙`|   ,.イ,.イ  //      __/ヽ _
          ,. ---ヽ `Y /'´ ̄ `丶、!ヘ:r、| ,.イ/ /  //      _lri⌒`丶レl
         /-‐_==-           `ヽ |/ /  / / /       l/'´   ,ハ1/!,r'! _
       '´, '´ , -                 ヽ/ ノ//,.ィ     r_ニY    /::::::`ヽ/⌒ヽ'-、
          /  /  ,          - 、   ∨/__// /    l7´  |    /:::::::::/    ヽ'-、
       / ,.イ  /           \   !'ー―-'- 、/   ,イ     !   l::::::::/     ,rァヽ'、
       l/ l  ,イ  l-l‐ト!、 ト、 _、__、__ ヽヽヽ ト-----; 、ヽ、___Y,. --、__ !    !::::/        lフ
         ヽN l ト、Nリィ;、ヾ ´,ゞ=、ト、 ! ト、!`/    // ``ヽヽヽ    ̄ `丶、 ',:::!         ヽフ
            ヾ / 〉ヒl   ト':::_ト、リ',r'´}/  ___//   ノ::,! ヽ       ト、::!         ,イ
             / ∧ 、   ヽ_ソ '//__ノ  | r--'    ヽ::ヽヽ ト、      ! `        ,イ'
             リ | \‘'     _リ|イ ,r;==' '---,、    ヽ::',}  !       !        /-'
             ヾ   `ー ' ´ リ-、||        l Y   }:::}  |            ヽァゥ、ト'
                       |:::ヽ       ノ  l、  /:::/ /_ノ-'、         ,!、
                       7_:::ヽ  /  /  \:/―'ヽ   ヽー、_     ,イ- '
\                       '---V´__,ィ´     ``!  ト;、ァ、ァト'ヾ、_, イ-r'__
:::::ヽ  ,. ヘ`ヽ                     ヽ/l_,r'´   |         ヽ'`´ゝ'ヽト、
;;::::::::Y   !  ヽ                       }     |            `ヾ´/j )
;;;;;::::::|!   |   ',_                      /     l7             Y; | !
;;;;;;;::::l!   l    ト、`丶、                  ,r'ニ.._ー- 、/::!              ヾ-'
;;;;;:::::/   l    | ヽ、  `ヽ               ノ´:::::::``ー-'/
;;::::::/   /    !  | `丶、ヽ             /__:::::::::::::::::r/、

284 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/12(日) 09:51:05 ID:yzsNqonX
                     、、
                     \ヽ、
               _,. -―- . ヽヘ ノ}
             _, - '´       \} レ'ノ
    ヽー- -‐‐ '´           -‐¬ 、
     `ー-/     ,       、  ヽ   ヽ
       . '      , i    ヽ 、 ヽ  、 、  ',
      /  / /,  l i ! l    l  i l . l.  i i    i     
       /  i i  l| l. |   ィ 丁!T|.  l |.   |
     | ,i :/ | !,.イ丁 ト. 、 j l|,z== 、!: ! j !   |
      ! l| i :l l. ト,;:==、いノ!ノ  {t心Y /イ   l
       !|| :i| ::!.l:.. {i {tい` ′ _いノリ/l l |:l. ,   
       ! l', ::い:、l ヽソ  ,    ̄/l:l:|.!|:i:! ′
         ヽ!ヽ :ヽトヘ ´    __    l:l:|:!|::;' /
         ` \ヽ::ヘ、   ヽ′  ,川::リ//
            l.`::l::l::`iー-,. ..__//イ!//'′
              | l::l::!:;v'^´ 〉-―'/イく,、
               ! トv′_,/:::::::::::::::/::冫、_
             V.イ「 l::::::::::;.-'´ / /: : >、
            ,.イ: :/| l,.-'´ , '´ / :/: : : :\
           /:/ :/  、   . '´  ⌒j:/: : : : : : : ハ
              i: l (_)   `'´     ゝ:' i : ; : : : : : : :i
          l: :|:/ ト,     r1 、 |: :l::/: : : : : : : :|
           |/:l′i'/     ノ'′ヽ !: /: :i : : : : : : l

                  , r
              _,..ゝ' _ `ヽ-、
               ;' ミ (゚:ノ .o.ヾj_
              ゝ-=彡' - `ナミ、
             /l/    .:/
              ´ノ"゙  :.:::::i
       __.      /      j  
   ,. '´    `j     /,  ';   ..:!
  /    ,.-‐ ´  / !  i   ! !
  !   、,'    , '   `、 ',  ,' /、
  ',.   ` ..__  !    、 ヽ.j Lノ ',
    ` 、    ̄l     ', ゙´   ! l
      ` ー---',.    }   ノ ノ
           ゝ.、._.ノー-‐'丶゙__)
           Liノ

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